(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】架橋タンパク質泡を発生するための粉末組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/24 20060101AFI20240415BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20240415BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61L27/24
A61L27/22
A61L27/56
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021013551
(22)【出願日】2021-01-29
(62)【分割の表示】P 2018502840の分割
【原出願日】2016-04-01
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521148500
【氏名又は名称】バイオチェンジ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biochange Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】イシャイ・アタル
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-110724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0112573(US,A1)
【文献】BARBETTA, A. et al.,Biomacromolecules,2006年,Vol. 7,pp. 3059-3068
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする
組織欠陥を有する患者の
身体における組織欠損または疾患を治療することに使用するための組成物であって、
前記組成物は、組織欠損または疾患を治療するのに十分な量で、
患者の体内の治療部位で生じる架橋反応により、組織欠損部位において患者の体内
で形成され;
前記組成物は多孔質骨格であり、
前記骨格の細孔は2ミクロン~500ミクロンであり、
前記組成物は、
a.少なくとも1つのRGD(Arg-Gly-Asp)モチーフを含む架橋可能タンパク質、
b.トランスグルタミナーゼ、ここにトランスグルタミナーゼは0.0001重量%~2重量%の範囲で前記組成物に存在し;および
c.液体
から形成され、
前記組成物は
、閉細胞泡であり、
前記架橋可能タンパク質は5ミクロン~200ミクロンの平均粒径を有する微粉化タンパク質粉末
である
前記組成物。
【請求項2】
前記架橋可能タンパク質はコラーゲンまたはゼラチンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ゼラチンは組換えゼラチンであることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記液体は生理学的緩衝液であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記ゼラチンが200ブルーム~300ブルームのものであることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記ゼラチンが75kDa~150kDaの平均分子量を有することを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
ゼラチンが0.01秒~120秒間の時間、液体と混合した場合に泡に可溶化し、4℃~40℃の温度で水和することができる吸湿性の粒子状ゼラチン粉であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
治療を必要とする組織欠陥を有する患者の組織欠損または疾患を治療することに使用するための請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物であって、
前記組成物は組織欠損または疾患を治療するのに十分な量で、組織欠損部位において患者の体内に導入され;
ここで、前記組成物は欠損部位において組織に付着し、
組織欠損は創傷であり;または
組織欠損は正常に機能せず再生が必要である組織であり;または
組織欠損は骨欠損であり;または
疾患は便失禁であり;または
疾患は尿失禁であり;または
疾患は肺気腫である
ことを特徴とする、前記組成物。
【請求項9】
治療を必要とする
組織欠陥を有する患者の
身体における組織欠損または疾患を治療することに使用するための請求項1に記載の組成物であって、
ここで、前記組成物は欠損部位において組織に付着し、
組織欠損は創傷であり;または
組織欠損は正常に機能せず再生が必要である組織であり;または
組織欠損は骨欠損であり;または
疾患は便失禁であり;または
疾患は尿失禁であり;または
疾患は肺気腫である
ことを特徴とする、前記組成物。
【請求項10】
組成物が患者の骨の再生を誘導することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
患者における肺容量を減少することによって肺気腫の治療に使用するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組織再構築薬剤として使用するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ゼラチンが0.5重量%~25重量%の範囲で組成物に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
治療を必要とする
組織欠陥を有する患者の組織欠損または疾患を治療ための方法に適用する組成物であって、組成物は閉細胞泡多孔質骨格であり、骨格の細孔は2ミクロン~500ミクロンであり、組成物は
a.少なくとも1つのRGD(Arg-Gly-Asp)モチーフを含む架橋可能タンパク質;
b.トランスグルタミナーゼ;および
c.液体
から形成され、
前記架橋可能タンパク質は5ミクロン~200ミクロンの平均粒径を有する微粉化タンパク質粉末であり、
前記方法は、
a.組織欠損または疾患を治療するのに十分な量で、組織欠損部位において患者に組成物を導入すること
を含む、組成物。
【請求項15】
前記可能タンパク質がコラーゲンまたはゼラチンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ゼラチンは組換えゼラチンであることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組織欠損は創傷であることを特徴とする、請求項14~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
組織欠損は正常に機能せず再生が必要である組織であることを特徴とする、請求項14~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
組織欠損は骨欠損であることを特徴とする、請求項14~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
組成物は患者の骨の再生を誘導することを特徴とする、請求項14~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
疾患は便失禁であることを特徴とする、請求項14~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
疾患は尿失禁であることを特徴とする、請求項14~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
疾患は肺気腫であることを特徴とする、請求項14~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
方法に適用するための組成物であって、
方法は治療を必要とする
組織欠陥を有する患者の組織欠損または疾患を治療し:
組織欠損または疾患を治療するのに十分な量で、組織欠損部位において患者に請求項1に記載の組成物を形成することを含み;
ここに、組成物は欠損部位において組織に付着することを特徴とする、前記組成物。
【請求項25】
組織欠損は創傷である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
組織欠損は正常に機能せず再生が必要である組織である、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項27】
組織欠損は骨欠損である、請求項24~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
組成物は患者の骨の再生を誘導する、請求項24~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
疾患は便失禁である、請求項24~28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
疾患は尿失禁である、請求項24~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
疾患は肺気腫である、請求項24~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
方法に適用するための組成物であって、
方法は患者における肺容量を減少し:
崩壊される領域の第1の部分および崩壊される領域の第2の部分を付着させるのに十分な量で患者の肺の崩壊される領域の部位において、患者の体内に請求項1に記載の組成物を形成することを含み、ここで、崩壊される領域の第1の部分および崩壊される領域の第2の部分の付着が、患者の肺容量を減少させ、組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことを特徴とする、前記組成物。
【請求項33】
方法に適用するための組成物であって、
方法は患者における肺容量を減少し:
肺容量を減少するのに十分な量で肺領域の部位において患者に請求項1に記載の組成物を形成することを含み、ここで、組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことを特徴とする、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願請求項は、2015年4月3日に出願された米国仮出願第62/142,715号、2015年4月3日に出願された米国仮出願第62,147,725号、2015年4月3日に出願された米国仮出願第62/142,732号、2015年4月3日に出願された米国仮出願第62/142,738号、2015年4月3日に出願された米国仮出願第62/142,713号に優先し、そのすべての全体の内容が引用により援用される。
【0002】
本発明は、架橋可能タンパク質および前記架橋可能タンパク質の架橋を誘導する非毒性物質から成る改良架橋組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生体位でゲル形成が可能な生体材料は、例えば、制御された薬物送達のための注入可能基質、再生医療用注入可能骨格、あるいは組織を結合させる、または生理環境での気体または液体の漏れを封じるための接着剤といった、さまざまな用途に有益である。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本発明は組成物を提供し、
前記組成物は多孔質骨格であり、
前記骨格の細孔は2~500ミクロンであり、前記組成物は、
a)コラーゲンおよびゼラチンからなる群から選択される架橋可能タンパク質、
b)前記架橋可能タンパク質の架橋を誘導する架橋剤、および
c)液体、
から成る。
【0005】
一実施形態では、前記液体は生理学的緩衝液である。
【0006】
一実施形態では、前記組成物は泡である。
【0007】
一実施形態では、前記架橋可能タンパク質は5~200ミクロンの平均粒径を有する微粉化タンパク質粉末として前記組成物に導入される。
【0008】
一実施形態では、前記架橋可能タンパク質は200~300ブルームのゼラチンから成る。
【0009】
一実施形態では、前記架橋可能タンパク質は0.5重量部~25重量部の範囲で前記組成物中に存在する。
【0010】
一実施形態では、前記架橋剤はトランスグルタミナーゼである。
【0011】
一実施形態では、前記トランスグルタミナーゼは0.0001重量部~2重量部の範囲で前記組成物中に存在する。
【0012】
一実施形態では、本発明は以下の組成物、すなわち、
a)架橋可能ゼラチン、
b)前記架橋可能ゼラチンの架橋を誘導するトランスグルタミナーゼ、および
c)液体、
ここで、前記組成物は2~500ミクロンの粒径を有する多孔質骨格であり、
前記架橋可能ゼラチンは5~200ミクロンの平均粒径を有する微粉化ゼラチン粉末として前記組成物に導入され、
前記架橋可能ゼラチンは200~300ブルームであり、
前記架橋可能ゼラチンは0.5重量部~25重量部の範囲で前記組成物中に存在し、
前記トランスグルタミナーゼは0.0001重量部~2重量部の範囲で前記組成物中に存在する、
から成る組成物を提供する。
【0013】
一実施形態では、前記液体は生理学的緩衝液である。
【0014】
一実施形態では、前記組成物は、患者が組織欠損の治療を必要としている部位において、患者の生体位で形成される。
【0015】
一実施形態では、前記組成物は、患者が組織欠損の治療を必要としている部位において、患者に組成物を導入する前に形成される。
【0016】
一実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は組織欠損または疾患を必要としている患者に治療を行い、その治療は、
a)組織欠損または疾患を治療するのに十分な量で、組織欠損部位において患者に前期組成物を導入すること、
ここで、前期組成物は欠損部位において組織に付着する
ことから成る。
【0017】
一実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は組織欠損または疾患を必要としている患者に治療し、その治療は、
a)組織欠損または疾患を治療するのに十分な量で、組織欠損部位において患者の体内で前期組成物を形成すること、
ここで、前期組成物は欠損部位において組織に付着する、
ことから成る。
【0018】
一実施形態では、前記組織欠損は創傷である。
【0019】
一実施形態では、前記組織は正常に機能せず、再生が必要である。
【0020】
一実施形態では、前記組織欠損は骨欠損である。
【0021】
一実施形態では、前記組成物は患者の骨の再生を誘導する。
【0022】
一実施形態では、前記疾患は便失禁である。
【0023】
一実施形態では、前記疾患は尿失禁である。
【0024】
一実施形態では、前記疾患は肺気腫である。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの細胞型が前記組成物中に浸潤し、成長する。
【0026】
一実施形態では、前記少なくとも1種類の細胞は、膵臓幹細胞、腸内分泌細胞、骨細胞、肝細胞、腱細胞、筋細胞、血液細胞、軟骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、自家骨髄由来間葉系幹細胞、前駆細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、骨系幹細胞、軟骨細胞系幹細胞、上皮幹細胞、および肝幹細胞から成る群からの細胞型である。
【0027】
一実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)患者の肺の標的領域を崩壊させること、
b)崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させるのに十分な量で崩壊される領域の部位において、患者の体内に前記組成物を導入すること、
ここで、崩壊される領域の第1の部分を、崩壊される領域の第2の部分に付着させることで、患者の肺容量を減らし、
前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0028】
一実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)肺容量を減らすのに十分な量で、肺領域の部位において患者の体内に前期組成物を導入すること、
前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0029】
一実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)患者の肺の標的領域を崩壊させること、
b)崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させるのに十分な量で、崩壊される領域の部位において、患者の体内で前記組成物を形成すること、
ここで、崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させることで、患者の肺容量を減らし、
前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0030】
一実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)肺容量を減らすのに十分な量で、肺領域の部位において患者の体内で前期組成物を形成すること、
ここで、前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一部の実施形態に従った微細化タンパク質の粒度分布を示すグラフである。
【0032】
【
図2A】
図2Aは、本発明の一部の実施形態に従った、患者の尿道に組成物を送達させるための装置を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の一部の実施形態に従った、患者の尿道の生体位での組成物の形成を示す図である。
【0033】
【
図3】
図3は、本発明の一部の実施形態に従った、本発明の組成物を形成させるための装置の写真である。
【0034】
【
図4】
図4は、本発明の一部の実施形態に従った、腸損傷部位に付着した組成物の写真である。
【0035】
【
図5】
図5は、本発明の一部の実施形態に従った、ブタの肛門括約筋に注入された組成物の写真である。
【0036】
【
図6】
図6は、本発明の一部の実施形態に従った、下顎骨欠損を充填する組成物の写真である。
図6Bは、次のようにイヌの左下顎骨を示し、A-損傷のない第2小臼歯;B-試験化合物を含まない基準空ソケットであり;C-MIS 4 BONE単独;D-混合試験化合物含有MIS 4 BONDおよび架橋ゼラチン/GAG泡である。
図6Cには、次のようにイヌの右下顎骨を示し、A-健康な第2小臼歯;B-空ソケット;C-MIS 4 BOND単独;D-架橋ゼラチン泡単独である。
【0037】
【
図7】
図7は、本発明の一部の実施形態に従った、ブタの尿道に注入された組成物の写真である。
【0038】
【
図8】
図8は、本発明の一部の実施形態に従った、組成物の顕微鏡写真である。
【0039】
【
図9】
図9は、本発明の一部の実施形態に従ったジェットミル処理装置の図である。
【0040】
【
図10】
図10は、本発明の一部の実施形態に従った、骨格組成物中に種付けされた細胞の生存率を示す。
【0041】
【
図11】
図11は、本発明の一部の実施形態に従った、骨格組成物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
開示を明確にするため、しかし制限としてではなく、発明の詳細な説明は、本発明の特定の特徴、実施形態または応用を説明または図解する以下の小節に分割される。
【0043】
明細書と請求項を通じて、特に文脈から明確に規定されない限り、以下の用語は本願明細書に明確に関連した意味を持つ。本願明細書で使用される場合の語句「一実施形態」と「一部の実施形態」は同じと思われるかもしれないが、必ずしも同じ実施形態に言及するとは限らない。さらに、本願明細書で使用される場合の語句「別の実施形態」と「一部の実施形態」は別と思われるかもしれないが、必ずしも別の実施形態に言及するとは限らない。従って、以下で述べるように、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明のさまざまな実施形態をたやすく組み合わせることができる。
【0044】
さらに、本願明細書で使用される場合の用語「または」は包含的演算子「論理和」であり、特に文脈から明確に限定されない限り、用語「および/または」と同等である。用語「~に基づく」は排他的ではなく、特に文脈から明確に限定されない限り、述べられていない追加の要因に基づくことを可能にする。さらに、英文明細書を通じて「a」、「an」、「the」は複数の参照を含む。「in」の意味は「in」と「on」を含む。
【0045】
本願明細書で使用される場合の「ゼラチン」は、動物組織または前記動物組織から得られたコラーゲンの部分加水分解で得られ、ここで前記動物組織は、動物の皮膚、結合組織、枝角、角、鱗からなる群から選択され、また細菌、酵母、動物、昆虫、または植物系、あらゆる種類の細胞培養、またはその組み合わせを用いて生成される組み換えゼラチンである。
【0046】
本願明細書で使用される場合の「ブルーム」は、10℃で17時間、6%の固形を含むゼラチン溶液の中に直径1/2インチのプランジャーを4mm押し下げるのに必要なグラム単位の重量として定義される。
【0047】
本願明細書で使用される場合の「担体」とは、架橋反応前または架橋反応中に共有的または非共有的に架橋酵素を結合する重合体、タンパク質、多糖、またはその他の成分のことである。
【0048】
本願明細書で使用される場合の「共重合体」とは、架橋反応に参加できる基質の成分のことであり、典型的には基質の主成分ではない。典型的には、共重合体は酵素または基質のタンパク質主成分などの基質物質に共有結合されていない。共重合体の例としては、デキストランなどの多糖、および/またはカルボキシメチルセルロースなどのセルロース高分子であるが、これらに限定されない。
【0049】
本願明細書で使用される場合の「架橋酵素」とは、ヒドロゲルなど、これに限定されない基質を形成するために重合体らせん構造上の基質群に直接的(例えば、トランスグルタミネーションであるが、これに限定されない)または間接的(例えば、キノンまたはフリーラジカル形成であるがこれに限定されない)に架橋できる少なくとも1つの酵素(例えば、1つの酵素、2つの酵素、3つの酵素、4つの酵素、5つの酵素などであるが、これらに限定されない)のことである
【0050】
本願明細書で使用される場合の「拡散」または「移動性」とは、例えば酵素および/または他の分子(例えばタンパク質、水素、または基質であるが、これらに限定されない)のランダムな分子運動のことであり、これはブラウン運動に由来する可能性がある。
【0051】
本願明細書で定義される場合の「拡散係数」または「拡散率」とは、特定条件の下で1種類の分子の拡散の程度を数値化する用語のことである。特に、拡散係数または拡散率は、分子拡散による分子流動と化学種の濃度勾配(または拡散の駆動力)の間での比例定数である。測定の方法、すなわちハイドロゲルによって溶出される酵素の割合および/または総量は、ハイドロゲルからの酵素の溶出を測定することで決定される。
【0052】
本願明細書で定義される場合の「流体力学的容積」とは、一般的にはサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定できるタンパク質または酵素の分子量のことである。成分の流体力学的容積とは、成分の液体形態での運動時を仮定した直径および/または容積のことである。
【0053】
本願明細書で定義される場合の「基質」とは、架橋材料の組成物のことである。一般的には、基質形成物質が架橋される時、これらの物質を含む組成物は液体状態からゲル状態に転移し、その結果、「ゲル」、「ハイドロゲル」、または「ゲル状組成物」を成形する。
【0054】
本願明細書で使用される場合の「MW」と略される「分子量」とは、タンパク質または重合体のダルトンまたはキロダルトン単位の絶対重量のことである。例えば、PEG化タンパク質(例えば、1つ以上のPEG(ポリエチレングリコール)分子が結合されたタンパク質であるがこれに限定されない)のMWは、その成分のすべてのMW合計である。
【0055】
本願明細書で使用される場合の「患者」とは、本発明の前記方法に従った治療を必要とする動物のことである。
【0056】
本願明細書で定義される場合の「感知容積」または「有効容積」とは、架橋基質内部の架橋酵素の有効流体力学的容積のことである。感知容積は、架橋反応前、または架橋反応中に別の分子、担体、重合体、多糖、およびその他との酵素の共有または非共有結合によって増加させることができる。
【0057】
本願明細書で使用される場合の「重合体」とは、繰り返し単位を含む天然、合成、または半合成分子のことである。
【0058】
本願明細書で定義される場合の「移動性低下」とは、溶液中またはハイドロゲル内のタンパク質または酵素の分子運動が緩慢または拡散係数が小さいことであり、溶出速度で測定することができる。
【0059】
本願明細書で定義される場合の「サイズ」とは、分子の分子量または流体力学的容積または感知容積のことである。
【0060】
本願明細書で定義される場合の「ミル処理」とは、ジェットミル処理、旋回/渦巻きミル処理、ボールミル処理、高圧均質化および微小流体化、噴霧乾燥、再結晶、エマルション-溶剤抽出、および超臨界流体急速膨張法(RESS)などの超臨界流体を用いた方法のいずれかで物質を粉砕することである。
【0061】
「ジェットミル処理」とは、旋回または渦巻きミル処理による微粒子化の方法のことである。
架橋可能タンパク質
【0062】
前記方法および/または基質に関する少なくとも幾つかの実施形態に従って、少なくとも1つの基質重合体は、自然に架橋可能な重合体、酵素によって架橋可能である部分変性重合体、および非修飾または修飾酵素によって架橋可能である官能基またはペプチドを含む重合体から成る群から選択される基質重合体を含む。任意に、前記少なくとも1つの基質重合体はゼラチン、コラーゲン、カゼインまたはアルブミン、または修飾重合体を含み、前記修飾酵素分子はトランスグルタミナーゼおよび/または酸化酵素、修飾トランスグルタミナーゼおよび/または修飾酸化酵素を含む。任意に、前記少なくとも1つの基質重合体は動物組織または前記動物組織から得られたコラーゲンの部分加水分解で得られるゼラチン(前記動物組織は、動物の皮膚、結合組織、枝角、角、鱗から成る群から選択される)と、細菌、酵母、動物、昆虫、または植物系、あらゆる種類の細胞培養、またはその組み合わせを用いて生成される組み換えゼラチンとから成る群から選択されるゼラチンを含む。任意に、前記ゼラチンは哺乳類または魚類由来のものである。任意に、前記ゼラチンはタイプA(酸処理)またはタイプB(アルカリ処理)のものである。任意に、前記ゼラチンは250~300ブルームである。一部の実施形態では、ゼラチンが75~150kdaの平均分子量を有する。
【0063】
一部の実施形態では、1つ以上の適切な官能基を有する合成または部分合成重合体は、本願明細書に記載の酵素のいずれか用の架橋可能基質としての機能を果たすことができる。本発明の別の実施形態では、酵素の組み合わせが使用される。本発明の別の実施形態では、必ずしも単独の酵素ではなく、架橋剤の組み合わせが使用される。
【0064】
一部の実施形態では、前記架橋可能重合体は少なくとも1つのRGD(Arg-Gly-Asp)モチーフを含む。一部の実施形態では、前記少なくとも1つのRGDモチーフは、本発明の組成物に細胞が付着するのを促進する。
【0065】
一部の実施形態では、前記架橋可能重合体は、細胞タイプまたは運動性状態に関係なく、多価細胞骨格するとともに、細胞の骨格としての機能を果たすことができるRGDモチーフの不均等な分布を含む。
【0066】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上した架橋可能重合体を提供する。
【0067】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上した非組み換え型架橋可能ポリペプチドを提供する。
【0068】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上したゼラチンを提供する。
【0069】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上した非組み換え型ゼラチンを提供する。
【0070】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上した微細化ゼラチンを提供する。
【0071】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上したゼラチン泡などの多孔質骨格を提供する。
【0072】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上した少なくとも5%重量比のゼラチンを含むゼラチン泡などの架橋多孔質骨格を提供する。
【0073】
これにより、本発明は、RGDモチーフの多価表示を通じて細胞接着と運動性の互換性が向上した10~25%重量比のゼラチンを含むゼラチン泡などの架橋多孔質骨格を提供する。
【0074】
これにより、本発明は、フィブリンを追加した前記組成物のいずれかを提供する。
【0075】
本願明細書で定義される場合の「重合体らせん構造」または「重合体鎖」は、本発明の少なくとも幾つかの実施形態にしたがって、以下に示す分類のうちの1つ(限定されない一例として)に属する酵素架橋のための基質重合体である。
【0076】
1)酵素によって自然に架橋可能である、および酵素によってそれ自体自然に架橋可能である基質基を含む重合体。例えば、トランスグルタミナーゼの場合、酵素によって自然に架橋可能なゼラチン、コラーゲン、およびカゼインなどのタンパク質またはポリペプチドを含む。
【0077】
2)酵素によって架橋可能であるが、その構造の結果として酵素によって自然に架橋できない基質基を含む重合体。このような場合は、酵素架橋前に重合体構造を変更する必要がある。例えば、トランスグルタミナーゼの場合、酵素の接近を妨げる球状構造を有するため、酵素用の天然基質ではないアルブミンまたはラクトグロブリンなどのタンパク質を含む。還元剤、変性剤、または熱を用いたタンパク質の部分的に変性させることで、これらを基質にすることができる。
【0078】
3)酵素架橋用の基質ではないが、酵素の基質であるペプチドまたは官能基によって修飾されていて、そのため酵素によって架橋可能な修飾重合体を提供する、天然または合成重合体。上記重合体の限定されない例としては、例えば、上記のようなゼラチンを含む場合がある、あらゆる適切な種類のタンパク質が挙げられる。ゼラチンは、当該技術分野で公知のタンパク質を含むあらゆる種類のゼラチンを含むことができ、動物組織および/または前記動物組織から得られるコラーゲンの部分加水分解によって得られるゼラチン(動物の皮膚、結合組織(靱帯、軟骨などを含むがこれに限定されない)、枝角または角など、および/または骨、および/または魚の鱗および/または骨または他の成分を含むがこれに限定されない)を含むが、これに限定されない;および/または細菌、酵母、動物、昆虫、または植物系、あらゆる種類の細胞培養、またはその組み合わせを用いて生成される組み換え型ゼラチンを含むがこれらに限定されない。
【0079】
本発明の一部の実施形態に従って、動物由来のゼラチンは、哺乳類由来のゼラチンを含んでもよく、例えば、ブタの皮膚、ブタおよびウシの骨、切断されたウシの皮、その他のブタまたはウシ由来原料またはその組み合わせの1つ以上であるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ブタゼラチンは過敏性の比率が低いため、前記ゼラチンはブタゼラチンを含んでもよい。動物由来のゼラチンはタイプA(酸処理)であってもよいが、任意にタイプAまたはタイプB(アルカリ処理)のものであってもよい。
【0080】
一部の実施形態では、動物由来のゼラチンは、一般的に低い温度(50~60℃、この厳密な温度範囲は必ずしも制限ではない)で行われる最初の抽出中に得られるゼラチンを含む。この方法で生成されるゼラチンは、250~300ブルームの範囲に入り、少なくとも約95~100kDaの高い分子量を有する。一部の実施形態では、275~300ブルームのゼラチンが使用される。前記ゼラチンのメーカーの例はPB Gelatins(Tessenderlo Group、ベルギー)であるがこれらに限定されない。
【0081】
本発明の一部の実施形態に従って、動物由来のゼラチンは魚類由来のゼラチンを含んでもよい。一部の実施形態では、どのような種類の魚を使用してもよく、例えば、コイ、タラ、キタカワカマス、マグロなどのさまざまな冷水魚である。一部の実施形態では、魚ゼラチンのpH(10%溶液で測定)はpH4~pH6の範囲に及んでよい。
【0082】
本発明の一部の実施形態では、冷水魚ゼラチンは10℃で水溶液を形成する。一部の実施形態では、冷水魚ゼラチンは0ブルームである。一部の実施形態では、少なくとも約95~115kDaの平均分子量を含む高分子量冷水魚ゼラチンを使用してもよい(この場合、冷水魚ゼラチンは250~300ブルームの動物ゼラチンの分子量に相当する)。一部の実施形態では、プロリンとヒドロキシプロリンの量が減少するため、冷水魚ゼラチンは動物ゼラチンよりも低い温度で熱可逆ゲル化する。前記ゼラチンのメーカーの例はNorland Products(米国ニュージャージー州、クランブリー)であるがこれに限定されない。
【0083】
本発明の一部の実施形態では、ゼラチン基質組成物のゼラチン溶液成分を形成するために低内毒性ゼラチンが使用される。一部の実施形態では、低内毒性ゼラチンはGelita(ドイツ、エバーバック)などのサプライヤーから市販で入手できる。本願明細書で使用される場合、低内毒性ゼラチンは1000内毒性単位(EU)/グラム未満のゼラチンと定義される。一部の実施形態では、500EU/グラム未満の内毒性のゼラチンが使用される。
【0084】
一部の実施形態では、脊柱または脳のいずれかに接触する材料を作成する場合、100EU/グラム未満(例えば、1~100EU/グラム)の内毒性のゼラチンが使用される。一部の実施形態では、50EU/グラム未満のゼラチンが使用される。一部の実施形態では、10EU/グラム未満の内毒性のゼラチンが使用される。
【0085】
本発明の一部の実施形態に従って、加水分解または非加水分解コラーゲンのタイプI、タイプII、または他のタイプは、架橋されているタンパク質物質としてゼラチンに置換される。さまざまな種類のコラーゲンが、熱的に安定なmTG架橋ゲルを形成する能力を有することが証明されている。例えば、出版物『Characterization of a microbial transglutaminase cross-linked type II collagen scaffold』;PMID: 16846344で報告されている通りである。
【0086】
本発明の一部の実施形態に従って、組み換え型ヒトゼラチンが使用される。一部の実施形態では、組み換え型ヒトゼラチンはFibrogen(商標)(米国カルフォルニア州、サンフランシスコ)などのメーカーから市販で入手できる。一部の実施形態では、組み換え型ゼラチンは約90%以上の純度(例えば、90.01~100%)であってもよい。一部の実施形態では、組み換え型ゼラチンは約95%以上の純度(例えば、95.01~100%)であってもよい。一部の実施形態では、組み換え型ゼラチンは10℃でゲル化していなくてもよく、従って、0ブルームであると考えられる。本発明の一部の実施形態では、高分子量組み換え型ゼラチンを使用してもよく、例えば少なくとも約95~100kDaの分子量を含むが、これに限定されない。
【0087】
一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質はゼラチンを含んでもよいが、追加として、または代わりに、別の種類のタンパク質を含んでもよい。本発明の一部の実施形態に従って、前記タンパク質はトランスグルタミナーゼ用基質でもある。一部の実施形態では、トランスグルタミナーゼ用基質は、トランスグルタミナーゼによって物質が架橋される能力を増すトランスグルタミナーゼ特異基質によって修飾されている生体接着剤または重合体を形成する特性を単独で有するコラーゲンまたは他の合成された重合体配列を含んでもよい。組成物はフィブリンも含んでよい。
【0088】
典型的実施形態では、架橋に相応するトランスグルタミナーゼ標的を有する合成ポリペプチドおよび重合体配列は、約20~約40℃の転移点を有する可能性がある。一部の実施形態では、物理特性には組織を結合させる能力と遷移を成形する能力が含まれるが、これらに限定されない。上記ペプチドの例は、米国特許番号第5,428,014号および第5,939,385号で述べられているがこれらに限定されず、ここで示されるように、参照することにより本書に援用され、生体適合性、生体接着剤、トランスグルタミナーゼ架橋可能ポリペプチドについて述べ、ここでトランスグルタミナーゼはタンパク結合グルタミニル残基のγ-カルボキサミド基と、Lys残基の8-アミノ基の間のアシル転移反応を触媒し、8-(γ-グルタミル)リジンイソペプチド結合の形成という結果になる。
【0089】
一部の的実施形態では、本発明の前記化合物は、実質上、多孔質骨格、ゲル、または泡を形成するために暖かいまたは冷たい液体(例えば、4℃~37℃の液体であるが、これに限定されない)で速やかに水和されるように構成された乾燥ゼラチンであり、ここで、前記多孔質骨格、ゲル、または泡は、空洞、体外または体内、体腔、創傷上、臓器上、またはその組み合わせ上に成形され、形成されるようにさらに構成される。一部の実施形態では、非架橋ゼラチンと架橋剤が水和/再溶解された後に非架橋ゼラチンが架橋剤と反応/混合される。この場合、非架橋ゼラチンと架橋剤を混合することで、安定し不溶性非熱可逆性ゲル、泡、または多孔質骨格を形成することになる。
【0090】
本願明細書で使用される場合、溶解度定数に対する粒径の影響は、
【数1】
で数値化することができる。
【0091】
ここで、*KAはモル表面積Aの溶質粒子の溶解度定数であり、*KA→0はモル表面積が0になる傾向がある(すなわち、粒子が大きい場合)溶解度定数であり、γは溶剤中の溶質粒子の表面張力であり、Amは溶質のモル表面積(単位:m2/mol)であり、Rは一般気体定数であり、Tは絶対温度である。
【0092】
薬剤およびタンパク質のミクロンサイズの粒子を調製するための典型的な方法は、事前に形成された大きな粒子の機械的粉砕(例えば、圧搾、磨りつぶし、およびミル処理による)である。本発明の一部の実施形態では、前記ミル処理は乳鉢で行われ、他の好適な実施形態では、ジェットミル処理装置で行われる。
図1は、ジェットミル処理による微粒子化後の粒度分布を示す。
【0093】
一部の実施形態では、本発明の前記方法には、非架橋タンパク質(例えば、ゼラチンであるが、これに限定されない)の速溶性乾燥タンパク質の調製が含まれる。一部の実施形態では、前記ゼラチンは2~250ミクロンの粒径を実現するために、ジェットミル処理で調製される。一部の実施形態では、前記粒径が5~130ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~80ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~70ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~60ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~50ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~40ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~30ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~20ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が2~10ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が20~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が30~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が40~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が50~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が60~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が70~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が80~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が90~100ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が5~50ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~20ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が10~15ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が15~20ミクロンである。一部の実施形態では、前記粒径が12~18ミクロンである。
【0094】
一部の実施形態では、本発明の前記方法にはジェットミル処理を含み、ここで前記ジェットミル処理によって、液体中で速やかに溶けるように(例えば、0.01秒から60秒で溶けることであるが、これに限定されない)各ゼラチン粒子(結晶)の表面を調製することになる(すなわち、結果として得られるジェットミル処理された粒子は驚くべきことに、ジェットミル処理されていない出発物質と比較して高い吸湿特性を示す)。一部の実施形態では、熱的に安定していて組織との付着性があるハイドロゲルまたは泡を形成することになるように、ジェットミル処理された粒子を架橋剤に混合してもよい。一部の実施形態では、前記多孔質骨格、ゲル/泡を体腔内、および/またはヒトまたは動物の組織層間に配置してもよい。一部の実施形態では、さまざまな医学的応用にために本発明を利用することができる。一部の実施形態では、インテグリン付着部位の曝露および接近可能性の向上を示す細胞骨格として本発明を利用してもよい。
【0095】
一部の実施形態では、架橋プロファイルを増やすことになるように、ゼラチンは小さな粒径へのミル処理によって調製され、ここで、前記調製されたゼラチンは2~200ミクロンのミクロンサイズの断面積を有することを特徴とする。一部の実施形態では、架橋プロファイルを増やすことになるように、ゼラチンは小さな粒径へのミル処理によって調製され、ここで、前記調製されたゼラチンは2~100ミクロンのミクロンサイズの断面積を有することを特徴とする。一部の実施形態では、架橋プロファイルを増やすことになるように、ゼラチンは小さな粒径へのミル処理によって調製され、ここで、前記調製されたゼラチンは2~50ミクロンのミクロンサイズの断面積を有することを特徴とする。一部の実施形態では、架橋プロファイルを増やすことになるように、ゼラチンは小さな粒径へのミル処理によって調製され、ここで、前記調製されたゼラチンは50~150ミクロンの微小な断面積を有することを特徴とする。一部の実施形態では、架橋プロファイルを増やすことになるように、ゼラチンは小さな粒径へのミル処理によって調製され、ここで、前記調製されたゼラチンは100~150ミクロンのミクロンサイズの断面積を有することを特徴とする。一部の実施形態では、架橋プロファイルを増やすことになるように、ゼラチンはジェットミル処理によって調製される。ここで、前記調製されたゼラチンはミクロンサイズの断面積を有することを特徴とする。一部の実施形態では、乾燥粉末ゼラチン(すなわち、「高ブルームゼラチン」)を生成するために前記事前に架橋されたゼラチンを(1)凍結乾燥し、その後(2)ミル処理してもよく、ここで、前記乾燥粉末ゼラチンは、溶液を作製するために、例えば、5℃~37℃であるが、これに限定されない温度で、120秒以下(すなわち、0.01秒~120秒)の時間で、溶液に溶かしてもよい。
【0096】
一部の実施形態では、前記ミル処理装置および方法は米国特許第5,855,326号で開示されている通りであり、その全体が引用により援用される。別の実施形態では、前記ミル処理装置は米国特許第6,789,756号で開示されている通りであり、その全体が引用により援用される。上記ミル処理装置の一例として、イスラエルのヨクネアムに所在するSuperFine Ltd.によって製造される、SuperFine VortexMill(商標)である(
図9に図示)。その全体が引用により援用されるBeliayskyの米国特許第5,855,326号では、粒子状固体物質の微細粉砕のための旋回ミルチャンバーが開示されている。ここで、前記チャンバーは、2つの端面と側壁を有し、概ね円筒形状を有する筐体内に形成されており、チャンバー内に作動流体を注入し、その中で渦巻きを発生させるための1つ以上の接線ノズルを備え、前記チャンバーは、粉砕される粒子状固体物質の中に導入する手段と、前記端面の一方または両方に設けられた補助廃棄排出路と、相互作用するように適合され、前記渦巻きが発生する時に、前記チャンバーの内壁の近傍に層が移動し、それによって粉砕の制御を可能にする、1つ以上の機械的要素の形態の制御手段とを含む。旋回チャンバーの操作は、砂を用いた特許で例示されている。その全体が引用によりこれも援用されるBeliayskyの米国特許第6,789,756号では、実質的に粒子状固体物質をミル処理するための改良渦巻きミルを開示し、このミルは1つ以上の作業チャンバーを含む。前記ミル処理装置は、1つ以上の作動流体入端と1つ以上の排出端も含む。1つ以上の排出端と共に1つ以上の作動流体は、1つ以上の作業チャンバー内の渦巻きの流れを促進する。固形物質のミル処理を行うための1つ以上の供給端もあり、この固形物質は1つ以上の排出端から排出される。さらに、1つ以上の作業チャンバー内の作動中の流体の流れの中に制御摂動を導入し、それによって、渦巻きの流れの中での固形物質のミル処理を向上させる装置がある。
【0097】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、ゼラチン粒子の表面吸湿性を高めるためにプラズマビームエネルギーの使用を含んでもよい。ここで、前記プラズマビームエネルギーによって処理された結果として得られる微細化されたゼラチンは、非プラズマビーム処理ゼラチンと実質的に同じ特性/性質を有する。一部の実施形態では、例えば、微生物トランスグルタミナーゼ、骨増生物質、最終製品に混合させられる予定のタンパク質および共重合体、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない、前記ゼラチンと混合させるための追加物質/化合物をプラズマビームエネルギーで処理してもよい。
【0098】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、吸湿性粒子状ゼラチンとして特徴付けてもよく、0.01~120秒の時間、液体と混合した場合、流動性を有するゲルまたは泡に溶けるように構成される。一部の実施形態では、混合前に診療場所で医療提供者(例えば、看護師、医師、医師の助手など)によってシリンジ内に装填される製品製剤(すなわち、キット)の一部として液体を提供してもよい。一部の実施形態では、単独、または架橋剤と共に混合される前記乾燥ゼラチン、または手術用メッシュと共にゼラチンと架橋剤の両方を体に直接塗布してもよく、湿潤組織と接触した時に液体(すなわち、生理食塩水)を塗布することによって、あるいは体液(すなわち、体内から生じる液体)によって活性化してもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は4~40℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は4~20℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は4~15℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は10~25℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は25~37℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は15~25℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は20~25℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は10~20℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は12~18℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は14~19℃(手術室の温度範囲である)の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、前記ミル処理ゼラチン粉末は約16℃の温度で水和させてもよい。一部の実施形態では、本発明の前記溶解ゼラチンは、37℃より低い温度でも流動性を有する形態を維持する(すなわち、前記溶解ゼラチンが、無効な固体に戻る液体-ゲル転移点を直ちに超えることがない)ように構成される。
【0099】
一部の実施形態では、本発明の前記溶解ゼラチンを、長い針、カテーテル、または内視鏡を通じて送達してもよい。一部の実施形態では、泡を作った本発明の前記溶解ゼラチンは、同じ組成物の密集したゼラチンハイドロゲルよりも低い粘度を有する。
【0100】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いたゼラチンの調製/滅菌を含み、前記結果として得られる放射線を受けたゼラチンは放射線を受けていない開始ゼラチンと比較して、実質的に類似の機能特性(例えば、架橋能力)を有する。
【0101】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いたゼラチンの調製/滅菌を含み、前記結果として得られる放射線を受けたゼラチンは、放射線を受けていない開始ゼラチンと比較して少なくとも25%の機能特性(例えば、架橋能力)を有する。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いたゼラチンの調製/滅菌を含み、前記結果として得られる放射線を受けたゼラチンは、放射線を受けていない開始ゼラチンと比較して25~100%の機能特性(例えば、架橋能力)を有する。
【0102】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、例えば安定剤(例えば、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド)、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、西洋ワサビペルオキシダーゼ、および/またはトランスグルタミナーゼを含むが、これらに限定されない)であるが、これに限定されない追加有効成分にゼラチン粉末を混合することを含み、前記混合ゼラチンおよび安定剤は、安定多孔質骨格、ゲル、または泡を形成し、前記多孔質骨格、ゲル、または泡の形状は非可逆的である(すなわち、ゼラチン分子間の共有結合架橋による)。一部の実施形態では、前記ゼラチン多孔質骨格、ゲル、または泡の架橋(すなわち、安定化)がヒトまたは動物の体外または体内で起こり得る。
【0103】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、タンパク質および/またはポリペプチドなどの重合体の乾燥を含み、前記タンパク質および/またはポリペプチドは、冷たいまたは室温の液体(例えば、5℃~37℃の液体であるが、これに限定されない)である環境を含み、典型的な微粉ゼラチンと比較して概ね速い(例えば、0.01秒~60秒間での再溶解であるが、これに限定されない)液体への再溶解プロファイル乾燥重合体となるように、コラーゲン、ゼラチン、および/またはゼラチン変異型である。一部の限定されない典型的実施形態では、ゼラチン粉末は(1)概ね長期保存期間(例えば、1ヶ月~36ヶ月)および(2)概ね速い再溶解/溶解性を有すると特徴付けてもよい。一部の実施形態では、前記乾燥重合体は滅菌され、前記無菌乾燥重合体は実質的に類似する非無菌乾燥重合体と比較して、実質的に類似する生物学的機能および溶解/再溶解特性を示す。一部の実施形態では、前記乾燥重合体は滅菌され、前記無菌乾燥重合体は、実質的に類似する非無菌乾燥重合体と比較して、少なくとも25%の生物学的機能および溶解/再溶解特性を示す。一部の実施形態では、前記乾燥重合体は滅菌され、前記無菌乾燥重合体は、実質的に類似する非無菌乾燥重合体と比較して、50%~100%の生物学的機能および溶解/再溶解特性を示す。
架橋剤
【0104】
典型的実施形態では、重合体らせん構造上に基質基を直接架橋する直接架橋の例には、トランスグルタミナーゼおよび酸化酵素を含むがこれらに限定されない。トランスグルタミナーゼの例には、微生物トランスグルタミナーゼ(mTG)、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)、ケラチノサイトトランスグルタミナーゼ、表皮トランスグルタミナーゼ、前立腺トランスグルタミナーゼ、神経トランスグルタミナーゼ、ヒトトランスグルタミナーゼ、および第13因子が含まれる。一部の実施形態では、これらの酵素は天然由来または組み換え型由来であってもよい。一部の実施形態では、重合体螺旋構造中のグルタミンおよびリジンアミノ酸はトランスグルタミナーゼ架橋用の基質である。
【0105】
典型的実施形態では、酸化酵素の例としてはチロシナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記酸化酵素はキノン形成(チロシナーゼ)または遊離基形成(ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ)によって重合体を架橋する。その後、前記キノンおよび前記遊離基はお互いに作用する、あるいは他のアミノ酸またはフェノール酸と作用して、重合体を架橋する。一部の実施形態では、酸化酵素用の架橋可能基質は、チロシンまたは他の芳香族アミノ酸を含むタンパク質であってもよい。一部の実施形態では、前記基質は、例えばフェルラ酸であるがこれに限定されないフェノール酸を含む炭水化物であってもよい。一部の実施形態では、前記炭水化物はアラビノキシランまたはペクチンであってもよいが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の前記方法の一部の実施形態に従って、トランスグルタミナーゼ溶液は、1)トランスグルタミナーゼ混合物からの醗酵残留物の除去;2)トランスグルタミナーゼ溶液中の活性トランスグルタミナーゼの量の濃縮;3)担体タンパク質および/または炭水化物からのトランスグルタミナーゼ溶液の精製;4)トランスグルタミナーゼ溶液の内毒性レベルの引き下げ;5)溶液を効果的に滅菌しながら、トランスグルタミナーゼ溶液からのすべての微生物の除去;の1つ以上を行うために、1段階または複数段階の精製を受けるが、いずれも閉ざされたリストまたはそれらの組み合わせに限定することはない。
【0107】
一部の実施形態では、前記架橋材料の溶液は架橋剤タンパク質またはポリペプチドと混合する前に濾過される。一部の実施形態では、濾過工程では分級とも呼ばれる粗濾過を最初に使用し、より細かい濾過段階を急速に塞ぐことになる醗酵残留物の大きな塊を除去する。上記粗濾過の例は、孔径約0.45μmの濾過および孔径約0.65μmの濾過であるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、例えば、10未満のコロニー形成単位(CFU)/グラムに物質の汚染微生物数を削減し、医学的使用に適したものにするため、前記架橋材料の溶液を0.22μm未満の孔径のフィルターに通してもよい。一部の実施形態では、前記汚染微生物数は、約10-2未満の無菌性保証水準(SAL)を達成するために削減される。一部の実施形態では、前記汚染微生物数は、約10-3未満の無菌性保証水準(SAL)を達成するために削減され、ここで、SALとは、滅菌工程を受けた後、非無菌状態の1単位の可能性を述べるために微生物学で使用される用語である。
【0108】
本発明の前記方法の別の実施形態に従って、担体炭水化物およびタンパク質の除去によって架橋材料の溶液を精製するために、そして溶液を濃縮するために、接線流および/または中空糸限外濾過法が使用される。本発明で使用するための孔径は、架橋組成物の成分の大きさより小さな孔径のものである。一部の実施形態では、前記架橋材料はmTGであり、孔径は10~50kDAの範囲内である。一部の実施形態では、前記架橋材料はmTGであり、孔径は10~30kDAの範囲内である。一部の実施形態では、上記の市販品の例はUniflux(GE)、AKTA Pilot(GE)、またはAKTA Flux6(GE)であるが、これらに限定されない。
【0109】
一部の実施形態では、周辺物質から前記架橋材料を選択的に分離するために、1つ以上のサイズ排除クロマトグラフィー段階が使用される(例えば、フェニルセファロースFFカラム(2.6x10cm、PharmaciaBiotech)またはセファクリルカラム(GE))。一部の実施形態では、周辺物質から前記架橋材料を選択的に分離するために、1つ以上の疎水性および/または親水性相互作用クロマトグラフィー段階が使用される。一部の実施形態では、前記架橋材料はタンパク質であり、周辺の材料から前記架橋タンパク質を精製しながら結合するために1つ以上のイオン交換クロマトグラフィー段階が使用される。
【0110】
一部の実施形態では、前記架橋タンパク質はmTGであり、前記mTGを精製するために1つ以上の陽イオン交換クロマトグラフィー段階が使用される。一部の実施形態では、前記陽イオン交換樹脂はセファロース樹脂である。
【0111】
一部の実施形態では、精製によって前記架橋材料の内毒性レベルを5内毒性単位(EU)/グラム未満に減少させる。一部の実施形態では、精製によって前記架橋材料の内毒性レベルを0.001~5内毒性単位(EU)/グラム減少させる。
【0112】
一部の実施形態では、前記架橋剤はmTGであり、精製によってmTG組成物になり、ここで、比活性度は20酵素単位/ミリグラム以上、25単位/ミリグラム未満である。一部の実施形態では、前記架橋剤はmTGであり、精製によってmTG組成物になり、ここで、比活性度は10酵素単位/ミリグラム~35単位/ミリグラムである。一部の実施形態では、前記架橋材料はmTGであり、精製によって95%~99.9%の電気泳動純度になる。
【0113】
一部の実施形態では、一例として、mTG精製工程は、比活性度が24酵素単位/ミリグラム以上で、95%以上の電気泳動純度で、5内毒性単位/グラム未満で、10CFU/g未満のmTG組成物を精製するように食品等級mTG製品を精製することと本願明細書に記載されているが、これらに限定されない。一例として、mTG精製工程は、比活性度が25~35酵素単位/ミリグラム以上で、95~99.9%の電気泳動純度で、0.001~5内毒性単位/グラムで、0.001~10CFU/g未満、またはそれらの組み合わせのmTG組成物を精製するように食品等級mTG製品を精製することと本願明細書に記載されているが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記仕様の前記精製酵素はその後、炭水化物または安定剤を追加するか、あるいは追加せずに凍結乾燥され、次にガンマ線または電子線放射による最終滅菌を受ける。一部の実施形態では、前記最終滅菌後の前記比活性度は、5~30酵素単位/ミリグラムである。一部の実施形態では、前記最終滅菌後の前記比活性度は、20~30酵素単位/ミリグラムである。一部の実施形態では、前記最終滅菌後の前記比活性度は、20~25酵素単位/ミリグラムである。
【0114】
一部の実施形態では、一例として、mTG精製工程は出版物『Purification and Characterization of Novel Transglutaminase from Bacillus subtilis Spores』; PMID: 11193401で述べられているが、これに限定されない。
【0115】
一部の実施形態では、前記nTGを乾燥または凍結乾燥させ、その後、本願明細書で述べられた方法と同様の方法にて(いずれかの種類の)ミル処理によって5~50ミクロンの吸湿性粒子に粒子状化させてもよい。一部の実施形態では、精製後、前記mTGを安定化親水コロイドとしてのセルロースエーテル(HPMC)と、あるいはトレハロースと混合してもよい。
【0116】
一部の実施形態では、前記トランスグルタミナーゼをマルトデキストリンと混合してもよい。一部の実施形態では、前記マルトデキストリンは安定剤である。
【0117】
一部の実施形態では、mTGおよび安定化賦形剤を含む微粒子を添加すること、そして付加物質、例えば、放射中の安定化を支援できる安定化剤(例えば、セルロース、糖類、マルトデキストリン、カロテノイド類、アスコルビン酸塩であるが、これらに限定されない)をさらに含むことで、濃縮および/または精製酵素を安定化させてもよい。一部の実施形態では、安定化賦形剤はポリオール、マンニトール、サッカロース、グリセロール、ラクトース、グリシン、またはトレハロースである。
【0118】
一部の実施形態では、前記修飾トランスグルタミナーゼは修飾微生物トランスグルタミナーゼを含む。一部の実施形態では、修飾組み換え型トランスグルタミナーゼによる架橋ができるように、前記重合体は修飾される。一部の実施形態では、前記修飾酸化酵素はチロシナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上から成る。一部の実施形態では、前記基質は、修飾酸化酵素によって架橋されるフェノール酸を含む炭水化物を少なくとも1つの基質重合体としてさらに含む。一部の実施形態では、前記炭水化物は1つ以上のアラビノキシランまたはペクチンから成る。一部の実施形態では、前記酵素分子はPEG化を通じて修飾される。ここで、前記PEG化は、基質を受ける宿主動物の免疫系から酵素分子をマスキングすることで免疫原性マスキングを行う。一部の実施形態では、前記宿主動物はヒトである。
本発明の一部の実施形態に従った組成物
【0119】
一実施形態では、本発明は組成物を提供し、
前記組成物は多孔質骨格であり、
前記骨格の細孔は2~500ミクロンであり、前記組成物は、
a)コラーゲンおよびゼラチンからなる群から選択される架橋可能タンパク質、
b)前記架橋可能タンパク質の架橋を誘導する架橋剤、および
c)液体
を含む。
【0120】
本願明細書で使用される場合の用語「骨格」は、医療目的の新たな機能組織の形成に寄与する細胞間相互作用を生じるように設計された材料である。細胞を、三次元組織形成を支援できるこれらの構造に「種付け」してもよい。骨格は、生体内環境を反復し、細胞が自身の微小環境に影響を与えることができるようにしながら、天然組織の天然細胞外基質を模倣してもよい。
骨格は、
1)細胞接着および移動を可能にする;
2)細胞および生化学的要因を送達および保持する;
3)必要不可欠な細胞栄養素および発現生成物の拡散を可能にする;または
4)細胞段階の挙動に特定の機械的および生物学的影響を働かせる
という目的のうちの少なくとも1つのために役割を果たすことができる。
【0121】
一部の実施形態では、前記液体は生理学的緩衝液である。
【0122】
一部の実施形態では、前記組成物は泡である。
【0123】
一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質は5~200ミクロンの平均粒径を有する微粉化タンパク質粉末として前記組成物に導入される。
【0124】
一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質は200~300ブルームのゼラチンを含む。
【0125】
一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質は0.5重量部~25重量部の範囲で前記組成物中に存在する。
【0126】
一部の実施形態では、前記架橋剤はトランスグルタミナーゼである。
【0127】
一部の実施形態では、前記トランスグルタミナーゼは0.0001重量部~2重量部の範囲で前記組成物中に存在する。
【0128】
一部の実施形態では、本発明は、
a)架橋可能ゼラチン、
b)前記架橋可能ゼラチンの架橋を誘導するトランスグルタミナーゼ、および
c)液体、
ここで、前記組成物は2~500ミクロンの粒径を有する多孔質骨格であり、
前記架橋可能ゼラチンは5~200ミクロンの粒径を有する微粉化ゼラチン粉末として前記組成物に導入され、
前記架橋可能ゼラチンは200~300ブルームであり、
前記架橋可能ゼラチンは0.5重量部~25重量部の範囲で前記組成物中に存在し、
前記トランスグルタミナーゼは0.0001重量部~2重量部の範囲で前記組成物中に存在することから成る組成物を提供する。
【0129】
一部の実施形態では、前記液体は生理学的緩衝液である。
【0130】
一部の実施形態では、前記組成物は、患者が組織欠損の治療を必要としている部位において、患者の生体内位で形成される。
【0131】
一部の実施形態では、前記組成物は、患者が組織欠損の治療を必要としている部位において、患者に組成物を導入する前に形成される。
【0132】
一部の実施形態では、前記乾燥架橋剤はトランスグルタミナーゼ酵素である。一部の実施形態では、前記乾燥タンパク質組成物はゼラチンである。一部の実施形態では、前記乾燥粒子状タンパク質は安定剤を必要としない。一部の実施形態では、前記粉末組成物は流動性を有する液体に5分以内で溶解する。一部の実施形態では、前記粉末組成物は流動性を有する液体に5分以内で溶解する。一部の実施形態では、前記粉末組成物は流動性を有する液体に37℃未満の温度にて5分以内で溶解する。一部の実施形態では、前記粉末組成物は流動性を有する液体に27℃未満の温度にて1分以内で溶解する。一部の実施形態では、前記粉末組成物は流動性を有する液体に、手術室の標準温度である20℃未満の温度にて1分以内で溶解する。一部の実施形態では、前記ゼラチン組成物は1つの区画内に架橋剤粉末と共に保存される。一部の実施形態では、前記ゼラチン粉末および架橋剤は、1グラムのゼラチンに対して最高10mlの割合で液体に混合される。一部の実施形態では、前記ゼラチン粉末および架橋剤は、1グラムのゼラチンに対して最高8mlの割合で液体に混合される。一部の実施形態では、前記ゼラチン粉末および架橋剤は、1グラムのゼラチンに対して最高6mlの割合で液体に混合される。一部の実施形態では、前記ゼラチン粉末および架橋剤は、1グラムのゼラチンに対して最高4mlの割合で液体に混合される。一部の実施形態では、前記ゼラチン粉末および架橋剤は、1グラムのゼラチンに対して最大2mlの割合で液体に混合される。一部の実施形態では、粉末の混合物は、機械的裏打ちを提供するために、吸収性または非吸収性パッド内に圧縮される。一部の実施形態では、前記パッドは不織酸化セルロースである。一部の実施形態では、前記圧縮は分解性または非分解性の手術用メッシュに行われる。一部の実施形態では、ゼラチン組成物の濃度は0.5%~25%重量比の範囲内である。一部の実施形態では、ゼラチン組成物の濃度は10%~20%の範囲内である。一部の実施形態では、前記乾燥ゼラチン粉末が約15%未満の水分を含む。一部の実施形態では、前記乾燥ゼラチン粉末が約8%未満の水分を含む。一部の実施形態では、前記組成物は約6~約7の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、前記乾燥架橋剤粉末が約15%未満の水分を含む。一部の実施形態では、前記乾燥架橋剤粉末が約8%未満の水分を含む。一部の実施形態では、前記トランスグルタミナーゼはカルシウムを含まない。
【0133】
一部の実施形態では、前記トランスグルタミナーゼは微生物トランスグルタミナーゼである。一部の実施形態では、トランスグルタミナーゼのタンパク質濃度は前記組成物の約0.0001%~約2%の重量比量で存在する。一部の実施形態では、前記トランスグルタミナーゼは前記組成物の約0.01%~約1.35%の重量比量で存在する。一部の実施形態では、トランスグルタミナーゼの濃度は前記組成物全体の約1~約180酵素単位(U/ml)の範囲である。
【0134】
一部の実施形態では、前記酵素および前記ゼラチンが溶液である場合、ゼラチン組成物に対する酵素組成物の割合は約1:1~1:5体積比である。一部の実施形態では、前記酵素および前記ゼラチンが固形乾燥泡である場合、ゼラチン組成物に対する酵素組成物の割合は約1:100~1:500重量比である。
【0135】
一部の実施形態では、前記ゼラチンは動物原料、組み換え型原料、またはそれらの組み合わせから生成される。一部の実施形態では、前記動物原料は、魚類および哺乳類からなる群から選択される。一部の実施形態では、前記ゼラチンはタイプA(酸処理)またはタイプB(アルカリ処理)のものである。一部の実施形態では、前記ゼラチンは少なくとも約250ブルームまたはその同等の高分子量ゼラチンを含む。一部の実施形態では、前記組成物は界面活性剤をさらに含む。一部の実施形態では、前記界面活性剤は、ポリソルベート20(Tween(商標)20)、ポリオキシエチレングリコール-ドデシルエーテル(Brij(商標)35)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体(Pluronic(商標)F-68)、ウラリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウレル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸エーテルナトリウム(SLES)、ポロキサマーまたはポロキサミン、脂肪酸塩、コカミドジエタノールアミン、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される。一部の実施形態では、前記組成物は可塑剤をさらに含む。一部の実施形態では、前記可塑剤は、ソルビトール、クエン酸アルキルエステル、グリセロール、グリセロールエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、グリコール、プロピレングリコール、ラウリン酸、サッカロース、グリセリルトリアセテート、フタル酸ジエチル、食用油脂のモノ-およびジ-グリセリド、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール(PEG)200~20,000、Carbowaxポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、アラビアゴム、グアーゴム、Plasdone(登録商標)(ポリビニルピロリドン)、マナニトール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0136】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、ミル処理された凍結乾燥ゼラチン組成物および乾燥トランスグルタミナーゼ組成物から成る架橋可能組成物であり、ここで、前記乾燥トランスグルタミナーゼ組成物は ミル処理された凍結乾燥ゼラチン組成物の随所に完全に分散される。
【0137】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、ゼラチンおよび架橋剤を含む架橋可能組成物であり、ここで、前記架橋剤は、生分解性安定化多孔質骨格を形成するように混合されると、ゼラチンと反応する。一部の実施形態では、前記多孔質骨格は組織上で少なくとも2週間、柔軟性を維持する。一部の実施形態では、前記トランスグルタミナーゼは修飾酵素分子であり、基質は重合体の架橋を通じて形成されているため、前記装飾酵素分子は架橋基質中の酵素分子の感知容積を変化させる修飾を有する。一部の実施形態では、前記ゼラチンは1200I.U./g未満の内毒性含有量を示す。一部の実施形態では、前記ゼラチンは10bar未満の圧力降下を用いることでジェットミル処理される。一部の実施形態では、前記ゼラチンのジェットミル処理は5bar未満の圧力降下を用いて行われる。一部の実施形態では、前記ゼラチンのジェットミル処理は5m3/分未満の必要空気流量を用いて行われる。一部の実施形態では、前記ゼラチンのジェットミル処理は2m3/分未満の必要空気流量を用いて行われる。一部の実施形態では、前記組成物はバリウム、ヨウ素、その他のX線不透過物質、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0138】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いたゼラチンおよび架橋剤組成物の調製/滅菌を含み、前記結果として得られる放射線を受けた組成物は、放射線を受けていない開始組成物と比較して少なくとも25%の機能特性(例えば、架橋能力、酵素比活性度)を有する。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いたゼラチン-架橋剤の調製/滅菌を含み、前記結果として得られる放射線を受けたゼラチンは、放射線を受けていない開始組成物と比較して25~100%の機能特性(例えば、架橋能力)を有する。
【0139】
一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いたゼラチンおよび架橋剤組成物の調製/滅菌を含み、前記結果として得られる処理組成物は、非処理、非滅菌開始ゼラチンと比較して少なくとも25%の機能特性(例えば、架橋能力)を有する。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、放射線エネルギーを用いた組成物の調製/滅菌を含み、前記結果として得られる処理組成物は、非処理、非無菌開始組成物と比較して25~100%の機能特性(例えば、架橋能力)を有する。
【0140】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、細胞用骨格、組織再構築薬剤、増量剤、真皮充填剤、骨接着剤、組織充填剤、肺容量を減らす組成物、手術用封止剤、生体接着剤、瘻修復組成物、止血剤、手術用メッシュ、生物活性剤の徐放用組成物から成る群から選択される少なくとも1つの目的のために使用される。
【0141】
一部の実施形態では、少なくとも1つの細胞型が前記組成物中に浸潤し、成長する。
【0142】
一部の実施形態では、前記少なくとも1種類の細胞は、膵臓幹細胞、腸内分泌細胞、骨細胞、肝細胞、腱細胞、筋細胞、血液細胞、軟骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、自家骨髄由来間葉系幹細胞、前駆細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、骨系幹細胞、軟骨細胞系幹細胞、上皮幹細胞、および肝幹細胞から成る群からの細胞型である。
【0143】
一部の実施形態では、前記組成物は患者の免疫系から浸潤した少なくとも1つ細胞型を分離する。
【0144】
一部の実施形態では、前記組成物は泡である。特定の理論に制限する意図はなく、一度架橋された(例えば、mTGによって)多孔質骨格は体内で安定した状態を維持し、組織の成長および再生を誘導してもよい。あるいは、前記多孔質骨格は細胞用の三次元支持骨格としての機能を果たしてもよい。架橋多孔質骨格は細胞接着および運動性を向上させた。
【0145】
一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質は架橋剤と混合される。一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質および架橋剤は乾燥粉末であり、前記乾燥粉末は混合され、その後、生理学的液体、緩衝液、または細胞支持媒体によって溶解される。一部の実施形態では、前記架橋剤は、架橋可能タンパク質および架橋剤の両方が生理学的緩衝液中に溶解している時に前記タンパク質のみを架橋する。
【0146】
一部の実施形態では、本発明の前記医療用材料は、上記成分に加えて、細胞の培養に必要な成分、塩(緩衝液成分)を典型的に含む。また、移植した時に移植装置に再生促進剤(成長因子)組織をさらに含む。使用可能な成長因子は、例えば、線維芽細胞成長因子(FGF:酸性線維芽成長因子(aFGF)、塩基性成長因子(bFGF)など、ケラチノサイト成長因子(KGF))、上皮細胞成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、形質転換成長因子(TGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、幹細胞成長因子(HGF)、骨形成タンパク質(BMP:BMP-2、BMP-3、BMP-7など)である。再生目的のための組織の種類に応じて適切に選択することで、これらの成長因子を使用してもよい。特に、例えば、上皮細胞の再生目的の場合および真皮の再生目的の場合の上皮成長因子については、線維芽細胞成長因子のそれぞれを使用できる。特に、例えば、骨細胞の再生目的の場合および真皮の再生目的の場合の骨形成タンパク質については、線維芽細胞成長因子のそれぞれを使用できる。検討することが好ましい場合、2種類以上の成長因子と組み合わせて使用することができる。
【0147】
一部の実施形態では、乾燥粉末をシリンジまたは容器に包装してもよい。一部の実施形態では、乾燥粉末を放射線またはエチレンオキサイド(ETO)で滅菌してもよい。
【0148】
一部の実施形態では、前記架橋可能タンパク質は混合され、前記架橋剤は、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド)、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、西洋ワサビペルオキシダーゼ、成長因子、治療薬、およびホルモンから成る群から選択される少なくとも1つのその他の薬剤と組み合わせられる。
【0149】
一部の実施形態では、前記乾燥粉末は、乾燥粉末として混合された場合に侵出および/相互作用を減少させた。
図3に示した通り、一部の実施形態では、前記乾燥粉末は生理学的緩衝液に個別に溶解され、溶解された成分を1つの相互接続したシリンジから別のシリンジに押し出すことで混合される。しかし、撹拌といったどのような混合方法でも十分な場合がある。別の方法として、前記乾燥を共に混合し、その後、活性化のために前記混合物は生理学的緩衝液に溶解される。
【0150】
一部の実施形態では、前記タンパク質の前記架橋によって前記多孔質骨格となる。一部の実施形態では、前記多孔質骨格は熱的に安定している。一部の実施形態では、前記多孔質骨格には接着性がある。特定の理論に限定する意図はなく、タンパク質分子間の架橋を形成する共有結合のために、前記架橋は不可逆的である。一部の実施形態では、前記多孔質骨格は哺乳類組織の細胞外基質と構造的に類似しており、穏和な条件下で処理できることが多く、低侵襲的方法で送達され得る。
【0151】
前記架橋は患者の体外で生じても、体内で生じてもよい。そのため、一部の実施形態では、前記架橋は患者の体内の部位のその場で生じる。代わりに、前記多孔質骨格は体外で形成され、その後、患者に導入される。
【0152】
一部の実施形態では、本発明の前記ハイドロゲルはまだ硬化していない間、組織に液体形態で送達されると針を通過でき、前記接着剤は安定して統合された物理的構造状態に安定する(すなわち、少なくとも容量が0.05mlの統一単粒子)。
【0153】
実施例14の結果は、粒径をd(0.5)=15ミクロン未満に低減することで、前記ゼラチンはよく溶解するが、微生物トランスグルタミナーゼ酵素との反応が遅延するようになる。本発明の一部の実施形態では、水和後にすぐに安定しない速溶性粉末を提供する必要がある。それは長い針の中を通過し、医師のための十分に長い作業時間を見込む必要がある。一部の実施形態では、ゼラチンの粒径を1~15ミクロンに制御することで上記処方設計を達成してもよい。一部の実施形態では、ゼラチンの粒径を8~14ミクロンに制御することで上記処方設計を達成してもよい。
【0154】
一部の実施形態では、前記組成物は、(1)その場で、または体外で安定化させ、そして(2)必要な形状または体腔に一致し、生体適合性封止剤または骨格を形成するように構成され、細胞および組織の内方成長を可能にさせるように構成された多孔質骨格から成る。
【0155】
一部の実施形態では、前記安定化された多孔質骨格構造は組織伝導性であり、組織再構築剤、増量剤、組織充填剤、または組織印刷(3D組織印刷など)の医療用途に使用してもよい。前記ゼラチンの前記粉砕および/または架橋多孔質骨格への再溶解(特にトランスグルタミナーゼによって)によって、細胞接着および運動性を大幅に向上させた。ゼラチン多孔質骨格上のインテグリン認識モチーフ(RGDなど)の不均等かつ十分な表示および上記モチーフへの細胞の接近可能性によって、骨格として機能するように強化される。
【0156】
組織印刷の実施形態では、粉末化または再溶解された接着剤によってお互いに付着する細胞の精密な二次元または三次元構造を作製するために、生細胞と併せて印刷を通じて前記乾燥粉末を塗布することができる。例えば、上記三次元構造は、血管を形成するための幾つかの内皮細胞を含んでもよく、骨格が移植されれば、内部細胞への血液供給を行う意図でこれを骨格中に印刷してもよい。
【0157】
一部の実施形態では、前記多孔質骨格には密度があり、前記密度は前記多孔質骨格の劣化および/または細胞内植の動力学に直接関係する。一部の実施形態では、追加生物活性物質が細胞内植の動力学に例えば10%~300%の増加であるが、これに限定されなく影響を与えてもよい(すなわち、細胞内方成長動力を増加させる)。一部の実施形態では、前記懸濁生物活性物質、細胞、多血小板血漿(PRP)、成長因子、および/または骨形成タンパク質は体の標的部位に概ね留まる(例えば、患者が不当に長期間、治療された体の部位を固定したままにされない、あるいは通常診療されるように複数の因子に対して注入される回数を増やさないことであるが、これらに限定されない)。
【0158】
一部の実施形態では、前記泡は元来0.1~11kPaの弾性率(ヤング率)を有する閉細胞泡であり、タンパク質、架橋剤、および/または生理学的緩衝液の濃度を変更することで、および/または本願明細書で使用される前記ゼラチンのブルームを変更することで、前記弾性率を変化させてもよい。
【0159】
一部の実施形態では、前記タンパク質泡は1~11kPaの初期弾性率(ヤング率)を有する。一部の実施形態では、前記タンパク質泡は2~10kPaの初期弾性率(ヤング率)を有する。一部の実施形態では、前記安定化された泡の初期(すなわち、架橋後約30分)伸長は元の開始長さの1.5~3倍である。
【0160】
前記タンパク質としてゼラチンを、架橋剤としてmTGを含む泡の機械的測定値を示す実施形態を実施例16の表に示す。
【0161】
一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径2~500ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径2~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径2~300ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径2~200ミクロンである。
【0162】
一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径2~50ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径2~10ミクロンである。
【0163】
一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径10~500ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径50~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径100~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径200~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記多孔質骨格の前記孔径は、直径300~400ミクロンである。
【0164】
図8に示した通り、一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径2~500ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径2~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径2~300ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径2~200ミクロンである。
【0165】
一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径2~50ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径2~10ミクロンである。
【0166】
一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径10~500ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径50~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径100~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径200~400ミクロンである。一部の実施形態では、前記泡の前記孔径は、直径300~400ミクロンである。
【0167】
一部の実施形態では、高密度の泡を実現するために、例えばポリジメチルシロキサン、ポリソルベートなどであるが、これらに限定されない消泡剤を追加してもよく、前記高密度の泡は5kPa~15kPaの剪断弾性率を有し得る。
【0168】
特定の理論に限定する意図はなく、一部の実施形態では、生体適合性洗剤および/または界面活性剤を添加することで泡を崩壊させることになり、前記崩壊は泡が安定する前に起き、流動性を有するゲルとして再溶解した泡を形成する。一部の実施形態では、均質安定化ゲルを作製するために、前記流動性を有するゲルを架橋剤溶液と混合してもよい(例えば、手動で、機械的に、あるいはスタティックミキサーの中に同時に押し付けることで)。一部の実施形態では、密集した(すなわち、泡の反対のように)安定化ゲルは体内で長時間、劣化に耐え得る。
【0169】
一部の実施形態では、前記組成物は少なくとも1つの界面活性剤を含んでもよい。本願明細書で使用される場合、「界面活性剤」は水の表面張力を低下させる化合物である。一部の実施形態では、前記界面活性剤は、ラウリル酸ナトリウムおよびオクタン酸などのイオン性界面活性剤;またはポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエステル、およびポリオキシエチレンソルビタンなどの天然界面活性剤でもよい。
【0170】
一部の実施形態では、生体内分解速度を減速するために、前記組成物にデキストリン(デキストラン)を添加してもよい。
【0171】
一部の限定されない典型的実施形態では、例えば、コンドロイチン硫酸などの硫酸化グルコサミノグリカン(GAG)を添加することで、細胞の内植をさらに高めてもよい。一部の実施形態では、タンパク質/架橋剤に化学的に結合された(すなわち、mTG)共重合体粉末として粉末の乾燥製剤、調製のジェットミル処理段階前のその他の成分、あるいはそれらの組み合わせに前記GAGを添加してもよい。一部の実施形態では、前記GAGの濃度を前記組成物の0.5重量部~10%重量部であってもよい。
【0172】
特定の理論に限定する意図はなく、多孔質骨格内の細胞は、天然細胞外基質の線維環境内での経験と同様に、三次元での基質相互作用に関わる場合がある。二次元骨格または安定性が乏しい骨格材料と比較すると、三次元で生じている自然細胞拡散がより多く実現される。
【0173】
特定の理論に制限する意図はなく、三次元多孔質骨格で実現される細胞形状によって、遺伝子発現、タンパク質翻訳、および次に機能を変更する場合がある。
【0174】
一部の実施形態では、細胞が調製時に多孔質骨格の中に混合されるか、後で多孔質骨格に入り、天然の三次元構造を保持する。したがって、特定の理論に限定する意図はなく、一部の実施形態では、前記骨格は個々の細胞の天然の三次元形状を保持するだけではなく、自然な方法で細胞を集合するようにも機能する。これにより、通常の組織機能をより忠実に代表する組織様構造の形成および細胞間相互作用をもたらす。
【0175】
ゼラチンを利用する一部の実施形態では、前記架橋ゼラチンの弾性特性のほか、インテグリン付着部位(重合体上の細胞結合部位)の豊富さによって、細胞内植、拡散を可能にし、生体組織再生をもたらし、さまざまな組織工学的応用を可能にする。一部の実施形態では、前記架橋ゼラチンが複数の細胞型で体内に組織様構造を生成してもよい。さまざまな型の細胞が、混合群として、または異なる細胞型の離散層として、三次元共培養モデルで同時にもたらされてもよい。一部の実施形態に従って、グルコース、安定グルタミン(アラニル-グルタミン)、ペニシリン、CaCl2・2H2O、硝酸第二鉄(Fe(NO3)3-9H2O)、塩化カリウム(KCl)、MgSO4・7H2O、塩化ナトリウム(NaCl)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、リン酸ナトリウム(NaH2PO4H2O)、D-グルコース、フェノールレッド、L-アラニル-L-グルタミン、L-アルギニン-Hcl、L-シスチン、グリシン、L-ヒスチジンHCl-H2O、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン-Hcl、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、D-パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i-イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキシンHcl、リボフラミン、チアミンHCl、およびウシ胎仔血清を含むが、これに限定されない細胞培地に前記ゼラチンおよびmTGなどの架橋剤を混合してもよい。
【0176】
前記細胞培地と混合することで、前記多孔質骨格の架橋を損なうことはない。
【0177】
一部の実施形態に従って、前記ゼラチンおよびmTG乾燥粉末を、細胞培地と(以下の物質を含むがこれに限定されない物質を組む。すなわち、グルコース、安定グルタミン(アラニル-グルタミン)、ペニシリン、CaCl2・2H2O、硝酸第二鉄(Fe(NO3)3-9H2O)、塩化カリウム(KCl)、MgSO4・7H2O、塩化ナトリウム(NaCl)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、リン酸ナトリウム(NaH2PO4H2O)、D-グルコース、フェノールレッド、L-アラニル-L-グルタミン、L-アルギニン-Hcl、L-シスチン、グリシン、L-ヒスチジンHCl-H2O、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン-HCl、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、D-パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i-イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキシンHcl、リボフラミン、チアミンHCl、およびウシ胎仔血清)と混合し、水和させてもよい。一部の実施形態では、これによって、初期ゼラチン-細胞基質中の細胞の生存率を高くすることが可能である。前記細胞を培地と混合して、一方のシリンジ内で保存するが、前記mTGおよびゼラチン粉末を別のシリンジ内で保存する場合がある。その後、材料を共に混合するために手で押すことができるように、前記両シリンジを固定機構によってお互いに接続させる。一方から他方に数回押すことで、細胞、培地、ゼラチン、mTG、およびガスが一緒に混ざり、細胞に種付けらされる最適な骨格を形成する。本発明の架橋ゼラチン多孔質骨格中の細胞の生存能力を示す典型的実施形態を実施例19の表に示す。
【0178】
一部の実施形態では、発明の方法に、形成されている架橋基質中の酵素分子の感知容積を変更することを含んでもよい。一部の実施形態では、変更されていない酵素による架橋の程度と比較して架橋の程度が増すように、前記変更された感知容量は、基質を形成するための重合体の架橋の程度に従って決定される。一部の実施形態では、酵素分子の感知容積を増加させる1つの方法は、前記酵素分子に対する少なくとも1つの分子または一部の共有または非共有結合によって、分子のサイズおよび/または流体力学的容積を増加させることによるものである。一部の実施形態では、本発明の前記方法は修飾酵素の使用を含む。
【0179】
一部の実施形態では、感知容積を増加させる方法は、酵素分子の正味電荷が重合体または共重合体鎖上の正味電荷の反対の極性になるように、酵素分子の電荷の修正を通じたものである。一実施形態では、酵素の等電点(pi)を変更することで、前記感知容積の増加を達成することができる。
【0180】
本発明の前記組成物の一部の実施形態に従って、修飾酵素分子によって架橋される基質重合体から構成される架橋多孔質骨格が提供される。ここで、前記修飾酵素分子は、重合体の架橋を通じて基質が形成されている時の架橋基質中の酵素分子の感知容積を変更する修飾を有する。一部の実施形態では、前記修飾酵素分子は、前記修飾酵素分子の実際の大きさを増大させる修飾を有する。一部の実施形態では、前記修飾酵素分子は、前記修飾酵素分子の流体力学的容積を増大させる修飾を有する。一部の実施形態では、前記修飾酵素分子は、前記修飾酵素の等電点(pi)を変更することで、前記修飾酵素分子の電荷を、非修飾酵素と比較すると基質重合体の正味電荷の反対の極性になるように修正する修飾を有する。一部の実施形態では、前記修飾は、サクシル化(無水コハク酸による)、アセチル化(無水酢酸による)、カルバモイル化(シアン酸塩による)、還元的アルキル化(アルデヒド類による)、および無水マレイン酸による処理から成る群から選択されるプロセスを通じた酵素のリジンのε-アミノ基によるものである。一部の実施形態では、前記修飾は、負電荷数を下げるために1つ以上の側鎖を含む酵素のカルボン酸によるものである。
【0181】
一部の実施形態では、前記修飾は、前記修飾酵素分子に対する少なくとも1つの分子または一部の共有または非共有結合から構成される。一部の実施形態では、前記修飾は、前記修飾酵素分子に対する修飾する分子の共有結合から構成される。一部の実施形態では、前記修飾酵素分子は、非修飾酵素と比較して低い分散率および低い架橋率を有するが、非修飾酵素と比較して少なくとも同様の酵素活性(例えば、非修飾酵素と比較して約20%~100%の活性であるがこれに限定されない)を有する。
【0182】
一部の実施形態では、低い架橋率は非修飾酵素の架橋率の少なくとも10%である。一部の実施形態では、低い架橋率は非修飾酵素の架橋率の10%~40%である。
【0183】
一部の実施形態では、前記修飾分子は担体または重合体から成る。一部の実施形態では、前記重合体は合成重合体、セルロース重合体、タンパク質、多糖、またはそれらの組み合わせから成る。一部の実施形態では、前記セルロース重合体は1つ以上のカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、またはそれらの組み合わせから成る。一部の実施形態では、前記多糖は1つ以上のデキストラン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、でんぷん誘導体、またはそれらの組み合わせから成る。
【0184】
本発明の前記組成物の一部の実施形態では、前記修飾分子はPEG(ポリエチレングリコール)から成る。一部の実施形態では、PEGはPEG誘導体から成る。一部の実施形態では、PEG誘導体は活性PEGから成る。一部の実施形態では、活性PEGは1つ以上のメトキシPEG(mPEG)、その誘導体、mPEG-NHS、mPEGのスクシンイミジル(NHS)エステル(mPEG-スクシネート-NHS)、mPEG-グルタレート-NHS、mPEG-バレレート-NHS、mPEG-カーボネート-NHS、mPEG-カルボキシメチル-NHS、mPEG-プロピオネート-NHS、mPEG-カルボキシペンチル-NHS、mPEG-ニトロフェニルカーボネート-NHS、mPRG-プロピルアルデヒド、mPEG-トシレート、mPEG-カルボニルイミダゾール、mPEG-イソシアネート、mPEG-エポキシド、またはそれらの組み合わせから成る。一部の実施形態では、活性PEGは酵素上のアミノ基またはチオール基と反応する。一部の実施形態では、活性酵素のリジン残基に対する活性PEGのモル比は0.5~25の範囲である。一部の実施形態では、活性PEGは単官能性、異種二官能性、同種二官能性、または多官能性である。一部の実施形態では、活性PEGは分岐PEGまたは多分岐PEGである。一部の実施形態では、活性PEGは1,000ダルトン~40,000ダルトンの範囲に及ぶ大きさを有する。
【0185】
一部の実施形態では、前記多孔質骨格は、酵素または基質重合体に共有結合されていない共重合体からさらに成る。一部の実施形態では、前記共重合体は多糖またはセルロース重合体から成る。一部の実施形態では、前記多糖はデキストラン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、でんぷん誘導体、またはそれらの組み合わせから成る。一部の実施形態では、セルロース重合体はカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースから成る。
【0186】
一部の実施形態では、修飾酵素分子は、複数の架橋酵素分子の集合体を形成するように複数の他の酵素分子に修飾酵素分子を架橋することで修飾される。一部の実施形態では、酵素分子の修飾は基質の少なくとも1つの特性に影響を及ぼす。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの特性が、抗張力、剛性、基質重合体の架橋の程度、粘度、弾力性、柔軟性、破壊歪み、破壊応力、ポアソン比、膨張能力、およびヤング率、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0187】
一部の実施形態では、前記修飾酵素の修飾の程度は、多孔質骨格への、または多孔質骨格からの修飾酵素の移動性を決定する。一部の実施形態では、前記修飾酵素の前記修飾によって、非修飾酵素および前記タンパク質の溶液または多孔質骨格と比較して、前記修飾酵素およびタンパク質の溶液中、または前記修飾酵素およびタンパク質の多孔質骨格中の前記修飾酵素の拡散係数を減少させる。一部の実施形態では、前記修飾酵素の修飾の程度によって、1つ以上の泡の機械特性を決定する。一部の実施形態では、前記修飾酵素分子は、非修飾酵素分子と比較して溶液中の架橋重合体での架橋率の大きな差違を示す。
【0188】
一部の実施形態では、前記粉末架橋剤は、粉末重合体と反応するための酵素および/または修飾酵素であってもよい。一部の実施形態では、前記粉末重合体は、例えばゼラチンであるが、これらに限定されないタンパク質であってもよい。
【0189】
本発明の少なくとも一部の実施形態に従って、基質が形成されている時に架橋基質中の酵素の感知容積を変更する修飾で酵素を修飾すること;修飾酵素分子の基質である少なくとも1つの基質重合体に修飾酵素分子を混合すること;および修飾酵素分子による少なくとも1つの基質重合体の架橋を通じて基質を形成することを含みながら、基質(「基質」とはハイドロゲルまたは多孔質骨格である)の形成を制御する方法が提供され、ここで、前記基質の形成は前記酵素分子の前記就職によって少なくとも制御される。一部の実施形態では、前記修飾は、少なくとも1つの基質重合体の架橋の程度が高まるにつれて、前記修飾酵素分子の架橋率を低下させる。一部の実施形態では、溶液の粘度が増加するにつれて前記修飾が前記少なくとも1つの基質重合体の架橋の程度制御するように、前記修飾酵素分子および前記少なくとも1つの基質重合体は微細化粉末形態で混合される。一部の実施形態では、前記修飾することは、7~9の範囲のpHでの酵素のPEG化を含む。一部の実施形態では、前記PEG化反応のpHは7.5~8.5である。
治療を必要とする患者を治療する方法
【0190】
一部の実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は、患者の肺容量を減少させ、
a)患者の肺の標的領域を崩壊させること、
b)崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させるのに十分な量で崩壊される領域の部位において、患者の体内に前記組成物を導入すること。
ここで、崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させることで、患者の肺容量を減少させ、
前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0191】
一部の実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)肺容量を減少させるのに十分な量で、肺領域の部位において患者の体内に前期組成物を導入すること、
ここで、前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0192】
一部の実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)患者の肺の標的領域を崩壊させること、
b)崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させるのに十分な量で崩壊される領域の部位において、患者の体内で前記組成物を形成すること、
ここで、崩壊される領域の第1の部分を崩壊される領域の第2の部分に付着させることで、患者の肺容量を減らし、
前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0193】
一部の実施形態では、本発明は方法を提供し、前記方法は患者の肺容量を減少させ、
a)肺容量を減らすのに十分な量で、肺領域の部位において患者の体内で前期組成物を形成すること。
ここで、前記組成物は、線維芽細胞接着およびコラーゲン合成を促進するように構成され、
前記線維芽細胞接着およびコラーゲン合成は炎症を防ぐことから成る。
【0194】
少なくとも一部の実施形態に従って、本願明細書で述べられるように多孔質骨格を組織に塗布することから構成され、体液の漏れに対して組織を封止する方法を提供する。高濃度の架橋剤を含む一部の実施形態では、基質が止血剤となるように、前記体液は血液から成る。少なくとも一部の実施形態に従って、本願明細書で述べられる通りの基質を含む止血剤、手術用封止剤、または増量剤を提供する。少なくとも一部の実施形態に従って、本願明細書で述べられる通りの基質を含む創傷の封止用組成物を提供する。少なくとも一部の実施形態に従って、組織の縫合線またはステープル留め線の封止用組成物の使用法を示す。一部の実施形態では、ヘルニア修復などの手術用メッシュの組織への接着用組成物の使用法を示す。一部の実施形態では、前記メッシュをゼラチンおよび酵素粉末に含浸させた状態で提供することができる。
【0195】
少なくとも一部の実施形態に従って、本願明細書で述べられる通りの多孔質骨格から成る局所薬剤送達のための手段用組成物を提供する。少なくとも一部の実施形態に従って、本願明細書で述べられる通りの基質から成り、注入可能多孔質骨格として適応させられた組織加工用組成物を提供する。少なくとも一部の実施形態に従って、組成物を修飾する方法としては、架橋可能官能基を有する修飾酵素および前記修飾酵素によって架橋可能な部分を少なくとも1つ有するタンパク質を提供すること;および前記修飾酵素および前記タンパク質を混合することが挙げられ、ここで、前記修飾酵素は前記タンパク質を架橋し、架橋可能官能基を通じて前記タンパク質にも架橋される。
【0196】
少なくとも一部の実施形態に従って、前記組成物は局所薬剤送達のための手段として使用される。少なくとも一部の実施形態に従って、前記組成物は、組織加工および修復のための注入可能な骨格または組織再構築剤である。一部の実施形態では、前記組成物は止血組成物である。一部の実施形態では、前記組成物は体液封止組成物である。本発明の前記組成物は迅速な止血を行う場合があり、それによって、怪我または手術後の失血を最小限に抑える。
【0197】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、安定した新しい骨形成の生体位での物理的構築を可能にする接着骨移植片を含み、ここで、前記組成物は生体適合性であり;完全に形成された自然骨によって置換できるようにする2~6ヶ月以内の生分解性であり;移植片の生体分解性と協調して、自然骨の内植を可能にするように構成された多孔性を有する。
【0198】
一部の実施形態では、前記組成物を少なくとも1つの追加物質と共に塗布してもよく、ここで、前記ゼラチンハイドロゲルまたは前記ゼラチン泡は、ゼラチン-トランスグルタミナーゼ基質の原位置安定化機能による骨伝導性および/または骨誘導性骨格接着剤を提供することができる。
【0199】
一部の実施形態では、前記組成物を泡形態で塗布してもよく、ここで、前記安定化ゼラチン泡は、ハバース系(オステオン)を活性化し、新しい骨梁構造を急速に増殖させ、作製するために、十分な内植および骨芽細胞の裏打ちを提供してもよい。実施例3および
図6を参照。
【0200】
本願明細書で使用される場合、「増量剤」は、組織の体積を増やすために使用される空間充填注入可能物質である。尿失禁を尿道周囲で治療するため、および便失禁を肛門周囲で治療するために、外観上の結果を改善するために皮膚下にこれらを注入することができる。
図5は、ブタの肛門に粘膜下で注入された増量剤を示す本発明の実施形態である。一部の実施形態では、人工的狭窄を作製し、および便意抑制を回復するために、本発明の増量剤を括約筋または体内の管に注入することができる。
【0201】
典型的実施形態では、
図2Aはヒトの膀胱頸部の粘膜下層の中に進められる針を示す。
図2Bは、膀胱頸部の粘膜下層およびヒトの近位尿道に注入されている増量剤を示す。動物に対しても同じ考え方を適用できる。
図7は、ブタの尿道への注入を示す。したがって、一部の実施形態では、前記組成物は、家庭用ペットの尿失禁問題に対する解決策を提供することができる。
【0202】
一部の実施形態では、尿道増量剤は自家脂肪、グルタルアルデヒド架橋ウシ由来コラーゲン、カルシウムヒドロキシチパタイト、熱分解炭素コートビーズ、ポリジメチルシロキサン、エチレンビニルアルコール共重合体、デキストラノマーヒアルロン酸、およびポリテトラフルオロエチレンを含むことができる。
【0203】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、移動せず、耐久性があり、分解可能なように構成される、長期間にわたって軟質結合組織によって置換されるように構成される、またはそれらの組み合わせである増量剤である。一部の実施形態では、移動は粒径と個数の関数である。一部の実施形態では、前記組成物は、長期間をかけて体積効果を大幅に増加させ、維持する内因性または外因性の細胞用骨格を提供する。
【0204】
一部の実施形態では、前記組成物は、安定した単一の統合された物理的構造となるために原位置架橋ゲルである。一部の実施形態では、前記組成物は分解可能であり、転移の危険性なしに線維芽細胞および免疫細胞によって徐々に浸潤することができ、組織で置換されるように構成される。
【0205】
一部の実施形態では、前記増量剤の組成物は、安定した単一の統合された物理的構造となるために原位置架橋多孔質骨格、泡、またはゲルである。一部の実施形態では、前記組成物はゼラチンの乾燥微細化粉末および架橋剤から構成される。一部の実施形態では、前記組成物は液体状体のゼラチンおよび架橋剤(好適な実施形態では、前記架橋剤はトランスグルタミナーゼである)から構成される。一部の実施形態では、前記組成物は液体状態のゼラチンおよび架橋剤から構成され、ここで、粘度を減少させるために、天然の固体-ゲル転移点を下げるためのその他の賦形剤(尿素およびカルシウムなど)がゼラチンと共に使用され、前記液体トランスグルタミナーゼは、安定性を高め、粘度を増大させる賦形剤を含む。
【0206】
一部の実施形態では、前記組成物は手術用接着剤である。一部の実施形態では、前記手術用接着剤はゼラチン-トランスグルタミナーゼであってもよい。一部の実施形態では、前記ゼラチンは粉末微細化ゼラチンであってもよい。一部の実施形態では、前記ゼラチンは液体形態であってもよい。一部の実施形態では、前記ゼラチンは固体形態であってもよいが、熱可逆な形態とする。一部の実施形態では、前記ゼラチンは任意に粉末トランスグルタミナーゼによって架橋される。一部の実施形態では、前記ゼラチンは、液体に溶解されたトランスグルタミナーゼによって架橋される。一部の実施形態では、前記ゼラチンは修飾トランスグルタミナーゼによって架橋される。一部の実施形態では、前記ゼラチンおよびトランスグルタミナーゼは粉末乾燥形態または液体形態から直接混合する。
【0207】
一部の実施形態では、前記泡状ゼラチンを長く薄いカテーテルまたは針を通じて送達させることができる。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、中空送達チューブを通じて前記ゼラチン原位置安定化泡を送達することであり、上記針は長さが少なくとも10cm、直径が最大10フレンチである。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、中空送達チューブを通じて前記ゼラチン原位置安定化泡を送達することであり、上記針は長さが少なくとも15cm、直径が最大6フレンチである。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、中空送達チューブを通じて前記ゼラチン原位置安定化泡を送達することであり、上記針は長さが少なくとも25cm、直径が最大6フレンチである。一部の実施形態では、本発明の前記方法は、中空送達チューブを通じて前記ゼラチン原位置安定化泡を送達することであり、上記針は長さが少なくとも30cm、直径が最大6フレンチである。
【0208】
一部の実施形態では、塗布器を使用することができ、前記塗布器は内視鏡補助なしに注入される材料を所定の場所に誘導するように構成される。一部の実施形態では、前記塗布器投与は標準化され、どのような外来医療体制でも完了し得る。一部の実施形態では、重合体の注入場所は、尿道の近位部の括約筋の近傍、膀胱の近傍である。本発明の前記装置の一部の実施形態では、前記装置は、尿道の中で位置決定できるように、および膀胱に開口部を揃えるように構成された円筒である。一部の実施形態では、前記装置が所定の位置に設置されると、2~4本の注入針が円筒の主要内腔の外へ押し出され、近位部(すなわち、膀胱開口部に最近傍)で尿道の粘膜下層の内部に突き出される。一部の実施形態では、前記針を膀胱開口部から1mm~25mm離して設置してもよい。一部の実施形態では、前記円筒状装置および針が対象者の所定の位置に設置されると、重合体を含むシリンジを円筒内部のチャンネルに接続してもよく、前記チャンネルは、重合体がまだ流動性を有する液体状態である間、すなわち、架橋して凝固する前に、組織に重合体を送達するように構成される。一実施形態では、シリンジと円筒の間にスタティックミキサーまたはアクティブミキサーが配置され、前記スタティックミキサーは接着剤の液体重合体成分を架橋懸濁液と混合する必要がある場合に使用されるように構成される。
【0209】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は、動物およびヒトの便失禁を治療するために低侵襲性溶液を送達するように構成される。一部の実施形態では、物理的組織拡大を行い、それによって欠陥のある肛門を狭窄するように、生体適合性増量剤を、肛門管の粘膜下層に注入することができる。
【0210】
一部の実施形態では、本発明の前記増量剤は、原位置安定化接着剤泡またはゲルに基づく。一部の実施形態では、前記増量剤は、移動に抵抗し、容積完全性を維持するように構成されている。一部の実施形態では、本発明の前記増量剤は、競合製品よりも組み上げるのが有意に安い(最終滅菌が可能なため)。一部の実施形態では、本発明の前記薬剤は、生体適合性でありながら、組織に強く接着するように構成されている。
【0211】
一部の実施形態では、本発明の前記増量剤は、座瘡瘢痕を除去または改善し、しわ線を修正し、既存の傷痕を上昇させ、顔の輪郭を再構築し、あるいはそれらの組み合わせを行うように構成されている。
【0212】
一部の実施形態では、本発明の前記増量剤は、(i)生理的-それ自体と体の組織を組み合わせる;(ii)簡単な手順-注入可能;(iii)リスクがない-合併症または有害事象がない;(iv)半恒久的-時間経過とともに劣化する;(v)細胞および組織再構築剤の内植のための骨格としての機能を果たす、またはそれらの組み合わせという品質を有する充填材料である。
【0213】
一部の実施形態では、本発明の前記組成物は充填剤、例えば皮内充填剤である。一部の実施形態では、前記充填剤はゼラチンおよびトランスグルタミナーゼ安定剤から構成されてもよい。一部の実施形態では、例えば、ネコおよびイヌであるが、これらに限定されない家庭のペットを治療するために、本発明の前記組成物を使用してもよい。
【0214】
一部の実施形態では、膀胱への接続部位を越えたところ、またはその直前の尿道の内層の下に充填剤を注入することができる(例えば、本願明細書で述べられる塗布器を用いて)。一部の実施形態では、前記重合体は尿道のこの部分の圧力を高める部位を膨張させ、これによって尿失禁を改善する。さらに、前記重合体は架橋ゼラチンであるため、前記重合体は、前記部位への新しい血管の成長を刺激するように構成され、自然組織が増加することで最終的に重合体を置換する。
【0215】
非毒性組織封止剤泡のさらに別の用途は、組織容量低減、例えば肺容量低減のためである。現在のところ、肺気腫患者の治療選択肢は限られている。多くの患者はステロイドおよび吸入療法による治療を受けるが、多くの場合、利点が少ないか、利点がない。近年、肺容量削減術(LVRS)が進行した肺気腫に対して一般に認められている治療法になった。LVRSでは、肺の健康な部位が良好に機能するように温存するために、肺の患部の除去を伴う(例えば、『Cooper et al., J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 109: 1995』を参照)。しかし、LVRS術は大手術で、侵襲性であり、危険を伴う。低侵襲性の方法、特に封止剤泡によって機能しない気腫肺組織の容量を減少させることで、損傷の少ない肺組織がより効果的に拡張し、機能するための空間を確保する。これによって、換気血流不均等を改善する。これまでのところ、アルブミン封止剤を用いた無作為化臨床試験の結果は有意な改善を示す。一部の被験者はFEV1の100%以上の増加という改善を示した。しかし、有意な危険性(おそらく、有害架橋剤の使用による炎症)によって、その現時点での利用が制限されている。封止剤を塗布した肺の部位除去することによって呼吸機能が改善されるということが直感と相入れないようである一方、過剰に膨張した組織(不均一肺気腫患者で見られるような)によって、健康な肺の隣接部位は拡張できるようにする。次に、この拡張によって収縮およびガス交換の改善を可能にする。本願明細書で述べられる非毒性ゼラチン泡は、気道および/または気管支鏡作業チャネルの中を通って肺の中に送達することができる。これによって線維芽細胞増殖を誘導し、その結果として、肺の治療部位が機能不全になり、崩壊する。一部の実施形態では、肺の前記対象部位は、非表面活性剤を用いて対象部位を洗浄することで崩壊される。
【0216】
一部の実施形態では、本発明は創傷を治療する方法であり、ここで、医薬乾燥粉末組成物は、乾燥接着剤コーティング、エアロゾル、乾燥エアロゾル、ポンプスプレー、医療用バップ、フィルム、コーティングされた膏薬、薬用スポンジまたは手術用パッチ、止血フリース、ガーゼ、軟膏、セミゲル、ゲル、泡、ペースト、懸濁液、軟膏、乳剤、成形可能形態、鼻栓、包帯、創傷包装、絆創膏、綿棒、カテーテル、光ファイバー、シリンジ、ペッサリー、座薬、および液体または非水液体の懸濁物から選択さける剤形である。
【0217】
一部の実施形態では、本発明は架橋可能組成物であり、単独または他の骨伝導性材料と共に使用することができ、骨移植片調製を可能にするために複合材料に結合力をもたらす。一部の実施形態では、前記組成物はゼラチンおよびトランスグルタミナーゼからなり、両方が液体状態である。一部の実施形態では、前記ゼラチンの組成物は、転移点を低下させることを目的とした添加剤(例えば、尿素および/カルシウムであるが、これらに限定されない)を含む液体形態である。一部の実施形態では、前記組成物はゼラチンおよびトランスグルタミナーゼからなり、両方が乾燥粉末形態である。一部の実施形態では、本発明での使用に適した骨伝導性材料としては、ヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(TCP)、CCC、生体活性ガラス、生体活性セラミックス、および/またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本発明での使用に適した骨伝導性材料としては、DBMおよび骨形態形成タンパク質(BMP)、TGF-ベータ、PDGF、多血小板血漿(PRP)、および/またはそれらの混合物などの成長因子が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、前記組成物は、医療実施者が組成物を形状に一致させられるように構成される(例えば、手術で使用する数分または数時間前に)。一部の実施形態では、本発明の前記組成物はグルコサミノグリカンを含んでもよく、前記組成物に前記グルコサミノグリカンを添加することで、水の吸収および前記骨格の特定の性質の向上を可能にする。
【0218】
次に実施例を参照する。実施例は上記説明と共に、限定されない方法で本発明の一部の実施例を説明する。
実施例
実施例1:本発明の一部の実施形態に従った組成物の引き抜き試験
成分
【0219】
(i)0.25グラムのACTIVA WM酵素調製品(Streptoverticillium mobaraenseからの1%微生物トランスグルタミナーゼ、99%マルトデキストリン)(味の素、日本)
【0220】
(ii)0.25グラムのGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、Sioux City)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径の範囲に処理:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm
【0221】
(iii)1mlの生理食塩水(+液体添加剤)
方法
【0222】
L-3 Communications製造の9.93キログレイの電子線で粉末を滅菌した。無菌性はAminoLab Ltd.(イスラエル、レホヴォット)が確認し、SOP番号50.WI.110「医薬品の無菌試験」に従って試験を行った。一方のシリンジから他方のシリンジに混合物を10~12回押し込むことで、粉末を混合した。その後すぐに、接着剤の塗布された重複部が約2cmx2.5cmになるようにした2枚のコラーゲンシートの間に混合物を塗布し、約10分間硬化させた。フォースゲージLutron FG-20KGを用いて最大引っ張り(剪断)力について前記組成物を試験した。
【表1】
実施例2:本発明の一部の実施形態に従ったガーゼへの乾燥粉末の含浸。
【0223】
以下のゼラチンは、Gelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径の範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。mTGはACTIVA WM酵素調製品(Streptoverticillium mobaraenseからの1%微生物トランスグルタミナーゼ、99%マルトデキストリン)(味の素、日本)のことである。
【0224】
A)前記ゼラチンおよびmTG粉末の両方をエチルアルコール70%(Hen Shmuel Chemicals)とともに標準手術用ガーゼに含浸させた。
【0225】
B)前記ゼラチンおよびmTG粉末を高揮発性溶剤であるHFE 7000(3M Novec 7000加工液体)とともに標準手術用ガーゼに含浸させた。
【0226】
結果:溶剤を完全に蒸発させ、粉末粒子はガーゼ上に残り、付着した、生理食塩水で水和させると、前記ゼラチンは再溶解し、前記mTGと混合され、生体接着層を形成し、ガーゼに結合した。
実施例3:追加の骨増生材料を用いた、および用いない骨欠損の治療における架橋ゼラチンの効果
【0227】
以下のゼラチンは、Gelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。前記mTGは酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。ゼラチンおよびmTG微細化粉末を9.93キログレイの電子線(Sorvan、イスラエル)で滅菌した。
【0228】
試験の目的は、接着性泡に基づいた原位置架橋ゼラチンの潜在的な性能を評価することであった。前記材料は、骨成長を伝導および誘導するための骨格として、および他の骨伝導性または伝誘導性骨増生材料を手術部位に接着させるための骨格としての機能を果たす。これによって、相互に、および組織に接着させることで必要な場所に骨増生粒子(生物学的または合成)を固定し、その位置を維持することができる。予想される効果は、両方の材料に対して相乗的であるが、架橋ゼラチン泡の効果はこの目的のために単独で使用するのに十分である可能性がある。
【0229】
4 BONE BCH(MIS、イスラエル)を骨増生材料として使用した。これはハイドロオキシアパタイト(HA)およびベータリン酸三カルシウム(TCP)(60/40)から作られる完全合成の代替物質である
【0230】
約14~15kgの体重の約1歳のアメリカンフォックスハウンドをこの試験に供用した。手術部位に従来の歯科浸潤麻酔を投与した。顎弓の半分で下顎小臼歯および大臼歯抜き取り(P2、P3、P4、M
1)を行った。
図6Aに示した通り、直径6mm、深さ約6mmでソケット用の穴をドリルで開け、前記ソケットに生体材料を塗布した。最終的に、軟組織をソケットの上に縫合した。
【0231】
以下の生体材料の組成物を試験し、照合した:
ソケットタイプA:0.2グラムのmTG + 0.25gのゼラチン + 0.0125グラムのコンドロイチン硫酸A+C(GAG)に混合された4 BONE + 1.25mlの生理食塩水。
ソケットタイプB:4 BONE単独
ソケットタイプC:0.25グラムのゼラチンによる泡の中に混合された0.25グラムのmTG。
ソケットタイプD:陰性対照群としての機能を果たすように空のままにした
【0232】
動物は手術から順調に回復し、入院中に有害事象は記録されなかった。移植術後8週間で屠殺した。7日間、両方の下顎骨を緩衝ホルマリンで固定した。水で洗浄後、昇順濃度のエタノール(70%、83%、96%、および2回の100%)中で約24時間サンプルを脱水させた。脱水後、キシレン中で1日間サンプルを固定した。その後、100cm3のメチルメタクリル酸塩、10cm3のポリエチレングリコール、1グラムの過酸化ベンゾイルの混合物に室温で組み込んだ。水冷低速ダイアモンド精密ノコギリを用いて両下顎骨の遠位側および近位側からの厚み3~4,200μmの断面切片を切断した。アクリル接着剤を用いてサポートPerspex「ミルキー」スライド上に切片を接着し、その後、精密グラインダー(Isomet、米国イリノイ州ビューラー)で厚み50μmに研削および研磨した。光学顕微鏡下での病理組織学的分析のために、トルイジンブルーまたはヘマトキシリンおよびエオシンでスライドを染色した。X線、CTスキャンも用いて下顎骨を分析し、組織学的分析に供した。
結果
【0233】
最善の骨再生は本発明のゼラチン泡に曝されたタイプAとCのソケットで生じたことが放射線解析によって明らかになった。無傷の骨、空の対照ソケット、4Bone単独ソケット、4Boneおよびゼラチン泡を一緒にしたソケット、およびゼラチン泡単独ソケットからの典型的なCT断面を
図6BおよびCに示す。最も強い新骨形成がタイプAおよびCのソケットで生じたことが、それらのCTスキャンで判明した。
組織学的分析
【0234】
4 Bone移植片単独:この増生材料は、隣接する骨との直接的な接触にも関わらず骨新生物の明らかな刺激がない(すなわち、骨活性化および新たな骨単位成長形成がない)また同時に、空洞が存在することで示される不均等な粒状の拡散を示す。
【0235】
4 Bone+0.2グラムのmTGを、0.5グラムのゼラチン+0.0125グラムのコンドロイチン硫酸A+Cに混合した:合成4 BONE粒状材料は明らかに、単独で塗布した時と比べて均等に分散され、隣接する骨に結合された。前記架橋ゼラチン泡の外観は不定形である。事前に存在する空洞の中に明らかに浸透し、存在する。ソケット容積全体を通じて、異物肉芽腫または破骨細胞の存在などの炎症反応は検出されていない。厚い小柱形成を伴った大量の新しい線維性骨形成が明確に視認される。さらに、新たな活性ハバース系が容易に検出され、生体材料で充填されている。すべてのハバース系の中に生体材料が存在することは、組み合わせが骨伝導性および骨誘導性が高い材料として機能することを意味する。
【0236】
0.25グラムのゼラチンによる泡に混合された0.25グラムのmTG:前記生体材料はソケットタイプAで先に述べた不定形材料として容易に特定され、空洞によく浸透する。生体材料が活性ハバース系の中に明らかに斑点を付与することで、新しい線維性骨形成を明確に視認することができ、これは生体材料の周辺に隙間なく形成される。各骨単位の中央に生体材料が存在することは、単独型製品として高い骨誘導性があることを強く示唆する。ハバース管の中央にゼラチン泡(矢印が付けられた)を含む骨単位の組織学スライド断面を示す
図6Dで、この結果の典型的な画像を明確に確認することができる。
実施例4:本発明の一部の実施形態に従った組成物の性能に対するGAGの効果
【0237】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。
材料
(i)0.034グラムのウシ気管由来コンドロイチン硫酸Aナトリウム塩(Sigma)
(ii)0.233グラムのゼラチン(Gelita AG)
(iii)0.233グラムのmTG(ACTIVA;1%mTG;味の素)
(iv)1mlの水
上記材料をシリンジ間の方法で混合し、架橋させた。
結果
【0238】
前記組成物は熱的に安定であった(例えば、50℃の水が入ったグラスの中に浸すことで)。室温の水の中に2時間浸したが、物理的構造に測定可能な変化はなかった。前記組成物を固め、コラーゲンのシート2枚を共に接着することもできた。
実施例5:Surgifloを含む組成物
以下の実験では、ゼラチン顆粒に基づいたその他の市販製品の再溶解しmTGと架橋する能力を試験する
材料
(i)一方のシリンジの中で0.25グラムの乾燥Surgiflo止血基質(Ethicon Inc)を0.25グラムの粉末化mTG(ACTIVA WM;味の素)に混合させた
(ii)別のシリンジの中に1mlの生理食塩水を満たした
結果
【0239】
均等な泡を形成するように前記SurgifloおよびmTG架橋剤を生理食塩水によく混ぜ、1時間追跡調査を行った。泡は安定しないか、全く粘着性を示さなかった。
実施例6:本発明の一部の実施形態に従った泡の長期機械的特性
【0240】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、Sioux City)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGはACTIVA(味の素、東京)のことである。
材料
【0241】
1mlの水に混合された0.25グラムのゼラチンおよび0.25グラムのmTGを柔軟性パラメーター180度折り曲げ試験として、泡に対する架橋直後、水での培養7日後、25日後、および60日後に測定した。
結果
【0242】
架橋された泡は柔軟性が高く、180度折り曲げ試験に合格した一方、丸く(直径約2cm)、厚み1mmの泡単位を可能な最大限の範囲で折り曲がり、壊れることなく180度折り曲げ変形することを示した。7日後、25日後、60日後に、架橋直後の元の柔軟性と同じレベルの柔軟性を達成した。
実施例7:
【0243】
30分間、3600振動/分の粉砕用ボールを用いて、ゼラチン(Gelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン)を粉砕した。結果として得られたゼラチン粉末0.25グラムを0.25グラムのACTIVA(味の素、日本)と混合した。
図3に示した方法に従って、前記mTG+ゼラチン混合物を温度19℃の水1mlと共に泡の中に混合した。コラーゲンのシート2枚を泡接着剤を使用して接着し、熱安定性を試験した。
結果
【0244】
前記ミル処理されたゼラチンは部分的に溶解した。乳鉢によるミル処理によって得られた粒径はばらつきが大きいことが目視で明らかで、大きな粒子がよく溶解しないことが明白であった。
【0245】
前記結果を得られた泡は、柔らかく統合された物理的構造中で安定した。前記泡は架橋され、温度が50℃の水に浸した後、熱的安定性を保持した。前記泡は辛うじてコラーゲンシートを共に接着した。
実施例8:顕微鏡検査
【0246】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGはACTIVA(味の素、日本)のことである。
【0247】
ゼラチン-mTG泡を調製し、光学顕微鏡で10倍および40倍の倍率に設定して、泡の性質を評価した。
結果
【0248】
泡は体の構成要素全体にわたって乱雑な形で固定されることを検出した。そのサイズは直径2~500ミクロンで変化する
図8は、結果として生じた気泡の画像を示す本発明の実施形態を示す。
実施例9:胃腸封止剤としての本発明の一部の実施形態に従った組成物の使用
【0249】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。前記mTGは酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。ゼラチンおよびmTG微細化粉末を9.93キログレイの電子線(Sorvan、イスラエル)で滅菌した。
【0250】
急性試験:前記mTGおよびゼラチン粉末を1:1の比率で1mlの注射用水に混合した。
【0251】
手術用封止剤として約0.9mlの前記泡を60kgの大型種のブタの胃腸管に塗布し、約1分後に完全性を試験した。
【0252】
結果:前記泡は安定化し、皮膚に付着した。非常に柔軟性があり、組織に適合した。典型的な写真を
図4に示した。
【0253】
慢性試験:
方法
【0254】
図3に示したような特殊なロックを備えたシリンジ同士を接続することで、滅菌した0.25グラムのゼラチンおよび0.25グラムのmTG粉末を1mlの注射用水と共に接着性泡の中に混ぜた。50kgのブタの腸の3cmの縫合線上に前記封止剤泡を塗布した。7日後、このブタを安楽死させた。弾力性試験を含み、前記封止剤を顕微鏡で評価した。検体を切除し、顕微鏡的評価のために組織病理学検査に出した。
結果
【0255】
安全性:前記ブタは健康を維持し、手術から順調に回復した。炎症の兆候はなく、縫合線への、あるいはその周囲の封止剤への術後付着はなかった。顕微鏡的評価(H&E染色)において、前記封止剤は軽度(グレード2)の組織球反応で囲まれ、壊死または巨細胞蓄積の所見はなく、優れた耐性を示した。組織球は多形核細胞の軽度から中等度の存在に関連した(グレード2~3)。莢膜反応(線維芽細胞増殖による線維症(グレード2、軽度))が漿膜表面接触部分に見られた。
【0256】
有効性:視覚的に、前記封止剤は縫合線上に付着したままで、組織と同程度に柔軟だった。組織-封止剤間を約180度に折り曲げた時に剥がれて取れないことを示した。顕微鏡的評価(H&E染色)において、前記材料が漿膜表面に付着していることが分かった。前記材料は1週間を経過してもまだ劣化しなかった。この時点(第7日)では、劣化プロファイルを予測するには早すぎる。
実施例10:本発明の一部の実施形態に従ったさまざまな組成物の試験
【0257】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。
【表2】
実施例11:針を通じた本発明の一部の実施形態に従った組成物の送達
【0258】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGはACTIVA(味の素、東京)のことである。
【0259】
前記ゼラチンをmTGと1:1の比率で混合した。0.75グラムの混合物を26℃で2.63mlの水と共に泡の中に混合した。針(18G(直径=1.03mm);長さ150mm)を通じて前記泡を押し込んだ。
【0260】
結果:前記泡のシリンジから針への送達に成功した。前記泡は約3分後に安定し、50℃の水の中で安定した状態を維持した(熱可逆性はないことを示す)。
実施例12:便失禁の治療としての本発明の一部の実施形態に従った組成物の使用
【0261】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。前記mTGは、酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。ゼラチンおよびmTG微細化粉末を9.93キログレイの電子線(Sorvan、イスラエル)で滅菌した。
【0262】
無菌mTGおよびゼラチン粉末を1:1の比率で1mlの水と混合させ、
図3に示した通りの特殊ロックによってシリンジ同士を接続することで手動にて泡立たせた。
【0263】
増量ゼラチン泡の注射を2L(65kg)の白色(大型種)ブタ(N=2)の肛門に注入した。典型的写真を
図5に示す。
結果:前記泡は柔軟性のある体積中で生体位で安定し、組織に付着した。前記組織片は肛門の導管の直径を減少させ、管の人工的な接合(狭窄)を生じさせた。前記注入部位を100日後および120日後に採取した。前記ブタを安楽死させ、組織をホルマリン固定し、組織学的分析のために調製されたパラフィンブロックおよびスライドに埋め込んだ。どの動物も有害事象を示さなかった。前記生体材料は優れた耐性を示し、分解可能である。壊死も、空洞形成も、生体材料の移動も示さなかった。前記生体材料は線維芽細胞を移植部位に引き付けた。すなわち、増殖し、線維性組織を生成した繊維芽細胞。注入後、急性段階に前記材料はグレード2の炎症反応を生じ、その後の慢性段階で、線維芽細胞が生体材料の体積に置換するように働いている間、軽度(グレード1~2)の炎症が続く。
実施例14:尿失禁の治療としての本発明の一部の実施形態に従った組成物の使用
【0264】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。前記mTGは、酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。ゼラチンおよびmTG微細化粉末を9.93キログレイの電子線(Sorvan、イスラエル)で滅菌した。
【0265】
前記0.4グラムのmTGおよび1グラムのゼラチン無菌粉末を8mlの生理食塩水に混合し、
図3に示した通りの特殊ロックによってシリンジ同士を接続することで泡立たせ、手動で混合した。
ブタによる慢性試験
【0266】
約0.3~0.5mlの前記泡を、膀胱鏡の作業チャネルに挿入された4F/長さ33mmの針を通じて送達した。前記泡を近位尿道(膀胱三角から2~3cm)の粘膜下層に1点で送達した。前記方法の計画図およびヒトにおける移植の解剖学的部位を
図2に示す。対象が動物の場合、治療部位を尿道の近位末端において、膀胱開口部の近くと同じにする必要がある。内視鏡で撮影した典型的写真を
図7に示す。
【0267】
注入後22日で前記組織を採取した。前記注入部位を顕微鏡で評価し、後で組織病理学評価に出した。
結果
【0268】
前記泡は柔軟性のある体積中で生体位で安定し、組織に付着した。前記組織片は尿道管の直径を減少させ、管の人工的な接合(狭窄)を生じさせた。動物から尿道を解剖して取り出し、移植片を綿密に検査した。
【0269】
前記生体材料は優れた耐性を示し、分解可能である。壊死も、空洞形成も、移動も示さなかった。前記生体材料は線維芽細胞を移植部位に引き付けた。すなわち、増殖し、線維性組織を生成した繊維芽細胞。
原発性括約筋機構不全症(PMSI)を罹患するイヌの治療
【0270】
11歳の雑種雌イヌを本試験に登録した。このイヌは治療前の約2年間PMSIを罹患した。
【0271】
約0.3~0.5mlの前記泡を、膀胱鏡の作業チャネルに挿入された4F/長さ33mmの針を通じて送達した。前記泡を近位尿道(膀胱三角から2~3cm)の粘膜下層に円周方向に3点で送達した。前記泡の架橋能力を確認するために、前記泡の一部を動物の体外で排出させた。前記泡は安定し、50℃で熱的に安定した状態を維持した。
結果
【0272】
有害事象は報告されなかった。1週間の経過観察後、イヌの所有者の報告によると尿漏れは解決した。
実施例15:本発明の一部の実施形態に従ったさまざまな組成物の試験
【0273】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:
(A):d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。
(B):d(0.1)=4.415μm、d(0.5)=13.064μm、d(0.9)=29.621μm。
(C):d(0.1)=13.451μm、d(0.5)=94.66μm、d(0.9)=423.785μm。
【0274】
前記ゼラチンをmTG:ACTIVA(味の素、東京)と混合した。
【0275】
そして、(一方には粉末が充填され、一方には水が充填されて接続された2本のシリンジを用いて)手動で混合することで水和させた。以下の結果はコラーゲンシート2枚を接着する能力に関して泡を試験し、50℃の水槽中に試験片を浸けることで熱可逆性を試験したものである。
【表3】
実施例16:トランスグルタミナーゼで架橋されたゼラチン泡の結合および機械的特性の特性評価
【0276】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA(味の素、東京)のことである。前記mTGは、酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。無菌粉末を指定した場合、ガンマ線9.38kGray(Sorvan、イスラエル)を用いてゼラチンおよびmTG微細化粉末を滅菌した。
【0277】
1kN高精度材料試験機であり、生物材料の機械的性質を試験するために使用されるLloyd材料試験LSI機(Ametek Test&CalibrationInstruments)を用いて架橋泡のレオロジーパラメーターを測定した。下表に示した比率に従って手動混合で生物材料を調製し、混合と試験の間に40分間を置いた。滅菌後、厚み3mmの長方形形状にして、テフロンで覆われたガラス板上で、スペーサーとテフロン表面を持つガラスカバーの間にそれを注入した。生物材料から標準的なイヌの骨構造を打ち抜き、機械的試験に使用した。生体材料が損なわれる(完全に剪断)まで、上のグリップを上方に移動させて生体材料を延長させることで、引張試験を行った。サンプルの幅および厚みに基づいて、最大荷重および最大出力時の合計伸び率を測定した。グラフの最も線形の部分を表す2点からヤング率を計算した。試験速度は45mm/分で、10Nのロードセル(シリアル番号10N0360)を使用した。
【0278】
ASTM F2392-04、手術用封止剤の破裂強度に関する標準試験方法に基づいて破裂圧力試験を行った。各破裂圧力試験で、コラーゲンソーセージケーシング(Nitta Casings、米国ニュージャージー州)を基質として使用した。各ケーシング検体に直径3mmの穴を開け、各検体を検体保持マニホールドに留めた。成分を手動で混合することで前記泡を調製し、40分の硬化時間を取った。その後、組織マニホールドに再蒸留水を充填し、シリンジポンプ(KD Scientic、モデル100シリーズ)を120ml/時の速度で作動させて加圧した。水はシリコンチューブを通じて試験装置に供給され、破損するまでの最大圧力(PSI)を測定するために圧力計を使用した。各テスト後、破損の種類(凝集性、接着性)を記録した。各群に対して3回繰り返して試験を行った。
【0279】
結果を下表に示した。この表では、組織加工または手術時封止の分野でのさまざまなニーズに適合するように制御することが容易な機械的性質を有する本発明に従った生物材料を組み上げる能力を明確に示している。
【表4】
【表5】
実施例17:架橋ゼラチン泡の栄養素浸透の特徴評価
【0280】
この実施例では、栄養素の循環を可能にする本発明に従った組成物の能力を示す。トランスグルタミナーゼ/ゼラチン組成物を含んだ一方のシリンジからPBSを接続された他方のシリンジに押し込む作業を10回行う方法によって乾燥成分を手動で混合することで、以下の組成物の泡を作製し、着色された培地を添加する前に15分間の架橋時間を取った。4mlのPBS+1グラムのゼラチンおよび1gのmTGを混合した。生体材料は直径21mm、厚み26mmとなった。RedMaimonの食品着色液体染料を水で希釈し、生体材料を着色液体の中に24時間浸けた後、半分に切って色の拡散を測定した。
【0281】
図11は、半分に切られた生体材料の写真であり、生体材料内部に拡散する色の能力を示した。
実施例18:ゼラチン成分との混合後の細胞の生存
【0282】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。ガンマ線9.38kGray(Sorvan、イスラエル)を用いてゼラチン微細化粉末を滅菌した。
【0283】
以下の実施例は、本発明の従った組成物を生成するために必要な混合によって生じる剪断力に耐える正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)の能力を示すこと、および直接的な混合による、あるいは三方活栓を使用することによる生体材料内部への最良の細胞混入方法を評価することを意図する。細胞加工目的のための細胞骨格として使用した場合、この混合方法によって骨格体積内部の細胞の均質拡散および生存能力を確保する。
【0284】
3~5分間、2mlのトリプシン(トリプシンEDTA溶液B(0.25%)、EDTA(0.05%)、フェノールレッドを含む、Biological Industries、03-052-1A)処理を用いて80%の合流状態に達した時に、100mmプレートからNHDF細胞を分離し、6mlの血清含有培地(Dulbeccoの修飾イーグル培地、高グルコース、BiologicalIndustris、ロット番号1530279、10%認定ウシ胎仔血清、カタログ番号:04-001-1A、および1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液、Biological Industries、03-031-1Cを配合)によるトリプシンの拮抗を継続させた。5分間、1500RPMで細胞を遠心分離し、360,000NHDF細胞/mlの原液濃度となるように予熱した培地6mlに再懸濁させた。
【0285】
下表で述べた通りの細胞を含む培地へのゼラチン粉末の混合を3回繰り返して行い、細胞含有培地によって1:1に希釈されたトリパンブルー(0.5%)を用い、種付け4時間後および24時間後に目視検査を行って細胞生存性を実証した。ウェル1では、2本のシリンジシステム(オスのルアーロックをメスのルアーロックに接続した)を用いて前記ゼラチンおよび細胞を含む培地を直接混合させた。一方、ウェル2~3では、8回混合した培地2.5mlを用いて前記ゼラチンをまず溶解させ、その直後に、三方活栓(Elcam Medical)を用いて追加の細胞を含む培地1.5mlを添加し、追加の混合を2回行った。組織培養処理プラスチック(Corning Inc.、Costar、製品番号3516)の上面6ウェルプレート上に細胞含有ゼラチン混合物を種付けした。
【0286】
種付け4時間後には細胞の付着が容易に認められた一方で、種付け24時間後には、細胞はプレート上に完全に拡散したように見える。このことで、細胞に生存能力があり、混合中に受ける剪断応力に耐えることを証明する。
【表6】
実施例19:架橋ゼラチン泡内部での細胞生存能力
【0287】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。前記mTGは酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。ガンマ線9.38kGray(Sorvan、イスラエル)を用いてゼラチンおよびmTG微細化粉末を滅菌した。以下の培地は、血清含有培地(Dulbeccoの修飾イーグル培地、高グルコース、Biological Industris(イスラエル)、10%認定ウシ胎仔血清、カタログ番号:04-001-1A、および1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液、Biological Industries、03-031-1Cを配合)のことである。
【0288】
以下の実施例は、線維芽細胞が本発明に従った組成物に埋め込まれて、あるいは種付けされて7日間以上生存し、成長できることを示すことを意図する。
【0289】
3~5分間、2mlのトリプシン(トリプシンEDTA溶液B、Biological Industries、03-052-1A)処理を用いて80%の合流状態に達した時に、前記NHDF細胞を100mmプレートから分離し、血清含有培地によるトリプシンの拮抗を続けた。5分間、1500RPMで細胞を遠心分離し、1,000,000細胞/mlの原液濃度となるように培地に再懸濁させた。
群A:生体材料を調製するために10回、オスのルアーロックシリンジに入れられた120mgの無菌mTGに混合され、1mlの細胞原液培地(Dulbeccoの修飾イーグル培地、ロット番号1530279)に混合された200mgの無菌ゼラチンの組成を持ち、未処理プラスチック(Corning Inc.、Costar、参照番号3736、ロット番号30015036)の6ウェルプレート上に注入されたゼラチン生体材料。
群B:細胞を含まない培地に同じ組成の生体材料を混合し、40分間架橋させ、1x106個の細胞を3mlの培地(Dulbeccoの修飾イーグル培地、高グルコース、Biological Industries、ロット番号1530279、10%認定ウシ胎仔血清、カタログ番号04-001-1Aおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液、Biological Industries、03-031-1Cを配合)に添加し、37℃で2時間シェーカーに入れた後、5%のCO2を含み、37℃設定のインキュベーターに移した。この方法によって、細胞はゼラチン骨格上に付着できるようになり、その体積内に埋め込まれるよりも表面上で成長する。
群C:対照として使用され、細胞を含まないが、群AおよびBの生物材料と同じ組成である。
5%のCO2を含み、37℃に設定されたインキュベーターで群A、B、Cを培養した。
【0290】
すべての群の種付け後24時間で、メスを用いて1/4に切断し、生体材料に付着していない細胞から試験片を分離するため、群Bの生体材料を細胞培養用に処理されていない新しいプラスチック製6ウェルプレートに移し、その後、10%体積比のAlamarblueをすべてのウェルに添加した。細胞種付け3日後および6日後にAlamrblue還元を測定した。Alamarblue反応のために24時間放置した。
【0291】
図10に示した結果は、生体材料内部(群A)および生体材料上(群B)の細胞には生存能力があり、対照(群C)と比較してAlamrblue含有培地の異なる発色によって示される設計時間時にAlamrblueを還元することができることを明確に示している。それらの結果は、架橋ゼラチン泡生体材料が組織加工目的のための優れた骨格としての機能を果たし得ることを裏付けている。
実施例20:肺気腫治療のための手術用封止剤としての使用の実施形態
【0292】
この実施例では、肺容量削減を達成するために本発明に従った生体適合性医療用封止剤組成物の生体内実証を行う。上述の通り、肺容量低減には、特に、例えば肺気腫などの肺組織が慢性的に膨張した疾病または病状に対する多くの治療的応用がある。
【0293】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。
【0294】
大きな90kgの大型種のブタを供用した。
【0295】
ゼラチン成分および酵素成分の混合物を特徴とした、本発明の一部の実施形態に従った医療用封止剤泡を使用した。1.2グラムのゼラチン粉末を0.4グラムのmTGに混合し、8mlの生理食塩水と混合させた。約12mlの生成された泡を、長さ200cm、直径7Fの非常に長いカテーテルを通じて肺に注入した。
結果
【0296】
前記長いカテーテルを通じて前記泡を注入することに成功した。気管支鏡を用いて、前記泡が目標の肺の内層に到達したことを目視確認した。手術後に動物を安楽死させ、肺を横に切断した。細気管支を露出させ、泡が細気管支に入り、所定の位置に付着したままであることが分かった。
実施例22:本発明の一部の実施形態に従った組成物の皮下注射
【0297】
以下のゼラチンはGelita 275ブルーム、タイプAブタゼラチン(Gelita、米国アイオワ州スーシティー)医療グレード低内毒性、Superfine Ltd.製ジェットミル処理装置によって以下の粒径範囲に処理されたものである:d(0.1)=4.24μm、d(0.5)=16.61μm、d(0.9)=31.51μm。
【0298】
以下のmTGは、100U/グラムの活性度を有する粉末であるACTIVA WM(味の素、東京)のことである。前記mTGは酵素を1%、マルトデキストリンを99%含有する。ゼラチンおよびmTG微細化粉末を9.93キログレイの電子線(Sorvan、イスラエル)で滅菌した。試験組成物は、0.25グラムのゼラチン粉末+0.25グラムのmTGを1本のシリンジに入れ、1mlの無菌食塩水と混合させたものである。
【0299】
60kgの大型種のブタ2頭を試験に使用した。動物に麻酔をかけ、針を用いて左前肢の皮膚下への試験組成物(0.3~0.5mlの泡)の注入を行った。90日の経過観察期間後、動物を安楽死させ、顕微鏡分析のために組織を採取した。組織試料をホルマリン固定し、スライドの調製およびH&E染色のために送った。
結果
【0300】
どの動物も有害事象を示さなかった。前記生体材料は優れた耐性を示し、大部分は分解した。壊死も、空洞形成も、移動も報告されなかった。前記物質は線維芽細胞を注入された目標に引き付けることができ、それらは増殖し、生体材料を置換する線維性組織を生成した。慢性肉芽腫反応および線維芽細胞が生体材料の体積に置き換わる役割を果たす。両方の動物で、最低限の炎症反応を示すリンパ球が最小限存在するとともに、移植部位の隅々で線維芽細胞が均等に分散される(断面で直径2~2.5mm)。
【0301】
本願明細書全体を通じて引用される出版物はそのすべての全体の内容が引用により援用される。実施例および好適な実施形態を参照することにより本発明のさまざまな側面を上記で説明してきたが、当然のことながら本発明の範囲は前述の説明で定義されないが、特許法の原則下で適正に解釈される以下の請求項によって定義される。