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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ノズル及び造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20240415BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240415BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240415BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240415BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021037429
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137766
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井野元 誠
(72)【発明者】
【氏名】西村 渉
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071101(JP,A)
【文献】特開2018-108714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/106,64/209
B33Y 10/00,30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料が吐出される造形装置のノズルであって、
軸線に沿って供給部から吐出口まで延在して、樹脂材料が案内される樹脂流路と、
該樹脂流路と前記ノズルの外部とを連通して、樹脂材料に混入した気体を前記樹脂流路から前記ノズルの外部に排出するための連通流路と、
を備えているノズル。
【請求項2】
前記樹脂流路の周囲に設けられ、前記樹脂流路を案内される樹脂材料を加熱可能な加熱部を備え、
前記連通流路は、樹脂材料が進む方向において前記加熱部よりも下流側の前記樹脂流路に連通している請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記軸線の方向に沿って樹脂材料が進む方向を0°としたとき、
前記連通流路は、90°以上135°以下の傾斜角度とされている請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項4】
前記樹脂流路は、上流側よりも下流側の流路面積が大きくなる流路拡大部を有し、
前記連通流路は、前記流路拡大部に連通している請求項1から3のいずれかに記載のノズル。
【請求項5】
前記流路拡大部は、樹脂材料が進む方向に沿って拡がるテーパ面を有し、
該テーパ面は、5°以上30°以下の勾配角度とされている請求項4に記載のノズル。
【請求項6】
前記樹脂流路を画定する周壁には、前記軸線の周りに螺旋状に形成された溝が設けられている請求項1から5のいずれかに記載のノズル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のノズルを備えている造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ノズル及び造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂AM技術は、試作部品の製作のようなラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)の分野から、実部品の製作のようなDDM(Direct Digital Manufacturing)まで、幅広い用途で用いられている。
【0003】
特に、溶融した樹脂材料をノズルから吐出させて積層する熱溶解積層法(FFF:Fused Filament Fabrication)方式は、構造が簡便なうえに多様な樹脂材料を使用できるため、多岐にわたって利用されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-157752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、FFF方式は、造形物の内部欠陥(例えばボイド)が発生しやすいことが知られている。
ボイドの原因としては、主に次の2つが挙げられる。第1の原因は造形ビードの隙間に由来するものであり、第2の原因は吐出された樹脂材料中に気体が混入しているものである。
【0006】
第1の原因については樹脂材料の吐出量の調整やパスの工夫によって改善することができる。しかし、第2の原因については改善が困難であり、装置に何かしらの改良が必要である。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、吐出される樹脂材料に気体が混入する可能性を低減できるノズル及び造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のノズル及び造形装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係るノズルは、樹脂材料が吐出される造形装置のノズルであって、軸線に沿って供給部から吐出口まで延在して、樹脂材料が案内される樹脂流路と、該樹脂流路と前記ノズルの外部とを連通している連通流路と、を備えている。
【0009】
また、本開示の一態様に係る造形装置は、上記ノズルを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、吐出される樹脂材料に気体が混入する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1実施形態に係る造形装置の構成図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るノズルの縦断面図である。
図3図2に示す切断線III-IIIにおける横断面図である。
図4】樹脂材料が案内されているノズルの縦断面図である。
図5】本開示の第2実施形態に係るノズルの縦断面図である。
図6】本開示の第3実施形態に係るノズルの縦断面図である。
図7】本開示の第4実施形態に係るノズルの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態に係るノズル及び造形装置について図面を用いて説明する。
図1に示すように、造形装置1は、造形ヘッド11及び造形テーブル12を備えている。造形装置1は、例えばFFF方式の三次元造形装置である。
【0013】
造形ヘッド11には、細長い紐状の樹脂材料41が供給される。樹脂材料41としては、ナイロン、ABS樹脂、PLA(Polylactic Acid)、PEI(Poly Ether Imide)等が例示される。
【0014】
供給された樹脂材料41は、造形ヘッド11に設けられたノズル20Aから吐出される。ノズル20Aは、先端(吐出口22b)が造形テーブル12側を向いた状態で造形ヘッド11に設けられている。
【0015】
ノズル20Aから吐出した樹脂材料41は、造形テーブル12上に積層されていき、所望形状の造形物42が造形される。
【0016】
造形ヘッド11は、図1に示したX方向及びY方向に移動できるように構成されている。また、造形テーブル12は、図1に示したZ方向を移動できるように構成されている。これによって、造形ヘッド11と造形テーブル12とは、相対的に三次元で移動できるように構成されている。
なお、造形ヘッド11と造形テーブル12とが相対的に三次元で移動できる構成であれば、造形ヘッド11及び造形テーブル12の移動方向は上記の方向に限られない。
【0017】
図2に示すように、ノズル20Aは、ノズル本体21、樹脂流路22、ベント流路(連通流路)23及びヒータ(加熱部)24を備えている。
【0018】
ノズル本体21は、金属製(例えば、フィラーなしの樹脂用としては真鍮、フィラー入りの樹脂用としては炭素鋼)の部材とされている。ノズル本体21は、内部に樹脂流路22及びベント流路23を画定している。すなわち、樹脂流路22及びベント流路23は、ノズル本体21によって形成された流路である。
【0019】
樹脂流路22は、基端側に供給部22a、先端側に吐出口22bを有しており、樹脂流路軸線(軸線)C1に沿って供給部22aから吐出口22bまで延在している。
【0020】
樹脂流路22は、造形ヘッド11を介して供給部22aに供給された樹脂材料41を吐出口22bまで案内する。
【0021】
図3に示すように、樹脂流路22は、横断面形状が例えば円形である。また、図2に示すように、樹脂流路22は、供給部22aから樹脂流路軸線C1に沿った所定範囲の内径が一定とされ、その後、吐出口22bに向かって先細りしていく。
【0022】
ヒータ24は、樹脂流路22の周囲のノズル本体21に設けられている。ヒータ24は、樹脂流路22の先細りした部分よりも供給部22a側の部分(内径が一定とされた範囲)に設けられている。
【0023】
ヒータ24は、樹脂流路22を画定するノズル本体21を加熱する。これによって、樹脂流路22を案内される樹脂材料41が加熱されることになる。
【0024】
図2及び図3に示すように、ベント流路23は、樹脂流路22に連通口23a、ノズル本体21の外面に開放口23bを有しており、樹脂流路軸線C1の半径方向に延びたベント流路軸線C2に沿って供給部22aから吐出口22bまで延在している。ベント流路23は、樹脂流路22とノズル20Aの外部とを連通させている。
【0025】
連通口23aは、樹脂材料41が進む方向において、ヒータ24よりも下流側、かつ、樹脂流路22の先細りした部分よりも上流側に位置している。
【0026】
ベント流路23は、横断面形状が例えば円形であり、ベント流路軸線C2に沿った全ての範囲に亘って内径が一定とされている。
ここで、ベント流路23の内径は、樹脂流路22の内径(寸法が一定とされた範囲の内径)に比べて十分に小さく、例えば0.1mm~0.3mm程度である。これによって、粘性がある樹脂材料41(溶融した樹脂材料41)が、連通口23aからベント流路23に入り込みにくいようにしている。
【0027】
なお、図3に示す場合、ベント流路23は1本だけ設けられているが、樹脂流路軸線C1を中心にして放射状に複数本設けてもよい。
【0028】
以上のような構成において、樹脂材料41は、次のようにノズル20Aから吐出される。
すなわち、図4に示すように、供給部22aに供給された樹脂材料41は、吐出口22bに向かって進む。このとき、樹脂材料41は、ヒータ24によって溶融される。これによって、固体の状態で供給された樹脂材料41は、溶融した状態で吐出口22bから吐出される。
【0029】
ここで、樹脂材料41には水分が含まれていることがあり、この水分は樹脂材料41の昇温によって気化する。気化によって発生した気体は、樹脂流路22にて、溶融した樹脂材料41に混ざり込む。溶融した樹脂材料41に混入した気体は、造形物42におけるボイドの原因となる。
【0030】
そこで、本実施形態においては、ベント流路23を設けることで、樹脂材料41に混入した気体を樹脂流路22からノズル20Aの外部に排出することとした。
【0031】
以下、樹脂材料41に混入した気体を排出する過程について説明する。
気体は、溶融した樹脂材料41中において拡散係数が高い。このため、樹脂材料41に混入した気体は、樹脂流路22を画定する内周壁に向かって移動する傾向にある(拡散による移動)。
【0032】
内周壁に向かって移動した気体は、連通口23aからベント流路23に入り込んで、開放口23bから排出される。
【0033】
以上の過程によって、樹脂材料41に混入した気体は、樹脂流路22からベント流路23を介してノズル20Aの外部に排出されることになる。
【0034】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
樹脂流路22とノズル20Aの外部とを連通しているベント流路23と、を備えているので、樹脂材料41に混入した気体を樹脂流路22からベント流路23を介してノズル20Aの外部に排出することができる。これによって、吐出口22bから吐出される樹脂材料41中に気体が混入する可能性を低減できる。このため、造形物42の内部にボイドが発生する可能性を低減できる。
【0035】
また、ベント流路23は、樹脂材料41が進む方向においてヒータ24よりも下流側の樹脂流路22に連通しているので、樹脂材料41が確実に溶融した部分の樹脂流路22とノズル20Aの外部とをベント流路23を介して連通させることができる。
【0036】
[第2実施形態]
以下、本開示の第2実施形態に係るノズル及び造形装置について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態のノズル20Bは、第1実施形態のノズル20Aに対してベント流路23の構成が異なり、その他の点は同一である。したがって、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図5に示すように、ベント流路23(ベント流路軸線C2)は、連通口23aから開放口23bに向かって上向きに傾斜している。
【0038】
このとき、ベント流路23(ベント流路軸線C2)の傾斜角度θは、樹脂流路軸線C1に沿って樹脂材料が進む方向を0°としたとき、例えば90°以上135°以下とされる。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ベント流路23は、90°以上135°以下の傾斜角度とされているので、樹脂材料41の進む方向に逆らってベント流路23を傾けることができる。このとき、樹脂材料41には、樹脂材料41の進む方向に向かって慣性力が作用している。すなわち、樹脂材料41は、樹脂材料41が進む方向に向かって流れ続けようとする。このため、ベント流路23を上記のように傾けることで、溶融した樹脂材料41が樹脂流路22からベント流路23を介してノズル20Bの外部に漏出する可能性を低減できる(いわゆるベントアップの抑制になる)。
【0040】
[第3実施形態]
以下、本開示の第3実施形態に係るノズル及び造形装置について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態のノズル20Cは、第1実施形態のノズル20Aに対して樹脂流路22の構成が異なり、その他の点は同一である。したがって、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図6に示すように、樹脂流路22は、流路拡大部22cを有している。
流路拡大部22cは、樹脂材料41の進む方向において、上流側よりも下流側の流路面積が大きくなるように構成されている部分である。
【0042】
流路拡大部22cは、例えば樹脂流路軸線C1周の全周方向に亘って形成されたテーパ面によって構成される。
テーパ面の角度勾配φは、5°以上30°以下とされることが好ましい。すなわち、テーパ面のテーパ角度γは、10°以上60°以下とされることが好ましい。
【0043】
このような樹脂流路22において、連通口23aは、流路拡大部22cに臨むように配置されている。これによって、ベント流路23は、流路拡大部22cに連通することになる。
【0044】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ベント流路23は、流路拡大部22cに連通しているので、流路拡大部22cで溶融した樹脂材料41の圧力を下げるとともに流路拡大部22cにベント流路23を連通させることで、樹脂材料41が樹脂流路22からベント流路23を介してノズル20Cの外部に漏出する可能性を低減できる(いわゆるベントアップの抑制になる)。
【0045】
また、テーパ面の勾配角度を5°以上とすることで、溶融した樹脂材料の圧力を十分に下げることができる。また、テーパ面の勾配角度を30°以下とすることで、樹脂材料が滞留する可能性を低減できる。仮に、テーパ面の勾配角度を30°以上とした場合、樹脂材料41の流れがテーパ面の始端で剥離する可能性がある。この場合、剥離渦が発生して滞留が生じる可能性がある。
【0046】
[第4実施形態]
以下、本開示の第4実施形態に係るノズル及び造形装置について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態のノズル20Dは、第1実施形態のノズル20Aに対して樹脂流路22の構成が異なり、その他の点は同一である。したがって、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、樹脂流路22を画定する周壁には、樹脂流路軸線C1の周りに螺旋状に形成された溝25が設けられている。溝25は、溶融した樹脂流路22を螺旋状に流動させる。
【0048】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
螺旋状に形成された溝25が設けられているので、樹脂流路22を進む樹脂材料41が螺旋状に流動する。これによって、拡散だけでなく樹脂材料41の流動によっても樹脂材料41に混入した気体が移動するようになる。このため、樹脂材料41に混入した気体が更に排出されやすくなる。
【0049】
なお、第1実施形態から第4実施形態に係る各ノズルの構成は任意に組み合わせることができる。例えば、流路拡大部22cを有している樹脂流路22に溝25を設けてもよいし、傾斜したベント流路23が連通している樹脂流路22に溝25を設けてもよい。
【0050】
以上の通り説明した各実施形態は、例えば以下のように把握される。
すなわち、本開示の一実施形態に係るノズル(20A,20B,20C,20D)は、樹脂材料(41)が吐出される造形装置(1)のノズルであって、軸線(C1)に沿って供給部(22a)から吐出口(22b)まで延在して、樹脂材料が案内される樹脂流路(22)と、該樹脂流路と前記ノズルの外部とを連通している連通流路(23)と、を備えている。
【0051】
本態様に係るノズルによれば、軸線に沿って供給部から吐出口まで延在して、樹脂材料が案内される樹脂流路と、樹脂流路とノズルの外部とを連通している連通流路と、を備えているので、樹脂材料中に混入した気体を樹脂流路から連通流路を介してノズルの外部に排出することができる。これによって、吐出口から吐出される樹脂材料中に気体が混入する可能性を低減できる。このため、造形物の内部にボイドが発生する可能性を低減できる。
【0052】
また、本開示の一態様に係るノズル(20A,20B,20C,20D)は、前記樹脂流路の周囲に設けられ、前記樹脂流路を案内される樹脂材料を加熱可能な加熱部(24)を備え、前記連通流路は、樹脂材料が進む方向において前記加熱部よりも下流側の前記樹脂流路に連通している。
【0053】
本態様に係るノズルによれば、樹脂流路の周囲に設けられ、樹脂流路を案内される樹脂材料を加熱可能な加熱部を備え、連通流路は、樹脂材料が進む方向において加熱部よりも下流側の樹脂流路に連通しているので、樹脂材料が確実に溶融した部分の樹脂流路とノズルの外部とを連通流路を介して連通させることができる。
【0054】
また、本開示の一態様に係るノズル(20B)において、前記軸線の方向において樹脂材料が進む方向を0°としたとき、前記連通流路は、90°以上135°以下の傾斜角度とされている。
【0055】
本態様に係るノズルによれば、軸線の方向において樹脂材料が進む方向を0°としたとき、連通流路は、90°以上135°以下の傾斜角度とされているので、樹脂材料の進む方向に逆らって連通流路を傾けることができる。このとき、樹脂材料には、樹脂材料の進む方向に向かって慣性力が作用している。すなわち、樹脂材料は、樹脂材料が進む方向に向かって流れ続けようとする。このため、連通流路を上記のように傾けることで、溶融した樹脂材料が樹脂流路から連通流路を介してノズルの外部に漏出する可能性を低減できる。
【0056】
また、本開示の一態様に係るノズル(20C)は、前記樹脂流路は、上流側よりも下流側の流路面積が大きくなる流路拡大部(22c)を有し、前記連通流路は、前記流路拡大部に連通している。
【0057】
本態様に係るノズルによれば、樹脂流路は、上流側よりも下流側の流路面積が大きくなる流路拡大部を有し、前記連通流路は、前記流路拡大部に連通しているので、流路拡大部で溶融した樹脂材料の圧力を下げるとともに流路拡大部に連通流路を連通させることで、樹脂材料が樹脂流路から連通流路を介してノズルの外部に漏出する可能性を低減できる。
【0058】
また、本開示の一態様に係るノズル(20C)において、前記流路拡大部は、樹脂材料が進む方向に沿って拡がるテーパ面を有し、該テーパ面は、5°以上30°以下の勾配角度とされている。
【0059】
本態様に係るノズルによれば、流路拡大部は、樹脂材料が進む方向に沿って拡がるテーパ面を有し、テーパ面は、5°以上勾配角度とされているので、溶融した樹脂材料の圧力を下げることができる。また、テーパ面は、30°以下の勾配角度とされているので、樹脂材料が滞留する可能性を低減できる。
【0060】
また、本開示の一態様に係るノズル(20D)において、前記樹脂流路を画定する周壁には、前記軸線の周りに螺旋状に形成された溝(25)が設けられている。
【0061】
本態様に係るノズルによれば、樹脂流路を画定する周壁には、軸線の周りに螺旋状に形成された溝が設けられているので、樹脂流路を進む樹脂材料が螺旋状に流動する。これによって、拡散だけでなく樹脂材料の流動によっても樹脂材料に混入した気体が移動するようになる。このため、樹脂材料に混入した気体が更に排出されやすくなる。
【0062】
また、本開示の一態様に係る造形装置は、上記のノズルを備えている。
【符号の説明】
【0063】
1 造形装置
11 造形ヘッド
12 造形テーブル
20A,20B,20C,20D ノズル
21 ノズル本体
22 樹脂流路
22a 供給部
22b 吐出口
22c 流路拡大部
23 ベント流路(連通流路)
23a 連通口
23b 開放口
24 ヒータ(加熱部)
25 溝
41 樹脂材料
42 造形物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7