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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】超音波診断システム及び超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021073325
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167500
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2023-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日下部 彰
(72)【発明者】
【氏名】脇 康治
(72)【発明者】
【氏名】笠原 英司
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-327496(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031743(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置と、
前記超音波診断装置に接続され、前記超音波診断装置が有する基本機能を超える拡張機能を実行する外部情報処理装置と、
を含み、
前記超音波診断装置は、
超音波画像を含むリアルタイム画像として第1画像を生成する第1画像生成部と、
基本モードが選択された場合に前記第1画像を選択し、拡張モードが選択された場合に前記外部情報処理装置において生成された第2画像を選択する表示制御部と、
前記第1画像及び前記第2画像を入力し、前記表示制御部により選択された画像を出力する表示切換部と、
前記表示切換部から出力された画像を表示する表示器と、
を含み、
前記外部情報処理装置は、前記超音波画像に基づいてリアルタイム画像として前記第2画像を生成する第2画像生成部を含み、
前記超音波診断装置から前記外部情報処理装置へ通信ケーブルを介して前記超音波画像が転送され、
前記外部情報処理装置から前記超音波診断装置へビデオ信号ケーブルを介して前記第2画像が転送される、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置に対して前記外部情報処理装置が配置又は連結されている、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項3】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、ユーザーが前記基本モード及び前記拡張モードを選択するためのモード選択手段を有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項4】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は入力部を有し、
前記超音波診断装置は、前記拡張モードにおいて、前記入力部を介して入力された入力情報であって前記拡張機能の実行に際して必要となる特定の入力情報を前記外部情報処理装置へ転送する転送制御部を有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項5】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、前記拡張モードにおいて、前記超音波診断装置が有するパラメータ情報であって前記拡張機能の実行で必要となる特定のパラメータ情報を前記外部情報処理装置へ転送する転送制御部を有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項6】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は関連機器を備え、
前記超音波診断装置は、前記拡張モードにおいて、前記関連機器で生成された関連情報であって前記拡張機能の実行で必要となる特定の関連情報を前記外部情報処理装置へ転送する転送制御部を有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項7】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、
電源オン操作及び電源オフ操作のためのスイッチと、
前記電源オン操作が行われた場合に当該超音波診断装置及び前記外部情報処理装置の起動を制御し、前記電源オフ操作が行われた場合に当該超音波診断装置及び前記外部情報処理装置のシャットダウンを制御する電源制御部と、
を含む、ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項8】
拡張機能を発揮する外部情報処理装置が接続される超音波診断装置であって、
前記拡張機能は当該超音波診断装置が有する基本機能を超える機能であり、
当該超音波診断装置は、
基本モード又は拡張モードを選択するための手段と、
超音波画像を含むリアルタイム画像として第1画像を生成する手段と、
前記基本モードが選択された場合に前記第1画像を選択し、前記拡張モードが選択された場合に前記外部情報処理装置で生成された第2画像を選択する表示制御手段と、
前記第1画像及び前記第2画像を入力し、前記表示制御手段により選択された画像を出力する表示切換手段と、
前記表示切換手段から出力された画像を表示する手段と、
を含み、
前記第2画像は前記超音波画像に基づいて前記拡張機能により生成されたリアルタイム画像であり、
前記超音波診断装置から前記外部情報処理装置へ通信ケーブルを介して前記超音波画像が転送され、
前記外部情報処理装置から前記超音波診断装置へビデオ信号ケーブルを介して前記第2画像が転送される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波診断システムに関し、特に、超音波診断装置及び外部情報処理装置により構成される超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置においては、プロセッサが処理、演算及び制御に関わる多数の機能の実行を担っている。プロセッサの処理能力は有限であり、超音波診断装置に対して新しい機能を追加する際、プロセッサの処理能力が問題となる。例えば、超音波診断に際し、三次元画像形成機能、機械学習型画像解析機能、診断支援機能等を利用したい場合、そのような問題が生じ易い。開発者やユーザーは、超音波診断装置に対して、それが有している基本機能以外の拡張機構を搭載したいというニーズを有しているが、プロセッサの処理能力の有限性は当該ニーズを満たすことに対しての妨げとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-8535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波診断装置に外部情報処理装置を接続し、これにより超音波診断システムを構成すれば、外部情報処理装置の処理能力を活用することが可能となる。それは、外部情報処理装置に拡張機能を担わせるものである。そのためには、超音波診断装置と外部情報処理装置を旨く連携させる必要がある。
【0005】
超音波診断装置と外部情報処理装置に対し、同じ周辺機器(表示器等)を個別的に設けると、物量の増大(且つコストアップ)という問題が生じる。超音波診断装置の周囲において、周辺機器を伴う外部情報処理装置を配置するための十分なスペースが存在していないこともある。
【0006】
なお、特許文献1に開示された超音波診断システムは外部情報処理装置を有している。外部情報処理装置は、デスクトップ型のコンピュータであり、それは、コンピュータ本体及び表示器を備えている。外部情報処理装置では、超音波診断装置から転送された画像データに対して計測が実行され、その計測結果が超音波診断装置に転送されている。外部情報処理装置におけるリアルタイムでの外部処理及び超音波診断装置におけるリアルタイムでの外部処理結果の表示については特許文献1には記載されていない。
【0007】
本開示の目的は、超音波診断システムの構築に当たって物量を削減することにある。あるいは、本開示の目的は、リアルタイムで機能する基本処理系統及び拡張処理系統を備える新たな超音波診断システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る超音波診断システムは、超音波診断装置と、前記超音波診断装置に接続され、前記超音波診断装置が有する基本機能を超える拡張機能を実行する外部情報処理装置と、を含む。前記超音波診断装置は、超音波画像を含むリアルタイム画像として第1画像を生成する第1画像生成部と、基本モードが選択された場合に前記第1画像を選択し、拡張モードが選択された場合に前記外部情報処理装置で生成された第2画像を選択する表示制御部と、前記表示制御部により選択された画像を表示する表示器と、を含む。前記外部情報処理装置は、前記超音波画像に基づいてリアルタイム画像として前記第2画像を生成する第2画像生成部を含む。
【0009】
本開示に係る超音波診断装置は、拡張機能を発揮する外部情報処理装置が接続される超音波診断装置である。前記拡張機能は当該超音波診断装置が有する基本機能を超える機能である。当該超音波診断装置は、基本モード及び拡張モードを選択するための手段と、超音波画像を含むリアルタイム画像として第1画像を生成する手段と、前記基本モードが選択された場合に前記第1画像を選択し、前記拡張モードが選択された場合に前記外部情報処理装置で生成された第2画像を選択する手段と、前記選択された画像を表示する手段と、を含む。前記第2画像は前記超音波画像に基づいて前記拡張機能により生成されたリアルタイム画像である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、超音波診断システムの構築に当たって物量を削減できる。あるいは、本開示によれば、リアルタイムで機能する基本処理系統及び拡張処理系統を備える新たな超音波診断システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る超音波診断システムを示すブロック図である。
図2】本体に設置された外部情報処理装置(外部装置)を示す図である。
図3】操作パネルの一例を示す図である。
図4】超音波プローブの一例を示す図である。
図5】第1表示画像及び第2表示画像を示す図である。
図6】超音波診断装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】電源投入時の動作を示すフローチャートである。
図8】シャットダウン時の動作を示すフローチャートである。
図9】変形例に係る超音波診断システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断システムは、超音波診断装置、及び、外部情報処理装置を有する。外部情報処理装置は、超音波診断装置に接続され、超音波診断装置が有する基本機能を超える拡張機能を実行する装置である。超音波診断装置は、第1画像生成部、表示制御部、及び、表示器を有する。第1画像生成部は、超音波画像を含むリアルタイム画像として第1画像を生成する。表示制御部は、基本モードが選択された場合に第1画像を選択し、拡張モードが選択された場合に外部情報処理装置で生成された第2画像を選択する。表示器には、表示制御部により選択された画像が表示される。外部情報処理装置は、超音波画像に基づいてリアルタイム画像として第2画像を生成する第2画像生成部を含む。
【0014】
上記構成によれば、リアルタイムで機能する基本処理系統及び拡張処理系統を備えた超音波診断システムを構築できる。基本処理系統は、超音波診断装置がもともと備えている処理系統であり、それには第1画像生成部が含まれる。拡張処理系統は、外部情報処理装置の付加より実現された処理系統であり、それには第2画像生成部が含まれる。基本モードが選択された場合、基本処理系統が機能し、第1画像がリアルタイムで生成及び表示され、一方、拡張モードが選択された場合、拡張処理系統が機能し、第2画像がリアルタイムで生成及び表示される。第1画像及び第2画像は、超音波診断装置が有している表示器に選択的に表示される。
【0015】
上記構成において、リアルタイム画像は、超音波の送受波と同時進行で生成される動画像であって、各時刻で取得される受信情報(エコー情報)を逐次的に反映した画像である。外部情報処理装置から表示器を除外できれば、その分だけ物量を削減でき、またコストダウンを図れる。仮に外部情報処理装置が表示器を有していても、超音波診断装置の表示器に第2画像を表示した方が読影をし易い。
【0016】
外部情報処理装置は、その名称が表す通り、それ単独でも情報処理を実行することが可能な装置である。実施形態において、外部情報処理装置は、超音波診断装置と同様に、電源、プロッサ、オペレーションシステム(OS)等を備えている。拡張機能は、基本機能以外の機能である。拡張機能が重い処理に相当するものであっても、その処理は外部処理装置内のプロセッサが担うので、超音波診断装置内のプロセッサに過度な負担がかかることはない。外部処理装置に対して、超音波診断装置が有する基本機能を重複して登載するようにしてもよい。
【0017】
実施形態においては、超音波診断装置に対して外部情報処理装置が配置又は連結されている。例えば、超音波診断装置の本体に設けられた台座上に外部情報処理装置が設置されてもよいし、超音波診断装置の本体の側面に外部情報処理装置が連結されてもよい。そのような設置態様を前提として、外部情報処理装置の形状を比較的に小形の箱形としてもよい。外部情報処理装置から表示器や入力器を除外できれば、外部情報処理装置それ全体を小型化、簡素化できる。
【0018】
実施形態において、超音波診断装置は、ユーザーが基本モード及び拡張モードを選択するためのモード選択手段を有する。モード選択手段は、物理的な操作子、仮想的な操作子(例えばアイコン)等によって構成され得る。動作モードが自動的に選択されてもよい。
【0019】
実施形態において、超音波診断装置は入力部及び転送制御部を有する。転送制御部は、拡張モードにおいて、入力部を介して入力された入力情報であって拡張機能の実行に際して必要となる特定の入力情報を外部情報処理装置へ転送する。この構成によれば、外部入力装置に入力部を常設しておく必要がなくなる。
【0020】
実施形態において、超音波診断装置は転送制御部を有する。転送制御部は、拡張モードにおいて、超音波診断装置が有するパラメータ情報であって拡張機能の実行で必要となる特定のパラメータ情報を外部情報処理装置へ転送する。この構成によれば、外部情報処理装置での拡張機能を適切に動作させることが可能となる。
【0021】
実施形態において、超音波診断装置は関連機器及び転送制御部を有する。転送制御部は、拡張モードにおいて、関連機器で生成された関連情報であって拡張機能の実行で必要となる特定の関連情報を外部情報処理装置へ転送する転送制御部を有する。この構成によれば、関連機器から情報処理装置への関連情報の直接的な出力が不要となる。
【0022】
実施形態において、超音波診断装置から外部情報処理装置へ第1通信ラインを介して超音波画像が転送される。外部情報処理装置から超音波診断装置へ第1通信ラインとは別の第2通信ラインを介して第2画像が転送される。複数の通信ラインを併用すれば、大量のデータを迅速に授受できる。第1通信ラインを一般的なネットワークで構成し、第2通信ラインを一般的なビデオ信号線で構成してもよい。
【0023】
実施形態において、超音波診断装置は、スイッチ、及び、電源制御部を有する。スイッチは、電源オン操作及び電源オフ操作のためのスイッチである。電源制御部は、電源オン操作が行われた場合に超音波診断装置及び外部情報処理装置の起動を制御する。一方、電源オフ操作が行われた場合に超音波診断装置及び外部情報処理装置のシャットダウンを制御する。この構成によれば、2つの装置の起動及びシャットダウンを適切に連動させることが可能となる。
【0024】
実施形態に係る超音波診断装置は、拡張機能を発揮する外部情報処理装置が接続される超音波診断装置である。拡張機能は超音波診断装置が有する基本機能を超える機能である。超音波診断装置は、基本モード及び拡張モードを選択するための手段と、超音波画像を含むリアルタイム画像として第1画像を生成する手段と、基本モードが選択された場合に第1画像を選択し、拡張モードが選択された場合に外部情報処理装置で生成された第2画像を選択する手段と、選択された画像を表示する手段と、を有する。第2画像は、超音波画像に基づいて拡張機能により生成されたリアルタイム画像である。
【0025】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断システムが示されている。超音波診断システムは、例えば、医療機関に設置され、生体への超音波の送受波により得られた情報に基づいて超音波画像をリアルタイムで生成及び表示する医用システムである。
【0026】
超音波診断システムは、超音波診断装置10と外部情報処理装置(以下「外部装置」という。)12により構成される。超音波診断装置10は情報処理装置の一種であり、その観点から見て、超音波診断システムは、2つの情報処理装置を含むシステムであると言い得る。外部装置12は、超音波診断装置10が備える基本機能を超える拡張機能を備えている。
【0027】
超音波診断システムは、基本モードと拡張モードとを有している。いずれかのモードをユーザー(医師、検査技師等)において選択し得る。基本モードが選択された場合、超音波診断装置10内の基本処理系統がリアルタイム動作し、一方、拡張モードが選択された場合、外部装置12内の拡張処理系統がリアルタイム動作する。すなわち、超音波の送受波と同時進行でいずれかの処理系統が動作する。
【0028】
超音波診断装置10は、本体14を有する。本体14に対して着脱可能に超音波プローブ16が接続される。超音波プローブ16として、体表上に当接して使用されるプローブ、体腔内に挿入して使用されるプローブ、等が知られている。超音波プローブ16は、例えば、一次元配列された複数の振動素子からなる振動素子アレイを有する。振動素子アレイによって超音波ビームが形成され、超音波ビームが電子的に走査される。超音波プローブ16に、二次元配列された複数の振動素子からなる振動素子アレイが設けられてもよいし、直交関係にある複数の振動素子列が設けられてもよい。
【0029】
送受信部18は、送信時において、振動素子アレイに対して複数の送信信号を並列的に供給する。受信時において、送受信部18は、振動素子アレイから並列的に出力された複数の受信信号に対して所定の処理(増幅、A/D変換、遅延、加算等)を適用する。これによりビームデータが生成される。超音波ビームの電子走査の繰り返しに伴って、送受信部18から受信フレームデータ列が出力される。
【0030】
受信フレームデータ列は、時間軸上において並ぶ複数の受信フレームデータにより構成される。個々の受信フレームデータは、電子走査方向に並ぶ複数のビームデータにより構成される。個々のビームデータは、深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。送受信部18の後段にはビームデータ処理部が設けられているが、その図示が省略されている。
【0031】
画像形成部20は、受信フレームデータ列に基づいて表示フレームデータ列を生成するものであり、それは具体的にはDSC(デジタルスキャンコンバータ)により構成される。DSCは、座標変換機能、画素補間機能、等を有するプロセッサにより構成される。個々の表示フレームデータが断層画像に相当する。
【0032】
画像合成部22は、断層画像に対してグラフィック画像等を合成し、これにより表示画像(第1表示画像、第1画像)を生成するものである。画像合成部22は、合成後の表示フレームレータ列として第1表示フレームデータ列を出力する。
【0033】
表示切換部24は、後述する表示制御部46の制御の下、選択されたモードに従って、第1表示フレームデータ列(第1表示画像列)、及び、外部装置12から出力された第2表示フレームデータ列(第2表示画像列)の内で、いずれかの表示フレームデータ列(表示画像列)を選択し、それを表示器26へ出力する。
【0034】
表示器26において、選択された表示画像列がリアルタイムで動画像として表示される。但し、送受信を停止したフリーズ状態において、特定の時相の表示画像が静止画像として表示されてもよい。表示器26は、液晶表示器、有機ELデバイス、等によって構成される。画像形成部20及び画像合成部が基本処理系統に相当し、また、それらによって第1画像生成部23が構成される。
【0035】
図示された超音波診断装置10は、関連装置としての測位ユニット28を備えている。測位ユニット28は、磁気センサ30、磁場発生器32、及び、測位コントローラ34により構成される。磁気センサ30は、超音波プローブ16に取り付けられている。磁場発生器32において三次元座標情報を特定するための磁場が生成され、その磁場が磁気センサ30において検出される。測位コントローラ34は、磁場発生器32の動作を制御する。また、測位コントローラ34は、磁気センサの出力信号に基づいて、三次元空間内における磁気センサ30の位置及び姿勢を特定する位置情報を演算する。測位コントローラから情報処理部36へ位置情報が出力されている。他の関連装置として、心電計、穿刺案内機構、等が挙げられる。
【0036】
操作パネル38は、複数のスイッチ、複数のつまみ、トラックボール、タッチスクリーンパネル等を有する。操作パネル38は入力部として機能する。情報処理部36には通信部40が接続されている。
【0037】
情報処理部36は、超音波診断装置を構成する各要素の動作の制御を実行する。また、情報処理部36は、外部装置12を機能、連携させる上で必要となる制御を実行する。情報処理部36は、プログラムを実行するプロセッサにより構成され、プロセッサは具体的にはCPUである。図1においては、プロセッサが発揮する複数の機能が複数のブロックにより表現されている。すなわち、情報処理部36は、転送制御部42、電源制御部44、及び、表示制御部46を有する。
【0038】
転送制御部42は、拡張モードが選択された場合に、超音波診断装置10から外部装置12へ情報を転送する制御を実行する。転送される情報は、拡張機能の実行に際して必要となる情報であり、例えば、パラメータ情報、フレームデータ列、入力情報、関連情報、等である。
【0039】
具体的には、超音波診断装置10に設定されている全パラメータ情報の内で、拡張機能の実行に当たって必要となる特定のパラメータ情報が外部装置12へ転送される(A1を参照)。また、超音波診断装置10に入力された全入力情報の内で、拡張機能の実行に当たって必要となる特定の入力情報が外部装置12へ転送される(A6を参照)。更に、超音波診断装置10に入力された関連情報の内で、拡張機能の実行に当たって必要となる特定の関連情報が外部装置12へ転送される(A5を参照)。実施形態において、関連情報は位置情報である。
【0040】
転送されるフレームデータ列は、典型的には、画像形成部20から出力された表示フレームデータ列であり、すなわち超音波画像列としての断層画像列である(A3を参照)。超音波診断装置10から外部装置12へ断層画像列がリアルタイムで出力される。そのような表示フレームデータ列に代えて、送受信部18から出力された受信フレームデータ列や画像合成部22から出力された合成後の表示フレームデータ列が転送されてもよい(A2及びA4を参照)。
【0041】
転送制御部42は、外部装置12において、拡張機能を実行する際において必要となる情報を特定するための管理データを備えている。拡張機能が変更、追加、削除等された場合、管理データも変更、追加、削除等される。
【0042】
転送制御部42において各フレームデータにタイムスタンプ(時刻情報)を付与するようにしてもよい。あるいは、超音波診断装置10と外部装置12を同期させるための管理部を設けてもよい。
【0043】
電源制御部44は、超音波診断装置10における電源ボタンがON操作された場合において、超音波診断装置10及び外部装置12の電源立ち上がりを制御し、また、電源ボタンがOFF操作された場合において、超音波診断装置10及び外部装置12の電源シャットダウンを制御する。
【0044】
表示制御部46は、表示切換部24を通じて、表示器26に表示される表示画像を選択するものである。表示制御部46は、基本モードが選択されている場合に画像合成部22から出力された第1表示フレームデータ列(第1表示画像列)を選択し、拡張モードが選択されている場合に外部装置12から送られてきた第2表示フレームデータ列(第2表示画像列)を選択する。
【0045】
超音波診断装置10は、図示されていない電源、上述したプロセッサ(CPU)、及び、プロセッサが実行するオペレーティングシステム(OS)を備えている。
【0046】
次に、外部装置12について説明する。外部装置12は、情報処理部48、通信部50、及び、画像出力部52を有する。情報処理部48は、拡張機能を含む複数の機能を実行する。それらの機能が図1において複数のブロックで表現されている。
【0047】
具体的には、情報処理部48は、図示の構成例において、画像形成部54、画像解析部56、及び、画像合成部58を有している。外部装置12は、超音波診断装置10と同様、電源、プロセッサ(CPU)及びオペレーティングシステムを備える情報処理装置である。具体的には、外部装置12はコンピュータである。
【0048】
超音波診断装置10と外部装置12は、図示の構成例において、第1通信ラインB1及び第2通信ラインB2を介して接続されている。具体的には、通信部40と通信部50とが第1通信ラインを介して接続されており、画像出力部52と表示切換部24とが第2通信ラインを介して接続されている。第1通信ラインB1は、例えば、一般的な規格に従う有線又は無線のネットワークである。第2通信ラインB2は、例えば、一般的なビデオ信号線により構成される。
【0049】
画像形成部54は、例えば、三次元画像を形成するモジュールである。例えば、プローブを移動させる過程において生成される表示フレームデータ列及び位置データ列に基づいて、生体内組織を立体的に表現した三次元画像をリアルタイムで形成する。三次元画像は物理的には二次元画像である。
【0050】
画像解析部56は、例えば、表示フレームデータ列に対して、診断支援のための画像解析を適用するモジュールである。画像解析部56として機械学習型推定器が設けられてもよい。例えば、画像解析部56において、病変部位が特定され、その病変部位を示すマーカーを有する画像が生成される。画像解析部56がCNNで構成されてもよい。
【0051】
情報処理部48内に、設計者やユーザーのニーズを満たす様々なソフトウエアモジュールを組み込むことが可能である。外部装置12が動作する過程において、超音波診断装置10内のプロセッサにおいて転送制御のための一定の負担は生じるが、その負担増は相対的に見て非常に小さい。
【0052】
画像合成部58は、情報処理部48において生成又は形成された複数の画像を合成して第2表示画像を生成するモジュールである。実際には、画像合成部58により、動的に変化する第2表示フレームデータ列(第2表示画像列)が生成され、それが画像出力部52を介して超音波診断装置10へ出力される。
【0053】
外部装置12は、他の医療装置で取得されたデータを受け入れる機能を有する。他の医療装置として、MRI装置、X線CT装置、他の超音波診断装置等が挙げられる。画像形成部54、画像解析部56、及び、画像合成部58により、拡張処理系統が構成される。画像形成部54、画像解析部56、及び、画像合成部58は、第2画像生成部59に相当する。表示切換部24において、第1表示画像列と第2表示画像例とを合成する変形例も考えられる。その場合には、2つの表示画像列を同期させるためにタイムスタンプ等を利用し得る。
【0054】
図2には、超音波診断システムが模式的に示されている。超音波診断装置10は、本体14を有する。本体14は複数のキャスタを有し、その内部には電源や複数の電子基板が収容されている。支柱62が操作パネル38及び表示器26を支持している。本体14の上面には台座面が含まれ、台座面上に外部装置12が着脱可能に設置されている。外部装置12は、図示の例において、箱状の形態を有する。外部装置12が本体14の側面や操作パネル38の下面に設置されてもよい。
【0055】
超音波診断装置10と外部装置12は複数のケーブルを介して接続される。複数のケーブルに、通信ケーブル、ビデオ信号ケーブル、電源ケーブル、等が含まれ得る。外部装置12に対して超音波診断装置10から電力が供給されている。超音波診断装置10と外部装置12との間で無線通信が実行されてもよい。その場合、超音波診断装置10に無線親機が設置されてもよい。
【0056】
図3には、操作パネル38が模式的に示されている。操作パネル38には、複数のボタン、複数のつまみ、トラックボール等が設けられている。更に、電源ボタン(電源スイッチ)66やタッチスクリーンパネル68が設けられている。
【0057】
タッチスクリーンパネル68は、マルチタッチパネル及びディスプレイパネルの積層体である。タッチスクリーンパネル68には複数の仮想的ボタンが表示される。その中には、モード切替ボタン70が含まれる。モード切替ボタン70の操作により、基本モード及び拡張モードのいずれかを選択し得る。
【0058】
図4には、超音波プローブが例示されている。図示された超音波プローブ72は経直腸プローブである。超音波プローブ72は、直腸に挿入される挿入部74、及び、操作部78を有している。挿入部74には、直交する2つの振動素子アレイが設けられており、いずれかの振動素子アレイを選択して使用し得る。2つの振動素子アレイにより、中心軸82に平行な第1走査面80A及び中心軸82に直交する第2走査面80Bが選択的に形成される。第1走査面80A及び第2走査面80Bは、超音波プローブ72の前後運動86により中心軸82に沿って平行運動し、超音波プローブ72の回転運動88により中心軸82を中心として回転運動する。
【0059】
図示の例では、操作部78に磁気センサ84が設けられている。磁気センサ84の出力信号に基づいて、三次元空間内における第1走査面80A及び第2走査面80Bの位置及び向きが特定される。操作パネルに設けられた所定のボタンの操作により、第1走査面80A及び第2走査面80Bの中から、実際に機能させる走査面が選択される。拡張モードが選択されている場合、選択された走査面の情報や走査面の深さ情報が超音波診断装置から外部装置へ転送される。
【0060】
図5には、表示例が示されている。基本モードが選択されている状態では、第1表示画像列が表示器に表示される。図5には、第1表示画像列における特定の第1表示画像90が示されている。拡張モードが選択されている状態では、第2表示画像列が表示器に表示される。図5には、第2表示画像列における特定の第2表示画像92が示されている。
【0061】
第1表示画像90には、超音波画像としての断層画像94が含まれ、またテキスト情報96,98を含むグラフィック画像が含まれる。第2表示画像92には、図示の例において、三次元画像100、断層画像104、MRI画像106等が含まれる。三次元画像100は、表示フレームデータ列及び位置データ列に基づいて構築されたリアルタイム画像である。それには、検査、診断、読影を支援するグラフィック像も含まれる。図5においては、グラフィック画像を構成する要素としてマーカー102が示されている。
【0062】
断層画像104はリアルタイム画像としての超音波画像である。MRI画像は、三次元画像に対応する静止画像である。MRIボリュームデータに基づいて、三次元画像に対応するMRI画像が生成される。その際には位置情報が利用される。
【0063】
図示された第1表示画像90及び第2表示画像92は、いずれも例示に過ぎないものである。外部装置を活用することにより、超音波検査時において、超音波診断装置を取り換えることなく、高度な画像処理結果を得ることができ、また、高度な診断支援を享受することが可能となる。
【0064】
図6には、超音波診断装置の動作例が示されている。S10では、選択されているモードが判定される。基本モードが判定された場合、S12が実行される。つまり、基本処理器系統が機能し、第1表示画像列がリアルタイムで生成及び表示される。一方、S10において、拡張モードが判定された場合、S14が実行される。S14では、超音波診断装置から外部装置へ拡張機能の実行に際して必要な情報が転送され、また、拡張処理系統が機能し、第2表示画像列が生成される。第2表示画像列が外部装置から超音波診断装置へ転送され、第2表示画像列が表示器にリアルタイム表示される。超音波診断装置から外部装置へ転送される情報としては、符号108で示されているように、パラメータ情報、フレーム列、入力情報、関連情報、等が挙げられる。
【0065】
図7には、電源制御部が行う電源オン操作時の制御が示されている。S20において、電源ボタンのON操作が検出される。これに伴い、超音波診断装置内の各ユニットへの電力の供給が開始される。S22では、外部装置への電力の供給が開始される。S24では、外部装置について自動起動モードが設定されているか否かが判断される。自動起動モードが設定されている場合、S26において、外部装置へ起動コマンドが送信される。これにより、外部装置が有するオペレーションシステム等が立ち上がる。
【0066】
図8には、電源制御部が行う電源オフ時の制御が示されている。S30において、電源ボタンのオフ操作が検出されると、超音波診断装置のシャットダウン過程が開始され、S32において、外部装置へシャットダウンコマンドが送信される。S34において、超音波診断装置におけるシャットダウン過程の完了が判定される。S36では、外部装置におけるシャットダウン過程の完了が判定される。その完了が確認された上で、S38において、外部装置への通電が停止され、S40において超音波診断装置内の電源がオフにされる。上記の制御によれば、外部装置においてシャットダウン過程の途中で超音波診断装置の電源がオフとなる事態が生じることを防止できる。
【0067】
図9には、変形例が示されている。超音波診断装置110は、有線又は無線の通信ライン114を介して、外部装置112に接続されている。外部装置112は、タッチスクリーンパネルを備えたタブレット端末である。つまり、入力器及び表示器を備えた端末である。拡張モードの選択時には、超音波診断装置から必要な情報が外部装置112へ転送され、外部装置112で生成された画像が超音波診断装置110の表示器に表示される。例えば、無線中継器116を媒介として、超音波診断装置110と外部装置112とが相互に接続されてもよい(符号118及び120を参照)。
【0068】
図1に示した構成において、拡張モードが選択された場合に、基本処理系統の動作を停止させてもよいし、その動作を継続させてもよい。基本処理系統が動作したとしても、表示される表示画像は外部装置において生成された第2表示画像となる。もっとも、第1表画像と第2表示画像の並列表示やそれらを合成した画像の表示を行ってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 超音波診断装置、12 外部情報処理装置、23 第1画像生成部、24 表示切換部、36 情報処理部、42 転送制御部、44 電源制御部、46 表示制御部、48 情報処理部、52 画像出力部、54 画像形成部、56 画像解析部、58 画像合成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9