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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】作業機の監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/33 20130101AFI20240415BHJP
   B60R 25/102 20130101ALI20240415BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20240415BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B60R25/33
B60R25/102
G08B13/00 B
G08B25/04 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021075271
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169312
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬典
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-173003(JP,A)
【文献】特開2018-161085(JP,A)
【文献】特開2011-227763(JP,A)
【文献】特開2012-071776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/33
B60R 25/102
G08B 13/00
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星からの信号に基づいて作業機の位置を測位する測位装置と、
前記作業機が作業を行う作業エリアを設定するエリア設定部と、
前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの外にあり、且つ前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの内外にゆらぐゆらぎ度合いが所定値未満である場合に、報知を行い、前記ゆらぎ度合いが所定値以上である場合に、前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの外にあっても、報知を行わない監視部と、を備え
前記監視部は、前記測位装置で測位された前記作業機の複数の位置に基づいて、前記作業機の進行方向を求め、前記作業機が駆動していない状況下で且つ前記作業機の進行方向が所定角度以上変わらない状態が一定時間以上継続した場合に、報知を行う作業機の監視システム。
【請求項2】
測位衛星からの信号に基づいて作業機の位置を測位する測位装置と、
前記作業機が作業を行う作業エリアを設定するエリア設定部と、
前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの外にあり、且つ前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記測位装置の測位誤差によって前記作業エリアの内外にゆらぐゆらぎ度合いが所定値未満である場合に、盗難防止のための報知を行い、前記ゆらぎ度合いが所定値以上である場合に、前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの外にあっても、前記報知を行わない監視部と、
を備えている作業機の監視システム。
【請求項3】
前記監視部は、前記測位装置で測位された前記作業機の複数の位置に基づいて、前記作業機の進行方向を求め、前記作業機の進行方向が前記作業エリアから離れる方向を向いた状態が一定時間以上継続した場合に、報知を行う請求項1又は2に記載の作業機の監視システム。
【請求項4】
前記監視部は、前記測位装置で測位された前記作業機の複数の位置に基づいて、前記作業機の移動速度を求め、当該移動速度が所定値以上である場合に、報知を行う請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機の監視システム。
【請求項5】
前記監視部は、前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアから所定距離以上離れた場合に、報知を行う請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機の動作システムが知られている。
特許文献1では、予め作業機を置くエリア(店舗のエリア)を定めておき、エリアから作業機が出た場合に、警告等を発生させたり、作業機の動作を制限したりすることによって作業機の盗難防止を行うシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-71776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、予め店舗の周辺に作業機を置くエリアを定めておき、作業機が販売されていないのにも関わらず、エリアから作業機が盗みだされた場合における、盗難防止を行っている。
ところで、バックホー等の作業機は、様々な場所で工事等を行うことが一般的であり、工事が完了するまで作業機を現場等においておくことがある。このため、作業機が様々な場所で工事等を行う場合にも、盗難防止を図ることが望まれている。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、作業機の作業が行われている場所等での盗難防止を行うことができる作業機の監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機の監視システムは、測位衛星からの信号に基づいて作業機の位置を測位する測位装置と、前記作業機が作業を行う作業エリアを設定するエリア設定部と、前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの外にあり、且つ前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの内外にゆらぐゆらぎ度合いが所定値未満である場合に、報知を行い、前記ゆらぎ度合いが所定値以上である場合に、前記測位装置で測位された前記作業機の位置が前記作業エリアの外にあっても、報知を行わない監視部と、を備え、前記監視部は、前記測位装置で測位された前記作業機の複数の位置に基づいて、前記作業機の進行方向を求め、前記作業機が駆動していない状況下で且つ前記作業機の進行方向が所定角度以上変わらない状態が一定時間以上継続した場合に、報知を行う
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業機の作業が行われている場所等での盗難防止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機の監視システムの全体図を示す図である。
図2】地図情報及び作業エリアの一例を示す図である。
図3】携帯端末に表示される設定画面の一例である。
図4A】測位装置の測位の感度が急減に低下した例を示す図である。
図4B】測位装置の測位の感度が急減に上昇した例を示す図である。
図5】作業機が移動不能な場所に機体位置が示された一例を示す図である。
図6】作業エリアにおける機体位置の変化を示す図である。
図7】作業機の進行方向を求める説明図である。
図8】作業機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図1は、作業機の監視システム200の全体図を示している。図1に示すように、作業機の監視システム200は、バックホー、ローダ等の建設機械、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械などの作業機1を監視することができるシステムである。以下、便宜上、作業機の監視システム200を、単に「監視システム200」という。
【0010】
まず、作業機1について説明する。
図8は、作業機1の側面図である。本実施形態では、作業機1の一例として旋回作業機であるバックホーを示している。然るに、作業機1は、バックホーに限定されず、ローダ等の建設機械、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械であってもよい。
図8に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2上にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には運転席6が設けられている。
【0011】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座した運転者(オペレータ)の前側(図8の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(図8の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(図8の手前側)を左方、運転者の右側(図8の奥側)を右方として説明する。
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0012】
図8に示すように、走行装置3は、左側に設けられた走行体3Lと、右側に設けられた走行体3Rとを有する。走行体3L及び走行体3Rは、駆動輪11aと、従動輪11bと、複数の転輪11eと、駆動輪11a、従動輪11b、及び転輪11eを回転自在に支持するフレーム11cと、駆動輪11a、従動輪11b、及び転輪11eに架け渡されたベルト11dとを有するクローラ式の走行装置である。走行体3Lのフレーム11cには、第1走行モータMLが支持されている。第1走行モータMLの動力は、走行体3Lの駆動輪11aに伝達される。走行体3Rのフレーム11cには、第2走行モータMRが支持されている。第2走行モータMRの動力は、走行体3Rの駆動輪11aに伝達される。
【0013】
走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、ドーザシリンダが伸縮することにより、昇降(ブレードを上げ下げ)することができる。なお、作業機1は、ドーザ装置7を備えない構成であってもよい。
機体2は、走行装置3上に旋回ベアリング8を介して縦軸(上下の方向に延伸する軸心)回りに旋回自在に支持されている。機体2は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)からなる旋回モータMTによって旋回駆動される。機体2は、縦軸回りに旋回する旋回基板9と、ウエイト10とを有している。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、旋回ベアリング8に連結されている。ウエイト10は、機体2の後部に設けられている。機体2内の後部には、原動機20が搭載されている。原動機20は、例えばディーゼルエンジンである。なお、原動機20は、電動モータで構成されてもよいし、又はディーゼルエンジンと電動モータとを併用するハイブリッド型の原動機などで構成されてもよい。
【0014】
機体2は、機体幅方向の中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。支持ブラケット13には、スイングブラケット14が縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに揺動自在に取り付けられている。スイングブラケット14には、作業装置4が取り付けられている。
作業装置4は、ブーム15、アーム16、及びバケット(作業具)17等の作業体を有している。ブーム15の基部は、スイングブラケット14に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動自在に枢着されている。これによって、ブーム15が上下に揺動自在とされている。アーム16は、ブーム15の先端側に横軸回りに回動自在に枢着されている。これによって、アーム16が前後或いは上下に揺動自在とされている。バケット17は、アーム16の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。作業機1は、バケット17に代えて、或いはバケット17に加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(予備アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具(予備アタッチメント)としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等を例示することができる。
【0015】
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダC2が伸縮することによって、揺動自在とされている。ブーム15は、ブームシリンダC3が伸縮することによって、揺動自在とされている。アーム16は、アームシリンダC4が伸縮することによって、揺動自在とされている。バケット17は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C5が伸縮することによって、スクイ動作及びダンプ動作自在とされている。ドーザシリンダ、スイングシリンダC2、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。なお、作業装置4は、機体2に設けられたものであればよく、ブーム15、アーム16、及びバケット(作業具)17以外を有していてもよい。また、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5等は、作業装置4を駆動する油圧アクチュエータである。
【0016】
図1に示すように、作業機1は、制御装置60と、通信装置61と、測位装置62とを備えている。制御装置60は、プログラムの命令を実行するCPU(Central Processing Unit)、コンピュータプログラムを格納したROM(read only memory)、各種の制御プログラムを展開するRAM(random access memory)、各種の制御プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶部(記録媒体)などにより構成されている。制御装置60は、作業機1の様々な制御を行う。例えば、制御装置60は、作業機1に設けられた操作部材(図示省略)の操作に応じて、スイングシリンダC2、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5を制御する制御弁(図示省略)等の制御(油圧制御)を行ったり、原動機20の回転数の制御を行ったりする。
【0017】
通信装置61は、外部機器(図示省略)に対して直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置61は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより、無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0018】
測位装置62は、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置である。即ち、測位装置62は、測位衛星(図示省略)から送信された電波(信号)を受信し、受信した電波に重畳された信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等を示す信号)に基づいて、自己の位置(緯度、経度)を検出する。また、測位装置62は、測位衛星からの電波を受信可能な基地局(基準局;図示省略)より送信された信号を受信し、当該信号で示された補正情報に基づいて補正した位置を、自己の位置(緯度、経度)として検出してもよい。また、測位装置62がジャイロセンサや加速度センサ等の慣性計測装置を有し、当該慣性計測装置によって補正した位置を、自己の位置として検出してもよい。測位装置62は作業機1に搭載されているため、測位装置62が測位した位置は、作業機1の位置(機体位置)とみなすことができる。即ち、測位装置62は作業機1の位置を測位する。
【0019】
監視システム200は、エリア設定部100と、監視装置101とを備えている。エリア設定部100は、所定の場所に設置されたサーバ、パーソナルコンピュータ等の固定型のコンピュータ、又は、タブレット、スマートフォン、ノートパソコン等の携帯型のコンピュータ等に設けられる。本実施形態では、エリア設定部100は、携帯型のコンピュータである携帯端末102に設けられている。また、エリア設定部100は、携帯端末102に設けられたソフトウェアプログラム、又はハードウェアから構成されている。
【0020】
監視装置101は、所定の場所に設置されたサーバ、パーソナルコンピュータ等の固定型若しくは携帯型のコンピュータ等である。本実施形態では、監視装置101はサーバから構成されている。監視装置101は、作業機1を監視する監視部の一例である。
なお、監視部は、監視装置101のような電子装置ではなく、例えば電子装置に設けられたソフトウェアプログラム若しくはアプリケーションプログラムで構成されてもよいし、又はクラウド上に設けられたアプリケーションプログラム等で構成されてもよい。また、エリア設定部100は電子装置で構成されてもよいし、又はクラウド上に設けられたアプリケーションプログラム等で構成されてもよい。さらに、エリア設定部100を監視装置101に設けてもよい。
【0021】
携帯端末102は、エリア設定部100以外に、有機EL或いは液晶パネル等から構成された表示部103と、不揮発性のメモリ等から構成された記憶部104とを含んでいる。表示部103は様々な情報を表示する。記憶部104には、地図情報等の様々な情報などが記憶されている。
記憶部104には、地図情報として、図2に示すような、河川71a、山、谷、湖沼、森林等の地形71の形状及び位置、住宅、ビル等の建物72、道路73、公園、鉄塔、電柱、土地74等の建築物(建造物)などに関する情報が記憶されている。また、記憶部104には、工事中の道路73及び工事中の土地74等に関する情報も記憶されている。地図情報は、地図を提供している地図提供会社から取得した地図情報であってもよいし、又は作業機1の管理者若しくは作業機1を使用するユーザ等が作成した地図情報であってもよいが、これらに限定されない。
【0022】
エリア設定部100は、携帯端末102に設けられた電気電子回路、或いは携帯端末102の記憶部104に格納されたソフトウェアプログラム等から構成されている。エリア設定部100は、作業機1が行う作業内容と地図情報とに基づいて、作業機1が作業を行う作業エリアを設定する。
具体的には、例えば作業機1を管理する管理者又はユーザ等が、携帯端末102に備わる操作キー、タッチパッド、又はマイクなどのインタフェイス(図示省略)により所定の操作を行うと、エリア設定部100が、図3に示すようなエリア設定画面M1を表示部103に表示させる。その際、エリア設定部100は、記憶部104を参照し、記憶部104に記憶された地図情報を読み出して、当該地図情報をエリア設定画面M1に表すように表示部103に表示させる。なお、地図情報を携帯端末102の記憶部104に記憶させる構成に限らず、携帯端末102が必要に応じて地図情報を外部装置から通信により取得するようにしてもよい。
【0023】
エリア設定画面M1は、地図情報を表示する地図表示部110と、作業機1により作業を行う作業日を入力する日付入力部111と、作業時間を入力する時間入力部112と、作業内容を入力する作業入力部113とを含んでいる。地図表示部110は、記憶部104から読み出された地図情報に含まれる地図を表示可能である。
作業機1の測位装置62によって測位された機体位置W1は、通信装置61によって携帯端末102又は監視装置101に所定の周期で送信される。携帯端末102は、通信装置61或いは監視装置101から機体位置W1を所定の周期で取得(受信)する。エリア設定部100は、機体位置W1を取得すると、記憶部104に記憶された地図情報から機体位置W1の周辺の地図情報を抽出し、当該地図情報で示される地図と機体位置W1とを地図表示部110に表すように表示部103に表示させる。即ち、地図表示部110は、機体位置W1と、機体位置W1を含む作業機1の周辺の地図とを表示可能である。
【0024】
地図表示部110に表示される地図の範囲は、携帯端末102のインタフェイスを操作することで変更可能である。機体位置W1とこの周辺の地図とが地図表示部110に一旦表示された後は、エリア設定部100が機体位置W1を所定の周期で取得する度に、地図表示部110における機体位置W1の表示位置を表示部103により更新する。
携帯端末102のインタフェイスを操作することで、日付入力部111には、作業日を示す西暦、月、日等が入力可能であり、時間入力部112には、作業開始時刻、作業終了時刻、及び作業時間等が入力可能であり、作業入力部113には、道路工事、建物内工事、建物外工事、及び河川工事等の作業内容が入力可能である。
【0025】
ユーザなどがエリア設定画面M1において、作業日、作業時間、及び作業内容等を入力した後、決定ボタン114を選択する。すると、エリア設定部100は、当該決定ボタン114の選択時の作業機1の位置を示す機体位置(選択機体位置という。)W1と、当該選択機体位置W1の周辺の地図情報を参照し、当該地図情報からより狭い所定の範囲である選択機体位置W1の近辺の地図情報を抽出する。そして、エリア設定部100は、選択機体位置W1の近辺の地図情報と、作業入力部113に入力された作業機1の作業内容(道路工事、建物内工事、建物外工事、河川工事)とに関連性がある場合、地図表示部110に表示された地図上において作業エリアE1~E4の設定を実行する。
【0026】
詳しくは、例えばエリア設定部100は、選択機体位置W1の近辺の地図情報に基づいて、選択機体位置W1の近辺に河川71a、谷、湖沼、道路73、公園、鉄塔、電柱、土地74等の非遮蔽物が有って、作業機1の作業内容が非遮蔽物の工事に関係することを確認した場合、当該非遮蔽物と選択機体位置W1とを含むエリアを作業エリアとして設定する。
【0027】
なお、非遮蔽物とは、測位衛星から送信された測位用の電波を所定レベル以上遮蔽しない構造物、自然物、及びその他の物体のことである。これに対して、遮蔽物とは、測位衛星から送信された測位用の電波を所定レベル以上遮蔽する構造物、自然物、及びその他の物体のことである。遮蔽物には、例えば山、森林、住宅及びビルといった建物等が含まれる。
【0028】
例えばエリア設定部100は、図2の下方に示すように、道路73aと選択機体位置W1とが重なっていて、作業機1の作業内容が道路工事であることを確認した場合、当該道路73aの周辺のエリアを、道路工事を行う作業エリアE1として設定する。なお、作業エリアE1の大きさ(横幅、縦幅)は、予め設定されていてもよい。又は、例えば携帯端末2のインタフェイスを操作することで、エリア設定画面M1の地図表示部110(図3)に示された作業エリアE1の横幅及び縦幅を変更できるようにしてもよい。他の作業エリアの大きさも同様に設定したり変更したりしてもよいが、作業エリアの大きさの設定方法は上記に限定されない。
【0029】
また、エリア設定部100は、図2の上方の中央に示すように、選択機体位置W1が建物72と重ならずに、土地74と重なっていて、作業機1の作業内容が建物外工事であることを確認した場合、土地74の輪郭(境界部分)で囲まれるエリアを、建物外工事を行う作業エリアE2として設定する。
また、エリア設定部100は、図2の右上に示すように、選択機体位置W1が河川71aの近傍にあって、作業機1の作業内容が河川工事であることを確認した場合には、選択機体位置W1の近傍の河川71aにおける土手など(河川71aも含まれてもよい。)を、河川工事を行う作業エリアE3として設定する。
【0030】
一方、エリア設定部100は、選択機体位置W1の近辺に山、森林、建物等の遮蔽物が有って、作業機1の作業内容が遮蔽物の工事に関係することを確認した場合、当該遮蔽物を含むエリアを作業エリアとして設定する。例えば、エリア設定部100は、図2の左方に示すように、選択機体位置W1が遮蔽物である建物72と重なっていて、作業機1の作業内容が建物内工事であることを確認した場合、建物72が占めるエリアを、建物内工事を行う作業エリアE4として設定する。
【0031】
上記のように、エリア設定部100は、エリア設定画面M1により作業機1の作業内容等を決定したときの選択機体位置W1と、選択機体位置W1の周辺の地図情報(河川71a、山、谷、湖沼、森林、住宅、ビル等の建物72、道路73、公園、鉄塔、電柱、土地74)と、作業内容とを比較し、選択機体位置W1、地図情報、及び作業内容に関連性がある場合に、作業エリアE1~E4を自動的に設定する。
【0032】
また、エリア設定部100は、選択機体位置W1の近辺の地図情報に基づいて、作業エリアE1~E4の近辺に遮蔽物が有るか否かを確認し、作業エリアE1~E4が測位衛星からの電波を遮蔽され易い遮蔽環境にあるか、又は当該電波を遮蔽され難い非遮蔽環境にあるかを判断する。具体的には、例えばエリア設定部100は、前述したように遮蔽構造部(建物72)が有る作業エリアE4については遮蔽環境にあると判断する。また、エリア設定部100は、前述したように遮蔽構造部が無い作業エリアE1~E3については非遮蔽環境にあると判断する。
【0033】
そして、エリア設定部100は、設定した作業エリアE1~E4と、作業エリアE1~E4の位置(緯度、経度)と、作業エリアE1~E4が遮蔽環境か非遮蔽環境のいずれにあるかを示す作業エリア情報を設定(作成)し、当該作業エリア情報を記憶部104に記憶させる。また、エリア設定部100は、設定した作業エリアE1~E4の位置、入力された作業日、作業時間、及び作業内容等を示す作業情報を設定し、当該作業情報を記憶部104に記憶させる。さらに、エリア設定部100は、記憶部104に記憶された作業エリア情報と作業情報とを携帯端末102から監視装置101に送信する。
【0034】
上述した実施形態では、作業エリアE1~E4を自動的に設定することについて説明を行ったが、ユーザ等が携帯端末102のインタフェイスにより作業エリアE1~E4を手動で設定してもよい。この場合、例えば、まずエリア設定部100が、エリア設定画面M1の地図表示部110に表示された地図上に、選択機体位置W1を表示させる。管理者又はユーザ等は、携帯端末2のインタフェイスを操作して、エリア設定画面M1の地図表示部110に表示された地図上の選択機体位置W1を含むエリア(例えば作業内容に対応するエリア)を指定して、決定ボタン114を選択する。これにより、エリア設定部100が、指定されたエリアを作業エリアとして設定する。
【0035】
また、エリア設定部100は、ユーザ等に指定されたエリアが作業入力部113に入力された作業機1の作業内容に適合しているか否かを確認し、当該確認結果に応じて作業エリアを設定してもよい。具体的には、エリア設定部100は、指定されたエリアが作業入力部113に入力された作業機1の作業内容に適合していることを確認すると、当該エリアを作業エリアとして設定する。
【0036】
また、エリア設定部100は、ユーザ等に指定されたエリアが作業機1の作業内容に適合していないことを確認すると、当該エリアを作業エリアとして設定しない。例えば作業内容が建物内工事であるにも関わらず、建物72を含まないエリアがユーザ等により指定された場合、又は作業内容が道路工事であるにも関わらず、道路73を含まないエリアがユーザ等により指定された場合などに、エリア設定部100は、指定されたエリアを作業エリアとして設定しない。これらの場合、エリア設定部100が、指定されたエリアが作業内容に適合しないため、作業エリアとして設定できない旨を示す警告(メッセージ等)をエリア設定画面M1に表示するようにしてもよい。
【0037】
監視装置101は、携帯端末102で設定された作業エリア情報と作業情報とを取得(受信)すると、作業機1の監視を行う。この際、監視装置101は、作業機1の測位装置62で測位されて通信装置61により送信された機体位置W1を所定の周期で取得(受信)し、当該機体位置W1を予め取得した地図情報に対応付ける。また、監視装置101は、作業エリア情報で示される作業エリアE1~E4内に機体位置W1があるか否かを判断する。
【0038】
例えば監視装置101は、機体位置W1がいずれかの作業エリアE1~E4に位置していることを確認した後、機体位置W1が当該作業エリアE1~E4の外に所定時間以上連続して位置したことを確認した場合、作業機1が当該作業エリアE1~E4外にあって、当該作業エリアE1~E4から離れていると判断する。また、監視装置101は、機体位置W1がいずれかの作業エリアE1~E4に位置していることを確認した後、機体位置W1が当該作業エリアE1~E4から所定距離以上離れた位置にあることを確認した場合、作業機1が当該作業エリアE1~E4外にあって、当該作業エリアE1~E4から離れていると判断する。そして、監視装置101は、当該判断結果を示す報知(警告)を行う。
【0039】
具体的には、監視装置101は、作業機1が当該作業エリアE1~E4外にあって、当該作業エリアE1~E4から離れていることを示す報知信号を、携帯端末102又は作業機1の制御装置60に送信する。携帯端末102は、報知信号を受信すると、当該報知信号に基づいて表示部103等により報知(警告)を行う。この際、例えば携帯端末102において、報知信号で示される内容若しくは警告を示すメッセージ等を表示部103の画面に表示してもよい。又は、報知信号で示される内容、警告音、若しくは警告を示す音声を、携帯端末102に備わるスピーカ等から出力(表示)してもよい。
【0040】
作業機1の制御装置60は、報知信号を受信すると、当該報知信号に基づいて作業機1に備わる表示装置等により報知(警告)を行う。この際、報知信号で示される内容若しくは警告を示すメッセージ等を、作業機1に備わる表示装置の画面に表示してもよい。又は、報知信号で示される内容、警告音、若しくは警告を示す音声を、作業機1に備わるブザー若しくはスピーカ等から出力(表示)してもよい。
【0041】
上記によれば、測位装置62で機体位置W1を検出できる状態、即ち、機体位置W1の測位が行える状況化において、作業機1で作業を行っていない間に、作業機1が作業エリアE1~E4から持ち出されても、監視装置101、携帯端末102、又は作業機1で報知が行われるため、ユーザ等や作業機1の周囲にいる人の注意を惹いて、作業機1の盗難を抑制することが可能となる。
【0042】
また、監視装置101は、作業機1の通信装置61から所定の周期で取得した複数の機体位置W1の少なくとも1つが、作業機1が移動不能な位置(移動不能位置)であることを確認した場合、当該機体位置W1が作業エリアE1~E4外にあったとしても、報知を行わないようにしてもよい。詳しくは、監視装置101は、取得した複数の機体位置W1のそれぞれと地図情報とを照らし合わせ(対応付け)、少なくともいずれか1つの機体位置W1が、例えば図5に示すように移動不能位置である河川71aにあった場合、当該機体位置W1を作業エリアE3内にあるか否かの判断の対象外とする。これにより、監視装置101等で報知が行われない。
【0043】
また、監視装置101による作業機1の監視中に、測位装置62が機体位置W1の測位を所定の周期で行ったときの測位結果を通信装置61が送信し、当該測位結果を監視装置101が取得する。そして、監視装置101は、作業エリア情報と測位装置62の測位結果とに基づいて、測位装置62の測位状態を判断する。
前述したように、作業エリア情報には、作業エリアE1~E4と、当該作業エリアE1~E4が遮蔽環境にあるか又は非遮蔽環境にあるかが示されている。このため、監視装置101は、作業エリア情報に基づいて、機体位置W1のある作業エリアが遮蔽環境と非遮蔽環境のいずれにあるかを確認し、当該確認結果に基づいて、測位装置62の測位状態を判断(予測)する。即ち、監視装置101は、機体位置W1のある作業エリアの作業エリア情報に対応する測位装置62の測位状態を判断する。
【0044】
測位装置62が測位衛星からの電波を受信したときの受信強度が高くて、機体位置W1を測位することができた場合、測位装置62の測位結果には、機体位置W1と、測位装置62で計測された電波の受信強度(信号受信強度;RSSI)とが含まれる。これに対して、測位装置62が測位衛星からの電波を受信したときの受信強度が低くて、機体位置W1を測位することができなかった場合、測位装置62の測位結果には、機体位置W1は含まれず、測位装置62で計測された電波の受信強度が含まれる。このため、監視装置101は、測位装置62の測位結果に含まれる電波の受信強度に基づいて、測位装置62が実際に機体位置W1の測位を行ったときの測位状態を判断する。
【0045】
例えば図2に示すように、遮蔽物等が近辺に無いいずれかの作業エリアE1~E3に機体位置W1がある場合、監視装置101は、作業エリア情報に基づいて、当該作業エリアE1~E3が非遮蔽環境にあることを確認し、測位装置62の測位状態として、測位感度が高いと判断する。
また、遮蔽物等が近辺に無いいずれかの作業エリアE1~E3に機体位置W1がある場合、側位装置62が測位衛星からの電波を受信し易いため、側位装置62による電波の受信強度が高くなる。このとき監視装置101は、測位装置62の測位結果に含まれる電波の受信強度を測位感度とみなし、測位装置62が実際に機体位置W1の測位を行ったときの測位状態として、図4Aの期間T1に示すように、測位感度が所定値G1より高いと判断する。
【0046】
その後、例えば、作業機1が作業を行っていたいずれかの作業エリアE1~E3から遮蔽環境にある場所へ持ち出される等して、測位装置62が測位衛星からの電波を受信し難くなると、図4Aの時点P1に示すように、測位装置62が実際に測位を行ったときの測位感度が急激に低下して所定値G1未満になる。このように、監視装置101は、作業エリアE1~E3の作業エリア情報に対応する測位装置62の測位状態に対して、測位装置62の測位結果に基づいて判断した作業エリアE1~E3の実際の測位状態に、上記のような所定の変化があった場合、作業機1が作業を行っていた作業エリアE1~E3から離れていることを示す報知信号を、携帯端末102又は制御装置60に送信する。
【0047】
他の例として、監視装置101が、通信装置61を介して制御装置60と通信を行って、作業機1が駆動している状態にあるか否かを確認してから、測位装置62が実際に機体位置W1の測位を行ったときの測位感度の変化を確認してもよい。またこの場合、監視装置101は、作業機1が駆動している状態にあることを確認した後、図4Aの時点P1から以降の期間T2に示すように、測位装置62が実際に測位を行ったときの測位感度が所定値G1未満になると、監視装置101が報知信号を携帯端末102又は制御装置60に送信するようにしてもよい。
【0048】
一方、例えば図2に示すように、遮蔽物等が近辺に有る(遮蔽物である建物72で覆われている)作業エリアE4に機体位置W1がある場合、監視装置101は、作業エリア情報に基づいて、作業エリアE4が遮蔽環境にあることを確認し、測位装置62の測位状態として、測位感度が低いと判断する。また、側位装置62が測位衛星からの電波を受信し難いため、側位装置62による電波の受信強度が低くなる。このとき監視装置101は、測位装置62の測位結果に含まれる電波の受信強度に基づいて、測位装置62が実際に機体位置W1の測位を行ったときの測位状態として、図4Bの期間T3に示すように、測位感度が所定の所定値G1より低いと判断する。
【0049】
その後、例えば、作業機1が作業を行っていた作業エリアE4から非遮蔽環境にある場所へ持ち出される等して、測位装置62が測位衛星からの電波を受信し易くなると、図4Bの時点P2に示すように、測位装置62が実際に測位を行ったときの測位感度が急激に上昇して所定値G1以上になる。この場合、監視装置101は、作業機1が作業を行っていた作業エリアE4から離れていることを示す報知信号を、携帯端末102又は制御装置60に送信する。
【0050】
他の例として、作業機1が駆動している状態にあることを、監視装置101が確認した後、図4Bの時点P2から以降の期間T4に示すように、測位装置62が実際に測位を行ったときの測位感度が所定値G1以上になると、監視装置101が報知信号を携帯端末102又は制御装置60に送信するようにしてもよい。
以上説明した第1実施形態の作業機の監視システム200は、測位衛星からの電波に基づいて作業機1の位置を測位する測位装置62と、作業機1により作業を行う作業エリアE1~E4が前記電波を遮蔽され易い遮蔽環境にあるか又は前記電波を遮蔽され難い非遮蔽環境にあるかを示す作業エリア情報を設定するエリア設定部100と、測位装置62の測位結果に基づいて測位装置62の測位状態を判断し、作業エリア情報に対応する測位状態に対して、前記判断した測位状態に所定の変化があった場合に報知を行う監視部(監視装置)101と、を備えている。これによれば、作業エリアE1~E4が非遮蔽環境か遮蔽環境のいずれかにあるかを示す作業エリア情報に対応した測位装置62の測位状態に対して、測位装置62の測位結果に基づいて判断した測位装置62の測位状態に所定の変化があれば、報知が行われるので、作業機1が盗難されている可能性があることを素早くユーザ等に知らせることができ、作業機1の作業を行う場所等での盗難防止を行うことが可能となる。
【0051】
また、第1実施形態では、測位装置62は、作業機1に搭載され、エリア設定部100は、作業機1の作業内容と、測位装置62により測位された作業機1の位置の周辺の地図情報とを取得し、当該作業内容と地図情報とに基づいて作業エリアE1~E4の作業エリア情報を設定する。これによれば、作業機1で行う作業内容と作業機1の位置とに適合する作業エリアE1~E4と、当該作業エリアE1~E4が電波の遮蔽環境と非遮蔽環境のいずれにあるかを示す作業エリア情報を設定することができる。また、測位装置62の測位状態を作業機1がある位置の測位状態とみなし、悪意の第三者により作業機1が移動させられる等して、測位状態に所定の変化が生じたときに、報知を行って、作業機1の盗難を防止することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、監視部101は、作業エリアE4が遮蔽環境にある場合に、測位状態として測位の感度が低いと判断し、測位装置62が測位を行ったときの測位の感度が、所定値G1未満から所定値G1以上になった場合に、報知を行う。これによれば、例えば建物などの遮蔽物の近辺に作業機1を置いている状況では、測位装置62の測位の感度が低くになる。この状況において、測位装置62の測位の感度が所定値G1未満から所定値G1以上になった場合には、作業機1が建物などの遮蔽物の近辺の遮蔽環境から別の場所に移されていることを把握することができ、遮蔽環境での作業機1の盗難防止を行うことが可能となる。
【0053】
また、第1実施形態では、監視部101は、作業エリアE1~E3が非遮蔽環境ある場合に、測位状態として測位の感度が高いと判断し、測位装置62が測位を行ったときの測位の感度が、所定値G1以上から所定値G1未満になった場合に、報知を行う。これによれば、例えば道路或いは河川などの周囲の非遮蔽環境に作業機1を置いている状況では、測位装置62の測位の感度が高くなる。この状況において、測位装置62の測位の感度が所定値G1以上から所定値G1未満になった場合には、作業機1が道路或いは河川などの周囲の非遮蔽環境から別の場所に移されていることを把握することができ、非遮蔽環境での作業機1の盗難防止を行うことが可能となる。
【0054】
また、第1実施形態では、監視部101は、作業機1が駆動し且つ、測位装置62が測位を行ったときの測位の感度が所定値G1以上から所定値G1未満になった場合に、報知を行う。これによれば、作業機1が駆動し且つ走行して、作業エリアから離れていることを素早く把握することができる。
また、第1実施形態では、エリア設定部100は、作業エリアE1~E4に電波を遮蔽する遮蔽物が存在するか否かを示す地図情報と、作業機1による作業内容とを取得し、作業エリアに遮蔽物が存在し且つ、作業内容が遮蔽環境での工事に関係する場合に、作業エリアが遮蔽環境にあるとして作業エリア情報を設定する。これによれば、遮蔽環境で行われる工事に対応した作業エリアと当該環境を示す作業エリア情報を簡単に設定することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、エリア設定部100は、作業エリアE1~E4に電波を遮蔽する遮蔽物が存在するか否かを示す地図情報と、作業機1による作業内容とを取得し、作業エリアに遮蔽物が存在せず且つ、作業内容が非遮蔽環境での工事に関係する場合に、作業エリアが非遮蔽環境にあるという作業エリア情報を設定する。これによれば、非遮蔽環境で行われる工事に対応した作業エリアと当該環境を示す作業エリア情報を簡単に設定することができる。
【0056】
さらに、第1実施形態では、監視部101は、測位装置62が測位した作業機1の位置を地図情報に対応づけ、当該地図情報で示される作業機1が移動不能な場所に対応付けた位置がある場合に、報知を行わない。これによれば、作業機1が移動不能な河川等の場所に、測位装置62で測位した作業機1の位置(機体位置)W1がある場合に報知を行わないことで、測位装置62の測位誤差による不用意な報知を抑制することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態では、測位装置62で測位した機体位置W1が作業エリアE1~E4の内外にゆらぐ度合いを示すゆらぎ度合いに基づいて、監視装置101が報知(警告)を行う。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成について説明を省略する。
【0057】
監視装置101は、作業機1の測位装置62で測位された機体位置W1を通信装置61から取得し、当該機体位置W1に基づいて、携帯端末102又は作業機1の制御装置60に報知信号を送信するか否かを判断する。
図6は、作業エリアE1~E4のそれぞれにおける機体位置W1の変化を示している。測位装置62により所定の周期で測位された機体位置W1が、図6に示すように、作業エリアE1~E4の内側と外側に行ったり来たりするようにゆらぐことがある。監視装置101は、作業機1を監視するに際して、機体位置W1が作業エリアE1~E4の内外にゆらぐゆらぎ度合いを演算する。
【0058】
例えば、監視装置101は、機体位置W1のゆらぎ度合いとして、所定の周期で測位された複数の機体位置W1i(i:機体位置の測位順番(i=1,2,3,4・・・))から、作業機1の進行方向(作業機の向き)を求める。監視装置101は、図7に示す機体位置W11、W12、W13、W14を測位順に取得した場合、機体位置W11から機体位置W12に向かうベクトルを作業機1の進行方向X1とし、機体位置W12から機体位置W13に向かうベクトルを作業機1の進行方向X2とし、機体位置W13から機体位置W14に向かうベクトルを作業機1の進行方向X3とする。
【0059】
監視装置101は、進行方向X1~X3を参照し、進行方向X1~X3の向きが連続的に変化し、互いの向きが異なっていることを確認すると、ゆらぎ度合が所定値以上であると判断する。即ち、監視装置101は、進行方向X1~X3の向きが短時間で反対向きになったり、進行方向X1~X3が異なり続けたりする場合は、機体位置W1が短時間のうちに、作業エリアE2の内側に位置したり外側に位置したりするため、ゆらぎ度合が大きく、所定値以上であると判断する。このように、ゆらぎ度合が所定値以上である場合、監視装置101は、機体位置W1iが作業エリアE2の外側に位置したことを確認しても、携帯端末102又は制御装置60に報知(警告)信号を送信しない(報知を行わない)。
【0060】
一方、監視装置101は、機体位置W110~W115を測位順に取得した場合、上述した方法と同様に、測位順で機体位置110~W115に向かうベクトルを作業機1の進行方向X10~X14とする。監視装置101は、作業機1の進行方向X10~X14を参照して、進行方向X10と進行方向X11の向きは異なるものの、進行方向X12~X14の向きは連続して同じであることを確認すると、ゆらぎ度合が小さく、所定値未満であると判断する。このように、ゆらぎ度合が所定値未満である場合、監視装置101は、機体位置W1iが作業エリアE2の外側に位置していることを確認したときに、携帯端末102又は制御装置60に報知信号を送信する(報知を行う)。
【0061】
他の例として、監視装置101が、作業機1を監視している場合において、作業機1が駆動している状態にあるか否かを確認し、作業機1が駆動していない状態で且つ、作業機1の進行方向が所定角度以上変化しない状態が一定時間以上継続した場合に、携帯端末102又は制御装置60に報知信号を送信するようにしてもよい。なおこれ以外の場合、監視装置101は報知信号を送信しない。
【0062】
また、監視装置101が、作業機1の進行方向X10~X14を参照したときに、作業機1の進行方向X10~X14を示すベクトルが一定時間以上継続して、作業エリアE1~E4から離れる方向に向いている場合に、携帯端末102又は制御装置60に報知信号を送信するようにしてもよい。なおこれ以外の場合、監視装置101は報知信号を送信しない。
【0063】
また、監視装置101が、測位装置62で測位した機体位置W1iが作業エリアE1~E4から所定距離以上離れた場合に、携帯端末102又は制御装置60に報知信号を送信するようにしてもよい。またこの場合の所定距離として、例えば測位装置62の測位精度に応じて、作業機1が実際に作業エリアE1~E4の外に位置していることを確実に検知することができる距離を設定してもよい。なおこれ以外の場合、監視装置101は報知信号を送信しない。
【0064】
さらに、監視装置101が、単位時間当たりの機体位置W1iの変化量(移動距離)に基づいて、作業機1の移動速度を求め、当該移動速度が所定値以上である場合(例えば、作業機1の移動速度が当該作業機1の最高速度を超える場合など)に、携帯端末102又は制御装置60に報知信号を送信するようにしてもよい。この場合の所定値として、例えば作業機1の自走による移動速度の最大値以上の値を設定してもよい。なおこれ以外の場合、監視装置101は報知信号を送信しない。
【0065】
上述した第2実施形態の作業機の監視システム200は、測位衛星からの信号(電波)に基づいて作業機1の位置を測位する測位装置62と、作業機1が作業を行う作業エリアE1~E4を設定するエリア設定部100と、測位装置62で測位された作業機1の位置W1iが作業エリアE1~E4の外にあり、且つ測位装置62で測位された作業機1の位置(機体位置)W1iが作業エリアE1~E4の内外にゆらぐゆらぎ度合いが所定値未満である場合に、報知を行い、ゆらぎ度合いが所定値以上である場合に、測位装置62で測位された作業機1の位置W1iが作業エリアE1~E4の外にあっても、報知を行わない監視部(監視装置)101と、を備えている。
【0066】
例えば、作業機1が作業エリアE1~E4内に位置している場合であっても、作業エリアE1~E4の周縁部付近で作業機1により作業を行っているときなどに、測位装置62の測位誤差等によって、機体位置W1iがゆらいで作業エリアE1~E4の外に位置することがある。このような場合であっても、上記構成によれば、ゆらぎ度合いが所定値以上であると監視部101で判断して、不用意に報知を行うことを抑制することができる。一方、作業エリアE1~E4から作業機1が盗難されそうな場合には、測位装置62で測位された機体位置W1iが作業エリアE1~E4の外に位置しても、当該機体位置W1iの移動が測位誤差等を原因としたゆらぎによる移動ではないと監視部101で判断して、作業機1が盗難されそうな状態にあることを報知することができる。つまり、作業機1の作業を行う場所等での盗難防止を行うことができる。
【0067】
また、第2実施形態では、監視部101は、測位装置62で測位された作業機1の複数の位置W1iに基づいて、作業機1の進行方向を求め、作業機1が駆動していない状況下で且つ作業機1の進行方向が所定角度以上変わらない状態が一定時間以上継続した場合に、報知を行う。これによれば、作業機1の進行方向を求めることによって、作業機1が作業エリアE1~E4から盗難されそうであるか否かを、監視部101で簡単に判断することができる。つまり、作業機1を駆動させていない状況下においては、機体位置W1iが作業エリアE1~E4の近くに留まるため、機体位置W1iに基づいて作業機1の進行方向を求めた場合、ゆらぎによって、作業機1の進行方向が所定角度以上変わらない状態が一定時間以上継続することはない。このため、不用意に報知を行うことを抑制することができる。一方、作業機1がトラック等の運搬車に載せられて盗難されようとしている状況下において、機体位置W1iに基づいて作業機1の進行方向を求めた場合、運搬車の移動に伴って機体位置W1iが移動し、作業機1の進行方向が所定角度以上変わらない状態が一定時間以上継続することがある。このため、作業機1が盗難されそうな状態にあることを報知することができる。
【0068】
また、第2実施形態では、監視部101は、測位装置62で測位された作業機1の複数の位置W1iに基づいて、作業機1の進行方向を求め、作業機1の進行方向が作業エリアE1~E4から離れる方向を向いた状態が一定時間以上継続した場合に、報知を行う。これによれば、作業機1が運搬車に載せられて盗難されそうな状態にあることを報知して、ユーザ等の注意を惹き、作業機1の作業を行う場所等での盗難防止を行うことが可能となる。
【0069】
また、第2実施形態では、監視部101は、測位装置62で測位された作業機1の複数の位置W1iに基づいて、作業機1の移動速度を求め、当該移動速度が所定値以上である場合に、報知を行う。これによっても、作業機1が運搬車に載せられて盗難されそうな状態にあることを報知して、ユーザ等の注意を惹き、作業機1の作業を行う場所等での盗難防止を行うことが可能となる。
【0070】
さらに、第2実施形態では、監視部101は、測位装置62で測位された作業機1の位置が作業エリアE1~E4から所定距離以上離れた場合に、報知を行う。これによれば、作業機1が盗難によって作業エリアE1~E4から持ち去られることを報知して、ユーザ等の注意を惹き、作業機1の作業を行う場所等での盗難防止を行うことが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 :作業機
62 :測位装置
100 :エリア設定部
101 :監視装置(監視部)
200 :作業機の監視システム
E1~E4 :作業エリア
W1 :機体位置
W11~W14 :機体位置
W110~W115 :機体位置
W1i :機体位置
X1~X3、X10~X14 :進行方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8