(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】吸収性担体付きエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240415BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240415BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20240415BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240415BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/20
A24D3/17
A24F40/465
(21)【出願番号】P 2021510306
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 IB2019057085
(87)【国際公開番号】W WO2020044181
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロベール
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フローレス アナ イザベル
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507647(JP,A)
【文献】特表2018-512142(JP,A)
【文献】国際公開第2017/178394(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/182485(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24F 40/20
A24D 3/17
A24F 40/465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル形成基体と、
発熱体接触面を含むシートを形成する吸収性担体であって、前記エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に囲む吸収性担体と、
前記吸収性担体内に含浸するためのエアロゾル形成体と、を備える、エアロゾル発生物品、
前記エアロゾル発生物品を受容するためのエアロゾル発生装置、および
前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体であって、前記エアロゾル発生物品が前記エアロゾル発生装置に受容される時、前記エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に取り囲む外部発熱体を備える発熱体を備え、
前記物品が前記エアロゾル発生装置によって受容される時、前記吸収性担体が前記エアロゾル形成基体と前記発熱体との間に配置され、前記発熱体接触面が前記外部発熱体に接触するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記エアロゾル発生物品が、前記発熱体をさらに備え、または前記エアロゾル発生装置が、前記発熱体を備え、または、前記エアロゾル発生物品および前記エアロゾル発生装置の両方が、前記発熱体を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記発熱体がサセプタを備え、および前記エアロゾル発生装置が、前記装置内に前記物品が受容された時に前記サセプタを加熱するように構成された誘導コイルを備える、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記エアロゾル形成体が前記吸収性担体内に含浸される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル形成体を収容する壊れやすい膜を備え、前記壊れやすい膜が破裂した時に前記エアロゾル形成体を前記吸収性担体内に放出するように、前記壊れやすい膜が配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項6】
前記エアロゾル形成基体が、固体、ペースト、ゲル、スラリー、液体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項7】
前記エアロゾル形成基体が固体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項8】
前記エアロゾル形成基体がコアを形成し、前記吸収性担体が前記コアの少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲む円筒形部分を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項9】
前記エアロゾル形成基体が、前記吸収性担体上に被覆された層を形成し、前記吸収性担体および前記エアロゾル形成基体が、吸収性担体とエアロゾル形成基体との交互の層のスパイラルを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項10】
前記吸収性担体が熱伝導性または誘導性材料で裏打ちされている、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項11】
前記吸収性担体が紙を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項12】
前記物品がカートリッジハウジングを備え、前記エアロゾル形成基体および吸収性担体が前記カートリッジハウジング内に提供される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【請求項13】
前記物品がサセプタを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品に関し、より具体的には、このようなエアロゾル発生物品で使用するための吸収性担体およびエアロゾル形成体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこや葉巻たばこなどの従来の喫煙物品には、消費者が吸入する煙を発生させるために燃焼されるたばこが含まれる。一酸化炭素および他の燃焼副産物の生成を減少させる一つのやり方は、基体を燃焼することなく基体からエアロゾルを生成するために十分な温度にたばこ基体を加熱する電気ヒーターを使用することである。このような加熱非燃焼式喫煙物品は、たばこの燃焼に関連付けられた副産物を減少させる、または除去する。しかし、このような装置は、たばこを燃焼させる従来の喫煙物品と比較して、エアロゾル生成の減少に悩まされうる。たばこよりもむしろ、eリキッドを使用する何らかのエアロゾル発生装置が提案されてきている。eリキッドを使用するエアロゾル発生装置は、燃焼による副産物を出さないが、消費者から、従来のたばこに基づく体験を奪う。
【0003】
従来の風味と喫煙の体験を体験するために、ユーザーは、むしろたばこを含む基体を含む電気加熱式喫煙物品の方を好む場合がある。電気加熱式喫煙物品は、eリキッドを含まないたばこ、または(ハイブリッドエアロゾル発生要素としても知られる)eリキッドを含むたばこのいずれかを含み得る。
【0004】
エアロゾル発生装置の一部の周知のタイプにおいて、エアロゾルは熱源から、物理的に分離されたエアロゾル発生物品(例えば、たばこ含有基体を含む)への熱伝達によって発生する。装置は、熱源が基体を燃焼しないように構成されている。使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0005】
エアロゾルの生成は、可視的なエアロゾル、エアロゾル質量、エアロゾル体積、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを指す場合がある。たばこ由来の基体を使用する一部の電気加熱式エアロゾル発生装置は、エアロゾルの生成を減少させることに起因して、従来の喫煙の体験に対するユーザーの期待を満たさない場合がある。例えば、エアロゾルの生成はよりゆっくりと開始されるので、ユーザーの最初の吸煙ができるまでにより長い時間がかかりうる。ユーザーはまた、エアロゾルの生成の減少を経験する場合があり、これは最初の吸煙中により顕著でありうる。エアロゾルの生成の減少は、ヒーターとたばこ由来の基体との間の非効率な熱伝導性に起因しうる。電気ヒーターと基体との間の非効率な熱伝導性は、特に初回~三、四回目の吸煙の間、総エアロゾル物質(TAM)の全体的低量をもたらしうる。
【0006】
エアロゾル化を向上する電気加熱式のエアロゾル発生装置における使用のためのエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。総エアロゾル質量を増加する電気加熱式のエアロゾル発生装置における使用のためのエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。ユーザーが初回の吸煙をしうるまでの時間(初回の吸煙までの時間、TT1Pとも呼ばれる)を短縮する、電気加熱式のエアロゾル発生装置における使用のためのエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。また、エアロゾル化の向上、TAMの増加、およびTT1Pの減少のうちの一つ以上を行う一方で、電気加熱式のエアロゾル発生装置におけるエアロゾル形成基体としてのたばこの使用を可能にするエアロゾル発生システムを提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の様々な態様は、エアロゾル形成基体を加熱するが燃焼しないように構成された電気加熱式の発熱体を使用するエアロゾル発生システムに関する。エアロゾル形成基体は、装置によって受容されうるエアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、吸収性担体を含んでもよい。揮発性エアロゾル形成体は、吸収性担体中に含浸される、または吸収性担体中に含浸可能でありうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体に隣接して配置されてもよい。吸収性担体は、発熱体に隣接して配置されてもよい。吸収性担体は、エアロゾル形成基体と発熱体との両方に隣接して配置されてもよい。搬送される吸収剤中のエアロゾル発生物品およびエアロゾル形成体は、使用中に加熱される。気相中のエアロゾル形成体の存在は、エアロゾル発生物品から揮発される化合物の凝縮を強化し、それによってエアロゾルの形成を改善する。
【0008】
本開示の態様によると、エアロゾル形成体で含浸された(または含浸可能な)吸収性担体は、エアロゾル発生物品の一部として提供される。エアロゾル形成体で含浸された(または含浸可能な)吸収性担体は、エアロゾル化およびエアロゾル形成基体からの感覚活性化合物の放出を向上しうる。吸収性担体は、一つ以上のエアロゾル形成体で含浸されうる。あるいは、吸収性担体はまた、一つ以上の感覚活性化合物またはその前駆体で含浸されてもよい。エアロゾル形成体は、使用時にエアロゾルの形成を促進する化合物である。かかる化合物には、グリセリン、およびプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。感覚活性化合物は、感覚応答を誘発することを可能にする化合物、例えば風味剤である。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置と共に使用するために配置されうる。エアロゾル発生装置はエアロゾル発生物品を受容する、およびエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と吸収性担体とを加熱するように構成される。
【0009】
吸収性担体は、シートの形態でありうる。「シート」という用語は本明細書では、一般に平坦であり、材料の厚さよりも大きな(例えば、数桁大きな)幅および高さを有する材料を指すために使用される。シートの一例は、紙のシートである。当然のことながら、「シート」という用語はまた、紙よりも厚さの大きい材料を包含してもよい。
【0010】
吸収性担体は、繊維を含んでもよく、紙または別のセルロース系シート材料で作製されてもよい。
【0011】
一部の実施形態では、エアロゾル形成体は吸収性担体内に含浸される。一部の実施形態では、揮発性エアロゾル形成体は、含浸可能であり、使用前に含浸される吸収性担体とは別に提供されうる。例えば、ユーザーは、エアロゾル形成体を吸収性担体に含浸させうる。一部の実施形態では、エアロゾル形成体は、破壊可能な要素の内側に提供されてもよい。破壊可能な要素は、物品の意図される使用の直前にユーザーによって破壊されうる。例えば、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成体を収容する壊れやすい膜を含んでもよい。壊れやすい膜は、壊れやすい膜が破裂するとエアロゾル形成体が放出され、吸収性担体によって吸収されるように、吸収性担体に対して配置されうる。例えば、ユーザーは、例えば、エアロゾル発生物品を圧搾したり、押したり、または振ったり等することによって、力を加えうる。したがって、エアロゾル形成体の使用は、ユーザーが所望するとおりに活性化されうる。
【0012】
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体および吸収性担体が使用中に加熱されると、吸収担体中に含浸(例えば、吸収)されたエアロゾル形成体が部分的または完全に蒸発する。気化した化合物は、エアロゾルの形成に寄与する。エアロゾル形成体は、特に最初の数回の吸煙中に、エアロゾル発生装置によって発生されるエアロゾル化されたすべての物質を増加させることによってエアロゾル化を向上しうる。このように、たばこ由来の基体を使用する、およびエアロゾル形成体で含浸された吸収性担体を用いるエアロゾル発生装置で、喫煙物品を燃焼させることにより類似したエアロゾル生成を得ることができる。これは、従来の喫煙に関連付けられた風味、香り、および儀式を可能な限り維持することに役立つ。揮発性エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体がないと、加熱非燃焼式エアロゾル発生システムは、従来の喫煙と比較して、特に最初の数回の吸煙の間、相対的に低い量の総エアロゾル質量をもたらしうる。
【0013】
「エアロゾル」という用語は、本明細書で使用される場合、揮発性風味化合物を含有しうる空気などの気体中の微細固体粒子または液体液滴の懸濁液を指す。
【0014】
吸収性担体は、エアロゾル形成体などの揮発性化合物の担体または支持体として作用しうる。エアロゾル発生物品中の揮発性エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体の使用は、最初の吸煙までの時間を短縮しうるか、総エアロゾル物質(TAM)を増加させるか、または最初の吸煙までの時間の短縮およびTAMの増加の両方を引き起こすことができる。TAMは、特に最初の数回の吸煙中に優先的に増加する、なぜなら電気加熱式のエアロゾル発生装置でTAMが低い状態であるのは、通常最初の数回の吸煙であるためである。エアロゾル発生物品は、発熱体と共に使用するために配置されてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するように配置されてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品の吸収性担体を加熱するように配置されてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体とエアロゾル発生物品の吸収性担体との両方を加熱するように配置されてもよい。
【0015】
一部の実施形態によると、エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体は、発熱体に隣接して配置されうる。発熱体は、吸収性担体中のエアロゾル形成体が、基体の前に最初に揮発温度に達するように、基体よりも吸収性担体の近くに配置されうる。
【0016】
一部の実施形態では、発熱体は外部発熱体を備えうる。外部発熱体は、エアロゾル発生物品を外部から、例えばエアロゾル発生物品の外表面から、加熱するように配置されてもよい。
【0017】
一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、吸収性担体によって少なくとも部分的に囲まれたコアを形成しうる。エアロゾル形成基体は、吸収性担体によって取り囲まれたコアを形成しうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体コアと発熱体との間に配置されてもよく、この発熱体は外部発熱体であってもよい。
【0018】
一部の実施形態では、発熱体は内部発熱体を備えうる。内部発熱体は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を少なくとも部分的に貫通するように配置されてもよい。使用において、内部発熱体は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸と整列されてもよい。
【0019】
一部の実施形態では、吸収性担体は、エアロゾル形成基体によって少なくとも部分的に囲まれたコアを形成しうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体によって取り囲まれたコアを形成しうる。吸収性担体コアは、エアロゾル形成基体と発熱体との間に配置されてもよく、この発熱体は内部発熱体であってもよい。例えば、内部発熱体は、吸収性担体によって少なくとも部分的に囲まれてもよい。内部発熱体は、吸収性担体によって取り囲まれてもよい。吸収性担体は、エアロゾル形成基体および発熱体に隣接して配置されうる。
【0020】
一部の実施形態では、吸収性担体は、内部発熱体を受容するための中空領域、貫通孔、またはスロットを画定しうる。
【0021】
発熱体は、内部発熱体および外部発熱体の両方を含みうる。使用時に、エアロゾル形成基体は、外部発熱体内に少なくとも部分的に配置されてもよく、内部発熱体を少なくとも部分的に囲んでもよい。吸収性担体は、エアロゾル形成基体と外部発熱体との間に配置されうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体と内部発熱体との間に配置されうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体と外部発熱体との間、またエアロゾル形成基体と内部発熱体との間の両方に配置されてもよい。吸収性担体は、エアロゾル形成基体に隣接し、かつ外部発熱体に隣接して配置されうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体および内部発熱体に隣接して配置されうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体と、外部発熱体および内部発熱体の両方とに隣接して配置されうる。
【0022】
一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生装置の一部として提供されてもよい。一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生物品の一部として、およびエアロゾル発生装置の一部としての両方で提供されてもよい。発熱体が内部発熱体および外部発熱体の両方を含む場合、内部および外部発熱体の一方または両方が、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。発熱体が内部発熱体および外部発熱体の両方を含む場合、内部および外部発熱体の一方または両方が、エアロゾル発生装置の一部として提供されてもよい。
【0023】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の吸収性担体およびエアロゾル形成基体を熱伝導によって加熱するように構成されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品内の発熱体から吸収性担体およびエアロゾル形成基体への効率的な熱伝達を提供するために、発熱体との接触を可能にするか、または発熱体からの距離を最小化しうる形状およびサイズとされることが好ましい。熱は、抵抗加熱または誘導によるなどの、任意の適切な機構によって生成されうる。
【0024】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は誘導加熱によって加熱される。誘導加熱を促進するために、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置、あるいはエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置の両方には、サセプタが提供されてもよい。適切なサセプタ材料は、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ニオブ、INCONEL(登録商標)合金(オーステナイトニッケルクロム系超合金)、金属化フィルム、セラミック(例えば、ジルコニウムなど)、遷移金属(例えば、Fe、Co、Niなど)、または半金属構成要素(例えば、B、C、Si、P、Alなど)を含むか、またはそれらで作製される。
【0025】
誘導加熱される実施形態では、サセプタは、任意の適切な形態または形状をとりうる。例えば、サセプタは、粉末、断片、細片、シート、プラグ、ブロック、ブレード、ランダムな形状など、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。サセプタはエアロゾル発生物品の部品でありうる。例えば、サセプタは、ラッパーまたはライナーの部品であってもよい。サセプタは挿入部を備えてもよい。サセプタは、エアロゾル発生物品全体に分布されてもよい。一部の実施形態では、サセプタは、基体全体に分配されたラッパー、ライナー、挿入部、または材料の組み合わせを含む。一実施形態では、エアロゾル発生物品本体は、サセプタとして作用することができる材料(例えば、アルミニウム)から作製されてもよい。別の実施形態では、サセプタ材料は、エアロゾル発生物品のキャビティ内に提供される。例えば、サセプタ材料は、基体全体に均一に分布されてもよい。サセプタ材料は、例えば、粉末、断片、細片、シート、プラグ、ブロック、ブレード、ランダム形状など、またはそれらの組み合わせなどの任意の形態で、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。一部の実施形態では、サセプタは、エアロゾル発生装置の一部である。例えば、エアロゾル発生装置は、サセプタ材料のブレードなどのサセプタを含む内部ヒーターを備えてもよい。エアロゾル発生装置は、サセプタを含む外部ヒーターを備えてもよい。一実施形態では、加熱チャンバの内壁には、サセプタコーティングまたはライニングなどのサセプタ材料が提供されうる。サセプタ材料を誘導加熱するために、エアロゾル発生装置は、交流電流を発生させてサセプタに加熱させるコイルを備えうる。
【0026】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置によって受容されるように構成される、任意の適切な形状で提供されてもよい。エアロゾル発生装置は、一般的にロッド状の喫煙物品または任意の他の適切な形状を有する物品などの喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、シーシャ装置によって受容されるように構成されてもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に立方体形状、円筒形状、円錐台形状、または任意のその他の適切な形状を有してもよい。好ましくは、エアロゾル発生物品は、細長い円筒形状、または円錐台形状などの略円筒形の形状を有する。
【0027】
エアロゾル発生物品はカートリッジでありうる。カートリッジは、その中にエアロゾル形成基体が配置されるキャビティを画定する任意の適切な本体を含みうる。本体は、耐熱性ポリマーまたは金属などの一つ以上の耐熱性材料から形成されることが好ましい。本体は熱伝導性材料を含んでもよい。例えば、本体は、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、その任意の合金、およびそれらの組み合わせのいずれかを含みうる。本体はアルミニウムを含むことが好ましい。
【0028】
本体は、側壁を含みうる。一実施形態によれば、側壁はキャビティを画定する円筒を形成する。円筒は、例えば、円筒の一方の端に向かって先細りするよう設計された直径など、変化する直径を備えてもよい。円筒形側壁は、第一および第二の端部を有してもよい。第一および第二の端部は、開放端部であってもよい。本体はまた、円筒形側壁の端部を少なくとも部分的に覆う一つ以上の端壁を備えてもよい。一部の実施形態では、本体は、一方の端で開かれ、他方の端で閉じられている、または両端で開かれている円筒形側壁を備える。本体は、一つ以上の部品を含みうる。例えば、側壁および端壁は、一体型の単一部品であってもよい。側壁および端壁は、ねじ係合または締まり嵌めなど、任意の適切な方法で互いに係合するように構成された二つの部品であってもよい。側壁および端壁は、例えば溶接することによって、または接着剤によって、共に接合される二つの部品であってもよい。側壁および二つの向かい合う端壁は、ねじ係合締まり嵌め、溶接、または接着剤など、任意の適切な方法で互いに係合するように構成された三つの別個の部品であってもよい。
【0029】
本体は、その中にエアロゾル形成基体および吸収性担体が配置されうるキャビティを画定する。キャビティを画定する本体の一部分は、加熱可能な壁または表面を備えてもよい。本明細書で使用される場合、「加熱可能な壁」および「加熱可能な表面」は、直接的または間接的のいずれかで熱が加えられうる壁または表面の区域を意味する。加熱可能な壁または表面は、熱伝達表面として機能してもよい。例えば、キャビティを画定する本体の一部分の加熱可能な壁または表面は、それを通して熱が、キャビティの外側から本体を通ってキャビティまでまたはキャビティの内表面まで、伝達されうる表面である。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、内部発熱体を受容するように構成される。例えば、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に挿入されるにつれ、ロッド、ブレード、またはピンなどの細長い発熱体がエアロゾル発生物品内に挿入されてもよい。細長い発熱体は、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、またはエアロゾル発生装置と連結するの別個の要素として提供されてもよい。
【0030】
エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体は、エアロゾル発生装置のキャビティの内表面に隣接して配置されうる。吸収性担体は、キャビティの内表面および発熱体の両方に隣接して配置されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品が使用中である時、吸収性担体が加熱可能な表面と接触するか、または隣接するように構成されてもよい。一実施形態では、吸収性担体は、エアロゾル発生物品が使用中である時、加熱可能な表面と直接接触する。
【0031】
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、物品の任意の適切な容積を占めてもよい。エアロゾル発生物品がカートリッジを備える場合、エアロゾル形成基体は、物品のキャビティの任意の適切な容積を占めてもよい。エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体の容積は、エアロゾル発生物品内に配置されたエアロゾル形成基体の量、組成、形状、充填密度、または形態を変更することによって変化しうる。
【0032】
任意の適切なエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成しうる揮発性化合物を放出する能力を有する基体であることが好ましい。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、固体、ペースト、ゲル、スラリー、液体であってもよく、または固体、ペースト、ゲル、スラリー、および液体構成要素の任意の二つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0033】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでいてもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスを含みうる。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含むことが好ましく、たばこ含有材料は加熱に応じてエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有することが好ましい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状のたばこを凝集することによって形成されてもよい。エアロゾル形成基体は別の方法として、または追加的に、非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0034】
エアロゾル形成基体は例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの一つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。
【0035】
エアロゾル形成基体は、吸収性担体内に含浸されたエアロゾル形成体と同一または異なる場合がある少なくとも一つのエアロゾル形成体を含みうる。エアロゾル形成体は、使用時に高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にする、またエアロゾル発生装置の動作温度にて熱分解に対して実質的に耐性のある任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなど)である。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。一部の実施形態では、エアロゾル形成体は、グリセリンまたはグリセリンと一つ以上の他の適切なエアロゾル形成体(上記のものなど)との混合物である。
【0036】
エアロゾル形成基体は、任意の適切な量のエアロゾル形成体を含みうる。例えば、エアロゾル形成体の含有量は、乾燥質量基準でエアロゾル形成基体5%以上であってもよく、乾燥質量基準で30重量%より高いことが好ましい。エアロゾル形成体の含有量は、乾燥質量基準で約95%未満であってもよい。エアロゾル形成体の含有量は最大約55%であることが好ましい。
【0037】
エアロゾル形成基体は、熱的に安定した担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。「熱的に安定な」という用語は、基体が典型的に加熱される温度(例えば、約150℃~約300℃)で実質的に劣化しない材料を示すために本明細書で使用される。熱的に安定した担体は、吸収性担体とは別個かつ区別されうる。熱的に安定した担体は、エアロゾル形成基体(例えば、糖蜜)に支持を提供するために使用されうる。エアロゾル形成基体および熱的に安定した担体は、エアロゾル発生物品の中心に配置されてもよい。一方、吸収性担体は、エアロゾル形成体の担体として使用されうる。吸収性担体およびエアロゾル形成体は、エアロゾル発生物品の側壁、端壁、底部、または両方に隣接して配置されうる。吸収性担体およびエアロゾル形成体は、エアロゾル形成基体および熱的に安定した担体を少なくとも部分的に囲んでもよい。
【0038】
熱的に安定した担体は、第一の主表面、第二の主表面、または第一の主表面および第二の主表面の両方の上に基体が堆積された薄層を含んでもよい。熱的に安定した担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穿孔された金属箔または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。別の方法として、熱的に安定した担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態を取ってもよい。担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維束としうる。不織布または繊維束は、例えば炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含んでもよい。一部の実施形態では、担体は省略されてもよい。
【0039】
一部の実施例では、エアロゾル形成基体は、任意の適切な量の一つ以上の糖を含む。特に、エアロゾル発生装置がシーシャ装置である場合、エアロゾル形成基体が一つ以上の糖を含むことが望ましい場合がある。エアロゾル形成基体は、スクロースを粉砕することによって得られたグルコースとフルクトースの混合物である転化糖を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、約1重量%~約40重量%の糖(転化糖など)を含むことが好ましい。一部の実施例では、一つ以上の糖は、コーンスターチまたはマルトデキストリンなどの適切な担体と混合されうる。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、添加された糖を含まない。
【0040】
一部の実施例では、エアロゾル形成基体は、一つ以上の感覚促進剤を含む。適切な感覚促進剤は風味剤および冷却剤などの感覚剤を含む。適切な風味剤には、天然または合成のメントール、ハッカ、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブ、ショウガ、またはそれらの組み合わせなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ビャクシン、アネトール、リナロオールおよびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0041】
一部の実施例では、エアロゾル形成基体は懸濁液の形態である。例えば、エアロゾル発生基体は、糖蜜を含みうる。特に、エアロゾル発生装置がシーシャ装置である場合、エアロゾル形成基体は糖蜜を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「糖蜜」とは、約20%以上の糖を含むエアロゾル形成基体組成物を意味する。例えば、糖蜜は、少なくとも約35重量%の糖など、少なくとも約25重量%の糖を含みうる。典型的には、糖蜜は、約50重量%未満の糖など、約60重量%未満の糖を含む。
【0042】
従来的なシーシャ装置で使用するためのエアロゾル形成基体は、不均質であって塊およびキャビティを含みうる、糖蜜の形態にあってもよい。こうしたキャビティは、熱伝導を特に非効率的なものにする、基体と加熱された表面との間の直接的な熱接触を防止する。結果として、電子加熱式シーシャ装置は、例えば、eリキッドまたは乾燥石を使用することによる従来的な糖蜜から逸脱する傾向がある。本開示で説明されたエアロゾル発生物品内の揮発性エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体の使用に起因して、電気加熱を使用する一方で典型的な決まった儀式およびシーシャ体験を維持するために、糖蜜などの、より従来的なエアロゾル形成基体を使用してもよい。様々な基体は、従来的なのシーシャ基体を非シーシャのエアロゾル発生物品で使用しうるように、および非シーシャ基体をシーシャ装置での使用を意図されたカートリッジで使用しうるように、互換的に使用されうる。
【0043】
任意の適切な量のエアロゾル形成基体(例えば、糖蜜またはたばこ基体)が、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、少なくとも0.4g、少なくとも0.5g、少なくとも0.8g、少なくとも1g、少なくとも1.5g、少なくとも2g、または少なくとも2.5gのエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、最大15g、最大10g、最大5g、または最大4gのエアロゾル形成基体を含みうる。一実施形態では、約10gのエアロゾル形成基体が提供される。エアロゾル形成基体は、吸収性担体によって画定される空間内に配置されてもよい。
【0044】
エアロゾル発生物品は、任意の適切なサイズを有しうる。例えば、エアロゾル発生物品は、約15cm以下、約12cm以下、約10cm以下、約8cm以下、または約6cm以下の長さを有してもよい。長さは、約1cm以上、約3cm以上、または約4cm以上、または約5cm以上でありうる。エアロゾル発生物品は、約5mm以上、約6mm以上、約7mm以上、または約8mm以上の外径を有してもよい。外径は、約20mm以下、約15mm以下、約12mm以下、または約10mm以下としてもよい。エアロゾル発生物品がカートリッジを備える場合、カートリッジの本体は、キャビティ内に加熱可能な表面積を有してもよい。キャビティ内の加熱可能な表面積は、約4cm2以上、約6cm2以上、約8cm2以上、または約10cm2以上からとしうる。加熱可能な表面積は、約50cm2以下、約40cm2以下、約30cm2以下、または約20cm2以下としうる。好ましい実施形態では、本体は円筒形である。
【0045】
エアロゾル発生物品が、シーシャカートリッジなどのカートリッジである場合、カートリッジの本体は、約15cm以下の長さを有してもよい。カートリッジは約1cm以上の内径を有してもよい。カートリッジはキャビティ内に、約70cm2~約100cm2など、約25cm2~約100cm2の加熱可能な表面積を有してもよい。キャビティの容積は、約10cm3~約50cm3としうる。本体はキャビティ内に、約20cm2~約100cm2の加熱可能な表面積を有してもよい。本体は円筒形または円錐台形であることが好ましい。
【0046】
エアロゾル発生物品は、約1分~約60分続く喫煙の体験に十分な量のエアロゾルを提供するであろうエアロゾル形成基体の量を含むことが好ましい。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体の量は、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約1.5分、少なくとも約2分、または少なくとも約3分の喫煙の体験に対して十分である。エアロゾル形成基体の量は、最大10分、最大8分、最大6分、または最大5分の喫煙の体験に対して十分でありうる。装置がシーシャ装置である場合、喫煙の体験は、約20分~約50分続くことが好ましく、約30分~約40分続くことがより好ましい。
【0047】
エアロゾル発生物品は、フロースルー要素として提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、一つ以上の壁によって画定されてもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、開放端部、または開放された第一および第二の端部を有する円筒状の壁を有してもよい。エアロゾル発生物品は、第一の端部および第二の端部を覆う一つ以上の側壁を有する円筒状の壁を有してもよい。エアロゾル発生物品は、円筒状の壁の第一の端部、第二の端部、またはそれらの組み合わせで、通気孔を含みうる。
【0048】
エアロゾル発生物品は、一つ以上の通気孔を備えてもよい。特に、エアロゾル発生物品がカートリッジである場合、エアロゾル発生物品は、一つ以上の通気孔を備えてもよい。通気孔は、入口または出口であってもよく、エアロゾル発生物品の底部、上部、側面、またはそれらの組み合わせに配置されてもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品の上部は、エアロゾル発生物品の一つ以上の入口を形成するために一つ以上の開口部を画定してもよい。エアロゾル発生物品の底部は、エアロゾル発生物品の一つ以上の出口を形成するために一つ以上の開口部を画定してもよい。
【0049】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置で使用された時に、空気がエアロゾル形成基体を通って流れることを可能にする一つ以上の入口および一つ以上の出口を備える。一つ以上の入口および一つ以上の出口は、エアロゾル発生物品の開放端部またはエアロゾル発生物品の壁の通気孔を含みうる。一つ以上の入口および出口は、エアロゾル発生物品を通した適切な引き出し抵抗(RTD)を提供するサイズおよび形状であることが好ましい。一部の実施例では、入口(複数可)から出口(複数可)へのエアロゾル発生物品を通したRTDは、約10mm H2O~約50mm H2O、好ましくは約20mm H2O~約40mm H2Oでありうる。標本のRTDは、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下での空気の流れによって横断された時の、標本の二つの端部間の静的圧力差を意味する。標本のRTDは、ISO規格6565:2002に記載された方法を使用して、任意の換気を遮断した状態で測定してもよい。
【0050】
本開示の一部の実施形態によると、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の一部として提供されるエアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体を含む。一部の実施形態では、エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体は、エアロゾル発生物品の内側に配置される。吸収性担体は、揮発性化合物を吸収するように、および揮発性化合物を、エアロゾル発生物品の加熱された表面のすぐ近くにまたは接触して、あるいは発熱体に接触して保持しうる担体または支持体として作用するように選択されうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に囲んでもよい。エアロゾル形成基体は、吸収性担体を少なくとも部分的に囲んでもよい。
【0051】
実施形態によると、吸収性担体は、吸収性担体が加熱されると、エアロゾルの形成を助けうる一つ以上のエアロゾル形成体で含浸される。適切なエアロゾル形成体としては、ポリオール、グリコールエーテル、ポリオールエステル、エステル、及び脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体はグリセロール、プロピレングリコール、エリスリトール、1,3-ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレンカーボネート、ラウリン酸エチル、トリアセチン、メソ-エリスリトール、ジアセチン混合物、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、バニリン酸エチル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸のうちの一つ以上を含んでよい。好ましくは、エアロゾル形成体は、揮発性が比較的高く、比較的高い吸湿性を示す化合物を含む。一部の実施形態では、エアロゾル形成体は、グリセロール(例えば、植物グリセリン(VG))、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0052】
吸収性担体は、任意の適切な量の一つ以上のエアロゾル形成体を含みうる。例えば、吸収性担体は、0.3g以上、0.5g以上、0.8g以上、1g以上、1.2g以上、または1.5以上のエアロゾル形成体を含みうる。吸収性担体は、最大8g、最大7g、最大6g、最大5.5g、最大5g、最大4.5g、または最大4gのエアロゾル形成体を含んでもよい。一実施形態では、吸収性担体は0.5~5gのエアロゾル形成体を含む。
【0053】
エアロゾル形成体は、吸収性担体内に含浸されうる。あるいは、またはさらに、エアロゾル形成体は含浸可能であり、吸収性担体とは別個に提供されてもよい。吸収性担体とは別個に提供されるエアロゾル形成体は、使用前に吸収性担体内に含浸されてもよい。例えば、エアロゾル形成体は、ビーズまたはカプセルなどの脆く壊れやすい要素内に提供されうる。エアロゾル形成体は、物品の意図される使用の直前にユーザーによって脆く壊れやすい要素から放出されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成体を収容する壊れやすい膜を含んでもよい。壊れやすい膜は、壊れやすい膜の破裂時に、エアロゾル形成体を吸収性担体内に放出するように配置されうる。一部の実施形態では、壊れやすい膜または要素は、ユーザーが壊れやすい膜または要素の領域内においてエアロゾル発生物品を圧搾することにより、または軽く圧力をかけることにより破裂させられてもよい。一部の実施形態では、壊れやすい膜または要素は、壊れやすい膜または要素を含むエアロゾル発生物品の激しい振とう時にエアロゾル形成体を放出してもよい。
【0054】
吸収性担体内に含浸(例えば、吸収)されたエアロゾル形成体は、喫煙の体験の開始時に利用可能な凝縮核の数を増加させうる。喫煙の体験の開始時に利用可能な凝縮核の数を増加させ、それにより、エアロゾル生成をより早く開始させ、特に最初の数回の吸煙中により多くのエアロゾルを生成する。例えば、エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体は、最初の2回、最初の3回、最初の5回、最初の10回、最初の15回、最初の20回、または最初の30回の吸煙の間に生成されるエアロゾルの量を増加させてもよい。
【0055】
吸収性担体内に含浸されたエアロゾル形成体の使用はまた、エアロゾル発生装置が、適切なまたは望ましいTAM(通常、約15mg/吸煙)を含む初回の吸煙に対して準備するのにかかる時間(すなわち、初回の吸煙までの時間、またはTT1P)を低減しうる。例えば、TT1Pは、エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体なしでエアロゾル発生物品を使用する場合、およそ20秒であってもよい。しかしながら、吸収性担体内に含浸されたエアロゾル形成体を使用して、最初の数回の吸煙の間に利用可能なエアロゾルの量を増加させることによって、TT1Pは、少なくとも約2秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、または少なくとも約15秒減少されうる。TT1Pは、最大約20秒、最大約18秒、最大約15秒、または最大約10秒まで減少させることができる。およそ4分の予熱時間を使用するシーシャ装置では、エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体無しで糖蜜を用いるカートリッジを使用する場合、TT1Pはおよそ17分であり得る。吸収性担体内に含浸されたエアロゾル形成体を使用して、最初の数回の吸煙中に利用可能なエアロゾルの量を増加させることによって、シーシャ装置のTT1Pを約1分~約15分減少させることができる。
【0056】
吸収性担体は、任意の適切な形態または形状を有しうる。吸収性担体はシートを形成することが好ましい。シートは、適切な形状にさらに形成されうる。例えば、吸収性担体は、エアロゾル発生物品の円筒状の壁の内側表面を少なくとも部分的に裏打ちする、エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に囲む、または両方である円筒形部分を含みうる。一部の実施形態では、吸収性担体は、エアロゾル形成基体で被覆されるか、または囲まれる。吸収性担体は、エアロゾル発生物品の別の壁(端壁など)を覆う部分をさらに含みうる。吸収性担体は、平坦(例えば、平面状)、湾曲された、圧延された、折り畳まれた、プリーツされた、捲縮された、くしゃっとした、曲げられたなど、の部分を含みうるか、あるいは形態および形状の組み合わせ(例えば、平坦部分およびプリーツされたまたは曲がった部分)を含みうる。一実施形態では、吸収性担体は圧延された形状を有する。例えば、吸収性担体は、エアロゾル形成基体で層状にされ、複数の交互の吸収性担体およびエアロゾル形成基体の層を含むスパイラルな円筒形状に圧延されうる。ロールアップされた円筒形状は、エアロゾル発生物品の内側に配置されてもよい。
【0057】
吸収性担体は、多孔性材料から作製されうる。一部の実施形態では、吸収性担体は繊維を含む。吸収性担体は、精製されたセルロース系材料から作製されうる。「精製されたセルロース系材料」という用語は、ここで、セルロース系(例えば、植物由来)であるが、化合物を除去するため、材料の化学構造を変化させるため、または両方のために処理(例えば、精製)されている材料を指すために使用される。除去された化合物は、精製プロセスが乾燥以外の工程、または乾燥に加えての工程を含むように、水以外の化合物であってもよい。吸収性担体で使用するための適切な精製されたセルロース系材料の例には、紙、フィルター紙、板紙、厚紙、レーヨン(例えば、リヨセル、ビスコース、モーダル)などが含まれる。一部の実施形態によると、吸収性担体は、絹、ウール、コットン、リネンなどのその他の繊維性材料を含みうる。
【0058】
吸収性担体は、任意の適切な厚さを有しうる。例えば、吸収性担体は、約0.1mm以上、約0.2mm以上、約0.5mm以上、または約1mm以上の厚さを有しうる。吸収性担体は、最大約5mm、最大約4mm、最大約3.5mm、最大約3mm、最大約2.5mm、または最大約2mmの厚さを有しうる。一実施形態では、吸収性担体は、約0.1mm~約3mmの厚さを有する。
【0059】
吸収性担体は、任意の適切な表面積を有しうる。例えば、吸収性担体は、約1cm2以上、約2cm2以上、約3cm2以上、約3.5cm2以上、約4cm2以上、約5cm2以上、約6cm2以上、または約8cm2以上の表面積を有しうる。吸収性担体は、最大約50cm2、最大約40cm2、最大約30cm2、最大約25cm2、最大約20cm2、最大約18cm2、最大約15cm2、または最大約10cm2の表面積を有しうる。一実施形態では、吸収性担体は、約2cm2~約10cm2の表面積を有する。
【0060】
吸収性担体はまた、熱伝導性または誘導性材料の層を含んでもよい。例えば、吸収性担体は、熱伝導性または誘導性材料で被覆または積層されうる。適切な熱伝導性または誘導性材料の例には、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせなどの、様々な金属が含まれる。適切な誘導性サセプタ材料は、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ニオブ、INCONEL(登録商標)合金(オーステナイトニッケルクロム系超合金)、金属化フィルム、セラミック(例えば、ジルコニウムなど)、遷移金属(例えば、Fe、Co、Niなど)、または半金属構成要素(例えば、B、C、Si、P、Alなど)を含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。このような熱伝導性または誘導性材料は、熱橋として作用し、より均一な温度プロファイルを提供しうる。熱伝導性または誘導性材料層の使用は、吸収性担体がロールアップされた形態で提供される場合にも有利でありうる。
【0061】
一部の実施形態によると、エアロゾル発生物品は、キャビティおよび内表面を画定する本体を含む。エアロゾル発生物品は、キャビティ内に、基体と、エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体とを含みうる。吸収性担体は、キャビティの内表面に隣接して、発熱体に隣接して、基体に隣接して、またはそれらの任意の組み合わせで配置されうる。一実施形態では、吸収性担体は、エアロゾル発生物品が使用中である時、加熱された表面と直接接触する。発熱体は、外部発熱体または内部発熱体であってもよく、または内部および外部発熱体の両方を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、少なくとも1g、少なくとも1.5g、少なくとも2g、または少なくとも2.5gのエアロゾル形成基体を含みうる。エアロゾル発生物品は、最大15g、最大10g;最大5g、または最大4gのエアロゾル形成基体を含みうる。エアロゾル発生物品は、0.3g以上、0.5g以上、0.8g以上、1g以上、1.2g以上、または1.5以上の、吸収性担体内に含浸された、または含浸可能なエアロゾル形成体を含みうる。エアロゾル発生物品は、最大8g、最大7g、最大6g、最大5.5g、最大5g、最大4.5g、または最大4gの、吸収性担体内に含浸された、または含浸可能なエアロゾル形成体を含みうる。吸収性担体は、基体に隣接して、または基体を囲んで(例えば、少なくとも部分的に囲んで)、またはその両方で配置されたシートを形成しうる。例えば、吸収性担体は、基体が内部に配置された状態でスリーブ形状を形成しうる。一実施形態では、吸収性担体は、基体と交互の層として配置される(例えば、ロールアップされる)。吸収性担体は、平坦、湾曲された、圧延された、折り畳まれた、プリーツされた、捲縮された、くしゃっとした、曲げられたなど、でありうるか、あるいは形態および形状の組み合わせ(例えば、平坦部分およびプリーツされたまたは曲がった部分)を含みうる。
【0062】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の一つ以上の入口または開放端部を覆う一つ以上の取り外し可能なシールを含んでもよい。一つ以上のシールは、入口または開放端部を通る空気の流れを防止するのに十分であることが好ましく、エアロゾル発生物品の内容物の漏れを防止し、貯蔵寿命を延長するのに十分であり得る。シールは、剥がすことができるラベル、ステッカー、箔等を含みうる。ラベル、ステッカー、または箔は、接着剤、捲縮、溶接、またはその他の方法で容器に接合されるなど、任意の適切な方法でエアロゾル発生物品に貼り付けられうる。シールは、ラベル、ステッカー、または箔をエアロゾル発生物品から剥がす、または取り除くために把持されうるタブを含みうる。
【0063】
エアロゾル発生物品は、任意の適切な電気加熱式のエアロゾル発生装置で使用されてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体を十分に加熱して、エアロゾル形成基体からエアロゾルを形成するが、エアロゾル形成基体は燃焼しないように構成されることが好ましい。市販のエアロゾル発生加熱非燃焼式装置としては、フィリップモリスインターナショナルIQOS(登録商標)装置があり、これは、ヒートスティックを受容して加熱するように構成される。市販のヒートスティックには、フィリップモリスインターナショナルHEETS(登録商標)またはヒートスティック(HeathSticks)(登録商標)がある。ヒートスティックは、捲縮されたたばこシートから形成されたたばこ基体を含む。IQOS(登録商標)加熱装置は、加熱ブレードが主に伝導を介してたばこ基体に接触して加熱するように、装置内に挿入されたヒートスティックのたばこ基体を貫通するように構成された加熱ブレードを含み、その結果、エアロゾル形成基体の揮発性化合物が蒸気を放出し、その蒸気が冷えて、ユーザーによって吸入されうるエアロゾルを形成する。本開示の一部の実施形態によると、本発明のエアロゾル発生物品は、IQOS(登録商標)装置と共に使用されうる。本開示の一部の実施形態によると、本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体プラグを備えるエアロゾル発生物品を受容および加熱してエアロゾルを生成するよう構成された電気加熱式のエアロゾル発生装置と共に使用されうる。
【0064】
一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受容するための容器を有するハウジングを備えうる。エアロゾル発生物品は細長い物品として成形されてもよく、容器はエアロゾル発生物品の形状を収容するように成形されてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を備えてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品が容器内に挿入される時に、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に取り囲む外部発熱体であってもよい。発熱体は、容器内に延在し、エアロゾル発生物品が装置の容器内に受容される時にエアロゾル発生物品を貫通するように構成された細長い要素であってもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品が容器内に挿入された時にエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に取り囲む外部発熱体と、容器内に延在し、エアロゾル発生物品が装置の容器内に受容される時にエアロゾル発生物品を貫通するように構成された細長い要素との両方を備えてもよい。発熱体は、加熱チャンバなど、キャビティ内に提供されてもよい。
【0065】
エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置によって受容される時、吸収性担体が加熱チャンバの内表面に隣接して位置付けられるように、エアロゾル発生物品の一部として配置されうる。エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置によって受容される時、吸収性担体がエアロゾル発生装置の発熱体の表面に隣接するように、エアロゾル発生物品の一部として配置されうる。エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置によって受容される時、吸収性担体が、エアロゾル発生装置の加熱チャンバの内表面と発熱体の表面との両方に隣接するように、エアロゾル発生物品の一部として配置されうる。吸収性担体は、エアロゾル形成基体に隣接して配置されてもよい。吸収性担体は、エアロゾル形成基体と、内部キャビティ表面、発熱体の表面、または両方との間に配置されうる。吸収性担体は、発熱体とエアロゾル形成基体との間に配置されうる。
【0066】
使用時に、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の容器内に受容される時、装置の発熱体からの熱は、エアロゾル発生物品の本体に伝達されてもよい。ユーザーがエアロゾル発生装置のマウスピースを吸う時、空気は、装置の本体内の一つ以上の空気通路を通って、およびエアロゾル発生物品の遠位端からエアロゾル発生物品の近位端までエアロゾル発生物品を通って、装置の容器内に引き込まれうる。空気が加熱されたエアロゾル発生物品を通過すると、エアロゾル形成体の揮発性化合物は、空気中に混入される蒸気を放出しうる。エアロゾル形成基体が十分な高温まで加熱した後、エアロゾル形成基体はまた、エアロゾル発生物品を通って流れる空気中に蒸気を放出する。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体よりも比較的高い温度まで(例えば、エアロゾル形成基体の揮発性化合物の気化温度より高い温度まで)加熱することを要求しうる。一部の実施形態では、空気はまず発熱体によって加熱される。エアロゾル形成体およびエアロゾル形成基体内の揮発性化合物は、加熱された空気によって加熱され、また随意に発熱体によっても加熱されて、蒸気を放出する。蒸気が物品を通ってマウスピースの方へ引き出されるのにつれて、蒸気は、冷却されてエアロゾルを形成しうる。次にエアロゾルは、吸入のためのマウスピースでユーザーに送達されうる。
【0067】
発熱体は一つ以上の抵抗性ワイヤーまたはその他の抵抗要素など、抵抗加熱構成要素を備えうる。抵抗性ワイヤーは、熱伝導性材料と接触して、生成された熱をより広い区域にわたって分配してもよい。適切な導電性材料の例としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
発熱体は誘導素子による加熱用のサセプタを備えてもよい。誘導素子は、サセプタ材料中に渦電流および/またはヒステリシス損失を誘発するように構成された一つ以上の誘導コイルを備えてもよく、これは結果としてサセプタの加熱をもたらす。誘導加熱を促進するために、エアロゾル発生物品には、サセプタが提供されてもよい。あるいは、エアロゾル発生装置が、サセプタを備えうる。あるいは、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置の両方がそれぞれサセプタを備えてもよい。適切なサセプタ材料については上記で考察されている。
【0069】
エアロゾル発生装置は、発熱体に動作可能に連結された制御電子機器を備えうる。発熱体がサセプタおよび誘導素子配置を備える場合、制御電子機器は誘導素子に動作可能に連結されてもよい。制御電子機器は発熱体の加熱を制御するように構成されうる。制御電子機器は発熱体の経時的な加熱プロファイルを制御するように構成されうる。制御電子機器は、エアロゾル発生装置の一部として、例えば、ハウジングの内部に提供されてもよい。
【0070】
制御電子機器は任意の適切な形態で提供されてもよく、また例えばコントローラまたはメモリおよびコントローラを含んでもよい。コントローラは、「特定用途向け集積回路(ASIC)」状態マシン、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイ、マイクロプロセッサ、または等価のディスクリート論理回路もしくは集積論理回路のうちの一つ以上を含んでもよい。制御電子機器は、回路の一つ以上の構成要素に制御電子機器の機能または態様を実行させる命令を含むメモリを含みうる。本開示における制御電子機器に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアのうちの一つ以上として具現化されうる。
【0071】
電子回路はマイクロプロセッサ含んでもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。電子回路は電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体または誘導素子に供給されうる。
【0072】
発熱体が抵抗発熱体である場合、制御電子機器は発熱体の電気抵抗を監視するように構成されうる。制御電子機器は、発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成されうる。このように、制御電子機器は抵抗性要素の温度を調節しうる。
【0073】
加熱構成要素が誘導素子を備え、発熱体がサセプタ材料を含む場合、制御電子機器は、誘導コイルの態様を監視するように構成されうる。制御電子機器は、コイルの態様に応じて誘導コイルへの電力の供給を制御するように構成されうる。このようにして、制御電子機器はサセプタ材料の温度を調節してもよい。
【0074】
エアロゾル発生装置は、発熱体または基体の温度を制御するために、制御電子機器に動作可能に連結された温度センサー(熱電対など)を備えてもよい。温度センサーは、任意の適切な場所に位置付けられてもよい。例えば、温度センサーは、エアロゾル発生基体内に挿入されるように、または発熱体と接触もしくは近接するように構成されうる。センサーは、感知された温度に関する信号を制御電子機器に送信してもよく、これは発熱体の加熱を調整して、センサーでの適切な温度を達成しうる。
【0075】
エアロゾル発生装置が温度センサーを含むかどうかにかかわらず、装置は、エアロゾル発生基体を燃焼することなく、エアロゾル発生装置によって受容されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を、エアロゾルを発生するのに十分な程度まで加熱するように構成されることが好ましい。
【0076】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を少なくとも約150°C、少なくとも約180°C、または少なくとも約200°Cの温度に加熱するように構成されうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を最大約375°C、最大約350°C、最大約300°C、最大約250°C、または最大約230°Cの温度まで加熱するように構成されうる。
【0077】
制御電子機器は電源に動作可能に連結されてもよい。電源は、ハウジングの内部であってもよい。エアロゾル発生装置は任意の適切な電源を含みうる。例えば、エアロゾル発生装置の電源は、電池または電池の組でありうる。電池は再充電可能であってもよく、同様に取り外し可能かつ交換可能であってもよい。任意の適切な電池が使用されてもよい。
【0078】
エアロゾル発生物品は、シーシャ装置で使用するために構成されたカートリッジであってもよい。シーシャ装置は、エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体を十分に加熱して、エアロゾル形成基体からエアロゾルを形成するが、エアロゾル形成基体は燃焼しないように構成されることが好ましい。シーシャ装置は、エアロゾル発生物品を受容するための容器を備えてもよい。シーシャ装置は、エアロゾル発生物品が容器内に受容される時、エアロゾル発生物品の本体に接触するまたは近接するように構成された発熱体を備える。一実施例では、シーシャ装置は、カートリッジ容器、発熱体、エアロゾル出口、および新鮮な空気入口を含むエアロゾル発生要素を含む。カートリッジ容器は、エアロゾル形成基体とエアロゾル形成体で含浸された吸収性担体とを含むカートリッジを受容するように構成される。発熱体は、容器の表面の少なくとも一部を画定しうる。
【0079】
シーシャ装置は、容器と流体接続する新鮮な空気入口チャネルを含む。使用中、カートリッジの内側の吸収性担体が加熱されると、吸収性担体内の含浸されたエアロゾル形成体が蒸発する。新鮮な空気入口チャネルからカートリッジを通って流れる空気は、カートリッジ内のエアロゾル形成体構成要素とエアロゾル形成基体とから生成されるエアロゾルに混入する。
【0080】
シーシャ装置は、液体を収容するように構成された内部容積を画定し、かつ液体充填レベルの上方の上部空間に出口を画定する任意の適切なベッセルを含んでもよい。ベッセルは、消費者によって液体を充填されてもよい。液体は水を含むことが好ましく、これには一つ以上の着色剤、または風味剤、または着色剤と風味剤とが随意に注入されてもよい。
【0081】
容器のエアロゾル出口を出る空気中に混入されたエアロゾルは、ベッセル内に位置付けられた導管を通って移動しうる。ベッセルを通って流れるエアロゾルが、導管の開口部を通った後、液体を通り、ベッセルの上部空間内に入り、上部空間出口を抜け出て、消費者に送達されるように、導管はシーシャ組立品のエアロゾル発生要素のエアロゾル出口に連結されてもよく、またベッセルの液体充填レベルの下方に開口部を有してもよい。上部空間出口は、エアロゾルを消費者に送達するためのマウスピースを含むホースに連結されてもよい。
【0082】
ここで本開示に記載の一つ以上の態様を描写する図面を参照する。しかしながら、当然のことながら図面に描写されていないその他の態様も、本開示の範囲および趣旨に収まる。図内で使用されている類似の番号は、類似の構成要素を指す。しかし当然のことながら、所与の図内で一つの構成要素を指すために一つの番号を使用することは、別の図内で同一の番号が付けられた構成要素を制限することを意図するものではない。加えて、異なる図内で構成要素を指すための異なる番号の使用は、異なる番号の付いた構成要素を他の番号の付いた構成要素と同一または類似のものとすることはできないと示すことを意図するものではない。図面は例示の目的で提示されていて、制限の目的で提示されていない。図中に提示された概略図は、必ずしも実寸に比例していない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生物品の概略断面側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生物品が挿入されているエアロゾル発生装置の概略断面側面図である。
【
図3】
図3は、エアロゾル発生物品の概略断面側面図である。
【
図4】
図4は、
図3のエアロゾル発生物品が挿入されているエアロゾル発生装置の概略断面側面図である。
【
図5】
図5は、外部発熱体および内部発熱体を有するエアロゾル発生装置の概略断面側面図である。
【
図6A】
図6Aは、エアロゾル発生物品の基体セクションの概略斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、エアロゾル発生物品の基体セクションの概略斜視図である。
【
図6C】
図6Cは、エアロゾル発生物品の基体セクションの概略斜視図である。
【
図6D】
図6Dは、エアロゾル発生物品の基体セクションの概略斜視図である。
【
図6E】
図6Eは、エアロゾル発生物品の基体セクションの概略斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、カートリッジとして構成されるエアロゾル発生物品の断面側面図である。
【
図7B】
図7Bは、カートリッジとして構成されるエアロゾル発生物品の断面上面図である。
【
図7C】
図7Cは、カートリッジとして構成されるエアロゾル発生物品の断面上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、実施形態による例示的なエアロゾル発生物品500の概略断面側面図である。示されるエアロゾル発生物品500は、複数の同軸要素を含む。しかしながら、要素の多くは任意選択的でありまたは好ましいものであり、エアロゾル発生物品500は、それらと共に、またはそれらなしで作製されてもよい。エアロゾル発生物品500は、エアロゾル形成基体511、吸収性担体512、および吸収性担体512内に含浸された、または含浸可能なエアロゾル形成体を含む基体要素510を少なくとも含む。エアロゾル発生物品500はまた、基体要素510に隣接して配置される一つ以上の支持要素521、522を含んでもよい。第一の支持要素521は、エアロゾル発生物品の最遠位端または上流端552に位置してもよい。第二の支持要素522は、基体要素510の反対側およびすぐ下流に位置してもよい。支持要素521、522は、エアロゾル形成基体511を基体要素510内のその意図された位置に維持することを助けるために使用されうる。支持要素521、522は、空気に対して透過性であってもよく、またはエアロゾル発生物品500を通る空気流を可能にするために管状要素524を通る空気経路526を含んでもよい。支持要素521、522は、酢酸セルロースなどの任意の適切な材料から作製されてもよい。
【0085】
エアロゾル発生物品500は、随意に、基体要素510内に包埋されたカプセル550を備えてもよい。カプセル550はエアロゾル形成体を含みうる。カプセル550は、エアロゾル発生物品500を使用する前にユーザーが破裂させて、エアロゾル形成体を放出し、エアロゾル形成体で吸収性担体512を含浸させてもよい。
【0086】
エアロゾル発生物品500はエアロゾル冷却要素530を備えうる。エアロゾル冷却要素530は、基体要素510の下流、および随意の支持要素522の下流に位置してもよい。使用時、基体要素510から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品500の口側の端551に向って、エアロゾル冷却要素530を通過する。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素530内で冷却されて、ユーザーが吸入しうるエアロゾルを形成してもよい。
【0087】
エアロゾル冷却要素530は、エアロゾル冷却要素530の長さに沿って延在する複数の長軸方向のチャネルを提供する、捲縮されたおよびギャザーのシート材料などの任意の適切な材料から作製されうる。エアロゾル冷却要素530のための適切な材料の一例は、ポリ乳酸のシートである。ポリ乳酸のシートは、捲縮されてもよい。
【0088】
エアロゾル発生物品500は、エアロゾル冷却要素530のすぐ下流に、およびそれに隣接して位置するマウスピース540をさらに含んでもよい。マウスピース540はフィルターを含んでもよい。適切なフィルターの例としては、従来の酢酸セルローストウフィルターが挙げられる。
【0089】
エアロゾル発生物品500の要素は、外側ラッパー、壁、またはスリーブ560によって取り囲まれて、要素を所定位置に維持してもよい。
【0090】
エアロゾル発生物品500は、ユーザーが口の中に挿入するための近位、下流または口側の端551、および口側の端551の反対側の端に位置する上流または遠位端552を有する。エアロゾル発生物品500およびその要素のそれぞれは、それぞれが実質的に同一の直径を有する実質的に円筒形であってもよい。例えば、エアロゾル発生物品500、支持要素521、522、基体要素510、冷却要素530およびマウスピース540は実質的に円筒形であってもよく、それぞれ実質的に同じ直径を有してもよい。要素は、円筒形ロッドを形成するように連続的に配置されてもよい。要素は、外側ラッパー560によって取り囲まれてもよい。
【0091】
エアロゾル発生物品500を組み立てるために、要素は外側ラッパー内で整列され、しっかりと巻かれる。外側ラッパーは、従来的な紙巻たばこ用紙であってもよい。組み立てられると、エアロゾル発生物品500の全長は、約40mm~約60mm、または約45mm~約53mmとすることができ、直径は、約6.5mm~約8mm、または約7.2mmとしうる。
【0092】
ここで
図2を参照すると、エアロゾル発生物品500は、エアロゾル発生装置600の中に挿入されてもよい。エアロゾル発生物品500とエアロゾル発生装置600とは共に、エアロゾル発生システム400を形成しうる。
【0093】
図2に示すエアロゾル発生装置600は、
図1のエアロゾル発生物品500を受容するように構成される。エアロゾル発生装置600は、ハウジング601と、ハウジング601内に形成された容器610とを備える。容器610は、エアロゾル発生物品500を受容するよう構成される。容器610は、エアロゾル発生物品500が容器610に挿入される時、エアロゾル発生物品500の少なくとも一部分(例えば、マウスピース540)が容器610の外側に留まるような、サイズおよび形状とされてもよい。
【0094】
エアロゾル発生システム400は発熱体を備える。
図2に示すように、発熱体は、外部発熱体622であってもよい。外部発熱体622は、エアロゾル発生物品500の一部品であってもよく、またはエアロゾル発生装置600の容器610の内側壁に沿って取り付けられてもよい。
図2に示す通り、使用時に、ユーザーがエアロゾル発生物品500をエアロゾル発生装置600の容器610内に挿入した時、発熱体622がエアロゾル発生物品500のエアロゾル形成基体511を少なくとも部分的に取り囲む。
【0095】
ここで
図3を参照すると、内部発熱体と共に使用するように構成されたエアロゾル発生物品500が示されている。示されるエアロゾル発生物品500は、複数の同軸要素を含む。しかしながら、要素の多くは任意選択的でありまたは好ましいものであり、エアロゾル発生物品500は、それらと共に、またはそれらなしで作製されてもよい。エアロゾル発生物品500は、エアロゾル形成基体511、吸収性担体512、および吸収性担体512内に含浸された、または含浸可能なエアロゾル形成体を含む基体要素510を少なくとも含む。示される実施形態において、吸収性担体512は、基体要素510の中心に配置されたコアを形成し、エアロゾル形成基体511によって囲まれる。吸収性担体512は、内部発熱体を受容するよう構成されたスロットを形成しうる。
【0096】
エアロゾル発生物品500はまた、基体要素510に隣接して配置される一つ以上の支持要素521、522を含んでもよい。第一の支持要素521は、エアロゾル発生物品の最遠位端または上流端552に位置してもよい。第二の支持要素522は、基体要素510の反対側およびすぐ下流に位置してもよい。支持要素521、522は、エアロゾル形成基体511を基体要素510内のその意図された位置に維持することを助けるために使用されうる。支持要素521、522は、空気に対して透過性であってもよく、またはエアロゾル発生物品500を通る空気流を可能にするために管状要素524を通る空気経路526を含んでもよい。支持要素521、522は、酢酸セルロースなどの任意の適切な材料から作製されてもよい。
【0097】
エアロゾル発生物品500は、
図1に示されるものと同様の、エアロゾル冷却要素530、マウスピース540、および外側ラッパー、壁、またはスリーブ560を備えうる。エアロゾル発生物品500は、
図1のエアロゾル発生物品500と同様に組み立てられうる。エアロゾル発生物品500は、
図1のエアロゾル発生物品500と同様の略円筒形状を有しうる。
【0098】
図4は、エアロゾル発生装置600と、
図3のエアロゾル発生物品500とを備える例示的なエアロゾル発生システム400を示す。
図4に示すエアロゾル発生装置600は、ハウジング601と、ハウジング601内に形成された容器610とを備える。容器610は、エアロゾル発生物品500を受容するよう構成される。容器610は、エアロゾル発生物品500が容器610に挿入される時、エアロゾル発生物品500の少なくとも一部分(例えば、マウスピース540)が容器610の外側に留まるような、サイズおよび形状とされてもよい。
【0099】
図4のエアロゾル発生システム400は内部発熱体621を備える。内部発熱体621は、エアロゾル発生物品500の一部品であってもよく、またはエアロゾル発生装置600の容器610内に取り付けられてもよい。使用時にユーザーは、
図4に示す通り、内部発熱体621がエアロゾル発生物品500のエアロゾル形成基体511の内側にあるように、エアロゾル発生装置600の容器610の中にエアロゾル発生物品500を挿入する。
図4に示した実施形態において、内部発熱体621は、ヒーターブレードである。
【0100】
内部発熱体621が容器610内に取り付けられている場合、エアロゾル発生物品500を容器610内に挿入することで、挿入中にエアロゾル発生物品500によって経験される一定量の貫通力がもたらされ得る。エアロゾル発生物品500の第二の支持要素522は、内部発熱体621の貫通力に抵抗し、それによって、エアロゾル発生装置600の内部発熱体621のエアロゾル形成基体511内への挿入中に、エアロゾル発生物品500内のエアロゾル形成基体511の下流移動に抵抗する。
【0101】
図5は、内部発熱体621および外部発熱体622の両方を含むエアロゾル発生装置600を示す。
【0102】
図2、4、および5に示すエアロゾル発生装置600は、発熱体621、622が作動されることを可能にする電源651および電子機器652、653を備える。こうした作動は手動操作されてもよく、またはエアロゾル発生装置600のエアロゾル発生物品容器610の中に挿入されたエアロゾル発生物品500のユーザーの吸い込みに反応して自動的に生じてもよい。一つ以上の開口部は、エアロゾル発生装置600に提供されて空気がエアロゾル発生物品500に流れるのを可能にしうる。
【0103】
電子機器は、コントローラ652およびユーザーインターフェース653を含んでもよい。コントローラ652は、発熱体621、622、電源651、およびユーザーインターフェース653に動作可能に接続されてもよい。ユーザーインターフェース653は、例えば、ボタン、ディスプレイ、または両方を含みうる。コントローラ652は、温度を調節するために発熱体621、622に供給される電力を制御する。電源651は、電気エネルギー供給源、例えば再充電可能リチウムイオン電池でありうる。電子機器は、温度制御をさらに含みうる。
【0104】
好ましくは、様々な実施形態では、エアロゾル形成体で含浸された、または含浸可能な吸収性担体512は、発熱体621、622とエアロゾル形成基体511との間に配置される。最初に、エアロゾル発生物品500が容器610内に挿入され、発熱体621、622が作動すると、基体要素510の温度が上昇し始める。吸収性担体が発熱体に最も近い(例えば、発熱体と基体との間に配置される)ため、吸収性担体512に含浸されたエアロゾル形成体は、エアロゾル形成基体の前に最初にその揮発温度に達する。この温度にて、揮発性化合物がエアロゾル形成体から放出される。エアロゾル形成基体の温度は、およそ摂氏375度の温度などの目標温度に達するまで上昇し続ける。また、エアロゾル形成基体も、エアロゾル形成基体内の揮発性化合物の蒸発温度より高い温度に達すると、蒸気を放出し始める。ユーザーがエアロゾル発生物品500の口側の端70で吸い込むにつれ、吸収性担体512に含浸されたエアロゾル形成体から発生された揮発性化合物は、エアロゾル発生物品500を介して下流に引き出されて凝縮し、エアロゾル発生物品500のマウスピース50を通ってユーザーの口の中に引き出されたエアロゾルを形成する。短時間後(例えば、最初の数回の吸煙の後)、エアロゾル形成基体511はまた、エアロゾル形成基体511自体からもエアロゾルを放出するために十分な温度まで加熱する。
【0105】
エアロゾルがエアロゾル冷却要素530を下流へと通過するにつれ、エアロゾルの温度は、エアロゾルからエアロゾル冷却要素530への熱エネルギーの伝達に起因して低減する。エアロゾルがエアロゾル冷却要素530に入る時に、その温度はおよそ摂氏60度である。エアロゾル冷却要素530内での冷却に起因して、エアロゾルがエアロゾル冷却要素を出る時のエアロゾルの温度は、およそ摂氏40度である。
【0106】
図6A~6Eは、エアロゾル形成基体511、吸収性担体512、および吸収性担体512内に含浸された、または含浸可能なエアロゾル形成体を含む、基体要素510の様々な実施形態を示す。
図6A~6Eの基体要素510は、
図2、4、5、および8に示されるものを含むがこれに限定されない、任意の適切なエアロゾル発生装置とともに使用されうる。
図6Aに示す第一の実施形態では、基体要素510は、エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体512によって囲まれたエアロゾル形成基体511のコアを含む。第一の実施形態は、基体要素510を少なくとも部分的に取り囲む外部発熱体との使用に特に適切である。
【0107】
図6Bに示す第二の実施形態では、基体要素510は、エアロゾル形成基体511と、エアロゾル形成基体511の中心に、エアロゾル形成体で含浸された吸収性担体512とを含む。第二の実施形態は、基体要素510を貫通する内部発熱体との使用に特に適切である。吸収性担体512は、内部発熱体を受容するよう構成されたスロットを形成しうる。基体要素510はまた、サセプタを含んでもよい。任意のサセプタは、
図6Bの吸収性担体512に隣接して配置されるサセプタブレード514として示される。
【0108】
図6Cに示す第三の実施形態では、基体要素510は、複数の交互の吸収性担体512とエアロゾル形成体で含浸されたエアロゾル形成基体511との層のスパイラルを含む。
図6Cの基体要素510は、例えば、
図5のエアロゾル発生装置600と共に使用されうる。
【0109】
図6Dに示す第四の実施形態では、基体要素510は、交互の吸収性担体512とエアロゾル形成体で含浸されたエアロゾル形成基体511との層、およびサセプタ材料層516の層のスパイラルを含む。サセプタ材料層516は、吸収性担体512の層と共に層状にされるか、または吸収性担体512の層上に積層されてもよい。
図6Dの基体要素510は、例えば、
図5のエアロゾル発生装置600と共に使用されうる。
【0110】
図6Eに示す第五の実施形態では、基体要素510は、エアロゾル形成体で含浸可能な吸収性担体512によって囲まれたエアロゾル形成基体511のコアを含む。エアロゾル形成体は、基体要素510内に包埋されたカプセル550に含まれる。カプセル550は、エアロゾル発生物品500を使用する前にユーザーが破裂させて、エアロゾル形成体を放出し、エアロゾル形成体で吸収性担体512を含浸させてもよい。
【0111】
基体要素510はまた、図に示す五つの実施形態の組み合わせも含みうる。例えば、基体要素510は、
図6Aおよび6Bまたは
図6Aおよび6C、
図6Aおよび6D、
図6Aおよび6E、または
図6Bおよび6C、
図6Bおよび6D、
図6Bおよび6E、または
図6Cおよび6E、または
図6Dおよび6Eの特徴の組み合わせ、あるいは実際に
図6A~6Eの任意の二つ、三つ、または四つの任意の組み合わせを含みうる。
【0112】
図7Aおよび7Bを参照すると、 エアロゾル発生物品500は、カートリッジとして構成されうる。例えば、
図6A~6Eに示す基体要素は、カートリッジの本体を提供されてもよい。カートリッジ200は、エアロゾル形成基体511とエアロゾル形成体で含浸された吸収性担体512とが配置されうるキャビティ218を画定する本体210を有する。本体210は、上部215、底部213、および側壁212を含む。本体210は、一つ以上の部品から形成されうる。例えば、上部215または底部213は、側壁212から取り外し可能に取り付けられて、エアロゾル形成基体511および吸収性担体512がキャビティ218内に配置されることを可能にしうる。吸収性担体512は、キャビティ218の側壁212に、または側壁212および底部213に沿って配置されうる。吸収性担体512はまた、上部215に沿って、または底部213、上部215、もしくは側壁212の任意の組み合わせに沿って配置されてもよく、あるいはこれらの表面のいくつかを部分的に覆ってもよい。示される実施例では、吸収性担体512は、エアロゾル形成基体511の周囲を囲むプリーツされた側面を有する。
【0113】
図7Cは、カートリッジ200の断面図を示し、ここでエアロゾル形成基体511および吸収性担体512は、複数の交互の吸収性担体512およびエアロゾル形成基体511の層を含むスパイラルな円筒形状を形成する。ロールアップされた円筒形状は、カートリッジ200の本体210の内側に配置される。
【0114】
カートリッジ200は、キャビティ218の内側に加熱可能な表面積を有し、これは、例えばエアロゾル発生装置の発熱体によって本体の外部に適用された熱を、キャビティ218内の吸収性担体512とエアロゾル形成基体511とに伝達することができる表面である。
【0115】
本体の上部215および底部213は、複数の開口部を有して、カートリッジが使用されている時に空気がカートリッジ200を通って流れることを可能にしうる。カートリッジ200はまた側壁212に沿っても開口部を含みうるか、あるいは代替的に側壁212に沿って開口部を含みうる。吸収性担体512は、底部213、上部215、側壁212、またはそれらの組み合わせに沿って配置されて、開口部の一部またはすべてを覆うことができる。開口部は、カートリッジが使用前に格納された時に剥離可能なシールまたはカバーでさらにブロックされうる。
【0116】
一部の実施形態では、カートリッジとして構成されるエアロゾル発生物品500は、シーシャ装置で使用するために構成される。
図8は、シーシャ装置100を含むエアロゾル発生システムの一実施例の概略断面図である。シーシャ装置100は、液体19を収容するように構成される内部容積を画定し、また液体19に対する充填レベルの上にある上部空間出口15を画定するベッセル17を含む。液体19は水を含むことが好ましく、これには一つ以上の着色剤、または一つ以上の風味剤、または一つ以上の着色剤と一つ以上の風味剤とが随意に注入されていてもよい。例えば、水には、植物の浸出液または薬草の浸出液のうちの一方または両方が注入されてもよい。
【0117】
装置100はまた、エアロゾル発生要素130を含む。エアロゾル発生要素130は、エアロゾル形成基体と、シートを形成しエアロゾル形成体で含浸された吸収性担体とを含む、カートリッジ200として提供されるエアロゾル発生物品を受容するように構成された容器140を含む。エアロゾル発生要素130はまた、容器140の少なくとも一つの表面を形成する発熱体160を含む。図示した実施形態では、発熱体160は、容器140の上面および側面を画定する。エアロゾル発生要素130はまた、新鮮な空気を装置100の中へと引き込む新鮮な空気入口チャネル170を含む。一部の実施形態では、新鮮な空気入口チャネル170の一部分は、空気が容器140に入る前に空気を加熱するために発熱体160によって形成される。次に、予熱された空気はカートリッジ200に入り、これはまた発熱体160によって加熱され、エアロゾル形成体およびエアロゾル形成基体によって発生したエアロゾルを搬送する。空気はエアロゾル発生要素130の出口を出て、導管190に入る。
【0118】
導管190は、空気およびエアロゾルをベッセル17内の液体19のレベルの下方に搬送する。空気およびエアロゾルは、泡になって液体19を通って、ベッセル17の上部空間出口15を出てもよい。エアロゾルをユーザーの口へと搬送するために、ホース20を上部空間出口15に取り付けてもよい。マウスピース25は、ホース20に取り付けられてもよく、またはその一部を形成してもよい。
【0119】
使用時における装置の例示的な空気流路は、
図8に太い矢印で図示されている。
【0120】
マウスピース25は、起動要素27を含んでもよい。起動要素27は、スイッチ、ボタンもしくはこれに類するものであってもよく、または吸煙センサーもしくはこれに類するものであってもよい。起動要素27は、装置100の任意の他の適切な場所に配置されてもよい。起動要素27は制御電子機器30と無線通信して、例えば、電源35に発熱体140に対して給電させることによって、装置100を使用状態にするか、または制御電子機器に発熱体160を起動させてもよい。
【0121】
制御電子機器30および電源35は、
図8に図示するエアロゾル発生要素130の底部以外の、エアロゾル発生要素130の任意の適切な位置に配置されてもよい。
【0122】
上述の特定の実施形態は本発明を例示することが意図される。しかしながら、他の実施形態は、特許請求の範囲に定義されるように本発明の範囲から逸脱することなく作製されてもよく、上述の特定の実施形態は制限的であるように意図されていないことが理解されるべきである。
【0123】
本明細書で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0124】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0125】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、またはこれに類するものは、制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「から成る(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0126】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【0127】
「実質的に」という用語は、本明細書で使用される場合、「著しく」と同じ意味を有し、後続の用語を少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセント、または少なくとも約98%まで修正すると理解されうる。「実質的に~ない」という用語は、本明細書で使用される場合、「有意に~ない」と同じ意味を有し、「実質的に」の逆の意味、すなわち後続の用語を10%以下、5%以下、または2%以下だけ修正する、であると理解されうる。
【0128】
「上」、「下」、「左」、「右」、「上方」、「下方」および他の方向または向きなど、本明細書で言及される任意の方向は、明瞭化および簡潔性のために本明細書に記載され、実際の装置またはシステムを限定する意図はない。本明細書に記載の装置およびシステムは、数多くの方向および向きで使用されてもよい。
【0129】
したがって、エアロゾル発生装置のためのエアロゾル発生物品が説明される。本発明の様々な改変および変形が、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。特定の好ましい実施形態に関連付けて本発明を説明してきたが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、機械技術、化学技術およびエアロゾル発生物品製造または関連分野の当業者にとって明らかである、本発明を実施するための記載された方法の様々な修正は、以下の特許請求の範囲内に収まるものであることが意図される。