(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】耐アルコール性製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20240415BHJP
A61K 9/36 20060101ALI20240415BHJP
A61K 9/38 20060101ALI20240415BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240415BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20240415BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240415BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240415BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240415BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240415BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240415BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20240415BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K31/19
A61K9/36
A61K9/38
A61K31/167
A61K31/485
A61K47/14
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P5/00
A61P9/00
A61P9/10
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/16
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/30
A61P25/32
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2021518576
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 US2019062237
(87)【国際公開番号】W WO2020106735
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519426911
【氏名又は名称】ジャズ ファーマシューティカルズ アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アルフィン,クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,エドウィン
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517430(JP,A)
【文献】特表2012-520832(JP,A)
【文献】特表2017-532363(JP,A)
【文献】特表2017-516789(JP,A)
【文献】特表2013-522373(JP,A)
【文献】国際公開第2017/147375(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0005334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムでコートされた薬物担体コアを含む医薬製剤であって、前記薬物担体コアが、ガンマヒドロキシ酪酸(GHB)またはその医薬的に許容される塩
を含み、フィルムコーティングは、前記薬物担体コアの表面に配置される、
エチルセルロースとポリメタクリレートポリマー
を含むポリマーブレンドを含み、
前記ポリマーブレンドにおける前記ポリメタクリレートが、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、またはメチルアクリレート-メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーであり、
前記ポリマーブレンドが、腸溶出を提供する、前記製剤。
【請求項2】
前記ポリマーブレンドにおける前記ポリメタクリレートがメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーであり、メタクリル酸とエチルアクリレートコポリマーの比が1:1である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記エチルセルロース及び前記ポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、3:1~1:3で存在する、請求項
1に記載の製剤。
【請求項4】
前記フィルムコーティングが第一のコーティングであり、前記製剤が、さらに、少なくとも1つのポリマーを含む第二のコーティングを含み、前記第二のコーティングが、前記第一のコーティングの表面に配置される、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記第二のコーティングが、エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーを含む、請求項
4に記載の製剤。
【請求項6】
前記第二のコーティングが、さらに、アカシアゴム、グアーガム、トラガカントガム、キサンタンガム及びそれらの混合物からなる群から選択される多糖類樹脂を含む、請求項
4に記載の製剤。
【請求項7】
前記第二のコーティングにおける前記ポリマーが
エチルセルロースポリマーであり、前記第二のコーティングが、さらにグアーガムを含み、前記グアーガムが、前記
エチルセルロースポリマーの1~15%w/wで存在する、請求項
4に記載の製剤。
【請求項8】
前記GHBの医薬的に許容される塩が、ナトリウムオキシベート、カルシウムオキシベート、カリウムオキシベート、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
a)2段階溶出試験の第2段階における前記製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度が、前記製剤が第1の段階で5%~40%v/vエタノールに曝露された後に、第1の段階において前記製剤がエタノールに曝露されていないときの第2の段階における前記製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度と比較して減少し;ここで、前記2段階溶出試験の第1の段階が0.1N HCl緩衝液中であり、第2の段階はTris pH6.8緩衝液中である;または、
b)GHBまたはその医薬的に許容される塩
の0%~40%以下が、5%v/v~20%v/vエタノールを含む酸性水性緩衝液に曝露されてから1時間以内に製剤から放出される;または
c)0.1N HCl緩衝液溶出液中に5%v/v~35%v/vのエタノールが存在する場合の前記製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度が、0.1N HCl緩衝液溶出媒体における、60分間の、エタノールの非存在下の場合の製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度の1%~10%の範囲内である、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
フィルムでコートされた薬物担体コアを含む医薬製剤であって、前記薬物担体コアが、ガンマヒドロキシ酪酸(GHB)またはその医薬的に許容される塩
を含み、フィルムコーティングは、前記薬物担体コアの表面に配置される、
エチルセルロースとポリメタクリレートポリマー
を含むポリマーブレンドを含み、前記ポリマーブレンドにおける前記ポリメタクリレートが、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、またはメチルアクリレート-メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーである、前記医薬製剤。
【請求項11】
前記ポリマーブレンドにおける前記ポリメタクリレートがメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーであり、メタクリル酸とエチルアクリレートコポリマーの比が1:1である、請求項
10に記載の製剤。
【請求項12】
前記エチルセルロース及び前記ポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、3:1~1:3で存在する、請求項
10に記載の製剤。
【請求項13】
前記フィルムコーティングが第一のコーティングであり、前記製剤が、さらに、少なくとも1つのポリマーを含む第二のコーティングを含み、前記第二のコーティングが、前記第一のコーティングの表面に配置される、請求項
10に記載の製剤。
【請求項14】
前記第二のコーティングが、エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーを含む、請求項
13に記載の製剤。
【請求項15】
前記第二のコーティングが、さらに、アカシアゴム、グアーガム、トラガカントガム、キサンタンガム及びそれらの混合物からなる群から選択される多糖類樹脂を含む、請求項
13に記載の製剤。
【請求項16】
前記第二のコーティングにおける前記ポリマーが
エチルセルロースポリマーであり、前記第二のコーティングが、さらにグアーガムを含み、前記グアーガムが、前記
エチルセルロースポリマーの1~15%w/wで存在する、請求項
13に記載の製剤。
【請求項17】
前記GHBの医薬的に許容される塩が、ナトリウムオキシベート、カルシウムオキシベート、カリウムオキシベート、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項
10に記載の製剤。
【請求項18】
a)2段階溶出試験の第2段階における前記製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度が、前記製剤が第1の段階で5%~40%v/vエタノールに曝露された後に、第1の段階において前記製剤がエタノールに曝露されていないときの第2の段階における前記製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度と比較して減少し;ここで、前記2段階溶出試験の第1の段階が0.1N HCl緩衝液中であり、第2の段階はTris pH6.8緩衝液中である;または、
b)GHBまたはその医薬的に許容される塩
の0%~40%以下が、5%v/v~20%v/vエタノールを含む酸性水性緩衝液に曝露されてから1時間以内に製剤から放出される;または
c)0.1N HCl緩衝液溶出液中に5%v/v~35%v/vのエタノールが存在する場合の前記製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度が、0.1N HCl緩衝液溶出媒体における、60分間の、エタノールの非存在下の場合の製剤からのGHBまたはその医薬的に許容される塩
の放出速度の1%~10%の範囲内である、請求項
10に記載の製剤。
【請求項19】
フィルムでコートされた薬物担体コアを含む医薬製剤であって、前記薬物担体コアが、少なくとも1つの治療薬を含み、フィルムコーティングが、前記薬物担体コアの表面に配置される、エチルセルロースとポリメタクリレートポリマーのポリマーブレンドを含み、
前記ポリマーブレンドにおける前記ポリメタクリレートが、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、またはメチルアクリレート-メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーであり、
前記エチルセルロース及び前記ポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、3:1~1:3で存在し、
エチルセルロースとポリメタクリレートポリマーの前記ポリマーブレンドが、エタノールに曝露された場合に耐アルコール性ヒドロゲルを形成する、前記医薬製剤。
【請求項20】
前記ポリマーブレンドにおける前記ポリメタクリレートがメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーであり、メタクリル酸とエチルアクリレートコポリマーの比が1:1である、請求項
19に記載の製剤。
【請求項21】
前記フィルムコーティングが第一のコーティングであり、前記製剤が、さらに、少なくとも1つのポリマーを含む第二のコーティングを含み、前記第二のコーティングが、前記第一のコーティングの表面に配置される、請求項
19に記載の製剤。
【請求項22】
前記第二のコーティングが、エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーを含む、請求項
21に記載の製剤。
【請求項23】
前記第二のコーティングが、さらに、アカシアゴム、グアーガム、トラガカントガム、キサンタンガム及びそれらの混合物からなる群から選択される多糖類樹脂を含む、請求項
21に記載の製剤。
【請求項24】
前記第二のコーティングにおける前記ポリマーが
エチルセルロースポリマーであり、前記第二のコーティングが、さらにグアーガムを含み、前記グアーガムが、前記
エチルセルロースポリマーの1~15%w/wで存在する、請求項
21に記載の製剤。
【請求項25】
前記治療薬が、ガンマヒドロキシ酪酸(GHB)、パラセタモール、コデインまたはオキシコドンならびにGHB、パラセタモール、コデインまたはオキシコドンの医薬的に許容される塩、水和物、互変異性体、溶媒和物
、同位体置換体及び複合体から選択される、請求項
19に記載の製剤。
【請求項26】
前記治療薬が、GHBまたはその医薬的に許容される塩、水和物、互変異性体、溶媒和物
、同位体置換体もしくは複合体である、請求項
25に記載の製剤。
【請求項27】
前記GHBの医薬的に許容される塩が、ナトリウムオキシベート、カルシウムオキシベート、カリウムオキシベート、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項
26に記載の製剤。
【請求項28】
a)2段階溶出試験の第2段階における前記製剤からの前記治療薬またはその医薬的に許容される塩
の放出速度が、前記製剤が第1の段階で5%~40%v/vエタノールに曝露された後に、第1の段階において前記製剤がエタノールに曝露されていないときの第2の段階における前記製剤からの前記治療薬またはその医薬的に許容される塩
の放出速度と比較して減少し;ここで、前記2段階溶出試験の第1の段階が0.1N HCl緩衝液中であり、第2の段階はTris pH6.8緩衝液中である;または、
b)前記治療薬またはその医薬的に許容される塩
の0%~40%以下が、5%v/v~20%v/vエタノールを含む酸性水性緩衝液に曝露されてから1時間以内に製剤から放出される;または
c)0.1N HCl緩衝液溶出液中に5%v/v~35%v/vのエタノールが存在する場合の前記製剤からの前記治療薬またはその医薬的に許容される塩
の放出速度が、0.1N HCl緩衝液溶出媒体における、60分間の、エタノールの非存在下の場合の製剤からの前記治療薬またはその医薬的に許容される塩
の放出速度の1%~10%の範囲内である、請求項
19に記載の製剤。
【請求項29】
請求項1~
28のいずれか1項に記載の製剤を含む医薬組成物であって、前記組成物が、睡眠障害、薬物乱用、アルコールもしくはアヘン剤離脱、成長ホルモンのレベルの低下、不安、無痛、ある特定の神経障害の影響、例えばパーキンソン病、うつ病、線維筋痛、低酸素症/酸素欠乏症、例えば、脳卒中もしくは心筋梗塞、または頭蓋内圧レベルの上昇後のある特定の内分泌異常及び組織防御、日中の過剰な眠気、脱力発作、睡眠麻痺、無呼吸、ナルコレプシー、睡眠時間障害、レム睡眠行動障害(RBD)、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、本態性振戦または夜間ミオクローヌスを治療するためのものである、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年11月19日に出願された米国出願第62/769,380号及び2018年11月19日に出願された米国出願第62/769,382号の優先権を主張する。当該出願の各々は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、治療薬、例えば、ガンマヒドロキシ酪酸(GHBもしくはオキシベート)、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤のアルコール誘発性の過量放出に耐性のある放出調節製剤に関する。本発明は、アルコール誘発性の過量放出事象の深刻な臨床的帰結が存在する治療薬(例えば、GHB、パラセタモール、コデインまたはオキシコドン)に特に適用可能である。本発明はまた、かかる治療薬(例えば、GHB、パラセタモール、コデインまたはオキシコドン)を安全に投与するための方法、該製剤を作製する方法、ならびに睡眠障害、例えば、無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、脱力発作、睡眠麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスの治療のためのそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
「過量放出」とは、剤形に含まれる薬物の意図されたものではない短期間の急速な放出を指す。過量放出は、特に、活性薬物が比較的大量に含まれている可能性がある場合及び特に、薬物の徐放が意図されている場合の経口剤形において、安全性の問題及び/または有効性の減少のため、患者に重大なリスクをもたらす。多くの放出調節経口剤形は、「アルコール誘発性の過量放出」に弱く、「放出される」薬物によっては、重篤な副作用を引き起こすこともある。
【0004】
GHB(Xyrem(登録商標)として市販されている)を含めたある特定の薬物は、過量放出によって大量に放出された場合、呼吸抑制もしくは呼吸困難または覚醒状態の変化を引き起こす可能性がある。FDAは、かかる薬に厳格な重要安全情報を提供することを要請しており、これは、これらの薬物を摂取する場合に飲酒するべきではないことを明確に説明しなければならない。したがって、使用者が該薬物を服用する場合に対して、アルコール摂取のタイミングを調節することの責任は、使用者にある。アルコールは判断力を低下させることが知られており、酩酊状態の人は、大量の飲酒後でも、これらの種類の薬剤を摂取し得るリスクがある。したがって、意図的または偶発的に同時摂取されるアルコールの存在下で、かかる薬物の放出を防止するまたは遅延させることができる放出調節製剤が必要である。
【0005】
放出調節経口剤形の開発は長年研究されており、それらは多くの場合、複数の放出速度制御メカニズムを使用している。典型的な放出速度制御メカニズムとしては、膨潤性ポリマー、ゲルマトリックス及びポリマーコーティングが挙げられる。
【0006】
アルコールの存在下での過量放出の問題は、まだ十分に解決されていない。したがって、当技術分野では、特にアルコール濃度の上昇時、アルコール誘発性の過量放出の可能性が低減された放出調節経口剤形を提供する必要性がある。本発明者らは、驚くべきことに、薬物を含むコアを特定のポリマー混合物でコーティングすることにより、低レベルのアルコールに曝露された際には薬物が正常に放出されるが、アルコールの量が増えると、薬物放出が急速かつ大幅に減少することを発見した。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、アルコール誘発性の過量放出に耐性のある薬物組成物を提供することにより、従来技術の欠陥を克服する。薬物の1つの実施形態は、ガンマ-ヒドロキシ酪酸(GHB)またはその塩である。他の実施形態は、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤を含めた軽度、中等度及び/または重度の痛みに使用される薬物である。ある特定の実施形態では、該オピオイドまたはアヘン剤は、コデイン、モルヒネ、メタドン、ブプレノルフィン、ヒドロコドンまたはオキシコドンから選択される。本発明の組成物はまた、アルコールへの曝露後にこれら薬物の放出を抑制することもでき、該組成物が高濃度のアルコールに曝露された際の製剤の溶出特性を調整することもできる。本発明の1つの実施形態はまた、本明細書では「薬効分類」と呼ばれるGHB、パラセタモール、オピオイド及び/またはアヘン剤によって治療可能な多くの状態の治療方法を提供する。本発明の薬効分類としては、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及び/またはアヘン剤離脱、成長ホルモンのレベルの低下、不安、無痛(急性、慢性、突出、体性、内臓または神経障害痛を含めた軽度、中等度及び/または重度の痛みの治療等)、ある特定の神経障害の影響、例えば、パーキンソン病、うつ病、低酸素症/酸素欠乏症、例えば、脳卒中もしくは心筋梗塞、または頭蓋内圧レベルの上昇後のある特定の内分泌異常及び組織防御、あるいはGHB、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤で治療可能な他の状態における効果が挙げられるがこれらに限定されない。アルコール誘発性の過量放出の予防は、特に、アルコール、オピオイド及び/またはアヘン剤離脱に関連する。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、少なくとも1つの治療薬を含む薬物担体コアの少なくとも1つの集団を含む、アルコール媒介性の溶出に対する耐性が高い経口製剤であり、該コアは、少なくとも1つの機能性コーティングで被覆され、該1つ以上の機能性コーティングは、セルロースポリマーとポリメタクリレートのポリマーブレンドを含む。いくつかの実施形態では、該薬物担体コアは、顆粒、ナノ粒子、マイクロ粒子、ビーズ、ペレット、ミニ錠剤、錠剤及び/またはカプセル(硬及び/または軟ゼラチン)、またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、該薬物担体コアは、薬物結晶を含む。薬物担体コアまたは薬物結晶が小さいほど、エタノールの存在下で表面積が大きくかつ実質的にゲル層が厚いため、より厚いフィルムコートが見込まれ得る。いくつかの実施形態では、該薬物担体コアは、ペレット、ビーズ、ミニ錠剤または錠剤のサイズ及び/または形状であり得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、該ポリマーブレンドは、エチルセルロース及びポリメタクリレートを含む。ある特定の実施形態では、該エチルセルロース及びポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、50:1~1:50、25:1~1:25、10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3で存在する。特定の実施形態では、該エチルセルロース及びポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、3:1~1:3で存在する。他の実施形態では、該エチルセルロース及びポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、3:1~1:3、2:1~1:2、または1:1で存在する。さらに他の実施形態では、該エチルセルロース及びポリメタクリレートポリマーは、エチルセルロース:ポリメタクリレートポリマーの重量比が、3:1、2:1、3:2、1:1、2:3、1:2、または1:3で存在する。いくつかの実施形態では、該ポリメタクリレートは、メチルメタクリレートである。他の実施形態では、該ポリメタクリレートは、メタクリル酸-エチルアクリルレートコポリマーである。特定の実施形態では、該ポリメタクリレートは、1:1のメタクリル酸-エチルアクリルレートコポリマーである。
【0010】
ある特定の実施形態では、該ポリマーブレンドは、少なくとも2つのアルコール可溶性ポリマーを含む。
【0011】
他の実施形態では、該ポリマーブレンドは、pH依存性の溶出特性を有する少なくとも1つのポリマー及びpH非依存性の溶出特性を有する少なくとも1つのポリマーを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、該ポリマーブレンドは、pH非依存性の溶出特性を有する少なくとも2つのポリマーまたはpH依存性の溶出特性を有する少なくとも2つのポリマーを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、該pH非依存性の溶出特性を有するポリマーは、エチルセルロース及び/またはエチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー及び/またはエチルアクリレート-メチルメタクリレート-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーから選択される。特定の実施形態では、該エチルアクリレート-メチルメタクリレート-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーは、約1:2:0.1~1:2:0.2の比で存在する。
【0014】
いくつかの実施形態では、該pH依存性の溶出特性を有するポリマーは、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー及び/またはブチルメタクリレート-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー及び/またはメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー及び/またはメチルアクリレート-メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーから選択される。特定の実施形態では、該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーである。
【0015】
いくつかの実施形態では、該経口製剤は、さらに、第二のポリマーフィルムコートまたはトップコートを含む。ある特定の実施形態では、該第二のポリマーフィルムコートまたはトップコートは、単一のポリマー(好ましくは、エチルセルロース)、または少なくとも2つのポリマー(例えば、エチルセルロース及びポリメタクリレート)のブレンドを含む。ある特定の実施形態では、該第二のポリマーフィルムコートまたはトップコートは、さらに、多糖類樹脂、例えば、アカシアゴム、グアーガム、トラガカントガムまたはキサンタンガムを含む。ある特定の実施形態では、該第二のポリマーフィルムコートまたはトップコートは、アルギン酸、またはその塩を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、該治療薬は、GHBならびにGHBの医薬的に許容される塩、水和物、互変異性体、溶媒和物、同位体置換体及び複合体から選択される。好ましくは、該GHB塩は、ナトリウムオキシベート、カルシウムオキシベート、カリウムオキシベート、マグネシウムオキシベートまたはそれらの組み合わせから選択される。参照することにより全体として本明細書に組み込まれる米国特許第8,591,922号または第9,132,107号を参照されたい。いくつかの実施形態では、該GHBは、プロドラッグまたは薬物複合体として存在する。他の実施形態では、該治療薬は、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤ならびにパラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤の医薬的に許容される塩、水和物、互変異性体、溶媒和物、同位体置換体及び複合体から選択される。特定の実施形態では、該治療薬は、パラセタモール、コデインまたはオキシコドンならびにパラセタモール、コデインまたはオキシコドンの医薬的に許容される塩、水和物、互変異性体、溶媒和物、同位体置換体及び複合体から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、アルコール誘発性の過量放出に耐性のある経口製剤を提供する。ある特定の実施形態では、経口製剤を提供し、この場合、その組成は、即時放出、徐放または遅延放出を含むがこれらに限定されない、必要な薬物放出速度を達成し、該薬物に関する目的のインビボ薬物動態プロファイルを達成するように調整される。
【0018】
いくつかの実施形態では、該経口製剤は、該治療薬を含む薬物担体コアの集団を含む。いくつかの実施形態では、該経口製剤は、該治療薬を含む薬物担体コアの2つ以上の集団を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、該経口製剤は、エタノールの非存在下で該治療薬を即時放出させる即時放出(IR)薬物担体コアの1つ以上の集団を含む。特定の実施形態では、該IR薬物担体コアは、水性緩衝液に入れて約5分~約60分後に該治療薬の約70%~約100%を放出する。ある特定の実施形態では、該IR薬物担体コアは、水性緩衝液に入れて約5分~約60分後に該治療薬の約70%~約100%を放出する。特定の実施形態では、該IR薬物担体コアは、該治療薬の約70~80%、70~90%、70~100%、80~90%、80~100%、または90~100%を、約5~10、5~15、5~20、5~30、5~45、5~60、10~15、10~20、10~30、10~45、10~60、15~30、15~45、15~60、20~30、20~45、20~60、30~45、30~60、または45~60分で放出する。
【0020】
いくつかの実施形態では、該経口製剤は、エタノールの非存在下で該治療薬の徐放プロファイルを与える徐放(SR)薬物担体コアの1つ以上の集団を含む。特定の実施形態では、該徐放プロファイルは、最高で、水性緩衝液に入れて約1時間以内に該治療薬の約10%~約50%の放出、水性緩衝液に入れて約2時間~約4時間以内に約20%~約70%の放出、及び水性緩衝液に入れて約4時間~約10時間以内に約50%~約80%の放出を与える。
【0021】
いくつかの実施形態では、該経口製剤は、エタノールの非存在下で該治療薬の遅延放出プロファイルを与える遅延放出(DR)薬物担体コアの1つ以上の集団を含む。いくつかの実施形態では、該治療薬の放出は、摂取後の胃通過中に遅延される。特定の実施形態では、該治療薬の放出は、摂取後の胃通過中に遅延され、最大で、酸性水性緩衝液(pH<5)に入れて約1時間~約2時間以内に、該治療薬の約0%~40%が放出される。他の実施形態では、該治療薬の放出は、酸性水性緩衝液(pH<5)への曝露の過程で遅延され、その後、該治療薬の放出は、該製剤が続いて非酸性(pH>5)水溶液に曝露された後に増加し、該治療薬の放出は、該非酸性水溶液に入れて約1時間以内に約50%~約100%の放出に、または該非酸性水溶液に入れて約1時間~約4時間以内に約10%~約70%の放出に増加する。
【0022】
いくつかの実施形態では、該製剤からの該治療薬の放出速度は、約5~約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合、該エタノールが存在しない場合と比較して、有意な放出速度の変化を示さない。ある特定の実施形態では、約5~約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合の該製剤からの該治療薬の放出速度は、エタノールが存在しない場合の放出の約1%、2%、3%、4%、5%、7%、8%、9%、10%、15%、20%もしくは25%以内またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、該製剤からの該治療薬の放出速度は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、または約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合、該エタノールが存在しない場合と比較して、有意な放出速度の変化を示さない。ある特定の実施形態では、約5%~約40%、または約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、もしくは約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合の該製剤からの該治療薬の放出速度は、エタノールが存在しない場合の放出の約1%、2%、3%、4%、5%、7%、8%、9%、10%、15%、20%もしくは25%以内またはそれ以上である。特定の実施形態では、該治療薬の放出速度は、インビトロ溶出試験を使用して測定され、該約5%~約40%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、または約40%のエタノール(v/v)は、酸性水性緩衝液に含まれる。いくつかの実施形態では、F2類似性因子を用いて、該薬物担体コアからの該治療薬の放出速度が、約5%~約40%、または約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、もしくは約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合に、該エタノールが存在しない場合と比較して有意な変化を示さないかどうかを判断する。F2類似性因子は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる、Shah,VP et al.,In vitro Dissolution Profile Comparison-Statistics and Analysis of the Similarity Factor,f2.Pharm Research,(1998)15(6)に記載されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、もしくは約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合に、エタノールが存在しない場合の該治療薬の放出速度と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれ以上低下する。
【0024】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約5%のエタノール(v/v)に曝露された場合、5%(v/v)を超えるレベルのエタノールに曝露された場合の該治療薬の放出速度と比較して、約5%、約10%、または約15%未満低下する。
【0025】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約10%のエタノール(v/v)に曝露された場合、10%(v/v)を超えるレベルのエタノールに曝露された場合の該治療薬の放出速度と比較して、約5%、約10%、または約15%未満低下する。
【0026】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約15%のエタノール(v/v)に曝露された場合、15%(v/v)を超えるレベルのエタノールに曝露された場合の該治療薬の放出速度と比較して、約5%、約10%、または約15%未満低下する。
【0027】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約20%のエタノール(v/v)に曝露された場合、20%(v/v)を超えるレベルのエタノールに曝露された場合の該治療薬の放出速度と比較して、約5%、約10%、または約15%未満低下する。
【0028】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約10%~約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合、該エタノールが存在しない場合と比較して低下する。いくつかの実施形態では、該製剤からの該治療薬の放出速度は、約10%~約40%のエタノール(v/v)が該酸性水性緩衝液に添加された場合、エタノール濃度依存的な放出の低下を示す。したがって、ある特定の実施形態では、該製剤からの該治療薬の放出速度は、エタノールの濃度が増加するにつれて低下する。ある特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または40%超(v/v)である。特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約10%(v/v)以上、少なくとも約20%(v/v)以上、少なくとも約30%(v/v)以上、または少なくとも約40%(v/v)以上である。
【0029】
いくつかの実施形態では、該製剤または薬物担体コアからの該治療薬の放出速度は、約5%~約40%のエタノール(v/v)に曝露された場合、該エタノールが存在しない場合と比較して低下する。いくつかの実施形態では、該製剤からの該治療薬の放出速度は、約5%~約40%のエタノールが該酸性水性緩衝液に添加された場合、エタノール濃度依存的な放出の低下を示す。したがって、ある特定の実施形態では、該製剤からの該治療薬の放出速度は、エタノールの濃度が増加するにつれて低下する。ある特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または40%超である。特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約10%以上、少なくとも約20%以上、少なくとも約30%以上、または少なくとも約40%以上である。
【0030】
いくつかの実施形態では、該治療薬の放出速度または放出パーセントは、インビトロ溶出試験を用いて測定され、該約5%~約40%のエタノール(v/v)は、酸性緩衝液に存在する。特定の実施形態では、該治療薬の放出速度または放出パーセントは、インビトロ溶出試験を用いて測定され、該約5%~約40%のエタノール(v/v)は、最大2時間、酸性緩衝液に存在する。エタノールの存在下でエタノール依存性の溶出速度を測定することは、胃の低pH環境に存在する摂取されたアルコールを模倣すると考えられている(参照することにより全体として本明細書に組み込まれるRubbens J.,et al.,Gastric and Duodenal Ethanol Concentrations after intake of Alcoholic Beverages in Postprandial Conditions.Molecular Pharmaceutics,(2017)14(12)参照)。特定の実施形態では、該治療薬の放出パーセント、または放出速度は、標準的な米国薬局方(USP)の溶出試験を用いてインビトロで測定される。例えば、ある特定の実施形態では、該試験は、USP溶出装置2(パドル)を使用し、US2012/0076865に記載の通り、100RPMにて操作し、
(a)段階I:該製剤を、0.1N塩酸(HCl)(pH約1.2)溶液750mLに、37℃で15分間または2時間曝露するステップ、
(b)段階II:0.316MのTris緩衝液250mL(脱気及び37℃に予め平衡化)を加え、25%HClを使用してpHを6.8に調整し、該製剤を2時間曝露するステップ、
(c)所定の間隔でサンプルを採取するステップ、
(d)適切なフィルターを通してサンプルを濾過するステップ、及び
(e)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して薬物濃度を特定するステップによって行われる。
さらなる実施形態では、本試験は、5~40%v/vのエタノールの存在下で行われる。ここでは、段階Iの溶液がさらに5~40%v/vのエタノールを含む。例えば、該試験が、5%(v/v)で行われる場合、段階Iの溶液は、0.1NのHClと5%v/vのEtOHの溶液750mLであり、該試験が、20%(v/v)で行われる場合、段階Iの溶液は、0.1NのHClと20%v/vのEtOHの溶液750mLである。他の実施形態では、該試験は、他の量の酸性溶液及び/または緩衝液を用いて行われ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、該アルコール媒介性の溶出に対する耐性が高い医薬製剤の溶出は、即時放出プロファイルを与える。ある特定の実施形態では、該薬物担体コアの溶出は、初期pH約6.8の水性緩衝液に入れて約5~約60分後に、該治療薬の約70~100%の放出を与える。いくつかの実施形態では、該IR薬物担体コアは、初期pH約6.8の水性緩衝液に入れて約5分~約60分後に、該治療薬の約70%~約100%を放出する。特定の実施形態では、該IR薬物担体コアは、該治療薬の約70~80%、70~90%、70~100%、80~90%、80~100%、または90~100%を、約5~10、5~15、5~20、5~30、5~45、5~60、10~15、10~20、10~30、10~45、10~60、15~30、15~45、15~60、20~30、20~45、20~60、30~45、30~60、または45~60分で放出する。
【0032】
いくつかの実施形態では、該アルコール媒介性の溶出に対する耐性が高い医薬製剤の溶出は、初期pH約6.8の非酸性水性緩衝液に入れて60分後に、該治療薬の約20~90%の放出を与える。いくつかの実施形態では、USP II溶出装置において、初期pH約6.8の非酸性水性緩衝液中での該アルコール媒介性の溶出に対する耐性が高い医薬製剤の溶出は、該緩衝液相に入れて60分後に、該治療薬の約30~70%の放出を与える。ある特定の実施形態では、酸性/流体相での2時間のインキュベーションは、溶出プロファイリングに関するUSP標準に従う非酸性水性緩衝液でのインキュベーションに先行する。したがって、いくつかの実施形態では、該製剤の溶出は、初期pH約6.8の非酸性水性緩衝液に入れて60分後に、該治療薬の約20~90%の放出を与え、該非酸性水性緩衝液でのインキュベーションに先立って、該製剤は、酸性溶液中で2時間インキュベートされる。ある特定の実施形態では、該酸性相でのインキュベーションは、約15分、または10~20分に短縮される。いくつかの実施形態では、該製剤の溶出は、初期pH約6.8の非酸性水性緩衝液に入れて60分後に、該治療薬の約25~80%の放出を与え、該非酸性水性緩衝液でのインキュベーションに先立って、該製剤は、酸性溶液中で15分間、または約10~20分間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、USP II溶出装置において、初期pH約6.8の非酸性水性緩衝液中での製剤の溶出は、該緩衝液相に入れて60分後に、該治療薬の約30~70%の放出を与え、該緩衝液相でのインキュベーションに先立って、該製剤は、酸性溶液中で15分間または2時間インキュベートされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、該セルロース及び/またはポリメタクリレートポリマーは、可塑剤で処理されたものである。可塑剤は、該セルロース及び/またはポリメタクリレートポリマーと確実に相溶する物理化学的特性を基にして選択される。適切な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、グリセリルトリアセテート、ポリエチレングリコール(「PEG」)、プロピレングリコール、ピロリドン、トリアセチン、トリエチルシトレート(「TEC」)及びトリブチルシトレート(「TBC」)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、エタノールの非存在下で該治療薬の放出調節をもたらす一方で、エタノールの存在下ではこの放出の加速を防止する。いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、エタノールの非存在下で該治療薬の放出調節をもたらす一方で、同時に行われるエタノールの摂取に起因するこの放出の加速を防止する。
【0035】
いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、患者が24時間で単回用量を服用することができるようにする放出速度で、該治療薬の放出調節をもたらす。いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、患者が24時間で単回用量を服用することができるようにする放出速度で、該治療薬の放出調節をもたらし、該製剤からの該治療薬の放出は、アルコールの存在下での、または同時に行われるアルコールの摂取に起因する加速が防止される。特定の実施形態では、該治療薬は、GHB、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤である。他の特定の実施形態では、該治療薬は、GHB、パラセタモール、コデインまたはオキシコドンである。いくつかの特定の実施形態では、該治療薬はGHBである。
【0036】
いくつかの実施形態では、耐アルコール性製剤は、疾患もしくは状態及び/または疾患もしくは状態によって引き起こされる症状に苦しむ患者を治療するために使用される。
【0037】
いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、治療薬を含む薬物担体コアの1つ以上の集団を含む。ある特定の実施形態では、該製剤は、コア及び1つ以上のコーティングを含む。特定の実施形態では、該コアは、70%~90%(該コアのw/w)のGHB塩、1~20%(該コアのw/w)の微結晶性セルロース、及び1~10%(該コアのw/w)のヒドロキシプロピルセルロースを含む。ある特定の実施形態では、該製剤は、コアならびに該コアの表面に配置されるエチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)を含む第一のコーティングを含み、該コーティングは、該コアの約5重量%~約60重量%であること、及びエチルセルロースのコポリマーに対する比が、ポリマー重量に基づいて、それぞれ、約1:3~3:1であることを目標とする。好ましい実施形態では、エチルセルロースのコポリマーに対する比は、ポリマーの重量に基づいて、それぞれ約1:2~2:1である。他の実施形態では、該製剤は、さらに、該第一のコーティングの表面に配置される、エチルセルロース、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)及びグアーガムを含む第二のコーティングを含み、グアーガムは、該セルロースポリマーの1~10%w/wで添加され、該第二のコーティングは、該第一のコーティングの表面に分散され、該コア及び第一のコーティングの約1重量%~約50重量%であることを目標とし、エチルセルロースのコポリマーに対する比は、ポリマー重量に基づいて、それぞれ、約1:3~3:1である。ある特定の実施形態では、該第一及び/または第二のコーティングのエチルセルロースは、Aquacoat(登録商標)ECDである。
【0038】
いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、70%~90%(w/w)のGHB塩、1~20%(w/w)の微結晶性セルロース、及び1~10%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロースを有する薬物担体コア、ならびにAquacoat(登録商標)ECD及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)を含む第一のコーティングを含み、該コーティングは、該コアの約5重量%~約60重量%であることを目標とする。
【0039】
いくつかの実施形態では、該耐アルコール性製剤は、70%~90%(w/w)のGHB塩、1~20%(w/w)のAvicel 101(微結晶性セルロース)、0~3%(w/w)のL-HPC LH31(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、及び1~10%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース300~600CPSを有する薬物担体コア、エチルセルロース(Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit L30D55またはEudragit L100-55のいずれかとして)を、それぞれ、ポリマーの重量に基づいて、1:3~3:1の比で含み、該コアの表面に配置される、第一のコーティング、ならびに、任意に、エチルセルロース、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)及びグアーガムを含み、該第一のコーティングの表面に分散され、該コア及び第一のコーティングの約1重量%~約50重量%であることを目標とする、トップコートまたは第二のコートを含む。ある特定の実施形態では、該第一及び/または第二のコーティングのエチルセルロースは、Aquacoat(登録商標)ECDである。いくつかの実施形態では、サブコートが、該第一のコーティングと該コアとの間に存在する。
【0040】
ある特定の実施形態では、該GHB塩は、GHB塩の混合物である。特定の実施形態では、該放出制御製剤中のGHB塩は、カルシウムGHB一水和物である。他の実施形態では、即時放出製剤中のGHB塩は、ナトリウムGHBとカリウムGHBの混合物である。
【0041】
いくつかの実施形態では、薬物担体コアは、混合塩オキシベートを含む。他の実施形態では、該製剤の該即時放出部分は、混合塩オキシベートを含む。この混合塩オキシベートは、Na.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及び/またはCa.(GHB)2のモル当量%(%molar equivalents)(モル当量%(%mol.equiv.))として表される様々なパーセンテージのオキシベートを含む。本明細書で使用される「モル当量%(%molar equivalents)」及び「モル当量%(%mol.equiv.)」という用語は、GHB当量のパーセントとして表される塩のモル組成を指す。当業者には、各GHB単位が1モル当量であると考えられるので、一価カチオン、Na+及びK+は、塩あたり1モル当量を有し、二価カチオン、Mg+2及びCa+2は、塩あたり2モル当量を有することが理解されよう。本開示に有用なモル当量%の量に関しては、米国特許第8,591,922号、第8,901,173号、第9,132,107号、第9,555,017号、第10,195,168号を参照されたい。
【0042】
いくつかの実施形態では、任意の該塩、例えば、Na.GHB塩、K.GHB塩、Mg.(GHB)2塩またはCa.(GHB)2は、約1%~5%、約5%~10%、約10%~15%、約15%~20%、約20%~25%、約25%~30%、約30%~35%、約35%~40%、約40%~45%、約45%~50%、約50%~55%、約55%~60%、約60%~65%、約65%~70%、約70%~75%、約75%~80%、約80%~85%、約85%~90%、約90%~95%、または約95%~100%(モル当量%)で存在する。いくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は、モル当量%で、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%(モル当量%)で存在する。いくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は存在しない。
【0043】
該混合塩のオキシベートがNa.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及びCa.(GHB)2の混合物を含むいくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は、モル当量%約1%~15%、5%~10%、または約8%で存在し、該K.GHB塩は、モル当量%約10%~30%、15%~25%、または約23%で存在し、該Mg.(GHB)2塩は、モル当量%約10%~30%、15%~25%、または約21%で存在し、該Ca.(GHB)2塩は、モル当量%約30%~60%、40%~50、または約48%(モル当量%)で存在する。
【0044】
いくつかの実施形態では、該混合塩オキシベートは、約8モル当量%のナトリウムオキシベート、約23モル当量%のカリウムオキシベート、約21モル当量%のマグネシウムオキシベート及び約48モル当量%のカルシウムオキシベートを含む。該混合塩のオキシベートがNa.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及びCa.(GHB)2の混合物を含むいくつかの実施形態では、該混合物は、Na.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及びCa.(GHB)2塩を含み、モル当量%の比が、それぞれ、約8:23:21:48で存在する。
【0045】
該医薬組成物が、Na.GHB、K.GHB、及びCa.(GHB)2の混合物を含むいくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は、モル当量%約5%~40%で存在し、該K.GHB塩は、モル当量%約10%~40%で存在し、該Ca.(GHB)2塩は、モル当量%約20%~80%で存在する。
【0046】
本発明の1つの実施形態は、疾患または状態、例えばGHB、パラセタモール、オピオイド及び/またはアヘン剤で治療可能な疾患または状態に苦しむ患者の治療方法である。いくつかの実施形態では、該疾患または状態は、GHB、パラセタモール、コデインまたはオキシコドンで治療可能である。特定の実施形態では、該疾患または状態は、GHBで治療可能である。ある特定の実施形態では、該疾患または状態は、本明細書に記載の薬効分類、例えば、限定されないが、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及び/またはアヘン剤離脱、成長ホルモンのレベルの低下、不安、無痛(急性、慢性、突出、体性、内臓または神経障害痛を含めた軽度、中等度及び/または重度の痛みの治療等)、ある特定の神経障害の影響、例えば、パーキンソン病、うつ病、低酸素症/酸素欠乏症、例えば、脳卒中もしくは心筋梗塞、または頭蓋内圧レベルの上昇後のある特定の内分泌異常及び組織防御である。本発明の別の実施形態は、疾患または状態、例えば、日中の過剰な眠気、脱力発作、睡眠麻痺、無呼吸、ナルコレプシー、睡眠時間障害、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、本態性振戦及び夜間ミオクローヌスが挙げられるがこれらに限定されないGHBで治療可能な疾患または状態等に関連する症状を、ガンマ-ヒドロキシ酪酸(GHB)またはその塩で治療及び/または予防する方法であり、治療を必要とする患者に対して、エタノールの存在下で治療薬の放出が低減される治療薬を含む耐アルコール性製剤を経口投与することを含む。特定の実施形態では、該治療薬はGHBである。
【0047】
本発明の1つの実施形態は、日中の過剰な眠気、脱力発作、睡眠麻痺、無呼吸、ナルコレプシー、睡眠時間障害、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスに苦しむ患者を、ガンマ-ヒドロキシ酪酸(GHB)またはその塩で治療するための方法であり、治療を必要とする患者に対して、エタノールの存在下でGHBの放出が低減されるGHB製剤を経口投与することを含む。ある特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または40%超である。ある特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約10%以上、少なくとも約20%以上、少なくとも約30%以上、または少なくとも約40%以上である。
【0048】
本発明の別の実施形態は、ヒト患者における睡眠障害、薬物乱用、アルコール及び/またはアヘン剤離脱、成長ホルモンのレベルの低下、不安、無痛、ある特定の神経障害の影響、例えば、パーキンソン病、うつ病、線維筋痛、低酸素症/酸素欠乏症、例えば、脳卒中もしくは心筋梗塞、または頭蓋内圧レベルの上昇後のある特定の内分泌異常及び組織防御、日中の過剰な眠気、脱力発作、睡眠麻痺、無呼吸、ナルコレプシー、睡眠時間障害(例えば、ストレスまたは外傷に起因するもの、例えば、外傷後ストレス障害及び/または外傷性脳損傷等)、レム睡眠行動障害(RBD、特に、パーキンソン病におけるもの)、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症(様々なタイプの不眠症、例えば、特発性過眠症等)、ならびに夜間ミオクローヌス等であるがこれらに限定されないGHBで治療可能な疾患、障害または症状の治療及び/または予防のために、GHB、またはその塩を安全に投与する方法であり、治療を必要とする患者に対して、エタノールの存在下でGHBの放出が低減されるGHB製剤を経口投与することを含む。ある特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または40%超である。ある特定の実施形態では、該エタノール濃度は、少なくとも約10%以上、少なくとも約20%以上、少なくとも約30%以上、または少なくとも約40%以上である。
【0049】
本発明の実施形態の各々では、該方法は、GHBを、24時間に1~10グラム/日または4.5~9グラム/日で投与することを含む。本発明の実施形態のいくつかでは、該方法は、GHBを、24時間に7~10グラム/日で投与することを含む。
【0050】
さらなる実施形態では、該方法は、GHBを、単一の塩として、または、ガンマ-ヒドロキシ酪酸のナトリウム塩(Na・GHB)、ガンマ-ヒドロキシ酪酸のカリウム塩(K・GHB)、ガンマ-ヒドロキシ酪酸のマグネシウム塩(Mg(GHB)2)、及びガンマ-ヒドロキシ酪酸のカルシウム塩(Ca(GHB)2)からなる群から選択されるGHB塩の混合物として投与することを含み得る。
【0051】
本発明の別の実施形態は、GHB、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤(例えば、コデインまたはオキシコドン)を、それを必要とする患者に投与する方法であり、該患者に対して、アルコールとの併用を避けながら、治療有効量のGHB、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤(例えば、コデインまたはオキシコドン)を投与することを含む。好ましい実施形態は、GHBを、それを必要とする患者に投与する方法であり、該患者に対して、アルコールとの併用を避けながら、治療有効量のGHBを投与することを含む。
【0052】
本発明はまた、GHB、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤(例えば、コデインまたはオキシコドン)の副作用を、それを必要とする患者において低減する方法を含む場合があり、該方法は、該患者に対して、有効量のGHB、パラセタモール、オピオイドまたはアヘン剤(例えば、コデインまたはオキシコドン)のアルコール耐性放出調節製剤を投与することを含む。好ましい実施形態は、GHBの副作用を、それを必要とする患者において低減する方法であり、該患者に対して、有効量のGHBのアルコール耐性放出調節製剤を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】エチルセルロースとポリ(メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー)の混合物からなるペレットコアの30%w/wのポリマーフィルムを有する遅延放出(DR)ペレットコアからのカルシウムオキシベートのインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。溶出は、酸(0.1NのHCl)中で2時間、続いてTris pH6.8緩衝液中で1時間試験した。
【
図2】2つの異なるポリ(メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー)源(丸及び四角)を使用してコートされたカルシウムオキシベート単一コートペレットコアの溶出速度を示すグラフである。ポリメタクリレートをエチルセルロースと混合した。また、二重コート製剤からのカルシウムオキシベートの溶出速度も示す。内側のコートはエチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの混合物を含み、グアーガムが外側(表面)のポリマーコートに組み込まれている。二重コート製剤のカルシウムオキシベート溶出を、40%のエタノールを含む(逆三角)及び含まない(直立三角)酸相で試験した。
【
図3】A及びBは、それぞれ、エタノールの存在下(B)及び非存在下(A)でのカルシウムオキシベートペレット「DR03」の周りの透明ゲル層の存在及び非存在を示す画像である。エタノールの存在下で示されるゲル層の形成は、二重ポリマーフィルムコートを有するカルシウムオキシベートペレットに関し、内側のコートはエチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの混合物を含み、グアーガムが外側(表面)のポリマーコートに組み込まれている。
【
図4】0%、10%、20%、または40%v/vのエタノールを含む0.1NのHClに15分間予備曝露した後、Tris(pH6.8)緩衝液中のコートカルシウムオキシベート(GHB)ペレットのインビトロ溶出の放出プロファイルを示すグラフである。
【
図5A】ポリマーコートプラセボ(スクロース)ペレットコア(エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの2成分ポリマー混合物(1:2の比(w/w%乾燥ポリマー))でコート)を40%v/vのEtOHを含む0.1NのHCl緩衝液に曝露した後の経時的な1Hzのプローブ周波数掃引で測定された剪断貯蔵弾性率(弾性応答、G’)の変化を示す画像である。
【
図5B】ポリマーコートプラセボ(スクロース)ペレットコア(エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの二成分ポリマー混合物(1:2の比(w/w%乾燥ポリマー))でコート)を、40%v/vのEtOHを含む0.1NのHCl緩衝液から、Tris pH6.8緩衝液(EtOHなし)に移した後の経時的な1Hzのプローブ周波数掃引で測定された剪断貯蔵弾性率(弾性応答、G’)の変化を示す。
【
図6】EC/L100-55/GG/ポリビニルピロリドン(「PVP」)からなるさらなる外側ポリマーフィルムコートを含む(四角)及び含まない(黒丸)両GHB製剤の酸(0.1NのHCl)で2時間、続いてTris pH6.8緩衝液で1時間試験した場合のインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。また、40%v/vのEtOH/酸緩衝液に2時間曝露した後、EtOHを含まないTris pH6.8緩衝液に1時間曝露した場合の該二重コートGHB製剤の溶出も示す。
【
図7】HCL緩衝液への曝露後のTrisまたは重炭酸塩緩衝液のいずれか、及び20%v/vのエタノールの存在下または非存在下のいずれかでのGHB製剤のインビトロ溶出プロファイルを比較するグラフである。
【
図8】0.1NのHCl緩衝液に1~2時間、続いてTris pH6.8緩衝液に1時間曝露した後のサブコートを含む(丸)及び含まない(逆三角)、ならびに20%v/vのエタノールを含む0.1NのHCl緩衝液に15分間曝露し、続いてTris pH6.8緩衝液に1時間曝露した後の、サブコートを含む(四角)及び含まない(ひし形)二成分ポリマーフィルムでコートされた両カルシウムオキシベートペレットから得られた溶出プロファイルにおける、ポリマーサブコートの使用の影響を示すグラフである。
【
図9】カルシウムオキシベートペレットに対してエチルセルロース(EC)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L100-55)の二成分ポリマーフィルムを施した後の二相溶出試験条件下での4時間にわたる徐放性(一次に近い)オキシベート溶出プロファイルを示すグラフである。該二成分ポリマーフィルムは、有機溶媒溶液として調製した。
【
図10】水性分散液として調製され、カルシウム3-ヒドロキシブチレート(Ca-3HB)ペレットに施されたエチルセルロース(EC)及び1:1のメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L100)の二成分ポリマーフィルムを施した後のヒドロキシ酪酸の溶出プロファイルを示すグラフである。該二成分ポリマーフィルムは、該ペレットコアの15%w/wに相当するレベルまでCa3HBペレットに直接施した。
【
図11】水性分散液として調製され、カルシウム3-ヒドロキシブチレート(Ca-3HB)ペレットに施されたエチルセルロース(EC)及び1:2のメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)S100)の二成分ポリマーフィルムを施した後のヒドロキシ酪酸の溶出プロファイルを示すグラフである。該二成分ポリマーフィルムは、該ペレットコアの15%w/wに相当するレベルまでCa3HBペレットに直接施した。Eudragit(登録商標)S100ポリマーをpH7の溶出トリガーポイントに組み込むと、酸中のヒドロキシ酪酸放出が完全に抑制され(120分)、その後、5時間にわたる、S100ポリマーの該pH溶出トリガーを超えるTris pH7.5緩衝液中で2.5時間以上放出の抑制が延長される。Tris pH7.5緩衝液への5時間の曝露後、該コートペレットコアから約20%のヒドロキシ酪酸が放出されるのみである。
【
図12】二成分エチルセルロース(Ethocel(商標)20)及び1:1のメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L100)の、それぞれ、乾燥ポリマーの%w/w比1:2での塗布後のカルシウムオキシベートペレットからのオキシベート溶出プロファイル(黒丸)を示すグラフである。この図は、20%v/vのEtOHを含む0.1NのHCl(破線、三角)及び40%v/vのEtOHを含む0.1NのHCl(破線、逆三角)に15分間曝露し、続いてTris pH6.8緩衝液での放出後の該二成分フィルムコートペレットからのオキシベートの放出も示す。エチルセルロース(30%水性分散液)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit L30D-55)からなる第二の二成分ポリマーフィルムを施した後の溶出プロファイル(黒四角)を示す。0%、10%、20%、または40%v/vのエタノールを含む0.1NのHClに15分間予備曝露した後のTris(pH6.8)緩衝液中でのオキシベート溶出プロファイルもまた、トップコートが施された製剤に関して示す。
【
図13】エチルセルロース(30%水性分散液、Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)からなる二成分ポリマーフィルムコートを施した後のパラセタモールの放出を示すグラフである。得られる溶出速度にポリマーフィルムの膜厚の増加が与える影響を示す。この図は、40%v/vのEtOHを含む0.1NのHClへの15分間の予備曝露が、その後のTris pH6.8緩衝液中での放出に与える影響も示す。
【
図14】ヒトの薬物動態試験用に調製した2種の徐放性(SR)オキシベートプロトタイプの溶出を比較したグラフである。「SR1」は、エチルセルロース系の機能性フィルムコートが施されたカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアからなる。「SR2」は、乾燥ポリマー重量に基づいて、エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーの1:1混合物からなる二成分ポリマーフィルムが施された同じペレットコアからなる。
【
図15】異なるpH条件下でのプロトタイプ「SR2」の溶出を比較したグラフである。該プロトタイプは、乾燥ポリマー重量に基づいて、エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーの1:1混合物からなる二成分ポリマーフィルムが施されたカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアからなる。
【
図16】高脂肪、高カロリーの朝食の開始から2時間後に健常な被験者に投与した2種のSRオキシベートプロトタイプのヒトの薬物動態プロファイルを比較したグラフである。合計で4.5gのナトリウムオキシベートに相当する用量を投与した。「SR1」は、エチルセルロース系の機能性フィルムコートが施されたカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアからなる。「SR1」プロトタイプは、個別に投与した。「SR2」は、乾燥ポリマー重量に基づいて、エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーの1:1混合物からなる二成分ポリマーフィルムが施された同じペレットコアからなる。「SR2」プロトタイプは、「SR2」に対してそれぞれ、1:2.5の溶液の用量比でオキシベート水溶液と組み合わせて投与した。
【
図17】20%v/vのエタノールを含む0.1NのHClへの15分間の予備曝露なし(丸)またはあり(三角)での実施例9、「SR2」の二成分フィルムプロトタイプのTris pH6.8緩衝液中での溶出を比較するグラフである。実施例9の「SR1」プロトタイプのTris pH6.8緩衝液中での溶出と比較する。
【
図18】ヒトの薬物動態試験用に調製した2種の遅延放出(DR)オキシベートプロトタイプの溶出を比較したグラフである。「DR1」は、メタクリル酸-エチルアクリレート系の機能性フィルムコートが施されたカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアからなる。「SR2」は、エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーの混合物からなる二成分ポリマーフィルムが施された同じペレットコアからなる。グアーガムを含む「トップコート」もまた「DR2」に施す。
【
図19】異なるpH条件下でのプロトタイプ「DR2」の溶出を比較したグラフである。該プロトタイプは、エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーの混合物からなる二成分ポリマーフィルムが施されたカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアからなる。グアーガムを含む「トップコート」も施す。
【
図20A】高脂肪、高カロリーの朝食の開始から2時間後に健常な被験者に投与した2種のDRオキシベートプロトタイプのヒトの薬物動態プロファイルを比較したグラフである。「DR1」は、メタクリル酸-エチルアクリレート機能性フィルムコートが施されたカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアからなる。「DR2」は、エチルセルロースとメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーの混合物からなる二成分ポリマーフィルムが施された同じペレットコアからなる。グアーガムを含む「トップコート」もまた「DR2」に施す。
【
図20B】4.5g、7g及び9gのナトリウムオキシベート塩に相当する用量で投与されるオキシベート溶液(ナトリウム及びカリウムオキシベート塩の混合物)と組み合わせた放出調節「DR2」粒子のヒトの薬物動態プロファイルのグラフである。該組成物は、高脂肪、高カロリーの朝食の開始の2時間後に投与した。
【
図21A】20%v/vのエタノールを含む0.1NのHClへの15分間の予備曝露なし(丸)またはあり(三角)での実施例10、「DR2」の二成分フィルムプロトタイプのTris pH6.8緩衝液中での溶出を比較するグラフである(注:内側及び外側の二成分ポリマーフィルムコーティングを有する放出調節成分のみを調べた)。
【
図21B】EtOHの存在下及び非存在下での2時間までの酸相中での実施例10、「DR2」の二成分ポリマーフィルムプロトタイプの溶出を示すグラフである(注:内側及び外側の二成分ポリマーフィルムコーティングを有する放出調節成分のみを調べた)。2時間のEtOH曝露が、その後のTris pH6.8緩衝液中でのオキシベートの放出速度に与える影響を示す。
【
図22】二成分フィルムコーティングで調製された場合、及び溶出をTris pH6.8緩衝液中で45分間試験した場合の、ペレットコアからのコデインリン酸塩のインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。
【
図23】未コートコデインリン酸塩ペレットコアの15%w/wポリマー、22%w/wポリマー及び30%w/wポリマーに相当する3種の異なる膜厚を用いて、ポリマーフィルムコーティングの膜厚が、ペレットコアからのコデインリン酸塩のインビトロ溶出プロファイルに与える影響を示すグラフである。溶出を、酸(0.1NのHCl)中で15分間、続いてTris pH6.8緩衝液中で90~120分間試験し、該15分間の酸相で、20%v/v及び40%v/vのエタノールの存在下及び非存在下にて試験した。
【
図24】未コートコデインリン酸塩ペレットコアの15%w/wポリマー、22%w/wポリマー及び30%w/wポリマーに相当する3種の異なる膜厚を用いて、ポリマーフィルムコーティングの膜厚が、エチルセルロースとポリ(メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの1:1混合物からなるポリマーフィルムコートを施した後にペレットコアからのコデインリン酸塩のインビトロ溶出プロファイルに与える影響を示すグラフである。溶出を、20%v/vのEtOHを含む酸(0.1NのHCl)に該組成物を60分間曝露することに関して試験し、EtOH曝露が中性pH緩衝液中でのインビトロ溶出速度に与える影響は、該組成物を続いてTris pH6.8緩衝液中で試験することによって識別した。
【
図25】未コートペレットコアの22%w/wの二成分ポリマーフィルムコートを有するペレットコアからのコデインリン酸塩の2相インビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。
【
図26】実施例11の通りに調製されたペレットコアからのコデインリン酸塩の2相インビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。「単一」及び「二重」コートコデインリン酸塩ペレットのインビトロ溶出特性を特定した。「単一コート」ペレットは、エチルセルロースとポリ(メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー)の1:1混合物からなるポリマーフィルムコートを施すことによって調製した。二成分ポリマーフィルムコートを、目標重量増加が未コートコデインリン酸塩ペレットコアの30%w/wポリマーになるまで施した。「二重コート」ペレットは、エチルセルロース、ポリ(メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー)及びグアーガムの混合物からなるさらなる外側ポリマーフィルムコートを加えることによって調製した。両組成物を、該酸相での溶出試験中に最大60分間、0%v/v、20%v/v及び40%v/vのEtOHに曝露した。
【
図27】Tris pH6.8緩衝液中でのコデインリン酸塩錠剤のインビトロ溶出を示すグラフである。
【
図28】該二成分ポリマーフィルムコーティングの膜厚が、エタノールの存在下及び非存在下でコデインリン酸塩錠剤の溶出に与える影響を示すグラフである。
【
図29】Tris pH6.8緩衝液中でのオキシコドン塩酸塩ペレットのインビトロ溶出を示すグラフである。
【
図30】該二成分ポリマーフィルムコーティングの膜厚が、エタノールの存在下及び非存在下でオキシコドン塩酸塩ペレットの溶出に与える影響を示すグラフである。
【
図31】単一または二重コートペレットのいずれかを用いたオキシコドン塩酸塩ペレットのインビトロ溶出を示すグラフである。
【
図32】Tris pH6.8緩衝液中でのオキシコドン塩酸塩錠剤のインビトロ溶出を示すグラフである。
【
図33】該二成分ポリマーフィルムコーティングの膜厚が、エタノールの存在下及び非存在下でのオキシコドン塩酸塩錠剤の溶出に与える影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
アルコール誘発性の過量放出は、放出調節経口製剤を設計及び開発する際に考慮すべき重要なパラメータである。経口製剤は通常、高濃度の薬物を含む。一部の放出調節経口剤形は、エタノールへの溶解度が変化した薬物または賦形剤を含み得る。意図的または偶発的なアルコールの摂取は、該放出調節製剤がエタノール濃度に対して感受性がある場合、危険なほど高い薬物曝露につながり得る。したがって、本明細書では、過量放出に耐性を示し、高濃度のエタノール中での溶出特性が改善されるアルコール耐性経口製剤を提供する。
【0055】
以下の説明では、その一部を形成する添付の図面を参照し、実例として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施可能にするのに十分に詳細に説明され、他の実施形態が利用され得ること、ならびに本発明の範囲から逸脱することなく、構造的、論理的及び電気的な変更が行われ得ることを理解されたい。以下の説明は、したがって、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0056】
以下の特許及び出願は、すべての目的のため、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる:米国特許第6,472,431号、第6,780,889号、第7,262,219号、第7,851,506号、第8,263,650号、第8,324,275号、第8,859,619号、第8,952,062号、第8,591,922号、第8,771,735号、第7,895,059号、第7,797,171号、第7,668,730号、第7,765,106号、第7,765,107号、第8,457,988号、第8,589,182号、第8,731,963号、第8,771,735号、第8,772,306号、第8,778,398号、第9,795,567号、米国特許出願第61/317,212号、第13/071,369号、第14/045,673号、第14/172,751号、第14/821,384号、第15/385,447号、PCT/US2010/033572、PCT/US2009/061312、2009/0137565、及び2012/0076865。以下の特許もまた、参照することにより組み込まれる:米国特許第5,380,937号、米国特許第4,393,236号、ドイツ特許第DD237,309A1号、及び英国特許第番号2295390号及び第922,029号。さらに、これらの特許もまた、参照することにより組み込まれる:米国特許第4524217号、第6,316,025号、第7,993,673号、第8,216,610号、第9,271,974号。
【0057】
以下の特許及び出願もまた、すべての目的のため、参照することにより組み込まれる:米国公開第2006/0193912号は、アルコール誘発性の過量放出の低減を示すことが期待される、ガムとイオン性ゲル強度向上剤の混合物を含む組成物を記載しており、米国公開第2007/0264346号は、少なくとも1つの活性成分の放出調節用のリザーバタイプのマイクロ多粒子を含む経口医薬品形態を提供し、該形態は、アルコールの存在下での活性成分の即時過量放出に耐性があり、国際(PCT)公開第2007/053698号は、水性アルコールとの併用に関する特性の改善を示す1日1回のオピオイド鎮痛薬の制御放出組成物を記載しており、国際(PCT)公開第2008/086804号は、医薬組成物の調製用のポリグリコール、特にポリエチレングリコールの使用を記載しており、該組成物は、エタノール誘発性の過量放出がない。用途に応じて、該経口固形剤形は、該ポリマーを溶融または軟化するために加熱し、続いて固化することによって調製される。米国公開第2008/0085304号は、親水性ガム、ホモ多糖ガム、及び医薬希釈剤を含む耐エタノール性制御放出医薬組成物を記載しており、米国公開第2009/0155357号は、好ましくは、水不溶性の、アルコール不溶性コーティングを含む放出調節経口剤形を開示している。全体で引用されている他の特許または非特許参考文献もまた、参照することにより全体として組み込まれる。
【0058】
定義
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲では、以下の意味を有すると定義するものとする複数の用語を参照する。
【0059】
「a」及び「an」という用語は、量の制限を意味するのではなく、言及された項目のうちの少なくとも1つが存在していることを意味する。「または」という用語は、「及び/または」を意味する。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」という用語は、オープンエンドな用語と解釈されるべきである(すなわち、「含むがそれに限定されない」ことを意味する)。
【0060】
「アルコール誘発性の過量放出」とは、アルコールの存在下で剤形からの薬物の放出が増加することを意味する。
【0061】
「酸性水性緩衝液」または「酸性緩衝液」とは、pH<5の緩衝液を意味する。
【0062】
「アルコール耐性」または「耐アルコール性」とは、アルコール誘発性の過量放出に耐性があり、アルコールの存在下で製剤からの薬物放出速度が大幅に増加も低下もしない製剤を意味する。
【0063】
本明細書で使用される、「アルコール」とは、エタノール、任意のエタノール含有製品、またはエタノール含有(「アルコール性」)飲料、例えば、ビール、ワイン、及び強い酒、例えば、ウォッカ、ラム酒、もしくはウイスキーを指す。エタノール含有飲料は、一般に、アルコール飲料、酒、または単にアルコールと呼ばれ、これらはすべて、「アルコール」または「エタノール」を指すものとして本明細書に含まれる。これは、任意のエタノール含有製品または賦形剤、例えば、液体媒体または固体剤形(例えば、錠剤、カプセル)を含むことを意味し、アルコール含有賦形剤として、FDAの不活性成分データベース(IID)に記載のもの、例えば、経口治療溶液に使用されるアルコール、ベンジルアルコール(カプセル及び軟ゼラチンキャップ及びDRまたはSR錠剤に使用される)、ブチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール及びステアリルアルコール等が含まれる。
【0064】
「同時摂取した」または「同時摂取」とは、薬物(例えば、GHB)とアルコールの両方が体内(例えば、胃)に存在することを意味し、これは、各々の同時または続いて生じる摂取を介して発生し、意図的にまたは偶発的に発生する同時摂取を含む。
【0065】
本明細書で使用される、「制御放出」または「CR」剤形または製剤とは、ほぼ一定の速度で持続期間にわたって薬物放出を維持する任意の剤形または製剤を含むことを意味する。
【0066】
「1日用量」とは、24時間以内に服用する合計用量または投与量を意味する。
【0067】
「薬物担体コア」または「薬物含有コア」または「コア」とは、薬物及び該コア内部の薬物を調製または維持するのに使用される、結合剤または滑沢剤等の任意の適切な賦形剤を必要に応じて含む内部材料を意味する。該薬物担体コアは、例えば、顆粒、錠剤、球体、ペレット、ミニ錠剤、マイクロ錠剤、マイクロ粒子、マイクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロペレット、ビーズ、多粒子、及び最大約5mmの直径を有する粒子を含めた多くの形状及び/またはサイズの形態で調製され得る。該薬物担体コアは、任意の適切な粒度または形状でよい。例えば、該薬物担体コアは、粒度範囲約50~5,000μmを有する「マイクロペレット」の形態の場合もあれば、公称(例えば、平均)粒子径約2~5mmを有する「ミニ錠剤」の形態の場合もある。該薬物担体コアは、公称(例えば、平均)粒子径約2mm未満、例えば、約1~2mmを有する「マイクロ錠剤」であり得る。該薬物担体コアはまた、粒度範囲約50~500μmを有するマイクロスフェアであり得る。該薬物担体コアは、コーティングの前に区分される場合もあれば、1つ以上のサブコート、コーティング、またはトップコートによるコーティングの後に区分される場合もある。例えば、該薬物担体コアは、コーティングの前のふるい分け(screening)またはふるい分け(sieving)によって区分され得る。例示的なサイズ範囲としては、約0.5mm~0.8mm、0.5mm~1.0mm、0.5mm~1.25mm、0.5~1.5mm、0.5~1.75mm、0.5~2.0mm、0.8mm~1.0mm、0.8mm~1.25mm、0.8~1.5mm、0.8~1.75mm、0.8~2.0mm、1.0mm~1.25mm、1.0~1.5mm、1.0~1.75mm、1.0~2.0mm、1.25~1.5mm、1.25~1.75mm、1.25~2.0mm、1.5~1.75mm、1.5~2.0mm、または1.75~2.0mmが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、該薬物担体コアはまた、そのサイズ及び/または形状に関わるコアに言及される場合がある。例えば、「薬物担体コア」は、該薬物担体コアがペレットのサイズ及び/または形状の場合は、「ペレットコア」と呼ばれる可能性があり、該薬物担体コアはまた、該薬物担体コアがビーズのサイズ及び/または形状の場合は、「ビーズコア」と呼ばれる可能性がある。例えば、「カルシウムオキシベートペレットコア」は、カルシウムオキシベートを含み、ペレットのサイズ及び/または形状の「薬物担体コア」であることを意味する。同様に、「カルシウム3-ヒドロキシブチレート(Ca-3HB)ペレットコア」または「Ca3HBペレットコア」は、カルシウム3-ヒドロキシブチレートを含み、ペレットのサイズ及び/または形状の「薬物担体コア」であることを意味する。
【0068】
「エタノール耐性」、「耐エタノール性」、「アルコール耐性」、または「耐アルコール性」とは、エタノールの存在下で製剤からの薬物放出速度が大幅に増加も低下もしないような、アルコール誘発性の過量放出に耐性のある製剤を意味する。該薬物放出速度の比較は、Shah,VP et al.,In vitro Dissolution Profile Comparison-Statistics and Analysis of the Similarity Factor,f2.Pharm Research,(1998)15(6)に記載のF2類似性試験を用いて測定され得る。
【0069】
「EtOH」は、エタノールを意味する。
【0070】
「夜間用量」とは、24時間以内に服用されるが、通常はある人の睡眠周期の前またはその間に摂取される合計用量または投与量を意味する。
【0071】
「投与量」とは、ある一定期間、通常は1日(すなわち、毎日または毎晩または24時間以内)に服用するのに適した薬物の量を意味する。
【0072】
「経口投与に適した投与量」とは、指定された条件下で特定の患者にとって安全かつ有効であると見なされる量の投与量を意味する。本明細書及び特許請求の範囲で使用される、この投与量は、米国食品医薬品局によって承認された製薬会社の処方情報の推奨に従って決定される。
【0073】
「剤形」とは、対象に処方及び/または投与され得る製剤を意味し、任意の固体、半固体、液体、懸濁液、凍結または凍結乾燥製剤の薬物を含むことを意味し、錠剤、ミニ錠剤、軟または硬カプセル、ゲルカプセル、カプレット、顆粒、ペレット、マイクロペレット、ビーズ、粉末、サシェ、液体、懸濁液等を含むがこれらに限定されない。
【0074】
「投与計画」とは、患者が最初に服用する薬物の用量、ならびに該患者が任意のその後の該薬物の用量を服用する間隔(時間または症候性)及び投与量を意味する。各用量は、同じ投与量でも異なる投与量でもよい。
【0075】
「用量」とは、患者が一度に摂取する薬物の測定量を意味する。
【0076】
「遅延放出」または「DR」は、剤形が経口投与後に胃を通過するまで活性薬剤の放出を遅らせる該剤形を指し、例えば、酸性水性環境(pH<5)に入れて約1時間~約2時間以内に約0%~40%以下が放出されるように、該薬剤の放出を遅らせる。
【0077】
「即時放出」または「IR」は、経口投与の直後に活性薬物を放出するように製剤化される剤形を指す。即時放出剤形または製剤においては、薬物放出速度を調節するために意図的な取り組みはなされない。即時放出製剤は、一般に、比較的迅速な薬物吸収及び付随する薬力学的効果の発現をもたらす。治療薬を含む即時放出剤形としては、例えば、摂取されてから約5分~約60分後に、または水性緩衝液中で、該治療薬の約70%~約100%を放出するものが挙げられる。
【0078】
「メタクリレート」は、メタクリル酸の誘導体を指す。
【0079】
「放出調節」または「MR」剤形とは、(即時放出剤形とは対照的に)その投与後に遅れて(遅延放出剤もしくは「DR」)または、以下に概説する放出停止(suspended release)(SR)及び持続放出(「ER」、「XR」、「XL」)剤を含めた長期間にわたって薬物を送達する、あるいは、体内の特定の標的に薬物を送達する(標的放出剤)メカニズムを指す。参照することにより本明細書に組み込まれる“Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics”,Sixth Edition、Shargel et al.のチャプター17に記載のものを含めた即時放出剤形または製剤ではない任意の剤形または製剤を含むことが意図されている。したがって、本明細書の目的のため、MRには、「徐放」または「SR」剤形及び「持続放出」または「ER」剤形及び「遅延放出」または「DR」剤形も含まれる。
【0080】
「非酸性水溶液」または「非酸性水性緩衝液」とは、pH>5の溶液または緩衝液を意味する。
【0081】
「患者」とは、医療を必要とするヒトを指す。1つの実施形態では、医療としては、現在の状態、例えば、疾患また障害の治療、予防的(prophylactic)もしくは予防的(preventative)治療、または診断治療を挙げることができる。別の実施形態では、医療はまた、日中の過剰な眠気、脱力発作、睡眠麻痺、無呼吸、ナルコレプシー、睡眠時間障害、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスを含めた「薬効分類」を治療するための投与を含む。
【0082】
「N-アセチル-p-アミノフェノール」、「アセトアミノフェン」及び/または「APAP」としても知られる「パラセタモール」は、鎮痛解熱剤であり、処方薬及び市販薬で広く使用されている。
【0083】
「ポリメタクリレート」または「ポリ(メタクリル酸)」または「PMAA」は、メタクリル酸からなるポリマーを意味する。
【0084】
「提供する」は、与える、投与する、販売する、分配する、移行する(有償もしくは無償で)、製造する、配合する、または調剤することを意味する。
【0085】
「副作用」とは、薬物の服用に起因する二次的影響を意味する。該二次的影響は、負の(好ましくない)影響(すなわち、有害な副作用)の場合もあれば、正の(好ましい)影響の場合もある。
【0086】
「徐放」または「SR」は、所定の速度で薬物を放出し(遊離させ)、最小限の副作用で特定の期間一定の薬物濃度を維持するように設計される剤形を指す。
【0087】
本明細書で言及される薬物動態パラメータは、経時的な薬物(または薬物の代謝産物もしくは代理マーカー)のインビボ特性を説明する。これらとしては、血漿濃度(C)、ならびにCmax、Cn、C24、Tmax、AUC0-t及びAUC0-infが挙げられる。
【0088】
「Tmax」という用語は、薬物投与からCmaxに達するまでの時間を指す。「AUC」は、活性薬剤の測定血漿濃度対時間のグラフのある時点から別の時点までに測定された曲線下面積である。例えば、AUC.sub.0-tは、血漿濃度対時間の時間0から時間tまでの曲線下面積であり、時間0は、該薬物の最初の投与の時間である。時間tは、個々の製剤の最後の測定可能な血漿濃度の時点であり得る。AUC0-∞.またはAUC0-INFは、計算された時間0から時間無限大までの血漿濃度対時間の曲線下面積である。定常状態試験では、AUC0-τは、投与間隔(すなわち、時間0から時間τ(タウ)まで、タウは、投与間隔の長さである)にわたる血漿濃度の曲線下面積である。
【0089】
本発明の方法に薬局管理システムを組み込むことは有利であり得る。「薬局管理システム」は、処方箋を管理するために商業的な薬局によって、及び患者に投与される薬物に関する警告及び指導を薬局及び医療関係者に提供するために使用されるコンピュータベースのシステムである。かかるシステムは通常、特定の患者に対して有害な可能性のある薬物が処方された場合に、医療提供者と患者のいずれかまたは両方に警告するアラートを提供する。例えば、かかるシステムは、患者が処方薬にアレルギーを有すること、または処方薬と危険な相互作用を起こす可能性のある薬物を同時に投与されていることを警告するアラートを提供することができる。場合によっては、それは、該薬物とアルコールの投与が潜在的に危険である場合に、アルコールの乱用が知られている、または疑われる患者に警告を提供する場合がある。各々が参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第7,895,059号、第7,797,171号、第7,668,730号、第7,765,106号、第7,765,107号、第5,758,095号、第5,833,599号、第5,845,255号、第6,014,631号、第6,067,524号、第6,112,182号、第6,317,719号、第6,356,873号、第7,072,840号、及び第8,731,963号は、様々な薬局管理システム及びその態様を開示している。現在、例示薬局管理システム、例えば、CENTRICITY Pharmacyが、BDM Information Systems Ltd.,General Electric Healthcare,Waukesha,Wis.より、Rx30 Pharmacy Systemsが、Transaction Data Systems,Inc.,Ocoee, Fla.より、SPEED SCRIPTが、Digital Simplistics,Inc.,Lenexa,Kans.より、及び様々な薬局管理システムが、OPUS-ISM,Hauppauge,N.Y.より市販されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、薬局管理システムは、薬物分配プログラムの一部として必要とされる場合もあれば、好ましい場合もある。例えば、本発明は、GHBまたはその塩を含む薬物を認可薬局に分配する方法を含み、該方法は、(1)当該薬物を処方された患者に対して、当該薬物とアルコールを併用して摂取することに伴うリスクを懸念する情報を分配するために確立された管理システムを有する認可薬局を特定すること、(2)当該リスクに関する該情報を該薬局に提供すること、及び(3)該薬物の該薬局への分配を許可することを含み、該薬局は、該薬物用の処方箋調剤を行う際に、該薬物を該情報とともに分配する。該確立された管理システムは、処方箋調剤が行われる際に、該情報を該薬物とともに分配する従業員への電子的アラートを含み得る。かかる情報は、書面で、例えば、GHBとアルコールの同時摂取のリスクを説明する冊子で分配され得る。例えば、GHBとともに分配される情報は、患者に対して、該患者がアルコールを同時摂取した場合にGHBの効力が増強される可能性について通知し得る。代替的に、またはそれに加えて、GHBとともに分配される情報は、患者に対して、該患者がアルコールを同時摂取した場合にGHBの効力が低減される可能性について通知し得る。かかる情報は、口頭で分配されることもある。分配者は、認可薬局のディレクトリを、例えば、さらに確実に該相加効果を通知される患者にのみGHBが分配されるように、コンピュータ可読記憶媒体に維持してもよい。
【0091】
さらに、該システムは、アルコール依存症の人々に予想され得るため、当該患者がGHBと同時に大量のアルコールを摂取しないこと、または摂取しそうでないことの適切な検査または確認が得られるまで、GHBまたはその塩の分配を防ぐことができる。代替的に、該患者は、副作用について警告される場合があり、アルコール使用によるGHBの効果の増加または低下に合わせるためにGHBの投与を変更するようにまたは休むように指示され得る。
【0092】
本発明の薬局管理システムは、米国特許第7,895,059号、第7,797,171号、第7,668,730号及び第8,731,963号に示されるREMSシステムであり得る。警告は、上記特許に記載の既存の薬局管理システムによって管理される場合がある。
【0093】
治療薬
本発明の耐アルコール性製剤と共に使用することができる治療薬はいくつかあり、FDAによってアルコール誘発性の過量放出の試験を必要とするとしてすでに挙げられている承認薬を含む。さらに、ANDA申請の一部であり、アルコール誘発性の過量放出の試験を必要とする製品も含まれる。アルコール誘発性の過量放出の安全性の問題に関するFDAの懸念に応えて、the Division of Bioequivalence(DBE),in the Office of Generic Drugs,Center for Drug Evaluation and Research,US-FDAは、放出調節(MR)のある特定のクラスまたは放出調節製剤、例えば、すべてのMRオピオイド製品のANDA申請のレビューにおいて、アルコールの存在下でのインビトロ過量放出に関する情報を要請する方針を採用した。DBEの現在の方針は、対応するRLDの承認パッケージが、製品に関するアルコール中でのインビトロ過量放出試験の結果が新薬承認申請(NDA)機関によって要請されたことを示す場合、ANDA申請者が特定のジェネリック製品のアルコール中でのインビトロ過量放出試験を行うことを要請することである。DBEがアルコール中でのインビトロ過量放出試験を要請する製剤は、FDAの業界向けガイダンス、Individual Products Bioequivalence Recommendations Guidancesに記載されている可能性があり、これらはすべて、本発明の耐アルコール性製剤での使用が検討され得る。さらに、National Institute on Alcohol and Alcoholismからの国立衛生研究所(NIH)刊行物第13-5329号(2003年発行、2014年改訂、参照することにより本明細書に組み込まれる)では、“Harmful Interactions Mixing Alcohol with Medicines”について論じ、アルコールとは禁忌であるいくつかの薬物を記載しており、これらはすべて、本発明の耐アルコール性製剤との使用が検討され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、該治療薬は、プロドラッグまたは薬物複合体として存在する。1つの実施形態では、本発明で用いる薬物は、オピオイドまたはアヘン剤である。いくつかの実施形態では、本発明で用いる薬物は、モルヒネ、ヒドロコドン、オキシコドン、フェンタニル、スフェンタニル(sufentanyl)、コデイン、タペンタドール、トラマドール、メペリジン、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン、パラセタモール、コデイン、オキシコドン及びGHBから選択される。特定の実施形態では、本発明で用いる薬物はGHBである。
【0095】
ガンマヒドロキシ酪酸(GHB)
GHB(オキシソルベートまたはオキシベートとも呼ばれる)は、日中の過剰な眠気(EDS)の治療及び脱力発作の治療に関してともにナルコレプシーの患者において米国(US)で承認されている。GHBは、Jazz Pharmaceuticalsより、Xyrem(登録商標)ナトリウムオキシベートとして市販されている。「GHB」、オキシベート、GHB塩またはXyrem(登録商標)は、これらの活性型を指すために使用される。いくつかの実施形態では、GHBは、個々のナトリウム、カルシウム、カリウム、またはマグネシウム塩として存在する場合もあれば、これらの塩の2つ以上の混合物として存在する場合もある。米国特許出願第8,591,922号を参照されたい。該出願は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0096】
ある特定の実施形態では、該混合塩オキシベートは、様々なパーセンテージのオキシベートを含み、Na.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及び/またはCa.(GHB)2のモル当量%(%molar equivalents)(モル当量%(%mol.equiv.))で表される。本明細書で使用される「モル当量%(%molar equivalents)」及び「モル当量%(%mol.equiv.)」という用語は、GHB当量のパーセントとして表される塩のモル組成を指す。当業者には、各GHB単位が1モル当量であると考えられるので、一価カチオン、Na+及びK+は、塩あたり1モル当量を有し、二価カチオン、Mg+2及びCa+2は、塩あたり2モル当量を有することが理解されよう。本開示に有用なモル当量%の量に関しては、米国特許第8,591,922号、第8,901,173号、第9,132,107号、第9,555,017号、第10,195,168号を参照されたい。
【0097】
いくつかの実施形態では、任意の該塩、例えば、Na.GHB塩、K.GHB塩、Mg.(GHB)2塩またはCa.(GHB)2は、約1%~5%、約5%~10%、約10%~15%、約15%~20%、約20%~25%、約25%~30%、約30%~35%、約35%~40%、約40%~45%、約45%~50%、約50%~55%、約55%~60%、約60%~65%、約65%~70%、約70%~75%、約75%~80%、約80%~85%、約85%~90%、約90%~95%、または約95%~100%(モル当量%)で存在する。いくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は、モル当量%で、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%(モル当量%)で存在する。いくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は存在しない。
【0098】
該混合塩のオキシベートがNa.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及びCa.(GHB)2の混合物を含むいくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は、モル当量%約1%~15%、5%~10%、または約8%で存在し、該K.GHB塩は、モル当量%約10%~30%、15%~25%、または約23%で存在し、該Mg.(GHB)2塩は、モル当量%約10%~30%、15%~25%、または約21%で存在し、該Ca.(GHB)2塩は、モル当量%約30%~60%、40%~50、または約48%(モル当量%)で存在する。
【0099】
いくつかの実施形態では、該混合塩オキシベートは、約8モル当量%のナトリウムオキシベート、約23モル当量%のカリウムオキシベート、約21モル当量%のマグネシウムオキシベート及び約48モル当量%のカルシウムオキシベートを含む。該混合塩のオキシベートがNa.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及びCa.(GHB)2の混合物を含むいくつかの実施形態では、該混合物は、Na.GHB、K.GHB、Mg.(GHB)2、及びCa.(GHB)2塩を含み、モル当量%の比が、それぞれ、約8:23:21:48で存在する。
【0100】
該医薬組成物が、Na.GHB、K.GHB、及びCa.(GHB)2の混合物を含むいくつかの実施形態では、該Na.GHB塩は、モル当量%約5%~40%で存在し、該K.GHB塩は、モル当量%約10%~40%で存在し、該Ca.(GHB)2塩は、モル当量%約20%~80%で存在する。
【0101】
個々の及び混合GHB塩を作製する方法は、例えば、米国特許第4,393,236号及び第8,591,922号に記載されており、これらは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0102】
GHB治療は、ナルコレプシーの兆候及び症状、すなわち、日中の過剰な眠気、脱力発作、睡眠麻痺、無呼吸、ナルコレプシー、睡眠時間障害、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスを実質的に軽減する。さらに、GHBは、睡眠時間とレム睡眠の合計を増加させ、レム潜時を減少させ(Mamelak et al,1973、Yamada et al.,1967、Bedard et al.,1989)、睡眠時無呼吸を減少させ(Scrima et al.,1987)、全身麻酔を改善する(Hasenbos and Gielen,1985)。
【0103】
GHBは、ナルコレプシー及び睡眠障害以外にもいくつかの臨床応用を有する。GHBは、患者のアルコールへの渇望、毎日の飲酒回数、及びアルコール離脱の症状を軽減することが報告されている(Gallimberti et al.,1989、Gallimberti et al.,1992、Gessa et al.,1992)。GHBは、ヘロイン及びメタドンの両離脱を含めたアヘン剤離脱症状を軽減するために使用されてきた(Gallimberti et al.,1994、Gallimberti et al.,1993)。これには鎮痛効果があるため、鎮痛剤として適している(米国特許第4,393,236号)。GHBの静脈内投与は、患者の頭蓋内圧を低下させることが報告されている(Strong,A.1984)。また、GHBの投与は、患者の成長ホルモンレベルを増加させることが報告された(Gessa et al,1994)。
【0104】
ナルコレプシーの治療に長期間使用した場合のGHB摂取に関して良好な安全性プロファイルが報告されている。患者は、耐性を発現させることなく、GHBで長年安全に治療されてきた(Scharf,1985)。多くの患者で定期的に行われる臨床検査では、臓器毒性も他の毒性も示されていない(Lammers,1993、Scrima,1990、Scharf,1985、Mamelack,1977、Mamelak,1979、Gessa,1992)。GHB治療の副作用は、発生率及び重症度が最小限に抑えられているが、夢遊病、遺尿症、頭痛、吐き気及びめまいを含む(Broughton and Mamelak,1979、Mamelak et al.,1981、Mamelak et al.,1977、Scrima et al.,1989、Scrima et al.,1990、Scharf et al.,1985)。したがって、アルコールに耐性のあるGHB製剤を特定して、偶発的なGHBの過量放出とそれに伴い得る潜在的な副作用を回避し、かつGHBの好ましい安全性プロファイルを維持することが重要である。
【0105】
GHB及びアルコール
GHBは中枢神経系(CNS)抑制薬である。アルコール及び催眠鎮静薬は、GHBを使用している患者には禁忌である。GHBを、オピオイド鎮痛薬、ベンゾジアゼピン、鎮静抗うつ薬または抗精神病薬、全身麻酔薬、筋弛緩薬、及び/または違法なCNS抑制薬が挙げられるがこれらに限定されない他のCNS抑制薬と同時に使用すると、呼吸抑制、低血圧、深い鎮静作用、失神、及び死のリスクが高まる可能性がある。これらのCNS抑制薬をGHBと組み合わせて使用する必要がある場合は、1つ以上のCNS抑制薬(GHBを含む)の減量または中止を検討すべきである。さらに、オピオイドの短期使用(例えば、術後または周術期)が必要な場合は、GHBによる治療の中断を検討するべきである。Xyrem(商標)の添付文書を参照されたい。
【0106】
GHBは、特に他の薬物及びアルコールとの相互作用に関連する過剰摂取により、呼吸ドライブを損なう可能性がある。Xyremを服用する前に、患者はアルコールの併用のリスクについて教育を受けると同時に、警告もラベルに含まれる。Xyrem等のGHB製剤は、ほとんどの場合、就寝直前に服用され、患者が意図的または予想外に大量のアルコールを摂取した場合、例えば、「ビンジナイト(binge night)」の飲酒で起こり得る場合、理想的には、患者は、その夜の1回分のGHBを省略する。しかしながら、アルコールは判断力を損なうことが知られており、患者がその晩にそれを省略するのではなく、飲酒後にGHBの1回分を服用することを選択するほど酩酊している場合があり得る。したがって、アルコール誘発性の過量放出に耐性がある、及び/または高濃度のアルコールでGHBの放出を阻害する製剤を特定することが重要である。GHB製剤を服用している患者では、適量の毎日のアルコール摂取が行われ得ると推測すると、同時摂取されるアルコール量が最小限でも、その後、アルコール量が増えた場合に急速に放出を阻害するGHBの放出調節を可能にすることが重要である。
【0107】
医薬組成物の耐アルコール性を評価するために、米国食品医薬品局(FDA)は、0.1NのHCl媒体(胃のpHを代表する)で得られた反応速度を、5%、20%及び40%(v/v)のエタノールで置換した同じ媒体で得られた反応速度と比較するためのインビトロ溶出試験を行うことを提言している。Walden et al.(The Effect of Ethanol on the Release of Opioids 30 from Oral Sustained-Release Preparations,Drug Development and Industrial Pharmacy,33:10, 1101-1111, 2007、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる)によれば、医薬品形態をインビトロで2時間にわたって曝露するという事実は、これらの医薬品形態のインビボでの該曝露時間を表すものと見なされる。
【0108】
さらに、医療提供者は、GHBが患者に悪影響(例えば、判断力、思考力、運動能力の低下)を与えないことが合理的に確信できるまで、自動車または飛行機等の危険を伴う機械の操作について患者に警告するべきである。患者は、GHBの最後の服用後、少なくとも6、7、8、または9時間は、機械もしくは動力車の運転または飛行機の操縦等、完全な精神的敏捷性または運動協調性を必要とする危険を伴う職業または活動に従事するべきではない。患者は、GHB療法の開始時及びその後定期的に、潜在的な有害事象、例えば、日中の過剰な眠気、CNS抑制関連事象等について尋ねられるべきである。これらの質問は、さらなる合併症に関する情報、例えば、アルコールに関する情報を含むべきである。すべての目的のため、参照することにより組み込まれるXyremの添付文書を参照されたい。
【0109】
本明細書に記載の1つの実施形態では、患者には、GHBとアルコールとの組み合わせが、GHBに関連するすべての効果及び有害事象を悪化させる可能性があることを警告する。これらの効果としては、意図された眠気、鎮静、及び睡眠の効果ならびに通常は意図されたものではない事象、例えば、呼吸低下、CNS抑制、過度の眠気、肝障害、及びうつ病がとりわけ挙げられる。
【0110】
本発明の別の実施形態は、GHBで治療可能な疾患もしくは障害またはその症状に苦しむ患者を治療するための方法であり、GHBもしくはその塩を患者に投与することまたは該患者が現在GHBの投薬計画中であるかどうかを判断すること、該患者がアルコールもまた摂取する可能性があるかどうかを判断すること、及び患者にアルコールの摂取を中止するように勧告することを含む。いくつかの実施形態では、患者が腎障害を有している/有することになるであろう場合に、この指示は有効である。
【0111】
本発明の本質的な目的は、したがって、少なくとも1つの活性成分、好ましくはGHBのアルコール耐性経口剤形を提供し、本医薬品形態の投与中の意図的または偶発的なアルコールの摂取によって誘発される該活性成分の放出の増加の回避または制限を可能にすることである。該薬物が放出調節プロファイルを有することもまた本発明の目的である。好ましくは、該薬物の放出調節プロファイルは、該薬物の毎晩または1日1回の投与を可能にする。
【0112】
耐アルコール性剤形
アルコールの存在下または非存在下での薬物の放出調節のための製剤及び剤形を本明細書に記載する。本明細書に記載の製剤は、アルコールと禁忌の、多くの場合高用量での薬物の徐放、持続放出、遅延放出または制御放出に適している。いくつかの実施形態では、本発明の製剤及び剤形は、即時放出成分も含むことができる。該即時放出成分は、放出調節単位剤形の一部を形成する場合もあれば、別々の即時放出組成物の場合もある。多成分剤形は、放出調節成分と即時放出成分の混合物を含む場合もあれば、異なる放出プロファイルを有する異なる放出調節成分の混合物を含む場合もある。このミックスアンドマッチシステムを使用して、必要に応じて様々な薬剤の固有のPKプロファイルを目標にすることができる。
【0113】
材料及び方法を含めた本発明で用いる即時放出及び放出調節製剤は、例えば、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願第2012/0076865号、ならびに米国特許第8,771,735号及び第9,795,567号に示されている。
【0114】
放出調節プロファイルは(USP XXV,CDER,FDA,Rockville,Md.)にも記載されており、持続放出プロファイルは、FDAのガイドライン(“Extended Release Oral Dosage Forms:Development,Evaluation,and Application of In Vitro/In Vivo Correlations”,Food and Drug Administration,CDER,September 1997,Page 17)に参照されており、即時放出プロファイルは、FDAのガイドライン(“Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms”,issued August 1997,Section IV-A)に参照されている。これらはすべて、以下の特許、特許出願、及び他の引用文献と同様、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0115】
放出調節剤形は、長期間にわたる該活性成分の放出を可能にし、同様の長期間にわたって治療上有効な血漿レベルを維持し、服薬コンプライアンスを改善し、及び/または該活性成分の他の薬物動態特性を調節し、例えば、放出の開始を遅らせ、もしくは放出が起こる条件を変更する。本発明の放出調節製剤は、アルコールの非存在下で、該治療薬の徐放プロファイルを与える場合もある。好ましくは、徐放プロファイルは、最高で、水性緩衝液に入れて約1時間以内に該治療薬の約10%~約50%の放出、水性緩衝液に入れて約2時間~約4時間以内に約20%~約70%の放出、及び水性緩衝液に入れて約4時間~約10時間以内に約50%~約80%を超える放出を与える。
【0116】
本発明の放出調節製剤は、アルコールの非存在下で、該治療薬の遅延放出プロファイルを与える場合もある。好ましくは、該治療薬の放出は、摂取後の胃通過中に遅延される。特定の実施形態では、該治療薬の放出は、摂取後の胃通過中に遅延され、最高で、酸性水性緩衝液(pH<5)に入れて約1時間~約2時間以内に該治療薬の約0%~40%の放出を有する。他の実施形態では、該治療薬の放出は、酸性水性緩衝液(pH<5)への曝露の過程で遅延され、その後、該治療薬の放出は、該製剤が続いて非酸性(pH>5)水溶液に曝露された後に増加し、該治療薬の放出は、該非酸性水溶液に入れて約1時間以内に約50%~約100%の放出に、または該非酸性水溶液に入れて約1時間~約4時間以内に約10%~約70%の放出に増加する。本発明で使用されるもの等の放出調節プロファイル用の溶出試験のガイドラインでは、材料はある期間にわたって溶出し、その溶出は、この期間中の既定の間隔で測定される。少なくとも3つの時点が推奨され、一般に溶出プロファイルの初期、中期、及び後期を含める(Guidance for Industry,SUPAC-MR:Modified Release Solid Oral Dosage Forms,”Food and Drug Administration,CDER,September 1997参照)。好ましい溶出装置は、USP装置I(バスケット)またはII(パドル)であり、広く認められている回転速度、例えば、バスケットの場合は100rpm、パドルの場合は50~75rpmで使用される。
【0117】
本発明で用いるのに望ましい他の放出調節または制御放出溶出プロファイルは、本明細書に組み込まれるUS20120076865に記載されている。
【0118】
即時放出剤形は、活性成分の放出を調節または制御するように設計されていないものと見なされる。即時放出プロファイルは、典型的には、水性緩衝液に入れて約5分~約60分後に、該治療薬の約70%~約100%の放出を与える。即時放出は、好ましくは、該即時放出成分に含まれる薬物の90%超が、投与後最初の1時間以内に該即時放出成分から放出される溶出プロファイルを与える。溶出試験のガイドラインでは、溶液に最初の30~60分間で少なくとも80%溶出する材料は、即時放出プロファイルとして適格である。(“Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms”,issued August 1997,Section IV-A)。したがって、即時放出固体経口剤形は、短期間、例えば、60分以下で該活性成分のほとんどまたはすべての放出を可能にし、該薬物の迅速な吸収を可能にする。
【0119】
多相放出プロファイル(すなわち、即時放出成分及び少なくとも1つの放出調節成分を含む組成物)を使用して、放出速度の1つ以上の組み合わせを獲得し、より具体的な治療対象、例えば、薬物の一部を即時に放出した後の残りの薬物の持続放出を獲得してもよい。いくつかの実施形態では、本発明で用いる製剤は、不規則な顆粒、規則的な顆粒、球形化顆粒、ナノ粒子、薬物負荷ノンパレイユ、マイクロ粒子、ペレット、ビーズ、ミニ錠剤、錠剤、及び/またはカプセル(硬及び/または軟ゼラチン)から選択される薬物担体コアを含む。いくつかの実施形態では、本発明で用いる薬物担体コアは、薬物結晶を含む。適切なコアは、Aulton’s ‘Pharmaceutics-The Design and Manufacture of Medicines’,Chapter 32(Aulton and Taylor、Aulton’s Pharmaceutics 4th Edition,published June 19,2013)及びQiu Y.,et al.‘Developing Solid Oral Dosage Forms’,Chapters 33 and 34(Qiu Y.,et al.,Developing Solid Oral Dosage Forms 1st Edition、published December 19,2008)に記載されており、これらの各々は、すべての目的のため、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0120】
いくつかの実施形態では、該薬物担体コアは、ペレット、ビーズ、ミニ錠剤または錠剤のサイズ及び/または形状であり得る。
【0121】
特定の実施形態では、本発明で用いる製剤は、少なくとも2つの薬物担体コアを含み、その各々が、顆粒、ナノ粒子、マイクロ粒子、ペレット、ミニ錠剤、錠剤及び/またはカプセル(硬及び/または軟ゼラチン)から選択されるコアを含む。ある特定の実施形態では、本発明で用いる製剤は、少なくとも2つの薬物担体コアを含み、少なくとも1つのコアが薬物結晶を含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、本発明で用いる製剤は、錠剤、ミニ錠剤、カプセル、カプレット、ビーズ、ペレット、顆粒、サシェ、結晶または粉末から選択される単位剤形として提供される。いくつかの実施形態にでは、該単位剤形は、液体の場合も懸濁液の場合もある。「錠剤」は、一般に50mgから最大2.0グラムの範囲である当技術分野の錠剤剤形のものを意味することが通常理解される。錠剤は、マトリックス錠、浸透圧錠、二層錠、口腔内崩壊錠、発泡錠及びロゼンジを含み得る。ミニ錠剤(Minitabletsまたはmini-tablets)は、当技術分野では、約5~50mg、典型的には1~5mm、または好ましくは1.5~3mmであることが知られている。本発明の薬物担体コアは、5mg未満の粒子を含み得ることが理解される。ある特定の実施形態では、本発明の薬物担体コアは、直径10~5000ミクロンの粒子を含むことも理解される。ペレットは、通常300~3000ミクロン、600~3000ミクロン、または好ましくは800~1500ミクロンの多粒子形態である。顆粒は、より小さく、通常は、小さな細かい粒子で構成されている。
【0123】
本発明で用いる固体剤形または薬物担体コアは、圧縮及び造粒を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の多くの技術によって作製され得る。さらに、より小さい形態、例えば、ペレット(コートまたは未コート)等は、より大きな形態、例えば、任意のサイズまたは形状の錠剤または丸剤等に、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれるUS4684516及びBodmeier,R.(1997)European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,43(1),1-8)に記載のもの等の方法を用いて圧縮することができる。本発明の剤形を作製するためにしばしば使用されるプロセスとしては、湿式造粒、乾式造粒、押出及び球形化、ホットメルト押出、粉砕、ふるい分けならびに混合も挙げられる。
【0124】
外側(outer)または外側(external)の機能性コーティングは、通常、経口剤形に施され、味、臭気もしくは色を隠すか、該活性成分/薬物を物理的もしくは化学的に保護するか、該製剤からの該活性成分の放出を制御するか、胃の過酷な環境から該活性成分を保護する(すなわち、腸溶コーティング)か、または望ましくない胃腸の副作用から対象を保護する。外側コーティングを施す前に、シールコーティング(サブコーティングとも呼ばれる)を最初に施してもよい。サブコーティングは、製品の表面を滑らかにし、最終的な外側コートの接着を高め、該コアから該機能性コートへの薬物の移行を防ぎ、及び/または該活性成分を早期分解から保護するように作用し得る。本発明はまた、該外側の機能性コーティングが、アルコール誘発性の過量放出を防止または低減するように作用し得ることを示す。該シールコートまたは最終コーティング(複数可)のタイプ及び/または膜厚を、製品特性、例えば、溶出を変更するために変化させてもよい。該外側のまたは機能性コーティングは、(該薬物担体コアの)約5~60重量%を目標とし、シールコートは、約1~5重量%、好ましくは約2重量%を目標とする。サブコートは、活性成分の放出のタイミングまたは配置を制御するために利用されないという点で、一般に「非機能的」と考えられるが、しかしながら、ある特定のサブコーティングは、かかる「機能性」コーティングとして作用し得ると考えられる。本発明の目的のため、「機能性コーティング」は、腸溶コーティング、持続放出コーティング、pH依存コーティング、エタノール耐性コーティング、または該活性成分の放出のタイミングまたは配置を制御する他のものを含むことを意図している。本発明のいくつかの例示された実施形態では、該機能性コーティングの1層以上の別々のコーティングまたは層は、合わせて、剤形全体の約40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、または15重量%以下を目標として構成する。好ましい実施形態では、該第一の機能性コーティングは、剤形全体の約10~20重量%を目標とする。他の好ましい実施形態では、第二のまたは外側の機能性コーティングは、剤形全体の約1~10重量%を目標とする。
【0125】
特に明記しない限り、本明細書に記載のコーティングまたは層の量(「コーティング重量」)は、該コーティングの塗布前の該薬物担体コアの初期重量に対する、該コーティングによってもたらされる重量増加のパーセンテージとして表される。したがって、10%(w/w)のコーティング重量とは、薬物担体コアの重量を10%増加させるコーティングを指す。さらに、該薬物担体コアがすでに1つ以上のコーティングを有する場合、次のコーティングの重量は、該コア及び該第一のコーティングの重量に基づく。したがって、薬物担体コアの表面に配置された5%(w/w)のサブコーティングの表面に配置された20%w/wの機能性コーティングを含む薬物担体コアの場合、該薬物担体コア上の5%(w/w)のサブコーティングは、該コアの重量を5%増加させ、該20%(w/w)の機能性コーティングは、該サブコート薬物担体コアの重量を20%増加させる。
【0126】
コア、マトリックス及び/または最終形態を含む固体剤形の任意の成分をコーティングするための方法としては、例えば、スプレーコーティング及びパンコーティングが挙げられるが、しかしながら、当技術分野で既知の任意の方法を使用してもよい。かかるポリマーコーティング方法は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.2013に記載されている。
【0127】
エチルセルロース材料を含めた本発明で用いるコーティング材料は、商業的に容易に入手可能な場合があり、例えば、ETHOCELエチルセルロースポリマー等である。該機能性コーティングを形成するためにエチルセルロースが使用される場合、該コーティング組成物及び残りのシェルの物理的特性は、該エチルセルロースの分子量を調整することによって調節され得る。例えば、4cP、7cP、10cP、及び20cPグレードが挙げられるがこれらに限定されない異なるグレードのエチルセルロースを使用して、所望の物理的特性を有するコーティング組成物を得てもよい。本発明のコーティングに用いるポリメタクリレートポリマーは、商業的に容易に入手可能であり、例えば、Eudragit RS及びRLを含む。
【0128】
本発明のある特定の実施形態では、該製剤は、活性薬剤を含むコア、該コアの表面に配置される第一のコーティング、及び該第一のコーティングの表面に配置される任意成分の第二のコーティングを含むコート薬物担体コアを含む。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5%~60%w/wで存在し、これには、5~10%、5~15%、5~20%、5~25%、5~30%、5~35%、5~40%、5~45%、5~50%、5~55%、10~15%、10~20%、10~25%、10~30%、10~35%、10~40%、10~45%、10~50%、10~55%、10~55%、10~60、15~20%、15~25%、15~30%、15~35%、15~40%、15~45%、15~50%、15~55%、15~60%、20~25%、20~30%、20~35%、20~40%、20~45%、20~50%、20~55%、20~60%、25~30%、25~35%、25~40%、25~45%、25~50%、25~55%、25~60%、30~35%、30~40%、30~45%、30~50%、30~55%、30~60%、35~40%、35~45%、35~50%、35~55%、35~60%、40~45%、40~50%、40~55%、40~60%、45~50%、45~55%、45~60%、50~55%、50~60%、55~60%w/w、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%及び60%が挙げられるがこれらに限定されないそれらの間のすべての値及び部分的な範囲が含まれる。
【0129】
本発明のある特定の実施形態では、該製剤は、活性薬剤を含むコア、該コアの表面に配置される第一のコーティング、及び該第一のコーティングの表面に配置される第二のコーティング、または「トップコーティング」を含むコート薬物担体コアを含む。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、その間のすべての値及び部分的な範囲を含めて約5%~40%w/wで存在し、該第二のコーティングは、その間のすべての値及び部分的な範囲を含めて約1%~25%w/wで存在する。
【0130】
特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5~10%、5~15%、5~20%、5~25%、5~30%、5~35%、5~40%、10~15%、10~20%、10~25%、10~30%、10~35%、10~40%、15~20%、15~25%、15~30%、15~35%、15~40%,20~25%、20~30%、20~35%、20~40%、25~30%、25~35%、25~40%、30~35%、30~40%、または35~40%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1%~5%、1~7%、1~10%、1~15%、1~20%、1~25%、2%~5%、2~8%、2~10%、3%~5%、3~8%、3~10%、3~12%、4%~6%、4~8%、4~10%、4~12%、5~15%、5~20%、5~25%、10~15%、10~20%、10~25%、15~20%、15~25%、または20~25%w/wで存在する。
【0131】
他の実施形態では、該第一のコーティングは、約5~10%、5~12%、5~15%、5~20%、5~25%、7~12%、7~15%、7~20%、7~25%、10~15%、10~17%、10~20%、10~25%、12~15%、12~17%、12~20%、12~25%、15~17%、15~20%、または15~25%、w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1%~5%、1~7%、1~10%、2%~5%、2~8%、2~10%、3%~5%、3~8%、3~10%、4%~6%、4~8%、4~10%、5~10%、5~12%、5~15%、7~10%、7~12%、7~15%、10~12%または10~15%w/wで存在する。
【0132】
ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5~15%、5~20%、7~15%、7~17%、7~20%、10~15%、10~17%、10~20%、12~15%、12~17%、12~20%、15~17%、または15~20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1~5%、1~7%、1~10%、2~5%、2~8%、2~10%、3~5%、3~8%、3~10%、4~6%、4~8%、4~10%、または5~10%w/wで存在する。
【0133】
特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5~20%、7~17%、7~20%、10~17%、10~20%、12~15%、12~17%、12~20%、15~17%、または15~20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1~5%、1~7%、2~5%、2~8%、3~5%、3~8%、4~6%、または4~8%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%または15%w/wで存在する。
【0134】
ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5~30%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1~15%w/wで存在する。特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約5~25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約1~10%w/wで存在する。他の実施形態では、該第一のコーティングは、約10~30%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3~15%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約10~25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3~10%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約10~20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3~8%w/wで存在する。
【0135】
他の実施形態では、該第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。他の実施形態では、該第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。他の実施形態では、該第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。他の実施形態では、該第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。他の実施形態では、該第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、該第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。
【0136】
ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、セルロースとポリメタクリレートポリマーの約1:3~3:1の比でのブレンドを含み、かつ約5~30%w/wで存在し、該第二のコーティングは、セルロースとポリメタクリレートポリマーの約1:3~3:1の比でのブレンド及びグアーガム(グアーガムは、該セルロースポリマーの1~10%w/wで添加される)を含み、該第二のコーティングは、約1~15%w/wで存在する。特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約5~25%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約1~10%w/wで存在する。他の実施形態では、この第一のコーティングは、約10~30%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3~15%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約10~25%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3~10%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約10~20%w/wで存在し、該第二のコーティングは、約3~8%w/wで存在する。さらなる実施形態では、該セルロースポリマーは、エチルセルロースであり、該ポリメタクリレートポリマーは、1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーである。さらなる実施形態では、該エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比3:1~1:3で存在する。さらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比1:2で存在する。他のさらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比1:1で存在する。さらに他のさらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比2:1で存在する。特定の実施形態では、該第一及び第二の両コーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:2のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:2のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比2:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比2:1のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。
【0137】
他の実施形態では、該第一のコーティングは、セルロースとポリメタクリレートポリマーの約1:3~3:1の比でのブレンドを含み、かつ約10~25%w/wで存在し、該第二のコーティングは、セルロースとポリメタクリレートポリマーの約1:3~3:1の比でのブレンド及び該セルロースポリマーの1~10%w/wのグアーガムを含み、かつ約3~10%w/wで存在する。他の実施形態では、この第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。他の実施形態では、この第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約3%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。他の実施形態では、この第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約5%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。他の実施形態では、この第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約8%w/wで存在する。特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約10%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約12%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。他の実施形態では、この第一のコーティングは、約15%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約17%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。さらに他の実施形態では、この第一のコーティングは、約20%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。ある特定の実施形態では、この第一のコーティングは、約25%w/wで存在し、この第二のコーティングは、約10%w/wで存在する。さらなる実施形態では、該セルロースポリマーは、エチルセルロースであり、該ポリメタクリレートポリマーは、1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーである。その上さらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比3:1~1:3で存在する。さらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比1:2で存在する。他のさらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比1:1で存在する。さらに他のさらなる実施形態では、該エチルセルロース及び該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、重量比2:1で存在する。特定の実施形態では、該第一及び第二の両コーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:2のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:2のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比2:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。他の実施形態では、該第一のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比1:1のブレンドを含み、該第二のコーティングは、エチルセルロースと該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの重量比2:1のブレンド及びエチルセルロースの2~8%w/wのグアーガムを含む。
【0138】
ある特定の実施形態では、該第一のコーティングは、2つ以上のポリマーのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、該ポリマーブレンドは、エタノール可溶性ポリマーを少なくとも2つ含む。さらなる実施形態では、該第一のコーティングは、pH依存性の溶出特性を有する少なくとも1つのポリマー及びpH非依存性の溶出特性を有する少なくとも1つのポリマーのブレンドを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、該ポリマーブレンドは、pH非依存性の溶出特性を有する少なくとも2つのポリマーまたはpH依存性の溶出特性を有する少なくとも2つのポリマーを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、該pH非依存性の溶出特性を有するポリマーは、エチルセルロース及び/またはエチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー及び/またはエチルアクリレート-メチルメタクリレート-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーから選択される。特定の実施形態では、該エチルアクリレート-メチルメタクリレート-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーは、約1:2:0.1~1:2:0.2の比で存在する。
【0141】
いくつかの実施形態では、該pH依存性の溶出特性を有するポリマーは、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー及び/またはブチルメタクリレート-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー及び/またはメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー及び/またはメチルアクリレート-メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーから選択される。特定の実施形態では、該メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーは、1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーである。
【0142】
特定の実施形態では、該第一のコーティングは、セルロースとポリメタクリレートポリマーのブレンドを含む。さらなる実施形態では、該セルロース及びポリメタクリレートポリマーは、約50:1~1:50、25:1~1:25、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3または2:1~1:2の比で存在する。その上さらなる実施形態では、該セルロース及びポリメタクリレートポリマーは、重量比約3:1~2:3で存在する。その上さらなる実施形態では、該セルロース及びポリメタクリレートポリマーは、重量比約1:1で存在する。
【0143】
特定の実施形態では、該第二のコーティングは、単一のポリマー(エチルセルロース等)または少なくとも2つのポリマー(エチルセルロース及びポリメタクリレート等)のブレンドを含む。いくつかの実施形態では、該第二のコーティングは、さらに、多糖類樹脂、例えば、アカシアゴム、グアーガム、トラガカントガムまたはキサンタンガムを含む。ある特定の実施形態では、該第二のコーティングは、約1%~50%w/wで存在し、これには、それらの間のすべての値及び部分的な範囲、例えば、約1%~5%、1~10%、1~15%、1~20%、1~25%、1~30%、1~35%、1~40%、1~45%、5~10%、5~15%、5~20%、5~25%、5~30%、5~35%、5~40%、5~45%、5~50%、10~15%、10~20%、10~25%、10~30%、10~35%、10~40%、10~45%、10~50%、15~20%、15~25%、15~30%、15~35%、15~40%、15~45%、15~50%、20~25%、20~30%、20~35%、20~40%、20~45%、20~50%、25~30%、25~35%、25~40%、25~45%、25~50%、30~35%、30~40%、30~45%、30~50%、35~40%、35~45%、35~50%、40~45%、40~50%、45~50%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、及び50%が含まれる。
【0144】
いくつかの実施形態では、該薬物担体コアは、さらに、サブコートまたはシールコートを含み、これは、上記の通り、該第一のコーティング材料を塗布する前に施される。ある特定の実施形態では、該サブコートまたはシールコートは、ヒドロキシプロピルセルロースポリマーを含む。特定の実施形態では、該サブコートまたはシールコートは、水溶液から、該薬物担体コアに、目標レベル約2~15%w/wまで、その間のすべての値及び部分的な範囲を含めて、例えば、約2~3%、3~4%、4~5%、5~6%、5~8%、5~10%、5~12%、6~8%、6~10%、6~12%、6~15%、8~10%、8~12%、8~15%、10~12%、及び10~15%w/wまで施される。
【0145】
本発明の剤形または薬物担体コアで用いるさらなる賦形剤としては、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、崩壊剤、希釈剤、着色剤、懸濁剤または香味剤が挙げられるがこれらに限定されず、同じ賦形剤が、所与の製剤において複数の機能のために使用され得る。かかる賦形剤は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれるRemington,The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.2013に記載されている。
【0146】
本発明での使用に適し得る他の一般的に使用される医薬的に許容される賦形剤としては、水、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、微結晶性セルロース、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化ケイ素、ゼラチン、アカシア及び第二リン酸カルシウムが挙げられるがこれらに限定されない(Baldrick,P.(2000)Regul.Toxicol.Pharmacol.October 32(2):210、参照することにより本明細書に組み込まれる)。賦形剤は、活性成分と組み合わせて、例えば、外観を向上するか、安定性を改善するか、加工を補助するか、または投与後の崩壊を補助するが、本発明の経口剤形に適用することができる多くの他の賦形剤の機能が当技術分野で既知である。本発明でしばしば使用され、本発明での使用に適した賦形剤のクラスとしては、限定されないが、天然、改質天然または合成の単糖、オリゴ糖、または多糖、ここで、オリゴ糖及び多糖は、物理的または化学的に架橋されている場合もされていない場合もあるもの、天然、改質天然または合成のモノペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、ここで、オリゴペプチド、ポリペプチド及びタンパク質は、物理的または化学的に架橋されている場合もされていない場合もあるもの、物理的または化学的に架橋されている場合もされていない場合もある合成オリゴマー及びポリマー、モノマー、疎水性、親水性または両性有機分子、無機塩または金属、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。したがって、本明細書で使用される治療薬、例えば、GHB、パラセタモール、コデインまたはオキシコドン等は、製造、投与中のその性能、及び/またはそのインビトロ及びインビボ性能の調整を可能にする当技術分野で既知の任意の賦形剤(複数可)と組み合わせてもよい。
【0147】
製品の大部分をまとめるのに役立つ、及び/または製品を所望の形状に維持するのに役立つ材料は、「結合剤」または「造粒剤」として知られている。本発明での使用に適した結合剤は、糖、ゼラチン、ガム、微結晶性セルロース及び他の変性セルロース、ワックスまたはポリエチレングリコールもしくはポリビニルピロリドンのような合成ポリマーで例示されるが、これらに限定されない。製品の製剤化によく使用されるさらなる賦形剤は、滑沢剤である。これらは、製造プロセスを支援する物質であり、製品の凝集を最小限に抑え、製造機械からのそれらの放出も助ける。医薬製剤に使用される一般的な「滑沢剤」は、ステアリン酸マグネシウムであるが、しかしながら、他の一般的に使用される製品の滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸(ステアリン)、硬化植物油、安息香酸ナトリウム、ロイシン、カルボワックス4000及びフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられ、これらはすべて本発明での使用に適し得る。「流動助剤」とも呼ばれる流動促進剤は、製品の製造中に製品の粉末または乾燥材料の流動性の保持を助け、それらが塊を形成するのを阻止する。本発明での使用に適し得る一般的に使用される流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウムが挙げられる。崩壊剤は、しばしば医薬製剤に添加され、それが房水と接触した際に該製品または剤形(すなわち、ペレットまたは錠剤)の崩壊を誘導し、該薬物の放出を助ける。崩壊剤の添加の背後にある目的は、生成物の断片の表面積を増やし、これらの粒子を製剤中で一緒に保つ凝集力を克服することである。それらは、該剤形の濡れ及び膨潤を促進することによってこれを行い、その結果、胃腸管内でそれが崩壊する。デンプン及びセルロース等の一部の結合剤は、崩壊剤としても機能する。他の崩壊剤は、クレー、セルロース誘導体、アルギン、ガム及び架橋ポリマーである。「スーパー崩壊剤」と呼ばれる別のグループの崩壊剤を使用してもよい。これらの材料は、低濃度(2~5%)で効果がある。本発明での使用に適し得る「スーパー崩壊剤」としては、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、クロスカルメロースナトリウムまたはクロスプロビドン(crosprovidone)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0148】
本発明の組成物を、投与のために液体、例えば、水に懸濁するのに役立つ材料(複数可)を使用することができることが想定され得る。本発明での使用に適した懸濁剤(または粘度調整剤)は、アカシア、寒天、アルギン酸、ベントナイト、ステアリン酸カルシウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、セルロース(粉末)、セラトニア、コロイド状二酸化ケイ素、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヘクトライト、疎水性コロイドシリカ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルチトール溶液、中鎖トリグリセリド、メチルセルロース、微結晶性セルロース、リン脂質、ポリカルボフィル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルギン酸カリウム、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、サポナイト、ゴマ油、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビタンエステル、スクロース、トラガカント、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネートまたはキサンタンガムで例示されるが、これらに限定されない。
【0149】
pH調整剤を本発明で使用してもよく、これらとしては、酸、塩基、及び米国特許第8,263,650号に見られる多くの化合物/塩を挙げることができる。いくつかの実施形態では、該pH調整剤は、酢酸、アセチルサリチル酸、バルビタール、バルビツール酸、安息香酸、ベンジルペニシリン、ホウ酸、カフェイン酸、炭酸、クエン酸、ジクロロ酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸、グリセロリン酸、グリシン、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、モノクロロ酢酸、シュウ酸、フェノバルビタール、フェノール、ピクリン酸、プロピオン酸、サッカリン、サリチル酸、リン酸二水素ナトリウム、コハク酸、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファピリジン、スルファチアゾール、酒石酸、トリクロロ酢酸等、または塩酸、硝酸、リン酸もしくは硫酸等の無機酸からなる群から選択される酸である。好ましくは、該pH調整剤は、“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use”(P.Stahl、John Wiley&Sons,Aug 4, 2008、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載の医薬的に許容される酸であるべきである。
【0150】
GHBは、本発明の製剤での使用に好ましい治療薬である。固体及び液体のGHB製剤の典型的な濃度は、米国特許第8,263,650号及び第8,324,275号に示されている。
【実施例】
【0151】
実施例1:エチルセルロース:メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーを1:1(%w/w)の比で使用した腸溶出挙動の実証。
【0152】
カルシウムオキシベート(一水和物)の多粒子(ペレット)薬物担体コアを、押出球形化のプロセスで作製した。17gのカルシウムオキシベート(一水和物)、1.4gのAvicel PH101、0.6gのLH-31及び0.6gのKlucel EFを計量し、Caleva Multi-labのミキシングボウルに加えて、100RPMで10~15分間予備ブレンドした。Klucel EF水溶液(9.6%または8.3%w/w)をゆっくりとこのブレンドに加えた。この湿潤塊を15分間十分に混合し、その間にミキサーを3~4回停止して、目視確認及び手動混合を行った。次に、この湿潤塊を押出機に移し、孔径が1.0mmまたは0.8mmのダイプレートから押し出した。その後の押出物を室温で10分間静置した後、スフェロナイザーに移し、約3000RPMで3~5分間処理した。この薬物担体コア(ペレット様形状)を収集し、オーブンにて、60℃で2時間乾燥した。最終的な薬物担体コアの組成を以下の表1に示す。
【表1】
*ペレット乾燥プロセスで除去
【0153】
エチルセルロース(EC)とEudragit(登録商標)L100-55の1:1(ポリマーの%w/wに基づく)混合物からなる二成分ポリマーフィルムコートを、記載された薬物担体コアに施した。このECは、水性ポリマー分散液、Aquacoat(登録商標)ECDとして使用した。この混合ポリマーフィルムを、カルシウムオキシベートペレットコアに直接施した。
【0154】
図1は、薬物担体コア(「DR02」)の30%w/wのポリマーフィルムを有するペレットからのカルシウムオキシベートのインビトロ溶出プロファイルを示す。溶出は、酸(0.1NのHCl)中で2時間、続いてTris pH6.8緩衝液中で1時間試験した。このデータは、酸中での溶出の抑制と、pH6.8での急速な放出におけるこのポリマー混合物の効果を示している。
【0155】
実施例2:エチルセルロース及び別のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー調製物の1:1(%w/w)のポリマーブレンド比で使用した腸溶出挙動の実証。
【0156】
実施例1に提示したものとは別の二成分ポリマーフィルムの調製方法を検討し、それにより、L-100-55粉末を、水性ポリマー分散液、L30D-55に置き換えた(すなわち、2つのコロイドポリマー分散液、Aquacoat(登録商標)ECD+Eudragit(登録商標)L30D-55を混合した)。実施例1の通り、カルシウムオキシベートペレットコアは、合計のポリマー重量増加が(スターターコア8の)30%w/wポリマーになるまでコートした。このコートコアを、酸(0.1NのHCl)で2時間、続いてTris pH6.8緩衝液で1時間試験した。
【0157】
図2は、2つの異なるEudragit(登録商標)調製物を使用してコートしたペレット状のカルシウムオキシベート薬物担体コアの溶出速度を示す。粉末形態(「DR02」、丸)を水性形態(「DR04」、四角)と比較すると、どちらのEudragit L100-55源を使用しても同じ溶出プロファイルが得られることが分かる。
【0158】
実施例2A:ゲル層形成を介したエタノールへの曝露後のオキシベート放出の停止の実証。EC:L100+EC:L100:GG(グアーガム)の2層コーティング。
【0159】
多糖グアーガム(「GG」)を組み込んださらなるポリマーフィルム層を、DR02の製剤に施した(実施例1及び2に記載)。この外側ポリマーフィルムトップコートは、1:1の比のEC:L100-55及びECポリマー含量の5%w/wのレベルのグアーガムで構成した。該外側ポリマーフィルムコートは、第一のポリマーコーティングを有するペレットの10%w/wのレベルで施された。得られたペレットを、0.1NのHClで2時間、続いてTris pH 6.8緩衝液(USP2、37C、100rpm、300mL)で1時間試験した。これらの二層コート製剤の溶出プロファイルも
図2(DR03、三角)に示し、単層コート製剤のもの(DR02(丸)及びDR04(四角))と比較する。
【0160】
DR03上のさらなるポリマーフィルムは、酸緩衝液及びpH6.8緩衝液の両方で溶出速度を遅らせることが分かる。製剤DR03を、グラフ(逆三角)に示すように、エタノールの存在下での溶出に対する耐性についても調べた。アルコール誘発性の過量放出に対する製剤の感受性の評価に関するFDAの推奨に記載されている最も厳格なインビトロエタノール曝露、すなわち、40%v/vのエタノールを含む0.1NのHClに2時間の曝露を適用した。驚くべきことに、
図2に示すように、エタノールへの曝露後のオキシベートの放出速度は劇的に減少した。
【0161】
さらに、エタノールに曝露したペレットを取り囲む透明なゲル層が観察された。
図3A及び3Bに示すように、ゲル層は、エタノールに曝露したDR03ポリマーコートペレットを取り囲む(
図3B)が、0.1NのHClのみに曝露したペレットには存在しない(
図3A)。エタノールの存在下でのかかるゲル層の形成は、エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーを含む単一のポリマーコートを有するGHBペレットでも観察されている。したがって、総合して、これは、最初の酸相溶出試験に40%v/vのEtOHを含めると、約10%のオキシベートの初期放出に続いて、オキシベートの放出速度が抑制されることが観察されることを示し、ペレットの周りにヒドロゲルが生じる(
図3に示す)間の放出の後、オキシベートの放出が抑制されることを表している。
【0162】
実施例3:ゲル層形成に対するエタノール濃度依存効果の実証。二成分EC+L30D-55ポリマーを使用したカルシウムオキシベートペレットコアの二層コーティング。外側ポリマーフィルムコートにグアーガムを組み込む(実施例2Aの通り、DR03)。
【0163】
ペレット製剤は、DR03に関して上記した通りに調製し、二成分EC:L30D-55(1:1)ポリマーフィルムコートを、目標である30%のポリマー重量増加(薬物担体コアの%w/w)になるまで施した。次に、グアーガムを加えたEC:L30D-55(1:1)ポリマー混合物からなる外側ポリマーフィルムを施した(GGはECポリマー含量の5%w/wの濃度で使用した)。このトップコートは、目標である10%の重量増加(第一のポリマーコートが施された薬物担体コアペレットの%w/w)まで施した。以下の表2は、本明細書に記載の製剤を製造するために使用した材料及び装置のリストを含む。内層及び外側グアーガム層に使用したコーティング懸濁液の組成は、以下の表3にも示す。
【表2】
【表3】
*EC/gg=95/5に相当
**0.5%は、グアーガムの最大推奨濃度である
【0164】
図4のグラフは、カルシウムオキシベート薬物担体コアに施されたエタノールレジリエントポリマーフィルム系(プロトタイプDR013)に関して生成された溶出データを示し、ペレットとして存在するコート薬物担体コアを、示した通りに10%、20%または40%のエタノールを含むまたは含まない0.1NのHClで15分間試験し、その後、Tris pH6.8緩衝液中で、以下に概説する通りに試験した。より短い15分の0.1NのHCl/エタノールへの曝露は、GHBとアルコールの同時摂取のインビボ条件をより良好に模倣するために使用した。
【0165】
したがって、0.1NのHCl中、15分間にわたって生成された
図4の溶出データ(丸)は、より生物学的に関連のある絶食条件下での胃でのEtOH曝露時間を表し、その後のTris pH6.8緩衝液中での2時間にわたる溶出は、小腸の通過を表す。示されているように、10%v/vのEtOHをこの溶出試験の15分間の酸相に含めた(四角)場合、その後のTris pH6.8緩衝液中での溶出速度に影響を与えないことが観察される。20%v/vのEtOHをこの溶出試験の15分間の酸相に含めた(三角)場合、最初の5分間で約10%のオキシベートの「バースト」放出の後、続いてTris pH6.8緩衝液中での溶出速度が2時間にわたって抑制されることが観察される。40%v/vのEtOHをこの溶出試験の15分間の酸相に含めた(逆三角)場合、最初の5分間で約5%のオキシベートの「バースト」放出の後、Tris pH6.8緩衝液中でのオキシベートの放出速度が抑制されることが観察される。重要なことには、これらのペレットは、20%v/v及び40%v/vのエタノールを含む0.1NのHCl中、10~15分後に凝集し始め(しかし0%または10%のエタノールでは凝集しない)、この凝集は、「粘着性」ヒドロゲル層の形成を反映している。これは、最初の10%オキシベートのバースト放出後、ゲル層の形成がオキシベート放出を停止することを説明する。
【0166】
20%及び40%のエタノールへの曝露後に形成されるゲル層の強度を確認するために、
図4に示すように、Tris pH6.8中での溶出試験を最大少なくとも5時間(300分)延長した。示されるように、2時間を超えてTris pH6.8緩衝液中での溶出時間を延長することにより、20%v/vのEtOHに曝露されたポリマーコート薬物担体コアは、2時間後にオキシベートの放出速度の急激な屈曲を示すことが実証され、これは、ヒドロゲルが崩壊したことを示唆し、オキシベートの溶出が可能になり、4.5時間以内に100%が放出される。驚くべきことに、40%v/vのEtOHに曝露されたポリマーコート薬物担体コアの場合、オキシベートの溶出速度は、6時間まで平らに大幅に抑制され、約30%のオキシベートのみが放出される。この溶出データは、ヒドロゲル形成の速度及び程度がEtOH濃度に依存することを示す。
【0167】
プラセボ(ショ糖)のペレット形状の薬物担体コアに施された二成分EC:L30D-55ポリマーフィルムのレオロジー研究は、この溶出の結果を裏付ける。
図5は、エタノール(0.1NのHCl緩衝液中40%v/v)への曝露後の二成分ポリマーフィルムコートの表面レオロジーの変化を測定した試験の結果を示す。この試験は、ヒドロゲルを示す弾性ゲルがエタノールへの曝露で形成されることを示す。ゲルの形成には約10~20分かかり、エタノール媒体の除去及びエタノールを含まない媒体(Tris pH6.8緩衝液)への移動後、ヒドロゲルは形成を続け、3時間かけてゲル強度を高める。
図5Aは、ポリマーコートプラセボ(スクロース)ペレットコアを40%v/vのEtOHを含む0.1NのHCl緩衝液に曝露した後の経時的な1Hzのプローブ周波数掃引で測定された剪断貯蔵弾性率(弾性応答、G’)の変化を示す。この曲線は、ゲルコーティングが形成に関して初期段階にあるため、予想どおり、G’が最初の測定で最高の応答を与えることを示す。これに続いて、時間とともにゲルが発達するにつれて連続的なプローブ掃引のために、G’が低下、すなわち、表面が軟化する。約20分後に完全なゲル形成を示す一定のG’値に達する。
図5Bは、ポリマーコートプラセボ(スクロース)ペレットコアを、40%v/vのEtOHを含む0.1NのHCl緩衝液から、Tris pH6.8緩衝液(EtOHなし)に移した後の経時的な1Hzのプローブ周波数掃引で測定された剪断貯蔵弾性率(弾性応答、G’)の変化を示す。このグラフは、EtOH含有緩衝液からEtOHを含まないTris緩衝液への移動後、初期G’値が、EtOH曝露相の終了時の約1,400PaからTris緩衝液への移動後の2,500Paまで大幅に増加することを示す。これは、ゲルの機械的強度が急速に増加していることを示す。このゲルはその後、次の40分で軟化して最小値の約1200Paになり、その後、次の3時間で最終的な最大測定値の約4000Paまで直線的に増加し、時間とともにゲルの機械的強度が大幅に増加する。
【0168】
実施例4:二層コートペレットにおける外側ポリマーフィルムの組成の変更が放出速度に与える影響。
【0169】
上記実施例は、EC/L100-55/GGからなる外側ポリマーフィルムコートの追加が、薬物担体コア(ここではペレットの形状であるため、「ペレットコア」とも呼ばれる)からのオキシベートの溶出速度を遅くするのに役立つことを示している。
【0170】
この外側ポリマーフィルムがオキシベート溶出に与える影響をさらに低減するため、外側コーティングの透過性を、水溶性賦形剤であるポリビニルピロリドン(「PVP」)を添加することによって変更した。エタノールの存在下及び非存在下の両方で、上記の通り溶出試験を行った。
【0171】
図6は、EC/L100-55/GG/ポリビニルピロリドン(「PVP」)からなるさらなる外側ポリマーフィルムコートを含む及び含まない両GHB製剤の酸(0.1NのHCl)で2時間、続いてTris pH6.8緩衝液で60~90分間試験した場合のインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。また、20%及び40%EtOH/酸緩衝液に2時間曝露した後、EtOHを含まないTris pH6.8緩衝液に1時間曝露した場合の、二重コートGHB製剤(DR05)の溶出も示す。DR03及びDR04との比較を行い、EtOHの非存在下及び存在下の両方で、外側フィルムコート組成がインビトロ溶出速度に与える影響を示す。グラフに示すように、PVP含有製剤DR05(四角)は、単一コート製剤(DR04、トップコートもPVPも含まない(黒丸))と同様の溶出速度のペレット(コート薬物担体コア)を生成し、40%v/vのエタノールへの曝露後に凝集しなかった(逆三角)。DR05は、HCL中での急速なオキシベート放出を防いだ(四角)と同時に、オキシベート放出はエタノール曝露で増加したが、0.1NのHCl/20%v/vのエタノール中、2時間で放出されたオキシベートは14~18%のみであり、0.1NのHCl/40%v/vのエタノール中、2時間で放出されたオキシベートは55~60%であった。
【0172】
上記の結果を総合すると、DR04からDR03に移行(トップコートEC/L100-55/GGを追加)することにより、薬物放出速度が低下し、エタノールの存在下でのゲル形成でペレットが凝集したことが分かる。さらに、DR05のように、透過性を高めるために外側トップコート組成を(水溶性ポリビニルピロリドンの添加により)変更した場合、凝集が減少した。外側のポリマーフィルムは、Tris pH6.8中でのオキシベートの放出速度に限定的な影響を与え、ペレットは、40%v/vのエタノールに曝露された場合凝集しない。エタノールの存在下では急速な過量放出が防止され、0.1NのHCl/40%v/vのエタノール中、2時間で約55~60%のオキシベートが放出される。
【0173】
実施例5:緩衝液組成がGHBの速度に与える影響
【0174】
上記のDR05製剤の溶出試験を、異なるHCL後(すなわち、非酸性)緩衝液を使用して反復した。ペレットとして存在するコート薬物担体コアを、0.1NのHClまたはEtOH/HCLで2時間、続いてTris pH6.8緩衝液(「TRIS」、USP2、37C、100rpm、300mL)で1時間またはpH6.8の重炭酸塩緩衝液で1時間試験した。
【0175】
図7のグラフに示すように、20%のエタノールへの曝露後のGHB放出速度は、Tris処理サンプル及び重炭酸塩処理サンプルの両方で減少した。
【0176】
実施例6:高水溶性原薬を含む薬物担体コアでのサブコートの使用。
【0177】
ポリマーサブコートの使用が、得られる二成分ポリマーフィルムコート薬物担体コアの溶出プロファイルに与える影響を分析するため、カルシウムオキシベートペレットコア(「ペレットコア」)を、押出球形化によって、表1に記載したものと同じ組成に調製した。このペレットコアに対して、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ポリマーのサブコーティングを、目標レベルがこのペレットコアの8%w/wになるまで水溶液から施した。次に、機能性二成分ポリマーフィルムコートであるエチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(ポリマー比1:1)を、重量増加がこのサブコートペレットコアの10%w/wになるまで施した。最終的な機能性フィルムコートの組成は、実施例2のDR04について記載した通りである。
【0178】
図8のグラフは、サブコートあり(丸)及びサブコートなし(逆三角)の両方での、0.1NのHCl緩衝液への1~2時間に続いてTris pH6.8緩衝液に1時間曝露した場合の2段階溶出データを示す。サブコートあり(四角)及びサブコートなし(ひし形)の両方での、20%v/vのエタノールを含む0.1NのHCl緩衝液への15分間の曝露に続いてTris pH6.8緩衝液に1時間曝露した場合の2段階の溶出データも示す。カルシウムオキシベートペレットコアに対して、有機溶媒溶液として調製したエチルセルロース(EC)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L100-55)の二成分ポリマーフィルムを施した後の二相溶出試験条件下での4時間にわたる徐放性(一次に近い)オキシベート溶出プロファイルを示すグラフである
図9と比較する。
【0179】
実施例7:別のポリメタクリレートポリマーの組み込み
【0180】
水性分散液として調製した、エチルセルロース(EC)及び1:1のメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L100)の二成分ポリマーフィルムを、カルシウム3-ヒドロキシブチレート(Ca-3HB)ペレットコアに施した。このCa-3HBペレットコアは、実施例1のCaオキシベートペレットコアの製造について記載した方法に従って製造した。このコアは、同じ%w/w組成のものであり、CaオキシベートをCa-3HBで置き換えた。このCa-3HBペレットを、Caオキシベートペレットと同じサイズ分布(すなわち、0.8mm~1.25mm)にふるい分けした。
【0181】
この二成分ポリマーフィルムを、Ca3HBペレットコアに、このペレットコアの15%w/wに相当するレベルまで直接施した。
図10のグラフに示すように、Eudragit(登録商標)L100ポリマーをpH6の溶出トリガーポイントに組み込むと、酸中でのヒドロキシ酪酸放出の完全な抑制(60分)で示される腸の放出プロファイルが得られる。
【0182】
図11は、水性分散液として調製され、カルシウム3-ヒドロキシブチレート(Ca-3HB)ペレットコアに施されたエチルセルロース(EC)及び1:2のメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)S100)の二成分ポリマーフィルムを施した後のヒドロキシ酪酸の溶出プロファイルを示す。上記の通り、この二成分ポリマーフィルムを、Ca3HBペレットコアに、このペレットコアの15%w/wに相当するレベルまで直接施した。Eudragit(登録商標)S100ポリマーをpH7の溶出トリガーポイントに組み込むと、酸中のヒドロキシ酪酸放出が完全に抑制され(120分)、その後、5時間にわたる、S100緩衝液のこのpH溶出トリガーを超えるTris pH7.5緩衝液中で2.5時間以上放出の抑制が延長される。Tris pH7.5緩衝液への5時間の曝露後、このコートペレットコアから約20%のヒドロキシ酪酸が放出されるのみである。
【0183】
図12は、カルシウムオキシベートペレットコアに対して、エチルセルロース(Ethocel(商標)20)及び1:1のメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L100)の二成分ポリマーフィルムを施した後の2段階のオキシベート溶出プロファイルを示す(黒丸)。このペレットコアは、実施例1に記載の通りに調製した。この二成分ポリマーフィルムは、EC:L100ポリマー比1:2(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)のイソプロピルアルコール/水溶媒混合物溶液として調製した。この二成分ポリマーフィルムを、このペレットコアの12%w/wに相当するレベルまで施した。20%v/vのエタノール及び40%v/vのエタノールを含む0.1NのHCl緩衝液への15分間の予備曝露に続いてTris pH6.8緩衝液に5時間曝露した場合の2段階溶出データも示す(それぞれ、三角及び逆三角)。二成分フィルムを施すことにより、オキシベートの比較的pH非依存性の持続放出が6時間にわたってもたらされる(黒丸)。このフィルムは、20%v/vのエタノールを含む酸に15分間曝露した後の溶出変化に対してレジリエントである(三角)。この製剤を40%v/vEtOHを含む酸に15分間予備曝露すると(逆三角)、オキシベートの溶出速度は大幅に増加する。
【0184】
Ethocel(商標)20-L100コートペレットコアに二成分ポリマー「トップコート」を施した後の2段階オキシベート溶出データも示す(黒四角)。この「トップコート」は、エチルセルロース及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)の水性分散液からなる。これら2種のポリマーを、1:1の比(乾燥ポリマーの%w/w)で使用した。グアーガムは、乾燥ポリマー含量の10%w/wのレベルで組み込んだ。この「トップコート」ポリマーフィルムを、このコートペレットコアの5%w/wに相当するレベルまで施した。この「トップコート」ポリマーフィルムを施すことにより、オキシベートの溶出プロファイルが大幅に変化し、pH依存性の腸のインビトロ放出プロファイル、すなわち、酸中でのより大きな放出抑制及びTris pH6.8緩衝液への2時間の曝露後の90%超のオキシベート放出が得られる。このオキシベート放出プロファイルは、10%、20%、及び40%v/vのEtOHへの15分間の予備曝露後、ほとんど変化しない(それぞれ、ひし形、白丸、白四角)。
【0185】
実施例8:エチルセルロース-メタクリル酸-エチルアクリレート1:1コポリマーの二成分ポリマーフィルムのパラセタモールペレットコアへの適用
【0186】
パラセタモールの多粒子(ペレット)薬物担体コアを、押出球形化プロセスで作製した。このコアの組成を表4に示す。コアの成分を計量し、次いで、Caleva Multi-labのミキシングボウルに加え、予備ブレンドする。湿潤塊が生じるまで、水をこの混合乾燥成分に加えた。この湿潤塊をさらに10分間混合し、その後押出した(ダイプレート径1.0mm)。その押出物を次いで球形化し、乾燥して、パラセタモールペレットコアを形成した。
【表4】
【0187】
エチルセルロース(30%水性分散液、Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)からなる二成分ポリマーフィルムコートを、パラセタモールペレットコアに異なる膜厚で施した。このポリマーフィルムは、ポリマー比1:1(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)の水性分散液として調製した。
【0188】
図13は、二成分フィルムコートパラセタモールペレットの2段階インビトロ溶出試験(0.1NのHCl-Tris pH6.8緩衝液)で生成されたデータを示す。調べたポリマーフィルムの膜厚すべてで、パラセタモールの放出は、酸中で大幅に抑制される。Tris pH6.8緩衝液中でのパラセタモールの放出の遅れは、ポリマーフィルムの膜厚が増すにつれて延長される。40%v/vのEtOHを含む0.1NのHClにこのコートパラセタモールペレットを15分間予備曝露した後のインビトロ溶出データも示す。酸-EtOH混合物への曝露後、このパラセタモールペレットの周りにヒドロゲルが観察される。続いてこのEtOH曝露コートペレットをTris pH6.8緩衝液に移した後のパラセタモールの溶出速度は、ポリマーフィルムの膜厚に応じて、約60~120分間抑制される。
【0189】
実施例9:徐放性オキシベートプロトタイプ:インビトロ溶出はインビボ薬物動態と相関する
【0190】
プロトタイプを、ヒトの薬物動態評価用に調製した。カルシウムオキシベート(一水和物)多粒子(ペレット)コアを、約1.8Kgのバッチ規模で押出球形化により調製した(バッチサイズは変化することがあり、通常のバッチサイズは0.5Kg~3.0Kgの範囲である)。このペレットコアの組成を表5に示す。
【表5】
【0191】
この薬物担体コアは、原薬を微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及び低置換ヒドロキシプロピルセルロースと高剪断混合することによって製造される。ヒドロキシプロピルセルロース水溶液(10%w/w)を混合しながら乾燥粉末に加え、押出用のプラスチック湿潤塊を生成する。この湿潤塊を押出し(NICA(商標)E140、GEA Germany)、その押出塊を球形化する(NICA(商標)S450、GEA Germany)。その湿潤ペレットを、流動床乾燥機を使用して乾燥し、次いで所望のサイズ範囲にふるい分けする。
【0192】
2種の異なる徐放剤形をヒトPK評価用に生成した。
1.エチルセルロース系ポリマーフィルムコーティングを使用した徐放(「SR1」)
2.エチルセルロース+メタクリル酸-エチルアクリレート二成分ポリマーフィルム系を使用した徐放(「SR2」)
【0193】
「SR1」プロトタイプは、エチルセルロース(Ethocel Standard 20 Premium)、及びポリビニルピロリドン(Kollidon K30)を含むポリマーフィルムをカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアに直接施して生成される。このポリマーは、イソプロピルアルコールと水の溶液として調製し、ボトムスプレー流動床プロセスでコアに塗布する。「SR1」の組成を表6に示す。
【表6】
【0194】
「SR2」プロトタイプは、エチルセルロース(30%水性分散液)及びメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマー(30%水性分散液)を含む二成分ポリマーフィルムを、カルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアに直接施して生成される。このポリマーを、水性分散液として調製し、トップスプレー流動床プロセスでコアに塗布する。「SR2」の組成を表7に示す。
【表7】
【0195】
「SR1」及び「SR2」プロトタイプのインビトロ溶出プロファイルを
図14に示す。この溶出は、パドル速度100rpmのUSPタイプII(回転パドル)装置を使用し、900mLの0.04MTris緩衝液pH6.8中、37℃で行った。「SR2」機能性ポリマーフィルムは、pH非依存性エチルセルロースとpH依存性メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの1:1混合物からなるため、両方のポリマータイプを混合することによるpH応答を引き出す別のpH条件下でその溶出を調べた。その溶出プロファイルを
図15に示すとともに、組成物のpH依存性の放出特性を示す。
【0196】
これら2種のSR組成物を、高脂肪、高カロリーの朝食の開始の2時間後に健常なヒト被験者に投与した(4.5gのナトリウムオキシベートに相当する用量)。PKデータを
図16に示す。「SR2」プロトタイプは、オキシベートの水溶液(IR)と組み合わせ、溶液:「SR2」の用量比がそれぞれ、1:2.5で投与した。「SR1」プロトタイプは、4.5g相当のナトリウムオキシベートで個別に投与した。このデータは、インビトロでより速く放出されるプロトタイプ「SR2」が、より高い相対的オキシベートバイオアベイラビリティをもたらすことを示す。このグラフに示されるように、「SR1」プロトタイプは、「SR2」プロトタイプと比較して大幅に低い曝露を示す。
【0197】
20%v/vのエタノールを含む酸(0.1NのHCl)への15分間の曝露が、得られる二成分ポリマーフィルム「SR2」プロトタイプのTris pH6.8緩衝液中での溶出プロファイルに与える影響を、
図17に示す。エタノールへの曝露により、コートペレットからのオキシベートの溶出がその後減速されることが分かる。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、「SR1」プロトタイプの溶出と比較すると、オキシベートの溶出の減速により、オキシベートのバイオアベイラビリティが大幅に減少する可能性があることが示唆される。
【0198】
実施例10:遅延放出オキシベートの例の薬物動態
【0199】
遅延(腸溶性)放出オキシベートプロトタイプを、ヒトの薬物動態評価用に調製した。カルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアを、実施例9に記載の通りに調製した。2種の遅延放出剤形を、ヒトPK評価用に生成した。
1.メタクリル酸-エチルアクリレート系ポリマーフィルムコーティングを使用した遅延放出(「DR1」)
2.エチルセルロース+メタクリル酸-エチルアクリレート二成分ポリマーフィルム系を使用した遅延放出(「DR2」)
【0200】
「DR1」プロトタイプは、メタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマー系フィルム(AcrylEze(登録商標)II、(Colorcon,USA))を、ヒドロキシプロピルセルロースサブコートカルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアに施して生成される。このポリマーは、水性懸濁液として調製し、ボトムスプレー流動床プロセスで塗布する。「DR1」の組成を表8に示す。
【表8】
【0201】
「DR2」プロトタイプ(明確にするために、これは、上記実施例に記載の「DR02」とは異なる)は、エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーを含む二成分ポリマーフィルムを、カルシウムオキシベート(一水和物)ペレットコアに直接施して生成される。エチルセルロース及びメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーは、乾燥ポリマー含量の%w/wに基づいて、エチルセルロース:コポリマー比1:2で調製される。このエチルセルロースは、以下の表9に定義される30%水性分散液として提供される。このメタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマーは、以下の表9に定義される水性分散液としても提供される。第一のポリマーフィルムコートは、15%の重量増加が達成されるまで施す(未コートペレットコアの%w/wとして)。乾燥ポリマーの%w/wに基づくエチルセルロース:コポリマー比1:1のエチルセルロース、メタクリル酸-エチルアクリレート(1:1)コポリマー、及びグアーガムからなる「トップコート」を、その後施す(グアーガムは、エチルセルロースポリマー含量の10%w/wの濃度で使用する)。これらのポリマーを、水性分散液として調製し、トップスプレー流動床プロセスでコアに塗布する。この「トップコート」は、5%の重量増加が達成されるまで施す(第一のポリマーフィルムコートを有するペレットコアの%w/wとして)。「DR2」の組成を表9に示す。
【表9】
【0202】
プロトタイプ「DR1」と「DR2」のインビトロ溶出を
図18で比較する。この溶出は、両緩衝液相に関してパドル速度100rpmのUSPタイプII(回転パドル)装置を使用し、750mLの0.1NのHCl中、37℃で2時間、続いて1000mLの0.04MTris緩衝液pH6.8中、37℃で2時間行った。このデータは、腸溶性フィルムのみを有するプロトタイプ(「DR1」)と%w/wベースで同様の合計ポリマー含量を有する二成分ポリマーフィルムプロトタイプ(「DR2」)が、酸中のオキシベート放出を効果的に抑制することができることを示している。「DR2」プロトタイプの溶出もまた、異なるなpH条件下で調べた。その溶出プロファイルを
図19に示す。実施例9の「SR2」二成分ポリマープロトタイプと比較すると、機能性フィルムコート中のメタクリル酸-エチルアクリレート含量の増加に伴うpH依存性の溶出の増加が示される。
【0203】
これら2種のDR組成物を、オキシベート溶液(IR)と組み合わせ、高脂肪、高カロリーの朝食の開始の2時間後に健常なヒト被験者に投与した(4.5gのナトリウムオキシベートに相当する用量)。別の薬物動態(PK)試験では、この「DR2」組成物を、オキシベート溶液(IR)と組み合わせ、高脂肪、高カロリーの朝食の開始の2時間後に健常な被験者に4.5g、7g及び9gのナトリウムオキシベートに相当する合計用量で投与した(用量漸増試験)。用量漸増PK試験で投与した3つの処置の詳細を表10に示す。
【表10】
【0204】
このPKデータを
図20A及び20Bに示す。この用量漸増試験の平均PKパラメータを表11に示す。
【表11】
(%CV)Tmaxを除く(中央値(範囲))
【0205】
このデータは、pH5.5でトリガーされるポリマーフィルム系を使用することにより、オキシベートが急速に放出されることを示す(近位小腸で生じると考えられる)。pH非依存性ポリマー(エチルセルロース)を組み込むことで、オキシベートの放出が延長された(小腸まで及んだ可能性が高い)。DRプロトタイプを組み込んで投与される両組成物は、参照であるXyrem(登録商標)(ナトリウムオキシベート溶液)と同じ相対的バイオアベイラビリティを有する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、これは、「DR2」プロトタイプからのオキシベートの放出が、小腸で拡大され過ぎているわけではなく、目標とする小腸吸収の範囲内の放出であることを示す。
【0206】
20%v/vのエタノールを含む酸(0.1NのHCl)への15分間の曝露が、得られる二成分ポリマーフィルム「DR2」プロトタイプのTris pH6.8緩衝液中での溶出プロファイルに与える影響を、
図21に示す。エタノールへの曝露により、コートペレットからのオキシベートの溶出が大幅に減速されることが分かる。
【0207】
実施例11:エチルセルロース-メタクリル酸-エチルアクリレート1:1コポリマーの二成分ポリマーフィルムのコデインリン酸塩ペレットコアへの適用
【0208】
コデインリン酸塩の多粒子(ペレット)薬物担体コアを、押出球形化プロセスで作製した。このコアの組成を表11に示す。コアの成分を計量し、次いで、Caleva Multi-labのミキシングボウルに加える。賦形剤(MCC、ラクトース、LHPC、及びHPC)は、約3分間予備ブレンドし、コデインリン酸塩をその後加え、さらに5分間ブレンドした。湿潤塊が生じるまで、水をこの混合乾燥成分に加えた。その湿潤塊を押出した(ダイプレート径0.8mm)。その押出物を次いで球形化し、乾燥してペレットコアを形成した。
【表12】
【0209】
ペレットをオーブン乾燥し、その後0.8mm~1.25mmにふるい分けした。
【0210】
エチルセルロース(30%水性分散液、Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)からなる二成分ポリマーフィルムコートを、コデインリン酸塩ペレットコアに異なる膜厚で施した。このポリマーフィルムは、ポリマー比1:1(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)の水性分散液として調製し、流動床コーティングユニット(Calva Mini-Coater)にて、噴霧スプレーガンを使用してペレットに液滴として塗布した。このコートペレットを、制御された温度及び湿度条件下で硬化した。この二成分ポリマーフィルムは、単一コートとして施した。15、22及び30%w/w(コデインリン酸塩ペレットコアの%w/w)の二成分ポリマーフィルム組成物を有するサンプルを調製して、このコーティングフィルムの膜厚が、エタノール(EtOH)の存在下及び非存在下でのインビトロ溶出特性に与える影響を評価した。
【0211】
図22は、コデインリン酸塩ペレットコアのインビトロ溶出試験に関して生成されたデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。
【0212】
図23は、二成分フィルムコートコデインリン酸塩ペレットの2段階インビトロ溶出試験に関するデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLの0.1NのHCl(15分間)に続いて300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で90~120分間行った。調べたポリマーフィルムの膜厚すべてで、コデインリン酸塩の放出は、酸中で大幅に抑制される。Tris pH6.8緩衝液中でのコデインリン酸塩の放出の遅れは、ポリマーフィルムの膜厚が増すにつれて延長される。このコートコデインリン酸塩ペレットを20%v/vまたは40%v/vのEtOHを含む0.1NのHClに15分間予備曝露した後のインビトロ溶出データも示す。続いてこのEtOH曝露コートペレットをTris pH6.8緩衝液に移した後のコデインリン酸塩の溶出速度は、ポリマーフィルムの膜厚に応じて、約10~15分間抑制される。
【0213】
図24は、20%v/vのEtOHを含む0.1NのHClに60分間曝露した後の二成分フィルムコートコデインリン酸塩ペレットの2段階インビトロ溶出試験に関するデータを示す。コデインリン酸塩の迅速な放出は、20%v/vのEtOHの存在下ではトリガーされなかった。続いてこのEtOH曝露コートペレットをTris pH6.8緩衝液に移した後のコデインリン酸塩の溶出速度は、ポリマーフィルムの膜厚に応じて、最大30分間抑制される。
【0214】
実施例11:グアーガムを含む「トップコート」が二成分ポリマーフィルムコートペレットからのコデインリン酸塩の放出に与える影響
【0215】
コデインリン酸塩ペレットコアは、実施例1に記載の通り、湿潤塊の押出し-球形化により作製した。エチルセルロース及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの水性分散液は、Aquacoat(登録商標)ECD及びEudragit(登録商標)L30D-55をそれぞれ用いて調製した。これらのポリマーを1:1の比(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)で使用し、その分散液を実施例1に記載の流動床コーティングプロセスを用いてコデインリン酸塩ペレットに塗布した。1つの実施形態では、そのポリマー懸濁液を目標である30%のポリマー重量増加(薬物担体コアの%w/w)まで塗布した。別の実施形態では、そのポリマー懸濁液を、目標である40%のポリマー重量増加(薬物担体コアの%w/w)まで塗布した。多糖グアーガム(「GG」)を組み込んださらなるポリマーフィルム層を、これら実施形態の各々(すなわち、30%または40%の重量増加の二成分ポリマーコーティングを有するコデインペレット)に、目標である5%のポリマー重量増加(第一のポリマーコートが施された薬物担体ペレットの%w/w)まで施した。この外側ポリマーフィルムトップコートは、Aquacoat(登録商標)ECD及びEudragit L30D-55(乾燥ポリマー比1:1)とECポリマー含量の10%w/wのレベルのグアーガムの水性分散液として調製した。内側の二成分ポリマーフィルムコーティングのみを有する「単一コート」コデインリン酸塩ペレットを、さらなる外側のグアーガムを含むポリマーフィルムコーティングを有する「二重コート」コデインリン酸塩ペレットと比較した。
【0216】
コートペレットからのコデインリン酸塩の2相インビトロ溶出を、USP装置II(パドル)を使用し、第一相では300mLの酸(0.1NのHCl)媒体に続いて第二の溶出相では300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100RPM)で測定した。外側GGポリマーコートを有するペレット及び有さないペレットを酸相に1時間曝露した後、中性のTris緩衝液に4時間曝露した。エタノールを20%v/vまたは40%v/vのいずれかでこの酸相に添加した。
【0217】
図25のグラフは、かかる試験条件下で、30%の重量増加の内側二成分ポリマーフィルムコーティングを有するコートコデインリン酸塩ペレットに対して生成された溶出プロファイルを示す。20%v/vのEtOHを組み込んだ場合の最大2時間を含め、酸相溶出試験では、コデインリン酸塩の放出は検出されなかった。酸相溶出の過程で変化するEtOH濃度及び曝露時間がその後のTris pH6.8緩衝液中での溶出特性に与える影響を特定した。EtOH濃度を10%v/vから20%v/vに上げることにより、Tris pH6.8緩衝液中でのコデイン放出の抑制がさらに延長される。
【0218】
図26のグラフは、かかる試験条件下で、40%の重量増加の内側二成分ポリマーフィルムコーティングを有するコートコデインリン酸塩ペレットに対して生成された溶出プロファイルを示す。第二のコートを施すことにより、エタノールの存在下でのコデイン放出の抑制がさらに延長される。
【0219】
実施例12:エチルセルロース-メタクリル酸-エチルアクリレート1:1コポリマーの二成分ポリマーフィルムのコデインリン酸塩錠剤コアへの適用
【0220】
コデインリン酸塩錠剤は、コデインリン酸塩、Ludipress(登録商標)及びステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を直接圧縮することによって調製した(表12)。すべての成分をガラスバイアル内で、15分間手動で混合した。錠剤は、5mmの丸平面の錠剤ツールを備えた実験用錠剤プレス(Gamlen Tablet Press,Gamlen Tableting,UK)を使用して製造した。錠剤の混合物を、圧力74.98MPaを使用して圧縮した(圧縮荷重150Kgに相当)。
【表13】
【0221】
エチルセルロース(30%水性分散液、Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)からなる二成分ポリマーフィルムを、コデインリン酸塩錠剤コアに異なる膜厚で施した。このポリマーフィルムは、ポリマー比1:1(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)の水性分散液として調製し、流動床コーティングユニット(Calva Mini-Coater)にて、噴霧スプレーガンを使用して錠剤に液滴として塗布した。このコート錠剤を、制御された温度及び湿度条件下で硬化した。この二成分ポリマーフィルムは、単一コートとして施した。5及び10%w/w(コデインリン酸塩錠剤コアの%w/w)の二成分ポリマーフィルム組成物を有するサンプルを調製して、このコーティングフィルムの膜厚が、エタノール(EtOH)の存在下及び非存在下でのインビトロ溶出特性に与える影響を評価した。
【0222】
図27は、コデインリン酸塩錠剤コアのインビトロ溶出試験に関して生成されたデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。
【0223】
図28は、二成分フィルムコートコデインリン酸塩錠剤の2段階インビトロ溶出試験に関するデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLの0.1NのHClに続いて300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。調べた両方のポリマーフィルムの膜厚で、コデインリン酸塩の放出は、酸中で大幅に抑制される。Tris pH6.8緩衝液中でのコデインリン酸塩の放出の遅れは、ポリマーフィルムの膜厚が増すにつれて延長される。このコートコデインリン酸塩錠剤を20%v/vのEtOHを含む0.1NのHClに15分間予備曝露した後のインビトロ溶出データも示す。続いてこのEtOH曝露コートペレットをTris pH6.8緩衝液に移した後のコデインリン酸塩の溶出速度が低下することが示される。
【0224】
実施例13:エチルセルロース-メタクリル酸-エチルアクリレート1:1コポリマーの二成分ポリマーフィルムのオキシコドン塩酸塩ペレットコアへの適用
【0225】
オキシコドン塩酸塩の多粒子(ペレット)薬物担体コアを、押出球形化プロセスで作製した。このコアの組成を表13に示す。乾燥賦形剤成分、すなわち、微結晶性セルロース(MCC)、ラクトース一水和物、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、及びヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)を、Calvea Multi-labのミキシングボウルで約5分間予備ブレンドし、その後オキシコドン塩酸塩を加え、さらに約5分間ブレンドした。水を加えて、押出し及び球形化に適した湿潤塊を生成し、球状ペレットを生成した。その湿潤塊を、直径0.8mmのダイプレートを通して押出し(Caleva Mini-lab)、球形化した。このペレットを乾燥してふるい分けし、0.8mm~1.25mmのペレットをコーティングするために使用した。
【表14】
【0226】
エチルセルロース(30%水性分散液、Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)からなる二成分ポリマーフィルムを、オキシコドン塩酸塩ペレットコアに異なる膜厚で施した。このポリマーフィルムは、ポリマー比1:1(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)の水性分散液として調製し、流動床コーティングユニット(Calva Mini-Coater)にて、噴霧スプレーガンを使用して錠剤に液滴として塗布した。このコート錠剤を、制御された温度及び湿度条件下で硬化した。この二成分ポリマーフィルムは、単一コートとして施した。15%、22%及び30%w/w(コデインリン酸塩錠剤コアの%w/w)の二成分ポリマーフィルム組成物を有するサンプルを調製して、このコーティングフィルムの膜厚が、エタノール(EtOH)の存在下及び非存在下でのインビトロ溶出特性に与える影響を評価した。
【0227】
図29は、オキシコドン塩酸塩ペレットコアのインビトロ溶出試験に関して生成されたデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。
【0228】
図30は、二成分フィルムコートオキシコドン塩酸塩ペレットの2段階インビトロ溶出試験に関するデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLの0.1NのHClに続いて300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。調べたポリマーフィルムの膜厚すべてで、オキシコドン塩酸塩の放出は、酸中で大幅に抑制される。Tris pH6.8緩衝液中でのオキシコドン塩酸塩の放出の遅れは、ポリマーフィルムの膜厚が増すにつれて延長される。このコートオキシコドン塩酸塩ペレットを20%v/vのEtOHを含む0.1NのHClに15分間予備曝露した後のインビトロ溶出データも示す。続いてこのEtOH曝露コートペレットをTris pH6.8緩衝液に移した後のオキシコドン塩酸塩の溶出速度は、ポリマーフィルムの膜厚に応じて、約10~30分間抑制される。
【0229】
実施例14:グアーガムを含む「トップコート」が二成分ポリマーフィルムコートペレットからのオキシコドン塩酸塩放出に与える影響
【0230】
コデインリン酸塩ペレットコアは、実施例4に記載の通り、湿潤塊の押出し-球形化により作製した。エチルセルロース及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーの水性分散液は、Aquacoat(登録商標)ECD及びEudragit(登録商標)L30D-55をそれぞれ用いて調製した。これらのポリマーを1:1の比(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)で使用し、その分散液を実施例4に記載の流動床コーティングプロセスを用いてオキシコドン塩酸塩ペレットに塗布した。そのポリマー懸濁液を目標である30%のポリマー重量増加(薬物担体コアの%w/w)まで塗布した。多糖グアーガム(「GG」)を組み込んださらなるポリマーフィルム層を、そのコートペレット(すなわち、30%の重量増加の二成分ポリマーコーティングを有するオキシコドンペレット)に、目標である5%のポリマー重量増加(第一のポリマーコートが施された薬物担体ペレットの%w/w)まで施した。この外側ポリマーフィルムトップコートは、Aquacoat(登録商標)ECD及びEudragit L30D-55(乾燥ポリマー比1:1)とECポリマー含量の10%w/wのレベルのグアーガムの水性分散液として調製した。内側の二成分ポリマーフィルムコーティングのみを有する「単一コート」オキシコドンHClペレットを、さらなる外側のグアーガムを含むポリマーフィルムコーティングを有する「二重コート」オキシコドンHClペレットと比較した。
【0231】
コートペレットからのオキシコドンHClの2相インビトロ溶出を、USP装置II(パドル)を使用し、第一相では300mLの酸(0.1NのHCl)媒体に続いて第二の溶出相では300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100RPM)で測定した。外側GGポリマーコートを有するペレット及び有さないペレットを酸相に1時間曝露した後、中性のTris緩衝液に3時間曝露した。エタノールを20%v/vで酸相に加えた。
図31のグラフは、かかる試験条件下でコートオキシコドンHClペレットに対して生成された溶出プロファイルを示す。
【0232】
実施例15:エチルセルロース-メタクリル酸-エチルアクリレート1:1コポリマーの二成分ポリマーフィルムのオキシコドン塩酸塩錠剤コアへの適用
【0233】
オキシコドン塩酸塩錠剤は、オキシコドン塩酸塩、Ludipress(登録商標)及びステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を直接圧縮することによって調製した(表14)。すべての成分をガラスバイアル内で、15分間手動で混合した。錠剤は、5mmの丸平面の錠剤ツールを備えた実験用錠剤プレス(Gamlen Tablet Press,Gamlen Tableting,UK)を使用して製造した。錠剤の混合物を、圧力74.98MPaを使用して圧縮した(圧縮荷重150Kgに相当)。
【表15】
【0234】
エチルセルロース(30%水性分散液、Aquacoat(登録商標)ECD)及び1:1のメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)L30D-55)からなる二成分ポリマーフィルムを、オキシコドンHCl錠剤コアに異なる膜厚で施した。このポリマーフィルムは、ポリマー比1:1(乾燥ポリマーの%w/wに基づく)の水性分散液として調製し、流動床コーティングユニット(Calva Mini-Coater)にて、噴霧スプレーガンを使用して錠剤に液滴として塗布した。このコート錠剤を、制御された温度及び湿度条件下で硬化した。この二成分ポリマーフィルムは、単一コートとして施した。10及び20%w/w(オキシコドンHCl錠剤コアの%w/w)の二成分ポリマーフィルム組成物を有するサンプルを調製して、このコーティングフィルムの膜厚が、エタノール(EtOH)の存在下及び非存在下でのインビトロ溶出特性に与える影響を評価した。
【0235】
図32は、オキシコドンHCl錠剤コアのインビトロ溶出試験に関して生成されたデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。
【0236】
図33は、二成分フィルムコートオキシコドンHCl錠剤の2段階インビトロ溶出試験に関するデータを示す。この溶出試験は、USP II装置(パドル)を使用し、300mLの0.1NのHClに続いて300mLのTris緩衝液pH6.8(37℃、100rpm)で行った。調べた両方のポリマーフィルムの膜厚で、オキシコドンHClの放出は、酸中で大幅に抑制される。Tris pH6.8緩衝液中でのオキシコドンの放出の遅れは、ポリマーフィルムの膜厚が増すにつれて延長される。このコートコデインリン酸塩錠剤を20%v/vのEtOHを含む0.1NのHClに60分間予備曝露した後のインビトロ溶出データも示す。20%v/vのEtOHへの曝露の過程でオキシコドンの放出の増加は検出されなかった。続いてこの錠剤を、EtOHを含まないTris pH6.8緩衝液に移した後のオキシコドンの溶出速度は、10%w/wのポリマーフィルムコーティングを有する錠剤でわずかに低下し、それより厚い20%w/wのポリマーフィルムコーティングでは、Tris緩衝液に移した後のオキシコドンの放出の遅れに加えて約30分の延長が生じることが示される(90分から120分)。
*****
【0237】
本明細書において言及されるすべての特許、特許出願、及び出版物は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0238】
理解の明瞭化ために説明図及び例を用いてある程度詳しく開示を提供しているが、本開示の主旨からも範囲からも逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、前述の説明及び実施例は、限定的であると解釈されるべきではない。