(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】毛髪用堆積システム
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20240415BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240415BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240415BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/49
A61K8/34
A61Q5/12
(21)【出願番号】P 2021535074
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2019083916
(87)【国際公開番号】W WO2020126532
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-05
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,コリン・クリフトファー・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ロンロン
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069374(JP,A)
【文献】特開2014-185153(JP,A)
【文献】特表2013-534516(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/133382(JP,A1)
【文献】特開2016-117715(JP,A)
【文献】特開2016-124862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記:
i)16~32個の炭素原子を有するカチオン性コンディショニング界面活性剤;
ii)8~22個の炭素原子を有する脂肪アルコール
を含むコンディショニングベースと;
b)0.05~10重量%の
亜鉛ピリチオンと
を含む毛髪処理組成物であって、
前記組成物は、
(c)0.1~5重量%のジエステルクワット
をさらに含み、前記ジエステルクワットは、ビス(イソステアロイル/オレイルイソプロピル)ジモニウムメトサルフェート
である、毛髪処理組成物。
【請求項2】
前記ジエステルクワットが、組成物の総重量に基づいて0.5~1.2重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記亜鉛ピリチオンが、組成物の総重量に基づいて、0.1~3重量
%の量で存在する、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記亜鉛ピリチオンが、組成物の総重量に基づいて、0.2~2重量%の量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記亜鉛ピリチオンが、組成物の総重量に基づいて、0.5~1.5重量%の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に適用するステップを含む、毛髪の処理方法。
【請求項7】
亜鉛ピリチオ
ンを毛髪上に堆積させるための、組成物におけるジエステルクワットの使用であって、該組成物が、
a)下記:
i)16~32個の炭素原子を有するカチオン性コンディショニング界面活性剤;
ii)8~22個の炭素原子を有する脂肪アルコール
を含むコンディショニングベースと;
b)0.05~10重量%の
亜鉛ピリチオンと
を含み、
前記組成物は、(c)0.1~5重量%のジエステルクワットをさらに含
み、前記ジエステルクワットは、ビス(イソステアロイル/オレイルイソプロピル)ジモニウムメトサルフェートである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエステルクワットを含有する毛髪処理組成物、およびフケ防止活性物質を毛髪および頭皮表面上に堆積させるためのこれらの組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2016081907号明細書(Evonik)は、カルボマーまたは他のポリマーの添加によって長期間にわたって安定にされる液体エステルクワットおよび/またはイミダゾリニウム塩を含有する毛髪配合物を開示している。米国特許出願公開第2016083333号明細書は、ケラチン繊維を美容的に処理するための混合エステルクワットを含有する化粧品配合物を開示している。
【0003】
ドイツ特許第102015223028号明細書(Henkel)は、ケラチン繊維を処理するための化粧品組成物であって、化粧品担体中に、a)少なくとも1種の、全組成物の重量に基づいて、0.01~20.0重量%の量の特定のエステルクワットと、b)少なくとも、0.01~20.0重量%の量の、さらなるa)とは異なるカチオン性および/またはカチオン化可能な化合物とを含有する、化粧品組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2016081907号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016083333号明細書
【文献】ドイツ特許第102015223028号明細書
【発明の概要】
【0005】
ここで、特定のエステルクワットと、亜鉛ピリチオンを含む毛髪処理組成物との組み合わせが、亜鉛ピリチオンの毛髪上への堆積を改善することが分かった。
米国特許出願公開第2015/150774号、米国特許出願公開第2015/272865号および米国特許出願公開第2014/120048号は、セトリモニウムクロリド(CTAC)、0.5%の亜鉛ピリチオン、0.5%のAmocare VGH 70(ジパルトイチルジモニウムクロリド)、および、セチルステアリルアルコールなどの脂肪アルコールを含む、抗ふけおよびコンディショニング特性を有する毛髪組成物を開示する。欧州特許第2457556号は、1.2%のQuartamin BTC-131(カチオン界面活性剤)、7%のLenette O(セテアリルアルコール)、0.2%の亜鉛および0.5%のDehyquart F75(ジステアロイルヒドロキセチルムモニウムメトサルフェート)を含むヘアコンディショニング組成物(例3を参照のこと)を開示する。国際公開第2017/066500号は、とりわけ、カチオン界面活性剤系および脂肪酸を含む抗ふけ組成物を開示し、該組成物は、頭皮上の亜鉛ピリチオンの改善した沈着を示す。
【0006】
発明の定義
第1の態様では、本発明は、
a)下記:
i)16~32個の炭素原子を有するカチオン性コンディショニング界面活性剤;
ii)8~22個の炭素原子を有する脂肪アルコール
を含むコンディショニングベースと;
b)0.05~10重量%の、金属ピリチオンおよびそれらの混合物から選択されるフケ防止活性物質と
を含む毛髪処理組成物であって、
(c)0.1~5重量%のジエステルクワット
をさらに含む組成物を提供する。
【0007】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の組成物を毛髪に適用するステップを含む毛髪の処理方法を提供する。
【0008】
第3の態様では、本発明は、金属ピリチオンおよびそれらの混合物から選択されるフケ防止活性物質を毛髪上に堆積させるためのジエステルクワットの使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
カチオン性コンディショニング界面活性剤
コンディショナー組成物は、化粧品的に許容され、毛髪への局所適用に適したカチオン性コンディショニング界面活性剤を含む。
【0010】
好ましくは、カチオン性コンディショニング界面活性剤は、式N+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1、R2、R3およびR4は独立に、(C1~C30)アルキルまたはベンジルである)を有する。
【0011】
好ましくは、R1、R2、R3およびR4のうちの1つ、2つまたは3つは独立に、(C4~C30)アルキルであり、1または複数の他のR1、R2、R3およびR4基は(C1~C6)アルキルまたはベンジルである。
【0012】
より好ましくは、R1、R2、R3およびR4のうちの1つまたは2つは独立に、(C6~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3およびR4基は(C1~C6)アルキルまたはベンジル基である。アルキル基は、アルキル鎖内に1つまたは複数のエステル(-OCO-もしくは-COO-)および/またはエーテル(-O-)結合を含んでいてもよい。アルキル基は、1つまたは複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい。アルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよく、3個以上の炭素原子を有するアルキル基の場合、環状であってもよい。アルキル基は、飽和であってもよく、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい(例えば、オレイル)。アルキル基は、1つまたは複数のエチレンオキシ基でアルキル鎖上でエトキシル化されていてもよい。
【0013】
本発明によるコンディショナー組成物に使用するのに適したカチオン性コンディショニング界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、牛脂トリメチルアンモニウムクロリド、二水素化牛脂ジメチルアンモニウムクロリド(例えば、Akzo Nobel製のArquad 2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリドおよびそれらの対応する水酸化物が含まれる。さらに適切なカチオン性界面活性剤には、CTFA名称クオタニウム-5、クオタニウム-31およびクオタニウム-18を有する材料が含まれる。前記材料のいずれかの混合物も適切であり得る。本発明によるコンディショナーに使用するための特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーに使用するための別の特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、ClariantからGENAMIN KDMPとして市販されているベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。好ましくは、カチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリドおよびベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドから選択され、最も好ましくはベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0014】
単独で、または1つもしくは複数の他のカチオン性界面活性剤と合わせて、本発明で使用するのに適したカチオン性界面活性剤のクラスの別の例は、以下の(i)と(ii)の組み合わせである:
(i)一般式(II):
R1CONH(CH2)mN(R2)R3 (II)
(式中、R1は10個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、R2およびR3は1~10個の炭素原子のヒドロカルビル鎖から独立に選択され、mは1~約10の整数である)
に対応するアミドアミン;および
(ii)酸。
【0015】
本明細書で使用される場合、ヒドロカルビル鎖という用語は、アルキルまたはアルケニル鎖を意味する。
【0016】
好ましいアミドアミン化合物は、式(I)(式中、
R1は約11~約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立に、1~約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基、好ましくはアルキル基であり、mは1~約4の整数である)に対応する化合物である。
【0017】
好ましくは、R2およびR3はメチルまたはエチル基である。
【0018】
好ましくは、mは2または3、すなわちエチレンまたはプロピレン基である。
【0019】
本明細書で有用な好ましいアミドアミンには、ステアラミド-プロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピル-ジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルミン(behenamidopropyldiethylmine)、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピル-ジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0020】
本明細書で有用な特に好ましいアミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、およびそれらの混合物である。
【0021】
本明細書で有用な市販のアミドアミンには、Inolex(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)からLEXAMINE S-13の商品名で入手可能なおよびNikko(日本東京都)からAMIDOAMINE MSPの商品名で入手可能なステアラミドプロピルジメチルアミン、NikkoからAMIDOAMINE Sの商品名で入手可能なステアラミドエチルジエチルアミン、Croda(英国ノースハンバーサイド)からINCROMINE BBの商品名で入手可能なベヘナミドプロピルジメチルアミン、ならびにScher(米国ニュージャージー州クリフトン)からSCHERCODINEシリーズの商品名で入手可能な様々なアミドアミンが含まれる。
【0022】
酸は、コンディショナー組成物中のアミドアミンをプロトン化することができる任意の有機酸または鉱酸であり得る。本明細書で有用な適切な酸には、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、およびそれらの混合物が含まれる。好ましくは、酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
酸の主な役割は、毛髪処理組成物中のアミドアミンをプロトン化し、よって毛髪処理組成物中でその場で第三級アミン塩(TAS)を形成することである。TASは、実際、非永続的な第四級アンモニウムまたは擬似第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0024】
適切には、酸は、存在するアミドアミンの95モル%(293K)超をプロトン化するのに十分な量で含まれる。
【0025】
本発明で使用するためのコンディショナーでは、カチオン性コンディショニング界面活性剤のレベルは、一般に、組成物の総重量に基づくカチオン性コンディショニング界面活性剤の総重量で、0.01~10%、より好ましくは0.05~7.5%、最も好ましくは0.1~5%の範囲である。
【0026】
脂肪アルコール
本発明の組成物は、C8~C22の炭素-炭素鎖長を有する脂肪アルコールを含む。
【0027】
コンディショニング組成物における脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散されたラメラ相の形成をもたらすので好ましい。
【0028】
脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、好ましくは16~22個、最も好ましくはC16~C18を含む。脂肪アルコールは、典型的には、直鎖アルキル基を含有する化合物である。好ましくは、アルキル基は飽和である。好ましい脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の使用はまた、本発明で使用するための組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0029】
本発明で使用するためのコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~7重量%、最も好ましくは0.3~6重量%の範囲である。
【0030】
カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールの重量比は、適切には1:1~1:10、好ましくは1:1.5~1:8、最適には1:2~1:5である。カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールの重量比が高すぎる場合、これは組成物からの眼刺激性をもたらし得る。これが低すぎる場合、一部の消費者にとって毛髪がきしんだ感じになり得る。
【0031】
フケ防止剤
本発明の組成物は、(金属ピリチオンの懸濁粒子)フケ防止剤を含む。
【0032】
フケ防止剤は、フケに対して活性な化合物であり、典型的には抗微生物剤、好ましくは抗真菌剤である。フケ防止剤は、典型的には、マラセチア属(Malassezia)に対して約50mg/ml以下の最小発育阻止濃度を示す。
【0033】
フケ防止剤の総量は、好ましくは、全組成物の0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.2重量%~4重量%のレベルで存在する。
【0034】
しかしながら、フケ防止剤が亜鉛ピリチオンである場合、本発明の組成物中の好ましいレベルは、組成物の総重量に基づいて、0.1~3重量%、より好ましくは0.2~2重量%、最も好ましくは0.5~1.5重量%である。
【0035】
フケ防止剤は、本発明の組成物に不溶性であり、したがって懸濁粒子を形成することができるように選択される。フケ防止剤の溶解度は、他の成分の存在およびレベルに応じて変化する。
【0036】
フケ防止剤は、金属ピリチオンから選択される。適切な金属ピリチオンには、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、銀ピリチオン、ジルコニウムピリチオン、およびそれらの混合物が含まれる。最も好ましい金属ピリチオンは、亜鉛ピリチオンである。
【0037】
亜鉛ピリチオンの粒子は、非晶質であってもよく、ロッド、針状、ブロック、小板およびそれらの混合物などの様々な規則的または不規則な結晶形態をとってもよい。亜鉛ピリチオン粒子の平均粒径(最大寸法)は、例えばHoriba LA-910レーザー散乱粒径分布分析装置を使用して決定される場合、典型的には約0.1~約50μm、好ましくは約0.1μm~約10μm、より好ましくは約0.1μm~約5μmである。
【0038】
追加の任意のフケ防止剤
本発明の組成物は、本発明の洗浄組成物に可溶性である追加の任意のフケ防止剤を含んでもよい。これらは、好ましくはアゾール(好ましくはケトコナゾールおよびクリンバゾールから選択される)、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、硫化セレン、サリチル酸およびそれらの組み合わせから選択される。
【0039】
任意の亜鉛塩
本発明の組成物は、有利には亜鉛塩を含む。
【0040】
追加の亜鉛塩は、適切には有機酸の亜鉛塩、無機酸の亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛およびそれらの混合物から選択され得る。
【0041】
本発明で使用するための追加の亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本発明の配合された製品に使用するための追加の亜鉛塩は、好ましくは(亜鉛塩の総質量に基づいて)少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%の亜鉛質量%を有する。
【0043】
本発明で使用するための追加の亜鉛塩は、好ましくは25℃で20g/l以下、より好ましくは0.1g/l以下の水への溶解度を有する。
【0044】
本発明で使用するための好ましい追加の亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本発明の組成物中の(1または複数の)追加の亜鉛塩のレベルは、一般的に、組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%の範囲、好ましくは0.2~3重量%、より好ましくは0.25~2.5重量%の範囲である。
【0046】
本発明による特に好ましい組成物では、追加の亜鉛塩は、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛およびそれらの混合物から選択され;組成物の総重量に基づいて約0.25~約2.5重量%の範囲のレベルである。
【0047】
ジエステルクワット
成分iv)として、本発明の組成物は、好ましくは以下に示される構造(I)の、少なくとも1つのエステルクワット:
【化1】
【0048】
R3およびR4は-X-O-CO-R5である
(式中、基R1、R2はそれぞれ互いに独立に、同一であっても異なっていてもよい)
を含む。
【0049】
基R1、R2は、
好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、tert-ブチルまたはイソ-ブチル、より好ましくはメチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル、最も好ましくはメチルから選択される基から選択される、1~4個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基
を表す。
【0050】
R3およびR4は-X-O-CO-R5(式中、
Xは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、tert-ブチルまたはイソ-ブチル、より好ましくはエチル、プロピルまたはイソプロピル、最も好ましくはエチルおよびイソプロピルから選択される、1~4個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基である)
によって表される。
【0051】
R5は、それぞれ6~30個、好ましくは12~24個、より好ましくは14~20個の炭素原子を有し、ヒドロキシル基を含有してもよい、飽和分岐もしくは非分岐、不飽和分岐もしくは非分岐または環状飽和もしくは不飽和アルキル基から選択される。
【0052】
R5は、好ましくは飽和または不飽和分岐アルキル基、より好ましくは飽和分岐アルキル基から選択される。
【0053】
Aは、生理学的に適合性の有機アニオンまたは無機アニオンである。Aは、有機酸のアニオン性基、例えばマレエート、フマレート、オキサレート、タルトレート、シトレート、ラクテートまたはアセテートを有する一般式RSO3
-(式中、Rは1~4個の炭素原子を有する飽和または不飽和アルキル基である)のハロゲン化物イオン、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、サルフェートから選択される。好ましいサルフェートは、メトサルフェートおよびエタンサルフェートである。最も好ましくは、A-は、塩化物、エタンサルフェートまたはメトサルフェートから選択される。
【0054】
好ましい実施形態では、R3およびR4は、エチルおよびイソプロピルから選択される-X-を有し、R5は、i)C18またはC16の鎖長を有する分岐飽和鎖、およびii)C18またはC16の鎖長を有する非分岐不飽和または飽和鎖から選択される鎖を有する。
【0055】
このような化合物の例は、好ましくはジオレオイルイソプロピルジモニウムメトサルフェート、ジオレオイルイソプロピルジモニウムクロリド、ジパルモイルイソプロピルジモニウムメトサルフェート、ジパルモイルイソプロピルジモニウムクロリド、ビス(イソステアロイル/オレオイルイソプロピル)ジモニウムメトサルフェート、ビス(イソステアロイル/オレオイルイソプロピル)ジモニウムクロリドである。
【0056】
非常に好ましい化合物は、ビス(イソステアロイル/オレオイルイソプロピル)ジモニウムメトサルフェートという名称を有し、INCI命名法によりクオタニウム-98と命名され、EvonikからVarisoft(登録商標)EQ 100という名称で市販されている。さらに好ましい化合物は、EvonikからVarisoft(登録商標)EQ 65という名称で入手可能である。
【0057】
式(I)に対応するエステルクワットは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.1~5重量%、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.5~1.5、さらにより好ましくは0.5~1.2、最も好ましくは0.6~1重量%の量で存在する。
【0058】
シリコーン(b)とジエステルクワット(c)の比は、1:1~1:0.1、好ましくは1:0.2~1:0.4、最も好ましくは1:0.25~1:0.4である。
【0059】
さらなる成分
シリコーン
本発明の組成物は、好ましくは、コンディショニング性能を高めるために、シリコーンコンディショニング剤の乳化液滴を含有する。
【0060】
適切なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンも、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)での使用に適している。例えば国際公開第96/31188号に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムも本発明の組成物での使用に適している。好ましくは、シリコーンは、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。アミノ官能化シリコーンとジメチコンのブレンドも好ましい。
【0061】
乳化シリコーン自体(エマルジョンでも最終ヘアコンディショニング組成物でもない)の粘度は、典型的には、25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコーン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cst、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも1,000,000cstである。好ましくは、配合を容易にするために、粘度は109cstを超えない。
【0062】
本発明のシャンプー組成物で使用するための乳化シリコーンは、典型的には、30ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01~1ミクロンの、組成物中でのD90シリコーン液滴サイズを有する。0.15ミクロンの平均シリコーン液滴サイズ(D50)を有するシリコーンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと呼ばれる。
【0063】
シリコーン粒径は、例えばMalvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定され得る。
【0064】
適切な予備形成エマルジョンの例としては、Dow Corningから入手可能なXiameter MEM 1785およびマイクロエマルジョンDC2-1865が挙げられる。これらはジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。架橋シリコーンガムはまた、配合の容易さに有利な予備乳化形態で入手可能である。
【0065】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに含めるためのシリコーンのさらに好ましいクラスは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。適切なアミノ官能性シリコーンの例としては、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。好ましいアモジメチコンは、DC 7134としてDow Corningから市販されている。
【0066】
本発明で使用するのに適したアミノ官能性シリコーンの具体例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166およびDC2-8566(全てDow Corning製)である。
【0067】
適切な第四級シリコーンポリマーは、欧州特許第0530974号明細書に記載されている。好ましい第四級シリコーンポリマーは、Goldschmidt製のK3474である。
【0068】
非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤を含むアミノ官能性シリコーン油のエマルジョンも適している。
【0069】
アミノ官能性シリコーンの予備形成エマルジョンはまた、Dow CorningおよびGeneral Electricなどのシリコーン油の供給業者から入手可能である。具体例としては、DC939カチオン性エマルジョンならびに非イオン性エマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(全てDow Corning製)が挙げられる。
【0070】
シリコーンの総量は、好ましくは、全組成物の0.1重量%~10%重量であり、より好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.5重量%~3重量%が適切なレベルである。
【0071】
本発明による組成物は、コンディショニング組成物に共通のいくつかの成分のいずれかを含み得る。
【0072】
他の成分には、粘度調整剤、保存剤、着色剤、グリセリンおよびポリプロピレングリコールなどのポリオール、EDTAなどのキレート剤、ビタミンEアセテートなどの抗酸化剤、芳香剤、抗微生物剤ならびに日焼け止めが含まれ得る。これらの成分の各々は、その目的を達成するのに有効な量で存在する。一般に、これらの任意の成分は、全組成物の最大約5重量%のレベルで個々に含まれる。
【0073】
好ましくは、本発明の組成物は、ヘアケアに適したアジュバントも含有する。一般に、そのような成分は、全組成物の最大2重量%、好ましくは最大1重量%のレベルで個々に含まれる。
【0074】
適切なヘアケアアジュバントには、以下のものがある:
(i)アミノ酸および糖などの天然の毛根栄養素。適切なアミノ酸の例としては、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、セリンおよびバリン、ならびに/またはそれらの前駆体および誘導体が挙げられる。アミノ酸は、単独で、混合物で、またはペプチド、例えばジペプチドおよびトリペプチドの形態で添加され得る。アミノ酸はまた、ケラチンまたはコラーゲン加水分解物などのタンパク質加水分解物の形態で添加され得る。適切な糖は、グルコース、デキストロースおよびフルクトースである。これらは、単独で、または例えば果実抽出物の形態で添加され得る。
【0075】
(ii)毛髪繊維有益剤。例としては以下がある:
-繊維を保湿し、キューティクルの完全性を維持するためのセラミド。セラミドは、天然源からの抽出によって、または合成セラミドおよび擬似セラミドとして入手可能である。好ましいセラミドは、Quest製のCeramide IIである。Laboratoires Serobiologiques製のCeramides LSなどのセラミドの混合物も適切であり得る。
【0076】
-キューティクルの修復および損傷防止のための遊離脂肪酸。例は、18-メチルエイコサン酸およびこの系列の他の同族体などの分岐鎖脂肪酸、ステアリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸などの直鎖脂肪酸、ならびにオレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸などの不飽和脂肪酸である。好ましい脂肪酸はオレイン酸である。脂肪酸は、単独で、混合物として、または例えばラノリンの抽出物に由来するブレンドの形態で添加され得る。
【0077】
上記活性成分のいずれかの混合物も使用され得る。
【0078】
第2の態様では、第1の態様によるコンディショニング組成物を製造する方法が提供される。この方法は、カチオン性界面活性剤および脂肪物質を含むコンディショニングゲル相を形成するステップと、存在する場合には最初に水に添加されるカチオン性界面活性剤を含んでもよい、疎水性修飾ポリマーの溶液を別々に形成するステップとを含む。
【0079】
次いで、2つの混合物を互いに添加した後、残りの成分を添加してコンディショニング組成物を形成する。
【0080】
好ましくは、追加の成分は、香料、増粘剤および保存剤を含む。
【0081】
ここで本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【0082】
[実施例]
ここで本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【0083】
[実施例1]
フケ防止剤堆積分析の前に毛髪を処理するための組成物
フケ防止活性物質堆積分析の前に、4種のヘアコンディショナー配合物(A、B、1および2と命名)を使用して毛髪を処理した。フケ防止活性物質は亜鉛ピリチオンとした。組成物1および2は本発明によるものとした;AおよびBは比較組成物とした。組成を表1に示す。
【表1】
【0084】
カチオン性界面活性剤を脂肪アルコールに添加し、85℃で撹拌することによって配合物を調製した。混合物の温度が60℃になるように、典型的には55℃で、この混合物を徐々に水に添加した。撹拌しながらこの温度を30分間維持した。次いで、さらなる水および他の周囲温度の成分を添加し、必要に応じて外部冷却を使用することによって混合物を周囲に向かって冷却し、撹拌した。
【0085】
[実施例2]
本発明による亜鉛ピリチオン堆積測定のための組成物A、B、1および2による毛髪の処理
使用した毛髪は、重量5g、長さ6インチのヘアピースの、中国人のバージンヘアとした。
【0086】
毛髪を以下のように組成物A、B、1および2で処理した:-
毛髪を、最初に以下の方法を使用してクレンジングシャンプーで処理した:-
毛髪繊維を流水下で30秒間保持し、シャンプーを毛髪1g当たり0.1mlのシャンプーの用量で適用し、毛髪に30秒間擦り込んだ。流水下で30秒間保持することによって過剰な泡を除去し、シャンプー段階を繰り返した。毛髪を流水下で30秒間すすいだ。
【0087】
次いで、濡れた毛髪を、以下の方法を使用してコンディショナーAまたはBまたは1または2で処理した:-
コンディショナーを、毛髪1g当たり0.2gのコンディショナーの用量で濡れた毛髪に適用し、1分間毛髪にマッサージした。毛髪を流水下で1分間すすぎ、過剰な水を除去した。毛髪を室温で一晩乾燥させた。
【0088】
各コンディショナーについて5連のヘアピースを調製した。次いで、毛髪を切断し、40mmプラスチックリングに取り付け、毛髪上の亜鉛ピリチオン堆積を、X線蛍光分光計(XRF)を使用してIntertec Manchesterによって測定し、適切な標準で較正した。
【0089】
コンディショナーA、B、1および2で処理したヘアピースで測定した亜鉛ピリチオン堆積を表2に示す。
【表2】
【0090】
コンディショナー1および2で処理した毛髪の亜鉛ピリチオン堆積は、亜鉛ピリチオンの堆積がより多いことが分かるだろう。コンディショナーAおよび1は、同量の0.25% ZnPTOを有する。コンディショナーAと比較して、コンディショナー1は、配合物内部のジエステルクワット(Varisoft EQ 100)に結合したより高い亜鉛堆積を有する。コンディショナーBおよび2は、0.5%のZnPTOを有し、ジエステルクワット(Varisoft EQ 100)を有するコンディショナー2は、より高い亜鉛堆積を有する。