(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】歯科衛生用装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20240415BHJP
A46B 9/04 20060101ALI20240415BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20240415BHJP
A61C 17/26 20060101ALI20240415BHJP
A61C 17/34 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61C17/22 G
A46B9/04
A46B13/02
A61C17/26 A
A61C17/34 K
A61C17/26
(21)【出願番号】P 2021553320
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(86)【国際出願番号】 IB2020052013
(87)【国際公開番号】W WO2020183338
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】102019000003441
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521402228
【氏名又は名称】アドバンスト・ブラッシュ
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED BRUSH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】スクラーシャ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】コジマーティ,アントニオ
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0278511(US,A1)
【文献】特開2003-245130(JP,A)
【文献】実開昭59-171520(JP,U)
【文献】特表2012-504448(JP,A)
【文献】特表2017-504439(JP,A)
【文献】特開平11-103938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22
A46B 9/04
A46B 13/02
A61C 17/26
A61C 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科衛生用、特に歯列弓の歯(2)を清掃するための装置(1)であって、
・上顎歯列弓または下顎歯列弓の全ての歯(2)を同時に包むように構成されたブラッシング装置(3)であって、自由端を用いて前記歯(2)を清掃するように構成された複数の可動清掃エレメントを含むブラッシング装置(3)と、
・口腔内に全体的に挿入されることを意図としており、前記ブラッシング装置(3)をその中に支持し収容するように構成されたカバーケース(5)を含む支持構造(4)であって、前記支持構造(4)はまた、カバーケース(5)及び/又はブラッシング装置(3)が取り付けられた付属品(6)であって、前記カバーケース(5)が口腔内に位置決めされた場合、前記口腔内から口裂を経由して少なくとも部分的に外に出ることを意図した付属品(6)を含む、支持構造(4)と、
・前記清掃エレメントを運動可能に実装するように構成された電動ユニット(18)と、を備え、
前記ブラッシング装置(3)は、
・歯(2)の前庭面に作用するように配置され構成された複数の清掃エレメントを含む少なくとも1つの第1ブラッシングアセンブリ(11)と、
・歯(2)の舌側面に作用するように配置され構成された複数の清掃エレメントを含む少なくとも1つの第2ブラッシングアセンブリ(12)と、
・歯(2)の咬合面に作用するように配置され構成された複数の清掃エレメントを含む少なくとも第3ブラッシングアセンブリ(13)と、を備え
、
前記カバーケース(5)は、少なくとも1つの長手方向に延長可能な部分(21)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記カバーケース(5)は、ある歯列弓の全ての歯(2)を実質的に覆うための略アーチ状長手方向延長部を有し、さらに、前記歯の前庭面、舌側面および咬合面を覆う凹状断面を有し、
前記付属品(6)は、前記装置を保持し移動するためのハンドルを画定し、前記電動ユニット(18)および前記電動ユニットに給電するためのバッテリのためのケーシングを画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
清掃エレメントは、複数の糸状エレメント(16)が放射状に出発する長手方向延長部を備えたコア(15)が設けられた回転ブラシ(14)を含み、
第1ブラッシングアセンブリ(11)は、歯(2)の前庭面に作用するように配置され構成された複数のブラシ(14)を含み、
第2ブラッシングアセンブリ(12)は、歯(2)の舌側面に作用するように配置され構成された複数のブラシ(14)を含み、
第3ブラッシングアセンブリ(13)は、歯(2)の咬合面に作用するように配置され構成された複数のブラシ(14)を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
3つのブラッシングアセンブリ(11,12,13)のブラシ(14)のコア(15)は、歯列弓の延長部に沿って、互いに略平行である個々の方向に沿って長手方向に延びる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ブラシ(14)のコア(15)は、長手方向に延長可能/圧縮可能である、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
清掃エレメントは、連続ブラシ付きリボン(14’)を含み、
第1ブラッシングアセンブリ(11)は、歯(2)の前庭面に作用するように配置され構成された複数の連続ブラシ付きリボン(14’)を含み、
第2ブラッシングアセンブリ(12)は、歯(2)の舌側面に作用するように配置され構成された複数の連続ブラシ付きリボン(14’)を含み、
第3ブラッシングアセンブリ(13)は、歯(2)の咬合面に作用するように配置され構成された複数の連続ブラシ付きリボン(14’)を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
電動ユニット(18)は、前後方向への清掃エレメントの傾斜運動を提供するように構成され、
前記清掃エレメントは、駆動シャフトおよびアイドルシャフトに設置され、
3つのブラッシングアセンブリ(11,12,13)の各々が1つの駆動シャフトにそれぞれ連結される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
連続ブラシ付きリボン(14’)のブラッシングアセンブリ(11,12,13)の駆動シャフトに従って配置された3つのスロットを備えたトランスミッションボックスをさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記電動ユニット(18)は、単一の電気モータと、前記モータによって発生した運動を前記3つのブラッシングアセンブリ(11,12,13)の全ての清掃エレメントに伝達するための
トランスミッションシステム(19)とを含み、
前記トランスミッションシステム(19)は、前記カバーケース(5)及び/又は前記ブラッシング装置(3)のアーチ状長手方向延長部の内側領域に従って設けられる、請求項1~8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記電動ユニット(18)及び/又は前記
トランスミッションシステム(19)は、歯の歯肉/歯冠からその頂点に向かう回転方向に従って、歯の前庭面に作用する第1ブラッシングアセンブリ(11)および歯の舌側面に作用する第2ブラッシングアセンブリ(12)の清掃エレメントの運動を生じさせるように構成される、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記カバーケース(5)は、そのアーチ状の長手方向延長部の内側領域に従って2つの部分(10’,10”)にさらに分割され、
前記2つの部分(10’,10”)は、前記付属品(6)に従って搭載されたピン(20)の周りで調整可能な方法で互いに関節接合される、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの長手方向に延長可能な部分(21)
は、ベローズ状に構成される、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の装置(1)と、下記アクセサリーのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする歯科クリーニングキット。
・前記装置(1)のカバーケース(5)およびブラッシング装置(3)の前記口腔内への挿入前に、前記装置のカバーケース(5)内に挿入され、及び/又は、口腔内に配置されるゲル化練り歯磨き剤(25)。
・前記装置(1)のカバーケース(5)に取り外し可能に挿入される歯ホワイトニング装置。
・前記装置(1)を消毒するための
消毒エレメント。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載の装置(1)と、下記のために前記装置(1)と電気的および機械的にインタフェース接続されるように構成されたベース装置(30)とを備えることを特徴とする歯科クリーニングキット。
・前記装置に設けられたバッテリを再充電すること、及び/又は、
・使用後に、前記装置(1)のカバーケース(5)およびブラッシング装置(3)を自動的に清掃すること、及び/又は、
・
前記装置(1)を消毒すること、及び/又は、
・ブラッシング装置(3)に従って、前記装置(1)のカバーケース(5)内に練り歯磨き剤(25)を位置決めすること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科衛生用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、歯ブラシに類似した歯科衛生用電気装置が知られ、市販されており、ブラシを備えたヘッドが電気モータによって回転及び/又は振動する。
【0003】
さらに、ブラシの動きが咬合によって延びる機械的作用、即ち、顎の下顎によって作用する機械的作用によって引き起こされる歯科衛生用装置が現在知られている。
【0004】
しかしながら、これらの既知の手法は、歯の表面での剛毛の動きが、歯の頂点から歯茎まで垂直に全体に延びており、歯茎の下に材料を運ぶため、完全に満足できるものでない。こうして歯肉感染症やその他の病気が発生する可能性があり、いずれの場合もこの清掃は最適ではない。
【0005】
さらに、こうした既知の装置は、不正咬合及び/又は歯の位置異常の場合、口腔の構造に外傷を引き起こす可能性があるため、使用できない。
【0006】
さらに、こうした既知の装置は、歯の表面を適切に濡らすための練り歯磨き剤を適切に使用することを許容しない。
【0007】
最後に、周知の装置は、一般に実用的ではないという事実がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、従来の手法に存在する前述した不具合を克服する歯科衛生用装置を提案することである。
【0009】
本発明の他の目的は、使用するのが容易で実用的で直感的で迅速である歯科衛生用装置を提案することである。
【0010】
本発明の他の目的は、全ての表面(前庭面、舌側面および咬合面)そして歯間空間において、全ての歯の正しく効果的で迅速かつ正確な清掃を実施する歯科衛生用装置を提案することである。
【0011】
本発明の他の目的は、異なるサイズ及び/又は形状の口蓋に適応可能な歯科衛生用装置を提案することである。
【0012】
本発明の他の目的は、歯から汚れを効果的かつ確実に除去するのを可能にする歯科衛生用装置を提案することである。
【0013】
本発明の他の目的は、使用する練り歯磨き剤の量を最適化する歯科衛生用装置を提案することである。
【0014】
本発明の他の目的は、歯の正しい湿潤を許容する歯科衛生用装置を提案することである。
【0015】
本発明の他の目的は、運動の自律性が欠如または減少している被験者でも使用するのに特に適した装置を提案することである。
【0016】
本発明の他の目的は、従来のものと比較して、構造および機能の両方の観点から、代替の特徴を備えた歯科衛生用装置を提案することである。
【0017】
本発明の他の目的は、簡単で速く低コストの方法で得られる歯科衛生用装置を提案することである。
【0018】
下記説明から生じるこれらの目的および他の目的の全てが、本発明に従って、独立請求項に規定される歯科衛生用装置および歯科クリーニングキットを用いて達成される。
【0019】
本発明に係る歯科衛生用、特に歯列弓の歯を清掃するための装置は、上顎歯列弓または下顎歯列弓の全ての歯を同時に包むように構成されたブラッシング装置を備え、該ブラッシング装置は、自由端を用いて前記歯を清掃するように構成された複数の可動清掃エレメントを含む。
【0020】
装置はさらに、カバーケースを備えた支持構造を備え、これは、口腔内に全体的に挿入されることを意図としており、前記ブラッシング装置をその中に支持し収容するように構成され、前記支持構造はさらに、カバーケース及び/又はブラッシング装置が取り付けられ、前記カバーケースが口腔内に位置決めされた場合、前記口腔内から少なくとも部分的に口裂を経由して少なくとも部分的に外に出ることを意図した付属品(appendix)を含む。
【0021】
さらに、装置は、前記清掃エレメントを運動可能に実装するように構成された電動ユニット(18)と、歯の前庭面に作用するように配置され構成された複数の清掃エレメントを含む少なくとも第1ブラッシングアセンブリと、歯の舌側面に作用するように配置され構成された複数の清掃エレメントを含む少なくとも第2ブラッシングアセンブリと、歯の咬合面に作用するように配置され構成された複数の清掃エレメントを含む少なくとも第3ブラッシングアセンブリと、を備える。
【0022】
一実施形態によれば、前記カバーケースは歯列弓の全ての歯を実質的に覆うための略アーチ状の長手方向延長部を有し、さらに、前記歯の前庭面、舌側面および咬合面を覆う凹状断面を有し、前記付属品は、前記装置を保持し移動するためのハンドルを画定し、前記電動ユニットおよび前記電動ユニットに給電するためのバッテリのためのケーシングを画定する。
【0023】
他の実施形態によれば、清掃エレメントは、複数の糸状エレメントが放射状に出発する長手方向延長部を備えたコアが設けられた回転ブラシを含み、第1ブラッシングアセンブリは、歯の前庭面に作用するように配置され構成された複数のブラシを含み、第2ブラッシングアセンブリは、歯の舌側面に作用するように配置され構成された複数のブラシを含み、第3ブラッシングアセンブリは、歯の咬合面に作用するように配置され構成された複数のブラシを含む。代替の実施形態では、糸状エレメントは、長手方向延長部とともにコアから螺旋のように半径方向に延びる。
【0024】
特に、3つのブラッシングアセンブリのブラシのコアは、歯列弓の延長部に沿って、互いに略平行である個々の方向に沿って長手方向に延びる。
【0025】
一実施形態では、前記ブラシのコアは、長手方向に延長可能/圧縮可能である。
【0026】
他の実施形態によれば、清掃エレメントは、連続式ブラシ付きリボンを含み、第1ブラッシングアセンブリは、歯の前庭面に作用するように配置され構成された複数の連続式ブラシ付きリボンを含み、第2ブラッシングアセンブリは、歯の舌側面に作用するように配置され構成された複数の連続式ブラシ付きリボンを含み、第3ブラッシングアセンブリは、歯の咬合面に作用するように配置され構成された複数の連続式ブラシ付きリボンを含む。
【0027】
特に、電動ユニットは、前後方向への清掃エレメントの傾斜運動を提供するように構成され、前記清掃エレメントは、駆動シャフトおよびアイドルシャフトに設置され、3つのブラッシングアセンブリの各々が1つの駆動シャフトにそれぞれ連結される。
【0028】
一実施形態によれば、装置はさらに、連続式ブラシ付きリボンのブラッシングアセンブリの駆動シャフトにそれぞれ配置された3つのスロットを備えたトランスミッションボックスを備える。
【0029】
更なる実施形態によれば、電動ユニットは、単一の電気モータと、前記モータによって発生した運動を前記3つのブラッシングアセンブリの全ての清掃エレメントに伝達するためのトランスミッションシステムとを含み、前記トランスミッションシステムは、前記カバーケース及び/又は前記ブラッシング装置のアーチ状長手方向延長部の内側領域に設けられる。
【0030】
詳細には、電動ユニット及び/又は前記トランスミッションシステムは、歯の歯肉/歯冠からその頂点に向かう回転方向に従って、歯の前庭面に作用する第1ブラッシングアセンブリおよび歯の舌側面に作用する第2ブラッシングアセンブリの清掃エレメントの運動を生じさせるように構成される。運動は、咬合面でも伝達できる。
【0031】
一実施形態によれば、前記カバーケースは、そのアーチ状の長手方向延長部の内側領域で2つの部分にさらに分割され、前記2つの部分は、前記付属品に搭載されたピンの周りで調整可能な方法で互いに関節接合される。代替として、システムは、前記ピンを省略でき、運動または傾斜の効果は、材料自体の特性に起因した材料柔軟性によって提供できる。
【0032】
更なる実施形態によれば、カバーケースは、好ましくはベローズのように構成された、少なくとも1つの長手方向に延長可能な部分を含む。
【0033】
他の実施形態では、各ハーフアーチは「糸切り歯の形状」で終わり、そこからハーフアーチの全長を覆うことを目的として、異なる寸法の2つの付属品のうちの1つを組み立て可能である。(2つの異なる寸法の)各付属品は、対応する清掃エレメント、即ち、ブラシ式エレメントを含む。付属品は、ベローズのような延長可能/圧縮可能なエレメントをその構造内で受け入れる。
【0034】
本発明に係る歯科クリーニングキットは、前の実施形態のうちの1つに係る装置と、下記アクセサリーのうちの少なくとも1つとを備える。
・前記装置のカバーケースおよびブラッシング装置の前記口腔内への挿入前に、前記装置のカバーケース内に挿入され、及び/又は、口腔内に配置されるゲル化練り歯磨き剤。
・前記装置のカバーケースに取り外し可能に挿入される歯ホワイトニング装置。
・前記装置を消毒するための、好ましくは使い捨てタイプの消毒エレメント。
【0035】
他の実施形態によれば、練り歯磨き剤は、清掃エレメント、即ち、ブラシ式エレメントに噴霧できる。
【0036】
本発明に係る歯科クリーニングキットは、前の実施形態のうちの1つに係る装置と、下記のために前記装置と電気的および機械的にインタフェース接続されるように構成されたベース装置とを備える。
・前記装置に設けられたバッテリを再充電すること、及び/又は、
・使用後に、前記装置のカバーケースおよびブラッシング装置を自動的に清掃すること、及び/又は、
・好ましくは、紫外線によって前記装置を消毒すること、及び/又は、
・ブラッシング装置において、前記装置のカバーケース内に練り歯磨き剤を位置決めすること。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、添付図面を参照して、純粋に非限定的な例として与えられたその好ましい実施形態のいくつかにおいて、以下でさらに明確になるであろう。
【0038】
【
図1】口腔内に挿入された、本発明に係る装置の斜視図を示す。
【
図3】透明な支持構造の付属品のケーシングとともに、口腔内においてブラッシング装置およびトランスミッションシステムの半分を斜視図で示す。
【
図4】口腔内において、その垂直断面に係る装置を示す。
【
図5】口腔内において、ブラッシング装置の半分が取り外された装置を斜視図で示す。
【
図6】透明なカバーケースとともに、口腔内において
図5と同じ状態の装置を平面図に従って示す。
【
図7】コンパクト構成のブラッシング装置のブラシを正面図で示す。
【
図9】練り歯磨きシートが付着した下顎歯列弓を斜視図で示す。
【
図10】凹面が上向きである本発明に係る装置の単独の支持構造を斜視図で示す。
【
図11】本発明に係るベース装置(ドック)を概略斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図から判るように、本発明に係る歯科衛生用装置1、特に歯2を清掃するための装置1は、上顎歯列弓または下顎歯列弓、好ましくは一度に1つの歯列弓の全ての歯を同時に実質的に包むように構成されたブラッシング装置3を備える。
【0040】
好ましくは、装置は、一度に1つの歯列弓にのみ作用できる。
【0041】
適切には、ブラッシング装置3は、前記装置が適用されるのを意図した歯列弓のものに実質的に続く湾曲した長手方向延長部を有する。
【0042】
好ましくは、カバーケースは、以下の利点のために、さらに2つのハーフアーチに分割されている。
・アーチへの挿入の容易さの向上
・咀嚼面の異なる高さでの適応性
【0043】
2つのハーフアーチは、インターロッキングジョイントシステムによって接合される(特定の歯科セクターの寸法を維持するため)。特に、2つのハーフアーチは、アーチ全体を形成するためのジョイントである。
【0044】
装置1はさらに、支持構造4を備え、これは、下記を含む。
・前記装置の使用時に、口腔内に挿入されることを意図したカバーケース5。
・カバーケース5に取り付けられ、及び/又は、カバーケース5から出発する付属品6。これは、前記装置の使用時に、口腔内から少なくとも部分的または全体的に口裂を経由して少なくとも部分的に外に出ることを意図している。
【0045】
適切には、ブラッシング装置3は、カバーケース5内に支持され収容され、そのため口腔内に挿入/位置決めされた場合、前記装置は、分離/隔離され、特に、舌7および唇の内面と接触しないようになり、それによりそれらの保護を可能にする。適切には、カバーケース5は、ブラッシング装置3を、外側で(そして大部分または完全に)包み、さらに、上顎歯列弓または下顎歯列弓の全ての歯、好ましくは、一度に1つの歯列弓を同時に包むようにした構成を有する。
【0046】
有利には、カバーケース5は、ブラッシング装置3が収容される内部コンパートメント8を画定する保護シースを備える。適切には、内部コンパートメント8は、歯の挿入通路2を画定するために外向きに開放している。
【0047】
好都合には、カバーケース5は(好ましくは付属品6も)、生体適合性ポリマー材料で製作される。
【0048】
好都合には、カバーケース5は、歯列弓の全ての歯を実質的に覆うように、好ましくは略「U」字形状を規定するように、実質的にアーチ状の長手方向延長部を有する。適切には、カバーケース5の長手方向端部は、略ドーム状のセクション9を有する。
【0049】
好都合には、カバーケース5は、好ましくは、歯の前庭面、舌側面および咬合面を覆う略「U」字形状を規定するように、凹状断面を有する。
【0050】
適切には、カバーケース5の凹状断面(ケーシングが口腔内に挿入されて上顎歯列弓に作用する場合は上向きであり、代わりにケーシングが口腔内に挿入されて下顎歯列弓に作用する場合は下向きになる)は、ブラッシング装置3が収容され支持されている前記コンパートメント8を区切る。
【0051】
好ましくは、付属品6およびカバーケース5は、実質的に同一平面上にあり、特に、付属品6は、カバーケース5の中間軸に沿って、そのアーチ状の延長部に対して外側に延びる。
【0052】
好ましくは、カバーケース5は、そのアーチ状の長手方向延長部に沿って、わずかに間隔を空けて配置された2つの別個の部分10'および10''からなり、これらは、その中間軸(即ち、ケーシングが口腔内に挿入される場合、2つの中央切歯の間を実質的に通過する軸)に対して実質的に対称である。
【0053】
好都合には、付属品6は、実質的に箱型であり、これは、装置1が使用される場合(即ち、カバーケース5が口腔内に挿入される場合)、唇の間に包囲され、前記空洞の外側に少なくとも部分的に出ている。
【0054】
好ましくは、前記付属品6は、少なくとも部分的に、装置1全体を保持するとともに、ブラッシング装置3とともに口腔内でのカバーケース5を配置したり、そこから除去することを可能にするハンドルを画定する。
【0055】
適切には、ブラッシング装置3は、3つのブラッシングアセンブリを含み、特に下記を含む。
・歯の前庭面および2つの隣接する歯の前庭面の間に存在する隙間空間に作用するように配置され構成された第1ブラッシングアセンブリ11。
・歯の舌側面および2つの隣接する歯の舌側面の間に存在する隙間空間に作用するように配置され構成された第2ブラッシングアセンブリ12。
・歯の咬合面および2つの隣接する歯の咬合面の間に存在する隙間空間に作用するように配置され構成された第3ブラッシングアセンブリ13。
【0056】
適切には、歯の咬合面と接触することを意図した領域と実質的に反対の領域において、第3ブラッシングアセンブリ13は、カバーケース5の凹面の底部によって外部から覆われる。適切には、歯の前庭面および舌側面とそれぞれ接触することを意図した領域と実質的に反対の領域において、第1および第2ブラッシングアセンブリ11,12は、カバーケース5の凹面の、互いに向かい合う個々の側部によって外部から覆われる。
【0057】
適切には、各ブラッシングアセンブリ11,12,13は、1つ以上の清掃エレメント、例えば、互いに整列した1つ以上のブラシ14、または1つ以上の連続ブラシ付きリボン14’を備える。各ブラッシングアセンブリ11,12,13は、以下に説明するように、対応する駆動シャフトが取り付けられている。
【0058】
図2に示すように、ブラシ14を使用する場合、ブラッシングアセンブリ11,12,13の各ブラシ14は、中心コア15(好ましくは細長い本体によって画定される)を備え、そこから前記ブラシの毛を適切に画定する複数の糸状エレメント16が半径方向に出発する。
【0059】
好都合には、糸状エレメント16は、中心コア15に拘束され、好ましくは固定される。好ましくは、糸状エレメント16は、高い生体適合性のポリマー材料で製作される。
【0060】
適切には、各ブラシ14は、互いに同一平面上にあり、中心コア15の長手方向延長部に沿って間隔を空けて配置された糸状エレメント16の複数のセット17を備える。好ましくは、各セット17内で、糸状エレメント16は、互いに等しい空間および角度に位置する。特に、各セット17内では、複数の(より高密度の)糸状エレメントが設けられ、好ましくは複数の長手方向軸(コア)上に配置される。好ましい実施形態では、中心コア15から半径方向に延びており、互いに90°の角度を規定する4つの同一平面糸状エレメント16が設けられる。他の実施形態(不図示)では、糸状エレメント16は、螺旋状経路を定義するように、中心コア15に拘束できる。
【0061】
好ましくは、各アセンブリ11,12,13内では、ブラシ14のコア15は同軸である。
【0062】
適切には、糸状エレメント16の自由端/端部は、清掃対象の歯の表面及び/又は歯間空間に接触することを意図している。
【0063】
適切には、3つのブラッシングアセンブリ11,12,13のブラシ14のコア15は、互いに略平行である方向に沿って長手方向に延びている。好ましくは、3つのアセンブリのブラシコア15は全て、歯列弓の延長部に沿って平行に延びている。
【0064】
特に好都合には、本発明に係る装置1において、
・第1ブラッシングアセンブリ11のブラシのコア15は、歯の前庭面に面して平行であり、さらに適切には、歯の高さの延長部に対して角度が付いている(好ましくは垂直)。
・第2ブラッシングアセンブリ12のブラシのコア15は、歯の舌側表面に面して平行であり、さらに適切には、歯の高さの延長部に対して角度が付いている(好ましくは垂直)。
・第3ブラッシングアセンブリ13のコア15は、歯の咬合面に面して平行であり、さらに歯列弓のアーチ状延長部に沿って整列している。
【0065】
適切には、支持体27は、ブラッシングアセンブリのブラシ14のコア15を(好ましくは取り外し可能に)搭載するために、カバーケース5の内面に設けられる。
【0066】
適切には、装置1は、前記付属品6の内部に好都合に収容される電動ユニット18をさらに備え、これは、適切な運動トランスミッションシステム19によって、3つのブラッシングアセンブリの清掃エレメントに接続され、それらの運動を生じさせる。
【0067】
清掃エレメントとしてブラシ14を使用する特定の場合は、好ましい形態で、好ましくは超音波振動を発生することによって、長手方向に作用できる追加のコアが追加される。
【0068】
好都合には、電動ユニット18は、好ましくは約10~50rpm、好ましくは約30rpmの回転速度を備えた少なくとも1つの電気モータを含む。適切には、電動ユニット18は、超音波モータ及び/又は圧電モータを含むことができる。
【0069】
適切には、電動ユニット18は、好ましくは、前記付属品6に設けられたコンパートメント内部に収容されるバッテリによって規定される内部電源(不図示)に接続される。好都合には、前記付属品6は、前記バッテリを充電するための外部電源に装置1を接続するためのコネクタ、例えば、USBインタフェースを備えることができる。
【0070】
好都合には、制御ユニットまたはコントローラ(不図示)は、電動ユニットを制御するために、前記付属品6に収容される。好ましくは、前記コントローラは、内部電源及び/又は電動ユニット18に接続されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)である。好都合には、受信機(例えば、ブルートゥース(登録商標)端末)は、外部から(好ましくは携帯機器(例えば、スマートフォン)を介して)電動ユニット18をプログラミングするためのコマンドを受信するために、前記制御ユニットに接続された前記付属品6の内部に収容される。
【0071】
適切には、トランスミッションシステム19は、例えば、電動ユニット18のモータによって発生した回転を中心コア15に伝達するための一連のギアを備え、例えば、電動ユニット18のモータによって発生した回転をブラシ14の中心コア15に伝達して、コア自体および、それに装着された糸状エレメント(毛)16の回転を生じさせる。
【0072】
好ましくは、前庭口蓋直径の正確な適合のために、トランスミッションシステムは、ワッシャ(または歯車)の代替として、駆動ベルトの使用によって変更している。ブラッシング装置のコアに作用する「エンド」ベルトは、毛の列の間に散在している(螺旋状に配置され、または歯の表面に対して垂直に配置されるかに拘らず)。
【0073】
従って、本質的には、電動ユニット18のモータを駆動することによって、3つのブラッシングアセンブリ11,12,13の清掃エレメントの運動を同時に生じさせ、清掃エレメントの自由端の作用は、歯および相対歯間空間の対応する表面上で行われる。例えば、清掃エレメントとしてブラシ14を使用する場合、電動ユニット18のモータを駆動することによって、3つのブラッシングアセンブリ11,12,13のブラシ14の回転を同時に生じさせ、糸状エレメント16の作用は、歯および相対歯間空間の対応する表面上で行われる。
【0074】
好ましくは、電動ユニット18のモータ及び/又はトランスミッションシステム19は、清掃エレメントの運動、例えば、第1ブラッシングアセンブリ11(歯の前庭面に作用する)および第2ブラッシングアセンブリ12(歯の舌側面に作用する)のブラシ14の回転が歯の歯肉/歯冠からその頂点に向かう方向に従って生ずるように構成される。
【0075】
適切には、清掃エレメントとしてブラシ14を使用する場合、電動ユニット18のモータ及び/又はトランスミッションシステム19は、中心コア15の長手方向延長部に対応する回転軸の周りのブラシ14の糸状エレメント16の全回転(即ち、360°。よって単一の回転方向)を生じさせるように構成される。適切には、他の実施形態では、電動ユニット18のモータ及び/又はトランスミッションシステム19は、中心コア15の長手方向延長部に対応する前記回転軸の周りで、糸状エレメント16の不完全な回転(例えば、180°以下。よって交互の回転方向)を生じさせるように構成され、これにより前記糸状エレメントの実質的に起伏のある動きで歯に作用する。
【0076】
適切には、歯の前庭面に作用する第1ブラッシングアセンブリ11および歯の舌側面に作用する第2ブラッシングアセンブリ12は、歯列弓全体に渡って延びており、一方、第3ブラッシングアセンブリ(咬合面で作用する)は、歯列弓延長部に渡って延びていないが、小臼歯および大臼歯、そしてせいぜい犬歯の咬合面にのみ作用するように構成される(即ち、配置され延びている)。
【0077】
従って、実質的には、ブラッシング装置3は、使用中(即ち、ブラッシング装置3およびカバーケース5が口腔内に挿入された場合)、切歯、ある場合には犬歯において、第1ブラッシングアセンブリ11と第2ブラッシングアセンブリ12だけが作用するように構成される。
【0078】
従って、好都合には、トランスミッションシステム19は、支持構造4の内部に収容され、そのため、ブラッシング装置3およびカバーケース5が口腔内に挿入された場合、それらは、切歯に実質的にまたがる(即ち、第1および第2ブラッシングアセンブリ11,12だけが設けられ、第3ブラッシングアセンブリ13が設けられない領域において)。好ましくは、トランスミッションシステム19は、カバーケース15の内側軸に位置決めされ、特に、カバーケース5を規定し、付属品6が出発する前述の2つの部分10’,10”の間に設けられた空間に位置決めされる。
【0079】
適切には、カバーケース5の内面上に、各ブラッシングアセンブリ11,12,13について、各アセンブリの清掃エレメントの端部から、例えば、ブラシ14の糸状エレメント16から、捕捉された廃棄物の除去および収集のための対応する領域(不図示)が設けられる。好ましくは、前記除去および収集領域は、各ブラッシングアセンブリ11,12,13のブラシ14の回転方向に従って、歯2の下流側にある位置でカバーケース5の内面に画定/提供される。好都合には、各領域は、糸状エレメント16の端部と協働して、対応する歯の表面との接触の結果として前記エレメント自体が除去した廃棄物を後者から除去するような突出セクション(リブまたはスラット)を備える。
【0080】
ブラシ14の使用の代替または追加として、各ブラッシングアセンブリ11,12,13は、清掃エレメントとして連続ブラシ付きリボン14’を含むことができ、各リボンは、ブラッシングアセンブリの支持構造に接続された第1端部を含み、それにそれが装着されており、そして歯を清掃するための第2自由端を含む。原則として、装置1は、全てが複数のブラシ14を含み、または全てが複数の連続ブラシ付きリボン14’を含むブラッシングアセンブリ11,12,13からなることができる。しかしながら、装置1がブラッシングアセンブリ11,12,13の組合せからなり、幾つかは複数のブラシ14を含み、他は複数の連続した連続ブラシ付きリボン14’を含む構成も想定できる。例えば、2つのブラッシングアセンブリがブラシ14を含み、あるアセンブリが連続ブラシ付きリボン14’を含み、またはその逆でもよい。
【0081】
図14と
図15に示すように、装置1の幾何形状は、解剖学的変動に適応する高い能力を有し、作用面(清掃)をさらに増加するように僅かに変更されている。この能力は、前後方向での清掃エレメント、即ち、連続リボン14’の傾斜運動を決定する可能性に起因して得られる。連続ブラシ付きリボン14’は、駆動シャフトおよびアイドルシャフトに搭載される(不図示)。両方とも傾斜支持体(咀嚼面上)に搭載され、解剖学的変動へのより大きな適応を達成する。そして傾斜支持体は、装置1に固定される。傾斜運動は、ブラッシングアセンブリに取り付けられたローラーシステムによって発生する回転または半回転の運動に連結できる。
【0082】
装置1は、(外部)モータから清掃エレメントに運動を伝搬する全ての機構および機構エレメントを有するトランスミッションボックス(不図示)を備える。この運動を可能にするために、ボックスには、連続ブラシ付きリボン14’の駆動シャフトに配置された3つのスロットが装備される。これらのシャフトは、粘膜歯肉接合部(前庭側)、歯肉-口蓋接合部(舌側)の施術領域内、そして咀嚼面での運動のための歯冠レベルに配置される。
【0083】
運動経路に続いて、モータピニオンは、2本のアルキメデス・スクリューを同じ軸に沿って回転可能に配置する長手方向シャフトと直接にインタフェース接続される(「オス-メス」インターロック)。これらのスクリューは、その前方で反時計回りに配置され、目的地において、連続ブラシ付きリボン14’が根尖歯冠(apical-coronal)方向に存在できるような動きを有する。口蓋側に配置されたシリンダは、時計回り方向に行って、動きを逆転させ、根尖歯冠方向を維持する。この場合、咀嚼面の回転方向は無関係である。
【0084】
フロントシリンダは、第2歯車と連続している歯車(直接にインタフェース接続される)に運動を伝達する。
【0085】
第2歯車は、駆動シャフトとの連絡のためにスロットに設置された追加の歯車に運動を伝達する。この時点で、運動の伝達は、駆動シャフトと同軸に第3歯車を見つける歯付きベルトを経由して行われる。後者は、第1ブラシエレメントの駆動シャフトと同軸であり、2つのエレメント間の関係は、「オス-メス」タイプであり、ユーザが単一ハーフアーチを使用できるようにする。
【0086】
リアシリンダもまた、運動を歯車に伝達し、それと直接にインタフェース接続している。この歯車は、2つの歯車と(同軸)連続している。一方は、運動が咀嚼面駆動シャフトに提供され、他方は、前庭(フロント)側と同じ手法を用いて、運動を歯肉-口蓋境界の駆動シャフトに供給する。
【0087】
運動は、作用領域内のこれらの経路を経由して到達し、歯の表面での作用によって3つの駆動シャフトに正しく伝達される。
【0088】
特に、連続ブラシ付きリボン14’は、ユニバーサルジョイントと同様のジョイントを経由して互いに接続されたスライディングローラに搭載される。他のローラ(歯の咀嚼エッジのレベルにある)は、アイドル状態である。
【0089】
トランスミッションシステムに関して、本発明に係る装置1は、その中に配置された可撓性の2次シャフトを含むことができる。これらの可撓性の2次シャフトは、歯列弓の輪郭に追従し、歯および歯肉の近くでいろいろな特性平面での回転運動を発生する役割を有する。これらの可撓性シャフトは、例えば、回転する可動式清掃エレメントと一体的に固定され、これは、歯および歯肉を清掃する機能を実行し、上述したように、種々の形態、即ち、ブラシ14、連続ブラシ付きリボン14’、スライドなどを有することができる。
【0090】
運動は、トルクを発生できる1つ以上の駆動装置、典型的には電気モータに接続された、1つ以上の1次シャフトによってこれらの可撓性シャフトに伝達できる。装置1は、好ましくは、口腔の外側に位置決めされる。
【0091】
1次シャフトは、トルクを伝達できるジョイントまたはトランスミッションシステムによって、可撓性の2次シャフトに運動を伝達する役割を有する。
【0092】
第1の構成では、可撓性2次シャフトは、口腔の外側に延びており、そこで、1次トランスミッションシャフトを備えた同数の駆動装置を備えた、例えば、角柱形状の取り外し可能ジョイントによって一体化される。典型的には、各可撓性シャフトは、独立した角柱形状ジョイントによって一体化される。
【0093】
第2の構成では、1次シャフトは、モータに確実に固定され、そこから回転する。特に、可動部品間の接触を実現する必要なしで、磁気ジョイントによって2次シャフトに連結される。これらの磁気ジョイントは、1次シャフトおよび2次シャフトの両方で実現される交互配列の極を備えた永久磁石で構成され、1次シャフトの回転時に隣接磁石間で発生する後続の引力と斥力の相互作用によってトルクの伝達を実現する。
【0094】
第3の構成では、1次シャフトは、モータに確実に固定され、そこから回転する。これは、ギアカスケードによって2次シャフトに連結され、これは、必要に応じて適切なトランスミッション比によって2次シャフトの回転速度を変更できる。
【0095】
好都合には、本発明に係る装置1は、ブラッシング装置3およびカバーケース5のアーチ状長手方向延長部の長さを実質的に変更するように、及び/又は、前記長手方向延長部の曲率(即ち、ブラッシング装置3の個々の端部とカバーケース5との間に定義される距離/角度)を変更するように構成される。こうして装置自体の適合がいろいろな長さ及び/又は幅の口蓋に対して可能になる。
【0096】
適切には、カバーケース5の2つの部分10’および10”は、前記付属品6に好都合に位置決めされる関節ジョイント20(好ましくは、トロイダルジョイント)で互いに関節接合される。さらに、好都合には、前述の2つの部分10および10’は、カバーケース5と前記関節ジョイント20との間に位置決めされ、その上に位置決めされた歯車29によって調整可能であるスクリューによって共に接合され、これにより、コンパスのロッドの開口部の調整と実質的に同様の方法で、それらの相互距離(従って、装置1の幅)を変更することが可能になる。
【0097】
カバーケース5は、少なくとも1つの長手方向延長可能部分21を有し、これは、好ましくは、前記ケーシングの長さの延長を可能にするように、延長可能及び/又は圧縮可能な部分(即ち、アコーディオン状の折り畳みケーシングによって形成される)を備えた形状を有する。好ましくは、ベローズ領域が、前記カバーケース5を画定する2つの部分10’および10”の各々に設けられる。好ましくは、ベローズ領域は、カバーケース5のある領域で画定され、後者が歯列弓の内側に挿入された場合、それは、最も外側の犬歯と、前記ケーシングを画定する2つの部分10’および10”の各々の半アーチ状長手方向延長部の中点との間に位置決めされる。好ましくは、ケーシングは、毛による汚れの除去をさらに促進するように穿孔される。
【0098】
好都合には、カバーケース5は可撓性材料で製作され、従って、前記ケーシングに搭載されるブラッシングアセンブリ11,12は、前記アセンブリの間に挿入される歯のサイズに応じて相互に間隔を空けることができる。
【0099】
好都合には、ブラッシングアセンブリ11,12,13の清掃エレメントは、長手方向に延長可能である。適切には、このために、ブラシ14を使用する場合、ブラシ14の中心コア15は、好ましくは拡張可能及び/又は圧縮可能な部分を備えたタイプの延長可能な構成を有する。従って、本質的には、ブラシ14のコア15は、少なくとも1つの延長可能な構成(
図8を参照。放射状糸状エレメント16の隣接連続部17は、支持中心コアの長手方向延長部に沿ってさらに間隔が空いている)と、よりコンパクトな構成(
図7を参照。放射状の糸状エレメント16の隣接連続部17は、支持中心コアの長手方向延長部に沿って共に接近している)との間で移動可能である。好ましくは、糸状エレメントは、コアの長手方向長さ全体に渡って、同じ比率及び/又は分布及び/又は密度を維持する。同様に、連続ブラシ付きリボン14’は、延長可能な構成、好ましくは延長可能及び/又は圧縮可能な部分を備えたタイプの長手方向支持構造(中心コアとしても定義される)に接続できる。
【0100】
好ましくは、頑丈さの理由のため、ブラシ14のコア15の端部または連続ブラシ付きリボン14’のコアだけが延長可能である。好ましくは、コア全体が、(ブラシ14またはリボン14’の)糸状エレメントがコアの長手方向の長さ全体に渡って同じ比率及び/又は分布及び/又は密度を維持するという利点を確保するために延長可能である。特に、長さの差(延長または収縮)は、関係するセクションだけでなく、長手方向の長さ全体に分布する。
【0101】
好都合には、口腔内に挿入する前に、ブラッシングアセンブリ11,12,13の清掃エレメントおよびカバーケース5は、完全に延長/伸長され、それらが口腔内に入ると、ユーザは、(例えば、ケーシングに作用して歯列弓に押し付けることによって)下顎に接触するまでその延長を減少させるように行うことができる。従って、この時点だけ、電動ユニット18のモータが起動され、清掃エレメントの運動、例えば、(糸状エレメント16の自由端によって)歯2に作用するブラシ14の回転を生じさせる。
【0102】
好ましくは、適応は、他の装置(「プレート」)を用いた歯列弓の記録(データ収集)の後にでも行うことができる。データは、基地局(ドック)に送信され、これは、収集したデータに基づいて装置のモデル化に進む。
【0103】
特に、「プレート」として示される装置は、スクリーンを備えることができ、付属品は、中央本体に組み立てられるように示され(各ハーフアーチに1つ)、それが挿入されることを意図した歯列弓の生体構造および条件/特性に装置を適合させる。
【0104】
好都合には、装置1はさらに、装置自体を、それが挿入されることを意図した口腔の生体構造および状態/特性に適合させるための自己調整空気圧装置(不図示)をさらに備えることができる。好ましくは、空気圧装置はまた、カバーケース5の内部に収容され、前記装置の種々のブラッシングアセンブリ11,12,13の清掃エレメントを歯2の個々の表面に対して圧縮することによってブラッシング装置3を安定化するように構成される。
【0105】
好都合には、空気圧装置は、好ましくはモジュール式の膨張可能な構造を備え、これは、コンプレッサに接続されて前記構造の膨張を生じさせ、好ましくは、膨張(したがって、コンプレッサの起動及び/又は構造との接続)は、予め定めた圧力レベルに達すると自動的に中断される。適切には、このように膨張した構造は、歯間の位置変動、またはそれらの最終的な欠如を克服でき、そして歯列弓へのブラッシング装置3のより大きな固定を可能にする。適切には、空気圧装置は、制御ユニットに接続され、その起動/非活性化も制御する。
【0106】
好都合には、カバーケース5の内面には、装置1を消毒するための消毒エレメントを位置決めするための台座が設けられる(不図示)。適切には、こうした消毒エレメントは、フィルム状の形状である。好ましくは、消毒エレメントは、清掃エレメントの運動に従って、例えば、各ブラッシングアセンブリ11,12,13のブラシ14の回転方向に従って、歯2の上流にある位置にカバーケース5の内面に設けられる。
【0107】
好都合には、この消毒エレメントは、清掃エレメント、例えば、ブラシ14の糸状エレメント16の自由端と接触するとき、好ましくは、後者の回転が口腔の内部および外部の両方で起動された場合(即ち、歯の清掃するための使用の前/後)に、放出される適切な消毒物質を含む。
【0108】
好ましくは、カバーケース5は、消毒エレメントを除去/放出するため、及び/又は、主に廃棄物を除去するために、複数の穿孔(不図示)を含む。
【0109】
適切には、本発明はまた、装置1と、前記装置を消毒するためにカバーケース5の内部に挿入される消毒エレメント(好ましくは使い捨て)とを含むキットに関する。
【0110】
好都合には、本発明はさらに、上述したデバイス1と、ゲル化練り歯磨き剤25とを含むキットに関する。好ましくは、この歯磨き剤25は、歯列弓のアーチ状延長部に実質的に対応する形状を有する練り歯磨きシートを含む(
図9参照)。適切には、練り歯磨きシート25は、適切な歯のクリーニングに必要な量に好都合に対応する所定量の練り歯磨きを含む。
【0111】
適切には、練り歯磨きシート25は、装置1を挿入する前に口腔内に挿入可能であり、上下の歯列弓の対応する対向歯の間で粉砕できる。さらに、使用前に清掃エレメントの毛本体の上に配置でき、さらに充電ステーション(ドック)によって自動化した方法でさらに付与できる。
【0112】
適切には、ゲル化練り歯磨き剤25(特に練り歯磨きシート)は、ブラッシングアセンブリ11,12,13の間に、カバーケース5内に塗布/配置でき、その結果、その塗布が装置1を口腔内に挿入した後に行われる。
【0113】
好都合には、前述したキットはまた、カバーケース5の内部に取り外し可能に挿入/位置決めされる歯ホワイトニング装置(不図示)を備えることができる。好ましくは、この歯ホワイトニング装置は、ブラッシング装置3の代わりにカバーケース5の内部に収容でき、従って、前者の挿入/位置決めは、後者の取り外しに劣後し/後続するものである。適切には、ホワイトニング装置は、カバーケース5の内部に挿入/収容される歯ホワイトニング剤を活性化する一連の光源(好ましくはLED)を備える。
【0114】
適切には、本発明はまた、電動ユニット18に給電するために、装置1に設けられたバッテリを再充電するように構成されたベース装置30(ドックとも呼ばれる)に関する。
【0115】
好都合には、前記ベース装置30はまた、使用後に装置1を清掃し、及び/又は、装置1を(好ましくは紫外線によって)消毒し、及び/又は、歯磨き粉シート25を装填するように構成される。
【0116】
特に、このベース装置30は、メイン電源または他の電源に適切に接続可能な従来型のバッテリ充電器を備える。適切には、前記ベース装置30はさらに、プロセッサを備える。
【0117】
適切には、ベース装置30は、前記充電器が収容され、装置の受け入れ支持体(好ましくはキャリッジに搭載される)を取り外すための開放ドア32を備えたケース31を備える。
【0118】
適切には、ベース装置30はさらに、装置1のために、および前記装置の内部バッテリを充電状態に維持するための内部ハウジング35を備える。
【0119】
好都合には、本発明はさらに、シリコーンでコートされたプレート(不図示)をさらに備え、これは、その中に力センサ、圧力センサ及び/又は変形センサ(例えば、静電容量式または圧電式)のグリッドを含む。特に、いったん口腔内の歯列弓に挿入されると、プレートは、グリッドセンサで歯自体によって受ける圧力に基づいて、分析中の歯列弓の歯の位置を検出する。適切には、プレートは、装置1に機械的および電気的に接続可能であり、そのため後者のバッテリがプレート自体のセンサに給電できる。好都合には、プレートは、実行されたデータの収集の結果を自己のディスプレイに表示する。適切には、グリッドセンサは、装置の制御ユニットに電気的に接続され、従って、好都合には、前記センサによって行われた測定値を表す信号は、コントローラに保存され、及び/又は、それらの処理のためにベース装置30に無線で送信される。
【0120】
適切には、ベース装置30のプロセッサの内部には、前記センサによって得られた測定値に基づいて、歯列弓の寸法を提供するように構成されたソフトウェアがロード及び/又は実行される。特に、前記ソフトウェアによって計算されるパラメータは、例えば、歯列弓の長さ、前後方向直径、横方向直径および、歯列弓上の特定の予め定めた検出ポイント(ランドマーク)での曲率角を含む。
【0121】
好都合には、前述のように、ベース装置30は、内部ハウジング35を備え、これは、好ましくは、その予め定めた検出ポイント(ランドマーク)のいくつかにおいて装置と係合するための支持体36が設けられる。
【0122】
好都合には、センサによって得られた測定値およびソフトウェアによって計算されたパラメータに基づいて、装置が係留される支持体36が移動して、装置自体のアーチ状長手方向延長部の長さ及び/又は前記アーチ状長手方向延長部の曲率を調整する。
【0123】
好都合には、ベース装置30の内部には、挿入時に装置1に作用するように構成された清掃部材(例えば、剛毛/繊毛体)が設けられ、装置内に設けられた内部ハウジングコンパートメント35の内部でカバーケース5の凹面は上向きである。適切には、ベース装置30は、清掃部材を互いに直交する3つの軸に沿って移動させ、装置1のアーチ状長手方向延長部全体に沿って前方に移動させて、ケース5の内部に堆積した廃棄物を除去する。特に、こうして清掃部材は、廃棄物を、そのカバーケース5に設けられた孔を経由して装置1から排出し、前記ベース装置30に設けられた適切なリザーバに蓄積させる。
【0124】
好都合には、ベース装置30はまた、挿入された場合に紫外線を装置1の全側面に送るように構成された少なくとも1つの紫外線源を備え、 装置内に設けられた内部ハウジングコンパートメント35の内部で保護ケース5の凹面は上向きである。
【0125】
好都合には、ベース装置30はまた、挿入された場合に歯磨き粉シート35をブラッシング装置3に付与するための部材(例えば、ヘッド)を備え、 装置内に設けられた内部ハウジングコンパートメント35の内部でカバーケース5の凹面は上向きである。
【0126】
適切には、ベース装置30との組合せで装置1の使用により、種々の段階の全てを自動化することを可能にし、また、ユーザによる装置の活動部分(即ち、ブラッシング装置3およびカバーケース5)の実質的な接触を回避できる。
【0127】
適切には、ベース装置30は、外部モバイルデバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレット)と無線で接続するための手段が設けられ、それによりデータの交換及び/又は前記装置のコマンドおよび設定を可能にする。
【0128】
適切には、本発明はまた、上述のようなベース装置30および装置1を含むキットに関する。
【0129】
上記から本発明に係る装置は、下記の点で従来の手法と比較して特に好都合であることが明らかである。
・歯列弓全体を最適かつ迅速に清掃できる。特に、全ての歯の表面そして全ての相対歯間空間でのブラッシングアセンブリの組合せ同時作用により、正しい歯科衛生が得られ、手動の口腔衛生に起因した一般的な処置誤りを回避でき、特に短い治療時間(例えば、各歯列弓につき約15秒)で済む。
・使用するのが簡単かつ容易であり、また連続的動作を必要としないことは、運動を欠如しまたは低い運動範囲の人であって使用に特に適している。
・いろいろな構成およびサイズの口腔に適応可能であり、極めてカスタマイズ可能である。
・歯磨き粉カプセル、消毒フィルムなどのアクセサリーを使用でき、より容易にかつ有効に使用できる。
【0130】
本発明はまた、さらに関連するデバイスに関するものであり、即ち、超音波センサ(CMUT)を内部に収容する外部ケース(メイン装置と同じ形状、同じ適応特性を有する)であり、これは、歯列弓全体の全ての側面を完全にカバーする予め確立された経路(またはガイド)に従って、歯肉および歯の組織の分析を進める。この情報は、記録、分析、精緻化(elaboration)および追加の処理のためにベースステーション(ドック)に送信される。
【0131】
「ドック」は、他のデバイスによって収集されたデータの記録、分析、精緻化および処理の少なくとも1つの機能を可能にする。
【0132】
好都合には、追加パラメータ(検出ポイントまたはランドマーク)は、口腔デバイスの適応のためにエンコードされる。
【0133】
処置面の計算を目的としたより正確な測定のために、検出ポイント(ランドマーク)がコード化される(
図13)。従って、これらのポイントは、装置および歯列弓の両方に適用される。両側後端および正中線に対応する3つのポイントに加えて、切歯アーチの内接線と外接線から得られる4つの追加の検出ポイント(ランドマーク)が追加された。
・σ 最後の大臼歯の内側後点に対応する。
・γ 前切歯アーチと一致する外接線に対応する。
・α 最後の大臼歯の側方(前庭)マージンに対応する。
・β 後歯切歯アーチと一致する内接線に対応する。
・ε γとβの中間点に対応する。
【0134】
検出ポイント(ランドマーク)は、前庭側及び/又は舌側/口蓋側を対象としている。
【0135】
本発明は、その好ましい実施形態のいくつかで例示し説明したが、本発明の特許の範囲から逸脱することなく、実際にはそれらに変更を加えることができることが理解される。