(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
(21)【出願番号】P 2021556330
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 KR2020003692
(87)【国際公開番号】W WO2020190022
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-17
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ヒ ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ア ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チョン フン
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-514459(JP,A)
【文献】特表2016-511672(JP,A)
【文献】特表2011-509122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色波長帯域の第1の光を照射する
複数の第1の光源と、
赤色乃至近赤外線波長帯域の第2の光を照射する
複数の第2の光源と、
前記複数の第1の光源及び前記複数の第2の光源が実装される基板と、
前記
複数の第1及び
複数の第2の光源を制御する制御部と、を含み、
前記基板は、凹状部分に相当する第1の領域と、前記第1の領域を囲み凸状部分に相当する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域とを繋ぐ傾斜面に相当する第3の領域と、を有し、
前記複数の第1の光源は、前記第1の領域及び前記第3の領域に配置され、前記第2の光源は、前記第2の領域に配置され、
前記第1の光及び前記第2の光は、波長に応じて互いに異なる皮膚侵入深さを有し、前記第1の光の皮膚侵入深さと前記第2の光の皮膚侵入深さとの差
は1.8mm以上である光照射装置。
【請求項2】
前記第1の光
は0.8mm以上の皮膚侵入深さを有し、前記第2の光
は4.3mm以上の皮膚侵入深さを有する、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記第1の光は第1の時間照射され、前記第2の光は、前記第1の時間より長い第2の時間照射される、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記第2の光は、前記第1の光の照射が終了する前に照射が開始され、前記第1の時間と前記第2の時間の少なくとも一部は、互いに重畳する期間を有する、請求項3に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記第1の光は不連続的に照射され、
前記第2の光は連続的に照射される、請求項4に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記第1の光の前記皮膚への照射範囲は、前記第2の光の前記皮膚への照射範囲より小さい、請求項1に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置に関し、より詳細には、治療用として使用される光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線を用いたさまざまな治療器が開発されている。一般に、紫外線は、殺菌効果を有することが知られており、従来の紫外線治療器は、従来の紫外線ランプを用いて、これを皮膚の近くで動作させながら治療が必要とされる部位に紫外線を照射する方式で使用されていた。
【0003】
しかし、紫外線は、殺菌効果と共に、皮膚の老化や癌を誘発するなどの副作用を有する。このため、人体に影響を及ぼさない安全な方式で殺菌及び治療効果を得ることができる方法が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人体に対する副作用を最小限に抑えながらも殺菌及び皮膚の再生効果が高い光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、傷を負った皮膚に光を照射する光源部と、光源部を制御する制御部とを含む。光源部は、基板と、基板上に配置された、青色波長帯域の第1の光を照射する少なくとも1つの第1の光源と、基板上に配置された、赤色乃至近赤外線波長帯域の第2の光を照射する少なくとも1つの第2の光源とを含む。第1の光と第2の光は、波長に応じて互いに異なる皮膚に対する侵入深さを有し、第1の光の皮膚に対する侵入深さと第2の光の皮膚に対する侵入深さとの差は約1.8mm以上である。
【0006】
本発明の一実施形態において、第1の光は、約1.0mm以上の皮膚に対する侵入深さを有してもよい。
【0007】
本発明の一実施形態において、第2の光は、約4.3mm以上の皮膚に対する侵入深さを有してもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、第1の光は、約370nm~約500nmの波長帯域の光であってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、第2の光は、約610nm~約940nmの波長帯域の光であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、第1の光と第2の光は、所定の時間同時に照射されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、第1の光は第1の時間照射され、第2の光は、第1の時間より長い第2の時間照射されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、第2の光は、第1の光の照射が終了する前に照射が開始され、第1の時間と第2の時間の少なくとも一部は、互いに重畳する期間を有してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、第2の光は連続的に照射されてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、第1の光は不連続的に照射されてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、第1の光及び第2の光のうち少なくとも一方は周期的に照射されてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、光照射装置は治療用であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、第1の光の皮膚への照射範囲は、第2の光の皮膚への照射範囲より小さくてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、基板は、皮膚に対向し、第1の光源が設けられた第1の領域と、第2の光源が設けられた第2の領域とを含み、第2の領域は第1の領域を囲んでいてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、第1の領域に対応する面は、第2の領域に対応する面より皮膚から離れて配置されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によると、人体に対する副作用を最小限に抑えながらも殺菌及び皮膚の再生効果が高い光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光照射装置を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光照射装置を示すブロック図である。
【
図3a】本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源がオン/オフする時間を示すグラフである。
【
図3b】本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源がオン/オフする時間を示すグラフである。
【
図3c】本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源がオン/オフする時間を示すグラフである。
【
図3d】本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源がオン/オフする時間を示すグラフである。
【
図3e】本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源がオン/オフする時間を示すグラフである。
【
図3f】本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源がオン/オフする時間を示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る光照射装置の作動機構を示す図である。
【
図5a】
図4の作用機構を発生順に従って順番に示す概念図である。
【
図5b】
図4の作用機構を発生順に従って順番に示す概念図である。
【
図5c】
図4の作用機構を発生順に従って順番に示す概念図である。
【
図5d】
図4の作用機構を発生順に従って順番に示す概念図である。
【
図6a】本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
【
図6b】
図6aに示す光照射装置のA-A’線に沿った断面図である。
【
図7a】本発明の一実施形態に係る光照射装置の平面図である。
【
図7b】
図7aに示す光照射装置のB-B’線に沿った断面図である。
【
図8】従来の発明と本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて傷に光を照射したときの、照射条件による殺菌効果を示すグラフである。
【
図9】従来の発明と本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて傷に光を照射したときの、照射条件による傷の回復期間を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、さまざまな変更を加えることができ、様々な形態を有し得るので、特定の実施形態を図面に例示し、これを本文で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物及び代替物を含むものと理解しなければならない。
【0023】
以下、添付の各図面を参照して本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る光照射装置の光源部10を示す平面図である。
【0025】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る光源部10は、傷を負った皮膚に光を照射する。
【0026】
光源部10は、基板20と、基板20上に設けられた、青色波長帯域の第1の光を照射する少なくとも1つの第1の光源30と、基板20上に設けられた、赤色乃至赤外線波長帯域の第2の光を照射する少なくとも1つの第2の光源40とを含む。
【0027】
基板20は、第1及び第2の光源30、40を実装できるものであれば特に限定されるものではなく、さまざまな形態で提供されてもよい。基板20は、第1及び第2の光源30、40に電力を供給するための配線が設けられていてもよい。基板20は、例えば、配線が形成された金属基板、印刷回路基板を含んでいてもよい。
【0028】
第1の光源30は、可視光線波長帯域のうち青色波長帯域の第1の光を照射する。第1の光は、約370nm~約500nmの波長帯域の光に相当してもよい。本発明の一実施形態において、第1の光は、約385nm~約435nmの波長帯域の光であってもよい。本発明の一実施形態において、より詳細には、第1の光は、400nm~420nmの波長を有する光であってもよく、410nmの波長を有する光であってもよい。
【0029】
第1の光は、紫外線に比べて皮膚への侵入力が高く、人体に無害な波長帯域に相当する。第1の光は、病原体、例えば、細菌内に存在するポルフィリン(porphyrin)の吸収波長に対応する。細菌に第1の光が照射されると、細菌中のポルフィリンは第1の光を吸収し、第1の光のエネルギーによって細菌の細胞内に活性酸素(reactive oxygen species;ROS)が生成される。活性酸素は、細菌の細胞内に蓄積され、細菌の細胞壁を酸化させ、その結果、細菌が死滅するという効果がある。すなわち、病原体にROSによって酸化ストレスを誘導することによって病原体を死滅させることができる。
【0030】
第2の光源40は、赤色可視光線乃至近赤外線波長帯域の第2の光を照射する。第2の光は、約610nm~約940nmの波長帯域の光に相当してもよい。本発明の一実施形態において、第2の光は、赤色可視光線波長帯域、例えば、約610nm~約750nmの光であってもよく、又は、赤外線波長帯域、例えば、約750nm~約940nmの光であってもよい。又は、本発明の一実施形態において、第2の光は、赤外線波長帯域のうち、約830nmの光、850nmの光、又は890nmの光であってもよい。
【0031】
第2の光を皮膚に照射することによって、血管を拡張し、血液循環を促進するという効果を有する。すなわち、第2の光は血流を改善し、その結果、免疫作用が促進される。
【0032】
より詳細には、赤色可視光線乃至近赤外線は、被処理対象の皮膚に作用し、細胞内のミトコンドリアを刺激することによってATP(adenosine tri-phosphate)、ROS(reactive oxygen species)、及び/又はNO(nitrogen oxide)を生成する。ATP、ROS、及び/又はNOは、傷を負った部位に作用し、傷の治癒を促進する。ATPとROSは、傷の治癒に必要な免疫反応である炎症反応に関与する各遺伝子、及び細胞成長に必要な各遺伝子の発現を誘導する。また、ROS及び/又はNOは、傷を負った部位に侵入したバクテリアなどの病原体を殺菌する機能を有する。これによって、損傷した組織部分で炎症反応及び細胞成長が誘導され、結果的に傷が治癒される。NOは、免疫細胞の移動を促進し、組織が治癒する過程を加速化するための酸素及び栄養素の供給を増加させる。また、周辺組織の毛細血管を拡張し、新しい毛細血管の形成を誘導する。
【0033】
本発明の一実施形態によると、第1の光と第2の光とをそれぞれ単独で照射する場合に比べると、第1及び第2の光を同時に、又は同時ではなくても所定時間内に逐次照射すると、単独で照射する場合よりも高い傷治癒効果を達成することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によると、第1の光で傷の部位の病原体を殺菌し、第2の光で免疫機構を促進することによって傷を効率的に治癒することができる。皮膚に傷がついた場合、完全な傷の治療のためには、病原体を殺菌するだけでなく、感染した細胞も共に処理しなければならないが、第1の光のみを使用する場合、第1の光は、病原体を殺菌する効果を有するが、傷の部位の皮膚内の免疫機構を誘導する機能が大きくない。特に、傷が深いか複雑な創傷の場合、光の波長によって侵入深さが異なり、殺菌効果が小さいこともあり、その結果、傷内部の未殺菌の病原体が再び増殖するおそれがある。未殺菌の病原体が再び増殖する場合、傷の治癒が遅くなる。第2の光は、未殺菌の病原体が再び増殖する前に皮膚の免疫機構を促進することによって、短時間での効果的な傷の治癒を可能にする。
【0035】
ここで、病原体(pathogen)とは、ウイルス、細菌、菌類、原生生物、宿主などの病気を起こす微生物などを示し、一般に、疾病を起こし得るものであればいずれも含み得る。
【0036】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、傷の治癒が必要な場所に傷治癒の目的で使用することができる。例えば、光照射装置100は、単純な創傷に使用されてもよく、一般的な潰瘍(ulcer)、褥瘡(pressure ulcer)や糖尿病による虚血性潰瘍(ischemic ulcer)などの慢性疾患に使用されてもよい。また、光照射装置100は、手術による切開部位の感染(surgical site infection)、各組織が引き裂かれた傷である裂傷(laceration)、鋭い器具で皮膚及び組織が切断され開放された傷である切創(incised wound)、刀や矛などの鋭い物体に刺されて生じた創傷である刺創(punctured wound)などのさまざまな傷に利用可能である。
【0037】
本発明の一実施形態によると、傷の部位に紫外線を使用しなくても殺菌が可能である。紫外線の場合、病原体の個体数を減少することができるが、皮膚細胞のDNAの変異を誘導するという問題があるので、皮膚が長時間紫外線に露出する場合、皮膚癌の可能性があり、ドーズ量を制御する必要性がある。紫外線は、波長が非常に短いので、皮膚への侵入力が低く、皮膚の外側の傷にある病原体の殺菌は一部可能であるが、所定の深さ以上の傷に対しては、その内部の病原体の殺菌が不可能であるという問題を有する。これは、外光の波長によって傷を負った皮膚への侵入深さに差があり、波長が短いほど皮膚への侵入深さが浅いためである。
【0038】
本発明の一実施形態によると、侵入深さが異なる第1の光と第2の光とを組み合わせて使用することによって、特定の位置ではなく傷の部位全体の治癒効果を高めることができる。これについては後で説明する。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る光照射装置100を示すブロック図である。
【0040】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、第1の光を照射する第1の光源30、及び第2の光を照射する第2の光源40を含む光源部10と、第1の光源30による照射後に、第2の光源40による照射が順次されるように第1及び第2の光源30、40を制御する制御部50と、制御部50と第1及び第2の光源30、40に電力を供給する電力供給部60とを含んでもよい。
【0041】
第1及び第2の光源30、40のそれぞれは、上述したように、青色波長帯域を含む第1の光、及び赤色可視光線乃至近赤外線波長帯域を含む第2の光を照射することができる。
【0042】
制御部50は、第1及び第2の光源30、40からの光照射の有無、光量、光強度、照射時間などを制御することができる。電力供給部60は、第1及び第2の光源30、40と制御部50に電気的に接続され、第1及び第2の光源30、40と制御部50に電力を供給する。図面では、電力供給部60が制御部50を介して第1及び第2の光源30、40に電力を供給することを示すが、これに限定されるものではなく、第1及び第2の光源30、40に電力供給部60が直接連結され、第1及び第2の光源30、40に電力を供給することもできる。
【0043】
光照射装置100には、選択的に第1及び第2の光源30、40から照射された光を集光又は拡散させる光学部がさらに設けられてもよい。光学部は、第1及び第2の光源30、40から生成された光を必要に応じて狭い範囲又は広い範囲に集光することができる。又は、光を照射しようとする位置によって均一又は不均一な形態で集光又は拡散させることができる。光学部は、必要に応じて少なくとも一つ以上のレンズを含んでもよく、レンズは、第1及び第2の光源30、40から光を集光、拡散、均一化、不均一化するなどのさまざまな機能をすることができる。
【0044】
例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置100を用いて狭い範囲に光を照射する場合は、第1及び第2の光源30、40に光を集光するためのレンズが使用されてもよく、その反対に、本発明の一実施形態に係る光照射装置100を用いて広い範囲、例えば、部屋全体に光を照射する場合は、光を拡散させるためのレンズが使用されてもよい。例えば、第1の光源30が傷の部位に直接対応して相対的に狭い領域に照射できるようにし、そして、第2の光源40が傷の部位及び傷と隣接した部分にまで対応して相対的に広い領域に照射できるように、第1の光源30及び第2の光源40に各種レンズがさらに追加的に装着されてもよい。
【0045】
本実施形態において、制御部50は、第1の光源30と第2の光源40とを同時に又は個別にそれぞれ駆動する。すなわち、第1及び第2の光源30、40が同時にオン/オフされてもよく、第1の光源30と第2の光源40とのそれぞれが別個にオン/オフされてもよい。また、第1の光源30及び第2の光源40からの出射光、すなわち、第1及び第2の光の強度も同時に又は個別に制御されてもよい。但し、制御部50は、第1の光源30と第2の光源40とを駆動するとき、第1の光と第2の光とが所定範囲の時間内に照射する処理が含まれるように第1の光源30と第2の光源40を駆動する。
【0046】
本発明の一実施形態によると、第1の光を所定時間、殺菌しようとする対象に照射し、第2の光を第1の光と同時に又は第1の光の次に照射することができる。これによって、第2の光から得ることができる効果以外にも、第1の光の照射後、未殺菌の病原体が再び増殖することを最大限防止することができる。その結果、第1の光を単独で照射する場合に比べて高い傷治癒効果を得ることができる。本発明の一実施形態では、第1の光と第2の光との照射による傷治癒の相乗効果を得ることができる。このため、第1の光源30及び第2の光源40をオン/オフすることで、同時に光を照射する方式、継続的に光を照射する方式、光の強度を順次減少又は増加させる方式、点滅方式、又はこれらを混合した方式などを採用することができる。
【0047】
図3a乃至
図3fは、本発明の一実施形態に係る光照射装置の駆動方法を示すものであり、第1及び第2の光源をオン/オフする時間を示すグラフである。
【0048】
図3a及び
図3fにおいて、本発明の一実施形態に係る光照射装置における第1の光をL1、第2の光をL2とし、時間の経過をTで示す。
【0049】
図3aを参照すると、第1の光源は、第1の時間t1のあいだオンになり第1の光L1を照射し、第2の光源は、第2の時間t2にあいだオンになり第2の光L2を照射する。本実施形態において、第2の光L2が照射される第2の時間t2は、第1の光L1が照射される第1の時間t1より長くてもよい。第1の光L1は、傷の部位を殺菌するためのものであるので、傷の部位の殺菌が十分に起こる段階まで照射することができる。第2の光L2は、赤色乃至近赤外線波長帯域の光であり、傷が治癒されるまでの間、長時間照射されることによって免疫作用を促進することができる。
【0050】
第1及び第2の光源から照射される第1及び第2の光L1、L2の照射時間及び照射時の光量はさまざまに変更することができる。本発明の一実施形態において、第1の光L1と第2の光L2の照射は同時に行われてもよく、上述したように、第2の光L2の照射が第1の光L1の照射より長時間行われてもよい。第1の光L1は、総ドーズ量を、殺菌しようとする対象によって人体に無害な範囲内でさまざまな範囲に設定することができる。また、第2の光L2は、総ドーズ量を、人体に無害な限度、例えば、低温やけどの危険がない限度内に設定することができる。
【0051】
本実施形態において、第1の光L1と第2の光L2の照射頻度及び照射回数が異なっていてもよい。第1の光L1と第2の光L2とを照射するとき、第1の光L1と第2の光L2との両方を連続的に照射してもよい。しかし、これとは異なり、第1の光L1を中断することなく連続的に殺菌対象に照射し、第2の光L2を、連続的に照射せず、不連続的に第1の光L1と重畳して照射してもよい。
【0052】
図3a乃至
図3cを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2の照射が所定期間内に1回行われてもよく、
図3d、
図3e、及び
図3fに示すように、第1の光L1又は第2の光L2が間隔を置いて複数回照射されてもよい。例えば、
図3d及び
図3fを参照すると、第1の光L1は、第1の時間t1、第2の時間t2、及び第3の時間t3の3回照射されてもよく、第2の光L2は、第4の時間t4に照射されてもよい。第1の光L1は、一定の間隔で周期的に照射されてもよく、又は不規則な間隔で非周期的に照射されてもよい。
【0053】
図3bを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2の照射時間は、少なくとも一部が重畳してもよい。図示するように、第1の光L1と第2の光L2の照射が同一の時点で同時に開始されなくても、第1の光L1の照射が終了する前に第2の光L2の照射が行われてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態において、第1の光L1及び第2の光L2の照射が開始される時点は互いに異なってもよい。例えば、第1の光L1及び第2の光L2は、
図3a及び
図3dのように同一の時点で照射が開始されてもよく、
図3b、
図3c、
図3e及び
図3fのように互いに異なる時点で照射が開始されてもよい。
図3cは、第1の光L1より第2の光L2の照射が先に開始されることを示し、
図3b、
図3e、及び
図3fは、第2の光L2より第1の光L1の照射が先に開始されることを示す。
【0055】
図3eを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2は、いずれも3回照射することができる。この場合、第1の光L1は、第1の時間t1、第2の時間t2、及び第3の時間t3によって照射することができ、第2の光L2は、第4の時間t4、第5の時間t5、及び第6の時間t6によって照射されてもよい。このような第1及び/又は第2の光L1、L2の照射の反復周期及び反復回数は、治癒しようとする対象の種類、総量などによって変更することができる。
【0056】
本発明の一実施形態において、第1の光L1は、第2の光L2が照射される時間と重畳するように照射してもよく、又は、第2の光L2が照射される時間と重畳しないように照射してもよい。例えば、
図3a及び
図3dを参照すると、第2の光L2が照射される時間において第1の光L1が重畳して照射されてもよい。
図3eを参照すると、第1の光L1が照射される時間と第2の光L2が照射される時間は互いに重畳せず、それぞれが互いに異なる時間に照射されてもよい。
図3fを参照すると、第1の光L1が照射される時間と第2の光L2が照射される時間が重畳してもよく、又は、第1の光L1が照射される時間と第2の光L2が照射される時間が重畳しなくてもよい。
図3fは、第1の光L1が照射される第1の時間t1及び第3の時間t3は、第2の光L2が照射される第4の時間t4と重畳せず、第1の光L1が照射される第2の時間t2は、第2の光L2が照射される第4の時間t4と重畳してもよい。
【0057】
本発明の一実施形態において、第1の光L1及び/又は第2の光L2が複数回照射される場合、それぞれ照射が持続される時間は同一又は異なってもよい。例えば、
図3d及び
図3eのように、第1の光L1が照射される第1の時間t1、第2の時間t2、及び第3の時間t3は互いに同一の値であってもよく、
図3fのように、第1の光L1が照射される第1の時間t1、第2の時間t2、及び第3の時間t3は互いに異なる値であってもよい。これは、第2の光L2の場合についても同様である。
【0058】
本発明の一実施形態において、第2の光L2は、第1の光L1の照射が終了した後、照射が開始されてもよいが、
図3b、
図3e、及び
図3fのように、第1の光L1の照射中、又は照射が終了すると同時に照射が開始されてもよい。これは、第1の光L1による病原体の殺菌後、未殺菌の菌の再増殖を最大限防止するためである。本発明の一実施形態において、
図3eのように、第1の光L1の照射が終了した後に第2の光L2の照射が開始される場合、第1の光L1の照射が終了した後、可能な限り速い時間内に第2の光L2を照射することによって効率的な治癒が可能になる。
【0059】
本発明の一実施形態に係る光照射装置は、上述したように、第1の光源及び第2の光源を用いて第1の光L1及び第2の光L2を照射することによって傷を治癒するので、第1の光L1と第2の光L2は皮膚への適用時に互いに異なる侵入深さを有し、これを本発明の一実施形態に係る光照射装置の作動機構と共に説明する。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態に係る光照射装置の作動機構を示す図であり、
図5a乃至
図5dは、
図4の作動機構を発生順に順次示す概念図である。
図4において、本発明の一実施形態に係る光照射装置の第1の光はL1、第2の光をL2で示す。
【0061】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置の第1及び第2の光源から照射された光は皮膚に照射される。皮膚は、外部の病原体2000から身体を保護する役割をし、重層扁平上皮である表皮SK1、密な結合組織である真皮SK2、及び緩い結合組織である皮下組織(図示せず)を含んでいる。
図3では、説明の便宜のために、表皮SK1、真皮SK2、及び真皮SK2内の血管1100を主に示す。表皮SK1は、防水機能を有し、感染からの遮断膜になる。真皮SK2は、連結組織からなる表皮SK1の下側の皮膚層であって、緩衝作用を有し、身体を圧力及び張力(stress and strain)から保護する。真皮SK2は、基底膜(basement membrane;SKM)を通じて表皮SK1と堅固に結合されている。血管1100は、表皮SK1には存在しなく、真皮SK2に存在する。
【0062】
皮膚に傷がつく場合、傷を介して病原体2000が身体に侵入することがある。人体は、皮膚の組織に侵入した病原体2000に反応し、その結果、免疫細胞によってサイトカイン1200が分泌される。サイトカイン1200は、細胞から分泌された後、他の細胞や分泌した細胞自身に影響を与えることができる。例えば、マクロファージの増殖を誘導することがあり、分泌細胞自身の分化を促進することもある。このような過程中で本発明の一実施形態に係る光照射装置によって第1の光L1及び第2の光L2が照射されると、傷の治癒が早まるので、これについて図面と共に説明する。
【0063】
図4及び
図5aを参照すると、皮膚に傷がつくと、その傷の程度によって表皮SK1が損傷し、又は、表皮SK1及び真皮SK2が損傷するおそれがあり、
図4では、表皮SK1と真皮SK2の一部が損傷した傷を示す。
【0064】
表皮SK1と真皮SK2の一部が損傷すると、損傷した部分を介して病原体2000が人体内に侵入する。病原体2000は、傷の周辺に最も多く存在することができ、皮膚の組織へ一部が侵入することがある。
【0065】
本発明の一実施形態によると、傷を負った部位に第1の光L1及び第2の光L2が照射されてもよい。
【0066】
第1の光L1と第2の光L2は、上述したように、互いに異なる波長帯域を有する。第1の光L1は、波長が相対的に短く、第2の光L2は、波長が相対的に長い。第1の光L1と第2の光L2において、波長によって皮膚への侵入深さに差を有する。第1の光L1の皮膚への最大侵入深さを第1の距離とし、第2の光L2の皮膚への最大侵入深さを第2の距離とすると、第2の距離は第1の距離より大きい。
図4において、第1の光L1が侵入することができる領域と第2の光L2が侵入することができる領域は、それぞれ第1の区域A1と第2の区域A2で表示される。第1の区域A1は、表皮SK1に位置してもよく、第2の区域A2は、表皮SK1から真皮SK2内の該当する領域に位置してもよい。
【0067】
具体的に、第1の光L1は、約370nm~約500nmの波長を有してもよく、約370nm~約420nmの波長帯域の光であってもよい。第2の光L2は、約610nm~約940nmの波長を有してもよく、約610nm~約750nm又は約750nm~約940nmの光であってもよい。第1の光L1は、皮膚の表皮SK1に侵入し、第2の光L2は、皮膚の表皮SK1と真皮SK2にまで侵入することができる。より詳細には、第1の光L1は、約1mm以上の皮膚侵入深さを有してもよく、第2の光L2は、約4.3mm以上の皮膚侵入深さを有してもよい。また、第1の光L1の皮膚侵入深さの最大値は約2.5mmであってもよく、これによって、第2の光L2の皮膚侵入深さ差は約1.8mm以上であってもよい。
【0068】
各光の波長による皮膚内への侵入長は、次の表1の通りである。
【0069】
【0070】
第1の光L1は、傷を負った部位の表皮SK1に作用し、傷の周囲又は傷の周囲で皮膚に侵入した病原体2000を殺菌する。第1の光L1は、波長が相対的に短いので、真皮SK2まで傷を負った場合、真皮SK2内の病原体2000を全て殺菌することが難しくなる場合がある。
図4及び
図5bを参照すると、第1の光L1によって表皮SK1部分の病原体2000を殺菌して除去することができるが、真皮SK2内の病原体2000の一部が残る場合がある。皮膚組織の免疫システムは、真皮SK2内に残っている病原体2000を認知することによって感染したことを確認し、免疫活性物質(例えば、サイトカイン1200など)を放出する。このような免疫反応を通じて傷を負った部位の血管1100が拡張され、白血球1110やマクロファージなどの免疫のための各細胞が傷の部位に移動することによって炎症機構が活性化される。第2の光L2は、表皮SK1から真皮SK2にまで侵入し、真皮SK2に作用することによって傷の部位の血管1100をさらに拡張させることができる。また、第2の光L2は、拡張された血管1100から免疫細胞(例えば、白血球1110)の移動を促進する。免疫細胞は、傷を負った部位に移動し、侵入した異物、すなわち、病原体2000を取り込んで除去する。第2の光L2によって真皮SK2内の免疫作用が活性化されることによって、第1の光L1によって未殺菌の病原体2000が効果的に除去される。
図4において、図示していない符号1120は赤血球である。
【0071】
図4及び
図5cを参照すると、第1の光L1及び第2の光L2によって病原体が除去された傷の部位では新しい細胞が生成され、傷の部位が徐々に減少するようになる。
【0072】
最後に、
図4及び
図5dに示すように、傷を負った部位が再生されて治ることによって、傷が完全に治癒され、拡張された血管1100が再び収縮される。
【0073】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、皮膚の治療のためにさまざまな形態で具現化することができる。
図6aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置100の平面図であり、
図6bは、
図6aのA-A’線に沿った断面図である。
【0074】
図6a及び
図6bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、第1の光源30、第2の光源40、及び第1及び第2の光源30、40が実装された基板20を含むことができる。
【0075】
本実施形態において、第1の光源30は複数設けられてもよく、第2の光源40も複数設けられてもよい。しかし、第1及び第2の光源30、40の数は、特に限定されるのではなく、第1の光源30の数は、第2の光源40の数より多くてもよく、第2の光源40の数より少なくてもよく、第2の光源40の数と同一であってもよい。また、本発明の一実施形態によると、第1の光源30と第2の光源40は、その数によって、規則的に配列されてもよく、又は不規則的に配列されてもよい。
【0076】
本発明の一実施形態において、第1の光源30から第1の光が照射される皮膚の範囲と、第2の光源40から第2の光が照射される皮膚の範囲とが互いに異なるように第1及び第2の光源30、40が配置されてもよい。
【0077】
本発明の一実施形態において、第1の光は、傷を介して侵入する病原体を殺菌するためのものであるので、相対的に狭い範囲にのみ照射されても十分に殺菌を行うことができる。第2の光は、傷の周囲の血管を拡張させ、免疫機構を活性化させるためのものであるので、傷が形成された領域のみならず、さらに広い領域に照射される必要がある。
【0078】
このために、第2の光源40は、第1の光源30より相対的に広い範囲に照射されるように多数設けられてもよく、広い光指向角を有するように配置されてもよい。第1の光源30は、第2の光源40より相対的に狭い範囲に照射されるようにさらに少ない数で設けられてもよく、狭い光指向角を有するように配置されてもよい。又は、装置によって、第1の光源30及び第2の光源40の光照射範囲を制御するための追加的な構成要素、例えば、レンズやシェードなどを光照射装置100にさらに配置できることは明らかである。
【0079】
図6a及び
図6bに示す実施形態では、基板20において、皮膚と対向し、第1の光源30が設けられた領域を第1の領域R1とし、第2の光源40が設けられた領域を第2の領域R2としたとき、第2の領域R2が第1の領域R1を囲むことを示す。第1の領域R1に対応する面は、第2の領域R2に対応する面より皮膚から遠く離れるように第2の領域R2の表面から窪んでいてもよい。これによって、第1の領域R1に設けられた第1の光源30の周辺の第2の領域R2は、突出した形態を有し、第1の光源30から照射された光が、突出した部分によって部分的に遮断されてもよい。これによって、第1の光源30から照射された光は、突出した部分によって遮断されない部分に進むことができる。その結果、第1の光源30から照射された光の皮膚に対する照射範囲が相対的に狭くすることができる。第2の光源40は、第1の領域R1より突出した部分に配置されるので、相対的に周辺が開放されている状態であり、光の進行方向に対する制限が少ない。したがって、第2の光は、第1の光より相対的に広い範囲の皮膚領域に照射することができる。
【0080】
本発明の一実施形態において、第1及び第2の光源30、40が実装される基板20が第1の領域R1及び第2の領域R2を含み、第1の領域R1及び第2の領域R2の形状が変化することを示すが、これに限定されるのではない。例えば、基板20自体は、平坦であってもよく、特別な形状を有しなくてもよい。また、個別の構成要素、例えば、別途設けられる支持部材などによって第1及び第2の光源30、40及び基板20の配置が変更されてもよい。例えば、基板20は、平坦な支持部材上に段差なく配置されてもよく、第1及び第2の光源30、40は基板20上に配置されてもよい。又は、段差部が形成された支持部材上に基板20が置かれ、その上に第1及び第2の光源30、40が配置されてもよい。また、本実施形態において、1つの基板20が用いられることを示すが、基板20は複数用いられててもよい。
【0081】
図示されないが、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、第1及び第2の光源30、40と基板20とを収納するハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングには、第1及び第2の光源30、40から照射された光が透過する透過窓が設けられてもよく、第1及び第2の光源30、40から照射された光は、透過窓を介して人体側に照射されてもよい。
【0082】
本発明の一実施形態において、制御部は、さまざまな形態、例えば、基板20上に個別の回路配線として形成されてもよく、個別のチップに形成された後、基板20上に実装される形態で提供されてもよい。
【0083】
本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、さまざまな形態で具現され得る。
図7aは、本発明の一実施形態に係る光照射装置100の平面図で、
図7bは、
図7aのB-B’線に沿った断面図である。
【0084】
図7a及び
図7bを参照すると、本発明の一実施形態に係る光照射装置100は、皮膚や傷の形状や状態に応じて、光が照射される範囲の形状や大きさが異なるように設定することができる。例えば、本実施形態では、光照射装置100が一方向(図面のB-B’方向)に長く延長されたことを示す。このような形態の光照射装置100は、腕のように皮膚が一方向に長い場合、傷自体が長く形成された場合に使用することができる。
【0085】
本実施形態において、基板20は、中心部に配置され、凹状部分に相当する第1の領域R1と、第1の領域R1を囲み、凸状部分に相当する第2の領域R2と、第1の領域R1と第2の領域R2との間に配置され、傾斜した部分に相当する第3の領域R3とを含んでもよい。第3の領域R3の傾斜は、内側、すなわち、中心に向かう方向に形成されている。
【0086】
第1及び第3の領域R1、R3には第1の光源30が配置されてもよく、第2の領域R2には第2の光源40が配置されてもよい。第1の光源30は、凹状部分に配置されてもよく、内側に向かった傾斜に配置されるので、第1の光源30から照射された光の皮膚照射面積は相対的に狭くすることができる。第2の光源40は、第1の領域R1より突出した部分に配置されるので、相対的に周辺が開放されている状態であり、光の進行方向に対する制限が少ない。したがって、第2の光は、第1の光より相対的に広い範囲の皮膚領域に照射することができる。
【0087】
光照射装置は、上述したようにさまざまな形態で具現され、さまざまな用途で使用することができる。例えば、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、照明及び殺菌が必要な場所にさまざまに適用可能であり、特に照明装置として使用されてもよい。例えば、光照射装置は、手術室、病院などの医療施設、公共衛生や個人衛生用照明装置に使用されてもよい。特に、本発明の一実施形態に係る光照射装置は、患者治療の目的で使用することができる。
【0088】
本発明の光照射装置は、公共施設、公共使用空間及び共同使用製品などに適用することによって公共治療の目的で使用されてもよく、個人施設、個人使用空間及び個人使用製品などに適用することによって個人治療の目的で使用されてもよい。また、本発明の光照射装置は、他の治療装置に付加して使用されてもよく、すなわち、各種光治療器に追加的に装着されてもよい。また、本発明の光照射装置は、所定空間(例えば、チャンバー)をなす壁や天井に装着される照明機器として使用されてもよい。
【0089】
図8は、従来の発明と本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて傷に光を照射したときの、照射条件による殺菌効果を示したグラフで、
図9は、従来の発明と本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて傷に光を照射したときの、照射条件による傷の回復期間を比較したグラフである。
【0090】
図8において、比較例は、第1の光及び第2の光のうちいずれの光も照射しないものであり、実験例1は、殺菌用紫外線光照射装置を用いて紫外線を照射したものであり、実験例2は、本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて第1の光と第2の光を照射したものである。
【0091】
比較例、実験例1及び実験例2のために、実験用マウスの背中の毛を除去し、背中部位の10mm×100mmの領域内に鋭いブレードを用いて10mmの創傷を生成した。このとき、実験用マウスの背中から出血するくらいに真皮層まで切ることによって傷を誘導した。続いて、病原体として、病原性細菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)を接種した。その後、指定された日に傷の部位の組織を採取し、細菌数を確認し、傷の長さを測定した。実験例1で使用された光源は紫外線光源であって、紫外線波長は254nmで、ドーズ量は150mJ/cm2であった。実験例2で使用された第1の光源の波長は410nmで、ドーズ量は120J/cm2であり、第2の光源の波長は850nmで、ドーズ量は60J/cm2であった。実験例1及び実験例2の光は、いずれも3日連続して合計3回照射された。表2は、従来の発明と本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて傷に光を照射したときの、照射条件による殺菌効果を細菌数として示すものであり、細菌数は対数スケールで作成した。
【0092】
【0093】
表2及び
図8を参照すると、何ら光を照射していない比較例は、14日が経過しても細菌数が減少せず、むしろその間に細菌数が非常に増加する様子を示した。特に、傷によって細菌に感染してから1日目から7日目程度まで持続的に細菌数が増加し、時間がさらに経過した後、細菌数が再び減少する様子を示した。1日目から7日目程度まで持続的に細菌数が増加した理由は、傷及び傷の部位で細菌が死滅せずに増殖した結果であると判断される。その後、免疫作用によって細菌の一部が死滅することによって、細菌数が減少したと見なせる。実験例1の場合、傷に紫外線を照射することによって、第1日目に細菌数が減少することを確認することができた。紫外線により、皮膚での殺菌効果があると見なせる。しかし、1日目以降、3日目から7日目に再び細菌数が増加することを確認することができる。これは、このような紫外線を用いて皮膚を殺菌する場合、紫外線によって皮膚表面に近い表皮一部の細菌は死滅するが、表皮の内側及び真皮に位置する細菌は死滅せずに残ってから再増殖するためであると見なせる。紫外線の場合、皮膚内への侵入深さが非常に浅いので、表皮の内側及び真皮に位置する細菌を十分に死滅させることが難しい。
【0094】
実験例2の場合、時間の経過と共に持続的に細菌数が減少する様子を示す。これは、第1の光によって表皮での細菌の殺菌が起こると同時に、免疫作用の促進によって表皮の内側及び真皮での細菌の殺菌が共に起こるためであると解釈される。
【0095】
表3は、従来の発明と本発明の一実施形態に係る光照射装置を用いて傷に光を照射したときの、照射条件による傷の回復期間を示すものであり、時間の経過による傷の長さを示す。
【0096】
【0097】
表3及び
図9を参照すると、何ら光を照射していない比較例においては、14日が経過しても傷の回復が非常に遅く現れた。実験例1の場合、比較例よりは傷の回復が早く現れたが、依然として傷の回復が遅く、14日目でも約50%の回復に留まった。
【0098】
実験例2の場合、比較例及び実験例1に比べて非常に速い回復速度を示し、14日目には、創傷の長さが0mmとなり、傷が完全に治癒された状態を示した。実験例2の場合、殺菌に加えて、血流改善による免疫作用及び皮膚再生作用が促進されたと判断される。
【0099】
このように、上述した本発明の一実施形態に係る光照射装置は、傷の殺菌効果はもちろん、傷の治癒期間を著しく減少させることを確認することができる。
【0100】
以上では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野で熟練した当業者又は該当の技術分野で通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明をさまざまに修正及び変更可能であることを理解できるだろう。
【0101】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきであろう。