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特許7472164浮遊物体に接続された懸垂アンカーラインを検査する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】浮遊物体に接続された懸垂アンカーラインを検査する方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/50 20060101AFI20240415BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20240415BHJP
   B63B 77/00 20200101ALI20240415BHJP
【FI】
B63B21/50 A
B63B21/00 B
B63B77/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021559137
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020052338
(87)【国際公開番号】W WO2020200541
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】19167343.3
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506364042
【氏名又は名称】シングル・ブイ・ムーリングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】トーレ、ジョルジオ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ、ジャニン
(72)【発明者】
【氏名】ビエイラ・カマラ・デ・カストロ、ロドリゴ
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102385051(CN,A)
【文献】特開2012-236445(JP,A)
【文献】特開平07-096889(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0239649(US,A1)
【文献】国際公開第2007/079556(WO,A1)
【文献】特開昭59-032584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0207488(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0287414(US,A1)
【文献】米国特許第03810081(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/50
B63B 21/00
B63B 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊物体に接続された少なくとも1つの係留ラインのライン角度を測定するための方法であって、
前記浮遊物体は、水域中に浮遊し、前記係留ラインは、前記浮遊物体と、前記水域の底に配置されたアンカー体との間に接続され、前記浮遊物体は、ラインコネクタによって前記係留ラインに結合され、
前記方法は、
・前記係留ライン上のそれぞれのロケーションにそれぞれ関係付けられた少なくとも3つのデータ点を定義することと、
・前記少なくとも3つのデータ点について、前記係留ライン上の前記ロケーションに関係付けられたそれぞれの値を取得することと、
・前記少なくとも3つのデータ点について、前記係留ライン上の前記ロケーションに関係付けられた前記取得された値から、アンカーライン曲線を記述する方程式のパラメータを決定することと、
・前記決定されたパラメータに基づいて、予め定められた位置における前記アンカーライン曲線の方程式の導関数から前記係留ラインのライン角度を、前記係留ライン上の前記予め定められた位置において計算することと、を含み、
前記方法はさらに、
・少なくとも3つのセンサを含むセンサのグループを提供することを含み、前記センサのそれぞれは、前記少なくとも3つのデータ点のうちの1つにおいて前記係留ラインに関係付けられたそれぞれの値を測定し、前記測定された値の信号を送信するように構成され、
ここで、前記センサのグループからの第1の位置センサは、前記浮遊物体上に位置付けられ、GPSセンサを備え、
前記方法は、第1のデータ点の値として、前記第1の位置センサの前記位置から前記ラインコネクタの関節の中心のロケーションを決定することをさらに含み、
ここで、第2のセンサおよび第3のセンサはそれぞれ、超短基線、USBL、トランスポンダを備え、前記係留ライン上のそれぞれの第2および第3のロケーションに位置付けられ、少なくとも前記第2のセンサは位置センサであり、前記位置センサによって測定される値はそれぞれの前記位置センサの前記それぞれのロケーションに関係付けられ、
ここで、少なくとも前記第2のセンサおよび前記第3のセンサは、遠隔操作される水中機、ROV、によって前記係留ライン上の予め定められたロケーションに設置され、
前記少なくとも3つのデータ点における前記値を取得するステップは、各関係付けられたセンサからそれぞれの測定された値の前記信号を受信することと、各受信された信号について、前記測定された値を前記係留ライン上の前記データ点の前記ロケーションに関係付けることとを含み、ここで、前記第2のセンサおよび前記第3のセンサの前記ロケーションは、前記第3のセンサが位置センサである場合、
・USBLトランシーバによる送信に応答して、前記USBLトランシーバによってそれぞれのUSBLトランスポンダから前記測定された信号を受信することと、前記USBLトランシーバは遠隔ロケーションにあり、
・前記第2および第3のセンサの座標がそれぞれ前記USBLトランシーバのロケーションを基準とするように、前記それぞれの測定された信号から第2および第3の位置センサの前記位置の座標を決定することと、によって決定される、方法。
【請求項2】
前記係留ライン上の前記第3のロケーションおよび前記第2のロケーションは実質的に一致する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め定められた位置は、前記ラインコネクタ上の第1のロケーションである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められた位置は、前記ラインコネクタの関節の中心である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のデータ点のロケーションは、少なくとも前記第1の位置センサから取得された座標と、前記浮遊物体のレイアウトとから決定される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のデータ点のロケーションは、少なくとも前記第1の位置センサから取得された座標と、前記浮遊物体上の前記第1の位置センサのロケーション、および前記ラインコネクタの中心の間の距離ベクトルとから決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の位置センサは、関係付けられた姿勢センサをさらに備え、前記方法は、前記浮遊物体上の前記関係付けられた姿勢センサによって測定された前記値から前記第1のデータ点の前記ロケーションにおける局所ライン角度を決定することをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記第1の位置センサから取得された座標からの前記浮遊物体のレイアウトと、前記浮遊物体上の前記第1の位置センサの前記ロケーション、および前記ラインコネクタの前記中心の間の距離ベクトルとを使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のセンサは、前記ラインコネクタと前記アンカー体との間の位置で前記係留ライン上に位置付けられ、前記第3のセンサは、第2の点と前記アンカー体との間の位置に位置付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記計算されたライン角度の平均が時間の関数として決定される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
係留ラインによって水域に係留された浮遊物体に接続された少なくとも1つの係留ラインのライン角度を測定するためのシステムであって、
前記係留ラインは、前記浮遊物体と、前記水域の底上に配置されたアンカー体との間に接続され、前記浮遊物体は、ラインコネクタによって前記係留ラインに結合され、
前記システムは、
・前記係留ライン上のそれぞれのロケーションにそれぞれ関係付けられた少なくとも3つのデータ点を定義することと、
・前記少なくとも3つのデータ点について、前記係留ライン上の前記ロケーションに関係付けられたそれぞれの値を取得することと、
・前記少なくとも3つのデータ点について、前記係留ライン上の前記ロケーションに関係付けられた前記測定された値からアンカーライン曲線を記述する方程式のパラメータを決定することと、
・前記決定されたパラメータに基づいて、前記アンカーライン曲線の方程式の導関数から、前記係留ライン上の予め定められた位置において、前記係留ラインのライン角度を計算することを含む方法を実行するように構成され、
前記システムは、
・少なくとも3つのセンサのグループと、前記センサのそれぞれは、前記測定された値の前記少なくとも3つのデータ点のうちの1つにおいて前記係留ラインに関係付けられた前記それぞれの値を測定するように構成され、ここで、前記センサのグループからの第1の位置センサは、前記浮遊物体上に位置付けられ、GPSセンサを備え、ここで、第2のセンサおよび第3のセンサはそれぞれ、超短基線、USBL、トランスポンダを備え、前記係留ライン上のそれぞれの第2および第3のロケーションに位置付けられ、少なくとも第2のセンサは位置センサであり、前記位置センサによって測定された値はそれぞれの前記位置センサの前記それぞれのロケーションに関係付けられ、
それぞれの測定された値のそれぞれのセンサ信号を各センサから受信するUSBLトランシーバと、
各受信された信号について、前記係留ライン上の前記データ点のロケーションを、前記測定された値と関係付ける手段とを備える、システム。
【請求項12】
前記USBLトランシーバは、前記浮遊物体から遠隔ロケーションにある、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記USBLトランシーバは、前記浮遊物体からある距離に位置付けられたサポート船舶である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
第2の点および第3の点のロケーションを、第2のGPSセンサのGPS座標を通して絶対ロケーションに参照するために、前記USBLトランシーバは、前記第2のGPSセンサに関係付けられる、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの係留ラインによって水域に係留された浮遊物体であって、
前記係留ラインは、前記浮遊物体と前記水域の底に配置されたアンカー体との間に接続され、前記浮遊物体は、ラインコネクタによって前記係留ラインに結合され、請求項11から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの係留ラインのライン角度を測定するためのシステムが設けられる、浮遊物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊物体に接続された係留ラインのライン角度を測定する方法に関する。また、本発明は、浮遊物体に接続された係留ラインのライン角度を測定するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の動作に関係するリスクを低減するために、ダイバーの介入を最小限に抑えるという世界的な傾向が、沖合産業において存在する。同時に、自動制御システムにおける進歩は、困難な環境における精巧な乗り物の配備を可能にした。
【0003】
係留ラインによって海で係留されるブイ等の浮遊物体について、係留ラインの状態を確認して不測の故障を回避するために、浮遊物体の水没部分を定期的な点検が必要である。係留ラインは、ナイロンおよびポリエステルのような合成材料から作られたライン、ならびに/またはスチールワイヤもしくはそれらの組合せを含む。また、係留ラインは、スチールリンクからなる係留チェーンから構成されてもよく、またはそのような係留チェーンの少なくとも1つのセグメントを含んでもよい。
【0004】
ターミナルの定期点検の間に実行される必要がある測定のうちの1つは、ブイおよびその係留ラインコネクタに近接した垂直方向を有する係留ラインによって形成されるライン角度の測定である。
【0005】
特に、懸垂アンカー脚ベースの係留について、すなわち、ブイがかなりの振幅の運動および速度を有する中程度の海面状態にさえ応答するCALMターミナルの場合、ダイバーまたは遠隔操作デバイス(ROV)によるブイへのアプローチは困難であることがある。例えば、約1メートルの波高は、ターミナルに対して数メートルの運動偏位を引き起こすことがある。
【0006】
本発明の目的は、適切な精度で、しかしながら、ダイバーまたはROVなしで、ブイに直接接近することなく、ブイの近くの係留ラインのライン角度を測定し、それにより、ブイの大きな動きに関係する衝突リスクを回避する方法を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本目的は、浮遊物体に接続された少なくとも1つの係留ラインのライン角度を測定する方法によって達成され、浮遊物体は水域中に浮遊し、係留ラインは浮遊物体と水域の底に配置されたアンカー体との間に接続され、浮遊物体はラインコネクタによって係留ラインに結合され、方法は、
・係留ライン上のそれぞれのロケーションにそれぞれ関係付けられた少なくとも3つのデータ点を定義することと、・前記少なくとも3つのデータ点について、係留ライン上のロケーションに関係付けられたそれぞれの値を取得することと、・前記少なくとも3つのデータ点について、係留ライン上のロケーションに関係付けられた取得された値から、アンカーライン曲線を記述する方程式のパラメータを決定することと、・決定されたパラメータに基づいて、予め定められた位置における前記アンカーラインの前記方程式の導関数から係留ラインのライン角度を、係留ライン上の予め定められた位置において計算することをさらに含み、方法はさらに、
・少なくとも3つのセンサを含むセンサのグループを提供することと、センサのそれぞれは、係留ラインに関係付けられたそれぞれの値を測定するように構成され、
・少なくとも3つのデータ点のそれぞれにおいて、センサのグループからの関係するセンサを係留ライン上に設置することと、センサのそれぞれは、係留ラインに関係するそれぞれの値を測定し、前記測定された値の信号を送信するように構成され、ここで、少なくとも第2のセンサおよび第3のセンサが、遠隔操作される水中機、ROVによって係留ライン上の予め定められたロケーションに設置され、少なくとも3つのデータ点における値を取得するステップは、各関係するセンサからそれぞれの測定された値の信号を受信することと、各受信された信号について、測定された値を係留ライン上のデータ点のロケーションに関係付けることと含む。
【0008】
方法は、少なくとも3つの点の位置、または第1および第2の点における位置、加えて第3の点におけるアンカーライン曲線の局所ライン角度のいずれかからアンカーライン曲線を測定し、ダイバーまたはROVによってブイに隣接する水中ゾーンにおいて測定を行う必要なくライン角度を決定することを可能にする。
【0009】
本発明はまた、請求項14に記載の、浮遊物体に接続された係留ラインのライン角度を測定するためのシステムに関する。さらに、本発明は、浮遊物体に接続された係留ラインのライン角度を測定するシステムが設けられた浮遊物体に関する。
【0010】
本発明の実施形態は、本質的に概略的であり、したがって必ずしも縮尺通りに描かれていない添付の図面を参照して、例としてのみ以下に説明される。図面において、同一または類似の要素は、同じ参照符号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態を図示する、水域に係留された浮遊物体を概略的に示す。
図2図2は、図1の一部をより詳細に概略的に示す。
図3図3は、本発明の一実施形態による方法のフローダイヤグラムを示す。
図4図4は、本発明の一実施形態を図示する、水域に係留された浮遊物体を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態を図示する、水域に係留された浮遊物体を概略的に示す。
【0013】
海や湖などの水域1において、浮遊物体10を係留ライン12によってアンカー体14に係留する。各アンカー体14は、海底2または湖底2の上または中に配置される。
【0014】
各係留ライン12は、ラインコネクタ16によって浮遊物体10に接続され、ラインコネクタ16は、係留ラインと垂直線との間のライン角度22(すなわち、係留ライン角度)が、干潮、満潮、流れおよび嵐などの浮遊物体にかけられる力に応じて変化することを可能にする関節18を備える。
【0015】
さらに、炭化水素液および/または気体を輸送するためのいくつかのライザー20が、海底2上のウェルヘッド(図示せず)と浮遊物体10との間に引かれていてもよい。
【0016】
ライン角度の測定を可能にするために、浮遊物体10とアンカー体14との間の係留ライン12の形状から関節18におけるライン角度22を決定するためのシステム50が提供される。ここでは、このような形状をアンカーライン曲線と呼ぶ。
【0017】
アンカーライン曲線形状を決定するために、アンカーライン曲線上の少なくとも3つの点P1、P2、P3の地理的ロケーション(以下、ジオロケーション)、または2つの点P1、P2のジオロケーションに加えてアンカーライン曲線上の第3の点P3における局所的に測定されたライン角度を測定することが考えられる。これらの少なくとも1つの3点P1、P2、P3のそれぞれの3つのジオロケーション(または2つのジオロケーションに加えて局所ライン角度)を使用して、曲線適合手順が実行され、ジオロケーションの関数としてアンカーライン曲線を記述するパラメータのセットが取得される。パラメータのセットから、アンカーライン曲線の導関数を、係留ライン上の予め定められたロケーションである関節18のジオロケーションにおいて計算することができる。関節18のジオロケーションにおけるアンカーライン曲線の導関数から、垂直線に対する関節におけるライン角度22が確立される。
【0018】
2つの点のジオロケーションに加えて第3の点における局所的に測定されたライン角度が測定されるケースでは、第3の点で局所的に測定されたライン角度は、第2の点のジオロケーションと同じロケーションで測定されてもよい。その場合、第2および第3の点のロケーションは一致してもよい。
【0019】
システムは、測定される係留ライン上に設置される少なくとも第1、第2および第3の位置センサ52、54、56を備える。
【0020】
さらに、システムは、各位置センサ52、54、56からそれぞれの位置信号を受信するための第1のデバイス58と、受信した各位置信号からそれぞれの位置センサのロケーション、それぞれの位置センサに関係する係留ライン上の点のロケーションを決定するための第2のデバイス60とを備える。
【0021】
一実施形態では、少なくとも第1、第2および第3の位置センサ52、54、56のそれぞれは、そのそれぞれのロケーションに関する信号を送信するように構成されたトランスポンダである。第1のデバイス58は、トランスポンダからのロケーション関連信号の送信を開始するために位置センサに信号を送信し、トランスポンダからロケーション関連信号を受信するように構成されたトランシーバである。
【0022】
トランスポンダまたはセンサのタイプに応じて、ロケーション関連信号は、絶対ロケーションまたは相対ロケーションのいずれかのデータを含むことができる。絶対ロケーションは地理的座標を含むことができる。相対ロケーションは、第1のデバイス58のロケーションに対するロケーションを含むことができる。
【0023】
さらなる実施形態では、第1の位置センサ52は、第1の位置センサジオロケーション座標を生成するように構成された第1のGPSセンサに基づく。第1のGPSセンサは、浮遊物体10に設置される。第1のGPSセンサ52からの第1の位置センサジオロケーション座標を使用して、ラインコネクタ16の関節18の中心のロケーションが、第1の点P1のジオロケーションとして決定される。これは、図2を参照して、以下で詳細に説明する。第1のGPSセンサ52の信号は、適切な受信機(図示せず)によって受信され、浮遊物体10のジオロケーションとして第2のデバイス60に転送される。
【0024】
好ましい実施形態では、第1の位置センサ52は第1のGPSセンサであり、第2および第3の位置センサ54、56は、それぞれ第2の点および第3の点のロケーションに設置されたUSBL(超短基線)トランスポンダである。
【0025】
本発明の方法によれば、遠隔操作される水中機(ROV)が、それらを係留ラインに設置するために使用される。有利なことに、ROVの使用は、水中位置センサ54、56のダイバーレス配備を可能にする。
【0026】
第2の点および第3の点のロケーションは、USBLトランスポンダ54、56の表示からUSBLトランシーバ58によって取得される。典型的には、トランシーバ58および第2のデバイス60は、浮遊物体からある距離に位置付けられたサポート船舶64上に配備される。
【0027】
USBLトランシーバ58が第2のGPSセンサ62に関係付けられているケースでは、第2の点および第3の点のロケーションは、USBLトランシーバ58に関係付けられた第2のGPSセンサ62のGPS座標を通して第2の点および第3の点P2、P3の絶対ロケーション(ジオロケーション)を基準とすることができる。第2のGPSセンサ62は、典型的には、サポート船舶64上でUSBLトランシーバ58に近接している。このようにして、USBLトランシーバのロケーションは、USBLトランシーバに関係付けられた第2のGPSセンサによってGPSロケーションから決定されることができる。
【0028】
第2のデバイス60は、上述のように取得された前記少なくとも3つの点P1、P2、P3のそれぞれのロケーションを通過するアンカーライン曲線を記述する方程式のパラメータ値を決定するための第1の計算手順を実行することができる計算デバイスであり、任意の適切な数値曲線適合方法に基づくことができる。
【0029】
代替的に、第1の計算手順は、2つの点P1、P2のそれぞれのロケーションを通過するアンカーライン曲線を記述する方程式のパラメータ値を決定することに加えて、第3の点P3(第3の点は第2の点と一致してもよい)における局所的に測定されたライン角度を考慮することを含んでもよい。
【0030】
さらに、第2のデバイス60は、決定されたパラメータ値に基づいてアンカーライン曲線の方程式の導関数から垂直方向で、係留ライン上の予め定められた位置においてライン角度22を計算するための第2の計算手順を実行することができる。
【0031】
第1および第2の計算手順の一実施形態を、図3を参照してより詳細に説明する。
【0032】
当業者は、第2のデバイス60が、計算手順を実行するように構成された、単一の計算デバイス、またはネットワーク中に構成された多数の計算デバイスであることがあることを理解するであろう。第2のデバイス60は、ワイヤードまたはワイヤレスのいずれかのネットワーク(図示せず)によってデータ通信のために第1のデバイス58に接続され、第1のデバイス58と同じロケーションに位置付けられてもよいが、異なるロケーションに位置付けられることもある。
【0033】
本発明によれば、関節におけるライン角度22は、ラインコネクタ16の関節18のロケーションにおけるアンカーライン曲線の導関数を含む計算を使用することによって、アンカーライン曲線形状を記述するパラメータから決定される。
【0034】
図2は、図1の一部をより詳細に概略的に示す。
【0035】
浮遊物体10上の第1の位置センサ52が上述したような第1のGPSセンサであるケースでは、ラインコネクタ16の関節18の中心は、第1の点のジオロケーションとみなされる。次いで、第1の点のジオロケーションが、浮遊物体上の第1のGPSセンサのロケーションL2と関節18の中心のロケーションL1との間の距離に対する補正を用いて、浮遊物体10上の第1のGPSセンサのジオロケーションから計算される。補正は、浮遊物体構造の実際のレイアウトと、関節18の中心と浮遊物体10上の第1のGPSセンサ52の実際の位置との間、すなわち、ロケーションL2とロケーションL1との間の距離ベクトルX(破線で示す)に対応する、浮遊物体10におけるラインコネクタ16の関節18の中心の位置とから決定することができる。
【0036】
一実施形態では、補正は第2のデバイス60によって実行される。
【0037】
図3は、本発明の実施形態にしたがう方法のフローダイヤグラムを示す。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、係留ライン12によって係留された浮遊物体10対するライン角度値22を決定するための手順300を実行する方法が提供される。
【0039】
第1のステップ310において、方法は、浮遊物体上の第1のセンサとしての第1のGPSセンサと、係留ライン上の少なくとも第2および第3のセンサとの設置を含む。また、このステップは、少なくとも第1のデバイス58を含む測定設備64の、浮遊物体および係留ラインからある距離への配備を含む。第2のデバイス60は、第1のデバイス58の近くの測定設備64に位置付けられてもよいが、代替的に、異なるロケーションに位置付けられてもよい。
【0040】
後続のステップ320において、方法は、第1の位置センサ、ならびに第2および第3のセンサのうちの少なくとも1つからのロケーション関連信号を、第1の計算デバイス58によって受信するステップを含む。
【0041】
さらに、第1の位置センサは、位置信号と組み合わせて局所姿勢または局所ライン角度関連信号を測定する姿勢センサを備えることができる。
【0042】
代替実施形態では、ロケーション関連信号が第2の位置センサから受信され、局所ライン角度関連信号が第3のセンサから受信される。
【0043】
次のステップにおいて、第2のデバイス60は、手順330を実行して、係留ライン12上の第1の位置センサならびに少なくとも第2および第3のセンサのそれぞれのロケーションを決定するように構成される。決定されたロケーションは、測定設備のロケーションに対する相対位置を有する相対ロケーションであってもよく、または例えばジオロケーションとして定義される絶対ロケーションであってもよい。
【0044】
次のステップにおいて、第2の計算デバイス60は、手順340を実行して、第1の位置センサのロケーションおよび距離ベクトルXからラインコネクタ16の関節18の中心における第1の点のロケーションを決定するように構成される。
【0045】
次のステップにおいて、第2のデバイス60は、手順350を実行して、係留ライン12上の少なくとも3つの点のロケーション(または係留ライン上の2つの点のロケーションに加えて係留ライン上の点における局所ライン角度)の関数としてアンカーライン曲線形状を記述するパラメータ値を決定するように構成される。手順350は、曲線適合法を使用してパラメータ値を取得することができる。
【0046】
さらなるステップにおいて、第2のデバイス60は、手順360を実行して、ラインコネクタ16の関節18の中心のロケーションにおけるライン角度値を、後者のロケーションにおける局所導関数を計算することによって決定するように構成される。
【0047】
オプション的に、ライン角度値は、上述したように、手順ステップ320から360を繰り返すことによって、ライン角度値(および/または曲線適合パラメータの値のいずれか1つ、少なくとも3つの点のロケーションおよび/または少なくとも3つの位置センサのロケーション)の時間平均を取得するために経時的に繰り返し決定することができる。
【0048】
さらなる実施形態では、方法は、ステップ380において、ライン角度、および/または曲線適合パラメータ、および/または少なくとも3つの点のロケーション、および/または少なくとも3つの位置センサのロケーションの、リアルタイム値または時間平均値がコンピュータ読取可能媒体に記憶されることを含む。
【0049】
そのような方法は、垂直方向または水平方向のいずれかの少なくとも計算されたライン角度の値を、コンピュータ読取可能媒体に記憶すること、および/または係留ライン上の少なくとも3つのデータ点について測定された位置の値をコンピュータ読取可能媒体に記憶すること、および/または少なくとも3つの位置センサから測定された位置信号の値をコンピュータ読取可能媒体に記憶すること、および/または前記少なくとも3つのデータ点について係留ライン上のロケーションに関係する測定された値からアンカーライン曲線を記述する方程式の決定されたパラメータの値を記憶することを含むことができる。
【0050】
記憶されたデータ値は、例えば、オンラインまたはオフライン分析のために使用することができるが、ライザー20から液体または気体炭化水素をオフロードするために船舶(図示せず)が浮遊物体10に係留されているとき、プロセス監視またはプロセス制御に関連して使用することもできる。
【0051】
一実施形態では、係留ブイ構成は、約2000m以下の水深で使用される。
【0052】
図4は、本発明の実施形態を図示する、水域に係留された浮遊物体を概略的に示す。
【0053】
図4において、図1から図3に示されるものと同じ参照番号を有する構成要素は、対応する構成要素を指す。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、無人水上航走体70に取り付けられた3D測深システム71を介して浮遊物体10に接続された少なくとも1つの係留チェーン頂部角度を間接的に測定することを含む、チェーン角度を測定する方法が提供される。頂部角度は、3D表面適合と共に測深反射点に懸垂線を適合させることによって決定される。
【0055】
方法は、
i.浮遊ターミナルの下の海中レイアウトマッピングを表す3D点群を取得しながら、無人水上航走体70(完全に遠隔操作される調査車両)を用いて浮遊物体の周囲をナビゲートすること。
無人水上航走体70に取り付けられた3D測深システム71は、海底に向かって音波を放射し、音波が海中構造物を横切るたびに、音波が反射して測深システムに戻る。音波が海底2上の構造から跳ね返って3D測深システム(の受信機)に戻るのにかかる時間量を使用して、各反射点の正確な座標および深度を決定し、浮遊物体の下のすべての水中構造の正確なフィールドレイアウトマッピングを作成する。
ii.周知の統計ツールを使用して最良の信頼度、予測、および較正間隔を計算しながら、係留ライン12のうちの1つ以上について、懸垂ラインを表す反射点の中で最良適合3D表面を補間することによって(例えば、非線形最小二乗回帰分析を使用して懸垂ライン方程式をパラメータ化することによって)、高度データ分析ツールを使用してそれぞれの3D点群を後処理すること。
iii.予め定められた位置におけるアンカーライン曲線の方程式の導関数から、(予め定められた)適切な精度および正確さを有する各測定された係留ラインの頂部傾斜(頂部角度)値を計算すること、を含む。
【0056】
前述の説明は、本発明のある実施形態を詳述する。しかしながら、前述のものがいかに詳細に本文に記載されていたとしても、本発明が、多くの方法で実施できることが理解されるであろう。
【0057】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に適用される本発明の新規な特徴を示し、説明し、指摘したが、例示されたシステムまたは方法の形態および詳細における様々な修正が、本発明の精神から逸脱することなく当業者によって行われることができることが理解されるであろう。本発明の範囲は、前述の説明よりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲に同等な意味合いおよび範囲内で生じるすべての変更は、それらの範囲内で受け入れられるべきである。
図1
図2
図3
図4