(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】マルチプレートクラッチ、特にハイブリッドドライブトレイン用の特に乾式マルチプレートクラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 13/64 20060101AFI20240415BHJP
B60K 6/38 20071001ALI20240415BHJP
F16D 13/52 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
F16D13/64 Z
B60K6/38
F16D13/52 Z ZHV
(21)【出願番号】P 2021559945
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 DE2020100166
(87)【国際公開番号】W WO2020207524
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】102019109418.6
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019112566.9
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ダンホイザー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン フォーゲル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン バスラー
(72)【発明者】
【氏名】マルク フィンケンツェラー
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03100586(DE,A1)
【文献】特開2014-062556(JP,A)
【文献】特開昭59-086716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 13/00-13/76
B60K 6/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチプレートクラッチ(1)であって、半径方向(7)において外側に懸架されており、軸方向(6)において変位可能である、少なくとも1つの外プレート(2)と、前記半径方向(7)において内側に懸架されており、前記軸方向(6)において変位可能である、少なくとも1つの内プレート(4)と、を有し、
前記内プレート(4)が、内周に分布された複数の第1のリーフばね(8)を介して、駆動リング(14)上にトルクが伝達するように懸架されており、か
つ前記外プレート(2)が、外周の周りに分布された複数の第2のリーフばね(8)を介して、ロータポット(15)上にトルクが伝達するように懸架されており、
その半径方向(7)内側に軸方向溝(17)を有するロータキャリア(18)が形成され、前記軸方向溝(17)に前記ロータポット(15)の対応するアーム(16)が係合し、
前記ロータポット(15)の前記アーム(16)が、前記外プレート(2)の前記リーフばね(8)を支持するように機能し、前記リーフばね(8)が、前記アーム(16)に対応する凹部(10)を有する、マルチプレートクラッチ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外プレート(2)が、鋼プレート(3)として構成されており、前記少なくとも1つの内プレート(4)が、ライニングプレート(5)として構成されている、請求項1に記載のマルチプレートクラッチ(1)。
【請求項3】
前記第1のリーフばね(8)が、前記内側に懸架されたライニングプレート(5)のライニングキャリア(12)と一体的に形成されており、円周方向(13)において離間している各第1のリーフばね(8)の両端が、前記ライニングキャリア(12)に合流している、請求項2に記載のマルチプレートクラッチ(1)。
【請求項4】
前記第2のリーフばね(8)が、外部に懸架された鋼プレート(3)にリベット留めで接続されており、円周方向(13)において離間している各第2のリーフばね(8)の両端が、前記鋼プレート(3)にリベット留めで接続されている、請求項2または3に記載のマルチプレートクラッチ(1)。
【請求項5】
前記第1のリーフばね(8)および/または前記第2のリーフばね(8)が、円周方向(13)において均等に分布している、請求項1~4のいずれか一項に記載のマルチプレートクラッチ(1)。
【請求項6】
少なくとも3つのリーフばね(8)が、内プレート(4)ごとに形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のマルチプレートクラッチ(1)。
【請求項7】
内燃機関(24)を連結および連結解除するためのクラッチとして構成されており、かつ/または電気モータもしくは発電機などの電気機械(26)のロータに統合されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のマルチプレートクラッチ(1)を有する、ハイブリッドドライブトレイン(23)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプレートクラッチ、特にハイブリッドドライブトレイン用の特に乾式マルチプレートクラッチに関し、また、内燃機関を連結および連結解除するための乾式K0マルチプレートクラッチを有し、かつ/または電気モータもしくは発電機などの電気機械のロータに統合された乾式マルチプレートクラッチを有する、ハイブリッドドライブトレインに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチプレートクラッチは通常、マルチディスククラッチであり、当該マルチディスククラッチには、プレートが軸方向に自由に移動できるように装着されている。クラッチを開閉する際、プレートは、対応する外部または内部の歯付けの中で軸方向に移動している。関連するプレートキャリア上にプレートを歯付けすることを除き、プレートの他のセンタリングまたは位置決めは存在しない。すべての歯付けにおいて、関係する構成要素間に表面接触が存在するため、(許容公差に起因して)不適切な位置決めまたは詰まりが容易に生じ得る。これにより、クラッチの摩擦損失が大きくなる。さらに、プレートキャリアの形状は非常に複雑であるため、製造コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、マルチプレートクラッチ、特に乾式マルチプレートクラッチ、および摩擦損失が低く製造コストが低い乾式マルチプレートクラッチを有する、ハイブリッドドライブトレインを特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、マルチプレートクラッチ、特に乾式マルチプレートクラッチ、および独立請求項によるハイブリッドドライブトレインによって実現される。好ましい例示的な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明によるマルチプレートクラッチ、特にハイブリッドドライブトレイン用、特にモータ車両用の特に乾式マルチプレートクラッチは、半径方向で外側に懸架され、軸方向で変位可能である少なくとも1つの外プレートと、半径方向で内側に懸架され、軸方向で変位可能である少なくとも1つの内プレートと、を含み、外プレートが、外周の周りに分布された複数のリーフばねを介して、ロータポット上にトルクが伝達するように懸架され、かつ/または内プレートが、内周に分布された複数のリーフばねを介して、駆動リング上にトルクが伝達するように懸架されている。
【0006】
少なくとも1つの外プレートは、鋼プレートとして構成され、少なくとも1つの内プレートは、ライニングプレートとして構成されている。
【0007】
代替的に、少なくとも1つの外プレートは、ライニングプレートとして構成され、少なくとも1つの内プレートは、鋼プレートとして構成されている。
【0008】
軸方向では、ライニングプレートは、少なくとも片側、好ましくは両側に、摩擦プレート、すなわち、特に隣接する鋼プレートと摩擦係合する摩擦面を有する。この場合、ライニングプレートは、好ましくは、キャリアプレート(ライニングキャリア)に実質的に接続され、特に接着された、2つの摩擦プレートによって形成される。摩擦プレートをライニングキャリアまたはキャリアプレートにリベット留めすることも好ましい。
【0009】
本発明の中核となる思想は、クラッチを開閉するときの乾式プレートの軸方向の移動を、摩擦を伴わずに、またはほとんど摩擦を伴わずに実現することである。この目的のために、これらはそれぞれ少なくとも3つのリーフばねまたはリーフばねパックに装着されている。非常に低いリーフばね力/剛性を目標にする必要がある。しかしながら、同時に、印加トルクの十分な伝達信頼性が必要である。トルク伝達中(すなわち、クラッチが完全に、またはほぼ完全に閉鎖しているとき)、摺動摩擦は軸方向のリーフばね力よりも大きくなり、リーフばねはガイド内で摺動することができなくなる(=摩擦擦過)。しかしながら、リーフばねの撓みにより、プレートは軸方向に移動し続ける可能性がある。
【0010】
その結果、軸方向のプレートの摩擦と、結果として生じるマルチプレートクラッチの摩擦損失が減少する。
【0011】
有利な実施形態によれば、リーフばねは、内側または外側に懸架されたライニングプレートのライニングキャリアと一体に形成されており、円周方向に離間している各リーフばねの両端が、ライニングキャリアに合流している。したがって、リーフばねは、軸方向ばね要素としてライニングキャリアまたはキャリアプレートに直接統合される。
【0012】
有利な実施形態によれば、リーフばねは、外部または内部に懸架された鋼プレートに接続され、好ましくはリベット留めされており、円周方向に離間している各リーフばねの両端が、鋼プレートに接続され、好ましくはリベット留めされている。
【0013】
これにより、ライニングプレートおよび/または鋼プレートの容易な構築が可能になる。
【0014】
外プレートおよび/または内プレート上のリーフばねが円周方向に均一に分布している実施形態が好ましい。
【0015】
これにより、リーフばねの対応するばね力を外プレートおよび/または内プレートの円周全体に均一に分布させることができ、摩擦の増加、さらには外プレートおよび/または内プレートの詰まりのリスクがさらに低減される。
【0016】
外プレートまたは内プレートごとに少なくとも3つのリーフばねの対称構成は、円周方向におけるリーフばねのばね力の均一な分布を可能にし、不均衡を回避できるため、特に好ましいことが見出されている。プレートパックの場合、対応する数の同一の外プレートまたは内プレートから形成されるため、プレートパックごとに少なくとも3つのリーフばねパックが形成される。
【0017】
有利な実施形態によれば、ロータポットに接続するためのロータキャリアが形成され、ロータキャリアは、ロータポットの対応するアームが係合する半径方向の内側に軸方向溝を有する。
【0018】
この溝とアームとの相互作用により、ロータポットとロータキャリアとの間でトルクを伝達できる。したがって、ロータポットとロータキャリアとの間の溶接接続を省略することができる。
【0019】
これに関連して、ロータポットのアームが外プレートのリーフばねを支持するように機能することは特に有利であり、ここでリーフばねは、アームに対応する凹部を有する。
【0020】
これにより、対応する外プレートの容易な組み付けおよび分解が可能になる。
【0021】
さらに、本発明によれば、内燃機関を連結および連結解除するためのK0クラッチとして構成され、かつ/または電気モータまたは発電機などの電気機械のロータに統合されたマルチプレートクラッチを有するハイブリッドドライブトレインが提案される。
【0022】
注意事項として、本明細書で使用されている数字(「第1」、「第2」など)は、主に(のみ)、複数の類似した物体、サイズ、またはプロセスを区別する役割を果たしており、特に、これらの物体、サイズ、またはプロセスの相互の必要な依存関係および/または順序は意図されていないことに留意する必要がある。依存関係および/または順序が必要な場合は、本明細書で明示されるか、具体的に記述された構成を検討する際に当業者にとって明らかな方法で結果が示される。
【0023】
本発明および技術分野の両方は、図を参照して以下でより詳細に説明される。本発明は、示された例示的な実施形態によって限定されることを意図していないことに留意すべきである。特に、明示的に別段の記載がない限り、図に示された実質的な事項の部分的な側面を抽出し、本明細書および/または図からの他の構成要素および知識と組み合わせることも可能である。特に、図、および、特に、示された比率は、概略的なものに過ぎないことに留意すべきである。同一の参照記号は同じ物体を示しているため、他の図からの説明も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】マルチプレートクラッチの構造の一例を示す。
【
図4】マルチプレートクラッチの一例のさらなる図を示す。
【
図5】組み付けられたマルチプレートクラッチの第1の斜視図を示す。
【
図6】組み付けられたマルチプレートクラッチの第2の斜視図を示す。
【
図7】組み付けられたマルチプレートクラッチの第3の斜視図を示す。
【
図8】モータ車両のハイブリッドドライブトレインを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、例として、概略的に、特に乾式マルチプレートクラッチ1として構成されたマルチプレートクラッチ1の構造を示している。これには、とりわけ、本明細書で鋼プレート3として構成されている複数の外プレート2と、本明細書でライニングプレート5として構成されている対応する複数の内プレート4とが含まれる。マルチプレートクラッチ1は、第1の軸方向6および第2の半径方向7を有する。外プレート2は、半径方向7で外側に懸架され、軸方向6で変位可能である。内プレート4は、半径方向7で内側に懸架され、軸方向6で変位可能である。内プレート4および外プレート2を軸方向6に相対的にシフトさせることにより、軸方向6で隣接する内プレート4および外プレート2は、互いに摩擦係合することができ、その結果、トルクを内プレート4から外プレート2に、またはその逆に伝達することができる。
【0026】
図2は、ねじり振動ダンパー3を有するクラッチプレート2の例を示している。これは、円周方向に均等に分布されている、すなわち、隣接するリーフばね8が互いに同じ角度を囲むように構成されている、3つのリーフばね8を有する。リーフばね8は、ばね鋼から形成され、中空リベット9を介して鋼プレート3に接続されている。円周方向13で互いに離間している各リーフばね8の両端は、中空リベット9によって鋼プレート3に接続されている。各リーフばね8は凹部10を有しており、その機能を以下に説明する。
【0027】
図3は、内プレート4として使用され得るライニングプレート5の例を示している。これは、ライニングキャリア12の反対側に形成された2つの摩擦プレート11を有する。ライニングプレート5は、好ましくは、3つのリーフばね8を有する。リーフばね8は、円周方向13に離間している各リーフばね8の両端がライニングキャリア12に合流するという点で、ライニングキャリア12と一体に形成されている。各リーフばね8は、凹部10を有しており、その機能を以下に説明する。
【0028】
以下では、再び
図1を参照する。マルチプレートクラッチ1はまた、トルクが伝達するように、内プレート4が懸架されている駆動リング14を有する。外プレート5は、ロータポット15から懸架されている。動作中、マルチプレートクラッチ1の係合状態では、動作が引き込みであるか、または押し込みであるかに応じて、トルクは、駆動リング14の間で、内プレート4および外プレート5を介してロータポット15に、またはその逆に伝達され得る。ロータポット15は、ロータポットから軸方向6に延在する複数のアーム16を有する。これらのアーム16は、例えば、ロータポット15ごとに3つ形成されており、複数の機能を有する。アーム16が挿入されるロータキャリア18の対応する軸方向溝17と相互作用することにより、トルクをロータポット15とロータキャリア18との間で伝達することができる。さらに、アーム16は、外プレート5のリーフばね8の凹部10と相互作用するという点で、外プレート5を支持するように機能する(
図2を参照)。
【0029】
係合状態では、凹部10を介してトルクが導入または放出される。押し込み動作および引き込み動作の両方でトルク伝達を可能にするために、凹部10はU字形であり、その結果、両方の円周方向13に対応する接触面がもたらされる。代替的に、凹部10はまた、O字形を有し得る。
【0030】
マルチプレートクラッチが接続されると、内プレート4と駆動リング14との間、または、例えば、圧力ポット19を介して、外プレート2とロータキャリア18との間で相対移動が発生する。リーフばね8は、相対移動中の摩擦を最小限に抑えながら(例えば、ライニングキャリア12と対応するリーフばねガイド20との間の摺動移動が回避される)、対応する内プレート4および外プレート2の比較的大きな軸方向移動を生成する。同様に、アーム16と凹部10との間の相対移動中に少量の摩擦が存在することで、外プレート2の軸方向6への移動が著しく大きくなる。ここでも、アーム16と凹部10との間の摺動移動が回避される。
【0031】
さらに、マルチプレートクラッチ1は、圧力を支持する圧力プレート21を有する。圧力プレート21は、ロータキャリア18にねじ止めされている。さらに、マルチプレートクラッチ1は、圧力プレート21をロータキャリア18に固定するための装着リング22を含む。
【0032】
図4は、装着リング22、圧力プレート21、ロータキャリア18、およびロータポット15を有する、マルチプレートクラッチ1のさらなる図を示している。
【0033】
図5~7は、組み付けられたマルチプレートクラッチ1の異なる斜視図を示している。上記の実施形態を参照する。
【0034】
図8は、特に、クランクシャフト25を介してマルチプレートクラッチ1に接続された内燃機関24を有する、モータ車両のハイブリッドドライブトレイン23を概略的に示しており、マルチプレートクラッチ1は、ここでは、内燃機関24をハイブリッドドライブトレイン23から分離および接続するためのK0クラッチまたは切断クラッチとして構成されている。マルチプレートクラッチ1は、電気機械26と同心円状に構成されている。トルクは、出力シャフト27を介してモータ車両の車輪(図示せず)に伝達することができる。出力シャフト27は、マルチプレートクラッチ1および電気機械26に接続され得る。マルチプレートクラッチ1は、特に、電気機械26のロータに統合されている。電気機械26は、好ましくは、電気モータおよび/または発電機である。
【0035】
鋼プレート3およびライニングプレート5の配置は、原則として両方向(内側および外側)で行うことができる。しかしながら、本明細書では、ライニングプレート(
図3参照)が内側(内プレート4)に配置され、駆動リング(14)からモータトルクを吸収して外側の鋼プレート3(外プレート2)(
図2)に伝達する場合のみを扱う。これは、キャリアプレート(ライニングキャリア12)を介して実現される(
図3を参照)。キャリアプレートは、2つのライニング(摩擦プレート11)の間に接着されてライニングプレート5と称されるものを形成する。キャリアプレート(ライニングキャリア12)には、円周方向13に内部切り欠き部(凹部10)を有する、少なくとも3つのばね要素(リーフばね8)が存在する。これらの切り欠き部(凹部10)では、トルクがキャリアプレート(ライニングキャリア12)に加えられ、摩擦プレート11に加えられる。U字型の接点があるため、トルクを両方向に伝達することができる(使用可能なスペースによっては、O字型の接点も可能であろう)。ばね要素(リーフばね8)は、最小の摺動摩擦でプレートの軸方向の移動を可能にするために、可能な限り低い軸方向の剛性を有する必要がある。結果として、キャリアプレート(ライニングキャリア12)とリーフばねガイド20との間の摺動移動が回避される。
【0036】
鋼プレート3は、同様の方法で外側に向かって支持されている。ばね要素(リーフばね8)は、個々のリーフばね8として構成され、それぞれの鋼プレート3にリベット留めされている(
図3の中空リベット9を参照)。しかしながら、キャリアプレート(ライニングキャリア12)への接着も可能であると考えられる。
【0037】
要件および必要なトルク容量に応じて、クラッチ(マルチプレートクラッチ1)は、直列に接続された複数のプレートパックで構成することができる。
【0038】
クラッチ(マルチプレートクラッチ1)は、最も効果的には、並進移動なしで、すなわち、リリースベアリングから圧力ポット19を介して直接操作される。しかしながら、プレートばねまたはレバーばねを使用して並進移動を生成することも可能である。
【0039】
押圧力は、ロータキャリア18にねじ止めされた押圧プレート21によって反対側の軸方向端部で支持される。これにより、ロータポット15とロータキャリア18との間の溶接シームを節約し、同時に、プレートの容易な組み付け/分解が可能となる。
【0040】
軸方向溝17は、ロータポット15とロータキャリア18との間でトルクを伝達するために、ロータキャリア18の内径に導入される。ロータポット15の対応するアーム16はまた、これらを貫通し、同時に、鋼プレートのリーフばね(鋼プレート3のリーフばね8)を支持するように機能する。
【符号の説明】
【0041】
1 マルチプレートクラッチ
2 外プレート
3 鋼プレート
4 内プレート
5 ライニングプレート
6 軸方向
7 半径方向
8 リーフばね
9 中空リベット
10 凹部
11 摩擦プレート
12 ライニングキャリア
13 円周方向
14 駆動リング
15 ロータポット
16 アーム
17 溝
18 ロータキャリア
19 圧力ポット
20 リーフばねガイド
21 圧力プレート
22 装着リング
23 ハイブリッドドライブトレイン
24 内燃機関
25 クランクシャフト
26 電気機械
27 出力シャフト