(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
B60C 23/10 20060101AFI20240415BHJP
B60C 23/16 20060101ALI20240415BHJP
B60S 9/10 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B60C23/10
B60C23/16
B60S9/10
(21)【出願番号】P 2021565923
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086774
(87)【国際公開番号】W WO2022128099
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】520375826
【氏名又は名称】ファティ,セラハティン
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファティ,セラハティン
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-103143(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03601103(DE,A1)
【文献】特開2011-189755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009256(US,A1)
【文献】特開平11-286261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/10
B60C 23/16
B60S 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシ(20, 120)と、
圧縮空気で加圧するためのタイヤバルブ(14b)を有する空気入りタイヤ(14a)を備えた複数の車輪(12, 14, 16, 18)と、
少なくとも1つのブレーキ回路(44)及び/又は1つのエアサスペンションシステム(46)を含み、自動車(10, 100)の空気圧操作装置を供給するように設定された車載圧縮空気システム(40, 140)と、を備えた自動車(10, 100)であって、
前記タイヤがパンクした場合に、前記タイヤを一時的に加圧するための緊急システム(60, 160)を備え、
前記緊急システムは、
前記自動車に常設された複数の圧縮空気接続部(62, 64, 66, 68; 162, 164, 166, 168)を備え、
前記圧縮空気接続部のそれぞれは、可撓性の圧縮空気ホース(70)を備え、
前記圧縮空気ホースの自由端は前記タイヤバルブ(14b)に接続可能であって、使用しないときは前記自動車(10, 100)に完全に収納され、前記タイヤがパンクしたときは前記自動車から引き出すことができ、前記車載圧縮空気システム(40, 140)によって供給される自動車において、
前記緊急システム(160)は、空気圧で作動する複数のジャッキ(22, 24, 26, 28)をさらに備え、
前記ジャッキ(22, 24, 26, 28)のそれぞれは、前記シャーシ(120)に統合され、
前記シャーシ(120)から地面(32)に向かって延ばすことができ、前記車載圧縮空気システム(140)によって駆動される支持体(30)を備え、
前記ジャッキ(22, 24, 26, 28)のそれぞれは、各車輪(12, 14, 16, 18)の一つに割り当てられ、
前記ジャッキ(22, 24, 26, 28)は、使用されていない場合には、少なくとも前記自動車(10, 100)の側方からは見えない方法により、前記自動車(10, 100)の底部に完全に引き込まれ
、
前記緊急システム(60, 160)は、前記自動車(10, 100)の周囲に配置された複数の前記圧縮空気接続部(62, 64, 66, 68; 162, 164, 166, 168)を備え、前記圧縮空気接続部(62, 64, 66, 68; 162, 164, 166, 168)のそれぞれが各車輪(12, 14, 16, 18)の一つに割り当てられ、
前記車載圧縮空気システム(40, 140)は、コンプレッサ(42)と、前記自動車(10, 100)の他の空気圧操作装置(44, 46)の圧縮空気リザーバを有し、
前記複数の前記圧縮空気接続部(62, 64, 66, 68; 162, 164, 166, 168)及び前記複数の前記ジャッキ(22, 24, 26, 28)は、前記コンプレッサ(42)により又は前記自動車(10, 100)の他の空気圧操作装置(44, 46)の前記圧縮空気リザーバから、圧縮空気が供給される自動車。
【請求項2】
前記自動車(10, 100)は、進行方向(A)において2つの右前輪と左前輪(12, 14)及び少なくとも2つの右後輪と左後輪(16, 18)を備え、
前記緊急システムは、前記自動車(10, 100)の前方左右及び後方左右右のぞれぞれの車輪(12, 14, 16, 18)に対応する位置に配置された4つの前記圧縮空気接続部(62, 64, 66, 68; 162, 164, 166, 168)を備える請求項
1に記載の自動車。
【請求項3】
前記圧縮空気接続部(62, 64, 66, 68; 162, 164, 166, 168)のそれぞれは、フラップ(78, 178)により閉じることができる前記圧縮空気ホース(70)を収納する収納部(74, 174)を備える請求項1
又は2に記載の自動車。
【請求項4】
前記収納部(74, 174)は、前記自動車(10, 100)の底部に設けられ、下向きに開く請求項
3に記載の自動車。
【請求項5】
前記収納部(74, 174)は、前記自動車(10, 100)のフェンダー(79, 179)内に設けられ、横向きに開く請求項
3に記載の自動車。
【請求項6】
前記圧縮空気ホース(70)は、前記収納部(74, 174)に自動的に納められるホースである請求項
4又は5に記載の自動車。
【請求項7】
前記圧縮空気ホース(70)は、スパイラル状ホースである請求項
4又は5に記載の自動車。
【請求項8】
運転席と、前記運転席に配置された前記自動車(10, 100)の装置を操作するため制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ジャッキ(22, 24, 26, 28)を制御する入力装置を備える請求項1~
7のいずれか一項に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで検討されるタイプの自動車は、従来の、空気入りタイヤを備えた複数の車輪が取り付けられたシャーシを含む。車輪の空気入りタイヤは、タイヤバルブを備え、バルブを介してタイヤを膨らませる。これは通常、車両の整備場やガソリンスタンドにあるタイプの個別のコンプレッサを介して行われる。
【0003】
さらに、多くの自動車、特に商用車には、車両のさまざまな空気圧操作装置に供給するように設定された車載圧縮空気システムが備えられている。これらの空気圧操作装置は、少なくとも1つのブレーキ回路及び/又はエアサスペンションシステムを含む。
【0004】
タイヤがパンクした場合にタイヤの仮封と膨張を可能にするために、多くの自動車には、タイヤに注入するためのシール材と仮封されたタイヤを膨張させるための可動式コンプレッサユニットを含む緊急キットも搭載されている。しかし、取り扱いが面倒な場合があり、キットは常に別のアイテムとして車両に搭載する必要がある。キットが使用されることは殆どないため、緊急時にすぐに使用する準備ができないトランクの床下など、一般的には離れた場所に保管される。さらに、車両に長期間保管した後、必要なときにコンプレッサが機能するとは必ずしも保証されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、タイヤを膨らませるための圧縮空気源の使用の準備などについて前述の不利な点がなく、従来の緊急キットと比べて簡素化された取り扱いでパンクしたタイヤを修復するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を有する自動車によって解決される。
【0007】
本発明による車両は、タイヤがパンクした場合に、タイヤを一時的に加圧するための一体型緊急システムを備える。この緊急システムは、自動車に常設された複数の圧縮空気接続部を備え、それぞれが柔軟な(可撓性の)圧縮空気ホースを有し、その自由端をタイヤバルブに接続することができる。使用されていないとき、つまり車両の通常の操作中は、この圧縮空気ホースは自動車内に完全に収納でき、問題が発生した場合、つまり車両が停止しているときに引き抜くことができる。各圧縮空気接続部は、車両に搭載されている圧縮空気システムによって供給される。
【発明の効果】
【0008】
この一体型緊急システムは、一方では、圧縮空気接続部が自動車に取り付けられ、各圧縮空気ホースが引き出された状態で車輪に都合良く届くという特徴がある。したがって、緊急時に備えて別のコンプレッサを常に持ち運ぶ必要はなくなり、タイヤがパンクした場合は車両の付属品の中からコンプレッサを探して車輪に取り付ける。さらに、いずれにせよ車両に取り付けられた車両自体の圧縮空気システムの圧縮空気源を使用して、タイヤを膨らませることができる。
【0009】
したがって、本発明による緊急システムは、車両自体の圧縮空気システム内に統合され、必要に応じて、その圧縮空気回路を、ブレーキ回路及び/又はエアサスペンションシステムなどの他の利用可能な圧縮空気回路と共有することができる。したがって、本発明による緊急システムは、車両自体の制御及び入力要素によって制御することもでき、これらは、車両の車載圧縮空気システム内の圧縮空気の分配を制御し、たとえば、適切なバルブ制御を介してタイヤを膨張させるために必要な圧縮空気を分岐させる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、緊急システムは、自動車の周囲に配置された複数の圧縮空気接続部を備え、各圧縮空気接続部は、車輪の1つに割り当てられる。それぞれの圧縮空気接続部の車輪への「割り当て」は、空間的割り当てを指定することを目的としている。つまり、対応する圧縮空気接続部は、車両の関連する車輪の上またはその付近に配置される。他方、それはまた、この圧縮空気接続部のホースが、車輪の位置に関係なく、割り当てられた車輪のタイヤバルブに届くような、動作上の割り当てである。この目的のために、圧縮空気ホースの角度及び長さからの圧縮空気接続部の距離は、適切に選択されるべきである。
【0011】
自動車は、好ましくは、進行方向に2つの右前輪及び左前輪と、少なくとも2つの右後輪と左後輪を備え、したがって、緊急システムは、右前輪と左前輪及び右後輪と左後輪のそれぞれの車輪に対応する位置で自動車に配置された4つの圧縮空気接続部を備える。
【0012】
圧縮空気接続部は、さらに好ましくは、フラップによって閉じることができる圧縮空気ホースを受け入れるための収納部を備える。
【0013】
収納部は、好ましくは、自動車の車体下部に設けられ、下向きに開く。これにより、車体の見た目の悪化を回避できる。
【0014】
他の実施形態によれば、収納部は、自動車のフェンダー内に設けられ、横向きに開く。この場合、収納部のフラップは圧縮空気接続部を視覚的に隠す。
【0015】
圧縮空気ホースは、好ましくは、収納部に自動的に引き込まれるホースである。これにより、使用後の圧縮空気ホースの収納が容易になる。
【0016】
他の実施形態によれば、圧縮空気ホースはスパイラル状ホースである。渦巻き状又はらせん状に巻くことができ、収納部から弾性的に引き出すことができるが、使用後はその復元力により自動的に収納コンパートメントに収納される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態は、以下の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による自動車の第1実施形態の構成要素の概略図である。
【
図2】右前輪の領域における
図1の自動車の部分側面図である。
【
図3】
図1及び
図2の自動車の様々な操作装置に供給するための圧縮空気システム及び本発明による一体型緊急システムの概略図である。
【
図4】本発明による自動車の第2実施形態の構成要素の概略図である。
【
図5】右前輪の領域における
図4の自動車の部分側面図である。
【
図6】
図4及び
図5の自動車の様々な操作装置に供給するための圧縮空気システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、自動車10の概略平面図を示す。
図1は、自動車10の詳細には示されていないシャーシ20上に、進行方向(矢印Aで示す)に対して前方左右と後方左右に配置された4つの車輪12、14、16、18を有する通常の道路車両に関する。
【0020】
車輪12、14、16、18には空気入りタイヤが装着される。パンク時にタイヤの1つが空気を失った場合は、問題のある車輪をスペアの車輪に交換するか、圧力低下の原因となったタイヤの欠陥を一時的に修復して、タイヤを再び膨らませる必要がある。
【0021】
そのシナリオのため、自動車10は、パンクした場合に車輪12、14、16、18のタイヤを一時的に加圧するための一体型緊急システム60を有している。この緊急システム60は、自動車10に常置された複数の圧縮空気接続部を備える。本実施形態では、4つの圧縮空気接続部62、64、66、68が存在し、各圧縮空気接続部62、64、66、68は、4つの車輪12、14、16、18のうちの1つに割り当てられる。したがって、詳細には、前方左の圧縮空気接続部62は、左前輪12に割り当てられ、前方右の圧縮空気接続部64は、右前輪14に割り当てられ、後方左の圧縮空気接続部66は左後輪16に割り当てられ、後方右の圧縮空気接続部68は右後輪18に割り当てられる。この空間的割り当ては、車輪12、14、16、18に割り当てられた圧縮空気接続部62、64、66、68が、車輪12、14、16、18の任意の回転位置で、この車輪12、14、16、18のタイヤを圧縮空気で満たすことができるように選択される。圧縮空気接続部62、64、66、68の正確な構成は、
図2の詳細図で示される。
【0022】
図2は、例として、右前輪14に割り当てられる圧縮空気接続部64を示している。本実施形態では、4つの圧縮空気接続部62、64、66、68はすべて設計が同一であるため、
図2に関する以下の説明は、示されていない残りの圧縮空気接続部62、66及び68にも適用される。
【0023】
圧縮空気接続部64は、リール72に巻かれた可撓性の圧縮空気ホース70を備える。可撓性の圧縮空気ホース70は、自動車10の底部の収納部74に巻かれ、使用されていないときは、このリール72に巻かれ収納部74に完全に収納される。収納部74は、下向きに、すなわち、自動車10の下の地面32に向かって開く。その開口部76は、旋回フラップ78によって閉じることができる。
【0024】
パンクした場合に車輪14のタイヤ14aを膨張させるために、フラップ78が開かれ、可撓性の圧縮空気ホース70が開口部76を通して収納部74から下方に引き出される。リール72は、圧縮空気ホース70を自動的に引き込み、圧縮空気ホース70が、リール72の回転プリテンションに対して引き出されるように設定することができる。圧縮空気ホース70の長さは、車輪14の任意の回転位置でタイヤ14aのタイヤバルブ14bに届くのに十分な長さである。圧縮空気ホース70の自由端は、タイヤバルブ14bに接続することができる。
【0025】
そして、タイヤ14aは、圧縮空気接続部64を介して膨張する。そのため、圧縮空気接続部64は、他の圧縮空気接続部62、66及び68も同様に、自動車10の様々な空気圧操作装置に供給するために供される車両自体の圧縮空気システムによって供給される。この車載圧縮空気システム40は、
図1に簡略化して示され、
図3により詳細に示される。本実施形態では、自動車は、空気圧ブレーキ回路44及び空気圧エアサスペンションシステム46を備える。これらは、圧縮空気量に基づいて、
図3に図式的にのみ示されている。したがって、コンプレッサ42は、本発明によれば、ブレーキ回路44及びエアサスペンションシステム46などの車両の従来の空気圧操作装置だけでなく、本発明による緊急システム60及びその圧縮空気接続部62、64、66、68にも供給するように機能する。
【0026】
図1は、コンプレッサ42のみを示す。コンプレッサ42は、主線から分岐する個々の圧縮空気ライン80、82、84、86を介して圧縮空気接続部62、64、66、68に接続されている。実際の実施形態では、コンプレッサ42は、車載圧縮空気システム40の一部であって、対応する分配弁、減圧器などを介して圧縮空気接続部62、64、66、68に接続される。
図3は、コンプレッサ42によって生成された圧縮空気を、必要に応じて1つ又は複数の操作装置、すなわちブレーキ回路44、エアサスペンションシステム46、及び/又は圧縮空気接続部64(すべてを表すと圧縮空気接続部62、64、66、68)に分配する分配弁48を参照して例示している。コンプレッサ42を作動させず、代わりにブレーキ回路44の圧縮空気リザーバから、またはエアサスペンションシステム46から、1つ又は複数の圧縮空気接続部62、64、66、68に圧縮空気を導く分配弁48の位置も考えられる。したがって、圧力リザーバの1つにおける余剰の圧力は、別の空気圧操作装置を操作するために使用することができる。そのため、ブレーキ回路44、エアサスペンションシステム46及び圧縮空気接続部62、64、66、68との間で圧縮空気を交換するための相互接続部も設けることができ、これらは開閉可能である。例えば、コンプレッサ42からブレーキ回路44又はエアサスペンションシステム46のみに圧縮空気を供給することができ、圧縮空気接続部62は、その圧縮空気のリザーバからのみ操作される。
【0027】
圧縮空気接続部62、64、66、68の個々の操作については、様々なオプションが想定され得る。圧縮空気接続部62、64、66、68は、例えば、自動車10の運転席から、すなわち、ダッシュボード(不図示)から個別に操作することができる。スイッチなどの対応する入力装置は、圧縮空気接続部62、64、66、68を操作するのに機能する。圧縮空気接続部62、64、66、68は、対応する制御ラインを介して運転席の制御部と、自動車10のデータバスなど(例えばCANなど)を介して接続することができる。車両の電子システムに統合された制御コンピュータは、圧縮空気接続部62、64、66、68を供給するためにどの圧縮空気源を使用するかを決定することもできる。すなわち、コンプレッサ42から直接使用するか、又は上述したようにブレーキ回路44又はエアサスペンションシステム46などの別の空気圧操作装置の圧縮空気リザーバを介して使用するかである。
【0028】
図2に示す実施形態から離れて、それぞれの圧縮空気ホース70を収容するための収納部74はまた、自動車10の側面、すなわち、自動車のフェンダー79内に取り付けられ、収納部74を開閉するための横方向のフラップが設けられる。これは、圧縮空気ホース70の利用を容易にする。フラップ78によって覆われているので、自動車10の外観に対する見た目の悪化は最小限である。
【0029】
図4は、
図1の自動車10と同様の自動車100の概略平面図を示す。特に、自動車100は、自動車100のシャーシ120に配置された、
図1に示す配置に従った車輪12、14、16、18も有する。この自動車100はまた、上述した自動車10の緊急システム60と同一であって、車輪12、14、16、18のタイヤを一時的に加圧するための緊急システム160を備える。したがって、4つの圧縮空気接続部162、164、166、168も設けられ、各圧縮空気接続部162、164、166、168は、車輪12、14、16、18に割り当てられる。この割り当ては、
図1の実施形態に対応する。この緊急システム160はまた、車載圧縮空気システムによって、すなわち、そのコンプレッサ又は自動車10の個々の空気圧操作装置の圧縮空気リザーバによって供給される。
【0030】
各圧縮空気接続部162、164、166、168に加えて、空気圧ジャッキ22、24、26、28が各車輪12、14、16、18に割り当てられ、本緊急システム160の一部となっている。各カージャッキ22、24、26、28は、シャーシ120に統合され、シャーシ120から地面32に向かって下向きに引き出すことができる支持体を備え、支持体は割り当てられた車輪12、14、16、18の荷重を支える。支持体を地面32に押し付けると、シャーシ120およびシャーシ120と共に自動車100の全体が持ち上げられる。これを例として
図5に示す。
図5に示すジャッキ24の支持体30は、シャーシ120から外に折りたたむことができ(矢印B)、部分的に下向きに伸ばすことができる(矢印C)。このようにして、支持体30を地面32に押し付けることができ、それにより、自動車100と共にシャーシ120を持ち上げる。使用しないときは、ジャッキ24は、自動車100の側面から見えないように、自動車100の底部に完全に引き込まれる。
【0031】
右前輪14及びジャッキ24に割り当てられた圧縮空気接続部164は、自動車100のフェンダー179のジャッキ24の真上に設けられた収納部174を備える。収納部174は、側面で開かれ、フラップ178によって閉じられる。圧縮空気接続部164の圧縮空気ホースは内部に収納されている。この圧縮空気ホースとその機能の詳細はここでは説明しない。
図2の圧縮空気ホース70と同様である。
図5に示す配置はまた、他の圧縮空気接続部162、166及び168の例でもある。
【0032】
ここに示す緊急システム160のジャッキ22、24、26、28はまた、
図6に図式的に示すように、車載圧縮空気システム140によって供給される。この圧縮空気システム140は、
図3の圧縮空気システム40の拡張バージョンに対応し、ジャッキ22の圧縮空気リザーバがさらに示され、すべてのジャッキ22、24、26、28の圧縮空気リザーバを表すか又は、それらは共通の圧縮空気リザーバを有してもよい。上記の実施形態と同様に、圧縮空気接続部164(すべてを表すと圧縮空気接続部162、164、166、168)は、ブレーキ回路44及びエアサスペンションシステム46のように分配弁48を介してコンプレッサ42により圧縮空気を供給される。しかしながら、さらに、ジャッキ22(すべてを表すとジャッキ22、24、26、28)は、利用可能な圧縮空気の量に応じて、コンプレッサ42から、または必要に応じて他の操作装置、すなわちブレーキ回路44、エアサスペンションシステム46又は圧縮空気接続部164の圧縮空気リザーバから、圧縮空気を供給される。したがって、必要に応じて、圧縮空気を圧縮空気のリザーバ間で交換することができる。
図3に示されるのと同じ方法で、圧縮空気リザーバ間の相互接続部もまた、分配弁48とは独立して設けることができる。独立して設ける場合は、マルチポート弁とすることも、複数の組み合わされた弁で表すこともできる。この場合も、コンプレッサ42は、ブレーキ回路44、エアサスペンションシステム46、または圧縮空気接続部164の圧縮空気リザーバのみに供給することができ、ジャッキ22は、その圧縮空気リザーバからのみ操作される。
【0033】
圧縮空気接続部162、164、166、168のように、ジャッキ22、24、26、28を制御するための入力装置は、例えば、自動車の運転席のそばのダッシュボード上の制御部に設けることができる。ジャッキ22、24、26、28及び圧縮空気装置162、164、166、168の複合作動もまた考えられ、それぞれのジャッキ22、24、26、28を作動すると、ジャッキ22、24、26、28が最初に伸長し、同時にまたは直後に対応する圧縮空気接続部164に圧縮空気が供給されるようなことも考えられる。