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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】計時器を識別する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/422 20220101AFI20240415BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240415BHJP
【FI】
G06V10/422
G06T7/00 300F
G06T7/00 610C
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185411
(22)【出願日】2022-11-21
(65)【公開番号】P2023086682
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】21213764.0
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・バザン
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0160904(US,A1)
【文献】特表2016-541052(JP,A)
【文献】特開2018-191228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 10/422
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の映像及び/又は音声同報通信のためのインタフェース(14b)及び画像取得モジュール(17)を含む電子装置(18)を使用して計時器(4)を認証する方法であって、該方法は、以下のステップ:
-前記電子装置(18)の処理ユニット(15)を介して、前記計時器(4)のデジタルグラフィック表現の描写的特徴からデジタル識別要素を生成するステップ(28)であって、前記ステップ(28)は:
・前記グラフィック表現の少なくとも1つの関心領域に含まれる様々なグラフィックオブジェクトを識別する段階(34)を含み、前記関心領域は、前記計時器(4)の構造的及び/又は美的な欠陥を含む、前記デジタルグラフィック表現の前記描写的特徴を精緻化するサブステップ(33);
・前記グラフィック表現の前記少なくとも1つの関心領域に含まれる構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、前記様々な識別されたグラフィックオブジェクトの前記描写的特徴から、前記デジタル識別要素を作成するサブステップ(37)
を含む、生成ステップ(28);
-前記電子装置(18)の前記同報通信インタフェース上で、前記計時器(4)のブランドの識別コード及び/又はシリアル番号を同報通信し、それにより、前記生成したデジタル識別要素の正当性を、前記生成したデジタル識別要素と前記計時器(4)のための参照デジタル識別要素を比較する、サーバ(2)の制御ユニット(9)によって実装するサブステップ(41)中に、確認したならば、前記計時器(4)のための視覚的及び/又は聴覚的な認証情報を提供するようにし、前記参照デジタル識別要素を、前記計時器(4)のためのかかる固有参照デジタル識別要素を生成する装置(3)によって予め作成しておく、同報通信ステップ(39)
を含む方法。
【請求項2】
前記電子装置(18)の前記処理ユニット(15)によって実装する前記生成ステップ(28)は、前記計時器(4)のデジタルグラフィック表現をデザインするサブステップ(31)を含み、前記サブステップ(31)は、前記電子装置(18)の前記取得モジュール(17)によって、前記計時器(4)の全部又は一部の少なくとも1つの画像を取得する段階(32)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブステップ(37)は、前記構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、様々な識別されたグラフィックオブジェクトの前記描写的特徴に、識別要素デザインアルゴリズムを適用する段階(38)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記段階(38)中、前記電子装置(18)の前記処理ユニット(15)は、これらのアルゴリズムを実行することによって、前記構造的及び/又は美的な欠陥のための前記描写的特徴を除く、前記構造的及び/又は美的な欠陥のための前記描写的特徴の周辺で前記グラフィック表現上に位置する前記描写的特徴の選択を実行することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サブステップ(37)は、前記構造的及び/又は美的な欠陥のための前記描写的特徴を除く、前記様々な識別されたグラフィックオブジェクトの前記描写的特徴に、識別要素デザインアルゴリズムを適用する段階(38)を含み、前記段階(38)中、前記電子装置(18)の前記処理ユニット(15)は、これらのアルゴリズムを実行することによって、前記構造的及び/又は美的な欠陥のための前記描写的特徴を除く、前記構造的及び/又は美的な欠陥のための前記描写的特徴を囲む領域内であって、該領域の幅Lは、予め設定できる、領域内で、前記グラフィック表現上に位置する前記描写的特徴の選択を実行することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
参照関心領域及び前記関心領域それぞれは、前記グラフィック表現上/内に構成した/描画した前記計時器(4)の外側部分の一部を成し、この領域は、前記構造的及び/又は美的な欠陥を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記関心領域は、前記サーバ(2)のデータベース(5)に記録保管される前記計時器(4)のための参照関心領域と同様であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を実装する電子装置(18)、生成装置(19)及びサーバ(2)を含む計時器(4)を認証するシステム(1)であって、前記電子装置(18)は、情報の映像及び/又は音声同報通信のためのインタフェース(14b)及び画像取得モジュール(17)を含み、前記サーバ(2)は、参照デジタル識別要素(11)を含むデータベース(5)を含み、前記システム(1)は、前記電子装置(18)を前記サーバ(2)に接続する無線及び/又は有線ネットワークアーキテクチャを含む、システム。
【請求項9】
前記生成装置(3)は、計時器(4)のための参照デジタル識別要素(11)の前記作成に寄与できることを特徴とする、請求項8に記載のシステム(1)。
【請求項10】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムを、前記サーバ(2)の前記制御ユニット(9)、前記計時器(4)を認証するシステム(1)にいずれも含まれる前記生成装置(3)の処理ユニット(6)及び前記電子装置(18)の前記処理ユニット(15)によって実行するとき、請求項1に記載の前記ステップを実行するためのプログラムコード命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置を使用して計時器を識別/認証する方法及びシステムに関する。
【0002】
本発明は、更に、この方法のステップを実行するためのプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
機械式又は電気機械式時計等の計時器を認証/識別可能にするために、計時器には、特にその製造プロセスの一部として、識別マークを備えることがある。この識別マークは、例えば、計時器を手首に装着した際に、該計時器の美観を損なわないように、直接視認できない同計時器のケースの外側部分に付与される符号(coding)の形を取ることがある。この符号を、例えば、欧州特許出願公開第1804195号(特許文献1)で定義された二次元バーコード等の符号化画像とすることがある。特有の計算アルゴリズムよって得られるこの符号化画像は、計時器の識別子に基づいており、計時器は、該計時器の識別子を含むカードと共に通常販売される。
【0004】
しかしながら、主な欠点の1つは、上記計時器を認証可能にするのに特有のコンピュータ装置を使用しなければならず、手間がかかり、複雑な点である。より詳細には、この符号は、親会社が提供する復号キーを使用した復号化操作によってのみ復号化できる。
【0005】
特に従来技術の欠点を解消する別の解決方法を見つける必要があることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第1804195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、確実に計時器を識別/認証するのを助ける方法及びシステムを提供することによって前述した欠点の全て又は一部を解消することである。
【0008】
本発明の別の目的は、簡単で、信頼でき、ロバストな識別/認証方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、情報の映像(visual)及び/又は音声同報通信(broadcast)のためのインタフェース及び画像取得モジュールを含む電子装置を使用して計時器を認証する方法であって、該方法は、以下のステップ:
-電子装置の処理ユニットを介して、計時器のデジタルグラフィック表現の描写的特徴からデジタル識別要素を生成するステップであって、該ステップは:
・上記グラフィック表現の少なくとも1つの関心領域に含まれる様々なグラフィックオブジェクトを識別する段階を含み、上記関心領域は、上記計時器の構造的及び/又は美的な欠陥を含む、デジタルグラフィック表現の上記描写的特徴を精緻化するサブステップ;
・グラフィック表現の上記少なくとも1つの関心領域に含まれる構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、様々な識別されたグラフィックオブジェクトの上記描写的特徴から、デジタル識別要素を作成するサブステップ
を含む、生成ステップ;
-電子装置の同報通信インタフェース上で、計時器のブランドの識別コード及び/又はシリアル番号を同報通信し、それにより、生成したデジタル識別要素の正当性を、生成したデジタル識別要素と計時器のための参照デジタル識別要素を比較する、サーバの制御ユニットによって実装するサブステップ中に確認したならば、計時器のための視覚的及び/又は聴覚的な認証情報を提供するようにし、上記参照デジタル識別要素は、計時器のための固有参照デジタル識別要素を生成する装置によって予め作成しておく、同報通信ステップ
を含む方法に関する。
他の実施形態によると:
-電子装置の処理ユニットによって実装する上記生成ステップは、計時器のデジタルグラフィック表現をデザインするサブステップを含み、該サブステップは、電子装置の取得モジュールによって、計時器の全部又は一部の少なくとも1つの画像を取得する段階を含み;
-サブステップは、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、様々な識別されたグラフィックオブジェクトの上記描写的特徴に、識別要素デザインアルゴリズムを適用する段階を含み;
-段階中、電子装置の処理ユニットは、これらのアルゴリズムを実行することによって、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴の周辺でグラフィック表現上に位置する描写的特徴の選択を実行し;
-段階中、電子装置の処理ユニットは、これらのアルゴリズムを実行することによって、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を囲む領域内であって、該領域の幅Lは、予め設定できる、グラフィック表現上に位置する描写的特徴の選択を実行し;
-参照関心領域及び上記関心領域それぞれは、グラフィック表現上/内に構成した/描画した計時器の外側部分の一部を成し、この領域は、上記構造的及び/又は美的な欠陥を含み;
-関心領域は、サーバのデータベースに記録保管される上記計時器のための参照関心領域と同様である。
【0010】
更に、本発明は、上記方法を実装する電子装置、生成装置及びサーバを含む計時器を認証するシステムであって、電子装置は、情報の映像及び/又は音声同報通信のためのインタフェース及び画像取得モジュールを含み、サーバは、参照デジタル識別要素を含むデータベースを含み、システムは、電子装置を上記サーバに接続する無線及び/又は有線ネットワークアーキテクチャを含む、システムに関する。
【0011】
有利には、生成装置は、計時器のための参照デジタル識別要素の作成に寄与できる。
【0012】
更に、本発明は、コンピュータプログラムに関し、該コンピュータプログラムは、該プログラムを、サーバの制御ユニット、システムの電子装置の処理ユニット、及び生成装置の処理ユニットによって実行するとき、本方法のステップを実行するためのプログラムコード命令を含む。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、以下で挙げた添付図を参照して提示する以下の説明から一層明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による、情報の映像及び/又は音声同報通信のためのインタフェース及び画像取得モジュールを含む電子装置を使用して計時器を認証/識別するシステムの線図である。
図2】本発明の一実施形態によるこの計時器を認証/識別する方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、情報の映像及び/又は音声同報通信のためのインタフェース14b及び画像取得モジュール17を含む電子装置18を使用して計時器4を認証/識別するシステム1の線図を示している。このように、かかるシステム1により、上記計時器4を、特に電子装置18を使用して認証/識別可能になることが分かる。
【0016】
本発明の本実施形態では、かかる計時器4は、好適には機械式時計である。しかしながら、別の実施形態では、電子式又は電気機械式時計とすることができる。
【0017】
かかるシステム1は、このように、計時器4、電子装置18、計時器4のための固有参照デジタル識別要素11を生成する装置3、及びサーバ2を含む。このシステム1は、生成装置3及び電子装置18をサーバ2と接続する無線及び/又は有線ネットワークアーキテクチャを更に含む。
【0018】
上述したように、かかるシステム1は、計時器4を認証するのに必要なトランザクション交換を可能にする。より詳細には、トランザクション交換を電子装置18によって実装し、電子装置18は、この交換中に、この計時器4のための識別要素を生成し、その後、計時器4の正当性を、この計時器4に対応する参照識別要素11と照合することによって、計時器4を認証することに関与する。また、これに関連して、このシステム1は、固有な参照識別要素11を作成するプロセスも実装できる。
【0019】
この参照識別要素11は、計時器4の独特且つ特有の視覚的及び構造的特徴に由来するため、固有である。これらの特徴は、計時器4が同様のブランドの同じモデルに属していても、各計時器4に特有である。より詳細には、同じモデルの計時器と同様のブランドの計時器との間には、例えば、構造的及び/又は美的な相違があり、この相違は、視認可能で、巨視的規模では一層顕著であり、例えば、これらの計時器4を構成する時計構成要素の製造プロセスの結果生じる、又はこれらの計時器4をデザインするためにかかる構成要素を纏めて組付ける作業の結果生じる。
【0020】
このシステム1では、サーバ2は、特に作成済みの計時器4の参照デジタル識別要素11を記録保管(archive)するデータベース5を含む。各参照識別要素11を、それと関係する計時器4の描写データ12と関連付けることによって、このデータベース5に記録保管する。
【0021】
これらの描写データ12は、非限定的且つ非包括的に:
-そこから参照識別要素11を生成する計時器4のグラフィック表現;
-グラフィック表現内で選択し、そこから参照識別要素11を生成する少なくとも1つ参照関心領域に関するデータ;
-参照識別要素11を生成するのに使用するこの計時器4の1つ又は複数の取込み画像;
-計時器に関する機密情報データ:
・この計時器4のためのブランド識別コード;
・計時器4を認証するシリアル番号;
・この計時器4のモデルの参照記号(reference);
・この計時器4のための技術データ;
-等
を含む。
【0022】
このサーバ2では、制御ユニット9は、ハードウェア及びソフトウェアリソース、特にメモリ要素と協働する少なくとも1つのプロセッサを含む。この制御ユニット9は、例えば、サーバ2のデータベース5を管理することを目的とした、及び/又は計時器4を認証するプロセスに関与する生成装置3からの/への又は電子装置18からの/への要求/命令/データを処理することを目的としたコンピュータプログラムを実装する命令を実行できる。
【0023】
制御ユニット9を、生成装置3に、及び電子装置18に、サーバ2の通信ユニットを介して接続することに留意すべきである。かかる通信ユニットは、このシステム1のネットワークアーキテクチャ内でセキュア通信プロトコルを実装できる。
【0024】
このシステム1では、電子装置18を、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、又は電子端末、特に支払い端末とすることができる。かかる電子装置18は、非限定的又は非包括的に:
-ハードウェア及びソフトウェアリソース、特にメモリ要素16bと協働する少なくとも1つのプロセッサ16aを含む処理ユニット15;
-情報を同報通信するための映像同報通信インタフェース(例えば、画面)及び/又は音声同報通信インタフェース14b(例えば、スピーカ);
-データを交換するためのその処理ユニット15とサーバ2の制御ユニット9間の通信リンクを確立する通信インタフェース14a;
-キーパッドや、更には、例えば、画面を含む同報通信インタフェース14bに含まれる接触感知式インタフェース等の選択インタフェース;
-少なくとも1個のマイクロホンを含む少なくとも1つのオーディオストリーム取込みモジュール;
-例えば、CCD(電荷結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)マトリックスセンサ式の画像センサを特に含む、少なくとも1つの画像を取込むモジュールとも呼ぶ、画像取得モジュール17、及び
-マンマシンインタフェースMMI
を含む。
【0025】
この電子装置18では、処理ユニット15を、とりわけ、画像取得モジュール17に、同報通信インタフェース14bに、通信インタフェースに、選択インタフェースに、及びマンマシンインタフェースMMIに接続する。この処理ユニット15は、例えば、サーバ2からの/への、特に、その制御ユニット9からの/への要求/命令/データを処理することを目的としたコンピュータプログラムを実装する命令を特に実行できる。
【0026】
このシステム1では、固有参照デジタル識別要素11を生成する装置3は、非限定的且つ非包括的に:
-ハードウェア及びソフトウェアリソース、特にメモリ要素7aと協働する少なくとも1つのプロセッサ7bを含む処理ユニット6;
-計時器4に関する少なくとも1つの画像を取込むモジュール8;
-特にデータをサーバ2と交換するために、このシステム1のネットワークアーキテクチャ内でセキュア通信プロトコルを実装できる通信モジュール10;
-前述の内容を設定するためにオペレータによって特に操作できるマンマシンインタフェースMMI
を含む。
【0027】
この生成装置3では、処理ユニット6は:
-計時器4に関する上記少なくとも1つの画像に適用することを意図するデジタル画像処理アルゴリズム13a;及び
-上記少なくとも1つの画像から、特に計時器4のためのグラフィック表現から抽出したグラフィックオブジェクトに適用する識別要素デザインアルゴリズム13b
を実装できる。
【0028】
電子装置18の処理ユニット15は、参照識別要素11と同様な識別要素を生成するために、同じアルゴリズム13a、13bを実装できることに留意すべきである。
【0029】
この生成装置3では、取込みモジュール8は、例えば、CCD(電荷結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)マトリックスセンサ式の画像センサを特に含む、少なくとも1個の撮影センサを含む。
【0030】
図2を参照すると、このシステム1は、情報の映像及び/又は音声同報通信のためのインタフェース14b及び画像取得モジュール17を含む電子装置18を使用して計時器4を認証/識別する方法を実装している。
【0031】
このために、この方法は、計時器4のための固有参照デジタル識別要素11を作成する予備ステップ19を含む。この作成ステップ19は、計時器4の全て又は一部の少なくとも1つの画像を取込むサブステップ20を含む。かかるサブステップ20を、生成装置3によって、特にその処理ユニット6によって実装する。このサブステップ20では、計時器4を、この装置3の支持体上に配置し、そうして、処理ユニット6は、この計時器4の少なくとも1つの画像を取込むために、上記少なくとも1個の撮影センサを制御する。
【0032】
次に、本方法のこの予備ステップ19は、計時器4の全て又は一部のグラフィック表現を含む上記少なくとも1つの取込んだ画像をデジタル処理するサブステップ21を実行することを提供する。このサブステップ21を、処理ユニット6によって実装するが、該処理ユニット6は、そのメモリ要素7a内に、デジタル画像処理アルゴリズム13aを含む。
【0033】
かかるサブステップ21は、特に、構造的及び/又は美的な欠陥を含む上記グラフィック表現の少なくとも1つの参照関心領域を選択する段階22を含み、上記領域は、固有識別要素11のデザインの基礎としての役割を果たす。
【0034】
本実施形態では、各参照関心領域は、グラフィック表現上/内に構成/描画した計時器4の外側部分の一部を成し、この領域は、この構造的及び/又は美的な欠陥を含む。かかる計時器4の外部要素は、そのムーブメントを囲む構成部品全てであり、従って、この計時器4にその美観やそのスタイルを与える一方で、その機能全てを表示可能にすることにも想起すべきである。本発明の文脈中では、参照関心領域は、非限定的且つ非包括的に、以下に述べる外部要素とすることができる:この計時器4の時刻表示を伴うアパーチャを含むことができる文字盤、針、ガラス、フランジ、ベゼル、1つ又は複数のボタン、竜頭、ブレスレット、裏蓋又は胴(middle)。或いは、グラフィック表現に含まれるこの参照関心領域は、一緒に組付ける外部要素の複数の部分を含むことができる。更に別の代替手段では、この参照関心領域は、外部要素の一部とすることができる。
【0035】
既に述べたように、各選択参照関心領域は、少なくとも1つの構造的及び/又は美的な欠陥を含む。かかる欠陥は:
-関心領域の表面上/内にある、気泡又は材料の塊等といった円形欠陥;
-参照関心領域の表面上/内にある、擦り傷、ひっかき傷、線、又は残留物等といった直線的又は伸長的な欠陥;
-参照関心領域の/内にある、変形、この領域の表面内/上に存在する2要素間の異常な間隔、又は突出等といった構造的な欠陥
とすることができる。
【0036】
これらの欠陥は、この参照関心領域に関する製造若しくは組付工具又は方法によって生じたものに属することに留意すべきである。
【0037】
参照関心領域を選択すると、処理サブステップ21は、その後、この参照関心領域に含まれる様々なグラフィックオブジェクトを識別する識別段階23を実装することを提供する。これに関連して、グラフィックオブジェクトは、非限定的且つ非包括的に:
-アップリケ、指標(index)及びシンボル;
-ムーブメントの一部を視認可能にする文字盤のアパーチャ又は凹部等の開口部(スケルトン時計のケース);
-この開口部内で視認可能な要素又はグラフィック表現;
-文字盤、ガラス、胴、ベゼル、裏面又はフランジの表面上にある銘刻、例えば、数字、文字又はシンボルの二次元又は三次元のグラフィック要素;
-宝石等の装飾的要素;
-文字盤を構成し、特にアップリケを保持し、この文字盤の1つ又は複数のアパーチャを含む、板;
-竜頭及び/又はボタン;
-等
とすることができる。
【0038】
処理サブステップ21は、その後、このグラフィック表現の、特に、識別されたグラフィックオブジェクトそれぞれの描写的特徴を抽出する段階24を含む。
【0039】
これらの描写的特徴は、特に、各グラフィックオブジェクトの視覚的/美的な外見/外観を定義する。これに関連して、これらの描写的特徴は、非限定的且つ非包括的に:
-デジタルグラフィック表現を構成するグラフィックオブジェクトの形状であって、この形は、円、球、楕円、円錐、円柱、円錐台、三角形、多面体、又は少なくとも2つの異なる又は同様の幾何学形状の組み合わせ等の幾何学形状とすることができる、形状;
-デジタルグラフィック表現を構成するグラフィックオブジェクトの寸法であって、これらの寸法は、厚さ、幅、長さ、深さ、表面、又は体積等に対応できる、寸法;
-グラフィックオブジェクトの1つ又は複数の視認可能な面上に存在する1色又は複数の色;
-構造的及び/又は美的な欠陥;
-グラフィック表現が複数のかかるオブジェクトを含むときに2つ以上のグラフィックオブジェクト間の相対的位置
を含む。
【0040】
抽出した描写的特徴を、その後、生成装置3の処理ユニット6のメモリ要素7aに保存する。
【0041】
本方法の予備ステップ19は、その後、上記少なくとも1つの参照関心領域に含まれる構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く上記抽出した描写的特徴から参照デジタル識別要素11を生成するサブステップ25を含む。このサブステップ25を、処理ユニット6によって実装し、該処理ユニット6は、そのメモリ要素7aに、識別要素デザインアルゴリズムを含む。
【0042】
この生成サブステップ25は、上記少なくとも1つの参照関心領域に含まれる構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、上記抽出した描写的特徴に、識別要素デザインアルゴリズム13bを適用する段階26を含む。この段階26中、処理ユニットは、これらのアルゴリズムを実行することによって、グラフィック表現内で:
-構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴の周辺に、又は、
-構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を囲む領域内であって、該領域の幅Lは、予め設定でき、この幅は、この好適には円形領域の両縁部間の距離に対応する、領域内に
位置する、上記少なくとも1つの参照関心領域に含まれる構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、抽出した描写的特徴を選択する。
【0043】
その後、本方法は、サーバ2のデータベース5に以下:
-この参照識別要素11;
-そこからこの識別要素11を生成する計時器4のグラフィック表現;
-グラフィック表現内で選択し、そこから識別要素11を生成する上記少なくとも1つの参照関心領域に関するデータ;
-グラフィック表現を生成するのに使用するこの計時器4の1つ又は複数の取込んだ画像
を保存するステップ27を提供する。
【0044】
その後、本方法は、計時器4の認証/識別の一部として、計時器4のデジタルグラフィック表現の描写的特徴からデジタル識別要素を生成するステップ28を提供する。かかるステップ28を、電子装置18によって、特にその処理ユニット15によって実装することに留意すべきである。
【0045】
この生成ステップ28は、電子装置18の近くに計時器4を配置するサブステップ29を含む。特に、このサブステップ29は、この装置18の画像取得モジュール17と対向して計時器4を位置決めする段階30を提供する。より詳細には、この段階30中、計時器のケースの文字盤側及び/又は裏側だけでなくブレスレットの全部又は部分を、この取得モジュール17と対向して配置する。
【0046】
本方法のこのステップ28は、その後、計時器4のデジタルグラフィック表現をデザインするサブステップ31を含む。このサブステップ31は、電子装置18の取得モジュール17を使用して、計時器4の全部又は一部の少なくとも1つの画像を取得する段階32を含む。このサブステップ31では、処理ユニット15は、その後、この計時器4の少なくとも1つの画像を取込むために、上記少なくとも1個の撮影センサを制御する。
【0047】
続いて、生成ステップ28は、デジタルグラフィック表現の描写的特徴を精緻化するサブステップ33を含み、サブステップ33は、上記グラフィック表現の少なくとも1つの関心領域に含まれる様々なグラフィックオブジェクトを識別する識別段階34を含む。関心領域は、構造的及び/又は美的な欠陥を含む計時器の外部要素の一部分を選択可能にし、該部分を使用して、識別要素をデザインすることに留意すべきである。関心領域は、上述した構造的及び/又は美的な欠陥を含む計時器4の外部要素の一部であることを想起すべきである。このグラフィック表現を、計時器4の全部又は一部の上記少なくとも1つの取込み画像に含む。かかる精緻化サブステップ33を、電子装置18の処理ユニット15によって実装し、処理ユニット15は、そのメモリ要素16bに、デジタル画像処理アルゴリズム13aを含む。
【0048】
このようにして、サブステップ33は、この関心領域に含まれる様々なグラフィックオブジェクトを識別する識別段階35を実装することを提供する。
【0049】
この精緻化サブステップ33は、その後、デジタルグラフィック表現内で識別されたグラフィックオブジェクトの描写的特徴を抽出する段階36を含む。
【0050】
生成ステップ28は、その後、この関心領域に含まれる構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、上記少なくとも1つの関心領域で識別された様々なグラフィックオブジェクトの上記抽出された描写的特徴から、デジタル識別要素を作成するサブステップ37を含む。かかる作成サブステップ37を、処理ユニット15によって実装し、該処理ユニット15は、そのメモリ要素16bに、識別要素デザインアルゴリズムを含む。
【0051】
このサブステップ37は、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、上記描写的特徴に、識別要素デザインアルゴリズムを適用する段階38を含む。この段階38中、処理ユニットは、これらのアルゴリズムを実行することによって、グラフィック表現内で:
-構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴の周辺に、又は
-構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を囲む領域内であって、該領域の幅Lは、予め設定でき、この幅Lは、この好適には円形領域の両縁部間の距離に対応する、領域内に、又は、
-構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を囲む領域内であって、該領域は、予め設定できる表面積Sを有し、この表面積Sは、関心領域にある欠陥の表面積より好適には5~10倍大きい、領域内に
位置する、構造的及び/又は美的な欠陥のための描写的特徴を除く、描写的特徴を選択する。
【0052】
この生成ステップ中、関心領域は、サーバ2のデータベース5に記録保管される上記計時器4に関する参照関心領域と同様であることに留意すべきである。
【0053】
この方法は、その後、電子装置18の映像及び/又は音声通信インタフェース14b上で、計時器4のブランドの識別コード及び/又はシリアル番号を同報通信して、生成したデジタル識別要素が正当であれば、上記計時器のための映像/音声認証情報を提供するステップ39を含む。
【0054】
このステップ39は、生成したデジタル識別要素をサーバ2に送信するサブステップ40を含む。続いて、同報通信ステップ39は、生成ステップ28で生成したデジタル識別要素の正当性をチェックする比較サブステップ41を含む。このサブステップ41は、生成したデジタル識別要素と計時器のための参照デジタル識別要素とを比較することを提供する。サーバ2の制御ユニット9によって実装するこの比較サブステップ41は、生成したデジタル識別要素が参照デジタル識別要素11と略異なる又は異なる場合、認証/正当性評価を拒否する段階42を含む。逆に、この比較サブステップ41は、生成したデジタル識別要素が、参照デジタル識別要素と略同様である又は同様である場合に、認証/正当性評価を承認/受諾する段階43を含む。承認/受諾段階43に続いて、制御ユニット9は、計時器4に関する機密情報データ、特に、計時器4のブランドの識別コード及び/又はシリアル番号を検索するために、要求をデータベースに送信する。
【0055】
続いて、同報通信ステップ39は、サーバ2の制御ユニット9を使用して、これらの機密情報データの全て又は一部を含むメッセージ、又は計時器4のブランドの識別コード及び/又はシリアル番号を、電子装置18に送るサブステップ44を含む。
【0056】
上述したように、かかる識別要素11は、各計時器4に固有であり、従って、この計時器4を認証及び/又は識別可能である。
【0057】
また、本発明は、コンピュータプログラムに関し、該コンピュータプログラムは、該プログラムを、サーバ2の制御ユニット9、生成装置3の処理ユニット6及び電子装置18の処理ユニット15によって実行するとき、この方法のステップを実行するためのプログラムコード命令を含む。
【0058】
勿論のことながら、本発明は、上述した実施形態に限定されず、様々な簡単な代替や変形を、当業者は、添付のクレームで規定される本発明の範囲を出ることなく、考えることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 システム
2 サーバ
3 生成装置
4 計時器
5 データベース
6 処理ユニット
7a メモリ要素
7b プロセッサ
8 モジュール
9 制御ユニット
10 通信モジュール
11 参照デジタル識別要素
12 描写データ
13a デジタル画像処理アルゴリズム
13b 識別要素デザインアルゴリズム
14a 通信インタフェース
14b 同報通信インタフェース
15 処理ユニット
16a プロセッサ
16b メモリ要素
17 画像取得モジュール
18 電子装置
図1
図2