特許 7472259 リーファー電力制御

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-04-12

(45)【発行日】2024-04-22

(54)【発明の名称】リーファー電力制御

(51)【国際特許分類】

   B63J 2/12 20060101AFI20240415BHJP

   F25D 11/00 20060101ALI20240415BHJP

   B63J 3/02 20060101ALI20240415BHJP

【ＦＩ】

B63J2/12 B

F25D11/00 101D

B63J3/02 A

【請求項の数】 19

(21)【出願番号】P 2022500752

(86)(22)【出願日】2020-07-09

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2022-09-13

(86)【国際出願番号】 EP2020069462

(87)【国際公開番号】W WO2021005185

(87)【国際公開日】2021-01-14

【審査請求日】2022-02-03

(31)【優先権主張番号】1909935.7

(32)【優先日】2019-07-10

(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB

【前置審査】

(73)【特許権者】

【識別番号】516205948

【氏名又は名称】マースクライン エーエス

【氏名又は名称原語表記】Ｍａｅｒｓｋ Ｌｉｎｅ Ａ／Ｓ

【住所又は居所原語表記】Ｅｓｐｌａｎａｄｅｎ ５０ １２６３ Ｃｏｐｅｎｈａｇｅｎ Ｋ Ｄｅｎｍａｒｋ

(74)【代理人】

【識別番号】100079108

【弁理士】

【氏名又は名称】稲葉 良幸

(74)【代理人】

【識別番号】100109346

【弁理士】

【氏名又は名称】大貫 敏史

(74)【代理人】

【識別番号】100117189

【弁理士】

【氏名又は名称】江口 昭彦

(74)【代理人】

【識別番号】100134120

【弁理士】

【氏名又は名称】内藤 和彦

(72)【発明者】

【氏名】ベーレンツ，モルテン レネ

【審査官】高瀬 智史

(56)【参考文献】

【文献】米国特許出願公開第２０１４／０３４３７４１（ＵＳ，Ａ１）

【文献】米国特許出願公開第２００４／００２０２３６（ＵＳ，Ａ１）

【文献】特開昭６１－２５６１６７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１１－１４９６８５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６３Ｊ ２／１２

Ｆ２５Ｄ １１／００

Ｂ６３Ｊ ３／０２

Ｂ６０Ｐ ３／２０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御するための電力制御装置であって、
前記コンテナ船によって輸送される前記少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を取得し、
前記コンテナ船が該コンテナ船に搭載される１つ以上の電源から利用可能であり、かつ、前記コンテナ船のエネルギー需要を超える余剰エネルギーを含むエネルギーの量を示すデータを取得し、
前記余剰エネルギーの量に基づいて、前記少なくとも１つのリーファーコンテナを前記設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成される、
電力制御装置。

【請求項2】

前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量が、
前記コンテナ船から遠隔の１つ以上の電源から利用可能なエネルギーを含む、請求項１に記載の電力制御装置。

【請求項3】

前記コンテナ船に搭載される前記１つ以上の電源が、
前記コンテナ船の１つ以上のエンジンから排出される排ガスを受け取るために配置される熱回収システム、
前記コンテナ船のプロペラ軸に結合された軸発電機、
前記コンテナ船に搭載される排ガス処理ユニットから廃水を受け取るために配置されるエネルギー回収タービン発電機
の１つ以上を備える、請求項２に記載の電力制御装置。

【請求項4】

前記電力制御装置が、
前記コンテナ船の少なくとも１つの発電機にかかる負荷を表す負荷データと、
前記少なくとも１つの発電機の目標負荷範囲を表す目標負荷データと
を取得するように構成され、
前記余剰エネルギーが、前記少なくとも１つの発電機にかかる前記負荷と、前記発電機の前記目標負荷範囲の下限との間の差に相当する、
前記電力制御装置が、前記負荷を前記目標負荷範囲内の負荷まで増やすために、前記少なくとも１つのリーファーを、決定された量だけ、前記設定温度より低く冷却するように構成される、請求項１～３のいずれか一項に記載の電力制御装置。

【請求項5】

前記電力制御装置が、前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量及び少なくとも１つの他の基準に基づいて前記少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定するように構成され、
前記少なくとも１つの他の基準が、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの前記コンテナ船上での場所、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナのモデルタイプ、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの中に入れられた製品のタイプ、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの性能係数、及び
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの前記コンテナ船上の前記場所での外気温度
の少なくとも１つを含む、請求項１～４のいずれか一項に記載の電力制御装置。

【請求項6】

前記少なくとも１つのリーファーコンテナが、複数のリーファーコンテナを含み、前記電力制御装置が、
前記リーファーコンテナの相対内部温度、
前記リーファーコンテナの前記コンテナ船上のそれぞれの場所での相対外気温度、
前記リーファーコンテナの前記コンテナ船上での相対的な場所、
前記リーファーコンテナの相対的な性能係数、及び
前記リーファーコンテナに供給されている相対的なエネルギーの量
の少なくとも１つに基づいて、前記リーファーコンテナの少なくとも１つをそれぞれの設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成される、請求項１～５のいずれか一項に記載の電力制御装置。

【請求項7】

前記電力制御装置が前記少なくとも１つのリーファーコンテナを前記設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成されることが、前記電力制御装置が前記少なくとも１つのリーファーコンテナの前記設定温度を下げるかどうかを決定するように構成されることを含み、
前記設定温度が設定温度範囲を含み、
前記電力制御装置が、前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量に基づいて、前記設定温度範囲の下限を下げるかどうかを決定するように構成される、請求項１～６のいずれか一項に記載の電力制御装置。

【請求項8】

前記電力制御装置が、第１の設定温度から第２の設定温度に前記設定温度を下げるかどうかを決定するように構成され、前記第２の設定温度が、前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量に基づいて決定される、請求項７に記載の電力制御装置。

【請求項9】

前記電力制御装置が、
前記コンテナ船上に、または
前記コンテナ船から遠隔に
位置する、請求項１～８のいずれか一項に記載の電力制御装置。

【請求項10】

コンテナ船用の電力制御システムであって、
請求項１～９のいずれか一項に記載の電力制御装置と、
少なくとも１つのリーファーコンテナにエネルギーを供給するための少なくとも１つの電力インタフェースと
を備える、電力制御システム。

【請求項11】

請求項１０に記載の電力制御システムを備えるコンテナ船。

【請求項12】

コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御するための方法であって、
前記コンテナ船によって輸送される前記少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を取得することと、
前記コンテナ船が該コンテナ船に搭載される１つ以上の電源から利用可能であり、かつ、前記コンテナ船のエネルギー需要を超える余剰エネルギーを含むエネルギーの量を示すデータを取得することと、
前記余剰エネルギーの量に基づいて、前記少なくとも１つのリーファーコンテナを前記設定温度より低く冷却するかどうかを決定することと
を含む、方法。

【請求項13】

前記コンテナ船の少なくとも１つの発電機にかかる負荷を表す負荷データを取得することと、
前記少なくとも１つの発電機の目標負荷範囲を表す目標負荷データを取得することであって、前記余剰エネルギーが、前記少なくとも１つの発電機にかかる前記負荷と前記発電機の前記目標負荷範囲の下限との間の差に相当する、前記取得することと、
前記負荷を前記目標負荷範囲内の負荷まで増やすために、前記少なくとも１つのリーファーコンテナを、決定された量だけ、前記設定温度より低く冷却することと
を含む、請求項１２に記載の方法。

【請求項14】

前記方法が、前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量、及び少なくとも１つの他の基準に基づいて前記少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定すること
を含み、
前記少なくとも１つの他の基準が、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの前記コンテナ船上での場所、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナのモデルタイプ、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの中に入れられた製品のタイプ、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの性能係数、及び
前記少なくとも１つのリーファーコンテナの前記コンテナ船上の前記場所での外気温度
の少なくとも１つを含む、請求項１２又は１３に記載の方法。

【請求項15】

前記少なくとも１つのリーファーコンテナが複数のリーファーコンテナを含み、前記方法が、
前記リーファーコンテナの相対内部温度、
前記リーファーコンテナの前記コンテナ船上のそれぞれの場所での相対外気温度、
前記リーファーコンテナの前記コンテナ船上での相対的な場所、
前記リーファーコンテナの相対的な性能係数、及び
前記リーファーコンテナに供給されている相対的なエネルギーの量
の少なくとも１つに基づいて、前記リーファーコンテナの少なくとも１つをそれぞれの設定温度より低く冷却するかどうかを決定することを含む、請求項１４に記載の方法。

【請求項16】

前記少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを前記決定することが、前記少なくとも１つのリーファーコンテナの前記設定温度を下げるかどうかを決定することを含み、
前記設定温度が設定温度範囲を含み、
前記方法は、前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量に基づいて、前記設定温度範囲の下限を下げるかどうかを決定することを含む、請求項１２～１５のいずれか一項に記載の方法。

【請求項17】

第１の設定温度から第２の設定温度に前記設定温度を下げるかどうかを決定することを含み、前記第２の設定温度が、前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量に基づいて決定される、請求項１６に記載の方法。

【請求項18】

前記コンテナ船が利用可能な前記エネルギーの量を示すデータを前記取得することが、
前記コンテナ船が利用可能な現在のエネルギーの量を示すデータを取得することと、
将来に前記コンテナ船が利用可能となるエネルギーの量を推定することと
の少なくとも１つを含む、請求項１２～１７のいずれか１項に記載の方法。

【請求項19】

制御装置による実行時に、前記制御装置に請求項１２～１８のいずれか１項に記載の方法を実行させる命令を記憶する非一時的な機械可読記憶媒体。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御するための電力制御装置及び電力制御システム、ならびに関連する方法に関する。

【背景技術】

【0002】

コンテナ船は、世界中で貨物を輸送する際に重要な役割を果たす。貨物船として、コンテナ船は、「コンテナ化」と呼ぶ技術で例えば荷下ろし及び再荷積みを行わずに、ある輸送方式から別の輸送方式に移動するように設計された共同一貫輸送コンテナで積荷を運ぶ。標準的な（ＩＳＯ）共同一貫輸送コンテナは、長さ２０フィート（６．１０ｍ）及び幅８フィート（２．４４ｍ）として設計されており、多くの場合コンテナ船及びターミナルの容量を説明するために使用される貨物容量の単位としての２０フィートコンテナ換算（ＴＥＵ）につながる。コンテナ船での典型的な積荷は、２０フィートと４０フィート（２－ＴＥＵ）ＩＳＯコンテナの混合物である。世界中での大部分のばら積みではない貨物はコンテナ船によって輸送されており、世界のコンテナ量の大部分は最大で２－ＴＥＵのコンテナから構成されている。現代の最大のコンテナ船は、２１，０００ＴＥＵを超える容量を有している。

【0003】

コンテナ船は、通常、コンテナ船の構成要素に電力を提供するために使用し得る「エンジン発電機セット」または「発電機セット」とも呼ぶ船内発電機を有する。発電機は、エンジンと組み合わされた発電機を含み得る。例えば、ディーゼル発電機は、電気エネルギーを発生させるようにともに作動するディーゼルエンジンと発電機（例えば、交流発電機）の組み合わせであってよい。発生した電気エネルギーは、通常、船舶に搭載される電気回路（例えば、電力システムまたはユーティリティ）によって、電流と電位の組み合わせを介して船舶の構成要素に供給される。そのとき、電力は、電気回路が構成要素に電気エネルギーを伝達する単位時間あたりの割合である。電力のＳＩ単位は毎秒１ジュールに相当するワット（Ｗ）であるが、電力供給は、通常、キロワット単位の電力と時間単位の供給の運転時間の積であるキロワット時（ｋＷｈ）で測定される。したがって、キロワット時は、エネルギーの単位であり、ＳＩ単位で３．６メガジュール（ＭＪ）に相当する。

【0004】

発電機によって電力を供給されるコンテナ船の構成要素は、例えばコンテナ船を操縦するために水を吸い込むまたは吹き飛ばすことができる、コンテナ船上で側面方向に取り付けられたプロペラを含むスラスタを含む可能性がある。コンテナ船は、例えば舶用ポンプなどの、やはり発電機を介して電力を供給され得る流体を変位させるための船内ポンプを有してよい。また、発電機には、照明、暖房、ギャレー機器などの船舶の乗組員が必要とするシステムによって要求される電力など、「ホテル負荷」がある場合もある。

【0005】

停泊場所にある間、コンテナ船は、例えばそのエンジンが停止している間、岸辺の近くの電力を提供される場合がある。したがって、船舶は、例えばコンテナターミナルにドッキング中、送電網に接続し得る。これにより、そうでなければ、港にいる間に、エンジンに動力を供給するために使用されるであろう燃料の消費量を節約することができる。特定の港には、例えば排出量を制限するために、船舶が陸上電力を使用することを要求するアイドリングストップ法がある場合がある。

【0006】

また、排出規制地域（ＥＣＡ）は、指定された海域での特定の排出物の許容量を厳しく管理する場合がある。制御される排出物には、硫黄酸化物（ＳＯ_ｘ）、窒素酸化物（ＮＯ_ｘ）、揮発性有機化合物（ＶＯＣ）、およびオゾン層破壊物質（ＯＤＳ）が含まれる。世界中でのＥＣＡの例は、バルト海、北海、北米ＥＣＡ、及び米国カリブ海ＥＣＡが含まれる。したがって、例えばＥＣＡ内での排出規制に準拠しつつも、船内の電力需要を満たすことができるように、コンテナ船の電力管理システムを改善する要求がある。

【0007】

さらに、（船舶が陸上電力から離れているときに、船内電源により満たされる必要がある）コンテナ船の電力需要は、例えば搭載されている電力を供給されている様々な構成要素、及びそのそれぞれの電力要件を所与として、大幅に変化する可能性があるので、所与の発電機に課される需要を管理することが困難である場合がある。したがって、船舶の構成要素に電力を供給するために船内電源を使用するコンテナ船の電力管理を改善する要求もある。

【発明の概要】

【0008】

本発明の第１の態様は、コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御するための電力制御装置を提供し、電力制御装置は、
コンテナ船によって輸送される少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を取得し、
コンテナ船が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得し、
コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナを設定温度より低く冷却するかどうかを決定する
ように構成される。

【0009】

これにより、少なくとも１つのリーファーコンテナに入れられる商品に影響を与えずに、一定期間、少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーを少なくすることが可能になる。これにより、同様に、コンテナ船の電力供給システムにかかる負荷を減らし得、つまり、期間中に船舶が消費し得る燃料が少なくなることを意味する。さらに、本発明は、例えば船内電源により発生する、船舶が利用可能な余剰エネルギーを、過冷却リーファーに蓄えられる熱エネルギーに変換することも可能にする。これは、例えば船舶が港の間の航行している間など、船内で発生した余剰エネルギーが、それ以外の場合に浪費されるのを回避するの役立つ可能性がある。

【0010】

任意選択で、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量は、
コンテナ船に搭載される１つ以上の電源、及び／または
陸上電力など、コンテナ船から遠隔の１つ以上の電源
から利用可能なエネルギーを含む。

【0011】

任意選択で、コンテナ船に搭載される１つ以上の電源は、
コンテナ船の１つ以上のエンジンから排出される排ガスを受け取るために配置される熱回収システム、
コンテナ船のプロペラ軸に結合された軸発電機、及び
コンテナ船に搭載される排ガス処理ユニットから廃水を受け取るために配置されるエネルギー回収タービン発電機
の１つ以上を含む。

【0012】

任意選択で、電力制御装置は、
コンテナ船の少なくとも１つの発電機にかかる負荷を表す負荷データと、
少なくとも１つの発電機の目標負荷範囲を表す目標負荷データと
を取得するように構成され、
コンテナ船が利用可能なエネルギーの量は、少なくとも１つの発電機にかかる負荷と、発電機の目標負荷範囲の下限との差に相当する余剰エネルギーを含み、
電力制御装置は、負荷を目標負荷範囲内の負荷まで増やすために、少なくとも１つのリーファーを、決定された量だけ設定温度より低く冷却するように構成される。

【0013】

任意選択で、電力制御装置は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量、及び少なくとも１つの他の基準に基づいて少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定するように構成される。

【0014】

任意選択で、少なくとも１つの他の基準は、
少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上での場所、
少なくとも１つのリーファーコンテナのモデルタイプ、
少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量、
少なくとも１つのリーファーコンテナの中に入れられた製品のタイプ、
少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、
少なくとも１つのリーファーコンテナの性能係数、及び
少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上の場所での外気温度
の少なくとも１つを含む。

【0015】

任意選択で、少なくとも１つのリーファーコンテナは、複数のリーファーコンテナを含み、電力制御装置は、
リーファーコンテナの相対内部温度、
リーファーコンテナのコンテナ船上のそれぞれの場所での相対外気温度、
リーファーコンテナのコンテナ船上での相対的な場所、
リーファーコンテナの相対的な性能係数、及び
リーファーコンテナに供給されている相対的なエネルギーの量
の少なくとも１つに基づいて、リーファーコンテナの少なくとも１つをそれぞれの設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成される。

【0016】

任意選択で、電力制御装置が少なくとも１つのリーファーコンテナを設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成されることは、電力制御装置が少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を下げるかどうかを決定するように構成されることを含む。

【0017】

任意選択で、電力制御装置は、第１の設定温度から第２の設定温度に設定温度を下げるかどうかを決定するように構成され、第２の設定温度は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて決定される。

【0018】

任意選択で、設定温度は設定温度範囲を含む。

【0019】

任意選択で、電力制御装置は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、設定温度範囲の下限を下げるかどうかを決定するように構成される。

【0020】

任意選択で、電力制御装置は、第１の設定温度から第２の設定温度に設定温度を下げるかどうかを決定するように構成され、第２の設定温度が、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて決定される。

【0021】

任意選択で、電力制御装置は、コンテナ船上に、またはコンテナ船から遠隔に位置する。

【0022】

本発明の第２の態様は、コンテナ船用の電力制御システムを提供し、電力制御システムは、
第１の態様に係る電力制御装置と、
少なくとも１つのリーファーコンテナにエネルギーを供給するための少なくとも１つの電力インタフェースと
を含む。

【0023】

本発明の第３の態様は、第２の態様の電力制御システムを含むコンテナ船を提供する。

【0024】

本発明の第４の態様は、コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御するための方法を提供し、方法は、
コンテナ船によって輸送される少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を取得することと、
コンテナ船が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得することと、
コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナを設定温度より低くに冷却するかどうかを決定することと
を含む。

【0025】

任意選択で、方法は、
コンテナ船の少なくとも１つの発電機にかかる負荷を表す負荷データを取得することと、
少なくとも１つの発電機の目標負荷範囲を表す目標負荷データを取得することであって、
コンテナ船が利用可能なエネルギーの量は、少なくとも１つの発電機にかかる負荷と、発電機の目標負荷範囲の下限との差に相当する余剰エネルギーを含む、取得することと、
負荷を目標負荷範囲内の負荷まで増やすために、少なくとも１つのリーファーコンテナを、決定された量だけ設定温度より低く冷却することと
を含む。

【0026】

任意選択で、方法は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量、及び少なくとも１つの他の基準に基づいて少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定することを含む。

【0027】

任意選択で、少なくとも１つの他の基準は、
少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上での場所、
少なくとも１つのリーファーコンテナのモデルタイプ、
少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量、
少なくとも１つのリーファーコンテナの中に入れられた製品のタイプ、
少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、
少なくとも１つのリーファーコンテナの性能係数、及び
少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上の場所での外気温度
の少なくとも１つを含む。

【0028】

任意選択で、少なくとも１つのリーファーコンテナは複数のリーファーコンテナを含み、方法は、
リーファーコンテナの相対内部温度、
リーファーコンテナのコンテナ船上のそれぞれの場所での相対外気温度、
リーファーコンテナのコンテナ船上での相対的な場所、
リーファーコンテナの相対的な性能係数、及び
リーファーコンテナに供給されている相対的なエネルギーの量
の少なくとも１つに基づいて、リーファーコンテナの少なくとも１つをそれぞれの設定温度より低く冷却するかどうかを決定することを含む。

【0029】

任意選択で、少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定することは、少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を下げるかどうかを決定することを含む。

【0030】

任意選択で、設定温度は設定温度範囲を含む。

【0031】

任意選択で、方法は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、設定温度範囲の下限を下げるかどうかを決定することを含む。

【0032】

任意選択で、方法は、第１の設定温度から第２の設定温度に設定温度を下げるかどうかを決定することを含み、第２の設定温度は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて決定される。

【0033】

任意選択で、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得することは、
コンテナ船が利用可能な現在のエネルギーの量を示すデータを取得することと、
将来にコンテナ船が利用可能となるエネルギーの量を推定することと
の少なくとも１つを含む。

【0034】

本発明の第５の態様は、制御装置による実行時に、制御装置に第４の態様に係る方法を実施させる命令を記憶する非一時的な機械可読記憶媒体を提供する。

【0035】

本発明の実施形態は、ここで添付の図面を参照してほんの一例として説明される。

【図面の簡単な説明】

【0036】

【図1】例に係る船舶用の電力制御システムの概略図を示す。

【図2】例に係る船舶用の電力制御システムの概略図を示す。

【図3】Ａ及びＢは、発電機にかかる負荷を管理する例を示すチャートを示す。

【図4】発電機にかかる負荷を管理する別の例を示すチャートを示す。

【図5A】例に係るリーファーコンテナの温度分布を示すチャートを示す。

【図5B】例に係るリーファーコンテナの温度分布を示すチャートを示す。

【図5C】例に係るリーファーコンテナの温度分布を示すチャートを示す。

【図6】例に係る船舶の電力制御システムのための方法を示すフローチャートを示す。

【図7】例に係る船舶の概略図を示す。

【発明を実施するための形態】

【0037】

本明細書に説明する特定の例は、コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御するための方法及びシステムを示す。コンテナ船は、船内に積み込まれた複数のコンテナを有する場合があり、そのうちのいくつかがリーファーコンテナである場合がある。

【0038】

冷凍コンテナまたは単に「リーファー」とも呼ばれるリーファーコンテナは、食品（例えば、鶏肉、魚、肉など）、植物、医薬品、電池などの温度に敏感な商品を輸送するために使用され得る。リーファーコンテナは、コンテナを冷凍するための一体型冷凍ユニットを含み、コンテナ船上の電力ポイント（例えば、「リーファーポイント」）などの外部電源から電力を供給され得る。

【0039】

コンテナ船によって輸送されるリーファーコンテナを熱エネルギー貯蔵庫として利用できることが理解されている。例えば、リーファーコンテナは、その設定温度（例えば、リーファーコンテナによって運ばれる貨物に基づいてプログラムされた温度であってよい）より低く冷却することができ、これはリーファーコンテナの「過冷却」と呼ばれる場合がある。中の商品が、商品／リーファーにとって通常の設定温度より低い温度で維持されるようにリーファーを過冷却することによって、リーファーが周囲温度まで暖まるのにより長くかかる可能性がある。つまり、収容している商品に影響を与えずに、一定期間、過冷却リーファーに供給されるエネルギーをより少なくすることができる。これは、同様に、コンテナ船の電力供給システムに対するリーファー負荷を減らすため、この過冷却期間中に船舶が消費する燃料はより少なくなり得る。したがって、例えば、船舶が低排出ゾーン（ＬＥＺ）または排出規制地域（ＥＣＡ）に進入すると、船舶の燃料消費量を削減し得、同様に、ＬＥＺまたはＥＣＡ中で排出量／汚染のレベルを下げる。

【0040】

また、過冷却リーファーは、例えば船内の発電機セット、軸発電機、タービン発電機、または廃熱回収発電機によって発生する船舶からの余剰エネルギーを、過冷却リーファーに蓄える熱エネルギーに変換することを可能にし得る。これは、例えば船舶が港の間を航行中に、船内で発生する余剰エネルギーが、それ以外の場合浪費されるのを回避するのに役立つ可能性がある。海から港に入港すると、リーファーの過冷却は、例えば船内発電機セットなど、船内の電源手段を用いて達成することができる。ただし、港から海へ出航する前に、リーファーの過冷却は、追加的または代替的に、例えば船内ではなく、ターミナルで供給される電気など、（コンテナ）ターミナルで供給される陸上の電気を使用して達成される可能性がある。さらに、船舶が港にいる間、過冷却リーファーは港の海岸側の送電網でより多くの容量を提供することができる。したがって、港にいるコンテナ船に積み込まれるリーファーは、船内に搭載される過冷却リーファーがその貨物を貨物にとって最大温度限度より低く保つために電力供給を必要とする前に、海岸側の送電網によってそのそれぞれの設定温度範囲に冷却され得る。

【0041】

さらに、リーファーを利用して、コンテナ船に搭載される発電機によって発生する余剰エネルギーを蓄えることによって、負荷が目標負荷範囲内に収まるように発電機にかかる負荷を平滑化し、制御することができる。説明するように、リーファーに余剰エネルギーを蓄えるには、所与のリーファーの内部冷凍空間の温度を所与のリーファーの設定温度より低く下げること（つまり、上述した、リーファーの「過冷却」）を含む場合があり、これによりリーファーの中に保管されている製品が腐らないようにリーファーを温度制御することを可能にしつつ、発電機負荷を制御することが可能になる。例えば、（「コールドチェーン」または「クールチェーン」としても知られる）温度制御されたサプライチェーンでは、（「冷凍貨物」としても知られる）製品は、低温範囲に保たれる。したがって、特定の場合、上述のように、冷凍貨物にとって必要とされる温度制御を維持しつつも、冷凍貨物が入ったリーファーの動作温度を下げることができ、これにより貨物に悪影響を与えることなく、目標負荷範囲内での発電機負荷の平滑化が可能になる。発電機負荷の上下のサージを平滑化することによって、自動車のクルーズコントロールと同じように、発電機の燃料使用量を削減することができる。本明細書に説明する特定の例によって示されるように、負荷が（例えば、発電機の目標負荷を含む）目標負荷範囲内に収まるように発電機にかかる負荷を具体的に制御することによって、発電機の動作効率を改善することができる。さらに、これは、発電機及びコンテナ船の燃料消費量を削減し、同様に上述のように汚染レベルを下げるのに役立つ場合がある。

【0042】

図１は、（図７に示されているもの船などの）コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に供給される電力を制御するための電力制御装置１１０の例を示す。図７のコンテナ船１は、船体２、及び船体２の内部の１つ以上のエンジン室３を有する。コンテナ船１は、エンジン室３に配置される４ストロークまたは２ストロークの自己着火燃焼エンジンなど、１つ以上の大型内燃機関４によって動力を供給される。エンジン（複数可）４は、（１つ以上のプロペラなどの）推進機構を駆動する。また、船舶１は、エンジン（複数可）４に燃料を供給するための燃料システム５も含む。

【0043】

図１の例では、電力制御装置１１０は、コンテナ船１によって輸送可能な少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０にエネルギーを供給するための電力インタフェース１０５を含む電力制御システム１００の一部である。例えば、電力インタフェース１０５は、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に電力を供給するための電力ポイントを含んでよい。電力制御装置１１０（単に「制御装置」１１０と呼ばれる場合もある）は、コンテナ船１に配置される電力制御システム１００の一部として実装され得る。他の場合、制御装置１１０は、コンテナ船から遠隔に位置し、例えば、それぞれコンテナ船１からデータを受信するまたはコンテナ船１にデータを送信するために、コンテナ船１と通信するように構成され得る。例えば、制御装置１１０がコンテナ船１から遠隔に位置する場合、制御装置１１０は、コンテナ船１及び制御装置１１０の遠隔場所でのそれぞれの通信インタフェースを介して、例えば、電力制御システム１００の船内サブ制御装置及び／または他の構成要素など、コンテナ船１の構成要素と通信し得る。遠隔場所は、例えば、コンテナターミナルまたは物流企業の本社など陸上または別の船上であってよい。

【0044】

制御装置１１０は、データを取得するように構成されてよい。データを取得することは、例えば有線通信チャネルまたは無線通信チャネルを介して、ソースからデータを受信するまたは取り出すことであってよい。他の場合、データを取得することは、例えば制御装置１１０でデータを計算することなど、データを判定することであってよい。いくつかの場合、所与のデータを取得することは、例えば電力制御システム１００にとって内部または外部の別の構成要素からなど、ソースから初期データを受信するまたは取り出すことと、次に受信した／取り出した初期データに基づいて所与のデータを判定することとの両方であってよい。一例として、制御装置１１０は、例えばその１つ以上の特徴など、船内発電機１２０に関する情報など、入力データを受信し、次に入力データに基づいて（例えば、発電機１２０の最大負荷容量を示す）容量データを決定し得る。決定は、例えばデータベース内での計算及び／またはルックアップを含む場合がある。また、例では、制御装置１１０は、例えばコンテナ船１によって輸送される貨物についての情報を含む貨物データ、及び／または例えば１つ以上のリーファーコンテナの現在のステータスについての情報を含むリーファーデータを取得するように構成されてもよい。貨物データは、例えば貨物データベースから取得可能であってよい。リーファーデータは、例えば１つ以上のリーファーコンテナのそれぞれのリーファー制御装置から取得可能であってよい。

【0045】

電力制御装置１１０は、コンテナ船１によって輸送される少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の設定温度を取得するように構成される。例えば、所与のリーファーコンテナ１３０の設定温度は、所与のリーファーコンテナ１３０が運ぶそれぞれの貨物の船荷証券によって設定される場合がある。一例として、肉、魚などの製品は、摂氏マイナス１８度（－１８℃）などの設定冷凍温度を有し、それによってそのような製品を輸送するために選択されるリーファーコンテナ１３０が設定温度としての－１８℃に冷凍蔵されることを指定する場合がある。例では、設定温度は設定温度範囲を含む。例えば、設定温度範囲は、設定温度値と組み合わされた所定の許容誤差によって設定され得る。例えば、－１８℃の設定温度値に適用される＋／－２℃の操作許容誤差は、－２０℃～－１６℃の設定温度範囲を示す。

【0046】

電力制御装置１１０は、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得するように構成される。いくつかの場合、電力制御装置１１０は、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量を決定するように構成され得る。コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量は、例えばコンテナ船に搭載される１つ以上の電源から入手可能なエネルギーを含む場合がある。そのような船内の電源は、熱回収システム、軸発電機、及び／またはエネルギー回収タービン発電機を含む場合がある。（廃）熱回収システムは、排ガスボイラー、出力タービン、及び／または交流発電機付き蒸気タービンを含む場合がある。システムは、排ガスから熱エネルギーを回収し、それを電気エネルギーに変換するために、コンテナ船１の１つ以上のエンジンから放出される排ガスを受け取るために配置されてよい。軸発電機は、例えば、コンテナ船１のプロペラ軸に結合され得る。エネルギー回収タービン発電機は、コンテナ船１に搭載される、スクラバーとしても知られる排ガス処理ユニットから廃水を受け取るために配置され得る。例えば－水力回収タービン（ＨＰＲＴ）としても知られる－エネルギー回収タービン発電機は、逆にポンプのように動作し得、それによって、回転可能なシャフトを駆動し、使用可能な機械出力を生成し、プロセスでエネルギーの一部を回収するために、廃水流からのエネルギーを利用することができる。

【0047】

追加的または代替的に、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量は、陸上電力など、コンテナ船から遠隔の１つ以上の電源を含む場合がある。陸上電力、つまり「陸上供給」は、コンテナ船の主エンジン及び補助エンジンが任意選択で停止している間に、例えば、コンテナターミナルになど、停泊場所にあるコンテナ船に提供される海岸側の電力を含む場合がある。ターミナルに停泊中、コンテナ船１は、このようにして系統電力または時には外部遠隔発電機である場合がある陸上の電源に接続し得る。そのような遠隔発電機は、ディーゼルまたは例えば風力もしくは太陽光などの再生可能エネルギー源によって電力を供給され得る。陸上電力は、それ以外の場合、ターミナルにいる間にコンテナ船に電力を供給するために使用されるであろう燃料の消費量を節約し、このようにしてその燃料の消費量と関連する大気汚染を減少させる。例えば、湾港都市は、船舶が、陸上電力を使用することを義務付けるアイドリングストップ法を有する場合がある。陸上電力の使用によって、コンテナ船１に搭載されるエンジン及び発電機の保守が容易になる場合がある。

【0048】

コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量に基づいて、電力制御装置１１０は、コンテナ船１によって輸送される少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成される。例えば、電力制御装置１１０は、例えば要求された電力レベルで搭載される構成要素を操作するために、要求されているよりも多くのコンテナ船１が利用可能なエネルギーがあると判断し得るため、コンテナ船１が利用可能な余剰エネルギーを使用することによって少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を設定温度より低く冷却すると決定し得る。一例として、熱回収システムまたはエネルギー回収タービン発電機が利用され、回収されたエネルギーが、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量がコンテナ船１のエネルギー需要を超えることに寄与するとき、電力制御装置１１０は、熱回収システムまたはエネルギー回収タービン発電機で回収された余剰エネルギーを使用して少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を過冷却すると決定し得る。余剰エネルギーは、本明細書に説明するように、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に蓄えられる熱エネルギーに効果的に変換され得、これによりコンテナ船１は、ある期間、リーファーに電力を供給することなく動作することが可能になり得る。これによりこの期間中に船舶にかかるリーファー負荷を減らすことができ、同様に期間中船舶が消費する燃料がより少なくなることを意味する。

【0049】

特定の場合、電力制御装置１１０は、例えば電力制御装置１１０が、コンテナ船１によって要求されるよりも、コンテナ船１が利用可能な十分な（またはいくらかも）余剰エネルギーがないと判断する場合に、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を設定温度より低く冷却しないことを決定する場合がある。

【0050】

コンテナ船１に搭載される発電機１２０は、エンジン（例えば、原動機）と組み合わされた電気発電機を含み得る。例えば、発電機１２０は、電気エネルギーを発生させるためにディーゼル発電機－ディーゼルエンジンと電気発電機（例えば、交流発電機）との組み合わせ－を含み得る。発電機１２０は、例えばコンテナ船１上のブリッジから制御される電気モータによって操作し得るスラスタ１４０など、コンテナ船１の構成要素に、電力を提供するために使用され得る。スラスタ１４０は、左舷から右舷に（例えば、左から右に）、またはその逆に水を吸い込むまたは吹き飛ばすことができる、コンテナ船１に横方向に取り付けられたプロペラを含み得る。スラスタ１４０は、このようにして、例えばドッキング操作中に、コンテナ船１を操縦する際に使用し得る。また、例えば、コンテナポンプなど、コンテナ船１上のポンプ１５０も発電機１２０を介して電力を供給され得る。例えば、ポンプ１５０は、流体を輸送または移すために１つ以上の電気モータによって駆動され得、電気モータ（複数可）は、発電機１２０によって発生する電気エネルギーを供給される。また、発電機１２０は、発電機１２０にかかる「ホテル負荷」を含む可能性がある、例えば照明、暖房、ギャレー器具など、船舶上の乗組員が必要とするシステムに電力を提供するために使用されてもよい。

【0051】

例では、電力制御装置１１０は、例えばコンテナ船１用の電力制御システム１００の一部として発電機１２０にかかる負荷を表す負荷データを取得するように構成される。発電機１２０にかかる負荷は、例えば所与のときのまたは所与の期間にわたる発電機１２０の総出力であってよい。負荷データは、このようにして例えばワット（Ｗ）またはキロワット（ｋＷ）単位で電力値または電力値の時系列を表し得る。例えば、発電機１２０は、発電機１２０が供給できる電力の最大量である、所与の電力値（例えば、「ワット数」）により表される最大負荷容量を有し得る。発電機１２０は、どのようなときでも、このようにしてゼロ（０Ｗ）とその最大負荷容量との間で動作し得る。

【0052】

また、電力制御装置１１０は、発電機の目標負荷範囲を表す目標負荷範囲データを取得するように構成され得る。いくつかの例では、電力制御装置１１０は、エネルギー管理システム（ＥＭＳ）を含む場合がある電力管理システム（ＰＭＳ）の一部である。例えば、コンテナ船１用の電力制御システム１００は、ＰＭＳ及び／またはＥＭＳを形成するか、またはその一部であってよい。いくつかの例では、ＰＭＳ及び／またはＥＭＳの１つの目的は、コンテナ船１の安全な運転のためにつねに利用可能な電力があることを確実にすることである。ＰＭＳは、例えば危機的な状況において重要な負荷のための電力を保証するために、１つ以上の発電機１２０を起動及び停止し得る、及び／またはより重要ではない負荷を切断し得る。船舶を操作するより効果的な方法に到達するために、ＥＭＳは、電池のようなエネルギー貯蔵装置と組み合わせて１つ以上の作動している発電機１２０の負荷条件を最適化することができる。例では、目標負荷範囲は、発電機１２０の目標負荷を包含してよい。目標負荷は、発電機１２０が動作することが意図される所定の電力値であってよい。例えば、目標負荷は、５００ｋＷなどの特定のワット数など、絶対電力値であってよい。代わりに、目標負荷は、例えば最大負荷容量の割合またはパーセントなど、発電機１２０の最大負荷容量に比べて表し得る。一例では、目標負荷は、発電機１２０の最大負荷容量の８５％の負荷パーセントであってよい。いくつかの他の例では、７０％から９０％の範囲内に入るなど、他の負荷パーセントが適用する場合がある。特定の例では、目標負荷範囲は、発電機１２０の効率、つまり具体的には発電機１２０のエンジンの効率に基づく場合がある。例えば、目標負荷範囲は、発電機１２０（または具体的にはそのエンジン構成要素）のピーク効率を提供する、発電機１２０にかかる負荷範囲であると決定、または事前に決定され得る。発電機１２０は、例えば発電機１２０の最大負荷容量の（８５％などの）負荷パーセント、または（８０％～９０％などの）負荷パーセント範囲で最も効率的に動作し得ると判断され得る。特定の負荷パーセント（範囲）は、例えば上述のようにＥＭＳによって最適化される負荷条件を提供するために、例えば発電機１２０（またはそのエンジン構成要素）に対する最も効果的な負荷条件として決定され得る。

【0053】

発電機１２０の効率は、発電機出力で利用可能な電力と、発電機入力で供給されるエネルギーとの間の比率に相当し得る。発電機１２０の出力で利用可能な電力は、例えば磁心損失、銅損、及び機械的な損失などのすべての損失の後の正味の電力である場合がある。発電機１２０への入力は、例えばマリングレードのディーゼル油もしくは重油などの燃料などのエネルギー源によって駆動される、例えばタービンブレードによって取得される機械的な入力であってよい。発電機１２０の効率は、このようにして発電機１２０のエンジンの効率に基づき得る。エンジンの効率は、エンジンの特定の燃料油消費率、つまり、単位エネルギーあたりのエンジンによる消費燃料の質量に相当する場合があり、これは、例えば、キロワット時あたりのキログラム（ｋｇ／ｋＷｈ）または毎時ブレーキ馬力あたりのグラム（ｇ／ｂｈｐ－ｈ）の単位で表し得る。したがって、エンジンの最大効率またはピーク効率は、エンジンの最小燃料油消費率に相当し得る。特定の例では、発電機１２０の目標負荷は、発電機１２０のエンジン部分の最小燃料油消費率に対応し得る。

【0054】

制御装置１１０は、少なくとも１つのリーファーを設定温度より低く冷却することによって、負荷が、例えば目標負荷を含む所定の（または「目標」）負荷範囲内に収まるように、発電機１２０にかかる負荷を制御するように構成され得る。目標負荷範囲は、目標負荷値のどちらかの側の所定の範囲の負荷値またはパーセント負荷値に相当し得る。図３Ａは、目標負荷が、例えば、発電機負荷の最大負荷容量の８５％など、所定の負荷値を含む例を示す。電力制御システムは、発電機負荷が、目標負荷値±Δの所定の範囲内に収まるように発電機負荷を、例えば維持するなど制御するように構成され、ここでΔは、範囲の限界を定める所定の負荷値である。例えば、Δは、１０ｋＷなどの絶対電力値であってよい。代わりに、Δは、発電機１２０の最大負荷容量の負荷パーセント（例えば、５％）であってよい。別の例では、Δは、目標負荷値のパーセント（例えば、１０％）であってよい（例えば、目標負荷が４５０ｋＷであれば、目標負荷範囲は４５０ｋＷ±４５ｋＷ、つまり４５０ｋＷの目標負荷値を含む４０５ｋＷ～４９５ｋＷとなるであろう）。いくつかの例では、目標負荷範囲は、目標負荷値の周りで非対称であってよい。例えば、Ｌの目標負荷値を所与として、電力制御システムは、発電機負荷が所定の範囲Δ_１≦Ｌ≦Δ_２に収まるように発電機負荷を制御するように構成され得、上式でΔ_１及びΔ_２は異なる値である。いくつかの場合、発電機の目標負荷範囲は、例えば将来でなど、発電機の予測負荷に基づいてよい。

【0055】

説明するように、例えば、発電機１２０にかかる負荷が上記の例ではΔ_１より低い場合など、電力制御装置１１０は、発電機１２０にかかる負荷と発電機の目標負荷範囲の下限との間の差に相当する余剰電力を含み得る、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得するように構成される。特定の場合、電力制御装置１１０は、負荷を目標負荷範囲内の負荷まで増やすために、少なくとも１つのリーファー１３０を、決定された量だけ、少なくとも１つのリーファー１３０の設定温度より低く冷却するように構成される。

【0056】

例では、負荷が目標負荷範囲を下回るときに、制御装置１１０が、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０での貯蔵のために発電機１２０によって発生する余剰エネルギーを電力インタフェース１０５に送ることによって、電力制御装置１１０は、このようにして発電機１２０にかかる負荷を、負荷が目標負荷範囲内に収まるように制御し得る。例えば、４５０ｋＷの目標負荷値を含む４０５ｋＷ～４９５ｋＷの目標負荷範囲を所与として、発電機１２０にかかる負荷が４０５ｋＷを下回るときに、制御装置１１０は、例えば発電機１２０にかかる実際の負荷と、目標負荷範囲の下限との間のエネルギー差など、余剰エネルギーの少なくとも一部を、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０での貯蔵のために電力インタフェース１０５に送る。

【0057】

説明するように、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０は、このようにして（熱）エネルギー貯蔵庫として効果的に利用され得る。例えば、発電機１２０が目標負荷範囲を下回る負荷で動作しているとき、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０は、制御装置１１０が少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０のそれぞれの冷凍ユニットに電力を供給するために余剰エネルギーを送ることによって、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の設定温度より低く積極的に冷却され得る。少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０のそのような過冷却は、発電機１２０が、例えば発電機が少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の温度を設定温度に維持する現在の負荷に比べて余分な作業を行うことを含む。このようにして、つまり少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０にエネルギーを提供することに起因するリーファー負荷を含む発電機にかかる総負荷は、目標負荷範囲内に収められる。いくつかの場合、制御装置１１０は、発電機１２０にかかる負荷と、発電機１２０の目標負荷範囲の下限との間の差を決定し、決定した差に相当する余剰エネルギーの量を、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０での貯蔵のために電力インタフェース１０５に送り得る。

【0058】

発電機１２０にかかる負荷が、例えば範囲の上限を超えるなど、目標負荷範囲を超えると、制御装置１１０が電力インタフェース１０５を介して少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に蓄えられるエネルギーを制御することによって、電力制御システム１００は、負荷が目標負荷範囲内に収まるように負荷を制御するように構成され得る。例えば、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０は、発電機１２０にかかる負荷が以前に目標負荷範囲を下回り、それにより、説明したように、制御装置１１０に、例えば少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を過冷却することによって少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０での貯蔵のために余剰エネルギーを送らせたときに貯蔵された熱エネルギーを含む場合がある。したがって、発電機１２０にかかる負荷がその後目標負荷範囲を超えて上昇すると、例えば少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に供給されるエネルギーを減少させることによって、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に蓄えられた、貯蔵熱エネルギーの少なくとも一部を利用することができ、その結果、つまりリーファー負荷を含む発電機にかかる総負荷は目標負荷範囲内に収められる。

【0059】

いくつかの場合、制御装置１１０は、電力インタフェース１０５を介して少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に供給されるエネルギーを減少させることによって、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に蓄えられるエネルギーを制御する。所与のリーファーコンテナに供給されるエネルギーを減少させることは、例えば関連する電力インタフェース１０５を介して所与のリーファーコンテナへの電力供給を終了することによって、所与のリーファーコンテナへのエネルギーの供給を停止することを含み得る。これは、例えば、上述のように制御装置１１０によって取得された貨物データに基づいてなど、可能な場合、少なくとも１つのリーファーコンテナ内に保管されている貨物（例えば、商品、生産物）に基づいて行われ得る。

【0060】

電力インタフェース１０５は、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に電力を供給するために少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０が接続される、デバイスまたは例えば電力ポイントなどコンセントを含み得る。例では、電力制御システム１００は、複数のリーファーコンテナ１３０（例えば、以下にさらに説明する図２のリーファー１３０ａ～１３０ｅ）に供給するための、上述の電力インタフェース１０５のような複数の電力インタフェース（例えば、図２の電力インタフェース１０５ａ～１０５ｄ）を含む。例えば、各電力インタフェース１０５は、１対１の関係でそれぞれのリーファーコンテナ１３０に電力を供給し得る。追加的または代替的に、複数の電力インタフェースの１つ以上の電力インタフェース１０５は、各々、１対複数の関係で複数のリーファーコンテナ１３０に電力を供給し得る。

【0061】

本明細書に説明するように、発電機１２０にかかる負荷は、例えばコンテナ船１に配置されることによって輸送可能な複数のリーファー１３０に供給されるエネルギーを含むリーファー負荷を含む可能性がある。例えば、発電機１２０は、リーファー負荷に相当するこれに起因する、発電機１２０が発生させる総出力（つまり発電機１２０にかかる総負荷）の一部分をリーファー１３０に供給するために電力を発生させ得る。したがって、制御装置１１０が、発電機負荷が目標負荷範囲内に収まるようにリーファー負荷を減らすために複数の電力インタフェース１０５を介して複数のリーファー１３０に蓄えられるエネルギーを制御することによって、電力制御システム１００は、発電機負荷が目標負荷範囲内に収まるように発電機負荷を制御するように構成され得る。

【0062】

例えば、図１を参照し、コンテナ船１によって輸送可能な複数のリーファーがある場合を検討すると、発電機１２０にかかる負荷は、複数のリーファー１３０に供給するためのリーファー負荷、スラスタ１４０に電力を供給するためにスラスタ負荷、ポンプ１５０に電力を供給するためのポンプ負荷、及びホテル負荷から構成される場合がある。したがって、制御装置１１０は、スラスタ負荷及びポンプ負荷を維持しつつリーファー負荷を減らすために、１つ以上の電力インタフェース１０５を介して複数のリーファー１３０に蓄えられる熱エネルギーを制御し得る。例えば、リーファー負荷は、負荷が目標負荷範囲内に収まるまでリーファーに供給されるエネルギーを減少させることによって減らし得る。このようにして、（例えば、リーファーの以前の過冷却によって）リーファーに蓄えられる熱エネルギーは、事前に設定された最大温度（例えば、リーファーコンテナによって運ばれるそれぞれの貨物の船荷証券によって設定される「予約設定値」）より低いものでありながらも、選択されたリーファーのそれぞれの温度設定を参照することによって放出することができる。したがって、選択されたリーファーは、例えば、選択されたリーファーのそれぞれの冷凍ユニットが停止し、内部ファン回転のためだけに電力を使用し得るなど、リーファー温度が調整された設定温度に近づくまで冷却を要求しない。

【0063】

本明細書に説明するように、電力制御装置１１０は、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量を示す取得されたデータに基づいて、コンテナ船１によって輸送可能な少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成される。いくつかの例では、取得されたデータは、電力制御装置１１０と少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０との間の有線信号または無線信号を介して受信される。

【0064】

例では、電力制御装置１１０が少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を設定温度より低く冷却するかどうかを決定するように構成されることは、電力制御装置１１０が、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の設定温度を下げるかどうかを決定するように構成されることを含む。例えば、電力制御装置は、第１の設定温度から第２の設定温度に設定温度を下げるかどうかを決定するように構成され得る。いくつかの例では、電力制御装置１１０は、電力インタフェース１０５及び／または少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０のためのリーファーユニット制御装置からの入力信号を介して、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を第１の設定温度より低く過冷却することを開始すると決定するように構成され得る。いくつかの例では、入力信号は、有線信号または無線信号であってよい。いくつかの例では、入力信号は、電力制御装置１１０が少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の過冷却を開始するための入力信号を決定するように構成され得るように「デッドマン」システムとして送信され得、その結果、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０が、例えば信号が受信されなくなった場合に通常の冷却動作に戻される。第２の設定温度は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて決定され得る。例えば、電力制御装置１１０が、コンテナ船１が余剰のエネルギー量を利用できると判断する場合、電力制御装置１１０は、設定量だけ、リーファー負荷を増やすことによって余剰の少なくとも一部分を割り当て得る。リーファー負荷の増加の設定量は、利用可能なエネルギーの余剰を少なくとも部分的に減少させるために、同様に、少なくとも１つのリーファー１３０に第２の設定温度を設定し得る。言い換えると、電力制御装置１１０は、特定のワット数だけ、リーファー負荷を増やすために、少なくとも１つのリーファーの設定温度を、特定の度数だけ、下げるべきであると判断する場合がある。少なくとも１つのリーファーを第２の設定温度で操作することによって、リーファー負荷は増すため、余剰は少なくとも部分的に減少し、余分なエネルギーが少なくとも１つのリーファーで熱エネルギーとして蓄えられる。

【0065】

コンテナ船が利用可能なエネルギーの量が、船内発電機１２０から利用可能なエネルギーを含む例を検討すると、少なくとも１つのリーファー１３０は、第１の設定温度で動作し得、その結果、利用可能な余剰エネルギーがあるとき、余剰エネルギーは、第２の設定温度が第１の設定温度より低い場合に第２の設定温度で少なくとも１つのリーファーを操作するために制御装置１１０によって送られる。制御装置１１０は、このようにして、少なくとも１つのリーファーを、少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度より低く冷却するために、例えば電力インタフェース１０５を介して発電機１２０からエネルギーを送り得る。これは、例えば電力制御システム１００が、目標負荷範囲に収まるように発電機１２０にかかる負荷を制御するために、発電機１２０にかかる負荷が目標負荷範囲を下回るときに行い得る。

【0066】

一例では、リーファーは－１８℃の第１の設定温度を有する場合があり、制御装置１１０は、－２５度の、つまり第１の設定温度より低い第２の設定温度へのリーファーの過冷却を引き起こし得る。いくつかの例では、制御装置１１０は、例えば所定の摂氏度数など、所定の量だけ、リーファーの過冷却を引き起こし得る。リーファーがその元の温度設定より低くに過冷却される限り、リーファーを冷やすためにエネルギーは必要とされないので、リーファーを効果的に過冷却すると、リーファーは熱エネルギー貯蔵庫になる。したがって、過冷却リーファーは暖まるまでより長くかかるので、過冷却リーファーは、過冷却されていなかったリーファーと比較してより長い時間量、その冷凍ユニットによって積極的に冷却される必要はない場合がある。このようにして、少なくとも１つのリーファーは、船内に搭載されるエネルギー貯蔵庫の一部と見なすことができる。また、リーファーを過冷却することは、例えばその中に入れられた貨物を腐らせるなどの影響をリーファーの内容物に与え得ない。例えば、そのような下位温度でリーファーを操作すると、微生物が破壊され、リーファーコンテナの中に入れられた冷凍貨物を保護するのに役立つ可能性がある。

【0067】

図５Ａは、リーファーの数対そのそれぞれの温度のチャート上に複数のリーファーの例示的な第１の温度分布５００を示す。第１の温度分布５００では、リーファーは、この例では－１８℃である第１の設定温度５１０に従って動作している。第１の温度分布５００のリーファーは、すべて、第１の下位温度５１２と第１の上位温度５１４との間の温度範囲内にある。例えば、温度範囲は、リーファーの所定の設定温度範囲であってよく、言い換えると、各リーファーの設定温度は、例えば（－２０℃などの）第１の下位温度５１２と（－１６℃などの）第１の上位温度５１４との間など、設定温度範囲を含み得る。

【0068】

いくつかの場合、第１の下位温度５１２と第１の上位温度５１４との間の温度範囲は、設定温度の周りに所定の許容誤差により提供され得る。例えば、この例で－１８℃の第１の設定温度５１０に適用される＋／－２℃の許容誤差は、－２０℃と－１６℃との間、つまり第１の下位温度５１２と第１の上位温度５１４との間の温度範囲を示す。図５Ａの例では、複数のリーファーは、第１の設定温度５１０よりも低い第２の設定温度５２０、この例では－３５℃に過冷却される。第２の温度分布５０２により示される過冷却リーファーは、第２の下位温度５２２と第２の上位温度５２４との間の温度範囲内にある。例えば、第１の下限温度と第１の上限温度５１２、５１４は、それぞれ第２の下限温度と第２の上限温度５２２、５２４に引き下げられてよい。代わりに、複数のリーファーの設定温度は、例えば、第２の温度分布５０２の複数のリーファーについて第２の下位温度５２２（例えば、－３７℃）と第２の上位温度５２４（例えば、－３３℃）との間の設定温度範囲を示すために、所定の許容誤差を同じ（例えば、＋／－２℃）に保った状態で第１の設定温度５１０（例えば、－１８℃）から第２の設定温度５２０（例えば、－３５℃）に引き下げられてよい。

【0069】

図５Ｂは、複数のリーファーが第１の設定温度５１０の周りかつ第１の下位温度５１２と第１の上位温度５１４との間の第１の温度分布５００を有する別の例を示す。図５Ｂでは、第１の温度分布５００は、図５Ａの温度分布と同じである。つまり、第１の下位温度５１２は－２０℃であり、第１の上位温度５１４は－１６℃であり、第１の設定温度５１０は－１８℃である。上述のように、第１の温度分布５００によって表される複数のリーファーは、第１の下位温度５１２と第１の上位温度５１４との間の第１の設定温度範囲を有し得る。この例では、複数のリーファーを過冷却することは、例えば複数のリーファーの第１の設定温度５１０または第１の上位温度５１４を調整することなく、第１の設定温度範囲の下限、つまり第１の下位温度５１２を下げることを含む。例えば、図５Ｂの第２の温度分布５０４は、第１の設定温度５１０（例えば、－１８℃）に等しい第２の設定温度５２０、及び第１の上位温度５１４（例えば、－１６℃）に等しい第２の上位温度５２４を有するリーファーの第２の設定温度範囲を示す。しかしながら、第２の下位温度５２２（例えば、－２４℃）は、第１の下位温度５１２（例えば、－２０℃）よりも低い。したがって、リーファーの第２の温度分布５０４では、第１の温度分布５００にはなかった、第１の設定温度範囲を下回る温度で動作するリーファーがある。これらのリーファーは、このようにして過冷却され、それにより例えば発電機１２０が目標負荷範囲内で動作するために発電機１２０により発生する余剰エネルギーなど、コンテナ船１が利用可能な余剰エネルギーを、熱エネルギーの形で蓄えることができる。したがって、特定の例では、電力制御装置は、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量に基づいて、設定温度範囲の下限を下げるかどうかを決定するように構成され得る。

【0070】

特定の場合、電力制御装置１１０は、少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を変更することなく、少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定するように構成され得る。例えば、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、電力制御装置１１０は、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を、少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度より低いが、例えば特定の下限温度がないなど、特定の下位設定温度を用いずに、冷却することを決定し得る。例えば、そのような場合、電力制御装置１１０は、余剰エネルギーを少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０に供給させ、それによって少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の設定温度を調整することなく、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を過冷却し、関連するリーファー負荷を増し得る。

【0071】

いくつかの例で、電力制御装置は、コンテナ船１が利用可能なエネルギーの量、及び少なくとも１つの他の基準に基づいて少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を冷却するかどうかを決定するように構成される。例えば、そのような基準は、少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上の場所、少なくとも１つのリーファーコンテナのモデルタイプ、及び／または少なくとも１つのリーファーコンテナ内に入れられた製品のタイプであってよい。

【0072】

所与のリーファーのモデルタイプは、例えば製造メーカ識別子及び／または特定のモデル識別子を含み得る。これらのパラメータには、制御装置１１０が、例えばリーファーデータベースなど、リーファーの使用年数も別のパラメータとして記憶し得るデータベースを介してアクセス可能であってよい。例では、所与のリーファーの効率は、所与のリーファーの仕様（例えば、モデルタイプ）及び動的運航データに基づいて決定され得る。したがって、所与のリーファーの予想性能を決定することができる。したがって、特定の場合、電力制御装置は、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の予想性能に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を冷却するかどうかを決定するように構成され得る。いくつかの例では、電力制御装置１１０は、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の性能係数に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を冷却するかどうかを決定するように構成され得る。

【0073】

いくつかの例では、電力制御装置は、コンテナ船の現在位置または計画位置に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を冷却するかどうかを決定するように構成され得る。例えば、コンテナ船がＥＣＡに航行するように計画される場合、電力制御装置は、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０の効果的な熱エネルギー貯蔵庫を利用するために少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を過冷却することを決定し得る。したがって、ＥＣＡ内にあるとき、過冷却リーファーコンテナ１３０は、より低い電力入力で動作し、それにより、より少ない燃料が燃焼され、排出物が低減されるように船内電源にかかる負荷を減らすことができる。

【0074】

電力制御装置が少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を冷却するかどうかを、それに基づいて決定するためのさらなる追加または代替の基準は、少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量、少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、及び少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上での場所での外気温度を含む。

【0075】

所与のリーファーコンテナの内部温度を示す温度データは、例えば、所与のリーファーコンテナのリーファー制御装置に接続されるリーファーコンテナ内の熱電対など、リーファーの一部である温度センサによって測定され得る。リーファーコンテナが、例えばその冷凍ユニットなど、個々のリーファーコンテナだけを制御しなければならない場合、各リーファーコンテナは独自のリーファー制御装置、冷凍ユニット、及び温度センサ（複数可）を有し得る。したがって、電力制御装置１１０は、例えばコンテナ船１用の電力制御システム１００の一部として、例えば温度センサ（複数可）または所与のリーファーコンテナのリーファー制御装置から、例えば所与のリーファーコンテナの測定されたリーファー温度を示すリーファー温度データを受信するように構成され得る。

【0076】

少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上の場所での外気温度は、上述のように、少なくとも１つのリーファーコンテナの温度センサ（複数可）によって、またはコンテナ船の一部として取り付けられた別個の温度センサによって測定され得る。例えば、所与のリーファーコンテナは、例えば内部リーファー温度を測定するように配置される１つ以上の温度センサに加えて、所与のリーファーコンテナの周囲空気温度を測定するように配置された１つ以上の外気温度センサを有してよい。したがって、電力制御装置１１０は、例えばコンテナ船１用の電力制御システム１００の一部として、例えば所与のリーファーコンテナの外気温度センサ（複数可）またはリーファー制御装置から、例えば所与のリーファーコンテナを取り囲む空気の測定温度を示す、空気温度データを受信するように構成され得る。

【0077】

したがって、電力制御装置１１０は、少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、及び／または少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上の場所での外気温度に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０を冷却するかどうかを決定するように構成され得る。例えば、電力制御装置１１０は、所定の内部温度、例えば－１０℃でまたはそれ以下ですでに動作しているリーファーに基づいてリーファーを過冷却するかどうかを決定し得る。追加的または代替的に、電力制御装置１１０は、所定の外気温度、例えば１５℃でまたはそれ以下であるリーファーの外気温度次第で、リーファーを過冷却するかどうかを決定し得る。特定の場合、電力制御装置１１０は、例えば２５℃など、所定の温度差を下回る、リーファーの現在の内部温度と、リーファーのコンテナ船上の場所での外気温度との間の温度差に基づいて、リーファーを過冷却することを決定し得る。例えば、リーファーの内部温度と外部温度との間のより低い温度差で動作しているリーファーは、より高い温度差で動作している別のリーファーよりも暖まるのにより長くかかる場合がある。したがって、蓄えられた熱エネルギーのリーファー環境に対する損失がより遅くなるため、より低い温度差を有し、暖まるのにより長くかかるリーファーコンテナに余剰エネルギーを蓄えることが好ましい場合がある。

【0078】

特定の例では、少なくとも１つのリーファーコンテナ１３０は複数のリーファーコンテナを含む。例えば、複数の電力インタフェース１０５によって電力を供給されるなど、コンテナ船１によって輸送可能な複数のリーファー１３０がある場合がある。図２は、５つのリーファー１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅが、コンテナ船１用の電力制御システム１００の一部として複数の電力インタフェース１０５ａ、１０５ｂ、１０５ｃ、１０５ｄを介して電力を供給される例を示す。制御装置１１０は、このようにして特定の基準に基づいて、リーファーのうちの少なくとも１つを、例えば余剰エネルギーを１つ以上の電力インタフェース１０５を介してそれに送ることによって冷却するかどうかを決定するように構成され得る。例えば、図２に示すリーファーＡ～Ｅのサブセットは、例えば発電機１２０によって発生する余剰エネルギーを蓄えるために制御装置１１０によって選択され得る。

【0079】

そのような場合、制御装置１１０は、余剰エネルギーが制御装置１１０によって１つ以上のリーファーに最後に送られてから経過した時間に基づいて１つ以上のリーファー１３０を選択し得る。例えば、制御装置１１０は、例えば、言い換えると、余剰エネルギーがそれらに送られることなく最も長い時間が経過したリーファー１３０など、余剰エネルギーが最後にそれらに送られてから経過した最長時間と関連するそれらのリーファー１３０を選択してよい。例では、制御装置１１０は、１つ以上のリーファーが最後に冷凍サイクルを実行してから経過した時間に基づいて１つ以上のリーファー１３０を選択し得る。例えば、制御装置１１０は、それによって冷凍サイクルが実行されてから経過した最長時間と関連するそれらのリーファー１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅを選択し得る。言い換えると、制御装置１１０は、冷凍サイクルを実行することなく、最長時間経過した１つ以上のリーファー１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅを選択してよい。

【0080】

冷凍サイクルは、例えばリーファーが用いている冷凍機のタイプに応じて、蒸気圧縮サイクル、蒸気吸収サイクル、ガスサイクル、またはスターリングサイクルを含み得る。蒸気圧縮サイクルの場合、（「冷媒」とも呼ぶ）循環する作動流体は、圧縮機入口に戻ってサイクルを完了する前に、圧縮機、凝縮器、（「スロットル弁」とも呼ぶ）膨張弁、及び蒸発器（冷たい気液混合物としての冷媒が、冷凍されている空間からのより暖かい空気を冷却することによって蒸発する場合）を通って移動する。したがって、各リーファー１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅによって最後の冷凍サイクルが実行または完了された以降のそれぞれの期間を追跡し得、制御装置１１０は、例えば１つ以上のリーファーに対応する期間に基づいて１つ以上のリーファーを選択し得る。いくつかの例では、リーファーによって実行される冷凍サイクルの数を数えることができ、制御装置１１０は、１つ以上のリーファーが実行した冷凍サイクルの数に基づいて１つ以上のリーファーを選択し得る。例えば、制御装置１１０は、リーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの少なくとも１つを冷却するかを決定するときに、実行した冷却サイクルが最も少ないリーファーを優先し得る。

【0081】

追加的または代替的に、制御装置１１０は、複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅのうちの他のリーファーコンテナに対する、１つ以上のリーファーのコンテナ船１上でのそれぞれの場所に基づいて、リーファーコンテナの少なくとも１つを冷却するかどうかを決定し得る。例えば、制御装置１１０は、コンテナ船１の特定の区域に位置するリーファーを優先し得る。例えば、制御装置１１０は、リーファーコンテナの少なくとも１つを冷却するかどうかを決定し、過冷却する１つ以上のリーファーを選択するときに、複数のリーファーの他のリーファーコンテナに囲まれるリーファーコンテナを優先し得る。そのような囲まれたリーファーコンテナは、例えば他のリーファーコンテナ自体によって、コンテナ船の外側により近く位置する他のリーファーコンテナよりもより断熱されている場合があるため、よりゆっくりと暖まり、したがってより長く熱エネルギーを蓄え得る。別の例では、制御装置１１０は、発電機１２０、異なる船内電源、またはコンテナ船１上の別の定められた場所により近いリーファーを優先する場合がある。リーファーの位置を識別するデータは、（例えば、リーファー制御装置がアクセス可能な）リーファーの一部として、またはコンテナ船１の一部として（データベースなどの）メモリに記憶され得る。制御装置１１０は、例えばメモリから直接的にまたは間接的にデータまたは位置の表示を受信するように構成され得る。

【0082】

追加的または代替的に、制御装置１１０は、複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの他のリーファーと比べて、１つ以上のリーファーの中に入れられた製品のタイプに基づいて１つ以上のリーファーを選択し得る。例えば、制御装置１１０は、温度が安定していない製品を入れたリーファーを積極的に選択しない場合がある。例えば、温度が安定していない製品は、例えば特定の温度範囲を下回るなど、温度範囲外の温度にさらされるときに劣化する場合がある。したがって、例えばそのような製品が入ったリーファーの設定温度を変更するなど、リーファーを過冷却することは、製品を腐らせる危険性がある場合がある。したがって、制御装置１１０は、余剰エネルギーを送る先の１つ以上のリーファーを選択するとき、そのようなリーファーを選択しないように構成され得る。説明するように、（例えば、コンテナ船によって輸送されるリーファーコンテナに入れられた製品に関する情報を含む）貨物データが、制御装置１１０によって取得可能であってよい。例えば、貨物データは、例えば上記例で言及されたメモリなど、リーファーの一部またはコンテナ船１の一部である（データベースなどの）メモリに記憶され得る。制御装置１１０は、メモリから直接的にまたは間接的にデータまたは製品の表示を受信するように構成され得る。

【0083】

追加的または代替的に、制御装置１１０は、例えば複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの他のリーファーと比べて、１つ以上のリーファーの現在の内部温度に基づいて、例えば１つ以上のリーファーを選択するなど、リーファーコンテナの少なくとも１つを冷却するかどうかを決定し得る。例えば、制御装置１１０は、設定温度の温度範囲内の最高の冷凍温度で動作しているそれらのリーファーを選択し得る。制御装置１１０は、例えばそのそれぞれの設定温度範囲の上限に最も近い冷凍温度で動作しているそれらのリーファーを選択し得る。

【0084】

図５Ｃは、複数のリーファーの別の例示的な温度分布５５０を示す。リーファーは、所定の許容誤差が設定温度５１０の周りで対称である設定温度５１０で動作し、下位温度５１２と上位温度５１４との間の設定温度範囲を示す。他の例では、許容誤差は、設定温度５１０の周りで非対称である場合があり、例えば下位温度５１２と設定温度５１０との間の（設定温度範囲の）部分的な範囲は、設定温度５１０と上位温度５１４との間の部分的な範囲よりも大きくてよい、またはその逆であり得る。複数のリーファーの３つそれぞれのリーファーを表す温度分布５５０上にラベルが付けられた３つの点５５１、５５２、５５３ａがある。点５５３ａで表される、設定温度範囲の上位温度５１４に最も近い温度で動作するリーファーは、過冷却する（例えば、余剰エネルギーを送る）ための制御装置１１０によって選択され、それによりリーファーの冷凍温度を低下させる。点５５３ｂで表される、過冷却リーファーは、複数のリーファーの設定温度５１０よりも低く、点５５１、５５２、及び温度分布５５０によって表されるリーファーの大部分によって表されるリーファーよりも設定温度範囲の下位温度５１２により近い温度で動作する。

【0085】

追加的または代替的に、制御装置１１０は、例えばリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅのコンテナ船のそれぞれ場所での相対外気温度など、１つ以上のリーファーのコンテナ船１上のそれぞれの場所での外気温度に基づいて、１つ以上のリーファーを選択し得る。例えば、制御装置１１０は、それぞれの冷凍温度と、それぞれの場所での周囲空気温度との間の最低差を有するそれらのリーファーを選択し得る。他の場合、制御装置１１０は、コンテナ船１のそのそれぞれの場所での最低外気温度を有するそれらのリーファーを冷却することを決定し得る。

【0086】

追加的または代替的に、制御装置１１０は、複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅで蓄えられている、またはそれらに供給されているエネルギーの相対量に基づいて、リーファーコンテナ１３０の少なくとも１つを冷却するかどうかを決定し得る。例えば、制御装置１１０は、そこにすでに蓄えられているエネルギーの最低量、未使用のエネルギー貯蔵容量の最大量、及び／またはそれに供給されているエネルギーの最低量を有するそれらのリーファー１３０を選択し得る。例えば、制御装置１１０は、（例えば、上述のリーファーデータの一部として）複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの動的運航データを取得し得る。動的運航データは、所与のリーファーコンテナを、例えばその設定温度範囲内など、その設定温度に保つために、所与のときに所与のリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量を示し得る。したがって、複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの各リーファーコンテナの運行プロファイルは、取得した動的運航データに基づいて決定し得る。したがって、制御装置１１０は、例えば複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの他のリーファーコンテナに比べて、１つ以上のリーファーの動的運航データ及び／または運航プロファイルに基づいて、例えば１つ以上のリーファーを選択するなど、リーファーコンテナ１３０の少なくとも１つを冷却するかどうかを決定し得る。

【0087】

上述のように、複数のリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの所与のリーファーの効率性は、所与のリーファーの仕様（例えば、モデルタイプ）及び動的運航データに基づいて決定され得る。したがって、所与のリーファーの予想性能を決定することができる。したがって、制御装置１１０は、相対的な効率、リーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの性能係数（ＣＯＰ）、またはリーファーコンテナ１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅの予想性能に基づいて、例えば過冷却する１つ以上のリーファーを選択するなど、リーファーコンテナの少なくとも１つを冷却するかどうかを決定し得る。例えば、制御装置１１０は、それらのリーファーは最もゆっくり暖まり、それらを過冷却した状態に保つために必要とするエネルギーが最も少ないので、最もエネルギー効率が高いそれらのリーファー１３０を過冷却することを選択し得る。

【0088】

船内発電機１２０により発生する余剰エネルギーが少なくとも１つのリーファーを過冷却するために使用される例に戻ると、図３Ｂは、例えば複数のリーファー１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ、１３０ｅから選択されたリーファーが、発電機１２０にかかる負荷が（図３Ａに示す）目標負荷範囲に収まるように発電機１２０にかかる負荷を制御するために、電源をオンとオフにされる特定の場合を示す。例えば、リーファーが目標冷凍温度に到達するために電力を供給されるように、リーファーを切り替えると、発電機１２０にかかるリーファー負荷－したがって、総負荷－が増す。したがって、電力制御装置が、発電機負荷が、目標負荷範囲－つまり、図３Ａの例でΔを差し引いた目標負荷値－を下回るまたは下回ったと判断するとき、リーファーは、総発電機負荷が目標負荷値±Δの所定範囲内に収まるように、発電機１２０にかかるリーファー負荷を増すためにオンに切り替えられる。例えば、冷凍貨物が入ったリーファーの場合、制御装置は、リーファーに「開始」信号を送信させ、リーファーが、例えば温度データに基づいて、例えばそれぞれのリーファー制御装置を介していつそれ自体をオフに切り替えるのかを決定可能にできる。リーファーを、それに電力が提供されないようにオフにすると、発電機１２０にかかるリーファー負荷－したがって、総負荷－が減る。したがって、制御装置が、発電機負荷が目標負荷範囲を超えて－つまり、図３Ａの例でΔを加えた目標負荷値を超えて－上昇するまたは上昇したと判断するとき、リーファーは、総発電機負荷が目標負荷範囲±Δの所定範囲内に収まるように、発電機１２０にかかるリーファー負荷を減らすためにオフに切り替えられる。

【0089】

図４は、図１に示す例示的なシステムに対応する別の例を示し、発電機１２０にかかる負荷は、経時的に電力制御システム１００によって管理される。具体的には、図４は、横座標（ｘ軸）に時間、及び縦座標（ｙ軸）に発電機負荷があるチャートを示す。発電機１２０の目標負荷値は、縦座標を交差する破線として表され、目標負荷範囲は、目標負荷値の周りの－Δと＋Δで縦座標を交差する点線間の範囲として表される。チャートの区間４１０で、発電機１２０は、目標負荷を下回る負荷で動作している。区間４２０で、発電機負荷は、発電機１２０に対する低需要期間中に電池１１５を充電することによって増す。電池１１５は、コンテナ船１上のリーファーコンテナ１３０とは別個であってよく、図４に示すように、負荷が目標負荷を含む目標負荷範囲を下回るときに、発電機１２０により発生する余剰エネルギーを蓄えるために使用され得る。

【0090】

区間４３０で、発電機負荷は目標負荷を下回ると判断され、それに応じて、制御装置１１０は、リーファー（複数可）の過冷却を引き起こすために１つ以上のリーファーに電力を供給する１つ以上の電力インタフェース１０５に制御信号を送信する。いくつかの例では、リーファー（複数可）の過冷却は、リーファー（複数可）の設定温度が摂氏マイナス五（－５）度を下回る場合にだけ許される場合がある。したがって、制御装置１１０は、リーファー（複数可）を過冷却することによって、リーファー（複数可）での貯蔵のために電力インタフェース１０５に余剰エネルギーを送る。制御装置が１つ以上のリーファーの過冷却を引き起こすことによって、発電機負荷は、このようにして区間４３０でさらに増し、その結果発電機負荷は発電機１２０の目標負荷に到達する。

【0091】

チャートの区間４４０で、発電機１２０に対する需要（負荷）は、目標負荷を超えて上昇した。いくつかの例では、高需要期間に対処するために１つ以上の電池（例えば、電池１１５）が使用され得る、及び／または別の発電機がオンラインにされ得る。区間４５０で、発電機負荷は、以前に区間４２０で開始された電池１１５の充電を停止することによって減る。選択されたリーファーは、発電機負荷が目標負荷に減るまで、区間４６０中順次オフに切り替えられる。他の例では、１つ以上の選択されたリーファーの設定温度範囲は、例えば広げられるなど、調整され、それによってリーファーをオフに切り替えることなく発電機負荷を減らすために選択されたリーファー（複数可）が開始するのを遅延させ得る。上述のように、リーファーが選択的にオフに切り替えられる順序を決定するために、１つ以上の考えられる要因に基づいてリーファーに優先順位を付け得る。区間４７０を通して、コンテナ船１での１つ以上のリーファーの電力切り替えが、（例えば、冷凍貨物が腐らないために所定の範囲内に）冷凍温度を維持しながらも、発電機負荷が所定の範囲に収まるように発電機負荷を制御するために使用される。

【0092】

図６は、一例に従って、コンテナ船上の少なくとも１つのリーファーコンテナに供給される電力を制御する方法６００を示す。方法６００は、３つのブロック６１０、６２０、及び６３０を含む。

【0093】

ブロック６１０で、コンテナ船によって輸送される少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度が取得される。少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度は、例えばリーファーコンテナが運ぶ貨物に基づいてプログラムされた温度であってよい。説明するように、少なくとも１つのリーファーコンテナは、例えば冷凍貨物など、少なくとも１つのリーファーコンテナの中に保管される製品が腐らないように温度制御され得る。例えば、コールドチェーンでは、特定の製品は、指定温度範囲内に維持されることを必要とする場合がある。そのような貨物を運ぶ少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度は、このようにして、例えば、肉、魚、及び他の冷凍食品など氷点下である場合がある、指定温度範囲に対応する場合がある。

【0094】

ブロック６２０で、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量を示すデータが取得される。いくつかの場合、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量が決定される。説明するように、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量は、コンテナ船に搭載される１つ以上の電源（例えば、発電機セット、熱回収システム、軸発電機、及び／またはエネルギー回収タービン発電機）、及び／またはコンテナ船から遠隔の１つ以上の電源（例えば、陸上電力及び／または遠隔発電機）から利用可能なエネルギーを含み得る。

【0095】

いくつかの場合、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得することは、コンテナ船が利用可能な現在のエネルギーの量を示すデータを取得することを含む。例えば、現在のまたは「ライブ」のステータスデータが、例えば船内でまたは陸上で、コンテナ船が利用可能な１つ以上の電源から取得され得る。ライブステータスデータは、電源の各々から現在利用可能なそれぞれのエネルギー量を示し得る。追加的または代替的に、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量を示すデータを取得することは、将来にコンテナ船が利用可能となるエネルギー量を推定することを含む（ｃｏｍｐｒｉｓｅ）または含む（ｉｎｃｌｕｄｅ）場合がある。例えば、コンテナ船が利用可能な１つ以上の電源からのステータスデータ（例えば、現在供給されているエネルギーの割合、電池に蓄えられているエネルギーの容量など）、及び／または（例えば、ナビゲーションデータに基づく場合がある）将来の期間にわたるエネルギー計画使用量からのステータスデータに基づいて、例えば将来の期間にわたってなど、将来にコンテナ船が利用可能となるエネルギーの量が推定され得る。

【0096】

ブロック６３０で、方法６００は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナを設定温度より低く冷却するかどうかを決定することを含む。例えば、これは、少なくとも１つのリーファーコンテナの設定温度を下げるかどうかを決定することを含む場合がある。説明するように、設定温度は、例えば少なくとも１つのリーファーコンテナが運ぶ貨物に基づいて、少なくとも１つのリーファーコンテナが維持するための目標温度値であってよい。方法６００は、例えば第１の設定温度から第２の設定温度に設定温度を下げるかどうかを決定することを含み得る。第２の設定温度は、説明するように、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて決定され得る。

【0097】

例では、設定温度は設定温度範囲を含む。設定温度範囲は、温度範囲の所定の下限と上限に基づいてよい。他の場合、目標温度値は事前に決定されてよく、設定温度範囲は、目標温度値に適用された許容誤差から導き出し得る。例えば、許容誤差は、目標温度値を超えたまたは下回る所定の度数など、指定された目標温度値からの所定の許容変動量であってよい。説明するように、許容誤差の量は、目標温度値の周りで対称、または目標温度値の周りで非対称である場合があり、その場合、上限と下限の異なる許容誤差値がそれぞれ設定される場合がある。例えば、許容誤差は、摂氏＋１度、摂氏－３°である場合があり、目標温度値を超えるリーファー温度により少ない許容誤差を与える。

【0098】

いくつかの場合、設定温度を下げることは、例えば－図５Ａに示し、上記の例に説明するように－第１の設定温度範囲の上限と下限を下げるなど、第１の設定温度範囲から第２の設定温度範囲に設定温度範囲をシフトすることを含む場合がある。他の場合、設定温度範囲を下げることは、設定温度範囲の上限を調整することなく、例えば第１の下限から第２の下限に、設定温度範囲の下限を下げ、それにより－図５Ｂに示し、上記の例に説明するように－設定温度範囲を広げることを含む場合がある。したがって、方法は、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量に基づいて、設定温度範囲の下限を下げるかどうかを決定することを含み得る。

【0099】

いくつかの例では、方法６００は、コンテナ船の少なくとも１つの発電機にかかる負荷を表す負荷データを取得することを含む。これは、発電機が、例えばコンテナ船１の構成要素に対して現在出力している電力の量を受け取る、取り出す、または決定することを含み得る。いくつかの例では、これは、例えば、発電機が電力を供給している船舶の異なる構成要素に起因する各部分負荷など、発電機に現在かかっているすべての部分負荷を蓄積することを含む場合がある。負荷データは、発電機の現在の負荷ステータスを示すために、例えば発電機が動作している間に「ライブで」取得し得る。例では、負荷データは、所定の時間間隔で記録される電力値の時系列を含み得る。

【0100】

また、発電機の所定の（または「目標」）負荷範囲を表す目標負荷範囲データも、方法６００の一部として取得され得る。これは、発電機が動作することが意図される所定の電力値の範囲を受け取る、取り出す、または決定することを含む場合がある。例では、目標負荷範囲データは、例えばコンテナ船１に搭載される発電機の負荷容量を記憶する同じデータベースなど、メモリから取り出され得る。他の例では、目標負荷範囲は、発電機の、または発電機のエンジン構成要素の効率に基づいてよい。例えば、目標負荷範囲は、発電機（または具体的には、そのエンジン構成要素）のピーク効率を提供する発電機にかかる負荷範囲であると計算される場合がある。そのような決定は、各発電機が独自のピーク効率及び関連する目標負荷範囲を有するように、発電機ごとに行われ得る。他の例では、目標負荷範囲は、取得した目標負荷値に基づいて決定される。例えば、目標負荷値は、どの発電機が管理されているのかによって変化しない事前設定値であってよい。例えば、目標負荷は、どの特定の発電機が管理されているのかに関わりなく、最大発電機負荷の８５％に設定されてよい。

【0101】

上述のように、コンテナ船が利用可能なエネルギーの量は、少なくとも１つの発電機にかかる負荷と、発電機の目標負荷範囲の下限との間の差に相当する余剰エネルギーを含み得る。そのような場合、方法６００は、負荷を目標負荷範囲内の負荷まで増やすために、少なくとも１つのリーファーコンテナを、決定された量だけ、設定温度より低く冷却することを含む場合がある。例では、発電機にかかる負荷は、コンテナ船によって輸送可能な少なくとも１つのリーファーコンテナでの貯蔵のために、負荷が目標負荷範囲を下回るときに発電機により発生する余剰エネルギーを送ることによって、負荷が目標負荷範囲に収まるように制御される。

【0102】

いくつかの例では、負荷は、負荷が目標負荷範囲を超えるとき、少なくとも１つのリーファーコンテナに蓄えられるエネルギーを制御することによって、目標負荷範囲に収まるように制御される。例えば、発電機が目標負荷範囲を下回る負荷で操作されるとき、例えばリーファーコンテナで熱エネルギーとして以前に蓄えられたエネルギーを利用するまたは「放出する」など、リーファー負荷を下げることによって、発電機にかかる総負荷を減らしつつ、発電機が供給する構成要素の電力需要を満たすことができる。説明するように、例えばリーファーコンテナ（複数可）に電力を供給するように配置される電力インタフェースを介して、リーファーコンテナ（複数可）に蓄えられたエネルギーを制御することは、リーファーコンテナ（複数可）に供給されるエネルギーの量を低減することを含み得る。例えば、１つ以上のリーファーに電力を供給するために電力インタフェースに送られるエネルギーの量は、例えばそれに供給されるエネルギーの量を減少させるために過冷却されていたリーファーを選択することによって、１つ以上のリーファーの動作温度を１つ以上のリーファーの設定温度範囲内に保ちつつ、減少し得る。これにより、発電機に対する１つ以上のリーファーのエネルギー需要を減少させることができるため、発電機の総負荷を目標負荷値の周りの目標負荷範囲内に収めることに寄与できる。特定の例では、所与のリーファーに供給されるエネルギーを減少させることは、例えば所与のリーファーへの電力供給をオフに切り替えるなど、所与のリーファーへのエネルギーの供給を停止することを含む。これは、例えば所与のリーファーのための電力インタフェースで、または１つ以上の電力インタフェースに送られる電力供給を制御する電力制御装置で行われる可能性がある。

【0103】

特定の場合、コンテナ船が利用できるエネルギー量だけではなく、少なくとも１つのリーファーコンテナを冷却するかどうかを決定することも、少なくとも１つの他の基準に基づいてよい。例えば、電力制御装置に関する例で説明するように、少なくとも１つの他の基準は、少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船上での場所、少なくとも１つのリーファーコンテナのモデルタイプ、少なくとも１つのリーファーコンテナに供給されるエネルギーの量、少なくとも１つのリーファーコンテナの中に入れられた製品のタイプ、少なくとも１つのリーファーコンテナの現在の内部温度、及び少なくとも１つのリーファーコンテナのコンテナ船の場所での外気温度のうちの少なくとも１つを含み得る。

【0104】

少なくとも１つのリーファーコンテナは、複数のリーファーコンテナを含む場合がある。そのような場合、方法６００は、リーファーコンテナの少なくとも１つをそれぞれの設定温度より低く冷却するかどうかを決定することを含む場合がある。例えば、異なるリーファーは、例えば、各々のリーファーが輸送する商品に応じて、異なる設定温度を有する場合がある。電力制御装置に関連して上記例に説明するように、リーファーコンテナの少なくとも１つを冷却するかどうかの決定は、リーファーコンテナの相対内部温度、リーファーコンテナの（コンテナ船上のそれぞれの場所での）相対外気温度、リーファーコンテナのコンテナ船上での相対的な場所、リーファーコンテナの相対的な性能係数、及び／またはリーファーコンテナに供給される相対的なエネルギーの量に基づいてよい。

【0105】

本明細書に説明する例示的な方法のいずれも、例えば、コンテナ船用の電力制御装置など、プロセッサまたは制御装置によって実施できる機械可読命令で符号化され得る。例えば、制御装置による実行時、制御装置に方法６００またはその任意の例示的な拡張を実施させる命令を記憶する非一時的な機械可読記憶媒体が提供され得る。

【0106】

本明細書の例に説明するように、コンテナ船によって輸送されるリーファーコンテナを過冷却すると、内部温度が、リーファーコンテナの中に入れられた商品に従って設定される、例えば最大温度値など、所定の温度を超えて上昇することなく、より低い量のエネルギーを過冷却リーファーに供給できる一定の期間を可能にし得る。したがって、このようにして過冷却されたリーファーに熱エネルギーとしてエネルギーを蓄えることによって、電力供給システムに対するリーファー負荷は、以後、減らすことができ、つまり、過冷却リーファーがゆっくりと暖まるにつれ消費される燃料をより少なくし得ることを意味する。同様に、船舶が燃焼している燃料が少ない間、船舶からの排気を引き下げ得、これは、船舶が、例えばＥＣＡにある間の排気規則に準拠するのに役立つ場合がある。

【0107】

また、船舶上で発生する余剰エネルギーを、過冷却リーファーで熱エネルギーに変換し、例えば一方向熱電池のように蓄えることを可能にし得る。追加的または代替的に、陸上供給は、港から海へ出航する前に、例えば、様々な例に説明するように、リーファー負荷を減らすことによって、１つ以上の過冷却されたリーファーに蓄えられた熱エネルギーが、航海中に後に再結合され得るようにコンテナ船によって輸送される１つ以上のリーファーを過冷却するために利用され得る。

【0108】

さらに、リーファーを過冷却すると、コンテナ船に搭載される発電機の負荷を、例えば発電機の効率に基づいて、目標負荷範囲内に収まるように制御することを可能にできる。負荷を目標負荷範囲内に維持するために発電機負荷の上下のサージを平滑化することによって、自動車のクルーズコントロールが燃料消費量を削減するのに役立つのと同様に、発電機の燃料使用量を削減することができる。例えば発電機のピーク効率に対応する目標負荷を選択するなど、発電機の効率に基づいて発電機の目標負荷を設定することによって、発電機の、したがってコンテナ船の燃料消費量を削減し、同様に汚染レベルを下げるのにさらに役立つことができる、発電機の実際の運転効率を改善することができる。

【0109】

上記の実施形態は、例示的な例として理解されるべきである。さらなる実施形態が想定される。各例は個別に説明されているが、各例の特徴は組み合わせ得、１つの例の特徴は、１つ以上の他の例の特徴と組み合わせ得ることに留意されたい。本発明の例が説明されてきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を逸脱することなく、説明した例に対して変形及び修正を成し得ることが理解される。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図6】

【図7】