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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】酸化型光触媒の調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/39 20240101AFI20240415BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20240415BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20240415BHJP
   B01J 23/22 20060101ALI20240415BHJP
   B01J 35/40 20240101ALI20240415BHJP
【FI】
B01J35/39
B01J37/30
B01J37/10
B01J23/22 M
B01J35/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022506927
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2021128416
(87)【国際公開番号】W WO2023019749
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】202110947556.1
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522046210
【氏名又は名称】台州学院
(73)【特許権者】
【識別番号】522046221
【氏名又は名称】台州市生物医化産業研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】韓得満
(72)【発明者】
【氏名】陳偉
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108325516(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109433185(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J
CAPlus/Resistry(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが0.1~2nmであるBiWO ノシートとN,N-ジメチルホルムアミドを混合して、BiWO懸濁液を得るステップと、
前記BiWO懸濁液と厚さが0.1~1nmであるInVO ノシートを混合してイオン交換させて、酸化型光触媒を得るステップとを含み、前記酸化型光触媒はBi2344. ノシートであり、
前記BiWO ノシートとInVO ノシートのモル比は1:1~6であることを特徴とする酸化型光触媒の調製方法。
【請求項2】
前記BiWO ノシートとN,N-ジメチルホルムアミドの使用量比は、1mmol:80~100mLであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記BiWO ノシートとN,N-ジメチルホルムアミドの混合方式は撹拌であり、前記撹拌の回転数は300~800rpmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記イオン交換の温度は20~30℃であり、時間は1.5~2hであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記BiWO ノシートの調製方法は、
Bi(NO ・5H O、Na WO ・2H O、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び水を混合して水熱反応させて、Bi WO ナノシートを得ることを含み、
前記Bi(NO ・5H OとNa WO ・2H Oのモル比は2:1であることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記水熱反応の温度は120~200℃であり、時間は12~24hであることを特徴とする請求項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記InVO ナノシートの調製方法は、
Na VO 、InCl 、濃硝酸及び水を混合して水熱反応させて、InVO ナノシートを得ることを含み、
前記Na VO とInCl のモル比は1:1であることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項8】
前記水熱反応の温度は120~180℃であり、時間は12~24hであることを特徴とする請求項7に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒技術の分野に関し、より具体的には、酸化型光触媒及びその調製方法に関する。
【0002】
本発明は、光触媒技術の分野に関し、より具体的には、酸化型光触媒の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光触媒は、汚染物質の鉱化分解を実現し、クリーンで効率的な汚染物質分解技術である。汚染物質の光触媒分解過程は、主に、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル及び光生成正孔などの活性種に依存する。Bi2344.5は、一般的な酸化型光触媒として、バンドギャップが狭く、可視光下で汚染物質を酸化及び分解する能力がある。しかしながら、Bi2344.5は、伝導帯及び価電子帯の位置が低いため、通常はスーパーオキシドアニオンラジカルを生成できず、汚染物質の光触媒分解に光生成正孔及びヒドロキシルラジカルしか使用できない。したがって、その酸化分解能力は、ある程度制限される。
【0004】
活性種の生成は、光触媒の表面状態と密接な関係があり、酸素空孔の構築は、光触媒の表面状態を調整する新規な技術的手段であり、汚染物質の光触媒分解過程で形成された活性種の種類及び濃度を増加させることができる。現在、酸素空孔を構築する主な方式は、まず酸素空孔を含まないBi2344.5極薄ナノシートを調製し、次に還元性雰囲気(H又はCO)を使用して熱還元を行うことであるが、H又はCOなどの還元ガスを使用するため、設備への要求が極めて高く、操作条件も非常に厳しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における問題を解決するために、本発明は、Bi2344.5極薄ナノシート光触媒の調製方法を提供する。本発明は、穏やかな反応条件及び簡単な操作で、イオン交換法によって酸素空孔を含むBi2344.5極薄ナノシートを調製することに成功した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、酸化型光触媒の調製方法を提供し、
厚さが0.1~2nmであるBiWO ノシートとN,N-ジメチルホルムアミドを混合して、BiWO懸濁液を得るステップと、
前記BiWO懸濁液と厚さが0.1~1nmであるInVO ノシートを混合してイオン交換させて、酸化型光触媒を得るステップとを含み、前記酸化型光触媒はBi2344. ノシートであり、
前記BiWO ノシートとInVO ノシートのモル比は1:1~6である。
【0008】
好ましくは、前記BiWO ノシートとN,N-ジメチルホルムアミドの使用量比は、1mmol:80~100mLである。
【0009】
好ましくは、前記BiWO ノシートとN,N-ジメチルホルムアミドの混合方式は撹拌であり、前記撹拌の回転数は300~800rpmである。
【0010】
好ましくは、前記イオン交換の温度は20~30℃であり、時間は1.5~2hである。
【0013】
本発明はさらに、上記技術的解決手段に記載のBiWO ノシートの調製方法を提供し、
Bi(NO・5HO、NaWO・2HO、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び水を混合して水熱反応させて、BiWO ノシートを得ることを含み、
前記Bi(NO・5HOとNaWO・2HOのモル比は2:1である。
【0014】
好ましくは、前記水熱反応の温度は120~200℃であり、時間は12~24hである。
【0015】
好ましくは、前記InVO ノシートの調製方法は、
NaVO、InCl、濃硝酸及び水を混合して水熱反応させて、InVO ノシートを得ることを含み、
前記NaVOとInClのモル比は1:1である。
【0016】
好ましくは、前記水熱反応の温度は120~180℃であり、時間は12~24hである。
【0017】
本発明は、酸化型光触媒の調製方法を提供し、BiWO極薄ナノシートとN,N-ジメチルホルムアミドを混合して、BiWO懸濁液を得るステップと、前記BiWO懸濁液とInVO極薄ナノシートを混合してイオン交換させて、前記酸化型光触媒を得るステップとを含み、前記酸化型光触媒はBi2344.5極薄ナノシートであり、前記BiWO極薄ナノシートとInVO極薄ナノシートのモル比は1:1~6である。本発明は、DMFを溶媒とし、BiWO極薄ナノシートとInVO極薄ナノシートのDMF溶媒における溶解度の違いにより、イオン交換時にBi3+とIn3+が等量の物質で交換されず、酸素空孔が発生し、表面に酸素空孔を含むBi2344.5極薄ナノシートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1~3で調製されたBi2344.5(1:1)極薄ナノシート、Bi2344.5(2:1)極薄ナノシート、Bi2344.5(3:1)極薄ナノシートのX線回折パターン。
図2】実施例5で調製されたBi2344.5(5:1)極薄ナノシートの走査型電子顕微鏡図。
図3】実施例6で調製されたBi2344.5(6:1)極薄ナノシートのスピン共鳴スペクトル。
図4】実施例4で調製されたBi2344.5(4:1)極薄ナノシートと市販のP25サンプルの塩酸テトラサイクリン光触媒分解の活性比較図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、酸化型光触媒の調製方法を提供し、
BiWO極薄ナノシートとN,N-ジメチルホルムアミドを混合して、BiWO懸濁液を得るステップと、
BiWO懸濁液とInVO極薄ナノシートを混合してイオン交換させて、前記酸化型光触媒を得るステップとを含み、
前記酸化型光触媒は、Bi2344.5極薄ナノシートである。
【0020】
本発明において、特に断りがない限り、本発明で使用される原材料は、好ましくは市販の製品である。
【0021】
本発明は、BiWO極薄ナノシートとN,N-ジメチルホルムアミドを混合して、BiWO懸濁液を得る。
【0022】
本発明において、前記BiWO極薄ナノシートの厚さは、好ましくは0.1~2nmである。本発明において、前記BiWO極薄ナノシートは、好ましくは、
Bi(NO・5HO、NaWO・2HO、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び水を混合して水熱反応させて、BiWO極薄ナノシートを得ることによって調製される。
【0023】
本発明において、前記水は、好ましくは脱イオン水である。
【0024】
本発明において、前記Bi(NO・5HO、NaWO・2HOと臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのモル比は、好ましくは2:1:0.1~0.5、より好ましくは2:1:0.1~0.2である。本発明において、Bi(NO・5HOと水の使用量比は2mmol:50~100mL、好ましくは2mmol:75mLである。
【0025】
本発明において、BiWO極薄ナノシートを調製する過程で、前記混合方式は、好ましくは撹拌であり、本発明は、撹拌の回転数を具体的に限定せず、材料を均一に混合すればよい。前記混合時間は、好ましくは50~70min、より好ましくは60minである。
【0026】
本発明において、BiWO極薄ナノシートを調製する過程で、前記水熱反応の温度は、好ましくは120~200℃、より好ましくは120~150℃であり、前記水熱反応の時間は、12~24h、より好ましくは12~15hである。本発明の実施例において、前記水熱反応は、具体的には100mLの水熱釜で行うことが好ましい。
【0027】
前記水熱反応後、本発明は、好ましくは、得られた水熱反応系を順次遠心分離、乾燥及び粉砕することをさらに含む。本発明において、前記遠心分離、乾燥及び粉砕の操作及びパラメータを具体的に限定せず、当業者に周知の操作を使用すればよい。
【0028】
本発明において、前記BiWO極薄ナノシートとN,N-ジメチルホルムアミドの使用量比は、好ましくは1mmol:80~100mL、より好ましくは1mmol:90~100mLである。本発明において、前記BiWO極薄ナノシートとN,N-ジメチルホルムアミドの混合方式は、好ましくは撹拌であり、前記撹拌の回転数は、好ましくは300~800rpm、より好ましくは500rpmである。
【0029】
BiWO懸濁液を得た後、本発明は、前記BiWO懸濁液とInVO極薄ナノシートを混合してイオン交換させて、前記Bi2344.5極薄ナノシートを得る。
【0030】
本発明において、前記InVO極薄ナノシートの厚さは、好ましくは0.1~1nmである。本発明において、前記InVO極薄ナノシートは、好ましくは、
NaVO、InCl、濃硝酸及び水を混合して水熱反応させて、InVO極薄ナノシートを得ることによって調製される。
【0031】
本発明において、前記NaVOは、好ましくはNaVO水溶液の形態で使用され、前記InClは、好ましくはInCl水溶液の形態で使用される。
【0032】
InVO極薄ナノシートを調製する過程で、前記NaVOとInClのモル比は、好ましくは1:1である。InVO極薄ナノシートを調製する過程で、前記濃硝酸の濃度は、好ましくは8mol/Lであり、前記NaVOと濃硝酸の使用量比は、1mmol:200~250μLである。
【0033】
InVO極薄ナノシートを調製する過程で、前記水熱反応の温度は、好ましくは120~180℃、より好ましくは180℃であり、前記水熱反応の時間は、好ましくは12~24h、より好ましくは12hである。本発明の実施例において、前記水熱反応は、具体的には50mLの水熱釜で行うことが好ましい。
【0034】
本発明において、前記BiWO極薄ナノシートとInVO極薄ナノシートのモル比は1:1~6である。
【0035】
本発明において、前記BiWO懸濁液とInVO極薄ナノシートの混合方式は、好ましくは磁気撹拌である。
【0036】
本発明において、前記イオン交換の温度は、20~30℃である。本発明において、前記イオン交換の時間は、1.5~2h、より好ましくは2hである。本発明において、イオン交換が混合過程で発生するため、イオン交換の時間は混合時間である。
【0037】
前記イオン交換後、本発明は、好ましくは、得られたイオン交換系を固液分離し、得られた固体を順次乾燥及び粉砕して、前記Bi2344.5極薄ナノシートを得ることをさらに含む。
【0038】
本発明において、前記固液分離の方式は、好ましくは遠心分離であり、本発明は、前記遠心分離を具体的に限定せず、当業者に周知の操作及びパラメータを使用すればよい。本発明において、前記乾燥の温度は、好ましくは50~60℃であり、前記乾燥の時間は、好ましくは2~6h、より好ましくは3~5hである。本発明において、前記粉砕を具体的に限定せず、当業者に周知の操作及びパラメータを使用すればよい。本発明において、前記粉砕の目的は、粒子が均一に分散した製品を得ることである。
【0039】
本発明に記載のBi2344.5極薄ナノシートは、汚染物質である塩酸テトラサイクリン、メチルオレンジ又はローダミンBを分解するために使用することができる。
【0040】
本発明において、前記Bi2344.5極薄ナノシートによる汚染物質の分解方法は、好ましくは、
前記Bi2344.5極薄ナノシートを、分解する汚染物質を含む溶液に分散させて、吸着処理を行い、吸着が完了した後に光照射処理を行うステップを含む。
【0041】
具体的には、塩酸テトラサイクリンを分解する場合、前記Bi2344.5極薄ナノシートの応用は、好ましくは以下のパラメータを含み、すなわち、前記Bi2344.5極薄ナノシートの塩酸テトラサイクリンにおける濃度は、好ましくは0.5~30mg/Lであり、前記吸着処理の時間は、好ましくは0.5~2hである。
【0042】
メチルオレンジを分解する場合、前記Bi2344.5極薄ナノシートの応用は、好ましくは以下のパラメータを含み、すなわち、前記Bi2344.5極薄ナノシートのメチルオレンジ溶液における濃度は、好ましくは0.5~10mg/Lであり、前記吸着処理の時間は、好ましくは0.5~2hであり、前記光照射処理の光源は、好ましくはキセノンランプ光源である。
【0043】
ローダミンBを分解する場合、前記Bi2344.5極薄ナノシートの応用は、好ましくは以下のパラメータを含み、すなわち、前記Bi2344.5極薄ナノシートのローダミンB溶液における濃度は、好ましくは0.5~10mg/Lであり、前記吸着処理の時間は、好ましくは0.5~2hであり、前記光照射処理の光源は、好ましくは可視光光源である。
【0044】
以下では具体的な実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0045】
実施例1
0.97gのBi(NO・5HO、0.33gのNaWO・2HO、0.05gの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び75mLの脱イオン水を混合し、60min撹拌し、次に得られた混合液を100mLの水熱釜に移して水熱反応させ、水熱反応の温度は120℃であり、時間は24hであり、その後、水熱反応で得られた系を順次遠心分離、乾燥及び粉砕して、BiWO極薄ナノシートを得る。
NaVO水溶液、InCl水溶液及び濃硝酸を混合し(NaVO水溶液中のNaVOの質量は0.184g、脱イオン水の質量は20g、InCl水溶液中のInCl質量は0.184g、脱イオン水の質量は10g、濃硝酸の使用量は200μL)、次に混合液を50mLの水熱釜に移して水熱反応させ、水熱反応の温度は180℃であり、反応時間は12hであり、その後、水熱反応で得られた系を順次遠心分離、乾燥及び粉砕して、InCl極薄ナノシートを得る。
上記で調製した1mmolのBiWO極薄ナノシートと100mLのDMFを混合して、BiWO懸濁液を得て、次にBiWO懸濁液に1mmolのInVO極薄ナノシートを加え、室温で2h磁気撹拌し、その後、順次遠心分離、乾燥(乾燥の温度は60℃、時間は3h)及び粉砕して、Bi2344.5(1:1)と名付けられたBi2344.5極薄ナノシートAを得る。
【0046】
実施例2
実施例1との違いは、1mmolのInVO極薄ナノシートを2mmolのInVO極薄ナノシートに置き換え、Bi2344.5(2:1)と名付けられたBi2344.5極薄ナノシートBを調製したことのみにある。
【0047】
実施例3
実施例1との違いは、1mmolのInVO極薄ナノシートを3mmolのInVO極薄ナノシートに置き換え、Bi2344.5(3:1)と名付けられたBi2344.5極薄ナノシートCを調製したことのみにある。
本発明は、実施例1~3で調製されたBi2344.5(1:1)極薄ナノシート、Bi2344.5(2:1)極薄ナノシート、Bi2344.5(3:1)極薄ナノシートに対してX線回折特性評価を行い、特性評価結果は図1に示すとおりである。図1から分かるように、実施例1~3で調製されたBi2344.5は、高純度相の特性を有し、不純物相が存在せず、対応する標準PDFカードはJCPDS No.47-0733である。本発明に記載の技術的解決手段により、Bi2344.5極薄ナノシートの調製に成功した。
【0048】
実施例4
実施例1との違いは、1mmolのInVO極薄ナノシートを4mmolのInVO極薄ナノシートに置き換え、Bi2344.5(4:1)と名付けられたBi2344.5極薄ナノシートDを調製したことのみにある。
【0049】
実施例5
実施例1との違いは、1mmolのInVO極薄ナノシートを5mmolのInVO極薄ナノシートに置き換え、Bi2344.5(5:1)と名付けられたBi2344.5極薄ナノシートEを調製したことのみにある。
本発明は、実施例5で調製されたBi2344.5(5:1)極薄ナノシートを走査し、走査型電子顕微鏡図は図2に示すとおりであり、図2から分かるように、実施例5で調製されたBi2344.5(5:1)は、顕著な極薄シート状構造を示す。
【0050】
実施例6
実施例1との違いは、1mmolのInVO極薄ナノシートを6mmolのInVO極薄ナノシートに置き換え、Bi2344.5(6:1)と名付けられたBi2344.5極薄ナノシートFを調製したことのみにある。
本発明は、実施例6で調製されたBi2344.5(6:1)極薄ナノシートに対してスピン共鳴を行い、スピン共鳴スペクトルを得て、図3を参照して、図3のg=2.003から、Bi2344.5(6:1)極薄ナノシートに酸素空孔があることが分かる。
また、本発明者はさらに、実施例4で得られたBi2344.5(4:1)極薄ナノシート及び市販の二酸化チタンP25の塩酸テトラサイクリンに対する触媒効果を試験し、試験方法は、具体的には以下のとおりである。
40mgのBi2344.5光触媒又は40mgの市販の二酸化チタンP25を40mLの濃度50mg/Lの塩酸テトラサイクリン汚染物質に分散させ、1hの吸着処理を行い、吸着が完了した後に光照射し、400nmフィルタが取り付けられたキセノンランプを用いて可視光をシミュレートし、可視光下での触媒反応を行い、異なる時間にサンプリングし、0.22μm孔径のポリエーテルスルホンフィルタによって触媒を濾過して上澄み液を収集し、且つ紫外可視分光光度計によって異なる光照射時間での汚染物質の濃度変化を検出し、試験結果は図4に示すとおりである。
図4から分かるように、市販のP25に比べて、Bi2344.5(4:1)極薄ナノシートは、塩酸テトラサイクリンの効率的な光触媒分解活性を有し、これは主に本発明に記載のBi2344.5極薄ナノシート表面上の酸素空孔の構築により、一方では光吸収を促進でき、他方では吸着および反応の活性部位として機能できるからである。したがって、本発明により調製されたBi2344.5(4:1)極薄ナノシートは、効率的な光触媒活性を示す。
【0051】
以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、なお、当業者であれば,本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲とすべきである。

図1
図2
図3
図4