(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/173 20060101AFI20240415BHJP
B23K 9/073 20060101ALI20240415BHJP
B23K 9/09 20060101ALI20240415BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20240415BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B23K9/173 A
B23K9/073 545
B23K9/09
B23K9/12 305
B23K9/095 505B
(21)【出願番号】P 2022507454
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2020072207
(87)【国際公開番号】W WO2021023845
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-02-14
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504380611
【氏名又は名称】フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゼリンガー、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトヘル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、マヌエル
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093403(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035718(WO,A1)
【文献】特表2011-518042(JP,A)
【文献】特開2016-040046(JP,A)
【文献】特表2016-540650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/173
B23K 9/073
B23K 9/09
B23K 9/12
B23K 9/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接プロセス(SP)の異なるタイプの溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)間の溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させる方法であって、前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)は、異なる溶接パラメータを含み、
少なくとも前記溶接プロセスフェーズ(SPP)において、ワークピース(W)は、溶接ワイヤ電極(SDE)と前記ワークピース(W)との間に延びるとともに、前記少なくとも1つの溶接プロセスフェーズ、SPP、に設定可能なアーク長パラメータ、LBLP、を含む溶接アーク(SLB)で各々の場合に溶接され、前記アーク長パラメータは、前記溶接アークのアーク長を含み、
前記溶接プロセス(SP)の異なる前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)について、使用される前記アーク長パラメータ、LBLP、に対して、関連するアーク長パラメータの目標値が設定され、前記目標値の各々は、予め設定された範囲内で調整することが可能であり、
連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)間の溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)中、前記溶接アーク(SLB)の設定されたアーク長パラメータ、LBLP、が変化した場合に、それと並行して、前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させるために、もたらされた前記アーク長パラメータ変化、ΔLBLP、に応じて少なくとも一つの遷移溶接パラメータ、USP、が自動的に適合される、方法。
【請求項2】
前記遷移溶接パラメータ、USP、は、
-前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)のワイヤ前進速度、V
D、及びワイヤ前進加速度、a
D、の少なくとも一方、
-前記溶接ワイヤ電極、SDE、を流れる平均溶接電流、I
S、の振幅及び極性の少なくとも一方、
-前記溶接ワイヤ電極(SDE)と前記ワークピース(W)との間に印加される溶接電圧、U
S、の振幅及び極性の少なくとも一方、及び
-前記溶接ワイヤ電極、SDE、を流れる溶接電流、I
S、のパルスの数及び周波数の少なくとも一方、
の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
もたらされたアーク長変化、ΔLBL、の増加又は減少により、前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させるために、前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ前進速度、V
D、が、遷移溶接パラメータ、USP、として自動的に増加又は減少する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
もたらされたアーク長変化、ΔLBL、の増加又は減少により、
前記溶接電流、I
S、の振幅及び継続期間の少なくとも一方が、自動的に減少又は増加する、又は
前記溶接電圧、U
S、の振幅が、自動的に減少又は増加する、又は
前記溶接電流、I
S、の振幅及び継続期間の少なくとも一方、及び前記溶接電圧、U
S、の振幅が、自動的に減少又は増加する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
もたらされたアーク長変化、ΔLBL、の増加又は減少により、前記溶接電流、I
S、のパルスの数及び周波数の少なくとも一方が、自動的に減少又は増加する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接プロセス(SP)の連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の組の異なる組み合わせについて、もたらされる可能性のある異なるアーク長変化、ΔLBP、の各々の場合に、遷移溶接パラメータ、USP、の関連する設定可能な溶接パラメータセットが、パラメータデータセット(5)内に表形式で保存される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
もたらされた前記アーク長変化、ΔLBP、及び2つの連続する異なるタイプの前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の組み合わせに応じて、前記パラメータデータストア(5)から関連する前記溶接パラメータセットが読み出され、2つの前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)間の前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させるために、対応する前記遷移溶接パラメータ、USP、が適合される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶接プロセス(SP)の連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の組の異なる組み合わせについて、異なる遷移溶接パラメータ、USP、の遷移関数特性曲線が提供される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
もたらされた前記アーク長変化、ΔLBP、及び関連する記憶された前記遷移関数特性曲線に応じて、異なる前記遷移溶接パラメータ、USP、のパラメータ値が前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)中に計算され、前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させるために、前記遷移溶接パラメータ、USP、が計算された前記パラメータ値によって適合される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)は、
ショートアーク溶接フェーズ、
ロングアーク溶接フェーズ、
パルスアーク溶接フェーズ、
前進又は後退運動を伴うショートアーク溶接フェーズ、
スプレーアーク溶接フェーズ、及び
回転溶接アークを用いる溶接フェーズ、
の少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
異なる溶接パラメータを含む異なるタイプの溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)を含む溶接プロセス(SP)でワークピース(W)を溶接する溶接装置(1)であって、前記ワークピース(W)は、前記溶接装置(1)の溶接ワイヤ電極(SDE)と前記ワークピース(W)との間に延びる溶接アーク(LB)で前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の各々の場合に溶接され、前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)に対して前記溶接アーク(LB)のアーク長パラメータ、LBLP、が設定可能であり、前記アーク長パラメータは、前記溶接アークのアーク長を含み、
前記溶接装置(1)は、前記溶接プロセス(SP)の異なるタイプの前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の間の溶接プロセス遷移(SPU)中に、前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)のために設定された前記アーク長パラメータ、LBLP、に対応する前記溶接アーク(LB)の前記アーク長パラメータにおける変化、ΔLBLPをもたらし、同時に、前記溶接プロセス(SP)内の前記溶接プロセス遷移(SPU)を安定させるために、もたらされた前記アーク長パラメータ変化、ΔLBLP、に応じて前記溶接装置(1)の溶接電流源(2)の少なくとも一つの遷移溶接パラメータ、USP、を自動的に適合させる、コントローラ(4)を含
み、
前記溶接プロセス(SP)の異なる前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)について、使用される前記アーク長パラメータ、LBLP、に対して、関連するアーク長パラメータの目標値が設定され、前記目標値の各々は、予め設定された範囲内で設定要素を用いてユーザが手動で、又は外部コントローラ(8)によって調整することが可能である、溶接装置(1)。
【請求項12】
前記溶接プロセス(SP)の連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の組の異なる組み合わせについて、実行される可能性のある異なるアーク長パラメータ変化、ΔLBLP、の各々の場合に、遷移溶接パラメータ、USP、の関連する設定可能な溶接パラメータセットが、溶接装置(1)のパラメータデータストア(5)内に表形式で保存され、
もたらされた前記アーク長パラメータ変化、ΔLBLP、及び2つの連続する異なるタイプの前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の組み合わせに応じて、前記溶接装置(1)の前記データパラメータストア(5)から関連する前記溶接パラメータセットが読み出され、2つの前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)間の前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させるために、対応する前記遷移溶接パラメータ、USP、が前記溶接装置(1)の前記コントローラ(4)によって適合される、請求項1
1に記載の溶接装置。
【請求項13】
前記溶接プロセス(SP)の連続する異なるタイプの前記溶接プロセスフェーズ(SPP-A,SPP-B)の組の異なる組み合わせについて、異なる遷移溶接パラメータの遷移関数特性曲線が提供され、
もたらされた前記アーク長パラメータ変化、ΔLBLP、及び関連する記憶された前記遷移関数特性曲線に応じて、異なる前記遷移溶接パラメータ、USP、のパラメータ値が前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)中に前記溶接装置(1)の前記コントローラ(4)のコンピューティングユニットによって計算され、前記溶接プロセスフェーズ遷移(SPU)を安定させるために、前記遷移溶接パラメータ、USP、が前記溶接装置(1)の前記コントローラ(4)によって適合される、請求項11
又は12に記載の溶接装置。
【請求項14】
前記遷移溶接パラメータ、USP、の溶接パラメータセット、及びデータベースから遷移関数特性曲線の少なくとも一方をロードするための、インターフェースを備える、請求項11~
13のいずれか一項に記載の溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接プロセス、特にアーク溶接プロセスにおいて、異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接では、ワークピースと溶接ワイヤ電極との間で溶接アークが発生する。したがって、溶接ワイヤ電極は溶融し、溶加材として機能することができる。ガスシールド溶接では、アークは二酸化炭素やアルゴン等のシールドガスによって大気からシールドされる。連続的に溶融する溶接ワイヤ電極は、ワイヤのスプールから徐々に引き出される。この場合、溶接ワイヤ電極はホース内に延びており、そこからシールドガスも供給される。ミグ(MIG)溶接、金属不活性ガス溶接では、不活性シールドガスが使用される。対照的に、マグ(MAG)溶接、金属活性ガス溶接では、二酸化炭素等の反応性ガスがシールドガスとして使用される。
【0003】
異なる溶接パラメータ、特にアーク長は、溶接プロセスの結果に影響を与える。薄い金属板や溶接が難しい箇所の場合には、ショートアーク溶接が使用される。この場合、材料間で途切れの少ないスムーズな遷移が生じる。対照的に、ロングアーク溶接は主に厚い金属板の場合に使用される。
【0004】
ガスメタルアーク溶接(GMAW:gas metal arc welding)、すなわちMIG又はMAG溶接のいずれかの場合、消耗溶接ワイヤ電極が使用され、これは電気モータによって可変のワイヤ前進速度で供給することができる。溶接ワイヤ電極は、設定された溶接パラメータに従い、溶接アークによって異なる態様で溶融する。
【0005】
パルスアーク溶接による溶接では、より高いパルス電流がバックグラウンド電流に規則的に重畳される。バックグラウンド電流のフェーズでは、アーク又は溶接アークは低出力で発生しており、溶加材が溶融されて溶融池が液状に保たれる。パルスのフェーズでは、溶滴が形成され、溶滴は磁気ピンチの増加によって離脱する(ピンチ効果)。設定値は、溶接ワイヤ電極の線径及び溶接ワイヤ電極の材質に応じて、各電流パルス中に溶滴が生成及び離脱されるように選択できる。従来技術から一般に知られているように、設定された溶接電圧及び設定された溶接電流ならびに設定されたアーク長に応じて、異なるタイプのアークを区別することが可能である。アークのタイプには、ショートアーク、ロングアーク、パルスアーク、いわゆるスプレーアーク、及び回転アークが含まれる。ワイヤは、ワークピースの方向と反対方向との両方に進めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの用途では、異なる溶接プロセスフェーズを切り替える必要がある。溶接プロセスフェーズが異なると、溶接パラメータ及び/又はアークタイプが異なる。多くの溶接プロセスでは、異なる溶接プロセスフェーズ間で周期的な切り替えが行われる。しかし、従来の溶接プロセスでは、溶接プロセスのある溶接プロセスフェーズから次の溶接プロセスフェーズへのプロセス遷移を安定させることが困難である。異なる溶接プロセスフェーズ間の切り替えにおけるそのような不安定性は、溶接結果、特に形成された溶接シーム又は発生する溶接スパッタの外観に関して悪影響を与える可能性がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって達成される。
本発明は、溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる方法を適切に提供し、少なくとも溶接プロセスフェーズにおいて、ワークピースは、溶接ワイヤ電極とワークピースとの間に延びるとともに、少なくとも1つの溶接プロセスフェーズのために設定可能なアーク長パラメータを有するそれぞれの溶接アークで溶接され、溶接アークの設定されたアーク長パラメータが変化した場合における連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移について、それと並行して、溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるために、もたらされたアーク長パラメータ変化に応じて少なくとも一つの遷移溶接パラメータが自動的に適合される。
【0009】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法の1つの可能な実施形態では、遷移溶接パラメータは、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ前進速度を含む。
【0010】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、遷移溶接パラメータは、溶接ワイヤ電極を流れる平均溶接電流の振幅及び/又は極性を含む。
【0011】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、遷移溶接パラメータは、溶接ワイヤ電極とワークピースとの間に印加される溶接電圧の振幅及び/又は極性を含む。
【0012】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、遷移溶接パラメータは、溶接ワイヤ電極を流れる溶接電流のパルスの数及び/又は周波数を含む。
【0013】
本発明による方法のさらなる可能な好ましい実施形態では、アークパラメータは、溶接アークのアーク長を含む。
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法の1つの可能な実施形態では、もたらされたアーク長変化の増加又は減少により、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ前進速度及び/又は加速度は、溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるための遷移溶接パラメータとして自動的に増加又は減少する。
【0014】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、もたらされたアーク長変化の増加又は減少により、溶接電流の振幅及び/又は継続期間、ならびに/もしくは溶接電圧の振幅及び/又は継続期間が、自動的に増加又は減少する。
【0015】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、もたらされたアーク長変化の増加又は減少により、溶接電流のパルスの数及び/又は周波数が、自動的に減少又は増加する。
【0016】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズの組の異なる組み合わせについて、もたらされる可能性のあるアークパラメータ変化の各々の場合に、遷移溶接パラメータの関連する設定可能な溶接パラメータセットが、パラメータデータストア内に表形式で保存される。
【0017】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、もたらされたアークパラメータ変化及び2つの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズの組み合わせに応じて、パラメータデータストアから関連する溶接パラメータセットが読み出され、2つの溶接プロセスフェーズ間の溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるために、対応する遷移溶接パラメータが適合される。
【0018】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズの組の異なる組み合わせについて、遷移関数特性曲線が、異なる遷移溶接パラメータに対して提供される。
【0019】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、もたらされたアークパラメータ変化及び関連する記憶された遷移関数特性曲線に応じて、異なる遷移溶接パラメータのパラメータ値が溶接プロセスフェーズ遷移中に計算され、溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるために、遷移溶接パラメータが計算されたパラメータ値によって自動的に適合される。
【0020】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスの異なる溶接プロセスフェーズは、
ショートアーク溶接フェーズ、
ロングアーク溶接フェーズ、
パルスアーク溶接フェーズ、
前進又は後退運動を伴うショートアーク溶接フェーズ、
スプレーアーク溶接フェーズ、及び/又は
回転アークを用いる溶接フェーズ、及び/又は遷移アークフェーズ、を含む。
【0021】
さらなる態様によれば、本発明は、請求項12に記載の特徴を有する溶接装置をさらに提供する。
本発明は、異なるタイプの溶接プロセスフェーズを含む溶接プロセスにおいてワークピースを溶接するための溶接装置であって、ワークピースは、溶接装置の溶接ワイヤ電極とワークピースとの間に延びる溶接アークで溶接プロセスフェーズにおいて溶接され、溶接プロセスフェーズに対して溶接アークのアークパラメータ、特にそのアーク長が設定可能であり、溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移中に、溶接プロセスフェーズのために設定されたアークパラメータに対応する溶接アークのアークパラメータにおける変化をもたらし、同時に、溶接プロセス内の溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるために、もたらされたアークパラメータ変化に応じて溶接装置の溶接電流源の少なくとも一つの遷移溶接パラメータを自動的に適合させる、コントローラを含む、溶接装置を適切に提供する。
【0022】
本発明による溶接装置の1つの可能な実施形態では、溶接プロセスの異なる溶接プロセスフェーズについて、使用されるアークパラメータのそれぞれの関連するアークパラメータの目標値が予め設定され、目標値の各々は、予め設定された範囲内で設定要素を用いてユーザによって手動で調整及び再調整することが可能である。
【0023】
アークパラメータの目標値、特にアーク長は、外部の上位コントローラ又はロボットコントローラのインターフェースを介して提供することも可能である。
本発明による溶接装置のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズの組の異なる組み合わせについて、もたらされる可能性のある異なるアークパラメータ変化の各々の場合に、遷移溶接パラメータの関連する設定可能な溶接パラメータセットが、溶接装置のパラメータデータストア内に表形式で保存される。
【0024】
本発明による溶接装置のさらなる可能な実施形態では、もたらされたアークパラメータ変化及び2つの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズの組み合わせに応じて、溶接装置のパラメータデータストアから関連する溶接パラメータセットが読み出され、2つの溶接プロセスフェーズ間の溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるために、対応する遷移溶接パラメータが溶接装置のコントローラによって自動的に適合される。
【0025】
本発明による溶接装置のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズの組の異なる組み合わせについて、遷移関数特性曲線が、異なる遷移溶接パラメータに対して提供される。
【0026】
本発明による溶接装置の1つの可能な実施形態では、もたらされたアークパラメータ変化及び関連する記憶された遷移関数特性曲線に応じて、異なる遷移溶接パラメータのパラメータ値が溶接プロセスフェーズ遷移中に溶接装置のコントローラのコンピューティングユニットによって計算され、溶接プロセスフェーズ遷移を安定させるために、遷移溶接パラメータが溶接装置のコントローラによって自動的に適合される。
【0027】
本発明による溶接装置のさらなる可能な実施形態では、溶接装置は、遷移溶接パラメータの溶接パラメータセットをロードするための、及び/又はデータベースから遷移関数特性曲線をロードするためのインターフェースを備える。
【0028】
溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法及び本発明による装置の可能な実施形態は、添付の図を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による溶接装置の動作態様を説明するための概略ブロック回路図である。
【
図2】溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法及び本発明による装置の動作態様を説明するための図である。
【
図3A】例として、溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法及び本発明による装置の動作態様を説明するために周期的に交互に行われる溶接プロセスフェーズを有する溶接プロセスを示す図である。
【
図3B】例として、溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法及び本発明による装置の動作態様を説明するために周期的に交互に行われる溶接プロセスフェーズを有する溶接プロセスを示す図である。
【
図3C】例として、溶接プロセスの異なるタイプの溶接プロセスフェーズ間の遷移を安定させる本発明による方法及び本発明による装置の動作態様を説明するために周期的に交互に行われる溶接プロセスフェーズを有する溶接プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示すように、本発明の一態様によれば、溶接装置1は、溶接装置1の溶接トーチ3に溶接電流及び溶接電圧を供給する溶接電流源2を備える。溶接トーチ3は、シールドガスノズルを有してもよい。ワークピースWを溶接するために、溶接トーチ3の接触管から溶接ワイヤ電極SDEを供給することができる。
図1に示すように、溶接ワイヤ電極SDEとワークピースWとの間に、溶接アークLBが生成される。溶接装置1は、各々の場合に溶接アークLBを使用してワークピースWが溶接される異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPPを含み得る溶接プロセスSPにおいて、ワークピースWを溶接する働きをする。溶接アークLBのアークパラメータLBP、特にそのアーク長LBLは、異なる溶接プロセスフェーズSPPに対して設定できる。溶接装置1は、溶接プロセスSPの異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPP間の遷移中に、溶接プロセスフェーズSPPに対して設定されたアークパラメータに従って溶接アークSLBのアーク長パラメータLBLPの変化をもたらすコントローラ4を備える。コントローラ4は同時に、溶接プロセスSP内の溶接プロセス遷移SPUを安定させるために、もたらされたアーク長パラメータ変化ΔLBLPに応じて、溶接装置1の溶接電流源2の少なくとも1つの遷移溶接パラメータUSPを自動的に適合させる。溶接電流源4は、インターフェース6を有してもよい。インターフェース6及びネットワーク7によって、溶接電流源2のローカルコントローラ4は、外部の上位コントローラ8、例えば自動化システムから制御コマンド及び/又は目標パラメータ設定を受信することができる。
【0031】
図2は、一連のさまざまな異なる溶接プロセスフェーズSPPからなる溶接プロセスSPを概略的に示す。異なる溶接プロセスフェーズSPPは、例えばショートアーク溶接フェーズ、ワイヤ反転運動(CMT)を伴うショートアーク溶接フェーズ、ロングアーク溶接フェーズ、パルスアーク溶接フェーズ、スプレーアーク溶接フェーズ、及び/又は回転アークを用いた溶接フェーズを備えてもよい。異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPPの順序は、溶接プロセスSPによって異なっていてもよい。例えば、
図3Aに例として示すように、2つの異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPP、例えば溶接プロセスフェーズSPP-Aと溶接プロセスフェーズSPP-Bとは、周期的に交互に行うことができる。例えば、パルスアーク溶接フェーズは、ショートアーク溶接フェーズと周期的に交互に行うことができる。もちろん、3つ以上の溶接プロセスフェーズSPPも互いに交互に行うことができる(図示せず)。
【0032】
図2はまた、溶接プロセスの溶接プロセスフェーズSPP間の異なる溶接プロセス遷移SPUを概略的に示す。溶接プロセス遷移SPUでは、遷移溶接パラメータUSPが適合又は調整される。溶接プロセス遷移SPUの継続期間及びその適合された遷移溶接パラメータUSPのグループは、溶接プロセス遷移SPUが起こる間の2つの関連する溶接プロセスフェーズSPPによって決まる。
【0033】
溶接プロセスSPの異なる溶接プロセスフェーズSPPについて、それぞれ関連するアークパラメータの目標値、特にアーク長の目標値を、使用されるアークパラメータLBPに対して予め設定することが可能である。これらの事前設定のそれぞれは、ユーザが溶接電流源2の設定要素を使用することで、予め設定された範囲内で手動で調整、再調整、又は補正することができる。代替的に、事前設定は、外部コントローラ8によってインターフェースを介してもたらされてもよい。
【0034】
溶接プロセスSPの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPPの組の異なる組み合わせについて、もたらされる可能性のある異なるアーク長パラメータ変化SLBLPの各々の場合に、遷移溶接パラメータUSPの関連する設定可能な溶接パラメータセットが、溶接装置1のパラメータデータストア5内に表形式で保存され得る。1つの可能な実施形態では、遷移溶接パラメータUSPは、データベースからインターフェースを介して溶接電流源2のローカルデータストア5にロードされる。もたらされたアーク長パラメータ変化ΔLBLP及び2つの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPPの組み合わせに応じて、溶接装置1のパラメータデータストア5から関連する溶接パラメータセットが読み出され、2つの溶接プロセスフェーズSPP間の当該溶接プロセスフェーズ遷移SPUを安定させるために、対応する遷移溶接パラメータUSPが溶接装置1のコントローラ4によって自動的に適合又は調整される。
【0035】
本発明による溶接装置1のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスSPの連続する異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPPの組の異なる組み合わせについて、遷移関数特性曲線が異なる遷移溶接パラメータUSPに対して提供され得る。もたらされたアーク長パラメータ変化ΔLBLP及び関連する記憶された遷移関数特性曲線に応じて、異なる遷移溶接パラメータUSPのパラメータ値が溶接プロセスフェーズ遷移SPU中に溶接装置1のコントローラ4のコンピューティングユニットによって計算され、溶接プロセスフェーズ遷移SPUを安定させるために、遷移溶接パラメータUSPが溶接装置1のコントローラ4によって自動的に適合される。溶接装置1は、好ましくは、遷移溶接パラメータUSPの溶接パラメータセットをロードするための、及び/又はデータベースから遷移関数特性曲線をロードするためのインターフェースを備える。このデータベースは、例えばデータネットワークを介して溶接装置1のインターフェースに接続することができる。
【0036】
同じ溶接プロセスSPの2つの連続する溶接プロセスフェーズSPP間の溶接プロセスフェーズ遷移SPUを安定させるために、異なる遷移溶接パラメータUSPは、もたらされたアークパラメータ変化、特にアーク長の変化に応じて、本発明による方法及び本発明による装置によって自動的に適合され得る。1つの可能な実施形態では、これらの遷移溶接パラメータUSPは、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ前進速度VD及び/又は溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ前進加速度aDを含む。さらに、遷移溶接パラメータUSPは、溶接ワイヤ電極SDEを流れる平均溶接電流Iの振幅及び/又は極性を含んでもよい。さらなる可能な実施形態では、遷移溶接パラメータUSPは、溶接ワイヤ電極SDEとワークピースWとの間に印加される溶接電圧Uの振幅及び/又は極性を含む。本発明による方法及び本発明による装置のさらなる可能な実施形態では、遷移溶接パラメータUSPは、溶接ワイヤ電極SDEを流れる溶接電流Iのパルスの数及び/又は周波数を含む。
【0037】
正(+5)のアーク長変化ΔLBL又はアーク長パラメータ変化ΔLBLPがもたらされると、溶接プロセスSPの2つの溶接プロセスフェーズSPP間の溶接プロセスフェーズ遷移SPUを安定させるために、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ前進速度VDが遷移溶接パラメータUSPとしてコントローラ4によって自動的に増加する。逆に、負のアーク長変化ΔLBLがもたらされた場合、溶接プロセスフェーズ遷移SPUを安定させるために、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ前進速度VDは、遷移溶接パラメータUSPとして自動的に減少する。アーク長変化ΔLBLは、例えば補正値を用いて行われ得る。この場合、補正値0は、アーク長LBLの変化がないことを意味する。正の方向への変化の場合、アーク長LBLはそれに応じて増加し、負の方向への変化の場合はそれに応じて減少する。これは、-5、0、及び+5の補正値を使用した例として以下に説明される。
【0038】
本発明による方法及び本発明による装置のさらなる可能な実施形態では、もたらされた(正の)アーク長変化ΔLBLが増加する場合、溶接電流Iの振幅及び/又は継続期間、ならびに/もしくは溶接電圧Uの振幅及び/又は継続期間は、自動的に減少する。逆に、もたらされた(負の)アーク長変化ΔLBLが減少する場合、溶接電流Iの振幅及び/又は継続期間、ならびに/もしくは溶接電圧Uの振幅及び/又は継続期間は、自動的に増加する。
【0039】
さらに、1つの可能な実施形態では、もたらされたアーク長変化ΔLBLの増加により、溶接電流Iのパルスの数及び/又は周波数が、自動的に減少する。逆に、もたらされたアーク長変化ΔLBLの減少により、溶接電流Iのパルスの数及び/又は周波数が、自動的に増加する。
【0040】
図2及び
図3は、異なる溶接パラメータ、特に溶接電圧U、溶接電流I及びワイヤ前進速度V
Dを有する2つの周期的に交互に行われる溶接プロセスフェーズSPP-A,SPP-Bを含む溶接プロセスSPの例示的な実施形態を示す。遷移溶接パラメータUSPは、溶接プロセスフェーズA,Bのアーク長LBLに適合させることができる。アーク長設定の手動又は遠隔制御による変更又は再調整又は補正の場合、本発明による方法によって回避又は改善される不安定性が生じ得る。具体的には、これは、アーク長LBLの変化によって、溶接プロセス遷移SPUの継続期間が実質的に変化しないこと、特に長くならないことを意味する。
【0041】
手動の再調整によってもたらされるアーク長補正と並行して、本発明による方法の支援によって、遷移溶接パラメータUSP、特に溶接電流Iのワイヤ前進速度VD、及びその時間経過による進行の補正が行われる。
【0042】
これは、溶接プロセス遷移SPUにおいて、短絡KSをより早く開始させるために、ワイヤ前進速度vdが一時的に増加され、次に溶接ワイヤ電極SDEが後方に移動されることを意味すると理解されたい。代替的に、ワイヤ前進速度vdを段階的に変更してもよい。パラメータの値は、溶接プロセスフェーズSPPでの値とは実質的に独立しているため、これらは自由に選択することができる。
【0043】
同様に、異なる溶接プロセス遷移SPU中の時間経過による進行は異なることがある(図示せず)。一般に、各溶接プロセスフェーズSPPはワークピースWへの入熱が異なるため、溶接プロセス遷移SPUの調整又は適合は、溶接プロセスフェーズSPPに応じて行われる。
【0044】
溶接プロセス遷移SPUは、通常、例えばパルス終了時又は短絡KS時にトリガーされる。したがって、これらのイベントは、溶接プロセス遷移SPUの開始/終了として機能することができる。溶接プロセス遷移SPUの継続期間は、予め設定された継続期間/サイクル数で定義してもよい。ただし、遷移溶接パラメータの適合は、溶接プロセス遷移SPUの開始前に開始してもよい。例えば、ある溶接プロセスSPにおいて、非常に高いワイヤ前進速度vdが必要であり、その後の溶接プロセスSPにおいて、非常に低いワイヤ前進速度vdが必要な場合、現在のSPの最後のサイクルでは、ワイヤ前進速度vdは既に低くなっている。このように、溶接プロセス遷移SPUの変化はそれほど急激ではなく、溶接プロセス遷移はより安定した方法で行われる。
【0045】
例えば、溶接プロセスSPにおいて、遷移又は切り替えは、第1の溶接プロセスフェーズSPP-A(パルスアーク溶接)と、第2の溶接プロセスフェーズSPP-B、例えばショートアーク溶接(前進方向への連続的なワイヤ前進速度vd、又はワイヤ前進速度vdの周期的な前進/後退運動のいずれか)との間で起こり得る。第1の溶接プロセスフェーズSPP-A(パルスアーク溶接)では、入熱が明らかに高くなる。このことから、アーク長LBLは、第2の溶接プロセスフェーズSPP-B(ショートアーク)よりも自動的に長くなる。第1の溶接プロセスフェーズA(パルスアーク溶接)から第2の溶接プロセスフェーズB(ショートアークフェーズ)に切り替えるために、アーク長のこの差ΔLBLは、本発明による方法によって自動的に克服される。本発明SPP-Aによる方法を使用せずに溶接プロセスフェーズのアーク長LBLを増加させると、溶接プロセスフェーズSPP-Aから溶接プロセスフェーズSPP-Bへの切り替えがより長く続くため、所望の溶接結果は達成できなくなる可能性がある。本発明による方法では、所望の溶接結果が達成されるように、これが打ち消される。1つの可能な実施形態において、例えば溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ前進速度VDは、SPP-AからSPP-Bへの切り替え中の溶接プロセス遷移SPUでのアーク長変化ΔLBLと並行して増加する。このようにして、距離、すなわちアーク長距離は、より早く克服される。本発明による方法により、異なるタイプの溶接プロセスフェーズSPPを含む溶接プロセスSPにおける溶接結果の品質を明らかに向上させることができる。
【0046】
図3Aから3Cには、溶接プロセス遷移SPUが詳細に例として示されている。
図3Bでは、アーク長LBLが減少し(-5)、
図3Cではアーク長LBLが増加する(+5)。これは、
図3A(+/-0)と比較して対応する方法で行われる。これにおける重要な要素は、遷移溶接パラメータUSPの選択又は調整によって、溶接プロセス遷移SPUの継続期間が実質的に一定に保たれることである。遷移溶接パラメータUSPの調整は、溶接プロセス遷移SPUの継続期間中、目標値が本質的にほぼ保持されるように行われる。これは、基本的にワイヤ前進VDの調整によって実現される。
【符号の説明】
【0047】
1…溶接装置
2…溶接電流源
3…溶接トーチ
4…パラメータストア
5…コントローラ
6…インターフェース
7…ネットワーク
8…コントローラ
SP…溶接プロセス
SPP…溶接プロセスフェーズ
SPU…溶接プロセス遷移
SDE…溶接ワイヤ電極
W…ワークピース
LB…溶接アーク