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特許7472297透析患者プロファイルを決定するための技法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】透析患者プロファイルを決定するための技法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A61M1/28
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022546456
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021015696
(87)【国際公開番号】W WO2021155138
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】62/967,743
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】グローブ、ナジャ
(72)【発明者】
【氏名】コタンコ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】タオ、シャー
(72)【発明者】
【氏名】テイセン、スティーブン
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0009810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045455(US,A1)
【文献】特表2012-532669(JP,A)
【文献】Salim Mujais et al.,Profiling of peritoneal ultrafiltration,Kidney International,Elsevier,2002年,Vol.62, Supplement 81,pp.S17-S22,https://doi.org/10.1046/j.1523-1755.62.s81.4.x,ISSN 0085-2538
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析患者の腹膜輸送状態を決定するための装置の作動方法であって、
前記装置が、前記透析患者のある量の腹膜透析(PD排液の質量分析により患者情報を生成するように作動することと、
前記装置が、既知の腹膜輸送状態の分類を有するプロファイルを備えるプロファイルライブラリの少なくとも1つの既知の質量分析プロファイルと前記患者情報が一致することに基づいて患者プロファイル情報を決定するように作動することと、
を備え、前記患者プロファイル情報は、前記患者についての腹膜輸送状態の分類を備え、前記腹膜輸送状態の分類は、溶質輸送速度に基づく腹膜機能を示す、
作動方法。
【請求項2】
前記質量分析は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)または質量分析(MS)のうちの1つを備える、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記ある量は、約1ミリリットル(ml)以下を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項4】
前記ある量は、約0.005mlを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項5】
前記腹膜輸送状態の分類は、前記溶質輸送速度に基づく高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータの分類を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項6】
前記装置が、前記腹膜輸送状態の分類に基づいて透析処方を決定するように作動することをさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項7】
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合された論理と、
を備え、前記論理は、
患者のある量の腹膜透析(PD)排液の質量分析により生成された患者情報を受信することと、
既知の腹膜輸送状態の分類を有するプロファイルを備えるプロファイルライブラリの少なくとも1つの既知の質量分析プロファイルと前記患者情報が一致することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、
を行い、前記患者プロファイル情報は、前記患者についての腹膜輸送状態の分類を備え、前記腹膜輸送状態の分類は、溶質輸送速度に基づく腹膜機能を示す、装置。
【請求項8】
前記質量分析は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)または質量分析(MS)のうちの1つを備える、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記ある量は、約1ミリリットル(ml)以下を備える、請求項7または8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ある量は、約0.005mlを備える、請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記腹膜輸送状態の分類は、前記溶質輸送速度に基づく高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータの分類を備える、請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プロファイルライブラリは、少なくとも1つの分子フィンガープリントを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プロファイルライブラリは、少なくとも1つの分子フィンガープリントを備える、請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記患者についての腹膜輸送状態の分類を備える前記患者プロファイル情報を決定することは、これまでに未知のまたはカテゴリ化されていない分子を有する前記プロファイルライブラリの少なくとも1つの既知の質量分析プロファイルを用いる非ターゲットアプローチを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者についての腹膜輸送状態の分類を備える前記患者プロファイル情報を決定することは、これまでに未知のまたはカテゴリ化されていない分子を有する前記プロファイルライブラリの少なくとも1つの既知の質量分析プロファイルを用いる非ターゲットアプローチを備える、請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記プロファイルライブラリは、未知のまたはカテゴリ化されていない分子を備える少なくとも1つの既知の質量分析プロファイルを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プロファイルライブラリは、未知のまたはカテゴリ化されていない分子を備える少なくとも1つの既知の質量分析プロファイルを備える、請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本出願は、2020年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/967,743号の米国特許法第119条(e)の優先権の利益を主張するものであり、該出願は、本明細書に完全に記載のものとしてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本開示は、概して、透析患者の身体的特性を決定することに関し、より具体的には、患者の健康状態および/または患者についての腹膜透析(PD)患者の成功を示す患者透析プロファイル情報を決定するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 腹膜透析(PD)における患者治療の成功は、腹膜の機能的および形態学的完全性に依存する。長期PDは、腹膜の機能不全に加えて、血管新生、血管症、および線維症などの腹膜組織における解剖学的変化を引き起こし、時には腹膜硬化症の原因となる場合がある。したがって、典型的には、腹膜輸送状態(peritoneal transport status)(すなわち、様々な溶質についての腹膜を介した輸送)を含む様々な患者特性が、PD処置の経過中にモニタリングされる。しかしながら、腹膜輸送状態(および/または他の患者特性)を決定するための従来の方法は、労働集約的で時間がかかるものであり、定期的なPD処置の他に患者の追加のクリニック来院を必要とする。したがって、PD患者および医療提供者は、従来の方法の欠点のない、PD処置に影響を及ぼし得る患者特性を効率的かつ効果的に決定することが可能なプロセスから恩恵を受けるはずである。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明される概念の選択を簡易化した形式で紹介するために提供される。本概要は、請求項記載の主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを必ずしも意図するものではなく、また請求項記載の主題の範囲の決定の助けになることを意図するものでもない。
【0005】
[0005] 本開示は、概して、患者の腹膜輸送特性を決定するために腹膜透析(PD)排液フィンガープリントを使用して評価され得る患者情報を生成するために、少量のPD排液を質量分析することに基づいて患者の腹膜輸送状態を決定するための方法、装置、およびシステムに関する。他の実施形態が説明される。
【0006】
[0006] 1つの実施形態では、透析患者の輸送状態を決定する方法は、透析患者のある量の腹膜透析(PD)排液を得ることと、該ある量のPD排液の質量分析により患者情報を生成することと、プロファイルライブラリを用いて患者情報を評価することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、を含み得、患者プロファイル情報は、腹膜輸送状態の分類を備える。
【0007】
[0007] 1つの実施形態では、透析患者のための透析を行う方法は、腹膜輸送状態に基づいて患者に腹膜透析(PD)プロセスを行うことを含み得、腹膜輸送状態は、透析患者のある量の腹膜透析(PD)排液を得ることと、該ある量のPD排液の質量分析により患者情報を生成することと、プロファイルライブラリを用いて患者情報を評価することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、により決定され、患者プロファイル情報は、腹膜輸送状態の分類を備える。
【0008】
[0008] 1つの実施形態では、装置は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリに結合された論理と、を含み得、論理は、患者のある量の腹膜透析(PD)排液の質量分析により生成された患者情報を受信することと、プロファイルライブラリを用いて患者情報を評価することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、を行い、患者プロファイル情報は、腹膜輸送状態の分類を備える。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、質量分析は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)または質量分析(MS)のうちの1つを備える。様々な実施形態において、該ある量は、患者の日常の透析中に得られる。様々な実施形態において、該ある量は、約1ミリリットル(ml)以下を備える。いくつかの実施形態では、腹膜輸送状態の分類は、溶質輸送特性に基づく高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータの分類を備える。様々な実施形態において、透析処方は、腹膜輸送状態の分類に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、透析処置は、腹膜輸送状態の分類に基づいて患者に対して行われ得る。
【0010】
[0010] 次に、例として、開示される機械の特定の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011] いくつかの実施形態による例示的な第1の動作環境を例示する。
図2】[0012] いくつかの実施形態による腹膜透析(PD)プロファイルプロセスを例示する。
図3】[0013] いくつかの実施形態によるPDプロファイルを例示する。
図4】[0014] いくつかの実施形態によるPDプロファイルを例示する。
図5A】[0015] いくつかの実施形態による、PDプロファイルプロセスへのターゲットを絞ったアプローチおよびターゲットを絞らないアプローチを例示する。
図5B】[0016] いくつかの実施形態によるPDプロファイルプロセスの例示的な質量分析結果を例示する。
図6A】[0017] いくつかの実施形態による例示的なPDシステムを例示する。
図6B】いくつかの実施形態による例示的なPDシステムを例示する。
図7】[0018] 本開示によるコンピューティングアーキテクチャの一実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019] 次に、いくつかの例示的な実施形態が示される添付図面を参照して、以下に本実施形態についてより十分に説明する。しかしながら、本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとみなすべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなるように提供され、当業者に本主題の範囲を意図的に伝えるものである。図面において、同様の番号は全体を通して同様の要素を指す。
【0013】
[0020] 腹膜透析(PD)における患者治療の成功は、腹膜の機能的および形態学的完全性に依存する。長期PDは、腹膜の機能不全に加えて、血管新生、血管症、および線維症などの腹膜組織における解剖学的変化を引き起こし、時には腹膜硬化症の原因となる場合がある。膜特性は、特に非生理的透析流体の持続的な使用後に変わる。したがって、とりわけ、患者の腹膜の解剖学的構造の健康状態および/またはPD処置の有効性を保証するために、患者特性が、PD患者治療計画の持続期間にわたってモニタリングされ得る。非限定的な患者特性は、腹膜輸送状態、透析妥当性(dialysis adequacy)、膜特性、原因不明の臨床的変化、および/または限外濾過不全等を含み得る。いくつかの実施形態では、処置推奨、透析処方、および/または透析処置は、いくつかの実施形態による患者特性決定に基づいて施され得る。
【0014】
[0021] モニタリングされる主な特性は、PD患者の腹膜輸送状態を含み得る。一般に、腹膜輸送状態は、溶質が透析液と身体の血漿との間で平衡化する速度を測定することによる膜機能の分類である。例えば、透析液対血漿(D/P)比は、PD中の拡散および限外濾過の複合効果を測定する働きをし得る。溶質D/Pが低いと、所与の溶質についての腹膜を介した輸送がゆっくり起こり、透析液と血漿との間の平衡状態に徐々に達することを意味する。対照的に、溶質D/Pが高いと、膜を介した溶質の輸送が迅速に起こり、平衡状態により早く達することを意味する。D/P比は、典型的には、尿素、クレアチニン、およびナトリウムを含む様々な溶質について評価される。
【0015】
[0022] 腹膜輸送状態をモニタリングするための従来の検査は、一般に時間がかかり、患者にとって困難なものであり、完全な評価を形成するために使用され得る種々の要素(例えば、代謝産物)の分析を欠いている。例えば、標準的な腹膜平衡試験(PET)は、PDを受けている患者の腹膜輸送状態を評価するために30年以上前に開発された4時間の検査である。標準的なPETは、特定の時間間隔での約10mlの腹膜排液サンプルおよび中間点血液サンプルの収集を必要とする。溶質輸送速度は、腹膜毛細血管血液と透析液との間のそれらの平衡速度によって評価される。すべての溶質のプロキシ(proxy)として、尿素、クレアチニン、グルコース、および時にはナトリウムが、異なる分析試験を使用して、収集されたサンプル中で測定される。次いで、患者は、それらの溶質輸送特性に基づいて、高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータとしてカテゴリ化される。
【0016】
[0023] PETは、非常に労働集約的であり、標準的なPETを完了するのに患者がクリニックで費やす時間が長く、多くの検査室サンプリングが必要となるので、臨床的変化に応じたフォローアップのためにミニPETが開発された。しかしながら、この修正バージョンのPETは、標準的なPETと比較すると不一致を示した。標準的なPETおよびミニPETの両方について、サンプリング、データ入力、計算、および検査室測定に起因する誤差が起こりうる。別の欠点は、特定の化合物についての検査室測定が、補正または他の方法で管理される必要がある患者の状態によって影響を受ける場合があることである。例えば、クレアチニンは、グルコース濃度が高いことに起因して不正確である場合があり、真のクレアチニン量を計算するために補正係数が必要となる。
【0017】
[0024] したがって、いくつかの実施形態は、PETなどの従来の方法よりも効率的かつ効果的な方法で、腹膜輸送状態を含み得る患者プロファイルを決定するように動作する透析プロファイルプロセスを提供し得る。いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、従来のシステムよりも、コンピューティング技術を含む技術に対する複数の技術的利点および改善を提供し得る。非限定的な技術的利点においては、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、透析妥当性、膜特性、原因不明の臨床的変化、および/または限外濾過不全等を評価するための、より実用的で個人化されたツールを提供し得る。非限定的な技術的利点においては、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、定期検査および/または同様のことのためにクリニックにいる間に患者から収集されるPD排液を使用でき、したがって、PETで必要とされるような追加の来院が必要ない。さらに、患者および医療チームは、4時間のプロトコルを受ける必要がない。代わりに、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、スケジュールされた毎月または年4回の来院時に定期的に収集され得るPD排液を使用し得る。いくつかの実施形態では、これらに限定されないが、尿素、クレアチニン、およびグルコースを含む、無数の分子(すなわち、何百以上もの分子)が、液体クロマトグラフィー(LC)質量分析(MS)などの質量分析を使用して、1ml未満のPD排液中で分析され得る。いくつかの実施形態では、透析プロファイルプロセスは、患者を、例えば、その分子フィンガープリントに基づいて、高トランスポータ、高平均トランスポータ、平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータとしてカテゴリ化し得る(例えば、図3および図4参照)。様々な実施形態において、非ターゲットおよびターゲットLC-MS、MS、および/または同様のアプローチが、患者をカテゴリ化するために使用され得る(例えば、図5Aおよび図5B参照)。様々な実施形態において、透析プロファイルプロセスは、腹膜透析のための個人化されたメタボロミクスベースの輸送検査を提供し得る。
【0018】
[0025] したがって、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、輸送状態を決定するためにクリニックに追加で来院する回数を減らし、PDの健康状態および有効性にとって重要な身体的特性の正確な測定を提供することによって、患者に対する治療の影響および介入を最小限に抑えることができる。加えて、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、従来の方法のように警告サインが存在するときだけではなく、定期的かつ日常的に患者輸送状態をモニタリングすることを可能にし得る。結果として、疾患維持および介入が減少することにより、透析患者の死亡の第2の主要原因である感染および他の合併症のリスクが低下し得る。したがって、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、PD患者のクオリティオブライフを向上させるように動作し得る。他の技術的利点が説明される。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0019】
[0026] さらに、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスは、複数の実用的な用途に統合され得る。1つの非限定的な実用的な用途では、透析プロファイルプロセスは、腹膜透析のための個人化されたメタボロミクスベースの輸送検査を提供することと統合され得る。1つの非限定的な実用的な用途では、透析プロファイルプロセスは、処置推奨、透析処方の提供と統合され得、および/または透析処置は、いくつかの実施形態による患者特性決定に基づいて施され得る。他の実用的な用途が説明される。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0020】
[0027] 以下の表1は、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスの、PET試験に対する利点を提供する。
【表1】
【0021】
[0028] 図1は、いくつかの実施形態を表し得る動作環境100の一例を例示する。図1に示すように、動作環境は、コンピューティングデバイス110を含み得る。様々な実施形態において、コンピューティングデバイス110に関して説明される機能、動作、構成、データ記憶機能、アプリケーション、論理、および/または同様のものは、例えば、ネットワーク150(すなわち、ネットワークノード152a~n)を介してコンピューティングデバイス110に結合された1つまたは複数の他のコンピューティングデバイス(図示せず)によって実行され、および/またはそれらに記憶され得る。単一のコンピューティングデバイス110が、図を簡易化するためだけに例示目的で示されている。例えば、動作環境100は、本明細書に記載の実施形態の態様を実行するように独立してまたは組み合わせて構成された複数のコンピューティングデバイス110を含み得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0022】
[0029] コンピューティングデバイス110は、トランシーバ170、ディスプレイ172、入力デバイス174、および/またはメモリユニット130に通信可能に結合され得るプロセッサ回路120を含み得る。プロセッサ回路120は、いくつかの実施形態によるプロセスを実行するための様々な論理であり得、それらを含み得、および/またはそれらにアクセスし得る。例えば、プロセッサ回路120は、透析プロファイル論理122を含み得、および/またはそれにアクセスし得る。処理回路120および/または透析プロファイル論理122、および/またはそれらの一部分は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装され得る。本願で使用されるとき、「論理」、「コンポーネント」、「層」、「システム」、「回路」、「デコーダ」、「エンコーダ」、「制御ループ」、および/または「モジュール」という用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことを意図するものであり、これらの例は、例示的なコンピューティングアーキテクチャ700によって提供される。例えば、論理、回路、またはモジュールは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、ハードディスクドライブ、(光および/または磁気記憶媒体の)複数の記憶ドライブ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、コンピュータ、ハードウェア回路、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、メモリユニット、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセット、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、コンピュータコード、制御ループ、比例積分微分(PID)コントローラ、前述のうちのいずれかの組合せ、および/または同様のものであり得、および/またはそれらを含み得るが、それらに限定されない。
【0023】
[0030] 透析プロファイル論理122は、プロセッサ回路120内にあるものとして図1に示されているが、実施形態はそのように限定されない。例えば、透析プロファイル論理122および/またはその任意のコンポーネントは、ソフトウェアアプリケーション(例えば、透析プロファイルアプリケーション140)および/または同様のものとして完全に実装される、アクセラレータ、プロセッサコア、インターフェース、個々のプロセッサダイ内に位置し得る。
【0024】
[0031] メモリユニット130は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、同期DRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM(登録商標))、フラッシュメモリ、強誘電性ポリマーメモリなどのポリマーメモリ、オボニックメモリ、相変化または強誘電体メモリ、SONOS(silicon-oxide-nitride-oxide-silicon)メモリ、磁気または光カード、RAID(Redundant Array of Independent Disks)ドライブなどのデバイスのアレイ、ソリッドステートメモリデバイス(例えば、USBメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD))、および情報を記憶するのに好適な任意の他のタイプの記憶媒体など、1つまたは複数の高速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体および/またはシステムを含み得る。さらに、メモリユニット130は、内部(または外部)ハードディスクドライブ(HDD)、磁気フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)、およびリムーバブル光ディスク(例えば、CD-ROMまたはDVD)に対して読み書きするための光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、および/または同様のものを含む、1つまたは複数の低速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0025】
[0032] メモリユニット130は、プロファイルライブラリ情報132、患者プロファイル情報134、および/または患者情報136を記憶し得る。いくつかの実施形態では、プロファイルライブラリ情報132は、個々の患者プロファイルを決定するためのベースラインとして使用される情報(または「フィンガープリント」)を含み得る(例えば、図2および図3参照)。様々な実施形態において、患者プロファイルは、腹膜輸送状態、透析妥当性、膜特性、原因不明の臨床的変化、限外濾過不全情報、および/またはそれの分類を含み得る。例えば、患者プロファイルは、腹膜輸送状態の分類、例えば、高トランスポータ、高平均トランスポータ、平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータというカテゴリを含み得る。実施形態はこれらのカテゴリに限定されず、患者プロファイルおよび/または腹膜輸送状態は、数値カテゴリ、グレード付け(すなわち、A~F)、および/または記号等などの様々な方式を使用してカテゴリ化され得る。いくつかの実施形態では、患者プロファイルおよびそれに関連付けられた情報(すなわち、腹膜輸送状態)は、患者プロファイル情報134として記憶され得る。
【0026】
[0033] 様々な実施形態において、プロファイルライブラリ情報132は、既知の患者プロファイルを有する患者の質量分析情報を含み得る。例えば、プロファイルライブラリ情報132は、既知の腹膜輸送状態を有する患者の代謝産物のMSデータを含み得る。様々な実施形態において、プロファイルライブラリ情報132は、患者の母集団から生成されたフィンガープリントおよび/またはライブラリ等を含み得、それにより、例えば、患者プロファイルを決定するために、患者情報が、同じまたは類似の患者の母集団(すなわち、年齢、性別、および/または疾患進行等に基づく)と比較され得る。
【0027】
[0034] いくつかの実施形態では、患者情報136は、例えば血液またはPD排液などの患者サンプルの分析により患者についての得られた情報を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、患者情報は、ある量のPD排液のLC-MSおよび/またはMS分析の結果得られるMSデータを含み得る。LC-MSおよびMSが例として使用されるが、実施形態はそのように限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、患者情報136および/またはプロファイルライブラリ情報132は、これらに限定されないが、液体クロマトグラフィー(LC)システム、ガスクロマトグラフィー(GC)システム、質量分析器システム、質量分析計(MS)システム、イオンモビリティ質量分析計(IMS)システム、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC(登録商標))システム、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)システム、またはそれらの任意の組合せを含む、様々な分析機器システムを介して生成され得る。
【0028】
[0035] いくつかの実施形態では、患者情報136を生成するために必要なPD排液の量は、約1ミリリットル(ml)以下であり得る。様々な実施形態において、PD排液の量は、約0.001ml、約0.005ml、約0.01ml、約0.05ml、約0.1ml、約0.2ml、約0.3ml、約0.4ml、約0.5ml、約1.0ml、約1.5ml、および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の任意の値もしくは範囲(終点を含む)であり得る。
【0029】
[0036] 例示的な実施形態では、プロファイルライブラリ情報132、患者プロファイル情報134、および/または患者情報は、データストア154a~nなどのリモートデータソースから、および/またはネットワークノード152a~nを介して得られ得る。
【0030】
[0037] いくつかの実施形態では、透析プロファイル論理122は、例えば、単独でまたは透析プロファイルアプリケーション140を介して、患者情報136およびプロファイルライブラリ情報132に基づいて患者についての患者プロファイルを決定し得る。例えば、透析プロファイル論理122は、患者からのある量のPD排液のMS分析結果の形態で患者情報136を受信し得る。透析プロファイル論理122は、MS分析結果を対応するプロファイルライブラリ情報132(例えば、図2図4参照)と比較して、一致するプロファイルを決定し得る。例えば、患者AについてのMS分析結果は、高い腹膜輸送状態と一致し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0031】
[0038] 図2は、いくつかの実施形態を表し得る動作環境200の一例を例示する。図2に示すように、動作環境200は、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセス205のプロセス図を示す。
【0032】
[0039] ブロック210において、透析プロファイルプロセス205は、患者サンプルを得ることを含み得る。いくつかの実施形態では、患者サンプルは、PD排液を含み得る。例えば、透析プロファイルプロセスは、定期検査のためにクリニックに来た患者から収集された1ml未満のPD排液を使用し得る(すなわち、従来の方法と比較して、追加の来院をスケジュールする必要がない)。ブロック212において、LC-MSおよび/またはMSなどの分析法を使用して、尿素、クレアチニン、およびグルコースを含む、無数の分子が、1ml未満のPD排液中で分析され得る。ブロック214において、結果(すなわち、ブロック212からの結果)の分析が行われ得る。例えば、透析プロファイルプロセス205は、分子署名および/または同様のものの高度データ分析により患者特性をモニタリングすることを含み得る。
【0033】
[0040] 図3は、いくつかの実施形態によるPDプロファイルを例示する。図3に示すように、PDプロファイル305(例えば、プロファイルライブラリまたはプロファイルライブラリの一部分)は、LC-MSを使用して、標準的なPETの0時間、1時間、2時間、3時間、および4時間の時点で少量のPD排液(0.005ml)を分析することにより生成され得る。何百もの分子が異なる存在量で検出された。これらの分子フィンガープリントは、いくつかの実施形態による透析プロファイルプロセスにより、PD患者の患者プロファイル(例えば、腹膜輸送状態、透析妥当性、および/または膜特性等)をカテゴリ化するために使用され得る。
【0034】
[0041] 図4は、いくつかの実施形態によるPDプロファイルを例示する。図4に示すように、PDプロファイル405は、例えば、プロファイルライブラリまたはプロファイルライブラリの一部分を含み得る。いくつかの実施形態では、メタボロミクスを使用して、経時的にPD排液を特徴付け、個々の時間的変化を輸送状態と関連付けて、それにより透析処方または他の介入の調整をトリガし得る。例えば、いくつかの実施形態による透析プロファイリングプロセスは、例えば、未知のおよび/またはこれまでにカテゴリ化されていない代謝産物を含む代謝産物を検出するように動作する分子フィンガープリンティングプラットフォームを提供し得る。
【0035】
[0042] 図4の例では、定期的に収集された7つのPD排液サンプルを分析し、そのうちの5つのPDサンプルは、既知のトランスポータタイプ「fast」または「slow」を有していた(425)。例えば、定期来院から得た少量のPD排液(0.005ml)を、LC-MSを使用して分析した。図4に示すように、何百もの分子が異なる存在量で検出された。未知の2つのサンプルが、既知の代謝フィンガープリント(metabolic fingerprint)を用いた分析に基づいて「fast」または「slow」カテゴリのいずれかに割り当てられた(430)。既知の代謝フィンガープリントを用いた未知のサンプルの分析の非限定的な例には、階層的クラスタリングが含まれ得る。例えば、430において、階層的クラスタ分析は、分子フィンガープリントと腹膜輸送状態との差異を描写し得る。
【0036】
[0043] 図5Aおよび図5Bは、いくつかの実施形態による透析プロファイリングプロセスのためのアプローチを示す。従来は、仮説駆動型アプローチが使用されて、尿素、クレアチニン、およびグルコースなどの既知の溶質をターゲットとして輸送状態をカテゴリ化してきた。ターゲットを絞らないアプローチでは、PD排液中にある以前は未知であったものを含む、すべての分子が、透析妥当性および/または輸送特性等などの患者プロファイル情報を生成および/または評価するために使用され得る。
【0037】
[0044] いくつかの実施形態では、透析プロファイルプロセスは、これらに限定されないが、人工知能(AI)プロセスおよび/またはニューラルネットワーク(NN)等を含む機械学習(ML)技法と組み合わされ得る。例えば、透析プロファイルプロセス、患者情報、プロファイル情報、ライブラリ情報、および/またはフィンガープリント等が、患者プロファイル(例えば、腹膜輸送状態および/またはその分類)を分析する、予測する、またはその他の方法でするため、および/または患者プロファイルに基づいて、推奨される処置または他の行動方針を決定するために、ML/AI用途で使用され得る。様々な実施形態において、ライブラリ情報は、患者プロファイル計算モデル(例えば、MLプロセス、AIプロセス、ニューラルネットワーク(NN)、および/または畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等)であり得、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、ML/AIプロセスは、特定の分子パターンを腹膜輸送状態と相関させ得る。
【0038】
[0045] 例えば、いくつかの実施形態では、既知の入力および既知の出力を用いて過去の例を調査することによって予測モデルの最適パラメータを学習するために、ML/AIアルゴリズムおよび/またはプロセス等が使用され得る。訓練後、初めて見る入力に対する予測を行うために予測モデルを使用することができる(すなわち、一般化)。例えば、透析プロファイルプロセスは、別個のクラス(例えば、PD患者のトランスポータタイプ)のセットに出力が属する分類教師あり学習問題を伴い得る。いくつかの実施形態による予測モデルを構築するためのMLアルゴリズムの非限定的なタイプには、これらに限定されないが、ロジスティック回帰、ツリーベースの方法、ランダムフォレスト方法、勾配ブースティング方法、入力のシーケンスを処理する再帰型ニューラルネットワーク(RNN)などの深層学習(DL)アルゴリズム、および/または同様のものが含まれ得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0039】
[0046] 図6A図6Bは、本明細書で説明されるシステムの例示的な実施形態にしたがって構成された腹膜透析(PD)システム601の一例を示す。いくつかの実装形態では、PDシステム601は、家庭用PDシステム、例えば、患者の自宅で使用するように構成されたPDシステムであり得る。透析システム601は、透析機械600(例えば、PDサイクラーとも呼ばれる腹膜透析機械600)を含み得、いくつかの実施形態では、機械は、カート634上に据えられ得る。
【0040】
[0047] 透析機械600は、ハウジング606と、ドア608と、使い捨てカセットまたはカートリッジ615に接触するためのポンプヘッド642、644を含むカートリッジインターフェースとを含み得、カートリッジ615は、カートリッジインターフェースと閉じたドア608との間に形成された区画(例えば、空洞605)内に位置する。流体ライン625は、コネクタを介するなど、既知の方法でカートリッジ615に結合され得、新しい透析液および加温流体を含む流体バッグへのおよび流体バッグからの流体流れを制御するための弁をさらに含み得る。別の実施形態では、流体ライン625の少なくとも一部分は、カートリッジ615と一体であり得る。動作前に、ユーザは、ドア608を開いて、新しいカートリッジ615を挿入し、動作後に使用済みカートリッジ615を取り出し得る。
【0041】
[0048] カートリッジ615は、動作のために機械600の空洞605内に入れられ得る。動作中、透析液流体が、カートリッジ615を介して患者の腹部に流入し得、使用済み透析液、老廃物、および/または余分な体液が、カートリッジ615を介して患者の腹部から取り除かれ得る。ドア608は、機械600にしっかりと閉じられ得る。患者のための腹膜透析は、合計約10~30リットルの流体の処置を含み得、約2リットルの透析液流体が患者の腹部へと圧送され、ある時間期間、例えば、約1時間保持され、次いで、患者から圧送されて排出される。これは、全処置量を達成するまで繰り返され、通常、患者の睡眠中に一晩かけて行われる。
【0042】
[0049] ヒータトレイ616が、ハウジング606の上部に位置付けされ得る。ヒータトレイ616は、バッチ加熱のために透析液のバッグ(例えば、5Lの透析液バッグ)を収容するようなサイズおよび形状であればよい。透析機械600はまた、例えば、透析処置のセットアップ、開始、および/または終了を可能にするためにユーザ(例えば、介護者または患者)によって動作可能なタッチスクリーン618および制御パネル620などのユーザインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒータトレイ616は、患者に供給するより前に透析液を加熱するための加熱要素635を含み得る。
【0043】
[0050] 透析液バッグ622は、カート634の側面のフックから吊り下げられ得、ヒータバッグ624は、ヒータトレイ616に位置付けられ得る。透析液バッグ622を吊るすと、空気含有物が重力によって透析液バッグ622の上部に向かい得るので、空気管理を改善し得る。4つの透析液バッグ622が図6Bに例示されているが、任意の数「n」個の透析液バッグが透析機械600に接続可能であり得(例えば、1~5個のバッグまたはそれ以上)、第1および第2のバッグと言及しても、透析システム601で使用されるバッグの総数を限定しない。例えば、透析機械は、システム601において接続可能な透析液バッグ622a、...622nを有し得る。いくつかの実施形態では、コネクタおよびチューブポートは、透析液バッグ622と、透析液を移送するためのラインとを接続し得る。透析液バッグ622からの透析液は、バッチでヒータバッグ624に移送され得る。例えば、透析液のバッチは、透析液バッグ622からヒータバッグ624に移送され得、そこで透析液は加熱要素635によって加熱される。透析液のバッチが所定の温度(例えば、約98°~100°F、37℃)に達したら、透析液のバッチは患者に流入し得る。透析液バッグ622およびヒータバッグ624は、それぞれ、透析液バッグラインまたはチューブ625およびヒータバッグラインまたはチューブ628を介してカートリッジ615に接続され得る。透析液バッグライン625は、使用中に透析液を透析液バッグ622からカートリッジに通すために使用され得、ヒータバッグライン628は、使用中に透析液をカートリッジおよびヒータバッグ624間で前後に通すために使用され得る。さらに、患者ライン636およびドレインライン632がカートリッジ615に接続され得る。患者ライン636は、カテーテルを介して患者の腹部に接続され得、使用中にポンプヘッド642、644によって透析液をカートリッジおよび患者の腹膜腔間で前後に通すために使用され得る。ドレインライン632は、ドレインまたはドレインレセプタクルに接続され得、使用中に透析液をカートリッジからドレインまたはドレインレセプタクルに通すために使用され得る。
【0044】
[0051] いくつかの実施形態では、透析液は上述のようにバッチ加熱され得るが、他の実施形態では、透析機械は、インライン加熱、例えば、患者への供給前に、加熱要素間に位置付けられた加温器パウチを通して透析液を連続的に流すことによって、透析液を加熱し得る。例えば、バッチ加熱のためのヒータバッグがヒータトレイ上に載せられる代わりに、1つまたは複数の加熱要素が透析機械の内部に配設され得る。加温器パウチは、開口部を介して透析機械に挿入可能であり得る。加温器パウチは、チューブ(例えば、チューブ625)または流体ラインを介して、カートリッジを介して透析機械に接続可能であり得ることも理解される。チューブは、透析液が透析液バッグから加熱のために加温器パウチを通って患者に流れることができるように接続可能であり得る。
【0045】
[0052] そのようなインライン加熱の実施形態では、加温器パウチは、透析液が(バッチ加熱のためにバッチで移送されるのではなく)加温器パウチを連続的に流れて患者に流入する前に所定の温度を達成することができるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、透析液は、約100~300mL/minの速度で加温器パウチを連続的に流れ得る。内部加熱要素(図示せず)は、開口部の上方および/または下方に位置付けられ得、それにより、加温器パウチが開口部内に挿入されたときに、1つまたは複数の加熱要素が、加温器パウチを流れる透析液の温度に影響を及ぼすことができるようになっている。いくつかの実施形態では、内部加温器パウチは、代わりに、加熱要素(単数または複数)のそばを通るか、その周囲を通るか、またはその他の方法でそれに関連して構成される、システム内のチューブの一部分であり得る。
【0046】
[0053] タッチスクリーン618および制御パネル620は、オペレータが、様々な処置パラメータを透析機械600に入力し、その他の方法で透析機械600を制御することを可能にし得る。さらに、タッチスクリーン618は、ディスプレイとしての役割をし得る。タッチスクリーン618は、患者および透析システム601のオペレータに情報を提供するように機能し得る。例えば、タッチスクリーン618は、処方に関連する情報を含む、患者に適用されることになる透析処置に関連する情報を表示し得る。
【0047】
[0054] 透析機械600は、透析機械600の内部に常駐する処理モジュール602を含み得、処理モジュール602は、タッチスクリーン618および制御パネル620と通信するように構成されている。処理モジュール602は、タッチスクリーン618、制御パネル620、およびセンサ、例えば、重量センサ、空気センサ、流量センサ、温度センサ、ならびに/もしくは圧力センサからデータを受信し、受信したデータに基づいて透析機械600を制御するように構成され得る。例えば、処理モジュール602は、透析機械600の動作パラメータを調整し得る。
【0048】
[0055] 透析機械600は、ネットワーク603に接続するように構成され得る。ネットワーク603への接続は、ワイヤードおよび/またはワイヤレス接続を介し得る。透析機械600は、ネットワーク603への接続を容易にするように構成された接続コンポーネント604を含み得る。接続コンポーネント604は、ワイヤレス接続のためのトランシーバ、および/またはワイヤード接続を介して送受信される信号を処理するための他の信号プロセッサであり得る。他の医療機器(例えば他の透析機械)またはコンポーネントが、ネットワーク603に接続するとともに透析機械600と通信するように構成され得る。
【0049】
[0056] タッチスクリーン618および/または制御パネル620などのユーザインターフェース部分は、ユーザ情報を選択および/または入力するための1つまたは複数のボタンを含み得る。タッチスクリーン618および/または制御パネル620は、コントローラ(図示せず)に動作的に接続され、透析機械600を動作させるための入力を受信および処理するために機械600内に配設され得る。
【0050】
[0057] 図7は、前述の様々な実施形態を実現するのに好適な例示的なコンピューティングアーキテクチャ700の一実施形態を例示する。様々な実施形態において、コンピューティングアーキテクチャ700は、電子デバイスを備え得、またはその一部として実現され得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングアーキテクチャ700は、例えば、コンピューティングデバイス702および/またはそのコンポーネントを表し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0051】
[0058] 本願で使用されるとき、「システム」、および「コンポーネント」、および「モジュール」という用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことを意図しており、その例は、例示的なコンピューティングアーキテクチャ700によって提供される。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、ハードディスクドライブ、(光および/または磁気記憶媒体の)複数の記憶ドライブ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータであり得るが、これらに限定されない。例として、サーバ上で実行されるアプリケーションおよびサーバの両方がコンポーネントであり得る。1つまたは複数のコンポーネントが、プロセスおよび/または実行スレッド内に常駐することができ、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局所化され、および/または2つ以上のコンピュータ間に分散し得る。さらに、コンポーネントは、動作を調節するために様々なタイプの通信媒体によって互いに通信可能に結合され得る。調節は、情報の単方向または双方向の交換を含み得る。例えば、コンポーネントは、通信媒体を介して通信される信号の形態で情報を通信し得る。情報は、様々な信号線に割り振られた信号として実現され得る。このような割振りでは、各メッセージが信号である。しかしながら、さらなる実施形態は、代替的に、データメッセージを用いてもよい。そのようなデータメッセージは、様々な接続にわたって送信され得る。例示的な接続は、パラレルインターフェース、シリアルインターフェース、およびバスインターフェースを含む。
【0052】
[0059] コンピューティングアーキテクチャ700は、1つまたは複数のプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッサ、メモリユニット、チップセット、コントローラ、周辺機器、インターフェース、発振器、タイミングデバイス、ビデオカード、オーディオカード、マルチメディア入力/出力(I/O)コンポーネント、電源等など、様々な共通のコンピューティング要素を含む。しかしながら、実施形態は、コンピューティングアーキテクチャ700による実装に限定されない。
【0053】
[0060] 図7に示すように、コンピューティングアーキテクチャ700は、処理ユニット704、システムメモリ706、およびシステムバス708を備える。処理ユニット704は、様々な市販のプロセッサの任意のものであり得、これらに限定されないが、AMD(登録商標)Athlon(登録商標)、Duron(登録商標)およびOpteron(登録商標)プロセッサ、ARM(登録商標)アプリケーション、組込み型およびセキュアプロセッサ、IBM(登録商標)およびMotorola(登録商標)DragonBall(登録商標)およびPowerPC(登録商標)プロセッサ、IBMおよびSony(登録商標)Cellプロセッサ、Intel(登録商標)Celeron(登録商標)、Core(2)Duo(登録商標)、Itanium(登録商標)、Pentium(登録商標)、Xeon(登録商標)、およびXScale(登録商標)プロセッサ、ならびに同様のプロセッサを含む。デュアルマイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、および他のマルチプロセッサアーキテクチャもまた、処理ユニット704として用いられ得る。
【0054】
[0061] システムバス708は、これに限定されないがシステムメモリ706を含むシステムコンポーネントのためのインターフェースを処理ユニット704に提供する。システムバス708は、様々な市販のバスアーキテクチャの任意のものを使用して、メモリバス(メモリコントローラの有無にかかわらず)、周辺バス、およびローカルバスにさらに相互接続し得るいくつかのタイプのバス構造のいずれかであり得る。インターフェースアダプタが、スロットアーキテクチャを介してシステムバス708に接続し得る。例示的なスロットアーキテクチャは、限定ではなく、AGP(Accelerated Graphics Port)、Card Bus、(E)ISA((Extended)Industry Standard Architecture)、MCA(Micro Channel Architecture)、NuBus、PCI(X)(Peripheral Component Interconnect(Extended))、PCI Express、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)、および同様のものを含み得る。
【0055】
[0062] システムメモリ706は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、同期DRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、強誘電性ポリマーメモリなどのポリマーメモリ、オボニックメモリ、相変化または強誘電体メモリ、SONOS(silicon-oxide-nitride-oxide-silicon)メモリ、磁気または光カード、RAID(Redundant Array of Independent Disks)ドライブなどのデバイスのアレイ、ソリッドステートメモリデバイス(例えば、USBメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD))、および情報を記憶するのに好適な任意の他のタイプの記憶媒体など、1つまたは複数の高速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。図7に示す例示的な実施形態では、システムメモリ706は、不揮発性メモリ710および/または揮発性メモリ712を含み得る。BIOS(Basic Input/Output System)が不揮発性メモリ710に格納され得る。
【0056】
[0063] コンピュータ702は、内部(または外部)ハードディスクドライブ(HDD)714と、リムーバブル磁気ディスク718に対して読み書きするための磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)716と、リムーバブル光ディスク722(例えば、CD-ROMまたはDVD)に対して読み書きするための光ディスクドライブ720とを含む、1つまたは複数の低速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。HDD714、FDD716、および光ディスクドライブ720は、それぞれ、HDDインターフェース724、FDDインターフェース726、および光ドライブインターフェース729によってシステムバス708に接続され得る。外部ドライブ実装のためのHDDインターフェース724は、ユニバーサルシリアルバス(USB)およびIEEE1384インターフェース技術の少なくとも一方または両方を含み得る。
【0057】
[0064] ドライブおよび関連付けられたコンピュータ可読媒体は、データ、データ構造、コンピュータ実行可能命令などの揮発性および/または不揮発性記憶を提供する。例えば、オペレーティングシステム730、1つまたは複数のアプリケーションプログラム732、他のプログラムモジュール734、およびプログラムデータ736を含む、いくつかのプログラムモジュールが、ドライブおよびメモリユニット710、712に格納され得る。1つの実施形態では、1つまたは複数のアプリケーションプログラム732、他のプログラムモジュール734、およびプログラムデータ736は、例えば、コンピューティングデバイス110の様々なアプリケーションおよび/またはコンポーネントを含み得る。
【0058】
[0065] ユーザは、1つまたは複数のワイヤ/ワイヤレス入力デバイス、例えば、キーボード738、およびマウス740などのポインティングデバイスを介してコンピュータ702にコマンドおよび情報を入力することができる。他の入力デバイスは、マイクロフォン、赤外線(IR)リモートコントロール、無線周波数(RF)リモートコントロール、ゲームパッド、スタイラスペン、カードリーダ、ドングル、指紋リーダ、グローブ、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、キーボード、網膜リーダ、タッチスクリーン(例えば、容量性、抵抗性等)、トラックボール、トラックパッド、センサ、スタイラス、および同様のものを含み得る。これらおよび他の入力デバイスは、多くの場合、システムバス708に結合された入力デバイスインターフェース742を介して処理ユニット704に接続されるが、パラレルポート、IEEE994シリアルポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェースなどの他のインターフェースによって接続され得る。
【0059】
[0066] モニタ744または他のタイプのディスプレイデバイスも、ビデオアダプタ746などのインターフェースを介してシステムバス708に接続される。モニタ744は、コンピュータ702の内部または外部にあり得る。モニタ744に加えて、コンピュータは典型的には、スピーカ、プリンタなどの他の周辺出力デバイスを含む。
【0060】
[0067] コンピュータ702は、リモートコンピュータ749などの1つまたは複数のリモートコンピュータへのワイヤおよび/またはワイヤレス通信を介する論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作し得る。リモートコンピュータ749は、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサベースの娯楽機器、ピアデバイス、または他の共通ネットワークノードであり得、典型的には、コンピュータ702に関連して説明された要素の多くまたはすべてを含むが、簡潔にするために、メモリ/記憶デバイス750のみが例示されている。図示される論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)752および/またはより大きいネットワーク、例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN)754へのワイヤ/ワイヤレス接続を含む。このようなLANおよびWANネットワーキング環境は、オフィスおよび企業において一般的なものであり、イントラネットなどの企業規模のコンピュータネットワークを容易にし、それらのすべては、グローバル通信ネットワーク、例えばインターネットに接続し得る。
【0061】
[0068] LANネットワーキング環境で使用されるとき、コンピュータ702は、ワイヤおよび/またはワイヤレス通信ネットワークインターフェースまたはアダプタ756を介してLAN752に接続される。アダプタ756は、LAN752へのワイヤおよび/またはワイヤレス通信を容易にすることができ、このLANは、アダプタ756のワイヤレス機能と通信するために配設されたワイヤレスアクセスポイントも含み得る。
【0062】
[0069] WANネットワーキング環境で使用されるとき、コンピュータ702は、モデム758を含むことができ、またはWAN754上の通信サーバに接続され、またはインターネットを介するなど、WAN754を介して通信を確立するための他の手段を有する。内部または外部にあり、ワイヤおよび/またはワイヤレスデバイスであり得る、モデム759は、入力デバイスインターフェース742を介してシステムバス708に接続する。ネットワーク化された環境では、コンピュータ702に関連して図示されたプログラムモジュールまたはその一部分は、リモートメモリ/記憶デバイス750に格納されることができる。図示のネットワーク接続が例示的なものであり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用できることが理解されよう。
【0063】
[0070] コンピュータ702は、ワイヤレス通信(例えば、IEEE802.16無線変調技法)において動作的に配設されたワイヤレスデバイスなど、IEEE802規格ファミリを使用するワイヤおよびワイヤレスデバイスもしくはエンティティと通信するように動作可能である。これは、とりわけ、少なくともWi-Fi(すなわちワイヤレスフィデリティ)、WiMax、およびBluetooth(登録商標)ワイヤレス技術を含む。したがって、通信は、従来のネットワークと同様に事前定義された構造であり得、または単に少なくとも2つのデバイス間のアドホック通信であり得る。Wi-Fiネットワークは、IEEE802.11x(a、b、g、n等)と呼ばれる無線技術を使用して、セキュアで信頼性の高い高速ワイヤレス接続を提供する。コンピュータを互いに、インターネットに、およびワイヤネットワーク(IEEE802.3関連の媒体および機能を使用する)に接続するために、Wi-Fiネットワークが使用され得る。
【0064】
[0071] 実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細を本明細書に記載した。しかしながら、実施形態をこれらの特定の詳細なしに実施できることは、当業者によって理解されよう。他の事例では、実施形態を不明瞭にしないように、周知の動作、コンポーネント、および回路については詳述していない。本明細書に開示の特定の構造的および機能的詳細は、代表的なものであり得、必ずしも実施形態の範囲を限定するわけではないことが理解されよう。
【0065】
[0072] いくつかの実施形態について、「結合された」および「接続された」という表現をそれらの派生語とともに使用して説明する場合がある。これらの用語は、互いの同義語として意図されるものではない。例えば、いくつかの実施形態については、2つ以上の要素が互いに物理的または電気的に直接接触していることを示すために、「接続された」および/または「結合された」という用語を使用して説明する場合がある。しかしながら、「結合された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働または相互作用することも意味し得る。
【0066】
[0073] 別段明記していない限り、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、または同様のことなどの用語は、コンピューティングシステムのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量(例えば、電子)として表されるデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、または他のかかる情報の記憶、送信、もしくは表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに操作および/または変換する、コンピュータもしくはコンピューティングシステム、または同様の電子コンピューティングデバイスの動作および/またはプロセスを指すことを理解されたい。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0067】
[0074] 本明細書に記載の方法を、説明した順序または任意の特定の順序で実行する必要はないことに留意されたい。さらに、本明細書で特定された方法に関して説明された様々な動作は、直列または並列に実行することができる。
【0068】
[0075] 本明細書で特定の実施形態について例示および説明してきたが、同じ目的を達成するように計算された任意の配置構成が、示された特定の実施形態の代用となり得ることを理解されたい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適応例または変形例を網羅することを意図している。以上の説明は例示的になされたものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記実施形態の組合せおよび本明細書に具体的に説明されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。したがって、様々な実施形態の範囲は、上記の組成物、構造、および方法が使用される任意の他の用途を含む。
【0069】
[0076] 本主題は、構造的特徴および/または方法的動作に固有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される主題が、必ずしも上述の特定の特徴または動作に限定されるわけではないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示される。
【0070】
[0077] 本明細書で使用されるとき、単数形で記載され、語「a」または「an」で始まる要素または動作は、除外が明記されていない限り、複数形の要素または動作を除外しないものとして理解されたい。さらに、本開示の「1つの実施形態」に対する参照は、記載された特徴を組み込むさらなる実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0071】
[0078] 本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載のものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および修正形態が、前述の説明および添付図面から当業者には明らかとなる。よって、かかる他の実施形態および修正形態は、本開示の範囲内に入ることを意図している。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境での特定の実施のコンテキストで本明細書に記載されているが、当業者であれば、その有用性がそれに限定されるものではなく、本開示が、任意の数の目的のための任意の数の環境で有利に実施され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載の特許請求の範囲は、本明細書に記載の本開示の十分な範囲および趣旨の観点から解釈するべきである。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
透析患者の輸送状態を決定する方法であって、
前記透析患者のある量の腹膜透析(PD)排液を得ることと、
前記ある量のPD排液の質量分析により患者情報を生成することと、
プロファイルライブラリを用いて前記患者情報を評価することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、前記患者プロファイル情報は、腹膜輸送状態の分類を備える、
を備える、方法。
[C2]
前記質量分析は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)または質量分析(MS)のうちの1つを備える、C1に記載の方法。
[C3]
前記ある量は、患者の日常の透析中に得られる、C1に記載の方法。
[C4]
前記ある量は、約1ミリリットル(ml)以下を備える、C1に記載の方法。
[C5]
前記ある量は、約0.005mlを備える、C1に記載の方法。
[C6]
前記腹膜輸送状態の分類は、溶質輸送特性に基づく高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータの分類を備える、C1に記載の方法。
[C7]
前記腹膜輸送状態の分類に基づいて透析処方を決定することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C8]
前記腹膜輸送状態の分類に基づいて前記患者に透析処置を行うことをさらに備える、C1に記載の方法。
[C9]
透析患者のための透析を行う方法であって、
腹膜輸送状態に基づいて前記患者に腹膜透析(PD)プロセスを行うことを備え、前記腹膜輸送状態は、
前記透析患者のある量の腹膜透析(PD)排液を得ることと、
前記ある量のPD排液の質量分析により患者情報を生成することと、
プロファイルライブラリを用いて前記患者情報を評価することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、
により決定され、前記患者プロファイル情報は、腹膜輸送状態の分類を備える、方法。
[C10]
前記質量分析は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)または質量分析(MS)のうちの1つを備える、C9に記載の方法。
[C11]
前記ある量は、患者の日常の透析中に得られる、C9に記載の方法。
[C12]
前記ある量は、約1ミリリットル(ml)以下を備える、C9に記載の方法。
[C13]
前記ある量は、約0.005mlを備える、C9に記載の方法。
[C14]
前記腹膜輸送状態の分類は、溶質輸送特性に基づく高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータの分類を備える、C9に記載の方法。
[C15]
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合された論理と、
を備え、前記論理は、
患者のある量の腹膜透析(PD)排液の質量分析により生成された患者情報を受信することと、
プロファイルライブラリを用いて前記患者情報を評価することに基づいて患者プロファイル情報を決定することと、
を行い、前記患者プロファイル情報は、腹膜輸送状態の分類を備える、装置。
[C16]
前記質量分析は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)または質量分析(MS)のうちの1つを備える、C15に記載の装置。
[C17]
前記ある量は、患者の日常の透析中に得られる、C15に記載の装置。
[C18]
前記ある量は、約1ミリリットル(ml)以下を備える、C15に記載の装置。
[C19]
前記ある量は、約0.005mlを備える、C15に記載の装置。
[C20]
前記腹膜輸送状態の分類は、溶質輸送特性に基づく高トランスポータ、高平均トランスポータ、低平均トランスポータ、または低トランスポータの分類を備える、C15に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7