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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240415BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20240415BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240415BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
C09J11/06
C09J11/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022558792
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2020040992
(87)【国際公開番号】W WO2022091395
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000145079
【氏名又は名称】株式会社寺岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100182419
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直行
(72)【発明者】
【氏名】土屋 靖史
(72)【発明者】
【氏名】三幣 美帆
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-212526(JP,A)
【文献】特開平11-246828(JP,A)
【文献】特開2017-206586(JP,A)
【文献】特開2016-35007(JP,A)
【文献】特開2001-172580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/38
C09J 133/04
C09J 11/06
C09J 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー組成として、
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを15質量部以上、45質量部以下、
カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマーを5質量部以上、30質量部以下、
下記式1によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを3質量部以上、25質量部以下、
下記式2によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを25質量部以上、60質量部以下、および、
水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーまたはアミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーを0.05質量部以上、7質量部以下(以上の各モノマーの合計を100質量部とする)含むアクリル系共重合体であって、
2官能以上のイソシアネート基含有化合物および2官能以上のグリシジル基含有化合物の一方または両方を架橋剤として用いることにより架橋構造が形成され、かつ、
重量平均分子量が15万以上、50万以下である前記アクリル系共重合体を含有する粘着剤組成物が粘着剤として使用された、粘着テープ。
【化1】
(式1中、RはCH=CH-またはCH=C(CH)-をあらわし、Rは炭素原子数が1~3のアルキル基、シクロヘキシル基またはイソボルニル基をあらわす。)
【化2】
(式2中、RはCH=CH-またはCH=C(CH)-をあらわし、Rは炭素原子数が4~12のアルキル基をあらわす。)
【請求項2】
前記水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルまたは(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルである、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記アミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーが、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチルまたは(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)エチルである、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤組成物が、さらに粘着付与樹脂を含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着剤組成物が、さらにシランカップリング剤を含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記粘着剤組成物が、さらに酸化防止剤を含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記粘着テープが、さらに基材を有し、前記粘着剤組成物を使用して前記基材の片面もしくは両面に粘着剤層が形成された、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記架橋剤の固形分量が、アクリル系共重合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上、5質量部以下である、請求項1に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮脂、汗、食品、化粧品などの油脂成分に対する高い耐久性、被着体に貼付する際の適度な粘着力、および、粘着テープの加工性を向上させる優れたタックを有する粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットPCに代表される小型携帯電子機器が急激に普及している。これらの多くは、表示パネルと筐体とをアクリル系の接着剤や両面粘着テープにより接合している。そして、モバイル電子機器の多くはタッチパネルを搭載しており、人の指でタッチして操作されたり、電話をかける際には人の顔に触れたりする。
【0003】
人の手や顔にタッチパネルが触れると、皮脂や指脂などの油脂がタッチパネルに付着する。この油脂にはオレイン酸などの成分が含まれており、油脂のSP値(溶解度パラメータ)は工業用有機溶剤に近いため、一般的なアクリル樹脂を溶解する。
【0004】
一般的な工業用有機溶剤は沸点が低く短時間で気化するため、接着剤や粘着剤にダメージを与えにくい。一方、オレイン酸などの油脂成分は沸点が高く、生活環境下では気化せず電子機器内に残るため、接着剤や粘着テープにダメージを与え、電子機器内の部品に浮きや剥がれを生じさせて電子機器の寿命を短くする。
【0005】
スマートフォン等の小型携帯電子機器は、手で持って使用する時間が長く、通話時には顔に触れることもある。そのため、小型携帯電子機器には、皮脂や汗、食品、化粧品などの油脂が付着しやすく、これらの油脂が接着剤や粘着テープに達すると、粘着力が低下する恐れがある、また、粘着テープの粘着剤層が油脂を原因として軟化した場合、粘着テープの側面から粘着剤がはみだして機器内部のデザインや機能が損なわれる場合がある。さらに、粘着剤層の膨潤により外部方向への圧力がかかって、電子機器の画面表示が正常に行われない場合もある。
【0006】
また、スマートフォン等の小型携帯電子機器の画面拡大に伴う内部部品の狭額縁化や薄型化、小型ウェアラブル機器の実用化に伴い、このような電子機器の内部に使用される粘着テープも細幅化・微細化されており、前記のような不具合はさらに発生し易くなっていると考えられる。
【0007】
特許文献1には、携帯電子機器の部品固定に用いる両面粘着テープであって、皮脂等の油状成分の浸透があった場合にも粘着剤が軟化・膨潤されにくく、粘着剤がはみ出さない両面粘着テープが開示されている。しかし、特許文献1の発明は、電子機器内部で発生する接着剤や粘着テープの浮きや剥がれに直結する粘着力の低下に関しては検討されていない。さらに、油脂成分の耐久性を向上させた場合、粘着テープを被着体に貼付する際の粘着力が低下し、耐久性の向上と粘着力の維持が両立しないという課題がある。
【0008】
特許文献2には、透明プラスチックフィルム基材の片面に透明導電性薄膜を有し、他の片面には機能層を有する透明導電性フィルムの前記機能層に適用される、透明導電性フィルム用粘着剤層であって、耐皮脂性、耐加湿白濁性が高く、かつ低誘電率を実現することができる透明導電性フィルム用粘着剤層が開示されている。しかし、特許文献2の発明も、電子機器内部で発生する接着剤や粘着テープの浮きや剥がれに直結する粘着力の低下に関しては検討されていない。さらに、高いガラス転移温度を有する環状窒素含有モノマーを20~50重量%を含む単官能性モノマー成分を含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを使用しているので、被着体に貼付する際の粘着力が不十分になり、しかも粘着テープのタックが低下して粘着テープを加工する際に不具合が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2009-215355号公報
【文献】特開2015-016653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、粘着剤組成物に使用するアクリル系共重合体のモノマー組成として、特定の組成(例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを比較的多量含む組成)を採用することによって、油脂成分に対する耐久性および被着体に貼付する際の粘着力が向上することを見出し、先に国際出願を行った(PCT/JP2020/009351)。
【0011】
その後、本発明者らは、タックの低下による粘着テープの加工性の低下の問題について新たに着目した。例えば、粘着テープを打ち抜き加工法等の方法で所望の形状に加工する場合、通常は、粘着テープの粘着層側をセパレータで保護した状態で加工する。しかし粘着テープのタックが低いと、打ち抜きの際の外力によってセパレータが剥がれてしまう場合がある。また、粘着テープを加工機に自動搬送する際のガイドロール部分においてセパレータが剥がれてしまう場合もある。このようなセパレータが剥がれる問題は、加工作業を著しく阻害する。したがって本発明者らは、粘着テープの加工性を向上させる為には十分なタックが必要であると考えた。
【0012】
そのため、本発明は、皮脂、汗、食品、化粧品などの油脂成分に対する高い耐久性、被着体に貼付する際の適度な粘着力、および、粘着テープの加工性を向上させる優れたタックを有する粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる粘着テープは、モノマー組成として、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを15質量部以上、45質量部以下、カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマーを5質量部以上、30質量部以下、下記式1によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを3質量部以上、25質量部以下、下記式2によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを25質量部以上、60質量部以下、および、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーまたはアミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーを0.05質量部以上、7質量部以下(以上の各モノマーの合計を100質量部とする)含むアクリル系共重合体であって、2官能以上のイソシアネート基含有化合物および2官能以上のグリシジル基含有化合物の一方または両方を架橋剤として用いることにより架橋構造が形成され、かつ、重量平均分子量が15万以上、50万以下である前記アクリル系共重合体を含有する粘着剤組成物が粘着剤として使用された、粘着テープである。
【0014】
【化1】
(式1中、RはCH=CH-またはCH=C(CH)-をあらわし、Rは炭素原子数が1~3のアルキル基、シクロヘキシル基またはイソボルニル基をあらわす。)
【0015】
【化2】
(式2中、RはCH=CH-またはCH=C(CH)-をあらわし、Rは炭素原子数が4~12のアルキル基をあらわす。)
【0016】
本発明にかかる粘着テープは、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルまたは(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルを使用することが好ましい。
【0017】
本発明にかかる粘着テープは、アミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチルまたは(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)エチルを使用することが好ましい。
【0018】
本発明にかかる粘着テープは、粘着剤組成物が、さらに粘着付与樹脂を含むことができる。
【0019】
本発明にかかる粘着テープは、粘着剤組成物が、さらにシランカップリング剤を含むことができる。
【0020】
本発明にかかる粘着テープは、粘着剤組成物が、さらに酸化防止剤を含むことができる。
【0021】
本発明にかかる粘着テープは、さらに基材を有し、粘着剤組成物を使用して前記基材の片面もしくは両面に粘着剤層が形成されることができる。
【0022】
本発明にかかる粘着テープは、架橋剤の固形分量が、アクリル系共重合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる粘着テープは、皮脂、汗、食品、化粧品などの油脂成分に対して高い耐久性を有し、具体的には油脂成分が付着した場合にも一定の粘着力を維持することが可能な耐油性を有する。また、本発明にかかる粘着テープは、被着体に貼付する際に適度な粘着力を有し、しかも油脂成分が付着した場合の粘着力維持性能が優れている。さらに、本発明にかかる粘着テープは、粘着テープの加工性を向上させることが可能な優れたタックを有する。したがって、本発明にかかる粘着テープは、例えば、スマートフォン等の小型携帯電子機器の表示パネルと筐体との接合や、筐体内部の部品固定等の用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<アクリル系共重合体>
本発明にかかるアクリル系共重合体は、モノマー組成として、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマー、前記式1によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、前記式2によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーまたはアミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーを含有し、2官能以上のイソシアネート基含有化合物または2官能以上のグリシジル基含有化合物を架橋剤に用いることにより架橋構造が形成され、かつ、重量平均分子量が15万以上、50万以下である。
【0025】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの種類は特に限定されない。そのアルコキシアルキルエステル部分は、1つのアルコキシ単位を含む部分であっても良いし、2つ以上のアルコキシ単位を含む部分であっても良い。ただし、1つのアルコキシ単位を含む部分であることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルなどが使用できる。重合反応の安定性や入手の容易性を考慮して、(メタ)アクリル酸メトキシエチルを用いることが好ましい。
【0026】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマー、前記式1によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、前記式2によりあらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーまたはアミノ基含有(メタ)アクリレートモノマー(以下、「前記5種のモノマー」と称す)の合計100質量部に対する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量は、15質量部以上、45質量部以下である。この含有量が15質量部未満であると本発明のアクリル系共重合体中にSP値が高いモノマー単位が少なくなるため、油脂成分に対する耐久性が低下し、皮脂や汗、食品、化粧品などの油脂成分が付着した場合に粘着力が著しく低下して電子機器内部の部品固定等の用途に必要な粘着力を維持することができない。また、この含有量が45質量部を超えると粘着剤の初期粘着力が低下するため、電子機器内部の部品固定作業等の際に作業性が低下する。この含有量は、20質量部以上、40質量部以下であることがより好ましく、25質量部以上、35質量部以下であることが特に好ましい。
【0027】
カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グラタコン酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸などが使用できる。このうち、得られる粘着剤の架橋密度や入手の容易性を考慮すると、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
【0028】
前記5種のモノマーの合計100質量部に対するカルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマーの含有量は、5質量部以上、30質量部以下である。この含有量が5質量部未満であると粘着剤の架橋密度が減少し、皮脂や汗、食品、化粧品などの油脂成分により粘着剤が膨潤する。また、この含有量が30質量部を超えると粘着剤の初期粘着力が低下するため、電子機器内部の部品固定作業等の際に作業性が低下する。この含有量は、10質量部以上、27質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上、26質量部以下であることが特に好ましい。
【0029】
前記式1であらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどが使用できる。入手の容易性を考慮するとアクリル酸メチルを用いることが好ましい。
【0030】
前記5種のモノマーの合計100質量部に対する前記式1であらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、3質量部以上、25質量部以下である。この含有量が3質量部未満であると、粘着剤の耐反発性が減少して電子機器内部の部品固定等の用途に必要な粘着力を満たすことができない。また、この含有量が25質量部を超えると粘着剤の初期粘着力が低下して電子機器内部の部品固定作業等の際に作業性が低下する。この含有量は、5質量部以上、20質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上、15質量部以下であることが特に好ましい。
【0031】
前記式2であらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシルなどが使用できる。アクリル系共重合体の粘着剤としてのタックを維持するため単独重合した場合に得られる重合体のTg(ガラス転移点)が低い(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等を用いることが好ましい。
【0032】
前記5種のモノマーの合計100質量部に対する前記式2であらわされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、25質量部以上、60質量部以下である。この含有量が25質量部未満であると粘着剤の初期粘着力が低下するため、電子機器内部の部品固定作業等の際に作業性が低下する。この含有量が60質量部を超えると油脂成分に対する耐久性が低下し、皮脂や汗、食品、化粧品などの油脂成分が付着した場合に粘着力が著しく低下して電子機器内部の部品固定等の用途に必要な粘着力を維持することができない。この含有量は、30質量部以上、50質量部以下であることがより好ましく、30質量部以上、45質量部以下であることが特に好ましい。
【0033】
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどが使用できる。入手の容易性やアクリル系共重合体の粘着剤としての初期粘着力を維持するため、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルまたは(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルを用いることが好ましい。
【0034】
アミノ基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(tーブチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-アセチル-3-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(3-アミノフェニル)、(メタ)アクリル酸3-(4-アミノフェニル)などが使用できる。入手の容易性やアクリル系共重合体の粘着剤としての初期粘着力を維持するため、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチルまたは(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)エチルを用いることが好ましい。
【0035】
前記5種のモノマーの合計100質量部に対する水酸基含有(メタ)アクリルモノマーまたはアミノ基含有(メタ)アクリルモノマーの含有量は、0.05質量部以上、7質量部以下である。この含有量が0.05質量部未満であると、粘着剤の凝集力が低下してしまう。そして凝集力が低下すると、特定種類の架橋剤を多量に添加する必要が生じる場合があり、その結果としてタックが低下してしまう場合がある。また、この含有量が7質量部を超えると粘着剤の初期粘着力が低下して電子機器内部の部品固定作業等の際に作業性が低下する。この含有量は、0.1質量部以上、5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上、3質量部以下であることが特に好ましい。
【0036】
2官能以上のイソシアネート基含有化合物(以下「イソシアネート系架橋剤」とも言う。)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどが使用できる。
【0037】
2官能以上のグリシジル基含有化合物(以下「エポキシ系架橋剤」とも言う。)としては、例えば、1,3ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m-N,N-ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N-ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどが使用できる。
【0038】
架橋剤として使用する2官能以上のイソシアネート基含有化合物や2官能以上のグリシジル基含有化合物の添加量は特に限定されない。粘着剤組成物の膨潤度が、本発明にかかる粘着テープの使用環境に適したものとなるように架橋剤の添加量を調節することができる。ただし本発明においては、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーまたはアミノ基含有(メタ)アクリルモノマーを特定量で使用するので、粘着剤の凝集力が比較的高い。したがって、特定種類の架橋剤を比較的少量で添加するだけで実用的な粘着剤とすることも可能となり、その結果としてタックを高めることも可能である。アクリル系共重合体の固形分100質量部に対する架橋剤の固形分量は、0.001質量部以上、5質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上、1.2質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上、0.8質量部以下であることが特に好ましい。
【0039】
本発明にかかるアクリル系共重合体は、これらのモノマーを溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの各種重合方法により重合して生成させることができる。例えば、反応容器内で、これらのモノマーと重合開始剤を酢酸エチル等の溶剤に溶解させ、恒温下で一定時間撹拌することでアクリル系共重合体を得ることができる。
【0040】
さらに、前記のアクリル系共重合体に、架橋剤を単独または重合開始剤と共に添加して撹拌することにより、架橋構造を有するアクリル系共重合体を生成することができる。
【0041】
本発明にかかるアクリル系共重合体の重量平均分子量は、15万以上、50万以下である。この重量平均分子量が15万未満の場合は粘着剤に必要な凝集力が得られず、粘着テープを被着体に貼付した際の粘着剤のはみだしが生じる原因となる。また、この重量平均分子量が50万を超える場合は、粘着テープの被着体への追従性が低下し、電子機器内部の部品固定等に必要な粘着力が得られない。この重量平均分子量は、20万以上、45万以下であることがより好ましく、25万以上、45万以下であることが特に好ましい。
【0042】
本発明にかかるアクリル系共重合体には、必要に応じて粘着付与樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤などの任意成分を添加することができる。
【0043】
粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンエステル系樹脂(ロジンエステル、不均化ロジンエステル、水添ロジンエステル等)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール等)、石油系樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等)、ピュア・モノマー系樹脂(クマロン・インデン樹脂、スチレン樹脂等)、縮合系樹脂(フェノール系樹脂、キシレン樹脂等)などが使用できる。粘着付与樹脂を添加することにより、粘着剤の硬度が低下し、被着体への初期粘着力が向上する。
【0044】
粘着付与樹脂の添加量は特に限定されない。粘着剤組成物の粘着力や膨潤度が、本発明にかかる粘着テープの使用環境に適したものとなるように、粘着付与樹脂の添加量を調節することができる。アクリル系共重合体の固形分100質量部に対する粘着付与樹脂の添加量は、1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上、8質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上、6質量部以下であることが特に好ましい。
【0045】
シランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが使用できる。シランカップリング剤は二種類以上を併用しても良い。シランカップリング剤を用いることにより、粘着剤の耐反発性を向上させ、粘着テープの細幅化・微細加工化に伴い低下する耐湿熱荷重性を向上させることができる。
【0046】
シランカップリング剤の添加量は特に限定されない。粘着剤組成物の粘着力や膨潤度が、本発明にかかる粘着テープの使用環境に適したものとなるように、シランカップリング剤の添加量を調節することができる。アクリル系共重合体の固形分100質量部に対するシランカップリング剤の添加量は、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上、0.2質量部以下であることが特に好ましい。
【0047】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが使用できる。酸化防止剤を添加することにより、粘着剤の耐反発性を向上させ、粘着テープの細幅化・微細加工化に伴い低下する耐湿熱荷重性を向上させることができる。
【0048】
酸化防止剤の添加量は特に限定されない。粘着剤組成物の粘着力や膨潤度が、本発明にかかる粘着テープの使用環境に適したものとなるように、酸化防止剤の添加量を調節することができる。アクリル系共重合体の固形分100質量部に対する酸化防止剤の添加量は、0.01質量部以上、1質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上、0.3質量部以下であることがより好ましく、0.15質量部以上、0.25質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
<粘着テープ>
本発明にかかる粘着テープは、以上説明したアクリル系共重合体(および必要に応じて任意成分)を含有する粘着剤組成物が粘着剤として使用された粘着テープである。「粘着剤組成物が粘着剤として使用された粘着テープ」とは、例えば、その粘着剤組成物をシート状に形成した粘着テープ(いわゆる、ベースレスタイプの粘着テープ)、あるいは、その粘着剤組成物を使用して基材の片面または両面に粘着剤層を形成した粘着テープである。
【0050】
ベースレスタイプの粘着テープは、例えば、離型紙等の支持体上にアクリル系共重合体を塗布し、その後乾燥させることにより形成できる。一方、基材を有する粘着テープは、基材上にアクリル系共重合体を塗布し、その後乾燥させることにより粘着剤層を形成しても良いし、離型紙等の支持体上にアクリル系共重合体を塗布して粘着剤層を形成した後、この粘着剤層を基材の片面または両面に貼り合せても良い。ベースレスタイプの粘着テープおよび基材を有する粘着テープの粘着剤層は、単層であっても良いし、複数の層の積層された積層体からなるものであっても良い。
【0051】
基材を有する粘着テープにおける粘着剤層の厚さは、好ましくは1~200μm、より好ましくは5~100μmである。ベースレスタイプの粘着テープの厚さは、好ましくは1~200μm、より好ましくは5~100μmである。
【0052】
アクリル系共重合体を基材または離型紙等の支持体上に塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を用いれば良い。その具体例としては、ロールコーター、ダイコーター、リップコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーロールコータ等を用いた方法が挙げられる。
【0053】
粘着テープが基材を有している場合、その基材は特に限定されず、公知の基材を用いれば良い。基材の具体例としては、紙、布、不織布、ネット等の繊維系基材、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の樹脂基材(樹脂フィルムまたは樹脂シート)、ゴムシート、発泡シート(発泡基材)、金属箔、金属板が挙げられる。さらにこれらの積層体、例えば、樹脂基材と樹脂以外の基材との積層体、樹脂基材同士の積層体であっても良い。基材は単層、複層の何れでも良い。基材の粘着剤層を設ける面には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理等の各種処理が施されていても良い。基材の厚さは、好ましくは5~500μm、より好ましくは10~200μmである。
【0054】
粘着テープは、離型紙またはその他のフィルムにより保護されていても良い。離型紙またはその他のフィルムは特に限定されず、公知のものを必要に応じて使用できる。
【実施例
【0055】
以下、実施例および比較例により本発明を更に詳細に説明する。
【0056】
(重量平均分子量)
アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、アクリル系共重合体の標準ポリスチレン換算の分子量を以下の測定装置および条件にて測定した値である。
・装置:LC-2000シリーズ(日本分光株式会社製)
・カラム:Shodex KF-806M×2本、Shodex KF-802×1本
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/分
・カラム温度:40℃
・注入量:100μL
・検出器:屈折率計(RI)
【0057】
(初期粘着力)
基材Aを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、加圧貼付後20分経過後の180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0058】
基材Bを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ50μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、加圧貼付後20分経過後の180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0059】
基材Cを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に10mm幅の片面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、加圧貼付後20分経過後の180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0060】
(経時粘着力)
基材Aを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、加圧貼付後72時間経過後の180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0061】
基材Bを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ50μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ2.5往復で加圧貼付し、加圧貼付後72時間経過後の180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0062】
基材Cを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に10mm幅の片面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、加圧貼付後72時間経過後の180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0063】
(促進後粘着力:Na)
基材Aを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、温度65±5℃、湿度90±10%の雰囲気下に72時間放置した。その後、温度23±5℃、湿度50±5%の雰囲気下に2時間放置した。このサンプルの180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0064】
基材Bを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ50μmのSUSフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ2.5往復で加圧貼付し、温度23±5℃、湿度55±10%の雰囲気下に72時間放置した。そして、温度60±5℃、湿度90±10%の雰囲気下に72時間放置した。その後、温度23±5℃、湿度50±5%の雰囲気下に2時間放置した。このサンプルの180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0065】
基材Cを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に10mm幅の片面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付し、温度65±5℃、湿度90±10%の雰囲気下に72時間放置した。その後、温度23±5℃、湿度50±5%の雰囲気下に2時間放置した。このサンプルの180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0066】
(オレイン酸浸漬後粘着力:Nb)
基材Aを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付した。このサンプルをオレイン酸に浸漬し、温度65±5℃、湿度90±10%の雰囲気下に72時間放置した。その後、サンプルを容器から取り出し、純水を用いてオレイン酸を拭き取り、水滴を拭き取った後、温度23±5℃、湿度50±5%の雰囲気下に2時間放置した。このサンプルの180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0067】
基材Bを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に厚さ50μmのSUSフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を2.0kgローラ2.5往復で加圧貼付し、温度23±5℃、湿度55±10%の雰囲気下に72時間放置した。そして、このサンプルをオレイン酸に浸漬し、温度60±5℃、湿度90±10%の雰囲気下に72時間放置した。その後、サンプルを容器から取り出し、純水を用いてオレイン酸を拭き取り、水滴を拭き取った後、温度23±5℃、湿度50±5%の雰囲気下に2時間放置した。このサンプルの180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0068】
基材Cを使用した場合:280番耐水研磨紙で研磨したSUS304板に10mm幅の片面粘着テープ試料を2.0kgローラ1往復で加圧貼付した。このサンプルをオレイン酸に浸漬し、温度65±5℃、湿度90±10%の雰囲気下に72時間放置した。その後、サンプルを容器から取り出し、純水を用いてオレイン酸を拭き取り、水滴を拭き取った後、温度23±5℃、湿度50±5%の雰囲気下に2時間放置した。このサンプルの180°引きはがし粘着力(N/10mm幅)をJIS Z 0237:2000に記載の方法で測定した。
【0069】
(オレイン酸浸漬後粘着力保持率:X)
下記式により求めた。
X=100×Nb/Na
【0070】
(タック)
両面粘着テープの粘着面に親指を微小な力で押し付け、その親指を極短時間のうちに引き剥がした際のべたつきのレベルを官能的に試験し、以下の基準で「1」から「3」の3段階で評価し、「3」を合格とした。
「3」:指に食い付くべたつきがある(合格)
「2」:やや指に付くべたつきがある(不合格)
「1」:全くべたつきがない (不合格)
【0071】
[実施例1]
(アクリル系共重合体の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却機および窒素導入管を備えた反応装置に、表1に示す質量部の共重合体を構成するモノマー、溶媒である酢酸エチル、連鎖移動剤であるn-ドデカンチオール0.09質量部およびラジカル重合開始剤である2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を0.15質量部仕込み、窒素ガスを封入後、攪拌しながら窒素ガス気流下で67℃3時間反応させた。その後、さらに前記ラジカル重合開始剤を0.15質量部仕込み、82℃3時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、希釈溶剤としてイソプロパノールを添加した。これにより固形分濃度30%の共重合体を得た。実施例1で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は36万であった。
【0072】
(粘着剤の調合)
この共重合体の固形分100質量部に対して、架橋剤としてエポキシ系架橋剤(架橋剤A)(綜研化学社製、商品名E-5XM、固形分濃度5%)を0.30質量部(固形分量として0.015質量部)添加し、粘着剤を調合した。
【0073】
(両面粘着テープの製造)
両面コロナ放電処理された厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材A)の両面に別途作製した下塗剤を塗布して120℃で乾燥することで、基材Aに下塗層を形成した。続いて、調合した粘着剤をシリコーン処理された離型フィルム上に全面平滑に塗布し、100℃で加熱乾燥し、厚さ19μmの粘着剤層を形成した。そして、基材Aの両面の下塗層上に離型フィルム上の粘着剤層面を貼り合わせ、40℃で3日間養生した後、総厚50μmの両面粘着テープを得た。
【0074】
[実施例2]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを使用せず、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル0.1質量部を使用し、かつアクリル酸2-エチルヘキシルの量を39.9質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度35%の共重合体を得た。実施例2で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は25万であった。
【0075】
粘着剤の調合において、架橋剤Aの添加量を0.35質量部(固形分量として0.018質量部)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0076】
[実施例3]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルの量を1質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を39質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例3で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は24万であった。
【0077】
[実施例4]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルの量を2.5質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を37.5質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例4で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は30万であった。
【0078】
[実施例5]
粘着剤の調合において、架橋剤Aの添加量を0.25質量部(固形分量として0.013質量部)に変更したこと以外は実施例3と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0079】
[実施例6]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸メトキシエチルの量を28質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を41質量部に変更したこと以外は実施例3と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例6で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は20万であった。
【0080】
[実施例7]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸メトキシエチルの量を35質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を34.9質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例7で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は23万であった。
【0081】
[実施例8]
粘着剤の調合において、架橋剤Aの添加量を0.45質量部(固形分量として0.023質量部)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0082】
[実施例9]
粘着剤の調合において、架橋剤Aの添加量を0.55質量部(固形分量として0.028質量部)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0083】
[実施例10]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸メチルの量を5質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を44.9質量部に変更し、希釈溶剤としてイソプロパノールの代わりに酢酸エチルを添加したこと以外は実施例2と同様にして、固形分濃度35%の共重合体を得た。実施例10で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は22万であった。
【0084】
粘着剤の調合において、架橋剤をイソシアネート系架橋剤(架橋剤B)(東ソー社製、商品名L-45E、固形分濃度45%)に変更し、架橋剤の添加量を1.0質量部(固形分量として0.45質量部)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0085】
[実施例11]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸メチルの量を12質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を37.9質量部に変更したこと以外は実施例10と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例11で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は35万であった。
【0086】
[実施例12]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸の量を15質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を44.9質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例12で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は40万であった。
【0087】
[実施例13]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸の量を25質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を34.9質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例13で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は44万であった。
【0088】
[実施例14]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルの量を0.5質量部に変更し、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を39.5質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、固形分濃度35%の共重合体を得た。実施例14で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は24万であった。
【0089】
粘着剤の調合において、粘着付与樹脂として、荒川化学工業株式会社製D-6011(商品名)を4.7質量部添加したこと以外は実施例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0090】
[実施例15]
粘着剤の調合において、粘着付与樹脂を添加せず、シランカップリング剤として、信越化学工業株式会社製KBM-403(商品名)を0.12質量部添加したこと以外は実施例14と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0091】
[実施例16]
粘着剤の調合において、粘着付与樹脂を添加せず、酸化防止剤として、BASFジャパン株式会社製イルガノックス(登録商標)1010を0.23質量部添加したこと以外は実施例14と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0092】
[実施例17]
アクリル系共重合体の調整において、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルを使用せず、アクリル酸4-ヒドロキシブチル1質量部を使用したこと以外は実施例3と同様にして、両面粘着テープを作製した。実施例17で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は25万であった。
【0093】
[実施例18]
両面粘着テープの製造において、粘着付与樹脂を添加しないこと以外は実施例14と同様に調合した粘着剤をシリコーン処理された離型紙上に全面平滑に塗布し、90℃で加熱乾燥し、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。そして、両面をコロナ放電処理したポリエチレン(PE)系発泡体からなる厚さ100μmの基材(基材B)の両面に離型紙上の粘着剤を貼り合わせ、40℃で3日間養生した後、総厚150μmの両面粘着テープを得た。
【0094】
[実施例19]
両面粘着テープの製造において、基材を基材Bに変更したこと以外は実施例3と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0095】
[実施例20]
(片面粘着テープの製造)
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材C)の片面に別途作製した下塗剤を塗布して120℃で乾燥することで、基材Cに下塗層を形成した。続いて、実施例18と同様に調合した粘着剤を基材Cの下塗り層を形成した面上に全面平滑に塗布し、100℃で加熱乾燥し、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。そして、シリコーン処理された離型フィルムを粘着剤層面に貼り合わせ、40℃で3日間養生した後、総厚50μmの片面粘着テープを得た。
【0096】
[比較例1]
(アクリル系共重合体の調製)
アクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびアクリル酸メチルを使用せず、アクリル酸メトキシエチル50質量部、アクリル酸10質量部、アクリル酸2-エチルヘキシル40質量部を使用し、希釈溶剤としてイソプロパノールの代わりに酢酸エチルを添加し、かつ連鎖移動剤の量を0.03質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度30%の共重合体を得た。比較例1で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は75万であった。
【0097】
(粘着剤の調合)
この共重合体の固形分100質量部に対して、架橋剤として架橋剤Bを1.2質量部(固形分量として0.54質量部)、粘着付与樹脂として、荒川化学工業株式会社製D-6011(商品名)を4.0質量部、シランカップリング剤として、KBM-403(商品名)を0.10質量部、酸化防止剤として、BASFジャパン株式会社製イルガノックス(登録商標)1010を0.20質量部添加し、粘着剤を調合した。
【0098】
(両面粘着テープの製造)
この粘着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0099】
[比較例2]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびアクリル酸メチルを使用せず、アクリル酸メトキシエチル86質量部、アクリル酸10質量部、アクリル酸2-エチルヘキシル4質量部を使用し、連鎖移動剤の量を0.03質量部に変更し、ラジカル重合開始剤を日本油脂株式会社製パーロイルL(登録商標)に変更し、かつ希釈溶剤としてイソプロパノールの代わりに酢酸エチルを添加したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度30%の共重合体を得た。比較例2で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は105万であった。
【0100】
粘着剤の調合において、架橋剤を架橋剤B1.2質量部(固形分量として0.54質量部)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0101】
[比較例3]
アクリル系共重合体の調製において、連鎖移動剤の量を0.06質量部に変更したこと以外は比較例2と同様にして、固形分濃度30%の共重合体を得た。比較例3で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は34万であった。
【0102】
粘着剤の調合において、架橋剤Bの添加量を2.4質量部(固形分量として1.1質量部)に変更したこと以外は比較例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0103】
[比較例4]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸メトキシエチルを使用せず、アクリル酸2-(エトキシエトキシ)エチル(EOEOEA)86質量部を使用し、かつ溶媒を酢酸エチルおよびトルエンに変更したこと以外は比較例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。比較例4で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は測定不可であった。
【0104】
[比較例5]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸10質量部の代わりにアクリル酸4-ヒドロキシブチル10質量部を使用し、連鎖移動剤の量を0.06質量部に変更したこと以外は比較例2と同様にして、両面粘着テープを作製した。比較例5で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は73万であった。
【0105】
[比較例6]
アクリル系共重合体の調製において、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを使用せず、アクリル酸2-エチルヘキシルの量を40質量部に変更し、希釈溶剤としてイソプロパノールの代わりに酢酸エチルを添加したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度30%の共重合体を得た。比較例6で調製したアクリル系共重合体の重量平均分子量は42万であった。
【0106】
粘着剤の調合において、架橋剤を架橋剤B1.8質量部(固形分量として0.81質量部)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0107】
[比較例7]
粘着剤の調合において、粘着付与樹脂として、D-6011(商品名)を4.0質量部、シランカップリング剤として、KBM-403(商品名)を0.10質量部、酸化防止剤として、BASFジャパン株式会社製イルガノックス(登録商標)1010を0.20質量部添加したこと以外は比較例6と同様にして、両面粘着テープを作製した。
【0108】
[比較例8]
両面粘着テープの製造において、比較例1と同様に調合した粘着剤をシリコーン処理された離型紙上に全面平滑に塗布し、90℃で加熱乾燥し、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。そして、両面をコロナ放電処理したポリエチレン(PE)系発泡体からなる厚さ100μmの基材(基材B)の両面に離型紙上の粘着剤を貼り合わせ、40℃で3日間養生した後、総厚150μmの両面粘着テープを得た。
【0109】
[比較例9]
両面粘着テープの製造において、比較例2と同様に調合した粘着剤を使用したこと以外は比較例8と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0110】
実施例1~実施例20および比較例1~比較例9の配合、アクリル系共重合体の重量平均分子量および両面粘着テープを形成する際に用いた基材、また、それぞれの粘着テープについて測定した初期粘着力、経時粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nb、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xおよびタックを表1~3に示す。
【0111】
表1~3で用いた略称は以下の通り。
AME=アクリル酸メトキシエチル
EOEOEA=アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル
AA=アクリル酸
2-HEA=アクリル酸2-ヒドロキシエチル
2-HPA=アクリル酸2-ヒドロキシプロピル
4-HBA=アクリル酸4-ヒドロキシブチル
MA=アクリル酸メチル
2-EHA=アクリル酸2-エチルヘキシル
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
表1および2に示す通り、実施例1~19の両面粘着テープおよび実施例20の片面粘着テープは、高い初期粘着力および経時粘着力を有し、オレイン酸への浸漬後も適度な粘着力を維持し、かつ優れたタックを有していた。したがって、これらの両面粘着テープおよび片面粘着テープは、皮脂、汗、食品、化粧品などの油脂成分に対する高い耐久性、被着体に貼付する際の適度な粘着力、および、粘着テープの加工性を向上させる優れたタックを有する粘着テープであることが分かる。
【0116】
一方、表3に示す通り、比較例1~7(各粘着剤層の厚さ19μm、基材A)で使用したアクリル系共重合体のモノマー組成は、実施例1~17(各粘着剤層の厚さ19μm、基材A)で使用したアクリル系共重合体のモノマー組成とは異なり、例えば水酸基含有モノマーを含まない。その結果、比較例1~7においては架橋剤の添加量を実施例1~17よりも多くする必要があった。また、比較例1、2および5~7で使用したアクリル系共重合体の重量平均分子量は、実施例1~17で使用したアクリル系共重合体の重量平均分子量よりも大きかった。
【0117】
その結果、比較例1の両面粘着テープは、実施例1~17の両面粘着テープと比較して、初期粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nbおよびオレイン酸浸漬後粘着力保持率Xが劣っていた。比較例1のタックが実施例1~17と同じであった理由は、粘着付与樹脂を添加したためと考えられる。また、Tg(ガラス転移点)が高いAMEを多量に添加したため、初期粘着力および促進後粘着力Naが実施例1~17よりも劣っており、その結果、被着体と粘着剤層の間にオレイン酸が侵入しやすくなり、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xが著しく低下したと考えられる。
【0118】
比較例2の両面粘着テープは、実施例1~17の両面粘着テープと比較して、初期粘着力、経時粘着力、促進後粘着力Naおよびタックが劣っていた。
【0119】
比較例3は、比較例2よりもアクリル系重合体の重量平均分子量を低下させた例である。その結果、比較例3においては、比較例2よりも幾つかの項目が向上した。しかし、実施例1~17よりも初期粘着力、経時粘着力およびタックが劣っていた。
【0120】
比較例4の両面粘着テープは、実施例1~17の両面粘着テープと比較して、経時粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nb、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xが劣っていた。なお、比較例4においては、Tg(ガラス転移点)が低いEOEOEAを多量に添加したのでタックは高くなった。ただし、EOEOEAを多量に添加したのでオレイン酸との相溶性が大きくなり、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xが著しく低下したと考えられる。
【0121】
比較例5の両面粘着テープは、実施例1~17の両面粘着テープと比較して、初期粘着力、経時粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nb、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xおよびタックが劣っていた。
【0122】
比較例6の両面粘着テープは、実施例1~17の両面粘着テープと比較して、タックが劣っていた。
【0123】
比較例7の両面粘着テープは、実施例1~17の両面粘着テープと比較して、オレイン酸浸漬後粘着力Nb、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xおよびタックが劣っていた。
【0124】
比較例8および9(各粘着剤層の厚さ25μm、基材B)の両面粘着テープは、使用したアクリル系共重合体のモノマー組成が実施例18および19(各粘着剤層の厚さ25μm、基材B)で使用したアクリル系共重合体のモノマー組成とは異なり、特に水酸基含有モノマーを含まない。その結果、比較例8および9においては架橋剤の添加量を実施例18および19よりも多くする必要があった。また、比較例8および9で使用したアクリル系共重合体の重量平均分子量は、実施例18および19で使用したアクリル系共重合体の重量平均分子量よりも大きかった。
【0125】
その結果、比較例8の両面粘着テープは、実施例18および19の両面粘着テープと比較して、初期粘着力、経時粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nb、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xが劣っていた。比較例8のタックが実施例18および19と同じであった理由と、初期粘着力、経時粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nb、オレイン酸浸漬後粘着力保持率Xが実施例18および19よりも劣っていた理由は、比較例1と同様である。
【0126】
比較例9の両面粘着テープは、実施例18よび19の両面粘着テープと比較して、初期粘着力、経時粘着力、促進後粘着力Na、オレイン酸浸漬後粘着力Nbおよびタックが劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明にかかる粘着テープは、例えば、スマートフォン等の小型携帯電子機器の表示パネルと筐体との接合や、筐体内部の部品固定等の用途に好適に使用することができる。