(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240415BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240415BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240415BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20240415BHJP
H01M 50/586 20210101ALN20240415BHJP
H01M 50/593 20210101ALN20240415BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/474
H01M50/477
H01M50/531
H01M50/55 101
H01M10/052
H01M10/058
H01M50/586
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2022569327
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2020046525
(87)【国際公開番号】W WO2022130450
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋聡
(72)【発明者】
【氏名】寺口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】篠田 達也
(72)【発明者】
【氏名】根岸 信保
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/088506(WO,A1)
【文献】特開2012-54236(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038439(WO,A1)
【文献】特開2018-6119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/474
H01M 50/477
H01M 50/103
H01M 50/15
H01M 50/55
H01M 50/531
H01M 10/052
H01M 10/058
H01M 50/586
H01M 50/593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び周壁を備え、高さ方向について前記底壁が位置する側とは反対側へ開口する内部空洞が形成される外装容器と、
前記内部空洞の開口を塞ぐ状態で前記外装容器の前記周壁に取付けられる蓋部材と、
正極及び負極を備え、前記外装容器の前記内部空洞に収納される電極群と、
前記蓋部材が位置する側へ前記電極群において突出する集電タブと、
前記蓋部材の外表面において外部に露出する電極端子と、
前記内部空洞において前記電極群と前記蓋部材との間に配置され、前記集電タブと前記電極端子との間を電気的に接続するリードと、
電気的絶縁性を有する材料から一体に形成されるスペーサであって、前記リードと前記蓋部材との間で挟まれる天板部と、前記天板部から前記電極群が位置する側へ向かって延設され、前記内部空洞において外周側から前記リード及び前記集電タブを覆う周板部と、を備え、前記蓋部材が位置する側から前記周板部が前記電極群に当接するスペーサと、
を具備する、電池。
【請求項2】
前記スペーサの前記周板部に、前記周板部を貫通する貫通口が形成される、請求項1の電池。
【請求項3】
前記貫通口は、前記高さ方向に交差する奥行き方向に沿って前記周板部を貫通し、
前記貫通口は、前記奥行き方向からの投影において、前記集電タブ及び前記リードに対して重なる、
請求項2の電池。
【請求項4】
前記周板部には、前記貫通口として、第1の貫通口及び第2の貫通口が形成され、
前記第1の貫通口は、前記高さ方向に交差する奥行き方向からの投影において、前記第2の貫通口に対して重なり、
前記第1の貫通口は、前記集電タブ及び前記リードに対して、前記奥行き方向の一方側に位置し、
前記第2の貫通口は、前記奥行き方向について、前記集電タブ及び前記リードに対して、前記第1の貫通口とは反対側に位置する、
請求項2又は3の電池。
【請求項5】
電気的絶縁性を有する材料から形成され、前記周板部の前記貫通口を塞ぐ状態で前記電極群及び前記スペーサの前記周板部に取付けられる閉塞部材をさらに具備する、請求項2乃至4のいずれか1項の電池。
【請求項6】
前記スペーサは、前記高さ方向について前記底壁が位置する側へ前記周板部において突出する突起を備え、
前記高さ方向に交差する奥行き方向、及び、前記高さ方向及び前記奥行き方向の両方に交差する横方向を規定した場合に、前記スペーサの前記突起は、前記横方向の外側から前記電極群に近接する、
請求項1乃至5のいずれか1項の電池。
【請求項7】
前記突起は、前記横方向の前記外側から前記電極群と対向する対向面を備え、
前記電極群は、外表面において前記横方向の外側の端部を形成する電極群端面を備え、
前記突起の前記対向面は、前記電極群端面に沿った形状に形成される、
請求項6の電池。
【請求項8】
前記電極群では、前記高さ方向に沿う捲回軸を中心として前記正極及び前記負極が捲回され、
前記電極群の前記電極群端面は、前記高さ方向に垂直な断面が円弧状になる曲面に形成され、
前記突起の前記対向面は、前記電極群の前記電極群端面の前記曲面に沿った形状に形成される、
請求項7の電池。
【請求項9】
前記電極群は、前記内部空洞に複数配置され、
複数の前記電極群は、第1の電極群と、前記奥行き方向について前記第1の電極群に対して隣接して配置される第2の電極群とを備え、
前記スペーサの前記突起は、
前記奥行き方向について前記第1の電極群に対して前記第2の電極群とは反対側に位置し、前記横方向の外側から前記第1の電極群に近接する第1の突起と、
前記奥行き方向について前記第2の電極群に対して前記第1の電極群とは反対側に位置し、前記横方向の外側から前記第2の電極群に近接する第2の突起と、
前記奥行き方向について前記第1の電極群と前記第2の電極群との間に位置し、前記横方向の外側から前記第1の電極群及び前記第2の電極群に近接する第3の突起と、
を備える、請求項6乃至8のいずれか1項の電池。
【請求項10】
前記電極端子は、正極端子と、前記蓋部材の前記外表面において前記正極端子から離れて配置される負極端子と、を備え、
前記集電タブは、前記電極群において前記蓋部材が位置する側へ突出する正極集電タブと、前記正極集電タブから離れて設けられ、前記正極集電タブが突出する側へ前記電極群において突出する負極集電タブと、を備え
前記リードは、前記正極端子と前記正極集電タブとの間を電気的に接続する正極側リードと、前記負極端子と前記負極集電タブとの間を電気的に接続する負極側リードと、を備える、
請求項1乃至9のいずれか1項の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の電子機器の進歩にともなって、これらの電子機器に使用される二次電池等の電池は、小型化及び軽量化が求められている。小型化及び軽量化が実現され、かつ、エネルギー密度の高い二次電池として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。一方、電気自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク及びフォークリフト等の車両に搭載される大型かつ大容量の電源として、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等の二次電池が用いられる。また、近年では、車両に搭載される大型かつ大容量の電源として、エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池が、採用に向けての開発されている。車両に搭載されるリチウムイオン二次電池の開発では、電池の高寿命化の実現及び安全性の向上等を実現するとともに、電池の大型化及び大容量化を実現することが求められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池等の電池として、外装容器の内部空洞に、正極及び負極を備える電極群が収納されるものがある。このような電池では、外装容器は、底壁及び周壁を備え、外装容器の内部空洞は、高さ方向について底壁とは反対側へ開口する。そして、外装容器の周壁に蓋部材が取付けられ、内部空洞の開口は、蓋部材によって塞がれる。また、電池では、電極端子が、外部に露出する状態で、蓋部材の外表面に配置される。
【0004】
前述のように外装容器の内部空洞に電極群が収納される電池として、電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出するものがある。このような電池の内部空洞では、電池の高さ方向について電極群と蓋部材との間に、リードが配置され、リード等によって、電極端子が集電タブに電気的に接続される。そして、内部空洞では、電気的絶縁性を有するスペーサが、リード及び集電タブを外周側から覆う。電池では、スペーサによって、リード及び集電タブの外装容器への接触が防止され、リード及び集電タブが外装容器に対して電気的に絶縁される。また、電池では、スペーサが、高さ方向について蓋部材が位置する側から電極群に当接し、高さ方向に沿った電極群の移動を規制する。
【0005】
前述のように内部空洞に収納される電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出する電池では、スペーサを含む内部空洞への内蔵物、及び、蓋部材を互いに対して組立て易くすることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開2011-070915号公報
【文献】日本国特開2011-076952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出する構成において、外装容器の内部空洞への内蔵物及び蓋部材が互いに対して組立て易い電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電池は、外装容器、蓋部材、電極群、集電タブ、電極端子、リード及びスペーサを備える。外装容器は、底壁及び周壁を備え、外装容器には、高さ方向について底壁が位置する側とは反対側へ開口する内部空洞が形成される。蓋部材は、内部空洞の開口を塞ぐ状態で、外装容器の周壁に取付けられる。電極群は、正極及び負極を備え、外装容器の内部空洞に収納される。集電タブは、蓋部材が位置する側へ電極群において突出する。電極端子は、蓋部材の外表面において外部に露出する。リードは、内部空洞において電極群と蓋部材との間に配置され、集電タブと電極端子との間を電気的に接続する。スペーサは、電気的絶縁性を有する材料から一体に形成される。スペーサは、リードと蓋部材との間で挟まれる天板部と、天板部から電極群が位置する側へ向かって延設され、内部空洞において外周側からリード及び集電タブを覆う周板部と、を備える。スペーサの周板部は、蓋部材が位置する側から電極群に当接する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電池を、部材ごとに分解した状態で示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る電池を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る電池において、内部空洞の内蔵物及び蓋部材等が組立てられた組立て体を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の組立て体において、蓋部材及びその近傍の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の組立て体において、蓋部材及びその近傍の構成を、
図4とは異なる方向から視た斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る電池のスペーサを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る電池のスペーサを、
図6とは異なる方向から視た斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る電池において、2つの電極群のそれぞれの一対の電極群端面の一方、及び、それらの近傍の構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る電池において、2つの電極群のそれぞれの一対の電極群端面の一方、及び、それらの近傍の構成を、電池の高さ方向に垂直又は略垂直な断面で概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して、説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1及び
図2は、第1の実施形態に係る電池1を示す。
図1及び
図2に示すように、電池1は、電極群2、外装容器3及び蓋部材5を備える。外装容器3及び蓋部材5のそれぞれは、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、銅又はステンレス等の金属から形成される。ここで、電池1(外装容器3)では、奥行き方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、奥行き方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、奥行き方向及び横方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。電池1及び外装容器3のそれぞれでは、奥行き方向についての寸法が、横方向についての寸法、及び、高さ方向についての寸法のそれぞれに比べて、小さい。なお、
図1は、電池1を部材ごとに分解して示す斜視図であり、
図2は、斜視図である。
【0012】
外装容器3は、底壁6及び周壁7を備える。外装容器3の内部には、電極群2が収納される内部空洞8が、底壁6及び周壁7によって規定される。外装容器3では、内部空洞8は、高さ方向について、底壁6が位置する側とは反対側へ開口する。周壁7は、二対の側壁11,12を備える。一対の側壁11は、横方向について内部空洞8を挟んで対向する。一対の側壁12は、奥行き方向について内部空洞8を挟んで対向する。側壁11のそれぞれは、側壁12の間に、奥行き方向に沿って連続して延設される。側壁12のそれぞれは、側壁11の間に、横方向に沿って連続して延設される。蓋部材5は、底壁6とは反対側の端部で、周壁7に取付けられる。このため、蓋部材5は、外装容器3の内部空洞8の開口を塞ぐ。蓋部材5及び底壁6は、高さ方向について内部空洞8を挟んで対向する。
【0013】
図1等の一例では、内部空洞8に電極群2が2つ配置される。内部空洞8では、複数(2つ)の電極群2は、奥行き方向に並んで配置される。ここで、2つの電極群2の一方を電極群(第1の電極群)2Aとし、電極群2Aとは別の一方を電極群(第2の電極群)2Bとする。電極群2Bは、奥行き方向について、電極群2Aに対して隣接して配置される。電極群2のそれぞれは、正極13A及び負極13Bを備える。電極群2のそれぞれでは、正極13Aと負極13Bとの間にセパレータ(図示しない)が介在する。セパレータは、電気的絶縁性を有する材料から形成され、正極13Aを負極13Bに対して電気的に絶縁する。
【0014】
正極13Aは、正極集電箔等の正極集電体と、正極集電体の表面に担持される正極活物質含有層(図示しない)と、を備える。正極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。正極活物質含有層は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極集電体は、正極活物質含有層が未担持の部分として、正極集電タブ15Aを備える。
【0015】
負極13Bは、負極集電箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に担持される負極活物質含有層(図示しない)と、を備える。負極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は銅箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素材料等が挙げられる。負極集電体は、負極活物質含有層が未担持の部分として、負極集電タブ15Bを備える。
【0016】
図1等の一例では、電極群2のそれぞれにおいて、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間でセパレータが挟まれた状態で、正極13A、負極13B及びセパレータが捲回軸Bを中心として捲回される。そして、電極群2のそれぞれでは、捲回構造の最外周は、電気的絶縁性を有する材料から形成され、ある一例では、電極群2のそれぞれにおいて、捲回構造の最外周がセパレータから形成される。電極群2のそれぞれでは、正極集電タブ15Aは、正極活物質含有層、負極活物質含有層及びセパレータに対して、捲回軸Bに沿う軸方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)の一方側へ突出する。そして、電極群2のそれぞれでは、負極集電タブ15Bは、捲回軸Bに沿う軸方向について、正極活物質含有層、負極活物質含有層及びセパレータに対して、正極集電タブ15Aが突出する側へ突出する。したがって、電極群2のそれぞれでは、一対の集電タブ15(正極集電タブ15A及び負極集電タブ15B)は、捲回軸Bに沿う軸方向について、互いに対して同一の側へ突出する。
【0017】
電極群2のそれぞれでは、捲回軸Bの軸方向(集電タブ15の突出方向)に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)、及び、捲回軸Bの軸方向及び幅方向の両方に対して交差する厚さ方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)が、規定される。そして、電極群2のそれぞれでは、厚さ方向についての寸法が、軸方向についての寸法及び幅方向についての寸法のそれぞれに比べて、小さい。このため、電極群2のそれぞれは、扁平形状に形成される。また、電極群2のそれぞれでは、一対の集電タブ15のそれぞれにおいて、複数の帯状部が結束される。
【0018】
本実施形態では、電極群2のそれぞれは、捲回軸Bが電池1の高さ方向に沿う状態で、すなわち、軸方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。また、電極群2のそれぞれでは、幅方向が電池1の横さ方向と一致又は略一致し、かつ、厚さ方向が電池1の奥行き方向と一致又は略一致する。電極群2のそれぞれは、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側へ一対の集電タブ15が突出する状態で、内部空洞8に配置される。また、電極群2のそれぞれでは、一対の集電タブ15は、電池1の横方向について、互いに対して離れて配置される。したがって、電極群2のそれぞれでは、正極集電タブ15Aは、負極集電タブ15Bとは接触しない。
【0019】
また、内部空洞8では、電極群2のそれぞれに、電解液(図示しない)が保持(含浸)される。電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液であってもよく、水溶液等の水系電解液であってもよい。電解液の代わりに、ゲル状電解質が用いられてもよく、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質が電解質として用いられる場合、電極群2のそれぞれにおいて、固体電解質が、セパレータの代わりに、正極13Aと負極13Bとの間に介在する。この場合、電極群2のそれぞれにおいて、固体電解質により、正極13Aが負極13Bに対して電気的に絶縁される。
【0020】
電池1では、蓋部材5に、一対の電極端子16が取付けられる。電極端子16は、金属等の導電材料から形成される。一対の電極端子16の一方が電池1の正極端子(16A)であり、一対の電極端子16の正極端子(16A)とは別の一方が電池1の負極端子(16B)である。電極端子16のそれぞれは、電池1の外部に露出する状態で、蓋部材5の外表面に配置される。一対の電極端子16は、電池1の横方向について、互いに対して離れて配置される。
【0021】
また、蓋部材5には、一対の貫通孔17が設けられ、貫通孔17のそれぞれは、電池1の高さ方向について蓋部材5を貫通する。蓋部材5の外表面では、電極端子16のそれぞれと蓋部材5との間には、絶縁部材18が設けられる。また、貫通孔17のそれぞれには、絶縁ガスケット19が配置される。電極端子16のそれぞれは、絶縁部材18及び絶縁ガスケット19によって、蓋部材5及び外装容器3に対して電気的に絶縁される。
【0022】
外装容器3の内部空洞8には、一対のリード20、及び、一対のバックアップリード21が配置される。リード20及びバックアップリード21のそれぞれは、金属等の導電材料から形成され、リード20及びバックアップリード21を形成する材料としては、アルミニウム、ステンレス、銅及び鉄等が挙げられる。また、内部空洞8では、リード20は、電池1の高さ方向について、電極群2と蓋部材5との間に配置される。
【0023】
一対のリード20の一方が正極側リード(20A)であり、一対のリード20の正極側リード(20A)とは別の一方が負極側リード(20B)である。また、一対のバックアップリード21の一方が正極側バックアップリード(21A)であり、一対のバックアップリード21の正極側バックアップリード(21A)とは別の一方が負極側バックアップリード(21B)である。正極側リード20A及び正極側バックアップリード21Aは、電池1の横方向について、負極側リード20B及び負極側バックアップリード21Bから離れて配置される。したがって、正極側リード20A及び正極側バックアップリード21Aのそれぞれは、負極側リード20B及び負極側バックアップリード21Bとは接触しない。
【0024】
電極群2のそれぞれの正極集電タブ15Aは、バックアップリード21A及びリード20Aを順に介して、正極端子16Aに電気的に接続される。このため、リード20Aは、正極集電タブ15Aと正極端子16Aとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する。また、電極群2のそれぞれの負極集電タブ15Bは、バックアップリード21B及びリード20Bを順に介して、負極端子16Bに電気的に接続される。このため、リード20Bは、負極集電タブ15Bと負極端子16Bとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する。
【0025】
また、電極群2のそれぞれには、高さ方向について底壁6が位置する側から、絶縁テープ23が取付けられる。絶縁テープ23は、電気的絶縁性を有する材料から形成される。絶縁テープ23は、内部空洞8において電極群2のそれぞれに密着及び粘着し、電池1の高さ方向について電極群2のそれぞれと底壁6との間で挟まれる。絶縁テープ23によって、2つ(複数)の電極群2が1つに束ねられる。
【0026】
また、外装容器3の内部空洞8には、スペーサ25が内蔵される。スペーサ25は、電気的絶縁性を有する材料から一体に形成される。スペーサ25は、電池1の高さ方向について、電極群2と蓋部材5との間に配置される。また、内部空洞8では、電極群2A及びスペーサ25に絶縁テープ26Aが取付けられ、電極群2B及びスペーサ25に絶縁テープ26Bが取付けられる。絶縁テープ26A,26Bのそれぞれは、電気的絶縁性を有する材料から形成される。絶縁テープ26Aは、電極群2A及びスペーサ25に密着及び粘着し、電極群2Aをスペーサ25に対して固定する。絶縁テープ26Bは、電極群2B及びスペーサ25に密着及び粘着し、電極群2Bをスペーサ25に対して固定する。
【0027】
スペーサ25及び絶縁テープ26A,26Bによって、外装容器3及び蓋部材5への電極群2のそれぞれの一対の集電タブ15、一対のリード20、及び、一対のバックアップリード21の接触が、防止される。このため、スペーサ25及び絶縁テープ26A,26Bは、集電タブ15、リード20及びバックアップリード21を、外装容器3及び蓋部材5に対して電気的に絶縁する。
【0028】
また、
図1及び
図2等の一例では、蓋部材5に、ガス開放弁27及び注液口28が、形成される。そして、蓋部材5の外表面に、注液口28を塞ぐ封止板29が、溶接される。ガス開放弁27及び注液口28は、電池1の横方向について、電極端子16の間に配置される。なお、ある一例では、ガス開放弁27及び注液口28等は、電池1に設けられなくてもよい。
【0029】
電池1では、内部空洞8への内蔵物(電極群2、リード20及びスペーサ25を含む)、蓋部材5及び電極端子16等が組立てられ、組立て体を形成する。
図3は、内部空洞8への内蔵物及び蓋部材5等が組立てられた組立て体を示す。
図4及び
図5は、
図3の組立て体において蓋部材5及びその近傍の構成を示す。
図4及び
図5では、互いに対して視る方向が異なり、前述した絶縁テープ26A,26Bを省略して示す。
【0030】
図1乃至
図5等の一例では、一対のリード20のそれぞれは、リード天板部31及びリード側板部32を備える。リード20のそれぞれは、リード天板部31の厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致し、かつ、リード側板部32の厚さ方向が電池1の奥行き方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。リード20のそれぞれでは、リード側板部32は、電池1の高さ方向について電極群2(底壁6)が位置する側へ、リード天板部31に対して折曲がる。リード20のそれぞれのリード天板部31では、電池1の奥行き方向の一方側の縁に、リード側板部32が接続される。そして、リード20のそれぞれでは、電池1の横方向に垂直又は略垂直な断面において、リード天板部31及びリード側板部32によって、L字形状又は略L字形状が形成される。
【0031】
また、リード20のそれぞれには、電池1の高さ方向(リード天板部31の厚さ方向)にリード天板部31を貫通する貫通孔33が、形成される。リード20のそれぞれには、貫通孔33において、電極端子16の対応する一方が接続される。したがって、リード20のそれぞれでは、リード天板部31の貫通孔33が、電極端子16の対応する一方の接続位置となる。リード20のそれぞれへは、カシメ固定等によって、電極端子16の対応する一方が接続される。
【0032】
図1乃至
図5等の一例では、バックアップリード21Aは、電極群2Aの正極集電タブ15Aの結束部分及び電極群2Bの正極集電タブ15Aの結束部分を、一緒に挟む。そして、2つの電極群2の正極集電タブ15Aの結束部分は、バックアップリード21Aを間に介して、リード20Aへ接合される。リード20Aでは、リード側板部32に正極集電タブ15Aが接合され、例えば、超音波溶接によって、正極集電タブ15Aが接合される。同様に、バックアップリード21Bは、電極群2Aの負極集電タブ15Bの結束部分及び電極群2Bの負極集電タブ15Bの結束部分を、一緒に挟む。そして、2つの電極群2の負極集電タブ15Bの結束部分は、バックアップリード21Bを間に介して、リード20Bへ接合される。リード20Bでは、リード側板部32に負極集電タブ15Bが接合され、例えば、超音波溶接によって、負極集電タブ15Bが接合される。
【0033】
図6及び
図7は、スペーサ25を示す。
図6及び
図7は、互いに対して視る方向が異なる。
図1、
図6及び
図7等に示すように、スペーサ25では、長さ方向(矢印Y5及び矢印Y6で示す方向)、長さ方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印X5及び矢印X6で示す方向)、及び、長さ方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z5及び矢印Z6で示す方向)が、規定される。スペーサ25では、長さ方向についての寸法が、幅方向についての寸法及び高さ方向についての寸法のそれぞれに比べて、大きい。内部空洞8では、スペーサ25は、高さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致し、かつ、幅方向が電池1の奥行き方向と一致又は略一致する状態で、配置される。このため、内部空洞8に配置されるスペーサ25では、長さ方向が、電池1の横方向と一致又は略一致する。
【0034】
スペーサ25は、天板部35及び周板部36を備える。天板部35は、電池1の高さ方向について、リード20のそれぞれのリード天板部31と蓋部材5との間で、挟まれる。天板部35によって、蓋部材5に対するリード20及び集電タブ15等の接触が、防止される。天板部35は、厚さ方向がスペーサ25の高さ方向と一致又は略一致する状態で、すなわち、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。
【0035】
天板部35には、一対の貫通孔37が、スペーサ25の高さ方向(天板部35の厚さ方向)に沿って形成される。貫通孔37のそれぞれは、電池1の高さ方向に沿って天板部35を貫通する。一対の貫通孔37は、電池1の横方向(スペーサ25の長さ方向)について、互いに対して離れて配置される。電極端子16のそれぞれは、蓋部材5の貫通孔17の対応する一方、スペーサ25の貫通孔37の対応する一方、及び、リード20の対応する一方の貫通孔33に、順に挿通される。そして、電極端子16のそれぞれは、リード20の対応する一方に、前述のように貫通孔33で接続される。
【0036】
周板部36は、電池1の高さ方向について電極群2(底壁6)が位置する側へ向かって、天板部35の外縁から延設される。したがって、周板部36は、天板部35から電極群2が位置する側へ、突出する。周板部36は、天板部35の外縁に沿って延設され、天板部35の外周の全周に渡って形成される。内部空洞8では、二対の集電タブ15及び一対のリード20は、スペーサ25の周板部36によって、内部空洞8の外周側から覆われる。周板部36は、内部空洞8の周方向について全周に渡って、集電タブ15及びリード20を覆う。
【0037】
周板部36は、一対の側板部41A,41B、及び、一対の側板部42A,42Bを備える。側板部41A,41Bは、電池1の横方向(スペーサ25の長さ方向)について、集電タブ15及びリード20を間に挟んで対向する。このため、側板部41Aは、電池1の横方向の一方側から集電タブ15及びリード20を覆い、側板部41Bは、電池1の横方向について側板部41Aとは反対側から、集電タブ15及びリード20を覆う。また、側板部42A,42Bは、電池1の奥行き方向(スペーサ25の幅方向)について、集電タブ15及びリード20を間に挟んで対向する。このため、側板部42Aは、電池1の奥行き方向の一方側から集電タブ15及びリード20を覆い、側板部42Bは、電池1の奥行き方向について側板部42Aとは反対側から、集電タブ15及びリード20を覆う。
【0038】
側板部41A,41Bのそれぞれは、側板部42A,42Bの間に、電池1の奥行き方向に沿って連続して延設される。そして、側板部41A,41Bのそれぞれでは、厚さ方向が、電池1の横方向と一致又は略一致し、スペーサ25の長さ方向と一致又は略一致する。また、側板部42A,42Bのそれぞれは、側板部41A,41Bの間に、電池1の横方向に沿って連続して延設される。そして、側板部42A,42Bのそれぞれでは、厚さ方向が、電池1の奥行き方向と一致又は略一致し、スペーサ25の幅方向と一致又は略一致する。
【0039】
内部空洞8では、周板部36は、電池1の高さ方向について、スペーサ25の天板部35と電極群2との間に位置する。そして、スペーサ25の周板部36は、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側から、電極群2のそれぞれに当接する。このため、電極群2のそれぞれは、電池1の高さ方向について底壁6が位置する側へ向かって、スペーサ25の周板部36によって押圧される。周板部36から電極群2が押圧されることにより、内部空洞8において、電池1の高さ方向に沿った電極群2の移動が、規制される。なお、周板部36は、電極群2が位置する側への天板部35からの突出端で、電極群2のそれぞれに当接する。
【0040】
また、周板部36には、周板部36を貫通する貫通口45A,45B,46A,46Bが形成される。貫通口45A,45Bのそれぞれは、側板部42Aに形成され、電池1の奥行き方向に沿って側板部42Aを貫通する。また、貫通口46A,46Bのそれぞれは、側板部42Bに形成され、電池1の奥行き方向に沿って側板部42Bを貫通する。貫通口45A,46Aは、電池1の横方向(スペーサ25の長さ方向)について、貫通口45B,46Bから離れて形成される。また、電池1の横方向についてのスペーサ25の中央位置は、貫通口45A,45Bの間に位置し、貫通口46A,46Bの間に位置する。
【0041】
貫通口45Aは、電池1の横方向及び高さ方向について、貫通口46Aに対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。このため、貫通口(第1の貫通口)45Aは、電池1の奥行き方向からの投影において、貫通口(第2の貫通口)46Aに対して重なる。また、貫通口45A,46Aは、電池1の横方向及び高さ方向について、電極群2のそれぞれの正極集電タブ15A、及び、正極側リード20Aに対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。このため、貫通口45A,46Aは、電池1の奥行き方向からの投影において、集電タブ15A及びリード20Aに対して重なる。電池1の内部空洞8では、貫通口(第1の貫通口)45Aは、集電タブ15A及びリード20Aに対して、奥行き方向の一方側に位置する。そして、貫通口(第2の貫通口)46Aは、電池1の奥行き方向について、集電タブ15A及びリード20Aに対して、貫通口45Aとは反対側に位置する。
【0042】
また、貫通口45Bは、電池1の横方向及び高さ方向について、貫通口46Bに対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。このため、貫通口(第1の貫通口)45Bは、電池1の奥行き方向からの投影において、貫通口(第2の貫通口)46Bに対して重なる。また、貫通口45B,46Bは、電池1の横方向及び高さ方向について、電極群2のそれぞれの負極集電タブ15B、及び、負極側リード20Bに対して、ずれていない、又は、ほとんどずれていない。このため、貫通口45B,46Bは、電池1の奥行き方向からの投影において、集電タブ15B及びリード20Bに対して重なる。電池1の内部空洞8では、貫通口(第1の貫通口)45Bは、集電タブ15B及びリード20Bに対して、奥行き方向の一方側に位置する。そして、貫通口(第2の貫通口)46Bは、電池1の奥行き方向について、集電タブ15B及びリード20Bに対して、貫通口45Bとは反対側に位置する。
【0043】
周板部36の貫通口45A,45B,46A,46Bのそれぞれでは、周板部36の貫通口45A,45B,46A,46B以外の部位に比べて、電極群2が位置する側への天板部35からの突出量が、小さい。このため、電池1の奥行き方向(スペーサ25の幅方向)からの投影では、周板部36の天板部35からの突出端は、貫通口45A,45B,46A,46Bのそれぞれにおいて、天板部35(蓋部材5)が位置する側へ凹む凹状になる。周板部36は、内部空洞8の周方向について、貫通口45A,45B,46A,46Bとは異なる位置で、電極群2のそれぞれに当接し、内部空洞8の周方向について貫通口45A,45B,46A,46Bが形成される範囲では、電極群2に接触しない。
【0044】
絶縁テープ26Aは、電池1の奥行き方向の一方側から、電極群2A及びスペーサ25に取付けられる。電極群2Aには、電極群2Bが位置する側とは反対側から、絶縁テープ26Aが密着及び粘着する。また、絶縁テープ26Aは、スペーサ25において、周板部36の側板部42Aの外表面に密着及び粘着する。絶縁テープ26Aによって、側板部42Aに形成される貫通口45A,45Bが塞がれる。絶縁テープ26Bは、電池1の奥行き方向について、絶縁テープ26Aとは反対側から、電極群2B及びスペーサ25に取付けられる。電極群2Bには、電極群2Aが位置する側とは反対側から、絶縁テープ26Bが密着及び粘着する。また、絶縁テープ26Bは、スペーサ25において、周板部36の側板部42Bの外表面に密着及び粘着する。絶縁テープ26Bによって、側板部42Bに形成される貫通口46A,46Bが塞がれる。
【0045】
貫通口45A,45B,46A,46Bが絶縁テープ26A,26Bによって塞がれることにより、貫通口45A,45B,46A,46Bのいずれかを通しての外装容器3の周壁7に対するリード20及び集電タブ15等の接触が、防止される。なお、ある一例では、絶縁テープ26A,26Bの代わりに電気的絶縁性を有する材料から形成される袋が設けられ、袋によって、貫通口45A,45B,46A,46Bが塞がれてもよい。すなわち、貫通口45A,45B,46A,46Bを塞ぐ状態で電極群2及びスペーサ25の周板部36に取付けられる閉塞部材が設けられ、閉塞部材が電気的絶縁性を有する材料から形成されていればよい。
【0046】
図3乃至
図5等に示すように、電極群2のそれぞれは、一対の電極群端面51A,51Bを備える。電極群2のそれぞれの外表面では、電極群端面51Aによって、幅方向(電池1の横方向)の一方側の端部が形成され、電極群端面51Bによって、幅方向について電極群端面51Aとは反対側の端部が形成される。このため、電極群2のそれぞれの外表面では、電池1の横方向について外側の両端部のそれぞれが、電極群端面51A,51Bの対応する一方によって形成される。
図8及び
図9は、電極群2のそれぞれの一対の電極群端面51A,51Bの一方、及び、それらの近傍の構成を示す。
図8は、斜視図であり、
図9は、電池1の高さ方向に垂直又は略垂直な断面を示す。また、
図8では、外装容器3を省略して示す。
【0047】
本実施形態では、電極群2のそれぞれにおいて、前述のように、高さ方向に沿う捲回軸Bを中心として正極13A及び負極13Bが捲回される。そして、
図3、
図8及び
図9等に示すように、電極群2のそれぞれでは、電極群端面51A,51Bのそれぞれは、曲面に形成される。本実施形態では、電極群2のそれぞれの電極群端面51A,51Bは、電池1の高さ方向に垂直又は略垂直な断面において、円弧状又は略円弧状になる。
【0048】
図3乃至
図9等に示すように、スペーサ25には、一対の突起(第1の突起)52A,52B、一対の突起(第2の突起)53A,53B、及び、一対の突起(第3の突起)55A,55Bを備える。スペーサ25の周板部36では、突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bのそれぞれは、突起52A,52B,53A,53B,55A,55B以外の部位に比べて、電池の高さ方向について底壁6が位置する側へ突出する。スペーサ25の周板部36では、側板部41A,42Aの境界部分に突起52Aが形成され、側板部41B,42Aの境界部分に突起52Bが形成される。そして、周板部36では、側板部41A,42Bの境界部分に突起53Aが形成され、側板部41B,42Bの境界部分に突起53Bが形成される。また、周板部36では、スペーサ25の幅方向(電池1の奥行き方向)について側板部41Aの中央部に、突起55Aが形成され、スペーサ25の幅方向について側板部41Bの中央部に、突起55Bが形成される。
【0049】
前述のように突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bが形成されるため、内部空洞8では、突起52A,53A,55Aは、電池1の横方向について、突起52B,53B,55Bに対して離れて位置する。そして、突起52A,53A,55Aは、電池1の奥行き方向について互いに対して離れて位置し、突起52B,53B,55Bは、電池1の奥行き方向について互いに対して離れて位置する。突起(第1の突起)52A,52Bは、電池1の奥行き方向について、電極群(第1の電極群)2Aに対して、電極群(第2の電極群)2Bとは反対側に位置する。また、突起(第2の突起)53A,53Bは、電池1の奥行き方向について、電極群(第2の電極群)2Bに対して、電極群(第1の電極群)2Aとは反対側に位置する。そして、突起(第3の突起)55A,55Bは、電池1の奥行き方向について、電極群2A,2Bの間に位置する。
【0050】
突起52Aは、電池1の横方向の一方側から、電極群2Aに近接し、突起52Bは、電池1の横方向について突起52Aとは反対側から電極群2Aに近接する。このため、突起52A,52Bのそれぞれは、電池1の横方向の外側から電極群2Aに近接する。突起52Aは、横方向の外側から、電極群2Aの電極群端面51Aに近接し、突起52Bは、横方向の外側から、電極群2Aの電極群端面51Bに近接する。また、突起53Aは、電池1の横方向の一方側から、電極群2Bに近接し、突起53Bは、電池1の横方向について突起53Aとは反対側から電極群2Bに近接する。このため、突起53A,53Bのそれぞれは、電池1の横方向の外側から電極群2Bに近接する。突起53Aは、横方向の外側から、電極群2Bの電極群端面51Aに近接し、突起53Bは、横方向の外側から、電極群2Aの電極群端面51Bに近接する。
【0051】
突起55Aは、電池1の横方向の一方側から、電極群2A,2Bに近接し、突起55Bは、電池1の横方向について突起55Aとは反対側から電極群2A,2Bに近接する。このため、突起55A,55Bのそれぞれは、電池1の横方向の外側から電極群2A,2Bに近接する。突起55Aは、横方向の外側から、電極群2Aの電極群端面51A及び電極群2Bの電極群端面51Aに近接し、突起52Bは、横方向の外側から、電極群2Aの電極群端面51B及び電極群2Bの電極群端面51Bに近接する。なお、突起52A,52B,55A,55Bのそれぞれは、電極群2Aに近接するが、電極群2Aと接触しない。同様に、突起53A,53B,55A,55Bのそれぞれは、電極群2Bに近接するが、電極群2Bと接触しない。
【0052】
突起52A,52Bのそれぞれは、電極群2Aに対向する対向面(内側対向面)61、及び、外装容器3の周壁7に対向する対向面(外側対向面)62を備える。突起52Aの対向面61は、電極群2Aの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Aの曲面に沿った形状に形成される。また、突起52Bの対向面61は、電極群2Aの電極群端面51Bに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Bの曲面に沿った形状に形成される。突起52A,52Bのそれぞれでは、対向面62は、周壁7の内表面に沿った形状に形成される。
【0053】
突起53A,53Bのそれぞれは、電極群2Bに対向する対向面(内側対向面)63、及び、外装容器3の周壁7に対向する対向面(外側対向面)65を備える。突起53Aの対向面63は、電極群2Bの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Aの曲面に沿った形状に形成される。また、突起53Bの対向面63は、電極群2Bの電極群端面51Bに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Bの曲面に沿った形状に形成される。突起53A,53Bのそれぞれでは、対向面65は、周壁7の内表面に沿った形状に形成される。
【0054】
突起55A,55Bのそれぞれは、電極群2Aに対向する対向面(内側対向面)66、電極群2Bに対向する対向面(内側対向面)67、及び、外装容器3の周壁7に対向する対向面(外側対向面)68を備える。突起55Aの対向面66は、電極群2Aの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Aの曲面に沿った形状に形成される。また、突起55Bの対向面66は、電極群2Aの電極群端面51Bに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Bの曲面に沿った形状に形成される。そして、突起55Aの対向面67は、電極群2Bの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Aの曲面に沿った形状に形成される。また、突起55Bの対向面67は、電極群2Bの電極群端面51Bに沿った形状に形成され、本実施形態では、電極群端面51Bの曲面に沿った形状に形成される。突起55A,55Bのそれぞれでは、対向面68は、周壁7の内表面に沿った形状に形成される。
【0055】
前述のように本実施形態では、周板部36は、内部空洞において外周側からリード20及び集電タブ15を覆い、周板部36は、蓋部材5が位置する側から電極群2に当接する。そして、周板部36は、リード20のそれぞれと蓋部材5との間で挟まれる天板部35と一体に形成される。周板部36が天板部35と一体のスペーサ25が設けられることにより、電極群2、リード20及びスペーサ25含む内部空洞8への内蔵物、及び、蓋部材5を互いに対して組立て易くなる。すなわち、内部空洞8への内蔵物、蓋部材5及び電極端子16等が組立てられた組立て体を、形成し易くなる。これにより、電池1の製造において、組立て体を形成する作業の作業性が向上する。
【0056】
また、本実施形態のスペーサ25では、周板部36を貫通する貫通口45A,45B,46A,46Bが形成される。電池1の製造において前述の組立体を形成する際には、リード20のそれぞれと蓋部材5との間でスペーサ25の天板部35を挟んだ状態で、電極端子16のそれぞれをリード20の対応する一方へ接続する。そして、集電タブ15のそれぞれを、リード20の対応する一方へ接合する。本実施形態では、周板部36に貫通口45A,45B,46A,46Bが形成されることにより、天板部35及び周板部36が一体に形成されても、貫通口45A,45B,46A,46Bのいずれかを通して、接合に用いる治具等をリード20のそれぞれに接触させることが可能になる。これにより、天板部35及び周板部36が一体に形成されても、集電タブ15のそれぞれをリード20の対応する一方に接合する作業の作業性が、確保される。
【0057】
また、本実施形態では、貫通口45A,45B,46A,46Bのそれぞれは、電池1の奥行き方向に沿って、周壁を貫通する。そして、電池1の奥行き方向からの投影では、貫通口45A,46Aは、互いに対して重なるとともに、電極群2の正極集電タブ15A及び正極側リード20Aに対して重なる。また、電池1の奥行き方向からの投影では、貫通口45B,46Bは、互いに対して重なるとともに、電極群2の負極集電タブ15B及び負極側リード20Bに対して重なる。このため、電極群2のそれぞれの正極集電タブ15Aを正極側リード20Aへ接続する作業の作業性、及び、電極群2のそれぞれの負極集電タブ15Bを負極側リード20Bへ接続する作業の作業性が、向上する。
【0058】
また、本実施形態では、貫通口45A,45B,46A,46Bが閉塞部材である絶縁テープ26A,26Bによって塞がれ、外装容器3の周壁7に対するリード20及び集電タブ15等の貫通口45A,45B,46A,46Bのいずれかを通しての接触が、防止される。このため、リード20及び集電タブ15等が外装容器3等に対して短絡することが、有効に防止される。また、貫通口45A,45B,46A,46Bが塞がれることにより、電池1の製造時において前述の組立て体を外装容器3の内部空洞8に挿入する際にも、集電タブ15等と外装容器3との接触が有効に防止される。これにより、電池1の製造時において、集電タブ15等の破損が有効に防止される。
【0059】
また、本実施形態では、絶縁テープ26Aは、電極群2A及び周板部36に粘着する状態で取付けられ、電極群2Aをスペーサ25に対して固定する。そして、絶縁テープ26Bは、電極群2B及び周板部36に粘着する状態で取付けられ、電極群2Bをスペーサ25に対して固定する。これにより、集電タブ15のばね性等によって蓋部材5及びスペーサ25が電極群2に対して離れることが、有効に防止され、内部空洞8への内蔵物及び蓋部材5の互いに対する組立て性が、向上する。
【0060】
本実施形態では、スペーサ25の周板部36において、突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bのそれぞれが、底壁が位置する側へ突出する。そして、突起52A,52B,55A,55Bのそれぞれは、電池1の横方向の外側から、電極群2Aに近接し、突起52A,52Bは、電池1の奥行き方向について、突起55A,55Bとの間に電極群2Aが介在する。このため、電池1の奥行き方向に沿った電極群2Aの移動が、突起52A,52B,55A,55Bによって拘束される。同様に、電池1の奥行き方向に沿った電極群2Bの移動は、突起53A,53B,55A,55Bによって拘束される。前述のように電池1の奥行方向についての電極群2A,2Bの移動が拘束されるため、電池1では、電極群2A,2B、集電タブ15及びリード20等を含む内蔵物の奥行き方向についての移動が、拘束される。
【0061】
電池1を使用すると、内部空洞8において、電極群2からガスが発生することがある。内部空洞8においてガスが発生することにより、外装容器3等が膨張する。ここで、電池1では、側壁12のそれぞれの外表面の面積が、底壁6、側壁11及び蓋部材5のそれぞれの外表面の面積に比べて、遥かに大きい。このため、内部空洞8においてガスが発生することにより、特に、側壁12のそれぞれが、外側へ膨張する。
【0062】
前述のように、本実施形態では、電池1の奥行き方向についての電極群2等の内蔵物の移動が、突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bによって、拘束される。このため、ガスの発生によって側壁12が外側へ膨張しても、突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bによって、電池1の奥行き方向についての内蔵物の移動が、拘束される。すなわち、ガスの発生によって外装容器3が膨張しても、内蔵物が適切に拘束される。これにより、ガスが発生しても、電極群2、集電タブ15及びリード20を含む内蔵物への外部衝撃の影響が、抑制される。内蔵物への外部衝撃の影響が抑制されることにより、外部衝撃による内蔵物の損傷が防止され、内蔵物の耐久性が向上する。
【0063】
また、本実施形態では、突起52Aの対向面61及び突起55Aの対向面66は、電極群2Aの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、突起52Bの対向面61及び突起55Bの対向面66は、電極群2Aの電極群端面51Bに沿った形状に形成される。このため、電池1の奥行方向に沿った電極群2Aの移動が、適切に拘束される。同様に、突起53Aの対向面63及び突起55Aの対向面67は、電極群2Bの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、突起53Bの対向面63及び突起55Bの対向面67は、電極群2Bの電極群端面51Bに沿った形状に形成される。このため、電池1の奥行方向に沿った電極群2Bの移動が、適切に拘束される。
【0064】
また、前述の組立て体では、突起52A,52B,55A,55Bのそれぞれは、電極群2Aに近接し、突起53A,53B,55A,55Bのそれぞれは、電極群2Bに近接する。ただし、スペーサ25は、突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bがいずれの電極群2とも接触しない状態で、電極群2に組付けられる。したがって、突起52A,52B,53A,53B,55A,55Bが設けられても、内部空洞8への内蔵物及び蓋部材5の互いに対する組立て性は確保される。
【0065】
また、本実施形態では、周板部36が天板部35と一体に形成されるため、周板部36の厚みを薄くしても、周板部36の強度を適切な大きさに確保可能になる。周板部36が薄くなることにより、内部空洞8における空隙を増加させることが可能になる。内部空洞8の空隙が増加することにより、電極群2で発生したガスに起因する外装容器3の膨張を低減可能になる。また、周板部36が薄くなることにより、内部空洞8において、リード20のそれぞれが占めるスペースを大きくすることが可能になる。これにより、電極端子16のそれぞれと電極群2との間の電気経路における電気抵抗を、低減可能になる。
【0066】
(変形例)
なお、電極群2のそれぞれは、捲回軸Bを中心として正極13A及び負極13Bが捲回される捲回構造である必要はない。ある変形例では、電極群2A,2Bの少なくとも一方は、複数の正極及び複数の負極が交互に積層されるスタック構造に形成されてもよい。スタック構造の電極群2では、正極及び負極の積層方向が厚さ方向になり、スタック構造の電極群2は、正極及び負極の積層方向が電池1の奥行方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。スタック構造の電極群2でも、一対の集電タブ15は、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側へ突出し、電池1の横方向について互いに対して離れて位置する。また、スタック構造の電極群2の外表面でも、電池1の横方向について外側の両端部のそれぞれが、電極群端面51A,51Bの対応する一方によって形成される。
【0067】
電極群2Aがスタック構造に形成される場合も、突起52Aの対向面61及び突起55Aの対向面66は、電極群2Aの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、突起52Bの対向面61及び突起55Bの対向面66は、電極群2Aの電極群端面51Bに沿った形状に形成される。このため、前述の実施形態等と同様に、電池1の奥行方向に沿った電極群2Aの移動が、適切に拘束される。電極群2Bがスタック構造に形成される場合も、突起53Aの対向面63及び突起55Aの対向面67は、電極群2Bの電極群端面51Aに沿った形状に形成され、突起53Bの対向面63及び突起55Bの対向面67は、電極群2Bの電極群端面51Bに沿った形状に形成される。このため、前述の実施形態等と同様に、電池1の奥行方向に沿った電極群2Bの移動が、適切に拘束される。したがって、電極群2A,2Bの少なくとも一方がスタック構造に形成されても、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0068】
また、内部空洞8に収納される電極群2の数は、2つに限るものでなく、1つ以上の電極群2が内部空洞8に収納されていればよい。ただし、いずれの変形例でも、1つ以上の電極群2のそれぞれにおいて、一対の集電タブ15は、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側へ突出し、電池1の横方向について互いに対して離れて位置する。そして、集電タブ15のそれぞれは、一対のリード20の対応する一方を間に介して、一対の電極端子16の対応する一方に電気的に接続される。
【0069】
そして、いずれの変形例でも、天板部35は、リード20と蓋部材5との間で挟まれ、周板部36は、内部空洞8において、リード20及び集電タブ15を外周側から覆う。そして、周板部36は、蓋部材5が位置する側から電極群2に当接するとともに、天板部35及び周板部36を含むスペーサ25が、電気的絶縁性を有する材料から一体に形成される。天板部35及び周板部36が一体であるため、いずれの変形例においても、前述の実施形態等と同様に、外装容器3の内部空洞8への内蔵物、及び、蓋部材5を互いに対して組立て易くなる。そして、いずれの変形例においても、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0070】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、スペーサは、電気的絶縁性を有する材料から一体に形成される。そして、スペーサは、リードと蓋部材との間で挟まれる天板部と、天板部から電極群が位置する側へ向かって延設され、内部空洞において外周側からリード及び集電タブを覆う周板部と、を備える。これにより、電極群において蓋部材が位置する側へ集電タブが突出する構成において、外装容器の内部空洞への内蔵物及び蓋部材が互いに対して組立て易い電池を提供することができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。