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特許7472325閉ループ露光制御を用いる光学距離センサおよびそれに対応する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】閉ループ露光制御を用いる光学距離センサおよびそれに対応する方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
G01B11/00 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022579751
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 DE2021200061
(87)【国際公開番号】W WO2022008009
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】102020208526.9
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020209065.3
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513057784
【氏名又は名称】マイクロ‐エプシロン オプトロニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プルサイト、 シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】トベシャット、 ラース
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-023047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0113435(US,A1)
【文献】国際公開第2014/097539(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループ露光制御を用いる光学距離センサ(2)において、
照射光(8)を生成して前記照射光(8)を被計測物体(10)に案内する光源(3)と、
前記照射光(8)が前記被計測物体(10)において反射することにより生じた計測光(11)を検出する検出装置(4)と、
前記計測光(11)が検出される場合と計測値が読み出される場合に、前記検出装置(4)を制御する計測制御装置(5)と、
計測動作の位相(14)において、前記光学距離センサ(2)と前記被計測物体(10)との間の距離(a)を決定するために前記検出装置(4)の計測値を評価するように構成されている評価装置(6)と、
シャッタ時間中に前記検出装置(4)または前記検出装置(4)の一部分により検出される受光量が目標範囲内に位置するように、または、前記目標範囲に近づくように、前記光源(3)、前記検出装置(4)および/または前記計測制御装置(5)を駆動する閉ループ制御装置(7)と、を備え、
前記計測動作の位相(14)と、前記計測動作の前記位相(14)間に形成される計測一時停止との両方において、前記光学距離センサ(2)が、照射光(8)を放射して計測光(11)を検出し、前記閉ループ制御装置(7)を用いて前記計測光(11)を評価するように構成されている、光学距離センサ。
【請求項2】
前記計測制御装置(5)が、一定の時間間隔(TFrame)で前記検出装置(4)の計測値の読み出しを実行させるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の距離センサ。
【請求項3】
前記計測制御装置(5)が、前記計測光(11)の検出が開始する露光開始をシャッタ時間に応じて決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の距離センサ。
【請求項4】
前記受光量を閉ループ制御するために、前記閉ループ制御装置(7)が、前記照射光(8)の強度、前記照射光(8)のパルス継続時間、前記検出装置(4)の露光開始および/または前記検出装置(4)の前記シャッタ時間に影響を及ぼすように構成されていることを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の距離センサ。
【請求項5】
前記光学距離センサ(2)が、前記検出装置(4)の読み出された計測値を格納するように構成されている読み出しメモリ(12)を備え、前記検出装置(4)と前記読み出しメモリ(12)との間にアナログデジタル変換器を設けることが可能であることを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の距離センサ。
【請求項6】
前記検出装置(4)が、複数の検出装置要素を備え、
前記検出装置要素が、線状または面状に配置され、
前記受光量が決定される一部分が、検出装置要素により形成可能であることを特徴とする、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の距離センサ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の光学距離センサ(2)が、光源(3)と検出装置(4)とを備え、被計測物体(10)との距離が、計測動作の位相において前記光学距離センサ(2)を用いて決定される、光学距離センサ(2)の閉ループ制御の方法において、
前記光源(3)から照射光(8)を生成して前記照射光(3)を被計測物体(10)に案内するステップと、
前記検出装置(4)を用いて前記照射光(8)が前記被計測物体(10)において反射することにより生じた計測光(11)を検出するステップと、
前記検出装置(4)の計測値を読み出すステップであって、読み出しが計測制御装置(5)により制御されるステップと、
シャッタ時間中に前記検出装置(4)または前記検出装置(4)の一部分により検出される受光量を決定するステップと、を備え、
前記計測動作の位相(14)と、前記計測動作の前記位相(14)間に形成される計測一時停止との両方において、照射光(8)が生成され、前記被計測物体(10)に案内され、計測光(11)が検出され、閉ループ制御装置(7)を用いて評価され、
前記受光量が目標範囲内であるように、または、前記目標範囲に近づくように、前記光源(3)、前記検出装置(4)および/または前記計測制御装置(5)が、前記閉ループ制御装置(7)により駆動される、方法。
【請求項8】
計測動作の2つの連続する位相(14)間において少なくとも1つの中間計測(1,1’,1’’)が行われ、中間計測(1,1’,1’’)中に照射光(8)が生成され、計測光(11)が、距離値(a)の決定なしに検出されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の中間計測(1,1’,1’’)の場合、可能な中間計測を実行する前に、前記閉ループ制御装置(7)により決定された閉ループ制御偏差が第1閾値を上回り、従って、さらなる中間計測(1,1’,1’’)が必要であるか否か、または、前記閉ループ制御装置(7)により決定された閉ループ制御偏差が第2閾値未満であり、従って、さらなる中間計測(1,1’,1’’)が不要であるか否か、チェックされることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記計測動作の位相(14)の直前のタイミングウィンドウにおいて中間計測(1,1’,1’’)が、前記目標範囲からの前記受光量の起こりえる偏差を補正するために行われることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項11】
計測値改善用情報が、前記計測動作の2つの連続する位相(14)間において検出されることを特徴とする、請求項7~請求項10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記計測値改善用情報が、背景光の影響を補正するための背景マスク用情報を含み、前記背景マスク用情報を取得するために、前記検出装置が背景光により露光され、有効化されている照射光を用いないことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉ループ露光制御を用いる光学距離センサとこの光学距離センサの閉ループ制御の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学距離センサは、計測技術において、ロバストで幅広く使用可能なセンサとして確立されている。
この場合、照射光は、光源により生成され、被計測物体に案内される。
そして、この照射光は、計測光を、被計測物体上においてまたは被計測物体中において生成し、多くの場合、照射光が被計測物体の表面において反射することにより、生成する。
また、計測光は、検出装置により検出され、センサと被計測物体との間の距離は、検出装置の計測値から推定される。
そのような光学センサの例示的な実施形態として、三角測量センサ、共焦点クロマティック計測距離センサおよび干渉距離センサが参照される。
【0003】
まず、三角測量センサの場合には、このようなセンサ、照射光および計測光が、三角形を形成する。
ここで、検出装置は、通常の場合、線検出装置または面検出装置により形成される。
そして、計測される距離は、検出装置上の照射点とセンサの幾何学的性質から得られる。
【0004】
また、共焦点クロマティック計測距離センサの場合には、色収差、通常の場合、縦方向の色収差が、多色照射光において意図的に発生させられる。
そして、その焦点が被計測物体の反射表面の近傍に設けられる、スペクトル部分は、計測光のスペクトルのピークを生成し、このことを表面の距離を推定するために用いることができる。
この場合、検出装置は、分光器である。
【0005】
さらに、干渉センサの場合においては、照射光および計測光は、重ね合わされ、これにより干渉が生成される。
干渉センサと被計測物体との間の距離変化により、干渉パターンに変化が生じ、これを評価することで、距離の変化に関する結論を引き出すことができる。
【0006】
計測が一貫して高い正確度を有するためには、計測光と共に検出装置に到達する単位時間毎の光子の数が比較的狭い許容範囲内であること、例えば、検出装置の飽和限界値の75%~85%または飽和限界値の60%~80%または飽和限界値の85%~95%であることが重要である。
単位時間当たりの光子数が多すぎる場合、検出装置要素は、飽和することがあり、その結果、検出装置の照射点を鮮明に画定することができなくなる。
単位時間当たりの光子数が少なすぎる場合、生成される計測信号は、検出閾値の近傍に位置することがあり、雑音の中で消失することがある。
従って、比較的狭い許容範囲により、センサダイナミクスの効果的な使用と、良好な信号対雑音比(SNR)が確実になる。
【0007】
問題となるのは、検出装置に到達する光子の数は、多数の境界条件に依存することである。
照射光の強度とそのパルス継続時間に加えて、特に、被計測物体の反射率は、光子の入射数に重大な影響を及ぼす。
反射率は、例えば、被計測物体の表面特性、照射光に対する表面の向き、およびその色に依存する。
粗い表面または物体のエッジは、滑らかな表面の場合よりも大きく散乱した計測光を生成する。
暗色表面は、照射光の一部を吸収して明色表面の場合よりも低い強度の計測光を生成する。
これらの例は、計測光は、一定の照射光を用いていても大きく変化する可能性があることを示している。
これは、閉ループ露光制御が必要であることを意味している。
【0008】
具体的な難しい課題は、例えば、アセンブリベルト上における、移動中の被計測物体を計測することであるのは、この場合、反射率が急速に変化するからである。
これには、特に、高速の閉ループ露光制御が必要とされる。
安定した制御状態に戻るまでの時間中、計測値の分散、従って、それに関連する誤差は、一時的に非常に大きく、続いて指数関数的に減少する。
これにより、リアルタイム計測の場合、大きい計測誤差を含む多数の計測値が生成され、出力される。
【0009】
検出装置の最も理想的な露光を達成するために、検出装置のシャッタ時間を調整することが知られている。
シャッタ時間中、検出装置は、この検出装置に到達する光子を計測光と他の光(例えば、背景光)から収集する。
そして、この収集される光子の数に応じて、検出装置の特性、例えば、検出装置要素に保存されるチャージ量は、変化する。
シャッタ時間終了時に、検出装置は、読み出され、リセットされる。
シャッタ時間と読み出し継続時間の和は、最高可能フレームレートを決定する。
このフレームレートは、周期毎に生成される各フレームの数を定義する。
【0010】
シャッタ時間を調整する周知の変形例においては、固定されたフレームレートが設定され、シャッタ時間は、このフレームレート内で、被計測物体の反射率に応じて調整される。
これは、下流の系に計測値が同期で供給されるという有利な点を有する。
【0011】
別の周知の変形例においては、被計測物体の反射率に応じてフレキシブルなシャッタ時間と、一定の読み出し継続時間とからなる、フレキシブルなフレームレートが適用される。
ここでの有利な点は、非常に高いフレームレートである一方で、下流の系は、計測値を非同期で、従って、非律動的に受信するという不利な点があり、特に、移動中の物体の場合、空間的な計測基準を実現することは難しい。
【0012】
両方の変形例における不利な点は、閉ループ制御が定常状態に戻るのに時間がかかることである。
これは、閉ループ制御は、時間遅延を経てようやく有効になることに起因する。
第1タイミングウィンドウにおいて、計測値は、検出装置により記録され、第2タイミングウィンドウにおいて、読み出された計測値から新規シャッタ時間は、算出される。
これは、第3タイミングウィンドウにおいて、ようやくこの新規シャッタ時間が用いられることを意味している。
従って、閉ループ露光制御においては、常に、少なくとも2つのタイミングウィンドウを用いることにより理想的なシャッタ時間が得られるが、このことは、特に、反射率に大きな変化がある場合には、悪影響を及ぼす。
検出装置要素が露光不足または露光過剰である場合、不良のSNRとなることから、ばらつきの幅が大きくなり、従って、計測系における計測の不確かさが生じる。
【0013】
別の手法が特許文献1から知られている。
検出装置の飽和を回避するために、いくつかの飽和段階が導入される。
検出装置は、所定の検出シーケンスにおいて照射され、この検出シーケンスは、複数のサブシーケンスに分割されている。
各サブシーケンスにおいて、その前のサブシーケンスよりも高い飽和限界値が定められる。
この場合、照射継続時間および飽和限界値は、各画素において検出シーケンスの終了時のチャージが飽和未満であるように、定められる。
これの不利な点は、特別な検出装置が必要とされることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許出願公開第3165874A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、生成される距離計測値の品質への影響を可能な限り低減させつつ、検出装置の露光の閉ループ制御を高速で達成することができるような光学距離センサと、冒頭部に記載したタイプの方法を構成して発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によると、上記目的は、請求項1の特徴により達成される。
これによると、本光学距離センサは、
照射光を生成し、照射光を被計測物体に案内する光源と、
照射光が被計測物体において反射することにより生じた計測光を検出する検出装置と、
計測光が検出される場合と計測値が読み出される場合に、検出装置を制御する計測制御装置と、
計測動作の位相において、光学距離センサと被計測物体との間の距離を決定するために検出装置の計測値を評価するように構成されている評価装置と、
露光継続時間中に検出装置または検出装置の一部分により検出される受光量が目標範囲内に位置するように、または、この目標範囲に近づくように、光源、検出装置および/または計測制御装置を駆動する閉ループ制御装置と、を備え、
計測動作の位相と、計測動作の位相間に形成される計測一時停止との両方において、光学距離センサが、照射光を放射し、計測光を検出し、閉ループ制御装置を用いて計測光を評価するように構成されている。
【0017】
方法に関して、上記目的は、請求項7の特徴により達成される。
これによると、本方法は、光源と検出装置とを備える光学距離センサを用いて、被計測物体との距離が、計測動作の位相において決定される。
本方法は、
光源から照射光を生成し、照射光を被計測物体に案内するステップと、
検出装置を用いて、照射光が被計測物体において反射することにより生じた計測光を検出するステップと、
検出装置の計測値を読み出すステップであって、読み出しが計測制御装置により制御されるステップと、
露光継続時間中に検出装置または検出装置の一部分により検出される受光量を決定するステップと、を備え、
計測動作の位相と、計測動作の位相間に形成される計測一時停止との両方において、照射光が生成され、被計測物体に案内され、計測光が検出され、閉ループ制御装置を用いて評価され、
受光量が目標範囲内に位置するように、または、この目標範囲に近づくように、光源、検出装置および/または計測制御装置が、閉ループ制御装置により駆動される。
【0018】
本発明によると、実施において、光学距離センサの最高可能サンプリング周波数が必要とされること、および/または、用いられることは、稀であることがまず認識されている。
むしろ、実施において、多くの場合、光学距離センサは、低下されたサンプリング周波数で動作されるため、計測動作の位相間に、それぞれの場合において、多かれ少なかれ、明らかな計測一時停止が生じる。
閉ループ制御を加速するために、サンプリング周波数を上昇させ、このようにして計測一時停止を短縮することが考えられる。
しかし、これにより、不要なコストが生じ、その結果、高価値の資源を消耗し、エネルギ消費に悪影響を及ぼすことになる。
距離値が即座に再び棄却されない場合、この距離値は、格納される必要があり、その結果、通常の場合、非常に限られているメモリ空間に著しい負荷をかけることになる。
それでも、計測一時停止を用いることは、閉ループ制御を加速するための効果的な手段であることが認識されている。
【0019】
本発明によると、照射光は、計測動作の1つの位相においてだけでなく、計測動作の連続する位相間に形成される計測一時停止中の1つまたは複数の中間計測の場合においても放射される。
計測動作の位相の場合にも行われるのと同様に、中間計測の場合、照射光は、放射され、計測光は検出され、検出装置は、読み出される。
その一方、検出装置の読み出された計測値は、閉ループ制御のために評価されるに過ぎず、距離を決定するために用いられるのではない。
これにより、計測値の距離関連の評価による不要な演算コストが回避される。
追加計測の追加機能の結果、制御のために、追加の計測値を得ることができ、この追加の計測値により、計測一時停止中の閉ループ制御の追跡も可能となる一方、資源の消耗を回避することができる。
計測値の生成と使用との間に時間遅延がなお存在するにも関わらず、閉ループ制御は、安定した閉ループ制御状態をより高速で達成するのは、閉ループ制御の調整が、不要な距離値の算出を必要とすることなく、より高速に行われるからである。
【0020】
この基本的概念を実現する本発明に係る光学距離センサは、光源と検出装置と計測制御装置と評価装置と閉ループ制御装置と、を備える。
光源は、照射光を生成し、この照射光を被計測物体に案内する。
検出装置は、照射光が被計測物体の表面において反射することにより生じた計測光を検出する。
計測光が検出される場合、検出装置は、検出装置から読み出し可能な計測値を生成する。
計測値は、通常の場合、シャッタ時間中に検出装置に到達する光子の数を示す。
従って、計測値は、シャッタ時間中に検出装置または検出装置の一部分により検出された受光量を示す。
計測値は、スカラーまたは1次元もしくは多次元の変数であってよい。
【0021】
評価装置は、計測動作の位相において、検出装置の計測値を評価することにより距離を決定するように構成されている。
これは、例えば、三角測量センサの場合、最大光量を決定することと、この最大光量を距離に割り当てることを含んでよい。
【0022】
特に、計測制御装置は、計測光の検出中と計測値の読み出し中に、検出装置を制御する。
これは、例えば、光を検出する検出装置を有効化することと、検出装置からの計測値の読み出しをトリガすることを含んでよい。
【0023】
閉ループ制御装置は、シャッタ時間中に検出装置または検出装置の一部分により検出される受光量が、目標範囲内であるように、または受光量が目標範囲内でない場合には目標範囲に近づくように、好ましくは、目標範囲に到達するように、光学距離センサの構成要素を制御する。
これら制御される構成要素は、光源、検出装置および/または計測制御装置を含んでよい。
【0024】
本発明は、幅広く様々な光学距離計測方法に適用可能である。
光学距離計測方法において、照射光が放射され、計測光が受光され、評価されることが重要である。
この要件は、数多くの光学距離計測方法において満たすことが可能である。
本発明に係る光学距離センサは、三角測量センサの原理に従って動作し、被計測物体の点状または線状の照射を用いることができる。
別の実施形態において、本発明に係る光学距離センサは、共焦点クロマティック計測距離センサの原理に従って動作する。
さらなる別の実施形態において、本発明に係る光学距離センサは、干渉距離センサの原理に従って動作する。
【0025】
また、光学距離センサの光源も、幅広く様々な手法で形成可能である。
例示的な実施形態として考えられる光源をいくつかのみ挙げると、LED(発光ダイオード)、SLED(高輝度LED)、レーザ、特に、半導体レーザ、スーパーコンティニュームレーザまたは掃引光源が参照される。
光学距離センサの実施形態に応じて、光源により生成される照射光は、単色または多色であってよい。
実際の光生成装置に加えて、光源は、光学手段も備えてよく、この光学手段を用いることで、照射光は、形成され、案内され、かつ/または別様に影響を及ぼされる。
一例として、レンズ、ビームスプリッタ、ミラーおよびプリズムが参照される。
【0026】
評価装置、計測制御装置および/または閉ループ制御装置は、様々な手法で実装可能である。
これら装置は、ハードウェアにより実装される。
別の実施形態において、これら装置は、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実装される。
この場合、ハードウェアは、例えば、ソフトウェアが処理される、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)および/またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)により形成されてよい。
この目的のために、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)、入出力インタフェース、アナログデジタル変換器またはさらなる周辺機器が用いられてよい。
【0027】
閉ループ制御装置および/または計測制御装置は、計測動作の位相または中間計測を評価装置に知らせるように構成されてよい。
このようにして、距離に関する計測値の評価を実行すべきか否かを評価装置に知らせることができる。
この情報は、トリガ入力により評価装置に転送可能である。
1ビットをレジスタに設定して、これを用いて、評価ユニットは、存在する計測値の処理を知らされることも考えられる。
【0028】
受光量が位置すべき「目標範囲」は、様々に定義されてよい。
そして、この目標範囲を定義する際の目的は、多くの場合、検出装置または検出装置の一部分が飽和しないようにすることである。
これがどのように具体的に達成されるかは、ほぼ些細なことである。
目標範囲は、飽和限界値に対して正規化されることが好適である場合がある。
目標範囲は、百分率の範囲として特定されてよく、例えば、考えられる例をいくつかのみ挙げると、検出装置の飽和限界値の75%~85%または飽和限界値の60%~80%または飽和限界値の85%~95%として特定されてよい。
その一方、目標範囲は、目標値およびばらつき幅を用いて定義されてもよく、例えば、80%±5%または70%±10%または90%±5%と定義されてもよい。
目標範囲の具体的な定義は、検出装置の具体的な形態およびその挙動に応じてもよい。
【0029】
また、検出装置は、計測光のみを検出するのではない場合があることも考慮に入れられてよい。
従って、各計測状況において、光学距離センサを用いることに起因して、照射されている空間に存在し、十分にマスクできない背景光が検出装置に入り込むことが考えられる。
【0030】
本発明において、どのように計測一時停止が構成されているかは、重要ではない。
計測動作の位相間に少なくとも1つの中間計測が達成されることが考えられるに過ぎない。
一般的な検出装置は、通常の場合、最高フレームレートを有していることから、これは、実際に用いられるフレームレートは、最高可能フレームレート未満であることを意味している。
最高可能フレームレートは、シャッタ時間と読み出し継続時間の和により決定することができる。
実際に用いられるフレームレートは、単位時間毎に何れの周波数で距離が決定されるかを定義する。
実際に用いられるフレームレートは、最高可能フレームレートに対して、50%以下である。
これは、例えば、10kHzの最高可能フレームレートの場合、実際に用いられるフレームレートは、5kHz以下であることを意味している。
別の実施形態において、実際に用いられるフレームレートは、最高可能フレームレートに対して10%以下である。
これは、10kHzの最高可能フレームレートの場合、実際に用いられるフレームレートは、1kHz以下であることを意味している。
【0031】
計測制御装置は、非同期で検出装置の計測値を読み出すように構成されている。
これにより、光学距離センサの構成要素の制御においてより高い自由度が得られる。
【0032】
別の発展形態において、計測制御装置は、同期して検出装置の計測値を読み出すように構成されている。
この場合、計測値は、一定の時間間隔で検出装置から読み出し可能である。
【0033】
さらに別の発展形態において、同期読み出しと非同期読み出しは、組み合わせ可能である。
これは、評価装置により距離を決定するために評価される計測値は、一定の時間間隔で同期している一方、中間計測は、計測一時停止中に非同期で行われることを意味してよい。
これにより、特に、得られた距離値を使用する下流の系で用いるために、距離値が互いに所定の時間間隔を有するという有利な点と、中間計測による閉ループ制御に高い自由度が存在するという有利な点が得られる。
【0034】
計測制御装置が、計測光の検出が開始する露光開始を、シャッタ時間に応じて、決定するように構成されている。
これは、露光開始は、シャッタ時間のシーケンスと、従って、計測値の読み出しが所定の読み出し時間で行われるように、選択されることを意味してよい。
そのような所定の読み出し時間は、例えば、計測値の同期読み出しを定める時間ラスタにより決定されてよい。
そのように露光開始を決定することにより、シャッタ時間が可変である場合においても、所定の読み出し時間を達成することができる。
【0035】
そして、受光量を閉ループ制御するために、閉ループ制御装置が、照射光の強度に影響を及ぼすように構成されている。
照射光の強度は、瞬間値であってよい。
パルス照射光の場合、この値は、照射光が有効化されている間の光の強度を定めてよい。
この場合、照射光は、この強度値と強度0との間を変化してよい。
【0036】
また、受光量を閉ループ制御するために、閉ループ制御装置が、照射光のパルス継続時間に影響を及ぼすように構成されている。
パルス継続時間は、照射光がオンにされている長さを定める。
パルス継続時間が長いほど、照射光により計測光を長く生成できる。
このようにして、簡単な手段によって、受光量に影響を及ぼすことができる。
【0037】
受光量を閉ループ制御するために、閉ループ制御装置が、検出装置の露光開始に影響を及ぼすように構成されている。
露光開始に影響を及ぼすことにより、受信する光子の収集を最適化することができる。
例えば、パルス照射光の場合、露光開始は、パルスと同期されてよい。
このようにして、光子を所定の手法で収集することを確実にすることができる。
【0038】
そして、受光量を閉ループ制御するために、閉ループ制御装置が、検出装置のシャッタ時間に影響を及ぼすように構成されている。
計測光がシャッタ時間全体にわたって到達すると仮定すると、このシャッタ時間を増加させることにより受光量を増加させることができ、または、シャッタ時間を減少させることにより受光量を減少させることができる。
このようにして、非常に簡単に受光量に影響を及ぼすことができる。
【0039】
上述した、受光量の閉ループ制御の実施形態は、任意に組み合わせることができる。
また、計測光が完全に不在の場合に受光量を増加させる試みを終了させる異常検出手段を設けることもできる。
この場合、光学距離センサおよび/または被計測物体の配置に誤りがある可能性があり、その結果、照射光は、受光可能な計測光を生成していないのである。
【0040】
そして、光学距離センサが、検出装置の読み出された計測値を格納するように構成されている読み出しメモリを備える。
この場合、検出装置と読み出しメモリとの間に、検出装置のアナログ計測値をデジタル値に変換するアナログデジタル変換器を設けることができる。
読み出しメモリは、計測値の一時的メモリとして働くことができる。
その結果、検出装置は、その次の計測を既に行うことができる一方で、他の構成要素、例えば、閉ループ制御装置または評価装置は、その前の計測の一時的に格納されている計測値を読み出しかつ/または処理する。
この場合、読み出しメモリが大容量であることにより、少なくとも1つのセットの計測値を格納することができる。
その一方、評価のタイプに応じて、複数のセットの計測値を読み出しメモリに格納することができる。
これにより、複数の計測の計測値を一時的に格納することができる。
【0041】
検出装置が、複数の検出装置要素を備える。
複数の検出装置要素は、様々な手法で形成することができる。
これら検出装置要素により、局所的なある程度の解像度が可能になる。
このことは、例えば、互いに独立して入射光を検出することができる、互いに離隔している検出装置要素により達成することができる。
複数の検出装置要素は、別様に配置されてよい。
好ましくは、検出装置要素は、線状または面状に配置される。
複数の検出装置要素を有する検出装置の場合、検出装置の計測値は、1次元または多次元であってよく、つまり、例えば、ベクトルまたは行列により形成されてよい。
【0042】
この場合、受光量が決定される一部分が、検出装置要素により形成可能である。
この部分を評価する際、閉ループ制御装置は、検出装置要素の全ての計測値に関する最大計測値を提供する検出装置要素を決定してよい。
最大計測値を有する検出装置要素での受光量は、閉ループ制御装置によって、閉ループ制御により、目標範囲内へと制御することができる。
【0043】
計測動作の2つの連続する位相間において少なくとも1つの中間計測が行われ、中間計測中に照射光が生成され、計測光が、距離値の決定なしに、検出される。
【0044】
計測一時停止中に複数の中間計測が可能である場合、その次の可能な中間計測は、さらなる閉ループ制御の予想される必要性に応じて、実行されてよい。
閉ループ制御装置により決定された制御偏差が第1閾値を上回っている場合、さらなる中間計測とさらなる調整が必要であるか、少なくとも有用である可能性がある。
閉ループ制御装置により決定された制御偏差が第2閾値未満である場合、さらなる中間計測は、不要であってよく、従って、スキップされてよい。
第1閾値は、第2閾値以上であってよい。
このようにして、中間計測の数を少なく維持することができる。
【0045】
スキップされる中間計測の数は、限定されてよい。
スキップされる中間計測の最大数に到達したかこれを超過した場合、中間計測は、強制的に行われてよい。
例えば、この最大数を5回または10回のスキップされる中間計測に設定する。
このようにして、反射率が変化した場合でさえも、時宜を得た再調整を達成することができる。
【0046】
計測動作の次の位相が近い場合、少なくとも中間計測を行うことができ、スキップされなくてよい。
この「近い」の語の具体的な意味は、具体的な適用に依存する。
非常に多数の中間計測が設けられかつ/または反射率が頻繁に急変する場合、計測動作の位相の直前において、さらなる中間計測を行うための複数のタイミングウィンドウが利用可能である。
発展形態において、計測一時停止の少なくとも1つの最後の中間計測が、計測動作の位相の直前のタイミングウィンドウにおいて行われ、スキップされない。
このようにして、目標範囲からの受光量の起こりえる乖離を補正することができる。
【0047】
1つの発展形態において、計測一時停止は、露光の閉ループ制御のためにだけではなく、計測値の改善を調整するためにも用いることができる。
従って、計測値改善用情報が、計測動作の2つの連続する位相間において検出されてよい。
この場合、中間計測のために実際に用いられるタイミングウィンドウは、計測値改善用情報を決定するために用いられてよい。
このタイミングウィンドウは、制御偏差が十分に小さい場合にも、中間計測をスキップすることにより、「解放状態」になってよい。
従って、計測一時停止は、計測値改善用になお用いることができる。
【0048】
この場合、計測値改善が、背景光の影響を補正するための背景マスクを含んでよい。
この場合、背景光は、計測光に由来しない光を意味するものとして理解される。
この光は、例えば、距離センサが動作する空間の照射により形成されてよい。
ここで、背景マスク用情報の検出は、計測光に加えて検出装置を照射する、背景光を検出することを含む。
この情報を取得するために、照射光は、非有効化されてよく、これにより、検出装置が背景光のみにより照射されることが確実になる。
この場合、最初に、露光が閉ループ制御により制御され、その次に、背景光が決定されてよい。
【0049】
本発明の特徴を構成し、発展させるための様々な可能性が存在する。
この点に関して、図面を援用しつつ、一方では、独立請求項に従属する請求項が、他方では、以下の本発明の実施形態の説明が参照される。
また、図面を参照して本発明の実施形態の説明と共に、本発明の特徴の実施形態および発展形態も一般に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、計測動作の位相における検出装置の露光の曲線を示す時間図。
図2図2は、計測動作の2つの位相および計測動作の2つの位相間の計測一時停止中に実行される複数の中間計測を含む、検出装置の露光の曲線を示す時間図。
図3図3は、本発明の実施形態に係る光学距離センサの機能ユニットを示すブロック図。
図4図4は、本発明の実施形態に係る方法を示すタイミング図。
図5図5は、背景光を用いて計測光を用いていない場合の、検出装置の検出装置要素における強度を示すグラフ。
図6図6は、背景光および計測光を用いた場合の、検出装置の検出装置要素における強度を示すグラフ。
図7図7は、計測光を用いた場合であり、背景光により補正された、検出装置の検出装置要素における強度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0051】
光学距離センサの最高可能サンプリング周波数(fmax)が必要とされること、また、用いられることは、稀である事実に鑑みて、本発明においては、検出装置信号を調整するために、計測動作の2つの位相間の計測一時停止が用いられる。
【0052】
図1は、計測動作の様々な位相である、「F」、「Fi+1」および「Fi+2」を示し、iは、添字であり、通常の場合、整数または自然数である。
同期距離計測の技術的利点を提供するために、検出装置の露光および距離値の算出は、共通のモードで行われる。
各立ち下がりエッジを用いて、検出装置は、各立ち下がりエッジがそれぞれ時間間隔Tであるように、読み出され、これにより得られるサンプリング周波数fは、最高サンプリング周波数fmaxよりも大幅に低い。
露光開始(つまり、立ち上がりエッジの時点)は、決定された照射継続時間(立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の距離)に応じて選択される。
等速移動の物体に関して、この選択は、等距離計測の有利な点に対応する。
【0053】
計測動作の位相間の計測一時停止中、最適なシャッタ時間は、複数の、理想的には非同期の中間計測(サブフレーム)により、決定され、再調整される。
図2において、「F」と「Fi+1」との間に複数の中間計測1(つまり、合計16回の中間計測)が示され、明瞭化のため、その一部にのみ参照符号は、付されている。
被計測物体の反射特性に大きな変化が、例えば、高いエッジコントラストにより、生じる場合、シャッタ時間の再調整は、光学距離センサの出力された距離計測結果に対して最初に影響を及ぼすものではないのは、閉ループ制御が、調整する複数の(中間)計測期間を有するからである。
【0054】
図示の場合、シャッタ時間は、僅かにいくつかの中間計測の後には、一定の値をとることを見て取れる。
これは、第4番目の中間計測からは、さらなる中間計測は、スキップ可能であることを意味している。
この場合、中間計測は、少なくとも、5つのスキップされた中間計測の後に、強制的に行われることが考えられる。
また、第16番目の中間計測または第15番目および第16番目の中間計測は、何れの場合においても行われる。
その結果、実際の計測の直前の高いコントラストからでさえも、誤った距離計測値は、1つのみしか生じないことになる。
【0055】
これにより、計測周波数を低下させているだけである静的計測の周知の方法、および、非同期計測を用いる方法に対して、距離値を決定するための露光がほぼ理想的な信号対雑音比(SNR)を有するという有利な点が得られる。
これにより、出力された計測値の信頼区間は大幅に狭くなるのは、検出装置の露光過剰または露光不足に起因する、出力された距離計測値の統計的外れ値を大幅に減少させることができるからである。
【0056】
図3は、本発明の実施形態に係る三角測量の原理に従って動作する光学距離センサ2のブロック図を示す。
光学距離センサ2は、光源3と検出装置4と計測制御装置5と評価装置6と閉ループ制御装置7とを備える。
光源3は、照射光8を生成し、この照射光8は、被計測物体10の表面9に案内される。
計測光11は、照射光8が表面9において反射することにより生じる。
計測光11は、検出装置4の1つまたは複数の検出装置要素(不図示)を照射する。
検出装置4は、計測光11を検出し、計測値を生成し、この計測値は、複数の値のベクトル(線検出装置の場合)/行列(面検出装置の場合)であり、さらに、このベクトル/行列の各成分は、検出装置要素の計測値に対応する。
この場合、検出装置は、特に、露光開始およびシャッタ時間に関して、計測制御装置5により制御される。
理想的には、計測制御装置は、検出装置4による計測のタイミング全体を司る。
【0057】
検出装置4が計測値を生成すると、この計測値は、読み出しメモリ12に格納される。
評価装置6および閉ループ制御装置7は、読み出しメモリ12に格納されている計測値にアクセスすることができる。
評価装置6は、光学距離センサ2と被測定物体10との間の距離を決定するために、計測動作の位相における3つの計測値を用いる。
閉ループ制御装置7は、シャッタ時間中に検出装置4により検出された受光量を決定する。
閉ループ制御装置7は、受光量が目標範囲内であるように、またはこの目標範囲に近づくように、光源3と計測制御装置5に影響を及ぼす。
この目的のために、閉ループ制御装置7は、光源3を介して、照射光8の強度およびパルス継続時間に影響を及ぼすことができ、計測制御装置5を介して、露光開始およびシャッタ時間に影響を及ぼすことができる。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に係る方法の詳細を示すタイミング図を示す。
2つの中間計測1、1’、つまり、計測値改善用情報計測13と計測動作の位相14が図示されている。
図4aでは、検出装置4の露光が示され、図4bでは、検出装置4の読み出しが示され、図4cでは、読み出しメモリ12の使用が示され、図4dでは、光源3の有効化が示され、図4eでは、決定された距離値aの出力が示されている。
【0059】
中間計測1、1’において、照射光は、放射され(図4d)、検出装置は、露光される(図4a)。
シャッタ時間の終了時に、照射光は、非有効化され、検出装置の露光は、終了する。
検出装置は、読み出される(図4b)。
読み出し後、読み出しメモリ12のコンテンツは、更新される。
その結果、メモリコンテンツは、中間計測1の場合では「t1」から「t2」へと更新され、中間計測1’の場合では、「t2」から「t3」へと更新される。
特定のメモリコンテンツは、中間計測1、1’中と計測動作の位相14中に露光を閉ループ制御するために使用され、このことは、図4cから図4aへの矢印により示されている。
【0060】
図4に示される実施形態において、計測値補正用計測13は、計測動作の位相14の直前に挿入されている。
この計測値補正用計測13中、照射光は、非有効化され、検出装置4に到達する光量は、計測光を用いずに検出される。
これは、検出装置4は、背景光のみを検出することを意味している。
図5図7を参照してさらに詳細に説明されるように、このようにして検出された背景光は、計測値を補正するために用いることができる。
検出された計測値は、読み出しメモリに転送されるのではなく、明度較正に直接供給される。
【0061】
計測値補正用計測13の後、計測動作の位相14において実際の距離計測が行われる。
この目的のために、再び照射光は、放射され、検出装置は、計測光により照射される。
そして、この検出装置4から計測値を読み出した後、読み出しメモリのコンテンツは、「t3」から「t4」へと更新される。
この計測値は、評価装置6により用いられ、距離値aが算出される。
最後に、この算出された距離値aは、距離センサから出力される(図4e)。
同時に、新規の中間計測1’’が開始する。
【0062】
図5図7は、明度較正用の例示的な曲線を示す。
全ての図は、画素インデックスに対する強度値を示している。
ここでは、検出装置は、線検出装置であり、図示の例においては、500個の検出装置要素(画素)を有するように、構成されている。
【0063】
図5は、計測光を用いていない場合の、背景光の強度曲線15を示している。
図6は、背景光および計測光の強度曲線16を示している。
両図中には、閾値17も示されており、この閾値17は、検出装置4における計測光の入射点の検出に貢献する。
この閾値17を上回るピーク18は、背景光により生じており、ピーク19は、計測光により生じていることを見て取ることができる。
従って、計測値補正が有用である。
【0064】
計測値補正用情報を得るための計測値補正用計測13中、強度分布15を得ることができる。
照射光は、計測値補正用計測13中には非有効化されているため、集光された光は、背景光に由来しなければならない。
従って、有効化されている照射光を用いて検出された強度プロファイル16は、強度曲線15を控除することにより補正可能である。
その結果、図7に示されている強度曲線20が得られる。
補正後の強度プロファイル20の場合、ピーク19のみが閾値17を上回っており、検出装置における計測光の入射点を明確に同定することができる。
このようにして、明度較正は、達成される。
【0065】
他の実施形態に関しては、繰り返しを避けるため、本明細書の一般部分とまた添付の特許請求の範囲が参照される。
【0066】
最後に、上述の実施形態は、特許請求される特徴を説明するためのものに過ぎず、これを実施形態に限定しない。
【符号の説明】
【0067】
1,1’,1’’・・・中間計測
2・・・距離センサ
3・・・光源
4・・・検出装置
5・・・計測制御装置
6・・・評価装置
7・・・閉ループ制御装置
8・・・照射光
9・・・表面
10・・・被計測物体
11・・・計測光
12・・・読み出しメモリ
13・・・計測値補正用計測
14・・・計測動作の位相
15・・・背景光の強度曲線
16・・・計測光を用いた場合の強度曲線
17・・・閾値
18・・・背景光によるピーク
19・・・計測光によるピーク
20・・・補正後の強度プロファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7