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特許7472327車両のための適応型ヘッドランプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】車両のための適応型ヘッドランプシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20240415BHJP
   H05B 45/44 20200101ALI20240415BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B45/44
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023000069
(22)【出願日】2023-01-04
(62)【分割の表示】P 2021082190の分割
【原出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2023026713
(43)【公開日】2023-02-27
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】62/729,298
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18201763.2
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16/456,835
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/456,844
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ボンヌ,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】バルドワジ,ジョティ キロン
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-244934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0114379(US,A1)
【文献】国際公開第2008/053521(WO,A1)
【文献】特開2017-162805(JP,A)
【文献】特開2016-034785(JP,A)
【文献】特開2017-212340(JP,A)
【文献】特開2009-224191(JP,A)
【文献】特開2000-177480(JP,A)
【文献】特開2018-014481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00 - 39/10
H05B 45/00 - 45/58
H05B 47/00 - 47/29
B60Q 1/00 - 1/56
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車両ヘッドランプに画像を提供する方法であって、前記方法は、
電力バスを介してヘッドランプ制御部に電力を提供するステップと、
データバスを介して前記ヘッドランプ制御部の画像フレームバッファ画像データを提供するステップと、
前記データバスを介してセンサモジュールから前記ヘッドランプ制御部に前記車両のセンサ信号を提供するステップと、
30Hzより大きいレートで、前記画像フレームバッファに格納された画像データをリフレッシュするステップと、
前記画像フレームバッファに格納された前記画像データの代わりに、スタンバイ画像バッファに格納されたスタンバイ画像データを、発光ダイオード(LED)アレイに提供するかどうかを決定するステップと、
前記画像フレームバッファ又は前記スタンバイ画像バッファにより定義されたパターン及び強度に従い、前記ヘッドランプ制御部に結合された前記LEDアレイから光を投影するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
対向車両を識別し、前記センサモジュールからの信号を用いて前記ヘッドランプ制御部に送信すべき画像を選択するステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対向車両を識別することに応答して、前記ヘッドランプ制御部が、前記対向車両に向けて放射される光を低減するよう前記LEDアレイに指示するステップ、を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘッドランプ制御部が、前記LEDアレイの各ピクセルの個別アドレスを用いて、前記LEDアレイから投影される光を制御するステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ヘッドランプ制御部が、前記LEDアレイのアスペクト比を選択するステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記LEDアレイは、前記車両の、所定の光強度で光を放射するよう構成されるLED照明に隣接して、前記車両に位置付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ヘッドランプ制御部が、前記画像フレームバッファと前記LEDアレイとの間に結合されたパルス幅変調器を用いて、前記LEDアレイから投影される光を制御するステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
各ピクセルから放射される光の強度を個々に制御するために、前記ヘッドランプ制御部の中の論理及び制御モジュールと前記パルス幅変調器を用いて、前記LEDアレイの各ピクセルの点灯時間及びパルス幅を設定するステップ、を更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記LEDアレイにおける電力変動を低減するために、ピクセル起動を段階分けするステップ、を更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ヘッドランプ制御部が、前記LEDアレイのピクセルのグループを制御して、前記LEDアレイにより放射される光を制御するステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
照明システムであって、
制御部であって、
画像データを格納するよう構成される画像フレームバッファであって、前記画像データは、30Hzより大きいレートでリフレッシュされるよう構成される、画像フレームバッファと、
スタンバイ画像データを格納するよう構成されスタンバイ画像バッファと、
を含む制御部、及び、
前記制御部に結合される発光ダイオード(LED)アレイ、
を含み、
前記制御部は、
前記画像フレームバッファに格納された前記画像データの代わりに、前記スタンバイ画像バッファに格納された前記スタンバイ画像データを、前記LEDアレイに提供するかどうかを決定し、
前記画像フレームバッファ又は前記スタンバイ画像バッファにより定義されたパターン及び強度に従い、前記制御部に結合された前記LEDアレイから光を投影する、
照明システム。
【請求項12】
前記制御部は、データバスを通じて電源及び制御システムに結合され、前記データバスは前記画像フレームバッファに前記画像データ提供する、請求項11に記載の照明システム。
【請求項13】
前記制御部は、データバスを通じてセンサモジュールに結合され、前記データバスは前記センサモジュールからのセンサ信号を提供し、
前記制御部は、前記センサ信号に基づき前記LEDアレイの照明の範囲内のオブジェクトの位置を識別し、前記位置に基づき前記照明システムに提供すべき画像データを生成し、前記画像フレームバッファに格納する、請求項11に記載の照明システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記オブジェクトが車両であるという決定に応答して、前記車両に向けて放射される光を低減するよう前記LEDアレイに指示する、請求項13に記載の照明システム。
【請求項15】
前記制御部は前記LEDアレイのアスペクト比を選択するよう構成される、請求項11に記載の照明システム。
【請求項16】
前記LEDアレイは、所定の光強度で光を放射するよう構成されるLED照明に隣接して位置する、請求項15に記載の照明システム。
【請求項17】
前記制御部は、前記画像フレームバッファと前記LEDアレイに結合されたパルス幅変調器を更に含み、
前記パルス幅変調器は、前記画像フレームバッファからの前記画像データに基づき、前記LEDアレイを駆動するよう構成され、
前記制御部は、ピクセル毎に独立に、点灯時間及び前記パルス幅変調器からのパルスのパルス幅を設定することにより、各ピクセルにより放射される光の強度を別個に制御するよう構成される、請求項11に記載の照明システム。
【請求項18】
複合型半導体金属酸化物(CMOS)バックプレーンであって、
プロセッサと、
画像データを格納するよう構成される画像フレームバッファであって、前記画像データは、30Hzより大きいレートでリフレッシュされ、前記プロセッサにより制御されるよう構成される、画像フレームバッファと、
スタンバイ画像データを格納するよう構成されるスタンバイ画像バッファと、
前記画像フレームバッファ及び前記プロセッサに結合されたパルス幅変調器であって、前記パルス幅変調器は、前記画像フレームバッファからの前記画像データ又は前記スタンバイ画像バッファに格納された前記スタンバイ画像データに基づき画像を放射するよう発光ダイオード(LED)アレイを駆動するよう構成される、パルス幅変調器と、
を含み、
前記プロセッサは、
前記画像フレームバッファに格納された前記画像データの代わりに、前記スタンバイ画像バッファに格納された前記スタンバイ画像データを、前記LEDアレイに提供するかどうかを決定し、
前記パルス幅変調器に、前記画像フレームバッファ又は前記スタンバイ画像バッファにより定義されたパターン及び強度に従い、前記LEDアレイから光を投影させる、
CMOSバックプレーン。
【請求項19】
前記プロセッサは、ピクセル毎に独立に、点灯時間及び前記パルス幅変調器からのパルスのパルス幅を設定することにより、前記LEDアレイの各ピクセルにより放射される光の強度を別個に制御するよう構成される、請求項18に記載のCMOSバックプレーン。
【請求項20】
前記プロセッサ、オブジェクトが車両であるという決定に応答して、前記車両に向けて放射される光を低減するよう前記LEDアレイに指示する、請求項18に記載のCMOSバックプレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2019年6月28日出願の米国特許出願番号第16/456,835号、2019年6月28日出願の米国特許出願番号第16/456,844号、2018年10月22日出願の欧州特許出願第18201763.2号、及び2018年9月10日出願の米国特許出願番号第62/729,298号の優先権を主張し、これらの各出願は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、車両ヘッドランプのための動的照明制御を提供するシステムに関する。特定の実施形態では、当該システムは、適応型走行ビームシステムに適する強度及び空間的に変調された光投射を提供可能なLEDピクセルアレイであり得る。
【背景技術】
【0003】
夜間の車両ドライバは、対向車両のドライバが眩しくなること、又は安全性を損なう眩しさに晒されることを防ぐために、低指向性ヘッドライトビームパターンを使用することがあり、一方で、対向車両が存在しないときには道路の照明を向上するために、より広い範囲を有する高指向性ビームに切り替える。しかしながら、車両のドライバは、彼らが対向車両を見落とした場合、不注意にも、高指向性ビームパターンで走行し得る。幸いにも、ドライバ支援又は自律動作のためのセンサ技術の広範な利用可能性は、車両ヘッドランプ道路照明の能動的制御を提供するシステムも可能にした。固定又はユーザ制御による照明パターンに依存する代わりに、ヘッドライトビームは、車両及び/又はその周囲からの入力に基づき、自動的に調光され又は方向を変えることができる。例えば、対向車両が識別でき、起こり得る眩しさを制限するためにヘッドライトビームの一部が方向を変えられる。別の例として、歩行者検出又は位置測位システムは、歩行者のいる可能性のある領域を識別するために使用でき、ヘッドライトビームは、歩行者の活動を照らすために方向を変えられる。このような適応型走行ビーム(adaptive driving beam (ADB))システムは、機械的シールド、LED、デジタルマイクロミラー、及びLCDシャッターシステムを用いて開発されている。
【0004】
残念ながら、LED又は他の発光体/リダイレクトシステム(例えば、デジタルマイクロミラー又はスキャンレーザ)の大規模アクティブアレイをサポートすることは、困難であり得る。何千個ものピクセルの個々の光強度は、30~60Hzのリフレッシュレートで制御される必要があり得る。このようなデータレートを信頼できる方法で処理できるシステムが必要である。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態によると、車両ヘッドランプシステムは、データバスを含む、車両のサポートする電源及び制御システムを含む。センサモジュールは、環境条件(例えば、1日のうちの時間、又は気象条件)に関連する情報又は他の車両及び歩行者の存在及び位置に関連する情報を提供するために、前記データバスに接続可能である。個別ヘッドランプ制御部は、前記車両のサポートする電源及び制御システム、並びにセンサモジュールに、前記バスを通じて接続できる。前記ヘッドランプ制御部は、30Hzより速い速度で、保持された画像をリフレッシュできる画像フレームバッファを含むことができる。アクティブLEDピクセルアレイは、前記ヘッドランプ制御部に接続でき、前記画像フレームバッファ内に保持された前記画像により定められるパターン及び強度に従い光を投射し、スタンバイ画像バッファは、前記画像フレームバッファに接続でき、規定画像を保持する。
【0006】
一実施形態では、前記車両のサポートする電源及び制御システムは、前記ヘッドランプ制御部に画像データを提供する。代替として、画像は、前記車両のサポートする電源及び制御システムから受信したデータに応答して、前記ヘッドランプ制御部により生成できる。動作中、前記LEDピクセルアレイは、対向車両に向けて放射される光を低減するよう向けられることができる。
【0007】
幾つかの実施形態では、前記LEDピクセルアレイ内の各ピクセルは、アドレス可能であり、他の実施形態では、固定ピクセルグループ(例えば、5×5ピクセルブロック)がアドレス可能である。前記LEDピクセルアレイのアスペクト比は選択可能である。幾つかの実施形態では、前記LEDピクセルアレイは、静的LED照明に隣接して位置付けられる。
【0008】
幾つかの実施形態では、前記フレームバッファは、パルス幅変調器を通じて前記アクティブLEDピクセルアレイに接続される。高速道路の速度で移動している車両の照明要件の変化に適時に応答できるために、前記画像フレームバッファは、60Hz以上の速度で保持された画像をリフレッシュできる。
【0009】
別の実施形態では、(車両電源及びセンサシステムと関連して動作するのに適する)ヘッドランプ制御部は、30Hzより速い速度で保持された画像をリフレッシュできる画像フレームバッファを含むことができる。ヘッドランプ制御部は、前記画像フレームバッファ内に保持された前記画像により定められるパターン及び強度に従い光を投射する、前記ヘッドランプ制御部に接続された個別にアドレス可能なピクセルを有するアクティブLEDピクセルアレイに接続できる。幾つかの実施形態では、スタンバイ画像バッファは、前記画像フレームバッファに接続され、規定画像を保持できる。
【0010】
別の実施形態では、ヘッドランプ制御システムは、車両のサポートする電源、センサ、及び制御システムにデータバスを通じて接続可能なヘッドランプ制御部を含み、前記ヘッドランプ制御部は、30Hzより速い速度で保持された画像をリフレッシュできる画像フレームバッファを有する。アクティブLEDピクセルアレイは、前記画像フレームバッファ内に保持された前記画像により定められるパターン及び強度に従い光を投射するために使用できる前記ヘッドランプ制御部に接続でされる。スタンバイ画像バッファは、前記画像フレームバッファに接続され、規定画像を保持できる。画像パターンは、前記車両のサポートする電源、センサ、及び制御システムからのセンサ情報に応答して、或いは、代替又は追加として、ローカルセンサ情報に少なくとも部分的に応答して、提供できる。
【0011】
別の実施形態では、車両ヘッドランプシステムは、30Hzより速い速度で保持された画像をリフレッシュできる画像フレームバッファを有するヘッドランプ制御部を含み、前記画像フレームバッファへの画像は、車両のサポートする電源、センサ、及び制御システムにより車両データバスを通じて、及び画像生成モジュールによりローカルデータ接続を通じて、のうちの少なくとも1つにより提供される。前記ヘッドランプ制御部に接続された個別にアドレス可能ピクセルを有するアクティブLEDピクセルアレイは、前記画像フレームバッファ内に保持された前記画像により定められるパターン及び強度に従い光を投射するために使用できる。画像パターンは、前記車両のサポートする電源、センサ、及び制御システムからのセンサ情報に応答して、或いは、代替又は追加として、ローカルセンサ情報に少なくとも部分的に応答して、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アクティブヘッドランプを用いて、離散セクタの中の道路の照明を示す図である。
【0013】
図2】静的照明モジュールに隣接するよう位置付けられる動的ピクセルアドレス可能照明モジュールを示す。
【0014】
図3A】アクティブヘッドランプを制御する車両ヘッドランプシステムの一実施形態である。
【0015】
図3B】車両処理出力への接続を有する、アクティブヘッドランプを制御する車両ヘッドランプシステムの一実施形態である。
【0016】
図4】アクティブヘッドランプ制御部の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発光ピクセルアレイは、光分布の微調整された強度、空間、及び時間制御の利益を享受するアプリケーションをサポートし得る。これは、限定ではないが、ピクセルブロック又は個々のピクセルから放射される光の精細な空間的パターニングを含む。アプリケーションに依存して、放射される光は、スペクトル的に区別され、時間に渡り適応され、及び/又は環境に応答してよい。発光ピクセルアレイは、種々の強度、空間、又は時間的パターンの、予めプログラムされた光分布を提供してよい。放射される光は、少なくとも部分的に、受信されたセンサデータに基づいてよく、光無線通信のために使用されてよい。関連する光学系は、ピクセル、ピクセルブロック、又は装置レベルで区別されてよい。例示的な発光ピクセルアレイは、関連する共通光学系を有する高強度ピクセルの共通に制御される中央ブロックを有する装置を含む。一方で、端のピクセルは個別光学系を有してよい。発光ピクセルアレイによりサポートされる共通のアプリケーションは、ビデオ照明、自動車ヘッドライト、建造物及び領域照明、道路照明、及び情報ディスプレイを含む。
【0018】
発光ピクセルアレイは、視覚的ディスプレイを向上するために又は照明コストを低減するために、建造物又は領域を選択的及び適応的に照明するために使用されてよい。更に、発光ピクセルアレイは、装飾的な動き又はビデオ効果のために建物の正面にメディアを投影するために使用されてよい。追跡センサ及び/又はカメラと関連して、歩行者の周辺の領域の選択的照明が可能であってよい。スペクトルの異なるピクセルは、照明の色温度を調整するために、及び波長固有の園芸照明をサポートするために、使用されてよい。
【0019】
道路照明は、発光ピクセルアレイから大きな利益を享受し得る重要なアプリケーションである。単一のタイプの発光アレイは、種々の道路照明タイプを模倣するために使用されてよく、例えば、選択されたピクセルの適切な起動又は停止により、タイプI線形道路照明とタイプIV半円形道路照明との間で切り替えることを可能にする。更に、道路照明コストは、環境条件又は使用時間に従い光ビーム強度又は分布を調整することにより、低減され得る。例えば、光強度及び分布の領域は、歩行者が存在しないときには低減されてよい。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に異なる場合、光の色温度は、それぞれの昼間、夕方、又は夜間条件に従い調整されてよい。
【0020】
発光アレイは、直視型又は投写型ディスプレイを必要とするアプリケーションをサポートするのにも適する。例えば、警告、緊急、又は情報標識は、全部、発光アレイを用いて表示又は投影されてよい。これは、例えば、色変化又は点滅する出口標識を投影することを可能にする。発光アレイは、膨大な数のピクセルで構成され、テキスト又は数値情報が提示されてよい。方向矢印又は同様の指示子も提供されてよい。
【0021】
車両ヘッドランプは、多くのピクセル数及び高データリフレッシュレートを要求する発光アレイアプリケーションである。道路の選択された部分のみを積極的に照らす自動車ヘッドライトは、対向車の眩しさ又は目がくらむのに関連する問題を低減するために使用できる。センサとして赤外線カメラを用い、発光ピクセルアレイは、道路を照らす必要のあるピクセルだけを活性化し、一方で歩行者又は対向車のドライバの目をくらます可能性のあるピクセルを非活性化する。更に、道路以外にいる歩行者、動物又は標識は、ドライバの環境認識を向上するために選択的に照らされてよい。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に異なる場合、光の色温度は、それぞれの昼間、夕方、又は夜間条件に従い調整されてよい。一部のピクセルは、光無線車車間通信のために使用されてよい。
【0022】
発光アレイの1つの高価値アプリケーションは、図1に関して示される。図1は、車両の前にある領域120をテラス車両ヘッドランプシステムの可能性のある道路照明パターン100を示す。図示のように、道路110は、左端112、右端114、及び中央線116を含む。本例では、2つの主要な領域、つまり下に向けられた静的照射領域122、及び動的照射領域130、が照らされる。領域130内の光強度は、動的に制御される。例えば、中央線116と左端112との間を移動している対向車(図示しない)がサブ領域132内へと移動するとき、光強度は低減され又は完全にオフに遮断できる。対向車がサブ領域134へ向かって動くとき、一連のサブ領域(図示しない)も、低減した光強度を有するように定義でき、安全でない目のくらみ又は眩しさの機会を低減する。理解されるように、他の実施形態では、光強度は、道路標識又は歩行者を目立たせるために増大でき、空間照明パターンは、例えば動的光追跡を可能にするために調整される。
【0023】
図2は、図1に関して議論したような照明パターンを提供可能な光モジュール200の位置付けを示す。LED光モジュール222は、1次又は次光学系と関連して又は独立に、レンズ又は反射器を含むLEDSを含むことができる。全体のデータ管理要件を低減するために、光モジュール222は、機能をオン/オフにすること、又は比較的少数の光強度レベルの間で切り替えることに限定されることができる。光強度のピクセルレベル制御は、必ずしもサポートされない。
【0024】
LED光モジュール222に隣接して、アクティブLEDアレイが置かれる。LEDアレイは、ピクセル領域204及び代替として選択可能なLED領域206と208とを備えるCMOSダイ202を含む。ピクセル領域204は、104個の行及び204個の列、12.2×4.16ミリメートルの領域に渡り分布する全部で31616個のピクセルを有することができる。選択可能なLED領域206及び208は、異なる車両ヘッドランプ又はアプリケーションに適する異なるアスペクト比のために選択可能である。例えば、一実施形態では、選択可能なLED領域206は、1:3のアスペクト比を有し、82個の行及び246個の列、10.6×4ミリメートルの領域に渡り分布する全部で20172個のピクセルを有することができる。代替として、選択可能なLED領域208は、1:4のアスペクト比を有し、71個の行及び284個の列、12.1×3.2ミリメートルの領域に渡り分布する全部で20164個のピクセルを有することができる。一実施形態では、ピクセルは、10ビット強度範囲、及び60Hz以上の標準的な動作リフレッシュレートを有する30~100Hzの間のリフレッシュレートを有するよう能動的に管理され得る。
【0025】
図3Aは、データバス(304)を含む、車両のサポートする電源及び制御システム(302)を含む車両ヘッドランプシステム300の実施形態を示す。センサモジュール306は、データバス304に接続されて、環境条件(例えば、1日のうちの時間、雨、霧、周囲光レベル、等)、車両条件(駐車、移動中、速度、方向)、又は他の車両若しくは歩行者の存在/位置、に関するデータを提供する。個別ヘッドランプ制御部330は、車両のサポートする電源及び制御システムに接続できる。
【0026】
車両ヘッドランプシステム300は、電源入力フィルタ及び制御保護モジュール310を含むことができる。モジュール310は、排気を削減するため及び電源耐性(power immunity)を提供するために、種々のフィルタをサポートできる。静電放電(Electrostatic discharge (ESD))保護、負荷遮断保護、交流機電界減衰保護、及び極性反転保護も、モジュール310により提供できる。
【0027】
フィルタリング済み電力は、LED DC/DCモジュール312に提供できる。モジュール312は、LEDに給電するためにのみ使用でき、標準的に、公称13.2ボルトを有し、7~18ボルトの間の入力電圧を有する。出力電圧は、工場又はローカル較正、及び負荷、温度若しくは他の要因に起因する動作条件調整により決定されるように、LEDアレイ最大電圧より僅かに高く(例えば0.3ボルト)設定できる。
【0028】
フィルタリング済み電力は、マイクロコントローラ322又はアクティブヘッドランプ324内のCMOSロジックに給電するために使用可能な論理LDOモジュール314にも提供される。
【0029】
車両ヘッドランプシステム300は、マイクロコントローラ322に接続された(例えば、UART又はSPIインタフェースを備える)バストランシーバ320も含むことができる。マイクロコントローラ322は、センサモジュール306からのデータに基づき又はそれを含む車両入力を変換できる。変換された車両入力は、アクティブヘッドランプモジュール324内の画像バッファに転送可能なビデオ信号を含むことができる。更に、マイクロコントローラ322は、規定画像フレームをロードし、起動時に開/閉ピクセルをテストできる。一実施形態では、SPIインタフェースは、CMOS内の画像バッファをロードする。画像フレームは、完全なフレーム、差分又は部分的であってよい。他のマイクロコントローラ322の機能は、ダイ温度を含むCMOS状態及び論理LDO出力の制御インタフェースモニタを含むことができる。幾つかの実施形態では、LED DC/DC出力は、ヘッドルームを最小化するよう動的に制御可能である。画像フレームデータを提供することに加えて、サイドマーカ又は方向指示灯と関連して相補的に使用されるような他のヘッドランプ機能、及び/又は昼間点灯走行の起動も制御できる。
【0030】
図3Bは、車両センサ入力及びコマンド、並びにヘッドランプ若しくはローカルに搭載されたセンサに基づくコマンドを受け付け可能な、車両ヘッドランプシステム330の種々のコンポーネント及びモジュールの一実施形態を示す。図3Bに示すように、車両に搭載されたセンサ332は、リモートセンサ340及びセンサ処理の可能な電子処理モジュールを含むことができる。処理されたセンサデータは、決定アルゴリズムモジュール344内の種々の決定アルゴリズムに入力できる。決定アルゴリズムは、結果として、種々のセンサ入力条件、例えば周囲光レベル、1日のうちの時間、車両位置、他の車両の位置、道路条件、又は気象条件、に少なくとも部分的に基づき、コマンド命令又はパターン生成を生じる。理解されるように、決定アルゴリズムモジュール344に有用な情報は、ユーザのスマートフォンとの接続、車車間無線接続、又はリモートデータ若しくは情報ソースとの接続を含む他のソースからも提供できる。
【0031】
決定アルゴリズムモジュール344の結果に基づき、画像生成モジュール346は、最終的に動的に調整可能であり且つ条件に適したアクティブ照明パターンを車両ヘッドランプに提供する画像パターンを提供する。この生成された画像パターンは、画像符号化モジュール348によりシリアル若しくは他の送信方式のために符号化され、高速バス350を介して画像復号モジュール354へ送信できる。一旦復号されると、画像パターンは、照射ピクセルの起動及び強度を導出するために、uLEDモジュール380に提供される。
【0032】
幾つかの動作モードでは、システム330は、CANバス352の接続を通じて決定アルゴリズムモジュール344の接続によりヘッドランプ制御モジュール370に提供される命令を用いて、規定又は簡易画像パターンにより駆動できる。例えば、車両起動のときの初期パターンは、均一な低い光強度パターンであってよい。幾つかの実施形態では、ヘッドランプ制御モジュールは、センサ起動又は制御を含む他の機能を駆動するために使用できる。
【0033】
他の可能な動作モードでは、システム330は、ローカルセンサ又はコマンドから導出される画像パターンにより駆動でき、CANバス352又は高速バス350を介した入力を必要としない。例えば、ローカルセンサ360及びセンサ処理362の可能な電子処理モジュールが使用できる。処理されたセンサデータは、決定アルゴリズムモジュール364内の種々の決定アルゴリズムに入力できる。決定アルゴリズムは、結果として、種々のセンサ入力条件、例えば周囲光レベル、1日のうちの時間、車両位置、他の車両の位置、道路条件、又は気象条件、に少なくとも部分的に基づき、コマンド命令又はパターン生成を生じる。理解されるように、車両のサポートするリモートセンサ340と同様に、決定アルゴリズムモジュール364に有用な情報は、ユーザのスマートフォンとの接続、車車間無線接続、又はリモートデータ若しくは情報ソースとの接続を含む他のソースからも提供できる。
【0034】
決定アルゴリズムモジュール364の結果に基づき、画像生成モジュール366は、最終的に動的に調整可能であり且つ条件に適したアクティブ照明パターンを車両ヘッドランプに提供する画像パターンを提供する。幾つかの実施形態では、この生成された画像パターンは、追加画像符号化/復号ステップを必要とせず、選択されたピクセルの照射を駆動するためにuLEDモジュール380に直接送信できる。
【0035】
図4は、図3Aのアクティブヘッドランプ324に関して説明したように、アクティブヘッドランプシステム400の種々のコンポーネント及びモジュールの一実施形態を示す。図示のように、内部モジュールは、LEDパワー分布及びモニタモジュール410と、論理及び制御モジュール420と、を含む。
【0036】
車両からの画像又は他のデータは、SPIインタフェース412を介して到来し得る。連続画像又はビデオデータは、画像フレームバッファ414に格納できる。画像データが利用可能ではない場合、スタンバイ画像バッファ416に保持された1つ以上のスタンバイ画像が、画像フレームバッファ414へと向けられることができる。このようなスタンバイ画像は、例えば、車両の法律上許可された低ビームヘッドランプ放射パターンに従う強度及び空間パターンを含むことができる。
【0037】
動作中、画像内のピクセルは、ピクセルモジュール430内の対応するLEDピクセルの応答を定めるために使用され、LEDピクセルの強度及び空間変調は、画像に基づく。幾つかの実施形態では、データレートの問題を低減するために、ピクセルのグループ(例えば、5×5ブロック)が、単一のブロックとして制御可能である。高速及び高データレート動作がサポートされ、連続画像からのピクセル値は、60Hzが標準的である、30Hz~100Hzの間のレートで画像シーケンスの中の連続フレームとしてロードできる。パルス幅変調モジュール418と関連して、ピクセルモジュール内の各ピクセルは、画像フレームバッファ414内に保持された画像に少なくとも部分的に依存するパターン及び強度で光を放射するよう動作できる。
【0038】
一実施形態では、強度は、論理及び制御モジュール420並びにパルス幅変調モジュール418を用いてLEDピクセル毎に適切な点灯時間及びパルス幅を設定することにより、別個に制御及び調整できる。これは、LEDピクセル起動の段階(staging)が、電力変動を低減し、及び周のピクセル診断機能を提供することを可能にする。
【0039】
本発明の多くの変更及び他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面において提示された教示の利益を有する当業者により考案されるだろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないこと、及び変更及び実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されることが理解される。本発明の他の実施形態は、ここに具体的に開示されなかった要素/ステップがなくても実施され得ることも理解される。
図1
図2
図3A
図3B
図4