(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20240415BHJP
B66B 23/24 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B66B31/02 A
B66B31/02 Z
B66B23/24 Z
(21)【出願番号】P 2023115022
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 響介
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-193319(JP,A)
【文献】特開平08-188369(JP,A)
【文献】国際公開第2022/012855(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 31/02
B66B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラス内を循環移動する複数のステップと、前記ステップの両側に設けられた一対の欄干と、前記ステップの循環移動に同期して前記欄干の上部を往路、前記欄干の下方を帰路にして循環移動する手摺ベルトと、
帰路を移動する前記手摺ベルトの下面、側面及び上面を覆うカバーと、前記カバー内部に設けられ前記帰路を移動する前記手摺ベルトを加熱する加熱装置と、
前記カバー内部に設けられ前記帰路を移動する前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と
、前記カバー内部の温度を検出する第1温度検出部と、前記カバー外部の温度を検出する第2温度検出部とを備え、
前記第2温度検出部が検出した前記カバー外部の温度が所定温度未満であると、前記加熱装置及び前記除菌装置を動作させて前記カバー内部を通過する前記手摺ベルトを加熱するとともに除菌し、
前記第1温度検出部によって検出される前記カバー内部の温度が所定温度になるように加熱装置の出力を調整する、乗客コンベア。
【請求項2】
前記ステップが水平方向へ移動する水平部と、水平方向に対して所定の傾斜角度で前記ステップが直線移動する中間傾斜部とを備え、
前記加熱装置が、前記中間傾斜部に設けられ、水平方向に対して所定の傾斜角度で直線移動する前記手摺ベルトを加熱する、請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアでは、冬などにおいて設置雰囲気の気温が低くなると手摺りも冷たくなるので、手摺りにつかまりたがらず、衣服のポケットに手を入れて暖をとるなどしている乗客が多く見られるようになる。また、近年の感染症予防に対する関心の高まりから、不特定多数の乗客が触れる手摺りにつかまるのを避ける傾向が強まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、手摺りにつかまる抵抗感を減らし、乗客が手摺りをつかみやすくなる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る乗客コンベアは、トラス内を循環移動する複数のステップと、前記ステップの両側に設けられた一対の欄干と、前記ステップの循環移動に同期して前記欄干の上部を往路、前記欄干の下方を帰路にして循環移動する手摺ベルトと、帰路を移動する前記手摺ベルトの下面、側面及び上面を覆うカバーと、前記カバー内部に設けられ前記帰路を移動する前記手摺ベルトを加熱する加熱装置と、前記カバー内部に設けられ前記帰路を移動する前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、前記カバー内部の温度を検出する第1温度検出部と、前記カバー外部の温度を検出する第2温度検出部とを備え、前記第2温度検出部が検出した前記カバー外部の温度が所定温度未満であると、前記加熱装置及び前記除菌装置を動作させて前記カバー内部を通過する前記手摺ベルトを加熱するとともに除菌し、前記第1温度検出部によって検出される前記カバー内部の温度が所定温度になるように加熱装置の出力を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態の乗客コンベアを概略的に示す側面図
【
図3】乗客コンベアに取り付けられた処理装置の右側から見た縦断面図
【
図4】本発明の一実施形態の乗客コンベアの電気構成を示すブロック
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態の乗客コンベア1について図面を参照して説明する。
【0008】
本実施形態では、乗客コンベア1として、多数のステップ30(以下、「踏段30」ということがある)が上階側の乗降口17と下階側の乗降口18との間で循環移動するエスカレータについて説明するが、本発明は、ステップが水平方向に移動する動く歩道に対しても適用することができる。
【0009】
なお、以下の説明において、トラス2の長手方向を前後方向、トラス2の幅方向を左右方向ということがある。また、前後方向や左右方向は下階から上階を見たときの方向を示し、上階側が前側、下階側が後側とする。
【0010】
(1)乗客コンベア1
図1に示すように、乗客コンベア1の枠組みである前後方向(踏段30の移動方向)に延びるトラス2が、建屋の上階と下階に跨がって支持アングル(不図示)を用いて支持されている。なお、
図1では、乗客コンベア1の右側の部材を省略している。
【0011】
乗客コンベア1は、上下階の乗降口17,18付近に位置し、踏段30が水平方向へ移動する水平部25a,25eと、所定の傾斜角度で踏段30が直線移動する中間傾斜部25cと、水平部と中間傾斜部とをなだらかに繋ぎ、踏段30が曲線状に移動する、上下一対の湾曲部25b、25dとから構成されている。
【0012】
踏段30は、その両側に配置された無端状の踏段チェーン11によって連結されており、建物の床下に設置されたトラス2内に配置されている。
【0013】
踏段30は、側面形状が略三角形状の左右一対の踏段フレーム31と、この踏段フレーム31の上面に形成されたクリート面32と、踏段フレーム31の後面に形成されたライザ面33とを備える。踏段フレーム31とクリート面32とライザ面33とは、アルミダイカストで一体に形成されている。
【0014】
クリート面32の表面、つまり、踏段30において乗客が搭乗する面には、踏段30の移動方向(前後方向)に沿って延びる複数本のクリート突条が所定間隔をあけて互いに平行に設けられ、隣接するクリート突条の間にクリート溝が形成されている。
【0015】
左右一対の踏段フレーム31の前端部には、踏段30の幅方向外方へ突出する支軸にベアリングを介して左右一対の前輪35が設けられている。また、左右一対の踏段フレーム31の後下端部には、踏段フレーム31と一体に形成された取付部の先端部の外側にベアリングを介して左右一対の後輪37が設けられている。
【0016】
踏段30の幅方向の両側には、トラス2に固定された左右一対の前案内レール(不図示)及び後案内レール(不図示)が踏段30の進行方向に沿って配設されている。前輪35が前案内レールによって踏段30の進行方向に沿って案内され、後輪37が後案内レールによって踏段30の進行方向に沿って案内されることで、踏段30はトラス内の所定軌道を循環移動する。
【0017】
トラス2の上端部にある上階側の機械室5内部には、踏段30を走行させる駆動装置6、左右一対の駆動スプロケット7、左右一対の手摺ベルトスプロケット12、及び制御部16が設けられている。
【0018】
駆動装置6は、誘導電動機(インダクションモータ)よりなるモータと、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する踏段チェーン11と、モータの回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。駆動スプロケット7は駆動チェーン8により回転する。左右一対の駆動スプロケット7と左右一対の手摺ベルトスプロケット12とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。
【0019】
トラス2の下端部にある下階側の機械室9内部には、従動スプロケット10が設けられている。上階側の駆動スプロケット7と下階側の従動スプロケット10との間には、左右一対の無端の踏段チェーン11が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン11には、複数の踏段30の前輪35が等間隔に取り付けられている。
【0020】
トラス2の左右両側には、左右一対の欄干13が立設されている。欄干13の上側には往路側の手摺レール14Aが設けられ、欄干13の下側には帰路側の手摺レール14Bが設けられている(
図2参照)。手摺レール14A、14Bには無端状の手摺ベルト15が装着されている。手摺レール14A、14Bは手摺ベルト15が欄干13の周囲を移動するのを案内する。手摺ベルト15の材質としては、例えば、ゴム製、ウレタン製である。
【0021】
図2に示すように、手摺ベルト15は、往路側の手摺レール14Aに沿って移動する際に上方を向き乗客の手が触れる把持部15aと、把持部15aの左右両端部に設けられた側部15bと、手摺レール14A,14Bを巻き込むように側部15bから内方へ向かって延びる折返し部15cとを備える。
図1に示すように、手摺ベルト15は、手摺ベルトスプロケット12の周面に巻き掛けられ、押圧ローラ29によって手摺ベルトスプロケット12の周面に押圧されている。手摺ベルトスプロケット12が回転すると、手摺ベルト15は、把持部15aと手摺ベルトスプロケット12との間で発生する摩擦力によって駆動され、手摺レール14A、14Bに案内されて欄干13の周囲を循環移動する。
【0022】
欄干13の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード21が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード22が設けられている。上階側及び下階側の正面スカートガード21,22には、手摺ベルト15の出入口であるインレット部23,24がそれぞれ突出している。
【0023】
乗降口17から乗降口18に伸びる左右一対の欄干13のそれぞれの側面下部には、前後方向に沿ってスカート部25が設けられている。スカート部25は、
図2に示すように、欄干13下部の踏段30側(幅方向内側)を覆う板状の内レッジ26と、欄干13下部の外側を覆う外レッジ27と、踏段30の側面に対向して上下方向に配置された板状のスカートガード28とを備える。左右一対のスカートガード28の間で踏段30が走行する。内レッジ26は、スカートガード28とともに乗客の足元を保護するもので、スカートガード28の上端部と欄干13下部の踏段30側との間に傾斜して取り付けられている。
【0024】
スカート部25は、
図1に示すように、上階側から下階側に向かって順番に、上階側水平部25a、上階側湾曲部25b、中間傾斜部25c、下階側湾曲部25d及び下階側水平部25eから構成されている。
【0025】
上階側水平部25aは、スカート部25の上階側端部をなす部分であって、スカート部25の上端部(つまり、内レッジ26及び外レッジ27)が水平方向に延びている部分である。下階側水平部25eは、スカート部25の下階側端部をなす部分であって、スカート部25の上端部が水平方向に延びている部分である。中間傾斜部25cは、スカート部25の前後方向中央部に設けられ部分であって、スカート部25の上端部が踏段30の移動方向に沿って傾斜している部分である。上階側湾曲部25bは、上階側水平部25aと中間傾斜部25cとの間をなだらかに繋ぐ部分であって、スカート部25の上端部が上方へ膨らむように湾曲している部分である。下階側湾曲部25dは、下階側水平部25eと中間傾斜部25cとの間をなだらかに繋ぐ部分であって、スカート部25の上端部が下方へ膨らむように湾曲している部分である。
【0026】
駆動装置6から回転力を受けて駆動スプロケット7が回転すると、踏段チェーン11が駆動スプロケット7と従動スプロケット10の間を循環移動する。これに伴って、踏段30に設けられた前輪35及び後輪37が、前案内レール及び後案内レールを走行すると共に、駆動スプロケット7の外周部にある凹部と従動スプロケット10の外周部にある凹部に係合して、踏段30が上下に反転する。これにより、踏段30は、一方の乗降口(乗り口)17(又は18)から他方の乗降口(降り口)18(又は17)に向かって移動して乗客を搬送する往路と、往路の下方において降り口から乗り口に向かって移動する帰路とを交互に通って、上階側の乗降口17と下階側の乗降口18との間を循環移動する。
【0027】
また、駆動スプロケット7の回転に伴って手摺ベルトスプロケット12が回転すると、手摺ベルト15は手摺ベルトスプロケット12との摩擦力によって駆動される。これにより、手摺ベルト15は、把持部15aを上方に向けつつ往路側の手摺レール14Aに沿って乗り口から降り口に向かって移動する往路と、把持部15aを下方に向けて帰路側の手摺レール14Bを降り口から乗り口に向かって移動する帰路とを交互に通って、上階側の乗降口17と下階側の乗降口18との間を踏段30と同期して循環移動する。
【0028】
左右一対のスカート部25の内部には、帰路側の手摺レール14Bを走行する手摺ベルト15を加熱及び除菌する処理装置50が設けられている。
【0029】
(2)処理装置50
次に、処理装置50について
図1~
図3を参照して説明する。なお、左側のスカート部25に設けられた処理装置50と、右側のスカート部25に設けられた処理装置50とは、同一の構成を有している。
【0030】
図2及び
図3に示すように、処理装置50は、帰路を移動する手摺ベルト15の把持部15aと側部15bと折返し部15cとを覆うカバー51と、カバー51の内部に設けられた加熱装置52及び除菌装置53と、カバー51の内部の温度を検出する第1温度検出部57と、カバー51の外部の温度を検出する第2温度検出部58とを備える。
【0031】
カバー51は、取付部材54を介してトラス2に固定され、スカート部25の中間傾斜部25cに設けられている。カバー51は、帰路側の手摺レール14Bに沿って設けられた底部51aと、底部51aの左右両端部から上方に延びる左右一対の側壁51bと、左右一対の側壁51bの上端部から内方へ向かって延びる左右一対の上壁51cとを備える。カバー51は、左右一対の上壁51cの間に上方に開口するスリット状の開口部51dが設けられた筒状をなしている。
【0032】
筒状のカバー51の内部には帰路側の手摺レール14Bが設けられている。手摺レール14Bはカバー51の開口部51dを通って上方に延びる連結ボルト56によってレール支持部55に連結され、レール支持部55がトラス2に固定されている。帰路側の手摺レール14Bに沿って帰路を移動する手摺ベルト15はカバー51の内部を通過する。カバー51は、その内部を通過する手摺ベルト15の下面となる把持部15aと側部15bと上面となる折返し部15cとを覆っている。
【0033】
加熱装置52は、カバー51の内部を通過する手摺ベルト15の把持部15aと上下方向に間隔をあけて対向するようにカバー51の底部51aに1個又は複数個設けられている。加熱装置52は、赤外線ヒータや抵抗器などからなり、カバー51の内部を通過する手摺ベルト15を加熱する。
【0034】
除菌装置53は、カバー51の内部を通過する手摺ベルト15の把持部15aと上下方向に間隔をあけて対向するようにカバー51の底部51aに1個又は複数個設けられている。なお、加熱装置52と除菌装置53とは、把持部15aの下方において左右方向に並んで設けられ(
図2参照)、かつ、前後方向に沿って交互に設けられているので(
図3参照)、平面視した場合に加熱装置52と除菌装置53とは、両方共に千鳥状に設けられている。除菌装置53は、手摺ベルト15の把持部15aに向けて紫外線を照射して除菌する。
【0035】
(3)乗客コンベア1の電気的構成
乗客コンベア1の電気的構成について
図4のブロック図を参照して説明する。
【0036】
制御部16には、駆動装置6のモータが接続され、また、処理装置50に設けられた加熱装置52、除菌装置53、第1温度検出部57、及び第2温度検出部58が接続されている。
【0037】
制御部16は、駆動装置6のモータを回転/停止や、回転方向や、回転速度を制御することで乗客コンベア1の運転を制御する。また、制御部16は、第1温度検出部57が検出したカバー51の内部温度に関する信号と、第2温度検出部58が検出したカバー51の外部の温度(乗客コンベア1の設置雰囲気の温度)に関する信号とが入力され、入力された信号と駆動装置6の動作状態に基づいて加熱装置52及び除菌装置53の動作を制御する。
【0038】
(4)加熱装置52及び除菌装置53の動作
次に、加熱装置52及び除菌装置53の動作について説明する。
【0039】
駆動装置6のモータが回転して乗客コンベア1が上昇運転あるいは下降運転を実行すると、制御部16は、第2温度検出部58が検出した乗客コンベア1の設置雰囲気の温度を取得する。
【0040】
取得した温度が所定温度以上(例えば、10℃以上)であると、制御部16は、加熱装置52を停止させつつ、除菌装置53を動作させてカバー51の内部を通過する手摺ベルト15を除菌する。
取得した温度が所定温度未満(例えば、10℃未満)であると、制御部16は、加熱装置52及び除菌装置53を動作させてカバー51の内部を通過する手摺ベルト15を加熱するとともに除菌する。その際、制御部16は、第1温度検出部57によって検出されるカバー51の内部温度が所定温度になるように加熱装置52の出力を調整する。なお、加熱装置52の動作時のカバー51の内部温度は任意の温度に設定することができる。なお、前後方向に並ぶ加熱装置52の数は、手摺ベルト15が通常速度(20~30m/分)で走行したときに、上記温度までゴム製、ウレタン製の手摺ベルト15を加熱できるように決める。また、加熱された手摺ベルト15は、インレット部23,24から進出した直後に、乗客がつかんでも熱すぎると感じない温度に下がっている必要がある。インレット部23,24から進出した直後にそのような温度に下がっているのという条件下で、手摺ベルト15を120℃以上に加熱した場合、加熱による殺菌効果も得られる。除菌装置53から出力された紫外線は、走行する手摺ベルト15の把持部15aに直接照射されるとともに、カバー51内面で反射して手摺ベルト15の側部15bや折返し部15cにも照射され、カバー51の内部を通過する手摺ベルト15の表面に付着する細菌やウイルスなどを除菌する。つまり、帰路を移動する手摺ベルト15には、カバー51の内部において、加熱装置52による加熱と除菌装置53による除菌が交互に行われる。
【0041】
(5)効果
本実施形態の乗客コンベア1では、処理装置50に設けられた加熱装置52及び除菌装置53によって帰路を移動する手摺ベルト15を加熱及び除菌することができるため、冬のように乗客コンベア1の設置雰囲気の温度が低い場合に、細菌やウイルスの増殖を抑えながら乗客がつかみやすい適温に手摺ベルト15を加熱することができる。そのため、乗客の手摺りにつかまる抵抗感を減らし、乗客が手摺りをつかみやすくなる。
【0042】
本実施形態の乗客コンベア1では、帰路を移動する手摺ベルト15の把持部15a、側部15b、及び折返し部15cを覆うカバー51が設けられているため、加熱装置52によって加熱された手摺ベルト15が冷めにくくなる。
【0043】
本実施形態において、加熱装置52及び除菌装置53がカバー51に設けられている場合、取付部材54を介してカバー51をトラス2に固定することで加熱装置52及び除菌装置53を所望の位置に取り付けることができ取り付け作業が容易となる。しかも、加熱装置52及び除菌装置53が手摺ベルト15をカバー51の内部において加熱及び除菌するため、加熱装置52から放出される赤外線や除菌装置53から放出される紫外線がカバー51の外部に漏れにくく、効率的に手摺ベルト15を加熱及び除菌することができる。
【0044】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…乗客コンベア、2…トラス、12…手摺ベルトスプロケット、13…欄干、14A…往路側の手摺レール、14B…帰路側の手摺レール、15…ベルト、15a…把持部、15b…側部、15c…折返し部、16…制御部、25…スカート部、30…踏段、50…処理装置、51…カバー、52…加熱装置、53…除菌装置、54…取付部材、57…第1温度検出部、58…第2温度検出部
【要約】 (修正有)
【課題】手摺りにつかまる抵抗感を減らし、乗客が手摺りをつかみやすくなる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】本発明の乗客コンベアは、トラス2内を循環移動する複数のステップ30と、ステップ30の両側に設けられた一対の欄干13と、ステップ30の循環移動に同期して欄干13の周囲を移動する手摺ベルト15と、帰路を移動する手摺ベルト15を加熱する加熱装置52と、帰路を移動する手摺ベルトを除菌する除菌装置53とを備える。
【選択図】
図2