(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20240415BHJP
A63F 13/533 20140101ALI20240415BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240415BHJP
【FI】
A63F13/69
A63F13/533
A63F13/79
(21)【出願番号】P 2023133516
(22)【出願日】2023-08-18
【審査請求日】2023-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512294021
【氏名又は名称】株式会社アカツキ
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コウ セイブン
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-061992(JP,A)
【文献】特開2020-121006(JP,A)
【文献】特開2015-188503(JP,A)
【文献】特開2019-177036(JP,A)
【文献】特開2007-325847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98、9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれのプレイヤが所有する所有ゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、
前記所有ゲーム媒体のうちから、それぞれの前記プレイヤがゲームで使用する少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、
前記準備処理部で選択された少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理部と、を備え、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記所有ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記準備処理部が、前記使用状況に関する前記データに含まれる前記所有ゲーム媒体の選択確率に基づき
、前記選択確率が所定の判別基準に満たない前記プレイヤごとの不使用ゲーム媒体を判別し、前記プレイヤが自身の前記所有ゲーム媒体を使用する通常ゲームの実行に際して前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記通常ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定
し、
前記特典の内容、又は、前記ゲームの単位に応じて複数の前記判別基準が設定されている情報処理システム。
【請求項2】
前記準備処理部が、それぞれの前記プレイヤによる前記所有ゲーム媒体の使用状況に応じて前記プレイヤごとに設定される判別基準に基づいて、前記プレイヤごとの前記不使用ゲーム媒体を判別する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記使用状況に関する前記データを算出する使用状況算出部を、さらに備える請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記特典が、前記不使用ゲーム媒体の前記選択確率に応じて変動する特典である請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記特典の内容が、前記ゲーム処理部が実行する前記ゲームの単位に応じて異なる請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記準備処理部が、少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける画面インターフェースにおいて、前記特典の内容を表示する請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
それぞれの前記プレイヤが前記所有ゲーム媒体のうちから複数の前記所有ゲーム媒体を選択してデッキを編成するデッキ編成部を、さらに有し、
前記準備処理部が、複数の前記所有ゲーム媒体を含む前記デッキを選択する操作を受け付ける請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記準備処理部が、少なくとも1つの前記不使用ゲーム媒体を含む前記デッキを使用することに対する前記特典を付与するか否かを決定し、
該特典が、前記不使用ゲーム媒体、および/または、前記デッキに含まれる前記不使用ゲーム媒体以外の前記所有ゲーム媒体に対して及ぶ効果を有する
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
それぞれのプレイヤが所有する所有ゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、
前記所有ゲーム媒体のうちから、それぞれの前記プレイヤがゲームで使用する少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、
前記準備処理部で選択された少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理部と、を備え、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記所有ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記準備処理部が、前記使用状況に関する前記データに含まれる前記所有ゲーム媒体の選択確率に基づき
、前記選択確率が所定の判別基準に満たない前記プレイヤごとの不使用ゲーム媒体を判別し、前記プレイヤが自身の前記所有ゲーム媒体を使用する通常ゲームの実行に際して前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記通常ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定
し、
前記特典の内容、又は、前記ゲームの単位に応じて複数の前記判別基準が設定されている情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータに
それぞれのプレイヤが所有する所有ゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部から前記所有ゲーム媒体の情報を読み出す処理と、
前記所有ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体をそれぞれの前記プレイヤに選択させる準備処理と、
前記準備処理で選択された少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理と、を実行させる情報処理プログラムであり、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記所有ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記使用状況に関する前記データに含まれる前記所有ゲーム媒体の選択確率に基づき
、前記選択確率が所定の判別基準に満たない前記プレイヤごとの不使用ゲーム媒体を判別する処理と、前記プレイヤが自身の前記所有ゲーム媒体を使用する通常ゲームの実行に際して前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記通常ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する処理と、を前記準備処理において前記コンピュータに実行させ、
前記特典の内容、又は、前記ゲームの単位に応じて複数の前記判別基準が設定されている情報処理プログラム。
【請求項11】
コンピュータが、
それぞれのプレイヤが所有する所有ゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部から前記所有ゲーム媒体の情報を読み出す処理と、
前記所有ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体をそれぞれの前記プレイヤに選択させる準備処理と、
前記準備処理で選択された少なくとも1つの前記所有ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理と、を実行する情報処理方法であり、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記所有ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記コンピュータが、前記使用状況に関する前記データに含まれる前記所有ゲーム媒体の選択確率に基づき
、前記選択確率が所定の判別基準に満たない前記プレイヤごとの不使用ゲーム媒体を判別する処理と、前記プレイヤが自身の前記所有ゲーム媒体を使用する通常ゲームの実行に際して前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記通常ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する処理と、を前記準備処理において実行
し、
前記特典の内容、又は、前記ゲームの単位に応じて複数の前記判別基準が設定されている情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処プログラム、および、情報処理方法、特に、ゲームにおける情報処理を実行する情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラム、および、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等のプレイヤ端末で実行可能なゲームとして、多数のアイテムやキャラクタなどのゲーム媒体を使用するゲームが知られている。このようなゲームでは、ゲーム媒体の獲得および収集が、ゲームに対する興趣を生み出す要素となりえる。そのため、該ゲームに関する技術分野では、これまで、ゲーム媒体の獲得に対するプレイヤの意欲を喚起するような様々な試みが提案されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1は、新たに追加されたゲーム媒体を試すことができる練習モードを開示している。特許文献1によれば、新たに追加されたゲーム媒体の魅力を、練習モードを通じてプレイヤに伝えることで、該ゲーム媒体を獲得したいというプレイヤの意欲を喚起することができる。また、特許文献2では、有償または無償のゲーム内通貨を使用してゲーム媒体を獲得するための抽選システム(所謂、ガチャ)が開示されている。このような抽選システムでプレイヤの射幸心を煽ることで、プレイヤの意欲の向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-041190号公報
【文献】特開2019-198727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、上記のような技術を適用して、ゲーム媒体への獲得意欲を喚起したとしても、プレイヤがゲームで使用するゲーム媒体を選択する際には、そのプレイヤの選択に偏りが生じることがある。ゲームで使用されるゲーム媒体の偏りは、ゲーム媒体の特性(たとえば、キャラクタの強さを表すパラメータ)やレアリティのみならず、プレイヤごとの嗜好などにも起因すると考えられる。そして、ゲームで使用するゲーム媒体に偏りが生じると、プレイヤがゲームに飽きてしまうなど、ゲームに対するプレイヤの興趣が低下することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされ、本発明における例示的な実施形態の目的は、ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラム、および、情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る情報処理システムは、
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、
前記ゲーム媒体のうちから、それぞれの前記プレイヤがゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、
前記準備処理部で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理部と、を備え、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記準備処理部が、前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別し、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する。
【0008】
情報処理システムが、上記の特徴を有することで、不使用ゲーム媒体を活用する機会を創出することができ、ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる。
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、
前記ゲーム媒体のうちから、それぞれの前記プレイヤがゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、
前記準備処理部で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理部と、を備え、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記準備処理部が、前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別し、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する。
【0010】
情報処理装置が、上記の特徴を有することで、不使用ゲーム媒体を活用する機会を創出することができ、ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る情報処理プログラムは、
コンピュータに
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部から前記ゲーム媒体の情報を読み出す処理と、
前記ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体をそれぞれの前記プレイヤに選択させる準備処理と、
前記準備処理で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理と、を実行させる情報処理プログラムであり、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別する処理と、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する処理と、を前記準備処理において前記コンピュータに実行させる。
【0012】
情報処理プログラムが、上記の特徴を有することで、不使用ゲーム媒体を活用する機会を創出することができ、ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係る情報処理方法は、
コンピュータが、
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部から前記ゲーム媒体の情報を読み出す処理と、
前記ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体をそれぞれの前記プレイヤに選択させる準備処理と、
前記準備処理で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理と、を実行する情報処理方法であり、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記コンピュータが、前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別する処理と、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する処理と、を前記準備処理において実行する。
【0014】
情報処理方法が、上記の特徴を有することで、不使用ゲーム媒体を活用する機会を創出することができ、ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すサーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すプレイヤ端末の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図3に示すゲーム情報記憶部に記憶されているゲーム情報の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図3に示すプレイヤ情報記憶部の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すプレイ履歴情報の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図3に示す特典情報記憶部に記憶されている特典情報の一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、ゲームで使用するゲーム媒体の選択を受け付ける際の画面インターフェースの一例を示す概略図である。
【
図11A】
図11Aは、
図3に示す準備処理部が実行する処理の概略を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図11B】
図11Bは、
図3に示す準備処理部が実行する処理の概略を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図12】
図12は、デッキを編成する際の処理の概略を説明するためのブロック図である。
【
図13】
図13は、ゲームで使用するデッキの選択を受け付ける際の画面の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態に係る情報処理システム10は、インターネット網などのネットワークNを介して、ゲームに関する各種サービス(以下ゲームサービスと称する)を、プレイヤ3に提供するためのシステムである。
【0018】
情報処理システム10において提供するゲームは、ゲーム媒体を利用するゲームであればよく、提供されるゲームのカテゴリは特に限定されない。たとえば、情報処理システム10において提供するゲームのカテゴリは、対戦ゲーム、パズルゲーム、アクションゲーム、野球ゲーム、サッカーゲーム、その他スポーツゲーム、クイズゲーム、ピンボールゲーム、カードゲーム、リズムゲーム、RPG(ロールプレイングゲーム)、位置情報ゲーム、ボードゲーム、アドベンチャーゲーム、カジノゲーム、シミュレーションゲーム、ストラテジーゲーム、もしくは、レーシングゲーム等であってもよい。
【0019】
ここで、「ゲーム媒体」とは、プレイヤ3がゲーム内で使用する電子データの総称である。たとえば、カード、キャラクタ、アバター、武器、防具、および、その他のアイテムなどが、ゲーム媒体に該当する。以下の説明では、ゲーム媒体がキャラクタである場合を想定するが、ゲーム媒体の対象はキャラクタに必ずしも限定されない。また、本実施形態における以下の説明では、一部のゲーム媒体を「所有ゲーム媒体」と記載する場合があり、「所有ゲーム媒体」とは、それぞれのプレイヤ3が、任意の入手方法によって獲得し、所有しているゲーム媒体を意味するものとする。
【0020】
情報処理システム10で提供するゲームでは、所有ゲーム媒体の中から、ゲーム単位ごとに該ゲームで使用する少なくとも1つのゲーム媒体をプレイヤ3に選択させて、該ゲームを実行する。このようなゲームには、少なくとも1つのデッキをプレイヤ3に選択させて実行するゲームが含まれる。デッキを使用するゲームでは、ゲームを実行する前に、所有ゲーム媒体の中から複数のゲーム媒体を選択させることで、プレイヤ3にデッキを編成させる。
【0021】
なお、「ゲーム単位」とは、ゲームの一つのまとまりを意味し、「ゲーム単位」は、クエスト、イベント、ミッション、コース、ストーリー、シナリオ、チャプター、ダンジョン、ステージ、戦闘、および、対戦などの用語で換言することができる。情報処理システム10で提供するゲームには、「通常ゲーム」と「特別ゲーム」が含まれていてもよい。「通常ゲーム」は、ゲームの実行可能期間、および/または、実行可能回数といった制限がかけられることなく、すべてのプレイヤ3が、ゲームの進捗状況に応じて、プレイヤ自身の所有ゲーム媒体を使って実行可能なゲームを意味する。一方、「特別ゲーム」は、通常ゲーム以外のゲームを意味し、たとえば、実行可能期間、および/または、実行可能回数といった制限がかけられたゲーム、および、各プレイヤ3が所有していないゲーム媒体を使用して実行するゲームなどが含まれる場合がある。
【0022】
本実施形態に係る情報処理システム10では、各プレイヤ3の所有ゲーム媒体のうちから、プレイヤ3ごとの所有ゲーム媒体の使用実績に応じて定まる不使用ゲーム媒体を特定し、プレイヤ3が不使用ゲーム媒体を使用してゲームを実行する場合に、特典を付与する。「不使用ゲーム媒体」とは、所定の判別基準に基づいて、所有者による使用度合が低いと判断される所有ゲーム媒体、および/または、所定の判別基準に基づいて、所有者による不使用度合が高いと判断される所有ゲーム媒体、を意味する。
【0023】
次に、情報処理システム10の各部の具体的な構成について、説明する。
【0024】
情報処理システム10は、
図1に示すように、少なくとも1つのサーバ20、および、複数のプレイヤ端末30を主要構成として備える。これらの主要構成は、ネットワークNを介して互いにアクセス可能に接続される。
【0025】
サーバ20は、ゲームサービスを運営および管理する際に利用する情報処理装置であって、ゲームサービスを提供する事業者1に配備されている。情報処理装置としてのサーバ20は、たとえば、ワークステーションもしくはパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータであってもよく、クラウドコンピューティング技術により構築されていてもよい。
【0026】
サーバ20は、
図2に示すように、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24、入出力部25、およびバス26を有する。
【0027】
プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)、および/または、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置を含み、サーバ20全体の制御、および、サーバ20の各要素間におけるデータの送受信の制御を行う。また、プロセッサ21は、後述するストレージ23に格納されているアプリケーションプログラムを実行して、ゲームサービスの提供に必要な各種演算処理を行う。
【0028】
メモリ22は、RAM(Random Access Memory)およびVRAM(Video Random Access Memory)などの揮発性記憶装置であり、書き換え可能な記憶領域を有する。このメモリ22は、プロセッサ21による演算処理の作業領域として使用される。また、サーバ20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)等が、メモリ22に格納されてもよい。
【0029】
ストレージ23は、不揮発性記憶装置であり、ストレージ23に適用可能な不揮発性記憶装置としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、および、ハードディスクなどが挙げられる。ストレージ23は、読取専用の記憶領域を有しており、ゲームサービスの提供に必要な各種アプリケーションプログラム、および、各種情報が、ストレージ23に格納されている。
【0030】
送受信部24は、サーバ20をネットワークNに接続するための通信インターフェースであり、プレイヤ端末30から送信される各種データや信号を受信する受信部としての機能と、プロセッサ21の指令に応じて各種データや信号をプレイヤ端末30に送信する送信部としての機能を有する。なお、送受信部24は、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備していてもよい。
【0031】
入出力部25は、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル、ディスプレイ、および、スピーカなどの入出力機器が接続される入出力インターフェースである。
【0032】
バス26は、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24、および、入出力部25の相互間を電気的に接続する。また、バス26は、接続したプロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24及び入出力部25の間において、アドレス信号、データ信号、および、各種の制御信号などを伝達する。
【0033】
図3は、サーバ20の機能的構成を説明するためのブロック図である。
図3に示すように、サーバ20は、少なくとも制御部200および記憶部220を備える。
【0034】
サーバ20の制御部200は、情報処理システム10で提供するゲームを制御する構成要素であって、ゲームサービスの提供に必要な各種情報処理を行う機能を有する。制御部200の該機能は、プロセッサ21がストレージ23に格納されている情報およびアプリケーションプログラムを読み出し、メモリ22の作業領域で各種プログラムを実行することで実現される。制御部200は、実行する情報処理の種類に応じた複数の機能部を有する。具体的に、制御部200は、機能部として、少なくとも、準備処理部201およびゲーム処理部202を備え、その他に、使用状況算出部203、特典付与部204、および、デッキ編成部205などを備えていてもよい。各機能部については、追って詳述する。
【0035】
サーバ20の記憶部220は、ストレージ23の記憶領域に相当し、記憶部220には、制御部200による各種情報処理に必要な情報が格納されている。記憶部220は、記憶する情報の種類に応じて区画された複数の領域を有する。具体的に、記憶部220は、少なくともゲーム情報記憶部221およびプレイヤ情報記憶部222を有し、その他に、特典情報記憶部223などを有していてもよい。各記憶部で記憶されている情報については、追って詳述する。
【0036】
情報処理システム10における各プレイヤ端末30は、事業者1が提供するゲームサービスを利用する各プレイヤ3に保有されている。プレイヤ端末30は、プレイヤ3が所持し利用することができる情報処理装置であればよく、特に限定されない。たとえば、スマートフォン、携帯電話端末、ゲーム専用の端末、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、もしくは、デスクトップ型コンピュータなどを、プレイヤ端末30として利用することができる。
【0037】
図4は、プレイヤ端末30の構成の概略を説明するブロック図である。
図4に示すように、プレイヤ端末30は、少なくとも制御部31および表示部32を備える。
【0038】
プレイヤ端末30の制御部31は、表示部32を構成するディスプレイやカメラ(図示せず)などのプレイヤ端末30の各部を制御するために必要な要素を含んでいる。たとえば、制御部31は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、送受信部などを含む。この制御部31には、ゲームアプリケーション、あるいは、ウェブサイトを閲覧可能なブラウザが格納されている。情報処理システム10で提供するゲームは、サーバ20の制御部200による各種情報処理に基づいて、ゲームアプリケーションあるいはブラウザを介してプレイヤ端末30において実行される。
【0039】
表示部32は、プレイヤ端末30で実行されるゲームの画面インターフェースを表示するためのディスプレイである。ディスプレイとしての表示部32は、表示面への接触によりプレイヤ3からの情報の入力を受け付けるタッチパネルであってもよい。この場合、タッチパネルは、抵抗膜方式または静電容量方式などでプレイヤ端末30に実装され、ゲーム実行時におけるプレイヤ3による操作情報(以下、プレイヤ操作情報D4)がタッチパネルとしての表示部32を介して入力される。
【0040】
なお、プレイヤ操作情報D4の入力方法は、タッチパネルを介した入力に限定されない。たとえば、プレイヤ操作情報D4は、キーボードやマイクなどを介して入力されてもよい。また、プレイヤ端末30が、タッチパネルに加えて物理ボタンを有していてもよいし、該プレイヤ端末30の背面(ディスプレイに対して裏側)に対する接触操作を受け付ける構成を有していてもよく、このような構成を介してプレイヤ操作情報D4が入力されてもよい。
【0041】
また、
図3に示すような各種機能部(201~205)の一部または全部が、プレイヤ端末30の制御部31に備わっていてもよい。この場合、各機能部による処理に必要なアプリケーションプログラムが、プレイヤ端末30に送付され、各機能部による情報処理がプレイヤ端末30上で実行されてもよい。
【0042】
次に、情報処理システム10における記憶部220の各構成について詳述する。
【0043】
記憶部220のゲーム情報記憶部221は、ゲーム単位ごとの設定情報、ゲーム媒体の情報、背景画像、イベント情報などのゲームに関する基本的な情報を記憶し、格納している。たとえば、複数のステージが設定されたバトルRPGゲームの場合、ゲーム単位ごとの設定情報は、各ゲーム単位を識別するための識別子であるステージIDと、該ステージIDに紐づけられた、ステージ名、敵キャラクタ情報、消費スタミナ情報などを含んでいてもよい。提供するゲームが特別ステージや特別イベントなどの特別ゲームを含む場合には、特別ゲームごとの設定情報には、上記のような情報に加えて、特別ゲームを実施するための条件(たとえば、実施可能期間や実施可能回数など)に関する情報が含まれていてもよい。
【0044】
ゲーム情報記憶部221に格納されているゲーム媒体の情報は、プレイヤ3と関連付けられていないゲーム媒体の設定情報である。たとえば、ゲーム媒体がキャラクタの場合には、プレイヤ3が取得可能でプレイヤ3による操作対象となるキャラクタ、ゲーム内でプレイヤ3の仲間となるキャラクタ、プレイヤ3と対戦する敵キャラクタなどの情報が含まれる。
図5は、ゲーム媒体の設定情報の一例である。
図5に示すように、ゲーム媒体の設定情報には、ゲーム媒体ごとのID(キャラクタIDなどの、各ゲーム媒体を識別するための識別子)と、ゲーム媒体IDと紐づけられた、名称(キャラクタ名)、画像データ、分類情報(属性等)、ゲーム媒体の特性値(攻撃力、防御力、体力、攻撃の命中率、スキルの発動率、クリティカルの発生率、および回避成功率などを含む)を示す初期パラメータ、ゲーム媒体が習得可能なスキル、入手方法、入手確率、ゲーム媒体の特徴に関するテキストデータなどの情報が含まれていてもよい。
【0045】
プレイヤ情報記憶部222は、ゲームサービスを利用する各プレイヤ3に関連付けられた情報を記憶し、格納している。
図6は、プレイヤ情報記憶部222の構成の一例を示しており、プレイヤ情報記憶部222は、
図6に示すように、アカウント情報D1、プレイ履歴情報D2、所有ゲーム媒体の情報D3、および、デッキ情報D4などを含む。
【0046】
アカウント情報D1には、たとえば、プレイヤID(各プレイヤ3を特定するための識別子)と、プレイヤIDと紐づけられた、プレイヤ名、ゲームサービスへの登録日、プレイヤレベル、決済手段、および、その他各種設定情報などが含まれていてもよい。
【0047】
プレイ履歴情報D2は、各プレイヤ3がゲームサービスを利用することで蓄積される情報(後述する所有ゲーム媒体の情報D3を除く)である。たとえば、プレイ履歴情報D2は、
図7に示すように、プレイヤ3が最も直近でゲームサービスにログインした日時(最新ログイン日)に関する情報、最新ログイン日の前にプレイヤ3がゲームサービスにログインした日時(前回ログイン日)、ログアウト情報、および、前回ログイン日と最新ログイン日の間隔であるログイン間隔などのログイン履歴を含んでいてもよい。また、プレイ履歴情報D2は、ゲーム単位ごとの実行回数、クリア回数、初回クリア履歴(初めてゲームをクリアした日時など)、最新クリア履歴(最も直近でゲームをクリアした日時など)、合計プレイ時間、および、ゲームの合計実行回数(通常ゲームの合計実行回数、特別ゲームの合計実行回数、通常ゲームと特別ゲームとを合わせた合計実行回数)などの情報を含んでいてもよい。
【0048】
所有ゲーム媒体の情報D3は、各プレイヤ3が所有するゲーム媒体に関する情報であって、たとえば、各所有ゲーム媒体の取得履歴に関する情報(所有ゲーム媒体を取得した方法、取得日時、所有期間などの情報を含む)、各所有ゲーム媒体の特性データD3a、プレイヤ3ごとの所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータ(D3b,D3c)、および、各プレイヤ3の所有ゲーム媒体の総数などの情報を含む(
図6参照)。
【0049】
上記のような所有ゲーム媒体の情報D3には、所有者のプレイヤIDが紐づけられており、所有ゲーム媒体の情報D3がプレイヤ3ごとに管理されている。たとえば、一のプレイヤ3が任意の入手方法でゲーム媒体を獲得した場合、該ゲーム媒体に対して一のプレイヤ3のIDを付し、該ゲーム媒体の情報をプレイヤ情報記憶部222に記憶させる。これにより、プレイヤIDとゲーム媒体IDとが関連付けられ、各プレイヤ3の各所有ゲーム媒体を一意に特定できる。なお、各プレイヤ3が同種のゲーム媒体を複数、所有することが可能であってもよく、その場合には、プレイヤIDと、ゲーム媒体IDと、同種のゲーム媒体を区別するための識別番号とを関連付けて、各プレイヤ3の各所有ゲーム媒体を一意に特定できるようにしてもよい(たとえば
図8A~
図8B)。また、各プレイヤ3がゲーム媒体を取得した際に、プレイヤIDおよび該ゲーム媒体のIDに基づく新たな識別IDを発行し、その発行した識別IDに基づいて、プレイヤ3ごとの所有ゲーム媒体を特定できるようにしてもよい。
【0050】
なお、ゲーム媒体の入手方法は、特に限定されない。たとえば、ゲーム媒体は、ガチャなどの抽選手段、ゲームクリアによる報酬、ゲーム内で消費する有償もしくは無償の消費媒体との交換、および、2以上のゲーム媒体の合成、などの方法でプレイヤ3に付与されてもよい。
【0051】
図8Aは、所有ゲーム媒体の特性データD3aの一例を示している。特性データD3aには、各所有ゲーム媒体の成長度合を表す情報(キャラクタレベルなど)、攻撃力、防御力、体力などの成長度合に応じたパラメータに関する情報、各所有ゲーム媒体が習得済みのスキルに関する情報などが含まれていてもよい。なお、特性データD3は、所有ゲーム媒体の特性がゲームでの使用実績に伴って更新される場合(たとえば、ゲーム媒体がゲームでの使用によって成長する場合)に記録されるデータである。ゲーム媒体の特性が更新されないゲーム仕様の場合には、
図8Aに示すような特性データD3aが、プレイヤ情報記憶部222に格納されていなくともよい。
【0052】
所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータは、プレイヤ3が所有ゲーム媒体を使用することで、プレイヤ3ごとに定まる(蓄積される)情報である。所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータには、後述する不使用ゲーム媒体を特定する際の評価対象となる評価対象データD3bが含まれ、その評価対象データD3bに関連する統計データD3cが含まれていてもよい。評価対象データD3bは、使用度合または不使用度合を表す数値である。「使用度合」とは、各所有ゲーム媒体が所有者であるプレイヤ3によってゲームで使用されている程度を意味し、「不使用度合」とは、各所有ゲーム媒体が所有者であるプレイヤ3によってゲームで使用されていない状態の程度を意味する。不使用ゲーム媒体を特定する際には、使用度合を表す数値および不使用度合を表す数値の両方を評価対象データD3bとして用いてもよい。
【0053】
図8Bに示すデータが、所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータの一例であって、
図8Bでは、評価対象データとして、使用度合を表す「使用回数」および「使用回数に関する各所有ゲーム媒体の順位」と、不使用度合を表す「不使用期間」および「不使用期間に関する各所有ゲーム媒体の順位」と、を例示している。使用度合を表す評価対象データD3bは、大きい値もしくは高い水準(順位)であるほど使用度合が高いことを表す。一方、不使用度合いを表す評価対象データD3bは、大きい値もしくは高い水準(順位)であるほど不使用度合が高いことを表す。
【0054】
使用度合または不使用度合を表す評価対象データD3bとしては、
図8Bに示す例の他に、各所有ゲーム媒体のゲーム実行時の選択確率、選択確率に関する各所有ゲーム媒体の順位、および、使用回数および/または不使用期間に基づいて算出される使用状況指数などが挙げられる。プレイヤ情報記憶部222には、少なくとも1種類の評価対象データ3Dbが記憶されており、複数種類の評価対象データD3bが記憶されていてもよい。
【0055】
なお、「不使用期間」とは、各所有ゲーム媒体がゲームで使用されていない期間であって、取得日時(所有者であるプレイヤ3が各所有ゲーム媒体を取得した日時)または最終使用日時(所有者であるプレイヤ3が各所有ゲーム媒体を最後に使用した日時)から現在日時までの期間を意味する。取得後に一度も使用されていない所有ゲーム媒体については、取得日時から現在日時までの期間を該所有ゲーム媒体の不使用期間として算出すればよく、過去に一度でも使用された履歴がある所有ゲーム媒体については、最終使用日時から現在日時までの期間を該所有ゲーム媒体の不使用期間として算出すればよい。
【0056】
また、「選択確率」とは、ゲームの実行時にゲームで使用する所有ゲーム媒体を選択する際に、所有者であるプレイヤ3によって各所有ゲーム媒体が選択される確率を意味する。この選択確率は、たとえば、以下の(1)または(2)に基づいて算出すればよく、より正確に選択確率を算出する観点では、(2)を採用することが好ましい。
(1)選択確率(%)=(各所有ゲーム媒体の使用回数/所有ゲーム媒体の使用回数の合計)×100
(2)選択確率(%)=(各所有ゲーム媒体の使用回数/所有期間中において所有者であるプレイヤ3がゲームを実行した合計回数)×100
【0057】
また、各所有ゲーム媒体の「順位」とは、所有ゲーム媒体を所定の数値データ(使用回数、不使用期間、選択確率)に応じて降順(使用回数が多い順、不使用期間が長い順、選択確率が高い順)に並べた場合の順位であってもよいし、昇順(使用回数が少ない順、不使用期間が短い順、選択確率が低い順)に並べた場合の順位であってもよい。降順で示す使用回数の順位、降順で示す選択確率の順位、および、昇順で示す不使用期間の順位は、使用度合が高いほど高い水準(順位)を示すため、使用度合を表す評価対象データD3bに該当する。逆に、昇順で示す使用回数の順位、昇順で示す選択確率の順位、および、降順で示す不使用期間の順位は、不使用度合が高いほど高い水準(順位)を示すため、不使用度合を表す評価対象データD3bに該当する。
【0058】
「使用状況指数」は、使用回数および/または不使用期間と、少なくとも1つのその他のデータと、を用いて算出される数値である。その他のデータとしては、たとえば、各所有ゲーム媒体の所有期間(取得日時から現在日時までの期間)、所有者であるプレイヤ3のログイン履歴、ゲームの合計実行回数、使用回数に関する統計量、不使用期間に関する統計量、プレイヤ3ごとの所有ゲーム媒体の総数、および、各プレイヤが所有可能なゲーム媒体の数(所有数の制限値)などが挙げられる。プレイヤ情報記憶部222における所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータには、上記のようなその他のデータが評価対象データD3bに付随して、記憶されていてもよい。なお、「統計量」には、たとえば、合計値、平均値、中央値、最頻値、最小値、および、最大値などが含まれ、これら統計量は、各所有ゲーム媒体の使用回数、または、各所有ゲーム媒体の不使用期間を母集団として、プレイヤ3ごとに算出される。
【0059】
前述した選択確率も使用度合を表す使用状況指数に該当し、選択確率以外の使用状況指数として、たとえば、以下の(1)~(12)が挙げられる。(1)~(12)に示す使用状況指数はあくまでも例示であって、使用状況指数には(1)~(12)以外の表現が含まれえる。
(1)使用状況指数(単位:日数)=不使用期間-ログイン間隔
(2)使用状況指数(単位なし)=不使用期間/所有期間
(3)使用状況指数(単位:日数)=不使用期間-不使用期間に関する統計量(平均値、中央値、もしくは、最頻値など)
(4)使用状況指数(単位なし)=不使用期間/不使用期間に関する統計量(合計値、平均値、中央値、もしくは、最頻値など)
(5)使用状況指数(単位なし)=不使用期間の最大値/不使用期間
(6)使用状況指数(単位なし)=不使用期間に関する順位/所有ゲーム媒体の総数
(7)使用状況指数(単位なし)=不使用期間に関する順位/所有数の制限値
(8)使用状況指数(単位:回数)=使用回数-使用回数に関する統計量(平均値、中央値、もしくは、最頻値など)
(9)使用状況指数(単位なし)=使用回数/使用回数に関する統計量(合計値、平均値、中央値、もしくは、最頻値など)
(10)使用状況指数(単位なし)=使用回数の最大値/使用回数
(11)使用状況指数(単位なし)=使用回数に関する順位/所有ゲーム媒体の総数
(12)使用状況指数(単位なし)=使用回数に関する順位/所有数の制限値
【0060】
図8Cは、統計データD3cの一例である。統計データD3cは、各プレイヤ3の所有ゲーム媒体の評価対象データD3bを母集団として、プレイヤ3ごとに算出される情報であって、
図8Cに示すようにプレイヤIDと関連付けられて管理されている。統計データD3cは、各プレイヤ3が所有するゲーム媒体の総数、使用回数に関する統計量、および、不使用期間に関する統計量などが含まれていてもよく、その他に、順位統計量、使用回数の度数分布、不使用期間の度数分布、各度数分布の相対度数および累積相対度数などが含まれていてもよい。
【0061】
上記の統計データD3cは、前述のとおり使用状況指数を算出する際に用いられてもよいし、後述する判別基準として用いられてもよい。
【0062】
デッキを編成してゲームを実行する場合には、
図6に示すようにプレイヤ情報記憶部222にデッキ情報D4が含まれていてもよい。各プレイヤ3が所有ゲーム媒体のうちから複数のゲーム媒体を選択してデッキを編成すると、編成したデッキに識別IDが付されてプレイヤ情報記憶部222に保存される。こうして保存されたデッキ情報D4には、デッキごとのIDと紐づけて、デッキの名前、デッキを編成したプレイヤ3のID、デッキを編成した日時、デッキを構成する各所有ゲーム媒体のID、および、各デッキの使用状況に関するデータなどが含まれていてもよい。また、デッキ情報D4には、デッキを構成する各所有ゲーム媒体の評価対象データD3bの合計、平均値などのその他統計量が含まれていてもよい。
【0063】
記憶部220は、上記のゲーム情報記憶部221およびプレイヤ情報記憶部222の他に、少なくとも1つの判別基準に関する情報、および、少なくとも1つの特典情報を含む。
【0064】
判別基準は、不使用ゲーム媒体を特定するための基準であって、後述する特典の付与条件でもある。判別基準は、評価対象データD3bの種類に応じて設定される。たとえば、評価対象データD3bが使用度合を表す場合、判別基準は、不使用ゲーム媒体とそれ以外の所有ゲーム媒体とを区分けする基準値に、「以下」または「未満」を修飾することで、設定される。一方、評価対象データD3bが不使用度合を表す場合、判別基準は、不使用ゲーム媒体とそれ以外の所有ゲーム媒体とを区分けする基準値に、「以上」または「超過」を修飾することで、設定される。
【0065】
なお、不使用ゲーム媒体は2種類の評価対象データD3bを用いることで特定されてもよい。この場合、判別基準は、「使用回数が10回未満で、かつ、不使用期間が10日以上」のように、2種類の評価対象データD3bそれぞれに対応する2つの基準値を用いて表現される。また、判別基準には、未使用の所有ゲーム媒体が不使用ゲーム媒体の対象外となるような条件(たとえば、使用回数が0回の所有ゲーム媒体を除くなど)が追加されてもよい。
【0066】
判別基準は、すべてのプレイヤ3に共通する基準であってもよいし、各プレイヤ3の所有ゲーム媒体の使用状況に応じてプレイヤ3ごとに設定される個別の基準であってもよい。すべてのプレイヤ3に共通する基準は、たとえば、「使用回数が10回未満」および「不使用期間が10日以上」などのように、すべてのプレイヤ3に対して一律に適用される基準値である。一方、個別の基準は、
図8Cに示す統計量のようなプレイヤ3ごとに定まる数値を用いる基準であって、たとえば、「使用回数が平均値未満」、「使用回数の順位が順位統計量の中央値以下」、「不使用期間が平均値超過」、および、「不使用期間の順位が順位統計量の中央値以上」などのように表される基準が該当する。
【0067】
すべてのプレイヤ3に共通の判別基準を設定する場合は、演算処理が簡便であるものの、設定する基準値によっては、不使用ゲーム媒体に該当する所有ゲーム媒体の数が限られ、ゲームの利用頻度が高いプレイヤ3ほど不使用ゲーム媒体による特典が利用できないことも想定される。一方、個別の判別基準を設定する場合は、演算処理が共通の判別基準の場合より複雑になるものの、常に一定数の不使用ゲーム媒体を確保でき、特典の獲得機会の公平性が高まる場合がある。
【0068】
判別基準は少なくとも1つ設定されていればよいが、特典の内容に応じて異なる判別基準を設定してもよいし、ゲーム単位に応じて異なる判別基準を設定してもよいし、ゲーム媒体ごとに異なる判別基準を設定してもよい。このように複数の判別基準を設定する場合には、判別基準のリストが記憶部220に記憶されていてもよい。また、特典の内容に応じて異なる判別基準を設定する場合の判別基準は、後述する特典情報記憶部223において、特典情報と関連付けられて記憶されていてもよい。同様に、ゲーム単位に応じて異なる判別基準を設定する場合の判別基準は、ゲーム情報記憶部221において、ゲーム単位ごとの設定情報と関連付けられて記憶されていてもよく、ゲーム媒体ごとに異なる判別基準を設定する場合の判別基準は、ゲーム情報記憶部221においてゲーム媒体の設定情報と関連付けられて記憶されていてもよい。
【0069】
特典情報記憶部223には、不使用ゲーム媒体がゲームで使用される場合に付与される特典に関する情報が記憶され、格納されている。ここで「特典」とは、ゲーム内もしくは現実世界においてプレイヤ3にとって利益になるものであればよく、必ずしも限定されない。たとえば、特典の内容としては、ゲーム媒体の各パラメータの上昇、スキル効果の上昇、ゲーム媒体の獲得経験値の上昇、敵キャラクタの各パラメータの低下、および、敵キャラクタの行動制限など、ゲーム媒体を対象として効果が発現する特典が挙げられる。また、ゲーム進行中またはゲームクリア時に獲得可能な媒体(たとえば、ゲーム媒体(アイテム等)、消費媒体(通貨、石、ポイントを含む)、および、プレイヤ経験値など)のドロップ率や獲得率を上昇させる特典が挙げられる。その他、ゲーム内の各種制限の解除(各種機能を実行する権利の付与)、各種抽選で有利となる特典、特殊イベント発生率の上昇、特殊イベントに関するチケットの付与、および、現実世界で付与されるプレゼント等と交換可能なチケット、などのゲームクリア後に付与される特典が挙げられる。
【0070】
特典情報記憶部223には、少なくとも1つの特典情報が記憶されていればよいが、
図8Cに示すように複数の特典情報が記憶されていてもよい。特典情報記憶部223に記憶される特典情報には、たとえば、特典を識別するためのIDと、該特典IDと紐づけられた、特典の内容、判別基準、および、その他の追加条件となる付与対象に関する情報などが、含まれていてもよい。
【0071】
図8Cに示すB02およびB03の特典のように、不使用ゲーム媒体の使用によって付与される特典は、評価対象データが示す使用度合もしくは不使用度合に応じて、効果が変動する特典であってもよい。「効果が変動する」とは、不使用度合が高いほど有利な効果が得られること、もしくは、使用度合が低いほど有利な効果が得られることを意味する。
【0072】
また、不使用ゲーム媒体の使用によって付与される特典には、評価対象データD3bに対する判別基準の他に、特典の付与対象を制限するような追加条件が設定されていてもよい。たとえば、
図8CのB01~B03の特典に示す「ログイン間隔が10日未満」のように、プレイヤ3のプレイ履歴に関する追加条件が設定されていてもよい。
【0073】
また、
図8CのB03の特典に示すように、特典が付与される対象期間を制限する追加条件が設定されていてもよい。また、
図8CのB04の特典に示すように、特典が付与されるプレイヤ3を制限する追加条件が設定されていてもよい。付与対象のプレイヤ3を制限する場合、プレイヤ3のレベル、もしくは、プレイヤ3によるゲームの継続期間(登録日から現在日時までの期間)などに基づいて、特典の対象となるプレイヤ3を設定してもよい。また、
図8CのB04~B07の特典に示すように、特典が付与される対象ゲームを制限する追加条件が設定されていてもよい。換言すると、実行するゲームの種類に応じて特典の内容を変更してもよい。上記のように追加条件を用いて複数の特典を設定することで、ゲームの興趣がより高まる場合がある。
【0074】
ゲーム媒体に対して効果が発現する特典(各パラメータ、スキル、もしくは、獲得経験値に関する特典など)については、特典付与の対象となるゲーム媒体を制限してもよい。たとえば、特典付与の対象を、特典付与時のゲームで使用した不使用ゲーム媒体のみに限定してもよいが、不使用ゲーム媒体以外のゲーム媒体(敵キャラクタ、もしくは、味方キャラクタなどの不使用ゲーム媒体と共に使用される所有ゲーム媒体)を特典付与の対象としてもよく、不使用ゲーム媒体および一部の所有ゲーム媒体を特典付与の対象としてもよく、特典付与時のゲームで使用するすべての所有ゲーム媒体を特典付与の対象としてもよい。たとえば、不使用ゲーム媒体を含むデッキを使用してゲームを実行した場合の特典は、「不使用キャラクタ(不使用ゲーム媒体)と同じ属性のキャラクタの攻撃力上昇」、「デッキを構成するすべてのキャラクタの獲得経験値上昇」などであってもよい。
【0075】
特典の効果が、不使用ゲーム媒体以外の所有ゲーム媒体にも及ぶことで、不使用ゲーム媒体を用いて、他の所有ゲーム媒体の育成や強化を図ることができる。また、不使用ゲーム媒体の活用の機会がより広がったり、不使用ゲーム媒体を活用することに対するプレイヤ3の意欲が高まったりすることが期待できる。
【0076】
不使用ゲーム媒体を含むデッキを使用してゲームを実行した場合の特典は、デッキを構成する各所有ゲーム媒体の評価対象データD3bの合計値などの統計量に応じて、効果が変動する特典であってもよい。この場合、「効果が変動する」とは、たとえば、使用度合を示す評価対象データD3bの合計値が低いほど有利な効果が得られる場合、もしくは、不使用度合を示す評価対象データD3bの合計値が大きいほど有利な効果が得られる場合、などが例示される。また、不使用ゲーム媒体を含むデッキを使用する場合には、デッキ内に含まれる不使用ゲーム媒体の数または割合(デッキ中の不使用ゲーム媒体数/デッキに含まれる所有ゲーム媒体数)が大きいほど、有利な効果が付与されるように特典を設定してもよい。
【0077】
次に、制御部200の各機能部について、詳述する。
【0078】
準備処理部201は、所有ゲーム媒体を使用するゲームを実行する前に必要な各種情報処理を実行する。具体的に、準備処理部201は、各プレイヤ3が所有ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの所有ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける。
図10は、プレイヤ3による選択操作を受け付ける際に、プレイヤ端末30に表示される画面インターフェースの一例である。準備処理ブ201は、プレイヤ3からゲーム媒体の選択操作を実行する旨の指令を受け取ると、プレイヤ情報記憶部222に格納されている所有ゲーム媒体の情報D3を読み出す。そして、
図10に示すように、所有ゲーム媒体の一覧を含む画面インターフェースをプレイヤ端末30に表示する。プレイヤ3が画面インターフェースに表示された所有ゲーム媒体の一覧の中からゲームで使用する少なくとも1つのゲーム媒体を選択すると、準備処理部201は、プレイヤ3が選択した所有ゲーム媒体の情報を、後述するゲーム処理部202に伝達する。
【0079】
上記の選択操作の受付処理に付随して、準備処理部201は、不使用ゲーム媒体を特定する処理を実行する。不使用ゲーム媒体を特定する処理は、プレイヤ情報記憶部222に格納されているプレイヤ3ごとの所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータに基づき、所有ゲーム媒体に含まれる不使用ゲーム媒体を特定する処理である。具体的には、準備処理部201は、前述した判別基準に基づいて、評価対象データD3bが示す使用度合が低い(基準値以下または基準値未満)所有ゲーム媒体、および/または、評価対象データが示す不使用度合が高い(基準値以上または基準値超過)所有ゲーム媒体を、不使用ゲーム媒体と特定する。不使用ゲーム媒体を特定する際の判別基準は、前述のとおり、すべてのプレイヤに共通の基準であってもよく、各プレイヤ3の所有ゲーム媒体の使用状況に応じてプレイヤ3ごとに設定される個別の基準であってもよい。
【0080】
不使用ゲーム媒体の特定は、プレイヤ3による選択操作の前に実行してもよいし、選択操作の後で実行してもよい。プレイヤによる選択操作の前に不使用ゲーム媒体を特定した場合には、準備処理部201は、
図10に示すような画面インターフェースに、不使用ゲーム媒体の使用によって付与され得る特典の内容を表示する処理を実行してもよい。選択操作時の画面インターフェースに、特典の内容を表示することで、プレイヤ3に、不使用ゲーム媒体の使用を促すことができる。また、選択操作を受け付ける際の画面インターフェースでは、所有ゲーム媒体を使用度合または不使用度合の順序で並べて表示してもよい。また、プレイヤ3が不使用ゲーム媒体とその他の所有ゲーム媒体とを見分けやすいように、不使用ゲーム媒体の色を変えて、画面インターフェースに表示させてもよい。
【0081】
また、準備処理部201は、プレイヤ3による選択操作を受け付けた後で、プレイヤ3が選択した所有ゲーム媒体の中に不使用ゲーム媒体が含まれるか否かを判定する。そして、不使用ゲーム媒体が含まれると判定した場合に、不使用ゲーム媒体を使用してゲームを実行することに対する特典をプレイヤ3に付与することを決定する。
【0082】
準備処理部201が実行する情報処理には、上記の他に、プレイヤ3が実行するゲームの選択を受け付ける処理が含まれる。
【0083】
ゲーム処理部202は、情報処理部201で選択された少なくとも1つの所有ゲーム媒体を使用してゲームを実行する。ゲーム処理部202は、準備処理部201から伝達されるプレイヤ3が選択した所有ゲーム媒体の情報、および、プレイヤ端末30を介して通知されるプレイヤ3によるゲームの実行要求に基づき、プレイヤ端末30上でのゲームを実行する。ゲーム処理部202は、上記の他に、ゲームの実行および制御に必要な各種情報処理を実行する。
【0084】
不使用ゲーム媒体を使用することに対する特典は、ゲーム処理部202により、ゲーム開始時(実行時)、または、ゲーム終了時(クリア時)に付与されてもよい。また、特典付与部204が、準備処理部201で決定された特典を付与する処理を実行してもよい。
【0085】
なお、不使用ゲーム媒体による特典付与の対象となるゲームには、特別ゲームが含まれてもよいが、不使用ゲーム媒体の使用による特典は、特に、通常ゲームを対象として実行されることが好ましい。特別ゲームには、不使用ゲーム媒体による特典以外に、魅力や特別感が付されていることが通常であり、特別ゲーム自体の興趣を重視する観点から、特別ゲームを不使用ゲーム媒体による特典付与の対象外としてもよい。また、通常ゲームは、特別ゲームよりも日常的に実行される頻度が高いため、ゲームに対する飽きが発生しやすいとも考えられる。このような通常ゲームで、不使用ゲーム媒体による特典を付与することで、ゲームに対する興趣の向上がより効果的に発揮される場合がある。
【0086】
使用状況算出部203は、プレイヤ情報記憶部222に格納される評価対象データD3bおよび統計データD3cのような各所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータを算出および更新する処理を実行する。使用状況算出部203が使用状況に関するデータを算出および更新するタイミングは、特に限定されない。たとえば、プレイヤ情報記憶部222に新たな所有ゲーム媒体が追加されたタイミングで、該所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータを算出してもよい。もしくは、ゲーム単位ごとのプレイが終了した時点で、都度、使用状況算出部203によるデータの更新が実行されてもよい。また、毎日、決められた時刻に、使用状況算出部203によるデータの更新が実行されてもよい。
【0087】
デッキ編成部205は、プレイヤ端末30を介して、デッキの編成に関する処理を実行する。
図12は、デッキ編成部205で実行する処理の概要を説明するブロック図である。
図12に示すように、デッキ編成部205による情報処理では、各プレイヤ3が所有ゲーム媒体のうちから複数の所有ゲーム媒体を選択してデッキを編成する。デッキを構成する所有ゲーム媒体の数は、特に限定されない。デッキ編成部205は、プレイヤによる保存の指示に基づいて、編成されたデッキに識別IDに付し、この識別IDに編成されたデッキに関する情報(たとえば、デッキ名、および、デッキを構成する各所有ゲーム媒体のIDなど)を関連付けて、プレイヤ情報記憶部222に記憶させる。
【0088】
複数の所有ゲーム媒体を含むデッキを使用してゲームを実行する場合、準備処理部201は、各プレイヤ3が編成したデッキのうちから1つのデッキを選択する操作を受け付ける。
図13は、プレイヤ3によるデッキの選択操作を受け付ける際に、プレイヤ端末30に表示される画面インターフェースの一例である。準備処理部201は、プレイヤ3からデッキの選択操作を実行する旨の指令を受け取ると、プレイヤ情報記憶部222に格納されているデッキ情報D4を読み出す。そして、
図13に示すような画面インターフェースをプレイヤ端末30に表示する。この画面インターフェースには、デッキを構成する各所有ゲーム媒体の構成を含むデッキの一覧が表示される。プレイヤ3が画面インターフェースに表示されたデッキの一覧の中からゲームで使用する少なくとも1つのデッキを選択すると、準備処理部201は、プレイヤ3が選択したデッキの情報を、ゲーム処理部202に伝達する。
【0089】
準備処理部201は、デッキを使用する場合においても、各デッキに含まれる所有ゲーム媒体のうちから不使用ゲーム媒体を特定する。そして、プレイヤ3が選択したデッキに少なくとも1つの不使用ゲーム媒体が含まれているか否かを判定する。そして、該デッキに少なくとも1つの不使用ゲーム媒体が含まれると判定した場合に、不使用ゲーム媒体を含むデッキを使用してゲームを実行することに対する特典をプレイヤ3に付与することを決定する。なお、プレイヤ3によるデッキの選択操作の前に、不使用ゲーム媒体を特定した場合には、準備処理部201は、
図13に示すような画面インターフェースに、不使用ゲーム媒体を含むデッキの使用によって付与され得る特典の内容を表示する処理を実行してもよい。
【0090】
上記のようなデッキを使用してゲームを実行する場合、不使用ゲーム媒体を含むデッキを使用することに対する特典は、不使用ゲーム媒体、および/または、デッキに含まれる不使用ゲーム媒体以外の所有ゲーム媒体に対して及ぶ効果を有していてもよい。特に、特典が、不使用ゲーム媒体以外の所有ゲーム媒体に対してのみ効果が及ぶ特典であってもよく、不使用ゲーム媒体および一部の所有ゲーム媒体に対して効果が及ぶ特典であってもよく、不使用ゲーム媒体を含むデッキ内に含まれるすべての所有ゲーム媒体に効果が及ぶ特典であってもよい。
【0091】
次に、
図11Aに示すフローチャートに基づいて、情報処理システム10による情報処理の概略について説明する。
【0092】
図11Aに示すように、まず、ステップS1において、プレイヤ3が実行するゲームを選択する。次に、ステップS2において、プレイヤ情報記憶部222に格納されている所有ゲーム媒体の情報D3を読み込む。ここで読み込む所有ゲーム媒体の情報D3には、評価対象データD3bおよび統計データD3cのような各所有ゲーム媒体の使用状況に関するデータが含まれる。
【0093】
次に、ステップS3において、上述した準備処理部201が実行する処理により、所有ゲーム媒体に含まれる不使用ゲーム媒体を特定する。具体的にステップS3では、所定の判別基準に基づいて、評価対象データD3bが示す使用度合が低い(基準値以下または基準値未満)所有ゲーム媒体、および/または、評価対象データが示す不使用度合が高い(基準値以上または基準値超過)所有ゲーム媒体を、不使用ゲーム媒体と特定する。
【0094】
次に、ステップS4において、プレイヤ3にゲームで使用する所有ゲーム媒体を選択させるために、プレイヤ端末30に
図9に示すような画面インターフェースを表示させる。この際、画面インターフェースには、不使用ゲーム媒体を使用してゲームを実行した場合の特典を表示させることが好ましい。
【0095】
次に、ステップS5において、プレイヤ3が所有ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの所有ゲーム媒体を選択する。そして、ステップ6において、選択した所有ゲーム媒体に不使用ゲーム媒体が含まれるか否かを判定する。不使用ゲーム媒体が含まれない場合には、特典を付与することなくステップS8でゲームを実行する。一方、プレイヤ3が選択した所有ゲーム媒体に不使用ゲーム媒体が含まれる場合には、ステップS7において、不使用ゲーム媒体を使用してゲームを実行することに対して、特典を付与することを決定する。そして、ステップS8において、不使用ゲーム媒体を使用してゲームを実行する。
【0096】
ステップS7において、プレイヤ3に付与されることが決定した特典については、ステップS8におけるゲームの実行前、ゲームの実行中、ゲームのクリア時、および、ゲーム終了後のいずれかのタイミングで、プレイヤ3への付与が実行されればよい。たとえば、
図11Bに示すフローチャートでは、特典付与部204がゲームをクリアした後のステップS9で特典を付与している。また、不使用ゲーム媒体の特定に用いられる使用状況に関するデータについては、
図11Bに示すように、ゲームの実行後のステップ10で、使用状況算出部203により更新されてもよい。ただし、使用状況に関するデータを更新するタイミングは、
図11Bに示すフローに限定されず、毎日、一定時刻に更新されてもよい。
【0097】
なお、
図11Aに示すフローチャートでは、実行するゲームを選択(S1)した後に、ゲームで使用する所有ゲーム媒体を選択(S5)しているが、実行するゲームを選択するタイミングは、
図11Aに示すフローに限定されない。たとえば、ゲームで使用する所有ゲーム媒体を選択した後に、実行するゲームを選択してもよい。また、
図11Aに示すフローチャートでは、プレイヤ3による所有ゲーム媒体の選択の前に、不使用ゲーム媒体を特定しているが、不使用ゲーム媒体を特定するタイミングは、
図11Aに示すフローに限定されない。たとえば、不使用ゲーム媒体の特定は、プレイヤ3による所有ゲーム媒体の選択後に実施してもよいし、プレイヤ3が所有ゲーム媒体および実行するゲームを選択した後に実施してもよい。ただし、プレイヤ3がゲームで使用する所有ゲーム媒体を選択する際に、特典の内容が画面インターフェースに表示されるようにするためには、プレイヤ3による所有ゲーム媒体の選択操作の前に、不使用ゲーム媒体を特定することが好ましい。プレイヤ3による選択操作時に特典の内容が表示されることで、ゲームの戦略性がより高まることが期待できる。
【0098】
上記のように、本実施形態の情報処理システム10では、不使用ゲーム媒体の使用に対して特典を付与することで、不使用ゲーム媒体を活用する機会を創出することができ、ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる。また、不使用ゲーム媒体を活用する機会を創出することで、ガチャなどの抽選手段等によりゲーム媒体を取得することに対するプレイヤ3の意欲を向上させることができる。
【0099】
情報処理システム10では、準備処理部201が、各プレイヤ3が所有するゲーム媒体の使用状況に応じてプレイヤ3ごとに設定される個別の判別基準に基づいて、不使用ゲーム媒体を特定してもよい。この場合、個別の判別基準は、たとえば、使用度合および/または不使用度合に関する統計量に基づいて設定されてもよい。個別の判別基準に基づいて不使用ゲーム媒体を特定する場合には、常に一定数の不使用ゲーム媒体を生じさせることが可能となり、特典付与に関する公平性が高まったり、ゲームの興趣がより高まったりすることが期待できる。
【0100】
情報処理システム10では、不使用ゲーム媒体の使用に対して付与される特典が、不使用ゲーム媒体の使用度合および/または不使用度合に応じて変動する効果であってもよい。これにより、不使用ゲーム媒体を使用することに関する戦略性が高まることが期待できる。
【0101】
情報処理システム10では、不使用ゲーム媒体の使用に対して付与される特典の内容が、ゲーム処理部202が実行するゲームの単位に応じて異なっていてもよい。ゲーム単位ごとに異なる特典を設定することで、不使用ゲーム媒体を使用することに関する戦略性がより高まることが期待できる。
【0102】
デッキを使用する場合などの複数の所有ゲーム媒体を使用してゲームを実行する場合には、不使用ゲーム媒体の使用に対して付与される特典の効果が、不使用ゲーム媒体以外の所有ゲーム媒体にも及ぶように特典を設定してもよい。これにより、不使用ゲーム媒体を用いて、他の所有ゲーム媒体を育成したり強化したりすることも可能となる。また、不使用ゲーム媒体を使用することに関する戦略性がより高まることが期待できる。
【0103】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に改変することができる。
【0104】
たとえば、サーバ20及びプレイヤ端末30が備えるソフトウェア機能部の処理について、本発明の趣旨を実現できる範囲で、サーバ20の一部若しくはすべての機能をプレイヤ端末30が備えてもよい。
【0105】
また、
図11Aおよび
図11Bに示す処理のフローは、あくまでも例示に過ぎず、本発明は、
図11Aおよび
図11Bに示す内容に限定されない。
図11Aおよび
図11Bに含まれる各ステップは、図中に示される順序と異なる順序で実行されてもよく、一部の処置を並列に実行するようにしてもよく、一部のステップを省略してもよく、他のステップを追加してもよい。
【0106】
本発明は、以下の構成を備える。
(項目1)
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、
前記ゲーム媒体のうちから、それぞれの前記プレイヤがゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、
前記準備処理部で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理部と、を備え、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記準備処理部が、前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別し、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する、情報処理システム。
(項目2)
前記使用状況に関する前記データが、使用度合を表す数値データ、および/または、不使用度合を表す数値データを含み、
前記準備処理部は、所定の判別基準に基づき、前記使用度合が低い前記ゲーム媒体、および/または、前記不使用度合が高い前記ゲーム媒体を、不使用ゲーム媒体として判別する、項目1に記載の情報処理システム。
(項目3)
前記準備処理部が、それぞれの前記プレイヤが所有する前記ゲーム媒体の使用状況に応じて前記プレイヤごとに設定される判別基準に基づいて、前記不使用ゲーム媒体を判別する項目1または2に記載の情報処理システム。
(項目4)
前記使用状況に関する前記データを算出する使用状況算出部を、さらに備える項目1または2に記載の情報処理システム。
(項目5)
前記特典が、前記不使用ゲーム媒体の使用度合および/または不使用度合に応じて変動する特典である項目1または2に記載の情報処理システム。
(項目6)
前記特典の内容が、前記ゲーム処理部が実行する前記ゲームの単位に応じて異なる項目1または2に記載の情報処理システム。
(項目7)
前記準備処理部が、少なくとも1つの前記ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける画面インターフェースにおいて、前記特典の内容を表示する項目1または2に記載の情報処理システム。
(項目8)
それぞれの前記プレイヤが所有する前記ゲーム媒体のうちから複数の前記ゲーム媒体を選択してデッキを編成するデッキ編成部を、さらに有し、
前記準備処理部が、複数の前記ゲーム媒体を含む前記デッキを選択する操作を受け付ける項目1または2に記載の情報処理システム。
(項目9)
前記準備処理部が、少なくとも1つの前記不使用ゲーム媒体を含む前記デッキを使用することに対する前記特典を付与するか否かを決定し、
該特典が、前記不使用ゲーム媒体、および/または、前記デッキに含まれる前記不使用ゲーム媒体以外の前記ゲーム媒体に対して及ぶ効果を有する項目8に記載の情報処理システム。
(項目10)
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、
前記ゲーム媒体のうちから、それぞれの前記プレイヤがゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、
前記準備処理部で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理部と、を備え、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記準備処理部が、前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別し、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する、情報処理装置。
(項目11)
コンピュータに
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部から前記ゲーム媒体の情報を読み出す処理と、
前記ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体をそれぞれの前記プレイヤに選択させる準備処理と、
前記準備処理で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理と、を実行させる情報処理プログラムであり、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別する処理と、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する処理と、を前記準備処理において前記コンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
(項目12)
コンピュータが、
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部から前記ゲーム媒体の情報を読み出す処理と、
前記ゲーム媒体のうちからゲームで使用する少なくとも1つの前記ゲーム媒体をそれぞれの前記プレイヤに選択させる準備処理と、
前記準備処理で選択された少なくとも1つの前記ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行するゲーム処理と、を実行する情報処理方法であり、
前記プレイヤ情報記憶部で記憶されている前記ゲーム媒体の情報が、前記プレイヤごとの前記ゲーム媒体の使用状況に関するデータを含み、
前記コンピュータが、前記使用状況に関する前記データに基づき不使用ゲーム媒体を判別する処理と、前記不使用ゲーム媒体が選択された場合に、前記不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する処理と、を前記準備処理において実行する、情報処理方法。
【符号の説明】
【0107】
1 … 事業者
3 … プレイヤ
10 … 情報処理システム
20 … サーバ(情報処理装置)
21 … プロセッサ
22 … メモリ
23 … ストレージ
24 … 送受信部
25 … 入出力部
30 … プレイヤ端末
31 … 制御部
32 … 表示部
200 … 制御部
201 … 準備処理部
202 … ゲーム処理部
203 … 使用状況算出部
204 … 特典付与部
205 … デッキ編成部
220 … 記憶部
221 … ゲーム情報記憶部
222 … プレイヤ情報記憶部
223 … 特典情報記憶部
【要約】
【課題】ゲームに対するプレイヤの興趣を向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】
それぞれのプレイヤが所有するゲーム媒体の情報を記憶するプレイヤ情報記憶部と、ゲームで使用する少なくとも1つのゲーム媒体を選択する操作を受け付ける準備処理部と、準備処理部で選択された少なくとも1つのゲーム媒体を使用してゲームを実行するゲーム処理部と、を備える情報処理システムである。準備処理部は、プレイヤごとのゲーム媒体の使用状況に関するデータに基づき不使用ゲーム媒体を判別し、不使用ゲーム媒体が選択された場合に、不使用ゲーム媒体を使用して前記ゲームを実行することに対する特典を付与することを決定する。
【選択図】
図10