(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 13/04 20060101AFI20240415BHJP
B65G 35/06 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B65G13/04
B65G35/06 B
(21)【出願番号】P 2023221136
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2023166523の分割
【原出願日】2023-09-27
【審査請求日】2023-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509034638
【氏名又は名称】大井 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】大井 尚志
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-169081(JP,A)
【文献】特開2007-230674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/04
B65G 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体のパレットと、該パレットを移動させるためのローラー装置と、を備える搬送システムであって、
前記ローラー装置が、
円筒形を成し、該円筒形の両底面部中央を結ぶ軸を中心に正・逆方向自在に回転する回転体と、
前記円筒形側面上に、一方の前記底面部から他方の前記底面部に渡って所定間隔で配置される突起部位であるローラー突起部と、を備え、
前記パレットが、
前記板状体下面に配置される突起部位であるパレット突起部を備え、
前記パレット突起部が、
前記板状体の底面に対して垂直な軸方向を有する円筒体であって、前記垂直な軸を中心に正・逆方向自在に回転することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記ローラー突起部と前記パレット突起部とを当接させた状態で前記ローラー装置が回転すると、前記ローラー突起部に前記パレット突起部が押される形で、前記パレットが、前記ローラー装置の回転方向に移動し、
前記パレットの進行方向に対し水平方向の動きを規制する第1ガイドを設置すると、前記パレットが前記第1ガイドに沿って垂直方向に移動し、前記パレットの進行方向に対し垂直方向の動きを規制する第2ガイドを設置すると、前記パレットが前記第2ガイドに沿って水平方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
搬送装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送方法に関する従来技術は、大きく2つに分類することができる。その1つは、搬送対象物を台車に載せ、台車の車輪を駆動する方法である。もう1つは、固定的な動力源によってベルトやワイヤを駆動し、そのベルトやワイヤによって搬送対象物を搬送する方法である。
【0003】
そのような背景下、例えば、特許文献1では、駆動モータにより駆動されるピニオンギアを有する搬送ユニットを複数平面設置する搬送方式において、被駆動体の停止位置精度向上を図ることができる搬送装置が提案されている。
【0004】
特許文献2では、走行経路となる走行板上に平面歯車を使用しないことで全体構成の簡素化を図り、かつ走行体の移動時に歯車が乗り上げる、又は歯車が噛み込んで固まる等の走行不良が生じることを未然に防止できる搬送装置が提案されている。
また、特許文献3では、複数のパレットを有する搬送装置を確実に使用できるようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-169081号公報
【文献】特開2019-089618号公報
【文献】特開平07-242307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、搬送装置の構造が複雑であるという問題点があった。
【0007】
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、固定的な動力源を使用する簡素な機構を以って、搬送対象物を多方向に搬送可能とする搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示する搬送システムの一形態は、板状体のパレットと、該パレットを移動させるためのローラー装置と、を備える搬送システムであって、前記ローラー装置が、円筒形を成し、該円筒形の両底面部中央を結ぶ軸を中心に正・逆方向自在に回転する回転体と、前記円筒形側面上に、一方の前記底面部から他方の前記底面部に渡って所定間隔で配置される突起部位であるローラー突起部と、を備え、前記パレットが、前記板状体下面に配置される突起部位であるパレット突起部を備え、前記パレット突起部が、前記板状体の底面に対して垂直な軸方向を有する円筒体であって、前記垂直な軸を中心に正・逆方向自在に回転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示する搬送システムは、固定的な動力源を使用する簡素な機構を以って、搬送対象物を多方向に搬送可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る搬送システムの斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係るパレット及びローラー装置の断面図である。
【
図3】本実施の形態に係るパレット突起部の配置例を示す図である。
【
図4】本実施の形態に係るローラー装置の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る搬送システムの構造)
【0012】
図1乃至4を用いて、本実施の形態に係る搬送システム1の構造について説明する。
図1は、搬送システム1の概要を示す斜視図であり、
図2は、搬送システム1の断面方向の構造を示す図であり、
図3は、パレット突起部6の配置例を示す図であり、
図4は、ローラー装置8の配置例を示す図である。
【0013】
図1及び2で示すように、搬送システム1は、パレット2、ローラー装置8を有する。パレット2は、板状体4を成し、板状体4下面に配置される突起部位であるパレット突起部6を有する。板状体2の上面には搬送対象物を載置させるため、板状体4の形状は、例えば、正方形、又は、長方形であることが好適である。
【0014】
図2で示すように、パレット突起部6は、板状体4の平面方向に正・逆方向自在に回転する。パレット突起部6は、後述するローラー突起部16との摩擦を小さくするような機能を備えている。
【0015】
図1及び2で示すように、パレット突起部6は、板状体4下面に複数配置され、その配置規則(並び方、間隔など)は、様々なパターンがあり得る。
図3で示すように、パレット突起部6は、例えば、正方形の板状体4の対角線上に配置され、また、対角線位置以外も規則的に配置されることが好適である。
【0016】
ローラー装置8は、回転体10、ローラー突起部16を有する。
図1及び2で示すように、回転体10は、円筒形を成し、該円筒形の両底面部12中央を結ぶ軸14を中心に正・逆方向自在に回転する。
【0017】
図1及び2で示すように。ローラー突起部16は、回転体10(円筒形)側面上において、一方の底面部12から他方の底面部12に渡って配置される突起部位であって、所定間隔で配置される。ローラー突起部16は、円筒形を成し、回転体10と同じ方向に正・逆方向自在に回転する。ローラー突起部16は、パレット突起部6との摩擦を小さくするような機能を備えている。
図4で示すように、ローラー装置8は、規則的に配置されることが好適である。
なお、ローラー突起部16の高さ及びパレット突起部6の高さは、様々なパターンがあり得るので、敢えて特定・限定しない。
(本実施の形態に係る搬送システムの使用方法)
【0018】
以下、搬送システム1の使用方法について説明する。ローラー突起部16とパレット突起部6とを当接させた状態でローラー装置8を回転させる。そうすると、パレット突起部6がローラー突起部16に押される形で、パレット2が、ローラー装置8(回転体10)の回転方向に移動する。
【0019】
そこで、パレット2の進行方向(ローラー装置8(回転体10)の回転方向)に対し水平方向の動きを規制する第1ガイド18を設置すると、パレット2は、第1ガイド18に沿って垂直方向に移動する。一方、パレット2の進行方向に対し垂直方向の動きを規制する第2ガイド20を設置すると、パレット2は、第2ガイド20に沿って水平方向に移動する。
【0020】
図4で示すように、ローラー装置8を規則的に配置し、周囲(外縁)に、第1ガイド18、第2ガイド20を設置した場合を想定する。このとき、例えば、(2,C)位置のローラー装置8を左上向きに回転させると、(2,C)位置に配置したパレット2は、(1,C)位置に向かって移動する。また、例えば、(3,C)位置のローラー装置8を右下向きに回転させると、(3,C)位置に配置したパレット2は、(3,B)位置に向かって移動する。
さらに、例えば、(1,A)位置のローラー装置8を左上向きに回転させると、(1,A)位置に配置したパレット2は、(1,B)位置に向かって移動する。
【0021】
また、
図4で示すように、ローラー装置8を規則的に配置した上で、ローラー装置8上に配置したパレット2を第1ガイド18、第2ガイド20として利用することも可能である。例えば、(2,B)、(3,B)、(2,C)の各位置にパレット2を配置し、(2,C)位置のローラー装置8を右下向きに回転させると、(2,C)位置に配置したパレット2は、(3,C)位置に向かって移動する。
このように、搬送システム1は、固定的な動力源8を使用する簡素な機構を以って、搬送対象物2を多方向に搬送可能とする。
【0022】
一方で、搬送対象物を高さ(高低)方向へ移動させる方法について説明する。まず、2つのローラー装置8を、それぞれの回転軸14が直交し、かつ、対向するように配置する。次に、ローラー突起部16とパレット突起部6とが当接し、かつ、パレット2の板状体4の上面(搬送対象物を載置させる側)が対向するように、それぞれのローラー装置8に1つのパレット2を設置する。そして、2つのパレット2の板状体4の上面間に搬送対象物を挟持させる。
【0023】
上記のようにして、2つのローラー装置8それぞれを同じ方向に、逆の方向に、又は片方のみ回転させるとき、その組み合わせによって、搬送対象物(パレット2)を上下左右斜め方向に移動させることができる。
このように、搬送システム1は、固定的な動力源8を使用する簡素な機構を以って、搬送対象物2を多方向に搬送可能とする。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 搬送システム
2 パレット
4 板状体
6 パレット突起部
8 ローラー装置
10 回転体
12 回転体の底面部
14 回転体の両底面部中央を結ぶ軸
16 ローラー突起部
18 第1ガイド
20 第2ガイド
【要約】
【課題】
固定的な動力源を使用する簡素な機構を以って、搬送対象物を多方向に搬送可能とする。
【解決手段】
開示する搬送システムの一形態は、板状体のパレットと、該パレットを移動させるためのローラー装置と、を備える搬送システムであって、前記ローラー装置が、円筒形を成し、該円筒形の両底面部中央を結ぶ軸を中心に正・逆方向自在に回転する回転体と、前記円筒形側面上に、一方の前記底面部から他方の前記底面部に渡って所定間隔で配置される突起部位であるローラー突起部と、を備え、前記パレットが、前記板状体下面に配置される突起部位であるパレット突起部を備え、前記パレット突起部が、前記板状体の平面方向に正・逆方向自在に回転する。
【選択図】
図1