(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】段取り装置および部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2023544917
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021032315
(87)【国際公開番号】W WO2023032129
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐介
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-27233(JP,A)
【文献】特開2017-152571(JP,A)
【文献】特開平10-242688(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板コンベアを有して前記基板コンベアに支持される基板に部品を実装する部品実装機の前記基板コンベアと直列に配列されて前記基板コンベアとの間で搬送パレットの受け渡しを実行するパレット搬送部と、
前記部品実装機で使用される、前記部品および前記基板とは異なる使用部材を保管する部材保管庫と
を備え、
前記パレット搬送部は、前記部材保管庫から取り出された前記使用部材が載置された前記搬送パレットを前記基板コンベアに受け渡す段取り装置。
【請求項2】
前記部材保管庫から取り出された前記使用部材を前記搬送パレットに載置する移載ヘッドをさらに備え、
前記パレット搬送部は、前記移載ヘッドによって前記使用部材が載置された前記搬送パレットを前記基板コンベアに受け渡す請求項1に記載の段取り装置。
【請求項3】
前記部材保管庫から前記使用部材を取り出して支持する部材取り出し部をさらに備え、
前記移載ヘッドは、前記部材取り出し部に支持された前記使用部材を、前記搬送パレットに載置する請求項2記載の段取り装置。
【請求項4】
前記部材保管庫は、それぞれ前記使用部材が載置された複数の保管パレットを保管し、
前記部材取り出し部は、前記部材保管庫から取り出した前記保管パレットを支持するとともに、前記パレット搬送部から受け取った前記搬送パレットを支持し、
前記移載ヘッドは、前記部材取り出し部に支持される前記保管パレットから前記搬送パレットへ前記使用部材を移動する請求項3に記載の段取り装置。
【請求項5】
前記部材取り出し部は、前記部材保管庫から取り出した前記保管パレットを支持するとともに、前記パレット搬送部から受け取った前記搬送パレットを支持する支持コンベアと、前記支持コンベアを鉛直方向に移動させる昇降機とを有する請求項4に記載の段取り装置。
【請求項6】
前記部材保管庫では、前記複数の保管パレットが鉛直方向に配列され、
前記部材取り出し部は、前記複数の保管パレットのうちの一の保管パレットと前記支持コンベアとの高さを前記昇降機によって一致させた状態で、前記一の保管パレットを前記部材保管庫から前記支持コンベアへ取り出す請求項5に記載の段取り装置。
【請求項7】
前記部材取り出し部は、前記パレット搬送部と前記支持コンベアとの高さを前記昇降機によって一致させた状態で、前記搬送パレットを前記パレット搬送部から前記支持コンベアへ受け取る請求項5または6に記載の段取り装置。
【請求項8】
前記パレット搬送部は、前記部材取り出し部に隣接して配置された受け渡しコンベアと、前記基板コンベアと直列に配列されて前記受け渡しコンベアと前記基板コンベアとの間に配置された出庫コンベアとを有し、
前記出庫コンベアは、前記受け渡しコンベアから前記基板コンベアに前記搬送パレットを搬送し、
前記受け渡しコンベアは、前記出庫コンベアと前記搬送パレットの受け渡しを行う第1位置と、前記部材取り出し部と前記搬送パレットの受け渡しを行う第2位置との間で変位する請求項4ないし7のいずれか一項に記載の段取り装置。
【請求項9】
前記部材取り出し部から前記移載ヘッドによって運搬されてきた前記使用部材に対してメンテナンスを実行するメンテナンス部をさらに備える請求項3ないし8のいずれか一項に記載の段取り装置。
【請求項10】
前記部材保管庫を開閉する扉をさらに備える請求項1ないし9のいずれか一項に記載の段取り装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の段取り装置と、
基板を搬送する基板コンベアを有して前記基板コンベアに支持される基板に実装ヘッドにより部品を実装する部品実装機と
を備え、
前記段取り装置の前記パレット搬送部と前記部品実装機の前記基板コンベアとは直列に配列されて、前記搬送パレットの受け渡しを行い、
前記部品実装機は、前記段取り装置から搬送されてきた前記搬送パレットから前記使用部材を取り出すことで、前記使用部材を受け取る部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品を基板に実装する部品実装を実行する部品実装機で使用される使用部材を部品実装機に対して段取りする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機では、基板への部品の実装に、部品を吸着するノズルが使用される。また、ノズルは、吸着対象となる部品のサイズや形状に応じて使い分けられる。そのため、部品実装機で部品を実装する基板の種類が変更される場合等には、部品実装機に対してノズルを段取りする作業が適宜行われる。これに対して、特許文献1では、ノズルパレットにノズルを準備するノズル管理装置が示されており、かかるノズル管理装置を利用することで段取りに要する作業の簡便化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、部品実装に使用されるノズル等の使用部材は、部品実装の実行のために当該使用部材を使用する部品実装機に対して的確に出庫することが要求される。これ対して、特許文献1では、ノズル(使用部材)をノズルトレイに準備するに過ぎず、かかる要求に応えるには十分ではなかった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る段取り装置は、基板を搬送する基板コンベアを有して基板コンベアに支持される基板に部品を実装する部品実装機の基板コンベアと直列に配列されて基板コンベアとの間で搬送パレットの受け渡しを実行するパレット搬送部と、部品実装機で使用される、部品および基板とは異なる使用部材を保管する部材保管庫とを備え、パレット搬送部は、部材保管庫から取り出された使用部材が載置された搬送パレットを基板コンベアに受け渡す。
【0007】
このように構成された本発明(段取り装置)では、部材保管庫から取り出された使用部材が載置された搬送パレットを部品実装機の基板コンベアに受け渡すパレット搬送部を備える。したがって、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となっている。
【0008】
また、部材保管庫から取り出された使用部材を搬送パレットに載置する移載ヘッドをさらに備え、パレット搬送部は、移載ヘッドによって使用部材が載置された搬送パレットを基板コンベアに受け渡すように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、部品保管庫から取り出された使用部材が移載ヘッドによって搬送パレットに載置され、この搬送パレットがパレット搬送部によって部品実装機の基板コンベアに受け渡される。こうして、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となっている。
【0009】
また、部材保管庫から使用部材を取り出して支持する部材取り出し部をさらに備え、移載ヘッドは、部材取り出し部に支持された使用部材を、搬送パレットに載置するように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、部材取り出し部によって部材保管庫から取り出された使用部材が、当該部材取り出し部に支持される。そして、部材取り出し部に支持される使用部材が移載ヘッドによって搬送パレットに載置され、この搬送パレットがパレット搬送部によって部品実装機の基板コンベアに受け渡される。こうして、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となっている。
【0010】
また、部材保管庫は、それぞれ使用部材が載置された複数の保管パレットを保管し、部材取り出し部は、部材保管庫から取り出した保管パレットを支持するとともに、パレット搬送部から受け取った搬送パレットを支持し、移載ヘッドは、部材取り出し部に支持される保管パレットから搬送パレットへ使用部材を移動するように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、使用部材が載置された保管パレットが部品保管庫に保管され、部材取り出し部によって部材保管庫から取り出された保管パレットが、当該部材取り出し部に支持される。そして、部材取り出し部に支持される保管パレットに載置された使用部材が移載ヘッドによって搬送パレットに載置され、この搬送パレットがパレット搬送部によって部品実装機の基板コンベアに受け渡される。こうして、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となっている。
【0011】
また、部材取り出し部は、部材保管庫から取り出した保管パレットを支持するとともに、パレット搬送部から受け取った搬送パレットを支持する支持コンベアと、支持コンベアを鉛直方向に移動させる昇降機とを有するように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、移載ヘッドは、それぞれ支持コンベアに支持された保管パレットから搬送パレットへ使用部材を移動させればよく、移載ヘッドの動作の簡素化を図ることができる。さらに、このような支持コンベアと昇降機を有することで、次のように構成することができる。
【0012】
つまり、部材保管庫では、複数の保管パレットが鉛直方向に配列され、部材取り出し部は、複数の保管パレットのうちの一の保管パレットと支持コンベアとの高さを昇降機によって一致させた状態で、一の保管パレットを部材保管庫から支持コンベアへ取り出すように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、部品保管庫に保管される複数の保管パレットのうちから対象となる一の保管パレットを、支持コンベアに的確に取り出すことができる。
【0013】
また、部材取り出し部は、パレット搬送部と支持コンベアとの高さを昇降機によって一致させた状態で、搬送パレットをパレット搬送部から支持コンベアへ受け取るように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、パレット搬送部から支持コンベアへ搬送パレットを的確に受け取ることができる。
【0014】
また、パレット搬送部は、部材取り出し部に隣接して配置された受け渡しコンベアと、基板コンベアと直列に配列されて受け渡しコンベアと基板コンベアとの間に配置された出庫コンベアとを有し、出庫コンベアは、受け渡しコンベアから基板コンベアに搬送パレットを搬送し、受け渡しコンベアは、出庫コンベアと搬送パレットの受け渡しを行う第1位置と、部材取り出し部と搬送パレットの受け渡しを行う第2位置との間で変位するように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、使用部材が載置された搬送パレットを、受け渡しコンベアが部材取り出し部から出庫コンベアへ搬送する。しかも、受け渡しコンベアが第1位置と第2位置との間で変位する。そのため、部材取り出し部との搬送パレットの受け渡しおよび出庫コンベアとの搬送パレットの受け渡しのそれぞれに適した位置に受け渡しコンベアを変位させて、搬送パレットの受け渡しを的確に実行できる。
【0015】
また、部材取り出し部から移載ヘッドによって運搬されてきた使用部材に対してメンテナンスを実行するメンテナンス部をさらに備えるように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、段取り装置において使用部材にメンテナンスを実行でき、使用部材を適切な状態に保つことができる。
【0016】
また、部材保管庫を開閉する扉をさらに備えるように、段取り装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者は扉を開いて部材保管庫にアクセスすることで、部材保管庫に保管する使用部材の補給等を適宜実行することができる。
【0017】
本発明に係る部品実装システムは、上記の段取り装置と、基板を搬送する基板コンベアを有して基板コンベアに支持される基板に実装ヘッドにより部品を実装する部品実装機とを備え、段取り装置のパレット搬送部と部品実装機の基板コンベアとは直列に配列されて、搬送パレットの受け渡しを行い、部品実装機は、段取り装置から搬送されてきた搬送パレットから使用部材を取り出すことで、使用部材を受け取る。したがって、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となっている。
【0018】
本発明に係る搬送パレットは、基板を搬送する基板コンベアを有して基板コンベアに支持される基板に部品を実装する部品実装機で使用される、部品および基板とは異なる使用部材を保持する部材保持部と、基板コンベアに載置される載置面を有するベース部とを備える。かかる搬送パレットを用いることで、段取り装置において使用部材が載置された搬送パレットを、部品実装機の基板コンベアに搬出して、使用部材を部品実装機に出庫することができる。したがって、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となっている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品実装機で使用される使用部材を当該部品実装機に的確に出庫することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る部品実装システムの一例を示すブロック図。
【
図2C】段取り装置が実行する出庫準備の一例を模式的に示す図。
【
図2D】段取り装置が実行するノズル出庫の一例を模式的に示す図。
【
図4A】パレットの構成を模式的に示す部分断面図。
【
図4B】パレットの構成を模式的に示す部分断面図。
【
図4C】部品実装機のパレット操作部の構成および動作を模式的に示す図。
【
図4D】部品実装機のパレット操作部の構成および動作を模式的に示す図。
【
図5A】基板生産ラインで実行できるパレットの搬送モードの一例を模式的に示す図。
【
図5B】基板生産ラインで実行できるパレットの搬送モードの一例を模式的に示す図。
【
図5C】基板生産ラインで実行できるパレットの搬送モードの一例を模式的に示す図。
【
図5D】基板生産ラインで実行できるパレットの搬送モードの一例を模式的に示す図。
【
図6】段取り装置に対する指令の作成方法の一例を示すフローチャートを示す図。
【
図7】
図6のフローチャートで実行される出庫態様決定の第1例を示すフローチャート。
【
図8A】部品実装機の保有ノズルを示す保有ノズル情報の一例を示す図。
【
図8B】は部品実装機の使用予定ノズルを示す使用予定ノズル情報の一例を示す図。
【
図8C】部品実装機への出庫対象のノズルを示す出庫対象ノズル情報の第1例を示す図。
【
図9】段取り装置および部品実装機に対する指令の作成方法の一例を示すフローチャートを示す図。
【
図10】
図9のフローチャートで実行される出庫態様決定の第2例を示すフローチャート。
【
図11】
図9のフローチャートで実行される回収態様決定の第1例を示すフローチャート。
【
図12A】部品実装機への出庫対象ノズルを示す出庫対象ノズル情報の第2例を示す図。
【
図12B】部品実装機からの回収対象ノズルを示す回収対象ノズル情報の一例を示す図。
【
図13】
図9のフローチャートで実行される出庫態様決定の第3例を示すフローチャート。
【
図14】
図9のフローチャートで実行される回収態様決定の第2例を示すフローチャート。
【
図15A】出庫態様決定の第4例を示すフローチャート。
【
図15B】
図15の出庫態様決定に対応して実行される回収態様決定の一例を示すフローチャート。
【
図16】部品実装システムの各基板生産ラインでの段取りを管理するライン段取り管理の第1例を示すフローチャート。
【
図17】段取り装置で実行される指令受信処理の第1例を示すフローチャート。
【
図18A】部品実装機で実行される指令受信処理の第1例を示すフローチャート。
【
図18B】部品実装機で実行される指令受信処理の第2例を示すフローチャート。
【
図19】部品実装システムの各基板生産ラインでの段取りを管理するライン段取り管理の第2例を示すフローチャート。
【
図20】段取り装置で実行される指令受信処理の第2例を示すフローチャート。
【
図21】段取り装置で実行されるメンテナンス準備の一例を示すフローチャート。
【
図22】出庫態様決定の第5例を示すフローチャート。
【
図23】出庫態様の詳細条件管理の一例を示すフローチャート。
【
図24】段取り装置の変形例を模式的に示す平面図。
【
図25】部品実装機でのバックアップピンの使用態様を模式的に示す図。
【
図26】バックアップピンの出庫制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る部品実装システムの一例を示すブロック図である。部品実装システム1は、互いに並列に配列された複数の基板生産ラインLを備える。各基板生産ラインLは、水平方向に平行なX方向に直列に配列された1台の段取り装置2と複数の部品実装機3とを備え、X方向に基板を搬送することで複数の部品実装機3に順番に基板を搬入しつつ、各部品実装機3において基板に部品を実装することで、部品が実装された基板を生産する。このようにX方向は、基板生産ラインLにおいて基板が搬送される方向である。また、
図1では、基板生産時に基板が搬送される順方向X1と、順方向X1と逆の逆方向X2とが示されている。
【0022】
さらに、部品実装システム1は、基板生産ラインLを管理するサーバーコンピューター100を備える。このサーバーコンピューター100は、演算部110、UI(User Interface)120、通信部130および記憶部140を備える。演算部110は例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されたプロセッサーであり、サーバーコンピューター100での演算を実行する、UI120は、マウスやキーボード等の入力機器と、ディスプレイ等の出力機器を有し、作業者は入力機器によってサーバーコンピューター100に対してデータを入力し、出力機器によってサーバーコンピューター100から出力されたデータを確認することができる。通信部130は、各基板生産ラインLの段取り装置2および部品実装機3と通信を実行する。記憶部140は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、サーバーコンピューター100で使用されるデータやプログラムを記憶する。
【0023】
図2Aは段取り装置の構成を模式的に示す平面図であり、
図2Bは段取り装置の構成を模式的に示す側面図である。
図2Aおよび
図2Bでは、X方向と、水平方向に平行でX方向に直交するY方向と、鉛直方向に平行なZ方向とが示されている。
図2Bに示すように、段取り装置2は、装置全体を制御するコントローラー200を備える。コントローラー200は、CPU等のプロセッサーあるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の演算装置や、HDDあるいはSSD等の記憶装置を有し、サーバーコンピューター100および部品実装機3との通信や、後述する段取り装置2での動作の制御を実行する。
【0024】
段取り装置2は、メインハウジング211と、Y方向においてメインハウジング211に隣接するサブハウジング212とを備え、上記のコントローラー200は、メインハウジング211内に配置されている。メインハウジング211とサブハウジング212とは、互いに連通しており、メインハウジング211とサブハウジング212との間で後述のパレットPを移動させることができる。
【0025】
また、段取り装置2は、メインハウジング211内に配置されたパレット保管庫22を備える。パレット保管庫22は、Z方向に配列された複数の保管スリット221を有し、各保管スリット221に挿入されたパレットPを保管する。つまり、パレット保管庫22はZ方向に配列された複数のパレットPを保管することができる。パレット保管庫22はY方向の両側に開口を有し、当該開口を介してパレットPを保管スリット221に挿入し、パレットPを保管スリット221から取り出すことができる。パレットPには、後述するように部品実装機3で使用されるノズルを載置することができる。これに対して、パレット保管庫22では、ノズルが載置されたパレットPと、ノズルが載置されない空のパレットPとを保管することができる。
【0026】
また、メインハウジング211には、パレット保管庫22に対応して扉211Aが設けられており、扉211Aによってパレット保管庫22を開閉することができる。したがって、作業者は、扉211Aを開くことで、パレット保管庫22に対してパレットPを挿入したり、パレット保管庫22からパレットPを取り出したりといった作業を実行できる。
【0027】
さらに、段取り装置2は、メインハウジング211内に配置されたパレット取り出し部23を備える。このパレット取り出し部23は、Y方向において、パレット保管庫22とサブハウジング212との間に配置されている。パレット取り出し部23は、Y方向に配列された保管コンベア24sと搬送コンベア24cとを有する。これらのうち、保管コンベア24sは、パレット保管庫22に隣接して配置され、搬送コンベア24cは、サブハウジング212に隣接して配置される。保管コンベア24sおよび搬送コンベア24cのそれぞれは、Y方向に並列に配置された1対のベルトコンベア241を有する。そして、保管コンベア24sおよび搬送コンベア24cのそれぞれは、パレットPをベルトコンベア241によって支持しつつベルトコンベア241を回転させることで、パレットPをY方向に駆動する。これらベルトコンベア241の回転は、コントローラー200によって制御される。
【0028】
また、パレット取り出し部23は、保管コンベア24sの1対のベルトコンベア241の間に配置されたパレット引き出し機243を有する。このパレット引き出し機243は、Y方向に進退するフックを有し、このフックによってパレット保管庫22からパレットPを引き出すことができる。このパレット引き出し機243のフックの進退は、コントローラー200によって制御される。
【0029】
また、パレット取り出し部23は、保管コンベア24s、搬送コンベア24cおよびパレット引き出し機243を支持する支持フレーム231と、支持フレーム231をZ方向に駆動する昇降機233とを有する。そして、昇降機233が支持フレーム231を昇降させるのに伴って、保管コンベア24s、搬送コンベア24cおよびパレット引き出し機243が昇降する。この昇降機233による昇降は、コントローラー200によって制御される。なお、
図2Bでは、保管コンベア24s、搬送コンベア24c、パレット引き出し機243および支持フレーム2が実線および破線のそれぞれで示されているが、かかる図示は、これらが2組設けられていることを示すものではなく、これらが位置しうる複数の位置を示すものである。
【0030】
また、段取り装置2は、メインハウジング211内に配置された移載ユニット25を有する。移載ユニット25は、移載ヘッド251と、X方向、Y方向およびZ方向のそれぞれに移載ヘッド251を駆動するヘッド駆動機構253を有する。移載ヘッド251の下端にはエアーチャック252が取り付けられており、移載ヘッド251は、エアーチャック252を開閉させることで、ノズルの把持および解放を実行する。かかる移載ヘッド251は、保管コンベア24sあるいは搬送コンベア24cに支持されるパレットPに対して、ノズルの取り出しや載置を実行できる。ヘッド駆動機構253による移載ヘッド251の駆動や、移載ヘッド251のエアーチャック252によるノズルの把持・解放は、コントローラー200によって制御される。また、移載ヘッド251には、撮像カメラ255が取り付けられており、コントローラー200は、撮像カメラ255によって撮像した画像に基づき、例えば移載ヘッド251によって取り出すノズルを識別することができる。
【0031】
段取り装置2は、サブハウジング212内に配置されたパレット搬送部26を備える。パレット搬送部26は、X方向の両側に配置された2個の出庫コンベア27と、これら出庫コンベア27の間に配置された受け渡しコンベア28とを有する。サブハウジング212には、X方向を向いた開口212Aが各出庫コンベア27に対応して設けられており、各出庫コンベア27の端部は、開口212Aからサブハウジング212の外側に突出している。
【0032】
各出庫コンベア27は、X方向に並列に配置された1対のベルトコンベア271を有する。そして、各出庫コンベア27は、パレットPをベルトコンベア271によって支持しつつベルトコンベア271を回転させることで、パレットPをX方向に駆動する。したがって、出庫コンベア27は、ベルトコンベア271によってパレットPを開口212Aから搬出したり、パレットPを開口212Aから搬入したりすることができる。このベルトコンベア271の回転は、コントローラー200によって制御される。
【0033】
受け渡しコンベア28は、並列に配列された1対のベルトコンベア281を有し、パレットPをベルトコンベア281によって支持しつつベルトコンベア281を回転させることで、パレットPを駆動する。この受け渡しコンベア28は、
図2Aにおいて実線で示す回転位置R1と破線で示す回転位置R2との間で回転可能である。ここで、回転位置R2は、回転位置R1を
図2Aにおいて時計回りに90度回転させた位置に相当する。つまり、パレット搬送部26は、受け渡しコンベア28を回転させる回転駆動部261を有し、回転駆動部261によって受け渡しコンベア28を回転位置R1および回転位置R2の一方に選択的に位置させる。回転位置R1に位置する受け渡しコンベア28は、X方向にパレットPを駆動することができ、当該受け渡しコンベア28にX方向で隣接する出庫コンベア27との間でパレットPを受け渡すことができる。一方、回転位置R2に位置する受け渡しコンベア28は、Y方向にパレットPを駆動することができ、当該受け渡しコンベア28にY方向で隣接する搬送コンベア24c(パレット取り出し部23)との間でパレットPを受け渡すことができる。なお、ベルトコンベア281の回転や、回転駆動部261によるベルトコンベア281の駆動は、コントローラー200によって制御される。
【0034】
なお、受け渡しコンベア28が回転位置R1に位置する状態では、直列に並ぶ出庫コンベア27、受け渡しコンベア28および出庫コンベア27を用いて、後述する基板Bを搬送することができる。したがって、部品実装機3への基板Bの供給を、段取り装置2の出庫コンベア27、受け渡しコンベア28および出庫コンベア27を介して実行できる。
【0035】
また、パレット取り出し部23は、メインハウジング211内に配置された検査ユニット291および洗浄ユニット292を備える。検査ユニット291は、ノズルの状態を検査する。具体的には、カメラでの撮像によってノズルの外観を検査したり、ノズルに供給したエアーの流量に基づきノズルの目詰まりを検査したりすることができる。また、洗浄ユニット292は、例えば超音波洗浄によってノズルを洗浄することができる。検査ユニット291および洗浄ユニット292へのノズルの運搬は移載ヘッド251によって実行される。具体的には、保管コンベア24sあるいは搬送コンベア24cに支持されるパレットPと、検査ユニット291あるいは洗浄ユニット292との間で、移載ヘッド251がノズルNを運搬する。
【0036】
さらに、段取り装置2は、メインハウジング211の外壁に取り付けられたディスプレイ297およびリーダー298を備える。ディスプレイ297は、コントローラー200の制御に応じて、例えばパレット保管庫22に保管されているノズルの種類や個数といった各種の情報を作業者に表示する。また、リーダー298は、パレットPに付されたパレットPを識別するためのパレットIDを読み取る光学スキャナーである。例えば、作業者は、扉211Aを空けてパレット保管庫22に入庫するパレットPのパレットIDをリーダー298に読み取らせる。こうしてリーダー298に読み取られたパレットIDは、コントローラー200に送信される。これによって、コントローラー200は、パレット保管庫22に入庫されたパレットPを確認することができる。
【0037】
図2Cは段取り装置が実行する出庫準備の一例を模式的に示す図である。
図2Cの各ステップの動作は、コントローラー200の制御によって実行される。ステップS11では、保管コンベア24sがパレット保管庫22から取り出す対象のパレットPと同一の高さに位置する。このパレットPは、ノズルが載置されていない空のパレットPである。
【0038】
ステップS12では、対象となる空のパレットPを、パレット引き出し機243がパレットPを保管コンベア24s上に引き出し、さらに保管コンベア24sと搬送コンベア24cとが協働して、保管コンベア24sから搬送コンベア24cまでパレットPを搬送する。こうして空のパレットPが搬送コンベア24c上に支持される。
【0039】
そして、出庫対象となるノズルを空のパレットPに順に載置するために、ステップS13、S14、S15が実行される。つまり、出庫対象のノズルが載置されたパレットPと同一の高さに保管コンベア24sが位置する(ステップS13)。そして、パレット引き出し機243がこのパレットPを保管コンベア24s上に引き出す。こうして、搬送コンベア24cのパレットPと保管コンベア24sのパレットPとがY方向に隣り合う。そして、移載ヘッド251が保管コンベア24s上のパレットPから搬送コンベア24c上のパレットPに、出庫対象のノズルを移動する。続いて、保管コンベア24sが、ノズルが取り出されたパレットPをパレット保管庫22に戻す(ステップS15)。かかるステップS13、S14、S15は、出庫対象となる全てのノズルが、搬送コンベア24c上のパレットPに載置されるまで繰り返される。そして、全てのノズルの載置が完了すると、
図2DのステップS16~S19が実行される。
【0040】
図2Dは段取り装置が実行するノズル出庫の一例を模式的に示す図である。
図2Dの各ステップの動作は、コントローラー200の制御によって実行される。ステップS16では、受け渡しコンベア28が回転位置R2に位置した状態で、搬送コンベア24cがパレットPを受け渡しコンベア28へ向けて搬送し、ステップS17では、受け渡しコンベア28が搬送コンベア24cからパレットPを受け取る。ステップS18では、受け渡しコンベア28が回転位置R2から回転位置R1へ回転し、受け渡しコンベア28が回転位置R1に位置した状態で、受け渡しコンベア28が出庫コンベア27へ向けてパレットPを搬送する。そして、出庫コンベア27は、受け渡しコンベア28から受け取ったパレットPを部品実装機3へ搬送することで、パレットPに載置されたノズルを部品実装機3に出庫する(ステップS19)。
【0041】
なお、ステップS16~S19を逆の順序で実行することで、部品実装機3から搬送されてきたパレットPを、搬送コンベア24cに搬送することができる。さらに、搬送コンベア24cおよび保管コンベア24sを、パレット保管庫22のうちの空の保管スリット221と同一の高さに位置させつつ、搬送コンベア24cおよび保管コンベア24sによってパレットPを保管スリット221へ向けて搬送することで、このパレットPを保管スリット221に回収することができる。
【0042】
図3は部品実装機の一例を模式的に示す平面図である。この部品実装機3は、X方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(
図3の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品が実装された基板Bを作業位置からX方向の下流側へ搬出する。部品実装機3は、装置全体を制御するコントローラー300を備える。コントローラー300は、CPU等のプロセッサーあるいはFPGA等の演算装置や、HDDあるいはSSD等の記憶装置を有し、サーバーコンピューター100および部品実装機3との通信や、後述する部品実装機3での動作の制御を実行する。この部品実装機3は、X方向に基板Bを搬送する基板コンベア31を備える。この基板コンベア31は、X方向に並列に配列された一対のベルトコンベア311を有し、各ベルトコンベア311を回転させることで、各ベルトコンベア311の上面に載置された基板BをX方向に搬送する。この基板コンベア31が、作業位置への基板Bの搬入および作業位置からの基板Bの搬出を実行する。
【0043】
部品実装機3では、Y方向に延びる一対のY軸レール321と、Y方向に延びるY軸ボールネジ322と、Y軸ボールネジ322を回転駆動するY軸モータ323とが設けられ、X方向に延びるX軸レール324が一対のY軸レール321にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ322のナットに固定されている。X軸レール324には、X方向に延びるX軸ボールネジ325と、X軸ボールネジ325を回転駆動するX軸モータ326とが取り付けられており、ヘッドユニット33がX軸レール324にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ325のナットに固定されている。したがって、Y軸モータ323によりY軸ボールネジ322を回転させてヘッドユニット33をY方向に移動させ、あるいはX軸モータ326によりX軸ボールネジ325を回転させてヘッドユニット33をX方向に移動させることができる。
【0044】
基板コンベア31のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部34がX方向に並んでおり、各部品供給部34に対してはフィーダ取付台車35が着脱可能に取り付けられている。このフィーダ取付台車35には、X方向に並ぶ複数のテープフィーダ36が着脱可能に取り付けられている。各テープフィーダ36には、部品供給テープが装着されており、部品供給テープは、集積回路、トランジスター、コンデンサー等の小片状の部品を所定間隔おきに収納する。各テープフィーダ36の先端には部品供給位置361が設けられており、各テープフィーダ36は、基板コンベア31側に部品供給テープを間欠的に送り出すことで、部品供給テープ内の部品を部品供給位置361に供給する。
【0045】
ヘッドユニット33は、X方向に並ぶ複数の実装ヘッド331を有する。各実装ヘッド331はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられたノズルNによって部品を吸着・保持することができる。つまり、実装ヘッド331はテープフィーダ36の上方へ移動して、部品供給位置361に供給された部品をノズルNにより吸着する。続いて、実装ヘッド331は作業位置の基板Bの上方に移動してノズルNによる部品の吸着を解除することで、基板Bに部品を実装する。こうして、実装ヘッド331は、テープフィーダ36により部品供給位置361に供給された部品を部品供給テープから取り出して基板Bに実装する部品実装を実行する。
【0046】
さらに、ヘッドユニット33には、下方を撮像する撮像カメラ333が取り付けられている。この撮像カメラ333は、たとえば 基板Bに付されたフィデューシャルマークや、後述するパレットPに付されたパレットID等の画像を撮像して、コントローラー200に送信する。
【0047】
また、部品実装機3は、基板コンベア31と部品供給部34との間に配置されたノズルストッカー37を備える。ノズルストッカー37は、複数のノズル収納孔371を有し、ノズルNの下端部分がノズル収納孔371に挿入されることで、当該ノズル収納孔371にノズルNが収納される。さらに、ノズルストッカー37は、複数のノズル収納孔371を一括して開閉するシャッターを有する。ノズルストッカー37は、ノズル収納孔371に対してシャッターを閉じることで、ノズル収納孔371からのノズルNの取り出しと、ノズル収納孔371へのノズルNの挿入とを禁止する。一方、ノズルストッカー37は、ノズル収納孔371に対してシャッターを開くことで、ノズル収納孔371からのノズルNの取り出しと、ノズル収納孔371へのノズルNの挿入とを許可する。
【0048】
ノズルNが係合しない実装ヘッド331の下端が、ノズルストッカー37のノズル収納孔371に保持されるノズルNに押し込まれることで、実装ヘッド331にノズルNが係合する。この実装ヘッド331とノズルNとの係合は、例えば板バネ等の弾性力によって保持される。さらに、ノズルストッカー37のシャッターが開いた状態で、実装ヘッド331が上昇することで、実装ヘッド331に係合するノズルNがノズルストッカー37のノズル収納孔371から取り出される(ノズル取り付け)。一方、ノズルストッカー37のシャッターが開いた状態で、実装ヘッド331の下端に係合するノズルNがノズルストッカー37のノズル収納孔371へ下降することで、ノズルNがノズル収納孔371に挿入される。続いて、ノズルストッカー37のシャッターを閉じてから、実装ヘッド331を上昇させることで、ノズル収納孔371に保持されるノズルNから実装ヘッド331の下端が離脱して、実装ヘッド331からノズルNが取り外される(ノズル取り外し)。このようなノズル取り付けおよびノズル取り外しを組み合わせて実行することで、実装ヘッド331に取り付けられるノズルNを交換することができる。
【0049】
また、部品実装機3には、当該部品実装機3に向けて段取り装置2から出庫されたパレットPが搬入される。これに対して、部品実装機3は、パレットPに操作を実行するパレット操作部38を備える。続いては、パレットPおよびパレット操作部38について、
図4A~
図4Dを併用して具体的に説明する。
【0050】
図4Aおよび
図4Bはパレットの構成を模式的に示す部分断面図である。パレットPは、Z方向からの平面視において矩形を有するベースプレート41を有する。ベースプレート41は、複数のノズル収納孔411が設けられた収納プレート部41Aと、Y方向において収納プレート部41Aの両側に設けられたコンベア載置部41Bとを有する。ノズル収納孔411は、ベースプレート41をZ方向に貫通し、上方から挿入されたノズルNを保持する。収納プレート部41Aは、コンベア載置部41Bより大きな厚みを有して、コンベア載置部41Bより下側に突出する。また、各コンベア載置部41Bの底面は水平な載置面41Cであり、上述のベルトコンベア241、271、281あるいは311の上面に載置面41Cが載置された状態で、パレットPはベルトコンベア241、271、281あるいは311によって搬送される。
【0051】
さらに、パレットPは、ベースプレート41の上面に取り付けられたシャッター43を有する。シャッター43は、複数のノズル収納孔411にそれぞれ対応する複数の係合部431を有する。このシャッター43は、ベースプレート41に対してX方向に移動可能であり、ノズル収納孔411に収納されるノズルNに係合部431が上方から係合する係合位置(
図4Aのシャッター43の位置)と、ノズル収納孔411に収納されるノズルNから係合部431が離間する離間位置との一方に選択的に位置決めされる。そして、シャッター43が係合位置に位置する場合には、ノズル収納孔411からのノズルNの取り出しが係合部431により禁止される(つまり、シャッター43が閉じられる)。一方、シャッター43が離間位置に位置する場合には、ノズル収納孔411からのノズルNの取り出しが許可される(つまり、シャッター43が開かれる)。
【0052】
図4Cおよび
図4Dは部品実装機のパレット操作部の構成および動作を模式的に示す図である。パレット操作部38は、ストッパー381と、ストッパー381に取り付けられた開閉シリンダー382と、ストッパー381および開閉シリンダー382を支持する昇降シリンダー383とを有する。そして、昇降シリンダー383は、ストッパー381および開閉シリンダー382を一体的に昇降させることで、これらをパレットPの通過経路に重なる位置(
図4Cおよび
図4Dの位置)と、パレットPの通過経路から下方へ退避する位置との間で移動させる。なお、パレットPの通過経路とは、基板コンベア31によってX方向に搬送されるパレットPが通過する経路である。
【0053】
かかる構成では、パレットPの通過経路からストッパー381および開閉シリンダー382を退避させることで、基板コンベア31によってパレットPをX方向に搬送できる。一方、パレットPの通過経路にストッパー381を位置させることで、X方向の下流側からパレットPにストッパー381を当接させて、パレットPを停止させることができる。また、パレット操作部38は、昇降シリンダー383をX方向に駆動する単軸ロボット384を有する。この単軸ロボット384は、例えばリニアモーターやボールネジにより構成することができる。単軸ロボット384が昇降シリンダー383をX方向に駆動すると、昇降シリンダー383によって支持されるストッパー381および開閉シリンダー382がX方向に移動する。したがって、ストッパー381によりパレットPを停止させる位置を、単軸ロボット384によって変更することができる。
【0054】
ストッパー381がパレットPに当接した状態では、開閉シリンダー382によってシャッター43操作することができる。つまり、開閉シリンダー382によってシャッター43をX方向に駆動することで、係合位置(
図4Cのシャッター43の位置)と離間位置(
図4Dのシャッター43の位置)とのいずれかにシャッター43を位置決めできる。なお、開閉シリンダー382は、例えば磁力によってシャッター43を把持しつつ、シャッター43を駆動することができる。かかるパレットPによれば、上述したノズルストッカー37と同様に、実装ヘッド331に対するノズルNの取り付けや取り外しを実行できる。
【0055】
つまり、ノズルNが係合しない実装ヘッド331の下端が、パレットPのノズル収納孔411に保持されるノズルNに押し込まれることで、実装ヘッド331にノズルNが係合する。さらに、パレットPのシャッター43が開いた状態(つまり、離間位置に位置した状態)で、実装ヘッド331が上昇することで、実装ヘッド331に係合するノズルNがパレットPのノズル収納孔411から取り出される(ノズル取り付け)。一方、パレットPのシャッター43が開いた状態で、実装ヘッド331の下端に係合するノズルNがパレットPのノズル収納孔411へ下降することで、ノズルNがノズル収納孔411に挿入される。続いて、パレットPのノズル収納孔411を閉じてから(つまり、係合位置に位置させてから)、実装ヘッド331を上昇させることで、ノズル収納孔411に保持されるノズルNから実装ヘッド331の下端が離脱して、実装ヘッド331からノズルNが取り外される(ノズル取り外し)。このような部品実装機3では、ノズルストッカー37とパレットPとの間のノズルNの移動を、実装ヘッド331とパレット操作部38との協働によって実行できる。
【0056】
このような構成では、
図1に示すように、同一の基板生産ラインLに属する段取り装置2の出庫コンベア27と各部品実装機3の基板コンベア31とは直列に配列されて、1本の搬送ラインを構成する。したがって、段取り装置2が出庫コンベア27から搬出したパレットPを、複数の部品実装機3に順番に搬入することができる。具体的には、次の
図5A~
図5Dに示すような搬送モードを実行することができる。なお、以下に示す各搬送モードは、基板生産ラインLで実行できる全搬送モードの一部であり、基板生産ラインLでは他の搬送モードでパレットPを搬送できる。
【0057】
図5A~
図5Dは基板生産ラインで実行できるパレットの搬送モードの一例を模式的に示す図である。なお、
図5A~
図5Dでは、互いに隣接する出庫コンベア27と基板コンベア31が簡略的に1対のベルトコンベアで表記されるとともに、互いに隣接する2個の基板コンベア31が簡略的に1対のベルトコンベアで表記されている。
【0058】
図5Aの搬送モードでは、複数の部品実装機3のそれぞれに1枚のパレットPを搬送する。つまり、X方向に直列に配列された複数の部品実装機3のうち、X方向の下流側から順にパレットPを搬送する。具体的には、ステップS21、S22において、複数の部品実装機3のうち、最下流の部品実装機3に段取り装置2からパレットPが搬送される。次にステップS23、S24において、パレットPが未搬入の部品実装機3のうち、X方向の最下流の部品実装機3に段取り装置2からパレットPが搬送される。同様にしてパレットPの搬送を繰り返すことで、ステップS25に示すように、複数の部品実装機3のそれぞれにパレットPが搬送される。
【0059】
図5Bの搬送モードでは、パレットPの搬送先となる部品実装機3の台数より、パレットPの枚数が少なく、2台の部品実装機3に対して1枚のパレットPが搬送される。具体的には、ステップS31では、X方向の上流側から数えて奇数番目の部品実装機3に、パレットPが段取り装置2から搬送される。次のステップS32では、各パレットPが、奇数番目の部品実装機3からX方向の下流側へ搬送されることで、偶数番目の部品実装機3に搬送される。
【0060】
図5Cの搬送モードでは、パレットPの搬送先となる部品実装機3の台数より、パレットPの枚数が少なく、1枚のパレットPが複数の部品実装機3に順番に搬送される。具体的には、段取り装置2からX方向の下流側へ搬出されたパレットPは、複数の部品実装機3のうち、X方向の上流側の部品実装機3から順に搬送される(ステップS41~S45)。
【0061】
図5Dの搬送モードでは、パレットPの搬送先となる部品実装機3の台数より、パレットPの枚数が少なく、1枚のパレットPが複数の部品実装機3に順番に搬送される。具体的には、複数の部品実装機3のうち、X方向の最下流の部品実装機3にパレットPが搬送される(ステップS51、S52)。次に、X方向の下流側の部品実装機3から順にパレットPが搬送される(ステップS52~S55)。
【0062】
なお、上記では。段取り装置2から部品実装機3にパレットPを搬送する場合を説明している。しかしながら、各部品実装機3から段取り装置2へ向けてパレットPを搬送することで、部品実装機3に搬送したパレットPを段取り装置2に回収することもできる。
【0063】
上記の部品実装システム1の各基板生産ラインLでは、段取り装置2は、基板Bに部品を実装する部品実装に使用するノズルNをパレットPに載置して、部品実装機3に出庫することができる。そして、部品実装機3は、段取り装置2から出庫されたノズルNを実装ヘッド331によってパレットPから取り出すことで受け取ることができる(受取動作)。かかる受取動作では、パレットPに載置されたノズルNをノズルストッカー37にノズルNを移動させたり、パレットPに載置されたノズルNを実装ヘッド331に装着したりすることができる。そこで、この実施形態では、段取り装置2から部品実装機3にノズルNを出庫することで、部品実装に使用されるノズルNが部品実装機3に段取りされる。特に、この段取りは、サーバーコンピューター100から段取り装置2に指令を送信することで管理される。
【0064】
図6は段取り装置に対する指令の作成方法の一例を示すフローチャートを示す図であり、
図7は
図6のフローチャートで実行される出庫態様決定の第1例を示すフローチャートである。
図6および
図7のフローチャートは、サーバーコンピューター100によって、複数の基板生産ラインLのそれぞれについて個別に実行される。
【0065】
図6の指令作成のステップS61では、出庫態様決定(
図7)が実行される。後述するように、出庫態様決定は複数のモードによって実行することが可能であるが、ここでは、部品実装の実行に不足するノズルNを部品実装機3に出庫する基本モードについて説明する。
【0066】
図7のステップS101では、サーバーコンピューター100の演算部110は、ノズルNの出庫に用いるパレットPを、複数の部品実装機3に対して割り当てる。ここでは、ノズルNの出庫に使用できるパレットPの枚数が、ノズルNの出庫先となる部品実装機3の台数以上であって、1台の部品実装機3に対して1枚のパレットPが割り当てられる例を用いて説明する。したがって、部品実装機3へのパレットPの搬送は、上述の
図5Aの搬送モードにより実行できる。ただし、パレットPの枚数が少ない場合には、2台以上の部品実装機3に対して1枚のパレットPを割り当てて、上述の
図5B~
図5C等の搬送モードによりパレットPを搬送することができる。
【0067】
図7のステップS102では、演算部110は、部品実装機3が保有するノズルNと、部品実装機3が以後の部品実装で使用予定のノズルNとを確認する。具体的には、
図8Aに示す保有ノズル情報と、
図8Bに示す使用予定ノズル情報が演算部110により作成されて、記憶部140に保存されている。
【0068】
図8Aは部品実装機の保有ノズルを示す保有ノズル情報の一例を示す図である。同図では、複数の部品実装機3が異なる符号3(1)~3(4)で区別されており、以下においても同様の表記を適宜用いる。ここで、保有ノズルとは、現在において、部品実装機3のノズルストッカー37に収納されたノズルNと、部品実装機3の実装ヘッド331に装着されたノズルNとを示す。この保有ノズル情報は、ノズルNの種類Nk、ノズルNのノズルID、ノズルNの吸着率およびノズルNのショット数を、部品実装機3に保有される各ノズルNについて示す。ノズルIDは、ノズルNを識別するために当該ノズルNに付された識別子である。つまり、演算部110は、部品実装機3に対して出庫・回収したノズルNのノズルIDを管理することで、部品実装機3に保有されるノズルNのノズルIDを認識している。吸着率は、ノズルNを用いた部品の吸着の成功率であり、ショット数は、ノズルNを用いて基板Bに部品を実装した回数である。つまり、演算部110は、通信部130を介して部品実装機3から吸着率およびショット数を収集する。なお、吸着率およびショット数は、部品実装機3において計測されて、例えばノズルNが洗浄される度にリセットされる。
【0069】
図8Bは部品実装機の使用予定ノズルを示す使用予定ノズル情報の一例を示す図である。この使用予定ノズル情報は、部品実装機3で保有される各ノズルNの種類Nkを示す。具体的には、基板生産ラインLで生産する部品実装基板(部品が実装された基板B)の品種および枚数を示す生産計画が記憶部140に保存されており、演算部110は、次に実行する部品実装基板の生産(基板生産)において各部品実装機3が使用するノズルNを生産計画から求めることで、使用予定ノズル情報を取得する。
【0070】
ステップS103では、演算部110は、使用予定ノズル情報が示すノズルNと、保有ノズル情報が示すノズルNとの差分を取ることで、基板生産の実行に対して不足するノズルNを各部品実装機3について確認する。つまり、使用予定ノズル情報に示されるノズルNであって、保有ノズル情報に示されないノズルNが、不足分のノズルNとなる。
【0071】
ステップS104では、演算部110は、部品実装機3について確認された不足分のノズルNを、当該部品実装機3に出庫する出庫対象ノズルに決定して、出庫対象ノズル情報を作成する(
図8C)。
図8Cは部品実装機への出庫対象のノズルを示す出庫対象ノズル情報の第1例を示す図である。出庫対象ノズル情報は、部品実装機3に対して搬送するパレットPのパレットIDと、当該パレットPに載置して部品実装機3に出庫するノズルNの種類NkとノズルIDとを、各部品実装機3について示す。こうして、ノズルNの出庫態様が決定される。
【0072】
図6のステップS62では、ステップ104で求められた出庫対象ノズル情報に従って、ノズルNが載置されたパレットPを準備する出庫準備を段取り装置2に実行させるための出庫準備指令が、演算部110によって作成されて、記憶部140に保存される。
【0073】
図9は段取り装置および部品実装機に対する指令の作成方法の一例を示すフローチャートを示す図であり、
図10は
図9のフローチャートで実行される出庫態様決定の第2例を示すフローチャートであり、
図11は
図9のフローチャートで実行される回収態様決定の第1例を示すフローチャートである。
図9、
図10および
図11のフローチャートは、サーバーコンピューター100によって、複数の基板生産ラインLのそれぞれについて個別に実行される。
【0074】
図9の指令作成のステップS71では、出庫態様決定(
図10)が実行される。ここでは、部品実装の実行に不足するノズルNと、メンテナンスのために交換するノズルNとを部品実装機3に出庫する選択交換モードでの出庫態様決定について説明する。
【0075】
図10においても、上記の例と同様に各部品実装機3に対してステップS101~S103が実行される。つまり、複数の部品実装機3に対してパレットPが割り当てられる(ステップS101)。そして、ステップS102で保有ノズルと使用予定ノズルとを確認した結果に基づき、不足分のノズルNが確認される。
【0076】
次のステップS105では、演算部110は、各部品実装機3が段取り装置2から出庫されたノズルNに対する受取動作に使用できる時間(動作時間)を、生産計画に基づき決定する。具体的には、次の基板生産が生産計画で定められた予定時刻に開始できる範囲で、受取動作に割り当てる動作時間が決定される。
【0077】
ステップS106では、演算部110は、ステップS105で決定された動作時間内に部品実装機3が受け取ることができるノズルNの個数(受取可能個数)を決定し、受取可能個数からステップS103で確認した不足分の個数を減算した個数(メンテナンス可能個数)を算出する。そして、演算部110は、部品実装機3に保有されるノズルNのうちから、優先基準(吸着率あるいはショット数)に基づきメンテナンス可能個数のノズルNをメンテナンス対象ノズルとして選択する。優先基準として吸着率を採用した場合には、吸着率の低いノズルNから優先的にメンテナンス対象ノズルに選択する。あるいは、優先基準としてショット数を採用した場合には、ショット数の多いノズルNから優先的にメンテナンス対象ノズルに選択する。
【0078】
ステップS107では、演算部110は、部品実装機3について確認された不足分のノズルNと、メンテナンス対象ノズルに選択されたノズルN(換言すれば、メンテナンス対象ノズルと交換される当該メンテナンスノズルと同一種類のノズルN)とを、部品実装機3に出庫する出庫対象ノズルに決定して、出庫対象ノズル情報を作成する(
図12A)。
図12Aは部品実装機への出庫対象ノズルを示す出庫対象ノズル情報の第2例を示す図である。
図12Aの出庫対象ノズル情報では、
図8Cのそれと比較して、ステータスが加えられている。このステータスにおいて、「追加」は、部品実装機3での不足分のノズルNを補うために段取り装置2から部品実装機3に出庫されるノズルNを示し、「交換」は、メンテナンス対象ノズルとして部品実装機3から段取り装置2に回収されるノズルNと交換するために段取り装置2から部品実装機3に出庫されるノズルNを示す。ただし、この「ステータス」が出庫対象ノズル情報に含まれる必要は必ずしもない。こうして、ノズルNの出庫態様が決定される。
【0079】
図9のステップS72では、
図11の回収態様決定(選択交換モード)が実行される。
図11のステップS201では、演算部110は、ステップS106でメンテナンス対象ノズルに選択されたノズルNを各部品実装機3について確認する。そして、ステップS202では、演算部110は、メンテナンス対象ノズルに選択されたノズルNを、部品実装機3から段取り装置2に回収する回収対象ノズルに決定して、回収対象ノズル情報を作成する(
図12B)。
図12Bは部品実装機からの回収対象ノズルを示す回収対象ノズル情報の一例を示す図である。回収対象ノズル情報は、回収対象のノズルNの回収に使用するパレットPのパレットIDと、当該パレットPに載置して部品実装機3から回収するノズルNの種類NkとノズルIDとを、各部品実装機3について示す。なお、ノズルNの回収に使用するパレットPは、回収対象のノズルNを保有する部品実装機3へのノズルNの出庫のために当該部品実装機3に搬送されるパレットPである。こうして、ノズルNの回収態様が決定される。
【0080】
図9のステップS73では、ステップ107で求められた出庫対象ノズル情報に従って、ノズルNが載置されたパレットPを準備する出庫準備を段取り装置2に実行させるための出庫準備指令が、演算部110によって作成されて、記憶部140に保存される。さらに、ステップS73では、ステップS202で求められた回収対象ノズル情報に従って、部品実装機3から段取り装置2にノズルNを回収するための回収指令が、演算部110によって作成されて、記憶部140に保存される。
【0081】
図13は
図9のフローチャートで実行される出庫態様決定の第3例を示すフローチャートであり、
図14は
図9のフローチャートで実行される回収態様決定の第2例を示すフローチャートである。
図13および
図14のフローチャートは、サーバーコンピューター100によって、複数の基板生産ラインLのそれぞれについて個別に実行される。
【0082】
図9の指令作成のステップS71では、出庫態様決定(
図13)が実行される。ここでは、部品実装の実行に不足するノズルNと、部品実装機3が保有する全てのノズルNをメンテナンスのために交換するノズルNとを部品実装機3に出庫する全交換モードでの出庫態様決定について説明する。
【0083】
図13においても、上記の例と同様に各部品実装機3に対してステップS101~S103が実行される。つまり、複数の部品実装機3に対してパレットPが割り当てられる(ステップS101)。そして、ステップS102で保有ノズルと使用予定ノズルとを確認した結果に基づき、不足分のノズルNが確認される。
【0084】
次のステップS108では、演算部110は、部品実装機3が保有する全てのノズルNをメンテナンス対象ノズルに選択する。そして、ステップS109では、演算部110は、部品実装機3について確認された不足分のノズルNと、メンテナンス対象ノズルに選択されたノズルN(換言すれば、メンテナンス対象ノズルと交換される当該メンテナンスノズルと同一種類のノズルN)とを、部品実装機3に出庫する出庫対象ノズルに決定して、上述と同様に、出庫対象ノズル情報を作成する。
【0085】
図9のステップS72では、
図14の回収態様決定(全交換モード)が実行される。
図14のステップS201では、演算部110は、ステップS108でメンテナンス対象ノズルに選択されたノズルNを各部品実装機3について確認する。そして、ステップS202では、演算部110は、メンテナンス対象ノズルに選択されたノズルNを、部品実装機3から段取り装置2に回収する回収対象ノズルに決定して、上述と同様に、回収対象ノズル情報を作成する。こうして、ノズルNの回収態様が決定される。
【0086】
図9のステップS73では、ステップ109で求められた出庫対象ノズル情報に従って、ノズルNが載置されたパレットPを準備する出庫準備を段取り装置2に実行させるための出庫準備指令が、演算部110によって作成されて、記憶部140に保存される。さらに、ステップS73では、ステップS202で求められた回収対象ノズル情報に従って、部品実装機3から段取り装置2にノズルNを回収するための回収指令が、演算部110によって作成されて、記憶部140に保存される。
【0087】
上述のように、出庫態様は、基本モード、選択交換モードおよび全交換モードのそれぞれで実行できる。この際、これらのモードのうち、1つのモードのみを実行するように構成してもよいし、作業者がUI120を操作することで選択したモードを実行するように構成してもよい。後者は例えば次のように構成できる。
【0088】
図15Aは出庫態様決定の第4例を示すフローチャートであり、
図15Bは
図15の出庫態様決定に対応して実行される回収態様決定の一例を示すフローチャートである。
図15Aの出庫態様決定(混合モード)では、ステップS121で、作業者に選択されたモードが基本モードであるか判断される。そして、基本モードが選択されている場合(ステップS121で「YES」の場合)には、基本モードが実行され(ステップS122)、基本モードが選択されていない場合(ステップS121で「NO」の場合)には、ステップS123に進む。
【0089】
ステップS123で、作業者に選択されたモードが選択交換モードであるか判断される。そして、選択交換モードが選択されている場合(ステップS123で「YES」の場合)には、選択交換モードが実行され(ステップS124)、選択交換モードが選択されていない場合(ステップS123で「NO」の場合)には、ステップS125に進んで、全交換モードが実行される。
【0090】
図15Bの回収態様決定(混合モード)では、ステップS221で、作業者に選択されたモードが基本モードであるか判断される。そして、基本モードが選択されている場合(ステップS221で「YES」の場合)には、
図15Bのフローチャートを終了し、基本モードが選択されていない場合(ステップS221で「NO」の場合)には、ステップS223に進む。
【0091】
ステップS223で、作業者に選択されたモードが選択交換モードであるか判断される。そして、選択交換モードが選択されている場合(ステップS223で「YES」の場合)には、選択交換モードが実行される(ステップS224)、選択交換モードが選択されていない場合(ステップS223で「NO」の場合)には、ステップS225に進んで、全交換モードが実行される。
【0092】
上記のようにして、段取り装置2に対する出庫準備指令や、部品実装機3に対する回収指令が作成される。続いては、これらの指令を段取り装置2あるいは部品実装機3に送信して、指令に応じた動作を実行させるフローについて説明する。
【0093】
図16は部品実装システムの各基板生産ラインでの段取りを管理するライン段取り管理の第1例を示すフローチャートである。
図16のフローチャートは、サーバーコンピューター100の演算部110の制御によって実行される。ステップS301では、演算部110は、実行中の基板生産の完了時刻を複数の基板生産ラインLのそれぞれについて予測する。
【0094】
ステップS302では、演算部110は、実行中の基板生産の次に実行予定の基板生産のための指令(出庫準備指令・回収指令)を複数の基板生産ラインLのそれぞれについて作成する。この指令の作成は、上述の基本モード、選択交換モードあるいは全交換モードで実行できる。したがって、基本モードによって指令作成を行う場合には、出庫準備指令が作成され、選択交換モードあるいは全交換モードで指令作成を行う場合には、出庫準備指令および回収指令が作成される。さらに、ステップS302では、各指令を送信する時刻が、基板生産の予想完了時刻に基づき決定される。例えば、演算部110は、出庫準備の内容から段取り装置2での出庫準備に要する準備時間を算出し、この準備時間にマージン時間を足した時間だけ基板生産の予想完了時刻より早い時刻に指令送信時刻を設定する。
【0095】
そして、現在時刻が指令送信時刻となると(ステップS303)、演算部110は、ステップS302で作成した指令(出庫準備指令・回収指令)を対象の装置(段取り装置2・部品実装機3)に送信する(ステップS304)。そして、ステップS302で作成した全指令の送信が完了するまで(ステップS305で「YES」)、ステップS303、S304が繰り返される。
【0096】
図17は段取り装置で実行される指令受信処理の第1例を示すフローチャートである。段取り装置2のコントローラー200は、サーバーコンピューター100から出庫準備指令を受信すると(ステップS401で「YES」)、出庫準備指令が示すノズルNを、同出庫準備指令が示すパレットPに載置する(ステップS402)。そして、出庫準備指令が示す全てのノズルNをパレットPに載置して、出庫準備が完了すると(ステップS403で「YES」)、ステップS404に進む。なお、段取り装置2が出庫準備のために具体的に実行する動作は、
図2CのステップS11~S15に示した通りである。
【0097】
ステップS404では、コントローラー200は、出庫準備によってノズルNが載置されたパレットPを段取り装置2から、当該段取り装置2が属する基板生産ラインLの部品実装機3に搬出可能かを、部品実装機3から受信した稼働状況に基づき判断する。具体的には、コントローラー200は、パレットPの搬送先の部品実装機3の稼働状況(部品実装実行中・部品実装完了・基板搬出完了等)に基づき、当該部品実装機3がパレットPの受け入れを実行できるかを確認する。そして、受け入れが可能である場合には、パレットPを部品実装機3に搬出可能と判断して(ステップS404で「YES」)、パレットPが段取り装置2から部品実装機3に搬出される。具体的には、上述したように、出庫準備によりノズルNが載置されたパレットPが段取り装置2の出庫コンベア27から、部品実装機3の基板コンベア31に搬送されて、部品実装機3に搬入される。なお、段取り装置2がノズルNの出庫のために具体的に実行する動作は、
図2DのステップS16~S19に示した通りである。
【0098】
図18Aは部品実装機で実行される指令受信処理の第1例を示すフローチャートである。部品実装機3のコントローラー300は、当該部品実装機3にパレットPが搬入されると(ステップS501で「YES」)、所定のパレット停止位置にパレットPを停止させる(ステップS502)。ステップS503では、コントローラー300は、サーバーコンピューター100から回収指令を受信しているか否かを判断する。回収指令を受信していない場合(ステップS503で「NO」の場合)には、コントローラー300は、実装ヘッド331を用いてパレットPに載置されたノズルNの受け取りを実行する(受取動作)。一方、回収指令を受信している場合(ステップS503で「YES」の場合)には、コントローラー300は、部品実装機3に保有するノズルNのうち回収指令が示す回収対象ノズルを実装ヘッド331によりノズルストッカー37からパレットPに移動させる移動動作と、受取動作とを実行する。なお、移動動作は受取動作と並行して実行される。具体的には、実装ヘッド331は、受取動作のためにパレットPからノズルストッカー37にノズルNを移動させると、ノズルストッカー37から回収対象ノズルを取り出してパレットPに移動させる。つまり、パレットPからノズルストッカー37へ向かう往路で受取動作が実行され、ノズルストッカー37からパレットPへ向かう復路で移動動作が実行される。
【0099】
こうして、ステップS504の受取動作あるいはステップS505の受取動作および移動動作が完了すると、部品実装機3からパレットPが搬出される(ステップS506)。この際、例えば
図5Aの搬送モードが実行されている場合には、部品実装機3からのパレットPの搬出先は段取り装置2となり、
図5B~5Dの搬送モードが実行されている場合には、部品実装機3からのパレットPの搬出先は段取り装置2あるいは他の部品実装機3となる。
【0100】
図18Bは部品実装機で実行される指令受信処理の第2例を示すフローチャートである。ここでは、
図18Aの第1例との差を主に説明し、共通部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。この第2例の前提として、サーバーコンピューター100は、出庫準備指令を段取り装置2に送信するのと同時に、出庫準備指令の対象となるパレットPに関するパレット情報を部品実装機3に予め送信している。このパレット情報は、出願準備指令の対象となるパレットPを部品実装機3において停止させるパレット停止位置と、当該パレットPにおけるノズルNの配置(換言すれば、位置)とを、パレットIDに対応付けて示す。
【0101】
部品実装機3のコントローラー300は、当該部品実装機3にパレットPが搬入されると(ステップS501で「YES」)、パレットPを仮停止させて(ステップS507)、撮像カメラ333によってパレットPのパレットIDを撮像した画像に基づき当該パレットIDを読み取る。そして、コントローラー300は、パレットIDが示すパレット停止位置に応じて単軸ロボット384によってストッパー381の位置を調整してから、基板コンベア31によってパレットPの搬送を開始する。これによって、パレットPは、位置が調整されたストッパー381に当接して、パレットIDが示すパレット停止位置に停止する(ステップS503)。また、ステップS504、S505の受取動作では、コントローラー300は、パレットIDが示すパレットPにおけるノズルNの配置に基づき、ノズルNの種類を認識しつつ、ノズルNを受け取る。
【0102】
図19は部品実装システムの各基板生産ラインでの段取りを管理するライン段取り管理の第2例を示すフローチャートである。
図19のフローチャートは、サーバーコンピューター100の演算部110の制御によって実行される。ここでは、
図16の第1例との差を主に説明することとし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0103】
図19の第2例では、演算部110は、各基板生産ラインLについて指令を作成すると、作業者からの割込み要求がUI120に入力されたかを確認する。この割込み要求は、ステップS302で作成された出庫準備指令に関わらず、例えばノズルNの破損といった緊急の理由によって、特定のノズルNを段取り装置2から部品実装機3へ出庫するように要求するものである。ステップS302で作成した出庫準備指令が未送信の状況で割込み要求があると(ステップS306で「YES」)、演算部110は、当該割込み要求が示すノズルNを出庫するように段取り装置2に指示を送信し、段取り装置2は指示に応じて対象のノズルNを出庫する(ステップS307)。
【0104】
そして、ステップS308では、演算部110は、割込み要求に応じて出庫したノズルNが、ステップS302で作成した出庫準備指令に応じて出庫する予定のノズルNであったかを確認する。具体的には、前者のノズルNのノズルIDと、後者のノズルNのノズルIDとが一致するか否かに基づき、ステップS308の確認を実行できる。そして、割込み要求に応じて出庫したノズルNが出庫準備指令に応じて出庫する予定のノズルNであった場合(ステップS308で「YES」の場合)には、演算部110は、出庫準備指令を再度作成する必要があると判断して、ステップS302に戻る一方、そうでない場合(ステップS308で「NO」の場合)には、ステップS303に進む。
【0105】
図20は段取り装置で実行される指令受信処理の第2例を示すフローチャートである。ここでは、
図17の第1例との差を主に説明することとし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
図20の第2例では、コントローラー200は、出庫準備指令を受信すると(ステップS401で「YES」)、出庫準備指令に応じた出庫準備の対象となるノズルNの出庫先となる部品実装機3から回収すべき回収対象ノズルが存在するかを確認する(ステップS406)。具体的には、出庫準備の対象となるノズルNにメンテナンス対象ノズルが存在するか否かに基づき、回収対象ノズルの有無を確認できる。
【0106】
回収対象ノズルが存在しない場合(ステップS406で「NO」の場合)には、ステップS402に進む。一方、回収対象ノズルが存在する場合(ステップS406で「YES」の場合)には、出庫準備(ステップS402~403)の開始前に、段取り装置2は、回収用の空のパレットPを、回収対象ノズルが存在する部品実装機3に搬出する(ステップS407)。そして、この回収用のパレットPが搬入された部品実装機3は、段取り装置2からのノズルNの出庫に先立って、当該パレットPに回収対象ノズルを載置してから当該パレットPを段取り装置2に搬送する。
【0107】
ところで、上述のように、演算部110が回収指令を部品実装機3に送信した場合には、回収対象ノズルが部品実装機3から段取り装置2に回収される。そこで、
図21に示すフローチャートを実行するように、段取り装置2を構成してもよい。ここで、
図21は段取り装置で実行されるメンテナンス準備の一例を示すフローチャートである。ステップS601では、段取り装置2のコントローラー200は、回収対象ノズルが載置されたパレットPが部品実装機3から段取り装置2に回収されたかを確認する。そして、回収を確認すると(ステップS601で「YES」)、コントローラー200は、メンテナンスの実行を作業者に指示する画面をディスプレイ297に表示する(ステップS602)。
【0108】
これによって、作業者は、メンテナンスの実行指示をUI120に入力できる。また、UI120に実行指示が入力されると、段取り装置2の移載ヘッド251は、部品実装機3から回収されたパレットPから洗浄ユニット292にメンテナンス対象ノズルを移動させて、当該ノズルにメンテナンスを実行する。
【0109】
図22は出庫態様決定の第5例を示すフローチャートである。ここでは、上記の出庫態様決定との差を中心に説明し、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
図22においても、上記の例と同様に各部品実装機3に対してステップS101~S103が実行される。つまり、複数の部品実装機3に対してパレットPが割り当てられる(ステップS101)。そして、ステップS102で保有ノズルと使用予定ノズルとを確認した結果に基づき、不足分のノズルNが確認される。
【0110】
次のステップS111では、演算部110は、出庫準備を行う段取り装置2と同一の基板生産ラインLに属する複数の部品実装機3のうち、同一のノズルNを転用可能な2台の部品実装機3が存在するかを確認する。具体的には、「複数の部品実装機3のうち、一の部品実装機3において保有ノズルであって使用予定ノズルではないノズルN(転用可能ノズル)が、他の部品実装機3の使用予定ノズルNであって保有ノズルNではない」といった転用条件を満たすノズルNが存在するか否かを確認する。
【0111】
転用条件を満たすノズルNが存在する場合(ステップS111で「YES」の場合)には、他の部品実装機3で使用される当該ノズルNは、段取り装置2から出庫するのではなく、一の部品実装機3から他の部品実装機3へ移動させると決定する(ステップS112)。なお、一の部品実装機3から他の部品実装機3へのノズルNの移動は、パレットPを用いて実行する。このパレットPとしては、一の部品実装機3への出庫に用いたパレットPを使用できる。そして、ステップS112では、他の部品実装機3に対する出庫対象ノズルを決定するにあたっては、他の部品実装機3について確認された不足分のノズルNから、転用条件を満たすノズルNを除いたノズルNを出庫対象ノズルに決定する。
【0112】
ところで、上記の出庫態様決定においては、パレットPに載置するノズルNの位置や、出庫先となる部品実装機3でのパレットPの停止位置(パレット停止位置)といった出庫態様の詳細条件を次の様に管理することができる。
図23は出庫態様の詳細条件管理の一例を示すフローチャートである。
図23のフローチャートは、上記の出庫態様決定で出庫対象ノズルに決定されたノズルNを対象にサーバーコンピューター100の演算部110により実行され、出庫態様の詳細条件を変更しつつ最適な出庫態様の詳細を決定する。
【0113】
ステップS701では、演算部110は出庫対象ノズルを確認する。ステップS702では、出庫対象ノズルの出庫に用いるパレットPが、出庫先の部品実装機3で停止する位置を示す変数である停止位置変数Vsリセットし、ステップS703では、停止位置変数Vsを1だけインクリメントする。ここで、異なる停止位置変数Vsは、異なるパレットPの停止位置を示す。さらに、パレットPに対して各出庫対象ノズルを配置する位置のバリエーションを示す変数であるノズル配置変数Vaをリセットして、ステップS705では、ノズル配置変数Vaを1だけインクリメントする。ここで、異なるノズル配置変数Vaは、パレットPに対する異なるノズルNの配置を示し、換言すれば、ノズルNの配置態様の異なる組み合わせを示す。
【0114】
ステップS706では、演算部110は、ノズル配置変数Vaが示す配置でノズルNが載置されたパレットPを、出庫先の部品実装機3において停止位置変数Vsが示す位置で停止させた場合に、当該部品実装機3がパレットPからノズルNを受け取る受取動作に要する時間(動作時間)を予測する。ステップS705~S706の演算は、ノズル配置変数Vaが所定の値Vaxに到達するまで繰り返される。さらに、ステップS703~S707の演算が、停止位置変数Vsが所定の値Vsxに到達するまで繰り返される。
【0115】
こうして、パレットPに対するノズルNの配置あるいはパレットPの停止位置が異なる複数の組み合わせのそれぞれについて、受取動作の動作時間が予測される。そして、ステップS709では、演算部110は、これらの組み合わせのうちから、動作時間が最小となるノズルNの配置とパレットPの停止位置との最適組み合わせを特定して、この最適組み合わせが示す配置でノズルNを配置するとともに、停止位置でパレットPを停止させると決定する。この決定内容は、サーバーコンピューター100から段取り装置2および部品実装機3に送信され、段取り装置2は最適組み合わせが示す配置でノズルNをパレットPに配置することで出庫準備を行い、部品実装機3は最適組み合わせが示す位置にパレットPを停止させる。
【0116】
以上に説明する実施形態の段取り装置2では、パレット保管庫22(部材保管庫)から取り出されたノズルN(使用部材)が載置されたパレットP(搬送パレット)を部品実装機3の基板コンベア31に受け渡すパレット搬送部26を備える。したがって、部品実装機3で使用されるノズルNを当該部品実装機3に的確に出庫することが可能となっている。
【0117】
また、パレット保管庫22から取り出されたノズルNをパレットPに載置する移載ヘッド251が設けられ、パレット搬送部26は、移載ヘッド251によってノズルNが載置されたパレットPを基板コンベア31に受け渡す。つまり、パレット保管庫22から取り出されたノズルNが移載ヘッド251によってパレットPに載置され、このパレットPがパレット搬送部26によって基板コンベア31に受け渡される。こうして、部品実装機3で使用されるノズルNを当該部品実装機3に的確に出庫することが可能となっている。
【0118】
また、パレット保管庫22からノズルNを取り出して支持するパレット取り出し部23(部材取り出し部)が設けられ、移載ヘッド251は、パレット取り出し部23に支持されたノズルNを、パレットPに載置する。かかる構成では、パレット取り出し部23によってパレット保管庫22から取り出されたノズルNが、当該パレット取り出し部23に支持される。そして、パレット取り出し部23に支持されるノズルNが移載ヘッド251によってパレットPに載置され、このパレットPがパレット搬送部26によって部品実装機3の基板コンベア31に受け渡される。こうして、部品実装機3で使用されるノズルNを当該部品実装機3に的確に出庫することが可能となっている。
【0119】
また、パレット保管庫22は、それぞれノズルNが載置された複数のパレットP(保管パレット)を保管する。そして、パレット取り出し部23は、パレット保管庫22から取り出したパレットP(保管パレット)を支持するとともに、パレット搬送部26から受け取ったパレットP(搬送パレット)を支持し、移載ヘッド251は、パレット取り出し部23に支持される一方のパレットP(保管パレット)から他方のパレットP(搬送パレット)へノズルNを移動する。つまり、ノズルNが載置された一方のパレットP(保管パレット)がパレット保管庫22に保管され、パレット取り出し部23によってパレット保管庫22から取り出された他方のパレットP(保管パレット)が、当該パレット取り出し部23に支持される。そして、パレット取り出し部23に支持される一方のパレットP(保管パレット)に載置されたノズルNが移載ヘッド251によって他方のパレットP(搬送パレット)に載置され、この他方のパレットP(搬送パレット)がパレット搬送部26によって部品実装機3の基板コンベア31に受け渡される。こうして、部品実装機3で使用されるノズルNを当該部品実装機3に的確に出庫することが可能となっている。
【0120】
また、パレット取り出し部23は、パレット保管庫22から取り出したパレットP(保管パレット)を支持する保管コンベア24sと、パレット搬送部26から受け取ったパレットP(搬送パレット)を支持する搬送コンベア24cと、これらコンベア24s、24c(支持コンベア)をZ方向に移動させる昇降機233とを有する。かかる構成では、移載ヘッド251は、それぞれコンベア24s、24cに支持された一方のパレットPから他方のパレットPへノズルNを移動させればよく、移載ヘッド251の動作の簡素化を図ることができる。さらに、このようなコンベア24s、24cと昇降機233を有することで、次のように構成することができる。
【0121】
つまり、パレット保管庫22では、複数のパレットP(保管パレット)がZ方向に配列される。これに対して、パレット取り出し部23は、複数のパレットPのうちの一のパレットPとコンベア24s、24cとの高さを昇降機233によって一致させた状態で、一のパレットPをパレット保管庫22から保管コンベア24sへ取り出す。かかる構成では、パレット保管庫22に保管される複数のパレットPのうちから対象となる一のパレットPを、保管コンベア24sに的確に取り出すことができる。
【0122】
また、パレット取り出し部23は、パレット搬送部26とコンベア24s、24cとの高さを昇降機233によって一致させた状態で、パレットPをパレット搬送部26から搬送コンベア24cへ受け取る。かかる構成では、パレット搬送部26から搬送コンベア24cへパレットPを的確に受け取ることができる。
【0123】
また、パレット搬送部26は、パレット取り出し部23に隣接して配置された受け渡しコンベア28と、部品実装機3の基板コンベア31と直列に配列されて受け渡しコンベア28と基板コンベア31との間に配置された出庫コンベア27とを有する。この出庫コンベア27は、受け渡しコンベア28から基板コンベア31にパレットPを搬送する。これに対して、受け渡しコンベア28は、出庫コンベア27とパレットPの受け渡しを行う回転位置R1(第1位置)と、パレット取り出し部23とパレットPの受け渡しを行う回転位置R2(第2位置)との間で変位する。かかる構成では、ノズルNが載置されたパレットPを、受け渡しコンベア28がパレット取り出し部23から出庫コンベア27へ搬送する。しかも、受け渡しコンベア28が回転位置R1と回転位置R2との間で変位する。そのため、パレット取り出し部23とのパレットPの受け渡しおよび出庫コンベア27との搬送パレットの受け渡しのそれぞれに適した位置に受け渡しコンベア28を変位させて、パレットPの受け渡しを的確に実行できる。
【0124】
また、パレット取り出し部23から移載ヘッド251によって運搬されてきたノズルNに対してメンテナンスを実行する検査ユニット291および洗浄ユニット292(メンテナンス部)が設けられている。かかる構成では、段取り装置2においてノズルNにメンテナンスを実行でき、ノズルNを適切な状態に保つことができる。
【0125】
また、パレット保管庫22を開閉する扉211Aが設けられている。かかる構成では、作業者は扉211Aを開いてパレット保管庫22にアクセスすることで、パレット保管庫22に保管するノズルNの補給等を適宜実行することができる。
【0126】
また、パレットP(搬送パレット)は、ノズルNを保持する収納プレート部41A(部材保持部)と、基板コンベア31に載置される載置面41Cを有するコンベア載置部41B(ベース部)とを備える。かかるパレットPを用いることで、段取り装置2においてノズルNが載置されたパレットPを、部品実装機3の基板コンベア31に搬出して、ノズルNを部品実装機3に出庫することができる。したがって、部品実装機3で使用されるノズルNを当該部品実装機3に的確に出庫することが可能となっている。
【0127】
このように上記の実施形態では、部品実装システム1が本発明の「部品実装システム」の一例に相当し、段取り装置2が本発明の「段取り装置」の一例に相当し、扉211Aが本発明の「扉」の一例に相当し、パレット保管庫22が本発明の「部材保管庫」の一例に相当し、パレット取り出し部23が本発明の「部材取り出し部」の一例に相当し、昇降機233が本発明の「昇降機」の一例に相当し、保管コンベア24sおよび搬送コンベア24cが本発明の「支持コンベア」の一例に相当し、移載ヘッド251が本発明の「移載ヘッド」の一例に相当し、パレット搬送部26が本発明の「パレット搬送部」の一例に相当し、出庫コンベア27が本発明の「出庫コンベア」の一例に相当し、受け渡しコンベア28が本発明の「受け渡しコンベア」の一例に相当し、検査ユニット291および洗浄ユニット292が本発明の「メンテナンス部」の一例に相当し、部品実装機3が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、基板コンベア31が本発明の「基板コンベア」の一例に相当し、収納プレート部41Aが本発明の「部材保持部」の一例に相当し、コンベア載置部41Bが本発明の「ベース部」の一例に相当し、載置面41Cが本発明の「載置面」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、パレットPが本発明の「搬送パレット」あるいは「保管パレット」の一例に相当し、回転位置R1が本発明の「第1位置」の一例に相当し、回転位置R2が本発明の「第2位置」の一例に相当する。
【0128】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば段取り装置2の構成を適宜変更することができる。具体的には、例えば
図24に示すように段取り装置を変形してもよい。
【0129】
図24は段取り装置の変形例を模式的に示す平面図である。
図24の段取り装置2と
図2Aのそれとの差は、主として、パレット搬送部26の受け渡しコンベア28の変位に関する構成である。そこで、この差について主に説明することとし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
図24Aの例では、
図2Aの例と比較して、メインハウジング211とこれに収容される構成の向きが90度だけ異なっている。また、パレット搬送部26の受け渡しコンベア28の変位方向は、回転方向ではなくY方向である。つまり、受け渡しコンベア28は、出庫コンベア27と直列に並ぶ位置R1と、搬送コンベア24cと直列に並ぶ位置R2との間で変位する。そして、受け渡しコンベア28は、位置R1において出庫コンベア27との間でパレットPを受け渡し、位置R2において搬送コンベア24cとの間でパレットPを受け渡す。
【0130】
また、基板生産ラインLにおける段取り装置2の配置を適宜変更してもよい。つまり、段取り装置2は、基板生産ラインLの端に位置する必要は必ずしもない。つまり、段取り装置2は、Y方向において受け渡しコンベア28の両側に出庫コンベア27を具備するため、Y方向の両側へパレットPを搬出することができる。したがって、Y方向に配列された2台の部品実装機3の間に段取り装置2を配置することができる。逆に言えば、段取り装置2を基板生産ラインLの端に配置する場合には、段取り装置2の2個の出庫コンベア27のうちの一方は、必ずしも必要がない。
【0131】
また、ノズルN以外の使用部材、例えばバックアップピンを部品実装機3に出庫することができる。
図25は部品実装機でのバックアップピンの使用態様を模式的に示す図であり、
図26はバックアップピンの出庫制御の一例を示すフローチャートである。
図25に示すように、部品実装機3は、水平に支持されたバックアッププレート39を有し、バックアッププレート39の上面にバックアップピンBPが配置される。そして、基板コンベア31上の基板Bは、バックアップピンBPによって下側から支持される。
【0132】
一方、
図26のバックアップピン出庫準備では、演算部110は、各部品実装機3についてバックアップピンBPが不足しているか否かを確認する(ステップS801)。そして、演算部110は、バックアップピンBPが不足する部品実装機3が存在する場合(ステップS802で「YES」の場合)には、当該部品実装機3をバックアップピンBPの出庫対象に決定し、これにパレットPを割り当てる(ステップS803)。さらに、演算部110は、当該部品実装機3に出庫するバックアップピンBPの個数を決定して(ステップS804)、この個数のパレットPをパレットPに載置して対象の部品実装機3に向けて出庫するように段取り装置2にピン出庫指令を出す(ステップS805)。
【符号の説明】
【0133】
1…部品実装システム
2…段取り装置
211A…扉
22…パレット保管庫(部材保管庫)
23…パレット取り出し部(部材取り出し部)
233…昇降機
24s…保管コンベア(支持コンベア)
24c…搬送コンベア(支持コンベア)
251…移載ヘッド
26…パレット搬送部
27…出庫コンベア
28…受け渡しコンベア
291…検査ユニット(メンテナンス部)
292…洗浄ユニット(メンテナンス部)
3…部品実装機
31…基板コンベア
41A…収納プレート部(部材保持部)
41B…コンベア載置部(ベース部)
41C…載置面
B…基板
P…パレット(搬送パレット、保管パレット)
R1…回転位置(第1位置)
R2…回転位置(第2位置)