(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】多層プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240416BHJP
H05K 3/36 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 L
H05K3/36 B
(21)【出願番号】P 2018081675
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0136836
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ミュン-サム
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】山澤 宏
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-046418(JP,A)
【文献】特開2002-190549(JP,A)
【文献】特開2015-162660(JP,A)
【文献】特開2006-245290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体パターン層を含む下部基板と、
第2導体パターン層を含み、前記下部基板上に配置されるインタポーザ基板と、
前記下部基板と前記インタポーザ基板とを接合するために、前記下部基板と前記インタポーザ基板との間に配置され、前記第1導体パターン層の少なくとも一部を露出させる開口部を有する接合絶縁層と、
前記第1導体パターン層と前記第2導体パターン層とを接続するために、前記開口部に配置された金属接合部と、を含み、
前記金属接合部は、前記第2導体パターン層上に配置されたシード金属層、前記シード金属層上に配置された金属ピラー、及び前記開口部の少なくとも一部を充填し、前記金属ピラーの溶融点よりも低い溶融点の低融点金属層を含み、
前記低融点金属層は、前記開口部の壁面と前記シード金属層及び前記金属ピラーのそれぞれの側面との間に配置される、多層プリント回路基板。
【請求項2】
前記金属ピラーは、前記シード金属層に形成され、
前記低融点金属層は、前記金属ピラーと前記第1導体パターン層との間に形成される請求項1に記載の多層プリント回路基板。
【請求項3】
前記接合絶縁層は、感光性物質を含む請求項2に記載の多層プリント回路基板。
【請求項4】
前記第1導体パターン層と対向する前記第2導体パターン層の一面には、前記第2導体パターン層の一領域が他の領域よりも突出するように溝が形成され、
前記シード金属層は、前記第2導体パターン層の前記一領域に形成される請求項1から3のいずれか一項に記載の多層プリント回路基板。
【請求項5】
前記下部基板は、前記第1導体パターン層が形成される第1絶縁層をさらに含み、
前記インタポーザ基板は、前記第2導体パターン層が形成される第2絶縁層をさらに含み、
前記第2導体パターン層は、前記第2絶縁層に埋め込まれて、一面が前記第2絶縁層の一面に露出する請求項1から3のいずれか一項に記載の多層プリント回路基板。
【請求項6】
前記第2導体パターン層の一面には、溝が形成される請求項5に記載の多層プリント回路基板。
【請求項7】
第1導体パターン層を含む第1積層体と、
第2導体パターン層を含み、前記第1積層体上に配置される第2積層体と、
前記第1積層体と前記第2積層体とを接合するために、前記第1積層体の一面と前記第2積層体の一面との間に配置され、開口部を有する接合絶縁層と、
前記第1導体パターン層と前記第2導体パターン層を互いに電気的に接続するために前記開口部に配置された金属接合部と、を含み、
前記第2導体パターン層の一領域は、他の領域よりも突出し、
前記金属接合部は、前記第2導体パターン層の前記一領域上に配置されたシード金属層、前記第1導体パターン層上に前記シード金属層と対応するように配置された金属ピラー、及び前記開口部の少なくとも一部を充填し、前記金属ピラーの溶融点よりも低い溶融点の低融点金属層を含み、
前記低融点金属層は、前記開口部内で前記シード金属層及び前記金属ピラーの間の少なくとも一部を充填し、
前記低融点金属層は、前記開口部の壁面と前記シード金属層の側面との間に配置される、多層プリント回路基板。
【請求項8】
前記第2導体パターン層は、前記第2積層体に埋め込まれて、一面が前記接合絶縁層に接触する前記第2積層体の一面に露出する請求項7に記載の多層プリント回路基板。
【請求項9】
前記金属ピラーは、前記第1導体パターン層に形成され、
前記低融点金属層は、前記シード金属層と前記金属ピラーとの間に形成される請求項7または8に記載の多層プリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント回路基板(multi-layered printed circuit board) に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子素子の高機能化及び小型化に伴って、電子素子の大きさは小さくなっており、I/Oの数は増加している。これにより、電子素子のI/O間の距離(ピッチ)及び線幅は漸次低減している。
【0003】
これに伴って、電子素子を実装するパッケージ基板においても、各導体パターン間の距離、導体パターン間のピッチ及び線幅を低減する必要がある。また、ノイズの減少及び迅速な信号伝逹のために信号伝逹経路を最小化する必要がある。
【0004】
このパッケージ用基板の要求に対応するために、シリコンベースのインタポーザを通常のパッケージ用プリント回路基板と能動素子との間に配置する方式が開発されている。他の方式としては、インタポーザに対応する微細な導体パターン層をパッケージ用プリント回路基板に実現する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0066044号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例によれば、製造収率が向上された多層プリント回路基板が提供される。
【0007】
また、本発明の他の実施例によれば、平坦度が向上された多層プリント回路基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板を示す図である。
【
図2】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図11】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図12】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図13】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図14】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図15】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図16】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図17】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図18】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図19】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【
図20】本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用した用語は、ただ特定の実施例を説明するために使用したものであり、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明白に表現しない限り、複数の表現を含む。
【0010】
本願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解しなくてはならない。
【0011】
また、明細書全般にわたって、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準にして上側に位置することを意味するものではない。
【0012】
また、「結合」とは、各構成要素の間の接触関係において、各構成要素が物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0013】
図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示したものであって、本発明が必ずしもそれらに限定されることはない。
【0014】
以下、本発明に係る多層プリント回路基板の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0015】
<多層プリント回路基板>
【0016】
(一実施例)
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板を示す図である。
【0018】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板1000は、下部基板100と、インタポーザ基板200と、接合絶縁層300と、金属接合部400とを含む。
【0019】
以下では、説明の便宜上、下部基板を第1積層体100と称し、インタポーザ基板を第2積層体200と称する。
【0020】
第1積層体100及び第2積層体200のそれぞれは、少なくとも2つ以上の導体パターン層11、21と、隣接した導体パターン層の間に介在される絶縁層110、210と、隣接した導体パターン層を互いに電気的に接続するために絶縁層に形成されるビアV1、V2と、を含む。
【0021】
すなわち、第1積層体100には、複数の第1絶縁層110、複数の第1導体パターン層11、及び隣接した第1導体パターン層を互いに接続するための複数の第1ビアV1が形成される。また、第2積層体200には、複数の第2絶縁層210、複数の第2導体パターン層21、及び隣接した第2導体パターン層を互いに接続するための第2ビアV2が形成される。
【0022】
第1絶縁層110及び第2絶縁層210のそれぞれは、隣接している導体パターン層を互いに電気的に絶縁するために、隣接している導体パターン層の間に介在される。すなわち、第1絶縁層110は、隣接している第1導体パターン層11を互いに電気的に絶縁するために、隣接している第1導体パターン層11の間に介在される。第2絶縁層210は、隣接している第2導体パターン層21を互いに電気的に絶縁するために、隣接している第2導体パターン層21の間に介在される。
【0023】
第1絶縁層110及び第2絶縁層210のそれぞれは、エポキシ樹脂等の電気絶縁性樹脂を含むことができる。第2絶縁層210は、感光性絶縁樹脂を含む感光性絶縁層であってもよい。
【0024】
第1絶縁層110及び第2絶縁層210のそれぞれは、電気絶縁性樹脂に含有された補強材を含むことができる。補強材としては、ガラスクロス、グラスファイバー、無機フィラー及び有機フィラーのうちの少なくともいずれか1種を用いることができる。補強材は、第1絶縁層110及び第2絶縁層210の剛性を補強し、熱膨脹係数を低くすることができる。
【0025】
第2絶縁層210は、第1絶縁層110よりも薄くてもよい。すなわち、第2絶縁層210は、第2積層体200であるインタポーザ基板を構成するため、通常のプリント回路基板に該当する第1積層体100の第1絶縁層110よりも薄いことが可能である。
【0026】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化珪素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、クレー、雲母パウダー、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)から構成された群より選択された少なくとも1種以上を用いることができる。
【0027】
第1導体パターン層11及び第2導体パターン層21のそれぞれは、ビアパッド、信号パターン、パワーパターン、グラウンドパターン及び外部接続端子のうちの少なくとも1種を含む。
【0028】
複数の第1導体パターン層11は、すべて同一のパターンに形成されてもよく、互いに異なるパターンに形成されてもよい。同じく、複数の第2導体パターン層21は、すべて同一のパターンに形成されてもよく、互いに異なるパターンに形成されてもよい。
【0029】
第2積層体200、すなわちインタポーザ基板に形成される第2導体パターン層21は、パターン間のピッチ、パターン間の距離、及びパターン幅が、第1導体パターン層11のそれと比べると、小さい。すなわち、第2導体パターン層21は、第1導体パターン層11よりも微細に形成された微細パターン層である。
【0030】
複数の第2導体パターン層21のうち、最外層に配置された第2導体パターン層21は、第2積層体200に埋め込まれて、一面が第2積層体200の一面に露出される。すなわち、
図1に基づいて、第2積層体200の最下部に形成された第2導体パターン層21は、第2積層体200に埋め込まれて、下面が第2積層体200の下面に露出される。
【0031】
複数の第2導体パターン層21のうち、最外層に配置された第2導体パターン層21の一面には、一領域が他の領域よりも突出するように溝Rが形成される。すなわち、
図1に基づいて第2積層体200の最下層に配置された第2導体パターン層21の下面には溝Rが形成される。このため、第2導体パターン層21の下面の一領域は他の領域よりも突出する。
【0032】
第1導体パターン層11、第2導体パターン層21、第1ビアV1及び第2ビアV2のそれぞれは、電気的特性に優れた銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)等で形成することができる。
【0033】
第1積層体100を形成する複数の第1絶縁層110は、いずれか1つがガラスクロス(glass cloth)を絶縁樹脂に含浸したプリプレグにより形成されたコア絶縁層であることができ、その他がABF(Ajinomoto Build-up Film)等のビルドアップフィルムで形成されたビルドアップ絶縁層であることができる。すなわち、第1積層体100は、コアである第1絶縁層の両面に、他の第1絶縁層がビルドアップされたコア基板の構造を有することができる。
【0034】
第2積層体200は、第1積層体100上に配置される。第2積層体200は、コア絶縁層を含まなくてもよい。例として、第2積層体200は感光性絶縁層が順次積層されたコアレス基板の構造を有することができる。
【0035】
第2積層体200上には、ICチップまたはメモリチップ等の電子素子(図示せず)を配置することができる。第2積層体200は、第1積層体100のI/Oピッチ(及び/または数)と電子素子のI/Oピッチ(及び/または数)との間のミスマッチを解消する。第2積層体200上に複数の電子素子が配置される場合、第2積層体200は、複数の電子素子を互いに電気的に接続する。
【0036】
接合絶縁層300は、それぞれ別個に形成された第1積層体100と第2積層体200とを接合する。すなわち、接合絶縁層300は、第1積層体100と第2積層体200とを接合するために、第1積層体100の一面と第2積層体200の一面との間に配置される。具体的に、接合絶縁層300は、第1積層体100の最外層を形成する第1絶縁層110と、第2積層体200の最外層を形成する第2絶縁層210とを接合する。
【0037】
接合絶縁層300は、ソルダーレジストフィルムまたは感光性絶縁フィルムで形成することができる。後述するが、接合絶縁層300は、第1積層体100と第2積層体200との接合のときに完全硬化(C-stage)されることにより、第1積層体100と第2積層体200とを接合する。
【0038】
金属接合部400は、第1導体パターン層11と第2導体パターン層21とを接続するために、接合絶縁層300を貫通する。金属接合部400は、第2導体パターン層21の突出した一領域に形成されたシード金属層410、シード金属層410に形成された金属ピラー420、及び金属ピラー420の溶融点よりも低い溶融点の低融点金属層430を含む。
【0039】
シード金属層410は、第2積層体200の製造工程で使用するキャリア(
図4のC参照)の極薄金属箔(
図4のCF2参照)のうちの一部が第2積層体200に残存して形成可能である。または、シード金属層410は、無電解メッキにより形成可能である。シード金属層410は、銅を含むことができるが、これに制限されない。
【0040】
金属ピラー420は、シード金属層410に形成される。金属ピラー420は、電気的特性に優れた銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)等で形成可能である。金属ピラー420は、第1導体パターン層11及び第2導体パターン層21を形成する伝導性物質と同じ物質で形成可能であるが、これに制限されない。
【0041】
低融点金属層430は、金属ピラー420と第1導体パターン層11との間に形成される。すなわち、低融点金属層430は、金属ピラー420と第1導体パターン層11とを電気的に接続する。
【0042】
低融点金属層430は、ソルダー材質で形成可能である。ここで「ソルダー」とは、半田付けに使用可能な金属材料を意味し、鉛(Pb)を含む合金であってもよいが、鉛を含まなくてもよい。例えば、ソルダーは、錫(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)またはこれらから選択された金属の合金であり得る。具体的に、本発明の実施例で使用するソルダーは、ソルダー全体に対する錫(Sn)の含量が90%以上である錫、銀、銅の合金であり得る。
【0043】
低融点金属層430の溶融点は、金属ピラー420の溶融点よりも低い。このため、低融点金属層430の溶融点よりも高くて、金属ピラー420の溶融点よりも低い温度で行われる第1積層体100と第2積層体100との接合工程のときに、低融点金属層430の少なくとも一部が溶融する。溶融した低融点金属層430は流動性を有するため、低融点金属層430は、第1導体パターン層11、金属ピラー420、シード金属層410及び第2導体パターン層21の周辺に形成されることができる。
【0044】
接合絶縁層300には、第1導体パターン層11及び第2導体パターン層21のそれぞれの少なくとも一部を露出する開口部310を形成でき、溶融した低融点金属層430が開口部310の少なくとも一部を充填することができる。
【0045】
第1積層体100と第2積層体200との接合工程のとき、低融点金属層430の少なくとも一部が溶融する結果、第1導体パターン層11、金属ピラー420、シード金属層410及び第2導体パターン層21のうちの少なくとも1つと低融点金属層430との間には金属間化合物(Inter-Metallic Compound、IMC)層が形成される。金属間化合物層は、錫と銅を含む合金で形成可能である。
【0046】
本実施例に係る多層プリント回路基板1000は、第1積層体100及び第2積層体200のそれぞれの他面上に形成されたソルダーレジスト層SRをさらに含むことができる。
【0047】
(他の実施例)
【0048】
図2は、本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板を示す図である。
【0049】
本実施例に係る多層プリント回路基板2000と本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板1000とを比べると、金属接合部400及び接合絶縁層300が異なるので、以下ではこれらについてのみ説明する。
【0050】
本実施例で使用する第1積層体100、第2積層体200、第1導体パターン層11、第2導体パターン層21、第1絶縁層110及び第2絶縁層210に関する説明は、本発明の一実施例で説明した内容をそのまま適用できる。
【0051】
本実施例と本発明の一実施例とを比べると、金属接合部400の結合関係が異なる。具体的に、本実施例の場合は、金属ピラー420が第1導体パターン層11に形成され、低融点金属層430がシード金属層410と金属ピラー420との間に形成される。
【0052】
本実施例で適用する接合絶縁層は、本発明の一実施例で適用する接合絶縁層とは異なって、ABF等の通常のビルドアップフィルムにより形成することができる。
【0053】
<多層プリント回路基板の製造方法>
【0054】
(一実施例)
【0055】
図3から
図10は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を順次示す図である。
【0056】
具体的に、
図3は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法に適用する第1積層体に接合絶縁層が形成されていることを示す図であり、
図4から
図8は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法で使用する第2積層体の製造工程を順次示す図である。
図9及び
図10は、第1積層体と第2積層体とを接合することを示す図である。
【0057】
(第1積層体の製造方法)
【0058】
図3は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法に適用する第1積層体に接合絶縁層が形成されていることを示す図である。
【0059】
図3を参照すると、第1積層体を形成し、第1積層体に接合絶縁層を形成する。
【0060】
第1積層体100は、通常のコアード工法またはコアレス工法により形成可能である。以下では、第1積層体100がコアード工法により形成されることを説明するが、本発明の範囲がこれに制限されることはない。
【0061】
コアード工法により形成される第1積層体100は、以下の工程により形成可能である。
【0062】
すなわち、コア絶縁層である第1絶縁層110にビアホールを加工する。その後、ビアホールを含むコア絶縁層の表面に無電解メッキによりシード層を形成する。その後、コア絶縁層の両面にドライフィルムを積層した後にフォトリソグラフィ工程によりメッキレジストを形成する。その後に、電解メッキによりメッキレジストの開口部に伝導性物質を析出して第1導体パターン層11を形成する。その後、メッキレジストを除去し、露出したシード層を除去する。最後に、通常的なビルドアップ工程を数回繰り返して、
図3に示されている第1積層体100を製造することができる。このようにして、複数の第1絶縁層110、複数の第1導体パターン層11及び複数の第1ビアV1が形成された第1積層体100を製造することができる。
【0063】
上述した複数の第1導体パターン層11のそれぞれは、サブトラクティブ法(Subtractive Process)、セミアディティブ法(Semi-Additive Process)及びモディファイドセミアディティブ法(Modified Semi-Additive Process)のうちのいずれか1つの方法により形成可能である。
【0064】
接合絶縁層300は、第1積層体100にソルダーレジストフィルムまたは感光性絶縁フィルムを積層して形成することができる。以後、フォトリソグラフィ工程により第1積層体100の最外層(
図1の場合は、第1積層体の最上層)の第1導体パターン層11の少なくとも一部を露出する開口部310を形成する。
【0065】
一方、本段階の工程を完了しても接合絶縁層300は完全硬化(C-stage)しない。すなわち、接合絶縁層300は、第1積層体100に形成された後に、後述する接合工程前まで半硬化状態(B-stage)にある。
【0066】
(第2積層体の製造方法)
【0067】
先ず、
図4を参照すると、キャリア上に第2導体パターン層及び第2絶縁層を交互に形成する。
【0068】
キャリアCは、コアレス工法を実施するときに使用される通常の副資材であり得る。すなわち、キャリアCは、支持板S、支持板Sの両面に形成されたキャリア金属箔CF1、及びキャリア金属箔に形成された極薄金属箔CF2を含むことができる。
【0069】
図4に基づいて、最下部に形成される第2導体パターン層21は、上述した極薄金属箔CF2を給電層とする電解メッキにより形成可能である。すなわち、キャリアCの極薄金属箔CF2にドライフィルムを積層し、フォトリソグラフィ工程を経てメッキレジストを形成し、メッキレジストの開口に伝導性物質を析出して、ドライフィルムを除去することにより第2積層体の最下部に形成される第2導体パターン層21を形成することができる。
【0070】
プリント回路基板分野の回路形成工程を用いる場合、第2導体パターン層21及び第2ビアV2は、セミアディティブ法またはモディファイドセミアディティブ法により形成可能である。または、第2導体パターン層は、プリント回路基板分野の回路形成工程ではなく、半導体分野の伝導性物質の形成方法により形成可能である。すなわち、第2導体パターン層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはPVD(Physical Vapor Depositon)等の蒸着工程により形成することも可能である。
【0071】
第2絶縁層210は、キャリアCに感光性絶縁フィルムを積層して形成することができる。または、第2絶縁層210は、キャリアCにABF等のビルドアップ絶縁フィルムを積層して形成することができる。第2絶縁層210が感光性絶縁フィルムで形成される場合は、第2ビアV2を形成するためにいずれか1つの第2絶縁層210に形成される複数のビアホールは、単一のフォトリソグラフィ工程により同時に形成することができる。
【0072】
一方、
図4には、キャリアCの一面側にのみ第2導体パターン層21及び第2絶縁層210が交互に形成されていることが示されているが、これに制限されない。すなわち、キャリアCの両面側に上述した工程を同時に行うことができる。
【0073】
次に、
図5を参照すると、保護層を形成した後にキャリアを除去する。
【0074】
保護層PLは、離型層を含むことができる。保護層PLは、本実施例に係る第2積層体200を接合工程が完了するまで保護及び支持する。
【0075】
キャリア金属箔CF1と極薄金属箔CF2との間の界面で分離が行われて、第2積層体からキャリアCが除去される。このため、キャリアCの極薄金属箔CF2は、本段階の完了後に第2積層体200に残存することになる。
【0076】
次に、
図6を参照すると、極薄金属箔の残存する第2積層体の一面にメッキレジストを形成する。
【0077】
メッキレジストPR1は、ドライフィルムを第2積層体200の一面に積層した後に、フォトリソグラフィ工程を行うことにより形成可能である。メッキレジストPR1には極薄金属箔CF2の少なくとも一部を露出する開口が形成される。
【0078】
次に、
図7を参照すると、メッキレジストの開口に金属
ピラー及び低融点金属層を形成する。
【0079】
金属ピラー420は、電解銅メッキにより開口に形成することができる。低融点金属層430は、電解メッキまたはペースト印刷により形成することができる。金属ピラー420は、極薄金属箔CF2を給電層としてボトムアップ(bottom-up)方式により形成することができる。
【0080】
次に、
図8を参照すると、メッキレジストを除去し、極薄金属箔において金属
ピラーが形成されていない部分を除去する。
【0081】
極薄金属箔CF2は、フラッシュエッチングまたはハーフエッチングにより除去することができる。このとき、極薄金属箔CF2と第2導体パターン層21とが同じ金属で形成された場合、極薄金属箔CF2とともに第2導体パターン層21の一部が除去されることがある。すなわち、第2導体パターン層21の一面には溝Rが形成される。
【0082】
極薄金属箔CF2は、一部が除去されてシード金属層410となる。金属接合部400は、第2導体パターン層21に形成されたシード金属層410、シード金属層410に形成された金属ピラー420、及び金属ピラー420上に形成された低融点金属層430で構成される。
【0083】
(第1積層体と第2積層体との接合工程)
【0084】
図9を参照すると、第1積層体と第2積層体とを整列する。
【0085】
第1積層体100と第2積層体200とは、それぞれの一面が互いに対向するように配置される。第1積層体100の一面には、開口部310が形成されている接合絶縁層300が形成されており、第2積層体200の一面には金属接合部400が形成されている。
【0086】
第1積層体100と第2積層体200とは、整列マーク等を用いて整列することができる。このとき、第1積層体100と第2積層体200とは、金属接合部400の位置が接合絶縁層300の開口部310の位置に対応するように整列可能である。
【0087】
図10を参照すると、第1積層体と第2積層体とを加熱及び加圧して接合する。
【0088】
接合工程は、低融点金属層430の溶融点よりも高く、金属ピラー420の溶融点よりも低い温度で行われる。このため、低融点金属層430の少なくとも一部が溶融して、接合絶縁層300の開口部310の少なくとも一部を充填する形態に形成される。
【0089】
このとき、図示していないが、第1積層体100の下部には第1積層体100を保護及び支持するための保護層を形成することができる。
【0090】
次に、図示していないが、第1積層体100及び第2積層体200に形成された保護層PLをそれぞれ除去した後に、第1積層体100の下面及び第2積層体200の他面にソルダーレジスト層(
図1のSR参照)を形成することにより、
図1に示された本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板1000を製造することができる。
【0091】
(他の実施例)
【0092】
図11から
図20は、本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法を順次に示す図である。
【0093】
具体的に、
図11から
図15は、本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法に適用する第1積層体に、接合絶縁層及び金属
ピラーを形成することを順次に示す図であり、
図16から
図18は、本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法に適用する第2積層体の製造工程を順次に示す図である。
図19及び
図20は、第1積層体と第2積層体との接合を示す図である。
【0094】
(第1積層体の製造方法)
【0095】
図11から
図15は、本発明の他の実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法に適用する第1積層体、接合絶縁層、及び金属
ピラーの形成方法を順次に示す図である。
【0096】
【0097】
第1積層体100は、通常のコアード工法またはコアレス工法により形成可能である。
【0098】
以下では、第1積層体100がコアード工法により形成されることを説明するが、本発明の範囲がこれに制限されることはない。
【0099】
コアード工法により形成される第1積層体100は、以下の工程により形成可能である。
【0100】
すなわち、コア絶縁層である第1絶縁層110にビアホールを加工する。その後、ビアホールを含むコア絶縁層の表面に無電解メッキによりシード層を形成する。その後、コア絶縁層の両面にドライフィルムを積層した後にフォトリソグラフィ工程によりメッキレジストを形成する。
【0101】
その後、電解メッキによりメッキレジストの開口部に伝導性物質を析出して第1導体パターン層11を形成する。
【0102】
その後、メッキレジストを除去し、露出したシード層を除去する。
【0103】
最後に、通常的なビルドアップ工程を数回繰り返して、
図11に示された第1積層体100を製造することができる。このようにして、複数の第1絶縁層110、複数の第1導体パターン層11、及び複数の第1ビアV1が形成された第1積層体100を製造することができる。
【0104】
一方、本段階では、最外層の第1導体パターン層が、最外層の第1絶縁層を形成するときに使用されたRCC(Resin Coated Copper)の銅箔により電気的に短絡している。
【0105】
上述した複数の第1導体パターン層11のそれぞれは、サブトラクティブ法(Subtractive Process)、セミアディティブ法(Semi-Additive Process)及びモディファイドセミアディティブ法(Modified Semi-Additive Process)のうちのいずれか1つの方法により形成することができる。
【0106】
次に、
図12を参照すると、第1積層体の一面に金属
ピラーを形成するためのメッキレジストを形成する。
【0107】
メッキレジストPR2は、ドライフィルムを第1積層体100の一面に積層した後にフォトリソグラフィ工程を行うことにより形成可能である。メッキレジストPR2には第1導体パターン層11の少なくとも一部を露出する開口が形成される。
【0108】
一方、第1積層体100の他面には、保護層を形成することができる。保護層は、メッキレジストPR2のように、ドライフィルムで形成可能である。保護層は、第1積層体の一面に金属ピラーを形成する電解メッキ工程において第1積層体の他面に不要なメッキが施されないようにする。
【0109】
次に、
図13を参照すると、第1積層体の一面に金属
ピラーを形成し、メッキレジストを除去した後に、露出した銅箔を除去する。
【0110】
金属ピラー420は、メッキレジストPR2の開口に露出した第1導体パターン層11にボトムアップ方式を用いて形成することができる。
【0111】
メッキレジストPR2の除去後に、外部に露出した銅箔をフラッシュエッチングまたはハーフエッチングにより除去することができる。本段階を経ることにより、最外層の第1導体パターン層11の電気的短絡状態が解除される。
【0112】
次に、
図14を参照すると、第1積層体の他面にソルダーレジスト層を形成する。
【0113】
ソルダーレジスト層SRは、ソルダーレジストフィルムを第1積層体の他面にラミネーションして形成可能である。ソルダーレジスト層SRには、
図14に基づいて、最下層の第1導体パターン層11の一部を露出する開口を形成することができる。開口は、フォトリソグラフィ工程により形成可能である。
【0114】
本段階において、ソルダーレジスト層SRは、完全硬化(C-stage)される。完全硬化されたソルダーレジスト層SRは、後続する接合工程において第1積層体を保護及び支持する。
【0115】
次に、
図15を参照すると、第1積層体の一面に接合絶縁層を形成する。
【0116】
接合絶縁層300は、ABF等のビルドアップフィルムを第1積層体の一面に積層することにより形成可能である。
【0117】
接合絶縁層300は、金属
ピラー420の上面を露出する。これのために、金属
ピラー420の厚さよりも厚い絶縁フィルムを第1積層体100の一面に積層した後に、金属
ピラー420の上面が露出するように絶縁フィルムを研磨することができる。以後、露出した金属
ピラー420の一部をエッチングにより除去して収容溝を形成する。収容溝を介して、後述する第2積層体に形成された低融点金属層を挿入することができる(
図19参照)。
【0118】
(第2積層体の製造方法)
【0119】
図16から
図18を参照すると、キャリア上に第2積層体を形成し、第2積層体の一面にシード金属層及び低融点金属層を形成する。
【0120】
図16及び
図17に示された段階は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法のうち、
図4及び
図5に示された段階と同様である。よって、
図4及び
図5に関する説明を、
図16及び
図17にそのまま適用することができる。
【0121】
次に、
図18を参照すると、極薄金属箔の残存する第2積層体の一面にメッキレジストを形成し、メッキレジストの開口に低融点金属層を形成した後に、メッキレジストを除去し、極薄金属箔において金属
ピラーの形成されていない部分を除去する。
【0122】
メッキレジストは、ドライフィルムを第2積層体200の一面に積層した後に、フォトリソグラフィ工程を行うことにより形成可能である。メッキレジストには極薄金属箔CF2の少なくとも一部を露出する開口が形成される。
【0123】
低融点金属層430は、電解メッキまたはペースト印刷によりメッキレジストの開口に形成することができる。
【0124】
メッキレジストの除去後に極薄金属箔CF2は、フラッシュエッチングまたはハーフエッチングにより除去できる。このとき、極薄金属箔CF2と第2導体パターン層21が同じ金属で形成された場合、極薄金属箔CF2とともに第2導体パターン層21の一部が除去されることがある。すなわち、第2導体パターン層21の一面には、溝Rが形成される。
【0125】
極薄金属箔CF2は、一部が除去されてシード金属層410となる。
【0126】
(第1積層体と第2積層体との接合工程)
【0127】
図19及び
図20は、本実施例に適用する第1積層体と第2積層体とを接合する段階を示している。
【0128】
本段階は、本発明の一実施例に係る多層プリント回路基板の製造方法と類似である。すなわち、
図9及び
図10に関する説明を本実施例に係る
図19及び
図20にそのまま適用でき、または容易に変形して適用できる。
【0129】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更または削除等により本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0130】
11 第1導体パターン層
21 第2導体パターン層
100 第1積層体
110 第1絶縁層
200 第2積層体
210 第2絶縁層
300 接合絶縁層
310 開口部
400 金属接合部
410 シード金属層
420 金属ピラー
430 低融点金属層
R 溝部
SR ソルダーレジスト層
C キャリア
CF1 キャリア金属箔
CF2 極薄金属箔
S 支持板
PL 保護層
PR1、PR2 メッキレジスト
V1 第1ビア
V2 第2ビア
1000、2000 多層プリント回路基板