(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】コイル電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240416BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240416BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240416BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240416BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 B
H01F27/28 104
H01F41/04 C
H05K1/16 B
(21)【出願番号】P 2018147548
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-06-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0175842
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン スン
(72)【発明者】
【氏名】パク、クァン イル
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】須原 宏光
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-183663(JP,A)
【文献】特開2016-72615(JP,A)
【文献】特開2017-17142(JP,A)
【文献】特開2004-319570(JP,A)
【文献】特開2001-203109(JP,A)
【文献】特開2015-32625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/111194(US,A1)
【文献】国際公開第2010/79804(WO,A1)
【文献】特開平4-336405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00-27/42
H01F 38/42-41/04
H05K 1/09
H05K 1/16
H01F 41/08
H01F 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を含む支持部材、前記支持部材に支持され、複数のコイルパターンを含む上部コイル及び下部コイル、前記上部コイルと前記下部コイルとを接続するビア、前記支持部材に支持され、互いに隣接するコイルパターンを絶縁する絶縁壁、並びに、前記複数のコイルパターンと、前記ビアと、前記絶縁壁との周囲に設けられる絶縁層を含む本体と、
前記本体の外面上に配置される外部電極とを含み、
前記ビアは、前記貫通孔の境界面の少なくとも一部に形成され、
前記貫通孔の側面に位置する前記支持部材の側面と、前記支持部材の上面の少なくとも一部と、前記支持部材の下面の少なくとも一部と、前記絶縁層の一部とによって限定される、
コイル電子部品。
【請求項2】
前記ビアは、複数の導電性パターン層が積層された積層構造を有する、請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項3】
前記複数の導電性パターン層のうち少なくとも1つの導電性パターン層は、前記貫通孔の境界面の一部に沿って形成され、前記境界面の一部に沿って形成される前記少なくとも1つの導電性パターン層は、前記支持部材の上部及び下部まで連続的に延びる、請求項2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
前記貫通孔の境界面の一部、並びに、前記境界面の一部に連続的に連結される前記支持部材の上面及び下面に沿って形成される前記複数の導電性パターン層のうちの1つの導電性パターン層は、前記ビアの前記複数の導電性パターン層のうち最下層に配置される導電性パターン層である、請求項3に記載のコイル電子部品。
【請求項5】
前記貫通孔は、磁性材料により充填される、請求項2から4のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
磁性材料により充填された貫通孔を含む支持部材、前記支持部材に支持され、複数のコイルパターンを含む上部コイル及び下部コイル、前記上部コイルと前記下部コイルとを接続するビア、並びに、前記支持部材に支持され、互いに隣接するコイルパターンを絶縁する絶縁壁を含む本体と、
前記本体の外面上に配置される外部電極とを含み、
前記ビアは、複数の導電性パターン層が積層された積層構造を有し、前記貫通孔の境界面の少なくとも一部に形成され、
前記複数の導電性パターン層の第1導電性パターン層は、前記支持部材の上面及び下面に接して設けられ、
前記複数の導電性パターン層の第2導電性パターン層は、前記第1導電性パターン層の上面及び下面、並びに、前記支持部材の側面に接して設けられ
、前記貫通孔内において前記磁性材料と対向する、
コイル電子部品。
【請求項7】
前記本体は、前記複数のコイルパターンと、前記ビアと、前記絶縁壁との周囲を取り囲んで設けられる絶縁層を含み、
前記ビアは、
前記貫通孔の側面に位置する前記支持部材の側面と、前記支持部材の上面の少なくとも一部と、前記支持部材の下面の少なくとも一部と、前記絶縁層の一部とによって限定される、請求項6に記載のコイル電子部品。
【請求項8】
前記絶縁層及び前記絶縁壁は同一の材料を含む、請求項2から5又は7のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記絶縁層及び前記絶縁壁は異なる材料を含む、請求項2から5又は7のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
前記複数の導電性パターン層のうち最外側に配置される導電性パターン層は、前記貫通孔の内部を貫通するように配置される、請求項2から9のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項11】
前記絶縁壁は開口パターンを含み、前記開口パターン内には前記コイルパターンが充填される、請求項1から10のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記絶縁壁は、コイルの形状に対応する形状を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項13】
前記絶縁壁は、最内側の前記コイルパターンの内側面と外側面のうち外側面に接する、請求項12に記載のコイル電子部品。
【請求項14】
前記絶縁壁は、パーマネントタイプの感光性絶縁物質を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項15】
前記貫通孔の境界面のうち前記ビアが形成された境界面を除く境界面は、絶縁層又は磁性材料に接触する、請求項1から14のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項16】
前記上部コイル及び前記下部コイルは、ビア以外に複数のコイルパターンを含み、前記複数のコイルパターンのそれぞれは、複数の導電層で構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項17】
前記複数の導電層のうち前記支持部材の上面又は下面に接触する第1導電層の線幅は、前記第1導電層の上面に接する第2導電層の線幅と同じである、請求項16に記載のコイル電子部品。
【請求項18】
前記ビアの最大線幅は、前記ビアに物理的に連結されるコイルパターンの線幅に対して0.8倍以上1.2倍以下である、請求項1から17のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項19】
前記本体の上方から見た前記ビアの断面の端部の少なくとも一部は直線状である、請求項1から18のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項20】
前記ビアは、前記上部コイル又は前記下部コイルのコイルパターンが巻き取られる方向と180°未満の角度(θ)をなす方向に形成される、請求項1から19のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項21】
前記ビアは前記支持部材を貫通しない、請求項1から20のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル電子部品に関するものであって、特に、高容量化及び小型化した薄膜型パワーインダクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの電気製品が小型化、高性能化するにつれて、その製品内に搭載される電子部品にも小型化と高性能化が同時に求められている。よって、パワーインダクタ、とりわけ小型化に有利な薄膜型パワーインダクタの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする様々な課題の1つは、複数のコイルパターンのめっきの不均一を解消したコイル電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一例によるコイル電子部品は、本体と、上記本体の外面上に配置される外部電極とを含む。上記本体は、貫通孔を含む支持部材と、上記支持部材に支持される上部コイル及び下部コイルとを含む。上記上部コイルと上記下部コイルとはビアにより接続され、上記ビアは上記支持部材の上記貫通孔の端部の少なくとも一部に形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の様々な効果の1つは、コイルパターンの不均一を低減して電気的特性の劣化を改善し、コア面積を最大化することにより透磁率を増加させたコイル電子部品を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態によるコイル電子部品の斜視図である。
【
図2】
図1の内部コイルを上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面において同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0009】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0010】
明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0011】
以下、本発明の一例によるコイル電子部品について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態によるコイル電子部品100の斜視図であり、
図2は
図1の内部コイルを上方から見た平面図であり、
図3は
図1のI-I'線断面図である。
【0013】
図1~
図3を参照すると、コイル電子部品100は、本体1と、上記本体の外面上に配置される外部電極21、22とを含む。
【0014】
本体1は、コイル電子部品の外観を構成し、厚さ(T)方向において対向する上面及び下面、長手(L)方向において対向する第1端面及び第2端面、幅(W)方向において対向する第1側面及び第2側面を含むことで、実質的に六面体形状を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
上記本体1は、磁性材料11を含むが、上記磁性材料は、磁性を有する材料であれば制限なく含むことができ、例えば、フェライト又は金属系軟磁性材料が充填されて形成されるようにしてもよい。上記フェライトとしては、Mn-Zn系フェライト、Ni-Zn系フェライト、Ni-Zn-Cu系フェライト、Mn-Mg系フェライト、Ba系フェライト、Li系フェライトなどの公知のフェライトを含んでもよい。上記金属系軟磁性材料は、Fe、Si、Cr、Al及びNiからなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む合金であってもよく、例えば、Fe-Si-B-Cr系非晶質金属粒子を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。上記金属系軟磁性材料の粒径は、0.1μm以上20μm以下であってもよく、また、エポキシ樹脂やポリイミドなどの高分子相に分散した形態で含まれるようにしてもよい。
【0016】
上記磁性材料11により内部コイル12が封止される。上記内部コイルは、上部コイル121及び下部コイル122を含み、上記上部コイルは支持部材13の上面に支持され、上記下部コイルは支持部材13の下面に支持される。
【0017】
まず、支持部材13について説明すると、上記支持部材13は、上部コイル及び下部コイルを絶縁できる材料であれば制限なく適用することができる。絶縁できる材料としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、又はそれらにガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を含浸させた樹脂、例えば、プリプレグを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
上記支持部材13は上面から下面を貫通する貫通孔Hを含む。上記貫通孔は、磁性材料が充填されることにより磁束の流れを円滑にして透磁率を改善する。また、上記貫通孔の境界面HSの少なくとも一部はビア1212に接している。
【0019】
上記貫通孔の境界面を用いてビアを形成するため、上記支持部材13は、貫通孔の近傍に別途のビアホールを設ける必要がない。
【0020】
このように、別途のビアホールが形成されないため、支持部材の貫通孔Hの面積を最大化することができる。その結果、透磁率を改善し、内部コイルから発生する磁束の流れを円滑にすることができる。
【0021】
上記ビア1212が貫通孔の境界面HSに占める最大線幅W1は、特に限定されるものではないが、ビア以外のコイルパターンの平均線幅と実質的に同じレベルに形成されることが好ましい。これはビアの過めっきが発生しないことを意味するが、コイルパターンの線幅を微細にする場合、ビアの線幅も類似のレベルに微細に制御できるためである。ビアの最大線幅W1は、ビアに直接連結されるコイルパターンの線幅W2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましいが、内部コイルの線幅が全体的に均一に維持される場合、ビアに直接連結されるコイルパターンの線幅W2は、コイルパターンの平均線幅と実質的に同一である。このようにビアの最大線幅W1がビア以外の他のコイルパターンの20%レベルのばらつきを示す場合、コイルパターンの不均一成長による特性低下を防止することができる。
【0022】
図2を参照すると、ビアは、コイルパターンの巻き取られる方向に対して所定の角度θをなすように形成される。上記所定の角度は、180゜未満であることが妥当である。これは、ビアが支持部材の貫通孔の境界面に沿って延びるように構成される構造を有することから、上部コイルから下部コイルまでビアが連結されるようにするためには必然的に生じる角度を意味する。ビアは、コイルパターンの巻き取られる方向に対して直角に引き出されることがより好ましい。この場合、ビアのサイズを最小化すると共に、コイルコアの中心の磁性材料の充填率を最大化することができるため、電気的特性値に有利である。ここで、ビアが形成される上記角度θは、工程の便宜上、支持部材上にラミネートされた絶縁壁の開口パターンをパターニングしながら決定することが好ましい。
【0023】
これに関連して、従来のコイル電子部品は、ビアが、貫通孔の端部上に形成される構造ではなく、貫通孔の近傍に貫通孔とは別に形成されたビアホールを充填する構造に設計された。これは、ビアが、コイルパターンの巻き取られる方向から方向変更されることなくそのまま支持部材のビアホールに沿って形成されるという点で、本発明のコイル電子部品100と区別される。
【0024】
ビア1212は複数の導電性パターン層が積層された積層構造を有する。以下、
図3のA領域を拡大した図を参照して、これについて詳細に説明する。
【0025】
図3のA領域の拡大図を参照すると、ビア1212は、少なくとも第1~第5導電性パターン層で構成されるようにしてもよい。ここで、上記ビアは、上記第1~第5導電性パターン層を全て含む必要はなく、上記導電性パターン層以外にさらなる導電性パターン層を含むことを制限するものでもない。さらなる導電性パターン層は、コイルのアスペクト比を増加させるために追加され、異方めっき及び/又は等方めっきの工程要件を考慮して適宜組み合わせ可能である。
【0026】
上記ビア1212は、支持部材の上面又は下面に接し、複数の導電性パターン層の最下層に配置される第1導電性パターン層1212aを含む。上記第1導電性パターン層は、上記支持部材の形成時に予め準備された銅(Cu)箔層であってもよい。上記第1導電性パターン層の厚さは、特に制限されないが、CCL(Copper Clad Laminate)の通常の銅箔層の厚さを考慮すると、20μm前後であることが好ましい。また、上記第1導電性パターン層は、銅箔層の他に、別途のスパッタリング工程を用いて形成した薄膜層であってもよいが、この場合、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)など、めっき工程で使用できる金属の他に様々な金属を選択することができ、材料選択の自由度が増加する。
【0027】
上記第1導電性パターン層1212aは、貫通孔の境界面に接しない構造を有する。これは、支持部材の準備と同時に第1導電性パターン層が準備され、その後、貫通孔が形成されたため、工程順序を考慮すると、貫通孔の境界面に上記第1導電性パターン層が形成される余地がないためである。具体的には示していないが、上記第1導電性パターン層が貫通孔の境界面に接するように、上記第1導電性パターン層が支持部材の上面及び下面と貫通孔の境界面を全体的に覆う構造にしてもよいことは言うまでもなく、この場合、上記第1導電性パターン層は無電解めっき工程を適用して形成することが好ましい。
【0028】
次に、上記第1導電性パターン層1212a上には第2導電性パターン層1212bが配置される。上記第2導電性パターン層1212bを形成する方式は、特に制限されないが、例えば、化学銅めっきで形成してもよい。上記第2導電性パターン層1212bは、上部コイルの第1導電性パターン層の上面を全て覆い、連続的に貫通孔の境界面及び下部コイルの第1導電性パターン層の上面を全て覆うように形成される。実質的には、第2導電性パターン層は、ビアが貫通孔の内部を貫通して形成されるベースパターン層の機能を果たす。上記第2導電性パターン層の厚さは大きく制限されないが、上記第2導電性パターン層は、ベースパターン層として機能するものであって、実質的にコイルのアスペクト比を増加させるためのパターン層ではないため、厚く形成する必要性は少ない。例えば、上記第2導電性パターン層の厚さは、1μm~10μmであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0029】
次に、上記第2導電性パターン層1212bをベースパターン層として上記第2導電性パターン層を覆うように第3導電性パターン層1212cがさらに形成される。上記第3導電性パターン層1212cは、ドライフィルムを用いてパターニングした後、それを充填する方式で形成されてもよい。上記第3導電性パターン層1212cは、電気伝導性に優れた材料であれば制限なく使用することができ、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)などを含む。上記第3導電性パターン層は、上記第2導電性パターン層と同様に、貫通孔の内部を貫通するように形成される。
【0030】
一方、上記ビア1212の端部の少なくとも一部は直線状に形成されてもよい。ビアの形成のためのガイドとしてドライフィルムを用いる場合、ビアが直線状の端部を有するように形状を制御することができる。これは、ビアの過めっきを効果的に防止できることを意味する。
【0031】
次に、上記第3導電性パターン層1212c上には、上記第3導電性パターン層に比べて比較的薄い第4導電性パターン層1212dが形成されてもよいが、これは一種の重ねめっきといえる。そして、上記第4導電性パターン層1212d上には、第5導電性パターン層1212eとして、実質的にコイルパターンのアスペクト比を増加させる異方めっき層が形成されてもよい。
【0032】
上記ビア1212の場合、所定の大きさ以上のビアパッドを構成する必要がないため、ビアの線幅をビア以外のコイルパターンの線幅と同一又は類似のレベルに制御することができる。その結果、コイルパターンの線幅及び厚さのばらつきを大幅に低減することができる。
【0033】
一方、上記ビア以外に上部コイル及び下部コイルを形成する複数のコイルパターン123が上記支持部材に支持される。上記複数のコイルパターンは、上記支持部材に支持される絶縁壁124の開口部124h内に充填されるように形成される。上記複数のコイルパターンは、上記絶縁壁を一種のめっき成長のガイド(guide)にして成長するため、上記コイルパターンの線幅を実質的に同一に維持することができ、高アスペクト比のコイルを安定して形成することができる。上記開口部内に充填される上記コイルパターンの厚さは、上記絶縁壁の厚さと同じか薄いことが好ましいが、これは隣接するコイルパターン間のショート防止に有利であるためである。また、上記コイルパターンが上記開口部内に充填された後、上記絶縁壁から突出する部分があるなど、上記コイルパターンと上記絶縁壁間に段差がある場合には、所定の研磨工程で上記段差をなくすことができる。絶縁壁124の材料は、互いに隣接するコイルパターン123を絶縁することができる材料であれば制限なく含むことができ、例えば、パーマネントタイプの感光性絶縁物質を含んでよい。
【0034】
また、上記コイルパターンと上記絶縁壁の両方を形成した後、コイルパターンと磁性材料間の絶縁のために、上記コイルパターンと上記絶縁壁の両方を覆うようにさらなる絶縁層13を形成してもよい。上記さらなる絶縁層は、具体的な形成方式に制限がなく、上記コイルパターンと上記磁性材料間の絶縁機能を果たすものであれば十分である。具体的には、絶縁層を絶縁樹脂の化学気相蒸着(CVD)を用いて形成するようにしてもよく、コイルパターンと絶縁壁の上面のみを覆うように絶縁シートをラミネートする方式を用いて形成するようにしてもよい。
【0035】
上記コイルパターンの最内側のコイルパターンは、上記ビアに直接連結されることにより、上記上部コイルの最内側のコイルパターンから上記ビアを介して上記下部コイルの最内側のコイルパターンへの電気的流れを可能にする。
【0036】
上記最内側のコイルパターンの内側面及び外側面のうち上記外側面のみが上記絶縁壁に接することが好ましい。これは、上記最内側のコイルパターンの内側面側の絶縁壁がない場合、上記貫通孔内に充填される磁性材料の充填量が増加して透磁率が大きくなるためである。一方、上記最内側のコイルパターンの内側面に接する絶縁壁がないようにするための方式には制限がないが、上記最内側のコイルパターンが他のコイルパターンと同様にめっき方向全体にわたって実質的に同じ線幅を有するようにするためには、最内側のコイルパターンの両側面全体に絶縁壁を維持し、最内側のコイルパターンの形成を完了し、その後、最内側のコイルパターンの内側面に接する絶縁壁のみを選択的に除去することが好ましい。例えば、内部コイルの形成を完了した後に貫通孔を形成するためのキャビティ工程を行う際に、絶縁壁の一部を選択的に除去する方式を用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明は、前述した実施形態及び添付の図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲に限定されるものである。よって、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0038】
一方、本発明で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0039】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために用いられたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0040】
100 コイル電子部品
1 本体
11 磁性材料
12 内部コイル
121 上部コイル
122 下部コイル
1212 ビア
13 支持部材
21、22 外部電極