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特許7472418取外し可能なシールドパネルを有する貯蔵容器のためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】取外し可能なシールドパネルを有する貯蔵容器のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20240416BHJP
   G21F 5/005 20060101ALI20240416BHJP
   G21F 1/04 20060101ALI20240416BHJP
   G21F 1/08 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G21F3/00 Z
G21F5/005
G21F1/04
G21F1/08
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021159776
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2018546660の分割
【原出願日】2017-05-23
(65)【公開番号】P2022003341
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】62/342,028
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520054079
【氏名又は名称】ヴェオリア ニュークリア ソリューションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VEOLIA NUCLEAR SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル, ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ダルトン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リリー, ブレット
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0012926(US,A1)
【文献】特開昭56-010295(JP,A)
【文献】特開2003-270382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0276554(US,A1)
【文献】特表2017-521661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 1/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器システムにおいて、前記システムは、複数の貯蔵容器と、複数のシールドパネルと、複数のシールド取付具とを備え、
前記複数の貯蔵容器は、各々が複数の側壁を含み、各側壁は、シールド取付点を有し、
前記複数の貯蔵容器は、複数の貯蔵構造に配置可能であり、各貯蔵構造は、前記貯蔵構造の最外部分に沿った複数の露出側壁を含み、前記露出側壁は、隣接する貯蔵容器の側壁と嵌合しない貯蔵容器の側壁によって形成され、
前記複数のシールドパネルは、各々が、シールド取付点を有し、前記複数のシールドパネルの各々は、前記複数の貯蔵容器と異なる遮蔽材特性を有し、前記複数の露出側壁のうちの一つに取外し可能に結合されるように構成され、
前記複数のシールド取付具は、前記複数のシールドパネルを前記複数の露出側壁に取外し可能に結合するように構成され、前記複数のシールド取付具の各々は、第1のスロットおよび第2のスロットとを含み、前記第1のスロットは、前記複数の貯蔵容器のうちの一つの取付点に係合するように構成され、前記第2のスロットは、前記複数のシールドパネルのうちの一つの取付点に係合する、システム。
【請求項2】
前記複数のシールド取付具のうちの一つが前記複数の貯蔵容器のうちの一つと係合し、前記シールド取付具の上面が前記貯蔵容器の上面と面一である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のシールド取付具のうちの一つが前記複数の貯蔵容器のうちの一つと係合し、前記シールド取付具の外面が前記シールドパネルの外面と面一である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のスロット及び前記第2のスロットのうちの一つは、前記複数のシールドパネルのうちの一つに設けられたガイドに被さるように嵌合するようにサイズ及び形状が決められた閉じたスロットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のシールド取付具は、前記複数の貯蔵容器と摺動可能に係合可能であり、前記複数のシールドパネルと摺動可能に係合可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
シールド取付具は、厚さの異なるシールドパネルを受け入れるように調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記シールド取付具は、溝と、取付ペグと、容器ペグとを含み、前記取付ペグと前記容器ペグのうちの少なくとも一つは、前記溝に沿って摺動可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のシールド取付具のうちの少なくとも一つは、トグルクランプを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
複数の貯蔵容器の各々は、完全な囲繞体を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のシールドパネルは、各々が、実質的に平面であり、前記露出した側壁のうちの一つの側壁を直接対向して完全に覆うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のシールドパネルは、各々が、前記露出した側壁のうちの一つの最も外側の部分を、直接に対向して少なくとも部分的に覆うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
貯蔵容器システムにおいて、前記システムは、複数の貯蔵容器と、複数のシールドパネルと、複数のシールド取付具とを備え、
前記複数の貯蔵容器は、各々が、4つの側壁を含み、前記側壁の各々が、シールド取付点を有し、前記複数の貯蔵容器は、複数の貯蔵構造に配置可能であり、各貯蔵構造は、複数の内部側壁と複数の露出側壁とを有し、前記内部側壁は、一緒に係合される、隣接した貯蔵容器の側壁によって形成され、前記露出側壁は、前記複数の貯蔵容器のうちの隣接した一つの側壁と係合しない前記複数の貯蔵容器のうちの一つの側壁によって形成され、
前記複数のシールドパネルは、各々が、シールド取付点を有し、前記複数のシールドパネルの各々は、前記複数の貯蔵容器と異なる遮蔽材特性を有し、前記複数の露出側壁のうちの一つに取外し可能に結合されるように構成され、
前記複数のシールド取付具は、前記複数のシールドパネルを前記複数の露出側壁に取外し可能に結合するように構成される、システム。
【請求項13】
前記複数のシールドパネルのうちの少なくとも一つのシールドパネルは、前記複数のシールドパネルのうちの別のシールドパネルと重なるように構成されたタブ付き縁部を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のシールド取付具の各々は、第1のスロットと第2のスロットとを含み、前記第1のスロットは、前記複数の貯蔵容器のうちの一つの取付点と係合するように構成され、前記第2のスロットは、前記複数のシールドパネルの一つの前記取付点と係合する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のシールド取付具の各々は、前記複数の貯蔵容器のうちの一つの上面と面一になるように構成された上面を含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【著作権について】
【0001】
[1]本書には、著作権保護の対象となる内容が含まれている。著作権所有者は、米国特許商標庁の特許ファイル又は記録に記載されているため、特許文書又は特許開示の何者かによる複写に対して異議を唱えないが、著作権に関する全ての権利を留保する。下記は、以下に及び添付図面に記載されるソフトウェア、スクリーンショット、データに適用される。また、無断複写、転載を禁ずる。
【関連出願】
【0002】
[2]本願は、2016年5月26日に出願された米国仮特許出願第62/342,028号に対する優先権を主張し、その全体が参照により援用される。
【技術分野】
【0003】
[3]本開示は、貯蔵容器のためのモジュール式遮蔽技術、特に、望ましくない要素、化合物又は材料を環境に放出する物質、或いは環境から保護する必要がある物質を含む貯蔵容器のためのモジュール式遮蔽技術に関する。
【背景技術】
【0004】
[4]或る要素、化合物又は材料の場合、貯蔵するときに望ましくない又は有害な成分を放出する。この種の材料の一例は核廃棄物である。現在貯蔵されている核廃棄物は、三つの主要供給源、すなわち商業用又は研究用の原子炉からの使用済み燃料、使用済み燃料の再処理により生ずる液体廃棄物、及び核兵器・推進産業からの廃棄物に由来する。貯蔵に関する懸案事項の大部分は、いわゆる「中高レベル」の核廃棄物成分に関連しており、その核廃棄物成分は、放射能が高く、その減衰が熱や放射線を放出するためにしばしば冷却や封込めが必要であり、非常に長い半減期を有する。
【0005】
[5]放射性廃棄物の長期にわたる貯蔵は、廃棄物が長期間反応したり劣化したりしない形態に廃棄物を安定化させることによって支援される。現在、ガラス固化が、この安定化を達成するために受け入れられている一般的方法である。ガラス固化プロセスは、核廃棄物をガラス形成媒体(例としては土(soil)又はゼオライト)と混合し、混合物の溶融点まで加熱することを必要とする。冷却されると、結果として、核廃棄物は効果的にガラスに取り込まれ、漏れや環境への曝露の可能性が減少する。一部のガラス固化法は、実際の貯蔵容器内でガラス固化プロセスを行うことを可能にし、それによって廃棄物の取扱いを最小限にし、処理から生ずる汚染の可能性を減少させる。このタイプのガラス固化は、容器内ガラス固化又はICV(商標)として知られている。このプロセスに使用される容器は、ICV(商標)容器と呼ばれる。
【0006】
[6]ガラス固化により処理された後、ICV(商標)容器は一時的又は長期的に貯蔵される。特定の元素の放射性崩壊による潜在的な有害エネルギーを軽減するために遮蔽材が使用される。しかし、ICV(商標)貯蔵システムのための現在の遮蔽材では、遮蔽材を再構成したり調節したりする余地がほとんどない。さらに、現行のシステムでは、必要以上に多くの遮蔽材が使用されており、これは材料及び貯蔵容量の両方の観点から経済的ではない。その逆も成り立つかもしれない。すなわち、貯蔵された化合物又は材料の中には、それらの周囲の環境から遮蔽する必要がある。したがって、内容物、粒子、又は放射線の漏洩を防止するために、或いは、粒子又は放射線が容器に侵入するのを防止するために、遮蔽を必要とする短期間又は長期間の貯蔵容器用の調節可能でコンパクトなモジュール式遮蔽システムが必要とされている。
【0007】
[7]明細書の複雑さ及び分量を低減するために、本願出願人は、以下の各段落に示される資料の全てを参照によりここに援用するものとする。援用された資料は、必ずしも「先行技術」であるとは限らず、援用されたいかなる資料を取り除く手続(swear behind)に関する権利を留保する。
【0008】
[8]System for Vitrification Container with Removable Shield Panelsと題される、2016年5月26日に出願された米国特許出願第62/342,028号(その全体が参照により本書に援用される。また、本願の優先権の基礎である。)
【0009】
[9]System and Method for a Robotic Manipulator Armと題される、2017年5月10日に出願された米国特許出願第15/591,978号(その全体が参照により本書に援用される。)
【0010】
[10]Mobile Processing Systemと題される、2015年6月24日に出願された米国特許出願第14/748,535号(優先日2014年6月24日)(その全体が参照により本書に援用される。)
【0011】
[11]Ion Specific Media Removal from Vessel for Vitrificationと題される、2016年2月1日に出願された米国特許出願第15/012,101号(優先日2015年2月1日)(その全体が参照により本書に援用される。)
【0012】
[12]System and Method for an Electrode Seal Assemblyと題される、2016年12月22日に出願された米国特許出願第15/388,299号(優先日2015年12月29日)(その全体が参照により本書に援用される。)
【0013】
[13]Methods for Melting of Materials to be Treatedと題される、2001年3月25日に出願された米国特許第7,211,038号(優先日2001年9月25日)(その全体が参照により本書に援用される。)
【0014】
[14]Methods for Melting of Materials to be Treatedと題される、2007年4月27日に出願された米国特許第7,429,239号(優先日2001年9月25日)(その全体が参照により本書に援用される。)
【0015】
[15]Vitrification of Waste with Continuous Filling and Sequential Meltingと題される、2000年5月4日に出願された米国特許第6,283,908号(優先日2000年5月4日)(その全体が参照により本書に援用される。)
【0016】
[16]上記の援用された資料は、背景を示す目的又は最新技術を示す目的で参照されるものであるので、米国特許規則1.57にいう「非本質的」であると本願出願人は考える。しかし、審査官が、上記の援用された資料のいずれかが米国特許規則1.57(c)(1)~(3)にいう「本質的資料」を構成すると考えるならば、出願人は、適用される規則で許容されているように、参照により援用される本質的資料を訂正するよう本書を補正する。
【0017】
[17]本書で提示される態様及び用途は、図面及び詳細な説明において以下で説明する。特別に記されていない限り、明細書及び特許請求の範囲における用語や表現は、適用可能な分野における当業者に、平易で一般的な慣用の意味が与えられるものとする。発明者らは、必要であるならば自身が辞書編集者たり得べき者であると認識している。本発明者らは、辞書編集者として、明示的にそうでないと述べていない限り、またその用語の「特別な」定義を明示的に述べていない限り、そして、平易で一般的な意味とどのように異なっているかを説明していない限り、明細書及び特許請求の範囲における用語の平易で一般的な意味のみを使用するよう明確に選択する。「特別な」定義を適用するとする明確な陳述がなければ、明細書及び特許請求の範囲の解釈には、単純で平易に一般的な意味が適用されることが本発明者らの意図及び要望である。
【0018】
[18]また、本発明者らは、英文法の通常の規則を認識している。したがって、名詞、用語又は句が何らかの形でさらに特徴づけられ、特定され、又は限定されることが意図されている場合、そのような名詞、用語又は句は、英文法の通常の規則にしたがって追加の形容詞、記述的用語又は他の修飾語を明確に含むこととなろう。英語の文法の教訓。そのような形容詞、記述的用語、又は修飾語を使用していない場合、そのような名詞、用語又は句は、上述した適用可能な分野における当業者に、それらの平易で一般的な英語の意味が与えられるものとする。
【0019】
[19]さらに、本発明者らは、米国特許法第112条第6段落の規定の基準及び適用について十分に通じている。したがって、詳細な説明、図面の説明又は特許請求の範囲における「機能」、「手段」又は「ステップ」という語の使用は、本書に開示されるシステム、方法、プロセス及び/又は装置を特定するために、何らかの形で米国特許法第112条第6段落の規定を利用するという要請を示すものではない。これとは対照的に、米国特許法第112条第6段落の規定が実施形態を特定するために利用されることが求められる場合、特許請求の範囲は、具体的かつ明示的に、正確な句「する(ための)手段」又は「する(ための)ステップ」を記載し、また、「機能」という語を記載する(すなわち、「・・・の機能を遂行するための手段」と記載)が、機能をサポートするいかなる構成、材料又は動作(act)もこのような句においてのべるものではない。したがって、たとえ特許請求の範囲において「・・・の機能を遂行するための手段」又は「・・・の機能を遂行するためのステップ」と述べた場合であっても、特許請求の範囲が、その手段又はステップをサポートする、すなわち記載した機能を遂行することをサポートするいかなる構成、材料又は動作を述べていても、発明者の明確な意図は、米国特許法第112条第6段落の規定に依らないということである。さらに、米国特許法第112条第6段落の規定が、請求された実施形態を特定することを求めるものである場合でも、その実施形態は、好適な実施形態に述べられる特定の構成、材料又は動作にのみ限定されるべきものではなく、代替的な実施形態又は態様に述べられるような請求された機能を遂行する全ての構成、材料又は動作を含むものとすべきであり、或いは、請求された機能を遂行するための、周知の現在又は将来開発される、等価な構成、材料又は動作であるとすべきである。
【0020】
[20]本書に開示されたシステム、方法、プロセス及び/又は装置については、例示の添付図面に関連して考慮しながら詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されよう。なお、図面において同様の参照番号は同様の要素を示し、このことは図面全体にわたって作用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】容器内ガラス固化(In-Container Vitrification(商標)又はICV(商標))容器の一実施形態の断面図である。
図2】ICV(商標)容器の実施形態の斜視図を示す。
図3】取外し可能なシールドパネルが取り付けられた、図2の変更が加えられたICV(商標)容器の実施形態の斜視図を示す。
図4】取外し可能なシールドパネルが取り付けられた4個の、変更が加えられたICV(商標)容器を示す。
図5】取外し可能なシールドパネルが取り付けられた3個の、変更が加えられたICV(商標)容器を示す。
図6】種々の放射性レベルの核廃棄物を含む容器の例示的な実施形態を示す。
図7】取外し可能なシールドパネルが取り付けられた、積重ね構造における8個の、変更が加えられたICV(商標)容器を示す。
図8】取外し可能なシールドパネルが取り付けられた、積重ね構造における7個の、変更が加えられたICV(商標)容器を示す。
図9A】取外し可能なシールドパネルの一実施形態を示す。
図9B】タブ付き縁部を有する取外し可能なシールドパネルの実施形態を示す。
図9C】多層シールドパネルの上面から見た断面図を示す。
図10A】制御回路をさらに備える図9Aの取外し可能なシールドパネルの実施形態を示す。
図10B】再構成を容易にするための例示的なフック、ハンドル及び磁気コネクタをさらに備える、図9Aの取外し可能なシールドパネルの実施形態を示す。
図11】隅部遮蔽の幾つかの例示的な実施形態を示す。
図12A】上部と下部の両方にて固定することができる側部シールドの実施形態を示す。
図12B】上部と下部の両方にてシールド取付具で固定されたシールドを利用した容器の斜視図を示す。
図13】下部シールドを利用したICV(商標)容器の積重ね構造を示す。
図14】単純なシールド取付具の実施形態を示す。
図15A図14のシールド取付具の実施形態の変形を示す斜視図である。
図15B】シールド及び容器に係合された、図15Aのシールド取付具の実施形態を示す。
図15C図15Aのシールド取付具の、突出された状態を示す。
図15D図15Aのシールド取付具の実施形態と共に用いられるガイドを示しているシールドパネルの実施形態を示す。
図15E図15Aのシールド取付具の実施形態と共に用いられるガイドを示しているシールドパネルの実施形態の正面図である。
図16A】様々なシールド厚さに対して調節を行うことができる調節可能なシールド取付具の実施形態を示す。
図16B図16Aの調整可能なシールド取付具の実施形態の使用時の状態を示す。
図17A】異なる厚さの2枚のシールドを受け入れることができる調節可能なシールド取付具の代替の実施形態を示す。
図17B図17Aの調節可能なシールド取付具の実施形態の使用時の状態を示す。
図18】様々なレベルの廃棄物が共に貯蔵され、異なる遮蔽材必要とする実施形態を示す。
図19A】シールドパネルを固定するためにトグルクランプ機構を利用している図14のシールド取付具を示す斜視図である。
図19B図19Bのシールド取付具の側面図を示す。
図19C】変形が加えられたシールドパネルと共に用いられている図19Cのシールド取付具を示す。
図20】様々な厚さのシールドを固定するためのトグルクランプシステムを使用するシールド取付具の一実施形態を示す。
図21A】側部シールドを上部シールドで固定するシールド取付具の一実施形態を示す。
図21B図21Aのシールド取付具の実施形態と結合する上部シールドの一実施形態を示す。
図21C図21Aのシールド取付具の実施形態と共に用いられている図21Bの上部シールドの実施形態を示す。
図22A】再構成途中の8個の貯蔵容器を含む貯蔵構造を示す。
図22B】1個の貯蔵容器を取り外した後の図22Aの貯蔵構造を示す。
図22C】シールドパネルを貯蔵構造における残っている容器の露出面上に設置した後における図22Bの貯蔵構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[59]図面の要素及び動作は、簡略化して示されており、必ずしも特定の配列や実施形態に従って表現されたものではない。
【0023】
[60]以下の説明では、例示的な実施形態の様々な態様の完全な理解を可能とするために、多くの具体的な詳細、プロセス時間、及び/又は特定の式・値が説明の目的で示される。しかしながら、当業者には、本書で述べられる装置、システム及び方法は、これらの具体的な詳細、プロセス時間及び/又は特定の式・値なしでも実施され得ることは理解されるであろう。本書で述べられる装置、システム及び方法の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的及び機能的な変更を行うことができることは理解されるべきである。他の例では、例示的な実施形態を不明瞭にすることを避けるために、既知の構成やデバイスがより一般的に示され又は説明される。多くの場合、操作の説明は、特に操作がソフトウェアで実施されるときに、様々な態様を実行することができるようにするのに十分である。開示された実施形態が適用され得る多くの様々な代替構成、デバイス、及び技術が存在することに留意されたい。実施形態の全範囲は、以下に説明する例に限定されるものではない。
【0024】
[61]例示的実施形態の以下の例では、添付図面を参照するが、この添付図面は実施形態の一部をなし、様々な実施形態を絵図により示している。また、その実施形態において、本書で開示されたシステム、方法、プロセス及び/又は装置が実施され得る。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的及び機能的な変更を行うことができることは理解されるべきである。
【0025】
[62]貯蔵容器にモジュール式の再使用可能な遮蔽材を提供するための取外し可能なシールドパネル(RSP)システムについて本書で説明する。このシステムは、遮蔽材の必要性を最小限に抑えつつ、貯蔵条件を拡大できる柔軟な手段を提供するものである。RSPシステムは、容器の数や構成がいかなるものであっても、それを遮蔽することができ、その一方で、遮蔽材の量を減らし、貯蔵のための面積を減らし、単純な再構成を可能にする。
【0026】
[63]幾つかの実施形態では、RSPシステムは、例えば、容器内ガラス固化(In-Container Vitrification(商標))又はICV(商標)容器を含む核廃棄物貯蔵容器に適用される。図1は、ICV(商標)容器399の一実施形態の断面図を示している。ガラス固化は、汚染物質が埋め込まれたガラス固化生成物を形成するプロセスである。ガラス固化生成物からの汚染物質の浸出性が非常に低いため、ガラス固化は長期間にわたる廃棄物処理の代表的な技術となっている。ICV(商標)は、ガラス固化が1回使用の容器又は再使用可能な容器内で生じるシステムである。幾つかの実施形態では、容器は、ガラス固化のために1回だけ使用され、最終貯蔵容器として働く。また、幾つかの実施形態では、容器は、固体廃棄物(イオン特殊媒体(ISM)、スラッジ、液体処理廃棄物、土、灰、除染物、廃炉廃棄物等)の処理から生じるガラス固化廃棄物の形態のための処理・貯蔵容器として機能する。
【0027】
[64]図1に示すICV(商標)容器399は、外側遮蔽材457、耐火ライニング431、供給ポート411、始動経路(図示せず)、電極421、及び蓋体(組込みフード)458を備える。幾つかの実施形態において、外側遮蔽材457は、鋼等の金属からなる。蓋体458は、電極421とICV(商標)容器399との間に電気絶縁を与えつつ、電極421を始動経路に接触させた状態で維持する一つ以上の電極貫入/シール415の組立体を含むとよい。ICV(商標)容器399は、優先日が2015年2月1日であり、2016年2月1日に出願された米国特許出願第15/012,101号明細書(Ion Specific Media Removal from Vessel for Vitrification)に詳細に記載されており、その明細書はその全体が参照により本書に援用される。
【0028】
[65]図示実施形態は、例示的な貯蔵容器としてのICV(商標)容器を示している。容器は必ずしもICV(商標)容器ではなく、他の形態をとり得ることは明らかである。同じ原理及び設計の態様が、容器の多くの異なるスタイルや構成にも適用され得る。本書で使用される「容器」という用語は、ICV(商標)容器、又は本書に開示される遮蔽原理及び/又は設計を利用し得る任意の他の容器タイプ又はスタイルを指すものとする。ガラス固化された核廃棄物が貯蔵中の遮蔽を必要とする材料の例として開示されているが、同じ原理が他の廃棄形態及び遮蔽を必要とする他の材料にも適用できることは明らかである。例えば、温度制御された設備では、遮蔽材を断熱材として使用することができる。磁束の方向を変えるために電磁遮蔽材を使用することができ、電波を遮断するためにRF遮蔽材を使用することができる。他の実施形態も考えられる。
【0029】
[66]図2は、ICV(商標)容器400の一実施形態を示す等角図である。図示実施形態は、取外し可能なシールドパネルの設置に関して変更が加えられた、図1に示されたICV(商標)容器399の変形例である。変更点は、シールドパネルの取付けを容易にするために一つ以上のシールド取付点125の追加を含む。シールド取付点125は、様々な実施形態の間で量、位置及び形状について変えてもよい。シールドパネルの幾つかの実施形態では、ICV(商標)容器400上にシールド取付点を必要としない場合がある。幾つかの実施形態において、シールドパネルは、磁気、さねはぎ継ぎ、吸盤、特にベルクロ(登録商標)を含む一つ以上の結合機構を用いて、貯蔵容器に取り付けられ得る。
【0030】
[67]図3は、シールド取付点125を有する図2のICV(商標)容器の変形実施形態と、シールドパネル100とを示している。各容器400は、各側面に一つ以上のシールド取付点125を含むことができる。図示実施形態では、各容器400は、容器400の上部の各側面に二つのシールド取付点125を含み、容器400の1個当たり合計八つのシールド取付点125を備える。シールド取付点125のタイプ、幾何形状、数量及び位置は、実施形態によって異なる場合がある。シールド取付具150は、容器400のシールド取付点125と係合する形状とされている。図示実施形態では、1個の容器400が全ての側面で遮蔽されている。
【0031】
[68]容器400が貯蔵されるとき、容器400は一般に積み重ねられ、積層化される。貯蔵状態における内部容器400は、隣合う容器400によって少なくとも部分的に遮蔽されるので、個々に遮蔽する必要がないこともある。複数の容器400が一緒に貯蔵されるときは通常、貯蔵環境に曝される最も外側の容器400の側面のみが遮蔽を必要とする。貯蔵された容器の外側を遮蔽するためにRSPシステムが使用されることで、貯蔵施設で必要とされる遮蔽材の量を減らすことができる。貯蔵施設内の容器400の数は増減するので、最も外側の容器400の遮蔽は、取外し可能なシールドパネル100を移動させ、露出した容器400の表面にそれらを再設置することによって容易に調整することができる。図4及び図5は、シールドパネル100が容器400の最も外側の(露出した)表面にのみ取り付けられシールド取付具150で固定されるという単一層の容器400の構成を示している。上部シールドパネルが、容器400の最上層の上部を覆うために使用されてもよい。
【0032】
[69]図6は、ガラス固化された核廃棄物を含む一層のICV(商標)容器400の例示的な実施形態を示している。核廃棄物は放射性レベルによって分類され、共通のレベルは、低レベル、中レベル、高レベルの放射性廃棄物である。低レベル放射性廃棄物は、一般に、殆ど又は全く遮蔽を必要としないが、高レベル放射性廃棄物は、大量の遮蔽を必要とする。図示実施形態においては、容器400は、様々なクラスの核廃棄物で満たされている。最も内側の容器400は高(H)レベルであり、周囲の容器400は中(I)レベルである。この実施形態は、より低いレベルの廃棄物(中レベル廃棄物)がより高いレベルの廃棄物のための遮蔽材としてどのようにして使用されるか、そして、貯蔵施設における遮蔽条件を低減するかを示している。遮蔽材の量を減らすことは、各容器400の貯蔵のための面積を減じ、貯蔵施設の容量を増加させ効率を上げる。さらに、RSPシステムは、重量の観点から、容器400から遮蔽材を切り離し、それによって、各容器400に貯蔵され得る材料の量を潜在的に増加させる。
【0033】
[70]幾つかの実施形態では、容器400は、二つ以上の層に積み重ねられて、貯蔵のための面積を最小化すると共に、貯蔵容量を最大にすることができる。図7及び図8は、シールド取付具150で固定された取外し可能なシールドパネル100及び上部シールドパネル200が取り付けられた、例示的な積重ね構造におけるICV(商標)容器400を示している。図示実施形態は二つの層を含むが、容器は、一つ以上の層からなる他の構造において貯蔵されてもよいことは明らかである。
【0034】
[71]図9Aは、一般的な取外し可能なシールドパネル100の実施形態を示す。図9Bは、タブ(突条)付きの縁部915を備えた例示的なシールドパネル100aの一例を示しており、この縁部915は、2枚のシールドパネル100aを並べて用いた場合、シールドパネル100a間に隙間が生じないように互いに重なり合う。取外し可能なシールドパネル100は、遮蔽の目的に応じて広範囲の材料から構成され得る。シールドパネル100は、厚さが変化してもよく、及び/又は、異なる材料の層を含んでもよい。図9Cは、異なる材料の三つの層72,73,74を含む例示的なシールドパネル100cの上方から見た断面図を示す。異なる実施形態としては、一つ以上の異なる材料からなる層の数及び厚さを変化させることを含む。例えば、核廃棄物貯蔵においては、シールドパネル100は、特に放射線量率を低減するために、コンクリート、鋼、鉛、及びムライト質耐火物のうちの一つ以上を含む材料の一つ以上の層を含むことができる。幾つかの実施形態では、鋼製シールドパネルは、Cs-137/Ba-137mの放射線に対して16mmの半価層を有する。他の半価層の構成もあり得る。
【0035】
[72]温度制御される施設では、シールドパネルは断熱材を含むものとするとよい。幾つかの実施形態では、シールドパネルは、貯蔵内容物を衝撃から保護するために、緩衝材又は耐衝撃材から構成されても、緩衝材又は耐衝撃材からなる層を備えてもよい。また、シールドパネルは、電磁束から貯蔵内容物を遮蔽するために、幾つかの実施形態では銅のような導電性材料又は磁性材料からなるものとすることができる。幾つかの実施形態では、シールドパネルは、一つ以上の異なるタイプの遮蔽を機能的に可能とするために、異なる材料の複数の層を備えてもよい。例えば、電子機器は、少なくとも熱シールド層及び電磁シールド層を含むシールドパネルを利用するとよい。
【0036】
[73]幾つかの実施形態では、1枚以上のシールドパネル又はその中の材料が積層され、シールド取付具に修正を加えずに層を付加し取り外すことができるように、それらはLEGO(登録商標)と同様の相互結合手段を使用して連結される。幾つかの実施形態では、1枚以上のシールドパネル又はその中の材料が積層され、磁力、吸引力、ベルクロ(登録商標)、又は当技術分野で知られている他の取外し可能な結合手段のうちの一つ又は複数を使用して、それらは連結される。
【0037】
[74]図10Aに示される実施形態のような幾つかの実施形態では、シールドパネル100は、貯蔵容器に対して冷却又は加熱を可能とするための温度制御機構を含む回路99を備えることができる。このような実施形態では、シールドパネル100は、電気回路コネクタ98を備え、これらのコネクタ98はセットアップや再構成中に簡単に接続するために整列されるようになっているとよい。一時的な保管及び/又は搬送のような幾つかの実施形態では、各シールドパネルは、スタンドアロン式の温度制御機構を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、重量を減らすために及び/又は貯蔵容器の周りに制御された空気流を流すために、容器に面する側に溝を備えてもよく、或いは、窪みを備えてもよい。幾つかの実施形態では、シールドパネルは、一つ以上のセンサを備えてもよい。センサは、漏れが生じたとき、許容範囲外の温度となったとき、振動が生じたとき、放射線を検出したとき、及び貯蔵された材料、環境及び/又は作業員にとって有害である可能性のある他の状態となったときに、警告を発する役割を果たす。
【0038】
[75]幾つかの実施形態では、シールドパネルは、配置、持上げ、及び取外しを容易にする一つ以上の機構をさらに備えるとよい。その機構は、特に、フック、ハンドル、凹部、及び磁気コネクタの形態を採ることができる。幾つかの実施形態では、一つ以上の機構は、使用されていないとき、シールドパネルの表面と面一となっている、凹んでいる、又は突出しているとよい。図10Bは、再構成を容易にするためのフック、ハンドル及び磁気コネクタを更に備える、図9Aの取外し可能なシールドパネルの実施形態を示している。図示の配置容易化機構は、例示のみを目的として示されている。図示の機構の特定の組合せ、型式、数量、位置、形状及びサイズは、実施形態によって異なる。
【0039】
[76]図10Bに示す実施形態では、シールドパネル100cは、三つの例示的なシールド配置容易化機構、すなわち、凹部64、磁気コネクタ65、フック66、及びハンドル67を備える。凹部64は、シールドパネル100cを持ち上げて再配置するために上向きの力を加えることができるシールドパネル100cの面を提供する。磁気コネクタ65は、磁力がシールドパネル100cを持ち上げて移動させるために印加されるように、磁性を有するシールドパネル100cの領域又は部分を提供することができる。フック66は、シールドパネル100cを持ち上げる必要がある場合には上方に折り曲げられ、使用されていないときにはシールドパネル100cに当接するように或いはシールドパネル100c内に嵌入されるように下方に折り曲げられるよう、ヒンジ式に取り付けられることができる。ハンドル67は、必要に応じてシールドパネル100cから外側に折り曲げられるか、上方に摺動させることができる。
【0040】
[77]幾つかの実施形態では、側部シールドパネル100同士の間(図9A)、及び上部パネルと側部シールドパネル100との間(図9A)に存在する可能性のある間隙を覆うために、縁部に沿って隅部シールドが設けられている。図11は、例示的な隅部シールドタイプの実施形態を示している。隅部815は、シールド取付具150で容器400に固定された側部シールドパネル100同士が重なり合っている状態を示している。隅部845は、タブ付きのシールドパネル(図9B)に使用され得る隅部シールドを示している。隅部825は、単純なL字型の覆い用の隅部部品である。隅部805は、単純な正方形断面のパネルである。隅部835は隅部805と隅部825との組み合わせである。幾つかの実施形態では、隅部シールドは、特に、磁気、さねはぎ継ぎ、あり継ぎ、吸盤、ベルクロ(登録商標)を含む一つ以上の結合機構を用いて、シールドパネルに取り付けられ得る。
【0041】
[78]図12Aは、安定性を増し再構成を容易にするために、シールド100dの上面及び底面の両方に追加のシールド取付具150(図12B)のための取付点131を備えた側部シールド100dの代替実施形態を示している。幾つかの実施形態では、下部シールド取付具及び取付点131は、上部シールド取付具及び取付点130と同じ又は類似の形状であるとよい。図12Bは、使用時のシールドパネル100dを示している。幾つかの実施形態では、下部シールド取付具131は、容器を持ち上げたり移動させたりすることなく取り外すことができるように、底面ではなく側面から直角に、又は側面から角度をなして取り付けられている。下部取付具131の追加は、シールドパネル100dを取り外すために、引張り力と持上げ力を必要とすることがある。取外しに特別な力を加えることは、安定性を増し、時間の経過と共に滑ったり、外力や地震等の衝撃によって滑ったりする機会が減る。
【0042】
[79]図13は、上部シールド200と同様の形状の下部シールド201を利用する実施形態を示している。幾つかの実施形態では、上部シールド200及び下部シールド201は、側部シールド100に組み込まれて、1個以上の容器を完全に遮蔽するようになっている。幾つかの実施形態では、シールド取付具は、一つ以上の側部シールド100、上部シールド200及び下部シールド201の組合せを一緒に固定して、1個以上の容器を収容するための囲繞体を形成するように設計され得る。幾つかの実施形態では、貯蔵施設の床が適切な遮蔽を可能とするので、下部シールドは必要とされない。幾つかの実施形態では、下部シールドは、床板の連続的なパッドや切片の形態であってもよい。
【0043】
[80]図14は、シールド取付具150の一実施形態を示す。図示されたシールド取付具150は、スロット124,126を備え、スロット124は、変更が加えられたICV(商標)容器上の取付点に被さるよう嵌合し、スロット126は、シールドパネルの取付点に被さるよう嵌合される。スロット付きの取付機構は、シールドパネルの簡単な取付けを助長し、シールドパネルを容易に持ち上げて取り外すことを可能にする。幾つかの実施形態では、シールド取付具150が正確にかつ完全に配置された場合、上面121は容器の上部と面一になり、外面127はシールドパネルの外面と面一になる。幾つかの実施形態では、面121及び面127の一方又は両方は、凹んでいても突出していてもよい。フィレットが施された隅部120は、必要に応じて、シールド取付具150を手又は手工具によって容易に取り外すことを可能にする。典型的には、シールドパネルは取り外して遠隔の場所にて再構成することができる。幾つかの実施形態では、複数のシールド取付具150のうちの一つ以上をシールドと一体化することができる。幾つかの実施形態では、クレーン及び/又はロボットマニピュレータアームが、シールドの再構成のための装置として用いられ、その場合、その装置はその場で、或いは遠隔的に制御され得る。幾つかの実施形態は、シールドの再構成のためのロボット遠隔制御システムを利用することができる。そのようなロボット制御システムの一例は、2017年5月10日に出願された、System and Method for a Robotic Manipulator Armと題される同時係属中の米国特許出願第15/591,978号(優先日2016年5月16日)の明細書に記載されており、その内容全体は参照により本書に援用される。
【0044】
[81]図15A図15Cは、図14のシールド取付具の実施形態の変形例を示している。シールド取付具150aは、図14に示すシールド取付具150と同じ特徴の多くを有する。シールド取付具150aは閉じたスロット126aを有するのに対して、シールド取付具150(図14)は開放されたスロット126を有する。図15B及び図15Cは、使用時のシールド取付具150aを示す。閉じたスロット126aは、シールドパネル100のガイド112に取り付けられる。図示実施形態では、シールド取付具150aは、スロット126aがガイド112に沿ってスライドするようシールドパネル100に摺動可能に取り付けられる。図15D及び図15Eは、図15A図15Cのシールド取付具の実施形態に対応するシールドパネル100の実施形態を示している。幾つかの実施形態では、シールド取付具150aはシールドパネル100に固定される。ガイド112は、シールド取付具150aを整列させたままにし、シールド取付具150aがシールドパネル100から分離することを防止する。図15Bにおいて、シールド取付具150aは、シールドパネル100及び容器400と完全に係合している。図15Cにおいて、シールド取付具150aは、シールドパネル100及び容器400から突出している。
【0045】
[82]このシールドパネルシステムによって、必要に応じてシールドの厚さを簡単に調整することが可能となる。例えば、核廃棄物貯蔵の実施形態では、シールドの厚さは、許容可能な限度(接触時1mSv/時間等)で線量を維持するための調整を必要とすることがある。幾つかの実施形態では、より高放射性レベルの容器が最も内側に貯蔵され、高放射性レベルの容器の遮蔽を増強するために低放射性レベルの容器が最も外側に貯蔵されるよう、容器を貯蔵するとよい。追加の遮蔽が必要な場合は、パネルを積み重ねてシールドの厚さを増やすことができる。
【0046】
[83]図16Aは、様々なシールドの厚さに対して調節することができる調節可能なシールド取付具500の実施形態を示す。シールド取付ペグ530及び容器取付ペグ520の位置は、様々なシールド厚さを補償するために、切抜き溝515の長さに沿ってそれらを摺動させることによって調節することができる。幾つかの実施形態では、シールド取付ペグ530及び容器取付ペグ520は、単一の構成要素としてもよい。図示の実施形態では、ナットは、取付ペグを所定の位置に締め付けて固定するために使用される。しかし、他の固定機構を使用してもよい。図16Bは、厚いシールド100eに用いられている調節可能なシールド取付具500を示している。幾つかの実施形態では、調節可能なシールド取付具500は、トグルクランプ又は他のそのような把持又は固定のための機構をさらに備え得る。
【0047】
[84]図17Aは、異なる厚さの2枚のシールドを受け入れることができる調節可能なシールド取付具550の実施形態を示している。シールド取付ペグ530及び容器取付ペグ520の両方の位置は、シールド厚さの変化を補償するために、切抜き溝515の長さに沿ってそれらを摺動させることによって調節することができる。幾つかの実施形態では、容器取付ペグと、最も近いシールド取付ペグ530とは、単一の構成要素としてもよい。図17Bは、2枚のシールドパネル100と共に使用されている調節可能なシールド取付具550を示している。図示の実施形態では、シールドパネル100は同じ厚さであるが、他の実施形態では、それらは異なる厚さである場合もある。図示の実施形態では、ナットを使用して取付ペグを所定の位置に締め付けて固定しているが、他の固定機構を使用してもよい。幾つかの実施形態では、調節可能なシールド取付具550は、トグルクランプ又は他のそのような把持又は固定のための機構をさらに備え得る。
【0048】
[85]図18は、ガラス固化された核廃棄物を含むICV(商標)容器400の層の例示的な実施形態を示している。図示の実施形態では、容器400は、異なる種類の核廃棄物で満たされている。Hとマークされたものは高レベルの廃棄物を含み、Iとマークされたものは中レベルの廃棄物を含む。一般に、異なる廃棄物レベルを含む貯蔵構造では、より低いレベルの廃棄物が、図6に示される例示的な実施形態のような、より高いレベルの廃棄物のための遮蔽材として使用され得る。より高いレベルの廃棄物に対する追加の遮蔽材として低レベルの廃棄物を使用することができない場合、異なる種類、厚さ及び/又は層の遮蔽材が、より低いレベルの廃棄物に対するよりも、より高いレベルの廃棄物に対して必要とされる。図示の実施形態では、全て同じ遮蔽材が使用されているが、高レベルの廃棄物では遮蔽材は2倍とされている。これは、異なる数及び厚さのシールドパネル100を受け入れることができる調節可能なシールド取付具を有することが有用である場合の例である。
【0049】
[86]図19A図19Cは、一つのグループとして示されている。図19Aは、変更が加えられたシールドパネル100f(図19C)を固定するためにトグルクランプ機構300を利用するシールド取付具150aの実施形態を示す斜視図である。トグルクランプ300は、シールド取付具150aの基部に取り付けられ、シールド取付具パネル150aをクランプ機構300によってシールドパネル100f及びICV(商標)容器400の上部に固定し、シールドが下方に滑り落ちることを防止する。図19Bは、シールド取付具150aの側面図を示している。図19Cは、変更が加えられたシールドパネル100fと共に使用されているシールド取付具150aを示している。一実施形態では、クランプ機構300に使用されるサイズ及び材料は、シールドパネルのサイズ及び構成に基づいて変更することができる。5000ポンドのシールドパネルの場合、100ポンドのシールドパネルよりも、クランプ機構300は丈夫で大きな材料を必要とすることは明らかである。
【0050】
[87]図20は、様々な厚さのシールドパネルを固定するために、トグルクランプシステム300の使用を組み込んだ調節可能なシールド取付具500aの実施形態を示している。図示された実施形態は、様々な厚さのシールドパネルを受け入れるために、シールド取付ペグ530及び容器取付ペグ520を含んでいる。
【0051】
[88]図21Aは、側部シールド100f(図21C)を上部シールド200a(図21B)で固定するシールド取付具700の実施形態を示している。シールド取付具700は、クランプ力及び摩擦により上部シールド200a(図21B)を適所に固定するために用いられ得るエッジグリッパ720を備える。図示の実施形態では、エッジグリッパ720は、シールド取付具700の端部に固定されている。幾つかの実施形態では、エッジグリッパ720をシールド取付具700に一体化することができる。幾つかの実施形態では、シールド取付具は、上部シールド200に一体化することができる。図21Bは、シールド取付具700の実施形態と結合する上部シールド200aの実施形態を示している。図21Cは、シールド取付具700及びシールドパネル100fで使用されている上部シールド200aの実施形態を示している。幾つかの実施形態では、上部シールド200aは、容器の蓋体を正に覆うようなサイズとされている。
【例示的実施形態】
【0052】
[89]例示的な実施形態では、1個以上の貯蔵容器がある。2個以上の容器がある場合、それらの容器を互いに近接して配置して、全体的な貯蔵のための面積を減らすとよい。これは、概して述べるならば、貯蔵容器の一つ以上の面が、貯蔵構造において他の貯蔵容器の一つ以上の面と接触しているか、又は非常に近いということを意味する。幾つかの実施形態では、貯蔵構造の内面上には遮蔽材は必要とされない。貯蔵構造における貯蔵容器の露出面(外部又は最外面)は、遮蔽材を必要とすることがある。貯蔵構造を遮蔽するために、一つ以上のモジュ-ル式シールドパネルを露出面に適用してもよい。
【0053】
[90]図22A図22Cは、再構成中及び再構成後の貯蔵構造を示す。図22Aは、8個の貯蔵容器400を含む貯蔵構造を示している。図示の実施形態では、見えている貯蔵容器400は、貯蔵構造から取り外されようとしているところのものである。見えている貯蔵容器400を取り外す準備として、上部シールドパネル8(図22C)が取り外され、次いでシールドパネル6,7が取り外されている工程にあるところが示されている。図22Bは、シールドパネル6,7,8(図22C)及び貯蔵容器400(図22A)が取り外され面36,37,38が露出しているときの、図22Aの貯蔵構造を示している。図22Cは、シールドパネル6,7,8が貯蔵容器の露出面36,37,38に取り付けられた後における、図22Bの貯蔵構造を示している。
[例示的実施形態]
【0054】
[91]以下の実施形態に関連する図、図の要素及び記載された開示内容は、上記において詳細に説明されている。RSPシステムは、一つ以上の貯蔵容器に対してモジュール式の再構成可能な遮蔽を可能にする。例示的な実施形態では、核廃棄物を含む複数の遮蔽されていない貯蔵容器がある。産業界では、核廃棄物を貯蔵する容器は、通常、構造物の一部として(すなわち取外し不可能である)、放射線量を所定の安全限界以下に保つために、そこに含まれる特定の廃棄物レベルのための所要の遮蔽材を備える。この例示的な実施形態では、核廃棄物貯蔵容器は遮蔽されていない。すなわち、特定の廃棄物レベルに必要な遮蔽材がその構造の一部として含まれていないため、核廃棄物のあらゆるレベルを貯蔵するために使用することができる。これらの遮蔽されていない核廃棄物貯蔵容器はモジュール式であり再構成可能である。これは、任意の廃棄物レベルを含むことができ、所与の貯蔵施設に対する所定の線量条件に基づいて必要に応じて適切な遮蔽材を付加することができるからである。
【0055】
[92]例示的な実施形態では、遮蔽されていない各核廃棄物貯蔵容器は、1枚以上のモジュール式シールドパネルをその容器に取り付けるための少なくとも一つの取付点を備える。各モジュール式シールドパネルは、遮蔽されていない核廃棄物貯蔵容器に取り付けるための少なくとも一つの取付点を含む。必要とされるシールドパネルの数、及び、シールドパネルと容器上のシールド取付具の数に応じて、一つ以上のシールド取付具を使用して、シールドパネル及び容器の取付点に結合してシールドパネルを容器に取り付ける。幾つかの実施形態では、一つ以上のシールド取付具は、様々な厚さのシールドパネルを受け入れるよう調節可能であるとよい。
【0056】
[93]例示的な実施形態では、複数の核廃棄物貯蔵容器を一緒に貯蔵することができる。一緒に貯蔵される場合、他の貯蔵容器に隣接する側面は遮蔽材を必要としないが、その中に含まれる廃棄物レベル及び特定の貯蔵施設の所定の線量の条件に応じて、貯蔵容器は遮蔽材を必要とすることがある。他の容器に隣接して配置される容器の側面は、その面が隣接する容器によって遮蔽されるため、追加の遮蔽材を必要としない。
【0057】
[94]例示的な実施形態を続けると、貯蔵容器が貯蔵構造に置かれ、特定の廃棄物レベル及び/又は貯蔵施設の条件に従って容器の外側に面するすべての側面が遮蔽される場合、貯蔵構造は完全に遮蔽されているとみなされる。別の遮蔽されていない貯蔵容器を貯蔵構造に付加する必要がある場合、既存の構造のレイアウトに応じて、構造内の1個以上の貯蔵容器から1枚以上のシールドパネルを取り外し、その結果、一つ以上の部分的に遮蔽された貯蔵容器とする。別の遮蔽されていない貯蔵容器は、次に、構造内の一つ以上の部分的に遮蔽された貯蔵容器に隣接する構造内に配置され得る。前に取り外された1枚以上のシールドパネルのうちの1枚以上が、新たに付加された貯蔵容器の外面に設置されてもよい。面がまだ露出している(遮蔽されていない)場合、完全に遮蔽された貯蔵構造とするために、必要に応じて別のシールドパネルを設置するとよい。
【0058】
[95]開示されたシールドパネル、シールド取付具、及び遮蔽構造のいずれか一つ以上の態様を組み合わせて、本書に明示的に開示されていない他の実施形態を形成してもよいことは明らかである。さらに、シールド取付具は、他の形状をとり、図示のものとは異なる締結具を用いることができる。
【0059】
[96]簡単にする目的で、動作は、様々な相互接続された機能ブロック又は別個のソフトウェアモジュールとして説明される。しかしながら、これは必ずしも必要ではなく、これらの機能ブロック又はモジュールが等価的に単一の論理デバイス、プログラム又は不明瞭な境界部の動作に集約される場合がある。いずれにしても、機能ブロック及びソフトウェアモジュール又は記載された機能は、それ自体で、又はハードウェア若しくはソフトウェアのいずれかの他の動作と組み合わせて実装することができる。
【0060】
[97]本書に開示されたシステム、方法、プロセス及び/又は装置の原理をその好ましい実施形態で説明し例示したが、システム、方法、プロセス及び/又は装置は、そのような原理から逸脱することなく、構成や詳細部を変形できることは明らかであろう。添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に入るすべての修正及び変形を請求するものである。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図19C
図20
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C