(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】セラミックヒータ付きヘアーアイロン
(51)【国際特許分類】
A45D 1/02 20060101AFI20240416BHJP
A45D 1/04 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A45D1/02 C
A45D1/04
(21)【出願番号】P 2021544773
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2020016926
(87)【国際公開番号】W WO2020163555
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-26
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591194034
【氏名又は名称】レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】LEXMARK INTERNATIONAL,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バイヤーレ, ピーター アルデン
(72)【発明者】
【氏名】ルカス, ラッセル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ジェリー ウェイン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/054080(WO,A2)
【文献】欧州特許第2696720(EP,B1)
【文献】特表平11-504159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0224786(US,A1)
【文献】特開2006-169534(JP,A)
【文献】特表2003-535729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0127686(US,A1)
【文献】米国特許第05581876(US,A)
【文献】米国特許第09848683(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00- 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開位置と閉位置との間で互いに相対的に移動可能な第1アーム
(104)および第2アーム
(106)と、使用中に毛髪を接触させるための接触表面
(118)とを備える、ヘアーアイロンであって、
前記第1アームの遠位セグメント
(108)は、開位置において前記第2アームの遠位セグメント
(110)から離間し、前記第1アームの遠位セグメントは、閉位置において前記第2アームの遠位セグメントに近接して位置し、
前記接触表面は、前記第1アームの前記遠位セグメントの外部に位置し、
前記第1アームが、セラミック基板
(160)と、前記セラミック基板の外側面上の電気抵抗性トレース
(164)とを有するヒータ
(130)を含み、前記ヒータは、前記電気抵抗性トレースに電流を印加することによって発生される熱を前記接触表面に供給するように位置
し、
前記閉位置で前記第2アームに面する前記ヒータの外面(150)を覆うスリーブ(134)を更に備え、前記スリーブの一部分が前記接触表面を形成し、
前記スリーブは、熱伝導性で電気絶縁性の材料の薄膜で構成され、
前記スリーブは、充填されたポリイミドまたは未充填のポリイミドの少なくとも1つから構成される、ヘアーアイロン。
【請求項2】
前記電気抵抗性トレースは、前記セラミック基板の焼成後に前記セラミック基板の外側面に印刷された電気抵抗材料厚膜を含む、請求項1に記載のヘアーアイロン。
【請求項3】
前記電気抵抗性トレースは、前記閉位置において前記第2アームとは反対側に面する前記セラミック基板の内面
(163)上に位置する、請求項1に記載のヘアーアイロン。
【請求項4】
前記ヒータは、前記電気抵抗性トレースを電気的に絶縁するために、前記電気抵抗性トレースを覆う一つ又は複数のガラス層
(180)を前記セラミック基板の外側面上に含む、請求項1に記載のヘアーアイロン。
【請求項5】
前記ヒータは、サーミスタ
(172)を含み、前記サーミスタは、前記セラミック基板上に位置し、前記ヒータの温度に関するフィードバックを前記ヒータの制御回路
(122)に提供するために前記ヒータの前記制御回路と電気通信する、請求項1に記載のヘアーアイロン。
【請求項6】
前記サーミスタは、前記閉位置において前記第2アームとは反対側を向く前記セラミック基板の内面に位置する、請求項5に記載のヘアーアイロン。
【請求項7】
前記電気抵抗性トレースは、前記セラミック基板の前記内面に位置する、請求項6に記載のヘアーアイロン。
【請求項8】
前記ヒータは、前記アーム上に位置するヒータハウジング
(142)に装着され、前記ヒータハウジングは、少なくとも200℃の最高使用温度を有するプラスチック材料で構成される、請求項1に記載のヘアーアイロン。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
[0001][1.開示の分野]
【0002】
[0002]本開示は、セラミックヒータを有するヘアーアイロンに関する。
【0003】
[0003][2.関連技術の説明]
【0004】
[0004]フラットアイアン、ストレートアイロン、カーリングアイロン、クリンピングアイロン等のような多くの従来のヘアーアイロンは、ヒートラグに悩まされ、その結果、使用のためにヘアーアイロンを加熱し、使用後にヘアーアイロンを冷却するのに不都合な時間が生じる。使用前に、ユーザは、デバイスが有効温度に加熱されるのを待たなければならない。使用後、ユーザは、デバイスが安全な温度まで冷却されるのを待ってからデバイスを保管しなければならない場合がある。比較的長いウォームアップ時間およびクールダウン時間のために、ユーザは、加熱および冷却中にカウンタートップなどにヘアーアイロンをセットすることが多い。これは、ユーザおよび他の人、特に子供に対して、誤って高温デバイスに接触したり、デバイスの電源が入っていることや、まだ冷却されていないことを認識しなかったりする安全リスクを生じさせる。ヘアーアイロンの電源を誤って入れたままにしておくと、さらなる安全上のリスクが生じる。
【0005】
[0005]従来技術のヘアーアイロンは、ワイヤヒータとセラミックヒータの2つの主なクラスに分けられる。両方のクラスのヘアーアイロンは、抵抗要素(ワイヤ抵抗器またはセラミック基板の層の間に位置する抵抗器のいずれか)に電流を流すことによって熱を発生する。両方のクラスのヘアーアイロンは、必然的に、長いウォームアップ時間およびクールダウン時間をもたらすかなりの熱量を含む。たとえば、一部のワイヤヒータは、(電気絶縁のために)セラミックセメントでポットされ、鋳造アルミニウム内に配置されたニクロムワイヤを含む。他のワイヤヒータは、巻線の内側及び外側を取り囲む電気絶縁材料で巻かれたニクロムワイヤと、使用中にユーザの毛髪に接触する接触表面を形成する鋼又はアルミニウム管(又は他の成形金属片)内に位置する絶縁巻線とを含む。これらのタイプの両方のワイヤヒータアセンブリは、電気絶縁材料および比較的大きな金属部品によって提供される高い熱質量のために、長いウォームアップ時間およびクールダウン時間に悩まされる。
【0006】
[0006]従来のセラミックヒータは、典型的には、「グリーン状態」(未焼成)セラミック基板上に印刷された電気抵抗及び導電トレースを含む。印刷後、基板の複数のシートが、内部に(すなわち、セラミック基板層間に)位置する印刷された抵抗性および導電性トレースと一緒にされ、組み合わされた材料が焼成されて、セラミックヒータが形成される。セラミック基板は、焼成中に著しく収縮し(10-15%程度)、その結果、抵抗性および導電性トレースの不均一なパターンが生じる。次いで、セラミックヒータは、使用中にユーザの毛髪に接触する接触表面を形成する一つ又は複数の被覆金属片に嵌合される。抵抗性トレースおよび導電性トレースを取り囲むセラミック基板と追加の金属片とが組み合わさって比較的高い熱質量を提供し、その結果、長いウォームアップ時間およびクールダウン時間を提供する。
【0007】
[0007]そこで、熱効率を向上させたヒータを備えたヘアーアイロンが望まれている。
【0008】
【概要】
【0009】
[0008]一実施形態によるヘアーアイロンは、開位置と閉位置との間で互いに相対的に移動可能な第1アームと第2アームとを含む。第1アームの遠位セグメントは、開位置において第2アームの遠位セグメントから離間される。第1アームの遠位セグメントは、閉位置にある第2アームの遠位セグメントに近接して位置する。接触表面は、使用中に毛髪に接触するために、第1アームの外部、例えば遠位セグメントの外部に位置する。第1アームは、セラミック基板と、セラミック基板上、例えばセラミック基板の外面上の電気抵抗性トレースとを有するヒータを含む。電気抵抗性トレースは、電気抵抗材料から構成される。一部の実施態様において、電気抵抗性トレースは、セラミック基板の焼成後にセラミック基板の外面に印刷された電気抵抗材料厚膜を含む。ヒータは、接触表面に電気抵抗性トレースに電流を印加することによって発生される熱を供給するように位置する。
【0010】
[0009]一部の実施態様において、電気抵抗性トレースは、閉位置で第2アームから離れて面するセラミック基板の内面上に位置する。
【0011】
[0010]実施形態は、ヒータが、電気抵抗性トレースを電気的に絶縁するために電気抵抗トレースを覆う一つ又は複数のガラス層をセラミック基板の外面に含むものを含む。
【0012】
[0011]実施形態は、ヒータが、セラミック基板上に位置し、ヒータの温度に関するフィードバックをヒータの制御回路に提供するためにヒータの制御回路と電気通信するサーミスタを含むものを含む。一部の実施態様において、サーミスタは、閉位置で第2アームから離れて面するセラミック基板の内面上に位置する。
【0013】
[0012]一部の実施形態は、閉位置で第2アームに面するヒータの外面を覆うスリーブを含む。スリーブの一部分は、接触表面を形成する。一部の実施態様において、スリーブは、熱伝導性及び電気絶縁性材料の薄膜で構成される。一部の実施態様において、スリーブは、充填ポリイミド又は未充填ポリイミドの少なくとも1つから構成される。
【0014】
[0013]実施形態は、ヒータがアーム上に位置するヒータハウジングに装着されたものを含む。ヒータハウジングは、少なくとも200℃の最高使用温度を有するプラスチック材料で構成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[0014]明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の一部の態様を図示し、説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】
図1は、例示的な一実施形態による、開位置にアームを有するヘアーアイロンの斜視図である。
【
図2】
図2は、アームを閉じた状態にした
図1に示すヘアーアイロンの斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態によるヘアーアイロンのヒータアセンブリの分解斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3に示すヒータアセンブリのヒータの内面の平面図である。および外面の平面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態によるヘアーアイロンのヒータアセンブリの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すヒータアセンブリのヒータの内面の平面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係るヒータの外面の平面図である。
【詳細な説明】
【0016】
[0023]以下の説明では、添付の図面を参照し、同様の参照番号は同様の要素を表す。実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に記載される。他の実施形態を利用することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、プロセス、電気的、および機械的な変更などを行うことができることを理解されたい。実施例は、単に可能性のある変形例の典型である。一部の実施形態の部分および特徴は、他の実施形態の部分および特徴に含まれてもよく、または他の実施形態の部分および特徴に置き換えられてもよい。したがって、以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義される。
【0017】
[0024]次に、図面、特に
図1および
図2を参照すると、ヘアーアイロン100が例示的な一実施形態に従って示されている。ヘアーアイロン100は、フラットアイロン、ストレートアイロン、カールアイロン、クリンピングアイロン、又はユーザの毛髪の構造又は外観を変えるためにユーザの毛髪に熱及び圧力を加える他の同様のデバイスのような器具を含むことができる。ヘアーアイロン100は、ヘアーアイロン100の全体的な支持構造を形成するハウジング102を含む。たとえば、断熱性および電気絶縁性であり、比較的高い耐熱性および寸法安定性ならびに低い熱質量を有するプラスチックからハウジング102を構成することができる。プラスチックの実施例には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)プラスチック、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)プラスチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)プラスチックが含まれ、それぞれのガラス充填バージョンが含まれる。ヘアーアイロン100の全体的な支持構造を形成することに加えて、ハウジング102は、ヘアーアイロン100の動作中にユーザが接触して保持する安全な表面を提供するために、電気絶縁および断熱をも提供する。
【0018】
[0025]ヘアーアイロン100は、
図1に示された開位置と
図2に示された閉位置との間に移動可能な一対のアーム104,106を含み、開位置は、アーム104、106の遠位セグメント108、110が互いに離間し、閉位置は、アーム104、106の遠位セグメント108、110が互いに接触しているか、または互いに(例えば、接触していることを含めて数ミリメートル以内に)近接している。たとえば、図示の実施形態では、アーム104、106は、開位置と閉位置との間で旋回軸112を中心に互いに対して旋回可能である。ヘアーアイロン100は、一つ又は複数のバネなどの付勢部材(図示せず)を含んでもよく、付勢部材が、アーム104、106の一方または両方を開位置に向けて付勢し、アーム104、106を共に閉位置にするように、アーム104、106に加えられるバイアスを克服するためにユーザの作動が必要とされる。
【0019】
[0026]ヘアーアイロン100は、アーム104、106の一方または両方の内側114、116に位置するヒータを含む。アーム104,106の内側114、116は、アーム104、106が
図2に示される閉位置にあるときに互いに対向するアーム104、106の部分を含む。図示された例示的な実施形態では、各アーム104、106は、アーム104、106上または内部に位置する、それぞれのヒータ130、132を含む。ヒータ130、132は、アーム104、106上のそれぞれの接触表面118、120に熱を供給する。各接触表面118、120は、対応するアーム104、106の遠位セグメント108、110の内側114、116に位置する。接触表面118、120は、各ヒータ130、132の表面によって直接形成されてもよいし、シールドまたはスリーブなどの各ヒータ130、132を覆う材料によって形成されてもよい。接触表面118、120は、ユーザがアーム104、106と位置決めアーム104、106との間にユーザの毛髪の一部を位置決めする際に、ユーザの毛髪に直接接触して熱を伝達するように位置する。接触表面118、120は、アーム104、106が閉位置にあるとき、ユーザの毛髪に接触するために利用可能な表面積を最大にするために、比較的平坦な向きで互いに対合するように位置する。
【0020】
[0027]ヘアーアイロン100は、(
図2に概略的に示す)各ヒータ130,132の抵抗器に電流を供給する回路を選択的に開閉することによって、各ヒータ130,132の温度を制御するように構成された制御回路122を含む。ヘアーアイロン100が2つのヒータ130,132を含む場合、制御回路122は、各ヒータ130、132を独立して制御するか、または両方のヒータ130、132を一緒に制御するように構成することができる。開ループまたは、好ましくは閉ループ制御を、所望に応じて利用することができる。制御回路122は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、および/または集積回路の他の形態を含むことができる。図示の実施形態では、ヘアーアイロン100は、ヘアーアイロン100を外部電圧源126に接続するための電源コード124を含む。他の実施形態では、ヘアーアイロン100は、所望に応じて内部バッテリを含むことができる。
【0021】
[0028]
図3は、アーム104上で使用するためのヒータ130およびスリーブ134を含む実施例のヒータアセンブリ140を示す。ヒータ132及び対応するスリーブを含む実質的に同一のヒータアセンブリをアーム106に使用することができる。ヒータアセンブリ140は、ヒータ130、スリーブ134、およびヒータハウジング142を含む。ヒータ130は、ヒータ130を物理的に支持するヒータハウジング142で、ヒータハウジング142に装着される。次に、ヒータハウジング142は、アーム104内部のハウジング102の一部分に装着される。図示の実施形態では、ヒータハウジング142は、第1ハウジング部分142aおよび第2ハウジング部分142bを含む。ヒータ130は、第1ハウジング部分142aに装着される。ネジなどの固定具(図示せず)は、第2ハウジング部分142bを第1ハウジング部分142aおよびハウジング102に装着する。ヒータハウジング142は、たとえば、断熱性で電気的に絶縁性であり、比較的高い耐熱性と寸法安定性と低い熱質量とを有するプラスチックから構成することができる。ヒータ130に近接しているため、ヒータハウジング142は、好ましくは、耐熱劣化に耐え、高温で十分な強度および剛性を維持することができるプラスチック(200℃以上の最高使用温度を有するプラスチックを含む)から構成される。プラスチックの実施例には、液晶ポリマー(LCP)プラスチック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)プラスチック、およびポリフェニレンスルフィド(PPS)プラスチックが含まれ、それぞれのガラス充填バージョンが含まれる。
【0022】
[0029]ヒータ130は、
図3に示されるように、ヒータハウジング142から露出され、かつ、ヒータハウジング106から離れた面である外面150を含む。ヒータ130は、たとえば、
図3に示すように、第1ハウジング部分142aと第2ハウジング部分142bとの間で、ヒータハウジング142の内部部分に近接して位置する内面151を含む。アーム104、106が閉位置にあるとき、外面150は反対側のアーム106の方を向き、内面151は反対側のアーム106から離れる方を向いている。上述のように、一部の実施態様において、ヒータ130の外面150は、接触表面118を形成する。
図3に示す例示的実施形態のような他の実施形態では、スリーブ134は、ヒータ130の外面150に対して位置決めされ、接触表面118を形成する。図示された実施形態では、スリーブ134は、ヒータハウジング142の周囲を包み込み、ヒータ130の外面150を覆う。スリーブ134は、使用中にヒータ130の外面150からユーザの毛髪に熱を伝達するために、ヒータ130の外面150と接触するか、またはそれに近接して位置する。スリーブ134は、薄膜(例えば、0.1mm未満の厚さ)材料から構成される。一実施形態では、スリーブ134は、窒化ホウ素充填ポリイミドなどの熱伝導性および電気絶縁性材料から構成される。スリーブ134の熱伝導率および相対的な薄さは、比較的低い熱質量をもたらし、これは、スリーブ134を加熱および冷却するのに必要な時間量を低減する。他の実施形態では、例えば、熱伝導率の低下が許容される場合、スリーブ134は、未充填ポリイミドから構成されてもよい。他の実施形態では、例えば、導電性が許容可能である場合、スリーブ134は、グラファイト充填ポリイミドから構成することができる。スリーブ134は、ヒータ130を損傷から保護するのに役立ち、また使用中に比較的低い摩擦接触表面118を提供する。
【0023】
[0030]
図4Aおよび
図4Bは、ヒータハウジング142から取り外されたヒータ130を示す。
図4Aは、ヒータ130の内面151を示し、
図4Bは、ヒータ130の外面150を示す。ヒータ132は、ヒータ130と実質的に同一であってもよい。図示の実施形態では、外面150及び内面151は、それぞれが外面150及び内面151よりも小さい表面積を有する4つの側面または縁152、153、154、155によって縁取られている。この実施形態では、ヒータ130は、縁152から縁153まで延びる縦方向寸法156と、縁154から縁155まで延びる横方向寸法157とを含む。また、ヒータ130は、外面150から内面151まで測定された全体の厚さ158(
図5)を含む。
【0024】
[0031]ヒータ130は、酸化アルミニウム(例えば、市販の96%酸化アルミニウムセラミック)などのセラミック基板160の一つ又は複数の層を含む。ヒータ130がセラミック基板160の単一層を含む場合、セラミック基板160の厚さは、1.0mmのように、たとえば、0.5mm~1.5mmの範囲でもよい。ヒータ130がセラミック基板160の複数の層を含む場合、各層は、0.635mmのように、たとえば、0.5mm~1.0mmの範囲の厚さを有することができる。一部の実施態様において、縦方向寸法156に沿ったセラミック基板の長さは、たとえば、80mm~120mmの範囲とすることができる。一部の実施態様において、横方向寸法157に沿ったセラミック基板160の幅は、17mm又は22.2mmのように、たとえば、15mm~24mmの範囲とすることができる。セラミック基板160は、ヒータ130の外面150に向けられた外面162と、ヒータ130の内面151に向けられた内面163とを含む。セラミック基板160の複数の層が使用される場合に、外面162及び内面163がセラミック基板160の内側又は中間層ではなく、セラミック基板160の対向する外面上に位置するように、セラミック基板160の外面162及び内面163は、セラミック基板160の外側部分に位置する。
【0025】
[0032]図示された例示的な実施形態では、ヒータ130の外面150は、
図4Bに示されるように、セラミック基板160の外面162によって形成される。この実施形態では、セラミック基板160の内面163は、その上に位置する一連の一つ又は複数の電気抵抗性トレース164及び導電性トレース166を含む。抵抗性トレース164は、たとえば、銀パラジウム(例えば、混合70/30銀パラジウム)などの適切な電気抵抗材料を含む。導電性トレース166は、たとえば、銀白金のような適切な導電材料を含む。図示の実施形態では、抵抗性トレース164及び導電性トレース166は、厚膜印刷によってセラミック基板160に加えられる。たとえば、抵抗性トレース164は、セラミック基板160に加えられたときに10-13ミクロンの厚みを有する抵抗ペーストを含むことができ、導電性トレース166は、セラミック基板160に加えられたときに9-15ミクロンの厚みを有する導電ペーストを含むことができる。抵抗性トレース164は、ヒータ130の加熱要素を形成し、導電性トレース166は、抵抗性トレース164との間の電気接続を提供して、電流を各抵抗性トレース164に供給して熱を発生させる。
【0026】
[0033]図示された例示的な実施形態では、ヒータ130は、ヒータ130の縦方向寸法156に沿って互いに実質的に平行に(かつ縁154,155に実質的に平行に)延びる一対の抵抗性トレース164a、164bを含む。また、ヒータ130は、それぞれがヒータ130のそれぞれの端子168a、168bを形成する一対の導電性トレース166a、166bを含む。ケーブルまたはワイヤ170a、170bは、端子168a、168bに接続されて、抵抗性トレース164および導電性トレース166を、たとえば、制御回路122および電圧源126に電気的に接続し、抵抗性トレース164および導電性トレース166によって形成される回路を選択的に閉じて熱を発生させる。導電性トレース166aは抵抗性トレース164aに直接接触し、導電性トレース166bは抵抗性トレース164bに直接接触する。導電性トレース166a、166bは、図示された例示的な実施形態において、両方とも縁152に隣接して位置するが、導電性トレース166a、166bは、所望に応じて、セラミック基板160上の他の適切な位置に位置してもよい。この実施形態では、ヒータ130は、抵抗性トレース164aを抵抗性トレース164bに電気的に接続する第3導電性トレース166cを含む。
図4Aの導電性トレース166a、166b、166cの下に隠れている抵抗性トレース164a、164bの部分は、点線で示されている。この実施形態では、導電性トレース164aを介して、たとえば端子168aaのヒータ130に入力された電流は、抵抗性トレース166a、導電性トレース164c、抵抗性トレース166b、および導電性トレース164bの順に通過し、端子168bのヒータ130から出力される。端子168bにおけるヒータ130への電流入力は、同じ経路に沿って逆方向に進む。
【0027】
[0034]一部の実施形態では、ヒータ130は、ヒータ130の温度に関するフィードバックを制御回路122に提供するために、ヒータ130の表面に近接して位置するサーミスタ172を含む。一部の実施態様において、サーミスタ172は、セラミック基板160の内面163に位置する。図示された実施形態の例では、サーミスタ172は、セラミック基板160の内面163に直接溶接される。この実施形態において、ヒータ130は一対の導電性トレース174a、174bを含み、一対の導電性トレース174a、174bは、各々が、サーミスタ172のそれぞれの端子に電気的に接続され、各々が、それぞれの端子176a、176bを形成する。ヒータ130の閉ループ制御を提供するために、サーミスタ172を、たとえば、制御回路122に電気的に接続するために、ケーブルまたはワイヤ178a、178bが端子176a、176bに接続される。図示の実施形態において、サーミスタ172は、セラミック基板160の内面163の中央の場所、抵抗トレース164a、164bの間、および縁152から縁153までの中間に位置する。この実施形態では、導電性トレース174a、174bは、抵抗性トレース164a、164bの間にも位置し、導電性トレース174aは、サーミスタ172から縁152に向かって位置し、導電性トレース174bは、サーミスタ172から縁153に向かって位置する。しかしながら、サーミスタ172およびその対応する導電性トレース174a、174bは、抵抗性トレース164および導電性トレース166の位置決めを妨げない限り、セラミック基板160上の他の適切な場所に位置してもよい。
【0028】
[0035]
図5は、
図4Aの5-5線に沿ったヒータ130の横断面図である。
図4A、
図4Bおよび
図5を参照すると、図示の実施形態では、ヒータ130は、セラミック基板160の内面163上に印刷されたガラス180の一つ又は複数の層を含む。図示された実施形態では、ガラス180は、抵抗性トレース164a、164b、導電性トレース166c、および導電性トレース166a、166bの一部分を覆って、このような特徴を電気的に絶縁して、電気ショックまたはアーク放電を防止する。ガラス層180の境界は、
図4Aに破線で示される。この実施形態では、ガラス180は、サーミスタ172または導電性トレース174a、174bを覆っていない。なぜなら、このような特徴部に印加される比較的低い電圧は、電気ショックまたはアーク放電のリスクが低いからである。ガラス180の全体の厚みは、例えば、70-80ミクロンの範囲でもよい。
図5は、ガラス180がヒータ130の内面151の大部分を形成するように、抵抗トレース164a、164b及びセラミック基板160の隣接部分を覆うガラス180を示す。セラミック基板160の外面162は、上述のようにヒータ130の外面150を形成するように示されている。ガラス180の一部分によって
図5から隠されている導電性トレース166cは、点線で示されている。
図5は、セラミック基板160の単一層を示す。しかしながら、セラミック基板160は、
図5の破線182によって示されるように、複数の層を含んでもよい。
【0029】
[0036]ヒータ130は、厚膜印刷によって構成することができる。たとえば、一実施形態において、抵抗トレース164は、焼成された(グリーン状態ではない)セラミック基板60上に印刷され、このセラミック基板は、スキージ(squeegee)などを用いて、パターン化されたメッシュスクリーンを介して、抵抗材料を含むペーストをセラミック基板160に選択的に加えることを含む。次に、印刷された抵抗器を室温でセラミック基板160上に定着させる。次に、抵抗ペーストを乾燥させ、抵抗トレース164を所定の位置に一時的に固定するために、印刷された抵抗を有するセラミック基板160を、たとえば、約140-160℃で、ピーク温度での約10-15分およびピーク温度から上下に傾斜する残りの時間を含めて、合計約300分間加熱する。次いで、一時的な抵抗性トレース164を有するセラミック基板160は、抵抗性トレース164を所定の位置に永久的に固定するために、たとえば、約850℃で、ピーク温度で約10分間、およびピーク温度から上昇および下降する残りの時間を含む合計約1時間加熱される。次いで、導電性トレース166および174a、174bがセラミック基板160上に印刷され、このセラミック基板は、抵抗器材料と同様の方法で導体材料を含むペーストを選択的に加えることを含む。次いで、導電性トレース166および174a、174bを所定の位置に永久的に固定するために、抵抗性トレース164に関して上述したのと同じ方法で、印刷された抵抗器および導体を有するセラミック基板160を沈降させ、乾燥させ、焼成する。次いで、ガラス層180は、抵抗体および導体と実質的に同じ方法で印刷され、ガラス層180を安定させ、ガラス層180を乾燥および焼成することを含む。一実施形態において、ガラス層180は、約810℃のピーク温度で焼成され、これは、抵抗器および導体よりわずかに低い。次に、サーミスタ172は、サーミスタ172の端子が導電性トレース174a、174bに直接溶接された状態で、仕上げ作業においてセラミック基板160に装着される。
【0030】
[0037]焼成セラミック基板160上の厚膜印刷抵抗性トレース164及び導電性トレース166は、グリーン状態のセラミック上に印刷された抵抗性及び導電性トレースを含む従来のセラミックヒータと比較して、より均一な抵抗性及び導電性トレースを提供する。抵抗性トレース164および導電性トレース166の改善された均一性は、接触表面118全体にわたってより均一な加熱、ならびにヒータ130のより予測可能な加熱を提供する。
【0031】
[0038]好ましくは、ヒータ130は、コスト効率のためにアレイ状に製造される。ヒータ130は、全ての構成要素の焼成及び任意の適用可能な仕上げ作業を含む、全てのヒータ130の構成が完了した後、個々のヒータ130に分離される。一部の実施態様において、個々のヒータ130は、ファイバレーザスクライビングによってアレイから分離される。ファイバレーザスクライビングは、従来の二酸化炭素レーザスクライビングと比較して、分離された縁に沿った微小クラックが少ない、より均一な個片化表面を提供する傾向がある。
【0032】
[0039]
図3-
図5に示される例示的な実施形態は、セラミック基板160の内面163上に位置する抵抗性トレース164およびサーミスタ172を含むが、他の実施形態では、抵抗性トレース164および/またはサーミスタ172は、セラミック基板160の外面162上に、電気接続を確立するために必要に応じて対応する導電トレースに沿って位置してもよい。ガラス180は、このような特徴を電気的に絶縁するために、必要に応じて、セラミック基板160の外面162および/または内面163上の抵抗性トレースおよび導電性トレースを覆うことができる。
【0033】
[0040]
図6および
図7は、別の例示的な実施形態によるヘアーアイロン100と共に使用するのに適したヒータアセンブリ1140を示す。
図6を参照すると、ヒータアセンブリ1140は、上述のヒータ130およびヒータハウジング142と同様に、ヒータハウジング1142に装着されたヒータ1130を含む。ヒータ1130は、ヒータハウジング1142から露出され且つヒータハウジング1142から離れた面である外面1150と、上述のようにヒータハウジングの内部部分に近接して位置する内面151とを含む。また、ヒータアセンブリ1140は、ヒータ1130を覆う、上述のスリーブ134と同様のスリーブ1134を含む。
【0034】
[0041]ヒータ1130は、上述のように、セラミック基板1160の一つ又は複数の層を含む。セラミック基板1160は、ヒータ1130の外面1150に向けられた外面1162と、ヒータ1130の内面1151に向けられた内面1163とを含む。
図3-
図5に示される実施形態とは対照的に、
図6および
図7に示される例示的な実施形態では、電気抵抗性トレース1164および導電性トレース1166は、内面1163ではなく、セラミック基板1160の外面1162上に位置する。抵抗性トレース1164および導電性トレース1166は、上述のように厚膜印刷によって加えることができる。
【0035】
[0042]
図6に示すように、例示の実施形態では、ヒータ1130は、セラミック基板1160の外面1162上に一対の抵抗性トレース1164a、1164bを含む。抵抗性トレース1164a、1164bは、ヒータ1130の縦方向寸法1156に沿って互いに実質的に平行に延びるまた、ヒータ1130は、セラミック基板1160の外面1162に位置する3つの導電性トレース1166a、1166b、1166cを含む。導電性トレース1166aは抵抗性トレース1164aに直接接触し、導電性トレース1166bは抵抗性トレース1164bに直接接触する。導電性トレース1166a、1166bは両方とも、図示の例示的な実施形態では、セラミック基板1160の共通縁に隣接して位置する。導電性トレース1166cは、(導電性トレース1166a、1166bに対して)セラミック基板1160の反対側の縁に隣接して位置し、抵抗性トレース1164aを抵抗性トレース1164bに電気的に接続する。
図6の導電性トレース1166a、1166b、1166cの下に隠れている抵抗性トレース1164a、1164bの部分は、点線で示されている。
【0036】
[0043]図示の実施形態では、ヒータ1130は、セラミック基板1160を貫通して外面1162から内面1163に延びる導電性材料で実質的に充填されたスルーホールとして形成された一対のビア1190a、1190bを含む。ビア1190a、1190bは、後述するように、セラミック基板1160の内面1163上の対応する導電性トレースに導電性トレース1166a、1166bを電気的に接続する。
【0037】
[0044]図示の実施形態では、ヒータ1130は、セラミック基板1160の外面1162上に印刷ガラス1180の一つ又は複数の層を含む。図示の実施形態では、ガラス1180は、抵抗性トレース1164a、1164bと導電性トレース1166a、1116b、1116cを覆って、これらの特徴を電気的に絶縁する。ガラス層1180の境界は、
図6に破線で示される。
【0038】
[0045]
図7は、例示的な一実施形態による、ヒータ1130の内面1151を示す。この実施形態では、ヒータ1130は、セラミック基板1160の内面1163上に位置する一対の導電性トレース1192a、1192bを含み、各々がヒータ1130のそれぞれの端子1168a、1168bを形成する。セラミック基板1160の内面1163上の各導電性トレース1192a、1192bは、それぞれのバイア1190a、1190bによってセラミック基板1160の外面1162上のそれぞれの導電性トレース1166a、1166bに電気的に接続される。ケーブルまたはワイヤ1170a、1170bは、抵抗性トレース1164a、1164bに電流を供給して熱を発生させるために、端子1168a、1168bに接続(例えば、直接溶接)される。この実施形態では、たとえば、端子1168aにおいて導電性トレース1192aを介してヒータ1130に入力された電流は、順に、ビア1190a、導電性トレース1166a、抵抗性トレース1164a、導電性トレース1166c、抵抗性トレース1164b、導電性トレース1164b、ビア1190b、および導電性トレース1192bを通過し、そこで、端子1168bにおいてヒータ1130から出力される。端子1168bにおけるヒータ1130への電流入力は、同じ経路に沿って逆方向に進む。
【0039】
[0046]図示された例示的な実施形態では、ヒータ1130は、回路122を制御するようにヒータ1130の温度に関するフィードバックを提供するために、セラミック基板1160の内面1163に近接して位置するサーミスタ1172を含む。この実施形態では、サーミスタ1172は、セラミック基板1160に直接付けられるのではなく、代わりに、装着クリップ(図示せず)または他の形態の固定具または付ける機構によって、セラミック基板1160の内面1163に対して保持される。ケーブルまたはワイヤ1178a、1178bは、サーミスタ1172を、たとえば制御回路122に電気的に接続するために、サーミスタ1172の各端子に接続(たとえば、直接溶接)される。もちろん、ヒータ130のサーミスタ1172は、代わりに、ヒータ1130のサーミスタ172に関して上述したように、セラミック基板1160に直接溶接されてもよい。同様に、ヒータ130のサーミスタ172は、セラミック基板160に直接溶接される代わりに、固定具によってセラミック基板160に対して保持されてもよい。
【0040】
[0047]図示された例示的な実施形態では、ヒータ1130は、セラミック基板1160の内面1163上に位置するバイメタルの熱遮断部などの熱遮断部1194も含む。ケーブルまたはワイヤ1196a、1196bは、熱遮断部1194への電気接続を提供するために、熱遮断部1194のそれぞれの端子に接続される。熱遮断部1194は、抵抗性トレース1164および導電性トレース1166によって形成される加熱回路と電気的に直列に接続され、熱遮断部1194は、熱遮断部1194によって所定量を超える温度が検出されたときに、抵抗性トレース1164および導電性トレース1166によって形成される加熱回路を開くことができる。このようにして、熱遮断部1194は、加熱器1130の過熱を防止することによって更なる安全性を提供する。もちろん、上述したヒータ130は、必要に応じて熱遮断部を含んでもよい。
【0041】
[0048]図示されていないが、セラミック基板1160の内面1163は、所望に応じてヒータ1130の内面1151の部分を電気的に絶縁するために、一つ又は複数のガラス層を含んでもよいことが理解されよう。
【0042】
[0049]
図8は、別の例示的な実施形態によるヘアーアイロン100と共に使用するのに適したヒータ2130を示す。
図8は、ヒータ2130の外面2150を示す。一実施形態では、ヒータ2130の内面は、
図7に示すヒータ1130の内面1151と実質的に同じである。ヒータ2130は、上述のように、セラミック基板2160の一つ又は複数の層を含む。
図8は、セラミック基板2160の外面2162を示す。
【0043】
[0050]例示の実施形態では、ヒータ2130は、セラミック基板2160の外面2162上に単一の抵抗性トレース2164を含む。抵抗性トレース2164は、ヒータ2130の縦方向寸法2156に沿って延びる。また、ヒータ2130は、セラミック基板2160の外面2162上に位置する一対の導電性トレース2166a、2166bを含む。各導電性トレース2166a、2166bは、抵抗性トレース2164のそれぞれの端部に直接接触する。導電性トレース2166aは、ヒータ2130の第1縦方向縁2152の近くの抵抗性トレース2164に接触する。導電性トレース2166bは、ヒータ2130の第2縦方向縁2153の近くの抵抗性トレース2164に接触し、抵抗性トレース2164との接触点から導電性トレース2166aの隣の位置まで延びる。
図8の導電性トレース2166a、2166bの下に隠れている抵抗性トレース2164の部分は、点線で示されている。
【0044】
[0051]図示の実施形態では、ヒータ2130は、一対のビア2190a、2190bを含み、一対のビア2190a、2190bは、ヒータ1130に関して上述したように、セラミック基板2160を貫通して延びる導電性材料で実質的に充填されたスルーホールとして形成される。ビア2190a、2190bは、導電性トレース2166a、2166bを、上述のように、セラミック基板2160の内面上の対応する導電性トレースに電気的に接続する。
【0045】
[0052]図示の実施形態では、ヒータ2130は、セラミック基板2160の外面2162上に印刷ガラス2180の一つ又は複数の層を含む。ガラス2180は、上述のように、これらの特徴を電気的に絶縁するために、抵抗性トレース2164および導電性トレース2166a、2166bを覆う。ガラス層2180の境界は、
図8に破線で示される。
【0046】
[0053]上述の例示的な実施形態は網羅的なものではなく、本開示のヒータは、所望に応じて、ヒータの外面および/または内面上の抵抗性トレースを含む、多くの異なる形状の抵抗性トレースおよび導電性トレースを含むことができることが理解されよう。他の構成要素(例えば、サーミスタ)は、所望に応じて、ヒータの外面または内面のいずれかに位置することができる。
【0047】
[0054]本開示は、従来のヘアーアイロンのヒータと比較して低い熱質量を有するセラミックヒータを提供する。特に、セラミック基板の外面(外部または内部)上の厚膜印刷抵抗性トレースは、セラミックの複数のシート間で内部に位置さする抵抗性トレースと比較して、熱質量を低減する。また、ポリイミドスリーブのような薄膜の熱伝導性スリーブの使用は、金属ホルダー、ガイド等と比較して熱質量を減少させる。本開示のセラミックヒータの低熱質量により、一部の実施形態では、ヒータは、従来のヘアーアイロンよりも著しく速く、数秒(例えば、5秒未満)で使用するのに有効な温度まで加熱することができる。また、本開示のセラミックヒータの低い熱質量は、一部の実施形態において、ヒータが、使用後に安全な温度まで数秒(例えば、5秒未満)で冷却することを可能にし、これもまた、従来のヘアーアイロンよりも著しく早い。
【0048】
[0055]さらに、本開示のヘアーアイロンの実施形態は、比較的均一な厚膜印刷抵抗性および導電性トレースと組み合わせたサーミスタによって提供される閉ループ温度制御のために、従来のヘアーアイロンよりも正確で均一な温度で動作する。セラミックヒータの低熱質量と改善された温度制御により、従来のヘアーアイロンと比較してより高いエネルギ効率が可能になる。また、本開示のセラミックヒータの迅速な暖機及び冷却時間は、ヘアーアイロンが高温であるが未使用である時間の量を減少させることによって、安全性を向上させる。改善された温度制御及び温度均一性は、過熱の発生を減少させることによって安全性を更に高める。また、改善された温度制御および温度均一性は、本開示のヘアーアイロンの性能を改善する。
【0049】
[0056]前述の説明は、本開示の様々な態様を示す。それは、網羅的なものではない。むしろ、当業者が本開示を利用することを可能にするために、本開示の原理およびその実際の適用を説明することが選択され、それには、当然に続く種々の改変が含まれる。全ての修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって決定される本開示の範囲内で意図される。比較的明らかな修正は、様々な実施形態の一つ又は複数の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせることを含む。