(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両の遠隔故障診断方法、車両の遠隔故障診断装置、車両及び車両の遠隔故障診断方法を実現するプログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240416BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240416BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01M17/007 J
G08G1/13
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2023115204
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210895558.5
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523267494
【氏名又は名称】ジェジアン ジーカー インテリジェント テクノロジー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523267508
【氏名又は名称】ヴィリディ イー-モビリティ テクノロジー (ニンボー) カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523267519
【氏名又は名称】ジェジアン ギーリー ホールディング グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャンビン ニウ
(72)【発明者】
【氏名】ジウェイ ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ スン
(72)【発明者】
【氏名】ジウェイ デン
(72)【発明者】
【氏名】チェン リン
(72)【発明者】
【氏名】ルイティアン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ヤチ ニウ
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-032431(JP,A)
【文献】特開2021-096149(JP,A)
【文献】特開2019-209964(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112445183(CN,A)
【文献】中国実用新案第211374073(CN,U)
【文献】中国実用新案第211425889(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の遠隔故障診断方法であって、
前記車両の遠隔故障診断方法は、車両に接続されたクラウドプラットフォームに適用され、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定するステップと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信するステップと、
前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成するステップと
を含む車両の遠隔故障診断方法。
【請求項2】
前記クラウドプラットフォームはさらに、前記車両のアフターサービスシステムに接続され、
前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する前記ステップの後に、前記遠隔故障診断方法は、
前記アフターサービスシステムが前記遠隔故障診断結果に基づいて前記車両のメンテナンスサービスを準備するために、前記遠隔故障診断結果を前記アフターサービスシステムにプッシュするステップをさらに含む
請求項1に記載の車両の遠隔故障診断方法。
【請求項3】
前記クラウドプラットフォームは、第1のクラウドデータベースと第2のクラウドデータベースとを含み、前記遠隔故障診断方法は、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる前記車両データを前記第1のクラウドデータベースに記憶するステップと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータを前記第2のクラウドデータベースに記憶するステップと
をさらに含む請求項1に記載の車両の遠隔故障診断方法。
【請求項4】
前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信する前記ステップは、
前記第2のクラウドデータベースに記憶されている前記ターゲットデータに基づいて、前記車両のうち故障異常診断待ちのターゲット車両の車両関連情報を確定するステップと、
前記ターゲット車両に対する故障診断タスクを生成するステップと、
前記車両関連情報に従って、前記故障診断タスクを前記ターゲット車両に送信するステップと
を含む請求項3に記載の車両の遠隔故障診断方法。
【請求項5】
前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する前記ステップは、
前記第1のクラウドデータベースに記憶されている前記車両データから、前記ターゲット車両のターゲット車両データを読み出すステップと、
前記ターゲット車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成するステップと
を含む請求項4に記載の車両の遠隔故障診断方法。
【請求項6】
車両の遠隔故障診断方法であって、
前記車両の遠隔故障診断方法は、クラウドプラットフォームに接続された車両に適用され、
前記車両の運行中に生成された車両データを、前記クラウドプラットフォームに継続的にアップロードするステップと、
前記クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信するステップ
であって、前記故障診断タスクは、前記クラウドプラットフォームによってリアルタイムで前記車両データを監視することに基づいて生成される、ステップと、
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得るステップと、
前記診断結果データを前記クラウドプラットフォームに返して、前記クラウドプラットフォームに、前記診断結果データと、前記クラウドプラットフォームに
よって受信された前記車両データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成させるステップと
を含む車両の遠隔故障診断方法。
【請求項7】
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得る前記ステップは、
前記故障診断タスクを解析して、前記故障診断タスクを車両内ネットワークを介して、対応する1つ又は複数の車両コントローラに送信するステップと、
1つ又は複数の車両コントローラが前記車両内ネットワークを介して返した、1つ又は複数の車両コントローラが前記故障診断タスクに応答した際に生成した結果データを受信するステップと、
前記結果データに対してパケット組立を行うことで、前記故障診断タスクに対応する診断結果データを得るステップと
を含む請求項6に記載の車両の遠隔故障診断方法。
【請求項8】
車両の遠隔故障診断装置であって、
前記車両の遠隔故障診断装置は、車両に接続されたクラウドプラットフォームに適用され、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定するリアルタイム監視モジュールと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信するタスク送信モジュールと、
前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する診断結果確認モジュールと
を含み、
前記車両の遠隔故障診断装置はさらに前記車両に適用され、前記遠隔故障診断装置は、
前記クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信するタスク受信モジュールと、
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得るタスク応答モジュールと、
前記診断結果データを前記クラウドプラットフォームに返して、前記クラウドプラットフォームに、前記診断結果データと、前記クラウドプラットフォームに予め記憶されている車両データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成させる結果フィードバックモジュールと
をさらに含む車両の遠隔故障診断装置。
【請求項9】
車両であって、
前記車両は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されて前記車両の遠隔故障診断方法を実現するプログラムとを含み、
前記メモリ
は、前記車両の遠隔故障診断方法を実現するプログラムを記憶し、
前記プロセッサは、前記車両の遠隔故障診断方法を実現するプログラムを実行することで、請求項1から7の何れか一項に記載の車両の遠隔故障診断方法を実現する
車両。
【請求項10】
車両の遠隔故障診断方法を実現するプログラムであって、プロセッサにより実行されることで、請求項1から7の何れか一項に記載の車両の遠隔故障診断方法を実現する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は車両の技術分野に関するものであり、特に、車両の遠隔故障診断方法、装置、車両及びコンピュータ記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在では、新エネルギー自動車に故障が発生した場合、現場で診断や修理を行うのが一般的である。具体的なやり方として、使用者が車両に故障が発生したことを発見した場合、電話やネットを通じて自動車サービス業者に通知して、車両に発生した問題を知らせる。それから、自動車サービス業者や使用者がトレーラーを手配するか、使用者が自主的に車両をアフターサービスの修理店まで運転して、アフターサービスの修理担当者が現場で車両を点検し、故障の原因を特定し、部品を修理又は交換する。しかしながら、このような、車両の故障診断と修理を現場で行う方法の場合、完了するまで数日かかることが多く、全体として長い時間を必要とし、人的コストが高い。
【0003】
以上のように、従来の車両故障を現場で診断及びアフターサービス修理を行う方式では、メンテナンス期間が長く、人的コストが高いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の主な目的は、遠隔診断サービスに基づいて車両の故障を迅速に診断し、アフターサービス修理を支援することにより、車両故障の現場診断及びアフターサービス修理による長いメンテナンス期間と高い人的コストといった問題点を解決するための、車両の遠隔故障診断方法、装置、車両及びコンピュータ記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願は、車両の遠隔故障診断方法を提供する。前記車両の遠隔故障診断方法は、車両に接続されたクラウドプラットフォームに適用され、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定するステップと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信するステップと、
前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成するステップと
を含む。
【0006】
また、前記クラウドプラットフォームはさらに、前記車両のアフターサービスシステムに接続され、
前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する前記ステップの後に、前記方法は、
前記アフターサービスシステムが前記遠隔故障診断結果に基づいて前記車両のメンテナンスサービスを準備するために、前記遠隔故障診断結果を前記アフターサービスシステムにプッシュするステップをさらに含んでもよい。
【0007】
また、前記クラウドプラットフォームは、第1のクラウドデータベースと第2のクラウドデータベースとを含み、前記方法は、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる前記車両データを前記第1のクラウドデータベースに記憶するステップと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータを前記第2のクラウドデータベースに記憶するステップと
をさらに含んでもよい。
【0008】
また、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信する前記ステップは、
前記第2のクラウドデータベースに記憶されている前記ターゲットデータに基づいて、前記車両のうち故障異常診断待ちのターゲット車両の車両関連情報を確定するステップと、
前記ターゲット車両に対する故障診断タスクを生成するステップと、
前記車両関連情報に従って、前記故障診断タスクを前記ターゲット車両に送信するステップと
を含んでもよい。
【0009】
また、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する前記ステップは、
前記第1のクラウドデータベースに記憶されている前記車両データから、前記ターゲット車両のターゲット車両データを読み出すステップと、
前記ターゲット車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成するステップと
を含んでもよい。
【0010】
なお、上記目的を達成するために、本願は、車両の遠隔故障診断方法をさらに提供する。前記車両の遠隔故障診断方法は、クラウドプラットフォームに接続された車両に適用され、
前記クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信するステップと、
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得るステップと、
前記診断結果データを前記クラウドプラットフォームに返して、前記クラウドプラットフォームに、前記診断結果データと、前記クラウドプラットフォームに予め記憶されている車両データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成させるステップと
を含む。
【0011】
また、予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得る前記ステップは、
前記故障診断タスクを解析して、前記故障診断タスクを車両内ネットワークを介して、対応する1つ又は複数の車両コントローラに送信するステップと、
1つ又は複数の車両コントローラが前記車両内ネットワークを介して返した、1つ又は複数の車両コントローラが前記故障診断タスクに応答した際に生成した結果データを受信するステップと、
前記結果データに対してパケット組立を行うことで、前記故障診断タスクに対応する診断結果データを得るステップと
を含んでもよい。
【0012】
なお、上記目的を達成するために、本願は、車両の遠隔故障診断装置をさらに提供する。前記車両の遠隔故障診断装置は、車両に接続されたクラウドプラットフォームに適用され、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定するリアルタイム監視モジュールと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信するタスク送信モジュールと、
前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する診断結果確認モジュールと
を含み、
前記車両の遠隔故障診断装置はさらに前記車両に適用され、前記装置は、
前記クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信するタスク受信モジュールと、
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得るタスク応答モジュールと、
前記診断結果データを前記クラウドプラットフォームに返して、前記クラウドプラットフォームに、前記診断結果データと、前記クラウドプラットフォームに予め記憶されている車両データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成させる結果フィードバックモジュールと
をさらに含む。
【0013】
ここで、前記車両の遠隔故障診断装置の各機能モジュールは、それぞれの動作時に、上述したような車両の遠隔故障診断方法のステップを実現することができる。
【0014】
なお、上記目的を達成するために、本願は、車両をさらに提供する。前記車両は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶されて前記プロセッサ上で動作できる前記車両の遠隔故障診断方法のプログラムとを含み、前記車両の遠隔故障診断方法のプログラムがプロセッサにより実行された場合、上述したような車両の遠隔故障診断方法のステップを実現することができる。
【0015】
本願はコンピュータ記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ記憶媒体には上記の車両の遠隔故障診断方法を実現するプログラムが記憶されており、前記車両の遠隔故障診断方法のプログラムがプロセッサにより実行された場合、上述したような車両の遠隔故障診断方法のステップを実現する。
【0016】
なお、上記目的を達成するために、本願は、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、上記の車両の遠隔故障診断方法のステップを実現する。
【0017】
本願により提供される車両の遠隔故障診断方法、装置、車両及びコンピュータ記憶媒体によれば、クラウドプラットフォームにより、予め接続された車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定し、前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信し、前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する。
【0018】
こうして、本願によれば、車両からクラウドプラットフォームにアップロードされる車両データをリアルタイムに監視し、故障異常信号識別子が認識された場合、対応する車両に診断タスクを遠隔で送信して、車両に自側で診断させ、最後に、クラウドプラットフォームにより、当該車両からアップロードされた車両データと自側での診断の結果データとの両方に基づいて、車両の最終的な遠隔故障診断結果を生成する。こうして、本願の技術案は、遠隔診断サービスに基づいて車両の故障を迅速に診断することを実現した。車両に故障が発生した後に修理所で修理担当者により現場で故障の検出と診断を行う必要がないため、効果的に車両の故障診断の時間周期を短縮し、人的コストを削減することができる。
【0019】
なお、本願の技術案において、クラウドプラットフォームはさらに、車両のアフターサービスシステムと直接接続できるため、遠隔の診断で得られた故障診断結果をアフターサービスシステムに提供して、それによる車両に対する修理などのアフターサービス修理などのサービスを補助することができ、さらには車両についての使用者の使用体験を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書の図面は、明細書に含まれてかつ本明細書の一部を構成し、本願に合致する実施例を示し、明細書とともに本願の原理の説明に用いられる。
【0021】
本願の実施例及び従来技術における技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例又は従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に説明する。当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面により他の添付図面を得ることができることは、明らかである。
【0022】
【
図1】本願の車両の遠隔故障診断方法の第1の実施例の模式フローチャートである。
【0023】
【
図2】本願の車両の遠隔故障診断方法の一実施例にかかる、クラウドプラットフォーム、車両、及びアフターサービスシステムの間のインタラクションシナリオの模式図である。
【0024】
【
図3】本願の車両の遠隔故障診断方法の一実施例にかかる遠隔故障診断原理の模式図である。
【0025】
【
図4】本願の車両の遠隔故障診断方法の一実施例にかかる適用フローの模式図である。
【0026】
【
図5】本願の車両の遠隔故障診断方法の別の実施例にかかる適用フローの模式図である。
【0027】
【
図6】本願の車両の遠隔故障診断装置の一実施例にかかる機能モジュールの構成模式図である。
【0028】
【
図7】本願の実施例の例における車両にかかるハードウェア運転環境の機器構成模式図である。
【0029】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで説明する具体的な実施例は本願を解釈するためだけに使われるものであって、本願を限定するために使われるものではないことは、理解しておくべきである。
【0031】
なお、本実施例において、現在では、新エネルギー自動車に故障が発生した場合、現場で診断や修理を行うのが一般的である。具体的なやり方として、使用者が車両に故障が発生したことを発見した場合、電話やネットを通じて自動車サービス業者に通知して、車両に発生した問題を知らせる。それから、自動車サービス業者や使用者がトレーラーを手配するか、使用者が自主的に車両をアフターサービスの店まで運転して、アフターサービスの修理担当者が現場で車両を点検し、故障の原因を特定し、部品を修理又は交換する。しかしながら、このような、車両の故障診断と修理を現場で行う方法の場合、完了するまで数日かかることが多く、全体として長い時間を必要とし、人的コストが高い。
【0032】
以上のように、従来の車両故障を現場で診断してアフターサービス修理を行う方式では、メンテナンス期間が長く、人的コストが高いという問題がある。
【0033】
上記の現象に鑑み、本願の実施例は、車両の遠隔故障診断方法を提供する。本願の車両の遠隔故障診断方法の一実施例において、本願の車両の遠隔故障診断方法は、クラウドプラットフォームにより、予め接続された車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定し、前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信し、前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する。
【0034】
即ち、本願によれば、車両からクラウドプラットフォームにアップロードされる車両データをリアルタイムに監視し、故障異常信号識別子が認識された場合、対応する車両に診断タスクを遠隔で送信して、車両に自側で診断させ、最後に、クラウドプラットフォームにより、当該車両からアップロードされた車両データと自側での診断の結果データとの両方に基づいて、車両の最終的な遠隔故障診断結果を生成する。こうして、本願の技術案は、遠隔診断サービスに基づいて車両の故障を迅速に診断することを実現した。車両に故障が発生した後に修理所で修理担当者により現場で故障の検出と診断を行う必要がないため、効果的に車両の故障診断の時間周期を短縮し、人的コストを削減することができる。
【0035】
なお、本願の技術案において、クラウドプラットフォームはさらに、車両のアフターサービスシステムと直接接続できるため、遠隔の診断で得られた故障診断結果をアフターサービスシステムに提供して、それによる車両に対する修理などのアフターサービス修理などのサービスを補助することができ、さらには車両についての使用者の使用体験を大幅に向上させることができる。
【0036】
上述した本願の車両の遠隔故障診断方法の全体的構想に基づいて、本願の車両の遠隔故障診断方法の第1の実施例を提案する。
図1を参照し、
図1は本願の車両の遠隔故障診断方法の第1の実施例の模式フローチャートである。なお、フローチャートには論理的順序が示されているが、いくつかの場合では、こことは異なる順序で図示または説明されたステップを実行してもよい。
【0037】
また、本実施例では、本願の車両の遠隔故障診断方法の実行主体はクラウドプラットフォームであってもよい。
図2に示すシナリオのように、車両故障遠隔診断サービスを担うクラウドプラットフォームは、1台又は同時に複数台の車両と通信可能に接続することができるため、車両は、この通信接続を介してクラウドプラットフォームに自身実際の運行中に生成された車両データをリアルタイムにアップロードすることができ、クラウドプラットフォームはこの車両データに基づいてリアルタイムの読み取り、監視及び分析を行うことで、遠隔の故障診断サービスを行うことができる。同時に、このクラウドプラットフォームはさらに車両のアフターサービスシステムと通信可能に接続することができるため、クラウドプラットフォームは、車両に対して遠隔の故障診断を行って車両の故障診断結果を決定した後に、その診断結果を対応するアフターサービスシステムに直接送信することができ、さらに、アフターサービスシステムは、その故障診断結果に基づいて、車両に対して、対応する故障修理の準備を事前に行うことができる。
【0038】
図1に示すように、本願の車両の遠隔故障診断方法の第1の実施例において、本願の車両の遠隔故障診断方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0039】
S10において、前記車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定する。
【0040】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、予め接続された1台又は複数台の車両が自身の生成した車両データをリアルタイムにアップロードしている間に、その車両データをリアルタイムに読み出して、この車両データについてリアルタイムに監視することで、予め設定された故障異常情報識別子がその全量の車両データのうちのある1つ又は複数のターゲットデータから認識されたか否かを判定する。
【0041】
なお、本実施例において、車両は具体的には自身に設置された無線伝送モジュールを通じて、自身が運行中に継続的に生成した車両データをクラウドプラットフォームにアップロードすることができる。クラウドプラットフォームとして、具体的には、企業が自社開発で構築した自社クラウドプラットフォームであってもよいし、市場で成熟したカンガルークラウド、アリババクラウド、ファーウェイクラウド等の商用プラットフォームであってもよい。
【0042】
また、本実施例において、故障異常情報識別子とは、車両側で既に定義済みの、車両に故障が発生した場合に、故障異常信号データの値を変更してなる識別データであり、これにより、クラウドプラットフォームは、この識別データを認識することにより、その時点で車両に故障が発生していると判定することができる。一例として、車両からアップロードされる車両データにおいて、故障異常信号データの値が通常の場合0であり、車両に異常が発生した場合に当該故障信号データの値が1になるように予め設定してもよい。データ値「1」は、車両に故障が発生したことをクラウドプラットフォームに提示する故障異常情報識別子である。
【0043】
S20において、前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信する。
【0044】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、予め設定された故障異常情報識別子が全量の車両データのうちの1つ又は複数のターゲットデータから認識されたと判定した場合、その1つ又は、複数のターゲットデータをアップロードしたターゲット車両に故障が発生したと判定することができる。そのため、クラウドプラットフォームは、そのターゲットデータに含まれる当該ターゲット車両の車両関連情報に基づいて、当該ターゲット車両に故障診断タスクを送信することができる。
【0045】
なお、本実施例において、ターゲットデータに含まれる当該ターゲット車両の車両関連情報とは、故障異常情報識別子に関連付けられた車両VIN(道路車両-車両識別番号)コード、データアップロード時刻、当該故障異常情報識別子が属する故障信号データの名前及びデータ値等である。また、クラウドプラットフォームは、上述した故障異常信号識別子を認識した場合にのみ、自身の遠隔診断機能を起動させて、対応する車両に故障診断タスクを送信する。
【0046】
S30において、前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する。
【0047】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、故障診断タスクを対応するターゲット車両に送信した後に、当該ターゲット車両が自身の車両コントローラによりこの故障診断タスクに応答して、対応する診断結果データを得る。それから、当該ターゲット車両は、この診断結果データをクラウドプラットフォームに返信する。さらに、クラウドプラットフォームは、この診断結果データを受信すると、予め受信した全量の車両データの中から、当該ターゲット車両からアップロードされたターゲット車両データを抽出し、さらに、当該ターゲット車両データと当該診断結果データとに基づいて総合的な故障分析を行うことで、当該ターゲット車両の遠隔故障診断結果を生成する。
【0048】
一例として、
図3に示すように、クラウドプラットフォーム(図における「クラウド1」)は、Flink(Apacheソフトウェア財団が開発したオープンソースのストリーミング処理フレームワークで、その核心はJava(登録商標)とScalaで書かれた分散型ストリーミングデータストリーミングエンジン)技術を利用して、車両が遠隔データ伝送モジュール2(TBOX)を介して伝送する車両データをリアルタイムに読み出して、データストリーム内の故障異常信号データをリアルタイムに監視する。故障異常信号データの値に変化が起きた後の故障異常情報識別子が認識された場合、車両に故障異常が発生したことを示す。したがって、クラウドプラットフォームは直ちに遠隔診断機能を起動させて、診断サービス命令をタスクデータパケットとしてパケット化し、当該故障異常信号データに関連付けられた車両VIN、データアップロード時刻及び故障信号データの名前と値に従って、無線ネットワークを介して当該タスクデータパケットを車両側に送信する。すると、車両は、遠隔データ伝送モジュール2によりタスクデータパケットを受信して、対応するコントローラ3に伝送してタスクの解析を行わせる。
【0049】
コントローラ3はタスクを診断サービス命令に解析し、対応するコントローラ4に送信して応答させて実行させる。タスクが複数のコントローラに関わる場合、コントローラ3は解析により得られた診断サービス命令を複数の対応するコントローラnに送信して応答させて実行させ、コントローラ4~nは、診断サービス命令に応答して実行した後に、フィードバックデータをコントローラ3に返す。コントローラ3は、各コントローラ4~nから返されたデータを受信し終えると、全てのデータをさらに返信データパケットにパケット化してから、返信データパケットを、診断結果データとして遠隔データ伝送モジュール2に送信し、この遠隔データ伝送モジュール2により、さらにクラウドプラットフォームにアップロードする。
【0050】
最後に、クラウドプラットフォームは、返信データパケットを受信すると、解析を行い、診断カーネルにより、以前に車両からアップロードされたデータとともに車両の故障を判定し、解決策などの関連アドバイスを与えることができる。
【0051】
さらに、本実施例において、上記の「前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する」ステップの後に、本願の車両の遠隔故障診断方法は、
前記アフターサービスシステムが前記遠隔故障診断結果に基づいて前記車両のメンテナンスサービスを準備するために、前記遠隔故障診断結果を前記アフターサービスシステムにプッシュするステップをさらに含んでもよい。
【0052】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、故障が発生したターゲット車両の遠隔故障診断結果を生成した後に、さらに、当該ターゲット車両に対応するアフターサービスシステムとの通信接続を介して、当該遠隔故障診断結果を当該アフターサービスシステムにプッシュする。これにより、当該アフターサービスシステムは、当該遠隔故障診断結果に基づいて、当該ターゲット車両に対して相応のメンテナンスサービスの準備を行うことができるため、ターゲット車両が予約通り当該アフターサービスシステムが指定した修理所に到着すると、修理担当者は、事前の準備に従って車両を迅速に修理することができる。
【0053】
一つの可能な実施形態として、アフターサービスシステムは、クラウドプラットフォームからプッシュされたターゲット車両の遠隔故障診断結果を受信すると、具体的には、車の所有者情報と照合して積極的に車の来店予約と、予備部品システムを通じたターゲット車両の予備部品の準備を行うことができる。
【0054】
本実施例において、本願の車両の遠隔故障診断方法によれば、クラウドプラットフォームは、予め接続された1台又は複数台の車両が自身の生成した車両データをリアルタイムにアップロードしている間に、その車両データをリアルタイムに読み出して、この車両データについてリアルタイムに監視することで、予め設定された故障異常情報識別子がその全量の車両データのうちのある1つ又は複数のターゲットデータから認識されたか否かを判定する。クラウドプラットフォームは、予め設定された故障異常情報識別子が全量の車両データのうちの1つ又は複数のターゲットデータから認識されたと判定した場合、その1つ又は、複数のターゲットデータをアップロードしたターゲット車両に故障が発生したと判定することができる。そのため、クラウドプラットフォームは、そのターゲットデータに含まれる当該ターゲット車両の車両関連情報に基づいて、当該ターゲット車両に故障診断タスクを送信することができる。クラウドプラットフォームは、故障診断タスクを対応するターゲット車両に送信した後に、当該ターゲット車両が自身の車両コントローラによりこの故障診断タスクに応答して、対応する診断結果データを得る。それから、当該ターゲット車両は、この診断結果データをクラウドプラットフォームに返信する。さらに、クラウドプラットフォームは、この診断結果データを受信すると、予め受信した全量の車両データの中から、当該ターゲット車両からアップロードされたターゲット車両データを抽出し、さらに、当該ターゲット車両データと当該診断結果データとに基づいて総合的な故障分析を行うことで、当該ターゲット車両の遠隔故障診断結果を生成する。
【0055】
こうして、本願によれば、車両からクラウドプラットフォームにアップロードされる車両データをリアルタイムに監視し、故障異常信号識別子が認識された場合、対応する車両に診断タスクを遠隔で送信して、車両に自側で診断させ、最後に、クラウドプラットフォームにより、当該車両からアップロードされた車両データと自側での診断の結果データとの両方に基づいて、車両の最終的な遠隔故障診断結果を生成する。こうして、本願の技術案は、遠隔診断サービスに基づいて車両の故障を迅速に診断することを実現した。車両に故障が発生した後に修理所で修理担当者により現場で故障の検出と診断を行う必要がないため、効果的に車両の故障診断の時間周期を短縮し、人的コストを削減することができる。
【0056】
なお、本願の技術案において、クラウドプラットフォームはさらに、車両のアフターサービスシステムと直接接続できるため、遠隔の診断で得られた故障診断結果をアフターサービスシステムに提供して、それによる車両に対する修理などのアフターサービス修理などのサービスを補助することができ、さらには車両についての使用者の使用体験を大幅に向上させることができる。
【0057】
さらに、上述した本願の車両の遠隔故障診断方法の第1の実施例に基づいて、本願の車両の遠隔故障診断方法の第2の実施例を提案する。
【0058】
本実施例において、上述したクラウドプラットフォームは、第1のクラウドデータベースと第2のクラウドデータベースとを含み、本願の車両の遠隔故障診断方法は、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる前記車両データを前記第1のクラウドデータベースに記憶するステップと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータを前記第2のクラウドデータベースに記憶するステップと
をさらに含んでもよい。
【0059】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、自側に第1のクラウドデータベースを構築することにより、接続された1つ又は複数の車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを記憶する。当該第1のクラウドデータベースに記憶される車両データは、故障が発生したターゲット車両の遠隔故障診断結果を生成するために、のちにクラウドプラットフォームのデータ問い合わせに使用される。
【0060】
また、クラウドプラットフォームはまた、自側に第2のクラウドデータベースを構築することにより、リアルタイムに認識されたターゲットデータを記憶する。即ち、クラウドプラットフォームは、故障異常信号識別子が認識されると、当該識別子が属する故障異常信号データに関連付けられたターゲット車両の車両VIN、データアップロード時刻及び当該故障異常信号データの名前とデータ値を、この第2のクラウドデータベースに記憶することにより、使用者はのちに、クラウドプラットフォームにより、第2のクラウドデータベース内の車両関連情報を読み出し、ターゲット車両に故障診断タスクを送信する。
【0061】
一例として、
図4に示す適用フローのように、クラウドは、車両データを取得すると、このデータを予めローカルに構築したクラウドデータベース2に記憶することで、のちに遠隔診断モジュールがこのデータベース2から車両データを抽出して故障診断分析を行うことができる。また、クラウドは、車両からアップロードされるデータをリアルタイムに読み出してリアルタイムの判定を行うことで、故障異常のデータ値が変化したことを認識した時、車両VIN、データアップロード時刻及び故障異常信号の名前とデータ値を事前にローカルに構築したクラウドデータベース1に直ちに記憶する。それから、クラウドプラットフォームは、RVDC(Remote Vehicle Data Collection、遠隔車両データ収集)機能を通じて、非同期伝送照会応答命令やりとりの方式で、故障が発生したターゲット車両側から当該車両の詳細な故障情報を取得する。さらに、クラウドは、この詳細な故障情報と、クラウドデータベース2から抽出された、このターゲット車両からアップロードされた車両データとの両方に基づいて、自側の遠隔診断モジュールにより故障解析を行うことで、故障診断結果を生成することができる。最後に、クラウドはこの診断結果をローカルに保存し、さらにこの診断結果を予め接続されたこのターゲット車両に対応するアフターサービスシステムにプッシュする。
【0062】
さらに、一つの可能な実施例において、上述した「前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信する」前記ステップは、
前記第2のクラウドデータベースに記憶されている前記ターゲットデータに基づいて、前記車両のうち故障異常診断待ちのターゲット車両の車両関連情報を確定するステップと、
前記ターゲット車両に対する故障診断タスクを生成するステップと、
前記車両関連情報に従って、前記故障診断タスクを前記ターゲット車両に送信するステップと
を含んでもよい。
【0063】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、故障異常信号識別子が全量の車両データ内のターゲットデータから認識された場合、当該ターゲットデータを上記の第2のクラウドデータベースに記憶してから、さらに自身の遠隔診断モジュールにより、第2のクラウドデータベースに記憶された当該ターゲットデータから故障異常信号データに関連付けられた車両関連情報を抽出し、故障が発生した車両がUDS(Unified Diagnostic Services:統一診断サービス)機能をサポートしていると判定した場合、直ちに自側でUDSのサービス命令ルールに従って、無線伝送時に追加される関連情報とともにパケット化して、当該ターゲット車両についての故障診断タスクを生成する。さらに、クラウドプラットフォームは当該車両関連情報に基づいて、生成した故障診断タスクをターゲット車両に送信することができる。
【0064】
さらに、一つの実行可能な実施例において、上記の「前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する」ステップは、
前記第1のクラウドデータベースに記憶されている前記車両データから、前記ターゲット車両のターゲット車両データを読み出すステップと、
前記ターゲット車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成するステップと
を含んでもよい。
【0065】
本実施例において、クラウドプラットフォームは、ターゲット車両が1つ又は複数の車両コントローラを作動させて上記故障診断タスクに応答させて実行させることで得た診断結果データを受信すると、さらに、自身の遠隔診断モジュールにより、記憶された1つ又は複数の車両がリアルタイムにアップロードした全量のデータの中から、当該ターゲット車両からアップロードされたターゲット車両データを抽出する。それから、当該遠隔診断モジュールにより、当該ターゲット車両データと当該ターゲット車両から返された診断結果データとの両方に基づいて総合的な故障分析を行うことで、当該ターゲット車両の最終的な遠隔故障診断結果を生成する。
【0066】
さらに、上述した本願の車両の遠隔故障診断方法の第1の実施例及び/又は第2の実施例に基づいて、本願の車両の遠隔故障診断方法の第3の実施例を提案する。
【0067】
本実施例において、本願の車両の遠隔故障診断方法は上述したクラウドプラットフォームに接続された車両であり、本願の車両の遠隔故障診断方法は、
前記クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信するステップと、
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得るステップと、
前記診断結果データを前記クラウドプラットフォームに返して、前記クラウドプラットフォームに、前記診断結果データと、前記クラウドプラットフォームに予め記憶されている車両データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成させるステップと
を含んでもよい。
【0068】
本実施例において、車両が自身の生成した車両データをクラウドプラットフォームにリアルタイムにアップロードする過程において、クラウドプラットフォームが車両データをリアルタイムに監視して車両に故障診断タスクを送信した場合、車両は、当該故障診断タスクを受信すると、自身の1つ又は複数の車両コントローラを直ちに作動させて当該故障診断タスクを応答して実行することで、相応の診断結果データを得る。それから、車両はさらに当該診断結果データをクラウドプラットフォームに返す。さらに、クラウドプラットフォームは、この診断結果データを受信して、予め受信した全量の車両データの中から、当該ターゲット車両からアップロードされたターゲット車両データを抽出し、さらに、当該ターゲット車両データと当該診断結果データとに基づいて総合的な故障分析を行うことで、当該ターゲット車両の遠隔故障診断結果を生成することができる。
【0069】
なお、本実施例において、故障診断タスクは、具体的には、車両内の1つの車両コントローラに対するUDS仕様に準拠した診断タスクであってもよいし、車両内の複数の車両コントローラに対するUDS仕様に準拠した診断タスクであってもよい。これに基づいて、上記の「予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得る」前記ステップは、
前記故障診断タスクを解析して、前記故障診断タスクを車両内ネットワークを介して、対応する1つ又は複数の車両コントローラに送信するステップと、
1つ又は複数の車両コントローラが前記車両内ネットワークを介して返した、1つ又は複数の車両コントローラが前記故障診断タスクに応答した際に生成した結果データを受信するステップと、
前記結果データに対してパケット組立を行うことで、前記故障診断タスクに対応する診断結果データを得るステップと
を含んでもよい。
【0070】
本実施例において、車両は、クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信すると、自身のタスク解析モジュールにより、当該故障診断タスクを解析することで、車両内の1つの車両コントローラに対する診断タスクを決定し、又は車両内の複数の車両コントローラに対する診断タスクを解析して決定する。そして、当該タスク解析モジュールは、1つの車両コントローラに対する診断タスクのみが解析により決定された場合、直ちにその診断タスクを当該車両コントローラに送信して応答させて実行させ、結果データを生成させ、或いは、当該タスク解析モジュールは、複数の車両コントローラに対する診断タスクが解析により決定された場合、当該診断タスクをそれぞれ対応する車両コントローラに送信して、当該複数の車両コントローラのそれぞれに応答させて実行させ、対応する結果データを生成させる。
【0071】
一例として、
図5に示された適用フローのように、クラウドは、車両側がサポートするUDS機能を利用し、UDSのサービス命令ルールに従って、無線伝送時に追加される関連情報とともにパケット化して、故障診断タスクを形成し、それから、車両側との間に確立された無線ネットワークを介して、当該故障診断タスクを車両側の無線送受信モジュール(TBOX)に伝送する。こうして、車両側は、当該故障診断タスクを受信した直後に、当該無線送受信モジュールをタスク解析モジュールとして故障診断タスクを解析し、又は、当該無線送受信モジュールにより、車両内ネットワーク(CAN、イーサネット(登録商標)、又は他のタイプの通信方式)を介して、受信した故障診断タスクを車両専用に構成されたタスク解析モジュールに送信し、当該タスク解析モジュールにより当該故障診断タスクを解析する。
【0072】
タスク解析モジュールは、車両がサポートするUDS機能のデータパケット化ルールに従って故障解析タスクを解析することで、ある1つ又は複数の車両コントローラ(図における「ECU」)に対するUDS仕様に準拠した診断タスクを解析により得て、診断タスクを上記の車両内ネットワークを介して対応するECUに送信する。
【0073】
ECUは、診断タスクを受信すると、診断タスクの命令に直ちに応答し、診断タスクに応答して生成した結果データを車両内ネットワークを通じてタスク解析モジュールに戻し、タスク解析モジュールは、全てのECUが生成した結果データの収集が完了した後に、全ての結果データに対してパケット組立を行って、診断結果データパケットを形成する。
【0074】
最後に、タスク解析モジュールは診断で生成された診断結果データパケットを車両内ネットワークを通じて無線送受信モジュールに送信し、当該無線送受信モジュールにより、クラウドとの間の無線ネットワークを通じて、当該診断結果データパケットをクラウドにアップロードする。
【0075】
本実施例において、本願の車両の遠隔故障診断方法によれば、車両が自身の生成した車両データをクラウドプラットフォームにリアルタイムにアップロードする過程において、クラウドプラットフォームが車両データをリアルタイムに監視して車両に故障診断タスクを送信した場合、車両は、当該故障診断タスクを受信すると、自身の1つ又は複数の車両コントローラを直ちに作動させて当該故障診断タスクを応答して実行することで、相応の診断結果データを得る。それから、車両はさらに当該診断結果データをクラウドプラットフォームに返す。さらに、クラウドプラットフォームは、この診断結果データを受信して、予め受信した全量の車両データの中から、当該ターゲット車両からアップロードされたターゲット車両データを抽出し、さらに、当該ターゲット車両データと当該診断結果データとに基づいて総合的な故障分析を行うことで、当該ターゲット車両の遠隔故障診断結果を生成することができる。
【0076】
こうして、本願の技術案は、遠隔診断サービスに基づいて車両の故障を迅速に診断することを実現した。車両に故障が発生した後に修理所で修理担当者により現場で故障の検出と診断を行う必要がないため、効果的に車両の故障診断の時間周期を短縮し、人的コストを削減することができる。
【0077】
なお、本願は、車両の遠隔故障診断装置をさらに提供する。
図6に示すように、本願の車両の遠隔故障診断装置は、車両に接続されたクラウドプラットフォームに適用され、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる車両データを監視し、予め設定された故障異常信号識別子が前記車両データのターゲットデータから認識されたか否かを判定するリアルタイム監視モジュールと、
前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータに基づいて前記車両に故障診断タスクを送信するタスク送信モジュールと、
前記車両が自側で前記故障診断タスクを実行した後に返した診断結果データを受信し、前記車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する診断結果確認モジュールと
を含み、
本願の車両の遠隔故障診断装置はさらに前記車両に適用され、本願の車両の遠隔故障診断装置は、
前記クラウドプラットフォームから送信された故障診断タスクを受信するタスク受信モジュールと、
予め設定された1つ又は複数の車両コントローラを作動させて、前記故障診断タスクを実行させて診断結果データを得るタスク応答モジュールと、
前記診断結果データを前記クラウドプラットフォームに返して、前記クラウドプラットフォームに、前記診断結果データと、前記クラウドプラットフォームに予め記憶されている車両データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成させる結果フィードバックモジュールと
をさらに含む。
【0078】
また、前記クラウドプラットフォームはさらに、前記車両のアフターサービスシステムに接続され、本願の車両の遠隔故障診断装置は、
前記アフターサービスシステムが前記遠隔故障診断結果に基づいて前記車両のメンテナンスサービスを準備するために、前記遠隔故障診断結果を前記アフターサービスシステムにプッシュするアフターサービスシステム接続モジュールをさらに含む。
【0079】
また、前記クラウドプラットフォームは、第1のクラウドデータベースと第2のクラウドデータベースとを含み、本願の車両の遠隔故障診断装置は、
前記車両からリアルタイムにアップロードされる前記車両データを前記第1のクラウドデータベースに記憶し、前記故障異常信号識別子が前記ターゲットデータから認識されたと判定した場合、前記ターゲットデータを前記第2のクラウドデータベースに記憶するステップと
をさらに含む。
【0080】
また、タスク送信モジュールはさらに、前記第2のクラウドデータベースに記憶されている前記ターゲットデータに基づいて、前記車両のうち故障異常診断待ちのターゲット車両の車両関連情報を確定し、前記ターゲット車両に対する故障診断タスクを生成し、前記車両関連情報に従って、前記故障診断タスクを前記ターゲット車両に送信する。
【0081】
また、診断結果確認モジュールはさらに、前記第1のクラウドデータベースに記憶されている前記車両データから、前記ターゲット車両のターゲット車両データを読み出し、前記ターゲット車両データと前記診断結果データとに基づいて、前記車両の遠隔故障診断結果を生成する。
【0082】
また、タスク応答モジュールはさらに、前記故障診断タスクを解析して、前記故障診断タスクを、車両内ネットワークを介して、対応する1つ又は複数の車両コントローラに送信し、1つ又は複数の車両コントローラが前記車両内ネットワークを介して返した、1つ又は複数の車両コントローラが前記故障診断タスクに応答した際に生成した結果データを受信し、前記結果データに対してパケット組立を行うことで、前記故障診断タスクに対応する診断結果データを得る。
【0083】
本願の車両の遠隔故障診断装置の具体的な実施形態は、上述した車両の遠隔故障診断方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0084】
なお、本願の実施例は、上記の何れか一つの実施例に言及されたような車両をさらに提供する。
【0085】
図7を参照し、
図7は本願の実施例の案に言及された車両にかかるハードウェア運転環境の機器構成模式図である。
【0086】
図7に示すように、この車両は、プロセッサ1001(例えばCPU)、メモリ1005及び通信バス1002を含んでもよい。その中で、通信バス1002はプロセッサ1001とメモリ1005との間の接続や通信を実現する。メモリ1005としては高速RAMメモリであってもよく、安定したメモリ(non-volatile memory)、例えば磁気ディスクメモリでもよい。また、メモリ1005は前記プロセッサ1001とは独立した記憶機器であってもよい。
【0087】
また、この車両はさらにグラフィックユーザインターフェース、ネットワークインターフェース、ウェブカメラ、RF(Radio Frequency,無線周波数)回路、センサ、オーディオ回路、WiFiモジュール等を含んでもよい。グラフィックユーザインターフェースはディスプレイ(Display)、入力サブモジュール(例えばキーボード(Keyboard))を含んでもよく、また、グラフィックユーザインターフェースはさらに標準の有線インターフェース、無線インターフェースを含んでもよい。また、ネットワークインターフェースは標準の有線インターフェース、無線インターフェース(例えばWI-FI(登録商標)インターフェース)を含んでもよい。
【0088】
当業者であれば、
図4に示す構造は車両に対する限定を構成せず、実際の応用の異なる設計需要によっては、異なる可能な実施形態において、車両は、図示より多い或いは少ない部品を含んでもよく、或いは一部の部品を組み合わせたり、異なる部品の配置をしたりしてもよいことを、理解できるであろう。
【0089】
図7に示すように、一種の記憶媒体としてのメモリ1005には、オペレーティングシステム、ネットワーク通信モジュール、及び車両の遠隔故障診断プログラムが含まれてもよい。オペレーティングシステムとは、車両のハードウェア及びソフトウェアに基づくリソースを管理及び制御するプログラムであり、車両の遠隔故障診断プログラム及び他のソフトウェア及び/又はプログラムの実行をサポートする。ネットワーク通信モジュールは、メモリ1005内部の各構成部品の間の通信、及び車両の遠隔故障診断装置における他のハードウェア及びソフトウェアの間の通信を実現する。
【0090】
図7に示す車両において、プロセッサ1001は、メモリ1005に記憶されている車両の遠隔故障診断プログラムを実行して、上記の何れか一つの実施例に記載の車両の遠隔故障診断方法のステップを実現する。
【0091】
本願の車両の具体的な実施形態は、上述した車両の遠隔故障診断方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0092】
本願の実施例はさらにコンピュータ記憶媒体を提案し、前記コンピュータ記憶媒体には1つ又は複数のプログラムが記憶され、前記1つ又は複数のプログラムはさらに、1つ又は複数のプロセッサにより実行されることで、上記の何れか一項に記載の車両の遠隔故障診断方法のステップを実現することができる。
【0093】
本願のコンピュータ記憶媒体の具体的な実施形態は、上述した車両の遠隔故障診断方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0094】
なお、本願は、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、上記の車両の遠隔故障診断方法のステップを実現する。
【0095】
本願のコンピュータプログラム製品の具体的な実施形態は、上述した車両の遠隔故障診断方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0096】
本文において、「含む」、「含める」といった術語或いは何れの他のバリエーションは非排他的な包含を意味することで、一連の要素の過程、方法、物品或いは装置がそれらの要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含み、或いはこの種の過程、方法、物品或いは装置に固有の要素を含むようにする。それ以上の制限がない状況で、「一つの…を含む」という文により限定される要素は、当該要素を含む過程、方法、物品或いは装置の中に他の同じ要素がさらに存在することを除外しない。
【0097】
上記本発明実施例の番号は説明のためのものだけであって、実施例の優劣を表すものではない。
【0098】
以上の実施態様の説明を通して、当業者は、上記の実施例の方法はソフトウェアに必要な汎用ハードウェアプラットフォームを加える方法(勿論ハードウェアによることも可能であるが、多くの場合では前者がより良い実施方法)で実現できることを明確に理解できる。このような理解に基づいて、本発明の技術案は、本質としては、或いは先行技術に対して貢献する部分は、ソフトウェア製品の形式で体現できる。当該コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)の中に記憶でき、一台の端末機器(車載コンピュータ、スマートフォン、コンピュータ、サーバ、エアコン、又はネットワーク機器等でもよい)に本発明の各実施例で説明する方法を実行させるための幾つかの命令を含む。
【0099】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、それによって本発明の特許の保護範囲を制限するわけではない。本発明の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた均等構造或いは均等流れ変換、或いは直接又は間接的な他の関連する技術分野への応用も、同じ理由で本発明の特許の保護範囲に含まれる。