(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】セルライトを減少させる布帛
(51)【国際特許分類】
D06M 23/16 20060101AFI20240416BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20240416BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
D06M23/16
A41D31/00 502S
D06M15/564
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018066375
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-14
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
【住所又は居所原語表記】Organize Sanayi Bolgesi 3. Cadde 16400 Inegol-Bursa(TR)
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ケナン ロヤン
(72)【発明者】
【氏名】レイラ ゼンギ
(72)【発明者】
【氏名】ファトマ コルクマズ
(72)【発明者】
【氏名】ギュネス バナズィリ
(72)【発明者】
【氏名】メルヴェ ナギハン アクジャイ
(72)【発明者】
【氏名】トゥラン エレン ギュル
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-084959(JP,A)
【文献】特開2007-190732(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02444547(EP,A2)
【文献】特表2016-509637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366281(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0087924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0100312(US,A1)
【文献】特開平02-047367(JP,A)
【文献】特開2008-238461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 31/00 - 31/32
B32B 1/00 - 43/00
D06M 10/00 - 16/00
D06M 19/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面(1a)と第2の面(1b)とを有する布帛(1)であって、
前記布帛(1)は、突起のパターンとして、少なくとも前記第1の面(1a)に複数の突起(2)を備え、
前記突起(2)は、膨張した熱膨張材料を含んでおり、
前記布帛(1)は、弾性織布であ
り、
前の行(R1またはR2)の2つの突起(2)と、次の行(R1またはR2)の2つの突起(2)との間のほぼ中間に、行(R2またはR1)の突起(2)を配置するために、前記突起(2)は、千鳥状の行(R2またはR1)に配置されており、
前記突起(2)は、突起(2)の幅と等しい距離だけ、互いに離間していることを特徴とする布帛(1)。
【請求項2】
前記熱膨張材料は、ポリマー熱膨張材料、好ましくは膨張インク、より好ましくは膨張インクを含むアクリルポリマーベースの印刷ペースト、さらにより好ましくは膨張インクを含むシリコーンアクリルポリマーベースの印刷ペーストであることを特徴とする請求項1に記載の布帛(1)。
【請求項3】
少なくとも突起(2)は、ポリマー層(3)で被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の布帛(1)。
【請求項4】
少なくとも前記第1の面(1a)は、前記ポリマー層(3)で完全に被覆されていることを特徴とする請求項3に記載の布帛(1)。
【請求項5】
前記ポリマー層(3)は、ポリウレタンを含んでいることを特徴とする請求項3又は4に記載の布帛(1)。
【請求項6】
前記ポリマー層(3)は、ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項7】
前記ポリマー層(3)は、0.001mm~0.05mm、好ましくは0.0015mm~0.03mm、より好ましくは0.002mm~0.02mmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項8】
各突起(2)は、ほぼ六角形に配置された6つの隣接する突起(2)によって取り囲まれていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項9】
前記突起(2)はベース(4)を有し、前記ベース(4)は、ほぼ卵、楕円、円または多角形の形状を有していることを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項10】
前記突起(2)は、前記布帛の厚さよりも低い高さを有していることを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項11】
前記突起(2)は、0.01mm~1mm、好ましくは0.05~0.5mm、より好ましくは0.08mm~0.3mmの範囲の高さ、さらにより好ましくは平均値0.2mmの高さを有していることを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項12】
前記突起(2)の分布は、20個/cm
2~5個/cm
2、好ましくは16個/cm
2~8個/cm
2、より好ましくは10個/cm
2の範囲としてあることを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項13】
前記布帛(1)の剛性は、ASTM D4032に従って測定して、2.5~0.95N、好ましくは2~0.75N、より好ましくは1.5~0.5Nの範囲とすることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の布帛(1)。
【請求項14】
請求項1に記載の布帛(1)の製造方法であって、前記方法は、
a.前記第1の面(1a)と前記第2の面(1b)とを有する前記布帛(1)を準備する工程と、
b.実質的な二次元要素(5)のパターンとして、前記布帛(1)の少なくとも前記第1の面(1a)に熱膨張材料を施す工程と、
c.膨張した熱膨張材料を含む突起(2)のパターンを得るために、工程bで得られた布帛を熱処理する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
少なくとも前記突起(2)を、ポリマー層(3)で被覆する工程dをさらに含むことを特徴とする請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記布帛(1)の前記第1の面(1a)を、前記ポリマー層(3)で完全に被覆する工程をさらに含むことを特徴とする請求項
14または
15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱膨張性材料は、印刷によって前記布帛(1)に施されることを特徴とする請求項
14~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項
14に記載の工程bの方法によって得ることができる布帛。
【請求項19】
衣類を着用する場合、前記第1の面(1a)は、ユーザの身体に接触する面である請求項1~
13のいずれか1項に記載の布帛(1)を含む衣類。
【請求項20】
前記衣類の異なる部分には、異なるパターンの突起(2)が設けられている請求項
19に記載の衣類。
【請求項21】
衣類を着用する場合、前記第1の面(1a)は、ユーザの身体に接触する面である請求項
18に記載の布帛を含む衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛に関し、特に、着用者に有益な効果を提供することができる布帛、およびこの布帛を含む衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
セルライトは、肌の皺やくぼみの原因となる繊維結合組織(例えば、大腿部、腰部、および臀部)内の皮下脂肪の堆積物からなっており、多くの女性に影響を与えている。
【0003】
セルライトに対抗しうるようになっている衣類は、本発明の技術分野において公知である。
【0004】
例えば、従来の衣類の中のいくつかは、着用者に汗をかかせることによってセルライトに対して有益な効果をもたらすようにデザインされている。
【0005】
しかし、この種の衣類は、通常、満足のいく結果をもたらしていない。
【0006】
着用者に「マッサージ効果」をもたらす衣類も知られている。
【0007】
特許文献1には、穏やかな化粧用クレンジングから家庭の清掃、さらにその先の清掃に至るまでの、清掃のための様々なレベルの研磨特性を有する不織布の製造方法が開示されている。この方法は、濡れた布帛に、それに含まれている膨化剤により、加熱下で膨張するペーストを用いて、所望の形状のスクリーン印刷をする工程を含んでいる。
【0008】
特許文献2には、体内の特定の表面静脈の全長の少なくとも20%を目標とする圧縮を行うが、または静脈、特定のリンパ叢、排液叢またはリンパ管の集合の特定の叢の少なくとも20%を目標とする圧縮を行う少なくとも1つのパネルを含み、肌に着用する衣料品が開示されている。特許文献2には、ヒトまたは他の哺乳動物において、演技、特にスポーツの演技を向上させる方法において、ある期間活動した後に、ヒトまたは他の哺乳動物の回復時間を短縮させるのに有用な衣料品が開示されている。特許文献2には、パネルは、連続的でも不連続的でもよいこと、かつ、適切なプラスチックまたは他の材料を堆積させることによって、例えばインクジェット印刷によって、または予め作られた転写板を利用して作ることができることが開示されている。
【0009】
特許文献3には、保温性、抵抗低減および速乾性を改良するために、少なくとも1つの表面に弾力のある突出部を有する布帛が開示されている。特許文献3には、弾力のある突出部は、布帛の表面から外側を向き、かつ中に、ある量の空気または他の物質を閉じ込めている膨らみであることが開示されている。弾力のある突出部は、形状的に弾性があり、この弾性のある突出部を加圧しても、瞬時にほぼ元の形状に戻ることができる。
【0010】
特許文献4には、着用者がセルライトと戦うことを助ける弾性衣類が開示されており、突起部によって接触するように、衣類の内面の所望の領域に、突起部、隆起部、または凹凸部が設けられている。特許文献4においては、突起部の目的は、着用時にニット製衣類の曲率を局所的に変化させることにより、前述の所望の領域において、衣類が着用時に及ぼす圧縮を増大させることである。
【0011】
特許文献5には、少なくとも1つの領域を有し、その内面にピコットの網状組織を備える少なくとも1つのスリーブを備える衣類が開示されている。ピコットは、三角形のベースを有し、隣接するピコットの間に肺胞を形成するように網状組織内に分布されており、かつスリーブは、ピコットが少なくとも1つの肺胞内に肌突起を形成するのに十分な圧力を肌に加えることができるようにデザインされており、これにより、網状組織と身体部分との間で行われる相対運動中に肌突起をマイクロマッサージして、肌に「ピンチ」効果を与えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許出願公開第2444547号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/366735号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/366281号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0033696号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0100636号明細書
【0013】
しかし、セルライトに対して有益な効果をもたらすようにデザインされた従来の衣類は、通常、特に運動のために使用することを意図しており、日々の使用に適するように衣類に要求される審美的な外観を備えていない。
【0014】
また、突起は、例えば布帛の伸縮によって、ならびに着用者の身体との摩擦によって、たとえ短期間の使用であっても、損傷を受けるおそれがある。その結果、突起は、セルライトに対処する上で、この構造および効力を失ってしまう。
【0015】
さらに、突起と着用者の肌との摩擦は、衣類の着用中に不快感を引き起こすおそれがあり(特に、突起が損傷しているか、または構造が損われている場合)、かつ着用者の肌に、炎症を引き起こすおそれもある。
【0016】
その上、セルライトに対して有益な効果を発揮するようにデザインされた従来の衣類の製造方法は、一般に管理が難しく、高価につく。特に、特定の高さ、および/または特定の寸法などの特定の特徴を有する突起を布帛または衣類に付与するためには、複雑な方法を実施しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の課題は、容易で迅速かつ安価な方法で製造することができ、かつ着用者に有益な効果をもたらす布帛を提供することである。
【0018】
本発明の別の課題は、着用者に有益な効果をもたらし、長時間着用しても快適であり、かつ日常生活のための衣類に使用することができる布帛を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の課題は、ほとんど損傷を受けることなく、長時間の使用に耐えうる布帛を提供することである。
【0020】
本発明の更なる課題は、上述したような、布帛の製造方法、およびこの布帛を含む衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題およびその他の課題は、請求項1に記載の布帛によって達成される。またこの布帛は、請求項18に記載の方法によって製造され、かつ請求項23に記載の衣類に含まれるものである。
【0022】
したがって、本発明の対象物は、第1の面と第2の面とを有する布帛であって、この布帛は、突起のパターンとして、少なくとも前記第1の面に複数の突起を備え、前記突起は、膨張した熱膨張材料を含んでいる。
【0023】
言い換えると、本発明は、複数の突起を有する第1の面と第2の面とからなる布帛、好ましくは織布に関し、前記突起は、突起のパターンとして、少なくとも第1の面に設けられ、かつ加熱によって膨張した熱膨張材料を含んでいる。
【0024】
言い換えると、本発明の布帛の突起は、布帛に三次元構造、すなわち「隆起」または「突起」を付与するために、加熱、すなわち熱処理によって膨張させた材料含んでいる。
【0025】
本発明の一態様によれば、布帛の第1の面は、本発明の布帛を含む衣類を着用する場合に、布帛が着用者の身体に接触する面である。本発明の布帛における突起は、着用者の身体にマッサージ効果を与え、特にセルライトに対して、大きな効果を着用者に及ぼす。
【0026】
実施形態においては、突起は、布帛の第1の面のほぼ全面に設けられ、好ましくは布帛の第1の面の全面に設けられている。
【0027】
本発明の有利な態様によれば、突起は、「膨張した」熱膨張材料を含んでいるので、前記突起を布帛に直接形成することができる。
【0028】
例えば、熱膨張材料(またはこれを含む混合物)を布帛に、例えば印刷によって、塗布することができる。次に、印刷された布帛を加熱して、布帛に塗布された熱膨張材料の膨張(すなわち膨化)を誘導することができる。
【0029】
このようにして、熱膨張材料(またはこれを含む混合物)を、複数の要素(すなわち、複数の実質的な二次元要素)として、布帛に塗布する場合、前記要素が施された布帛を熱処理することによって、複数の突起(すなわち、実質的な三次元構造)が布帛上に直接形成される。
【0030】
本明細書で使用する、用語「実質的な二次元」は、他の2つの寸法に対して無視できる厚さを有する要素を指している。この用語は、要素が「二次元」である特定の場合を包含している。
【0031】
本明細書で使用する、用語「熱膨張材料」は、熱にさらされたときに、容積を増大させる材料を指している。従って熱膨張材料は、三次元構造(例えば突起)を形成するために、布帛に塗布、例えば印刷するのに適している。
【0032】
本明細書で使用する、用語「膨張した熱膨張材料」は、加熱(すなわち熱処理)された熱膨張材料を指しており、三次元構造(例えば突起)を付与するため、その容積が増大する。
【0033】
本発明の一態様によれば、熱膨張材料が一度「膨張」した後は、二度目の熱処理によってこれ以上膨張させることはできない。
【0034】
例えば、適切な熱膨張材料は、例えばポリマー熱膨張材料である。
【0035】
例えば印刷によって、布帛および衣類へ塗布するのに適する熱膨張性材料は、当技術分野で公知である。
【0036】
熱膨張性材料は、膨張インクであることが好ましい。膨張インクは当技術分野において公知である(例えば膨張インクパフ)。適切な膨張インクは、例えばアクリルポリマーベースの印刷ペースト、好ましくはシリコーンアクリルポリマーベースの印刷ペーストである。
【0037】
本発明の別の利点は、熱膨張材料(例えば、膨張インク)を使用し、加熱(すなわち、熱処理)のパラメータを調整することによって、異なる寸法(例えば、異なる高さ)の突起を布帛上に直接形成することができることである。
【0038】
言い換えると、例えば同じ量の同じ熱膨張材料を使用して、異なる構造的特徴、例えば、異なる高さの突起を有する異なるパターンの突起を形成することができる。
【0039】
したがって、製造方法の条件およびパラメータ、例えば、施される熱膨張材料の量、加熱温度、熱処理時間などを単に調整することによって、多種多様な異なる布帛を製造することができ、時間、エネルギー、およびコストを低減させることができる。
【0040】
本発明の布帛のさらなる利点は、少なくとも一部が本発明の布帛で作られている衣類を着用しているユーザの肌の温度上昇を誘発するということである。これにより、セルライトに対処する上でさらなる有益な効果がもたらされる。実際に、特定の科学的説明に拘束されることなく、マッサージ効果に加えて、ユーザの肌に対する本発明の布帛による機械的摩擦が、ユーザの肌の温度上昇をもたらすことが観察されている。例えば、本発明の布帛とユーザの肌との間の機械的摩擦は、日々の活動、および/または運動によって生じるものである。
【0041】
本発明の好ましい実施形態においては、少なくとも突起の部分は、ポリマー層で被覆されている。
【0042】
布帛の少なくとも突起にポリマー層を設けること、すなわち、突起と着用者の肌との間にポリマー層を設けると、布帛は着用者に有益な効果をもたらし、かつ長時間着用しても快適である布帛が得られるという利点があることが観察されている。
【0043】
特定の説明に拘束されることなく、布帛の少なくとも突起の部分を、ポリマー層で被覆することによって、ユーザの肌は、滑らかで柔らかい表面(特に滑らかで柔らかい表面を有する突起)に接触し、それと同時に、効果的に着用者の身体にマッサージを施し、かつこの衣類が使用される場合、たとえ長時間でも快適感が提供されることが観察されている。また、ポリマー層が布帛の少なくとも突起の部分に設けられている場合、布帛を含む衣類を着用しているユーザの肌の温度は、さらに上昇する。これは特にユーザの肌に布帛による機械的摩擦が生じている場合である。
【0044】
加えて、ポリマー層は、突起を損傷のおそれから保護し、布帛の寿命、ひいては布帛を含む衣類の寿命を、さらに延ばしている。
【0045】
実施形態においては、ポリマー層はポリマーフィルムである。言い換えると、ポリマー層の厚さは、突起の高さと比較して、無視できるものである。この場合、ポリマー層は、突起のパターンの輪郭にほとんど影響しないものである。言い換えると、突起は、ポリマー層が設けられていても、いなくても、ほぼ同じ寸法と高さを有している。
【0046】
実施形態においては、突起は、前記ポリマー層でほぼ完全に被覆されているか、または完全に被覆されている。この場合、突起全体は、損傷のおそれから保護されている。実施形態においては、本発明の布帛の少なくとも第1の面は、前記ポリマー層でほぼ完全に被覆されているか、または完全に被覆されている。本発明の布帛が、第1の面、すなわちポリマー層でほぼ完全に被覆されているか、または完全に被覆されている突起が設けられている面を有する場合、製造方法は、特に迅速かつ容易であるという利点を有している。
【0047】
実施形態においては、突起は、ポリマー層で完全に被覆されている。
【0048】
ポリマー層は、ポリウレタンを含んでいることが好ましく、かつ通気性ポリマー層であると、より好ましい。
【0049】
ポリマー層がポリウレタンを含む場合、このポリマー層は、特に滑らかで柔らかいので有利である。
【0050】
上述したように、複数の突起が、パターンを形成するようにして、本発明の布帛の少なくとも第1の面に設けられている。
【0051】
好ましい実施形態においては、突起は、平行な千鳥状の行をなすように配置されている。
【0052】
可能な実施形態においては、熱処理後において、行の突起は、突起の幅の1/5から突起の幅の5倍、好ましくは、突起の幅の1/3から突起の幅の3倍、より好ましくは、突起の幅の1/2から突起の幅の2倍の距離、互いに離間している。
【0053】
実施形態においては、熱処理前には、「突起」(熱処理前には未だ「突起」ではなく、熱膨張材料を含む実質的な二次元要素)は、「突起」(すなわち、実質的な二次元要素)の幅の1倍から2倍の距離だけ、互いに離間している。
【0054】
熱処理前の実施形態においては、実質的な二次元要素(これは、加熱により突起を形成するため、に容積が増大している)は、2つの実質的な二次元要素の間の空間(すなわち距離)の1/2(半分)の幅を有している。好ましい実施形態においては、この測定値は、熱処理前の値である。熱処理後、すなわち突起形成後には、この値(すなわち、2つの突起間の距離および突起の幅)は、互いに等しいことが好ましい。
【0055】
実施形態においては、行における突起同士は、突起の幅とほぼ等しい距離だけ、互いに離間している。
【0056】
本明細書における、用語「幅」は、突起が位置している行の方向における突起の寸法のことである。
【0057】
本明細書における、用語「長さ」は、突起が位置している行の方向に対して直交する方向で測定された突起の寸法である。
【0058】
他に示さない限り、用語「距離」は、2つの「突起」の間の距離を指している。言い換えると、他に示さない限り、用語「距離」は、熱膨張材料の「膨張」(すなわち、「膨化」)後の布帛を指している。
【0059】
したがって、熱膨張材料が、熱処理前、すなわち膨張前に塗布される場合、前記熱膨張材料は、要素のパターン、すなわち実質的な二次元要素として布帛に塗布される。この実質的な二次元要素は、加熱後に、選択された距離だけ離間している突起(膨張した熱膨張材料を含んでいる)のパターンを付与する熱膨張材料を含んでいる。
【0060】
熱処理後(すなわち「膨張」後)の2つの突起間の距離は、一般に、熱膨張材料の膨張前、すなわち熱処理前の実質的な二次元要素間の距離よりも短い。
【0061】
言い換えると、熱膨張材料(またはこれを含む混合物)は、パターンの要素が一定の距離だけ互いに離間している実質的な二次元要素のパターンに沿って、布帛上に印刷することができる。次に、印刷された布地を加熱して、熱膨張材料の膨張(すなわち膨化)を誘導し、これにより、加熱前に印刷された熱膨張材料要素間の距離よりも小さい距離だけ互いに離間している突起のパターンが付与されることになる。
【0062】
上述したように、突起は、平行な千鳥状の行をなすように配置されていることが好ましく、また突起は、すべての行において、同じ距離だけ離間していることが好ましい。
【0063】
実施形態においては、突起は、平行な千鳥状の行に配置されているので、行は、突起の幅とほぼ等しい距離、または等しい距離だけ、前の行に対してずれている。
【0064】
実施形態においては、2つの非千鳥状の行(すなわち、2つの隣接しない行、すなわち、千鳥状の行によって分離されている2つの行)の間の距離は、同じ行の2つの隣接する突起間の距離よりも大きい。
【0065】
実施形態においては、2つの非千鳥状の行(すなわち、2つの隣接しない行、すなわち、千鳥状の行によって分離されている2つの行)は、突起の長さとほぼ等しい距離、または等しい距離だけ分離されている。
【0066】
例えば、2つの隣接していない行(すなわち、千鳥状に配置されていない2つの行)の間の距離は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲である。
【0067】
実施形態においては、前の行の2つの突起と、次の行の2つの突起とのほぼ中間に、行の突起を配置させるために、突起の行は、千鳥状に配置されている。
【0068】
前の行の2つの突起と、次の行の2つの突起との間のほぼ中間に、行の突起を配置させるために、突起の行が千鳥状に配置されている場合、布帛は、着用者の肌に、「分離した」圧力点を付与するという利点を有することが観察されている。
【0069】
言い換えると、前の行の2つの突起と、次の行の2つの突起との間のほぼ中間に、行の突起を配置するために、突起の行が千鳥状に配置されている場合、この隣接する突起間の距離によって、各突起の肌との接触が、他の突起の肌との接触に実質的に影響しないようになり、これにより、布帛は、着用者の肌に対して、効果的なマッサージ効果をもたらす。
【0070】
実施形態においては、突起は、ほぼ六角形の配置に従って、または六角形の配置に従って、好ましくはほぼ正六角形の配置に従って、または正六角形の配置に従って配置された6つの隣接する突起によって取り囲まれるように配置されている。
【0071】
本明細書で使用する、用語「ほぼ六角形」および「ほぼ正六角形」は、各突起が、6つの隣接する突起によって取り囲まれている場合に、突起のパターンとして可能な2つの配置を指している。特に、用語「ほぼ六角形」は、決定された突起を取り囲む6つの突起が6つの辺を有する多角形の6つの頂点を表すように配置されている形状を指している。用語「ほぼ正六角形」は、多角形の6つの辺がほぼ同じ長さを有する形状を指している。用語「ほぼ六角形」および「ほぼ正六角形」は、特定の形状である「六角形」と「正六角形」とを包含している。
【0072】
実施形態においては、突起は、2つの突起が上下に重なり合って形成された繰返し単位として配置されており、下の突起は、上の突起に対してずれるようになっている。上述したように、この繰返し単位は、突起のパターンを付与するために、布帛の上に数回繰返えされる。
【0073】
本発明の一態様によれば、突起は、布帛と接触するベースを有している。
【0074】
本発明の実施形態においては、突起のベースの形状は、膨張前、すなわち熱処理前に布帛に施す熱膨張材料を含む実質的な二次元要素の形状とほぼ対応している。
【0075】
言い換えると、例えば、熱膨張材料(またはこれを含む混合物)を、選択された形状を有する実質的な二次元要素のパターンに従って、布帛に印刷することができる。次に、印刷された布帛を加熱して(膨張した熱膨張材料を得るため)、熱膨張材料の膨張(すなわち膨化)を誘導し、加熱前の印刷パターンの要素の形状にほぼ対応する形状のベースを有する布帛に接触する突起のパターンを付与する。例えば、印刷されたパターンの実質的な二次元要素が、ほぼ卵または卵(例えば、ほぼ楕円または楕円)の形状を有する場合、対応する突起は、ほぼ卵または卵(例えば、ほぼ楕円または楕円)の形状を有するベースを有することとなる。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語「ほぼ卵」は、卵に似た閉曲線形状を指している。用語「ほぼ卵」は、特定の卵形を包含している。用語「楕円形」は、特定の例、または「卵形」を指しており、ここで卵は楕円のことである。用語「ほぼ楕円形」は、特定の楕円形を包含している。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「ほぼ円形」は、円に似た閉じた曲線形状を指している。この用語は、特定の形状の円を包含している。
【0078】
実施形態においては、突起のベース(すなわち、熱処理後)は、突起が由来する実質的な二次元要素(すなわち、熱処理の前)に対して、寸法が増大している。
【0079】
本発明の実施形態においては、突起は、ほぼ卵形(例えば、楕円形)、円形または多角形であってもよいベースの形状を有している。
【0080】
例えば、ベースの形状が、ほぼ楕円である場合、その長軸の寸法は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲とすることができる。
【0081】
さらに、ベースの形状がほぼ楕円の場合、短軸の寸法は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲とすることができる。
【0082】
短軸/長軸の比は、0.1~0.5の範囲であることが好ましい。もちろん、楕円(または、ほぼ楕円形)の場合、長軸は常に短軸より長い。
【0083】
例えば、ベースの形状がほぼ円の場合、直径は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲とすることができる。
【0084】
突起のベースの形状がほぼ楕円の場合、突起の用語「幅」は、楕円の短軸とほぼ対応する寸法を示している。
【0085】
逆に、突起のベースの形状がほぼ楕円の場合、突起の「長さ」は、楕円の長軸とほぼ対応する寸法を示している。
【0086】
実施形態においては、突起のベースの形状がほぼ円の場合、突起の「幅」および「長さ」は、いずれもほぼ円の直径に対応している。
【0087】
実施形態においては、突起の高さは、布帛の厚さ、すなわち布帛の第1の面が第2の面から離れている距離よりも小さい(すなわち、低い)。
【0088】
突起の高さは、例えば布帛の厚さの1/10~1/2の範囲、好ましくは、布帛の厚さの2/10~2/5の範囲、より好ましくは、布帛の厚さの1/4~3/10の範囲とされる。
【0089】
実施形態においては、突起の高さは、0.01mm~1mm、好ましくは0.05~0.5mm、より好ましくは0.08mm~0.3mmの範囲である。
【0090】
突起の高さは、平均0.2mmであることが好ましい。
【0091】
突起が上述の高さを有する場合、本発明の布帛は、着用者に不快感を与えることなく、着用者の身体に、マッサージ効果(すなわち、セルライトコントラスト作用)を付与することができる。
【0092】
実施形態においては、すべての突起は、ほぼ同じ高さ、または同じ高さである。
【0093】
本明細書で使用する、用語「ほぼ同じ高さ」は、異なる突起において、高さの違いを無視することができる突起を指している。用語「ほぼ同じ高さ」は、すべての突起が同じ高さである場合を包含している。
【0094】
突起およびポリマー層の寸法は、張力が掛けられていない布帛、すなわち伸ばされていない布帛を測定したものである。
【0095】
本発明の布帛の剛性は、ASTM D4032に従って測定して、2.5~0.95N、好ましくは2~0.75N、より好ましくは1.5~0.5Nの範囲であることが好ましい。
【0096】
本発明の布帛がASTM D4032に従って測定して、2.5~0.95Nの範囲の剛性を有する場合、この布帛は、ユーザの肌にとって特に快適であり、ユーザは、本発明の布帛を含む衣類を、容易に着用して運動することができるという利点を有する。
【0097】
実施形態においては、布帛の第1の面の突起の分布は、20個/cm2~5個/cm2、好ましくは16個/cm2~8個/cm2、より好ましくは10個/cm2の範囲である。
【0098】
実施形態においては、布帛の第1の面の突起の分布は、均一であってもよく、また不均一であってもよい。言い換えると、突起は、布帛全体にわたって(例えば、布帛の第1の面全体にわたって)同じ分布であってもよく、布帛の異なる領域において異なる分布であってもよい。例えば、布帛のある領域では、突起は、20個/cm2の分布であってもよく、他の領域では、10個/cm2の分布であってもよい。
【0099】
上述したように、好ましい実施形態では、ポリマー層は、布帛の少なくとも突起に設けられている。
【0100】
ポリマー層は、ポリウレタンを含んでいることが好ましく、かつ通気性ポリマー層であると、より好ましい。
【0101】
ポリマー層がポリウレタンを含んでいる場合、ポリマー層は、特に滑らかで柔らかいという利点を有している。
【0102】
実施形態においては、ポリマー層は、0.001mm~0.05mm、好ましくは0.0015mm~0.03mm、より好ましくは0.002mm~0.02mmの範囲の厚さを有している。
【0103】
上述したように、好ましい実施形態においては、ポリマー層の厚さは、突起の高さと比較して無視できるものであり、例えば、ポリマー層は、ポリマーフィルムであってもよい。
【0104】
好ましい実施形態においては、本発明の布帛は、織布、より好ましくは弾性織布である。
【0105】
前記織布の縦糸方向における伸び率は、10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは50%以上、さらにより好ましくは75%以上、なおさらにより好ましくは、最大100%であり(3回の家庭での洗浄後に、ASTM D3107-伸縮性に従って測定)、かつ、前記織布の横糸方向における伸び率は、10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは50%以上、さらにより好ましくは75%以上、なおさらにより好ましくは、最大100%(ASTM D3107-伸縮性、3回の家庭での洗浄後)である。
【0106】
実施形態においては、縦糸方向および/または横糸方向における織布の伸び率は、10%~100%、好ましくは15%~100%、より好ましくは15%~75%、さらにより好ましくは15%~50%の範囲となっている(3回の家庭での洗浄後に、ASTM D3107-伸縮性に従って測定)。
【0107】
縦糸方向および/または横糸方向における最大100%の伸び率(3回の家庭での洗浄後に、ASTM D3107-伸縮性に従って測定)は、突起および/またはポリマー層を損傷することなく、本発明の織布を繰り返し伸縮することができるという利点を有している。
【0108】
また、縦糸方向および/または横糸方向における最大100%の伸び率(3回の家庭での洗浄後に、ASTM D3107-伸縮性に従って測定)は、肌に着用するようになっている衣類の製造を可能にし、これにより、ユーザの肌に圧縮を加えることができるという利点を有している。
【0109】
ASTM D3107では、1.36kg(3.0ポンド)または1.81kg(4.0ポンド)の錘でサンプルを伸縮することができる。1.36kg(3.0ポンド)または1.81kg(4.0ポンド)のいずれかの錘を使用すると、試験結果に大きな差はないことが証明されている。本開示では、ASTM D3107による伸縮を1.36kg(3.0ポンド)の錘で測定した。
【0110】
実施形態においては、布帛は、一方向伸縮布帛であってもよく、また二方向伸縮布帛であってもよい。
【0111】
言い換えると、布帛は、縦糸方向または横糸方向に、また縦糸および横糸の両方向に伸縮することができるものであってもよい。
【0112】
実施形態においては、布帛は、多軸伸縮性布帛、すなわち、あらゆる方向に伸縮することができるものであってもよい。
【0113】
本発明の布帛は、デニム生地、より好ましくは弾性デニム生地であることが好ましい。
【0114】
本発明の布帛がデニム生地の場合、この布帛は、日常的に使用する衣類の製造に、すなわち、セルライトに対して有益な効果を発揮し、かつ日々の生活用に着用することができる衣類の製造に、特に適している。
【0115】
本発明の別の課題は、以下の工程を含む布帛の製造方法を提供することである。
a.第1の面と第2の面とを有する布帛を準備する工程。
b.実質的な二次元要素のパターンとして、前記布帛の少なくとも前記第1の面に熱膨張材料を施す工程。
c.膨張した熱膨張材料を含む突起のパターンを得るために、工程bで得られた布帛を熱処理する工程。
【0116】
本発明の一態様によれば、熱膨張材料が一度「膨張」した後は、二度目の熱処理によって、これ以上膨張させることはできない。
【0117】
本発明の方法は、少なくとも突起をポリマー層で被覆する工程dを、さらに含んでいることが好ましい。
【0118】
本発明の方法は、布帛の第1の面をポリマー層でほぼ完全に被覆するか、好ましくは完全に被覆する工程を、さらに含んでいることが好ましい。
【0119】
上述したように、本発明の一態様によれば、本発明の布帛を含む衣料品、すなわち衣類を着用する場合、布帛の第1の面は、着用者の身体に接触する面である。
【0120】
本発明の一態様によれば、熱膨張材料(またはこれを含む混合物)は、選択された距離だけ互いに離間している実質的な二次元要素のパターンとして、布帛に施されている。
【0121】
本発明の一態様によれば、熱膨張材料を、実質的な二次元要素のパターンとして、例えば、印刷によって布帛に塗布する。次に、この布帛を熱処理して、突起、すなわち突起のパターンを得る。
【0122】
例えば、熱膨張材料は、液体の形態で、またはペーストの形態で布帛に施してもよい。熱処理は、熱膨張材料の容積を増大させるために行われ、これにより、布帛に突起が形成される。
【0123】
加熱温度および加熱時間は、所望の特性(例えば、高さ、寸法)を有する突起を得るために、熱膨張材料の化学的組成に応じて調整することができる。
【0124】
例えば、熱膨張材料が膨張インクの場合、膨張インクを「膨張」させるために、すなわち突起を得るために、100℃~210℃、好ましくは130℃~200℃、より好ましくは150℃~190℃の温度範囲で、織布を熱処理してもよい。
【0125】
熱膨張材料を、印刷によって布帛に施すことが好ましい。これは、複数の実質的な二次元印刷要素、すなわち、その後に熱処理されて、突起のパターンを付与する印刷要素のパターンを施すことである。
【0126】
本発明の別の課題は、本発明の方法の工程bに従って得ることができる布帛である。すなわち、熱処理前に、布帛の少なくとも第1の面に、熱膨張材料が付与された布帛である。
【0127】
本発明の方法の工程bに従って得られた布帛を、必要に応じて、貯蔵し、熱処理をすることができるという利点を有している。
【0128】
本発明の方法の工程bに従って得られた布帛を、衣類に利用することができる。この場合、ユーザは、必要に応じて、膨張した熱膨張材料からなる突起のパターンを含む衣類を得るために、衣類を熱処理することができるという利点を有している。
【0129】
本発明の更なる課題は、本発明による布帛を含む衣類である。すなわち、第1の面と第2の面とを有する布帛であって、この布帛は、布帛の少なくとも第1の面に、突起のパターンとして設けられた複数の突起を備えており、この突起は、膨張した熱膨張材料、すなわち加熱によって膨張した熱膨張材料を含んでいる。
【0130】
本発明の一態様によれば、少なくとも上記の突起のパターンが設けられた布帛の第1の面は、衣類を着用した場合、ユーザの身体と接触する面である。
【0131】
好ましくは織布である本発明の布帛を含む衣類は、着用者の身体にマッサージ効果をもたらし、これにより、セルライトと戦い、対処し、長時間着用した後でも、快適であるという利点が得られる。
【0132】
また、本発明の布帛を含む衣類は、衣類を着用しているユーザの肌の温度を上昇させるという利点を有している。すなわち、マッサージ効果に加えて、ユーザの肌に対する本発明の布帛による機械的摩擦は、ユーザの肌の温度を上昇させる。
【0133】
このことは、布帛に、少なくとも突起を被覆するポリマー層が設けられている場合に、特に当てはまる。実際、この場合、特にユーザの肌に、衣類による機械的摩擦が生じていると、ユーザの肌の温度が、さらに上昇することが観察されている。
【0134】
実施形態においては、本発明の衣類は、異なる突起のパターン、すなわち、異なる形状および/または高さ、および/または分布を有する突起のパターンである異なる部分を含むことができる。
【0135】
衣類は、本発明の織布の異なる実施形態の「パッチワーク」として構成することができ、そのため、衣類の異なる部分に異なるマッサージ効果を付与することができるという利点を有している。
【0136】
実施形態においては、本発明の衣類は、ズボン、レギンス、ショーツ、またはシャツ、Tシャツあるいは長袖シャツ等である。
【0137】
例えば、本発明の衣類は、ユーザの肌に圧縮を加えられるようにして、肌に着用するようになっていてもよい。
【0138】
本発明の例示的および非限定的な実施形態、ならびに特徴を示している添付の図面を参照して、本発明を、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【
図1】本発明の布帛の一実施形態を示す模式断面図である。
【
図2】ポリマー層が設けられている本発明の布帛の一実施形態を示す模式断面図である。
【
図3】ポリマー層が設けられている本発明の布帛の別の実施形態を示す模式断面図である。
【
図4A】本発明の布帛に使用するのに適する突起のパターンの例示的な一実施形態を示す図である。
【
図4B】本発明の布帛に使用するのに適する突起のパターンの例示的な別の実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の布帛の突起の一実施形態を示す模式図である。
【
図6】本発明の布帛の突起の別の実施形態を示す模式図である。
【
図7A】熱処理前の熱膨張材料を含む実質的な二次元要素のパターンを示す模式図である。
【
図7B】熱処理後の熱膨張材料に由来する突起のパターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0140】
本発明は、第1の面と第2の面とを有し、かつ、突起のパターンとして、少なくとも第1の面に設けられている複数の突起を備える布帛に関する。この突起は、膨張した熱膨張材料、すなわち加熱によって膨張した熱膨張材料を含んでいる。
【0141】
言い換えると、この突起は、熱膨張材料を熱処理することによって設けられる。これにより、熱膨張材料は、加熱されると、三次元構造、すなわち突起を形成するために膨らむ(すなわち「膨張する」、すなわち、容積を増大させる)。
【0142】
図1は、本発明の布帛1の一実施形態を示す模式断面図である。
【0143】
図1は、第1の面1aと第2の面1bとを有する布帛1を示す図である。
【0144】
第1の面1aには、複数の突起2が設けられている。
【0145】
各突起2は、卵形(例えば、楕円形)、円形または多角形などの形状とすることができるベース4を有している。
【0146】
上述したように、突起2のパターンは、例えば、印刷によって布帛1に予め施された熱膨張材料を熱処理することにより、布帛1に設けられている。
【0147】
言い換えると、ほぼ二次元的な印刷要素のパターンを設けるために、膨張インク等の熱膨張材料を、布帛1に印刷することができる。次に、印刷された布帛は加熱され、これにより、熱膨張材料の膨張が誘発されて、その容積が増大し、これにより、三次元構造のパターン、すなわち突起2のパターンが得られる。したがって、上述したように、突起2は、膨張した熱膨張材料を含んでいる。
【0148】
突起2のベース4の形状は、突起2が由来する印刷要素の形状とほぼ対応している。言い換えると、例えば、実質的な二次元要素が、卵形で布帛に印刷されている場合、このような要素に由来する突起2は、ほぼ卵形のベース4を有している。実施形態においては、突起2のベース4の寸法、すなわちベース4の面積は、突起2が由来する印刷要素の面積よりも大とすることができる。実施形態においては、突起2のベース4の寸法は、突起2が由来する印刷要素の面積よりも大であり、かつ、ほぼ同じ形状、例えば卵形とすることができる。例えば、卵形の実質的な二次元要素を熱処理して、ベース4を有する突起2を設けることができる。ベース4は、突起2が由来する卵形の実質的な二次元要素の面積よりも広い面積を有し、ほぼ卵形である。
【0149】
本発明の一態様によれば、衣類が着用されている場合、突起2は、ユーザすなわち布帛1を含む衣類、例えばズボンを着用している人の身体に接触する布帛1の面である布帛1の少なくとも第1の面1aに設けられている。
【0150】
突起2は、着用者の身体にマッサージ効果を施し、これによりセルライトに対処する上で有益な効果がもたらされる。
【0151】
マッサージ効果に加えて、ユーザの肌に対する突起2による機械的摩擦は、ユーザの肌の温度を上昇させ、これにより、セルライトに対処する上で、さらに有益な効果がもたらされる。例えば、布帛1の突起2と、ユーザの肌との間の機械的摩擦は、日々の活動、および/または運動に伴って生じるものである。
【0152】
布帛1は、織布であることが好ましく、弾性織布であることがより好ましい。
【0153】
例えば、布帛1は、デニム生地、好ましくは弾性デニム生地であってもよい。
【0154】
図2は、ポリマー層が設けられている場合の本発明の布帛の一実施形態の断面模式図である。
【0155】
図2は、複数の突起2が設けられている第1の面1aと第2の面1bとを有する布帛1を示している。
【0156】
各突起2は、布帛1の第1の面1aに接触するベース4を有している。
【0157】
図2の実施形態では、第1の面1aおよび突起2を完全に覆う(すなわち完全に被覆する)ために、ポリマー層3が布帛1に設けられている。
【0158】
上述したように、布帛1は、弾性織布であることが好ましく、織布1の伸び率は、縦糸方向と横糸方向との両方において、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは50%以上、さらにより好ましくは75%以上、そして最も好ましくは最大100%である(3回の家庭での洗浄後に、ASTM D3107-伸縮性に従って測定)。
【0159】
実施形態においては、布帛1が弾性織布の場合、縦糸方向および/または横糸方向における織布の伸び率は、10%~100%、好ましくは15%~100%、より好ましくは15%~75%、さらに好ましくは15%~50%の範囲となっている(3回の家庭での洗浄後に、ASTM D3107-伸縮性に従って測定)。
【0160】
この場合、突起2およびポリマー層3は、長時間の使用、すなわち繰り返しの伸縮(すなわち伸長)によって悪影響を受けないという利点を有する。
【0161】
実施形態においては、布帛1は、一方向伸縮布帛または二方向伸縮布帛であってもよい。言い換えると、布帛1は、縦糸方向または横糸方向に、または縦糸および横糸方向の両方に伸縮することができる布帛であってもよい。
【0162】
実施形態においては、布帛1は、多軸伸縮性布帛、すなわち、あらゆる方向に伸縮することができる布帛であってもよい。
【0163】
図2に示す実施形態では、第1の面1aおよび突起2を、ほぼ完全に覆うか、または完全に覆う(すなわち、ほぼ完全に被覆または完全に被覆する)ために設けられているポリマー層3は、突起2を損傷および劣化のおそれから保護し、さらに、布帛1(すなわち、突起2を含む第1の面1a)に平滑な表面をもたらしており、これにより、布帛1を含む衣類は、それが着用されている場合、セルライトコントラスト作用をもたらすという効果と、着用者の肌に、快適さ、滑らかさ、および柔らかさをもたらすという効果を発揮することとなる利点を有している。
【0164】
加えて、特にユーザの肌に布帛1の突起2による機械的摩擦が生じている場合、ポリマー層3は、布帛1を含む衣類を着用しているユーザの肌に、特に高い温度上昇をもたらす。
【0165】
ポリマー層3は、突起2のパターンの輪郭に実質的に影響を与えないようなものであることが好ましい。この場合、ポリマー層3は、突起2によってもたらされるマッサージ効果に影響を及ぼすことはない。すなわち、ポリマー層3が存在する場合も、存在しない場合も、この効果は、ほぼ同じである。実施形態においては、ポリマー層3はポリマーフィルムであってもよい。ポリマー層3は、滑らかで柔らかい表面を有する突起2を形成するという利点を有している。
【0166】
【0167】
図3の実施形態では、ポリマー層3は、布帛1の第1の面1aのすべてを覆ってはいない。すなわち被覆しておらず、突起2を被覆するためのものとして設けられている。
【0168】
各突起2は、ベース4を有している。
【0169】
この場合においても、ポリマー層3は、滑らかで柔らかい表面を有する突起2をもたらしている。加えて、突起2は、例えば長時間の使用による損傷のおそれから保護されている。
【0170】
図4Aおよび
図4Bは、本発明の布帛1に使用するのに適する突起2のパターンの例示的な実施形態を示している。
【0171】
図4Aおよび
図4Bは、本発明の布帛1(例えば、布帛1の第1の面1a)に施すのに適している突起2の2つのパターンの平面図を示している。
図4Aおよび
図4Bの平面図における突起2の形状は、突起2のベース4の形状と対応しており、
図4Aおよび
図4Bの両方の実施形態において、ほぼ卵形である。
【0172】
図4Aでは、
図4Bと同様に、全ての突起2は、同じ寸法である。
【0173】
図4Aおよび
図4Bでは、突起2は、千鳥状の行R1、R2に配列されている。すなわち、突起2は、第1の行R1に沿って、第2の行R2と互い違いになるように配列されており、第2の行R2は、第1の行R1に対してずれるようになっており、第1の行R1は、第2の行R2に対してずれるようになっている。
【0174】
図4Aおよび
図4Bでは、突起2は、千鳥状の行R1、R2に配列されているので、第1の行R1の各突起2は、前の第2の行R2と次の第2の行R2における2つの突起2の間のほぼ中間に配置されている。
【0175】
同様に、
図4Aおよび
図4Bでは、突起2は、千鳥状の行R1、R2に配列されているので、第2の行R2の各突起2は、前の第1の行R1と、次の第1の行R1における2つの突起2の間のほぼ中間に配置されている。
【0176】
図4Aおよび
図4Bに示す実施形態においては、各突起2は、ほぼ六角形を形成するように配置された6つの隣接する突起2によって取り囲まれている。
【0177】
実施形態においては、突起2は、布帛1の第1の面1aのほぼ全面に設けられている。
【0178】
図5および
図6は、本発明の織布1の突起2の実施形態の模式図である。
【0179】
図5および
図6は、本発明の織布1(例えば、織布1の第1の面1a)に施すのに適した突起2の2つのパターンの平面図を示している。
【0180】
突起2の平面図における形状は、突起2のベース4の形状に対応しており、
図5および
図6の両方の実施形態において、ほぼ楕円形である。
【0181】
図5では、突起2は、第1の幅W1と第1の長さL1とを有しており、すべての突起2は、同じ寸法、すなわち、同じ第1の幅W1と、同じ第1の長さL1とを有している。
【0182】
図5では、突起2の第1の幅W1は、ベース4のほぼ楕円形の短軸にほぼ相当しており、第1の長さL1は、ベース4のほぼ楕円形の長軸にほぼ相当している。
【0183】
図5および
図6では、突起2は、千鳥状の行R1、R2に配列されており、
図5および
図6では、第1の行R1、および第1の行R1に対してずれるようになっている第2の行R2が模式的に示されている。
【0184】
図5は、第1の行R1における2つの隣接する突起2が、第1の距離D1だけ離間しており、第2の行R2における2つの隣接する突起2が、同じ第1の距離D1だけ離間しているパターンを示している。
【0185】
さらに、
図5は、同じ第1の行R1および同じ第2の行R2における2つの隣接する突起2が、突起2の第1の幅W1のほぼ2倍である第1の距離D1だけ離間しているパターンを示している。
【0186】
第2の行R2における突起2は、前の第1の行R1における2つの突起2の間の第1の距離D1のほぼ中間に配置されている。
【0187】
図6では、突起2は、第2の幅W2と第2の長さL2とを有しており、すべての突起2は、同じ寸法、すなわち、同じ第2の幅W2と同じ第2の長さL2とを有している。
【0188】
図5と同様に、
図6の実施形態においても、突起2の第2の幅W2は、ベース4のほぼ楕円形の短軸にほぼ相当しており、第2の長さL2は、ベース4のほぼ楕円形の長軸にほぼ相当している。
【0189】
図5と同様に、
図6でも、すべての突起2が同じ寸法、すなわち同じ第2の幅W2と、同じ第2の長さL2とを有するパターンを示している。
【0190】
図6は、同じ第1の行R1、および同じ第2の行R2における2つの隣接する突起2が、突起2の第2の幅W2とほぼ等しい第2の距離D2だけ離間しているパターンを示している。
【0191】
例えば、突起2は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲の幅(
図5及び
図6において、それぞれ第1の幅W1、第2の幅W2)を有している。
【0192】
実施形態においては、同じ第1の行R1および/または同じ第2の行R2における2つの隣接する突起2は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲の距離(
図5及び
図6において、それぞれ第1の距離D1、第2の距離D2)だけ離間している。
【0193】
実施形態においては、2つの第1の行R1の間、および/または2つの第2の行R2の間の距離(すなわち、千鳥配列の第2の行R2によって分離されている2つの第1の行R1の間の距離、および/または千鳥配列の第1の行R1によって分離されている2つの第2の行R2の間の距離)は、同じ第1の行R1、または第2の行R2における2つの隣接する突起2の間の距離よりも大きい。
【0194】
実施形態においては、千鳥配列の第1の行R1、および第2の行R2のパターンを考慮すると、2つの第1の行R1、および/または2つの第2の行R2(すなわち、千鳥配列の第2の行R2によって分離されている2つの第1の行R1、および/または千鳥配列の第1の行R1によって分離されている2つの第2の行R2)は、突起2の長さ(
図5および
図6のそれぞれにおける第1の長さL1、第2の長さL2)とほぼ等しい距離だけ分離されている。
【0195】
例えば、2つの第1の行R1(千鳥配列されていない)の間の距離は、0.1mm~5mm、好ましくは0.2mm~3mm、より好ましくは0.25mm~2mmの範囲とすることができる。
【0196】
用語「第1の幅W1」、「第1の長さL1」および「第1の距離D1」(
図5)、および用語「第2の幅W2」、「第2の長さL2」および「第2の距離D2」(
図6)は、本発明の布帛1の少なくとも第1の面1aに設けられた突起2のパターンの「最終」の特徴、すなわち「最終」の布帛を指している。
【0197】
図7Aおよび
図7Bは、それぞれ、熱処理前の熱膨張材料を含む実質的な二次元要素5のパターンの模式図(
図7A)、および熱処理後の熱膨張材料に由来する膨張した熱膨張材料を含む突起2のパターンの模式図(
図7B)である。
【0198】
図7Aは、例えば印刷によって布帛1に施すことができる熱膨張性材料を含む実質的な二次元要素5の例示的なパターンを示している。
【0199】
図7Aでは、実質的な二次元要素5は、千鳥状の行R1、R2に配列されており、第1の行R1、および第1の行R1に対してずれるようになっている第2の行R2が模式的に示されている。
【0200】
同じ第1の行R1または第2の行R2における実質的な二次元要素5は、初期距離D3だけ互いに離間されている。
【0201】
実質的な二次元要素5は、所定の初期幅W3および所定の初期長さL3を有している。
【0202】
この実質的な二次元要素5が施されている布帛1は、加熱され、熱膨張材料は、容積を増大させ、すなわち膨張して、膨張した熱膨張材料を含む突起2のパターンが設けられる。
【0203】
言い換えると、この熱処理は、熱膨張材料の膨張を引き起こし、これにより、実質的な二次元要素5は、容積を増大させて三次元構造、すなわち突起2を形成する。
【0204】
突起2のベース4の形状は、膨張前、すなわち熱処理前の布帛1に施された熱膨張材料を含む実質的な二次元要素5の形状とほぼ「対応」している。
図7Aおよび
図7Bの実施形態では、この実質的な二次元要素5は、布帛に卵形に施されている。したがって、このような実質的な二次元要素5に由来する突起2は、ほぼ卵の形状を有している。
【0205】
もちろん、「膨張」後(すなわち、熱処理後)、突起2(
図7B)の最終幅W4、および最終長さL4は、突起2が由来する実質的な二次元要素5(
図7A)の初期幅W3、および初期長さL3よりも一般に大きい。
【0206】
熱膨張材料(またはこれを含む混合物)を、熱処理前、すなわち膨張前に塗布する場合、この熱膨張材料は、選択された最終距離D4だけ離間されている突起2のパターンを得ることができる実質的な二次元要素5のパターンに沿って、布帛に塗布される。
【0207】
言い換えると、各実質的な二次元要素5の初期幅W3および初期長さL3、ならびにこのような実質的な二次元要素5の間の初期距離D3は、所定の最終幅W4、最終長さL4および最終距離D4を有する突起2のパターンを熱処理後に得るために、選択されている。
【0208】
上述したように、突起2の最終幅W4および最終長さL4は、一般に、突起2が由来する実質的な二次元要素5の初期幅W3および初期長さL3よりも大きい。
【0209】
反対に、2つの隣接する突起2の間の最終距離D4は、一般に、突起2が由来する2つの隣接する実質的な二次元要素5の間の初期距離D3よりも小さい。
【0210】
例えば、同じ行R1、R2における2つの隣接する実質的な二次元要素5が、熱処理前の実質的な二次元要素5の初期幅W3のほぼ2倍である初期距離D3だけ互いに離間するように、実質的な二次元要素5のパターンを布帛1に施すことができる。一方、熱処理後には、突起2のパターンは、実質的な二次元要素5に由来するので、同じ行R1、R2における2つの隣接する突起2の間の最終距離D4は、突起2の最終幅W4とほぼ等しくなる。
【0211】
実質的な二次元要素5の初期寸法、およびこの実質的な二次元要素5の間の初期距離D3は、突起2のパターンを得るために選択することができるという利点を有している。突起2は、所定の最終幅W4、最終長さL4を有しており、かつ突起2は、予め選択された最終距離D4だけ互いに離間している。
【0212】
所定の特徴、例えば突起2の所定の最終幅W4、所定の最終長さL4、および突起2の間の所定の最終距離D4を有する突起2のパターンを得るために、本発明の布帛1の製造方法の条件およびパラメータ、例えば加熱温度、熱処理時間などを調整することができる。
【0213】
用語「初期幅W3」、「初期長さL3」および「初期距離D3」(
図7A)は、熱処理前の、すなわち実質的な二次元要素5の突起2への「変換」前の布帛1に施される実質的な二次元要素5のパターンの「初期」特徴を指している。
【0214】
逆に、
図7Bに模式的に示されている実施形態における用語「最終幅W4」、「最終長さL4」および「最終距離D4」は、本発明の布帛1の少なくとも第1の面1aに設けられている突起2のパターンの「最終的な」特徴、すなわち実質的な二次元要素5の突起2への「変換」後の「最終的な」布帛を指している。
【0215】
上述したように、本発明は、セルライト対する従来の布帛および衣類に比べて、いくつかの利点を有している。
【0216】
例えば、本発明の布帛は、着用者(例えば、セルライトに対処している)に有益な効果をもたらし、かつ、長時間着用しても快適である。
【0217】
加えて、好ましい実施形態においては、ポリマー層は、突起を磨耗損傷から保護し、これにより突起を備える布帛および衣類の寿命を延ばしている。
【0218】
さらに、本発明の布帛で作られている衣類を着用すると、着用者の肌と、本発明の衣類との間で着用者の肌の温度上昇を誘導し、さらにセルライトに対処する上で、有益な効果をもたらすことが観察されている。例えば、ユーザの肌への本発明の布帛による機械的摩擦は、ユーザの肌へのマッサージ効果に加えて、ユーザの肌の温度上昇をももたらすことが観察されている。
【0219】
本発明の布帛と、ユーザの肌との間の機械的摩擦は、例えば、日々の活動、および/または運動に伴って生じ得るものである。
【0220】
本発明の布帛で製作した3本のズボンを、3名が3時間着用するという着用試験を実施した。着用試験の前と、本発明の布帛で製作したズボンを3時間着用した後とで、ユーザの肌の温度をサーマルカメラで測定した。
【0221】
【0222】
これから見て取れるように、本発明の布帛で製作した衣類を3時間着用した後、着用者の肌の温度は、約7%上昇している(着用者2)。
【0223】
マッサージ効果に加えて、着用者の肌のこのような温度上昇は、セルライトに対処する上でさらなる有益な効果をもたらすこととなる。
【符号の説明】
【0224】
1 布帛
1a 第1の面
1b 第2の面
2 突起
3 ポリマー層
4 ベース
5 実質的な二次元要素
D1 第1の距離
D2 第2の距離
D3 初期距離
D4 最終距離
L1 第1の長さ
L2 第2の長さ
L3 初期長さ
L4 最終長さ
R1 第1の行
R2 第2の行
W1 第1の幅
W2 第2の幅
W3 初期幅
W4 最終幅