(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電子ロック解除システムを備えたドアリーフハンドルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20240416BHJP
E05B 77/04 20140101ALI20240416BHJP
E05B 81/76 20140101ALI20240416BHJP
【FI】
E05B85/16 D
E05B77/04
E05B81/76
(21)【出願番号】P 2020571463
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066461
(87)【国際公開番号】W WO2019243570
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-25
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】マルコ サヴァント
(72)【発明者】
【氏名】アントーニオ カンナヴォ
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142045(JP,A)
【文献】米国特許第06367295(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアに取り付けるためのドアリーフハンドルアセンブリ(1)であって、
前記ドアに固定されるベース(3)と、ハンドル(2)と、前記ハンドルの作動装置(5)とを備え、
前記ハンドル(2)は、その第
1の端部(4)のヒンジによって前記ベース(3)に接続され、前記ベース(3)に対して実質的に平行な静止位置と、前記ベース(3)に対して傾斜した前記ドアの開放位置との間で、前記ベース(3)に対し回転可能であり、
前記ハンドルの作動装置(5)は、前記ベース(3)内に収容され、前記ハンドルを少なくとも前記開放位置に移動させるように前記ハンドル(2)に動きを与えるように構成されているものにおいて、さらに
前記ハンドル(2)に一体化され電子ロック解除システムに接続された、前記ドアを開くための第1の制御装置(6a)と、
前記ベース(3)上に設けられた第2の制御装置(6b)とを備えており、
前記ハンドル(2)は、その内面(11)上に、前記第1の制御装置(6a)を起動させ第1の制御信号を生成するために、ユーザの手から圧力を受けるように構成されたタッチ領域(8)を有しており、
前記第2の制御装置(6b)は、前記ハンドル(2)の前記開放位置から過開放位置への動きによって起動されて第2の制御信号を生成するように構成され、
前記電子ロック解除システムは、前記第1の制御信号又は前記第2の制御信号を受信すると、ロックを解除し、前記ユーザによる前記ドアの開放を可能にするように構成されていることを特徴とするドアリーフハンドルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の制御装置(6b)は、前記ベース(3)上でかつ、前記ハンドル
(2)の前記第1の端部(4)の近くに配置されており、前記ハンドル(2)の前記過開放位置に対応する他のタッチ領域(8)を有しており、
前記第1の制御装置(6a)及び前記第2の制御装置(6b)は、各々、別個の電気的接続(7a、7b)によって前記電子ロック解除システムに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のドアリーフハンドルアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の制御装置(6a)及び前記第2の制御装置(6b)は、それらの各々の前記電気的接続(7a、7b)に接続された別個のスイッチ(9)を有しており、
前記スイッチ(9)は、前記静止位置と、前記ユーザが前記ハンドル(2)の前記タッチ領域(8)を押すか又は前記ハンドル(2)を前記過開放位置に変位させたときに得られる作動位置との間を、移動可能な可動要素(10)を備え、
前記スイッチ(9)から前記電子ロック解除システムに向けて制御信号が送信されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のドアリーフハンドルアセンブリ。
【請求項4】
前記タッチ領域(8)は可動であり、前記タッチ領域(8)に圧力がかかると、前記可動要素(10)が前記作動位置へ変位することを特徴とする請求項3に記載のドアリーフハンドルアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の制御装置(6a)又は前記第2の制御装置(6b)は、前記タッチ領域(8)を形成する変形可能な膜(12)を備えていることを特徴とする請求項4に記載のドアリーフハンドルアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の制御装置(6a)又は前記第2の制御装置(6b)は、変位運動可能でその上に前記タッチ領域(8)が形成されるキャップ(13)を備えており、
前記可動要素(10)に対する前記キャップ(13)の変位は、前記可動要素(10)の前記変位及び前記制御信号の生成を引き起こし、
前記第1の制御装置(6a)又は前記第2の制御装置(6b)は、前記キャップ(13)に力を加えて前記キャップ(13)を初期位置に戻す復帰手段(14)を備えていることを特徴とする請求項5に記載のドアリーフハンドルアセンブリ。
【請求項7】
ドアに固定されるベース(3)を含むドアリーフハンドルアセンブリ(1)のロックを解除する方法であって、
前記ドアリーフハンドルアセンブリ(1)は、前記ドアに固定される前記ベース(3)と、その第
1の端部(4)のヒンジによって前記ベース(3)に接続されるハンドル(2)とを備え、
前記ハンドル(2)は、前記ベース(3)に対して実質的に平行な静止位置と、前記ベース(3)に対して傾斜した前記ドアの開放位置との間で、前記ベース(3)に対し回転可能であり、
前記方法は、前記ベース(3)に収容されたハンドルの作動装置(5)によって前記ハンドルを前記開放位置に位置させるステップを含むものにおいて、
前記ハンドル(2)の内面(11)に設けられたタッチ領域(8)がユーザの手で押されて第1の制御装置(6a)が起動することにより、第1の制御信号を生成するステップと、
前記第1の制御信号が電子ロック解除システムに送信されない場合、前記ハンドル(2)を前記開放位置から過開放位置に移動させて、第2の制御信号を生成するために前記ベース(3)に設けられた第2の制御装置(6b)を起動するステップと、
前記第2の制御信号を前記電子ロック解除システムに送信してロックを解除し、前記ユーザが前記ドアを開放することを可能にするステップとを含むことを特徴とするドアリーフハンドルアセンブリ(1)のロックを解除する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のドアリーフハンドルアセンブリ及びこのドアリーフハンドルアセンブリのロックを解除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の高級車には、ドアにハンドルが埋め込まれている。これらのハンドルは、ドアの他の部分と一体になるため、美的効果を向上させることができる。これらは、とても目立たない。
これらの埋め込みハンドルアセンブリには、機械式バージョンと電動式バージョンの両方がある。
既知のドアリーフハンドルアセンブリは、通常、ドアに固定されたベースと、ヒンジによってベースに接続されたハンドルとを含んでいる。このヒンジは、水平又は垂直にすることができるが、垂直がより一般的である。
【0003】
このハンドルは、ベースに対し実質的に平行に配置されドア内に埋め込まれた静止位置と、ベースに対し傾斜して展開されたドアの開放位置との間で、ベースに対し回転可能である。
また、このドアリーフハンドルアセンブリは、ベースに収容されたハンドルを作動させてそれを開放位置に移動させるための作動装置を備えている。
【0004】
特許文献1に記載されているような電動式のドアリーフハンドルアセンブリの場合、作動装置は、モータを備え、ギアを介してハンドルを駆動し、開放位置に移動させる。
ユーザは、この開放位置から、ハンドルを引っ張ってこのハンドルをベースに対しさらに傾斜した過開放位置まで移動させることにより、機械式ロック解除システムのロックを解除し、ドアを開くことができる。
【0005】
従来のロック解除システムはドアに収納されており、ケーブルでドアリーフハンドルアセンブリに接続されている。ハンドルの作動はケーブルに牽引力を及ぼし、それが次にロック解除システムのロック解除を作動させる。
その後、ユーザはドアを引っ張ってドアを開くことができる。
但し、このタイプの機械式ロック解除システムは、非ゼロの重量のコンポーネントの慣性による変位により、事故が発生した場合に自動的にロック解除されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、さらに、電子的ロック解除システムを有する別の解決策も開示している。それによれば、ハンドルに設けられた静電容量センサに圧力をかけると、ロック解除システムのロックを解除できる。
これにより、事故時に誤ってロックが解除されてドアが不必要に開かれるのを防ぐことができる。
但し、静電容量センサは常に信頼できるとは限らない。特に、ユーザの指が手袋等の繊維材料で覆われている場合には、ユーザの指の存在を常に検出するとは限らない。そのため、ロック解除システムのロック解除ができず、ユーザはドアを開けることができない。
【0008】
本発明は、これらの欠点の全部又は一部を解決し、ドアの開放をより信頼できるものとする、自動車用のドアリーフハンドルアセンブリと、このドアリーフハンドルアセンブリのロックを解除する方法を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自動車のドアに取り付けられるドアリーフハンドルアセンブリに関する。
このドアリーフハンドルアセンブリは、ドアに固定されるベースと、その第1の端部にあるヒンジによってベースに接続されたハンドルと、ハンドルの作動装置とを備えている。
このハンドルは、ベースに対して実質的に平行な静止位置と、ベースに対して傾斜したドアの開放位置との間で、ベースに対し回転可能である。
ベース内に収容されたハンドルの作動装置は、ハンドルを少なくとも開放位置に移動させるようにハンドルに動きを与えるように構成されている。
【0010】
本発明によれば、ドアリーフハンドルアセンブリは、さらに
ハンドルに一体化され電子ロック解除システムに接続された、ドアの開閉を制御するための第1の制御装置と、
ベース上に設けられた第2の制御装置とを備えており、
ハンドルは、その内面上に、前記第1の制御装置を起動させ第1の制御信号を生成するために、ユーザの手から圧力を受けるように構成されたタッチ領域を有しており、
前記第2の制御装置は、ハンドルの開放位置から過開放位置への動きによって起動されて、第2の制御信号を生成するように構成され、
前記電子ロック解除システムは、前記第1の制御信号又は前記第2の制御信号を受信すると、ロックを解除し、ユーザによる前記ドアの開放を可能にするように構成されている。
【0011】
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置は、各々、別々の電気的接続によって前記電子ロック解除システムに接続されているのが望ましい。
前記第1の制御装置及び/又は前記第2の制御装置は、それらの各々の電気的接続に接続された別々のスイッチを含んでいても良い。
前記スイッチは、前記静止位置とユーザがハンドルのタッチ領域を押すか又はハンドルを過開放位置に変位させたときに得られる作動位置との間を移動可能な可動要素を備え、スイッチから電子ロック解除システムに向けて制御信号が送信されるように構成されている。
【0012】
前記タッチ領域は、このタッチ領域への圧力が作動位置で可動要素の変位を引き起こすように可動であることが好ましい。
前記第1の制御装置及び/又は前記第2の制御装置は、前記タッチ領域を形成する変形可能な膜を含んでいても良い。
前記制御装置及び/又は前記第2の制御装置は、変位運動可能であってその上に前記タッチ領域が形成されるキャップを備えているのが望ましい。
前記可動要素に対する前記キャップの変位は、前記可動要素の変位と前記制御信号の生成を引き起こす。前記制御装置及び/又は前記第2の制御装置は、前記キャップに力を加えて前記キャップを初期位置に戻す復帰手段を備えている。
【0013】
本発明はまた、ドアリーフハンドルアセンブリのロックを解除し、前記作動装置によって前記ハンドルを開放位置に配置するステップを含む方法に関する。
本発明によれば、この方法は、以下のステップを含んでいる。
ハンドルの内面に設けられたタッチ領域がユーザの手で押されて第1の制御装置が起動することにより、第1の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号が電子ロック解除システムに送信されない場合、前記ハンドルを前記開放位置から過開放位置に移動して、第2の制御信号を生成するために前記ベースに設けられた第2の制御装置を起動し、そして、
前記第2の制御信号を電子ロック解除システムに送信してロックを解除し、ユーザが前記ドアを開放することを可能にする。
このように、本発明は、自動車用のドアリーフハンドルアセンブリと、このドアリーフハンドルアセンブリのロックを解除する方法を提供し、ドアの開放をより信頼できるものにすることを可能にする。
【0014】
この電子ロック解除システムは、ハンドルセンサが故障した場合でもロックを解除できる。
さらに、ドアリーフハンドルアセンブリの構成要素は軽量であるため、事故時に発生した加速度では動きにくい。
このドアリーフハンドルアセンブリは、ロックの組み立てがハンドルの取り付け後に外側から行うことができるため、取り付けやメンテナンスを簡素化することもできる。自動車が完成したときにハンドルを分解するために、前記ドアの内部トリムパネルを取り外す必要はない。
さらに、前記ベースにアンテナや照明システムを組み込むことも可能である。
【0015】
ワイヤレス接続とは異なり、有線接続を使用すると、電子機器を簡素化し、ハンドルに電源を入れる必要がなくなる。ハンドルも軽量化される。
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した以下の実施例の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例のドアリーフハンドルアセンブリであって、ハンドルが静止位置にある状態を示す図である。
【
図2】前記ドアリーフハンドルアセンブリが、静止位置A、開放位置B、及び過開放位置Cにある状態を示す図である。
【
図3】前記ドアリーフハンドルアセンブリが、開放位置にある状態の側面図である。
【
図4】本発明の可能な実施形態による、ハンドルのドアの開放を制御するための第1の制御装置の断面図である。
【
図5】本発明の別の可能な実施形態による、ハンドル内のドアの開放を制御するための第1の制御装置の断面図である。
【
図6】本発明の別の可能な実施形態による、ハンドルのドアの開放を制御するための第1の制御装置の断面図である。
【
図7】本発明の別の可能な実施形態による、ハンドル内のドアの開放を制御するための第1の制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の本発明の実施例を説明する。
図1は、自動車のドアに取り付けられる、ドアリーフハンドルアセンブリ1の、ハンドル2が静止位置にあるときの状態を示している。
このドアリーフハンドルアセンブリ1は、自動車のドアに固定されるベース3と、ハンドル2とを備え、ハンドル2はその第1の端部4においてヒンジ(図示せず)によりベース3に接続される。
このヒンジは、好ましくはハンドルに垂直である。
ベース3は、ドアの内壁に固定されている。
ハンドル2は、ベース3に対し実質的に平行に配置されている静止位置と、ベース3に対し傾斜したドアの開放位置との間で、ベース3に対して回転可能である。
この静止位置は、ハンドルがドアに向かって引っ込められるハンドル2の閉位置にも対応している。
開放位置は、ユーザがドアを引っ張って開きたいときにハンドル2を展開して握る位置に相当する。ハンドル2は、ユーザがドアを引っ張ってドアを開けたいときに握られるように展開される。
【0018】
ドアリーフハンドルアセンブリ1は、ベース3に収容されたハンドル(
図3参照)を作動させるための作動装置5を含んでいる。この作動装置は、ハンドル2に対し、少なくともそれを開放位置に移動させるための動きを与える。
好ましくは、作動装置5は、モータを備えており、歯車と協働してハンドル2に電動運動を提供し、ハンドル2を少なくとも開放位置に移動させる。
モータは、ハンドル2をベース3(又はドア)に向かって閉じる又は引っ込めることができる。
【0019】
他の構成例として、作動装置5は、引用により本明細書に組み込まれるWO2017077077A1に記載されている、ばね機構を備えたシステムのような、展開位置を得るために機械的に作動させるように構成することもできる。
【0020】
本発明によれば、ドアリーフハンドルアセンブリ1は、ドアの開放を制御するための第1の制御装置6aを備えている。
この第1の制御装置6aは、電気的接続7a(有線接続、第1の電気的接続7aとも言う)によって、電子ロック解除システム(図示せず)に接続されている。
第1の制御装置6aは、ユーザの手によって作動され、ユーザがドアを開放できるようにするために、ドアのロック解除のための制御信号を生成し、この信号が電子ロック解除システムに送信される。
【0021】
電気的接続7aは、第1の制御装置6aに接続された第1の端部16と、電子ロック解除システムに接続されるコネクタ18を含む第2の端部17とを有する、電力ケーブル15を備えている。
第1の制御装置6aは、ハンドル2に組み込まれている。
この第1の制御装置6aは、ハンドル2に設けられた穴19に収容されている。
電気的接続7aは、
図3に示すように、第1の制御装置6aから始まり、ハンドル2の一部を通過し、開口部20を介してハンドルの外に伸びている。
この電気的接続7aは、さらに、ベース3内を通過して、このベース3の第1の面21を介して外に出ている。
【0022】
ハンドル2は、ハンドルの内面11上に設けられたタッチ領域8を備えており、このタッチ領域で第1の制御装置6aを起動させるための圧力を受ける。
ハンドル2は平行パイプ形状である。
好ましくは、ハンドルの内面11は、ベース3に面して配置され、より正確には、ベース3の第2の面22に面している。
ハンドル2のタッチ領域8は、静止位置では、ベースの第2の面22に対向して配置されるか、又はこの第2の面22に非常に接近した位置にある。
この構成による利点は、タッチ領域8が外部から保護されることである。また、タッチ領域が内側に隠されていることも、美的効果を向上させる利点である。
【0023】
第1の制御装置6aは、
図4~
図7に示すように、電気的接続7aに接続されたスイッチ9を備えている。
図4~
図6に示した例では、スイッチ9は、静止位置と、ユーザがハンドル2のタッチ領域8を押したときの作動位置との間で、移動可能な可動要素10を備えている。
この可動要素10は、例えば、ばねによって初期位置に戻る押しボタンである。
次に、制御信号がスイッチ9から電子ロック解除システムに向けて送信され、それにより、ドアのロックが解除され、ドアの動きが自由になり、ユーザがドアを開けることが可能になる。
タッチ領域8は可動であり、このタッチ領域8に圧力がかかると、可動要素10が作動位置へ変位する。
【0024】
図4は、第1の制御装置6aが、タッチ領域8を形成する変形可能な膜12を含む例を示している。
変形可能な膜12は、ポリマーでできている。
ハンドル2が開放位置にあると、ユーザは、変形可能な膜12に方向Fに圧力をかける。
これにより変形可能な膜12は、可動要素10を押してスイッチ9を作動させる、すなわち、スイッチを「オン」位置に切り替えるように変形される。
スイッチ9は、このスイッチ9が押されると閉じられる、通常は開いた電子回路に接続することができる。
【0025】
変形可能な膜12は、穴27を規定するほぼU字形のセクションを有しており、この穴27内に設けられた可動要素10を覆っている。
スイッチ9は、変形可能な膜12の穴27の内面25に対向して配置された剛性のプレート23を備えていても良い。
可動要素10と接触するのは、このプレート23である。
スイッチ9は、2つの端部29を含むU字形の支持体26上に配置されている。
変形可能な膜12は、支持体26の2つの各々の端部29の上に載っている2つの端部30を備えている。
そのため、変形可能な膜12は、ユーザがそれに圧力を加えると変形し、この圧力が無くなると初期位置に戻る。
変形可能な膜12の両端30は、支持体26の両端29とハンドル2の外周壁31との間に保持されている。
【0026】
図5は、第1の制御装置6aが、その上にタッチ領域8が形成される
変位移動可能なキャップ13を備えた、別の実施例を示している。
キャップ13は剛性であり、穴32を規定する「U」形状を有する。キャップ13は、可動要素10に面して配置されている。
キャップ13の前壁38は、穴32を規定する2つの側壁36に垂直に接続され、タッチ領域8を形成している。
キャップ13は、そのストロークを低減するために、可動要素10に面して配置された前壁38上に、突起33を備えているのが望ましい。
キャップ13の可動要素10に対する方向Fへの変位は、この可動要素10の変位、ひいては制御信号の生成を引き起こす。
【0027】
スイッチ9は、2つのフランジ35を含むU字形の支持体34の上に配置されている。
スイッチ9の2つの側壁36は各々、この側壁36に垂直に伸びるフランジ40を有している。
各フランジ40には、これから延長する横方向突起37が設けられており、この横方向突起は、ユーザが移動要素10に方向Fに圧力を加えると支持体34に当接する。
この横方向突起37は、フランジ40に対して実質的に垂直である。
第1の制御装置6aは、キャップ13に復帰力を加えてキャップ13を初期位置に戻す復帰手段14を備えている。
各横方向突起37は、復帰手段14を形成するばね14によって囲まれている。
【0028】
図6は、第1の制御装置6aがタッチ領域8を形成する変形可能な膜12を含む、別の実施例を示している。
ハンドル2の外周壁31は、変形可能な膜12で覆われている。
変形可能な膜12は、湾曲した内側領域41を形成するように、タッチ領域8の位置でより薄い厚さになっている。
第1の制御装置6aは、その上にスイッチ9が取り付けられた支持体42を備えている。
この支持体42は、変形可能な膜12のためのベアリング領域44を形成する、2つの横方向フランジ43を備えている。
可動要素10は、湾曲した内側領域41と常に接触している。
ユーザがタッチ領域8に方向Fに圧力を加えると、湾曲した内側領域41のみが変形する。それは、ユーザの指の圧力の作用でわずかに変形する。
変形可能な膜12のストローク及び変形量は、例えば、数μmと非常に小さい。
【0029】
図7は、第1の制御装置6aが、ハンドル2に一体化された静電容量センサ45であるタッチ検出器を含む、別の実施例を示している。この第1の制御装置は、例えば、オーバーモールドによって一体化される。
タッチ検出器は、ハンドル2に一体化された圧電センサでも良い。
第1の制御装置6aの起動は、ハンドル2の内面11に設けられたタッチ領域8を押すことによって実行され、ハンドル2は、この第1の制御装置の起動の間、その開放位置に静止したままである。
【0030】
ドアリーフハンドルアセンブリ1は、
図3に示すように、ベース3上に設けられた第2の制御装置6bを備えている。
この第2の制御装置6bは、ハンドル2の開放位置から過開放位置への動きによって起動され、第2の制御信号を生成する。
この過開放位置は、ハンドル2が、ベース3や開放位置に対してさらに傾斜した位置に対応している。
換言すれば、ハンドル2とベース3との間に形成される角度は、開放位置よりも過開放位置の方が大きい。
【0031】
第2の制御装置6bは、ハンドル2の第1の端部4の近くに配置されるのが望ましい。
第2の制御装置6bは、第1の制御装置6aと同じ構成でも良い。
第2の制御装置6bは、第2の電気的接続7bとも称する別の電気的接続7bに接続された、スイッチ9を備えているのが望ましい。
このスイッチ9は、静止位置とユーザがハンドル2を過開放位置にしたときの作動位置との間で動く、可動要素10を備えている。
そして、第2の制御信号が、スイッチ9から電子ロック解除システムに向けて送信される。
【0032】
ハンドル2がその開放位置にあるとき、ユーザはそれをさらに引っ張って、それを過開放位置に移動させることができる。
ハンドル2が過開放位置に向かって回転運動すると、スイッチ9の可動要素10上のハンドル2の第1の端部4から圧力が発生し、これによりスイッチが切り替わり、第2の制御信号が電子ロック解除システムに送信される。
電気的接続7bは、第2の制御装置6bに接続された第1の端部16と、電子ロック解除システムに接続されるコネクタ18を含む第2の端部17とを有する、電力ケーブル15を備えている。
【0033】
このように、ドアリーフハンドルアセンブリ1は、2つの制御装置6a、6bを含んでおり、その第1の制御装置6aはハンドル2内に配置され、第2の制御装置6bはベース3の上に配置されている。
【0034】
ドアリーフハンドルアセンブリ1のロックを解除する方法は、以下のステップを含んでいる。
ハンドル2の内面11に設けられたタッチ領域8の上で、ユーザが手で押すことにより第1の制御装置6aが起動し、第1の制御信号が生成される。
第1の制御信号が電子ロック解除システムに送信されない場合、ユーザがハンドル2を開放位置からさらに過開放位置に向かって移動させ、ベース3上に設けられた第2の制御装置6bを起動させることにより、第2の制御信号が生成される。
この第2の制御信号を電子ロック解除システムに送信することにより、ロックが解除され、ユーザがドアを開けられるようになる。
【0035】
その結果、もし第1の制御装置6aが故障した場合、第2の制御装置6bが引き継ぐので、電子ロック解除システムのロック解除が確実に行われる。
これは、第1の制御装置6aが静電容量センサを含み、ユーザの指を検出しない場合に、特に有効である。
もし、第1の制御装置6aの静電容量センサが機能しない場合、ユーザはハンドル2をさらに引っ張って過開放位置とし、次に第2の制御装置6bをトリガーさせることができる。
【0036】
このように、本発明の電子ロック解除システムは、ドアのロックを解除し、ユーザがドアを開放することを可能にするために、第1の制御信号又は第2の制御信号のいずれかを受信する。
ハンドル2は、それを過開放位置から休止位置に戻す、ばねを備えていても良い。
ハンドル2のばねとの慣性平衡を最適化するために、ハンドル2又はベース3にカウンターウェイトを設けても良い。
【符号の説明】
【0037】
1 ドアリーフハンドルアセンブリ
2 ハンドル
3 ベース
4 ハンドルの第1の端部
5 作動装置
6a 第1の制御装置
6b 第2の制御装置
7a 電気的接続
7b 電気的接続
8 タッチ領域
9 スイッチ
10 可動要素
11 ハンドルの内面
12 変形可能な膜
13 キャップ
14 復帰手段
15 電力ケーブル
16 第1の端部
17 第2の端部
18 コネクタ
19 ハンドルの穴
20 開口部
21 ベースの第1の面
22 ベースの第2の面
23 プレート
25 膜の穴の内面
26 支持体
27 膜の穴
29 支持体の両端
30 膜の両端
31 ハンドルの外周壁
32 キャップの穴
33 突起
34 支持体
35 フランジ
36 側壁
37 横方向突起
38 前壁
40 フランジ
41 内側領域
42 支持体
43 横方向フランジ
44 ベアリング領域
45 静電容量センサ
A 静止位置
B 開放位置
C 過開放位置
F 方向