(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H04L27/26 420
(21)【出願番号】P 2019109502
(22)【出願日】2019-06-12
【審査請求日】2022-05-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 智三
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/133044(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/038569(WO,A1)
【文献】特開2010-239395(JP,A)
【文献】特開2006-115094(JP,A)
【文献】特開2000-115060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0007625(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2009-0037361(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定する測定部と、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定する決定部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第1時刻が前記第2時刻よりも後であり前記時間差がパス更新閾値よりも大きい場合、前記第2時刻を前記第1周波数帯域のパスタイミングに決定し、
前記第1時刻が前記第2時刻よりも後であり前記時間差が前記パス更新閾値以下の場合、前記第1時刻を前記第1周波数帯域のパスタイミングに決定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定する測定部と、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻での前記最大振幅が所定振幅以下の場合、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻を前記第1周波数帯域のパスタイミングに決定する決定部と、
を備える無線通信装置。
【請求項4】
無線通信装置と、前記無線通信装置と通信する別の無線通信装置と、を備え、
前記別の無線通信装置は、
複数の周波数帯域の信号を送信する送信部を有し、
前記無線通信装置は、
前記複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定する測定部と、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定する決定部と、を有する、
無線通信システム。
【請求項5】
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定することと、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定することと、
を備える無線通信方法。
【請求項6】
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定することと、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムに関するものであり、特に、適切な受信タイミングで信号を復調することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基地局と複数の移動端末が通信を行う無線通信システムが有る。このような無線通信システムでは、非特許文献1に記載されているように、基地局と移動端末との間の通信は、無線フレーム単位やサブフレーム単位で行われる。基地局又は移動端末においてデータを受信する受信機は、データ送信のタイミング誤差、及び、マルチパス伝搬遅延などの影響により、複数の受信タイミングでデータを受信する。受信機が遅延の大きなパスのタイミングに基づいて受信する場合、隣接するサブフレーム間のデータが重複する。その結果、符号間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)が発生し、データの通信品質が劣化する。
【0003】
特許文献1には、RF受信信号処理部と、AGC増幅部の制御を行うAGC制御部と、サーチフィンガ処理部と、トラッキングフィンガ処理部と、パスサーチ&パス選択部と、閾値&補正レベル生成器と、を備えるデジタル信号処理部が開示されている。また、特許文献1には、パスサーチ&パス選択部が、サーチフィンガ処理部と協働して各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行うとともに、閾値&補正レベル生成器からの補正信号を用いて受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行うことが開示されている。特許文献1には、符号間干渉を低減するために最適な受信タイミングを検出し補正することは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-268849号公報
【文献】3GPP TR 38.211 v.15.0.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、受信機がデータを受信する場合、符号間干渉が発生し通信品質が劣化するという課題があった。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を解決する無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る無線通信装置は、
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定する測定部と、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定する決定部と、
を備える。
【0008】
本開示に係る無線通信システムは、
無線通信装置と、前記無線通信装置と通信する別の無線通信装置と、を備え、
前記別の無線通信装置は、
複数の周波数帯域の信号を送信する送信部を有し、
前記無線通信装置は、
前記複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定する測定部と、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定する決定部と、を有する。
【0009】
本開示に係る無線通信方法は、
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定することと、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定することと、
を備える。
【0010】
本開示に係るプログラムは、
複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定することと、
前記複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第1時刻と、前記複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域において最大振幅の時刻を示す第2時刻と、の時間差に基づいて、前記第1周波数帯域のパスタイミングを決定することと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、適切な受信タイミングで信号を復調することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る無線通信装置を例示するブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る無線通信システムを例示するブロック図である。
【
図4】サブフレームの受信タイミングを例示する図である。
【
図5】サブフレーム内のシンボルの切り出し位置を例示する図である。
【
図6】サブフレーム内のシンボルの切り出し位置を例示する図である。
【
図7】実施の形態に係る無線通信システムを例示するブロック図である。
【
図8】実施の形態に係る無線通信装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図9】実施の形態の比較例に係る無線通信システムを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0014】
[実施の形態]
実施の形態に係る無線通信装置及び無線通信システムの構成の概要を説明する。
図1は、実施の形態に係る無線通信装置を例示するブロック図である。
図2は、実施の形態に係る無線通信システムを例示するブロック図である。
図3は、遅延プロファイルを例示するグラフである。
図3の横軸は時間を示し、縦軸は相関値を示す。
【0015】
図1に示すように、実施の形態に係る無線通信装置11は、測定部111と決定部112とを備える。
【0016】
図2に示すように、実施の形態に係る無線通信システム10は、無線通信装置11と、無線通信装置11と通信する別の無線通信装置12と、を備える。例えば、下り通信においては、別の無線通信装置12は基地局であり、無線通信装置11は移動端末である。上り通信においては、別の無線通信装置12は移動端末であり、無線通信装置11は基地局である。
【0017】
別の無線通信装置12は、複数の周波数帯域の信号を送信する送信部121を備える。
【0018】
無線通信装置11の測定部111は、複数の周波数帯域の遅延プロファイルを測定する。
図3は、簡単のため、1つの周波数帯域の遅延プロファイルを示したグラフである。測定部111は、
図3に示すような、最大相関値c
maxと、対応する瞬時パスタイミングt
instを検出する。最大相関値を、最大相関値振幅、又は、最大振幅と称する。
【0019】
決定部112は、複数の周波数帯域のうち第1周波数帯域f1において最大振幅の時刻を示す第1時刻tm1と、複数の周波数帯域のうち第2周波数帯域f2において最大振幅の時刻を示す第2時刻tm2と、の時間差を求める。決定部112は、時間差に基づいて、第1周波数帯域f1のパスタイミングを決定する。
【0020】
無線通信装置11は、決定したパスタイミングに基づいて、第1周波数数帯域f1の信号を復調する。
【0021】
尚、第1周波数帯域f1は、第2周波数帯域f2よりも高い周波数帯域であってもよい。また、第1周波数帯域f1は、第2周波数帯域f2以下の周波数帯域であってもよい。
【0022】
また、第1周波数帯域f1は、周波数ホッピング方式におけるホッピング前の周波数であり、第2周波数帯域f2は、周波数ホッピング方式におけるホッピング後の周波数であってもよい。
【0023】
また、第1周波数帯域f1は、BWP(Bandwidth Part)スイッチングにおけるBWPスイッチング前の周波数であり、第2周波数帯域f2は、BWPスイッチングにおけるBWPスイッチング後の周波数であってもよい。
【0024】
また、パスタイミングに基づいて、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)(ガードインターバル)を設定してもよい。
【0025】
また、信号をデータと称することもある。また、パスタイミングを受信タイミングや復調タイミングと称することもある。
【0026】
ここで、一般の無線通信装置が信号を受信する受信タイミンングについて説明する。
図4は、サブフレームの受信タイミングを例示する図である。
図5は、サブフレーム内のシンボルの切り出し位置を例示する図である。
図5に示す横軸は、時間を示す。
図6は、サブフレーム内のシンボルの切り出し位置を例示する図である。
図6に示す横軸は、時間を示す。
【0027】
図4に示すように、無線通信装置は、受信タイミングt
0又は受信タイミングt
1(受信タイミングt
2又は受信タイミングt
3でもよい)を先頭にして、1サブフレーム分のデータを抽出して受信処理を行う。このため、無線通信装置では、隣接するサブフレーム間のデータが重複する(
図4(a)参照)。そして、データが重複することに起因するサブフレーム間の干渉、すなわち、符号間干渉が発生し、通信品質が劣化する。そこで、サブフレーム内のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの先頭にサイクリックプレフィックスを付加する(
図4(b)参照)ことにより、符号間干渉を回避している。
【0028】
しかしながら、無線伝搬路の状態に起因して、
図5に示すように、第1周波数帯域f
1のパスタイミングt
f1が遅い場合、ОFDMシンボルの切り出し時刻が遅れる。このため、隣接OFDMシンボルとの間に符号間干渉が生じる。よって、隣接OFDMシンボルとの符号間干渉を低減するため、第1周波数帯域f
1のパスタイミングt
f1を補正(更新)し最適にする必要ある。
【0029】
そこで、実施の形態に係る無線通信装置11は、
図6に示すように、第1周波数帯域f
1のパスタイミングt
f1が符号間干渉を生じるくらいに遅い場合、第2周波数帯域f
2のパスタイミングt
f2を、第1周波数帯域f
1のパスタイミングに決定し信号を復調する。
【0030】
具体的には、無線通信装置11は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1が第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2よりも後であり、パスタイミングtf1とパスタイミングtf2との時間差がパス更新閾値thrudtよりも大きい場合、パスタイミングtf2を、第1周波数帯域f1のパスタイミングに決定する。すなわち、無線通信装置11は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1に代えて、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を使用して信号を復調する。
【0031】
また、無線通信装置11は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1が第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2よりも後であり、パスタイミングtf1とパスタイミングtf2との時間差がパス更新閾値thrudt以下の場合、パスタイミングtf1を第1周波数帯域f1のパスタイミングに決定する。
【0032】
これにより、符号間干渉が低減するので、通信品質が劣化を抑制することができる。その結果、適切な受信タイミングで信号を復調することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することができる。
【0033】
尚、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を第1時刻tm1と称し、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を第2時刻tm2と称することもある。
【0034】
実施の形態に係る無線通信装置の構成の詳細を説明する。
説明に際しては、例えば、別の無線通信装置12としてソースBSを用い、無線通信装置11としてターゲットUE(Target User Equipment)を用い、又は、別の無線通信装置12としてソースUEを用い、無線通信装置11としてターゲットBSを用いる。そして、これらをまとめて、別の無線通信装置12をソースBS/UE(Source BS/UE)と称し、無線通信装置11をターゲットUE/BS(Target UE/BS)と称する。ターゲットUE/BSが、パスタイミングを検出するUE/基地局に相当するものとして説明する。尚、BSを基地局と称することもある。
【0035】
実施の形態において、無線通信システム10は、1つのソースBS/UEと1つのターゲットUE/BSを備えるが、これには限定されない。無線通信システム10は、1つ、又は複数のソースBS/UE、及び、1つ、又は複数のターゲットUE/BSを備えてもよい。
【0036】
図7は、実施の形態に係る無線通信システムを例示するブロック図である。
【0037】
図7に示すように、ソースBS/UE(別の無線通信装置12)は、パスタイミングを検出するために用いる基準信号(RS:Reference Signal)を、ターゲットUE/BS(無線通信装置11)に対して送信する。
【0038】
ターゲットUE/BS(無線通信装置11)は、判定部113をさらに備える。ターゲットUE/BSの測定部111は、周波数分離部1111と第1周波数帯域A/D(Analog/Digital)変換部1112aとを備える。測定部111は、さらに、第1周波数帯域相関部1113aと第1周波数帯域基準信号生成部1114aと第1周波数帯域ピーク検出部1115aと第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aとを備える。測定部111は、さらに、第2周波数帯域A/D変換部1112bと第2周波数帯域相関部1113bと第2周波数帯域基準信号生成部1114bと第2周波数帯域ピーク検出部1115bと第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bとを備える。
【0039】
決定部112は、受信タイミング補正部1121とパス更新閾値部1122とを備える。
【0040】
判定部113は、相関判定部1131と相関判定閾値部1132とを備える。判定部113は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1と第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2の類似性を判定する。
【0041】
周波数分離部1111は、ソースBS/UEから送信された基準信号を受信する。基準信号は、無線伝搬路や雑音の影響を受ける。このため、周波数分離部1111は、基準信号を受信基準信号として受信する。
【0042】
周波数分離部1111は、ソースBS/UEから受信した基準信号(受信基準信号と称する)を、第1周波数帯域f1の受信基準信号、及び、第2周波数帯域f2の受信基準信号に分離する。第1周波数帯域f1の受信基準信号は、第1周波数帯域A/D変換部1112aに出力され、第2周波数帯域f2の受信基準信号は、第2周波数帯域A/D変換部1112bに出力される。
【0043】
ここで、第1周波数帯域f1の受信基準信号の流れを説明する。
【0044】
周波数分離部1111から第1周波数帯域A/D変換部1112aに、第1周波数帯域f1の受信基準信号が入力される。
【0045】
第1周波数帯域A/D変換部1112aは、入力された第1周波数帯域f1の受信基準信号をA/D変換して第1周波数帯域f1のデジタル受信基準信号を生成する。第1周波数帯域A/D変換部1112aは、生成した第1周波数帯域f1のデジタル受信基準信号を、第1周波数帯域相関部1113aに出力する。
【0046】
第1周波数帯域基準信号生成部1114aは、事前に通知された第1周波数帯域f1の基準信号に関する情報に基づいて、第1周波数帯域f1の基準信号を生成する。ソースBS/UEからターゲットUE/BSに対して、事前に基準信号に関する情報が通知されるので、ターゲットUE/BSは、基準信号の信号パターンを事前に把握することができる。第1周波数帯域基準信号生成部1114aは、生成した第1周波数帯域f1の基準信号を第1周波数帯域相関部1113aに出力する。
【0047】
第1周波数帯域相関部1113aには、第1周波数帯域A/D変換部1112aから第1周波数帯域f1のデジタル受信基準信号が入力される。また、第1周波数帯域相関部1113aには、第1周波数帯域基準信号生成部1114aから第1周波数帯域f1の基準信号が入力される。第1周波数帯域相関部1113aは、第1周波数帯域f1のデジタル受信基準信号と第1周波数帯域f1の基準信号を用いて、第1周波数帯域f1の相関値cf1(*複素数)を算出する。第1周波数帯域相関部1113aは、算出した第1周波数帯域f1の相関値cf1を、第1周波数帯域ピーク検出部1115aと相関判定部1131に出力する。
【0048】
第1周波数帯域ピーク検出部1115aには、第1周波数帯域相関部1113aから第1周波数帯域f1の相関値cf1が入力される。第1周波数帯域ピーク検出部1115aは、入力された第1周波数帯域f1の相関値cf1の振幅値から、第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と対応する瞬時パスタイミングtinst_f1を検出する。第1周波数帯域ピーク検出部1115aは、検出した第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と瞬時パスタイミングtinst_f1を、第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aに出力する。
【0049】
第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aには、第1周波数帯域ピーク検出部1115aから、第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と瞬時パスタイミングtinst_f1が入力される。第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aは、入力された第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と瞬時パスタイミングtinst_f1をメモリ(図示せず)に保存する。
【0050】
第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aは、メモリに保存されている過去と最新の第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と瞬時パスタイミングtinst_f1を重み付けして第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を生成する。第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aは、生成した第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を、受信タイミング補正部1121に出力する。
【0051】
ここで、第2周波数帯域f2の受信基準信号の流れを説明する。
【0052】
周波数分離部1111から第2周波数帯域A/D変換部1112bに、第2周波数帯域f2の受信基準信号が入力される。
【0053】
第2周波数帯域A/D変換部1112bは、入力された第2周波数帯域f2の受信基準信号をA/D変換して第2周波数帯域f2のデジタル受信基準信号を生成する。第2周波数帯域A/D変換部1112bは、生成した第2周波数帯域f2のデジタル受信基準信号を、第2周波数帯域相関部1113bに出力する。
【0054】
第2周波数帯域基準信号生成部1114bは、事前に通知された第2周波数帯域f2の基準信号に関する情報に基づいて、第2周波数帯域f2の基準信号を生成する。第2周波数帯域基準信号生成部1114bは、生成した第2周波数帯域f2の基準信号を第2周波数帯域相関部1113bに出力する。
【0055】
第2周波数帯域相関部1113bには、第2周波数帯域A/D変換部1112bから第2周波数帯域f2のデジタル受信基準信号が入力される。また、第2周波数帯域相関部1113bには、第2周波数帯域基準信号生成部1114bから第2周波数帯域f2の基準信号が入力される。第2周波数帯域相関部1113bは、第2周波数帯域f2のデジタル受信基準信号と第2周波数帯域f2の基準信号を用いて、第2周波数帯域f2の相関値cf2(*複素数)を算出する。第2周波数帯域相関部1113bは、算出した第2周波数帯域f2の相関値cf2を、第2周波数帯域ピーク検出部1115bと相関判定部1131に出力する。
【0056】
第2周波数帯域ピーク検出部1115bには、第2周波数帯域相関部1113bから第2周波数帯域f2の相関値cf2が入力される。第2周波数帯域ピーク検出部1115bは、入力された第2周波数帯域f2の相関値cf2の振幅値から、第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と対応する瞬時パスタイミングtinst_f2を検出する。第2周波数帯域ピーク検出部1115bは、検出した第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と瞬時パスタイミングtinst_f2を、第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bに出力する。
【0057】
第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bには、第2周波数帯域ピーク検出部1115bから、第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と瞬時パスタイミングtinst_f2が入力される。第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bは、入力された第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と瞬時パスタイミングtinst_f2をメモリ(図示せず)に保存する。
【0058】
第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bは、メモリに保存されている過去と最新の第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と瞬時パスタイミングtinst_f2を重み付けして第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を生成する。第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bは、生成した第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を、受信タイミング補正部1121に出力する。
【0059】
ここで、第1周波数帯域f1と第2周波数帯域f2のパスタイミングの類似性の判断について説明する。
【0060】
相関判定閾値部1132は、第1周波数帯域f1と第2周波数帯域f2のパスタイミングの類似性を判定するために用いる相関判定閾値thrf1_f2を設定する。相関判定閾値部1132は、設定した相関判定閾値thrf1_f2を、相関判定部1131に出力する。
【0061】
相関判定部1131には、第1周波数帯域相関部1113aから第1周波数帯域f1の相関値cf1が入力される。また、相関判定部1131には、第2周波数帯域相関部1113bから第2周波数帯域f2の相関値cf2が入力される。また、相関判定部1131には、相関判定閾値部1132から相関判定閾値thrf1_f2が入力される。
【0062】
相関判定部1131は、第1周波数帯域f
1と第2周波数帯域f
2間の相関判定値c
f1_f2を、次式に基づいて算出する。
【0063】
ここで、サンプル数Ncorrは、相関値cf1のサンプル数、または、相関値cf2のサンプル数を示す。瞬時最大相関値cinst_f1は、第1周波数帯域f1の相関値cf1の最大振幅値を示す。瞬時最大相関値cinst_f2は、第2周波数帯域f2の相関値cf2の最大振幅値を示す。iは、相関値cf1のサンプル番号と、相関値cf2のサンプル番号を示す。
【0064】
相関判定部1131は、第1周波数帯域f1の相関値cf1と第2周波数帯域f2の相関値cf2との差である相関判定値cf1_f2に基づいて類似性を判定する。
【0065】
具体的には、相関判定部1131は、相関判定値cf1_f2と相関判定閾値thrf1_f2を比較する。相関判定部1131は、比較の結果、第1周波数帯域f1の相関値cf1と第2周波数帯域f2の相関値cf2との類似性、すなわち、第1周波数帯域f1のパスタイミングと第2周波数帯域f2のパスタイミングの類似性を判定する。
【0066】
具体的には、相関判定部1131は、算出した相関判定値cf1_f2が相関判定閾値thrf1_f2以下の場合、第1周波数帯域f1のパスタイミングと、第2周波数帯域f2のパスタイミングと、は類似している(類似性が有る)と判定する。
【0067】
一方、相関判定部1131は、算出した相関判定値cf1_f2が、相関判定閾値thrf1_f2よりも大きい場合、第1周波数帯域f1のパスタイミングと、第2周波数帯域f2のパスタイミングと、は類似していない(類似性が無い)と判定する。相関判定部1131は、判定した結果を、受信タイミング補正部1121に通知する。
【0068】
パス更新閾値部1122は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を更新するためのパス更新閾値thrudtを設定する。パス更新閾値部1122は、設定したパス更新閾値thrudtを、受信タイミング補正部1121に出力する。
【0069】
受信タイミング補正部1121には、第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aから第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1が入力される。受信タイミング補正部1121には、第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bから第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2が入力される。受信タイミング補正部1121には、パス更新閾値部1122からパス更新閾値thrudtが入力される。受信タイミング補正部1121には、相関判定部1131から第1周波数帯域f1のパスタイミングと第2周波数帯域f2のパスタイミングの類似性に関する判定結果が通知される。
【0070】
ここで、
図5に示すように、ターゲットUE/BS(無線通信装置11)が第1周波数帯域f
1のパスタイミングt
f1が直接波(LoS:Line of Sight)のパスではなく、反射波や遅延波(NLoS:Non-Line of Sight)のパスを検出している場合を考える。この場合、隣接するOFDMシンボルを復調することに起因する符号間干渉が発生する。
【0071】
このため、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1と第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2との時間差と、類似性の結果と、に基づいて、第1周波数帯域f1のパスタイミングを決定する。
【0072】
具体的には、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1が第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2よりも後であり、当該時間差がパス更新閾値thrudtよりも大きく、且つ、類似性が有ると判定された場合、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を、第1周波数帯域f1のパスタイミングに決定する。
【0073】
より具体的には、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1から第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を引いた値(時間差)がパス更新閾値thrudtよりも大きい場合、且つ、第1周波数帯域f1のパスタイミングと第2周波数帯域f2のパスタイミングとが類似していると通知された場合、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を、第1周波数帯域f1のパスタイミングに設定する。
【0074】
一方、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1から第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を引いた値が、パス更新閾値thrudt以下の場合、第1周波数帯域f1のパスタイミングを更新しない。
【0075】
また、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1が生成困難な場合、パスタイミングの保護処理を目的とし、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1として第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を設定する。
【0076】
すなわち、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1の相関値cf1のうち最大振幅値を示す瞬時最大相関値cinst_f1が所定振幅値以下であるため、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1が生成困難な場合、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を第1周波数帯域f1のパスタイミングに決定する。
【0077】
実施の形態に係る無線通信装置の動作を説明する。
以下の説明では、1つのソースBS/UEと1つのターゲットUE/BSが存在する場合を例に挙げ、ターゲットUE/BSの処理を説明する。
【0078】
図8は、実施の形態に係る無線通信装置の動作を例示するフローチャートである。
【0079】
図8に示すように、ソースBS/UEは、基準信号を送信する(ステップS101)。
【0080】
ターゲットUE/BSは、基準信号を受信する(ステップS102)。
【0081】
ターゲットUE/BSの周波数分離部1111は、受信した基準信号を第1周波数帯域f1の受信基準信号、及び、第2周波数帯域f2の受信基準信号に分離する(ステップS103)。
【0082】
第1周波数帯域A/D変換部1112aは、第1周波数帯域f1の受信基準信号をA/D変換して、第1周波数帯域f1のデジタル受信基準信号を生成する(ステップS104)。
【0083】
第1周波数帯域基準信号生成部1114aは、事前に通知された第1周波数帯域f1の基準信号に関する情報に基づいて、第1周波数帯域f1の基準信号を生成する(ステップS105)。
【0084】
第1周波数帯域相関部1113aは、第1周波数帯域f1のデジタル受信基準信号と第1周波数帯域f1の基準信号を用いて、第1周波数帯域f1の相関値cf1を算出する(ステップS106)。
【0085】
第1周波数帯域ピーク検出部1115aは、第1周波数帯域f1の相関値cf1から、第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と、対応する瞬時パスタイミングtinst_f1を検出する(ステップS107)。
【0086】
第1周波数帯域受信タイミング検出部1116aは、過去と最新の第1周波数帯域f1の瞬時最大相関値cinst_f1と、対応する瞬時パスタイミングtinst_f1を用いて、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を算出する(ステップS108)。
【0087】
第2周波数帯域A/D変換部1112bは、第2周波数帯域f2の受信基準信号をA/D変換して、第2周波数帯域f2のデジタル受信基準信号を生成する(ステップS109)。
【0088】
第2周波数帯域基準信号生成部1114bは、事前に通知された第2周波数帯域f2の基準信号に関する情報に基づいて、第2周波数帯域f2の基準信号を生成する(ステップS110)。
【0089】
第2周波数帯域相関部1113bは、第2周波数帯域f2のデジタル受信基準信号と第2周波数帯域f2の基準信号を用いて、第2周波数帯域f2の相関値cf2を算出する(ステップS111)。
【0090】
第2周波数帯域ピーク検出部1115bは、第2周波数帯域f2の相関値cf2から、第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と、対応する瞬時パスタイミングtinst_f2を検出する(ステップS112)。
【0091】
第2周波数帯域受信タイミング検出部1116bは、過去と最新の第2周波数帯域f2の瞬時最大相関値cinst_f2と、対応する瞬時パスタイミングtinst_f2を用いて、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2を算出する(ステップS113)。
【0092】
相関判定部1131と受信タイミング補正部1121は、最新の第1周波数帯域f1の受信パスタイミングtf1と第2周波数帯域f2の受信パスタイミングtf2が存在するかを確認する(ステップS114)。
【0093】
相関判定閾値部1132は、相関判定閾値thrf1_f2を設定する(ステップS115)。
【0094】
相関判定部1131は、相関判定値cf1_f2を算出する(ステップS116)。
【0095】
相関判定部1131は、相関判定閾値thrf1_f2と相関判定値cf1_f2を比較して、第1周波数帯域f1のパスタイミングと第2周波数帯域f2のパスタイミングの類似性を判定する(ステップS117)。
【0096】
相関判定部1131は、「cf1_f2≦thrf1_f2」の場合(ステップS117:Yes)、第1周波数帯域f1と第2周波数帯域f2間のパスタイミングは類似していると判定し、ステップS118に進む。
【0097】
一方、相関判定部1131は、「cf1_f2>thrf1_f2」の場合(ステップS117:Nо)、第1周波数帯域f1と第2周波数帯域f2間のパスタイミングは類似していないと判定し、「第1周波数帯域f1のパスタイミング=tf1」と決定して処理を終了する(ステップS122)。
【0098】
受信タイミング補正部1121は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1と第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2が等しいか比較する(ステップS118)。
【0099】
受信タイミング補正部1121は、「tf1≠tf2」の場合(ステップS118:Nо)、ステップS119に進む。
【0100】
一方、受信タイミング補正部1121は、「tf1=tf2」の場合(ステップS118:Yes)、「第1周波数帯域f1のパスタイミング=tf1」と決定して処理を終了する(ステップS122)。
【0101】
パス更新閾値部1122は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を更新するために用いるパス更新閾値thrudtを設定する(ステップS119)。
【0102】
受信タイミング補正部1121は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1と第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2の差分を、パス更新閾値thrudtと比較する(ステップS120)。
【0103】
受信タイミング補正部1121は、「tf1-tf2>thrudt」の場合(ステップS120:Nо)、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を更新する必要があると判断して、「第1周波数帯域f1のパスタイミング=tf2」と決定して処理を終了する(ステップS121)。
【0104】
一方、受信タイミング補正部1121は、「tf1-tf2≦thrudt」の場合(ステップS120:Yes)、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1を更新する必要がないと判断して、「第1周波数帯域f1のパスタイミング=tf1」と決定して処理を終了する(ステップS122)。
【0105】
受信タイミング補正部1121は、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2のみが存在するかを判別する(ステップS123)。
【0106】
受信タイミング補正部1121は、第2周波数帯域f2のパスタイミングtf2のみが存在する場合(ステップS123::Yes)、「第1周波数帯域f1のパスタイミング=tf2」と決定して処理を終了する(ステップS126)。
【0107】
受信タイミング補正部1121は、第1周波数帯域f1のパスタイミングtf1のみが存在する場合(ステップS123:Nо)、「第2周波数帯域f2のパスタイミング=tf1」と決定する(ステップS124)。また、受信タイミング補正部1121は、「第1周波数帯域f1のパスタイミング=tf1」と決定して処理を終了する(ステップS125)。
【0108】
ターゲットUE/BSの判定部113は、第1周波数帯域f1と第2周波数帯域f2のパスタイミングの類似性を判定する。また、ターゲットUE/BSの決定部112は、第1周波数帯域f1と第2周波数帯域f2のパスタイミング情報を用いて、第1周波数帯域f1のパスタイミングを補正する。
【0109】
ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1のパスタイミングを適切に補正することで、OFDMシンボル間の符号間干渉(ISI)を低減することができる。その結果、実施の形態によれば、適切な受信タイミングで信号を復調することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することができる。
【0110】
また、CA(Carrier Aggregation)、DC(Dual Connectivity)、または、BWPスイッチングにおいて、無線伝搬路の状態が悪く、もしくは、雑音が強くパス検出(遅延プロファイルの検出)が困難となり、第1周波数帯域f1で受信タイミング検出ができない場合がある。このような場合でも、ターゲットUE/BSは、第1周波数帯域f1に代えて、第2周波数帯域f2の受信タイミングを使用するので、適切なパスタイミングで信号を復調することができる。
【0111】
これにより、ターゲットUE/BSは、CA、DC、または、BWPスイッチングにおいて、任意の周波数帯域でパスの検出ができずにパスタイミングが検出できない場合でも、適切な受信タイミングを提供できる。
【0112】
また、周波数帯域の高低に依存して、Blockingの影響が顕著になることで、パスタイミングの変動が激しくなり、通信品質を一定に保てない場合がある。このような場合でも、ターゲットUE/BSは、パスタイミングの検出が困難な周波数帯域に代えて、別の周波数帯域の受信タイミングを使用するので、適切なパスタイミングで信号を復調することができる。
【0113】
[比較例]
図9は、実施の形態の比較例に係る無線通信システムを例示するブロック図である。
【0114】
図9に示すように、実施の形態の比較例に係る無線通信システム50は、実施の形態に係る無線通信システム10と比べて、測定部111の一部(周波数分離部1111、第2周波数帯域用のA/D変換部等)、決定部112、及び判定部113が設けられていない点が異なる。
【0115】
ソースBS/UE(別の無線通信装置52)は、ターゲットUE/BS(無線通信装置51)の受信処理の受信パス検出において必要な基準信号を第1周波数帯域f1で送信する。
【0116】
A/D変換部5112には、ソースBS/UEから送信された基準信号が、無線伝搬路や雑音の影響を受けた受信基準信号として入力される。A/D変換部5112は、受信基準信号をA/D変換してデジタル受信基準信号を生成し、相関部5113に出力する。
【0117】
基準信号生成部5114は、事前に通知された基準信号に関する情報に基づいて、基準信号を生成し、相関部5113に出力する。
【0118】
相関部5113は、デジタル受信基準信号と基準信号を用いて相関値を算出し、ピーク検出部5115に出力する。
【0119】
ピーク検出部5115は、相関値から、
図3に示すような、最大相関値c
maxと、対応する瞬時パスタイミングt
instを検出する。ピーク検出部5115は、最大相関値c
maxと瞬時パスタイミングt
instを、受信タイミング検出部5116に出力する。
【0120】
受信タイミング検出部5116は、最大相関値cmaxと瞬時パスタイミングtinstをメモリ(図示せず)に保存する。受信タイミング検出部5116は、メモリに保存された過去と最新の最大相関値cmaxと瞬時パスタイミングtinstを重み付けしてパスタイミングを決定する。
【0121】
無線通信装置51は、
図5に示すように、無線伝搬路の状態に起因して第1周波数帯域f
1のパスタイミングt
f1が遅い場合、ОFDMシンボルの切り出し時刻が遅れ、隣接OFDMシンボルとの間に符号間干渉を生じる。
【0122】
これにより、比較例によっては、適切な受信タイミングで信号を復調することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムを提供することは難しい。
【0123】
なお、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0124】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0125】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0126】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0127】
10、50…無線通信システム
11…無線通信装置
111…測定部
1111…周波数分離部
1112a…第1周波数帯域A/D変換部
1112b…第2周波数帯域A/D変換部
1113a…第1周波数帯域相関部
1113b…第2周波数帯域相関部
1114a…第1周波数帯域基準信号生成部
1114b…第2周波数帯域基準信号生成部
1115a…第1周波数帯域ピーク検出部
1115b…第2周波数帯域ピーク検出部
1116a…第1周波数帯域受信タイミング検出部
1116b…第2周波数帯域受信タイミング検出部
112…決定部
1121…受信タイミング補正部
1122…パス更新閾値部
113…判定部
1131…相関判定部
1132…相関判定閾値部
12、52…別の無線通信装置
121…送信部
5112…A/D変換部
5113…相関部
5114…基準信号生成部
5115…ピーク検出部
5116…受信タイミング検出部
cf1、cf2…相関値
cf1_f2…相関判定値
cinst_f1、cinst_f2…瞬時最大相関値
cmax…最大相関値
f1…第1周波数帯域
f2…第2周波数帯域
tm1…第1時刻
tm2…第2時刻
t0、t1、t2、t3…受信タイミング
tf1、tf2…パスタイミング
tinst_f1、tinst_f2…瞬時パスタイミング
tinst…瞬時パスタイミング
thrf1_f2…相関判定閾値
thrudt…パス更新閾値
Ncorr…サンプル数