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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G03G15/00 303
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019181464
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021056451
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】高比良 和也
(72)【発明者】
【氏名】山内 彰二
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-044262(JP,A)
【文献】特開平09-230643(JP,A)
【文献】特開2014-016567(JP,A)
【文献】特開2010-210659(JP,A)
【文献】特開2004-294471(JP,A)
【文献】特開2012-252035(JP,A)
【文献】特開2013-195652(JP,A)
【文献】特開2011-191707(JP,A)
【文献】特開2012-185414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0016985(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持手段の移動方向に沿って当該像保持手段に形成されるパッチ画像の濃度を同一の前記パッチ画像において複数箇所にわたり検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段の複数の検知結果が閾値以内か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による同一の前記パッチ画像における前記閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えた場合、前記濃度検知手段による前記像保持手段の移動方向に沿った前記パッチ画像の検知時期又は前記像保持手段への前記像保持手段の移動方向に沿った前記パッチ画像の形成位置を変更する変更手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段による前記閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えていない場合は、前記濃度検知手段による前記パッチ画像の検知時期又は前記像保持手段への前記パッチ画像の形成位置を変更しない請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定手段による前記閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えていない場合は、前記判定手段により前記閾値以内でないと判定された前記パッチ画像の検知結果を除いて前記パッチ画像の濃度を算出する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記濃度検知手段の検知結果が予め定められた閾値以内でないと判定した前記パッチ画像の位置を識別し、
前記変更手段は、前記判定手段によって識別された予め定められた閾値以内でないと判定された前記パッチ画像が前記濃度検知手段の検知領域内となるよう前記濃度検知手段による前記パッチ画像の検知時期又は前記像保持手段への前記パッチ画像の形成位置を変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記濃度検知手段の検知結果が予め定められた閾値以内でないと判定した前記パッチ画像の位置を識別し、
前記変更手段は、前記判定手段によって識別された予め定められた閾値以内でないと判定された前記パッチ画像が前記濃度検知手段の検知領域内となるよう変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記濃度検知手段による前記パッチ画像の濃度検知は、画像形成動作により形成される複数の画像領域間で実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記変更手段は、前記複数の画像領域間において前記濃度検知手段による前記パッチ画像の検知時期を変更する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記濃度検知手段による前記パッチ画像の濃度検知は、画像形成動作の開始前に実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、画像濃度を適正に維持するため、像保持手段上にパッチ画像を形成し、当該パッチ画像の濃度を検知して画像濃度を制御するよう構成されている(特許文献1等)。
【0003】
特許文献1は、パッチパターンの位置ずれ量から格納手段に格納されたパッチパターン検知結果のうちパッチパターンの中央部領域のパッチパターン検知結果のみを選択して、濃度算出手段によりパッチパターンの画像濃度を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4820067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、パッチ画像の位置ずれ量から格納手段に格納されたパッチ画像の検出結果のうち中央部領域の検出結果のみを選択してパッチ画像の画像濃度を算出する場合に比べ、パッチ画像の検出領域の前後に設定されるマージンを狭くした場合においても濃度検出に有効なパッチ画像の数を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、像保持手段の移動方向に沿って当該像保持手段に形成されるパッチ画像の濃度を同一の前記パッチ画像において複数箇所にわたり検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段の複数の検知結果が閾値以内か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による同一の前記パッチ画像における前記閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えた場合、前記濃度検知手段による前記像保持手段の移動方向に沿った前記パッチ画像の検知時期又は前記像保持手段への前記像保持手段の移動方向に沿った前記パッチ画像の形成位置を変更する変更手段と、
を備える画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記判定手段による前記閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えていない場合は、前記濃度検知手段による前記パッチ画像の検知時期又は前記像保持手段への前記パッチ画像の形成位置を変更しない請求項1に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記判定手段による前記閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えていない場合は、前記判定手段により前記閾値以内でないと判定された前記パッチ画像の検知結果を除いて前記パッチ画像の濃度を算出する請求項2に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記判定手段は、前記濃度検知手段の検知結果が予め定められた閾値以内でないと判定した前記パッチ画像の位置を識別し、
前記変更手段は、前記判定手段によって識別された予め定められた閾値以内でないと判定された前記パッチ画像が前記濃度検知手段の検知領域内となるよう前記濃度検知手段による前記パッチ画像の検知時期又は前記像保持手段への前記パッチ画像の形成位置を変更する請求項1に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記判定手段は、前記濃度検知手段の検知結果が予め定められた閾値以内でないと判定した前記パッチ画像の位置を識別し、
前記変更手段は、前記判定手段によって識別された予め定められた閾値以内でないと判定された前記パッチ画像が前記濃度検知手段の検知領域内となるよう変更する請求項1に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記濃度検知手段による前記パッチ画像の濃度検知は、画像形成動作により形成される複数の画像領域間で実行する請求項1に記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項7に記載された発明は、前記変更手段は、前記複数の画像領域間において前記濃度検知手段による前記パッチ画像の検知時期を変更する請求項6に記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項8に記載された発明は、前記濃度検知手段による前記パッチ画像の濃度検知は、画像形成動作の開始前に実行する請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、パッチ画像の位置ずれ量から格納手段に格納されたパッチ画像の検知結果のうち中央部領域の検知結果のみを選択してパッチ画像の画像濃度を算出する場合に比べ、パッチ画像の検出領域の前後に設定されるマージンを狭くした場合においても濃度検出に有効なパッチ画像の数を確保することができる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、判定手段による閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えていない場合でも、濃度検知手段によるパッチ画像の検知時期又は像保持手段への前記パッチ画像の形成位置を変更する場合に比べ、不必要な変更処理を行う必要がない。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、判定手段による閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えていない場合でも、判定手段により閾値以内でないと判定されたパッチ画像の検出結果を含めてパッチ画像の濃度を算出する場合に比べ、パッチ画像の濃度の検出精度を向上することができる。
【0017】
請求項4に記載された発明によれば、判定手段は、濃度検知手段の検知結果が予め定められた閾値以内でないと判定したパッチ画像の位置を識別しないで、濃度検知手段によるパッチ画像の検知時期又は像保持手段へのパッチ画像の形成位置を変更する場合に比べ、パッチ画像の形成位置の変更精度を向上することができる。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、変更手段は、像保持手段へのパッチ画像の形成位置を変更する場合に比べ、他の画像へ影響が及ぶのを抑制することができる。
【0019】
請求項6に記載された発明によれば、濃度検知手段によるパッチ画像の濃度検知を、画像形成動作の開始前に実行する場合に比べ、生産性を向上することができる。
【0020】
請求項7に記載された発明によれば、変更手段は、複数の画像領域間においてパッチ画像の形成位置を変更する場合に比べ、変更処理が容易となる。
【0021】
請求項8に記載された発明によれば、濃度検知手段によるパッチ画像の濃度検知を、画像形成動作により形成される複数の画像領域間で実行する場合に比べ、初期的に形成される画像の画質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の濃度センサを示す断面構成図である。
図3】中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像を示す平面構成図である。
図4】濃度センサによるパッチ画像の検知状態を示す説明図である。
図5】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図7】濃度センサの出力を濃度センサによるパッチ画像の検知状態と共に示すグラフである。
図8】濃度センサによるパッチ画像の検知状態を示す説明図である。
図9】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置における中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像を示す平面構成図である。
図10】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。
【0025】
<画像形成装置の全体の構成>
画像形成装置1は、電子写真方式を採用して、文字、写真、図形等からなる画像情報に基づきトナーで構成される画像を最終的に記録媒体の一例である記録用紙9に形成するフルカラープリンタである。画像形成装置1は、図1に示されるように、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を一次転写により保持した後に記録用紙9に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給する記録用紙9を収容するとともに供給する給紙装置40と、中間転写装置30で二次転写されたトナー像を記録用紙9に定着させる定着装置50等が配置されている。図1に示す太い実線は、記録用紙9の主な搬送路である。
【0026】
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ個別に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kを用いて構成されている。この作像装置20(Y,M,C,K)はいずれも、図1に示されるように、矢印Aで示す方向に回転駆動される像保持手段の一例としての感光体ドラム21をそれぞれ備えている。各感光体ドラム21の周囲には、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、一次転写装置25、ドラム清掃装置26等がそれぞれ配置されている。なお、感光体ドラム21及びその周囲に配置される部材の符号は、ブラック(K)の作像装置20Kのみに付し、他の作像装置20(Y,M,C)では省略している。
【0027】
感光体ドラム21は、例えば、接地処理される円筒又は円柱状の導電性基材の周面にOPCなどの感光材料からなる光誘電層(感光体層)を有する像形成面を形成したドラム形態の感光体である。この感光体ドラム21は、図示しない駆動装置から動力を受けて矢印Aで示す方向に回転駆動するよう設けられている。
【0028】
帯電装置22は、例えば、感光体ドラム21の像形成面に非接触状態で配置されるとともにマイナス極性の所要の帯電バイアスが供給されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置が用いられる。なお、帯電装置22としては、スコロトロン等の非接触型の帯電装置に限定されるものではなく、帯電ロールを備えた接触型の帯電装置を用いても勿論良い。
【0029】
露光装置23は、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置か、あるいは、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型の露光装置である。露光装置23には、通信手段、画像読取装置等を通して外部から入力された画像情報や内部の記憶部に格納されている画像情報が、画像制御部110によって所要の処理を施された後にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号としてそれぞれ入力される。露光装置23は、その入力される画像信号に応じた露光を行う。
【0030】
現像装置24は、例えば、前記4色(Y,M,C,K)のいずれか1色のトナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を利用する現像装置24(Y,M,C,K)である。また、現像装置24(Y,M,C,K)は、例えばトナーをマイナス極性に帯電させて反転現像を行うよう使用される。さらに、現像装置24(Y,M,C,K)は、筐体内に収容されている二成分現像剤を保持して感光体ドラム21と対向する現像領域に搬送するよう回転する現像剤保持手段の一例としての現像ロール241等を備えている。現像ロール241には、感光体ドラム21との間に例えば直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが供給される。
【0031】
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各現像装置24(Y,M,C,K)には、対応する色のトナーを収容したトナーカートリッジ242から現像剤供給駆動部としての供給モータ243を回転駆動することにより対応する色のトナーが供給される。各供給モータ243は、駆動制御部120によって駆動時期や駆動時間がそれぞれ制御される。現像装置24(Y,M,C,K)は、トナーカートリッジ242から対応する色のトナーを適宜供給することにより当該現像装置24(Y,M,C,K)内のトナー濃度が変化する。画像制御部110及び駆動制御部120は、例えば、後述する制御装置100の制御部101により構成される。
【0032】
一次転写装置25は、例えば、感光体ドラム21の一次転写位置とする像形成面部分に(後述の中間転写ベルト31を介した状態で)接触して従動回転するよう配置されるとともに、所要の一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。
【0033】
ドラム清掃装置26は、筐体の清掃作業用開口において感光体ドラム21の少なくとも一次転写後の像形成面部分に接触するよう配置されて、その像形成面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って除去する弾性板等の清掃部材等を備えている。
【0034】
中間転写装置30は、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の下方側となる位置に配置されている。この中間転写装置30は、作像装置20(Y,M,C,K)における感光体ドラム21の一次転写装置25と向き合う一次転写位置をそれぞれ通過しながら矢印Bで示す方向に回転するよう配置される中間転写手段(像保持手段)の一例としての中間転写ベルト31を備えている。中間転写ベルト31は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)で形成された後述するパッチ画像200を保持する像保持手段である。
【0035】
中間転写ベルト31は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の基材にカーボンブラック等の抵抗調整剤を分散してなる材料を用いて所要の厚さ及び電気抵抗値からなる無端ベルト状に成形されたものである。
【0036】
また、中間転写ベルト31は、複数の支持ロール32a~32cに掛け回されて回転自在に支持されている。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32bは外周面に中間転写ベルト31を巻き付けた状態で支持し濃度検知手段の一例としての濃度センサ60によって中間転写ベルト31上に形成される濃度制御用画像としてのパッチ画像を検知するセンサロールとして、支持ロール32cは二次転写バックアップロールとして、それぞれ構成されている。濃度センサ60は、中間転写ベルト31の表面と対向する位置であって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4つの作像装置20(Y,M,C,K)のうち、中間転写ベルト31の移動方向に沿った最も下流側に配置されたブラック(K)の作像装置20Kの下流側に配置されている。
【0037】
図2は光学式の濃度センサを示す構成図である。
【0038】
濃度センサ60は、図2に示されるように、LED等からなる発光素子61と、発光素子61から出射された光束を中間転写ベルト31上の露光位置に略円形状に絞って照射する遮光部材62と、中間転写ベルト31上に形成されたパッチ画像200からの正反射光を集光する第1の集光レンズ63と、紫外光を遮断する第1の紫外光カットフィルタ64と、中間転写ベルト31上に形成されたパッチ画像200からの正反射光を第1の集光レンズ63及び第1の紫外光カットフィルタ64を介して受光するフォトダイオードやフォトトランジスタ等からなる第1の受光素子65と、中間転写ベルト31上に形成されたパッチ画像200からの拡散反射光を集光する第2の集光レンズ66と、紫外光を遮断する第2の紫外光カットフィルタ67と、中間転写ベルト31上に形成されたパッチ画像200からの拡散反射光を第2の集光レンズ66及び第2の紫外光カットフィルタ67を介して受光するフォトダイオードやフォトトランジスタ等からなる第2の受光素子68とを備えている。発光素子61は、例えば、中間転写ベルト31上のパッチ画像200に対して入射角が約80度に設定される。また、第1の受光素子65は、中間転写ベルト31上のパッチ画像200からの正反射光を受光するため受光角が約80度に設定される。一方、第2の受光素子68は、例えば、中間転写ベルト31上のパッチ画像200からの拡散反射光を受光するため受光角が約30度に設定される。濃度センサ60からの検知信号は、図1に示されるように、画像制御部110へ入力される。濃度センサ60の検知信号(センサ値)は、第1及び第2の受光素子65,68からの出力信号に対して所要の演算処理を施したものであり、パッチ画像200のトナー量が増加するに従って減少する。
【0039】
また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像を記録用紙9に二次転写させる転写手段の一例としての二次転写装置33と、中間転写ベルト31の外周面における像保持面に残留して付着するトナー等の不要物を除去して清掃する中間転写装置30の清掃手段の一例としてのベルト清掃装置34等を備えている。
【0040】
二次転写装置33は、図1に示されるように、例えば、通常の画像形成時、中間転写ベルト31の支持ロール32cに支持されている像保持面部分に接触して回転するよう配置される二次転写ロール331を備えた接触型の転写装置が採用される。中間転写ベルト31を背面から支持する支持ロール32c又は二次転写ロール331には、図示しない電源装置によってトナーの帯電極性と同極性又は逆極性の二次転写電圧が印加される。中間転写ベルト31を背面から支持する支持ロール32c又は二次転写ロール331は、接離手段35によって二次転写ロール331が中間転写ベルト31に対して接触及び離間可能となるよう構成されている。なお、中間転写ベルト31上にパッチ画像を形成する際は、接離手段35によって二次転写ロール331が中間転写ベルト31から離間された状態とされる。
【0041】
ベルト清掃装置34は、筐体の清掃作業用開口において中間転写ベルト31の少なくとも二次転写後の像保持面部分に接触するよう配置されて、その像保持面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って清掃する弾性板等の清掃部材等を備えている。
【0042】
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側となる位置に配置されている。この給紙装置40は、所要のサイズ、種類等の記録用紙9が図示しない積載板の上に積み重ねた状態で収容される収容体41と、その収容体41から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出装置42とを備えている。収容体41及び送出装置42の数は、必要に応じて増減される。
【0043】
記録用紙9は、搬送路による搬送が可能であってトナー像の転写及び定着が可能な記録媒体であれば適用することができる。記録用紙9としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙9の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0044】
定着装置50は、中間転写装置30の二次転写位置寄りの記録用紙9の搬送方向に沿った下方側に配置されている。この定着装置50は、筐体51の内部に矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態からなる加熱用回転体52と、この加熱用回転体52の軸方向に略沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形態又はベルト形態からなる加圧用回転体53とを設置したものである。定着装置50では、加熱用回転体52と加圧用回転体53とが接触する部分が、トナー像を保持する記録用紙9が導入されて定着処理(加熱及び加圧)される定着処理部として構成されている。
【0045】
また、画像形成装置1には、記録用紙9の主な用紙搬送路として、給紙装置40と中間転写装置30との間をつなぐ供給搬送路RT1と、中間転写装置30の二次転写位置と定着装置50との間をつなぐ中継搬送路RT2と、定着装置50と図示しない用紙排出口との間をつなぐ排出搬送路RT3が設けられている。
【0046】
供給搬送路RT1には、給紙装置40から供給される記録用紙9を二次転写位置へと搬送する単数又は複数の用紙搬送ロール対43や図示しない搬送ガイド等が配置されている。中間転写ベルト31の二次転写位置の上流側に隣接して配置される用紙搬送ロール対43は、中間転写ベルト31上の画像と同期して記録用紙9を搬送するレジストロールとして構成されている。
【0047】
<画像形成装置による基本的な画像形成動作>
この画像形成装置1では、以下に説明する基本的な画像形成動作が行われる。ここでは、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する場合の動作を例にして説明する。
【0048】
まず、画像形成装置1は、図1に示されるように、制御装置100(図5参照)が外部等から画像形成動作の要求指令を受けると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、各感光体ドラム21が矢印Aで示す方向にそれぞれ回転駆動され、各帯電装置22が帯電電流の供給を受けてコロナ放電を発生させる。これにより、各感光体ドラム21は、その像形成面が所要の極性(例えばマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電される。
【0049】
続いて、各露光装置23が、各感光体ドラム21の帯電後における像形成面に対して各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号に応じた露光をそれぞれ行う。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、所定の電位からなる各色成分の静電潜像がそれぞれ形成される。
【0050】
続いて、各現像装置24(Y,M,C,K)が、所定の極性(マイナス極性)に帯電された各色(Y,M,C,K)のトナーを、現像ロール241から供給するとともに、現像バイアスの供給を受けて現像ロール241と感光体ドラム21との間に形成される現像電界により、感光体ドラム21の像形成面における各色成分の静電潜像の部分に静電的に付着させる。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、4色(Y,M,C,K)のうちの対応する色のトナー像が個別に形成される。
【0051】
続いて、各一次転写装置25が一次転写電流の供給を受けて感光体ドラム21との間に一次転写電界を形成することにより、各感光体ドラム21上のトナー像を中間転写装置30における中間転写ベルト31の像保持面に対して順番(Y,M,C,Kの順)に一次転写させる。また、ドラム清掃装置26が、一次転写後等における各感光体ドラム21の像形成面を清掃して、各感光体ドラム21における次の作像動作に備える。
【0052】
次いで、中間転写装置30において、中間転写ベルト31が矢印Bで示す方向に回転することにより、その像保持面に一次転写されて保持された未定着のトナー像を二次転写装置33と向き合う二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置40において、送出装置42が記録用紙9を収容体41から供給搬送路RT1に送り出した後、用紙搬送ロール対43が中間転写装置30の二次転写位置に送り込むよう供給する。そして、二次転写位置においては、二次転写装置33が二次転写バイアスの供給を受けて中間転写ベルト31との間に二次転写電界を形成することにより、中間転写ベルト31上の4色のトナー像を記録用紙9の片面に対して二次転写させる。
【0053】
次いで、未定着のトナー像が二次転写された記録用紙9が、中間転写ベルト31から剥離された後に中継搬送路RT2を経由して定着装置50に送り込まれるよう搬送される。定着装置50では、その記録用紙9が加熱用回転体52と加圧用回転体53の接触部分である定着処理部に導入されて通過する際に加熱及び加圧される。これにより、トナー像を構成するトナーが加圧下で溶融されて、トナー像が記録用紙9に定着される。
【0054】
続いて、トナー像が定着された後の記録用紙9が、定着装置50の筐体51内から排出された後に排出搬送路RT3を経由して搬送され、最後に図示しない用紙排出口から外部に排出される。
【0055】
以上の動作が行われることにより、フルカラー画像が形成された1枚の記録用紙9が出力される。また、複数枚の画像形成動作の要求指令を受けた場合は、その枚数分だけ上記画像形成動作が同様に繰り返して行われる。
【0056】
この他、画像形成装置1では、上記画像形成動作において、4つの作像装置20(Y,M,C,K)のいずれか1つを作動させることにより単色の画像を形成することや、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の2つ又は3つを組み合わせて作動させることによりフルカラー画像以外のカラー画像を形成することもできる。
【0057】
<画像形成装置の特徴部分の構成>
上記の如く構成される画像形成装置1では、図3に示されるように、記録用紙9上にプリントされる画像の色安定性等を一定に維持するため、中間転写ベルト31上にパッチ画像200を形成し、当該パッチ画像200を濃度センサ60により検知して、当該パッチ画像200の濃度を正確に算出する必要がある。
【0058】
ところで、中間転写ベルト31上に形成されたパッチ画像200の濃度を濃度センサ60により検知するには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)で形成される対応する各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを中間転写ベルト31上に一次転写し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ画像200が濃度センサ60の位置へ移動するタイミングで当該パッチ画像200の濃度を濃度センサ60によって検出する必要がある。
【0059】
画像形成装置1において単位時間当たりに画像をプリント可能な記録用紙9の枚数である生産性を向上させるためには、図3に示されるように、中間転写ベルト31上に予め設定された画像領域300に画像を形成しつつ、隣接する2つの画像領域300の間に設けられた非画像領域301に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを1つずつ順次形成し、当該パッチ画像200Y,200M,200C,200Kを濃度センサ60で検出するよう構成される。
【0060】
なお、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度センサ60による検知結果は、画像濃度の制御に直ちに使用される。そのため、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kとして、例えば、最初の1組目のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kは、画像濃度がCin=80%、次の2組目のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kは、画像濃度がCin=40%、3組目のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kは、画像濃度がCin=60%、4組目のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kは、画像濃度がCin=20%というように、パッチ画像200の濃度を高濃度側と低濃度側に交互に変化するよう設定するのが望ましい。
【0061】
濃度センサ60は、図4(a)に示されるように、パッチ画像200の濃度を検出するに際して、パッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った下流側の端部である先端から予め定められた距離L2だけ内側に位置する検知開始位置から濃度検知を開始し、予め定められた時間間隔ΔT(距離ΔLに相当)で複数個所(例えば、20~30点程度)にわたりパッチ画像200の濃度を検知する。
【0062】
この実施の形態1では、図4(a)に示されるように、パッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った下流側の端部から検知開始位置までの距離L2が従来に比較して短く、パッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った上流側に設定されるマージンが相対的に狭く設定されている。なお、従来は、パッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った下流側の端部から検知開始位置までの距離L2が、パッチ画像200の検知領域と略同程度に設定されている。因みに、従来は、パッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った上流側の端部から検知終了位置までの距離L1も、パッチ画像200の検知領域と略同程度に設定されている。
【0063】
このとき、画像形成装置1においてブラック(K)の作像装置20Kの中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った下流側に配置される濃度センサ60の取付位置に公差以上の取付誤差が存在する場合や、濃度センサ60が中間転写ベルト31上のパッチ画像200を検知する検出タイミングを制御する制御装置100(図5参照)が他のプログラム処理の影響を受けたりノイズの影響を受けた場合など、濃度センサ60によるパッチ画像200の検知タイミングにずれが生じる場合がある。
【0064】
このように、濃度センサ60によるパッチ画像200の検知タイミングにずれが生じると、図4(b)に示されるように、濃度センサ60によるパッチ画像200の検知タイミングがパッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った下流側へずれた場合など、パッチ画像200以外に中間転写ベルト31の表面をパッチ画像200として誤検知してしまうなど、パッチ画像200の濃度を予め定められた複数の検知箇所にわたり正確に検出することができない虞を有している。
【0065】
そこで、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、濃度センサ60の複数の検知結果が予め定められた閾値以内か否かを判定する判定手段と、判定手段による閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えた場合、濃度センサ60によるパッチ画像200の検知時期又は中間転写ベルト31へのパッチ画像200の形成位置を変更する変更手段とを備えるよう構成されている。
【0066】
<制御装置の構成>
図5はこの実施の形態1に係る画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
【0067】
制御装置100は、判定手段及び変更手段の一例として機能する制御部101を備えている。制御部101は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムを実行することによりパッチ画像200の検知濃度に基づいた画像濃度の制御動作などを含む画像形成装置1の動作を統括的に制御する。制御部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において、現像剤供給駆動部243、帯電装置22、露光装置23、現像装置24など制御することにより、カラー画像等の形成動作や画像濃度の制御動作を実行する。
【0068】
また、制御部101には、外部から画像情報を取得する画像取得部102と、画像取得部102によって取得された画像情報に対して所要の画像処理を施す画像処理部103が接続されている。
【0069】
制御部101には、画像濃度検知部としての濃度センサ60からパッチ画像200の濃度検知データが入力される。
【0070】
制御部101は、画像濃度の制御動作を実行すべきタイミングであると判別すると、画像濃度制御のタイミング信号を生成する。画像濃度の制御動作を実行すべきタイミングは、例えば、画像形成装置1の電源が投入されたとき、予め定められた枚数の記録用紙9に画像をプリントしたとき、あるいは記録用紙9にジャムが発生したときなどである。
【0071】
また、制御部101は、画像濃度制御のタイミング信号が生成されると、パッチ画像200を生成するためのパッチ生成信号を出力し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において対応する色のパッチ画像200を形成する。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ画像200は、複数の濃度にわたり形成されるが、ここでは、1つの濃度のみで形成する場合について説明する。
【0072】
制御部101は、濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ画像200の濃度を検知すると、濃度センサ60の複数の検知結果が予め定められた閾値以内か否かを判定するとともに、閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えた場合、濃度センサ60によるパッチ画像200の検知時期又は中間転写ベルト31へのパッチ画像200の形成位置を変更するよう構成されている。
【0073】
<画像形成装置の特徴部分の動作>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、次のようにして、パッチ画像の位置ずれ量から格納手段に格納されたパッチ画像の検知結果のうち中央部領域の検知結果のみを選択してパッチ画像の画像濃度を算出する場合に比べ、パッチ画像の検知領域の前後に設定されるマージンを狭くした場合においても濃度検知に有効なパッチ画像の数を確保するようになっている。
【0074】
すなわち、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、図6に示されるように、制御装置100の制御部101が画像濃度の制御タイミングであると判別すると、画像濃度の制御動作を実行する。この画像濃度の制御動作においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ画像200の作成、並びに各色のパッチ画像200を濃度センサ60により検知して当該各色のパッチ画像200の画像濃度を算出する動作が実行される。
【0075】
制御装置100の制御部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において対応する色のトナー像からなるパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを作成する(ステップ101)。
【0076】
次に、制御部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)で形成された各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度を濃度センサ60によって検知し、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データを採取する(ステップ102)。
【0077】
その後、制御部101は、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データに基づいて、予め定められた閾値以上の測定点が1点以上あるか否かを判別する(ステップ103)。ここで、予め定められた閾値以上の測定点があるか否かを判別するのは、濃度センサ60は、図2に示されるように、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kが形成される中間転写ベルト31からの正反射光及び拡散反射光を第1及び第2の受光素子65,68により検知することで、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度を検知する。そのため、濃度センサ60がパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを検知せずに中間転写ベルト31の表面を検知すると、中間転写ベルト31表面からの正反射光の成分が増加し、濃度センサ60の出力が増加する方向に外れるためである。なお、ここで、予め定められた閾値以上の測定点があるか否かを判別することに代えて、予め定められた第1の閾値以上及び予め定められた第2の閾値以下の測定点があるか否かを判別するように構成しても勿論良い。
【0078】
そして、制御部101は、図7(a)に示されるように、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データのうち、予め定められた閾値以上の測定点がなく、いずれも予め定められた閾値未満であると判別すると、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの画像濃度を算出し(ステップ104)、当該パッチ画像の濃度算出処理を終了する。
【0079】
パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの画像濃度の算出は、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データのうち、最大値と最少値を除いた他の濃度データの平均値を求めることにより行う。
【0080】
一方、制御部101は、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データのうち、予め定められた閾値以上の測定点が1点でもあると判別すると、図7(b)に示されるように、閾値以上の測定点が5点以上かつ5点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続しているか否かを判別する(ステップ105)。
【0081】
そして、制御部101は、閾値以上の測定点が5点以上且つ5点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続しているとの条件を満たしていないと判別すると、閾値以上の測定点の濃度データを削除して(ステップ106)、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの画像濃度を算出する(ステップ104)。
【0082】
ここで、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの画像濃度の算出は、各色のパッチ画像の濃度データのうち、閾値以上の測定点の濃度データを削除した上で、上述したように、最大値と最少値を除いた他の濃度データの平均値を求めることにより行う。また、ここでは、各色のパッチ画像の濃度データのうち、閾値以上の測定点の濃度データを削除した上で、最大値と最少値を除くことなく直ちに他の濃度データの平均値を求めても良い。
【0083】
また、制御部101は、閾値以上の測定点が5点以上かつ5点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続していると判別すると、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングを変更する処理を実行する(ステップ107)。
【0084】
パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングを変更する処理は、図8に示されるように、制御部101は、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングが中間転写ベルト31の移動方向に沿って下流側か上流側かいずれの方向にずれたかを判別するとともに、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングのずれ量を中間転写ベルト31の移動速度に対する時間又は距離として検知する。
【0085】
このパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングがずれた方向及びずれ量の検知は、図7(b)に示されるように、例えば、制御部101によって閾値以上の測定点の濃度データが中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った上流側に存在するか又は下流側に存在するか、閾値以上の測定点の濃度データの数を解析することにより行われる。
【0086】
制御部101は、図7(b)に示されるように、閾値以上の測定点の濃度データが存在する位置及び数の解析結果に基づいて、パッチ画像200の検知タイミングのずれ量L3を算出し、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度センサ60による検知タイミングがパッチ画像の所要の範囲内となるように、当該検知タイミングのずれ量L3及びパッチ画像200の中間転写ベルト31の移動方向Bに沿った上流側及び下流側に設定されるマージンL1,L2を考慮して、パッチ画像200の検知タイミングの補正量(L3+L2)等を算出し、当該検知タイミングの補正量(L3+L2)に基づいて、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングを変更する処理を実行する(ステップ107)。
【0087】
この場合、制御部101は、図8に示されるように、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングをずれ量(L3+L2)に応じた時間だけ検知タイミングを遅くするように変更する処理を実行する。
【0088】
なお、制御部101は、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度センサ60による検知タイミングを変更する代わりに、中間転写ベルト31上におけるパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの形成位置を変更するように構成しても良い。
【0089】
この場合、制御部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)におけるパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの形成位置を中間転写ベルト31の移動方向に沿った下流側に変更すれば良い。
【0090】
その後、制御部101は、ステップ101へ戻り、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において対応する色のトナー像からパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを作成する動作を実行し、変更された検知タイミングでパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを濃度センサ60により検知して、濃度データを採取し(ステップ102)、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの画像濃度を算出する処理を実行する(ステップ104)。
【0091】
その後、制御部101は、算出されたパッチ画像の画像濃度に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において画像濃度が適正な範囲となるよう制御する動作を実行する。
【0092】
このように、上記実施の形態1に係る画像形成装置1によれば、判定手段による閾値以内でないとの判定結果が予め定められた数を超えた場合、濃度センサ60によるパッチ画像200の検知時期又は作像装置へのパッチ画像の形成位置を変更することにより、パッチ画像の位置ずれ量から格納手段に格納されたパッチ画像の検出結果のうち中央部領域の検知結果のみを選択してパッチ画像の画像濃度を算出する場合に比べ、パッチ画像200の検知領域の前後に設定されるマージンを狭くした場合においても濃度検知に有効なパッチ画像の数を確保することができる。
【0093】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2に係る画像形成装置を示すものである。この実施の形態2に係る画像形成装置は、濃度検知手段によるパッチ画像の濃度検知は、画像形成動作の開始前に実行するよう構成されている。
【0094】
すなわち、この実施の形態2に係る画像形成装置1では、図9に示されるように、画像形成動作に先立って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において対応する各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを連続して形成し、当該パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度を濃度センサ60により検知するよう構成されている。
【0095】
このように、通常の画像形成動作に先立って、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kを連続して形成し、当該パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度を濃度センサ60により検知することにより、濃度センサ60によるパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度検知を、画像形成動作により形成される複数の画像領域300間で実行する場合に比べ、初期的に形成される画像の画質を向上することができる。
【0096】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0097】
[実施の形態3]
図10は、実施の形態3に係る画像形成装置を示すものである。この実施の形態3に係る画像形成装置1は、制御部101が、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データに基づいて、予め定められた閾値以上の測定点が1点以上あるか否かを判別した後の動作が前記実施の形態1と異なるよう構成されている。
【0098】
すなわち、この実施の形態3に係る画像形成装置1では、図10に示されるように、制御部101が、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データに基づいて、予め定められた閾値以上の測定点が1点以上あるか否かを判別した後(ステップ103)、制御部101は、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データのうち、予め定められた閾値以上の測定点が1点でもあると判別すると、閾値以上の測定点が5点以上又は3点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続しているか否かを判別する(ステップ108)。
【0099】
したがって、制御部101は、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データのうち、閾値以上の測定点が5点以上存在する場合、又は3点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続している場合に、ステップ107に進み、検知タイミングを変更するよう構成されている。
【0100】
このように、この実施の形態3では、制御部101は、各色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データのうち、閾値以上の測定点が5点以上存在する場合、又は3点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続している場合に、検知タイミングを変更する。
【0101】
そのため、この実施の形態3では、1色のパッチ画像200Y,200M,200C,200Kの濃度データでも閾値以上の測定点が5点以上存在した場合、あるいは3点以上閾値を超えたパッチ画像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての色で連続している場合という厳しい条件で、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知タイミングを変更することにより、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kのマージンの減少を可能としつつ、パッチ画像200Y,200M,200C,200Kの検知精度を維持することが可能となる。
【0102】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0103】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置としてイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)を有するフルカラーの画像形成装置について説明したが、画像形成装置としては、モノクロの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0104】
1…画像形成装置
20(Y,M,C,K)…イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の作像装置
31…中間転写ベルト
60…濃度センサ
100…制御装置
101…制御部
200…パッチ画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10