(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B65D81/05 540A
(21)【出願番号】P 2019226929
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 優也
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-235922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の板材により形成された構造体であって、
矩形平板状の底部と、
前記底部の周縁部に配置され、互いに平行な一対の第1の側壁部と互いに平行な一対の第2の側壁部とを有する矩形枠状の周壁部と、を備え、
前記周壁部における少なくとも1つの角部は、
前記底部に垂直な第1の方向から見たときの形状がL字状である第1のL字部分であって、前記第1のL字部分における一方の直線部分は前記
第2の側壁部の外周面を構成し、前記第1のL字部分における他方の直線部分は前記
第1の側壁部に沿って配置されている第1のL字部分と、
前記第1のL字部分の内周面側に配置され、前記第1の方向から見たときの形状がL字状である第2のL字部分であって、前記第2のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部に沿って配置され、前記第2のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置されている第2のL字部分と、
前記第1の方向から見たときの形状がL字状である第3のL字部分であって、前記第3のL字部分における一方の直線部分は前記
第2の側壁部の内周面を構成し、前記第3のL字部分における他方の直線部分は前記
第1の側壁部に沿って配置され、かつ、外周面が前記第2のL字部分の内周面から前記周壁部の内周側に離間するように配置されている第3のL字部分と、を備え、
前記第2のL字部分の外周面は、前記第1のL字部分の内周面に接触している、構造体。
【請求項2】
1枚の板材により形成された構造体であって、
矩形平板状の底部と、
前記底部の周縁部に配置され、互いに平行な一対の第1の側壁部と互いに平行な一対の第2の側壁部とを有する矩形枠状の周壁部と、を備え、
前記周壁部における少なくとも1つの角部は、
前記底部に垂直な第1の方向から見たときの形状がL字状である第1のL字部分であって、前記第1のL字部分における一方の直線部分は前記
第2の側壁部の外周面を構成し、前記第1のL字部分における他方の直線部分は前記
第1の側壁部に沿って配置されている第1のL字部分と、
前記第1のL字部分の内周面側に配置され、前記第1の方向から見たときの形状がL字状である第2のL字部分であって、前記第2のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部に沿って配置され、前記第2のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置されている第2のL字部分と、を備え、
前記第2のL字部分の外周面は、前記第1のL字部分の内周面に接触しており、
前記第1の側壁部は、前記第1のL字部分における前記底部とは反対側から前記周壁部の内周側に延びる第2の折り返し部分を備え、
前記第2のL字部分は、前記第2の折り返し部分に係止されている、
構造体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の構造体であって、
前記
第2の側壁部は、前記第2のL字部分における前記底部側から前記周壁部の内周側に延びるとともに、前記底部に係止される第1の折り返し部を備える、
構造体。
【請求項4】
請求項3に記載の構造体であって、
前記第1の折り返し部は、少なくとも前記第2のL字部分における屈曲部分に繋がっている、
構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、1枚の板材により形成された構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1枚の厚板により形成された包装用トレイが知られている。包装用トレイは、矩形平板状の底部と、底部の周縁部に配置され、互いに平行な一対の第1の側壁部と互いに平行な一対の第2の側壁部とを有する矩形枠状の周壁部と、を備える。周壁部を構成する各側壁部は、内側に配置された内壁と外側に配置された外壁とが互いに離間しており、内壁と外壁との間に空間が形成されている。これにより、外壁が受けた衝撃が内壁に伝わることが抑制され、包装用トレイに収容された対象物の損傷が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-183486号公報
【文献】実用新案登録第3200836号公報
【文献】特開2003-327233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の包装用トレイでは、周壁部の角部の強度について十分に検討されていなかった。すなわち、従来の包装用トレイにおける各角部は、底部に垂直な第1の方向から見たときの形状がL字状である2つのL字部分が互いに離間して配置された構成になっている。このため、包装用トレイにおける角部が強い衝撃を受けると、角部に応力が集中するため、角部または角部の周辺が容易につぶれ、その結果、対象物が損傷するおそれがある。なお、このような問題は、包装用トレイに限らず、1枚の板材により形成された構造体に共通する問題である。
【0005】
本明細書では、1枚の板材により形成された構造体における角部の強度を向上させることが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される構造体は、1枚の板材により形成された構造体であって、矩形平板状の底部と、前記底部の周縁部に配置され、互いに平行な一対の第1の側壁部と互いに平行な一対の第2の側壁部とを有する矩形枠状の周壁部と、を備え、前記周壁部における少なくとも1つの角部は、前記底部に垂直な第1の方向から見たときの形状がL字状である第1のL字部分であって、前記第1のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部の外周面を構成し、前記第1のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置されている第1のL字部分と、前記第1のL字部分の内周面側に配置され、前記第1の方向から見たときの形状がL字状である第2のL字部分であって、前記第2のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部に沿って配置され、前記第2のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置されている第2のL字部分と、を備え、前記第2のL字部分の外周面は、前記第1のL字部分の内周面に接触している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における緩衝用ダンボール体100の使用例を示す説明図である。
【
図2】緩衝用ダンボール体100の外観構成を示す斜視図である。
【
図3】緩衝用ダンボール体100の底面側の構成を示す説明図である。
【
図4】緩衝用ダンボール体100を展開した状態を示す説明図である。
【
図5】緩衝用ダンボール体100の組立途中の状態を示す説明図である。
【
図6】緩衝用ダンボール体100における角部付近の構成を示す説明である。
【
図7】組立途中の緩衝用ダンボール体100における第2の側壁部30の構成を示す説明である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される構造体は、1枚の板材により形成された構造体であって、矩形平板状の底部と、前記底部の周縁部に配置され、互いに平行な一対の第1の側壁部と互いに平行な一対の第2の側壁部とを有する矩形枠状の周壁部と、を備え、前記周壁部における少なくとも1つの角部は、前記底部に垂直な第1の方向から見たときの形状がL字状である第1のL字部分であって、前記第1のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部の外周面を構成し、前記第1のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置されている第1のL字部分と、前記第1のL字部分の内周面側に配置され、前記第1の方向から見たときの形状がL字状である第2のL字部分であって、前記第2のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部に沿って配置され、前記第2のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置されている第2のL字部分と、を備え、前記第2のL字部分の外周面は、前記第1のL字部分の内周面に接触している。
【0010】
本構造体の少なくとも1つの角部では、周壁部の外周面を構成する第1のL字部分の内周面に、第2のL字部分の外周面が接触している。すなわち、角部が互いに接触する2つのL字部分による二重構造になっている。このため、2つのL字部分が離間して配置された構成に比べて、角部の強度を向上させることができる。
【0011】
(2)上記構造体において、前記少なくとも1つの角部は、さらに、前記第1の方向から見たときの形状がL字状である第3のL字部分であって、前記第3のL字部分における一方の直線部分は前記第1の側壁部の内周面を構成し、前記第3のL字部分における他方の直線部分は前記第2の側壁部に沿って配置され、かつ、外周面が前記第2のL字部分の内周面から前記周壁部の内周側に離間するように配置されている第3のL字部分を備える構成としてもよい。本構造体の少なくとも1つの角部では、第3のL字部分を備えない構成に比べて、外部からの衝撃力が収容物に直接伝わることを抑制することができる。
【0012】
(3)上記構造体において、前記第1の側壁部は、前記第2のL字部分における前記底部側から前記周壁部の内周側に延びるとともに、前記底部に係止される第1の折り返し部を備える構成としてもよい。本構造体では、第1の折り返し部によって、第1のL字部分と第2のL字部分との接触状態が保持されるため、第1のL字部分と第2のL字部分との離間に起因して角部の強度が低下することを抑制することができる。
【0013】
(4)上記構造体において、前記第1の折り返し部は、少なくとも前記第2のL字部分における屈曲部分に繋がっている構成としてもよい。本構造体では、第1の折り返し部によって第2のL字部分における屈曲部分の位置が保持される。このため、例えば第1の折り返し部が第2のL字部分における屈曲部分に繋がっていない構成に比べて、第1のL字部分の屈曲部分と第2のL字部分の屈曲部分との離間に起因して角部の強度が低下することを抑制することができる。
【0014】
(5)上記構造体において、前記第1の側壁部は、前記第1のL字部分における前記底部とは反対側から前記周壁部の内周側に延びる第2の折り返し部分を備え、前記第2のL字部分は、前記第2の折り返し部分に係止されている構成としてもよい。本構造体では、第2のL字部分の変位に起因して角部の強度が低下することを抑制することができる。
【0015】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、構造体や、構造体の組立方法(製造方法)等の形態で実現することが可能である。
【0016】
A.実施形態:
図1は、本実施形態における緩衝用ダンボール体100の使用例を示す説明図である。
図1に示すように、緩衝用ダンボール体100は、一方の面側に開放した凹所を有する箱状体である。例えば、対象物(例えば20kg程度の鉛蓄電池W)を梱包して空輸等で搬送する際に、一対の緩衝用ダンボール体100が使用される。具体的には、鉛蓄電池Wは、紙製の内装容器12に収容され、その内装容器12はビニール袋14に包まれる。このビニール袋14に包まれた内装容器12の上部は、一方の緩衝用ダンボール体100の凹所内に配置され、内装容器12の下部は、他方の緩衝用ダンボール体100の凹所内に配置される。一対の緩衝用ダンボール体100に挟まれた内装容器12は、ダンボール板16が底に配置された外装容器18内に収容され、外装容器18が封止されることにより、梱包体が完成する。
【0017】
このように鉛蓄電池Wが梱包された梱包体は、搬送過程において、例えば荷下ろし等の際に強い衝撃を受けることがある。特に、梱包体が該梱包体の角部から落下した場合、その角部に応力が集中するため、角部の周辺がつぶれて鉛蓄電池Wが損傷するおそれがある。これに対して、以下に説明するように、緩衝用ダンボール体100は、高い緩衝機能を有する。このため、鉛蓄電池Wを梱包する際に、緩衝用ダンボール体100を使用することにより、搬送過程において外部からの衝撃に起因して鉛蓄電池Wが損傷することを抑制することができる。
【0018】
A-1.緩衝用ダンボール体100の外観構成:
図2は、緩衝用ダンボール体100の外観構成を示す斜視図であり、
図3は、緩衝用ダンボール体100の底面側の構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、緩衝用ダンボール体100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
図4以降も同様である。緩衝用ダンボール体100は、特許請求の範囲における構造体に相当する。
【0019】
図2および
図3に示すように、緩衝用ダンボール体100は、矩形平板状の底部10と、底部10の周縁部に配置された矩形枠状の周壁部と、を備える。周壁部は、互いに平行な一対の第1の側壁部20と、互いに平行な一対の第2の側壁部30と、を有する。なお、本実施形態では、底部10の上下方向(Z軸方向)から見た形状は、長方形状であり、一対の第1の側壁部20は、底部10の長辺に相当する部分に配置されており、一対の第2の側壁部30は、底部10の短辺に相当する部分に配置されている。上述した鉛蓄電池Wを梱包する際には、底部10と周壁部とによって形成された凹所に鉛蓄電池W(内装容器12)の上部または下部が配置される。すなわち、鉛蓄電池Wの各角部を含む周囲部分が緩衝用ダンボール体100によって覆われる。なお、本明細書でいう「AとBとが平行」とは、厳密な意味での平行に限らず、AとBとの互いの角度差が±5度以内である場合を含む。
【0020】
A-2.緩衝用ダンボール体100の詳細構成:
図4は、緩衝用ダンボール体100を展開した状態を示す説明図であり、
図5は、緩衝用ダンボール体100の組立途中の状態を示す説明図である。
図6は、緩衝用ダンボール体100における角部付近の構成を示す説明である。
図6では、第1の側壁部20は、仮想線で示されている。
図7は、組立途中の緩衝用ダンボール体100における第2の側壁部30の構成を示す説明である。緩衝用ダンボール体100は、1枚のダンボールにより形成されている。以下、緩衝用ダンボール体100の構成を詳細に説明する。
【0021】
(底部10の構成)
図3から
図5に示すように、底部10には、一対の第1の開口部10Hと、一対の第2の開口部11Hとがそれぞれ貫通形成されている。一対の第1の開口部10Hは、底部10の長辺側であって、かつ、該長辺方向(Y軸方向)の中央部にそれぞれ形成されており、一対の第2の開口部11Hは、底部10の短辺側であって、かつ、該短辺方向(X軸方向)の中央部にそれぞれ形成されている。
【0022】
(第1の側壁部20の構成)
図2に示すように、一対の第1の側壁部20は、底部10に対して互いに対称の形状である。第1の側壁部20は、底部10の長辺から延出した板状部分が折り返されて形成されている。すなわち、
図4および
図5に示すように、第1の側壁部20は、第1の外側部22と、第1の上側部24と、第1の内側部26と、を有する。
【0023】
図4に示すように、第1の外側部22は、底部10の長辺方向(Y軸方向)に沿って延びる平板状であり、かつ、底部10の長辺に隣接して配置されている。第1の外側部22の長手方向(Y軸方向)の長さは、底部10の長辺と略同一である。
図2に示すように、組立後の緩衝用ダンボール体100において、第1の外側部22は、第1の側壁部20の外側面を構成する。
【0024】
図4に示すように、第1の上側部24は、底部10の長辺方向に沿って延びる平板状であり、かつ、第1の外側部22のうち、底部10とは反対側の長辺に隣接して配置されている。第1の上側部24の長手方向の長さは、第1の外側部22の長手方向の長さと略同一である。第1の上側部24における長手方向の中央部には、第3の開口部24Hが貫通形成されている。
図2に示すように、組立後の緩衝用ダンボール体100において、第1の上側部24は、第1の側壁部20の上側面を構成する。すなわち、第1の上側部24は、底部10の長辺側の部分の上方に位置する。なお、第3の開口部24Hと、底部10に形成された第1の開口部10Hとは、上下方向(Z軸方向)から見て、互いに同一形状であり、輪郭線が全長にわたってほぼ重なる。
【0025】
図4に示すように、第1の内側部26は、底部10の長辺方向に沿って延びる平板状であり、かつ、第1の上側部24のうち、第1の外側部22とは反対側の長辺に隣接して配置されている。第1の内側部26の長手方向の長さは、第1の上側部24の長手方向の長さより短く、第1の内側部26の長手方向の両端は、第1の上側部24の長手方向の両端より内側に位置しており、これにより、第1の内側部26の両側に切り欠き28が形成されている。また、第1の内側部26のうち、第1の上側部24とは反対側の辺には、第1の突出部26Pが形成されている。第1の突出部26Pは、第1の内側部26の該辺における中央部から突出している。
図2に示すように、組立後の緩衝用ダンボール体100において、第1の内側部26は、第1の側壁部20の内側面を構成する。また、
図2および
図3に示すように、第1の内側部26の第1の突出部26Pは、底部10に形成された第1の開口部10Hに挿入されることにより係止される。
【0026】
(第2の側壁部30の構成)
図2に示すように、一対の第2の側壁部30は、底部10に対して互いに対称の形状である。第2の側壁部30は、底部10の短辺から延出した板状部分が折り返されて形成されている。すなわち、
図4に示すように、第2の側壁部30は、第2の外側部32と、第2の上側部34と、第2の内側部36と、底側補強部38と、外側補強部40と、を有する。
【0027】
第2の外側部32は、底部10の短辺方向(X軸方向)に沿って延びる平板状であり、かつ、底部10の短辺に隣接して配置されている。第2の外側部32の長手方向(X軸方向)の長さは、底部10の短辺と略同一である。また、第2の外側部32の長手方向の両端のそれぞれから一対の第1の延出部33,33が延出している(
図5も参照)。各第1の延出部33における先端側には第2の突出部33Pが底部10とは反対側に突出するように形成されている。
図2および
図5に示すように、組立途中または組立後の緩衝用ダンボール体100において、第2の外側部32は、第2の側壁部30の外側面を構成する。
図6に示すように、各第1の延出部33は、底部10の長辺方向(Y軸方向)に沿うように折り曲げられて、第1の側壁部20内(第1の外側部22と第1の上側部24と第1の内側部26と底部10とによって囲まれる空間内)に収容されている。
図2および
図6に示すように、第1の延出部33に形成された第2の突出部33Pは、第1の側壁部20における第1の上側部24に形成された第3の開口部24H内に挿入されることにより係止される。すなわち、第2の突出部33Pが、底部10の長辺方向において、第3の開口部24Hを構成する内周面に接触している。
【0028】
図4に示すように、第2の上側部34は、底部10の短辺方向(X軸方向)に沿って延びる平板状であり、かつ、第2の外側部32のうち、底部10とは反対側の長辺に隣接して配置されている。第1の上側部24の長手方向(X軸方向)の長さは、第2の外側部32の長手方向の長さと略同一である。但し、第1の上側部24の長手方向の両端は、第2の外側部32から離れるほど、互いの距離が近づくように傾斜している。第2の上側部34における長手方向の中央部には、第4の開口部32Hと第5の開口部34Hとが貫通形成されている。第4の開口部32Hは、第2の上側部34における長手方向に延びた形状であり、第2の外側部32と第2の上側部34との境界を跨がるように形成されている。第5の開口部34Hは、略矩形状の形状であり、第4の開口部32Hと第2の内側部36との間に形成されている。第2の外側部32の長手方向において、第4の開口部32Hの幅は、第5の開口部34Hの幅より広い。また、第4の開口部32Hと第5の開口部34Hとは、連通している。
図2および
図5に示すように、組立途中または組立後の緩衝用ダンボール体100において、第2の上側部34は、第2の側壁部30の上側面を構成する。すなわち、第2の上側部34は、底部10の短辺側の部分の上方に位置する。
【0029】
図4に示すように、第2の内側部36は、底部10の短辺方向(X軸方向)に沿って延びる平板状であり、かつ、第2の上側部34のうち、第2の外側部32とは反対側の長辺に隣接して配置されている。第2の内側部36の長手方向の長さは、第2の上側部34の長手方向の長さと略同一である。また、第2の内側部36の長手方向の両端のそれぞれから一対の第2の延出部37,37が延出している。各第2の延出部37における先端側には第2の突出部37Pが底部10側に突出するように形成されている。
図2および
図5に示すように、組立途中または組立後の緩衝用ダンボール体100において、第2の内側部36は、第2の側壁部30の内側面を構成する。
図6に示すように、各第2の延出部37は、底部10の長辺方向(Y軸方向)に沿うように折り曲げられて、第1の側壁部20内に収容されている。
図2および
図6に示すように、第2の延出部37に形成された第2の突出部37Pは、第1の側壁部20における第1の上側部24に形成された第3の開口部24H内に挿入されることにより係止される。
【0030】
図4に示すように、底側補強部38は、底部10の短辺方向(X軸方向)に沿って延びる平板状であり、かつ、第2の内側部36のうち、第2の上側部34とは反対側の長辺に隣接して配置されている。底側補強部38の長手方向(X軸方向)の長さは、第2の内側部36の長手方向の長さと略同一である。但し、底側補強部38の長手方向の両端は、第2の内側部36から離れるほど、互いの距離が長くなるように傾斜している。底側補強部38における長手方向の中央部には、第6の開口部38Hが貫通形成されている。第6の開口部38H内には、第2の延出部37から突出する第3の突出部36Pと、外側補強部40から突出する第4の突出部41Pとが配置されている。
図2、
図5および
図7に示すように、組立途中および組立後の緩衝用ダンボール体100において、底側補強部38は、底部10の上に重なるように配置される。
図3に示すように、第3の突出部36Pと第4の突出部41Pとは、底部10に形成された第2の開口部11H内に挿入されることにより係止される。より具体的には、第3の突出部36Pと第4の突出部41Pとは、いずれも、底部10の短辺方向の両端が、第2の開口部11Hを構成する内周壁に接触している。このため、第2の側壁部30が底部10に対して底部10の短辺方向に変位することが抑制される。
【0031】
図4に示すように、外側補強部40は、底部10の短辺方向(X軸方向)に沿って延びる平板状であり、かつ、底側補強部38のうち、第2の内側部36とは反対側の長辺に隣接して配置されている。外側補強部40の長手方向(X軸方向)の長さは、底側補強部38の長手方向の長さと略同一である。外側補強部40のうち、底側補強部38とは反対側には、第5の突出部40Pが底部10とは反対側に突出するように形成されている。また、外側補強部40の長手方向の両端のそれぞれから一対の第3の延出部42,42が延出している。各第3の延出部42における先端側には第6の突出部42Pが底部10とは反対側に突出するように形成されている。
図2、
図5および
図7に示すように、組立途中または組立後の緩衝用ダンボール体100において、外側補強部40は、第2の外側部32の内側面に重なるように配置される。
図6に示すように、各第3の延出部42は、底部10の長辺方向(Y軸方向)に沿うように折り曲げられて、第1の側壁部20内に収容されている。第3の延出部42に形成された第6の突出部42Pは、第1の側壁部20における第1の上側部24に形成された第3の開口部24H内に挿入されることにより係止される。
【0032】
A-3.本実施形態の効果:
図6に示すように、本実施形態に係る緩衝用ダンボール体100の各角部は、第2の外側部32と第1の延出部33とによって構成された第1のL字部分と、外側補強部40と第3の延出部42とによって構成された第2のL字部分と、を備える。第2のL字部分の外周面は、全体的に、第1のL字部分の内周面に接触している。すなわち、角部が互いに接触する2つのL字部分による二重構造になっている。このため、2つのL字部分が離間して配置された構成に比べて、角部の強度を向上させることができる。
【0033】
図6に示すように、本実施形態では、緩衝用ダンボール体100の各角部は、さらに、第2の内側部36と第2の延出部37とによって構成された第3のL字部分を備える。すなわち、角部が3つのL字部分による三重構造になっている。このため、第3のL字部分を備えない構成に比べて、外部から衝撃力が鉛蓄電池Wに直接伝わることを抑制することができる。特に、本実施形態では、緩衝用ダンボール体100の角部において、第3のL字部分は、第2のL字部分から離間しており、第3のL字部分と第2のL字部分との間に空間が形成されている。これにより、外部からの衝撃力が鉛蓄電池Wに直接伝わることを、より効果的に抑制することができる。
【0034】
図5および
図7に示すように、本実施形態では、底側補強部38は、外側補強部40における底部10側から周壁部の内側に延びおり、第3の突出部36Pによって底部10の第2の開口部11Hに係止されている。これにより、底部10に係止された底側補強部38によって、第1のL字部分と第2のL字部分との接触状態が保持されるため、第1のL字部分と第2のL字部分との離間に起因して角部の強度が低下することを抑制することができる。
【0035】
しかも、
図6に示すように、底側補強部38は、第2のL字部分における屈曲部分(外側補強部40と第3の延出部42との継ぎ目)に繋がっている。その結果、底側補強部38によって第2のL字部分における屈曲部分の位置が保持される。このため、例えば底側補強部38が第2のL字部分における屈曲部分に繋がっていない構成に比べて、第1のL字部分の屈曲部分と第2のL字部分の屈曲部分との離間に起因して角部の強度が低下することを抑制することができる。なお、底側補強部38は、特許請求の範囲における第1の折り返し部の一例である。
【0036】
図2および
図5に示すように、本実施形態では、第2の上側部34は、第2の外側部32における上端部から周壁部の内周側に延びている。外側補強部40は、第5の突出部40Pによって第2の上側部34に形成された第4の開口部32Hに係止されている。これにより、第2のL字部分の変位に起因して角部の強度が低下することを抑制することができる。特に、第5の突出部40Pの長手方向の両端は、第4の開口部32Hを構成する内壁面に接触しているため、第1のL字部分と第2のL字部分との面方向の位置ズレが抑制される。また、第5の突出部40Pの内側面と外側面とが第4の開口部32Hを構成する内壁面に接触しているため、第1のL字部分と第2のL字部分との対向方向の位置ズレが抑制される。
【0037】
さらに、
図6に示すように、第2の側壁部30を構成する第2の外側部32と外側補強部40と第2の内側部36とからそれぞれ延出する3つの延出部33、42,37が互いに重ねられて、各突出部33P,42P,37Pによって第1の側壁部20(第1の上側部24)に形成された第3の開口部24Hに係止されている。つまり、各突出部33P,42P,37Pにおける角部側の端部が第3の開口部24Hを構成する内周壁に接触している。これにより、第1の側壁部20と第2の側壁部30とが強固に連結され、角部およびその周辺の強度がより高くなっている。
【0038】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0039】
上記実施形態では、構造体として、緩衝用ダンボール体100を例示したが、これに限らず、ダンボール以外の板材(例えば厚紙や金属板等)で形成された構造体であってもよい。また、底部10に垂直な方向から見て、緩衝用ダンボール体100の形状は、略長方形状であったが、例えば正方形状や菱形等であってもよい。
【0040】
上記実施形態では、緩衝用ダンボール体100の4つの角部の全部に本発明を適用したが、緩衝用ダンボール体100の4つの角部の少なくとも1つに本発明を適用すればよい。また、上記実施形態において、第3のL字部分の外周面は、全体的に、第2のL字部分の内周面に接触している構成や、第3のL字部分を備えない構成であってもよい。
【0041】
上記実施形態において、底側補強部38を備えない構成、底側補強部38が第2のL字部分における屈曲部分に繋がっていない構成であってもよい。上記実施形態では、第1のL字部分の屈曲部分と第2のL字部分の屈曲部分とが接触していたが、両者が若干離間していてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10:底部 10H:第1の開口部 11H:第2の開口部 12:内装容器 14:ビニール袋 16:ダンボール板 18:外装容器 20:第1の側壁部 22:第1の外側部 24:第1の上側部 24H:第3の開口部 26:第1の内側部 26P:第1の突出部 28:切り欠き 30:第2の側壁部 32:第2の外側部 32H:第4の開口部 33:第1の延出部 33P:第2の突出部 34:第2の上側部 34H:第5の開口部 36:第2の内側部 36P:第3の突出部 37:第2の延出部 37P:第2の突出部 38:底側補強部 38H:第6の開口部 40:外側補強部 40P:第5の突出部 41P:第4の突出部 42:第3の延出部 42P:第6の突出部 100:緩衝用ダンボール体 W:鉛蓄電池