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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】制動制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/1755 20060101AFI20240416BHJP
   B60T 8/26 20060101ALI20240416BHJP
   B60L 7/24 20060101ALI20240416BHJP
   B60L 9/18 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
B60T8/1755 Z
B60T8/26 H
B60L7/24 D
B60L9/18 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020005846
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021112955
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇作
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-201913(JP,A)
【文献】特開2018-207654(JP,A)
【文献】特開2000-166004(JP,A)
【文献】特開2005-225482(JP,A)
【文献】特開2006-246657(JP,A)
【文献】特開2016-150672(JP,A)
【文献】特開2005-145334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵輪に第1制動力を付与する第1制動部と、
前記車両の非操舵輪に第2制動力を付与する第2制動部と、
目標制動力に応じて前記第1制動部及び前記第2制動部を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記操舵輪の舵角に関連する舵角関連値を取得する舵角情報取得部と、
前記目標制動力の付与にあたり、前記舵角関連値に基づいて前記第1制動力と前記第2制動力との制動力配分を変更する配分変更制御を実行する配分変更部と、
を備える制動制御装置。
【請求項2】
前記第1制動部は、前記操舵輪に回生制動力及び摩擦制動力の少なくとも一方を付与可能に構成され、
前記第2制動部は、前記非操舵輪に前記回生制動力及び前記摩擦制動力の少なくとも一方を付与可能に構成され、
前記制御装置は、
前記車両の旋回中における前記車両の直進安定性を向上させる場合、前記第1制動力を前記回生制動力にして前記操舵輪の前記回生制動力を増加させること及び前記第2制動力を前記摩擦制動力にして前記非操舵輪の前記摩擦制動力を増加させることのうち少なくとも何れかを行う直進安定制御を実行し、
前記車両の旋回中における前記車両の旋回応答性を向上させる場合、前記第1制動力を前記摩擦制動力にして前記操舵輪の前記摩擦制動力を増加させること及び前記第2制動力を前記回生制動力にして前記非操舵輪の前記回生制動力を増加させることのうち少なくとも何れかを行う旋回向上制御を実行する請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項3】
前記第1制動部は、前記操舵輪に回生制動力を付与可能に構成され、
前記第2制動部は、前記非操舵輪に前記回生制動力を付与可能に構成され、
前記配分変更部は、前記操舵輪及び前記非操舵輪に前記回生制動力のみが付与されている状態において、前記車両の旋回中における前記車両の直進安定性を向上させる場合、前記配分変更制御として、前記非操舵輪の前記回生制動力を減少させ且つ前記操舵輪の前記回生制動力を増大させる直進安定制御を実行する請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項4】
前記第1制動部は、前記操舵輪に回生制動力を付与可能に構成され、
前記第2制動部は、前記非操舵輪に前記回生制動力を付与可能に構成され、
前記配分変更部は、前記操舵輪及び前記非操舵輪に前記回生制動力のみが付与されている状態において、前記車両の旋回中における前記車両の旋回応答性を向上させる場合、前記配分変更制御として、前記操舵輪の前記回生制動力を減少させ且つ前記非操舵輪の前記回生制動力を増大させる旋回向上制御を実行する請求項1又は3に記載の制動制御装置。
【請求項5】
前記配分変更部は、前記第1制動力が前記操舵輪に付与されている状態において、前記車両の旋回中における前記車両の直進安定性を向上させる場合、前記配分変更制御として、前記非操舵輪の摩擦制動力を増大させ且つ前記操舵輪の前記第1制動力を減少させる直進安定制御を実行する請求項1又は2に記載の制動制御装置。
【請求項6】
前記第1制動部は、前記操舵輪に回生制動力を付与可能に構成され、
前記配分変更部は、前記第1制動力として前記回生制動力が前記操舵輪に付与されている状態において、前記車両の旋回中における前記車両の旋回応答性を向上させる場合、前記第1制動力として前記操舵輪の摩擦制動力を増大させ且つ前記操舵輪の前記回生制動力を減少させる旋回向上制御を実行する請求項5に記載の制動制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記舵角関連値の振動を検出した場合、前記直進安定制御を実行する請求項2、3、5、及び6のうちの何れか一項に記載の制動制御装置。
【請求項8】
前記車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサをさらに備え、
前記配分変更部は、前記舵角関連値である目標ヨーレートと前記ヨーレートとの差に基づいて、前記配分変更制御を実行する請求項1~7の何れか一項に記載の制動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、制動時の車両姿勢を制御する制動制御装置が開発されている。例えば特開2013-180670号公報に記載の制動制御装置では、ブレーキ操作量やハンドル操作量などの運転操作情報に基づいて、前後輪の制動力の比率や、回生制動力と摩擦制動力との比率を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-180670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記制動制御装置では、車両旋回時の姿勢制御については、ハンドル操作量の大小により、姿勢制御を優先させるか否かを判定し、同じ車輪に対する回生制動力と摩擦制動力との比率を変化させることしか記載されていない。つまり、上記制動制御装置では、制動力が発生している車両旋回時における車両姿勢の安定性(直進安定性)及び旋回応答性の向上の観点で改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、制動力発生中で且つ操舵輪の舵角に関連する値が検出されている状態において、直進安定性又は旋回応答性を向上させることができる制動制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制動制御装置は、車両の操舵輪に第1制動力を付与する第1制動部と、前記車両の非操舵輪に第2制動力を付与する第2制動部と、目標制動力に応じて前記第1制動部及び前記第2制動部を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記操舵輪の舵角に関連する舵角関連値を取得する舵角情報取得部と、前記目標制動力の付与にあたり、前記舵角関連値に基づいて前記第1制動力と前記第2制動力との制動力配分を変更する配分変更制御を実行する配分変更部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操舵輪の舵角(すなわち車両の旋回)に関連する舵角関連値に基づいて、操舵輪と非操舵輪との間の制動力配分が変更される。制動力配分を変更することで、旋回のしやすさを変更することができる。舵角関連値に応じて、旋回しにくくすることで直進安定性が向上し、反対に旋回しやすくすることで旋回応答性が向上する。つまり、本発明によれば、制動力発生中で且つ舵角に関連する値が検出されている状態において、直進安定性又は旋回応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の制動制御装置の構成図である。
図2】本実施形態の制御例1の配分変更制御を説明するためのタイムチャートである。
図3】本実施形態の制御例1の配分変更制御を説明するためのフローチャートである。
図4】本実施形態の制御例2の配分変更制御を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。説明に用いる各図は概念図である。図1に示すように、本実施形態の制動制御装置1は、ブレーキペダル11と、倍力装置12と、マスタシリンダユニット13と、リザーバ14、ブレーキスイッチ15と、ストロークセンサ16と、アクチュエータ5と、操舵角センサ72と、ヨーレートセンサ74と、ブレーキECU(「制御装置」に相当する)6と、回生制動装置8と、を備えている。
【0010】
ブレーキペダル11は、運転者がブレーキ操作可能な操作部材である。ブレーキスイッチ15は、ブレーキペダル11に対する操作の有無を検出するセンサである。ストロークセンサ16は、ブレーキペダル11のペダルストローク(以下「ストローク」という)を検出するセンサである。ブレーキスイッチ15及びストロークセンサ16は、検出信号をブレーキECU6に出力する。
【0011】
倍力装置12は、ブレーキ操作を助勢する装置であって、例えばアキュムレータ及び電磁弁等を備えるハイドロブースタである。この場合、ブレーキペダル11には、ブレーキ操作に対して反力を発生させるストロークシミュレータ(図示略)が設けられている。倍力装置12は、アキュムレータを利用して、ストロークに応じたサーボ圧を後述するマスタピストン133の後方に発生させる。マスタピストン133は、サーボ圧によって押圧されて前進する。この構成は、ブレーキペダル11とマスタシリンダユニット13とが制御により連動するバイワイヤ構成となっている。倍力装置12は、例えば、大きな制動力が必要な場合にのみ作動される。
【0012】
マスタシリンダユニット13は、ブレーキペダル11の操作に応じたマスタ圧を発生させる装置である。具体的に、マスタシリンダ130は、シリンダ部材であって、マスタ圧が発生する第1マスタ室131および第2マスタ室132を備えている。マスタシリンダユニット13は、第1マスタ室131と第2マスタ室132とに同一の液圧が形成されるように構成されている。
【0013】
第1マスタ室131は、第1マスタピストン133と第2マスタピストン134との間に形成されている。第2マスタ室132は、第2マスタピストン134とマスタシリンダ130の底部との間に形成されている。第1マスタピストン133と第2マスタピストン134との間には、第1スプリング135が介装されている。第2マスタピストン134とマスタシリンダ130の底部との間には、第2スプリング136が介装されている。リザーバ14は、ブレーキ液を貯蔵し、マスタシリンダ130(マスタ室131、132)に当該ブレーキ液を補給する。リザーバ14とマスタ室131、132との連通は、マスタピストン133、134が所定量前進すると遮断される。
【0014】
アクチュエータ5は、マスタシリンダ130から供給されるマスタ圧に基づいて、各ホイールシリンダ181~184の液圧(以下「ホイール圧」という)を調整する装置である。アクチュエータ5は、マスタシリンダ130とホイールシリンダ181~184との間に配置されている。アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に応じて、ホイール圧を調整する。ホイール圧に応じて、各車輪Wf、Wrに設けられた摩擦制動装置(例えばディスクブレーキ装置又はドラムブレーキ装置)9が駆動し、各車輪Wf、Wrに摩擦制動力が付与される。
【0015】
アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に応じて、ホイール圧をマスタ圧と同レベルにする増圧制御、ホイール圧をマスタ圧よりも高くする加圧制御、ホイール圧を減圧する減圧制御、又はホイール圧を保持する保持制御を実行する。アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に基づき、例えば、アンチスキッド制御(又はABS制御とも呼ばれる)、横滑り防止制御(ESC制御)、又は自動加圧制御等を実行する。自動加圧制御は、例えば自動運転やアダプティブクルーズコントロール等において、運転者のブレーキ操作の有無にかかわらず、設定された目標減速度に応じて加圧制御することである。
【0016】
アクチュエータ5は、第1マスタ室131に接続された第1配管系統(「第1制動部」に相当する)50aと、第2マスタ室132に接続された第2配管系統(「第2制動部」に相当する)50bと、を備えている。第1配管系統50aは、図示略の電動ポンプ及び電磁弁等を備え、前輪Wfのホイールシリンダ181、182に接続されている。第2配管系統50bは、図示略の電動ポンプ及び電磁弁等を備え、後輪Wrのホイールシリンダ183、184に接続されている。
【0017】
アクチュエータ5は、前後輪に対して独立してホイール圧を調整することができる。すなわち、アクチュエータ5は、前輪制動力と後輪制動力とを独立して制御することができる。アクチュエータ5には、マスタ圧を検出する圧力センサ71が設けられている。また、車両には、各車輪Wf、Wrに対して、車輪速度センサ73が設置されている。
【0018】
操舵角センサ72は、ステアリング17の切れ角である操舵角を検出するセンサである。操舵角センサ72の検出結果は、車輪の舵角制御に用いられる他、ブレーキECU6にも送信される。ヨーレートセンサ74は、車両のヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ74の検出結果は、ブレーキECU6に送信される。
【0019】
(ブレーキECU)
ブレーキECU6は、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットである。詳細に、ブレーキECU6は、1つ又は複数のプロセッサにより、各種制御を実行するように構成されている。ブレーキECU6には、通信線(図示略)により、ブレーキスイッチ15、ストロークセンサ16、及び各センサ71~74等が接続されている。ブレーキECU6は、これら各種センサの検出結果に基づき、倍力装置12及びアクチュエータ5の作動が必要か否かを判断する。
【0020】
ブレーキECU6は、アクチュエータ5の作動が必要であると判定した場合、各ホイールシリンダ181~184に対してホイール圧の目標値である目標ホイール圧を演算し、アクチュエータ5を制御する。目標ホイール圧は、目標減速度や目標制動力に対応する。ブレーキECU6は、圧力センサ71の検出値とアクチュエータ5の制御状況に基づいて各ホイール圧を演算することができる。
【0021】
(回生制動装置)
回生制動装置8は、車輪に回生制動力を付与する装置である。本実施形態の前輪Wfに設けられた第1モータ(「第1制動部」に相当する)81と、後輪Wrに設けられた第2モータ(「第2制動部」に相当する)82と、ECU83と、図示略のインバータ及びバッテリと、を備えている。第1モータ81は、前輪Wfに回生制動力を付与する。第2モータ82は、後輪Wrに回生制動力を付与する。ECU83は、第1モータ81及び第2モータ82の駆動力及び回生制動力を制御する。
【0022】
ブレーキECU6は、ブレーキペダル11のストローク又は自動制動制御での指令値に基づいて、目標制動力を演算する。ブレーキECU6は、目標制動力に基づいて、ECU83に目標回生制動力を指令する。ECU83は、ブレーキECU6と通信可能に接続され、目標回生制動力を車輪に付与するように第1モータ81及び第2モータ82を制御する。ブレーキECU6は、例えば回生制動力によっても目標制動力に満たない場合、目標ホイール圧を設定し、アクチュエータ5及び摩擦制動装置9によって摩擦制動力を発生させる。ブレーキECU6は、その他、所定条件下で摩擦制動力を発生させる。
【0023】
このように、本実施形態の制動制御装置1は、操舵輪である前輪Wfに前輪制動力(「第1制動力」に相当する)を付与する第1制動部(第1配管系統50a及び第1モータ81)と、非操舵輪である後輪Wrに後輪制動力(「第2制動力」に相当する)を付与する第2制動部(第2配管系統50b及び第2モータ82)と、目標制動力に応じてアクチュエータ5及び回生制動装置8を制御するブレーキECU6と、を備えている。第1制動部及び第2制動部は、車輪に回生制動力及び摩擦制動力を付与可能に構成されている。
【0024】
(配分変更制御)
ブレーキECU6は、舵角情報取得部61と、判定部62と、配分変更部63と、を備えている。舵角情報取得部61は、操舵輪の舵角に関連する舵角関連値を取得する。より具体的に、舵角情報取得部61は、操舵角センサ72から操舵角情報を取得し、操舵角、操舵角速度、及び操舵角加速度の少なくとも1つを演算する。本実施形態の舵角情報取得部61は、微分演算等により、操舵角、操舵角速度、及び操舵角加速度を舵角関連値として演算し取得する。なお、操舵角は、自動運転中では、目標操舵角に相当する。つまり、操舵角は、運転者によるステアリング操作量に限らず、制御目標値であってもよい。舵角関連値は、操舵輪の舵角目標値に関連する値であってもよい。
【0025】
判定部62は、舵角関連値に基づいて車両の直進安定性を向上させるか否かを判定する。また、判定部62は、舵角関連値に基づいて車両の旋回応答性を向上させるか否かを判定する。車両の直進安定性が向上するとは、操舵角の変化に対して(又は操舵輪の舵角に対して)車両が旋回しづらくなること、すなわち車両の揺れが生じにくくなることである。また、車両の旋回応答性が向上するとは、操舵角の変化に対して(又は操舵輪の舵角に対して)車両が旋回しやすくなることである。
【0026】
判定部62は、例えば、操舵角0から操舵角速度が増大し始めた状態で、操舵角速度が所定の速度閾値未満である場合であって、例えば操舵初期の操舵に対する応答性を下げたいときに、車両の直進安定性を向上させると判定する。直進安定性に関する判定部62の判定条件は、任意に設定でき、その他の例は後述する。
【0027】
また、判定部62は、例えば、操舵角が所定の角度閾値以上であり且つ操舵角速度が速度閾値以上である場合、運転者に車両を旋回させる意思があると判定し、車両の旋回応答性を向上させると判定する。本実施形態の判定部62は、判定精度を上げるために、さらにヨーレートセンサ74の検出結果(以下「実ヨーレート」という)を用いる。
【0028】
ブレーキECU6(又は車両内の他のECU)は、操舵角センサ72の検出結果に基づいて、制御目標である目標ヨーレートを演算する。判定部62は、目標ヨーレートと実ヨーレートとの差(以下「ヨーレート偏差」という)を演算する。判定部62は、上記判定条件(操舵角≧角度閾値、且つ操舵角速度≧速度閾値)に加えて、ヨーレート偏差が所定閾値以上である場合に、車両の旋回応答性を向上させると判定する。
【0029】
配分変更部63は、舵角関連値に基づいて、目標制動力の付与にあたり、前輪制動力と後輪制動力との制動力配分を変更する配分変更制御を実行する。より詳細に、配分変更部63は、前輪Wf及び後輪Wrに回生制動力のみが付与されている状態において、判定部62により車両の直進安定性を向上させると判定された場合、配分変更制御として、後輪Wrの回生制動力を減少させ且つ前輪Wfの回生制動力を増大させる直進安定制御を実行する。直進安定制御により、全制動力(回生制動力)に対する前輪制動力(回生制動力)の配分率が増大する。
【0030】
また、配分変更部63は、前輪Wf及び後輪Wrに回生制動力のみが付与されている状態において、判定部62により車両の旋回応答性を向上させると判定された場合、配分変更制御として、前輪Wfの回生制動力を減少させ且つ後輪Wrの回生制動力を増大させる旋回向上制御を実行する。旋回向上制御により、全制動力(回生制動力)に対する前輪制動力(回生制動力)の配分率が減少する。
【0031】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、操舵輪の舵角(すなわち車両の旋回)に関連する舵角関連値に基づいて、前後輪の制動力配分が変更される。前後輪の制動力配分を変更することで、旋回のしやすさを変更することができる。舵角関連値に応じて、旋回をしにくくすることで直進安定性が向上し、反対に旋回をしやすくすることで旋回応答性が向上する。つまり、本実施形態によれば、制動力発生中で且つ舵角に関連する値が検出されている状態において、直進安定性又は旋回応答性を向上させることができる。
【0032】
より詳細に、本実施形態によれば、前後輪に回生制動力のみが発生している間に旋回を抑制して直進安定性を向上させる場合、直進安定制御の実行により、操舵輪の制動力である前輪Wfの回生制動力の配分率が増大する。これにより、前輪Wfの摩擦円において、前後力が増大し、横力の余力(グリップ力)が減少する。したがって、旋回しにくくなり、直進安定性が向上する。
【0033】
また、本実施形態によれば、前後輪に回生制動力のみが発生している間に旋回応答性を向上させる場合、前輪Wfの回生制動力の配分率を減少させることができる。これにより、前輪Wfの摩擦円において、前後力が減少し、横力の余力(グリップ力)が増大する。したがって、旋回しやすくなり、旋回応答性が向上する。なお、直進安定性は、乗員の快適性ともいえる。また、旋回応答性は、前輪Wfの舵角に対する旋回の追従性ともいえる。
【0034】
(制御例1)
図2を参照して制御例1について説明する。制御例1では、車両が旋回中に、運転者はアクセルペダル及びブレーキペダル11のいずれも操作しておらず、通常であれば(配分変更制御が実行されなければ)、全車輪に回生制動力のみが付与される状態を前提としている。アクセルペダル操作なし且つブレーキペダル11操作なしの状態で設定される目標制動力(例えば構造上決まる値)は、回生制動力のみで車輪に付与される。この際、通常、前輪制動力の配分率は50%となる。制御例1では、例えば高速走行時を想定している。また、制御例1の状況は、ブレーキ操作が為されておらず、回生制動力のみで目標制動力を車輪に付与する状況である。
【0035】
時間Ta1において、操舵角が増大し始めると、判定部62は、操舵角速度が速度閾値未満であるため(操舵角が0から増大、且つ操舵角速度<速度閾値)、車両の直進安定性を向上させると判定する。つまり、時間Ta1において、配分変更部63は、配分変更制御として直進安定制御を実行する。これにより、前輪制動力(回生制動力)が所定勾配で増大し、後輪制動力(回生制動力)が所定勾配で減少する。本例では、直進安定制御により、前輪制動力の配分率が100%となる。
【0036】
時間Ta2において、操舵角速度が増大傾向で(増大勾配による変化し)且つ速度閾値以上であるため、判定部62は、車両の旋回応答性を向上させると判定する。つまり、時間Ta2において、配分変更部63は、配分変更制御として旋回向上制御を実行する。これにより、前輪制動力(回生制動力)が所定勾配で減少し、後輪制動力(回生制動力)が所定勾配で増大する。本例では、旋回向上制御により、前輪制動力の配分率が0%となる。なお、各制御での配分率は本例以外の数値でもよい。このように、配分変更部63は、回生制動力の前後配分を変更する。
【0037】
時間Ta3において、第1旋回向上制御の実行中で、操舵角速度が減少傾向で(減少勾配により変化し)且つ速度閾値未満であるため、判定部62は、車両の直進安定性を向上させると判定する。つまり、時間Ta3において、配分変更部63は、配分変更制御として直進安定制御を実行する。これにより、前輪制動力(回生制動力)が所定勾配で増大し、後輪制動力(回生制動力)が所定勾配で減少する。
【0038】
時間Ta3~時間Ta4において、操舵角速度が速度閾値未満で維持されており、直進安定制御が維持される。時間Ta4において、操舵角が増大し始め、操舵角速度も増大するが、操舵角速度が速度閾値未満であるため、直進安定制御が維持される。このように、本例では、運転者がステアリング17を操作し始めると、最初に直進安定制御が実行され、その後に第1旋回向上制御が実行される。そして、操舵角速度がピークを超えた後に、旋回向上制御から直進安定制御に移行する。
【0039】
なお、状況等(例えば車速、車種等)によっては、時間Ta1~時間Ta3において、前輪Wfの回生制動力の配分(前輪回生配分率)を図2の反対にしてもよい。つまり、時間Ta1~時間Ta2では前輪回生配分率を減少させ、時間Ta2~時間Ta3では前輪回生配分率を増大させてもよい。これにより、時間Ta1~時間Ta2で旋回応答性が向上し、時間Ta2~時間Ta3で直進安定性が向上する。この場合、時間Ta3以降の前輪回生配分率は、所定値(0~100%)に設定される。
【0040】
ここで、図3を参照して配分変更制御の流れを説明する。前後輪に回生制動力が付与されている状態において(S101:Yes)、ブレーキECU6は、操舵角センサ72の検出結果から操舵角、操舵角速度、及び目標ヨーレートを演算する(S102)。続いて、ブレーキECU6は、現状が、旋回向上制御の実行中において操舵角速度が減少傾向で且つ操舵角速度が速度閾値未満である(以下「第1所定条件」という)か否かを判定する(S103)。第1所定条件が満たされている場合(S103:Yes)、ブレーキECU6は、直進安定制御を実行する(S104)。S104は、図2の時間Ta3の状態に相当する。
【0041】
第1所定条件が満たされていない場合(S103:No)、ブレーキECU6は、操舵角が角度閾値以上であり、操舵角速度が速度閾値以上であり、且つヨーレート偏差が閾値以上である(以下「第2所定条件」という)か否かを判定する(S105)。第2所定条件が満たされている場合(S105:Yes)、ブレーキECU6は、旋回向上制御を実行する(S106)。S106は、図2の時間Ta2の状態に相当する。
【0042】
第2所定条件が満たされていない場合(S105:No)、ブレーキECU6は、操舵角が0より大きく且つ操舵角速度が速度閾値未満である(以下「第3所定条件」という)か否かを判定する(S107)。第3所定条件が満たされている場合(S107:Yes)、ブレーキECU6は、直進安定制御を実行する(S108)。S108は、図2の時間Ta1の状態に相当する。第3所定条件が満たされていない場合(S107:No)、ブレーキECU6は、配分変更制御を実行しない。ブレーキECU6は、操舵角情報を取得する度に(所定間隔で)、上記処理を実行する。
【0043】
(制御例1の効果)
制御例1によれば、本実施形態と同様の効果が発揮される。また、操舵角が0から増大し始めた当初、その検出値は、運転者の意図に反して(例えば高齢運転者による意図しない操作)ステアリング17が揺れてしまったものである可能性がある。したがって、操舵角の増大当初は、車両の直進安定性を向上させることで、不要な旋回を抑制し、車両姿勢の安定性及び乗員の快適性を向上させることができる。制御例1では、操舵角増大初期に直進安定制御が実行されるように実行条件が設定されている。このため、上記効果が発揮される。
【0044】
また、運転者の旋回意思が明らかである場合、及び/又は目標の旋回軌跡に対して車両の旋回度合いが不足している場合、旋回向上制御により、車両を旋回しやすくすることが好ましい。制御例1では、運転者の明確な操作意思があると判定できる実行条件、及びヨーレート偏差の利用により、好ましいタイミングで旋回向上制御を実行することができる。また、制御例1では、旋回向上制御を実行した後、旋回状態が安定した場合、直進安定制御に切り替わるように実行条件が設定されている。これにより、車両の目標軌跡への収束性が向上する。このように、制御例1によれば、前後輪に回生制動力を発生させる車両において、好ましいタイミングで配分変更制御を実行することができる。
【0045】
また、制御例1では、回生制動力のみにより前後輪の制動力配分が変更される。回生制動力は、液圧を用いる摩擦制動力と比較して、制御(指令)に対する応答性が高い。つまり、素早く制動力配分を変更することができる。また、回生制動力は、制動力の調整精度も相対的に高い。したがって、旋回中などの配分変更制御による作用をより有効に発揮させることができる。また、前後配分の変更が乗員に伝わりにくく、快適性が維持されやすい。
【0046】
(制御例2)
図4を参照して制御例2について説明する。制御例2では、車両に第1モータ81のみが設けられている場合、又は車両にモータ81、82が設けられているが前輪Wfにのみ回生制動力を発生させる場合を前提としている。つまり、制御例2では、前輪Wfにのみ回生制動力が発生する状況を前提とする。第1制動部50a、81は、車輪に回生制動力を付与可能に構成されている。制御例2では、制御例1同様、アクセルペダル操作なし且つブレーキペダル11操作なしの状態を前提とする。なお、制御例2の説明において、制御例1の説明が適宜参照される。また、制御例2では、低速走行時を想定し、操舵角増大初期に直進安定制御ではなく、旋回向上制御を実行するように設定されている。
【0047】
時間Tb1において、ブレーキECU6は、操舵角の増大に応じて、旋回向上制御を実行する。制御例2での旋回向上制御は、前輪Wfの回生制動力の少なくとも一部を前輪Wfの摩擦制動力にすり替える制御である。すなわち、配分変更部63は、前輪制動力である回生制動力が車輪に付与されている状態において、判定部62により車両の旋回応答性を向上させると判定された場合、前輪Wfの摩擦制動力を増大させ且つ前輪Wfの回生制動力を減少させる旋回向上制御を実行する。
【0048】
時間Tb2において、ブレーキECU6は、車両の目標路線への収束性を高めるため、直進安定制御を実行する。制御例2での直進安定制御は、前輪制動力(ここでは摩擦制動力)を後輪Wrの摩擦制動力にすり替える制御である。すなわち、配分変更部63は、前輪制動力が車輪に付与されている状態において、判定部62により車両の直進安定性を向上させると判定された場合、配分変更制御として、後輪Wrの摩擦制動力を増大させ且つ前輪制動力を減少させる直進安定制御を実行する。直進安定制御の実行時、前輪制動力は、摩擦制動力でも回生制動力でもよい。
【0049】
時間Tb3において、ブレーキECU6は、旋回状態が安定したと判断し、配分変更制御を停止し、制御がない状態すなわち前輪Wfの回生制動力のみが発生している状態に戻す。Tb4~Tb5では、上記同様、操舵角の増大に応じて、旋回向上制御の実行後、直進安定制御が実行される。この際、制動力のすり替えは、すべて(0又は100%)でなく、一部で行われる。制動力の一部を、前後輪間又は回生摩擦間ですり替えることで、直進安定性又は旋回応答性の向上度合いを変更することができる。すり替えは、制動力の少なくとも一部で行われてもよい。
【0050】
(制御例2の効果)
制御例2の旋回向上制御によれば、前輪Wfにおいて回生制動力と摩擦制動力とのすり替えが行われる。前輪制動力のうち摩擦制動力の割合が大きくなるほど、構造上、コンプライアンスステアの影響により、前輪Wfの舵角(タイヤ切れ角)が若干車両内側に向く。旋回中の接地荷重かかり方から、前輪Wfのうち旋回外輪の舵角(タイヤ切れ角)が、車両の旋回に対して相対的に大きく影響する。このため、車両内側すなわち旋回方向に旋回外輪が向くことで旋回応答性が向上する。
【0051】
一方、後輪Wrの摩擦制動力が増大し、後輪Wrの舵角(タイヤ切れ角)が若干車両内側に向く。後輪Wrの舵角(タイヤ切れ角)が車両内側に向くことで、車両が旋回しにくくなり、直進安定性が向上する。つまり、制御例2の直進安定制御によれば、車両の直進安定性が向上する。なお、制御例2の直進安定制御を図2のS104及びS108で実行し、制御例2の旋回向上制御を図2のS106で実行してもよい。また、制御例2の場合、S101では、ブレーキECU6が前輪Wfに回生制動力が付与されているか否かを判定してもよい。
【0052】
(制御例3)
横風や路面状態などにより運転者の意図でなく車両が横に振られた場合(以下「横揺れ」という)、ブレーキECU6は、直進安定制御を実行する。ブレーキECU6は、ヨーレート偏差に基づいて、横揺れの有無を判定する。ブレーキECU6は、例えば、実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きく且つヨーレート偏差が所定閾値以上になった場合、横揺れが発生していると判定する。判定部62は、この場合、車両の直進安定性を向上させると判定する。なお、横揺れの判定要素として、舵角関連値の振動の有無を加えてもよい。この場合、ブレーキECU6は、例えば、振動を検知した後に、ヨーレート偏差が所定閾値以上となった場合に、横揺れ有りと判定する。
【0053】
配分変更部63は、例えば、前輪制動力として回生制動力が発生している場合、直進安定制御として、前輪Wfの回生制動力を減少させ且つ後輪Wrの摩擦制動力を増大させる。これにより、横揺れに対して車両の旋回が抑制され、車両姿勢が安定する。
【0054】
また、判定部62は、舵角関連値の振動を検出すると、車両の直進安定性を向上させると判定する。例えば、操舵角が、所定時間内に所定変化幅内で所定数のピークが出るように変動している場合、判定部62は、振動有りと判定する。例えば運転者が高齢である場合、運転者の意図によらずステアリング17が揺れる場合がある。このような場合に、直進安定制御が実行されることで、不要な旋回が抑制され、車両姿勢が安定する。
【0055】
このように、ブレーキECU6は、車両の旋回中における車両の直進安定性を向上させる場合、操舵輪の制動力を回生制動力にして当該操舵輪の回生制動力を増加させる、又は非操舵輪の制動力を摩擦制動力にして当該非操舵輪の摩擦制動力を増加させる直進安定制御を実行する。また、ブレーキECU6は、車両の旋回中における車両の旋回応答性を向上させる場合、操舵輪の制動力を摩擦制動力にして当該操舵輪の摩擦制動力を増加させる、又は非操舵輪の制動力を回生制動力にして当該非操舵輪の回生制動力を増加させる旋回向上制御を実行する。
配分変更部63は、操舵輪及び非操舵輪に回生制動力が付与されている状態において、車両の旋回中における車両の旋回応答性を向上させる場合、配分変更制御として、操舵輪の回生制動力を減少させ且つ非操舵輪の回生制動力を増大させる旋回向上制御を実行する。
また、配分変更部63は、操舵輪の制動力が当該操舵輪に付与されている状態において、車両の旋回中における車両の直進安定性を向上させる場合、配分変更制御として、非操舵輪の摩擦制動力を増大させ且つ操舵輪の制動力を減少させる直進安定制御を実行する。
また、配分変更部63は、操舵輪の制動力として回生制動力が操舵輪に付与されている状態において、車両の旋回中における車両の旋回応答性を向上させる場合、操舵輪の制動力として摩擦制動力を増大させ且つ当該操舵輪の回生制動力を減少させる旋回向上制御を実行する。
【0056】
(その他)
本発明は、上記実施形態及び制御例に限られない。例えば、判定部62による判定条件は、上記に限られない。配分変更部63は、例えば、操舵角、操舵角速度、及び/又は操舵角加速度(操舵角速度の微分値)が第1所定値以上である場合に直進安定制御を実行し、操舵角、操舵角速度、及び/又は操舵角加速度が第2所定値以上である場合に旋回向上制御を実行するように設定されてもよい(第1所定値<第2所定値)。また、例えば判定要素に操舵角加速度を用いることで、より早く判定することができる。また、判定閾値として、所定角度範囲や所定速度範囲を用いてもよい。
【0057】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド車だけでなく、回生制動力が発生しない車両(制動力が摩擦制動力である車両)にも適用可能である。また、本発明は、自動運転車両にも適用可能である。自動運転における舵角関連値は、操舵角に関する指令値(例えば制御目標値である目標ヨーレート)であってもよい。つまり、操舵角は、運転者によるステアリング操作の結果に限られない。また、制動部(アクチュエータ5)は、電動シリンダを備える構成であってもよい。また、制動力の発生は、ブレーキペダル11の操作だけに限らず、自動ブレーキ制御によるものでもよい。また、本発明は、ワンペダルを備える車両にも適用できる。本発明の配分変更制御は、何らかの制動力により減速度が発生している状態で実行できる。また、本発明は、車両が後進している際にも適用できる。また、車両の旋回とは、運転者の意図しないステアリング操作(振動)や横風による旋回も含まれる。
【0058】
また、操舵輪は後輪Wrであってもよい。この場合でも、上記同様の効果が発揮される。例えば、後輪Wrに回生制動力が付与されている状態で、旋回応答性を向上させる場合、配分変更部63は、操舵輪(後輪Wr)の回生制動力の少なくとも一部を摩擦制動力にすり替える。これにより、コンプライアンスステアにより後輪Wrの舵角が内側を向き、後輪Wrのコーナリングフォース(横力)が小さくなる。したがって、前輪Wfのコーナリングフォースに対して相対的に後輪Wrのコーナリングフォースが小さく且つ両コーナリングフォースの差が大きくなる。つまり、車両が旋回しやすくなる。このような操舵輪での回生制動力と摩擦制動力とのすり替えに関しては、前輪Wfが操舵輪である場合は旋回外輪の舵角変化の影響が大きいために旋回応答性が向上するが、後輪Wrが操舵輪である場合は後輪Wrのコーナリングフォース減少の影響が大きいために旋回応答性が向上する。その他、直進安定制御及び旋回向上制御について、後輪Wrが操舵輪である場合は、前輪Wfが操舵輪である場合と同様の理論により、同様の効果が発揮される。
【符号の説明】
【0059】
1…制動制御装置、181~184…ホイールシリンダ、5…アクチュエータ、50a…第1配管系統(第1制動部)、50b…第2配管系統(第2制動部)、6…ブレーキECU(制御装置)、61…舵角情報取得部、62…判定部、63…配分変更部、74…ヨーレートセンサ、8…回生制動装置、81…第1モータ(第1制動部)、82…第2モータ(第2制動部)、Wf…前輪、Wr…後輪。
図1
図2
図3
図4