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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240416BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240416BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240416BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/00 L
G03B27/62
G03G15/00 107
G03G15/36
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020007435
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021114733
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴文
(72)【発明者】
【氏名】所 義多賀
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-059252(JP,U)
【文献】特開平08-099483(JP,A)
【文献】実公昭48-038417(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03B 27/62
G03G 15/00
G03G 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明の原稿台と前記原稿台に載置された原稿の画像を光学的に読み取る撮像部とを含む本体部と、
前記原稿台を覆う閉姿勢と前記原稿台から離れた開姿勢との間で開閉可能に前記本体部に連結された開閉部と、
前記開閉部に固定され、前記開閉部が前記閉姿勢の状態において前記原稿台に当接する位置に設けられたカバー部と、
前記カバー部に形成された凹部と、
前記凹部に装着されたカード状原稿を保持する保持部と、
を備え
前記保持部は、吸引力を発生させる吸引力発生部と、前記凹部に形成された吸気孔とを含む、
画像読取装置。
【請求項2】
前記吸引力発生部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記凹部に配置された前記カード状原稿の画像を読み取る場合には前記吸引力発生部を動作させ、前記原稿台に載置された原稿の画像を読み取る場合には前記吸引力発生部を動作させない、
請求項に記載の画像読取装置。
【請求項3】
透明の原稿台と前記原稿台に載置された原稿の画像を光学的に読み取る撮像部とを含む本体部と、
前記原稿台を覆う閉姿勢と前記原稿台から離れた開姿勢との間で開閉可能に前記本体部に連結された開閉部と、
前記開閉部に固定され、前記開閉部が前記閉姿勢の状態において前記原稿台に当接する位置に設けられたカバー部と、
前記カバー部に形成された凹部と、
前記凹部に装着されたカード状原稿を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部は、前記凹部に静電気を発生させる静電気発生部を含む、
画像読取装置。
【請求項4】
前記静電気発生部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記凹部に配置された前記カード状原稿の画像を読み取る場合には前記静電気発生部を動作させ、前記原稿台に載置された原稿の画像を読み取る場合には前記静電気発生部を動作させない、
請求項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
透明の原稿台と前記原稿台に載置された原稿の画像を光学的に読み取る撮像部とを含む本体部と、
前記原稿台を覆う閉姿勢と前記原稿台から離れた開姿勢との間で開閉可能に前記本体部に連結された開閉部と、
前記開閉部に固定され、前記開閉部が前記閉姿勢の状態において前記原稿台に当接する位置に設けられたカバー部と、
前記カバー部に形成された凹部と、
前記凹部に装着されたカード状原稿を保持する保持部と、
を備え、
前記凹部は、矩形凹部と、前記矩形凹部の端部に接する切欠凹部とを含む、
画像読取装置。
【請求項6】
透明の原稿台と前記原稿台に載置された原稿の画像を光学的に読み取る撮像部とを含む本体部と、
前記原稿台を覆う閉姿勢と前記原稿台から離れた開姿勢との間で開閉可能に前記本体部に連結された開閉部と、
前記開閉部に固定され、前記開閉部が前記閉姿勢の状態において前記原稿台に当接する位置に設けられたカバー部と、
前記カバー部に形成された凹部と、
前記凹部に装着されたカード状原稿を保持する保持部と、
を備え、
前記凹部に、前記カード状原稿の読取対象面とは反対側の面に当接する凸部が形成されている、
画像読取装置。
【請求項7】
透明の原稿台と前記原稿台に載置された原稿の画像を光学的に読み取る撮像部とを含む本体部と、
前記原稿台を覆う閉姿勢と前記原稿台から離れた開姿勢との間で開閉可能に前記本体部に連結された開閉部と、
前記開閉部に固定され、前記開閉部が前記閉姿勢の状態において前記原稿台に当接する位置に設けられたカバー部と、
前記カバー部に形成された凹部と、
前記凹部に装着されたカード状原稿を保持する保持部と、
を備え、
前記撮像部により読み取られた画像データから前記凹部の輪郭に対応する画像を消去する画像処理部を更に備える、
画像読取装置。
【請求項8】
前記保持部は、前記カード状原稿を前記凹部に粘着させる粘着部を含む、
請求項5~7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記カバー部は、弾性部材を介して前記開閉部に固定されている、
請求項1~8のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記カバー部における第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向の少なくとも一方に沿って複数の前記凹部が形成されている、
請求項1~9のいずれかに記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラテンカバーのプラテン当接面に着脱自在に係止される原稿ホルダーを備えた画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記原稿ホルダーには、名刺、写真、カードなどの小サイズの原稿シートを保持するポケットが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-206742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記原稿ホルダーは画像読取装置のプラテンカバーに対して着脱自在であるため、前記原稿ホルダーがプラテンカバーから取り外された場合に、紛失したり破損したり汚れたりしてしまうことがある。また、ポケットに汚れが付着すると、画像読取装置により読み取られる画像にその汚れが写ってしまう。
【0006】
本発明の目的は、装置本体に着脱可能な原稿ホルダーを用いることなくカード状原稿を保持することが可能な画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像読取装置は、本体部と、開閉部と、カバー部と、凹部と、保持部とを備える。前記本体部は、透明の原稿台と前記原稿台に載置された原稿の画像を光学的に読み取る撮像部とを含む。前記開閉部は、前記原稿台を覆う閉姿勢と前記原稿台から離れた開姿勢との間で開閉可能に前記本体部に連結されている。前記カバー部は、前記開閉部に固定され、前記開閉部が前記閉姿勢の状態において前記原稿台に当接する位置に設けられている。前記凹部は、前記カバー部に形成されている。前記保持部は、前記凹部に装着されたカード状原稿を保持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置に着脱可能な原稿ホルダーを用いることなくカード状原稿を保持することが可能な画像読取装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるADF及び画像読取部の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるADF及び画像読取部の斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の支持構造を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の当接面を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の断面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の断面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の断面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の当接面を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置の構成]
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、操作表示部11、ADF12、画像読取部13、画像形成部14、通信I/F15、記憶部16、及び制御部17などを備える。具体的に、画像形成装置1は、プリンター機能、スキャナー機能、コピー機能、及びファクシミリ機能などを有する複合機である。画像形成装置1は、本発明の画像読取装置の一例である。なお、本発明は、複合機に限らず、複写機、スキャナー装置、ファクシミリ装置のように、画像読取機能を有する任意の画像読取装置に適用可能である。
【0012】
操作表示部11は、情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部と、ユーザー操作を受け付けるタッチパネル及び操作ボタンなどの操作部とを備える。
【0013】
ADF12は、原稿セット部、搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部13の読み取り対象となる原稿を搬送する自動原稿搬送装置である。ADF12は、原稿台21を覆う閉姿勢と原稿台21から離れた開姿勢との間で開閉可能に画像読取部13に連結されている。ADF12は、本発明の開閉部の一例である。
【0014】
図2に示されるように、画像読取部13は、筐体20、原稿台21、第1キャリッジ22、第2キャリッジ23、キャリッジ支持部24、及びイメージセンサー25を備える。画像読取部13は、本発明の本体部の一例である。画像読取部13は、原稿台21に載置された原稿或いはADF12により搬送された原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像を示す原稿画像データを生成する。
【0015】
第1キャリッジ22、第2キャリッジ23、キャリッジ支持部24、及びイメージセンサー25は、原稿台21に載置された原稿の画像を光学的に読み取る。第1キャリッジ22、第2キャリッジ23、キャリッジ支持部24、及びイメージセンサー25は、本発明の撮像部の一例である。
【0016】
第1キャリッジ22には光源26及びミラー27が設けられており、第2キャリッジ23には2つのミラー27が設けられている。光源26は、透明の原稿台21の下方から光を出射する。複数のミラー27は、原稿からの反射光をイメージセンサー25へと導く。イメージセンサー25は、例えばCCD(Charge Coupled Device)である。イメージセンサー25は、原稿からの反射光の光量に応じた画像データを出力する。なお、イメージセンサー25が第1キャリッジ22に設けられていてもよい。
【0017】
キャリッジ支持部24は、第1キャリッジ22及び第2キャリッジ23を原稿台21に沿って副走査方向(図2における左右方向)に移動可能に支持する。より具体的には、キャリッジ支持部24は、不図示のモーター(例えば、ステッピングモーター)からの駆動力により、第1キャリッジ22及び第2キャリッジ23を連動して副走査方向に移動させる。その際、キャリッジ支持部24は、第1キャリッジ22の移動速度の2分の1の速度で第2キャリッジ23を移動させる。
【0018】
第1キャリッジ22は、画像読取部13の筐体20内において、光源26の光を原稿に照射しつつ、原稿台21上の原稿を走査する。イメージセンサー25は、原稿からの反射光の光量に応じた画像データを出力する。このようにして、画像読取部13は、原稿の画像を示す原稿画像データを生成することができる。
【0019】
画像形成部14は、電子写真方式又はインクジェット方式で画像データに基づく印刷処理を実行することが可能であり、前記原稿画像データに基づいてシート上に画像を形成する。例えば、画像形成部14が電子写真方式の画像形成部である場合、画像形成部14は感光体ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、及び定着装置などを備える。
【0020】
通信I/F15は、電話回線、インターネット、又はLANなどの通信網を介して、外部のファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターなどの情報処理装置との間で所定の通信プロトコルに従った通信処理を実行することが可能な通信インターフェイスである。
【0021】
記憶部16は、ハードディスク又はフラッシュメモリー等の不揮発性の記憶部である。記憶部16には、制御部17によって実行される各種の制御プログラムなどが記憶される。
【0022】
制御部17は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶部である。
【0023】
ところで、プラテンカバーのプラテン当接面に着脱自在に係止される原稿ホルダーを備えた画像読取装置が知られている。前記原稿ホルダーには、名刺、写真、カードなどの小サイズの原稿シートを保持するポケットが形成されている。しかしながら、前記原稿ホルダーは画像読取装置のプラテンカバーに対して着脱自在であるため、前記原稿ホルダーがプラテンカバーから取り外された場合に、紛失したり破損したり汚れたりしてしまうことがある。また、ポケットに汚れが付着すると、画像読取装置により読み取られる画像にその汚れが写ってしまう。これに対して、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、装置本体に着脱可能な原稿ホルダーを用いることなくカード状原稿を保持することが可能である。
【0024】
図3に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置1では、原稿台21に載置された原稿を覆うためのカバー部31が、ADF12の筐体30に固定されている。前述のように、ADF12は、原稿台21を覆う閉姿勢と原稿台21から離れた開姿勢との間で開閉可能であり、カバー部31は、ADF12が閉姿勢の状態において原稿台21に当接する位置に設けられている。カバー部31は、例えば白色の樹脂シートである。
【0025】
具体的に、カバー部31は、図4に示されるように、スポンジなどの弾性部材32を介してADF12の筐体30に固定されている。なお、図4に示される例では、カバー部31の裏面(原稿台21に当接する当接面とは反対側の面)の一部が弾性部材32で支持されているが、他の実施形態では、カバー部31の裏面全体が弾性部材32で支持されていてもいい。
【0026】
図3及び図5に示されるように、カバー部31の当接面(すなわち、原稿台21に当接する側の面)には、名刺、免許証、IDカードなどのカード状原稿C(図8参照)を装着するための凹部40が形成されている。図5に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー部31における主走査方向R1及び副走査方向R2に沿って、4行×3列の合計12個の凹部40が形成されている。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置1では、同時に12枚のカード状原稿Cをカバー部31に装着することが可能である。主走査方向R1は、本発明の第1方向の一例であり、副走査方向R2は、本発明の第2方向の一例である。
【0027】
なお、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー部31の当接面に12個の凹部40が形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、カバー部31の当接面に凹部40が1つだけ形成されていてもよい。また、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー部31の当接面に複数の凹部40が格子状に配置されているが、他の実施形態では、カバー部31の当接面に主走査方向R1又は副走査方向R2のいずれか一方に沿って直線状に配置されていてもよい。また、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー部31の当接面に同一形状及び同一サイズの複数の凹部40が形成されているが、他の実施形態では、カバー部31の当接面に互いに異なる形状又は互いに異なるサイズの複数の凹部40が形成されていてもよい。
【0028】
図6は、副走査方向R2に沿ったカバー部31の断面の一部を示している。図6に示されるように、凹部40は底面41と4つの側面42とを有している。主走査方向R1及び副走査方向R2に沿った凹部40のサイズは、凹部40の内側(すなわち、4つの側面42で囲まれた領域内)にカード状原稿Cを装着可能なように、カード状原稿Cと同じサイズか、もしくはカード状原稿Cよりも大きいサイズとなっている。一方、凹部40の深さ(すなわち、カバー部31の厚み方向における側面42の長さ)は、カード状原稿Cの厚みより小さくてもよいし、カード状原稿Cの厚みと同じであってもよいし、カード状原稿Cの厚みより大きくてもよい。
【0029】
図7に示されるように、凹部40の底面41には、凹部40に装着されたカード状原稿Cを保持する保持部の一例として、カード状原稿Cを凹部40に粘着させる粘着シート51が設けられている。粘着シート51は、本発明の粘着部の一例である。これにより、ユーザーが凹部40にカード状原稿Cを装着すると、図8に示されるようにカード状原稿Cの裏面(すなわち、画像を読み取るべき読取対象面とは反対側の面)と粘着シート51とが粘着し、カード状原稿Cが保持される。粘着シート51は、透明もしくは白色である。なお、原稿台21に載置された原稿の画像を読み取る際に原稿が不必要に粘着シート51に粘着してしまうことを抑制するために、粘着シート51の厚みが凹部40の深さよりも小さい方が好ましい。
【0030】
ユーザーは、ADF12を開姿勢にした状態でカード状原稿Cを凹部40に装着してからADF12を閉姿勢にし、操作表示部11を通じて画像読取部13によるカード状原稿Cの画像読取動作を開始させることができる。画像読取部13によるカード状原稿Cの画像読取動作が終了すると、ユーザーは、ADF12を開姿勢に戻して凹部40からカード状原稿Cを取り外すことができる。ユーザーがカード状原稿Cを凹部40に装着してから取り外すまでの間、前記保持部によってカード状原稿Cは凹部40に保持されるので、途中でカード状原稿Cが落下したり、カード状原稿Cの位置がずれたりすることがない。
【0031】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1では、装置に着脱可能な原稿ホルダーを用いるのではなく、カバー部31の当接面に形成された凹部40にカードを装着することが可能である。よって、原稿ホルダーが紛失したり破損したり汚れたりしてしまうことがない。また、本実施形態に係る画像形成装置1では、カード状原稿Cが粘着シート51により凹部40に保持されるので、カード状原稿Cの読取対象面が透明シートで覆われることがない。よって、画像読取装置により読み取られる画像に透明シートの汚れが写ってしまうことがない。
【0032】
なお、凹部40に装着されたカード状原稿Cを保持する保持部の他の一例として、画像形成装置1に、吸引力を発生させる吸引力発生部18(図1及び図9参照)と、凹部40の底面41に形成された吸気孔43(図9参照)とが設けられてもよい。吸引力発生部18は、例えば、ADF12の筐体30に固定されたファンであり、図9に示される矢印の方向へ送風する。
【0033】
吸引力発生部18が動作している状態でユーザーが凹部40にカード状原稿Cを装着すると、気圧差によってカード状原稿Cが吸気孔43に吸着され、カード状原稿Cが保持される。
【0034】
この構成において、制御部17は、凹部40に配置されたカード状原稿Cの画像を読み取る場合には吸引力発生部18を動作させ、原稿台21に載置された原稿の画像を読み取る場合には吸引力発生部18を動作させないように、画像形成装置1の動作モードに応じて吸引力発生部18を制御してもよい。これにより、原稿台21に載置された原稿の画像を読み取る場合に、原稿が不必要に吸気孔43に吸着されてしまうことを回避することができる。
【0035】
なお、図9に示される例では、吸引力発生部18とカバー部31との間に間隙が設けられているが、他の実施形態では、吸気孔43への吸着力をより高めるために、吸引力発生部18とカバー部31との間隙が弾性部材によって遮蔽されていてもよい。
【0036】
なお、凹部40に装着されたカード状原稿Cを保持する保持部の更に他の一例として、画像形成装置1に、凹部40に静電気を発生させる静電気発生部19(図1参照)が設けられてもよい。静電気発生部19は、例えば、カバー部31の当接面を帯電させる帯電装置である。
【0037】
静電気発生部19が動作している状態でユーザーが凹部40にカード状原稿Cを装着すると、静電気によってカード状原稿Cが凹部40の底面41に吸着され、カード状原稿Cが保持される。
【0038】
この構成において、制御部17は、凹部40に配置されたカード状原稿Cの画像を読み取る場合には静電気発生部19を動作させ、原稿台21に載置された原稿の画像を読み取る場合には静電気発生部19を動作させないように、画像形成装置1の動作モードに応じて静電気発生部19を制御してもよい。これにより、原稿台21に載置された原稿の画像を読み取る場合に、原稿が不必要にカバー部31に吸着されてしまうことを回避することができる。
【0039】
ところで、原稿台21にカード状原稿Cを載置してカード状原稿Cの画像を読み取る場合、一般的に原稿台21は硬いガラスであるため、画像読取後にカード状原稿Cを取り外すのが困難なことがある。これに対して、本実施形態に係る画像形成装置1では、弾性部材32で支持されたカバー部31にカード状原稿Cが装着されるので、カバー部31がたわみやすく、画像読取後にカード状原稿Cを取り外しやすい。
【0040】
なお、他の実施形態として、凹部40からカード状原稿Cをより取り外し易くするために、図10に示されるように、凹部40が、矩形凹部40Aと、矩形凹部40Aの端部に接する切欠凹部40Bとで構成されてもよい。これにより、ユーザーは、切欠凹部40Bから指を挿入し、凹部40に保持されているカード状原稿Cの端部に爪を引っかけることができるので、カード状原稿Cを容易に取り外すことができる。
【0041】
また、凹部40からカード状原稿Cをより取り外し易くする他の実施形態として、図11に示されるように、凹部40に、カード状原稿Cの裏面(すなわち、読取対象面とは反対側の面)に当接する凸部44が形成されていてもよい。これにより、凹部40の底面41と、凹部40に保持されているカード状原稿Cの端部との間に間隙が生じるので、ユーザーは、前記間隙に爪を挿入してカード状原稿Cの端部に爪を引っかけることができるので、カード状原稿Cを容易に取り外すことができる。
【0042】
ところで、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー部31に凹部40が形成されているため、画像読取部13により読み取られる画像データには、凹部40の輪郭に対応する画像(以下、凹部輪郭画像と称する)が含まれてしまう可能性がある。しかしながら、凹部40の深さを十分に浅くすることで、前記画像データに前記凹部輪郭画像が含まれてしまうことを回避することができる。
【0043】
なお、他の実施形態として、制御部17は、画像読取部13により読み取られた画像データから凹部40の輪郭に対応する画像を消去する画像処理を実行してもよい。当該画像処理を実行する制御部17は、本発明の画像処理部の一例である。例えば、制御部17は、記憶部16に予め記憶されている凹部40の輪郭の位置を示す情報に基づいて、画像読取部13により読み取られた画像データから凹部40の輪郭に対応する画像を消去(例えば、白色への置換など)してもよい。図9に示される吸気孔43に対応する画像、及び図11に示される凸部44の輪郭に対応する画像についても同様である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
12 ADF
13 画像読取部
17 制御部
18 吸引力発生部
19 静電気発生部
21 原稿台
30 筐体
31 カバー部
32 弾性部材
40 凹部
40A 矩形凹部
40B 切欠凹部
41 底面
42 側面
43 吸気孔
44 凸部
51 粘着シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11