(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】シート搬送装置及びシート搬送プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20240416BHJP
B65H 3/08 20060101ALI20240416BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20240416BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65H1/14 322B
B65H3/08 310G
B65H3/48 320A
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2020011011
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 裕一
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 潔
(72)【発明者】
【氏名】北澤 由之
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134685(JP,A)
【文献】特開2017-105563(JP,A)
【文献】特開2010-089955(JP,A)
【文献】特開2010-120756(JP,A)
【文献】特開2000-255797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 7/00-7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
該プロセッサは、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において前記残量が規定量減少したと検知した場合に、前記通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分、前記シートを上昇し、
また、前記プロセッサは、
前記残量が少量であることと、前記残量が規定量減少したこととを、異なる方式で検知する、
シート搬送装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記少量時制御に変更してから前記トレイより搬出されたシートの数に基づいて前記残量が規定量減少したことを検知する請求項
1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記検知に用いるシートの数は、前記シートの厚みが厚い場合より薄い場合の方が多い請求項
2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記少量時制御において、前記トレイの上のシートの高さに応じて上昇される前記トレイの上昇量に基づいて、前記残量が規定量減少した検知する請求項
1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
プロセッサを備え、
該プロセッサは、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において、前記シートを浮上させる為のエアの吹付量を制御して前記シートを上昇する、
シート搬送装置。
【請求項6】
プロセッサを備え、
該プロセッサは、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において、前記トレイの上昇量を制御して前記シートを上昇し、
さらに、前記少量時制御において、前記シートの幅寸法が狭い場合より広い場合に前記トレイの上昇量を多くする、
シート搬送装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記少量時制御において、前記シートの厚みが薄い場合より厚い場合に前記トレイの上昇量を多くする請求項
6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
プロセッサを備え、
該プロセッサは、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において、前記トレイの上昇量を制御して前記シートを上昇し、
さらに、前記少量時制御において、前記シートの長さ寸法が短い場合より長い場合に前記トレイの上昇量を多くする、
シート搬送装置。
【請求項9】
プロセッサを備え、
該プロセッサは、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において、前記トレイの上昇量を制御して前記シートを上昇し、
さらに、前記プロセッサは、
前記トレイから前記シートの搬出を開始する前に前記少量であると検知するための基準高より超過量だけ高い位置に前記トレイが上昇していた場合、前記通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分前記トレイを上昇する際に前記少量時上昇量から前記超過量の分減算した減算量の分前記トレイを上昇する、
シート搬送装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記少量時制御において、前記シートを浮上させる為のエアの吹付量を制御して前記シートを上昇する請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
コンピュータに、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において前記残量が規定量減少したと検知した場合に、前記通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分、前記シートを上昇し、
前記残量が少量であることと、前記残量が規定量減少したこととを、異なる方式で検知する処理を実行させるシート搬送プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更
し、
前記少量時制御において、前記シートを浮上させる為のエアの吹付量を制御して前記シートを上昇する処理を実行させるシート搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及びシート搬送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シート供給装置が開示されている。このシート供給装置は、紙面検知機構から、浮上したシートの最上位シートが適正範囲にあることを示す信号が出力されている場合でも、搬送される最上位シートが後端シート面センサを通過した際、後端シート面センサから、浮上したシートの最上位シートの上面がシートの給送が可能な高さを判断する基準位置よりも下側にあることを示す信号が出力された場合には、昇降部を制御してトレイを上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、浮上したシートの高さ情報を検出しない場合において上昇制御が常に同じものと比較して、シート残量が少量の場合に搬送不良を抑制することが可能となるシート供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様1は、プロセッサを備え、該プロセッサは、トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更するシート搬送装置。
【0006】
態様2は、前記プロセッサは、前記少量時制御において前記残量が規定量減少したと検知した場合に、前記通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分、前記シートを上昇する態様1に記載のシート搬送装置。
【0007】
態様3は、前記プロセッサは、前記残量が少量であることと、前記残量が規定量減少したこととを、異なる方式で検知する態様2に記載のシート搬送装置。
【0008】
態様4は、前記プロセッサは、前記少量時制御に変更してから前記トレイより搬出されたシートの数に基づいて前記残量が規定量減少したことを検知する態様3に記載のシート搬送装置。
【0009】
態様5は、前記検知に用いるシートの数は、前記シートの厚みが厚い場合より薄い場合の方が多い態様4に記載のシート搬送装置。
【0010】
態様6は、前記プロセッサは、前記少量時制御において、前記トレイの上のシートの高さに応じて上昇される前記トレイの上昇量に基づいて、前記残量が規定量減少した検知する態様3に記載のシート搬送装置。
【0011】
態様7は、前記プロセッサは、前記少量時制御において、前記シートを浮上させる為のエアの吹付量を制御して前記シートを上昇する態様1から態様6のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【0012】
態様8は、前記プロセッサは、前記少量時制御において、前記トレイの上昇量を制御して前記シートを上昇する態様1から態様6のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【0013】
態様9は、前記プロセッサは、前記少量時制御において、前記シートの厚みが薄い場合より厚い場合に前記トレイの上昇量を多くする態様8に記載のシート搬送装置。
【0014】
態様10は、前記プロセッサは、前記少量時制御において、前記シートの幅寸法が狭い場合より広い場合に前記トレイの上昇量を多くする態様8又は態様9に記載のシート搬送装置。
【0015】
態様11は、前記プロセッサは、前記少量時制御において、前記シートの長さ寸法が短い場合より長い場合に前記トレイの上昇量を多くする態様8から態様10のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【0016】
態様12は、前記プロセッサは、前記トレイから前記シートの搬出を開始する前に前記少量であると検知するための基準高より超過量だけ高い位置に前記トレイが上昇していた場合、前記通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分前記トレイを上昇する際に前記少量時上昇量から前記超過量の分減算した減算量の分前記トレイを上昇する態様8に記載のシート搬送装置。
【0017】
態様13は、コンピュータに、トレイの上で浮上して受け渡されるシートの残量が少量であると検知した場合に前記シートを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更する処理を実行させるシート搬送プログラム。
【発明の効果】
【0018】
態様1では、浮上したシートの高さ情報を検出しない場合において上昇制御が常に同じものと比較して、シート残量が少量の場合に搬送不良を抑制することが可能となる。
【0019】
態様2では、シートの残量が少量の場合でもシートの上昇量が変わらない場合と比較して、シートの受け渡し不良の抑制が可能となる。
【0020】
態様3では、浮上したシートの高さ情報のみによってトレイを上昇する場合と比較して、少量時制御への変更前後で残量の検知精度の変更が可能となる。
【0021】
態様4では、トレイの上昇量に基づいて残量を検知する場合と比較して、シート残数に応じた検知が可能となる。
【0022】
態様5では、常に一定のシート数に基づいて検知する場合と比較して、シートの高さに応じた検知が可能となる。
【0023】
態様6では、搬出されたシート数に基づいて残量を検知する場合と比較して、制御の簡素化が可能となる。
【0024】
態様7では、トレイを上昇する場合と比較して、シートを上昇させる機構の簡素化が可能となる。
【0025】
態様8では、シートを浮上させるエアの吹付量を制御する場合と比較して、シートの高さ調整の容易化が可能となる。
【0026】
態様9では、シート幅によらず上昇量が常に一定の場合と比較して、シート厚に応じたトレイの上昇が可能となる。
【0027】
態様10では、上昇量が一定の場合と比較して、シート幅に応じたトレイの上昇が可能となる。
【0028】
態様11では、シート長によらず上昇量が一定の場合と比較して、シート長に応じたトレイの上昇が可能となる。
【0029】
態様12では、通常時制御での上昇量が一定の場合と比較して、トレイへのシート供給量が少ない場合に応じたトレイの上昇が可能となる。
【0030】
態様13では、浮上したシートの高さ情報のみによってトレイを上昇する場合と比較して、シート残量が少量の場合に応じた制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第一実施形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態のシート搬送装置の内部を示す斜視図である。
【
図4】収容部のシートを搬送する様子を示す説明図である。
【
図5】収容部のシート残量が多い状態を示す説明図である。
【
図6】一実施形態に係るシート搬送装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】一実施形態に係る上昇処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る少量時制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る減少量検知処理(1)の一例を示すフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る減少量検知処理(2)の一例を示すフローチャートである。
【
図11】一実施形態に係る上昇量決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】一実施形態に係るシート厚対応処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】一実施形態に係るシート幅対応処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】一実施形態に係るシート長対応処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】一実施形態に係る上昇量調整処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態を図面に従って説明する。
【0033】
以下の説明では、図面に矢印Xで示す方向を装置幅方向、矢印Yで示す方向を装置高さ方向とする。また、装置幅方向X及び装置高さ方向Yのそれぞれに直交する矢印Zで示す方向を装置奥行き方向とする。
【0034】
図1は、本実施形態に係るシート搬送装置10を有するシート供給装置12が設けられた画像形成装置14を示す斜視図である。画像形成装置14は、シートPに画像を形成する装置であり、画像形成装置14は、シートPに画像を形成する図示しない画像形成手段と、画像形成手段にシートPを搬送する図示しない搬送手段とを備えている。
【0035】
シート供給装置12の装置本体12Aには、シートPを収容するための上段収容部16と下段収容部18とが装置本体12Aより引き出し可能に設けられている。また、シート供給装置12のシート搬送装置10は、オプションで幅方向一方側HIの一面20より延び出す延長部22を取り付け可能に構成されており、
図1には、延長部22を取り付けた状態が示されている。
【0036】
ここで、シートPは、画像形成が行われる媒体やフィルムと言い換えることができる。このシートPとしては、紙製の用紙やPET樹脂からなるOHPシートが挙げられる。画像形成が行われるシートPは、各収容部16、18より供給される通常用紙と延長部22を用いて供給される長尺用紙とが挙げられる。また、使用するシートPとしては、厚みが異なるシートP、幅寸法が異なるシートP、及び長さが異なるシートPなど複数種のシートPを用いることができる。
【0037】
上段収容部16の上部は、装置本体12Aに支持されたカバー30及び延長部22に支持された延長カバー32によって開閉可能とされており、カバー30には、装置本体12Aより延びるダンパ34が接続され開閉操作が補助される。
【0038】
図2は、シート供給装置12内のシート搬送装置10を示す図であり、シート搬送装置10から延長部22が取り外され、エンドバー36が立てられた状態が示されている。シート搬送装置10を有するシート供給装置12内には、シートPを収容するシート収容部40が設けられている。
【0039】
シート収容部40は、底板を形成するトレイ42と、トレイ42の両側部に起立した側壁44とを備え、トレイ42上に載せられたシートPは、エンドバー36によって後縁が位置決めされるとともに、側縁が両側壁44によって位置決めされる。
【0040】
(側壁)
各側壁44の外面には、送風ファン46が設けられており(一方のみ図示)、送風ファン46からは、第一ダクト48及び第二ダクト50が延びている。第一ダクト48は、側壁44の画像形成装置14側の上部に形成された送風穴52に接続されており(一方のみ図示)、送風ファン46から送られたエアをトレイ42に載せられたシートPへ向けて両脇から吹き付ける。
【0041】
送風穴52は、縦長の矩形状に形成されており、トレイ42に重ねて載せられたシートPにおいて、上部に配置された任意の高さ範囲のシートPにエアを吹き付けて浮上させる。これにより、送風ファン46、第一ダクト48、及び側壁44に形成された送風穴52によって、トレイ42上のシートPを浮上させる浮上装置54が構成されている。
【0042】
各側壁44の画像形成装置14側の前縁からは、側方へ向けて折曲された前縁フランジ44Aの延び出しており、各側壁44の上縁からは、側方へ向けて折曲された上縁フランジ44Bが延び出している。また、各側壁44の後縁からは、側方へ向けて折曲された後縁フランジ44Cが延び出しており、一方の側壁44の後縁フランジ44Cには、少量検出器56が設けられている。
【0043】
(トレイ)
トレイ42は、長方形板状に形成されており、画像形成装置14側の前縁部及び画像形成装置14から離れた側の後縁部の下面には、幅方向に延びる支持部材58が設けられている(一方のみ図示)。各支持部材58の端部は、トレイ42より延び出しており(一方のみ図示)、各端部には、ワイヤ60の先端が固定されている。
【0044】
トレイ42の後縁に設けられた支持部材58より延びるワイヤ60は、図示しない筐体に設けられた第一プーリ62、第二プーリ64、及び第三プーリ66を介して、昇降部68の巻取プーリ70に巻かれている。また、トレイ42の前縁に設けられた支持部材より延びるワイヤ60は、第三プーリ66を介して、昇降部68の巻取プーリ70に巻かれており、昇降部68には、一例としてトレイ42の高さ位置を検出する図示しない高さセンサが設けられている。
【0045】
巻取プーリ70は、例えばクラッチを介して、駆動モータ72の回転軸に切断可能に接続されており、駆動モータ72で巻取プーリ70を回転することで、各ワイヤ60で吊られたトレイ42を昇降する。また、クラッチを作動して駆動モータ72と巻取プーリ70との接続状態を切断することで、各ワイヤ60で吊られたトレイ42の自重による降下を可能とする。
【0046】
これにより、トレイ42の支持部材58、支持部材58より延びるワイヤ60、ワイヤ60を支持する各プーリ62、64、66、70、巻取プーリ70を回転する駆動モータ72、及びクラッチでトレイ42を昇降する昇降装置74が構成されている。
【0047】
このトレイ42の後端部には、側方へ延び出す延出部42Aが形成されており、延出部42Aは、トレイ42の昇降に伴って、各側壁44の後縁フランジ44Cに沿って昇降する。また、延出部42Aは、トレイ42上昇時において、少量検出器56をオン作動する。
【0048】
[少量検出器]
少量検出器56は、
図3に示すように、側壁44に固定された固定ブラケット80と、固定ブラケット80に上下動自在に支持されたスライドブラケット82とを備えている。また、少量検出器56は、スライドブラケット82に固定された検出子84と、固定ブラケット80に設けられた少量センサ86とを備えている。
【0049】
少量センサ86は、スライドブラケット82の移動を検出するセンサで構成され、少量センサ86は、センサの一例であるフォトセンサで構成されている。少量センサは、光を発光する発光部と、発光部からの光を検出する受光部とを備え、発光部と受光部との間には、間隙が形成されている。
【0050】
固定ブラケット80には、上下に延びる長穴88が上下の二か所に形成されており、各長穴88には、スライドブラケット82から延びる軸90が上下動自在に挿入されている。
【0051】
スライドブラケット82には、画像形成装置14側へ突出する矩形状の突出片92が形成されている。突出片92は、スライドブラケット82から延びる軸90が長穴88の下縁に支持された通常状態において、少量センサ86の間隙内に配置され、少量センサ86の発光部から受光部への光路を遮断する。
【0052】
スライドブラケット82には、検出子84の基部84Aが固定されており、基部84Aは、側壁44の後縁フランジ44Cに設けられた矩形状の貫通穴94を貫通する。基部84Aの先端からは、上方延出片84Bが上方へ向けて延び、上方延出片84Bの上端からは、爪部84Cがトレイ42の延出部42Aの上部に延び出す。
【0053】
爪部84Cの下面は、平坦に形成され、上昇されるトレイ42が規定の高さを示す基準高96に達した際にトレイ42の上面に接し、トレイ42と共に検出子84を上昇する。
【0054】
検出子84の上昇に伴ってスライドブラケット82が上昇すると、スライドブラケット82の突出片92が少量センサ86の光路から外れ、少量センサ86の発光部から受光部への光の通過を許容する。すると、発光部からの光を受けた受光部がオン作動し、トレイ42上のシート残量の減少に応じて上昇するトレイ42が基準高96に達し、シート残量が少量であることを示す信号を出力する。
【0055】
(エンドバー)
エンドバー36は、トレイ42の後縁部側に配置されており、エンドバー36の上端部には、シート高検出器100が設けられている。
【0056】
[シート高検出器]
シート高検出器100は、エンドバー36に基端部が回転可能に支持されたアーム部100Aと、アーム部100Aの先端部に回転自在に支持されたローラ100Bとを備えている。また、シート高検出器100は、基端部を中心としたアーム部100Aの傾きを検出してオン作動する図示しないシート高スイッチを備えている。ローラ100Bは、トレイ42に載せられた最上部のシートPと接するように構成され、シートPの供給方向に回転可能とされている。
【0057】
シート高検出器100は、ローラ100Bがトレイ42上のシートPに接してアーム部100Aの先端が上方へ傾いた際に、シート高スイッチがオン作動してトレイ42の最上部のシートPの高さ位置が供給に適した高さになったことを示す信号を出力する。また、シート高検出器100は、ローラ100BからシートPが離れアーム部100Aの先端が下方へ傾いた際に、シート高スイッチがオフ作動してトレイ42の最上部のシートPの高さ位置が供給に適した高さより低くなったことを示す信号を出力する。
【0058】
(搬送装置)
トレイ42の上部には、
図4に示すように、浮上したシートPを吸着して搬送する搬送装置110が画像形成装置14側に設けられている。
【0059】
この搬送装置110は、浮上したシートPを吸着する吸着ヘッド112と、吸着ヘッド112を装置幅方向Xへ移動する図示しない移動機構とを備えている。
【0060】
吸着ヘッド112は、
図5に示すように、シートPのトレイ42の幅方向中央部に配置されている。
【0061】
この吸着ヘッド112は、図示しない負圧装置から負圧が供給される負圧室を有し、吸着ヘッド112の下面には、負圧室に通じる吸着穴が複数形成されている。これにより、吸着ヘッド112は、浮上したシートPを吸着穴からの負圧で吸着して保持する。
【0062】
移動機構は、
図4に示したように、吸着ヘッド112を吸着位置114と受渡位置116との間で移動する。
【0063】
吸着位置114は、吸着ヘッド112の長さ方向中央部が送風穴52(
図2参照)の幅方向中央に位置する箇所に設定されており、浮上装置54(
図2参照)で浮上されたシートPの吸着を容易とする。
【0064】
受渡位置116は、吸着位置114で吸着したシートPを画像形成装置14側へ搬送した際の位置を示す。この受渡位置116では、搬送したシートPの前端部が画像形成装置14に設けられた上下の受渡ロール120の間に挿入され、当該シートPが画像形成装置14へ受け渡される。
【0065】
(シート搬送装置のハードウェア構成)
シート搬送装置10は、制御部でありプロセッサを構成するCPU(Central Processing Unit)210、一時記憶領域を形成するRAM等のメモリ212、不揮発性のROM等を備えた記憶部214、入力部216、及び液晶ディスプレイ等を含む表示部218を備えている。また、シート搬送装置10は、スピーカ等を含む報知部220、外部装置等と通信を行うための通信インタフェース(I/F)部222、昇降装置74を含むトレイ駆動部224、及び浮上装置54の送風ファン46を駆動するファン駆動部226を備えている。そして、シート搬送装置10は、プログラム入力を行うための一例としての媒体読み書き装置(R/W)227を備えている。
【0066】
CPU210、メモリ212、記憶部214、入力部216、表示部218、報知部220、通信I/F部222、トレイ駆動部224、ファン駆動部226、及び媒体読み書き装置227は、バスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置227は、記録媒体228に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体228への情報の書き込みを行う。
【0067】
入力部216には、少量検出器56の少量センサ86、シート高検出器100の図示しないシート高スイッチ、シート搬送装置10に設けられた操作パネル、及びトレイの高さ位置を検出する図示しない高さセンサ等が接続されている。また、入力部216は、少量センサ86及びシート高スイッチの状態、並びに操作パネルへの入力情報をCPU210へ送る。
【0068】
操作パネルには、トレイ42にセットされたシートPのサイズを示すシートサイズ情報、シートPの坪量情報、及び少量制御のオンオフ情報が入力され、これらの入力情報は、RAMに記憶される。
【0069】
ここで、坪量とは、シートPの単位面積当りの質量を示し、坪量からシートPの厚み寸法を判断することが可能である。
【0070】
記憶部214は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリ等によって実現される。記録媒体228としての記憶部には、シート搬送装置10を作動するためのシート搬送プログラム214Aが記憶されている。
【0071】
シート搬送プログラム214Aは、媒体読み書き装置227にセットされた記録媒体228から読み出され記憶部214に記憶される。なお、シート搬送プログラム214Aは、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0072】
CPU210は、シート搬送プログラム214Aを記憶部214から読み出してメモリ212に展開し、シート搬送プログラム214Aが有するプロセスを順次実行することで、プロセッサ及び制御部を構成する。シート搬送装置10は、CPU210がシート搬送プログラム214Aに従って動作することで作動する。
【0073】
(動作説明)
次に、
図7から
図15を参照して、本実施形態に係るシート搬送装置の動作を説明する。
【0074】
(上昇処理)
シート搬送装置のCPU210がシート搬送プログラム214Aを実行し、搬送制御処理中に上昇処理が呼び出されると、
図7に示すように、例えばシート搬送装置10の操作パネルへの入力により少量制御がオンに設定されているか否かを判断する(S1)。
【0075】
ステップS1で、少量制御がオフの場合、ユーザーによって少量制御を実施しない旨が選択されているので、当該上昇処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0076】
また、ステップS1で、少量制御がオンの場合、ユーザーによって少量制御を実施が選択されているので、入力部216から少量検出器56の少量センサ86がオン作動したか否かを判断する(S2)。
【0077】
ステップS2において、少量センサ86がオン作動しておらず、トレイ42上で浮上され受け渡されるシートPの残量が規定値より多い場合、シートPを上昇する上昇制御を通常制御処理で行って(S3)、当該上昇処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0078】
一方、ステップS2において、トレイ42上のシート残量の減少に伴ってトレイ42が上昇され少量センサ86がオン作動している場合、トレイ42上で浮上して受け渡されるシートPの残量が少量なので少量時制御処理を実行して(S4)、当該上昇処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0079】
(少量時制御処理)
少量時制御処理では、
図8に示すように、減少量検知処理を実行する(SB1)。
【0080】
(減少量検知処理(1))
この減少量検知処理としては、
図9に示すように、一例として減少量検知処理(1)が挙げられ、減少量検知処理(1)では、トレイ42上のシートPの残量が規定量減少したか否かを判断する(SC1)。
【0081】
この残量が規定量減少したか否かの判断は、一例としてトレイ42の最上部のシートPの高さ位置が供給に適した高さより低くなったことを検出するシート高検出器100からの信号を用いて行う。
【0082】
これにより、残量が規定量減少したか否かの判断は、少量センサ86による残量が少量であるか否かの判断と異なる方式で行われる。
【0083】
ステップSC1で残量が規定量減少していた場合、RAMに予め設定された上昇フラグに「1」をセットして、当該少量時制御処理(1)を呼び出した少量時制御処理へ戻る。一方、ステップSC1で残量が規定量減少していない場合、上昇フラグを「0」のまま当該少量時制御処理を呼び出した少量時制御処理へ戻る。
【0084】
ここで、上昇フラグは、トレイ42を上昇するか否かを判断する為のフラグであり、上昇フラグが「1」の場合、少量時制御処理でトレイ42を上昇する。また、上昇フラグが「0」の場合、少量時制御処理でトレイ42の上昇は行わない。
【0085】
(減少量検知処理(2))
一方、
図10は、他の減少量検知処理の一例である減少量検知処理(2)を示す図であり、この減少量検知処理(2)では、少量時制御に変更してからトレイ42より搬出されたシートPの数に基づいて、残量が規定量減少したことを検知する。これにより、残量が規定量減少したか否かの判断は、少量センサ86による残量が少量であるか否かの判断と異なる方式で行われる。
【0086】
この検知に用いるシートPの数は、シートPの厚みに応じて変動し、検知に用いるシートPの数は、シートPの厚みが厚い場合より薄い場合の方が多い。すなわち、減少量検知処理(2)では、少量時制御に変更してからトレイ42より搬出されたシートPの数が、RAMに記憶された坪量情報から演算された規定量を超えたか否かを判断する(SD1)。
【0087】
規定量の演算では、坪量情報からシートPの厚み寸法を算出し、シートPが厚い場合には規定量を少なくする。また、シートPが薄い場合には規定量を多くする。これにより、シートPの厚み寸法に基づいて算出された規定量のシートPがトレイ42より搬出されたか否かを判断する。
【0088】
ステップSD1で、少量時制御に変更してからトレイ42より搬出されたシートPの数が規定量を超えたと判断した場合、RAMに予め設定された上昇フラグに「1」をセットして、当該少量時制御処理(2)を呼び出した少量時制御処理へ戻る。一方、ステップSD1で、少量時制御に変更してからトレイ42より搬出されたシートPの数が規定量を超えていないと判断した場合、上昇フラグを「0」のまま当該少量時制御処理を呼び出した少量時制御処理へ戻る。
【0089】
(少量時制御処理)
少量時制御処理では、上昇フラグが「1」にセットされているか否かを判断する(SB2)。
【0090】
このステップSB2で、上昇フラグが「0」の場合、当該少量時制御処理を呼び出したルーチンへ戻る。一方、ステップSB2で上昇フラグが「1」と判断した場合、上昇量決定処理を実行する(SB3)。
【0091】
(上昇量決定処理)
上昇量決定処理では、
図11に示すように、シート厚対応処理(SF1)と、シート幅対応処理(SF2)と、シート長対応処理(SF3)と、上昇量調整処理(SF4)とを順に実行した後、当該上昇量決定処理を呼び出した少量時制御処理へ戻る。
【0092】
(シート厚対応処理)
シート厚対応処理では、
図12に示すように、一例としてRAMに記憶された坪量情報を予め定められた厚紙閾値と比較して、シートPが厚紙か否かを判断する(SG1)。
【0093】
ステップSG1で厚紙と判断した場合、予めRAMに設定された少量時上昇量を予め設定した増加量増加し(SG2)、上昇量決定処理へ戻った後にシート幅対応処理を実行する(SF2)。
【0094】
この少量時上昇量は、少量時制御においてシートPの残量が規定量減少した場合にシートPを上昇する為のトレイ42の上昇量を示し、少量時上昇量には、予め定められた少量時基準量が設定されている。
【0095】
ステップSG1で厚紙でない判断した場合、一例としてRAMに記憶された坪量情報を予め定められた薄紙閾値と比較して、シートPが薄紙か否かを判断する(SG3)。
【0096】
ステップSG3で薄紙でないと判断した場合、上昇量決定処理へ戻った後にシート幅対応処理を実行する(SF2)。一方、ステップSG3で薄紙と判断した場合、予めRAMに設定された少量時上昇量を予め設定した減少量減少し(SG4)、上昇量決定処理へ戻った後にシート幅対応処理を実行する(SF2)。
【0097】
これにより、少量時制御において、シートの厚みが薄い場合より厚い場合にトレイの上昇量を多くする。
【0098】
(シート幅対応処理)
上昇量決定処理からシート幅対応処理(SF2)が呼び出されると、
図13に示したように、一例としてRAMに記憶されたシートサイズ情報を予め定められた基準幅閾値と比較して、シートPが幅広か否かを判断する(SH1)。
【0099】
ステップSH1でシートPの幅が基準閾値より大きく幅広と判断した場合、予めRAMに設定された少量時上昇量を予め設定した増加量増加し(SH2)、上昇量決定処理へ戻った後にシート長対応処理を実行する(SF3)。
【0100】
ステップSH1でシートPの幅が基準閾値以下で幅広でない判断した場合、一例としてRAMに記憶されたシートサイズ情報を予め定められた基準幅閾値と比較して、シートPが幅狭か否かを判断する(SH3)。
【0101】
ステップSH3で幅狭でないと判断した場合、上昇量決定処理へ戻った後にシート長対応処理を実行する(SF3)。一方、ステップSH3で幅狭と判断した場合、予めRAMに設定された少量時上昇量を予め設定した減少量減少し(SH4)、上昇量決定処理へ戻った後にシート長対応処理を実行する(SF3)。
【0102】
これにより、少量時制御において、シートPの幅寸法が狭い場合より広い場合にトレイ42の上昇量を多くする。
【0103】
(シート長対応処理)
上昇量決定処理からシート長対応処理(SF3)が呼び出されると、
図14に示したように、一例としてRAMに記憶されたシートサイズ情報を予め定められた基準長閾値と比較して、シートPが長いか否かを判断する(SJ1)。
【0104】
ステップSJ1でシートPの長さが基準長閾値より大きく長いと判断した場合、予めRAMに設定された少量時上昇量を予め設定した増加量増加し(SJ2)、上昇量決定処理へ戻った後に上昇量調整処理を実行する(SF4)。
【0105】
ステップSJ1でシートPの長さが基準長閾値以下で長くないと判断した場合、一例としてRAMに記憶されたシートサイズ情報を予め定められた基準長閾値と比較して、シートPが短いかを判断する(SJ3)。
【0106】
ステップSJ3で短くない判断した場合、上昇量決定処理へ戻る。一方、ステップSJ3で短いと判断した場合、予めRAMに設定された少量時上昇量を予め設定した減少量減少し(SJ4)、上昇量決定処理へ戻る。
【0107】
これにより、少量時制御において、シートPの長さ寸法が短い場合より長い場合にトレイ42の上昇量を多くする。
【0108】
ここで、RAMの少量時上昇量に予め設定された少量時基準量は、通常時制御での上昇量より多い値とされている。また、通常時制御においも、シート厚、シート幅、及びシート長に応じて上昇量を増減するとともに、増減する際の減少量又は増加量は、一例として少量時制御と同じ量とされている。
【0109】
このため、上昇量決定処理において、シート厚対応処理(SF1)と、シート幅対応処理(SF2)と、シート長対応処理(SF3)とを実行した状態において、少量時上昇量に設定された値は、通常時制御での上昇量より大きい値となる。
【0110】
これにより、少量時制御において、通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分、シートPの上昇を可能とする。
【0111】
(上昇量調整処理)
上昇量決定処理では、上昇量調整処理(SF4)を呼び出し、
図15に示すように、上昇量調整処理を実行する。
【0112】
上昇量調整処理は、トレイ42からシートPの搬出を開始する前に少量であると検知するための基準高96より高い位置にトレイ42が上昇していた場合にトレイ42を上昇する為の処理である。
【0113】
この上昇量調整処理では、一例としてトレイ42の高さとROMに予め定め記憶された高さ閾値とを比較し、トレイ42が基準高96より高い位置にあるか否かを判断する(SK1)。
【0114】
ここで、ROMに記憶された高さ閾値は、シート高検出器100がオン作動する基準高96より規定量高い位置を示す値に設定されている。これにより、シート高検出器100がオン作動する基準高96より高い位置でトレイ42が停止していても、トレイ42が基準高96より規定量高い位置に停止していなければ、当該上昇量調整処理は実行されない。
【0115】
ステップSK1で、トレイ42が高さ閾値の示す高さ位置より高い位置にないと判断した場合、上昇量決定処理に戻った後、少量時制御処理に戻り、少量時上昇量に設定された上昇量に応じてトレイ42を上昇した後(SB4)、上昇処理へ戻る。
【0116】
これにより、シート厚、シート幅、及びシート長に基づいて設定された上昇量分トレイ42上のシートPを上昇する。
【0117】
一方、ステップSK1で、トレイ42が高さ閾値の示す高さ位置より高い位置にあると判断した場合、現在のトレイ42の高さから基準高96を減算して超過量とする(SK2)。次に、シート厚対応処理、シート幅対応処理、及びシート長対応処理で定めた少量時上昇量から超過量を減算して減算量を求める(SK3)。
【0118】
そして、この減算量を少量時上昇量とし(SK4)、上昇量決定処理に戻った後、少量時制御処理に戻り、少量時上昇量に設定された上昇量に応じてトレイ42を上昇して(SB4)、上昇処理へ戻る。
【0119】
これにより、基準高96より超過量だけ高い位置にトレイ42が上昇していた場合、通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分トレイ42を上昇する際に少量時上昇量から超過量の分減算した減算量の分トレイ42を上昇する。
【0120】
ここで、本実施形態では、少量時制御において、トレイ42を上昇することでトレイ42上のシートPを上昇する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、少量時制御において、シートPを浮上させる為の送風ファン46の出力を上げ、エアの吹付量を制御することで、シートPを上昇してもよい。
【0121】
(作用及び効果)
以上の構成に係る本実施形態の作用を説明する。
【0122】
本実施形態では、トレイ42の上で浮上して受け渡されるシートPの残量が少量であると検知した場合にシートPを上昇する上昇制御を通常時制御から少量時制御に変更する。
【0123】
このため、浮上したシートPの高さ情報を検出しない場合において上昇制御が常に同じものと比較して、シート残量が少量の場合に応じた制御が可能となる。これにより、搬送不良を抑制することが可能となる。
【0124】
また、浮上したシートPの高さ情報のみによってトレイ42を上昇する場合と比較して、シート残量が少量の場合に応じた制御が可能となる。
【0125】
また、少量時制御において残量が規定量減少したと検知した場合に、通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分、シートPを上昇する。
【0126】
このため、シートPの残量が少量の場合でもシートPの上昇量が変わらない場合と比較して、シートPの受け渡し不良の抑制が可能となる。
【0127】
具体的に説明すると、トレイ42上の残量が少量となり最上部のシートPの浮揚高さが低くなると、吸着ヘッド112の吸着面からシートPまでの距離が遠くなる。すると、シートPの吸着に時間を要し、ミスフィードが生じ得る。
【0128】
また、シートPが薄肉の場合、両側端部に垂れ下がりが生じ得る。この場合、下流側の搬送経路で予期せぬ衝突が生じ、シートPにダメージを与えたり、ミスフィードが生じたりする恐れがある。
【0129】
これに対して、本実施形態では、少量時制御において残量が規定量減少したと検知した場合に、通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分、シートPを上昇することで、シートPの受け渡し時に生じ得る不良の抑制が可能となる。
【0130】
また、残量が少量であることと、残量が規定量減少したこととを、異なる方式で検知する。
【0131】
このため、浮上したシートPの高さ情報のみによってトレイ42を上昇する場合と比較して、少量時制御への変更前後で残量の検知精度の変更が可能となる。
【0132】
加えて、減少量検知処理(2)では、少量時制御に変更してからトレイ42より搬出されたシートPの数に基づいて残量が規定量減少したことを検知する。
【0133】
このため、トレイ42の上昇量に基づいて残量を検知する場合と比較して、シート残数に応じた検知が可能となる。
【0134】
また、検知に用いるシートPの数は、シートPの厚みが厚い場合より薄い場合の方が多い。
【0135】
このため、常に一定のシート数に基づいて検知する場合と比較して、シートPの高さに応じた検知が可能となる。
【0136】
さらに、減少量検知処理(1)では、少量時制御において、トレイ42の上のシートPの高さに応じて上昇されるトレイ42の上昇量に基づいて、残量が規定量減少した検知する。
【0137】
このため、搬出されたシート数に基づいて残量を検知する場合と比較して、制御の簡素化が可能となる。
【0138】
加えて、少量時制御において、シートPを浮上させる為のエアの吹付量を制御してシートPを上昇すれば、トレイ42を上昇する場合と比較して、シートを上昇させる機構の簡素化が可能となる。
【0139】
また、少量時制御において、トレイ42の上昇量を制御してシートPを上昇する。
【0140】
このため、シートPを浮上させるエアの吹付量を制御する場合と比較して、シートPの高さ調整の容易化が可能となる。
【0141】
さらに、少量時制御において、シートPの厚みが薄い場合より厚い場合にトレイ42の上昇量を多くする。
【0142】
これにより、上昇量が常に一定の場合と比較して、シート厚に応じたトレイ42の上昇が可能となる。
【0143】
加えて、少量時制御において、シートPの幅寸法が狭い場合より広い場合にトレイ42の上昇量を多くする。
【0144】
これにより、上昇量がシート幅によらず一定の場合と比較して、シート幅に応じたトレイ42の上昇が可能となる。
【0145】
また、少量時制御において、シートPの長さ寸法が短い場合より長い場合にトレイ42の上昇量を多くする。
【0146】
これにより、上昇量がシート長によらず一定の場合と比較して、シート長に応じたトレイ42の上昇が可能となる。
【0147】
さらに、少量であると検知するための基準高より超過量だけ高い位置にトレイ42が上昇していた場合、通常時制御での上昇量より多い少量時上昇量の分トレイ42を上昇する際に少量時上昇量から超過量の分減算した減算量の分トレイ42を上昇する。
【0148】
これにより、通常時制御での上昇量が一定の場合と比較して、トレイ42へのシート供給量が少ない場合に応じたトレイ42の上昇が可能となる。
【0149】
具体的には、トレイ42が基準高96より高い位置まで上昇していた場合において、トレイ42の過剰な上昇を抑制することが可能となる。
【0150】
なお、本実施形態では、少量検出器56の少量センサ86の作動状態に基づいて、シート残量が少ないことを検知したが、これに限定されるものではない。
【0151】
例えば、トレイ42を下死点まで下降した状態からの上昇駆動時間や、駆動モータ72の駆動パルス数に基づいて、シート残量が少ないことを検知してもよく、またシート残量が少ないことを表示パネルに表示してもよい。
なお、シート搬送装置10は、給紙装置やトレイ昇降装置と言い換えることができる。この給紙装置やトレイ昇降装置は、昇降装置74、浮上装置54、吸着ヘッド112、及び搬送装置110等で構成される。
【0152】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0153】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0154】
10 シート搬送装置
40 シート収容部
42 トレイ
46 送風ファン
54 浮上装置
56 少量検出器
74 昇降装置
86 少量センサ
96 基準高
100 シート高検出器
110 搬送装置
210 CPU
214 記憶部
214A シート搬送プログラム
216 入力部
226 ファン駆動部
228 記録媒体