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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】監視システム及び現場監視装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240416BHJP
   H04N 21/6332 20110101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N21/6332
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020017821
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021125793
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 博考
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004272(JP,A)
【文献】特開2018-201077(JP,A)
【文献】特開2014-230219(JP,A)
【文献】特開2008-283485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場にある現場監視装置と、端末コンピュータと、前記端末コンピュータと通信可能な サーバと、を備える監視システムであって、
前記現場監視装置が、前照灯と、周囲の物体までの距離を測定するレーザー測距計と、レーザー光照射式指示器と、撮像 装置と、前記前照灯、前記レーザー光照射式指示器、前記レーザー測距計、及び前記撮像 装置を搭載するパン・チルト機構と、前記サーバと通信可能なコンピュータと、を有し、
前記コンピュータが、前記撮像装置によって撮像される映像を前記サーバに送信する映 像送信手段を有し、前記サーバが、前記映像送信手段によって送信された前記映像を前記 端末コンピュータに送信し、前記端末コンピュータが、前記サーバによって送信された映 像を表示し、
前記端末コンピュータが、監督者の操作に従った操作データを前記サーバに送信し、前 記サーバが、前記端末コンピュータによって送信された操作データに従った指示データを 前記コンピュータに送信し、
前記コンピュータが、前記サーバによって送信された指示データを受信する指示受信手 段と、前記指示受信手段によって受信された前記指示データに基づいて前記レーザー光照 射式指示器を制御して、前記指示データに従った指示動作を前記レーザー光照射式指示器 に行わせる指示器制御手段と、を有し、
前記コンピュータは、前記レーザー測距計の測定結果に基づいて前記周囲の物体が障害物であると認識すると、前記障害物を避けるように前記現場監視装置の移動を制御する
監視システム。
【請求項2】
前記レーザー光照射式指示器がレーザーポインタであり、前記指示器制御手段が前記指 示データに従って前記レーザーポインタを点灯させる
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記現場監視装置は、ディスプレイデバイスを更に備え、
前記サーバが、前記映像送信手段によって送信された前記映像を動画又は静止画として キャプチャするとともに、前記端末コンピュータによって送信された前記操作データに従 ったマーク若しくはテキスト又はこれらの両方を前記動画又は前記静止画に合成し、合成 後の前記動画又は前記静止画を前記指示データとして前記コンピュータに送信し、
前記指示器制御手段が、前記動画又は前記静止画を前記ディスプレイデバイスに表示さ せる
請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記現場監視装置が、前記パン・チルト機構、前記ディスプレイデバイス及び前記コン ピュータが搭載される移動体を有する
請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前照灯と、周囲の物体までの距離を測定するレーザー測距計と、レーザー光照射式指示器と、撮像装置と、前記前照灯、 前記レーザー光照射式指示器、前記レーザー測距計、及び前記撮像装置を搭載するパン・ チルト機構と、サーバと通信可能なコンピュータと、を備える現場監視装置であって、
前記コンピュータが、
前記撮像装置によって撮像される映像を前記サーバに送信する映像送信手段と、
前記サーバによって送信された指示データを受信する指示受信手段と、
前記指示受信手段によって受信された前記指示データに基づいて前記レーザー光照射式指示器を制御して、前記指示データに従った指示動作を前記レーザー光照射式指示器に行わせる指示器制御手段と、を有し、
前記コンピュータは、前記レーザー測距計の測定結果に基づいて前記周囲の物体が障害物であると認識すると、前記障害物を避けるように前記現場監視装置の移動を制御する
現場監視装置。
【請求項6】
前記サーバは、ニューラルネットワークが構築され、前記撮像装置が撮像した対象物の 映像に係る動画データ、静止画像データ、又は前記レーザー測距計が測定した前記対象物 までの距離に係る測定距離データを記録する際に、前記動画データ、前記静止画像データ、又は前記測定距離データから前記対象物の危険性を判定する
請求項1に記載の監視システム。
【請求項7】
前記サーバは、ニューラルネットワークが構築され、前記撮像装置が撮像した対象物の 映像に係る動画データ、静止画像データ、又は前記レーザー測距計が測定した前記対象物 までの距離に係る測定距離データを記録する際に、前記動画データ、前記静止画像データ、又は前記測定距離データから前記対象物の危険性を判定する
請求項5に記載の現場監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム及び現場監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床下のコンクリートのクラックの長さ及び幅を計測するための点検システムが開示されている。この点検システムは、ロボットと、ロボットを遠隔操作するパソコンとを備える。ロボットは、ビデオカメラ及び一対のレーザーポインタがクローラ式の走行体に搭載されてなる。ビデオカメラの映像信号が無線によりパソコンに送信され、ビデオカメラにより撮影された映像がパソコンのディスプレイに表示される。ユーザーがパソコンを通じて走行体を遠隔操作すると、走行体が床下において所定の箇所まで移動する。そして、ユーザーがパソコンを通じて一対のレーザーポインタを点灯させると、二つの明点がコンクリートに入射する。それら明点を含む映像がパソコンに送信され、明点間の距離がパソコンの画像解析により算出される。
【0003】
一方、監督者は、現場確認、作業員に対する指示及び指導、進捗確認、終業確認、安全確認等の日々の施工管理を行うために、頻繁に建設現場を巡回する必要がある。そのため、監督者は多忙を極め、施工管理以外の業務を行う時間を確保しづらい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-18073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、施工管理とそれ以外の業務を並行して行えるよう、特許文献1に記載の点検システムを利用することが考えられる。ところが、特許文献1に記載の点検システムでは、監督者がパソコンの映像を見て建設現場の状況を確認することができるが、現場の作業員に的確な指示をすることができない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、監督者が遠隔地から現場の作業員に指示できるような監視システム及び現場監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決すべく、現場にある現場監視装置と、端末コンピュータと、前記端末コンピュータと通信可能なサーバと、を備える監視システムであって、前記現場監視装置が、前照灯と、周囲の物体までの距離を測定するレーザー測距計と、レーザー光照射式指示器と、撮像装置と、前記前照灯、前記レーザー光照射式指示器、前記レーザー測距計、及び前記撮像装置を搭載するパン・チルト機構と、前記サーバと通信可能なコンピュータと、を有し、前記コンピュータが、前記撮像装置によって撮像される映像を前記サーバに送信する映像送信手段を有し、前記サーバが、前記映像送信手段によって送信された前記映像を前記端末コンピュータに送信し、前記端末コンピュータが、前記サーバによって送信された映像を表示し、前記端末コンピュータが、監督者の操作に従った操作データを前記サーバに送信し、前記サーバが、前記端末コンピュータによって送信された操作データに従った指示データを前記コンピュータに送信し、前記コンピュータが、前記サーバによって送信された指示データを受信する指示受信手段と、前記指示受信手段によって受信された前記指示データに基づいて前記レーザー光照射式指示器を制御して、前記指示データに従った指示動作を前記レーザー光照射式指示器に行わせる指示器制御手段と、を有し、前記コンピュータは、前記レーザー測距計の測定結果に基づいて前記周囲の物体が障害物であると認識すると、前記障害物を避けるように前記現場監視装置の移動を制御する監視システムが提供される。
【0007】
また、前照灯と、周囲の物体までの距離を測定するレーザー測距計と、レーザー光照射式指示器と、撮像装置と、前記前照灯、前記レーザー光照射式指示器、前記レーザー測距計、及び前記撮像装置を搭載するパン・チルト機構と、サーバと通信可能なコンピュータと、を備える現場監視装置であって、前記コンピュータが、前記撮像装置によって撮像される映像を前記サーバに送信する映像送信手段と、前記サーバによって送信された指示データを受信する指示受信手段と、前記指示受信手段によって受信された前記指示データに基づいて前記レーザー光照射式指示器を制御して、前記指示データに従った指示動作を前記レーザー光照射式指示器に行わせる指示器制御手段と、を有し、前記コンピュータは、前記レーザー測距計の測定結果に基づいて前記周囲の物体が障害物であると認識すると、前記障害物を避けるように前記現場監視装置の移動を制御する現場監視装置が提供される。
【0008】
以上によれば、監督者が端末コンピュータによって表示された映像を見ながら端末コンピュータを操作すると、レーザー光照射式指示器が指示データに従った指示動作を行うため、現場にいる作業員がそれを視認することで監督者の指図を視覚的に理解することができる。つまり、監督者が現場に離れた遠隔地から作業員に指示できる。
【0009】
好ましくは、前記レーザー光照射式指示器がレーザーポインタであり、前記指示器制御手段が前記指示データに従って前記レーザーポインタを点灯させる。
【0010】
以上によれば、監督者が端末コンピュータを操作して、レーザーポインタが点灯すると、レーザーポインタから出射したレーザー光線が対象物に入射して、明点が対象物の表面に表れる。これにより、監督者が現場に離れた遠隔地から対象物を指し示すことができ、現場の作業員は監督者によって指し示された対象物を認識できる。
【0011】
好ましくは、前記現場監視装置は、ディスプレイデバイスを更に備え、前記サーバが、前記映像送信手段によって送信された前記映像を動画又は静止画としてキャプチャするとともに、前記端末コンピュータによって送信された前記操作データに従ったマーク若しくはテキスト又はこれらの両方を前記動画又は前記静止画に合成し、合成後の前記動画又は前記静止画を前記指示データとして前記コンピュータに送信し、前記指示器制御手段が、前記動画又は前記静止画を前記ディスプレイデバイスに表示させる。
【0012】
以上によれば、監督者が端末コンピュータを操作して、マーク若しくはテキスト又はこれらの両方が動画又は静止画に合成されることによって、動画又は静止画の中の対象物がマーク又はテキストによって指し示される。合成後の動画又は静止画がディスプレイデバイスによって表示されると、現場の作業員はマーク又はテキストによって指し示された対象物を認識できる。
【0013】
好ましくは、前記現場監視装置が、前記パン・チルト機構、前記ディスプレイデバイス及び前記コンピュータが搭載される移動体を有する
【0014】
以上によれば、移動体の移動によって建設現場の広い範囲が端末コンピュータに表示されるため、監督者が建設現場の広い範囲の状況を把握することができる。また、移動体の移動によって、監督者が指し示すことができる対象物が多くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、監督者が現場から離れた遠隔地において端末コンピュータを操作することによって、現場にいる作業員に指示できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】監視システムを示す図である。
図2】現場監視装置の側面図である。
図3】端末コンピュータのディスプレイデバイスに表示される画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
1. 監視システムの概要
図1は、監視システム1を示す図面である。監視システム1は、建設現場にある現場監視装置10と、建設現場から遠く離れた場所に設置されるクラウドサーバ40と、建設現場から離れた場所にいる監督者によって操作される端末コンピュータ60と、を備える。クラウドサーバ40と端末コンピュータ60はインターネット90を介して相互通信が可能であり、クラウドサーバ40と現場監視装置10がインターネット90を介して相互通信が可能である。なお、インターネット90の代わりにローカルエリアネットワークを用いてもよいし、インターネット90を利用したVPN(Virtual Private Network)を用いてもよい。また、クラウドサーバ40の代わりにオンプレスミスサーバを用いてもよい。
【0019】
監督者が監視システム1を用いて建設現場を監視できる。具体的には、建設現場の状況が現場監視装置10によって撮影され、その映像がクラウドサーバ40に送信されて、必要に応じて映像が動画又は静止画としてクラウドサーバ40に記録される。一方、監督者が端末コンピュータ60を用いて、クラウドサーバ40にログインして、クラウドサーバ40にリモートアクセスすることができる。そうすると、現場監視装置10によって撮影された映像が端末コンピュータ60に転送され、その映像が端末コンピュータ60に表示される。これにより、監督者が建設現場の状況をリアルタイムに監視することができる。
【0020】
また、監督者が端末コンピュータ60を用いて現場監視装置10を遠隔操作することができる。具体的には、監督者が端末コンピュータ60を用いてクラウドサーバ40にリモートアクセスし、監督者が端末コンピュータ60を用いてクラウドサーバ40上において現場監視装置10を遠隔操作することができる。
【0021】
また、監督者が端末コンピュータ60を用いて建設現場の作業員に指示できる。具体的には、監督者が端末コンピュータ60を用いてクラウドサーバ40にリモートアクセスし、監督者が端末コンピュータ60を用いてクラウドサーバ40上において指示を入力すると、その指示を表す指示データがクラウドサーバ40から現場監視装置10に送信され、その指示データに従った指示が現場監視装置10によって表示される。その指示は、ドットマトリクス表示式指示器によって映像として表示されたり、レーザー光照射式指示器によって照射されることで指し示されたりする。これにより、監督者が建設現場の作業員に指示をすることができるとともに、作業員はその指示を直感的に理解できる。
【0022】
監督者は監視システム1と携帯電話機を併用してもよい。つまり、監督者は監視システム1を用いて建設現場の作業者に視覚的な指示をしながら、携帯電話機で通話することによって聴覚的な指示をしてもよい。
【0023】
なお、複数の現場監視装置10が複数の建設現場にそれぞれ配置され、監督者が端末コンピュータ60を用いてこれら現場監視装置10を遠隔操作できるようにしてもよい。
【0024】
2. クラウドサーバ
クラウドサーバ40は、CPU、GPU、RAM、ストレージ、インターフェース及び通信機等を備えたコンピュータである。クラウドサーバ40には、UNIX(登録商標)系、Linux(登録商標)系又はWindows(登録商標)系のサーバ用オペレーティングシステムがインストールされている。
【0025】
サーバ用オペレーティングシステムには、クラウドサーバ40によって実行されるプログラムがインストールされている。プログラムは、端末コンピュータ60からリモートアクセスされることによって、現場監視装置10を遠隔操作するとともに現場監視装置10と通信する機能をクラウドサーバ40に実現させるためのものである。そのプログラムは常駐している。
【0026】
3. 端末コンピュータ
端末コンピュータ60は、CPU、GPU、RAM、ストレージ、ディスプレイデバイス、入力装置及び通信機等を備えたノート型パソコン、タブレット型パソコン又はスマートフォンである。端末コンピュータ60には、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)又はAndroid(登録商標)等のオペレーティングシステムがインストールされている。そのオペレーティングシステムには、クラウドサーバ40にリモートアクセスするとともに、クラウドサーバ40上において現場監視装置10を通信して現場監視装置10を遠隔操作する機能を端末コンピュータ60に実現させるためのアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0027】
4. 現場監視装置
図2は、現場監視装置10の側面図である。
現場監視装置10は、移動体11、パン・チルト機構12、前照灯13、レーザー測距計14、レーザー光照射式指示器15、撮像装置16、コンピュータ17、ドットマトリクス表示式指示器18及び無線通信機19を有する。
【0028】
コンピュータ17は移動体11に搭載されている。コンピュータ17はCPU、GPU、RAM、ストレージ及び制御盤等を有する。オペレーティングシステム(以下、OSと表記)が、コンピュータ17のストレージに格納されて、コンピュータ17にインストールされている。OS上でコンピュータ17が実行可能なプログラムがコンピュータ17のストレージに格納されて、そのOSにインストールされている。そのプログラムは、コンピュータ17による移動体11、パン・チルト機構12、前照灯13、レーザー測距計14、レーザー光照射式指示器15、撮像装置16、ドットマトリクス表示式指示器18及び無線通信機19の制御の機能を実現させるものである。そのプログラムは常駐している。
【0029】
移動体11は、例えばクローラ走行体である。移動体11は、床面又は地面上を走行するとともに、転回して方向を変更する。移動体11はコンピュータ17に接続されて、コンピュータ17によって制御される。
【0030】
パン・チルト機構12は、移動体11の前部に設けられている。パン・チルト機構12は、上下左右に揺動する。パン・チルト機構12はコンピュータ17に接続されて、コンピュータ17によって制御される。
【0031】
前照灯13は、左右対となってパン・チルト機構12に連結されている。前照灯13は例えばLEDランプ、ハロゲンランプ又は放電ランプである。前照灯13は、光を移動体11の前方へ投射して、移動体11の前方を照明する。前照灯13による照明の向きがパン・チルト機構12によって上下左右に偏向される。前照灯13はコンピュータ17に接続され、コンピュータ17によって点灯及び消灯される。
【0032】
レーザー測距計14は、パン・チルト機構12に連結されている。レーザー測距計14は位相差式の光波測距計である。レーザー測距計14は、レーザー光線を照射するとともに、その反射光を受光して、周囲の物体にレーザー光線が入射した箇所からレーザー測距計14までの距離を計測する。レーザー測距計14の向きがパン・チルト機構12によって上下左右に偏向される。レーザー測距計14はコンピュータ17に接続されて、コンピュータ17によって制御される。レーザー測距計14は、コンピュータ17によって制御されると、測距動作をして、測定距離を表す測定結果信号をコンピュータ17に出力する。なお、レーザー測距計14が二次元走査型又は三次元走査型の光波測距計であってもよい。
【0033】
レーザー光照射式指示器15はパン・チルト機構12に連結されている。レーザー光照射式指示器15はレーザーポインタともいう。レーザー光照射式指示器15は、可視光帯域のレーザー光線を移動体11の前方の対象物に照射することによって、その対象物を指し示す。レーザー光照射式指示器15による照射の向きがパン・チルト機構12によって上下左右に偏向される。レーザー光照射式指示器15はコンピュータ17に接続され、コンピュータ17によって点灯及び消灯される。
【0034】
撮像装置16は、パン・チルト機構12に連結されている。撮像装置16は、移動体11の前方の像を光電変換により撮像して、その像を映像信号に変換する。撮像装置16がコンピュータ17に接続されており、映像信号が撮像装置16からコンピュータ17に転送される。撮像装置16の向きがパン・チルト機構12によって上下左右に偏向される。ここで、撮像装置16の向きはレーザー光照射式指示器15による照射の向きと同じであり、撮像装置16のレンズの光軸がレーザー光照射式指示器15のレーザー光線に対して平行である。また、撮像装置16の向きがレーザー測距計14の向きと同じであり、撮像装置16のレンズの光軸がレーザー測距計14のレーザー光線に対して平行である。
なお、撮像装置16は全方位カメラであってもよい。全方位カメラは、複数の撮像素子と、これら撮像素子にそれぞれ結像する広角レンズ又は魚眼レンズと、を有し、これら撮像素子の映像から全方位映像を生成する。この場合、撮像装置16がパン・チルト機構12に搭載されずに、移動体11に直接搭載されている。
また、建設現場にいる作業員が持っているカメラ付き携帯端末(例えば、携帯電話機、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、スマートグラス等)が無線又は有線によりコンピュータ17と通信可能であり、その携帯端末のカメラによって撮像された映像が携帯端末からコンピュータ17に転送されるものとしてもよい。
【0035】
ドットマトリクス表示式指示器18は、例えば液晶ディスプレイデバイス又は有機ELディスプレイデバイスであって、移動体11の上面に搭載されている。ドットマトリクス表示式指示器18はコンピュータ17に接続されている。コンピュータ17から出力された映像信号がドットマトリクス表示式指示器18に入力されると、ドットマトリクス表示式指示器18が映像信号に従った画面を表示する。なお、ドットマトリクス表示式指示器18はDMD(Digital Mirror Device)又は液晶表示素子を用いた投影装置であってもよい。
なお、ドットマトリクス表示式指示器18が大画面のディスプレイデバイスであれば、ドットマトリクス表示式指示器18が移動体11に搭載されていなくてもよい。この場合、コンピュータ17は有線又は無線により映像信号をドットマトリクス表示式指示器18に転送する。
また、建設現場にいる作業員が持っているディスプレイ付き携帯端末(例えば、携帯電話機、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、スマートグラス等)が無線又は有線によりコンピュータ17と通信可能であり、コンピュータ17が携帯端末に映像信号を出力し、その映像が携帯端末のディスプレイに表示されるものとしてもよい。
【0036】
ドットマトリクス表示式指示器18の表示面には、透明なタッチパネルが設けられている。そのタッチパネルがコンピュータ17に接続されており、作業員がタッチパネルをタッチして操作すると、その操作に応じた操作信号がタッチパネルからコンピュータ17に転送される。なお、タッチパネルに加えて又は代えて、キーボード、マウス及びボタン等の入力装置がコンピュータ17に接続されていてもよい。
【0037】
無線通信機19は、無線通信回線に接続するモバイルモデムである。無線通信機19がコンピュータ17に接続されており、コンピュータ17が無線通信機19を制御すると、無線通信機19が無線通信回線に接続する。これにより、コンピュータ17がインターネット90を通じてクラウドサーバ40と通信出来る。なお、無線通信機19に加えて又は代えて、有線通信機が採用され、コンピュータ17が有線通信機によりインターネット90に接続してもよい。
【0038】
5. 映像の保存
現場監視装置10のコンピュータ17は、撮像装置16から入力した映像信号を保存可能な動画データにエンコードして、変換後の動画データをストレージに記録する。ここで、そのストレージに記録された動画データが所定容量を超えたら、コンピュータ17が、ストレージに記録された動画データを古いものから削除しながら、新たな動画データの記録を行う。
【0039】
また、コンピュータ17が、撮像装置16から入力した映像信号をストリーミング形式の映像データにエンコードして、映像データをクラウドサーバ40に送信する。このようなコンピュータ17の送信機能が映像送信手段に相当する。
【0040】
クラウドサーバ40は、コンピュータ17から受信した映像データを保存可能な動画データに変換しながら、変換後の動画データをストレージに記録する。クラウドサーバ40は、所定の周期又は所定のタイミングで映像データから静止画像データをキャプチャして、その静止画像データをストレージに記録する。
【0041】
6. 端末コンピュータによる遠隔操作
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、端末コンピュータ60のOS上のGUI(Graphical User Interface)でアプリケーションプログラムを端末コンピュータ60に実行させる。そうすると、端末コンピュータ60がクラウドサーバ40へのログイン処理を実行する。ログインの完了後、クラウドサーバ40が画面データを端末コンピュータ60にリアルタイムに送信し、端末コンピュータ60はクラウドサーバ40から受信した画面データに従った画面を表示する。更に、監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作すると、端末コンピュータ60が操作内容に従った操作データをクラウドサーバ40にリアルタイムに送信し、クラウドサーバ40が操作データに従った処理を行う。このような端末コンピュータ60とクラウドサーバ40のリアルタイムな相互通信によって、端末コンピュータ60がクラウドサーバ40にリモートアクセスする。
【0042】
クラウドサーバ40が端末コンピュータ60に送信する画面データには、クラウドサーバ40がコンピュータ17からの映像データを再生することによって生成した映像が含まれている。そのため、撮像装置16によって撮像された映像が端末コンピュータ60のディスプレイデバイスに表示される。従って、監督者は端末コンピュータ60の表示画面を通じて建設現場の状況を把握することができる。
【0043】
リモートアクセスは、端末コンピュータ60を用いたクラウドサーバ40上における現場監視装置10の遠隔操作を実現する。以下、現場監視装置10の遠隔操作について詳細に説明する。
【0044】
6-1. 移動体の移動
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、前進の旨を入力すると、端末コンピュータ60が前進の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信し、それを受信したクラウドサーバ40が前進の旨の指令データを現場監視装置10のコンピュータ17に送信する。これにより、コンピュータ17が移動体11を前進制御して、移動体11が前進する。
【0045】
同様に、監督者が後進の旨を入力した場合には、移動体11が後進する。監督者が左転回の旨を入力した場合には、移動体11が左転回する。監督者が右転回の旨を入力した場合には、移動体11が右転回する。
【0046】
移動体11の移動によって建設現場の広い範囲が端末コンピュータ60のディスプレイデバイスに表示されるため、監督者が建設現場の広い範囲の状況を把握することができる。
【0047】
なお、コンピュータ17には、建設現場の地図データ(障害物の表面上の多数の点の位置データ)及び自律走行プログラムがインストールされ、移動体11がコンピュータ17の制御により自律走行するものとしてもよい。この場合、監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、建設現場における目的地の位置を入力すると、端末コンピュータ60がその位置データの入力の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信し、それを受信したクラウドサーバ40がその位置データを現場監視装置10のコンピュータ17に送信する。これにより、コンピュータ17が、地図データを参照しながら自律走行プログラムに従って移動体11を制御して、位置データで表された目的地まで移動体11を移動させる。移動体11の移動中は、レーザー測距計14(二次元走査型又は三次元走査型の光波測距計であることが好ましい。)又は衛星測位システムが測定結果をコンピュータ17に出力し、コンピュータ17はその測定結果に基づき移動体11の位置又は周囲の障害物を認識して、移動体11が障害物を避けるように移動体11を制御する。
【0048】
6-2. パン・チルト
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、右振りの旨を入力すると、端末コンピュータ60が右振りの旨の操作データをクラウドサーバ40に送信し、それを受信したクラウドサーバ40が右振りの旨の指令データをコンピュータ17に送信する。これにより、コンピュータ17がパン・チルト機構12を制御して、パン・チルト機構12が右に揺動する。
【0049】
同様に、監督者が左振りの旨を入力した場合には、パン・チルト機構12が左に揺動する。監督者が上振りの旨を入力した場合には、パン・チルト機構12が上に揺動する。監督者が下振りの旨を入力した場合には、パン・チルト機構12が下に揺動する。
【0050】
パン・チルト機構12の振り向きによって建設現場の広い範囲が端末コンピュータ60のディスプレイデバイスに表示されるため、監督者が建設現場の広い範囲の状況を把握することができる。
【0051】
6-3. 前照灯のオン・オフ
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、点灯の旨を入力すると、端末コンピュータ60が点灯の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信し、それを受信したクラウドサーバ40が点灯の旨の指令データをコンピュータ17に送信する。これにより、コンピュータ17が前照灯13を点灯させ、移動体11の前が照明される。よって、建設現場が暗所であっても、監督者は端末コンピュータ60の表示画面を通じて建設現場の状況を把握することができる。
【0052】
同様に、監督者が消灯の旨を入力した場合には、前照灯13が消灯する。
【0053】
6-4. 測距
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、測距の旨を入力すると、端末コンピュータ60が測距の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信し、それを受信したクラウドサーバ40が測距の旨の指令データをコンピュータ17に送信する。これにより、コンピュータ17がレーザー測距計14を制御して、レーザー測距計14から対象物までの距離がレーザー測距計14によって測定される。そうすると、測定距離を表す測定結果信号がレーザー測距計14からコンピュータ17に転送され、コンピュータ17が測定距離データをストレージに記録するとともにクラウドサーバ40に送信する。クラウドサーバ40は測定距離データをストレージに記録する。また、クラウドサーバ40が測定距離データを端末コンピュータ60に送信し、端末コンピュータ60がそれを受信する。端末コンピュータ60は、その測定距離データに従った測定距離をディスプレイデバイスに表示する。これにより、監督者は現場監視装置10から対象物までの距離を建設現場から離れた場所から計測することができる。
【0054】
6-5. 対象物の指示(その1)
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、指示の旨を入力すると、端末コンピュータ60が指示の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信する。それを受信したクラウドサーバ40が指示の旨の指示データをコンピュータ17に送信し、コンピュータ17がその指示データを受信する。このようなコンピュータ17の受信機能が指示受信手段に相当する。
【0055】
そして、コンピュータ17が、指示器制御手段として機能して、指示データに従ってレーザー光照射式指示器15を点灯させる。そうすると、レーザー光照射式指示器15がレーザー光線を対象物に照射するので、その対象物が指し示される。建設現場の作業員は、対象物に入射したレーザー光線の明点を視認することによって、指し示された対象物を認識することができる。
【0056】
レーザー光照射式指示器15の点灯中に、監督者が端末コンピュータ60を用いて移動体11若しくはパン・チルト機構12又はこれらの両方を遠隔操作すると、レーザー光照射式指示器15の向きが代わるため、レーザー光線で指し示す対象物も代わる。
【0057】
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、指示の解除の旨を入力すると、端末コンピュータ60が指示の解除の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信し、それを受信したクラウドサーバ40が指示の解除の旨のデータをコンピュータ17に送信する。これにより、コンピュータ17がレーザー光照射式指示器15を消灯させる。
【0058】
6-6. 対象物の指示(その2)
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作することによって、図3に示すように端末コンピュータ60のディスプレイデバイスの表示画面91中の映像92(その映像92は撮像装置16によって撮像されたリアルタムな映像である。)に任意のマーク93若しくはテキスト94又はこれらの両方を付すことができる。これにより、映像92の中の対象物95がマーク93又は/及びテキスト94によって指し示される。以下、より具体的に説明する。
【0059】
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、クラウドサーバ40から受信した画面データ(その画面データには、撮像装置16によって撮像されたリアルタムな映像が含まれている。)に従ったGUI上でマーク93又は/及びテキスト94及びその位置(その位置とは、映像92の中のマーク93又は/及びテキスト94の位置をいう。)を入力すると、端末コンピュータ60がそのマーク93又は/及びテキスト94及びその位置を表す操作データを送信する。その操作データを受信したクラウドサーバ40は、コンピュータ17から受信した映像データから動画データ又は静止画像データにキャプチャするとともに、操作データに従って動画データ又は静止画像データにマーク又は/及びテキストを合成する。なお、端末コンピュータ60が、画面データから動画データ又は静止画像データをキャプチャし、マーク又は/及びテキストを合成してもよい。
【0060】
マーク又はテキストの入力後、監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、送信の旨を入力すると、端末コンピュータ60が送信の旨の操作データをクラウドサーバ40に送信する。それを受信したクラウドサーバ40は、合成後の動画データ又は静止画像データをストレージに記録する。更にクラウドサーバ40が合成後の動画データ又は静止画像データを指示データとしてコンピュータ17に送信し、コンピュータ17が動画データ又は静止画像データを受信して、ストレージに記録する。このようなコンピュータ17の受信機能が指示受信手段に相当する。
【0061】
そして、コンピュータ17が、指示器制御手段として機能する。つまり、コンピュータ17が、動画データに従った動画又は静止画像データに従った静止画像を再生して、その動画又は静止画像を含む映像信号をドットマトリクス表示式指示器18に出力する。これにより、その動画又は静止画像がドットマトリクス表示式指示器18に表示される。動画又は静止画像が表示されることによって、動画又は静止画像の中の対象物がマーク又は/及びテキストによって指し示される。建設現場の作業員は、ドットマトリクス表示式指示器18を視認することによって、マーク又は/及びテキストによって指し示された対象物を認識することができる。
【0062】
建設現場の作業員がタッチパネルを操作することで、端末コンピュータ60が、以前にストレージに記録された動画データ又は静止画像データを読み込んで、それを再生してもよい。これにより、過去の動画又は静止画像がドットマトリクス表示式指示器18に表示される。そのため、建設現場の作業員は、ドットマトリクス表示式指示器18を視認することによって、マーク又は/及びテキストによって過去に指し示された対象物を認識することができる。
【0063】
なお、以上の説明では、クラウドサーバ40が動画データ又は静止画像データをキャプチャして、マーク又は/及びテキストを合成する。この処理が端末コンピュータ60によって行われてもよい。つまり、端末コンピュータ60が、クラウドサーバ40から受信する画面データ中の映像(その映像は、撮像装置16によって撮像されたリアルタムな映像である)から動画データ又は静止画像データをキャプチャし、マーク又は/及びテキストを合成してもよい。この場合、監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、送信の旨を入力すると、端末コンピュータ60が合成後の動画データ又は静止画データをクラウドサーバ40に送信する。それを受信したクラウドサーバ40は、合成後の動画データ又は静止画像データをストレージに記録する。更にクラウドサーバ40は、合成後の動画データ又は静止画像データを指示データとしてコンピュータ17に送信する。そうすると、コンピュータ17が、動画データ又は静止画像データを受信して、動画データに従った動画又は静止画像データに従った静止画像を再生して、その動画又は静止画像を含む映像信号をドットマトリクス表示式指示器18に出力する。
【0064】
6-7. 図面等の表示
監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作すると、端末コンピュータ60が図面等の画像データをストレージから読み込んで、その画像データによる画像をディスプレイデバイスに表示する。また、端末コンピュータ60がその画像データをクラウドサーバ40に送信すると、クラウドサーバ40がその画像データをコンピュータ17に送信する。そうすると、コンピュータ17が、画像データに従った画像をドットマトリクス表示式指示器18に表示させる。建設現場の作業員は、図面等の画像を視認することによって、ドットマトリクス表示式指示器18を視認することによって、マーク又は/及びテキストによって指し示された対象物を認識することができる。
【0065】
7. データの活用
クラウドサーバ40が、前述のようにクラウドサーバ40のストレージに記録された動画データ、静止画像データ及び測定距離データをディープラーニング型の機械学習をして、畳み込み型又は再帰型のニューラルネットワークを構築してもよい。ニューラルネットワークは対象物の危険性の判定に利用される。つまり、クラウドサーバ40が、上述のような新たに動画データ、静止画像データ又は測定距離データをストレージに記録する際に、新たに動画データ、静止画像データ又は測定距離データをニューラルネットワークに入力して、そのニューラルネットワークの出力として危険度を取得する。この危険度は対象物の危険性を表す。危険度の取得の際、クラウドサーバ40は、動画データ、静止画像データ又は測定距離データから危険度を求めた結果を用いて、ニューラルネットワークの中間層を深層化する。これにより、危険性の評価処理とディープラーニングが並列して行われる。
【0066】
8. 効果
監督者が端末コンピュータ60により現場監視装置10を遠隔操作して、レーザー光照射式指示器15を点灯させると、レーザー光照射式指示器15のレーザー光線により対象物を指し示すことができる。現場の作業員は対象物に入射したレーザー光線の明点を視認することによって、指し示された対象物を認識することができる。
【0067】
監督者が端末コンピュータ60を操作して、建設現場が写った動画又は静止画像にマーク又はテキストを合成することができる。これにより、動画又は静止画の中の対象物がマーク又はテキストによって指し示される。合成後の動画又は静止画が現場監視装置10のドットマトリクス表示式指示器18によって表示されると、現場の作業員はマーク又はテキストによって指し示された対象物を認識できる。よって、監督者が作業員に対象物を指し示すことができる。
【0068】
監督者が端末コンピュータ60に表示された建設現場の映像を観察することによって、建設現場の作業の確認、進捗管理及び施工管理等を行える。監督者が施工管理とそれ以外の業務を並行して行える。また、監督者が建設現場に移動する回数の削減が図れる。
【0069】
クラウドサーバ40が動画データ、静止画像データ及び測定距離データを収集することで、それらのデータが機械学習の教示データとして活用できる。また、クラウドサーバ40がディープラーニング型の機械学習をすることによって、習熟度の低い者でも危険性を正確に評価することができる。
【0070】
9. 変形例
以下の(1)~(4)の変形例の少なくとも1つのように、上記実施形態から変更してもよい。以下の(1)~(4)が次の変形例の2以上を組み合わせて適用してもよい。
【0071】
(1) 端末コンピュータ60及び現場監視装置10にマイク及びスピーカが設けられ、作業員と監督者が互いに通話して、監督者が音声で作業員に指図できるようにしてもよい。つまり、端末コンピュータ60は、マイクから入力される音声信号を音声データにエンコードして、その音声データをコンピュータ17に送信する。そうすると、コンピュータ17が音声データを音声信号にデコードして、その音声信号をスピーカに出力する。これにより、作業員は監督者の声を聞くことができる。また、コンピュータ17は、マイクから入力される音声信号を音声データにエンコードして、その音声データを端末コンピュータ60に送信する。そうすると、端末コンピュータ60が音声データを音声信号にデコードして、その音声信号をスピーカに出力する。これにより、監督者は作業員の声を聞くことができる。
【0072】
(2) 現監視装置10が固定式であってもよい。この場合、パン・チルト機構12、コンピュータ17、ドットマトリクス表示式指示器18及び無線通信機19は固定物(例えば、ポール)に搭載され、前照灯13、レーザー測距計14、レーザー光照射式指示器15及び撮像装置16は前述のようにパン・チルト機構12に搭載されている。
【0073】
(3) 現場の作業員が現場監視装置10の入力装置を操作することによって、マーク又は/及びテキストを入力すると、コンピュータ17がそのマーク又は/及びテキストをストリーミング形式の映像データ(撮像装置16から入力した映像信号からエンコードされたもの)に合成してもよい。そのため、撮像装置16によって撮像された映像がマーク又は/及びテキストとともに端末コンピュータ60のディスプレイデバイスに表示される。従って、監督者は端末コンピュータ60の表示画面を通じて、作業員の入力内容を視覚的に理解できる。
【0074】
(4) 移動体11に指示用の機器(例えば、発光ダイオード、発光ダイオード式インジゲータ、ブザーユニット)が搭載され、所定のタイミング(例えば、レーザー光照射式15の場合と同様に、監督者が端末コンピュータ60の入力装置を操作して、指示の旨を入力するタイミング)で、コンピュータ17が指示データに従って指示用の機器を作動させてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…監視システム
10…現場監視装置
11…移動体
15…レーザー光照射式指示器
16…撮像装置
17…コンピュータ
18…ドットマトリクス表示式指示器
40…クラウドサーバ
60…端末コンピュータ
図1
図2
図3