(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】染毛剤用包材
(51)【国際特許分類】
B32B 15/085 20060101AFI20240416BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20240416BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240416BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B32B15/085 A
B32B15/20
B32B27/32 E
B32B27/32 101
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2020019530
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 幸子
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-137886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/085
B32B 15/20
B32B 27/32
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤用包材であって、
少なくとも、アルミ箔を含むバリア層、接着層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されてサンドイッチラミネートされた積層体を含み、
前記接着層は、酸変性ポリエチレン単層であるか、または、バリア層側に酸変性ポリエチレン層が配置され、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配置された溶融共押出し層であり、
前記酸変性ポリエチレン層が無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンであり、
前記熱可塑性樹脂層が、密度0.930~0.960g/cm
3の高密度ポリエチレン層を少なくとも1層含
み、
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率が0.1~1.0wt%以下であり、密度が0.86g/cm
3
~0.92g/cm
3
であり、メルトフローレートが8.0~12.0であることを特徴とする染毛剤用包材。
【請求項2】
染毛剤用包材であって、
少なくとも、アルミ箔を含むバリア層、接着層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されてサンドイッチラミネートされた積層体を含み、
前記接着層は、酸変性ポリエチレン単層であるか、または、バリア層側に酸変性ポリエチレン層が配置され、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配置された溶融共押出し層であり、
前記酸変性ポリエチレン層が無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンであり、
前記熱可塑性樹脂層が、密度0.930~0.960g/cm
3の高密度ポリエチレン層を少なくとも1層含
み、
前記低密度ポリエチレンが、密度0.910~0.930g/cm
3
であり、メルトフローレートが6.0~8.5であることを特徴とする染毛剤用包材。
【請求項3】
染毛剤用包材であって、
少なくとも、アルミ箔を含むバリア層、接着層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されてサンドイッチラミネートされた積層体を含み、
前記接着層は、酸変性ポリエチレン単層であるか、または、バリア層側に酸変性ポリエチレン層が配置され、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配置された溶融共押出し層であり、
前記酸変性ポリエチレン層が無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンであり、
前記熱可塑性樹脂層が、密度0.930~0.960g/cm
3の高密度ポリエチレン層を少なくとも1層含
み、
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層が、DSC測定において90~100℃の付近に第1融点ピークが見られ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークが出る成分を含むことを特徴とする染毛剤用包材。
【請求項4】
前記低密度ポリエチレンが、密度0.910~0.930g/cm
3
であり、メルトフローレートが6.0~8.5であることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤用包材。
【請求項5】
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層が、DSC測定において90~100℃の付近に第1融点ピークが見られ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークが出る成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の染毛剤用包材。
【請求項6】
前記高密度ポリエチレン層の厚さが20μm以上であることを特徴とする請求項1
から5のいずれかに記載の染毛剤用包材。
【請求項7】
前記溶融共押出し層の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン:低密度ポリエチレンの層厚比が、100:0~90:10であることを特徴とする請求項1
から6のいずれかに記載の染毛剤用包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、へアカラー1剤の様な包材へのアタックが強い内容物に対して、アルミ層の腐食やデラミネーションが起きず、優れた耐内容物性を発現する包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、包装袋はその利便性や意匠性のほか、内容物や使用環境に対応して多くの種類のものが実用化されている。特に近年ではプラスチックフィルムを基材フィルムとして、シーラント層を有して、必要な機能を付加する事ができるプラスチックフィルムなどを貼りあわせた積層体を製袋して形成した、包装袋がさまざまな分野で実用に供されている。
【0003】
一般に包装袋などの包装容器は、内容物を様々な外部環境や外力から保護することがその役割であるが、使用する分野によっては、内容物の外部への漏洩を防止することが重要となる場合や、あるいは臭気等の強い内容物などの場合には、臭気の外部への染み出し、漏洩を防止することが重要となる場合もある。
【0004】
このため、ラミネート加工に使用される接着剤の改良が種々行われており、アルコール耐性のあるものなどが提案されている(例えば特許文献1)。また接着剤として、幅広い種類の透明バリアフィルムやアルミ箔との接着性に優れ、内容物耐性に優れたものとして、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを使った積層体も提案されている。
【0005】
内容物のなかでも髪の毛を染めるためのへアカラー剤は一般に匂いが強く、内容物耐性のほかガスバリア性も要求される。特にヘアカラー1剤と呼ばれる、染料を含む薬液は、アンモニアなど強塩基性物質を含有するために、匂いがきついため、内容物耐性のほか、ガスバリア性が要求される場合が多い。
【0006】
またヘアカラー1剤は強塩基性の内容物であるために、ガスバリア層にアルミ箔などの金属箔を使用する場合には、腐食や、積層体の接着強度あるいは層間の剥離強度の低下を防止しなくてはならず、プラスチックフィルムの劣化防止など、包装袋を構成する積層体の構成要素の耐久性向上も必要である。特に包装袋の積層体に含まれるガスバリア層に、クラックやピンホールが発生した場合には、腐食による変色の恐れがあって、その場合には包装袋の外側から可視となって不都合である。
【0007】
この様な課題に対応するための方法として、(1)アルミ層の内容物側に腐食防止コーティングを行う(2)内容物をアルミ層に触れさせないためにバリアシーラントを用いる、等が考えられるが、包材コストのアップに繋がってしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、染毛剤の様に包材へのアタックが強い内容物であっても、包材を構成する積層体の接着強度、あるいは層間の剥離強度の低下がなく、バリア層のアルミ箔などの金属層が腐食してしまうことがない包材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、染毛剤用包材であって、
少なくとも、アルミ箔を含むバリア層、接着層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されてサンドイッチラミネートされた積層体を含み、
前記接着層は、酸変性ポリエチレン単層であるか、または、バリア層側に酸変性ポリエチレン層が配置され、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配置された溶融共押出し層であり、
前記酸変性ポリエチレン層が無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層であり、
前記熱可塑性樹脂層が、密度0.930~0.960g/cm3の高密度ポリエチレン層を少なくとも1層含むことを特徴とする染毛剤用包材である。
【0011】
上記染毛剤用包材によれば、内容物に影響を受けるアルミ層と熱可塑性樹脂層の間の接着層として、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを使用し、アルミ層側に無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層が配置される様にすることで内容物耐性が得られ、また、熱可塑性樹脂層に少なくとも1層の高密度ポリエチレン層を含むことで、染毛剤のヘアカラー1剤の影響による包材の層間剥離(デラミネーション)やアルミ層の腐食を防ぐことができる高耐性の包材を得ることができる。
【0012】
上記染毛剤用包材において、前記高密度ポリエチレン層の厚さが20μm以上であって良い。包材やアルミ層へのヘアカラー1剤のアタックに対する耐性をより確実にすることができる。
【0013】
上記染毛剤用包材において、前記溶融共押出し層の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン:低密度ポリエチレンの層厚比が、100:0~90:10であって良い。溶融共押出し時の接着性に優れる。
【0014】
上記染毛剤用包材において、前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層の無水マレイン酸グラフト率が0.1~1.0wt%以下であり、密度が0.86g/cm3~0.92g/cm3であり、メルトフローレート(以下、MFRと記す)が8.0~12.0であって良い。接着層の成膜時により平滑性の高い成膜が行える。
【0015】
上記染毛剤用包材において、前記低密度ポリエチレン層が、密度0.910~0.930g/cm3であり、MFRが6.0~8.5であって良い。溶融共押出し時のネックインを抑えられ、加工性に優れる。
【0016】
上記染毛剤用包材において、前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層が、DSC測定において90~100℃の付近に第1融点ピークが見られ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークが出る成分を含んでいて良い。低温側から接着性が発現するため、熱処理時のしわの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アルミ層より内側に通常の接着剤を用いておらず、また、熱可塑性樹脂層に高密度ポリエチレン層を含む多層シーラントを用いることで、染毛剤のヘアカラー1剤の様な強アルカリを含む内容物からのアタックに対する耐性が強く、デラミネーション(剥離)やアルミの腐食を防ぐことができる。またアルミ腐食防止コーティングや高バリアシーラントが必要なく、低コストでヘアカラー剤成分によるアルミ腐食を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の染毛剤用包材を構成する積層体の第一例の断面模式図である。
【
図2】本発明の染毛剤用包材を構成する積層体の第二例の断面模式図である。
【
図3】本発明の染毛剤用包材を構成する積層体の第三例の断面模式図である。
【
図4】本発明の染毛剤用包材の一実施形態の断面模式図である。
【
図5】無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンのDSC測定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。なお、以下において同等の部材等には同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0020】
図1は、本発明の染毛剤用包材を構成する積層体の第一例の断面模式図である。積層体1は、バリア層となるアルミ箔等を含むアルミ層、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層からなる接着層、高密度ポリエチレン層からなる熱可塑性樹脂層が、この順でサンドイッチラミネーションされて積層されている。本発明の染毛剤用包材は、上記の各層以外にも公知のフィルム等を適宜選択して形成した層を積層して構成することができ、例えば基材のフィルム、印刷層、接着剤などが例示できる。
【0021】
熱可塑性樹脂層は、密度0.930~0.960g/cm3の高密度ポリエチレン層を少なくとも1層配した構成とすることで、ヘアカラー1剤の様に染料のほかアンモニアなどが含まれて包材へのアタックが強い内容物であっても、包材の層間剥離(デラミネーション)やアルミ層の腐食が起こるおそれがない。このとき高密度ポリエチレンの層厚を20μm以上とすると、効果がより確実なものとなり好ましい。
【0022】
図2は、本発明の染毛剤用包材を構成する積層体の第二例の断面模式図である。積層体2は、バリア層となるアルミ箔等を含むアルミ層、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層からなる接着層、高密度ポリエチレン層および直鎖状低密度ポリエチレン層からなる熱可塑性樹脂層が、この順でサンドイッチラミネーションされて積層されている。
【0023】
熱可塑性樹脂層は、前述の様に高密度ポリエチレン層を少なくとも1層含むが、
図2に示す積層体2の様に他の層を積層した多層構成として良い。
図2に示す積層体2は、高密度ポリエチレン層以外の樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン層を積層した例である。
【0024】
熱可塑性樹脂層を構成する高密度ポリエチレン以外の樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂(EP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、及びそれらの金属架橋物等が挙げられる。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレンがシール性に優れ好ましい。これら熱可塑性樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
また
図3は、本発明の染毛剤用包材を構成する積層体の第三例の断面模式図である。この積層体3では、接着層は無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層と低密度ポリエチレン層が、アルミ層側に無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層が、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配されて溶融共押出しされてなり、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層がサンドイッチラミネーションにより積層されている。
【0026】
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは酸変性ポリエチレンの一つとして本発明に好ましく用いられる。無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、ポリエチレンを無水マレイン酸によりグラフト変性したポリエチレンである。そして本発明に使用される無水
マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、
図5に示す様に、示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったとき、90℃~100℃に第1融点ピークを示し、かつ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークを示す成分を含むものとすると好ましい。より低温から接着強度が発現し、夏処理時のしわの発生を抑制することができる。
【0027】
また、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率は、0.1wt%以上1.0wt%以下であると好ましい。0.1wt%を下回るとラミネート強度の低下につながりやすく、1.0wt%を超えると水分の吸着が多くなり、発泡につながり、コスト高や黄変に原因ともなる。また、押し出し機やダイス金属に吸着しやすくなり、ヤケの原因となるなど加工性が低下する恐れがある。
【0028】
また接着層における無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンの溶融共押出しの層厚比は、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン:低密度ポリエチレンが100:0~90:10であるものとすると好ましい。無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン6の比率が90:10よりも少なくなると、接着性が不安定となる恐れがある。なお比が100:0とは、接着層が無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン単層で形成されていることを意味する。
【0029】
また接着層の低密度ポリエチレン層は、密度0.910~0.930g/cm3であり、MFRが6.0~8.5のものとすると好ましい。これにより、溶融共押出し時のネックインを低減することができ、加工性の高いものとすることができる。
【0030】
図4は、本発明の染毛剤用包材の一実施形態の断面模式図である。本実施形態の染毛剤用包材10は、上述の
図2に例示した積層体2のアルミ層上に、接着剤、印刷層、基材が順次積層され、サンドイッチラミネーションにより積層され、接着されている。
【0031】
基材を形成する樹脂としては、この種の包装材料に通常用いられるポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を用いれば良く、例えばポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン-2、6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0032】
印刷層は必須ではないが、積層体やパウチに情報を表示するために必要な場合などには、特に限定するものではないが、公知のグラビアインキ等により印刷して設けることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明によればアルミ箔との接着強度や耐内容物性に優れた無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを積層し、少なくとも1層の高密度ポリエチレンを含むシーラントを積層させることにより、ヘアカラー1剤から包材へのアタック(アルミ層腐食、デラミネーション)を防ぐことができる染毛剤用包材が得られる。高密度ポリエチレン層を含むシーラントにより、内容物のヘアカラー剤成分によるアルミ層腐食を低減できる。また、EVOHのような高バリアシーラントを使う必要がないため、バリアシーラントを使用した包材に比べてコストを抑えることが可能となる。
【実施例】
【0034】
<実施例1>
(積層フィルム)
・基材
:ポリエステルフィルム(厚さ12μm、FE2001、フタムラ化学(株)製)
・接着剤:主剤(A525、三井化学(株)製)、硬化剤(A52、三井化学(株)製)
・アルミ層:アルミ基材(厚さ9μm、1N30、東洋アルミ(株)製)
・接着層
:無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(M605、三菱ケミカル(株)製、融点
ピーク98℃、密度0.88g/cm3、MFR10g/cm3)
:低密度ポリエチレン(LC600A、日本ポリエチレン(株)製、融点106℃、密
度0.918g/cm3、MFR7.0g/10min)
・熱可塑性樹脂層
:高密度ポリエチレン層を含む直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(MZ434、タマ
ポリ(株)製、膜厚80μm)
・接着層の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを、それぞれ
厚さ10μmで溶融共押出しし、基材、接着剤、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層を
サンドイッチラミネートした。
・押出し加工後、上記の積層させたフィルムを140℃で15秒ヒーターロールに抱かせるように熱を加えて積層フィルムを作製した。
【0035】
(パウチ)
作成した上記の積層フィルムを、端部をシールして3方パウチの形状として、下記の各内容物を充填して保存試験を行った。
・内容物:ヘアカラー1剤
・保存条件:温度50℃、湿度は制御せず。
・保存期間:14日、30日、60日、90日の4条件。
【0036】
(評価)
作成時および保存後のパウチから、15mm幅で試験サンプルを切り出し、アルミ層と接着層の間の接着強度(JIS K1707準拠)を引張速度300m/minで測定した。
・測定器:RTF-1250((株)エー・アンド・ディー製)
また、90日保存後のアルミ表面を顕微鏡観察し、アルミの腐食の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0037】
<比較例1>
熱可塑性樹脂層を直鎖状低密度ポリエチレン(FCD-NP、三井化学東セロ(株)製、
膜厚50μm)の単層とした以外は、実施例1と同様の構成とし、同様に評価を行った
。
【0038】
<比較例2>
接着層を通常のドライラミネート接着剤とし、熱可塑性樹脂層を比較例1で用いたのと同じ直鎖状低密度ポリエチレンの単層とした以外は、実施例1と同様の構成とし、同様に評価を行った。
【0039】
【0040】
表1から明らかなように、本発明の積層体では、アタックの強い内容物の保存後も接着強度の低下が見られず、良好な結果であった。一方比較例では接着強度が大きく低下してしまった。
【符号の説明】
【0041】
1、2、3・・・積層体
10・・・染毛剤用包材