(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240416BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240416BHJP
G03G 15/06 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 390
G03G15/06 101
(21)【出願番号】P 2020027939
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
(72)【発明者】
【氏名】森本 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】田中 一徳
(72)【発明者】
【氏名】玉置 賢一
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-186748(JP,A)
【文献】特開2010-139707(JP,A)
【文献】特開2006-259067(JP,A)
【文献】特開2009-048069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0240788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体に対向配置され、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成され
た静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を有し、同一色の前記トナー像を重ね合わせて画像を形成する複数の画像形成部と、
前記現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する現像電圧電源と、
前記現像装置により形成された前記トナー像の濃度を検知する濃度検知装置と、
前記現像剤担持体に前記現像電圧を印加したときに流れる現像電流の直流成分を検出する電流検出部と、
前記画像形成部および前記現像電圧電源を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
複数の記画像形成部は、同一色で同一種類の前記トナーを含む前記現像剤を使用し、それぞれ画像濃度を均等に分割するように略同一の現像条件が設定されており、
前記制御部は、
非画像形成時にそれぞれの前記現像装置によって前記像担持体上に基準画像を形成したとき前記電流検出部に検出された前記現像電流の直流成分と、前記濃度検知装置により検知された前記基準画像の濃度と、に基づいて前記現像装置毎にトナー帯電量を算出し、算出された前記トナー帯電量に基づいてそれぞれの前記現像装置の異常の有無を検出し、
いずれかの前記現像装置に異常が検出された場合は当該現像装置を含む前記画像形成部を使用不可とし、使用可能な前記画像形成部に前記画像濃度を均等に分割するように前記現像条件を再設定し、
前記制御部は、前記現像装置内の前記トナー帯電
量が全ての前記現像装置内の前記トナー帯電量の平均値から一定値以上乖離しているとき、当該現像装置を含む前記画像形成部を使用不可とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体に対向配置され、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成され
た静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を有し、同一色の前記トナー像を重ね合わせて画像を形成する複数の画像形成部と、
前記現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する現像電圧電源と、
前記現像装置により形成された前記トナー像の濃度を検知する濃度検知装置と、
前記現像剤担持体に前記現像電圧を印加したときに流れる現像電流の直流成分を検出する電流検出部と、
前記画像形成部および前記現像電圧電源を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
複数の記画像形成部は、同一色で同一種類の前記トナーを含む前記現像剤を使用し、それぞれ画像濃度を均等に分割するように略同一の現像条件が設定されており、
前記制御部は、
非画像形成時にそれぞれの前記現像装置によって前記像担持体上に基準画像を形成したとき前記電流検出部に検出された前記現像電流の直流成分と、前記濃度検知装置により検知された前記基準画像の濃度と、に基づいて前記現像装置毎にトナー帯電量を算出し、算出された前記トナー帯電量に基づいてそれぞれの前記現像装置の異常の有無を検出し、
いずれかの前記現像装置に異常が検出された場合は当該現像装置を含む前記画像形成部を使用不可とし、使用可能な前記画像形成部に前記画像濃度を均等に分割するように前記現像条件を再設定し、
前記制御部は、異常が検出された前記現像装置の前記トナー帯電量を回復させる回復動作を実行し、
前記制御部は、異常が検出された前記現像装置の前記トナー帯電量が前記回復動作によって回復された場合は、当該現像装置を含む使用可能な全ての前記画像形成部に前記画像濃度を均等に分割するように前記現像条件を再設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体に対向配置され、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成され
た静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を有し、同一色の前記トナー像を重ね合わせて画像を形成する複数の画像形成部と、
前記現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する現像電圧電源と、
前記現像装置により形成された前記トナー像の濃度を検知する濃度検知装置と、
前記現像剤担持体に前記現像電圧を印加したときに流れる現像電流の直流成分を検出する電流検出部と、
前記画像形成部および前記現像電圧電源を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
複数の記画像形成部は、同一色で同一種類の前記トナーを含む前記現像剤を使用し、それぞれ画像濃度を均等に分割するように略同一の現像条件が設定されており、
前記制御部は、
非画像形成時にそれぞれの前記現像装置によって前記像担持体上に基準画像を形成したとき前記電流検出部に検出された前記現像電流の直流成分と、前記濃度検知装置により検知された前記基準画像の濃度と、に基づいて前記現像装置毎にトナー帯電量を算出し、算出された前記トナー帯電量に基づいてそれぞれの前記現像装置の異常の有無を検出し、
いずれかの前記現像装置に異常が検出された場合は当該現像装置を含む前記画像形成部を使用不可とし、使用可能な前記画像形成部に前記画像濃度を均等に分割するように前記現像条件を再設定し、
3つ以上の前記画像形成部を備え、
前記制御部は、使用可能な前記画像形成部が1つ以下である場合は画像形成動作を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記現像装置内の前記トナー帯電
量が下限値Q1以下であるか、若しくは上限値Q2以上であるとき、当該現像装置を含む前記画像形成部を使用不可とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記現像装置内の前記トナー帯電
量が全ての前記現像装置内の前記トナー帯電量の平均値から一定値以上乖離しているとき、当該現像装置を含む前記画像形成部を使用不可とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、異常が検出された前記現像装置の前記トナー帯電量を回復させる回復動作を実行することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回復動作として前記現像装置内の前記トナーを前記像担持体に吐出する強制吐出動作を実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、異常が検出された前記現像装置の前記トナー帯電量が前記回復動作によって回復された場合は、当該現像装置を含む使用可能な全ての前記画像形成部に前記画像濃度を均等に分割するように前記現像条件を再設定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成部の状態に関する通知を行う通知装置を備え、
前記制御部は、前記回復動作の実行後に前記現像装置の前記トナー帯電量が回復しない場合は、前記通知装置により当該現像装置の交換を促す通知を行うことを特徴とする請求項2および請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を備えた複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、同一色で同一種類のトナーを複数の現像装置に充填して画像形成を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いた従来の画像形成装置においては、帯電装置により均一に帯電された感光体ドラム等の像担持体上に露光装置からレーザー照射を行うことにより静電潜像を形成し、現像装置により静電潜像にトナーを付着させてトナー像とした後、トナー像を用紙(記録媒体)上に転写し、定着処理を行う画像形成プロセスが実行される。
【0003】
このような画像形成装置では、通常、モノクロ画像の形成を行う画像形成装置では黒色のトナーを現像する現像装置が、カラー画像の形成を行う画像形成装置では、複数色(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーを現像する現像装置が、それぞれ1個ずつ装着される。
【0004】
一方、特許文献1には、同色のトナーを収容する複数個の現像ユニットが着脱可能に装着され、各現像ユニットの属性情報と、印刷データに基づいて把握される、画像形成の対象である画像の種類とに基づいて、当該画像の形成に使用する現像ユニットを選択する画像形成装置が開示されている。特許文献1の画像形成装置では、形成する画像の種類に応じた適切な画質での画像形成を行うことを目的としている。
【0005】
ところで、従来の画像形成装置では、画像中に白点が発生したり、筋状やピッチ状の画像濃度ムラが発生したりすることがあった。これらの不具合は、部品の公差や部分的な品質低下等によって発生するものもあり完全に解消することはできず、高品質の画像を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の不具合の解消方法として、現像装置に2本の現像ローラーを搭載したり、同一色の現像装置を複数搭載したりする試みがなされている。即ち、或る1つの現像装置や現像ローラーが白点の発生や画像濃ムラの発生原因を持っていても、同一色の他の現像装置や、現像装置内の他の現像ローラーを使用することで、白点や画像濃度ムラを目立たなくすることが可能となる。
【0008】
しかし、同一色のトナー像を複数回重ね合わせて所望の画像を形成する際に、異常のある現像装置を含む画像形成部によって形成された画像が大きく毀損している場合、その毀損部分を解消できないことがある。特に、かぶりやキャリア現像が発生している現像装置があれば、その不具合を解消することは困難である。その場合、異常のある画像形成部の使用を中止し、他の画像形成部を使用して画像を形成することが好ましい。但し、同一色のトナーを用いて現像を行うため、どの画像形成部で異常が発生しているかを容易に確認することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、同一色で同一種類のトナーが充填された現像装置を含む複数の画像形成部を用いて画像形成を行う場合に、異常の発生している画像形成部を容易に且つ精度よく検出可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、複数の画像形成部と、現像電圧電源と、濃度検知装置と、電流検出部と、制御部と、を備えた画像形成装置である。画像形成部は、表面に感光層が形成された像担持体と、像担持体に対向配置され、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、を有し、同一色のトナー像を重ね合わせて画像を形成する。複数の画像形成部は、同一色で同一種類のトナーを含む現像剤を使用し、それぞれ画像濃度を均等に分割するように略同一の現像条件が設定されている。現像電圧電源は、現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する。濃度検知装置は、現像装置により形成されたトナー像の濃度を検知する。電流検出部は、現像剤担持体に現像電圧を印加したときに流れる現像電流の直流成分を検出する。制御部は、画像形成部および現像電圧電源を制御する。制御部は、非画像形成時にそれぞれの現像装置によって像担持体上に基準画像を形成したとき電流検出部に検出された現像電流の直流成分と、濃度検知装置により検知された基準画像の濃度と、に基づいて現像装置毎にトナー帯電量を算出し、算出されたトナー帯電量に基づいてそれぞれの現像装置の異常の有無を検出する。制御部は、いずれかの現像装置に異常が検出された場合は当該現像装置を含む画像形成部を使用不可とし、使用可能な画像形成部に画像濃度を均等に分割するように現像条件を再設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、同一色で同一種類のトナーが充填された現像装置を含む複数の画像形成部それぞれに画像濃度を均等に分割するように略同一の現像条件が設定された画像形成装置において、基準画像を形成したときに流れる現像電流と、基準画像の画像濃度から算出されるトナー現像量と、の関係に基づいて算出される現像装置内のトナー帯電量を用いて、現像装置の異常を容易に且つ精度よく検出することができる。そして、検出結果に基づいて現像装置を含む画像形成部の使用の可否を判定し、使用可能な画像形成部それぞれに画像濃度を均等に分割するように現像条件を再設定することにより、現像ゴースト、画像かぶり、転写不良等の画像不具合を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構成を示す側面断面図
【
図2】画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図
【
図3】画像形成部Paの構成および制御経路を示す図
【
図4】本実施形態の画像形成装置100における現像装置3a~3dの異常検出制御例を示すフローチャート
【
図5】印字率の異なる基準画像を形成したときの印字率と現像電流との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではモノクロプリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、同一色(ブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりブラックの画像を順次形成する。
【0014】
これらの画像形成部Pa~Pdには、同一色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらにベルト駆動モーター(図示せず)により
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト(中間転写体)8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを
図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0015】
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0016】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0017】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれブラックのトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0018】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの画像は、予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0019】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11と、これに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のトナー像が転写紙P上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0020】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のモノクロ画像が形成される。モノクロ画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0021】
さらに、画像形成部1dの下流側であって中間転写ベルト8と対向する位置には画像濃度センサー40が配置されている。画像濃度センサー40としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各基準画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、およびベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0022】
トナーおよびベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光および乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して主制御部80(
図3参照)に出力信号を出力する。そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からトナー量を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像電圧の特性値などを調整することにより濃度補正(キャリブレーション)が行われる。
【0023】
図2は、画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では
図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0024】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤という)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(
図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。本実施形態では、平均粒子径6.8μmの正帯電性トナーと、平均粒子径35μmのフェライト・樹脂コートキャリアとからなる二成分現像剤を用い、トナー濃度(磁性キャリアに対するトナーの重量比)を6%としている。
【0025】
そして、攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(
図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0026】
現像容器20は
図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの右斜め上方には現像ローラー31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、
図2において反時計回り方向に回転する。本実施形態では、感光体ドラム1aに対する現像ローラー31の周速比を1.8(対向位置でトレール回転)、現像ローラー31と感光体ドラム1a~1d間の距離を0.30mmとしている。
【0027】
現像ローラー31は、
図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブ、更には、ローレット加工や凹形状の形成に加えてブラスト加工を施したものや、メッキ処理を施したものを用いることもできる。本実施形態では、ローレット加工およびブラスト加工により周方向に80列の凹部が形成された直径20mmの現像ローラー31を用い、現像ローラー31による現像剤搬送量を250~300g/m
2としている。
【0028】
また、現像容器20には規制ブレード27が現像ローラー31の長手方向(
図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード27の先端部と現像ローラー31表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。本実施形態では、規制ブレード27としてステンレス(SUS430)製の磁性ブレードを用いている。
【0029】
現像ローラー31には、現像電圧電源43(
図3参照)により直流電圧Vdcおよび交流電圧Vacからなる現像電圧が印加される。現像電圧としては、例えば直流電圧Vdcに、周波数5kHz、Vpp=1100V、Duty=50%の矩形波の交流電圧Vacを重畳した電圧が用いられる。
【0030】
図3は、現像装置3aを含む画像形成部Paの構成および制御経路を示す図である。以下の説明では画像形成部Paの構成および制御経路について説明するが、画像形成部Pb~Pdの構成および制御経路についても同様であるため説明を省略する。
【0031】
現像ローラー31は、直流電圧と交流電圧が重畳された振動電圧を生成する現像電圧電源43に接続されている。現像電圧電源43は、交流定電圧電源43aと、直流定電圧電源43bとを備える。交流定電圧電源43aは、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源43bは、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。
【0032】
現像電圧電源43は、画像形成時には交流定電圧電源43aおよび直流定電圧電源43bから直流電圧に交流電圧を重畳させた現像電圧を出力する。電流検出部44は、現像ローラー31と感光体ドラム1aの間に流れる直流電流値を検出する。
【0033】
帯電電圧電源45は、帯電装置2aの帯電ローラー34に直流電圧に交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する。帯電電圧電源45の構成は現像電圧電源43と同様である。転写電圧電源47は、一次転写ローラー6a~6d、二次転写ローラー9(
図1参照)に、それぞれ一次転写電圧、二次転写電圧を印加する。
【0034】
クリーニング装置7aは、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード32と、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム1a表面を摺擦して研磨する摺擦ローラー33と、クリーニングブレード32および摺擦ローラー33によって感光体ドラム1aから除去された残留トナーをクリーニング装置7aの外部に排出する搬送スパイラル35と、を含む。
【0035】
次に、画像形成装置100の制御システムについて
図3を参照して説明する。画像形成装置100には、CPU等で構成される主制御部80が設けられている。主制御部80は、ROMやRAM等からなる記憶部70に接続される。主制御部80は、記憶部70に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて画像形成装置100の各部(帯電装置2a~2d、現像装置3a~3d、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、クリーニング装置7a~7d、二次転写ローラー9、定着部13、現像電圧電源43、電流検出部44、帯電電圧電源45、転写電圧電源47、電圧制御部50、駆動制御部51等)を制御する。
【0036】
電圧制御部50は、現像ローラー31に現像電圧を印加する現像電圧電源43、帯電ローラー34に帯電電圧を印加する帯電電圧電源45、一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ローラー9に転写電圧を印加する転写電圧電源47を制御する。駆動制御部51は、感光体ドラム1a~1dを回転駆動するメインモーター53を制御する。なお、電圧制御部50および駆動制御部51は、記憶部70に記憶される制御プログラムで構成されていてもよい。
【0037】
主制御部80には液晶表示部90、送受信部91が接続されている。液晶表示部90は、ユーザーが画像形成装置100の各種設定を行うためのタッチパネルとして機能するとともに、画像形成装置100の状態、画像形成状況や印字枚数等を表示する。送受信部91は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
【0038】
本実施形態の画像形成装置100では、同一色のトナーが充填された4つの現像装置3a~3dが搭載されており、画像を目標濃度で形成するために必要なトナー量をそれぞれの現像装置3a~3dに振り分けして現像を行う。即ち、画像を目標濃度で形成するためのトナー現像量としてAだけ必要であり、4つの現像装置3a~3dを用いて現像を行う場合は、各現像装置3a~3dにA/4ずつトナー現像量を振り分けて現像を行う。
【0039】
同一色で同一種類のトナーが充填された複数(ここでは4つ)の現像装置3a~3dを備えた現像方式は、高印字率の画像が継続する頻度が高い場合に有効である。印字率が高いと現像ローラー31の軸方向において画像濃度に差が生じ易いため、どうしても1つの現像装置では均一性の再現は難しくなる。そこで、複数の現像装置3a~3dでハーフトーン画像を重ねることで、均一性の再現が可能となる。また、場合によっては4つの現像装置3a~3dのうち2つ(例えば現像装置3b、3d)の攪拌部での現像剤の搬送方向を逆向きに設定することで、現像ローラー31の軸方向における画像の均一性をより向上させることが可能となる。
【0040】
前述したように、同一色のトナー像を複数回重ね合わせて画像形成を行う方式において、現像装置3a~3dのいずれかに異常が発生した場合、異常のある現像装置3a~3dを含む画像形成部Pa~Pdの使用を中止し、他の画像形成部Pa~Pdを使用して画像を形成することが好ましい。また、異常のあった現像装置3a~3dが、停止状態の継続、或いは不使用中にエージング動作やトナーの強制吐出動作を実行することで異常が回復する場合がある。この場合、不使用であった画像形成部Pa~Pdを復帰させる必要がある。
【0041】
上記のような画像形成部Pa~Pdの停止や復帰を決定するためには、どの現像装置3a~3dで異常が発生しているか、或いは異常が解消したかを検出する必要がある。しかしながら、同一色のトナーが充填された現像装置3a~3dを含む画像形成部Pa~Pdを用いて画像形成を行う場合、現像装置3a~3dの異常の発生や回復を容易に検出することができない。
【0042】
そこで、本実施形態の画像形成装置100では、画像形成時に各現像装置3a~3dの現像ローラー31と感光体ドラム1a~1dとの間に流れる現像電流の直流成分、およびトナー現像量を測定し、現像電流とトナー現像量から算出されるトナー帯電量に基づいて異常のある現像装置3a~3dを検出する。以下、異常のある現像装置3a~3dの検出方法について説明する。
【0043】
図4は、本発明の画像形成装置100における現像装置3a~3dの異常検出制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~
図3および後述する
図5を参照しながら、
図4のステップに沿って現像装置3a~3dの異常検出手順について詳細に説明する。
【0044】
先ず、主制御部80は印字命令を受信したか否かを判定する(ステップS1)。印字命令を受信した場合は(ステップS1でYes)動作可能な画像形成部Pa~Pdで画像濃度を分割するように現像条件を設定する(ステップS2)。画像形成装置100の使用初期においては4つの画像形成部Pa~Pdの全てが正常であるため、画像濃度を4等分するように各現像装置3a~3dの現像条件(現像電位差Vdc-VL)を設定する。
【0045】
例えば、目標濃度(ID;イメージデンシティ)=0.8である場合、目標濃度を4等分(ID=0.2)するために必要な現像電位差Vdc-VLを設定する。本実施形態では、4つの画像形成部Pa~Pdの全てを使用する場合は現像電圧の直流電圧Vdc=250V、表面電位V0=350Vとする。
【0046】
次に、主制御部80はトナー帯電量の算出タイミングであるか否かを判定する(ステップS3)。トナー帯電量の推定タイミングとしては、例えば省電力(スリープ)モードからの復帰時や、印字動作の終了時に前回のトナー帯電量の算出からの累積印字枚数が所定枚数以上となっている場合等が挙げられる。トナー帯電量の算出タイミングである場合は(ステップS3でYes)、各現像装置3a~3d内のトナー帯電量Qを算出する(ステップS4)。
【0047】
具体的には、帯電装置2a~2dにより感光体ドラム1a~1dの表面を帯電させた後、露光装置5によって感光体ドラム1a~1d上に帯電量測定用パターンの静電潜像を形成する。そして、現像電圧電源43によって現像ローラー31に測定用現像電圧を印加して静電潜像をトナー像に現像することにより、感光体ドラム1a~1d上に帯電量測定用パターンを形成する。同時に、帯電量測定用パターンの形成時に現像ローラー31に流れる現像電流の直流成分を電流検出部44によって検出する。
【0048】
帯電量測定用パターンは、感光体ドラム1a~1dの軸方向寸法が露光幅全域であり、周方向寸法が現像ローラー31の周長(1回転)以上である矩形パターンとする。帯電量測定用パターンの静電潜像電位(露光後電位)は250Vとし、350Vの直流電圧に、1100V、Duty50%の交流電圧を重畳した測定用現像電圧を現像ローラー31に印加して現像を行う。
【0049】
帯電量測定用パターンを形成する際は、基準直流電圧と基準交流電圧からなる基準現像電圧を印加した状態で現像ローラー31を1回転以上回転させた後、測定用現像電圧に切り換えられる。測定用現像電圧は、交流電圧は基準交流電圧のままで直流電圧のみを基準直流電圧から変化させたものである。最初に基準現像電圧を印加するのは前回の現像履歴の影響を受けないようにするためであり、通常、基準現像電圧は印字に使用する電圧条件を用いる。基準現像電圧を直流電圧のみにすると現像履歴の解消効果が弱いので、直流電圧に交流電圧を重畳するほうが好ましい。
【0050】
次に、一次転写ローラー6a~6dに所定の一次転写電圧を印加して帯電量測定用パターンを中間転写ベルト8上に転写する。そして、画像濃度センサー40により帯電量測定用パターンの濃度を検知する。
【0051】
帯電量測定用パターンの形成が終了すると、再び現像ローラー31に基準現像電圧が印加される。現像ローラー31が1回転以上すると、再び測定用現像電圧が印加され、同様に画像濃度と現像電流の測定が行われる。上記の動作を複数回繰り返して印字率と現像電流の関係を取得する。
【0052】
図5は、印字率の異なる帯電量測定用パターンを形成したときの印字率と現像電流との関係を示すグラフである。なお、実際の計算では現像電流を測定面積で除算することで単位面積当たりの電流量[μA/cm
2]を算出する必要がある。検知された帯電量測定用パターンの濃度に基づいて、
図5で示したグラフの横軸を印字率からトナー現像量に置き換えることで、トナー現像量と現像電流との関係を示す近似直線が得られる。この近似直線の傾きからトナー帯電量Qを算出する。
【0053】
帯電量測定用パターンの画像濃度を変化させる際は、露光装置5によって感光体ドラム1a~1dの表面を全面露光するとともに、感光体ドラム1a~1dの表面電位(非露光部電位)V0と現像ローラー31に印加される測定用現像電圧の直流成分Vdcとの電位差V0-Vdcを一定に維持してV0およびVdcを変更することが好ましい。
【0054】
これにより、帯電量測定用パターンの端部(エッジ部)におけるキャリア現像を抑制できる。また、印字率を変化させてドット状の画像を形成する場合はドット周縁部に濃度の高い部分が生じるが、露光装置5によって全面露光することでドット周縁部の濃度の高い部分がなくなるため、帯電量測定用パターンの濃度をトナー現像量に換算する際の誤差を小さくすることができる。
【0055】
なお、トナー帯電量の測定方法は上述した方法に限らず、例えば同一の帯電量測定用パターンの静電潜像を現像電圧の交流成分の周波数を変えて現像したときの周波数と基準画像の形成時に流れる現像電流の差との関係に基づいてトナー帯電量を測定する方法を用いることもできる。
【0056】
図4に戻って、主制御部80は、ステップS4で算出された各現像装置3a~3d内のトナー帯電量Qが、全ての現像装置3a~3dでQ1<Q<Q2であるか否かを判定する(ステップS5)。Q1、Q2は、それぞれトナー帯電量Qの下限値および上限値である。本実施形態では、トナー帯電量の中心値(目標値)を25μC/gとし、下限値Q1を目標値の1/2(=12.5μC/g)、上限値Q2を目標値hの2倍(=50μC/g)としている。
【0057】
トナー帯電量がQ1(12.5μC/g)以下である場合、保管状態が悪く劣化が進んだトナーが使用された現像装置3a~3dのトナー帯電量が低くなったことが考えられる。トナー帯電量がQ2(50μC/g)以上である場合、劣化の進んでいない新しいトナーが使用された現像装置3a~3dのトナー帯電量が高くなったことが考えられる。主制御部80は、Q1<Q<Q2を満たさない現像装置3a~3dを含む画像形成部Pa~Pdを異常ありと判定する。
【0058】
主制御部80は、いずれかの現像装置3a~3dでQ1<Q<Q2でない場合は(ステップS5でNo)、現像装置3a~3dの3つ以上で異常ありか否かを判定する(ステップS6)。現像装置3a~3dの2つ以下で異常がある場合は(ステップS6でNo)、Q≦Q1またはQ≧Q2である現像装置3a~3dを含む画像形成部Pa~Pdの使用を禁止する(ステップS7)。
【0059】
次に、主制御部80は、現時点で動作可能な画像形成部Pa~Pdで画像濃度を分割するように現像条件を設定する(ステップS8)。例えば、目標濃度のID(イメージデンシティ)=0.8であり、現像装置3a内のトナー帯電量QがQ≦Q1またはQ≧Q2であった場合、画像形成部Paの使用を禁止し、残りの画像形成部Pb~Pdで画像濃度を3分割するように目標濃度をそれぞれID=0.27に変更する。そして、現像装置3b~3dの現像条件を再設定する。再設定の方法としては、ID=0.27とするのに必要な現像電位差Vdc-VLを計算で変更する方法、キャリブレーションを行いVdc-VLを再設定する方法が挙げられる。本実施形態では、現像装置3a~3dのうち3つを使用する場合は現像電圧の直流電圧Vdc=300V、表面電位V0=400Vとする。
【0060】
一方、ステップS5で、全ての現像装置3a~3dでQ1<Q<Q2である場合は(ステップS5でYes)、動作可能な4つの画像形成部Pa~Pdで画像濃度を4分割するように現像条件を設定する(ステップS8)。
【0061】
例えば、ステップS2で予め画像濃度を4等分するように各画像形成部Pa~Pdの現像条件を設定していた場合は、現像条件の再設定を行う必要はない。前回の印字において画像形成部Paが異常ありと判定され、画像濃度を3等分するように各画像形成部Pb~Pdの現像条件を設定していた場合は、回復動作によって使用可能となった画像形成部Paを含む4つの画像形成部Pa~Pdで画像濃度を4等分するために必要な現像電位差Vdc-VLを計算で変更するか、或いは目標濃度を変更してキャリブレーションを行いVdc-VLを再設定する。そして、ステップS8で設定された現像条件で印字が実行される(ステップS9)。
【0062】
その後、主制御部80は使用不可である画像形成部Pa~Pdが存在する場合は、その画像形成部Pa~Pdの回復動作を実行する(ステップS10)。例えば、画像形成部Paが使用不可である場合、何らかの理由で現像装置3aのトナー帯電量が他の現像装置3b~3dに比べて大きく(若しくは小さく)なっていると推定される。トナー帯電量変化の理由によっては、所定の回復動作を実行することで解消するもの、回復動作を実行しても解消しないものに分けることができる。
【0063】
そこで、トナー帯電量の変化に応じた回復動作を実行し、次回のトナー帯電量の算出タイミングでトナー帯電量を算出することで、異常ありと判定された画像形成部Paが回復しているかどうかを判定することができる。
【0064】
回復動作の具体例としては、トナー帯電量が一定値以上低い(または高い)場合、即ちトナー帯電量が所定範囲外である場合は、感光体ドラム1a~1d上に静電潜像パターン(ベタパターン)を形成し、現像ローラー31に現像電圧を印加して現像ローラー31上のトナーを感光体ドラム1a~1d上に移動(強制吐出)させる。その後、トナーコンテナ4a~4dから新たなトナーを補給する。
【0065】
また、トナー帯電量が低い場合は現像装置3a~3d内の現像剤のエージング(攪拌)時間を長くしてトナー帯電量を上昇させる方法も有効である。トナー帯電量が一定以上高い場合は現像装置3a~3dを一定時間放置してトナー帯電量を安定化する方法も有効である。これらの回復動作は使用するトナーの特性に応じて選択することができる。
【0066】
そして、回復動作によってトナー帯電量QがQ1<Q<Q2を満たしていれば、再度、他の画像形成部Pb~Pdと併せて現像条件の再設定を行う。回復動作を実行しても回復が不可能であれば、現像装置3aの交換が必要となるため液晶表示部90に現像装置3aの交換を促す通知を行う。また、画像形成部Paが異常ありと判定されたとき、回復動作を行わずに交換作業を行うようにしてもよい。
【0067】
また、ステップS6で現像装置3a~3dのうち3つ以上(例えば現像装置3a~3c)に異常がある場合は(ステップS6でYes)、画像形成部Pa~Pdのうち使用可能なものは1つ(画像形成部Pd)のみとなる。この場合、画像品質を担保できないため、印字を中止する(ステップS11)。そして、液晶表示部90に警告表示を行い(ステップS12)、異常ありと判定された現像装置3a~3dの回復動作を実行し(ステップS10)、処理を終了する。
【0068】
ステップS3でトナー帯電量の算出タイミングでない場合は(ステップS3でNo)、トナー帯電量の算出、および現像装置3a~3dの異常検出を行わずにステップS2で設定された現像条件で印字を実行し(ステップS13)、処理を終了する。
【0069】
図4に示した制御例によれば、同一色で同一種類のトナーを現像装置3a~3dに充填して画像形成を行う画像形成装置100において、帯電量測定用パターンを形成したときに流れる現像電流と、帯電量測定用パターンの画像濃度から算出されるトナー現像量と、の関係に基づいて算出される現像装置3a~3d内のトナー帯電量Qを用いて、現像装置3a~3dの異常を容易に且つ精度よく検出することができる。
【0070】
そして、検出結果に基づいて現像装置3a~3dを含む画像形成部Pa~Pdの使用の可否を判定し、使用可能な画像形成部Pa~Pdの現像装置3a~3dの現像条件を設定することにより、トナー帯電量の変化に起因する現像ゴースト、画像かぶり、転写不良等の画像不具合を効果的に抑制することができる。
【0071】
また、異常ありと判定された現像装置3a~3dに対して回復動作を行うことで、画像形成部Pa~Pdを使用可能な状態に回復させることができる。これにより、回復可能な現像装置3a~3dを交換してしまうおそれがなくなり、画像形成装置100のランニングコストも削減することができる。
【0072】
なお、
図4に示した制御例では、異常ありと判定された現像装置3a~3dの回復動作を印字終了後に実行したが、回復動作の実行タイミングはこれに限定されるものではない。例えば、印字中の紙間に回復動作を実行してもよい。或いは、専用の回復モードを設け、液晶表示部90やパソコンからの入力によって任意のタイミングで回復モードを実行するようにしてもよい。
【0073】
また、上記制御例では、Q≦Q1またはQ≧Q2である現像装置3a~3dに対して回復動作を実行するようにしたが、Q1<Q<Q2を満たす場合であってもトナー帯電量が一定以上高く(または低く)なっているときは回復動作を実行するようにしてもよい。例えば、トナー帯電量がQ1′(20μC/g)以下である場合、Q2′(40μC/g)以上である場合には、印字中の紙間や印字終了後に強制吐出動作を実行したり、エージング(攪拌)時間を長めにとったりするなどの回復動作を実行してもよい。
【0074】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではトナー帯電量の下限値Q1、上限値Q2を設定し、算出されたトナー帯電量QがQ1<Q<Q2を満たすか否かで現像装置3a~3dの異常の有無を判定したが、例えば算出された各現像装置3a~3dのトナー帯電量の平均値からの乖離状態で現像装置3a~3dの異常の有無を判定することもできる。
【0075】
但し、トナー帯電量の平均値からの乖離状態で判定する場合、現像装置3a~3dのうち2つ以上に同時にトナー帯電量の異常が発生すると、正常なものが平均値から乖離してしまうことも考えられる。そのため、上記実施形態のようにトナー帯電量Qが下限値Q1、上限値Q2の範囲内にあるか否かで現像装置3a~3dの異常の有無を判定することが好ましい。
【0076】
また、上記実施形態では画像形成装置100として
図1に示したようなブラックのトナーが現像装置3a~3dに充填されたモノクロプリンターを例に挙げて説明したが、モノクロプリンターやモノクロ複写機に限らず、各色の現像装置を複数個ずつ備えたカラー複写機やカラープリンターであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、同一色で同一種類のトナーを複数の現像装置に充填して画像形成を行う画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、異常の発生している現像装置を含む画像形成部を容易に且つ精度よく検出可能であり、画像不良の発生を効果的に抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
2a~2d 帯電装置
3a~3d 現像装置
5 露光装置
31 現像ローラー(現像剤担持体)
40 画像濃度センサー(濃度検知装置)
43 現像電圧電源
43a 交流定電圧電源
43b 直流定電圧電源
44 電流検出部
45 帯電電圧電源
47 転写電圧電源
50 電圧制御部
51 駆動制御部
70 記憶部
80 主制御部(制御部)
90 液晶表示部(通知装置)
100 画像形成装置