(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】トイレ管理方法、トイレ管理システム、トイレ管理装置、及びトイレ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240416BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20240416BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240416BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20240416BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G06Q10/20
A47K17/00
E03D9/00 Z
E03D11/00 Z
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2020028310
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】正平 裕也
(72)【発明者】
【氏名】立木 翔一
(72)【発明者】
【氏名】小林 基紀
(72)【発明者】
【氏名】川崎 祐一
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-141565(JP,A)
【文献】特開2018-009289(JP,A)
【文献】特開2020-086736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0088570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A47K 17/00
E03D 9/00
E03D 11/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理方法であって、
前記複数の便器の使用状況に関する使用情報を取得する
情報取得部により、前記使用情報を取得する使用情報取得工程と、
前記情報取得部により、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報を取得する詰まり情報取得工程と、
取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を
制御部によって予測する混雑状況予測工程と、
前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を
前記制御部によって判定するメンテナンス時期判定工程と、
を有
し、
前記メンテナンス時期判定工程は、前記制御部により、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、前記トイレ室の混雑していない時期を前記推奨メンテナンス時期として判定することを特徴とするトイレ管理方法。
【請求項2】
前記メンテナンス時期判定工程は、複数の前記推奨メンテナンス時期を
前記制御部によって判定することを特徴とする
請求項1記載のトイレ管理方法。
【請求項3】
前記トイレ室に関連する営業日時及び非営業日時を表す営業情報を
前記制御部によって取得する営業情報取得工程をさらに有し、
前記メンテナンス時期判定工程は、
前記制御部により、前記トイレ室の今後の混雑状況と前記営業情報とを基に、
前記営業日時の中から前記推奨メンテナンス時期を判定することを特徴とする請求項1
又は2に記載のトイレ管理方法。
【請求項4】
前記制御部により、前記推奨メンテナンス時期を報知する報知工程をさらに有することを特徴とする
請求項1~3のいずれか1つに記載のトイレ管理方法。
【請求項5】
複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理システムであって、
前記複数の便器の使用状況に関する使用情報と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報と、を取得する情報取得部と、
取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測部と、
前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定部と、
を備え
、
前記メンテナンス時期判定部は、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、前記トイレ室の混雑していない時期を前記推奨メンテナンス時期として判定することを特徴とするトイレ管理システム。
【請求項6】
複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理装置であって、
前記複数の便器の使用状況に関する使用情報と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報と、を取得する情報取得部と、
取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測部と、
前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定部と、
を備え
、
前記メンテナンス時期判定部は、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、前記トイレ室の混雑していない時期を前記推奨メンテナンス時期として判定することを特徴とするトイレ管理装置。
【請求項7】
複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するためのトイレ管理プログラムであって、
前記複数の便器の使用状況に関する使用情報を取得する使用情報取得工程と、
前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報を取得する詰まり情報取得工程と、
取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測工程と、
前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、
前記トイレ室の混雑していない時期を、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期
として判定するメンテナンス時期判定工程と、
を、コンピュータに実行させることを特徴とするトイレ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ管理方法、トイレ管理システム、トイレ管理装置、及びトイレ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、公共施設のトイレ室など、複数の便器が設置されるトイレ室において、便器の詰まりを検知し、詰まりが発生した場合に警報を発することが提案されている。これにより、詰まりの発生に応じて即座に便器のメンテナンスを行うことができ、便器を使用できない時間を最小にすることができる。
【0003】
しかしながら、便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室の混雑する時間帯に重なってしまうと、メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定できるトイレ管理方法、トイレ管理システム、トイレ管理装置、及びトイレ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理方法であって、前記複数の便器の使用状況に関する使用情報を取得する使用情報取得工程と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報を取得する詰まり情報取得工程と、取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測工程と、前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定工程と、を有することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0007】
このトイレ管理方法によれば、トイレ室の今後の混雑状況を考慮し、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定することができる。便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室の混雑する時間帯と重なり、メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定できるトイレ管理方法、トイレ管理システム、トイレ管理装置、及びトイレ管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るトイレ管理システムを模式的に表す説明図である。
【
図2】実施形態に係るトイレ管理システムを模式的に表すブロック図である。
【
図3】制御部の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【
図4】実施形態に係るトイレ管理システム及びトイレ管理装置によるトイレ管理方法の一例を模式的に表すフローチャートである。
【
図5】制御部の別の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【
図6】制御部の別の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ管理システムを模式的に表す説明図である。
図1に表したように、トイレ管理システム10は、トイレ管理装置12と、複数のトイレ装置14、16と、ネットワーク機器18と、メンテナンス担当者端末20と、を備える。
【0011】
トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12は、複数の便器が設置されたトイレ室TRの状態を管理する。トイレ室TRは、駅、空港、商業施設、あるいはオフィスビルなどの公共施設のトイレ室である。トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12は、より詳しくは、トイレ室TRのメンテナンスに関する管理を行う。
【0012】
トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12は、トイレ室TRのメンテナンスに関する情報、及びトイレ室TRの混雑状況に関する情報を取得する。これにより、トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12は、取得した情報を基に、トイレ室TRに設置された複数の便器のメンテナスの時期を予測する。
【0013】
トイレ室TRは、例えば、複数の大便器2と、複数の小便器4と、を有する。トイレ室TRは、例えば、複数のトイレブースTBを有する。複数のトイレブースTBは、例えば、トイレ室TRの内部の空間をパーティションなどで仕切ることによって設けられる。複数のトイレブースTBは、開閉式のドアDRを有する。複数の大便器2は、複数のトイレブースTB内に設置される。複数の小便器4は、例えば、トイレ室TRの壁面に沿って並べて設置される。
【0014】
このように、トイレ室TRに設置される複数の便器は、大便器2でもよいし、小便器4でもよい。この例では、大便器2及び小便器4の双方をトイレ室TRに設けているが、トイレ室TRに設置される複数の便器は、大便器2のみでもよいし、小便器4のみでもよい。また、この例では、3台の大便器2と3台の小便器4との合計6つの便器を示している。トイレ室TRに設置される複数の便器の台数は、6つに限ることなく、任意の台数でよい。
【0015】
大便器2は、下方に向けて窪んだボウル部を有する。大便器2の上には、便座が設けられる。大便器2は、便座に着座した利用者から排泄される尿や便などの排泄物をボウル部で受ける。大便器2は、より詳しくは、洋式腰掛大便器である。
【0016】
複数のトイレ装置14は、複数の大便器2のそれぞれに設けられる。トイレ装置14は、例えば、大便器2の上に設けられる。トイレ装置14は、例えば、便座を有するとともに、便座に着座した利用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などを有する。トイレ装置14は、例えば、衛生洗浄装置である。トイレ装置14は、便座の着座面を温める暖房機能を有する暖房便座装置などでもよい。但し、トイレ装置14は、これらに限ることなく、大便器2に取り付けて使用される任意の装置でよい。
【0017】
複数のトイレ装置16は、複数の小便器4のそれぞれに設けられる。トイレ装置16は、例えば、小便器4の前に立つ利用者を検知するとともに、利用者の小便器4から離れる動きを検知し、離れる動きの検知に応じてボウル面を自動的に洗浄する自動洗浄装置である。但し、トイレ装置16は、これに限ることなく、小便器4に取り付けて使用される任意の装置でよい。
【0018】
トイレ管理装置12は、ネットワーク6を介してネットワーク機器18と接続され、ネットワーク6を介してネットワーク機器18と通信を行う。ネットワーク6は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)などである。ネットワーク6は、トイレ管理装置12とネットワーク機器18とを有線で接続するものでもよいし、無線で接続するものでもよいし、有線と無線との組み合わせでもよい。ネットワーク6は、トイレ管理装置12とネットワーク機器18との間の通信を可能にする任意のネットワークでよい。
【0019】
ネットワーク機器18は、ネットワーク6を介してトイレ管理装置12と通信を行うとともに、複数のトイレ装置14、16と無線通信を行う。ネットワーク機器18は、例えば、トイレ管理装置12側のネットワーク6のプロトコルとトイレ装置14、16側の無線通信のプロトコルとの変換を行うゲートウェイ装置である。
【0020】
複数のトイレ装置14、16は、トイレ室TRのメンテナンスに関する情報、及びトイレ室TRの混雑状況に関する情報を、ネットワーク機器18及びネットワーク6を介してトイレ管理装置12に送信する。このように、トイレ管理装置12は、トイレ室TRのメンテナンスに関する情報、及びトイレ室TRの混雑状況に関する情報を複数のトイレ装置14、16から取得する。
【0021】
トイレ管理装置12は、例えば、公共施設の管理室などに設置される。ネットワーク機器18は、例えば、トイレ室TR内に設置される。このように、トイレ管理装置12がトイレ室TRから離れた場所に設置される場合でも、ネットワーク6やネットワーク機器18などを介して通信を行うことで、トイレ室TRのメンテナンスに関する情報、及びトイレ室TRの混雑状況に関する情報を複数のトイレ装置14、16から適切に取得することができる。
【0022】
なお、複数のトイレ装置14、16とネットワーク機器18との間の通信は、無線通信に限ることなく、有線通信でもよい。また、例えば、複数のトイレ装置14、16とトイレ管理装置12とが直接的に通信を行える場合などには、ネットワーク機器18を省略してもよい。ネットワーク機器18は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0023】
メンテナンス担当者端末20は、例えば、メンテナンスの担当者の携帯するスマートフォンなどの携帯端末である。但し、メンテナンス担当者端末20は、例えば、メンテナンスの担当者の居室に設置されたパーソナルコンピュータなどでもよい。メンテナンス担当者端末20は、ネットワーク6を介してトイレ管理装置12と接続される。メンテナンス担当者端末20は、ネットワーク6を介してトイレ管理装置12と通信を行う。
【0024】
図2は、実施形態に係るトイレ管理システムを模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、大便器2に設けられるトイレ装置14は、詰まり検知センサ30と、使用検知センサ32と、送信部34と、を有する。
【0025】
詰まり検知センサ30は、大便器2の詰まり状態を検知して詰まり情報を出力する。詰まり検知センサ30は、例えば、大便器2のボウル部内の水位を検知する。詰まり検知センサ30は、例えば、大便器2の洗浄を行った後のボウル部内の水位が所定の水位以上である場合に、大便器2が詰まっていると検知する。換言すれば、詰まり検知センサ30は、大便器2の洗浄を行った後のボウル部内の水位が所定の水位以上であるか否かを検知する。このような詰まり検知センサ30としては、例えば、電波センサ、静電容量センサ、圧力センサ、超音波式測距センサ、及び光学式測距センサなどを用いることができる。但し、詰まり検知センサ30の構成は、上記に限ることなく、大便器2の詰まりを適切に検知することができる任意の構成でよい。
【0026】
使用検知センサ32は、大便器2の使用状況を検知して使用情報を出力する。使用検知センサ32は、例えば、利用者の便座への着座状態を大便器2の使用状態として検知する着座検知センサである。着座検知センサは、利用者が大便器2に着座する直前において便座の上方に存在する人体や、便座に着座した利用者を検知する。このような着座検知センサとしては、例えば赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。なお、着座検知センサは、例えばマイクロ波センサ、焦電センサなどを用いてもよい。また、着座検知センサは、例えば、便座の動きを検知する機械式のスイッチ、光学センサ、又は磁気センサなどでもよいし、着座にともなう静電容量の変化を検知する静電容量センサなどでもよいし、着座にともなう圧力の変化を検知する圧電センサなどでもよい。
【0027】
使用検知センサ32は、例えば、利用者が大便器2に接近した状態を大便器2の使用状態として検知する人体検知センサでもよい。人体検知センサは、大便器2に接近した人体を検知する。人体検知センサには、例えば、マイクロ波センサ、赤外線投受光式の測距センサ、焦電センサなどを用いることができる。
【0028】
使用検知センサ32は、例えば、トイレブースTBのドアDRが閉じた状態を大便器2(トイレブースTB)の使用状態として検知するドア検知センサでもよい。ドア検知センサは、ドアDRの開状態及び閉状態を検知する。ドア検知センサには、例えば、機械式のスイッチ、光学センサ、磁気センサなどを用いることができる。
【0029】
例えば、トイレブースTB内で着替えなどを行う利用者もいる。この場合、大便器2自体は使用されていなかったとしても、ドアDRが閉じていると、トイレブースTB内の大便器2も使用できなくなってしまう。このような場合に、着座検知センサや人体検知センサでは、大便器2を使用状態として検知できない可能性がある。これに対し、ドア検知センサを使用検知センサ32とした場合には、着座検知センサや人体検知センサと比べて、使用できない大便器2をより確実に検知することができる。
【0030】
一方で、ドア検知センサは、大便器2及びトイレ装置14から離れた位置に設置されるため、着座検知センサや人体検知センサと比べて、設置が難しくなってしまう可能性がある。このように、着座検知センサや人体検知センサを使用検知センサ32とした場合には、ドア検知センサと比べて、より簡単な構成で使用できない大便器2を検知することができる。
【0031】
送信部34は、詰まり情報及び使用情報を送信する。送信部34は、ネットワーク機器18及びネットワーク6を介して詰まり情報及び使用情報をトイレ管理装置12に送信する。
【0032】
小便器4に設けられるトイレ装置16は、詰まり検知センサ40と、使用検知センサ42と、送信部44と、を有する。
【0033】
詰まり検知センサ40は、小便器4の詰まり状態を検知して詰まり情報を出力する。詰まり検知センサ40には、詰まり検知センサ30と同様のものを用いることができる。使用検知センサ42は、小便器4の使用状況を検知して使用情報を出力する。使用検知センサ42には、例えば、利用者が小便器4に接近した状態を小便器4の使用状態として検知する人体検知センサが用いられる。人体検知センサには、前述のものを用いることができる。送信部44は、送信部34と同様に、詰まり情報及び使用情報を送信する。
【0034】
トイレ管理装置12は、通信部50と、制御部52と、記憶部54と、を有する。通信部50は、ネットワーク6及びネットワーク機器18を介して複数のトイレ装置14、16と通信を行うことにより、複数のトイレ装置14、16の送信部34、44から送信された使用情報と詰まり情報とを取得する。この例では、通信部50が、情報取得部として機能する。これにより、トイレ管理装置12において、複数の大便器2及び小便器4の使用状況及び詰まりの状況を把握することできる。
【0035】
記憶部54には、複数の大便器2及び小便器4が設置されたトイレ室TRの状態を管理するためのトイレ管理プログラム56が記憶されている。制御部52は、記憶部54からトイレ管理プログラム56を読み出し、トイレ管理プログラム56を逐次処理することにより、トイレ管理装置12の動作を制御する。
【0036】
制御部52は、例えば、複数のトイレ装置14、16から定期的に使用情報及び詰まり情報を取得する。このような構成の場合には、制御部52は、使用情報及び詰まり情報を同時に取得する。
【0037】
例えば、大便器2又は小便器4の詰まり状態が変化した場合に、トイレ装置14、16から制御部52に詰まり情報を送信し、大便器2又は小便器4の使用状況が変化した場合に、トイレ装置14、16から制御部52に使用情報を送信する構成としてもよい。このような構成の場合には、制御部52は、詰まり情報及び使用情報をそれぞれ独立したタイミングで取得する。
【0038】
制御部52は、取得した使用情報及び詰まり情報を記憶部54に記憶させる。これにより、制御部52において、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRの過去の混雑状況(複数の大便器2及び複数の小便器4の使用状況)を把握することが可能になる。
【0039】
制御部52は、取得した複数の大便器2及び小便器4の使用情報を基に、トイレ室TRの今後の混雑状況を予測する。制御部52は、例えば、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRの過去の混雑状況を求め、このトイレ室TRの過去の混雑状況を基に、トイレ室TRの今後の混雑状況を予測する。このように、この例では、制御部52が、混雑状況予測部として機能する。
【0040】
図3は、制御部の動作の一例を模式的に表す説明図である。
制御部52は、トイレ室TRの今後の混雑状況を予測する場合に、例えば、
図3に表したように、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRに設置された複数の大便器2及び小便器4の時間毎の使用率を求める。使用率は、例えば、複数の便器(大便器2及び小便器4)の数を分母、複数の便器のうちの使用されている便器の数を分子とする分数、又はそれに対応する百分率で表される。
【0041】
制御部52は、複数の便器の使用率に対して、所定の閾値を設定する。そして、制御部52は、使用率が所定の閾値以上の時間帯を混雑時間帯と判定し、使用率が所定の閾値未満の時間帯を非混雑時間帯と判定する。これにより、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRの過去の混雑状況を求めることができる。
【0042】
制御部52は、例えば、過去の混雑状況において混雑時間帯と判定した時間帯は、今後においても混雑すると予測し、過去の混雑状況において非混雑時間帯と判定した時間帯は、今後においても混雑しないと予測する。これにより、取得した複数の便器の使用情報を基に、トイレ室TRの今後の混雑状況を予測することができる。
【0043】
なお、複数の便器の時間毎の使用率を求める使用情報は、前日のデータや先週の同じ曜日のデータなど、所定の一日分の使用情報を用いてもよいし、一週間分のデータなど、複数の日の使用情報を用いてもよい。換言すれば、使用率は、複数の日の使用情報から求めた複数の便器の時間毎の平均の使用率でもよい。
【0044】
また、混雑状況は、使用率に限ることなく、例えば、複数の便器の使用回数などから求めてもよい。例えば、複数の便器の単位時間当たりの使用回数が、所定回数以上の時間帯を混雑時間帯として判定してもよい。混雑状況の予測方法は、上記に限ることなく、使用情報から適切に混雑状況を予測し得る任意の方法でよい。
【0045】
制御部52は、詰まり情報を基に、複数の大便器2及び小便器4のいずれかの詰まりを判定した際に、トイレ室TRの今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した便器の推奨メンテナンス時期を判定する。すなわち、この例では、制御部52が、メンテナンス時期判定部としても機能する。
【0046】
制御部52は、例えば、
図3に表したように、混雑時間帯において詰まりが発生した場合には、詰まりが発生した時点の次の非混雑時間帯を推奨メンテナンス時期として判定する。例えば、非混雑時間帯に詰まりが発生した場合には、制御部52は、詰まりが発生した時点から次の混雑時間帯までの間の時期を推奨メンテナンス時期として判定する。このように、制御部52は、トイレ室TRの今後の混雑状況を基に、トイレ室TRの混雑していない時期を推奨メンテナンス時期として判定する。
【0047】
また、制御部52は、例えば、
図3に表したように、複数の推奨メンテナンス時期を判定する。制御部52は、例えば、詰まりが発生した時点よりも後に、複数の非混雑時間帯がある場合に、複数の非混雑時間帯を複数の推奨メンテナンス時期として判定する。
【0048】
このように、複数の推奨メンテナンス時期を判定する場合には、制御部52は、例えば、複数の推奨メンテナンス時期に優先順位を付ける。制御部52は、例えば、詰まりが発生した時点に近い推奨メンテナンス時期の優先順位を高くする。また、詰まりのメンテナンスには、30分~1時間程度の時間を必要とする。このため、非混雑時間帯が短いと、作業中に混雑時間帯に入ってしまう可能性がある。そこで、制御部52は、所定時間(例えば、30分)よりも短い推奨メンテナンス時期の優先順位を低くする。制御部52は、例えば、複数の推奨メンテナンス時期のうちで、所定時間よりも長く、詰まりが発生した時点に最も近い推奨メンテナンス時期の優先順位を最も高くする。
【0049】
但し、判定する推奨メンテナンス時期の数は、1つでもよい。例えば、上記のように、複数の候補の中から優先順位の最も高い1つの推奨メンテナンス時期のみを判定してもよい。
【0050】
制御部52は、トイレ室TRに関連する営業日時及び非営業日時を表す営業情報を取得する。トイレ室TRに関連する営業情報とは、例えば、トイレ室TRの管理者、トイレ室TRのメンテナンスの担当者、あるいはトイレ管理装置12の管理者などの営業情報である。また、トイレ室TRに関連する営業情報は、例えば、トイレ室TRの設置された公共施設の営業情報、メンテナスの業務を請け負う業者の営業情報、トイレ室TRの管理の業務を請け負う業者の営業情報などでもよい。但し、トイレ室TRに関連する営業情報は、上記に限ることなく、トイレ室TR(トイレ管理システム10)に関連する人や業者などの任意の営業情報でよい。
【0051】
トイレ室TRのメンテナンスの担当者の営業情報は、例えば、メンテナンス担当者端末20から取得する。トイレ室TRの管理者やトイレ管理装置12の管理者の営業情報は、例えば、トイレ管理装置12に設けられたキーボードなどの入力装置(図示は省略)から取得する。営業情報は、ネットワーク6などを介して取得してもよいし、入力装置などを用いて担当者に直接入力させて取得してもよい。このように、営業情報の取得方法は、担当者に対応した任意の方法でよい。
【0052】
制御部52は、営業情報を取得した場合、トイレ室TRの今後の混雑状況と営業情報とを基に、推奨メンテナンス時期を判定する。制御部52は、例えば、
図3に表したように、営業日時(営業時間)の中から推奨メンテナンス時期を判定する。
【0053】
制御部52は、推奨メンテナンス時期を判定した後、判定した推奨メンテナンス時期を報知する。制御部52は、例えば、推奨メンテナンス時期をメンテナンス担当者端末20に報知することにより、詰まりの発生した大便器2又は小便器4の詰まりを解消するメンテナンスをメンテナンスの担当者に依頼する。メンテナンスの担当者は、メンテナンス担当者端末20への推奨メンテナンス時期の報知に応じて、該当する大便器2又は小便器4のメンテナンスに向かう。これにより、トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12では、トイレ室TRの管理者などに手間をかけさせることなく、メンテナンスの実施を早期にメンテナンスの担当者に促すことができる。また、推奨メンテナンス時期を報知することで、適切なメンテナンスの時期をメンテナンスの担当者に伝えることができる。すなわち、適切なメンテナンスの時期において、メンテナンスの担当者をメンテナンスに向かわせることができる。
【0054】
このように、メンテナンスの担当者に報知を行う場合には、メンテナンスの担当者の営業情報を取得し、推奨メンテナンス時期を判定する際に、メンテナンスの担当者の営業日時(営業時間)の中から推奨メンテナンス時期を判定する。これにより、メンテナンスの担当者の非営業日時に推奨メンテナンス時期が判定されてしまうことを抑制することができる。
【0055】
なお、推奨メンテナンス時期の報知は、メンテナンス担当者端末20に限定されるものではない。例えば、トイレ管理装置12の表示部(図示は省略)に推奨メンテナンス時期を表示することなどにより、推奨メンテナンス時期をトイレ管理装置12の管理者などに報知してもよい。例えば、トイレ管理装置12の管理者に推奨メンテナンス時期を報知することにより、トイレ管理装置12の管理者から電話やメールなどで推奨メンテナンス時期をメンテナンスの担当者に連絡させるようにしてもよい。
【0056】
このように、トイレ管理装置12の管理者に報知を行う場合には、トイレ管理装置12の管理者の営業情報を取得し、推奨メンテナンス時期を判定する際に、トイレ管理装置12の管理者の営業日時(営業時間)の中から推奨メンテナンス時期を判定する。これにより、トイレ管理装置12の管理者の非営業日時に推奨メンテナンス時期が判定されてしまうことを抑制することができる。
【0057】
図4は、実施形態に係るトイレ管理システム及びトイレ管理装置によるトイレ管理方法の一例を模式的に表すフローチャートである。
トイレ管理システム10のトイレ管理装置12の制御部52(コンピュータ)は、例えば、トイレ管理プログラム56に基づいて、以下に表すトイレ管理方法の各処理を実行する。但し、以下に表すトイレ管理方法の各処理の一部又は全部は、プログラムを必要としないハードウェアの動作に基づいて実行してもよい。
【0058】
制御部52は、複数の大便器2及び小便器4の使用状況に関する使用情報を取得する使用情報取得工程を実行する(
図4のステップS101)。また、制御部52は、複数の大便器2及び小便器4の詰まり状態に関する詰まり情報を取得する詰まり情報取得工程を実行する(
図4のステップS102)。
【0059】
なお、使用情報取得工程と詰まり情報取得工程とは、順不同である。上記と反対に、詰まり情報取得工程の後に、使用情報取得工程を実行してもよい。また、詰まり情報取得工程及び使用情報取得工程は、実質的に同時に実行してもよい。換言すれば、詰まり情報取得工程及び使用情報取得工程は、詰まり情報及び使用情報を取得する1つの工程としてもよい。
【0060】
制御部52は、ネットワーク6及びネットワーク機器18を介して複数のトイレ装置14、16と通信を行うことにより、複数のトイレ装置14、16のそれぞれから詰まり情報及び使用情報を取得する。前述のように、制御部52は、詰まり情報及び使用情報を同時に取得してもよいし、詰まり情報及び使用情報をそれぞれ独立したタイミングで取得してもよい。
【0061】
制御部52は、使用情報を取得すると、取得した使用情報を記憶部54に記憶させる。制御部52は、詰まり情報を取得すると、詰まり情報を基に、複数の大便器2及び小便器4のいずれかに詰まりが発生したか否かを判定する(
図4のステップS103)。
【0062】
制御部52は、複数の大便器2及び小便器4のいずれかに詰まりが発生したと判定すると、取得した複数の大便器2及び小便器4の使用情報を基に、トイレ室TRの今後の混雑状況を予測する混雑状況予測工程を実行する(
図4のステップS104)。
【0063】
制御部52は、
図3で説明したように、例えば、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRの過去の混雑状況を求め、トイレ室TRの過去の混雑状況からトイレ室TRの今後の混雑状況を予測する。
【0064】
制御部52は、トイレ室TRの今後の混雑状況を予測した後、トイレ室TRの今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定工程を実行する(
図4のステップS105)。
【0065】
制御部52は、
図3で説明したように、例えば、詰まりが発生した時点に近い非混雑時間帯を推奨メンテナンス時期として判定する。これにより、トイレ室TRの今後の混雑状況を考慮し、複数の便器が設置されたトイレ室TRの便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定することができる。便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室TRの混雑する時間帯と重なり、メンテナンス作業の影響で、トイレ室TRをより混雑させてしまうことを抑制することができる。
【0066】
図3で説明したように、メンテナンス時期判定工程は、トイレ室TRの今後の混雑状況を基に、トイレ室TRの混雑していない時期を推奨メンテナンス時期として判定することを含む。このように、混雑していない時期を推奨メンテナンス時期として判定することにより、メンテナンスの時期をより適切に判定することができる。メンテナンス作業の影響で、トイレ室TRをより混雑させてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0067】
図3で説明したように、メンテナンス時期判定工程は、複数の推奨メンテナンス時期を判定することを含む。これにより、実際にメンテナンスを行うタイミングに自由度を持たせることができる。トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12の利便性をより向上させることができる。
【0068】
図3で説明したように、トイレ室TRに関連する営業日時及び非営業日時を表す営業情報を取得する営業情報取得工程をさらに有し、メンテナンス時期判定工程は、トイレ室TRの今後の混雑状況と営業情報とを基に、推奨メンテナンス時期を判定することを含む。これにより、営業日時及び非営業日時を考慮し、メンテナンスの時期をより適切に判定することができる。トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12の利便性をより向上させることができる。なお、営業情報取得工程を行うタイミングは、メンテナンス時期判定工程よりも前の任意のタイミングでよい。
【0069】
図3で説明したように、メンテナンス時期判定工程は、営業日時の中から推奨メンテナンス時期を判定することを含む。これにより、メンテナンスを行うことができない日時が、推奨メンテナンス時期として判定されてしまうことを抑制することができる。
【0070】
また、制御部52は、メンテナンス時期判定工程を実行した後、推奨メンテナンス時期を報知する報知工程を実行する(
図4のステップS106)。これにより、トイレ室に関わる担当者などが、推奨メンテナンス時期を容易に確認することができる。トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12の利便性をより向上させることができる。
【0071】
図5は、制御部の別の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図3では、一日の中のメンテナンスし易い時間帯を推奨メンテナンス時期として判定する例を示している。これに限ることなく、例えば、
図5に表したように、メンテナンスし易い日にちを推奨メンテナンス時期として判定してもよい。
【0072】
この場合、制御部52は、例えば、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRに設置された複数の大便器2及び小便器4の日毎の使用率を求める。日毎の使用率は、例えば、トイレ室TRの複数の便器の一日当たりの平均の使用率である。平均の使用率は、例えば、複数の便器の時間毎の使用率を平均することによって求めることができる。但し、日毎の使用率は、平均の使用率に限ることなく、例えば、一日の中の最高の使用率などでもよいし、一日の中の決められた時間の使用率などでもよい。
【0073】
制御部52は、日毎の使用率に対して、所定の閾値を設定する。そして、制御部52は、使用率が所定の閾値以上の日を混雑日と判定し、使用率が所定の閾値未満の日を非混雑日と判定する。これにより、記憶部54に記憶された使用情報を基に、トイレ室TRの過去の混雑状況を日毎に求めることができる。
【0074】
制御部52は、トイレ室TRの今後の混雑状況を日毎に予測する場合には、例えば、先週の同じ曜日の日毎の使用率を基に、今後の混雑状況を予測する。制御部52は、先週の同じ曜日の日毎の使用率を用いることにより、過去の混雑状況において混雑日と判定した曜日は、次の同じ曜日においても混雑日と予測し、過去の混雑状況において非混雑日と判定した曜日は、次の同じ曜日においても非混雑日と予測する。これにより、取得した複数の便器の使用情報を基に、トイレ室TRの今後の混雑状況を日毎に予測することができる。例えば、過去の数週間分の同じ曜日の日毎の使用率の平均を求め、この平均の使用率から次の同じ曜日の混雑状況を予測してもよい。これにより、混雑状況の予測の精度を高めることができる。
【0075】
但し、今後の混雑状況の日毎の予測方法は、上記に限定されるものではない。例えば、複数の便器の一日の積算使用回数から混雑状況を判定してもよい。混雑状況の日毎の予測方法は、上記に限ることなく、使用情報から適切に混雑状況を予測し得る任意の方法でよい。
【0076】
図5に表したように、この例において、制御部52は、例えば、詰まりが発生した時点の次の非混雑日を推奨メンテナンス時期として判定する。このように、制御部52は、トイレ室TRの今後の混雑状況を基に、トイレ室TRの混雑していない時期を推奨メンテナンス時期として判定する。
【0077】
例えば、詰まりの発生の後に、混雑日と非混雑日とが交互に表れる場合などには、詰まりが発生した後の複数の非混雑日を複数の推奨メンテナンス時期として判定してもよい。
【0078】
また、制御部52は、営業情報を取得した場合、トイレ室TRの今後の混雑状況と営業情報とを基に、推奨メンテナンス時期を判定する。制御部52は、例えば、
図5に表したように、営業日時(営業日)の中から推奨メンテナンス時期を判定する。
【0079】
図5では、トイレ室TRの設置された公共施設の営業日及びトイレ室TRのメンテナンスの担当者の営業日を表す営業情報を取得した例を示している。このような場合、制御部52は、例えば、公共施設及びメンテナンスの担当者の双方の営業日の中から推奨メンテナンス時期を判定する。すなわち、制御部52は、詰まりが発生した後の双方の営業日において詰まりが発生した時点に最も近い非混雑日を推奨メンテナンス時期として判定する。これにより、メンテナンスを行うことができない日時が、推奨メンテナンス時期として判定されてしまうことを抑制することができる。
【0080】
このように、推奨メンテナンス時期は、メンテナンスし易い時間帯でもよいし、メンテナンスし易い日にちでもよい。推奨メンテナンス時期は、メンテナンスし易い任意の日時でよい。推奨メンテナンス時期は、例えば、メンテナンスし易い日にちの情報と、その日にちの中で特にメンテナンスし易い時間帯の情報と、を含んでもよい。
【0081】
図6は、制御部の別の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図6に表したように、この例では、制御部52が、トイレ室TRの今後の混雑状況と営業情報とを基に、推奨メンテナンス時期を判定する際に、公共施設の非営業日の中から推奨メンテナンス時期を判定する。制御部52は、例えば、詰まりが発生した後の公共施設の非営業日かつメンテナンスの担当者の営業日において詰まりが発生した時点に最も近い日を推奨メンテナンス時期として判定する。
【0082】
例えば、公共施設の非営業日でもメンテナンスの担当者の営業日で、かつメンテナンスの担当者がトイレ室TRに向かうことができる(公共施設内に入ることができる)場合などには、公共施設の非営業日を推奨メンテナンス時期として判定する。これにより、メンテナンスの時期をより適切に判定することができる。メンテナンス作業の影響で、トイレ室TRをより混雑させてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0083】
このように、営業情報を基に推奨メンテナンス時期を判定する場合には、推奨メンテナンス時期は、必ずしも営業日時に限ることなく、公共施設の非営業日時などに判定してもよい。
【0084】
上記各実施形態では、トイレ管理装置12に設けられた通信部50を情報取得部として示している。情報取得部は、例えば、複数のトイレ装置14、16から詰まり情報及び使用情報を取得するデータサーバなどでもよい。トイレ管理装置12は、データサーバから詰まり情報及び使用情報を取得してもよい。また、例えば、トイレ管理装置12がトイレ室TR内やトイレ室TRの近傍などに設置される場合などには、詰まり検知センサ30、40や使用検知センサ32、42を情報取得部としてもよい。すなわち、トイレ管理装置12は、ネットワーク6などを介することなく、詰まり情報及び使用情報を直接的に取得してもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、トイレ管理装置12に設けられた通信部50を情報取得部とし、トイレ管理装置12に設けられた制御部52を混雑状況予測部及びメンテナンス時期判定部として示している。情報取得部、混雑状況予測部、及びメンテナンス時期判定部は、必ずしも同じ装置内に設けられていなくてもよい。例えば、上記のように、データサーバに情報取得部を設け、トイレ管理装置12に混雑状況予測部及びメンテナンス時期判定部を設けてもよい。情報取得部、混雑状況予測部、及びメンテナンス時期判定部は、ネットワーク6などを介して通信可能に接続される複数の装置に分散させて配置してもよい。情報取得部、混雑状況予測部、及びメンテナンス時期判定部の構成は、上記に限ることなく、これらの機能を満足し得る任意の構成でよい。
【0086】
以上説明した実施形態に基づくトイレ管理方法、トイレ管理システム、トイレ管理装置、及びトイレ管理プログラムとして、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0087】
第1の態様は、複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理方法であって、前記複数の便器の使用状況に関する使用情報を取得する使用情報取得工程と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報を取得する詰まり情報取得工程と、取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測工程と、前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定工程と、を有することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0088】
このトイレ管理方法によれば、トイレ室の今後の混雑状況を考慮し、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定することができる。便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室の混雑する時間帯と重なり、メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまうことを抑制することができる。
【0089】
第2の態様は、第1の態様において、前記メンテナンス時期判定工程は、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、前記トイレ室の混雑していない時期を前記推奨メンテナンス時期として判定することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0090】
このトイレ管理方法によれば、混雑していない時期を推奨メンテナンス時期として判定することにより、メンテナンスの時期をより適切に判定することができる。メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0091】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記メンテナンス時期判定工程は、複数の前記推奨メンテナンス時期を判定することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0092】
このトイレ管理方法によれば、複数の推奨メンテナンス時期を判定することで、実際にメンテナンスを行うタイミングに自由度を持たせることができる。
【0093】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記トイレ室に関連する営業日時及び非営業日時を表す営業情報を取得する営業情報取得工程をさらに有し、前記メンテナンス時期判定工程は、前記トイレ室の今後の混雑状況と前記営業情報とを基に、前記推奨メンテナンス時期を判定することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0094】
このトイレ管理方法によれば、営業日時及び非営業日時を考慮し、メンテナンスの時期をより適切に判定することができる。
【0095】
第5の態様は、第4の態様において、前記メンテナンス時期判定工程は、前記営業日時の中から前記推奨メンテナンス時期を判定することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0096】
このトイレ管理方法によれば、営業日時の中から推奨メンテナンス時期を判定することにより、メンテナンスを行うことができない日時が、推奨メンテナンス時期として判定されてしまうことを抑制することができる。
【0097】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記推奨メンテナンス時期を報知する報知工程をさらに有することを特徴とするトイレ管理方法である。
【0098】
このトイレ管理方法によれば、トイレ室に関わる担当者などが、推奨メンテナンス時期を容易に確認することができる。
【0099】
第7の態様は、複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理システムであって、前記複数の便器の使用状況に関する使用情報と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報と、を取得する情報取得部と、取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測部と、前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定部と、を備えたことを特徴とするトイレ管理システムである。
【0100】
このトイレ管理システムによれば、トイレ室の今後の混雑状況を考慮し、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定することができる。便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室の混雑する時間帯と重なり、メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまうことを抑制することができる。
【0101】
第8の態様は、複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するトイレ管理装置であって、前記複数の便器の使用状況に関する使用情報と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報と、を取得する使用情報取得部と、取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測部と、前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定部と、を備えたことを特徴とするトイレ管理装置である。
【0102】
このトイレ管理装置によれば、トイレ室の今後の混雑状況を考慮し、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定することができる。便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室の混雑する時間帯と重なり、メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまうことを抑制することができる。
【0103】
第9の態様は、複数の便器が設置されたトイレ室の状態を管理するためのトイレ管理プログラムであって、前記複数の便器の使用状況に関する使用情報を取得する使用情報取得工程と、前記複数の便器の詰まり状態に関する詰まり情報を取得する詰まり情報取得工程と、取得した前記複数の便器の前記使用情報を基に、前記トイレ室の今後の混雑状況を予測する混雑状況予測工程と、前記詰まり情報を基に、前記複数の便器のいずれかの詰まりを判定した際に、前記トイレ室の今後の混雑状況を基に、詰まりが発生した前記便器の推奨メンテナンス時期を判定するメンテナンス時期判定工程と、を、コンピュータに実行させることを特徴とするトイレ管理プログラムである。
【0104】
このトイレ管理プログラムによれば、トイレ室の今後の混雑状況を考慮し、複数の便器が設置されたトイレ室の便器の詰まりのメンテナンスの時期をより適切に判定することができる。便器の詰まりをメンテナンスするタイミングがトイレ室の混雑する時間帯と重なり、メンテナンス作業の影響で、トイレ室をより混雑させてしまうことを抑制することができる。
【0105】
なお、トイレ管理プログラムは、上述の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態(コンピュータに設けられた形態)に限ることなく、コンピュータに読み取り可能な記録媒体の形態であってもよい。記録媒体としては、例えば、CD-ROM(-R/-RW)、光磁気ディスク、HD(ハードディスク)、DVD-ROM(-R/-RW/-RAM)、FD(フレキシブルディスク)、フラッシュメモリ、メモリカード、メモリスティック、及び、その他各種ROM、RAM等を用いることができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ管理システム10及びトイレ管理装置12などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0107】
2 大便器、 4 小便器、 6 ネットワーク、 10 トイレ管理システム、 12 トイレ管理装置、 14、16 トイレ装置、 18 ネットワーク機器、 20 メンテナンス担当者端末、 30 詰まり検知センサ、 32 使用検知センサ、 34 送信部、 40 詰まり検知センサ、 42 使用検知センサ、 44 送信部、 50 通信部、 52 制御部、 54 記憶部、 56 トイレ管理プログラム