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特許7472533放送受信装置、放送受信方法、放送受信制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】放送受信装置、放送受信方法、放送受信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20240416BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20240416BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240416BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N21/438
H04N21/442
H04B7/08 022
H04B7/08 052B
H04B7/08 372B
H04B7/08 710
H04B1/16 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020028417
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021136458
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】半谷 猛
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-206294(JP,A)
【文献】特開2018-182363(JP,A)
【文献】特開2012-213051(JP,A)
【文献】特開2008-042743(JP,A)
【文献】特開2013-150056(JP,A)
【文献】特開2013-051506(JP,A)
【文献】特開2016-225775(JP,A)
【文献】特開2017-028425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/438
H04N 21/442
H04B 7/08
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
m個のアンテナと、
前記m個のアンテナのうちのn(m≧n)個のアンテナのそれぞれからの信号を分配するn個の分配器と、
前記m個のアンテナからの信号と前記n個の分配器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、
前記p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、
前記p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、前記p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備え、
前記p個のチューナのそれぞれは信号の品質を計測し、
前記制御部は、前記n個の分配器のうち少なくとも1つから出力される一方の信号を、視聴用の周波数を設定したチューナに入力させ、他方の信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させ、
前記制御部は、同一の分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、前記同一の分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定し、
前記制御部は、推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
m個のアンテナと、
前記m個のアンテナのうちのn(m≧n≧2)個のアンテナのそれぞれからの信号を分配するn個の分配器と、
前記n個の分配器からの信号のうちのいずれかを選択する切替器と、
前記m個のアンテナからの信号と前記n個の分配器からの信号と前記切替器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、
前記p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、
前記p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、前記p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備え、
前記p個のチューナのそれぞれは信号の品質を計測し、
前記制御部は、前記切替器から出力される信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させ、
前記制御部は、前記切替器において選択された信号を出力する分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、前記切替器により選択された分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定し、
前記制御部は、推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定することを特徴とする放送受信装置。
【請求項3】
前記p個のチューナにおいて計測される信号の品質は、C/N(Carrier to Noise ratio)またはC/Nと信号強度であることを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記n個の分配器のそれぞれは、サーチ用の周波数を設定したチューナに出力させる信号の強度よりも、視聴用の周波数を設定したチューナに出力させる信号の強度を大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項5】
m個のアンテナと、前記m個のアンテナのうちのn(m≧n)個のアンテナのそれぞれからの信号を2つに分配するn個の分配器と、前記m個のアンテナからの信号と前記n個の分配器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、前記p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、前記p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、前記p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備える放送受信装置における放送受信方法において、
前記p個のチューナのそれぞれに信号の品質を計測させるステップと、
前記n個の分配器のうち少なくとも1つから出力される一方の信号を、視聴用の周波数を設定したチューナに入力させ、他方の信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させるステップと、
同一の分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、前記同一の分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定するステップと、
推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定するステップと、
を備えることを特徴とする放送受信方法。
【請求項6】
m個のアンテナと、前記m個のアンテナのうちのn(m≧n)個のアンテナのそれぞれからの信号を2つに分配するn個の分配器と、前記m個のアンテナからの信号と前記n個の分配器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、前記p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、前記p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、前記p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備える放送受信装置に実行させる放送受信制御プログラムであって、
前記p個のチューナのそれぞれに信号の品質を計測させるステップと、
前記n個の分配器のうち少なくとも1つから出力される一方の信号を、視聴用の周波数を設定したチューナに入力させ、他方の信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させるステップと、
同一の分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、前記同一の分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定するステップと、
推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする放送受信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信技術に関し、特に放送波を受信する放送受信装置、放送受信方法、放送受信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビジョン放送では、さまざまな位置に設置された複数の中継局が親放送局の電波を中継する。複数の中継局間の干渉を低減するために、中継の際に異なった周波数(チャンネル)が使用される。車両等に搭載された放送受信装置はいずれかの中継局からの電波を受信する。放送受信装置は、車両の移動により放送エリアが切りかわる場合であっても、受信対象となる中継局をスムーズに切りかえるために、中継局を予めサーチする。例えば、4つのアンテナを有する放送受信装置では、2つのアンテナを使用したダイバーシチ受信により放送の視聴がなされ、残りの2つのアンテナを使用したダイバーシチ受信により中継局のサーチがなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-182363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放送受信装置に接続されるアンテナが4つである場合、放送受信装置には4つのチューナが含まれる。これらのアンテナは一般的にフロントガラスに設置されるが、近年、フロントガラスにはドライブレコーダ等も設置される。そのため、フロントガラスに設置するべきアンテナにも、4から3になるような削減が求められる。そのような状況下において、中継局のサーチ処理の効率化が求められる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、中継局のサーチ処理を効率的に実行する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の放送受信装置は、m個のアンテナと、m個のアンテナのうちのn(m≧n)個のアンテナのそれぞれからの信号を分配するn個の分配器と、m個のアンテナからの信号とn個の分配器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備える。p個のチューナのそれぞれは信号の品質を計測し、制御部は、n個の分配器のうち少なくとも1つから出力される一方の信号を、視聴用の周波数を設定したチューナに入力させ、他方の信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させ、制御部は、同一の分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、同一の分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定し、制御部は、推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定する。
【0007】
本発明の別の態様もまた、放送受信装置である。この装置は、m個のアンテナと、m個のアンテナのうちのn(m≧n≧2)個のアンテナのそれぞれからの信号を分配するn個の分配器と、n個の分配器からの信号のうちのいずれかを選択する切替器と、m個のアンテナからの信号とn個の分配器からの信号と切替器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備える。p個のチューナのそれぞれは信号の品質を計測し、制御部は、切替器から出力される信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させ、制御部は、切替器において選択された信号を出力する分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、切替器により選択された分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定し、制御部は、推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、放送受信方法である。この方法は、m個のアンテナと、m個のアンテナのうちのn(m≧n)個のアンテナのそれぞれからの信号を2つに分配するn個の分配器と、m個のアンテナからの信号とn個の分配器からの信号のうちのp(m≦p)個の信号を受信するp個のチューナと、p個のチューナのうちの1つ以上からの信号を合成して復調する2個の合成復調器と、p個のチューナのうちのq(p≧q)個に視聴用の周波数を設定し、p個のチューナのうちの(p-q)個にサーチ用の周波数を設定するとともに、視聴用の周波数を設定したq個のチューナからの信号を1つの合成復調器に合成して復調させ、サーチ用の周波数を設定した(p-q)個のチューナからの信号を別の合成復調器に合成して復調させる制御部とを備える放送受信装置における放送受信方法において、p個のチューナのそれぞれに信号の品質を計測させるステップと、n個の分配器のうち少なくとも1つから出力される一方の信号を、視聴用の周波数を設定したチューナに入力させ、他方の信号を、サーチ用の周波数を設定したチューナに入力させるステップと、同一の分配器からの出力信号が入力される2つ以上のチューナにおいて、サーチ用の周波数を設定したチューナで計測した信号の品質、及び、同一の分配器における分配の配分比率をもとに、視聴用の周波数を設定したチューナにおいてサーチ用の周波数の信号を受信した場合の信号の品質を推定するステップと、推定した信号の品質をもとに、視聴用の周波数をサーチ用の周波数に変更するか否かを決定するステップと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、中継局のサーチ処理を効率的に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図2】実施例1に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図3図1図2の放送受信装置による受信手順を示すフローチャートである。
図4図1図2の放送受信装置によるチャンネルの切替の決定手順を示すフローチャートである。
図5】実施例2に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図6】実施例3に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図7】実施例3に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図8】実施例3に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図9】実施例4に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図10】実施例4に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図11】実施例4に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図12】実施例4に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図13】実施例5に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図14】実施例6に係る放送受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本実施例は、p個のチューナ、例えば、4つのチューナを備えて、ダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。放送受信装置は、例えば、車載機器、ポータブル機器である。放送受信装置は、所定の中継局にチャンネル(周波数)を合わせて当該中継局からの電波を受信することによる視聴を継続しながら、同じ内容の番組が送信されている別のチャンネルを探す中継局サーチを実行する。このような処理の一例は、下記の方法1と方法2である。
【0013】
方法1では、視聴中のチャンネルの受信状況が悪化してワンセグメント受信しかできない状態になると、4つのアンテナによるダイバーシチ受信から、2つのアンテナによるダイバーシチ受信×2系統への切替がなされる。その際、一方の系統(以下、「第1系統」という)において視聴が継続され、他方の系統(以下、「第2系統」という)において中継局サーチがなされる。第2系統において視聴中のチャンネルとは別のチャンネルを検出した場合、つまり別の中継局を検出した場合、第2系統における合成C/N(Carrier to Noise Ratio)と第1系統における合成C/Nとが比較される。第2系統における合成C/Nが第1系統における合成C/Nよりも大きく、あるいは第2系統における合成C/Nがしきい値以上であれば、検出したチャンネルを視聴用のチャンネルとして、4つのアンテナによるダイバーシチ受信での視聴がなされる。
【0014】
方法2では、視聴中のチャンネルの受信状況が悪化してワンセグメント受信しかできない状態になると、4つのアンテナによるダイバーシチ受信から、3つのアンテナによるダイバーシチ受信と1つのアンテナによる受信への切替がなされる。3つのアンテナを使用する系統(以下、「第1系統」という)において視聴が継続され、1つのアンテナを使用する系統(以下、「第2系統」という)において中継局サーチがなされる。第2系統において視聴中のチャンネルとは別のチャンネルを検出した場合、つまり別の中継局を検出した場合、第2系統におけるC/Nと第1系統における合成C/Nとが比較される。第2系統におけるC/Nが第1系統における合成C/Nよりも大きく、あるいは第2系統におけるC/Nがしきい値以上であれば、検出したチャンネルを視聴用のチャンネルとして、4つのアンテナによるダイバーシチ受信での視聴がなされる。
【0015】
近年、車両の衝突防止装置、ETC(Electronic Toll Collection System)などの車載機器が増加することによって、車両のフロントガラスにアンテナの貼付スペースが減少している。そのため、4つのアンテナをフロントガラスに貼り付けることにかわって、車両のルーフ上のAM/FM/TVの複合アンテナ1つと、フロントガラスの2つのアンテナとが使用される。アンテナを4から3に減らした場合、方法1と方法2では、下記の問題が生じる。方法1では、第2系統において使用するアンテナ数が「1」になるので、中継局のサーチ能力が低下する。また、第2系統において使用するアンテナ数が「1」になるので、視聴のチャンネルの切替精度が低下する。さらに、4つのチューナは一体的に構成されているので、3アンテナになることによって1つのチューナが未使用になる。方法2では、第1系統において使用するアンテナ数が「2」になるので、視聴能力が低下する。また、3アンテナになることによって1つのチューナが未使用になる。
【0016】
3アンテナ、4チューナのようにアンテナ数がチューナ数よりも少ない構成において、視聴と中継局サーチを並行して実行する際の視聴能力を保持しつつ、中継局のサーチ能力と視聴用のチャンネルの切替判断の精度を高めることが求められる。本実施例に係る放送受信装置は、3アンテナのうち、1つのアンテナの出力を分配して2つのチューナに入力する。この2つのチューナのうちの1つは視聴に使用され、別の1つが中継局サーチに使用される。
【0017】
図1は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、アンテナ10と総称される第1アンテナ10aから第3アンテナ10c、分配器20、増幅器30、処理部100、制御部200、IF部300を含む。処理部100は、チューナ110と総称される第1チューナ110aから第4チューナ110d、スイッチ120と総称される第1スイッチ120aから第8スイッチ120h、合成復調部130と総称される第1合成復調部130a、第2合成復調部130bを含み、IF部300は、出力部310と総称される第1出力部310a、第2出力部310bを含む。
【0018】
放送受信装置1000は、テレビジョン放送、例えば地上デジタルテレビジョン放送の放送波を受信するための装置である。ここで、互いに異なった周波数に配置される複数のチャンネルが規定されており、各放送局は、許可されたチャンネルにおいて放送波をブロードキャスト送信する。また、複数の中継局は、放送局からの放送波を、チャンネルを変えながら中継して再送信する。そのため、同一の番組を含んだ放送波が複数のチャンネルにおいて送信される。図1は、放送受信装置1000における通常の視聴時の動作を示す。その際、制御部200は、第1チューナ110aから第3チューナ110cに視聴用のチャンネルを設定し、第4チューナ110dにサーチ用のチャンネルを設定する。
【0019】
3つのアンテナ10は、前述のごとく、フロントガラス等に貼り付けられる。アンテナ10の数は3に限定されず、「m」と一般化されてもよい。1つの分配器20は、第3アンテナ10cに接続され、第3アンテナ10cからの信号を2つに分配する。分配器20の数を1に限定せず「n(m≧n)」と一般化する場合、n個の分配器20は、m個のアンテナ10のうちのn個のアンテナ10のそれぞれからの信号を2つに分配するといえる。また、1つの分配器20は、分配した信号を第3チューナ110cと第4チューナ110dに出力する。つまり、分配器20から出力される一方の信号は、視聴用のチャンネルを設定した第3チューナ110cに入力されており、分配器20から出力される他方の信号は、サーチ用のチャンネルを設定した第4チューナ110dに入力されている。
【0020】
その際、第3チューナ110cと第4チューナ110dが入力インピーダンスの変化を互いに受けないように、アイソレーションの高い2分配がなされることが好ましい。また、分配の配分の比率は第3チューナ110c≧第4チューナ110dとされるとよい。これは、サーチ用のチャンネルを設定したチューナ110に出力させる信号の強度よりも、視聴用のチャンネルを設定したチューナ110に出力させる信号の強度を大きくすることにより、安定的に視聴を継続することを優先することに相当する。分配器20から第4チューナ110dに出力される信号は、増幅器30において増幅されてもよく、分配器20の手前、つまり第3アンテナ10cから分配器20に出力される信号が、増幅器30において増幅されてもよい。
【0021】
第1チューナ110aは、第1アンテナ10aからの信号を受信し、第2チューナ110bは、第2アンテナ10bからの信号を受信し、第3チューナ110cは、分配器20からの信号を受信し、第4チューナ110dは、増幅器30から信号を受信する。つまり、チューナ110の数を4に限定せず、「p(m≦p)」と一般化する場合、p個のチューナ110は、m個のアンテナ10からの信号とn個の分配器20からの信号のうちのp個の信号を受信するといえる。第1チューナ110aから第3チューナ110cには、制御部200により視聴用のチャンネル(周波数)が設定されており、第1チューナ110aから第3チューナ110cは、設定された周波数により信号をダウンコンバートする。第1チューナ110aから第3チューナ110cは、ダウンコンバートされたIF信号を出力する。第4チューナ110dには、制御部200によりサーチ用のチャンネル(周波数)が設定されており、第4チューナ110dは、設定された周波数により信号をダウンコンバートする。サーチ用のチャンネルは、視聴用のチャンネルと異なるとともに、順次切りかえられる。第4チューナ110dは、ダウンコンバートされたIF信号を出力する。
【0022】
図1に戻り、第1チューナ110aから第3チューナ110cを第1合成復調部130aに接続するために、制御部200は、第1スイッチ120aから第3スイッチ120cをオンにし、第5スイッチ120eから第7スイッチ120gをオフにする。また、第4チューナ110dを第2合成復調部130bに接続するために、制御部200は、第4スイッチ120dをオフにし、第8スイッチ120hをオンにする。
【0023】
第1合成復調部130aは、第1チューナ110aから第3チューナ110cのそれぞれからの信号を受けつける。第1合成復調部130aは、各信号に対して、例えば、アナログ/デジタル変換、直交検波、FFT(Fast Fourier Transform)を実行した後に、それらの信号を合成する。第1合成復調部130aは、合成した信号を復調してから復号する。その際、誤り訂正処理がなされてもよい。第1合成復調部130aにおいて復号された信号は、番組の映像や音声や放送局情報を含むTS信号である。第1出力部310aはTS信号を後段のCPUに出力する。第1合成復調部130aは、音声を復元し、第1出力部310aは番組の音声を出力するものであってもよい。
【0024】
第2合成復調部130bは、第4チューナ110dからの信号を受けつける。第2合成復調部130bは、信号に対して、アナログ/デジタル変換、直交検波、FFTを実行した後に、その信号を合成・復調してから復号する。その際、誤り訂正処理がなされてもよい。第2合成復調部130bにおいて復号された信号は、放送局情報を含むTS信号に相当する。第2出力部310bは、TS信号あるいは放送局情報を出力する。
【0025】
つまり、2個の合成復調部は、p個のチューナ110のうちの1つ以上からの信号を合成して復調する。2個の合成復調部は、p個のチューナ110のうちの1つからの信号を復調する場合には合成処理は行わず、信号に対して、アナログ/デジタル変換、直交検波、FFTを実行した後に、その信号を復調してから復号する。また、制御部200は、視聴用のチャンネルを設定した第1チューナ110aから第3チューナ110cの信号を第1合成復調部130aに合成して復調させ、サーチ用のチャンネルを設定した第4チューナ110dからの信号を第2合成復調部130bに復調させる。
【0026】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
図2は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000の構成は図1と同一である。各チューナ110は信号の品質を計測する。計測される値として、C/Nの他に、信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)が合わせて計測されてもよい。C/Nの計測では、例えば、FFTを実行した後の信号から、サブキャリアの電力密度と、サブキャリアのない領域での雑音電力密度の比が算出される。RSSIの計測には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0028】
制御部200は、図1において視聴に使用している第1チューナ110aから第3チューナ110cのそれぞれからC/Nを受けつけ、それらのC/Nを真数で加算することによって加算値を算出する。加算値が予め定めた所定値以上であれば、制御部200は、図1のような通常の視聴時の動作を継続する。一方、加算値が所定値よりも小さければ、視聴中のチャンネルの受信状況が悪化したと判断し、制御部200は、図2のような中継局サーチの能力を強化した動作を実行する。また、所定値と比較する値は加算値ではなく、第1チューナ110aから第3チューナ110cの信号を第1合成復調部130aで合成して得られる合成C/Nを使用してもよい。
【0029】
制御部200は、第1チューナ110aのC/Nと第2チューナ110bのC/Nとを比較し、C/Nが大きい方のチューナを選択する。ここでは、説明を明瞭にするために、第1チューナ110aが選択されるとする。制御部200は、視聴のために、第1チューナ110aと第3チューナ110cを使用することを決定し、中継局サーチのために、第2チューナ110bと第4チューナ110dとを使用することを決定する。これに続いて、制御部200は、第1チューナ110aと第3チューナ110cに視聴用のチャンネルを設定し、第2チューナ110bと第4チューナ110dにサーチ用のチャンネルを設定する。
【0030】
制御部200は、第1スイッチ120aと第3スイッチ120cをオンにし、第5スイッチ120eと第7スイッチ120gをオフにすることによって、第1チューナ110aと第3チューナ110cからの信号を第1合成復調部130aに合成して復調させる。制御部200は、第2スイッチ120bと第4スイッチ120dをオフにし、第6スイッチ120fと第8スイッチ120hをオンにすることによって、第2チューナ110bと第4チューナ110dからの信号を第2合成復調部130bに合成して復調させる。
【0031】
第1合成復調部130aが図1と同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力し、第2合成復調部130bが図1と同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第1チューナ110aからのC/Nと第3チューナ110cからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第2チューナ110bからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。
【0032】
制御部200は、同一の分配器20に接続された第3チューナ110cと第4チューナ110dにおいて、第4チューナ110dで計測したC/Nをもとに、第3チューナ110cにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。これは、サーチ用のチャンネルを設定したチューナで計測した信号の品質をもとに、視聴用のチャンネルを設定したチューナにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合の信号の品質を推定することに相当する。第3チューナ110cにおける、サーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nの算出には、分配器20における分配の配分比率がパラメータとしてさらに用いられるとよい。
【0033】
分配器20の前段に配置されるアンテナLNA(Low Noise Amplifier)(図示せず)の、第3チューナ110cで設定した周波数f1に対してのNF(Noise Figure)をnf_lna1と示し、アンテナLNAの増幅率をgain_lna1と示す。また、アンテナLNAの、第4チューナ110dで設定した周波数f2に対してのアンテナLNAのNFをnf_lan2と示し、アンテナLNAの増幅率をgain_lna2と示す。さらに、分配器20の一方の出力側に対して、その出力の後段のチューナ(この場合、第3チューナ110c)内のCNR算出部の前までを含めた回路のNFをnf_div1と示し、分配器20の一方の出力側に対して、その出力の後段のチューナ(この場合、第3チューナ110c)内のCNR算出部の前までを含めた回路の増幅率をgain_div1と示す。また、分配器20の他方の出力側に対して、その出力の後段のチューナ(この場合、第4チューナ110d)内のCNR算出部の前までを含めた回路のNFをnf_div2と示し、分配器20の他方の出力側に対して、その出力の後段のチューナ(この場合、第4チューナ110d)内のCNR算出部の前までを含めた回路の増幅率をgain_div2と示す。ここで、nf_lna1、gain_lna1、nf_lna2、gain_lna2、nf_div1、gain_div1、nf_div2、gain_div2は既知である。一方、第3チューナ110cにおいて計測されたRSSIと、第4チューナ110dにおいて計測されたRSSIとが、nf_div1、nf_div2を特定するために使用されてもよい。分配器20の一方の出力側に接続されているチューナ(この場合、第3チューナ110c)のCNR算出部前におけるC/N1と、分配器20の他方の出力側に接続されているチューナ(この場合、第3チューナ110c)のCNR算出部前におけるC/N2とは次の関係を有する。
C/N2[dB]=NF1-NF2+C/N1 式(1)
【0034】
NF1とNF2は次のように示される。
NF1[dB]=10×log10(nf1) 式(2)
NF2[dB]=10×log10(nf2) 式(3)
ここで、nf1とnf2は次のように示される。
nf1[真数]=nf_lna1+(nf_div1-1)/gain_lna1 式(4)
nf2[真数]=nf_lna2+(nf_div2-1)/gain_lna2 式(5)
なお、log10とは、基底が10の対数を指す。
【0035】
ここで、第4チューナ110dで計測したC/NをC/N2とする場合、式(1)をもとに計算したC/N1が、第3チューナ110cにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nに相当する。その結果、第1チューナ110aと第3チューナ110cとを使用して視聴を実行しながら、第2チューナ110bと第3チューナ110cにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。制御部200は、第2チューナ110bと第3チューナ110cとにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nの加算値を計算し、加算値がしきい値よりも小さければ、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更しないことを決定する。これに続いて、制御部200は、別のサーチ用のチャンネルを第2チューナ110bと第4チューナ110dとに設定する。一方、制御部200は、加算値がしきい値以上であれば、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更することを決定する。
【0036】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
以上の構成による放送受信装置1000の動作を説明する。図3は、放送受信装置1000による受信手順を示すフローチャートである。通常の視聴時であれば(S10のY)、制御部200は、3つのアンテナ10によるダイバーシチ受信と、1つのアンテナ10による中継局サーチを実行する(S12)。通常の視聴時でなければ(S10のN)、制御部200は、2つのアンテナ10によるダイバーシチ受信と、2つのアンテナ10による中継局サーチを実行する(S14)。
【0038】
図4は、放送受信装置1000によるチャンネルの切替の決定手順を示すフローチャートである。制御部200は、第1チューナ110aと第2チューナ110bのうちC/Nが低い方を選択する(S50)。制御部200は、選択したチューナと第4チューナ110dを使用して中継局サーチを実行する(S52)。中継局があれば(S54のY)、制御部200は第3チューナ110cのC/Nを算出する(S56)。制御部200は、選択したチューナ110のC/Nと、算出したC/Nの合計値を計算する(S58)。合計値がしきい値以上であれば(S60のY)、制御部200はチャンネルの切替を決定する(S62)。中継局がない場合(S54のN)、あるいは合計値がしきい値以上でない場合(S60のN)、制御部200はチャンネルを変更して(S64)、S52に戻る。
【0039】
本発明によれば、サーチ用のチャンネルを設定したチューナで計測した信号の品質をもとに、視聴用のチャンネルを設定したチューナにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合の信号の品質を推定するので、視聴をしていてもサーチ用のチャンネルのC/Nを算出できる。また、視聴をしていてもサーチ用のチャンネルのC/Nが算出されるので、サーチ用のチャンネルに切りかえた場合のC/Nの認識精度を向上できる。また、視聴をしていてもサーチ用のチャンネルに切りかえた場合のC/Nの認識精度が向上するので、中継局のサーチ処理を効率的に実行できる。また、視聴を継続しながらの中継局サーチにおいて、視聴能力を保持しつつ、中継局のサーチ能力とチャンネルの切替判断の精度を向上できる。
【0040】
また、分配器は、サーチ用のチャンネルを設定したチューナに出力させる信号の強度よりも、視聴用のチャンネルを設定したチューナに出力させる信号の強度を大きくするので、安定的に視聴を継続しながら、より受信環境がよい中堅局の効率的なサーチを実行することができる。
【0041】
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様に、4つのチューナを備えてダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。実施例1では3つのアンテナが備えられているが、実施例2では、2つのアンテナが備えられる。実施例2は、実施例1と同様に、アンテナ10の数は2に限定されず、「m」と一般化されてもよい。また、チューナ110の数は4に限定されず、「p」と一般化されてもよい。これまで、2つのアンテナが備えられる構成では、1つのアンテナを使用して視聴がなされ、別の1つのアンテナを使用して中継局サーチが実行される。そのため、ダイバーシチ受信がなされないので、視聴の品質が低下するとともに、サーチ能力も低下する。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0042】
図5は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、アンテナ10と総称される第1アンテナ10a、第2アンテナ10b、分配器20と総称される第1分配器20a、第2分配器20b、増幅器30と総称される第1増幅器30a、第2増幅器30b、処理部100、制御部200、IF部300を含む。処理部100、制御部200、IF部300は、図1と同様に構成される。
【0043】
第1分配器20aは、第1アンテナ10aからの信号を受信し、第1増幅器30a経由で第1チューナ110aに信号を出力するとともに、第2チューナ110bに信号を出力する。第2分配器20bは、第2アンテナ10bからの信号を受信し、第3チューナ110cに信号を出力するとともに、第2増幅器30b経由で第4チューナ110dに信号を出力する。第1分配器20aと第2分配器20bにおける分配の配分の比率は、例えば、第1チューナ110a≦第2チューナ110b、第3チューナ110c≧第4チューナ110dとされるとよい。
【0044】
制御部200は、第2チューナ110bと第3チューナ110cに視聴用のチャンネルを設定し、第1チューナ110aと第4チューナ110dにサーチ用のチャンネルを設定する。制御部200は、第2スイッチ120bと第3スイッチ120cをオンにし、第6スイッチ120fと第7スイッチ120gをオフにすることによって、第2チューナ110bと第3チューナ110cからの信号を第1合成復調部130aに合成して復調させる。制御部200は、第1スイッチ120aと第4スイッチ120dをオフにし、第5スイッチ120eと第8スイッチ120hをオンにすることによって、第1チューナ110aと第4チューナ110dからの信号を第2合成復調部130bに合成して復調させる。
【0045】
第1合成復調部130aが実施例1と同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力し、第2合成復調部130bが実施例1と同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第2チューナ110bからのC/Nと第3チューナ110cからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第1チューナ110aからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。
【0046】
制御部200は、第1分配器20aに接続された第1チューナ110aと第2チューナ110bにおいて、第1チューナ110aで計測したC/Nをもとに、第2チューナ110bにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。制御部200は、第2分配器20bに接続された第3チューナ110cと第4チューナ110dにおいて、第4チューナ110dで計測したC/Nをもとに、第3チューナ110cにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。これも、サーチ用のチャンネルを設定したチューナで計測した信号の品質をもとに、視聴用のチャンネルを設定したチューナにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合の信号の品質を推定することに相当する。
【0047】
制御部200は、第2チューナ110bと第3チューナ110cとにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nの加算値を計算し、加算値がしきい値よりも小さければ、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更しないことを決定する。これに続いて、制御部200は、別のサーチ用のチャンネルを第1チューナ110aと第4チューナ110dとに設定する。一方、制御部200は、加算値がしきい値以上で、かつ加算値が視聴用のチューナのC/Nの加算値以上であれば、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更することを決定する。
【0048】
本実施例によれば、第2チューナ、第3チューナで中継局を受信した場合のC/Nを第1チューナ、第4チューナのC/Nから算出するので、2つのアンテナでのダイバーシチで視聴を実行しながら、2つのアンテナでのダイバーシチで中継局サーチを実行できる。
【0049】
(実施例3)
実施例3は、これまでと同様に、4つのチューナを備えてダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。実施例1では、第3アンテナからの信号を2分配して、片方の信号を第4チューナに入力している。実施例3では、第1アンテナからの信号と、第2アンテナからの信号も同様に2分配して、第1アンテナからの信号と、第2アンテナからの信号と、第3アンテナからの信号を選択して第4チューナに入力し、処理を実行する。このような構成により、視聴を継続しながら中継局サーチを実行する際に、第1アンテナからの信号と、第2アンテナからの信号と、第3アンテナからの信号を順次切り替えて第4チューナにて取得したC/Nから、すべてのチューナにおいてサーチ用のチャンネルを受信する場合のC/Nが算出される。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。実施例3は、これまでと同様に、アンテナ10の数は3に限定されず、「m」と一般化されてもよい。また、チューナ110の数は4に限定されず、「p」と一般化されてもよい。
【0050】
図6は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、アンテナ10と総称される第1アンテナ10aから第3アンテナ10c、増幅器30と総称される第1増幅器30aから第3増幅器30c、切替器40、処理部100、制御部200、IF部300を含む。処理部100、制御部200、IF部300は、図1と同様に構成される。図6は、図1と同様に、放送受信装置1000における通常の視聴時の動作を示す。ここでも、制御部200は、第1チューナ110aから第3チューナ110cに視聴用のチャンネルを設定し、第4チューナ110dにサーチ用のチャンネルを設定する。
【0051】
第1分配器20aは、第1アンテナ10aからの信号を受信し、第1チューナ110aに信号を出力するとともに、第1増幅器30a経由で切替器40に信号を出力する。第2分配器20bは、第2アンテナ10bからの信号を受信し、第2チューナ110bに信号を出力するとともに、第2増幅器30b経由で切替器40に信号を出力する。第3分配器20cは、第3アンテナ10cからの信号を受信し、第3チューナ110cに信号を出力するとともに、第3増幅器30c経由で切替器40に信号を出力する。第1分配器20aから第3分配器20cにおける分配の比率は、例えば、第1チューナ110a≧切替器40、第2チューナ110b≧切替器40、第3チューナ110c≧切替器40とされるとよい。
【0052】
切替器40は、第1増幅器30aから第3増幅器30cに接続される。切替器40は、制御部200からの指示に応じて、3つの分配器20からの信号のうちのいずれかを選択する。通常の視聴時において、制御部200からの指示には、第3アンテナ10cあるいは第3分配器20cあるいは第3増幅器30cが示されるので、切替器40は、第3増幅器30cからの信号を選択する。切替器40は、選択した信号を第4チューナ110dに出力する。第1チューナ110aから第4チューナ110dの処理はこれまでと同様である。
【0053】
第1チューナ110aから第3チューナ110cを第1合成復調部130aに接続するために、制御部200は、第1スイッチ120aから第3スイッチ120cをオンにし、第5スイッチ120eから第7スイッチ120gをオフにする。また、第4チューナ110dを第2合成復調部130bに接続するために、制御部200は、第4スイッチ120dをオフにし、第8スイッチ120hをオンにする。第1合成復調部130aが実施例1と同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力し、第2合成復調部130bが実施例1と同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。
【0054】
図7は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000の構成は図6と同一である。各チューナ110は信号の品質を計測する。計測される品質は、C/N、またはC/NとRSSIである。制御部200は、図6において視聴に使用している第1チューナ110aから第3チューナ110cのそれぞれからC/Nを受けつけて加算値を算出する。加算値が予め定めた所定値以上であれば、制御部200は、図6のような通常の視聴時の動作を継続する。一方、加算値が所定値よりも小さければ、制御部200は、図7、後述の図8のような中継局サーチの能力を強化した動作を実行する。所定値と比較する値は加算値ではなく、第1チューナ110aから第3チューナ110cの信号を第1合成復調部130aで合成して得られる合成C/Nを使用してもよい。
【0055】
制御部200は、第1チューナ110aのC/Nと第2チューナ110bのC/Nとを比較し、C/Nが大きい方のチューナを選択する。ここでは、説明を明瞭にするために、第1チューナ110aが選択されるとする。制御部200は、視聴のために、第1チューナ110aと第3チューナ110cを使用することを決定し、中継局サーチのために、第2チューナ110bと第4チューナ110dとを使用することを決定する。また、制御部200は、第3アンテナ10cからの信号を切替器40に選択させることを決定する。これらに続いて、制御部200は、第1チューナ110aと第3チューナ110cに視聴用のチャンネルを設定し、第2チューナ110bと第4チューナ110dにサーチ用のチャンネルを設定する。
【0056】
制御部200は、第1スイッチ120aと第3スイッチ120cをオンにし、第5スイッチ120eと第7スイッチ120gをオフにすることによって、第1チューナ110aと第3チューナ110cからの信号を第1合成復調部130aに合成して復調させる。制御部200は、第2スイッチ120bと第4スイッチ120dをオフにし、第6スイッチ120fと第8スイッチ120hをオンにすることによって、第2チューナ110bと第4チューナ110dからの信号を第2合成復調部130bに合成して復調させる。
【0057】
第1合成復調部130aがこれまでと同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力し、第2合成復調部130bがこれまでと同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第1チューナ110aからのC/Nと第3チューナ110cからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第2チューナ110bからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。
【0058】
制御部200は、第3分配器20cに接続された第3チューナ110cと第4チューナ110dにおいて、第4チューナ110dで計測したC/Nをもとに、第3チューナ110cにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。この算出は実施例1と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、第1チューナ110aと第3チューナ110cとを使用して視聴を実行しながら、第2チューナ110bと第3チューナ110cにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。
【0059】
図8は、放送受信装置1000の構成を示す。図8は、図7に続く処理を示し、放送受信装置1000の構成は図6と同一である。制御部200は、図7と同一のチャンネルを第1チューナ110aから第4チューナ110dに設定し、各スイッチ120の接続も図7の状態を維持する。一方、制御部200は、第1アンテナ10aからの信号を切替器40に選択させることを決定する。その結果、第1合成復調部130aが、第1チューナ110aと第3チューナ110cからの信号に対してこれまでと同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力する。また、第2合成復調部130bが、第2チューナ110bと第4チューナ110dからの信号に対してこれまでと同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。
【0060】
これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第1チューナ110aからのC/Nと第3チューナ110cからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第2チューナ110bからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。
【0061】
制御部200は、第1アンテナ10aからの信号を切替器40に選択させる。第4チューナ110dにおいて計測した、第1アンテナ10aからの信号のC/Nをもとに、第1チューナ110aにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。この算出は実施例1と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、第1チューナ110aと第3チューナ110cとを使用して視聴を実行しながら、第1チューナ110aにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。このようにして、第1チューナ110aから第3チューナ110cにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。
【0062】
制御部200は、第1チューナ110aから第3チューナ110cにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nの加算値を計算し、加算値がしきい値よりも小さければ、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更しないことを決定する。これに続いて、制御部200は、別のサーチ用のチャンネルを第2チューナ110bと第4チューナ110dとに設定する。一方、制御部200は、加算値がしきい値以上であれば、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更することを決定する。
【0063】
本実施例によれば、切替器を使用するので、第4チューナに入力させる信号を切りかえることができる。また、切替器で第1アンテナの分配信号を第4チューナに入れるので、第1アンテナから入った中継局の信号を第1チューナで受信すると想定したときのC/Nを算出できる。また、切替器で第3アンテナの分配信号を第4チューナに入れるので、第3アンテナから入った中継局の信号を第3チューナで受信すると想定したときのC/Nを第4チューナのC/Nから算出できる。また、図6の構成によれば、切替器で第2アンテナの分配信号を第4チューナに入れるので、第2アンテナから入った中継局の信号を第3チューナで受信すると想定したときのC/Nを第4チューナのC/Nから算出できる。図7の構成によれば、第2チューナにおけるC/Nを取得し、第1チューナと第3チューナにおけるC/Nを算出するので、2つのアンテナで視聴を継続しながら中継局に切り替えた場合のC/Nを算出できる。
【0064】
(実施例4)
実施例4は、これまでと同様に、4つのチューナを備えてダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。実施例4は、実施例3を4アンテナの構成にした場合に相当する。この場合、第4アンテナも切替器に接続される。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。実施例4は、これまでと同様に、アンテナ10の数は4に限定されず、「m」と一般化されてもよい。また、チューナ110の数は4に限定されず、「p」と一般化されてもよい。
【0065】
図9は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、アンテナ10と総称される第1アンテナ10aから第4アンテナ10d、増幅器30と総称される第1増幅器30aから第3増幅器30c、切替器40、処理部100、制御部200、IF部300を含む。処理部100、制御部200、IF部300は、図1と同様に構成される。図9は、図6と同様に、放送受信装置1000における通常の視聴時の動作を示す。ここでも、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dに視聴用のチャンネルを設定する。一方、制御部200は、視聴用のチャンネルを設定しない。
【0066】
第1分配器20aから第3分配器20c、第1増幅器30aから第3増幅器30cは、図6と同様である。切替器40は、第1増幅器30aから第3増幅器30c、第4アンテナ10dに接続される。切替器40は、制御部200からの指示に応じて、3つの分配器20、第4アンテナ10dからの信号のうちのいずれかを選択する。通常の視聴時において、制御部200からの指示には、第4アンテナ10dが示されるので、切替器40は、第4アンテナ10dからの信号を選択する。切替器40は、選択した信号を第4チューナ110dに出力する。第1チューナ110aから第4チューナ110dの処理はこれまでと同様である。
【0067】
第1チューナ110aから第4チューナ110dを第1合成復調部130aに接続するために、制御部200は、第1スイッチ120aから第4スイッチ120dをオンにし、第5スイッチ120eから第8スイッチ120hをオフにする。第1合成復調部130aが実施例1と同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力する。
【0068】
図10は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000の構成は図9と同一である。各チューナ110は信号の品質を計測する。計測される品質は、C/N、またはC/NとRSSIである。制御部200は、図9において視聴に使用している第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを受けつけて加算値を算出する。加算値が予め定めた所定値以上であれば、制御部200は、図9のような通常の視聴時の動作を継続する。一方、加算値が所定値よりも小さければ、制御部200は、図10、後述の図11図12のような中継局サーチの動作を実行する。所定値と比較する値は加算値ではなく、第1チューナ110aから第4チューナ110dの信号を第1合成復調部130aで合成して得られる合成C/Nを使用してもよい。
【0069】
制御部200は、第1チューナ110aのC/Nと第2チューナ110bのC/Nと第3チューナ110cのC/Nとを比較し、C/Nが大きい方から2つのチューナを選択する。ここでは、説明を明瞭にするために、第1チューナ110aと第2チューナ110bが選択されるとする。制御部200は、視聴のために、第1チューナ110aと第2チューナ110bを使用することを決定し、中継局サーチのために、第3チューナ110cと第4チューナ110dとを使用することを決定する。また、制御部200は、第4アンテナ10dからの信号を切替器40に選択させることを決定する。これらに続いて、制御部200は、第1チューナ110aと第2チューナ110bに視聴用のチャンネルを設定し、第3チューナ110cと第4チューナ110dにサーチ用のチャンネルを設定する。
【0070】
制御部200は、第1スイッチ120aと第2スイッチ120bをオンにし、第5スイッチ120eと第6スイッチ120fをオフにすることによって、第1チューナ110aと第2チューナ110bからの信号を第1合成復調部130aに合成して復調させる。制御部200は、第3スイッチ120cと第4スイッチ120dをオフにし、第7スイッチ120gと第8スイッチ120hをオンにすることによって、第2チューナ110bと第4チューナ110dからの信号を第2合成復調部130bに合成して復調させる。
【0071】
第1合成復調部130aがこれまでと同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力し、第2合成復調部130bがこれまでと同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第1チューナ110aからのC/Nと第2チューナ110bからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第3チューナ110cからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。その結果、第3チューナ110cと第4チューナ110dにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。
【0072】
図11は、放送受信装置1000の構成を示す。図11は、図10に続く処理を示し、放送受信装置1000の構成は図9と同一である。制御部200は、図10と同一のチャンネルを第1チューナ110aから第4チューナ110dに設定し、各スイッチ120の接続も図10の状態を維持する。一方、制御部200は、第1アンテナ10aからの信号を切替器40に選択させることを決定する。その結果、第1合成復調部130aが、第1チューナ110aと第2チューナ110bからの信号に対してこれまでと同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力する。また、第2合成復調部130bが、第3チューナ110cと第4チューナ110dからの信号に対してこれまでと同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。
【0073】
これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第1チューナ110aからのC/Nと第2チューナ110bからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第3チューナ110cからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。
【0074】
制御部200は、第1分配器20aに接続された第1チューナ110aと第4チューナ110dにおいて、第4チューナ110dで計測したC/Nをもとに、第1チューナ110aにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。この算出は実施例1と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、第1チューナ110aと第2チューナ110bとを使用して視聴を実行しながら、第3チューナ110cと第1チューナ110aにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。
【0075】
図12は、放送受信装置1000の構成を示す。図12は、図11に続く処理を示し、放送受信装置1000の構成は図9と同一である。制御部200は、図10と同一のチャンネルを第1チューナ110aから第4チューナ110dに設定し、各スイッチ120の接続も図10の状態を維持する。一方、制御部200は、第2アンテナ10bからの信号を切替器40に選択させることを決定する。その結果、第1合成復調部130aが、第1チューナ110aと第2チューナ110bからの信号に対してこれまでと同様の処理を実行することによって、第1出力部310aは番組視聴用の放送局情報を含むTS信号を出力する。また、第2合成復調部130bが、第3チューナ110cと第4チューナ110dからの信号に対してこれまでと同様の処理を実行することによって、第2出力部310bは、サーチ用の放送局情報を含むTS信号を出力する。
【0076】
これらの処理と並行して、制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dのそれぞれからC/Nを順次受けつける。ここで、第1チューナ110aからのC/Nと第2チューナ110bからのC/Nは、視聴用のチャンネルにおけるC/Nを示し、第3チューナ110cからのC/Nと第4チューナ110dからのC/Nは、サーチ用のチャンネルにおけるC/Nを示す。
【0077】
制御部200は、第2分配器20bに接続された第2チューナ110bと第4チューナ110dにおいて、第4チューナ110dで計測したC/Nをもとに、第2チューナ110bにおいてサーチ用のチャンネルの信号を受信した場合のC/Nを算出する。この算出は実施例1と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、第1チューナ110aと第2チューナ110bとを使用して視聴を実行しながら、第3チューナ110cと第2チューナ110bにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。図10から図12の処理をまとめることによって、第1チューナ110aから第4チューナ110dにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nが算出される。
【0078】
制御部200は、第1チューナ110aから第4チューナ110dにおけるサーチ用のチャンネルのC/Nの加算値を計算し、加算値がしきい値よりも小さければ、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更しないことを決定する。これに続いて、制御部200は、別のサーチ用のチャンネルを第3チューナ110cと第4チューナ110dとに設定する。一方、制御部200は、加算値がしきい値以上であれば、視聴用のチャンネルをサーチ用のチャンネルに変更することを決定する。
【0079】
本実施例によれば、4つのアンテナによるダイバーシチ受信を実行でき、中継局サーチ中は2つのアンテナによるダイバーシチ受信×2系統で視聴と中継局サーチを実行できる。また、視聴を継続しながら、中継局に切りかえた場合のC/Nを第4チューナですべて把握できる。
【0080】
(実施例5)
実施例5は、これまでと同様に、4つのチューナを備えてダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。実施例5は、実施例2と実施例4との組合せに相当する。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。チューナ110の数は4に限定されず、「p」と一般化されてもよい。
【0081】
図13は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、アンテナ10と総称される第1アンテナ10a、第2アンテナ10b、分配器20と総称される第1分配器20a、第2分配器20b、増幅器30と総称される第1増幅器30a、第2増幅器30b、切替器40と総称される第1切替器40a、第2切替器40b、処理部100、制御部200、IF部300を含む。処理部100、制御部200、IF部300は、図1と同様に構成される。放送受信装置1000は、実施例2と実施例4とを組み合わせた処理を実行すればよいので、ここでは説明を省略する。
【0082】
本実施例によれば、2つのアンテナのそれぞれを2分配するので、2つのアンテナ、2つのチューナの構成でも、2つのアンテナで視聴を継続しながら、2つのアンテナで中継局サーチを実行できる。また、視聴を継続しながら、中継局に切り替えて2つのアンテナによる受信を行った場合の2つのチューナのC/Nをすべて確認できる。
【0083】
(実施例6)
実施例6は、これまでと同様に、複数のチューナを備えてダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。これまでは、4つのチューナが備えられているが、実施例6では、8つのチューナが備えられる。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。実施例6は、これまでと同様に、アンテナ10の数は4に限定されず、「m」と一般化されてもよい。また、チューナ110の数は8に限定されず、「p」と一般化されてもよい。
【0084】
図14は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、アンテナ10と総称される第1アンテナ10aから第4アンテナ10d、分配器20と総称される第1分配器20aから第4分配器20d、増幅器30と総称される第1増幅器30aから第4増幅器30d、処理部100、制御部200、IF部300を含む。処理部100は、チューナ110と総称される第1チューナ110aから第8チューナ110h、スイッチ120と総称される第1スイッチ120aから第16スイッチ120p、第1合成復調部130a、第2合成復調部130bを含む。IF部300は、出力部310と総称される第1出力部310a、第2出力部310bを含む。放送受信装置1000について、これまでの説明を8つのチューナ110に拡張すればよいので、ここでは説明を省略する。
【0085】
本実施例によれば、チューナが8つあり、アンテナが4つであっても、通常ではあまってしまうチューナを有効に活用できる。
【0086】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0087】
各実施例では、分配器20により分配された信号出力の一方に増幅器30を備える構成として説明したが、増幅器30は備えられなくともよく、分配器20により分配された信号出力の双方に接続されてもよい。
【0088】
各実施例では、例えば視聴のために2個のチューナを使用するとしているが、これに限定されず、「q」と一般化されてもよい。同様に、中継局サーチのために使用するチューナの数は限定されず、「p-q」と一般化されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 アンテナ、 20 分配器、 30 増幅器、 100 処理部、 110 チューナ、 120 スイッチ、 130 合成復調部、 200 制御部、 300 IF部、 310 出力部、 1000 放送受信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14