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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H04M1/00 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020056921
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158527
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石津 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】深見 健太郎
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3058721(JP,U)
【文献】特開2004-112616(JP,A)
【文献】特開平10-164055(JP,A)
【文献】特開2013-225840(JP,A)
【文献】特開2012-065053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04N1/00
1/32
1/34-1/36
1/42-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線網に接続される第1接続部と、
前記第1接続部より前記電話回線網の下流にあるモデムにむかう経路である第1経路と、
前記第1経路の電圧を検出する第1検出手段と、
前記第1接続部より下流にあって、外付け電話機が接続される第2接続部と、
前記第2接続部と前記第1接続部との間にある経路であって、抵抗を有する第2経路と、
前記第2経路に流れる電流を検出する第2検出手段と、
前記モデムに向かう回線の開放時には前記回線を前記第2検出手段に接続しない非接続状態にし、前記モデムに向かう回線が閉結時には前記回線を前記第2検出手段に接続する接続状態へと切り替える切替手段と、
前記非接続状態では前記第1検出手段の検出結果により前記外付け電話機のオフフックを判定し、前記接続状態では前記第2検出手段により前記外付け電話機のオフフックを判定する判定手段と、を備えた、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1検出手段によって検出される前記第1経路の線間電圧が予め定められた閾値を超えて変化した場合には、前記外付け電話機がオフフックされたと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2検出手段は、前記抵抗に並列接続され電流が流れることに応じて発光する発光素子と前記発光素子の発光によって導通するフォトトランジスタからなるフォトカプラであり、前記第2経路流れる電流を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
外付け電話機とファクシミリ機能とに自動切換を行うTEL/FAX自動切換機能を有し、前記電話回線網からの着信信号で前記第1検出手段が回線閉結し、前記着信信号にFAX送信端末である事を示すCNG信号が含まれている場合、FAX通信を開始し、前記着信信号にFAX送信端末である事を示すCNG信号が含まれていない場合、前記切替手段を前記接続状態に切り替えて前記外付け電話機のオフフックを判定する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話回線に接続して通信を行う第1通信手段と、上記第1通信手段を経由し、上記電話回線に接続し、通信する第2通信手段を接続するための接続手段とを具備する通信装置において、上記第1通信手段は、上記電話回線を、第1通信手段または上記第2通信手段に接続する第1スイッチ手段と、上記第1スイッチ手段を経由し、上記第2通信手段を上記電話回線へ接続する第1経路手段と、上記第2通信手段を直接、上記電話回線へ接続する第2経路手段と、上記第2通信手段を、第1経路手段または第2経路手段に接続する第2スイッチ手段と、上記第1経路手段に接続される第1フック検出手段と、上記第2経路手段の電話回線と、上記第2スイッチ手段との間に接続される第2フック検出手段と、を有する通信装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-64601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、外付け電話機のオフフック状態の検出精度と経路中の抵抗損失の抑制とを両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の通信装置は、
電話回線網に接続される第1接続部と、
前記第1接続部より前記電話回線網の下流にあるモデムにむかう経路である第1経路と、
前記第1経路の電圧を検出する第1検出手段と、
前記第1接続部より下流にあって、外付け電話機が接続される第2接続部と、
前記第2接続部と前記第1接続部との間にある経路であって、抵抗を有する第2経路と、
前記第2経路に流れる電流を検出する第2検出手段と、
前記モデムに向かう回線の開放時には前記回線を前記第2検出手段に接続しない非接続状態にし、前記モデムに向かう回線が閉結時には前記回線を前記第2検出手段に接続する接続状態へと切り替える切替手段と、
前記非接続状態では前記第1検出手段の検出結果により前記外付け電話機のオフフックを判定し、前記接続状態では前記第2検出手段により前記外付け電話機のオフフックを判定する判定手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の通信装置において、
前記判定手段は、前記第1検出手段によって検知される前記第1経路の線間電圧が予め定められた閾値を超えて変化した場合には、前記外付け電話機がオフフックされたと判断する、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の通信装置において、
前記第2検出手段は、前記抵抗に並列接続され電流が流れることに応じて発光する発光素子と前記発光素子の発光によって導通するフォトトランジスタからなるフォトカプラであり、前記第2経路流れる電流を検出する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信装置において、
外付け電話機とファクシミリ機能とに自動切換を行うTEL/FAX自動切換機能を有し、前記電話回線網からの着信信号で前記第1検出手段が回線閉結し、前記着信信号にFAX送信端末である事を示すCNG信号が含まれている場合、FAX通信を開始し、前記着信信号にFAX送信端末である事を示すCNG信号が含まれていない場合、前記切替手段を前記接続状態に切り替えて前記外付け電話機のオフフックを判定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、第1検出手段のみで検出する場合に比較して、回線閉結時もオフフックを高精度に検出でき、かつ、第2検出手段のみで検出する場合に比較して外付け電話に向かう経路中の抵抗損失を抑制できる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、外付け電話に向かう経路中の抵抗損失を抑制しつつオフフック状態を検出することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、抵抗以外の場所で検出する場合と比較して、電流の検出精度を高くすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、TEL/FAX自動切換時に外付け電話機のオフフック状態の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】通信装置の回路構成を示す図である。
図2】切替スイッチがオフ側に接続している通信装置の回路構成を示す図である。
図3】切替スイッチがオン側に接続している通信装置の回路構成を示す図である。
図4】TEL/FAX自動切換機能を有する通信装置における外付け電話機のオフフック判定の動作の流れを示すフローチャートである。
図5】給電回路を有する比較例1に係る通信装置の回路構成を示す図である。
図6】給電回路を有しない比較例2に係る通信装置の回路構成を示す図である。
図7】半導体化DAAを有する比較例3に係る通信装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0015】
(1)通信装置の全体構成及び動作
図1は、本願に係る実施形態の通信装置1の回路構成を示す図である。図1では、電話回線網50および外付け電話機60が接続された状態の通信装置1を示している。
【0016】
通信装置1は、第1接続部の一例としての一対の回線接続端子11、第2接続部の一例としての一対の電話接続端子12、第1検出手段の一例としての半導体化DAA(Direct Access Arrangement)14、抵抗15A、第2検出手段の一例としてのフォトカプラ16、切替手段の一例としての切替スイッチ17、トランス18、半導体スイッチ19、モデム30、ASIC40、ROM43、RAM44、画像形成部45、画像読取部46、操作表示部47を備える。
【0017】
回線接続端子11および電話接続端子12は通信装置1の外部に回線や機器が接続可能に設けられた端子であり、例えばモジュラージャックである。
回線接続端子11は電話回線網50を介して不図示の交換機に接続される。電話接続端子12は、外付け電話機60を接続可能な端子である。一対の回線接続端子11は端子11Aおよび11Bを有する。一対の電話接続端子12は、端子12Aおよび12Bを有する。
【0018】
半導体化DAA14は、電圧検出部21、回線信号受信部22、回線信号送出部23、データ入出力部24、および周知のリング検出回路(不図示)などを備える。
電圧検出部21は回線接続端子11を介して電話回線網50に接続される。端子11Aと電圧検出部21とは、第1経路の一例としての第1伝送経路13Aで接続され、端子11Bと電圧検出部21とは、第1伝送経路13Bで接続される。
電圧検出部21は第1伝送経路13Aと第1伝送経路13Bとの間の電圧である線間電圧VS(図1に模式的に示す)を検出する。
【0019】
回線信号受信部22はFAX受信時に電話回線網50を閉結する。回線信号送出部23はFAX送信時に電話回線網50を閉結する。データ入出力部24はFAX受信データおよびFAX送信データのA/D変換及びD/A変換を行う。また、FAX受信時に、リング検出回路から送信されるリング検出信号等の信号と回線信号受信部22から出力されるFAX受信データとをシリアルデータに変換する。また、FAX送信時に、ASIC40から出力される半導体化DAA14を制御する制御信号とFAX送信データとを分離する。
【0020】
第1伝送経路13A上のノードN1と電話接続端子12の端子12Aは切替スイッチ17を介して第2経路の一例としての第2伝送経路13Cによって接続される。
第1伝送経路13B上のノードN2と電話接続端子12の端子12Bは切替スイッチ17を介して第2経路の一例としての第2伝送経路13Dによって接続される。
第2伝送経路13Dには、電話接続端子12の端子12Bと切替スイッチ17との間に抵抗15Aとフォトカプラ16が接続されている。フォトカプラ16は、電流が流れることに応じて発光する発光素子と発光素子の発光によって導通するフォトトランジスタからなる。
【0021】
抵抗15Aは、高抵抗化された電流制限用高抵抗であり、具体的には2000Ωの抵抗を用いた。この抵抗15Aによる第2伝送経路13Dに流れる電流に対してフォトカプラ16の検出感度を高めている。尚、抵抗損失を減らすには抵抗15Aに代えて、低抵抗15B、具体的に180Ω程度のものを採用することも検討できるが、その場合、低精度の電流検出となってしまう。
【0022】
切替スイッチ17は、例えば、ワイドギャップリレーであり、モデム30に向かう回線の開放時には回線を第2伝送経路13C、13Dに接続しない非接続状態にし、モデム30に向かう回線が閉結時には抵抗15Aとフォトカプラ16を接続する接続状態へと切り替える。
【0023】
モデム30はトランス18を介して、半導体化DAA14に接続され、FAX受信データおよびFAX送信データの変復調を行う。
【0024】
ASIC40は、CPU41を備え通信装置1全体を制御する機能を有し、本実施形態においては、外付け電話機60のオフフックを判定する判定手段として機能する。
また、バス42を介して、ROM43、RAM44、画像形成部45、画像読取部46、および操作表示部47に接続される。CPU41はROM43に記憶されている各種のプログラムを実行することによって、画像形成部45、画像読取部46、および操作表示部47等を制御する。RAM44はCPU41が各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0025】
画像形成部45は、例えば、インクジェット方式、又は電子写真方式のプリンタであり、記録紙に、例えば受信したFAX情報を画像として形成する。画像読取部46は、原稿台上に載置された原稿を画像データとして読み取る。
操作表示部47は例えば液晶表示ディスプレイなどを備え、通信装置1の動作状態を表示することができる。操作表示部47は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、通信装置1の利用者は、操作表示部47を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して通信装置1の利用者へ各種情報を表示する。
【0026】
(2)外付け電話機のオフフック検知
図2は切替スイッチ17がオフ側(S21、S23)に接続している通信装置1の回路構成を示す図、図3は切替スイッチ17がオン側(S22、S24)に接続している通信装置1の回路構成を示す図である。
【0027】
通信装置1は、一本の電話回線網50にFAX装置と外付け電話機60が接続され、回線が1本であるので、FAX装置か外付け電話機60か、どちらか一方しか使用することができず、通信装置1は、外付け電話機60の回線使用状態がオンフック状態かオフフック状態かを、常に監視する必要がある。
【0028】
図5は、給電回路17Bを有する比較例1に係る通信装置100の回路構成を示す図である。
通信装置100は、回線接続端子11、電話接続端子12、低抵抗の抵抗である抵抗15Bとフォトカプラ16、切替スイッチ17A、24ボルト(V)の正の電圧を給電する給電回路17B、トランス18、モデム30を備えている。
【0029】
通信装置100は、給電回路17Bから電流が流れる状態にあり、外付け電話機60がオフフックになると、第2伝送経路13Dに接続された抵抗15Bとフォトカプラ16で電流を検出する。この電流検出情報は、ASIC40のCPU41へ入力され、オフフックが判定される。
【0030】
通信装置100は、抵抗15Bとフォトカプラ16を用いた電流検出によるオフフック検出のために給電回路17Bを備え、通信装置100の内部スペースが増大し、また、コストが上昇する虞があった。
【0031】
図6は、給電回路を有しない比較例2に係る通信装置200の回路構成を示す図である。
通信装置200は、回線接続端子11、電話接続端子12、抵抗15Bとフォトカプラ16、切替スイッチ17A、トランス18、モデム30を備えている。
【0032】
通信装置200においては、回線から一定の電流が流れる状態にあり、外付け電話機60がオフフックになると、第2伝送経路13Dに接続された抵抗15Bとフォトカプラ16で電流を検出する。この電流検出情報は、ASIC40のCPU41へ入力され、オフフックが判定される。
【0033】
一方、モデム30が閉結している状態では、回線から流れる電流の大半は、トランス18に向かって流れ、抵抗15Bとフォトカプラ16に流れる電流は微弱となる。第2伝送経路13Dを流れる電流が微弱となると、フォトカプラ16が安定して動作せず、オフフックを精度よく検出できない虞があった。
この場合は、外付け電話機がオフフックしたにも拘わらず、それを検出できずに通話が開始されなかったり、規定時間以上過ぎたことでFAXであると誤検出してしまう虞がある。この構成において、抵抗15Bを高抵抗化することで、フォトカプラ16に流れる電流を大きくしてフォトカプラ16の動作を安定化させた場合、抵抗15Bの高抵抗化によって、回線と外付け電話機60間の挿入損失(インサーションロス)が大きくなる虞もあった。
【0034】
図7は、半導体化DAA14を有する比較例3に係る通信装置300の回路構成を示す図である。
通信装置300は、回線接続端子11、電話接続端子12、半導体化DAA14、切替スイッチ17A、トランス18、半導体スイッチ19、モデム30を備えている。
【0035】
通信装置300においては、半導体化DAA14が第1伝送経路13Aと第1伝送経路13Bとの間の電圧である線間電圧VSの電圧降下を検出する。この電圧降下検出情報は、ASIC40のCPU41へ入力され、オフフックが判定される。
【0036】
一方、モデム30が閉結している状態では、図7に模式的に示すように、半導体化DAA14で検出される線間電圧VSの電圧降下が小さく、オフフックを精度よく検出できない虞があった。特に、外付け電話の抵抗値が高い場合や、供給電流量が少ない場合には検出できなくなる可能性が高い。この場合も、外付け電話機がオフフックしたにも拘わらずそれを検出できずに通話が開始されなかったり、規定時間以上過ぎたことでFAXであると誤検出してしまう虞がある。
【0037】
本実施形態に係る通信装置1は、回線接続端子11、電話接続端子12、半導体化DAA14、抵抗15とフォトカプラ16、切替スイッチ17、トランス18、半導体スイッチ19、モデム30を備えている。
【0038】
第1伝送経路13A上のノードN1と切替スイッチ17の接点S11は第2伝送経路13Cによって接続され、第1伝送経路13B上のノードN2と切替スイッチ17の接点S12は第2伝送経路13Dによって接続されている。
電話接続端子12の端子12Aと切替スイッチ17の接点S21は第2伝送経路13Caによって接続されるともに、電話接続端子12の端子12Aと切替スイッチ17の接点S22は第2伝送経路13Cbによって接続されている。
電話接続端子12の端子12Bと切替スイッチ17の接点S23は第2伝送経路13Daによって接続されるともに、電話接続端子12の端子12Bと切替スイッチ17の接点S24は第2伝送経路13Dbによって抵抗15Aとフォトカプラ16を介して接続されている。
【0039】
抵抗15Aは、高抵抗化された電流制限用高抵抗であり、フォトカプラ16に流れる電流をフォトカプラ16が安定して動作できる大きさにしている。
【0040】
このように構成される通信装置1においては、通常は、切替スイッチ17は、図2に示すように、オフ側(S21、S23)側に接続する。これにより、外付け電話機60は、第2伝送経路13Caと第2伝送経路13C、第2伝送経路13Daと第2伝送経路13Dで、抵抗15A及びフォトカプラ16を介することなく回線に接続された状態となる。
係る状態で、外付け電話機60がオフフックされると、半導体化DAA14の電圧検知部21が第1伝送経路13Aと第1伝送経路13Bとの間の線間電圧VSの電圧降下を検出する。この電圧降下検出情報は、ASIC40のCPU41へ入力され、オフフックが判定される。
【0041】
着信信号を受けて、半導体化DAA14の回線信号受信部22が電話回線網50を閉結した場合、切替スイッチ17は、図3に示すように、オン側(S22、S24)側に接続される。これにより、外付け電話機60は、第2伝送経路13Cbと第2伝送経路13C、第2伝送経路13Dbと第2伝送経路13Dで、抵抗15A及びフォトカプラ16を介して回線に接続された状態となる。
係る状態で、外付け電話機60がオフフックされると、第2伝送経路13Dbに接続された抵抗15Aとフォトカプラ16で電流を検出する。この電流検出情報は、ASIC40のCPU41へ入力され、オフフックが判定される。
【0042】
これにより、半導体化DAA14の電圧降下のみでオフフックを検出する場合に比較して、回線閉結時も外付け電話機60のオフフックを高精度に検出でき、かつ、抵抗15Aとフォトカプラ16のみで検出する場合に比較して、外付け電話機60に向かう第2伝送経路13D中の挿入損失(インサーションロス)を抑制できる。
【0043】
「実施例」
図4は外付け電話機とファクシミリ機能とに自動切換を行うTEL/FAX自動切換機能を有する通信装置1における外付け電話機のオフフック判定の動作の流れを示すフローチャートである。
通信装置1は、着信した相手がFAXなのか電話なのかを判別し、FAXの場合には自動受信を開始し、電話の場合にはベルを鳴らして使用者に電話着信を伝える「TEL/FAXモード」を備えている。
【0044】
通信装置1は、着信信号があるか否か判定する(S101)。着信信号があった場合(S101:Yes)、半導体化DAA14の回線信号受信部22が電話回線網50を閉結(S102)し、着信信号がFAX送信端末であることを示すCNG(発呼トーン)信号であるか否か判断する(S103)。着信信号がCNG信号である場合(S103:Yes)、FAX通信を開始(S104)し、その後FAX通信を完了する(S105)。
【0045】
着信信号がCNG信号ではなかった場合(S103:No)、切替スイッチ17を図3に示すように、オン側(S22、S24)側に接続されるように切り替え、疑似ベルを鳴らす(S106)。これにより、外付け電話機60は、第2伝送経路13Cbと第2伝送経路13C、第2伝送経路13Dbと第2伝送経路13Dで、抵抗15A及びフォトカプラ16を介して回線に接続された状態となる。このように、着信信号がCNG信号ではなかった場合(S103:No)でない限り、抵抗15A及びフォトカプラ16を介して回線に接続された状態とはならず、抵抗15Aの抵抗の影響は受けない。
【0046】
この状態で外付け電話機60のオフフックを待つ。具体的には、疑似ベルを鳴らした状態が予め定められたタイムアウト時間T以上経過したか否か判断する(S107)。予め定められたタイムアウト時間Tを経過した場合(S107:Yes)、FAX通信を開始(S108)し、相手側がFAX送信端末であるか否か判断する(S109)。
【0047】
ここで、相手側がFAX送信端末であるか否かを判断するためには、例えば、FAX受信端末であることを示すCED(被呼局識別)信号を送信側へ送ることにより、相手側から着信信号を受け付けた場合は、相手側はFAX送信端末であると判断される。相手側がFAX送信端末であると判断された場合(S109:Yes)、FAX通信は完了する(S110)。相手側がFAX送信端末ではない場合(S109:No)、例えば、操作表示部47を介してエラー通知を行う(S111)。
【0048】
ステップS107において、予め定められたタイムアウト時間Tが経過する前にオフフックされた場合(S107:No)、フォトカプラ16で検出された電流値に基づいてオフフックを検出したか否か判断する(S112)。オフフックが検出された場合(S112:Yes)、切替スイッチ17は、オフ側(S21、S23)側に接続し、半導体化DAA14の回線信号受信部22は電話回線網50を開放する(S113)。
これにより、外付け電話機60は、第2伝送経路13Caと第2伝送経路13C、第2伝送経路13Daと第2伝送経路13Dで、抵抗15A及びフォトカプラ16を介することなく回線に接続された状態となり、外付け電話機60を使った通話が開始される(S114)。
【0049】
このように、着信信号があって、FAX側が回線閉結した状態で、着信信号にCNG信号が含まれていない場合は、電話である可能性が高く、外付け電話機60のオフフックを検出するが、切替スイッチ17をオン側(S22、S24)側に接続して、第2伝送経路13Dbに接続された抵抗15Aとフォトカプラ16で電流を検出することで回線閉結時も外付け電話機60のオフフックを高精度に検出することができる。
【符号の説明】
【0050】
1、100、200、300・・・通信装置
11・・・回線接続端子
12・・・電話接続端子
13A、13B、13C、13D・・・伝送経路
13Ca、13Cb、13Da、13Db・・・伝送経路
14・・・半導体化DAA
15A、15B・・・抵抗
16・・・フォトカプラ
17・・・切替スイッチ
18・・・トランス
19・・・半導体スイッチ
30・・・モデム
40・・・ASIC
45・・・画像形成部
46・・・画像読取部
47・・・操作表示部
50・・・電話回線網
60・・・外付け電話機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7