(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両のパワーユニット装置
(51)【国際特許分類】
B60K 17/30 20060101AFI20240416BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B60K17/30 Z
F02F7/00 302Z
(21)【出願番号】P 2020076860
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】西村 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 一之
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-105217(JP,A)
【文献】実開昭56-083528(JP,U)
【文献】特開平01-266021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/30
F02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの車幅方向一方側に配置されるデファレンシャル装置からドライブシャフトが前記エンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる車両のパワーユニット装置であって、
前記オイルパンは、車幅方向他方側に前記ドライブシャフトを支持するシャフト支持部を備え、
前記ドライブシャフトは、前記オイルパンに挿通されるオイルパン挿通部と、前記オイルパン挿通部より車幅方向他方側において拡径された拡径部とを備え、前記拡径部より車幅方向一方側に前記ドライブシャフトが車幅方向他方側に抜けることを防止する抜け止め部材が嵌合され、前記抜け止め部材より車幅方向一方側の前記ドライブシャフトに軸受が圧入され、
前記シャフト支持部は、車幅方向他方側から車幅方向一方側に円柱状に窪んで前記軸受が嵌合される嵌合凹部を備え、
前記軸受は、前記ドライブシャフトに圧入嵌合される内輪と前記嵌合凹部に径方向に離間して嵌合される外輪とを備え、
前記抜け止め部材は、前記シャフト支持部に取り付けられる取付部と、前記軸受の車幅方向他方側に係合して前記ドライブシャフトが車幅方向他方側に移動することを規制する規制部とを備えている、
ことを特徴とする車両のパワーユニット装置。
【請求項2】
前記オイルパンに、前記軸受より車幅方向一方側において前記ドライブシャフトとの間をシールするシール部材が取り付けられる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両のパワーユニット装置。
【請求項3】
前記抜け止め部材は、前記拡径部より内径が小さく円形状に形成されて前記ドライブシャフトに嵌合される円形部と、前記円形部から前記拡径部より径方向外側に突出する突出部とを備え、前記円形部に前記規制部が設けられ、前記突出部に前記取付部が設けられる、
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の車両のパワーユニット装置。
【請求項4】
前記シャフト支持部は、前記抜け止め部材の円形部に対応して円形状に形成されて前記ドライブシャフトが挿通される円形部と、前記抜け止め部材の突出部に対応して前記円形部から径方向外側に突出して前記抜け止め部材が取り付けられる突出部とを備えている、
ことを特徴とする請求項
3に記載の車両のパワーユニット装置。
【請求項5】
前記シャフト支持部の突出部に、突出先端側に前記抜け止め部材の取付部が取り付けられる取付部が設けられ、突出基端側に車幅方向一方側に窪む穴部が設けられている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の車両のパワーユニット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のパワーユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部に駆動源としてのエンジンと変速機とトランスファ装置とを軸心が前後方向に延びるように配置し、トランスファ装置から後方に延びる後輪用プロペラシャフト及び後輪用デファレンシャル装置を介して左右の後輪を駆動すると共にトランスファ装置の側方から前方に延びる前輪用プロペラシャフト及び前輪用デファレンシャル装置を介して左右の前輪を駆動するフロントエンジン・リヤドライブベースの四輪駆動車の車両が知られている。
【0003】
前記車両では、車体前部にエンジン、変速機及び前輪用デファレンシャル装置を備えたパワーユニット装置が搭載され、エンジンの車幅方向一方側に前輪用デファレンシャル装置が配置されると共に前輪用デファレンシャル装置から車幅方向他方側に延びるドライブシャフトがエンジンのオイルパンに挿通されることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デファレンシャル装置から車幅方向に延びるドライブシャフトは一般に、デファレンシャル装置のサイドギヤにスプライン嵌合されると共に、ドライブシャフトにスナップリングなどのクリップを装着してクリップをサイドギヤのスプライン部に設けられた凹部に係合させてドライブシャフトの抜け止めが行われている。
【0006】
この場合、ドライブシャフトにクリップを装着した後に、クリップを縮径させた状態でドライブシャフトをサイドギヤに挿入させてスプライン嵌合させると共に、クリップがスプライン部に設けられた凹部に達すると拡径されてドライブシャフトの抜け止めが行われる。
【0007】
しかしながら、エンジンの車幅方向一方側に配置されるデファレンシャル装置からドライブシャフトがエンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる場合、作業者によってクリップを縮径した状態でドライブシャフトをオイルパンの車幅方向他方側からオイルパンに挿通させてからサイドギヤに挿入させてドライブシャフトの抜け止めを行うことが困難な場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、エンジンの車幅方向一方側にデファレンシャル装置が配置される車両において、デファレンシャル装置からドライブシャフトがエンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる場合に、比較的容易にドライブシャフトの抜け止めを行うことができる車両のパワーユニット装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エンジンの車幅方向一方側に配置されるデファレンシャル装置からドライブシャフトが前記エンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる車両のパワーユニット装置であって、前記オイルパンは、車幅方向他方側に前記ドライブシャフトを支持するシャフト支持部を備え、前記ドライブシャフトは、前記オイルパンに挿通されるオイルパン挿通部と、前記オイルパン挿通部より車幅方向他方側において拡径された拡径部とを備え、前記拡径部より車幅方向一方側に前記ドライブシャフトが車幅方向他方側に抜けることを防止する抜け止め部材が嵌合され、前記抜け止め部材より車幅方向一方側の前記ドライブシャフトに軸受が圧入され、前記シャフト支持部は、車幅方向他方側から車幅方向一方側に円柱状に窪んで前記軸受が嵌合される嵌合凹部を備え、前記軸受は、前記ドライブシャフトに圧入嵌合される内輪と前記嵌合凹部に径方向に離間して嵌合される外輪とを備え、前記抜け止め部材は、前記シャフト支持部に取り付けられる取付部と、前記軸受の車幅方向他方側に係合して前記ドライブシャフトが車幅方向他方側に移動することを規制する規制部とを備えている、車両のパワーユニット装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、エンジンの車幅方向一方側に配置されるデファレンシャル装置からドライブシャフトがオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる車両において、オイルパンに車幅方向他方側にシャフト支持部が備えられ、ドライブシャフトにオイルパン挿通部及び拡径部が備えられる。
【0011】
そして、ドライブシャフトに、拡径部より車幅方向一方側に抜け止め部材が嵌合され、抜け止め部材より車幅方向一方側のドライブシャフトに軸受が圧入され、抜け止め部材に、シャフト支持部に取り付けられる取付部と軸受と係合する規制部とが備えられる。
【0012】
これにより、抜け止め部材が嵌合されると共に軸受が圧入されたドライブシャフトをオイルパンの車幅方向他方側からオイルパンに挿通させて抜け止め部材の取付部をオイルパンのシャフト支持部に取り付けることで、ドライブシャフトを比較的容易にオイルパンに取り付けることができると共に、ドライブシャフトが車幅方向他方側に移動するときに軸受が抜け止め部材の規制部に係合してドライブシャフトが車幅方向他方側に抜けることを抑制することができる。
【0013】
したがって、エンジンの車幅方向一方側にデファレンシャル装置が配置される車両において、デファレンシャル装置からドライブシャフトがエンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる場合に、比較的容易にドライブシャフトの抜け止めを行うことができる。
【0015】
本構成により、前記軸受は、ドライブシャフトに圧入嵌合される内輪とオイルパンのシャフト支持部に備えられた嵌合凹部に径方向に離間して嵌合される外輪とを備えるので、外輪が抜け止め部材の規制部に係合可能であるようにドライブシャフトに圧入された軸受をシャフト支持部の嵌合凹部に径方向に離間して嵌合させることで、ドライブシャフトをオイルパンに回転可能に取り付けると共にドライブシャフトの抜け止めを行うことができる。
【0016】
前記オイルパンに、前記軸受より車幅方向一方側においてドライブシャフトとの間をシールするシール部材が取り付けられることが好ましい。
【0017】
本構成により、前記軸受より車幅方向一方側においてオイルパンにドライブシャフトとの間をシールするシール部材が取り付けられるので、デフハウジング内に貯留された潤滑油がオイルパンの車幅方向他方側においてオイルパンとドライブシャフトとの間から外部に漏れることを抑制することができる。
【0018】
前記抜け止め部材は、拡径部より内径が小さく円形状に形成されてドライブシャフトに嵌合される円形部と、円形部から拡径部より径方向外側に突出する突出部とを備え、円形部に規制部が設けられ、突出部に取付部が設けられることが好ましい。
【0019】
本構成により、抜け止め部材に、ドライブシャフトに嵌合される円形部と拡径部より径方向外側に突出する突出部とが備えられ、突出部に取付部が設けられるので、抜け止め部材の突出部に拡径部より径方向外側に取付部を設けることで、抜け止め部材をシャフト支持部に取り付ける取付作業を容易に行うことができる。
【0020】
前記シャフト支持部は、抜け止め部材の円形部に対応して円形状に形成されてドライブシャフトが挿通される円形部と、抜け止め部材の突出部に対応して円形部から径方向外側に突出して抜け止め部材が取り付けられる突出部とを備えることが好ましい。
【0021】
本構成により、シャフト支持部に、抜け止め部材の円形部に対応して形成される円形部と、抜け止め部材の突出部に対応して円形部から径方向外側に突出して抜け止め部材が取り付けられる突出部とが備えられるので、シャフト支持部に抜け止め部材を比較的容易に合わせて取り付けることができ、ドライブシャフトを比較的容易にオイルパンに挿通させて取り付けることができる。
【0022】
前記シャフト支持部の突出部に、突出先端側に抜け止め部材の取付部が取り付けられる取付部が設けられ、突出基端側に車幅方向一方側に窪む穴部が設けられることが好ましい。
【0023】
本構成により、シャフト支持部の突出部に、突出先端側に取付部が設けられ、突出基端側に穴部が設けられるので、突出部に設けられる穴部によって軽量化を図りつつ、突出部に設けられる取付部を円形部の径方向外側に配置させてシャフト支持部に抜け止め部材を比較的容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る車両のパワーユニット装置によれば、エンジンの車幅方向一方側にデファレンシャル装置が配置される車両において、デファレンシャル装置からドライブシャフトがエンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる場合に、比較的容易にドライブシャフトの抜け止めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係るパワーユニット装置が搭載された車両の概略構成図である。
【
図3】パワーユニット装置を示す別の斜視図である。
【
図4】
図2のY4-Y4線に沿ったパワーユニット装置の断面図である。
【
図5】
図2のY5-Y5線に沿ったパワーユニット装置の断面図である。
【
図6】
図2のY6-Y6線に沿ったパワーユニット装置の断面図である。
【
図7】オイルパンのシャフト支持部を示す斜視図である。
【
図8】オイルパンのシャフト支持部に取り付けられた抜け止め部材を示す斜視図である。
【
図9】オイルパンに取り付けられるドライブシャフトの斜視図である。
【
図10】オイルパンへのドライブシャフトの取付けを説明するための説明図である。
【
図11】オイルパンの被嵌合部を示す斜視図である。
【
図12】デフハウジングの嵌合部を示す斜視図である。
【
図13】オイルパンとデフハウジングとの嵌合部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るパワーユニット装置が搭載された車両の概略構成図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るパワーユニット装置が搭載された車両1は、フロントエンジン・リアドライブ車ベースのエンジン縦置き式の四輪駆動車である。車両1には、車体前部に駆動源としてのエンジン2が配置され、エンジン2の車体後方に変速機3が配置され、変速機3の車体後方にトランスファ装置4が配置されている。エンジン2、変速機3及びトランスファ装置4は、軸心が車体前後方向に延びるように配置されている。
【0028】
トランスファ装置4は、変速機3から伝達されるエンジン2からの動力を、後方に延びる後輪用プロペラシャフト5及び後輪用デファレンシャル装置6を介して左右の後輪11L,11Rに伝達し、また前方に延びる前輪用プロペラシャフト7及び前輪用デファレンシャル装置8を介して左右の前輪12L,12Rに伝達するようになっている。
【0029】
車体前部には、エンジン2、変速機3及び前輪用デファレンシャル装置8を備えたパワーユニット装置10が搭載され、デファレンシャル装置8は、エンジン2の車体左側に配置されている。デファレンシャル装置8には、車幅方向一方側である車体左側に延びるドライブシャフト20が連結され、車幅方向他方側である車体右側に延びるドライブシャフト30が連結されている。
【0030】
ドライブシャフト20は、デファレンシャル装置8に連結されるデフ側シャフト21と、前輪12Lに連結される車輪側シャフト22と、デフ側シャフト21及び車輪側シャフト22にデフ側自在継手24及び車輪側自在継手25を介して連結される中間シャフト23とを備えている。
【0031】
ドライブシャフト30は、デファレンシャル装置8に連結されるデフ側シャフト31と、前輪12Rに連結される車輪側シャフト32と、デフ側シャフト31及び車輪側シャフト32にデフ側自在継手34及び車輪側自在継手35を介して連結される中間シャフト33とを備えている。
【0032】
車両1では、車高を低くするためなど、エンジン2の車体左側に配置されるデファレンシャル装置8から車体右側に延びるドライブシャフト30は、エンジン2のオイルパンに備えられた貫通穴に挿通されて車体右側に延びて前輪12Rに連結されている。
【0033】
次に、本実施形態に係る車両のパワーユニット装置について、
図2から
図13を参照して説明する。
【0034】
図2は、パワーユニット装置を示す斜視図、
図3は、パワーユニット装置を示す別の斜視図である。
図4、
図5、
図6はそれぞれ、
図2のY4-Y4線、Y5-Y5線、Y6-Y6線に沿ったパワーユニット装置の断面図である。
【0035】
図2から
図6に示すように、パワーユニット装置10は、エンジン2と、エンジン2の車体左側に配置されるデファレンシャル装置8とを備え、デファレンシャル装置8の車体左側及び車体右側にそれぞれドライブシャフト20,30が連結されている。
【0036】
車両1では、エンジン2のシリンダブロック9及びオイルパン40の周囲をそれぞれ外側から覆うようにカバー部材としての断熱部材15が取り付けられている。断熱部材15は、発泡ウレタン樹脂材料などの樹脂材料を用いて形成され、オイルパン40の外側の少なくとも一部を覆うように配置される。このように、断熱部材15を設けることでエンジン2の暖気を促進させることができる。
【0037】
図4に示すように、パワーユニット装置10は、デファレンシャル装置8が収納されるデフハウジング51を備えている。デフハウジング51は、オイルパン40の車体左側に嵌合されてオイルパン40に取り付けられている。オイルパン40とデフハウジング51との間にも断熱部材15が配置されている。
【0038】
デフハウジング51にはまた、デファレンシャル装置8の車体後側にドライブピニオン14が収納されている。ドライブピニオン14は、デフハウジング51に軸受52を介して回転可能に支持され、自在継手13を介して前輪用プロペラシャフト7に連結されてエンジン2からの動力が入力されるようになっている。
【0039】
デファレンシャル装置8は、デフハウジング51に軸受53を介して回転可能に支持されたデフケース54と、デフケース54に固定されるリングギヤ55とを有している。リングギヤ55は、ドライブピニオン14に噛み合い、ドライブピニオン14の車体左側に配置されている。
【0040】
デファレンシャル装置8は、デファレンシャル機構56を有している。デファレンシャル機構56は、デフケース54に固定されて車幅方向と直交する方向に延びるピニオンシャフト57と、ピニオンシャフト57に回転自在に嵌合される互いに対向する一対のピニオンギヤ58と、一対のピニオンギヤ58に噛み合う左右一対のサイドギヤ59とを有している。
【0041】
一対のサイドギヤ59にはそれぞれ、デフハウジング51及びデフケース54に設けられたシャフト挿通部51a、54aに挿通されるドライブシャフト20,30がスプライン嵌合されている。ドライブシャフト20,30は、サイドギヤ59と共にデフハウジング51及びデフケース54に対して相対回転できるようになっている。
【0042】
車体左側のドライブシャフト20は、前述したように、デフ側自在継手24及び車輪側自在継手25を介して連結されたデフ側シャフト21と車輪側シャフト22と中間シャフト23とを備え、デフ側シャフト21がデファレンシャル装置8に連結されている。
【0043】
デフ側シャフト21は、
図5に示すように、サイドギヤ59の内周面に形成されたスプライン部59aにスプライン嵌合されるスプライン部21aと、デフケース54のシャフト挿通部54aに挿通されるケース挿通部21bと、デフハウジング51のシャフト挿通部51aに挿通されるハウジング挿通部21cと、ハウジング挿通部21cより径方向外側に拡径された拡径部21dとを備えている。
【0044】
デフ側シャフト21のスプライン部21aは、デフ側シャフト21の先端側の外周面に設けられ、ケース挿通部21b、ハウジング挿通部21c、拡径部21dは、スプライン部21aから車体左側に順に径方向外側に拡径されて設けられている。デフ側シャフト21のスプライン部21aとサイドギヤ59のスプライン部59aとは、歯筋が車幅方向に延びてスプライン嵌合されている。
【0045】
図5に示すように、デフ側シャフト21のスプライン部21aには、デフ側シャフト21の外周面に沿って径方向内側に窪む周溝21eが形成されている。サイドギヤ59のスプライン部59aには、サイドギヤ59の内周面に沿って径方向外側に窪む周溝59bが形成されている。
【0046】
サイドギヤ59とデフ側シャフト21とは、周溝59bと周溝21eとが車幅方向にオーバーラップする位置になるようにスプライン嵌合され、周溝59bと周溝21eとに亘ってクリップ16が装着されている。
【0047】
クリップ16は、C型クリップが用いられ、周溝59bと周溝21eとに亘って装着されると共にサイドギヤ59のスプライン部59aの内周側に撓むことができるように形成されている。デフ側シャフト21の周溝21eは、サイドギヤ59のスプライン部59aの内周側に縮径されたクリップ16を収容可能に形成されている。
【0048】
クリップ16は、デフ側シャフト21の周溝21eに装着された状態でドライブシャフト20がサイドギヤ59に挿入されるときサイドギヤ59のスプライン部59aの内周側に縮径され、周溝21eと周溝59bとが車幅方向にオーバーラップする位置で拡径されて周溝59bと周溝21eとに亘って装着される。
【0049】
これにより、ドライブシャフト20は、車幅方向内側に移動されるとき、クリップ16が周溝59bの車幅方向内側の端面を形成するサイドギヤ59のスプライン部59aに係合して車幅方向内側への移動が規制されてピニオンシャフト57に接触することが抑制されている。
【0050】
一方、ドライブシャフト20は、車幅方向外側に移動されるとき、クリップ16が周溝59bの車幅方向外側の端面を形成するサイドギヤ59のスプライン部59aに係合して車幅方向外側への移動が規制されて車幅方向外側に抜けることが抑制されている。
【0051】
ドライブシャフト20は、車体組立時、
図2に示すように、車輪側シャフト22に、前輪12Lを支持するホイールサポート26とサスペンション装置(不図示)が取り付けられるナックル27とが取り付けられた状態で、デフハウジング51に挿入されてデファレンシャル装置8に連結される。
【0052】
ドライブシャフト20は、ドライブシャフト30に比べてデフ側シャフト21が短く、クリップ16をデフ側シャフト21に装着した後に縮径させた状態でサイドギヤ59に挿入させてスプライン嵌合させ、クリップ16がサイドギヤ59の周溝59bに達すると拡径されて抜け止めが行われている。
【0053】
車体右側のドライブシャフト30は、前述したように、デフ側自在継手34及び車輪側自在継手35を介して連結されたデフ側シャフト31と車輪側シャフト32と中間シャフト33とを備え、デフ側シャフト31がデファレンシャル装置8に連結されている。
【0054】
図6に示すように、ドライブシャフト30のデフ側シャフト31は、サイドギヤ59の内周面に形成されたスプライン部59aにスプライン嵌合されるスプライン部31aと、デフケース54のシャフト挿通部54aに挿通されるケース挿通部31bと、デフハウジング51のシャフト挿通部51aに挿通されるハウジング挿通部31cと、オイルパン40に挿通されるオイルパン挿通部31dとを備えている。
【0055】
デフ側シャフト31のスプライン部31aは、デフ側シャフト31の先端側の外周面に設けられ、ケース挿通部31b、ハウジング挿通部31c、オイルパン挿通部31dは、スプライン部31aから車体右側に順に設けられている。デフ側シャフト31のスプライン部31aとサイドギヤ59のスプライン部59aとは、歯筋が車幅方向に延びてスプライン嵌合されている。
【0056】
デフ側シャフト31が挿通されるオイルパン40は、内部にエンジン2の各部に供給される潤滑油が貯留され、略矩形状に形成される底面部41と、底面部41の周縁部から車体上側に延びる側面部42とを備えている。オイルパン40は、側面部42の上端部がシリンダブロック9に取り付けられている。
【0057】
オイルパン40の車体左側の側面部42にデフハウジング51が取り付けられ、デフハウジング51に収納されたデファレンシャル装置8に連結される車体右側のドライブシャフト30は、車体右側からオイルパン40に挿通されると共にオイルパン40の車体右側に支持されている。
【0058】
オイルパン40には、ドライブシャフト30が挿通される貫通穴45が円筒状に形成され、貫通穴45は、車幅方向両側の側面部42に亘って車幅方向に延びている。オイルパン40の車体右側の側面部42には、車体右側に突出してドライブシャフト30を支持するシャフト支持部60が設けられている。
【0059】
デフ側シャフト31は、オイルパン挿通部31dより車体右側にオイルパン挿通部31dより拡径された第1拡径部31eを備えると共に、第1拡径部31eより車体右側に第1拡径部31eより拡径される第2拡径部31fを備えている。デフ側シャフト31には、第1拡径部31eに軸受61が圧入され、第1拡径部31eに圧入された軸受61より車体右側且つ第2拡径部31fより車体左側にドライブシャフト30が車体右側に抜けることを防止する抜け止め部材80が嵌合されている。
【0060】
ドライブシャフト30は、デフ側シャフト31がオイルパン40に挿通されると共に抜け止め部材80がオイルパン40のシャフト支持部60に取り付けられてオイルパン40に取り付けられて支持されている。
【0061】
図7は、オイルパンのシャフト支持部を示す斜視図、
図8は、オイルパンのシャフト支持部に取り付けられた抜け止め部材を示す斜視図である。
図7及び
図8では、ドライブシャフトに圧入される軸受についても示している。
【0062】
図7に示すように、オイルパン40のシャフト支持部60は、車体右側の端面が車幅方向に略直交する方向に延び、車体右側から見て円形状に形成される円形部62と円形部62から径方向外側に略三角形状に突出する突出部63とを備えている。シャフト支持部60には、車体上側、車体前下側、車体後下側に突出する3つの突出部63が備えられている。
【0063】
シャフト支持部60の円形部62は、環状に形成され、
図6に示すように、外径がデフ側シャフト31の第2拡径部31fと略等しく形成されると共に内径が第2拡径部31fより小さく形成されている。円形部62には、内周面にドライブシャフト30が挿通されるシャフト挿通部60aが設けられると共に、シャフト挿通部60aの車体右側にドライブシャフト30に圧入された軸受61が嵌合される嵌合凹部64が形成されている。嵌合凹部64は、車体右側から車体左側に円柱状に窪んで形成され、車幅方向と直交する方向に延びる底面部64aと円筒状に形成される側面部64bとを備えている。
【0064】
軸受61は、デフ側シャフト31の第1拡径部31eに圧入嵌合される内輪61aと、シャフト支持部60の嵌合凹部64に径方向に離間して嵌合される外輪61bと、内輪61aと外輪61bとの間に介装された複数のボール61cとを備え、内輪61aと外輪61bとは、相対回転可能に構成されている。軸受61は、グリス又は潤滑油が封入されたシール付き軸受として構成されている。
【0065】
シャフト支持部60では、嵌合凹部64の側面部64bは、軸受61の外輪61bより外径が大きく形成されている。嵌合凹部64の側面部64bはまた、軸受61より車幅方向長さが大きく形成され、ドライブシャフト30に圧入された軸受61が嵌合凹部64の底面部64aに当接したとき、ドライブシャフト30に嵌合された抜け止め部材80をシャフト支持部60の車体右側の端面に接触させて取り付けることができるようになっている。
【0066】
シャフト支持部60では、嵌合凹部64の底面部64aは、シャフト挿通部60aによって中心側が開口され、軸受61の内輪61aに接触することなく、軸受61の外輪61bにのみ係合可能に形成されている。シャフト支持部60に挿通されるドライブシャフト30は、サイドギヤ59と共にオイルパン40に対して相対回転できるようになっている。
【0067】
オイルパン40には、軸受61より車体左側においてシャフト挿通部60aにドライブシャフト30との間をシールするシール部材46が固定して取り付けられている。これにより、デフハウジング51内に貯留された潤滑油がオイルパン40の車体右側においてオイルパン40とドライブシャフト30との間から外部に漏れることを抑制することができる。
【0068】
一方、オイルパン40の車体左側には、
図4に示すように、デフハウジング51に、オイルパン40とデフハウジング51との間をシールするシール部材47が固定されている。デフハウジング51にはまた、ドライブシャフト20との間をシールするシール部材48が固定され、ドライブピニオン14にスプライン嵌合されて自在継手13に連結される連結部材17との間をシールするシール部材49が固定されている。これにより、デフハウジング51内に貯留された潤滑油がオイルパン40の車体右側において外部に漏れることが抑制されている。
【0069】
シャフト支持部60の突出部63は、円形部62からドライブシャフト30の第2拡径部31fより径方向外側に突出するように形成されている。突出部63には、
図7に示すように、突出先端側に抜け止め部材80が取り付けられる取付部65が設けられ、突出基端側に車体左側に略台形状に窪む穴部66が設けられている。突出部63の取付部65には車体右側に延びるスタッドボルト67が立設されている。
【0070】
抜け止め部材80は、
図6に示すように、平板状に形成され、ドライブシャフト30、具体的にはデフ側シャフト31に第2拡径部31fより車体左側且つ軸受61より車体右側に車幅方向と直交する方向に延びるように嵌合されている。抜け止め部材80は、
図8に示すように、車幅方向から見て円形状に形成される円形部82と円形部82から径方向外側に略三角形状に突出する突出部83とを備えている。抜け止め部材80には、車体上側、車体前下側、車体後下側に突出する3つの突出部83が備えられている。
【0071】
抜け止め部材80の円形部82は、環状に形成され、外径がデフ側シャフト31の第2拡径部31fと略等しく形成されると共に内径が第2拡径部31fより小さく形成されている。シャフト支持部60の円形部62及び突出部63はそれぞれ、抜け止め部材80の円形部82及び突出部83に対応して車幅方向から見て略同一形状に形成されている。
【0072】
抜け止め部材80には、
図6に示すように、シャフト支持部60に取り付けられる取付部85と、ドライブシャフト30に圧入された軸受61の車体右側に係合してドライブシャフト30が車体右側に移動することを規制する規制部86とが設けられている。
【0073】
抜け止め部材80の取付部85は、抜け止め部材80の突出部83に設けられている。突出部83は、円形部82からドライブシャフト30の第2拡径部31fより径方向外側に突出するように形成されている。突出部83の突出先端側に取付部85が設けられ、取付部85にボルト挿通穴87が形成されている。
【0074】
抜け止め部材80は、シャフト支持部60に立設されたスタッドボルト67にボルト挿通穴87が挿通された状態でスタッドボルト67にナットNが螺合されることで、抜け止め部材80の取付部85がシャフト支持部60の取付部65に取り付けられてシャフト支持部60に取り付けられる。
【0075】
抜け止め部材80の規制部86は、抜け止め部材80の円形部82に設けられている。円形部82は、内径が軸受61の内輪61aより大きく軸受61の外輪61bより小さく形成され、車幅方向において軸受61の内輪61aに係合することなく軸受61の外輪61bにのみ係合可能に形成されている。円形部82はまた、外径がデフ側シャフト31の第2拡径部31fと略等しく形成され、車幅方向に第2拡径部31fに係合可能に形成されている。
【0076】
図9は、オイルパンに取り付けられるドライブシャフトの斜視図、
図10は、オイルパンへのドライブシャフトの取付けを説明するための説明図である。
図9に示すように、ドライブシャフト30は、車体組立時、車輪側シャフト32が長く、車輪側シャフト32にホイールサポートとナックルとが取り付けられることなくオイルパン40に挿通されてデファレンシャル装置8に連結される。
【0077】
ドライブシャフト30には先ず、先端側から抜け止め部材80が嵌合された後に第1拡径部31eに軸受61が圧入され、抜け止め部材80は、ドライブシャフト30に第2拡径部31fと軸受61との間に取り付けられる。
【0078】
そして、
図10に示すように、ドライブシャフト30がオイルパン40に挿通されてデファレンシャル装置8に連結されるとき、抜け止め部材80のボルト挿通穴87がシャフト支持部60に立設されたスタッドボルト67に挿通されて抜け止め部材80の取付部85とシャフト支持部60の取付部65とが接触して合わせられる。その後に、ナットNが車体右側からスタッドボルト67に螺合されて抜け止め部材80がシャフト支持部60に取り付けられ、ドライブシャフト30がオイルパン40に取り付けられて支持される。
【0079】
この場合、
図6に示すように、ドライブシャフト30は、車幅方向内側に移動されるとき、第1拡径部31eと第2拡径部31fとの間の段部が軸受61の内輪61aに車体右側から係合してドライブシャフト30が車体左側に移動してピニオンシャフト57に接触することが抑制されている。
【0080】
一方、ドライブシャフト30は、車幅方向外側に移動されるとき、軸受61が抜け止め部材80の規制部86に車体左側から係合してドライブシャフト30の車幅方向外側への移動が規制されて車幅方向外側に抜けることが抑制されている。
【0081】
車両1では、前述したように、デフハウジング51は、オイルパン40の車体左側に嵌合されてオイルパン40に取り付けられている。デフハウジング51は、ドライブピニオン14及びデファレンシャル装置8が収納された状態でオイルパン40に取り付けられる。
【0082】
図11は、オイルパンの被嵌合部を示す斜視図、
図12は、デフハウジングの嵌合部を示す斜視図である。
図11に示すように、オイルパン40の車体左側の側面部42には、車体左側から車体右側に窪んでデフハウジング51が嵌合される被嵌合部43が設けられている。オイルパン40の被嵌合部43は、車幅方向に延びて円筒状に形成され、被嵌合部43の嵌合面部は、円筒状に形成される被嵌合部43の内周面43aによって形成されている。
【0083】
オイルパン40の車体左側の側面部42にはまた、デフハウジング51が取り付けられる取付ボス部44が設けられ、取付ボス部44は、側面部42から車体右側に突出して形成されている。取付ボス部44にはネジ孔44aが形成され、締結ボルトB1を用いてデフハウジング51が取り付けられる。
【0084】
図12に示すように、デフハウジング51は、デファレンシャル装置8の車体前側を収納する前側ハウジング71と、デファレンシャル装置8の車体後側及びドライブピニオン14を収納する後側ハウジング72とを備えている。
【0085】
デフハウジング51は、前側ハウジング71の車体後側の端面と後側ハウジング72の車体前側の端面とが車体前後方向に合わせられると共に締結ボルトB2を用いて固定されることにより形成されている。前側ハウジング71と後側ハウジング72との合わせ面73は、車体前後方向に直交する方向に延びている。
【0086】
デフハウジング51の車体右側には、車体左側から車体右側に突出してオイルパン40の被嵌合部43に嵌合する嵌合部75が設けられている。デフハウジング51の嵌合部75は、車幅方向に延びて円筒状に形成され、嵌合部75の嵌合面部は、円筒状に形成される嵌合部75の外周面75aによって形成されている。
【0087】
図13は、オイルパンとデフハウジングとの嵌合部分を示す断面図であり、
図5のY13-Y13線に沿った断面図を示している。
図13に示すように、デフハウジング51の嵌合面部75aには、径方向内側に窪む複数の凹部76が形成されるとともに複数の凹部76を除く部分によって径方向外側に突出する複数の凸部77が形成されている。
【0088】
デフハウジング51の嵌合面部75aは、周方向の異なる位置に径方向に窪む複数の凹部76と径方向に突出する複数の凸部77とを備え、複数の凸部77がオイルパン40の嵌合面部43aに接触するようにオイルパン40の嵌合面部43aに嵌合されている。
【0089】
車両1では、デフハウジング51の嵌合面部75aに、周方向の異なる位置である車体前上側、車体前下側、車体後上側、車体後下側に4つの凸部77が設けられ、周方向に隣接する凸部77の間に周方向に異なる位置に4つの凹部76が形成されている。嵌合面部75aの4つの凸部77は、周方向に等間隔に異なる位置に配置されている。
【0090】
デフハウジング51の車体右側にはまた、オイルパン40に取り付けられる取付ボス部74が設けられ、取付ボス部74は、嵌合部75の径方向に外側に突出して形成されている。取付ボス部74には、ボルト挿通穴74aが形成されている。
【0091】
デフハウジング51は、嵌合部75がオイルパン40の被嵌合部43に嵌合されると共に取付ボス部74がオイルパン40の取付ボス部44に合わせられた状態で、締結ボルトB1をデフハウジング51のボルト挿通穴74aを通じてオイルパン40のネジ孔44aに螺合させることにより、オイルパン40に取り付けられる。
【0092】
デフハウジング51の嵌合部75には、前述したように、デフハウジング51内に貯留された潤滑油が外部に漏れることを防止するために車体右側にシール部材47が取り付けられ、デフハウジングと51とオイルパン40との間にシール部材47が配置されるようになっている。デフハウジング51がオイルパン40に取り付けられた後に、前述したように左右のドライブシャフト20,30が取り付けられる。
【0093】
このように、本実施形態に係る車両のパワーユニット装置10では、エンジン2の車幅方向一方側に配置されるデファレンシャル装置8からドライブシャフト30がオイルパン40に挿通されて車幅方向他方側に延びる車両1において、オイルパン40に車幅方向他方側にシャフト支持部60が備えられ、ドライブシャフト30にオイルパン挿通部31d及び拡径部31fが備えられる。
【0094】
そして、ドライブシャフト30に、拡径部31fより車幅方向一方側に抜け止め部材80が嵌合され、抜け止め部材80より車幅方向一方側のドライブシャフト30に軸受61が圧入され、抜け止め部材80に、シャフト支持部60に取り付けられる取付部85と軸受61と係合する規制部86とが備えられる。
【0095】
これにより、抜け止め部材80が嵌合されると共に軸受61が圧入されたドライブシャフト30をオイルパン40の車幅方向他方側からオイルパン40に挿通させて抜け止め部材80の取付部85をオイルパン40のシャフト支持部60に取り付けることで、ドライブシャフト30を比較的容易にオイルパン40に取り付けることができると共に、ドライブシャフト30が車幅方向他方側に移動するときに軸受61が抜け止め部材80の規制部86に係合してドライブシャフト30が車幅方向他方側に抜けることを抑制することができる。
【0096】
したがって、エンジン2の車幅方向一方側にデファレンシャル装置8が配置される車両1において、デファレンシャル装置8からドライブシャフト30がエンジン2のオイルパン40に挿通されて車幅方向他方側に延びる場合に、比較的容易にドライブシャフト30の抜け止めを行うことができる。
【0097】
また、シャフト支持部60は、車幅方向他方側から車幅方向一方側に円柱状に窪んで軸受61が嵌合される嵌合凹部64を備え、軸受61は、ドライブシャフト30に圧入嵌合される内輪61aと嵌合凹部64に径方向に離間して嵌合される外輪61bとを備えている。
【0098】
これにより、軸受61は、ドライブシャフト30に圧入嵌合される内輪61aとオイルパン40のシャフト支持部60に備えられた嵌合凹部64に径方向に離間して嵌合される外輪61bとを備えるので、外輪61bが抜け止め部材80の規制部86に係合可能であるようにドライブシャフト30に圧入された軸受61をシャフト支持部60の嵌合凹部64に径方向に離間して嵌合させることで、ドライブシャフト30をオイルパン40に回転可能に取り付けると共にドライブシャフト30の抜け止めを行うことができる。
【0099】
また、オイルパン40に、軸受61より車幅方向一方側においてドライブシャフト30との間をシールするシール部材46が取り付けられる。
【0100】
これにより、軸受61より車幅方向一方側においてオイルパン40にドライブシャフト30との間をシールするシール部材46が取り付けられるので、デフハウジング51内に貯留された潤滑油がオイルパン40の車幅方向他方側においてオイルパン40とドライブシャフト30との間から外部に漏れることを抑制することができる。
【0101】
また、抜け止め部材80は、拡径部31fより内径が小さく円形状に形成されてドライブシャフト30に嵌合される円形部82と、円形部82から拡径部31fより径方向外側に突出する突出部83とを備え、円形部82に規制部86が設けられ、突出部83に取付部85が設けられる。
【0102】
これにより、抜け止め部材80に、ドライブシャフト30に嵌合される円形部82と拡径部31fより径方向外側に突出する突出部83とが備えられ、突出部83に取付部85が設けられるので、抜け止め部材80の突出部83に拡径部31fより径方向外側に取付部85を設けることで、抜け止め部材80をシャフト支持部60に取り付ける取付作業を容易に行うことができる。
【0103】
また、シャフト支持部60は、抜け止め部材80の円形部82に対応して円形状に形成されてドライブシャフト30が挿通される円形部62と、抜け止め部材80の突出部83に対応して円形部62から径方向外側に突出して抜け止め部材80が取り付けられる突出部63とを備える。
【0104】
これにより、シャフト支持部60に、抜け止め部材80の円形部82に対応して形成される円形部62と、抜け止め部材80の突出部83に対応して円形部82から径方向外側に突出して抜け止め部材80が取り付けられる突出部83とが備えられるので、シャフト支持部60に抜け止め部材80を比較的容易に合わせて取り付けることができ、ドライブシャフト30を比較的容易にオイルパン40に挿通させて取り付けることができる。
【0105】
また、シャフト支持部60の突出部63に、突出先端側に抜け止め部材80の取付部85が取り付けられる取付部65が設けられ、突出基端側に車幅方向一方側に窪む穴部66が設けられる。
【0106】
これにより、シャフト支持部60の突出部63に、突出先端側に取付部65が設けられ、突出基端側に穴部66が設けられるので、突出部63に設けられる穴部66によって軽量化を図りつつ、突出部63に設けられる取付部65を円形部62の径方向外側に配置させてシャフト支持部60に抜け止め部材80を比較的容易に取り付けることができる。
【0107】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明によれば、エンジンの車幅方向一方側にデファレンシャル装置が配置される車両において、デファレンシャル装置からドライブシャフトがエンジンのオイルパンに挿通されて車幅方向他方側に延びる場合に、比較的容易にドライブシャフトの抜け止めを行うことが可能であるから、この種の車両ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0109】
1 車両
2 エンジン
8 デファレンシャル装置
10 パワーユニット装置
30 ドライブシャフト
31d オイルパン挿通部
31e 第1拡径部
31f 第2拡径部
40 オイルパン
46 シール部材
60 シャフト支持部
61 軸受
62 シャフト支持部の円形部
63 シャフト支持部の突出部
64 嵌合凹部
65 シャフト支持部の取付部
66 穴部
80 抜け止め部材
82 抜け止め部材の円形部
83 抜け止め部材の突出部
85 抜け止め部材の取付部
86 抜け止め部材の規制部