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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】投光装置および移動体用投光装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20240416BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20240416BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20240416BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20240416BHJP
   F21S 41/675 20180101ALI20240416BHJP
   F21S 41/65 20180101ALI20240416BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20240416BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240416BHJP
【FI】
B60Q1/14 Z
B60Q1/04 E
F21S41/151
F21S41/25
F21S41/675
F21S41/65
F21W102:00
F21Y115:10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020079234
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021172272
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 美佳
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025874(JP,A)
【文献】特開2019-167011(JP,A)
【文献】特開2006-293116(JP,A)
【文献】特開2019-003120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
F21S 41/00
F21W 102/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に並んで配置された複数の発光部を有する光源と、
前記複数の発光部から光が照射される投影レンズと、
前記投影レンズを通過した光を、前記複数の発光部が並ぶ方向に走査するミラー部と、前記ミラー部を揺動させる駆動源と、を有する光スキャナと、を備え、
前記ミラー部は、前記複数の発光部の各々から照射され、前記ミラー部によって走査された走査光を、中央の谷部分と、前記谷部分の両側に位置するピークとを有する強度分布となるように走査し、
前記光スキャナは、前記走査光の各々の強度分布の前記谷部分に、少なくとも、他の発光部の前記走査光の各々の強度分布の前記ピークが複数位置するように、前記複数の発光部から照射された光を走査するように構成されている、投光装置。
【請求項2】
前記光スキャナは、前記走査光の各々の強度分布の前記谷部分に、少なくとも、他の発光部の前記走査光の各々の強度分布の前記ピークが複数位置するように、前記複数の発光部から照射された光を走査する際に、前記ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている、請求項1に記載の投光装置。
【請求項3】
前記ピークは、一方側に位置する第1ピークと、他方側に位置する第2ピークとを含み、
前記光スキャナは、前記複数の発光部のうち、一方側の端部に設けられた第1発光部の前記走査光の強度分布の前記谷部分である第1谷部分に、複数の前記第1ピークが位置するとともに、前記複数の発光部のうち、他方側の端部に設けられた第2発光部の前記走査光の強度分布の前記谷部分である第2谷部分に、複数の前記第2ピークが位置するような強度分布となるように、前記複数の発光部から照射された光を走査する際に、前記ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている、請求項2に記載の投光装置。
【請求項4】
前記光スキャナは、前記第1谷部分に、前記第1発光部の前記第1ピークおよび前記第2発光部の前記第1ピーク以外の全ての前記第1ピークが位置し、前記第2谷部分に、前記第1発光部の前記第2ピークおよび前記第2発光部の前記第2ピーク以外の全ての前記第2ピークが位置するような強度分布となるように、前記複数の発光部から照射された光を走査する際に、前記ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている、請求項3に記載の投光装置。
【請求項5】
前記光スキャナは、前記第1発光部の前記第2ピークが、前記第2発光部の前記第1ピークよりも、前記第2発光部の前記第2ピーク側に位置するような強度分布となるように、前記複数の発光部から照射された光を走査する際に、前記ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている、請求項4に記載の投光装置。
【請求項6】
前記光スキャナは、前記複数の発光部から照射される光量を最大光量から変更することなく、前記ミラー部が揺動する角度範囲を調整することにより、前記走査光を、前記谷部分および前記ピークを有する強度分布を有する光とするように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の投光装置。
【請求項7】
前記複数の発光部は、略等間隔で配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の投光装置。
【請求項8】
前記複数の発光部は、前記ミラー部の走査方向、および、前記走査方向と直交する方向に並んで配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の投光装置。
【請求項9】
前記ミラー部は、平板形状を有する金属製の部材によって構成されており、
前記駆動源は、板波を発生させるとともに、発生させた板波によって前記ミラー部を所定の揺動軸の軸線周りを往復して振動するように揺動させるように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の投光装置。
【請求項10】
移動体に搭載され、前記移動体の前方に光を照射する移動体用投光装置であって、
所定の方向に並んで配置された複数の発光部を有する光源と、
前記複数の発光部から光が照射される投影レンズと、
前記投影レンズを通過した光を、前記複数の発光部が並ぶ方向に走査するミラー部と、前記ミラー部を揺動させる駆動源と、を有する光スキャナと、
前記ミラー部によって走査された光が照射される領域のうち、遮光する領域を検知する検知部と、
前記ミラー部の揺動角度を取得する揺動角度取得部と、
前記検知部が取得した検知結果と、前記揺動角度取得部が取得した前記ミラー部の揺動角度とに基づいて、前記複数の発光部のうち、前記遮光する領域に走査される光を発光する発光部の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより、前記遮光する領域と、光を照射する領域と形成する制御を行う制御部と、を備え、
前記ミラー部は、前記複数の発光部の各々から照射され、前記ミラー部によって走査された走査光を、中央の谷部分と、前記谷部分の両側に位置するピークとを有する強度分布となるように走査し、
前記光スキャナは、前記走査光の各々の強度分布の前記谷部分に、少なくとも、他の発光部の前記走査光の各々の強度分布の前記ピークが複数位置するように、前記複数の発光部から照射された光を走査するように構成されている、移動体用投光装置。
【請求項11】
前記光スキャナは、前記走査光の各々の強度分布の前記谷部分に、少なくとも、他の発光部の前記走査光の各々の強度分布の前記ピークが複数位置するように、前記複数の発光部から照射された光を走査する際に、前記ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている、請求項10に記載の移動体用投光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投光装置および移動体用投光装置に関し、特に、光スキャナによって光を走査する投光装置および移動体用投光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光スキャナによって光を走査する投光装置および移動体用投光装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、光源と、走査ミラーと、制御部と、を備える車両用前照灯装置が開示されている。
【0004】
上記特許文献1に開示されている車両用前照灯装置は、光源の出射光を走査ミラーによって走査することにより、自動車両の前方に光を照射する構成が開示されている。特許文献1に開示されている構成は、走査ミラーを所定の振れ角で振動させることにより、光源からの出射光を走査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-167011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、走査ミラーによって光を走査した場合、走査領域の端部では、ミラーの振動方向が変化するため、ミラーの振動速度が0(ゼロ)になる瞬間がある。一方、走査範囲の中央部分では、ミラーの振動速度が最も早くなる。したがって、ミラーが光を走査する領域の両端部分と中央部分とにおいて、走査される光の強度の差が大きくなる。そのため、たとえば、上記特許文献1に開示されている構成において、光源から照射された光を走査ミラーによって走査した場合、光の強度にばらつきが大きい光が照射されるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、光源から照射された光をミラー部によって走査する場合でも、投影される光に生じる強度のばらつきを抑制することが可能な投光装置および移動体用投光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による投光装置は、所定の方向に並んで配置された複数の発光部を有する光源と、複数の発光部から光が照射される投影レンズと、投影レンズを通過した光を、複数の発光部が並ぶ方向に走査するミラー部と、ミラー部を揺動させる駆動源と、を有する光スキャナと、を備え、ミラー部は、複数の発光部の各々から照射され、ミラー部によって走査された走査光を、中央の谷部分と、谷部分の両側に位置するピークとを有する強度分布となるように走査し、光スキャナは、走査光の各々の強度分布の谷部分に、少なくとも、他の発光部の走査光の各々の強度分布のピークが複数位置するように、複数の発光部から照射された光を走査するように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面による投光装置では、上記のように、光スキャナは、走査光の各々の強度分布の谷部分に、少なくとも、他の発光部の走査光の各々の強度分布のピークが複数位置するように、複数の発光部から照射された光を走査するように構成されている。これにより、光源から照射された光をミラー部によって走査することにより、走査領域の両端部分と中央部分とにおいて、走査される光の強度の差が大きくなった場合でも、走査光の強度分布の谷部分に他の発光部の走査光の強度分布のピークが位置するため、谷部分の光の強度とピークの光の強度とによって、走査光の強度の差を低減させることができる。その結果、光源から照射された光をミラー部によって走査する場合でも、投影される光に生じる強度のばらつきを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による投光装置において、好ましくは、光スキャナは、走査光の各々の強度分布の谷部分に、少なくとも、他の発光部の走査光の各々の強度分布のピークが複数位置するように、複数の発光部から照射された光を走査する際に、ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている。このように構成すれば、ミラー部が揺動する角度範囲を調整することにより、走査光の強度分布の谷部分に他の走査光の強度分布のピークが位置するように、光を走査することができる。その結果、投影される光に生じる強度のばらつきを容易に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、ピークは、一方側に位置する第1ピークと、他方側に位置する第2ピークとを含み、光スキャナは、複数の発光部のうち、一方側の端部に設けられた第1発光部の走査光の強度分布の谷部分である第1谷部分に、複数の第1ピークが位置するとともに、複数の発光部のうち、他方側の端部に設けられた第2発光部の走査光の強度分布の谷部分である第2谷部分に、複数の第2ピークが位置するような強度分布となるように、複数の発光部から照射された光を走査する際に、ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている。このように構成すれば、第1谷部分に複数の第1ピークが位置するとともに、第2谷部分に複数の第2ピークが位置する強度分布となるため、第1谷部分に1つの第1ピークが位置するとともに、第2谷部分に1つの第2ピークが位置する強度分布と比較して、ピークと谷部分とによる走査光の強度の差をより低減させることができる。その結果、投影される光に生じる強度のばらつきをより抑制することができる。
【0012】
上記第1谷部分に複数の第1ピークが位置するとともに、第2谷部分に複数の第2ピークが位置するように、ミラー部が揺動する角度範囲を調整する構成において、好ましくは、光スキャナは、第1谷部分に、第1発光部の第1ピークおよび第2発光部の第1ピーク以外の全ての第1ピークが位置し、第2谷部分に、第1発光部の第2ピークおよび第2発光部の第2ピーク以外の全ての第2ピークが位置するような強度分布となるように、複数の発光部から照射された光を走査する際に、ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている。このように構成すれば、第1谷部分に位置する第1ピークの数、および、第2谷部分に位置する第2ピークの数を増加させることができる。その結果、ピークと谷部分とによる走査光の強度の差をより一層低減させることが可能となるので、投影される光に生じる強度のばらつきをより一層抑制することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、光スキャナは、第1発光部の第2ピークが、第2発光部の第1ピークよりも、第2発光部の第2ピーク側に位置するような強度分布となるように、複数の発光部から照射された光を走査する際に、ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている。このように構成すれば、第1谷部分に、全ての第1ピークが位置するとともに、第2谷部分に全ての第2ピークが位置する強度分布となるように、発光部からの光を走査することができる。その結果、ピークと谷部分とによる走査光の強度の差をより一層効果的に低減させることが可能となるので、投影される光に生じる強度のばらつきをより一層効果的に抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による投光装置において、好ましくは、光スキャナは、複数の発光部から照射される光量を最大光量から変更することなく、ミラー部が揺動する角度範囲を調整することにより、走査光を、谷部分およびピークを有する強度分布を有する光とするように構成されている。このように構成すれば、たとえば、走査光の強度分布にばらつきが生じることを抑制するために、複数の発光部から照射される光量を調整する構成と比較して、各発光部から照射される光の利用効率が低下することを抑制することができる。その結果、複数の発光部から照射される光の利用効率が低下することを抑制しつつ、投影される光の強度がばらつくことを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による投光装置において、好ましくは、複数の発光部は、略等間隔で配置されている。このように構成すれば、各発光点から照射された光も、略等間隔に走査されるので、谷部分において、複数のピークの位置が略等間隔となるように、光を走査させることができる。その結果、谷部分と複数のピークとにおける光の強度の相殺が略等間隔で生じるので、投影される光の強度のばらつきをより容易に抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による投光装置において、好ましくは、複数の発光部は、ミラー部の走査方向、および、走査方向と直交する方向に並んで配置されている。このように構成すれば、ミラー部の走査方向および、走査方向と直交する方向に発光部が配置されるので、光源に含まれる発光部の数を増加させることが可能となり、走査光の光量を容易に増加させることができる。
【0017】
上記第1の局面による投光装置において、好ましくは、ミラー部は、平板形状を有する金属製の部材によって構成されており、駆動源は、板波を発生させるとともに、発生させた板波によってミラー部を所定の揺動軸の軸線周りを往復して振動するように揺動させるように構成されている。このように構成すれば、板波によってミラー部を揺動させるため、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーと比較して、ミラー部の大きさを大きくすることができる。その結果、ミラー部の大きさを大きくすることが可能となるので、走査光の照射範囲を容易に広くすることができる。
【0018】
この発明の第2の局面による移動体用投光装置は、移動体に搭載され、移動体の前方に光を照射する移動体用投光装置であって、所定の方向に並んで配置された複数の発光部を有する光源と、複数の発光部から光が照射される投影レンズと、投影レンズを通過した光を、複数の発光部が並ぶ方向に走査するミラー部と、ミラー部を揺動させる駆動源と、を有する光スキャナと、ミラー部によって走査された光が照射される領域のうち、遮光する領域を検知する検知部と、ミラー部の揺動角度を取得する揺動角度取得部と、検知部が取得した検知結果と、揺動角度取得部が取得したミラー部の揺動角度とに基づいて、複数の発光部のうち、遮光する領域に走査される光を発光する発光部の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより、遮光する領域と、光を照射する領域と形成する制御を行う制御部と、を備え、ミラー部は、複数の発光部の各々から照射され、ミラー部によって走査された走査光を、中央の谷部分と、谷部分の両側に位置するピークとを有する強度分布となるように走査し、光スキャナは、走査光の各々の強度分布の谷部分に、少なくとも、他の発光部の走査光の各々の強度分布のピークが複数位置するように、複数の発光部から照射された光を走査するように構成されている。
【0019】
この発明の第2の局面による移動体用投光装置では、上記のように、複数の発光部のうち、遮光する領域に走査される光を発光する発光部の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより、遮光する領域と、光を照射する領域と形成する制御を行う制御部と、走査光の各々の強度分布の谷部分に、少なくとも、他の発光部の走査光の各々の強度分布のピークが複数位置するように、複数の発光部から照射された光を走査する光スキャナとを備える。これにより、上記第1の局面における投光装置と同様に、複数の発光部から照射された光をミラー部によって走査する場合でも、投影される光に生じる照射強度のばらつきを抑制しつつ、所望の領域に照射光を走査させることが可能な移動体用投光装置を提供することができる。
【0020】
上記第2の局面による移動体用投光装置において、好ましくは、光スキャナは、走査光の各々の強度分布の谷部分に、少なくとも、他の発光部の走査光の各々の強度分布のピークが複数位置するように、複数の発光部から照射された光を走査する際に、ミラー部が揺動する角度範囲を調整するように構成されている。このように構成すれば、上記第1の局面における投光装置と同様に、移動体用投光装置においても、投影される光に生じる強度のばらつきを容易に抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、光源から照射された光をミラー部によって走査する場合でも、投影される光に生じる強度のばらつきを抑制することが可能な投光装置および移動体用投光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態による投光装置を搭載した移動体を説明するための模式図である。
図2】一実施形態による投光装置の全体構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態による光スキャナの構成を説明するための斜視図である。
図4】一実施形態による投光装置が発光部から照射された光を走査する構成を説明するための模式図である。
図5】一実施形態によるミラー部が停止している場合の1つの走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図6】一実施形態によるミラー部が揺動している場合の1つの走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図7】一実施形態によるミラー部が図6に示す例よりも大きい揺動角度で揺動している場合の1つの走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図8】一実施形態によるミラー部によって走査された複数の走査光の強度分布の重なりを説明するためのグラフである。
図9】一実施形態によるミラー部が停止している場合の複数の走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図10】比較例によるミラー部が揺動している場合の複数の走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図11】一実施形態によるミラー部が揺動している場合の複数の走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図12】一実施形態による制御部が、光を照射する領域と遮光する領域とを形成する処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第1変形例によるミラー部によって走査された複数の走査光の強度分布の重なりを説明するためのグラフである。
図14】第1変形例によるミラー部が揺動している場合の複数の走査光の強度分布を説明するためのグラフである。
図15】第2変形例による光源の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1図12を参照して、一実施形態による投光装置100の構成について説明する。
【0025】
(移動体)
図1に示すように、本実施形態による投光装置100は、移動体110に搭載されている。また、投光装置100は、移動体110の前方に光を照射するように構成されている。移動体110は、たとえば、自動車を含む。なお、本明細書では、また、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する面内において互いに直交する2方向をそれぞれX方向およびY方向とする。X方向のうち、一方側をX1方向とし、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうち、一方側をY1方向とし、他方側をY2方向とする。図1に示す例は、移動体110の前方がX1方向である。
【0026】
(投光装置の構成)
本実施形態による投光装置100は、図2に示すように、光源1と、投影レンズ2と、光スキャナ3と、検知部4と、揺動角度取得部5と、制御部6と、を備えている。投光装置100は、移動体110の進行方向(X1方向)に向けて、光を照射するように構成されている。
【0027】
光源1は、光を出力するように構成されている。具体的には、光源1は、所定の方向に並んで配置された複数の発光部10を有する。本実施形態では、複数の発光部10は、第1発光部10aと、第2発光部10bと、第3発光部10cと、第4発光部10dと、第5発光部10eとを含む。複数の発光部10から照射された光は、投影レンズ2を介して、光スキャナ3が有するミラー部3aに照射するように構成されている。光源1は、たとえば、LED(Light Emitting Diode)または、LD(Laser Diode)などを含む。本実施形態では、光源1は、LEDを含む。
【0028】
投影レンズ2は、複数の発光部10から光が照射される。投影レンズ2は、複数の発光部10から照射された光を光スキャナ3が有するミラー部3aに集束させるように構成されている。
【0029】
光スキャナ3は、ミラー部3aと、駆動源3bとを含む。光スキャナ3は、駆動源3bが発生させた板波によってミラー部3aを揺動させながら、複数の発光部10から照射された光を走査させるように構成されている。投光装置100の詳細な構成、および、投光装置100が複数の発光部10から照射された光を走査させる詳細な構成については、後述する。
【0030】
ミラー部3aは、投影レンズ2を通過した光を、複数の発光部10が並ぶ方向に走査するように構成されている。
【0031】
駆動源3bは、ミラー部3aを揺動させるように構成されている。駆動源3bは、たとえば、圧電素子を含む。圧電素子は、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含む。駆動源3bがミラー部3aを揺動させる構成の詳細については、後述する。
【0032】
検知部4は、ミラー部3aによって走査された光が照射される領域Riのうち、遮光する領域Rsを検知するように構成されている。検知部4は、たとえば、光学式の撮像装置(撮像カメラ)、または、レーザセンサ、超音波センサなどを含む。
【0033】
揺動角度取得部5は、ミラー部3aの揺動角度θ(図4参照)を取得するように構成されている。揺動角度取得部5は、たとえば、磁気式の角度センサを含む。
【0034】
制御部6は、投光装置100の各部を制御するように構成されている。また、制御部6は、光源1による光の照射を制御するように構成されている。また、制御部6は、光スキャナ3を制御するように構成されている。制御部6は、光が照射される領域Ri(図12参照)と、遮光する領域Rs(図12参照)とを形成するように構成されている。制御部6は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含んでいる。制御部6が、光が照射される領域Riと、遮光する領域Rsとを形成する構成の詳細については、後述する。
【0035】
(投光装置の構成)
図3に示すように、投光装置100は、ミラー部3aと、駆動源3bと、基板30と、保持部材31と、を備える。なお、図3に示す例では、基板30の揺動軸Axと直交する方向をA方向とし、一方側をA1方向、他方側をA2方向としている。また、揺動軸Axが延びる方向を、B方向とし、一方側をB1方向、他方側をB2方向としている。また、AB平面と直交する方向を、C方向とし、一方側をC1方向、他方側をC2方向としている。
【0036】
ミラー部3aは、光源1から照射された光を反射するように構成されている。ミラー部3aは、平板形状を有する金属製の部材によって構成されている。ミラー部3aは、たとえば、アルミ材により構成されている。本実施形態では、ミラー部3aは、基板30とは別体で設けられている。具体的には、ミラー部3aは、ミラー部配置部30dに設けられている。なお、図2に示す例では、便宜上、ミラー部3aにハッチングを付して図示している。
【0037】
基板30は、一対の梁部30aと、支持部30bと、トーション部30cとを含む。また、基板30は、ミラー部3aが配置されるミラー部配置部30dを含む。基板30は、たとえば、平板形状のステンレス鋼材により構成されている。
【0038】
一対の梁部30aの各々は、A1方向側において、支持部30bに支持されている。また、図3に示す例では、一対の梁部30aのY2方向側の端部のX方向の幅を大きくすることにより、保持部30eを形成している。また、保持部30eは、たとえば、ビス止めされることにより、保持部材31に保持される。
【0039】
支持部30bは、一対の梁部30aの各々のA1方向側の端部を支持するように構成されている。また、支持部30bには、駆動源3bが設けられている。また、支持部30bは、A1方向において、一対の梁部30aを支持していない側の端部に、保持部30fを有する。支持部30bは、たとえば、ビス止めされことにより、保持部材31に保持される。
【0040】
トーション部30cは、ミラー部3aを揺動軸Ax周りに揺動可能に支持する。トーション部30cは、ミラー部3aの表面に沿う方向において一対の梁部30aが延びる方向(A方向)と直交する方向(B方向)に延びる。また、トーション部30cは、柱状形状を有している。また、トーション部30cは、一対設けられている。一対のトーション部30cの一方は、一対の梁部30aの一方と接続されており、他方のトーション部30cは、他方の梁部30aに接続されている。また、一対のトーション部30cの各々は、ミラー部配置部30dに接続されている。
【0041】
ミラー部配置部30dは、ミラー部3aが配置されるように構成されている。また、ミラー部配置部30dは、トーション部30cを介して一対の梁部30aに接続されている。ミラー部配置部30dの詳細な構成については、後述する。
【0042】
駆動源3bは、ミラー部3aを揺動させる板波を発生させるように構成されている。板波とは、駆動源3bがC方向に伸縮することにより生じる、XY平面方向の振動である。駆動源3bは、発生させた板波によってミラー部3aを所定の揺動軸Axの軸線周りを往復して振動するように揺動させるように構成されている。すなわち、光スキャナ3は、共振駆動型の光スキャナである。
【0043】
保持部材31は、支持部30bを保持するように構成されている。図3に示すように、保持部材31は、保持部30fを保持する。また、保持部材31は、一対の梁部30aの各々を保持するように構成されている。図2に示すように、保持部材31は、一対の梁部30aのうち、保持部30eを保持するように構成されている。
【0044】
図3に示すように、基板30は、たとえば、U字状形状を有する。また、図3には図示されていないが、保持部材31も、基板30と同様に、たとえば、U字状形状を有する。
【0045】
(光スキャナによる光の走査)
次に、図4図11を参照して、本実施形態による光スキャナ3が発光部10から照射された光を走査する構成について説明する。
【0046】
図4に示す例では、複数の発光部10から照射され、投影レンズ2を透過した光が、光スキャナ3によって走査され、配光観測面Lsに照射される。配光観測面Lsは、走査光の強度分布を観測するための仮想的な観測面である。配光観測面Lsは、光スキャナ3から所定の距離だけ離れた位置に設定される。配光観測面Lsは、たとえば、光スキャナ3から約5m離れた位置に設定される。
【0047】
図4に示すように、本実施形態では、複数の発光部10は、所定の方向に並んで配置されている。所定の方向は、ミラー部3aが光を走査する面(XY平面)内の方向である。複数の発光部10は、ミラー部3aが光を走査する面内において、ミラー部3aと正対する位置であれば、どのような方向に並んで配置されていてもよい。図4に示す例では、所定の方向は、X方向である。また、複数の発光部10は、略等間隔で配置されている。図4に示す例では、複数の発光部10は、互いの配置間隔がピッチp1となるように、等間隔で配置されている。
【0048】
本実施形態では、光スキャナ3は、複数の発光部10から照射される光量を最大光量から変更することなく、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整することにより、走査光を、谷部分41(図6参照)およびピークを有する強度分布を有する光とするように構成されている。
【0049】
また、ミラー部3aの揺動角度θとは、ミラー部3aが角度範囲R内を揺動する際の所定のタイミングにおいて、ミラー部3aの揺動中心Scからのミラー部3aの角度のことを意味する。なお、揺動中心Scとは、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rの中心である。
【0050】
(走査光の強度分布)
次に、図5図7を参照して、発光部10から照射され、ミラー部3aによって走査されることにより生じる走査光の強度分布の変化について説明する。
【0051】
図5に示すグラフG1は、ミラー部3aが停止している場合の走査光の強度分布40aのグラフである。グラフG1は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度である。
【0052】
グラフG1に示すように、ミラー部3aが停止している場合には、走査光は、1つのピークを有する強度分布40aとなる。
【0053】
図6に示すグラフG2は、ミラー部3aが揺動している場合の走査光の強度分布40bのグラフである。グラフG2は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度である。
【0054】
ミラー部3aによって光を走査した場合、走査領域の端部では、ミラー部3aの振動方向が変化するため、ミラー部3aの振動速度が0(ゼロ)になる瞬間がある。一方、走査範囲の中央部分では、ミラー部3aの振動速度が最も早くなる。したがって、グラフG2に示すように、強度分布40bは、谷部分41と、複数のピークとを有する。具体的には、強度分布40bは、谷部分41と、第1ピーク42と、第2ピーク43とを有する。第1ピーク42および第2ピーク43は、ミラー部3aが振動する際の、振動振幅が最大になる位置である。
【0055】
言い換えると、ミラー部3aは、複数の発光部10の各々から照射され、ミラー部3aによって走査された走査光を、中央の谷部分41と、谷部分41の両側に位置する第1ピーク42と第2ピーク43とを有する強度分布40bとなるように走査する。
【0056】
図7に示すグラフG3は、ミラー部3aが揺動している場合の走査光の強度分布40cのグラフである。グラフG3は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度である。グラフG3は、グラフG2に示す走査光の強度分布40bとなるようにミラー部3aが揺動する場合の角度範囲と比較して、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rが大きい場合の走査光の強度分布40cを示したグラフである。
【0057】
揺動角度が大きくなると、発光部10から照射される光の走査範囲が広くなる。すなわち、照射角度の範囲が大きくなる。しかしながら、発光部10から照射される光量は変化しないため、強度分布40cは、強度分布40bと比較して、照射強度の最大値は小さくなる。すなわち、発光部10から照射された光の照射角度は、ミラー部3aの振動振幅に応じて変化する。
【0058】
(走査光の重なり)
本実施形態では、光源1が複数の発光部10を有している。また、本実施形態では、ミラー部3aは、複数の発光部10の各々から照射された光が互いに重なるように、各光を走査する。そのため、光スキャナ3から照射された光は、照射領域内に暗線が形成されるような光とはならない。
【0059】
図8に示すグラフG4は、ミラー部3aが揺動している場合の複数の走査光の強度分布のグラフである。グラフG4は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度である。
【0060】
グラフG4のうち、強度分布40dは、第1発光部10a(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布40eは、第3発光部10c(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布40fは、第4発光部10d(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布40gは、第5発光部10e(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布40hは、第2発光部10b(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、グラフG4では、便宜上、各発光部10から照射された光の強度分布の形状を一致させて図示している。
【0061】
なお、図8に示す例では、各強度分布を、線の種類を異ならせることにより図示している。すなわち、第1発光部10aから照射された走査光の強度分布40dは、実線で図示している。また、第2発光部10bから照射された走査光の強度分布40hは、破線で図示している。また、第3発光部10cから照射された走査光の強度分布40eは、強度分布40hとは異なる間隔の破線で図示している。また、第4発光部10dから照射された走査光の強度分布40fは、一点鎖線で図示している。また、第5発光部10eから照射された走査光の強度分布40gは、二点鎖線で図示している。
【0062】
強度分布40dは、第1谷部分41aと、第1ピーク42aと、第2ピーク43aとを含む。強度分布40eは、谷部分41bと、第1ピーク42bと、第2ピーク43bとを含む。強度分布40fは、谷部分41cと、第1ピーク42cと、第2ピーク43cとを含む。強度分布40gは、谷部分41dと、第1ピーク42dと、第2ピーク43dとを含む。強度分布40hは、第2谷部分41eと、第1ピーク42eと、第2ピーク43eとを含む。
【0063】
すなわち、ミラー部3aは、各発光部10から照射された光が、谷部分41と、第1ピーク42と、第2ピーク43とを含む強度分布となるような角度範囲Rで揺動する。
【0064】
また、本実施形態では、複数の発光部10が、ピッチp1で略等間隔となるように配置されている。したがって、各発光部10から照射された各走査光の強度分布40d~強度分布40hについても、配光観測面Ls上において、略等間隔で観測される。たとえば、各走査光の強度分布40d~強度分布40hは、ピッチp2の間隔により略等間隔で観測される。
【0065】
本実施形態では、光スキャナ3は、グラフG4に示すように、走査光の強度分布の谷部分41に、少なくとも、他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するように、複数の発光部10から照射された光を走査するように構成されている。
【0066】
具体的には、光スキャナ3は、グラフG4に示すように、走査光の強度分布の谷部分41に、少なくとも、他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。
【0067】
本実施形態では、グラフG4に示すように、光スキャナ3は、複数の発光部10のうち、一方側の端部に設けられた第1発光部10aの走査光の強度分布の谷部分41である第1谷部分41aに、複数の第1ピーク42が位置するとともに、複数の発光部10のうち、他方側の端部に設けられた第2発光部10bの走査光の強度分布の谷部分41である第2谷部分41eに、複数の第2ピーク43が位置するような強度分布となるように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。
【0068】
具体的には、光スキャナ3は、第1発光部10aの第2ピーク43が、第2発光部10bの第1ピーク42よりも、第2発光部10bの第2ピーク43側に位置するような強度分布となるように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。
【0069】
言い換えると、光スキャナ3は、第1発光部10aから照射された走査光の第2ピーク43aと、第2発光部10bから照射された走査光の第1ピーク42eとの間の距離Dが、各走査光の強度分布の間隔であるピッチp2よりも小さくなるような強度分布となるように、ミラー部3aを揺動させる。
【0070】
(投光装置の照射光)
次に、図9図11を参照して、投光装置100から照射される照射光について説明する。
【0071】
図9に示すグラフG5は、ミラー部3aが停止している場合の第1発光部10a~第5発光部10eの走査光の強度分布40d~強度分布40hである。グラフG5は、横軸が照射範囲であり、縦軸が照射強度である。
【0072】
グラフG5に示す例は、投影レンズ2を透過した後の光の強度分布である。複数の発光部10は、X方向に並んで配置されている。そのため、グラフG5では、発光部10の位置の違いにより、各強度分布の形状がそれぞれ異なっている。
【0073】
図10に示すグラフG6は、比較例による光スキャナ3が走査した各走査光の強度分布および各走査光が重なった照射光の強度分布を示すグラフである。グラフG6は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度である。
【0074】
グラフG6のうち、強度分布140aは、第1発光部10a(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布140bは、第3発光部10c(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布140cは、第4発光部10d(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布140dは、第5発光部10e(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。また、強度分布140eは、第2発光部10b(図4参照)から照射された走査光の強度分布である。
【0075】
グラフG6に示す比較例は、たとえば、ミラー部3aが揺動される角度範囲R(図4参照)が、8.5度となるように、揺動される。ミラー部3aが揺動される角度範囲Rが8.5度となるようにミラー部3aが揺動された場合、グラフG6に示すように、ピーク同士が重なる位置となるように、各走査光が走査される。したがって、各走査光が重なった照射光の強度分布141は、照射強度のばらつきが大きい。なお、本実施形態では、照射強度のばらつきを、以下に示す式(1)により定義する。
照射強度のばらつき=ΔPn/Pmax ・・・(1)
ここで、ΔPnは、強度分布において、隣接するピークと谷との強度差のうちの、最大値である。また、Pmaxは、強度分布の最大照射強度である。
【0076】
図10に示す照射光の強度分布141は、照射強度のばらつきは、上記式(1)によって算出した結果、0.80であった。
【0077】
図11に示すグラフG7は、本実施形態による光スキャナ3が走査した走査光の強度分布および各走査光が重なった照射光の強度分布44を示すグラフである。グラフG7に示す各強度分布は、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rが32度となるように、ミラー部3aが揺動された際の強度分布の例である。
【0078】
本実施形態では、ミラー部3aは、第1谷部分41aに、第1発光部10aの第1ピーク42a以外の全ての第1ピーク42が位置するとともに、第2谷部分41eに、第2発光部10bの走査光の第2ピーク43e以外の全ての第2ピーク43が位置する強度分布となるように、走査される。各走査光が重なった照射光の強度分布44の照射強度のばらつきは、上記式(1)に基づいて計算した結果、0.31となった。すなわち、各走査光が重なった照射光の強度分布44は、比較例による照射光の強度分布141(図10参照)と比較して、照射強度のばらつきが小さいことが確認された。
【0079】
(照射領域および遮光領域の形成)
本実施形態では、制御部6は、複数の発光部10から照射された光の領域および配光を制御する。制御部6は、いわゆるADB(Adaptive Driving Beam)システムとして、複数の発光部10から照射された光の領域および配光を制御する。具体的には、図2に示すように、制御部6は、検知部4が取得した検知結果と、揺動角度取得部5が取得したミラー部3aの揺動角度θ(図4参照)とに基づいて、複数の発光部10のうち、遮光する領域Rsに走査される光を発光する発光部10の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより、遮光する領域Rsと、光を照射する領域Riとを形成する制御を行うように構成されている。
【0080】
制御部6は、検知部4が取得した検知結果によって、光を照射する領域Riのうち、移動体110(図1参照)が位置すると検知された領域を、遮光する領域Rsとする。
【0081】
制御部6は、ミラー部3aの揺動角度θに基づいて、遮光する領域Rsに走査される光を発行している発光部10を消灯状態とし、それ以外の発光部10は点灯状態とすることにより、光を照射する領域Riと、遮光する領域Rsとを形成する。
【0082】
次に、図12を参照して、本実施形態による制御部6が、光を照射する領域Riおよび遮光する領域Rsを形成する処理について説明する。なお、制御部6が、光を照射する領域Riおよび遮光する領域Rsを形成する処理は、光の照射を開始する操作入力が入力されることにより開始される。
【0083】
ステップS1において、制御部6は、検知部4が検知した検知結果を取得する。
【0084】
ステップS2において、制御部6は、光を照射する領域Ri内に、遮光する領域Rsを形成するための対象が位置しているか否かを判定する。遮光する領域Rsを形成するための対象は、たとえば、他の移動体である。光を照射する領域Ri内に、他の移動体が位置している場合、処理が、ステップS3へ進む。また、光を照射する領域Ri内に、他の移動体が位置していない場合、処理が、ステップS4へ進む。
【0085】
ステップS3において、制御部6は、光を照射する領域Ri内に、遮光する領域Rsを設定する。なお、すでに遮光する領域Rsが設定されている場合、ステップS3の処理は省略される。その後、処理が、ステップS5へ進む。
【0086】
また、ステップS4において、制御部6は、遮光する領域Rsの設定を解除する。なお、遮光する領域Rsが設定されていない場合、ステップS4の処理は、省略される。その後、処理が、ステップS5へ進む。
【0087】
ステップS5において、制御部6は、ミラー部3aの揺動角度θを取得する。
【0088】
ステップS6において、制御部6は、ミラー部3aの揺動角度θが、遮光する領域Rsに光を走査する角度か否かを判定する。ミラー部3aの揺動角度θが遮光する領域Rsに光を照射する角度の場合、処理は、ステップS7へ進む。ミラー部3aの揺動角度θが遮光する領域Rsに光を照射する角度でない場合、処理が、ステップS8へ進む。なお、ステップS6の処理では、ミラー部3aの揺動方向において、先頭に位置する発光部10の判定を行う。
【0089】
ステップS7において、制御部6は、発光部10を消灯状態とする。なお、発光部10がすでに消灯状態の場合、ステップS7の処理は省略される。その後、処理が、ステップS9へ進む。
【0090】
また、ステップS8において、制御部6は、発光部10を点灯状態とする。なお、発光部10がすでに点灯状態の場合、ステップS8の処理は省略される。その後、処理が、ステップS9へ進む。
【0091】
ステップS9において、制御部6は、全ての発光部10の状態を判定したか否かを判定する。全ての発光部10の状態を判定していない場合、処理は、ステップS6へ進む。全ての発光部10の状態を判定した場合、処理が終了する。すなわち、ステップS5において取得したミラー部3aの揺動角度θにおいて、各発光部10の状態を判定するまで、ステップS6~ステップS9の処理を繰り返す。
【0092】
なお、制御部6が光を照射する領域Riおよび遮光する領域Rsを形成する処理は、光の照射を終了する操作入力が入力されるまで継続される。すなわち、制御部6は、光の照射を終了する操作入力が入力されるまで、ステップS1~ステップS9の処理を繰り返す。
【0093】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0094】
本実施形態では、上記のように、投光装置100は、所定の方向に並んで配置された複数の発光部10を有する光源1と、複数の発光部10から光が照射される投影レンズ2と、投影レンズ2を通過した光を、複数の発光部10が並ぶ方向に走査するミラー部3aと、ミラー部3aを揺動させる駆動源3bと、を有する光スキャナ3と、を備え、ミラー部3aは、複数の発光部10の各々から照射され、ミラー部3aによって走査された走査光を、中央の谷部分41と、谷部分41の両側に位置するピークとを有する強度分布となるように走査し、光スキャナ3は、走査光の強度分布の谷部分41に、少なくとも、他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するように、複数の発光部10から照射された光を走査するように構成されている。これにより、光源1から照射された光をミラー部3aによって走査することにより、走査領域の両端部分と中央部分とにおいて、走査される光の強度の差が大きくなった場合でも、走査光の強度分布の谷部分41に他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するため、谷部分41の光の強度とピークの光の強度とによって、走査光の強度の差を低減させることができる。その結果、光源1から照射された光をミラー部3aによって走査する場合でも、投影される光に生じる強度のばらつきを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、光スキャナ3は、走査光の強度分布の谷部分41に、少なくとも、他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。これにより、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整することにより、走査光の強度分布の谷部分41に他の走査光の強度分布のピークが位置するように、光を走査することができる。その結果、投影される光に生じる強度のばらつきを容易に抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、光スキャナ3は、複数の発光部10のうち、一方側の端部に設けられた第1発光部10aの走査光の強度分布の谷部分41である第1谷部分41aに、複数の第1ピーク42が位置するとともに、複数の発光部10のうち、他方側の端部に設けられた第2発光部10bの走査光の強度分布の谷部分41である第2谷部分41eに、複数の第2ピーク43が位置するような強度分布となるように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。これにより、第1谷部分41aに複数の第1ピーク42が位置するとともに、第2谷部分41eに複数の第2ピーク43が位置する強度分布となるため、第1谷部分41aに1つの第1ピーク42が位置するとともに、第2谷部分41eに1つの第2ピーク43が位置する強度分布と比較して、ピークと谷部分41とによる走査光の強度の差をより低減させることができる。その結果、投影される光に生じる強度のばらつきをより抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、光スキャナ3は、第1発光部10aの第2ピーク43が、第2発光部10bの第1ピーク42よりも、第2発光部10bの第2ピーク43側に位置するような強度分布となるように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。これにより、第1谷部分41aに、全ての第1ピーク42が位置するとともに、第2谷部分41eに全ての第2ピーク43が位置する強度分布となるように、発光部10からの光を走査することができる。その結果、ピークと谷部分41とによる走査光の強度の差をより一層効果的に低減させることが可能となるので、投影される光に生じる強度のばらつきをより一層効果的に抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、光スキャナ3は、複数の発光部10から照射される光量を最大光量から変更することなく、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整することにより、走査光を、谷部分41およびピークを有する強度分布を有する光とするように構成されている。これにより、たとえば、走査光の強度分布にばらつきが生じることを抑制するために、複数の発光部10から照射される光量を調整する構成と比較して、各発光部10から照射される光の利用効率が低下することを抑制することができる。その結果、複数の発光部10から照射される光の利用効率が低下することを抑制しつつ、投影される光の強度がばらつくことを抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、複数の発光部10は、略等間隔で配置されている。これにより、各発光点から照射された光も、略等間隔に走査されるので、谷部分41において、複数のピークの位置が略等間隔となるように、光を走査させることができる。その結果、谷部分41と複数のピークとにおける光の強度の相殺が略等間隔で生じるので、投影される光の強度のばらつきをより容易に抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、ミラー部3aは、平板形状を有する金属製の部材によって構成されており、駆動源3bは、板波を発生させるとともに、発生させた板波によってミラー部3aを所定の揺動軸Axの軸線周りを往復して振動するように揺動させるように構成されている。これにより、板波によってミラー部3aを揺動させるため、たとえば、MEMSミラーと比較して、ミラー部3aの大きさを大きくすることができる。その結果、ミラー部3aの大きさを大きくすることが可能となるので、走査光の照射範囲を容易に広くすることができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、移動体用投光装置(投光装置100)は、移動体110に搭載され、移動体110の前方に光を照射する移動体用投光装置であって、所定の方向に並んで配置された複数の発光部10を有する光源1と、複数の発光部10から光が照射される投影レンズ2と、投影レンズ2を通過した光を、複数の発光部10が並ぶ方向に走査するミラー部3aと、ミラー部3aを揺動させる駆動源3bと、を有する光スキャナ3と、ミラー部3aによって走査された光が照射される領域Riのうち、遮光する領域Rsを検知する検知部4と、ミラー部3aの揺動角度を取得する揺動角度取得部5と、検知部4が取得した検知結果と、揺動角度取得部5が取得したミラー部3aの揺動角度とに基づいて、複数の発光部10のうち、遮光する領域Rsに走査される光を発光する発光部10の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより、遮光する領域Rsと、光を照射する領域Riと形成する制御を行う制御部6と、を備え、ミラー部3aは、複数の発光部10の各々から照射され、ミラー部3aによって走査された走査光を、中央の谷部分41と、谷部分41の両側に位置するピークとを有する強度分布となるように走査し、光スキャナ3は、走査光の強度分布の谷部分41に、少なくとも、他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するように、複数の発光部10から照射された光を走査するように構成されている。これにより、上記実施形態における投光装置100と同様に、複数の発光部10から照射された光をミラー部3aによって走査する場合でも、投影される光に生じる照射強度のばらつきを抑制しつつ、所望の領域に照射光を走査させることが可能な移動体用投光装置を提供することができる。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、光スキャナ3は、走査光の強度分布の谷部分41に、少なくとも、他の発光部10の走査光の強度分布のピークが位置するように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されている。これにより、上記実施形態における投光装置100と同様に、移動体用投光装置においても、投影される光に生じる強度のばらつきを容易に抑制することができる。
【0103】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、第1谷部分41aに、第1発光部10aから照射された走査光の第1ピーク42a以外の全ての第1ピーク42が位置するとともに、第2谷部分41eに、第2発光部10bから照射された走査光の第2ピーク43e以外の全ての第2ピーク43が位置する強度分布となるように、ミラー部3aが揺動される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0105】
第1変形例では、図13のグラフG8は、ミラー部3aの揺動角度が24度となるようにミラー部3aが揺動された場合の強度分布である。なお、グラフG8は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度のグラフである
【0106】
第1変形例では、光スキャナ3は、第1谷部分41aに、第1発光部10aの第1ピーク42および第2発光部10bの第1ピーク42以外の全ての第1ピーク42が位置し、第2谷部分41eに、第1発光部10aの第2ピーク43および第2発光部10bの第2ピーク43以外の全ての第2ピーク43が位置するような強度分布となるように、複数の発光部10から照射された光を走査する際に、ミラー部3aが揺動する角度範囲Rを調整するように構成されていてもよい。
【0107】
また、第1変形例では、図14のグラフG9に示すように、第1変形例による走査光の強度分布45は、上記実施形態による走査光の強度分布44よりも中央部分の照射強度が大きくなる。なお、グラフG9は、横軸が照射角度であり、縦軸が照射強度のグラフである。
【0108】
第1変形例による走査光の強度分布45は、上記式(1)に基づいて算出される照射強度のばらつきは、0.36となる。すなわち、第1変形例による上記実施形態による走査光の強度分布44よりも、照射強度のばらつきが大きい。すなわち、中央部分における照射強度と、走査光の照射強度のばらつきとは、トレードオフの関係にある。
【0109】
第1変形例では、上記ように構成することにより、第1谷部分41aに位置する第1ピーク42の数、および、第2谷部分41eに位置する第2ピーク43の数を増加させることができる。その結果、ピークと谷部分41とによる走査光の強度の差をより一層低減させることが可能となるので、投影される光に生じる強度のばらつきをより一層抑制することができる。
【0110】
また、上記実施形態では、複数の発光部10が、ミラー部3aの走査方向に複数並んで配置される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15に示す第2変形例のように、複数の発光部10は、ミラー部3aの走査方向、および、走査方向と直交する方向に並んで配置されていてもよい。図15に示すように、複数の発光部10は、走査方向と直交する方向において、略等間隔で配置されている。図15に示す例では、複数の発光部10は、間隔p3によって、略等間隔で配置されている。
【0111】
第2変形例では、上記のように構成することにより、ミラー部3aの走査方向および、走査方向と直交する方向に発光部10が配置されるので、光源1に含まれる発光部10の数を増加させることが可能となるので、走査光の光量を容易に増加させることができる。
【0112】
また、上記実施形態では、投光装置100が検知部4と揺動角度取得部5と制御部6とを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、投光装置100は、検知部4と、揺動角度取得部5と、制御部6とを備えていなくてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、複数の発光部10が、照射する光の光量を、最大光量から変更することなく、光を照射する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の発光部10は、照射する光の光量を、最大光量から変更してもよい。すなわち、複数の発光部10は、最大光量よりも小さい光量で光を発光するように構成されていてもよい。しかしながら、複数の発光部10から照射される光の光量を最大光量よりも小さい光量にした場合、発光部10の利用効率が低下するため、複数の発光部10は、照射する光の光量を、最大光量から変更することなく、光を照射するように構成されていることが好ましい。
【0114】
また、上記実施形態では、複数の発光部10が、略等間隔で配置されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の発光部10は、非等間隔で配置されていてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、光源1が、複数の発光部10として、第1発光部10a~第5発光部10eの、5つの発光部10を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、光源1は、複数の発光部10として、5つよりも多い個数の発光部10を有していてもよいし、5つよりも少ない個数の発光部10を有していてもよい。複数の発光部10の個数は、光が照射される領域Riの大きさ、および、ミラー部3aの揺動角度に応じて、適切な個数が選択されればよい。
【0116】
また、上記実施形態では、基板30がU字状形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板30は、V字状形状、または、Y字状形状を有していてもよい。一対の梁部30aの一方側(A1方向側)が支持部30bに支持されていれば、基板30の形状はどのような形状であってもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、投光装置100が、移動体110として、自動車に搭載される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、投光装置100は、移動体として、自動車以外の移動体に搭載されていてもよい。たとえば、投光装置100は、移動体として、自動二輪車(オートバイ)などに搭載されていてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、制御部6が、光を照射する領域Riと、遮光する領域Rsとを形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部6は、光を照射する領域Riと、遮光する領域Rsとを形成しなくてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、投光装置100が移動体110に搭載される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。投光装置100は、移動体110に搭載されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 光源
2 投影レンズ
3 光スキャナ
3a ミラー部
3b 駆動源
4 検知部
5 揺動角度取得部
6 制御部
10 発光部
10a 第1発光部
10b 第2発光部
40d、40e、40f、40g、40h 強度分布
41 谷部分
41a 第1谷部分
41e 第2谷部分
42、42a、42b、42c、42d、42e 第1ピーク
43、43a、43b、43c、43d、43e 第2ピーク
100 投光装置(移動体用投光装置)
110 移動体
Ls 配光観測面
R ミラー部が揺動する角度範囲
Ri 光が照射される領域
Rs 遮光領域
θ 揺動角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図15