(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】被加工物の支持装置
(51)【国際特許分類】
B21H 9/00 20060101AFI20240416BHJP
B21H 3/04 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
B21H9/00 D
B21H3/04 B
(21)【出願番号】P 2020079678
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2019092098
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 猛志
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-171648(JP,A)
【文献】実開昭53-030578(JP,U)
【文献】実開昭56-094204(JP,U)
【文献】特開平07-164087(JP,A)
【文献】特表昭61-501314(JP,A)
【文献】実開昭51-043982(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02049504(GB,A)
【文献】米国特許第02016843(US,A)
【文献】特開平08-318340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 9/00
B21H 3/04
B23B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に、第1のテーパ面を有する凹部を含む、少なくとも1個の支持治具を備え、
被加工物の外周面と軸方向端面との接続部を、前記第1のテーパ面に押し付けることにより、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持する、被加工物の支持装置であって、
前記少なくとも1個の支持治具は、前記凹部の底部に開口する通孔をさらに含
み、
前記第1のテーパ面のうち、少なくとも前記接続部と接触する部分の算術平均表面粗さが、0.025μm以下である、被加工物の支持装置。
【請求項2】
前記第1のテーパ面のうち、少なくとも前記接続部と接触する部分に、鏡面仕上げが施されている、請求項
1に記載の被加工物の支持装置。
【請求項3】
内周面に、第1のテーパ面を有する凹部を含む、少なくとも1個の支持治具を備え、
被加工物の外周面と軸方向端面との接続部を、前記第1のテーパ面に押し付けることにより、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持する、被加工物の支持装置であって、
前記少なくとも1個の支持治具は、前記凹部の底部に開口する通孔をさらに含
み、
前記少なくとも1個の支持治具に対する軸方向の相対変位を可能に支持され、軸方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔の内周面の少なくとも一部に形成され、かつ、前記第1のテーパ面と同じ方向に傾斜した第2のテーパ面とを有する補助治具をさらに備える、被加工物の支持装置。
【請求項4】
前記補助治具が、一方の端部が、前記貫通孔の内周面に開口し、かつ、他方の端部が、前記補助治具の外周面または軸方向側面に開口する補助通孔を有する、
請求項
3に記載の被加工物の支持装置。
【請求項5】
内周面に、第1のテーパ面を有する凹部を含む、少なくとも1個の支持治具を備え、
被加工物の外周面と軸方向端面との接続部を、前記第1のテーパ面に押し付けることにより、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持する、被加工物の支持装置であって、
前記少なくとも1個の支持治具は、前記凹部の底部に開口する通孔をさらに含
み、
前記被加工物の変位を測定する変位計をさらに備え、
前記変位計の測定子が、前記通孔に挿入されている、被加工物の支持装置。
【請求項6】
前記少なくとも1個の支持治具のうち、少なくとも前記凹部を含む部分が、ハイス鋼、超硬合金またはダイヤモンドにより構成されている、請求項1~
5のいずれかに記載の被加工物の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の外周面に備えられた被加工部に、転造加工などを施して雄ねじ部などの雄側係合部を形成する際に、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持する、被加工物の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械やステアリングホイールの位置調節装置などでは、電動モータなどの駆動源の回転運動を、送りねじ機構により直線運動に変換する。送りねじ機構としては、滑りねじ式のものとボールねじ式のものとがある。
【0003】
滑りねじ式の送りねじ機構は、外周面に、断面三角形または断面台形の雄ねじ溝をらせん状に形成してなる雄ねじ部を有するねじ軸と、内周面に、断面三角形または断面台形の雌ねじ溝をらせん状に形成してなる雌ねじ部を有するナットと備え、前記雄ねじ溝と前記雌ねじ溝とを螺合することにより構成される。
【0004】
ボールねじ式の送りねじ機構は、外周面に、断面円弧形の雄ねじ溝をらせん状に形成してなる雄ねじ部を有するねじ軸と、内周面に、断面円弧形の雌ねじ溝をらせん状に形成してなる雌ねじ部を有するナットと、前記雄ねじ溝と前記雌ねじ溝との間に転動自在に配置された複数個のボールとを備える。
【0005】
滑りねじ式にしろ、ボールねじ式にしろ、送りねじ機構を構成するねじ軸の雄ねじ部は、例えば、転造加工により形成することができる。特開平8-318340号公報(特許文献1)には、金属製で円柱状の被加工物(ワーク材)の外周面に、雄ねじ部を転造加工により形成するための転造盤が記載されている。この転造盤は、被加工物の軸方向両端部を、円すい状の先端部を有する治具(センタ)により回転自在に支持した状態で、前記被加工物を、1対の丸ダイス同士の間に挟み、該1対の丸ダイスを回転させながら押圧することにより、前記被加工物の外周面に雄ねじ部を転造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平8-318340号公報に記載の転造盤を使用して被加工物の外周面に雄ねじ部を転造する際には、前記被加工物の軸方向両端面に、円すい凹面状の凹孔を形成し、該凹孔の内周面に、治具に備えられた円すい状の先端部を突き当てることにより、前記被加工物の径方向に関する位置決めを図る(前記転造盤に対する前記被加工物の芯出しを行う)必要がある。
【0008】
ところで、送りねじ機構を、ねじ軸の軸方向端面により他の部材を押す構造に組み込んだり、ねじ軸の軸方向端面に、製品を識別するための情報などを刻印したりする場合には、ねじ軸の軸方向端面は、凹孔が存在しない平坦面または曲面であることが好ましい。そこで、円柱状の被加工物の軸方向両端面に形成された凹孔の内周面に治具の先端部を突き当てることにより、前記被加工物の径方向に関する位置決めを図った状態で、前記被加工物の外周面に雄ねじ部を転造した後で、該被加工物の軸方向端部を切断して除去する方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、前記被加工物の軸方向端部を切断して除去する際に、雄ねじ部を把持することにより、前記被加工物を支持した状態で、該被加工物の軸方向端部を切断すると、前記雄ねじ部に変形が生じて、該雄ねじ部の精度が低下してしまう可能性がある。すなわち、ねじ軸の雄ねじ部を把持することにより、該雄ねじ部のねじ山が凹むように変形する(打痕が形成される)と、その分、ねじ溝の内面が膨らむ(盛り上がる)ように変形する。例えば、このような変形が生じたねじ軸を使用して、ボールねじ式の送りねじ機構を構成すると、ボールが、ねじ溝のうち、膨らんだ部分に乗り上げてしまい、ボールの移動をスムーズに行えなくなる可能性がある。
【0010】
本発明は、上述のような事情に鑑みて、被加工物の外周面に備えられた被加工部に雄側係合部を形成する加工を行う際に、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持する被加工物の支持装置に関して、前記被加工物の軸方向端面に、該被加工物の径方向に関する位置決めを図るための凹孔を精度よく形成する必要がなく、かつ、完成状態において、前記雄側係合部の形状精度を良好に確保することができる構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の被加工物の支持装置は、
内周面に、第1のテーパ面を有する凹部を含む、少なくとも1個の支持治具を備え、
被加工物の外周面と軸方向端面との接続部を、前記第1のテーパ面に押し付けることにより、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部(円柱状の被加工物のうち、軸方向両側の端部、または、該軸方向両側の端部のうちのいずれか一方の端部)を支持する。
【0012】
本発明の被加工物の支持装置を用い、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持した状態で、前記被加工物の外周面に備えられた被加工部に転造ダイスを押し付けたり、前記被加工部を切削したりすることにより、雄ねじ部や雄スプライン部などの雄側係合部を形成する加工を行うことができる。
【0013】
特に本発明の被加工物の支持装置では、前記少なくとも1個の支持治具は、前記凹部の底部に開口する(通じる)通孔をさらに含む。
【0014】
前記第1のテーパ面のうち、少なくとも前記接続部と接触する部分の算術平均表面粗さが、0.025μm以下であることが好ましい。具体的には、例えば、前記第1のテーパ面のうち、少なくとも前記接続部と接触する部分に、鏡面仕上げを施すことができる。
【0015】
前記支持治具のうち、少なくとも前記凹部を含む部分は、ハイス鋼、超硬合金またはダイヤモンドにより構成されることができる。
【0016】
本発明の被加工物の支持装置は、前記支持治具に対する軸方向の相対変位を可能に支持され、軸方向に貫通し、かつ、前記被加工物を挿通するための貫通孔と、該貫通孔の内周面の少なくとも一部に形成され、かつ、前記第1のテーパ面と同じ方向に傾斜し、前記被加工物の軸方向中間部に形成された面取り部を押し付けるための第2のテーパ面とを有する補助治具をさらに備えることができる。なお、前記第2のテーパ面の算術平均表面粗さは、0.025μm以下であることが好ましい。
【0017】
前記補助治具は、一方の端部が、前記貫通孔の内周面に開口し、かつ、他方の端部が、前記補助治具の外周面または軸方向側面に開口する補助通孔を有することができる。
【0018】
本発明の被加工物の支持装置は、前記被加工物の変位を測定する変位計をさらに備えることができる。この場合、前記変位計の測定子が、前記通孔に挿入される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の被加工物の支持装置を用いることで、被加工物の外周面に備えられた被加工部に雄側係合部を形成する加工を行う際に、前記被加工物を径方向に位置決めした状態で、前記被加工物のうちの少なくとも軸方向端部を支持できる。さらに、本発明の被加工物の支持装置を用いれば、前記被加工物の軸方向端面に、該被加工物の径方向に関する位置決めを図るための凹孔を精度よく形成する必要がなく、かつ、完成状態において、前記雄側係合部の形状精度を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の第1例に係る被加工物の支持装置により、被加工物を支持する様子を示す部分切断側面図である。
【
図3】
図3(A)は、被加工物を取り出して示す、
図1のA部拡大図であり、
図3(B)は、被加工物を取り出して示す、
図1のB部拡大図である。
【
図4】
図4(A)~
図4(E)は、本発明の実施の形態の第1例に係る被加工物の支持装置を用いて、被加工物の被加工部に転造加工を施す様子を示す略側面図である。
【
図7】
図7(A)および
図7(B)は、転造加工により雄ねじ部を形成する方法の別例を示す断面図である。
【
図8】
図8(A)~
図8(C)は、被加工物の別の3例を示す、図
3(A)に相当する図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態の第2例に係る被加工物の支持装置により、被加工物を支持する様子を示す部分切断側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態の第3例に係る被加工物の支持装置により、被加工物を支持する様子を示す部分切断側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態の第4例に係る被加工物の支持装置を示す、
図2の右側部分の拡大図に相当する図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態の第5例に係る被加工物の支持装置を示す、
図2の右側部分の拡大図に相当する図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態の第6例に係る被加工物の支持装置を示す、
図2の右側部分の拡大図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、
図1~
図6を用いて説明する。本例の支持装置1は、軸方向に関して互いに対向する先端面に開口する凹部2をそれぞれ有する1対の支持治具3を備える。すなわち、軸方向片側(
図1の左側)の支持治具3は、軸方向他側(
図1の右側)の端面に開口する凹部2を有し、かつ、軸方向他側の支持治具3は、軸方向片側の端面に開口する凹部2を有する。なお、1対の支持治具3は、軸方向に関して互いに対称な形状を有する。
【0022】
凹部2のそれぞれは、内周面に、第1のテーパ面4を備える。1対の支持治具3のそれぞれの凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4は、互いに近づく方向に向かう(底部から開口部に向かう)ほど内径が大きくなる方向に傾斜している。すなわち、軸方向片側の支持治具3の凹部2は、軸方向他側に向かうほど内径が大きくなる方向に傾斜した第1のテーパ面4を備え、かつ、軸方向他側の支持治具3の凹部2は、軸方向片側に向かうほど内径が大きくなる方向に傾斜した第1のテーパ面4を備える。第1のテーパ面4の中心軸に対する母線のなす角度θは、20度以上60度以下であることが好ましく、図示の例では、約30度である。
【0023】
第1のテーパ面4のそれぞれは、算術平均表面粗さ(Ra)で0.025μm以下、好ましくは0.013μm以下の表面粗さを有する。このために、本例では、第1のテーパ面4に、鏡面仕上げが施されている。
【0024】
1対の支持治具3のそれぞれは、凹部2の底部と、支持治具3の外面(のうち、第1のテーパ面4以外の部分)とに開口する通孔5をさらに有する。本例では、通孔5は、支持治具3の基端面(凹部2が開口する先端面とは軸方向に関して反対側に存在する端面)と、凹部2の底部とを軸方向に貫通(連通)するように形成されている。すなわち、軸方向片側の支持治具3は、軸方向片側面と凹部2の底部とを軸方向に貫通する通孔5をさらに有し、かつ、軸方向他側の支持治具3は、軸方向他側面と凹部2の底部とを軸方向に貫通する通孔5をさらに有する。本例では、通孔5のうち、支持治具3の基端面に形成された上流側開口部には、切換弁28を介して、冷却油供給装置25、コンプレッサ26および潤滑油供給装置27が接続されている。これにより、第1のテーパ面4に潤滑油や冷却油などを供給したり、圧縮空気(エア)を吹き付けたりすることが可能となっている。
【0025】
本例では、1対の支持治具3のそれぞれは、台金6と治具本体7とを結合固定してなる。
【0026】
台金6は、クロムモリブデン鋼(SCM440やSCM415など)や軸受鋼(SUJ2など)などの鉄系金属により構成される。台金6は、先端面に開口し、かつ、円筒状の内周面を有する嵌合凹部8を備える。すなわち、軸方向片側の支持治具3を構成する台金6は、軸方向他側面に開口する嵌合凹部8を備え、かつ、軸方向他側の支持治具3を構成する台金6は、軸方向片側面に開口する嵌合凹部8を備える。
【0027】
台金6は、基端面と嵌合凹部8の底面中央部とに開口する上流側通孔9をさらに備える。すなわち、軸方向片側の支持治具3を構成する台金6は、軸方向片側面と嵌合凹部8の底面(軸方向他側を向いた面)中央部とに開口する上流側通孔9をさらに備え、かつ、軸方向他側の支持治具3を構成する台金6は、軸方向他側面と嵌合凹部8の底面(軸方向片側を向いた面)中央部とに開口する上流側通孔9をさらに備える。
【0028】
また、台金6は、外周面と嵌合凹部8の底部(嵌合凹部8の内周面のうち、底面に近い部分)とに開口する通気孔10をさらに備える。
【0029】
治具本体7は、十分な強度および硬度を有する材料により構成される。具体的には、例えば、治具本体7は、ハイス鋼や超硬合金などの耐久性に優れる金属材料や、ダイヤモンドなどの放熱性に優れる材料により構成される。治具本体7は、円筒面状の外周面と、先端面に開口する凹部2とを備える。
【0030】
治具本体7は、基端面と凹部2の底部とに開口する下流側通孔11をさらに備える。すなわち、軸方向片側の支持治具3を構成する治具本体7は、軸方向片側面と凹部2の底部とに開口する下流側通孔11をさらに備え、かつ、軸方向他側の支持治具3を構成する治具本体7は、軸方向他側面と凹部2の底部とに開口する下流側通孔11をさらに備える。
【0031】
本例の支持治具3のそれぞれは、台金6の嵌合凹部8の内周面に、治具本体7の外周面を径方向に関するがたつきなく内嵌した後、ろう付けなどにより固定してなる。なお、本例では、台金6に、外周面と嵌合凹部8の底部とに開口する通気孔10を形成しているため、台金6の嵌合凹部8の内周面に、治具本体7の外周面を挿入(例えば圧入)する際に、嵌合凹部8の内周面および底面と、治具本体7の基端面とにより囲まれた空間の内圧が過度に高くなることを防止できる。
【0032】
本例では、台金6の嵌合凹部8の内周面と治具本体7の外周面との嵌合部を、円筒面同士を嵌合してなる円形嵌合部により構成しているが、台金6の嵌合凹部8と治具本体7との嵌合部は、非円筒面同士を嵌合してなる非円形嵌合部により構成することもできる。あるいは、支持治具3のそれぞれを、治具本体7のみにより構成する(台金6を省略する)こともできる。
【0033】
上述のような本例の支持装置1は、例えば、
図1および
図4(A)に示すような、被加工物である軸部材12の被加工部13に転造加工を施して、この被加工部13を雄ねじ部14に加工することにより、
図6に示すような、雄軸15を造る際に、軸部材12を径方向に位置決めした状態で、この軸部材12の軸方向端部を支持するために使用する。
【0034】
雄軸15は、ボールねじ式の送りねじ機構を構成するボールねじ軸であって、
図6に示すように、外周面16と、軸方向両側の端面17a、17bと、雄側係合部である雄ねじ部14とを備える。
【0035】
軸方向両側の端面17a、17bはいずれも、これらの端面17a、17bに開口する凹孔を有していない。本例では、軸方向両側の端面17a、17bのうち、軸方向片側(
図6の左側)の端面17aは、部分球面状の単一の凸曲面により構成されており、軸方向他側(
図6の右側)の端面17bは、雄軸15の中心軸に直交する平坦面により構成されている。
【0036】
雄ねじ部14は、断面円弧形の雄ねじ溝18を、雄軸15の外周面16のうちの軸方向中間部にらせん状に形成してなる。
【0037】
雄軸15は、内周面に、断面円弧形の雌ねじ溝をらせん状に形成してなる雌ねじ部を有するボールナットと、複数個のボールと組み合わせることにより、ボールねじ式の送りねじ機構を構成する。すなわち、ボールナットを、雄軸15の雄ねじ部14の周囲に配置し、かつ、ボールを、雄ねじ溝18と雌ねじ溝との間に転動自在に配置することにより、送りねじ機構を構成する。
【0038】
雄軸15は、軸部材12の被加工部13に転造加工を施すことにより得られる。軸部材12は、軸方向中間部に被加工部13を有する外周面16と、軸方向両側の端面17a、17bと、外周面16の軸方向両側の端縁19a、19bと軸方向両側の端面17a、17bの外周縁20a、20bとの接続部にそれぞれ形成された面取り部21a、21bとを備える。
【0039】
被加工部13は、外周面16の軸方向中間部に配置され、かつ、軸方向両側に隣接する部分の外径寸法よりも大きい外径寸法を有する。
【0040】
面取り部21a、21bのそれぞれは、軸方向に関して互いに隣接する面同士の母線の軸部材12の中心軸Oに対する傾斜角度または曲率半径が異なる、3つ以上の面を組み合わせてなる複合面により構成されている。面取り部21a、21bのそれぞれは、該面取り部21a、21bの軸方向中間部に配置され、かつ、軸方向に関して雄ねじ部14に近づくほど径方向外側に向かう方向に傾斜した被支持面部22a、22bを有する。本例では、被支持面部22a、22bのそれぞれは、直線状の母線形状を有する円すい面である。また、軸方向に関する断面(軸部材12の中心軸Oを含む断面)内において、外周面16の軸方向端縁19a、19bおよび軸方向両側の端面17a、17bの外周縁20a、20bは、被支持面部22a、22bの母線(母線の延長線を含む)α、βよりも径方向内側に位置している。
【0041】
このために、本例では、面取り部21a、21bのうち、外周面16の軸方向片側の端縁19aと軸方向片側の端面17aの外周縁20aとの接続部に形成された、軸方向片側の面取り部21aは、被支持面部22aと、1対の接続傾斜面部23a1、23a2とを備える。
【0042】
被支持面部22aは、軸方向片側の面取り部21aの軸方向中間部に配置され、かつ、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、直線状の母線形状を有する円すい面である。軸部材12の中心軸Oに対する被支持面部22aの母線の傾斜角度φaは、20度以上60度以下であることが好ましく、図示の例では、約30度である。
【0043】
1対の接続傾斜面部23a1、23a2のうち、軸方向片側の端面17aの外周縁20aと被支持面部22aの軸方向片側の端縁とを接続する、軸方向片側の接続傾斜面部23a1は、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。被支持面部22aの軸方向他側の端縁と外周面16の軸方向片側の端縁19aとを接続する、軸方向他側の接続傾斜面部23a2は、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。なお、接続傾斜面部23a1、23a2のそれぞれの軸方向寸法d23a1、d23a2は、面取り部21a全体の軸方向寸法Laの10%以上35%以下であることが好ましい。接続傾斜面部23a1、23a2の母線形状の曲率半径は、軸部材12のうち、接続傾斜面部23a2の軸方向他側に隣接する部分の外径寸法(外周面16の軸方向片側の端縁19aの外径寸法)の1%以上30%以下であることが好ましい。
【0044】
また、面取り部21a、21bのうち、外周面16の軸方向他側の端縁19bと軸方向他側の端面17bの外周縁20bとを接続する、軸方向他側の面取り部21bは、被支持面部22bと、1対の接続傾斜面部23b1、23b2とを備える。
【0045】
被支持面部22bは、軸方向他側の面取り部21bの軸方向中間部に配置され、かつ、軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、直線状の母線形状を有する円すい面である。軸部材12の中心軸Oに対する被支持面部22bの母線の傾斜角度φbは、20度以上60度以下であることが好ましく、図示の例では、約30度である。
【0046】
1対の接続傾斜面部23b1、23b2のうち、軸方向他側の端面17bの外周縁20bと被支持面部22bの軸方向他側の端縁とを接続する、軸方向他側の接続傾斜面部23b1は、軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。被支持面部22bの軸方向片側の端縁と外周面16の軸方向他側の端縁19bとを接続する、軸方向片側の接続傾斜面部23b2は、軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。なお、接続傾斜面部23b1、23b2のそれぞれの軸方向寸法d23b1、d23b2は、面取り部21b全体の軸方向寸法Lbの10%以上35%以下であることが好ましい。接続傾斜面部23b1、23b2の母線形状の曲率半径は、軸部材12のうち、接続傾斜面部23b2の軸方向片側に隣接する部分の外径寸法(外周面16の軸方向他側の端縁19bの外径寸法)の1%以上30%以下であることが好ましい。
【0047】
次に、本例の支持装置1を使用して軸部材12から雄軸15を製造する方法について、
図4および
図5を参照しつつ説明する。
【0048】
まず、炭素鋼やクロムモリブデン鋼などの鉄系金属製で、円形の断面形状を有する棒材を所定の長さに切断することにより、円柱状の素材を得る。次いで、前記素材に、切削、研削などの削り加工を施して、
図4(A)に示すような、軸部材12を得る。なお、円柱状の素材を軸部材12に加工する際には、外周面16と軸方向両側の端面17a、17bとの接続部に面取り部21a、21bを形成した後で、次述の
図4(B)~
図4(D)に示すような、雄ねじ部14を形成するための転造加工の際に、支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21a、21bの被支持面部22a、22bに押し付けることにより、軸部材12の径方向に関する位置決めを図った状態で、外周面16や端面17a、17bに仕上加工を施すことができる。
【0049】
次に、軸部材12の被加工部13に転造加工を施して、雄ねじ部14を形成することにより、雄軸15を得る。このために、まず、
図4(B)に示すように、支持装置1を構成する1対の支持治具3のそれぞれに備えられた凹部2により、軸部材12の軸方向両端部を支持する。具体的には、1対の支持治具3を、軸部材12に対し軸方向両側から近づけて、1対の支持治具3のそれぞれの凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、被支持面部22a、22bに押し付ける。本例では、軸部材12の面取り部21a、21bのうち、被支持面部22a、22bの傾斜角度φ
a、φ
bを、凹部2の母線の中心軸Oに対する傾斜角度θと同じにしている。したがって、凹部2のそれぞれの第1のテーパ面4を、被支持面部22a、22bに押し付けると、軸部材12は、被支持面部22a、22bを第1のテーパ面4により案内されながら径方向に変位して、軸部材12の中心軸が、第1のテーパ面4の中心軸に一致する(軸部材12の径方向に関する位置決めが図られる)。このようにして、支持装置1は、軸部材12の軸方向両端部を、径方向の位置決めを図った状態で支持する。なお、この状態では、軸部材12の外周面16の軸方向両側の端縁19a、19bおよび端面17a、17bの外周縁20a、20bは、第1のテーパ面4に接触しない。
【0050】
上述のように、支持装置1により、軸部材12の径方向に関する位置決めを図り、かつ、軸部材12の軸方向両端部を支持した状態で、1対の丸ダイス24を回転させながら軸部材12に対して径方向両側から近づける。丸ダイス24のそれぞれは、外周面に、らせん状に形成されたねじ切り歯33(
図5にのみ図示)を有する。このため、
図4(C)および
図5に示すように、軸部材12を、1対の丸ダイス24同士の間で径方向両側から押圧すると、軸部材12は、被支持面部22a、22bを、第1のテーパ面4に対して摺接させながら回転する。この結果、
図4(D)に示すように、軸部材12の被加工部13に、雄ねじ溝18をらせん状に形成してなる雄ねじ部14が転造される。その後、
図4(E)に示すように、1対の丸ダイス24を径方向に退避させ、さらに、1対の支持治具3を軸方向に退避させることにより、雄ねじ部14を有する雄軸15を取り出す。このようにして得られた雄軸15に、必要に応じて洗浄や仕上加工、熱処理などを施して、完成形状に仕上げる。
【0051】
なお、支持装置1から雄軸15を取り出した後、まず、冷却油供給装置25から吐出される冷却油を、通孔5を通じて、第1のテーパ面4に供給して、該第1のテーパ面4を冷却する。次いで、コンプレッサ26から吐出される圧縮空気を、通孔5を通じて、第1のテーパ面4に吹き付けることにより、第1のテーパ面4と被支持面部22a、22bとが摺接することに伴って生じ、かつ、第1のテーパ面4に付着した摩耗粉、および、冷却油を除去する。そして、潤滑油供給装置27から吐出される潤滑油を、通孔5を通じて、第1のテーパ面4に供給する。これにより、次に加工する軸部材12の被支持面部22a、22bと第1のテーパ面4との潤滑を行う。
【0052】
ただし、冷却油として、潤滑油と同じものを使用する場合には、冷却油供給装置25と潤滑油供給装置27とを1台にまとめることもできる。また、雄ねじ部14の加工中に、潤滑油供給装置27から吐出された潤滑油を、通孔5を通じて、第1のテーパ面4と被支持面部22a、22bとの摺接部に供給するようにしても良い。この場合には、通孔5を通じて供給される潤滑油が、軸部材12の端面17a(または17b)を押圧する力と、転造に伴って軸部材12が軸方向に変位しようとする力とをバランスさせて、加工中に軸部材12が徒に軸方向に変位するのを防止することができる。このため、雄ねじ部14を精度良く形成することができる。
【0053】
本例では、雄ねじ部14を転造加工により形成する際に、支持装置1を構成する1対の支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21a、21bのうちの被支持面部22a、22bに押し付けることにより、軸部材12の径方向に関する位置決めを図っている。すなわち、本例の支持装置1を使用する軸部材12の製造方法によれば、特開平8-318340号公報に記載の転造盤を使用して素材の外周面に雄ねじ部を転造する場合のように、前記素材の軸方向両側の端面に、治具に備えられた円すい状の先端部を突き当てるための凹孔を精度よく(素材の外周面に対する同軸性が高い凹孔を)形成する必要がない。したがって、本例の支持装置1を使用する製造方法によれば、前記素材の外周面に前記雄ねじ部を形成した後、該雄ねじ部を把持して前記素材を支持した状態で、前記素材の軸方向端部を切断して除去する必要がない。要するに、本例の支持装置1を使用する製造方法によれば、雄ねじ部14が変形するのを防止することができて、完成後の雄軸15において、雄ねじ部14の形状精度を良好に確保することができる。
【0054】
特に、本例では、支持治具3のそれぞれは、凹部2の底部と、支持治具3の外面とに開口する通孔5を有する。このため、雄軸15を製造すべく、軸部材12の被支持面部22a、22bを、凹部2に備えられた第1のテーパ面4に押し付け、凹部2の開口部に、軸部材12の端面17a、17bにより蓋をした状態でも、凹部2の内側に存在する空間は、通孔5により外部空間と連通している。このため、軸部材12の被支持面部22a、22bを、凹部2に備えられた第1のテーパ面4に押し付けることに伴い、軸部材12の端面17a、17bにより蓋をされる空間の内圧が過度に大きくなることを防止できて、支持装置1により軸部材12を安定して支持することができる。この結果、雄ねじ部14の加工精度を良好に確保することができる。
【0055】
また、本例では、面取り部21a、21bのうちの被支持面部22a、22bに押し付けられる、第1のテーパ面4の表面粗さを、算術平均表面粗さ(Ra)で0.025μm以下、好ましくは0.013μm以下としている。具体的には、第1のテーパ面4に鏡面仕上げが施されている。このため、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12を、回転する1対の丸ダイス24同士の間で径方向両側から押圧することにより、軸部材12が回転することに伴って、被支持面部22a、22bが、第1のテーパ面4に対して摺接することに対する抵抗を小さく抑えられる。したがって、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12が回転することに伴い、第1のテーパ面4と被支持面部22a、22bとが摺接することで生じる摩耗粉を少なく抑えることができる。
【0056】
なお、本例では、軸部材12の軸方向に関する断面内において、外周面16の軸方向端縁19a、19bおよび軸方向両側の端面17a、17bの外周縁20a、20bが、被支持面部22a、22bの母線α、βよりも径方向内側に位置している。このため、1対の支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21a、21bの被支持面部22a、22bに押し付けた状態で、軸部材12の外周面16の軸方向両側の端縁19a、19bおよび端面17a、17bの外周縁20a、20bは、第1のテーパ面4に接触しない。したがって、雄ねじ部14を転造加工する際に、第1のテーパ面4を、面取り部21a、21bの被支持面部22a、22bに強く押し付けることに伴って、軸部材12が変形したとしても、この変形を、被支持面部22a、22bと軸方向に隣接する接続傾斜面部23a1、23a2、23b1、23b2内に留めることができる。換言すれば、軸部材12の変形を、接続傾斜面部23a1、23a2、23b1、23b2がわずかに径方向外方に膨らむ程度に抑えることができる。要するに、本例の製造方法によれば、バリ状あるいは突起状で、肉厚が薄い余肉が、軸部材12の外周面16の軸方向両側の端縁19a、19bから径方向に突出するように形成されたり、軸方向両側の端面17a、17bの外周縁20a、20bから軸方向に突出するように形成されたりするのを防止できる。このため、焼き入れなどの熱処理の際に、軸部材12に大きなフープ応力が発生するのを防止することができて、完成後の雄軸15に割れや遅れ破壊などの損傷が発生するのを防止することができる。なお、完成後の雄軸15における、外周面16の軸方向端縁19a、19bと軸方向両側の端面17a、17bの外周縁20a、20bとの接続部の形状は、軸部材12の面取り部21a、21bの形状と必ずしも一致している必要はない。
【0057】
本例では、面取り部21a、21bのそれぞれは、直線状の母線形状を有する円すい面である被支持面部22a、22bの両側に、円弧形の母線形状を有する凸曲面である接続傾斜面部23a1、23a2、23b1、23b2を配置してなる、複合面により構成している。ただし、軸部材の外周面の軸方向両側の端縁と軸方向両側の端面の外周縁との接続部に形成される面取り部の形状は、図示の例に限定されるものではない。
【0058】
具体的には、例えば、
図8(A)~
図8(C)に示すような構造を採用することができる。
【0059】
図8(A)に示す例では、面取り部21cは、直線状の母線形状を有する円すい面である被支持面部22aと、1対の段部30a、30bとを備える。1対の段部30a、30bのうち、軸方向片側の端面17aの外周縁20aと被支持面部22aの軸方向片側の端縁とを接続する、軸方向片側の段部30aは、被支持面部22aの軸方向片側の端縁から径方向内側に折れ曲がった円輪状の平坦面部31aと、該平坦面部31aの内周縁から軸方向片側に折れ曲がり、かつ、軸方向片側の端縁が、軸方向片側の端面17aの外周縁20aに接続された円筒面部32aとを備える。被支持面部22aの軸方向他側の端縁と外周面16の軸方向片側の端縁19aとを接続する、軸方向他側の段部30bは、外周面16の軸方向片側の端縁19aから径方向内側に折れ曲がった円輪状の平坦面部31bと、該平坦面部31bの内周縁から軸方向片側に折れ曲がり、かつ、軸方向片側の端縁が、被支持面部22aの軸方向他側の端縁に接続された円筒面部32bとを備える。
【0060】
図8(B)に示す例では、面取り部21dは、被支持面部22cと、1対の段部30c、30dとを備える。被支持面部22cは、面取り部21dの軸方向中間部に配置され、かつ、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。1対の段部30c、30dのうち、軸方向片側の端面17aの外周縁20aと被支持面部22cの軸方向片側の端縁とを接続する、軸方向片側の段部30cは、軸方向片側の端面17
aの外周縁20aから軸方向他側に折れ曲がり、かつ、軸方向他側の端縁が、被支持面部22
cの軸方向片側の端縁に接続された円筒面部32cを備える。被支持面部22cの軸方向他側の端縁と外周面16の軸方向片側の端縁19aとを接続する、軸方向他側の段部30dは、外周面16の軸方向片側の端縁19aから径方向内側に折れ曲がり、かつ、内周縁が、被支持面部22cの軸方向他側の端縁に接続された円輪状の平坦面部31cを備える。
【0061】
図8(C)に示す例では、面取り部21eは、1対の被支持面部22d、22eと、3つの段部30e~30gとからなる2段構造を有する。1対の被支持面部22d、22eは、面取り部21eの軸方向中間部2箇所位置に配置され、かつ、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、直線状の母線形状を有する円すい面である。1対の被支持面部22d、22eは、同一の円すい面上に存在する。3つの段部30e~30gのうち、軸方向片側の端面17aの外周縁20aと軸方向片側の被支持面部22dの軸方向片側縁とを接続する段部30eは、軸方向片側の被支持面部22dの軸方向片側縁から径方向内側に折れ曲がった円輪状の平坦面部31dと、該平坦面部31dの内周縁から軸方向片側に折れ曲がり、かつ、軸方向片側縁が、軸方向片側の端面17aの外周縁20aに接続された円筒面部32dとを備える。軸方向片側の被支持面部22dの軸方向他側縁と軸方向他側の被支持面部22eの軸方向片側縁とを接続する段部30fは、軸方向他側の被支持面部22eの軸方向片側縁から径方向内側に折れ曲がった円輪状の平坦面部31eと、該平坦面部31eから軸方向片側に折れ曲がり、かつ、軸方向片側縁が、軸方向片側の被支持面部22dの軸方向他側縁に接続された円筒面部32eとを備える。軸方向他側の被支持面部22eの軸方向他側縁と外周面16の軸方向片側の端縁19aとを接続する段部30gは、外周面16の軸方向片側の端縁19aから径方向内側に折れ曲がった円輪状の平坦面部31fと、該平坦面部31fから軸方向片側に折れ曲がり、かつ、軸方向片側縁が、軸方向他側の被支持面部22eの軸方向他側縁に接続された円筒面部32fとを備える。
【0062】
図8(A)~
図8(C)に示すいずれの構造においても、支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21c~21eの被支持面部
22a、22c~22eに押し付けた状態で、軸部材12の外周面16の軸方向両側の端縁19aおよび端面17aの外周縁20aは、第1のテーパ面4に接触しない。このため、雄ねじ部14を転造加工する際に、支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21c~21eの被支持面部
22a、22c~22eに強く押し付けることに伴って、軸部材12が変形したとしても、この変形を、被支持面部
22a、22c~22eと軸方向に隣接する段部30a~30g内に留めることができる。
【0063】
さらに、
図8(C)に示す構造によれば、雄ねじ部14を転造加工により形成する際に、支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21eの1対の被支持面部22d、22eに押し付けた状態で、3つの段部30e~30gのうち中間の段部30fと、第1のテーパ面4の間に、隙間を全周にわたり存在させることができる。
図8(C)に示す例では、このような隙間にグリースを保持することができて、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12の面取り部21eを、第1のテーパ面4に対し円滑に摺動させることができる。また、雄ねじ部14を転造加工する際に、第1のテーパ面4を、面取り部21eの1対の被支持面部22d、22eに強く押し付けることに伴う変形を、中間の段部30fによりある程度吸収することができ、軸方向両側の段部30e、30gの変形量を抑えることができる。
【0064】
あるいは、軸部材の外周面の軸方向両側の端縁と軸方向両側の端面の外周縁との接続部に形成される面取り部を、直線状の母線形状を有する円すい面のみからなる、C面取り部により構成したり、円弧形の母線形状を有するR面取り部により構成したりすることもできる。
【0065】
また、本例では、軸部材12を、外周面にらせん状のねじ切り歯33(
図5にのみ図示。
図4(B)~
図4(E)では省略)を有する1対の丸ダイス24同士の間で径方向両側から押圧することにより、雄ねじ部14を転造する場合について説明したが、雄ねじ部14を形成する方法については、支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、面取り部21a、21bのうちの被支持面部22a、22bに押し付けることにより、軸部材12の径方向に関する位置決めを図った状態で行う限り、特に限定されない。例えば、
図7(A)および
図7(B)に示すように、互いに対向して配置された1対の平ダイス29を遠近動させることで、雄ねじ部14を転造することができる。あるいは、雄ねじ部14を、切削加工などの転造加工以外の加工により形成することもできる。ただし、この場合には、軸部材12のいずれか一方の端部は、回転駆動機構により把持(チャック)する必要がある。
【0066】
また、本例では、支持装置1を使用して、外周面16に、円弧形の断面形状を有する雄ねじ溝18をらせん状に形成してなる雄ねじ部14を備えた、ボールねじ式の送りねじ機構を構成するボールねじ軸である雄軸15を製造する方法について説明したが、本発明の被加工物の支持装置は、例えば、滑りねじ式の送りねじ機構を構成するねじ軸を製造する際に使用することもできる。この場合には、外周面に備えられた雄側係合部を、略台形もしくは略三角形の断面形状を有する雄ねじ溝をらせん状に形成してなる雄ねじ部とする。あるいは、本発明の被加工物の支持装置は、外周面に、雄スプライン部または雄セレーション部を有するインナシャフトや、外周面に、ウォーム歯を有するウォームなどを製造する際に使用することもできる。また、本発明の被加工物の支持装置により支持される被加工物は、円柱状(中実)の軸部材に限らず、中心部に軽量化などのための凹孔または通孔が形成された円筒状の軸部材とすることもできる。
【0067】
[実施の形態の第2例]
図9および
図10は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の支持装置1aは、1対の支持治具3と、補助治具34とを備える。
【0068】
補助治具34は、支持装置1aのフレームに軸方向変位を可能に支持され、軸方向に貫通する貫通孔35を有し、かつ、貫通孔35の軸方向他側部分に、軸方向他側に向かうほど内径が大きくなる方向に傾斜した第2のテーパ面36を有する。本例では第2のテーパ面36の表面粗さを、算術平均表面粗さ(Ra)で0.025μm以下、好ましくは0.013μm以下としている。具体的には、第2のテーパ面36に鏡面仕上げが施されている。
【0069】
補助治具34は、一方の端部が、貫通孔35の内周面に開口し、かつ、他方の端部が、補助治具34の外周面または軸方向側面(軸方向片側面若しくは軸方向他側面)に開口する補助通孔46(
図10にのみ図示)をさらに有する。具体的には、補助通孔46の一方の開口は、貫通孔35の内周面のうち、後述するように、軸部材12aの被支持面部22fと摺接する部分から軸方向に外れた部分に開口している。本例では、補助通孔46は、貫通孔35の軸方向片側部分(第2のテーパ面36から外れた部分)に開口している。ただし、補助通孔46は、軸部材12aの被支持面部22fと摺接する部分から軸方向に外れた部分であれば、第2のテーパ面36に開口することもできる。なお、補助通孔46の他方の開口は、潤滑油供給装置やエアポンプに接続されている。
【0070】
本例の支持装置1aは、被加工部13から軸方向に外れた(図示の例では、軸方向片側に外れた)軸部42の軸方向寸法がある程度長い、軸部材12aを加工して、雄軸15(
図6参照)を造る際に、好ましく使用される。
【0071】
軸部材12aは、外周面16aの軸方向両側の端縁19a、19bと軸方向両側の端面17a、17bの外周縁20a、20bとの接続部にそれぞれ形成された面取り部21a、21bに加え、軸方向中間部にも面取り部21fを備える。このために、軸部材12aは、外周面16aのうち、被加工部13から軸方向片側に外れた部分に、段付円筒部37を備える。段付円筒部37は、軸方向片側の小径筒部38と、軸方向他側の大径筒部39とを、軸方向片側を向いた段差面40により接続してなる。面取り部21fは、大径筒部39の軸方向片側の端縁19cと、段差面40の外周縁20cとの接続部に形成されており、被支持面部22fと、1対の接続傾斜面部23c1、23c2とを備える。被支持面部22fは、直線状の母線形状を有する円すい面である。また、軸方向に関する断面(軸部材12aの中心軸Oを含む断面)内において、大径筒部39の軸方向片側の端縁19cおよび段差面40の外周縁20cは、被支持面部22fの母線(母線の延長線を含む)よりも径方向内側に位置している。
【0072】
1対の接続傾斜面部23c1、23c2のうち、段差面40の外周縁20cと被支持面部22fの軸方向片側の端縁とを接続する、軸方向片側の接続傾斜面部23c1は、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。被支持面部22fの軸方向他側の端縁と大径筒部30の軸方向片側の端縁19cとを接続する、軸方向他側の接続傾斜面部23c2は、軸方向他側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した、円弧形の母線形状を有する凸曲面である。
【0073】
さらに、軸部材12aは、小径筒部38の軸方向他側の端部に、径方向内側に凹んだ凹溝41を全周にわたり備える。
【0074】
本例の支持装置1aを使用して、軸部材12aの被加工部13に転造加工を施して、雄ねじ部14(
図6参照)を形成する際には、まず、1対の支持治具3のそれぞれの凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、軸部材12aの軸方向両端部に形成された面取り部21a、21bの被支持面部22a、22bに押し付ける。この際、
図9に二点鎖線で示すように、補助治具34の軸方向片側の端面を、1対の支持治具3のうちの軸方向片側の支持治具3の先端面(軸方向他側の端面)に重ねた状態で、軸方向片側の支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、軸方向片側の面取り部21aの被支持面部22aに押し付ける。次いで、補助治具34を、
図9にx=x
0で示す位置からx=x
1で示す位置に軸方向他側に向けてスライド移動させ、第2のテーパ面36を、軸方向中間の面取り部21fの被支持面部22fに押し付ける。この状態で、軸部材12aの被加工部13を、回転する1対の丸ダイス24(
図4(B)~
図4(E)参照)同士の間で径方向両側から押圧することにより、被加工部13に転造加工を施して、雄ねじ部14を形成して、雄軸15を得る。
【0075】
本例の支持装置1aによれば、補助治具34の第2のテーパ面36を、軸部材12aの軸方向中間部に形成された面取り部21fの被支持面部22fに押し付けることにより、軸部材12aの軸方向中間部を支持することができる。このため、軸部材12aのうち、被加工部13から軸方向に外れた軸部42の軸方向寸法がある程度長い場合でも、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12aが屈曲するように変形(座屈変形)するのを防止することができる。さらに、軸方向両側に配置された1対の支持治具3の第1のテーパ面4と、軸部材12の軸方向両端部に備えられた被支持面部22a、22bとの摺接部に作用する摩擦抵抗を低減でき、これら摺接部での焼き付きの発生を防止することができる。
【0076】
軸部材12aのうち、補助治具34により支持される位置、すなわち面取り部21fの軸方向位置は、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12aが座屈変形するのを有効に防止する観点から決定される。具体的には、例えば、被加工部13の軸方向長さd1が、該被加工部13と軸部42との合計の軸方向長さd2の1/2以上(d1≧d2/2)である場合には、軸部42のうち、被加工部13の軸方向片側の端部から、雄ねじ部14を構成する雄ねじ溝18の1リード分の長さL分だけ、軸方向片側にずれた位置(その近傍を含む)であることが好ましい。被加工部13の軸方向長さd1が、該被加工部13と軸部42との合計の軸方向長さd2の1/2よりも短い(d1<d2/2)場合には、被加工部13の軸方向片側の端部から、雄ねじ部14を構成する雄ねじ溝18の1リード分の長さL分だけ、軸方向片側にずれた位置と、軸部42の軸方向片側の端部から、被加工部13と軸部42との合計の軸方向長さd2の1/3の長さ(d2/3)分だけ、軸方向他側にずれた位置との間部分であることが好ましい。
【0077】
特に、本例の支持装置1aでは、第2のテーパ面36の表面粗さを、算術平均表面粗さ(Ra)で0.025μm以下、好ましくは0.013μm以下としている。具体的には、第2のテーパ面36に鏡面仕上げが施されている。このため、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12aが回転することに伴って、被支持面部22fが、第2のテーパ面36に対して摺接することに対する抵抗を小さく抑えられる。したがって、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12aが回転することに伴い、第2のテーパ面36と被支持面部22fとが摺接することで生じる摩耗粉を少なく抑えることができる。
【0078】
本例では、補助治具34の第2のテーパ面36を、面取り部21fの被支持面部22fに押し付けた状態で、軸部材12aの大径筒部39の軸方向片側の端縁19cおよび段差面40の外周縁20cは、第2のテーパ面36に接触しない。したがって、雄ねじ部14を転造加工する際に、補助治具34の第2のテーパ面36を、面取り部21fの被支持面部22fに強く押し付けることに伴って、軸部材12aが変形したとしても、この変形を、被支持面部22fと軸方向に隣接する接続傾斜面部23c1、23c2内に留めることができる。
【0079】
また、本例では、軸部材12aの小径筒部38の軸方向他側の端部に備えられた凹溝41にグリースを保持することができ、これにより、雄ねじ部14を形成する際に、軸部材12aの面取り部21fを、補助治具34の第2のテーパ面36に対し円滑に摺動させることができる。
【0080】
また、本例では、補助治具34は補助通孔46を有するため、雄ねじ部14の加工中や加工後に、補助治具34の第2のテーパ面36と、面取り部21fの被支持面部22fとの摺接部に、補助通孔46を通じて、冷却や洗浄のための潤滑油を供給したり、摩耗粉を除去するための圧縮空気を供給したりすることができる。したがって、補助治具34の第2のテーパ面36と、面取り部21fの被支持面部22fとの摺接状態を良好にすることができ、雄ねじ部14の加工精度を良好に確保することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【0081】
[実施の形態の第3例]
図11は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の支持装置1bは、先端面に開口する凹部2を有する支持治具3と、円すい状の先端部43を有する治具44とを備える。
【0082】
本例の支持装置1bは、軸方向他側の端面17cの中央部に凹孔45を有する、軸部材12bを加工して、雄軸15(
図6参照)を造る際に、好ましく使用される。
【0083】
軸部材12bは、外周面16bの軸方向片側の端縁19aと軸方向片側の端面17aの外周縁20aとの接続部にのみ、面取り部21aを備え、かつ、軸方向他側の端面17cの中央部に、円すい凹面状の凹孔45を備える。
【0084】
本例の支持装置1bを使用して、軸部材12bの被加工部13に転造加工を施して、雄ねじ部14(
図6参照)を形成する際には、支持治具3の凹部2の内周面に備えられた第1のテーパ面4を、軸部材12bの軸方向片端部に形成された面取り部21aの被支持面部22aに押し付け、かつ、治具44に備えられた円すい状の先端部43の外周面を、軸部材12bの軸方向他側の端面17cに形成された凹孔45の内周面に突き当てることにより、軸部材12bを支持する。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【0085】
[実施の形態の第4例]
本発明の実施の形態の第4例について、
図12を用いて説明する。本例の支持装置1cは、測定子47を有する変位計48を備える。測定子47は、軸方向片側の支持治具3の通孔5に挿通されている。変位計48は、例えば、ダイヤルゲージなどの接触式の変位計、または、光学式やレーザ式などの非接触式の変位計により構成される。
【0086】
本例の支持装置1cを使用して軸部材12から雄軸15(
図6参照)を製造する際には、測定子47の先端部(
図12の右端部)を、軸部材12の軸方向片側の端面17aに突き当てるか、または、対向させて、雄ねじ部14(
図6参照)の加工中の軸部材12の変位(軸方向変位)を測定する。これにより、雄ねじ部14の加工中に軸部材12が所定量以上変位する(加工が正常に行われている場合には生じないような変位が発生する)異常が発生した場合に、この異常を検知することができる。
【0087】
本例の支持装置1cによれば、変位計48により、雄ねじ部14の加工中の軸部材12の変位を測定することに基づいて、加工中の異常を検知することができ、加工が適切に行われているか否かを判断することができる。
【0088】
なお、変位計48は、軸部材12の回転を測定する回転計(回転センサ)としての機能を兼ね備えることができる。変位計48が回転計としての機能を備える場合には、変位計48により測定した軸部材12の回転数(回転速度)と、別のセンサにより測定した丸ダイス24(
図4(B)~
図5参照)の回転数を比較することで、軸部材12と丸ダイス24との間で過大な滑りなどの異常が発生していないかを検知することができる。したがって、雄ねじ部14の加工が適切に行われている否かを、より正確に判断することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【0089】
[実施の形態の第5例]
本発明の実施の形態の第5例について、
図13を用いて説明する。本例の支持装置1dは、1対の支持治具3、3aと、測定子47を有する変位計48と、検出部49を有する回転計(回転センサ)50とを備える。
【0090】
1対の支持治具3、3aのうち、軸方向片側の支持治具3aは、凹部2の底部と支持治具3aの基端面(
図13の左側面)とに開口する通孔5、および、第1のテーパ面4と支持治具3aの外周面とに開口する径方向通孔51を有する。
【0091】
変位計48は、測定子47を、軸方向片側の支持治具3aの通孔5に挿通することで、測定子47の先端部(
図13の右端部)を、軸部材12の軸方向片側の端面17aに突き当てるか、または、対向させている。これにより、変位計48により、雄ねじ部14(
図6参照
)の加工中の軸部材12の変位(軸方向変位)を測定可能としている。
【0092】
回転計50は、検出部49を、軸方向片側の支持治具3aの径方向通孔51に挿通することで、検出部49を、軸部材12の軸方向片側の端部外周面に対向させるか、または、突き当てている。これにより、回転計50により、雄ねじ部14の加工中の軸部材12の回転数を測定可能としている。なお、回転計50は、非接触式のものであることが好ましいが、接触式のものを使用することもできる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例および第4例と同様である。
【0093】
[実施の形態の第6例]
本発明の実施の形態の第6例について、
図14を用いて説明する。本例の支持装置1eでは、軸方向片側の支持治具3bは、該支持治具3bの外周面と通孔5とに開口する給油孔52を有する。
【0094】
本例では、軸方向片側の支持治具3bの通孔5には、変位計48の測定子47が挿通される。これにより、測定子47の先端部(
図14の右端部)を、軸部材12の軸方向片側の端面17aに突き当てるか、または、対向させて、軸部材12の変位(軸方向変位)を変位計48により測定可能としている。これと同時に、潤滑油供給装置27(
図2参照)から給油孔52に供給された潤滑油を、通孔5を通じて第1のテーパ面4に供給可能としている。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例および第4例と同様である。
【0095】
上述した実施の形態の第1例~第6例の構造は、矛盾を生じない限り、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0096】
1、1a、1b、1c、1d、1e 支持装置
2 凹部
3、3a、3b 支持治具
4 第1のテーパ面
5 通孔
6 台金
7 治具本体
8 嵌合凹部
9 上流側通孔
10 通気孔
11 下流側通孔
12、12a、12b 軸部材
13 被加工部
14 雄ねじ部
15 雄軸
16 外周面
17a、17b、17c 端面
18 雄ねじ溝
19a、19b、19c 端縁
20a、20b、20c 外周縁
21a、21b、21c、21d、21e、21f 面取り部
22a、22b、22c、22d、22e、22f 被支持面部
23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2 接続傾斜面部
24 丸ダイス
25 冷却油供給装置
26 コンプレッサ
27 潤滑油供給装置
28 切換弁
29 平ダイス
30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g 段部
31a、31b、31c、31d、31e、31f 平坦面部
32a、32b、32c、32d、32e、32f 円筒面部
33 ねじ切り歯
34 補助治具
35 貫通孔
36 第2のテーパ面
37 段付円筒部
38 小径筒部
39 大径筒部
40 段差面
41 凹溝
42 軸部
43 先端部
44 治具
45 凹孔
46 補助通孔
47 測定子
48 変位計 49 検出部
50 回転計
51 径方向通孔
52 給油孔