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特許7472636光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20240416BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240416BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240416BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20240416BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240416BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240416BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20240416BHJP
【FI】
F21V8/00 340
F21S2/00 390
F21V23/00 113
F21V7/28 240
F21V23/00 140
G03B21/14 A
F21Y115:30
F21Y113:13
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020082020
(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2021177457
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】宇野 進吾
(72)【発明者】
【氏名】東條 公資
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-310992(JP,A)
【文献】特開2016-100469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 7/28
G03B 21/14
F21Y 115/30
F21Y 113/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長の第1レーザ光を発する発光部と、該発光部から発せられた前記第1レーザ光を導光する第1導光体とをそれぞれ有する、複数の光学ユニットと、
前記各第1導光体によって導光された前記第1レーザ光を合波して導光する第2導光体と、
前記第1導光体または前記第2導光体の断線を検出する断線検出部と、を備え、
前記断線検出部は、
前記複数の光学ユニットのうちのいずれか1つに設けられ、前記第1波長と異なる第2波長の第2レーザ光を発する断線検出用発光部と、
前記各光学ユニットに設けられ、前記第2レーザ光の戻り光を受光する受光部と、
を有し、前記受光部が受光する戻り光に応じて第1導光体と第2導光体のいずれで断線が生じたかを判断し、
前記第2導光体は、出射面に、前記第2レーザ光を選択的に反射する反射膜を有する光源装置。
【請求項2】
前記断線検出部は、前記各受光部で前記戻り光が受光された場合、前記各第1導光体および前記第2導光体のいずれも断線していないと判断し、
前記各受光部で前記戻り光が受光されない場合、前記第2導光体で断線が生じていると判断し、
前記戻り光が受光されている前記受光部と、前記戻り光が受光されていない前記受光部とがある場合、前記戻り光が受光されていない前記受光部が設けられている前記光学ユニットの前記第1導光体で断線が生じていると判断する判断部を有する請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記反射膜は、誘電体多層膜で構成される請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記各発光部は、前記第1レーザ光として、可視光を発し、
前記断線検出用発光部は、前記第2レーザ光として、赤外光を発する請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記各光学ユニット内において、前記発光部から発せられる前記第1レーザ光の波長が同一であり、
前記光学ユニット間において、前記発光部から発せられる前記第1レーザ光の波長が異なる請求項1~4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光源装置を備えるプロジェクタ。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光源装置を備える機械加工装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ加工に用いられるレーザ加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレーザ加工装置は、加工用のレーザ光を生成するレーザ光源を有する装置本体部と、レーザ光を照射するレーザ加工用ヘッド部と、装置本体部とレーザ加工用ヘッド部とを繋ぐ光ファイバを有するケーブルとを備える。
【0003】
また、特許文献1に記載のレーザ加工装置は、光ファイバが断線した場合、その断線を検出可能に構成されている。この場合、レーザ光は、光ファイバの断線箇所で反射して、光ファイバ内を戻っていく。そして、戻り光は、ケーブルから分岐した戻り光用ファイバを通過して、戻り光センサユニットで検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-207901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ加工装置では、光ファイバの断線を検出するに際して、例えば戻り光用ファイバが別途必要となり、その分、装置構成が煩雑となる。
また、特許文献1に記載のレーザ加工装置では、レーザ光源の配置数が増えれば増えるほど、それに比例して、戻り光用ファイバの配置数と、戻り光センサユニットにおける戻り光の入射ポートの配置数とが増加する。結果、装置構成がさらに煩雑となる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成で導光体の断線を検出することができる光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、第1波長の第1レーザ光を発する発光部と、該発光部から発せられた前記第1レーザ光を導光する第1導光体とをそれぞれ有する、複数の光学ユニットと、
前記各第1導光体によって導光された前記第1レーザ光を合波して導光する第2導光体と、
前記第1導光体または前記第2導光体の断線を検出する断線検出部と、
を備え、
前記断線検出部は、
前記複数の光学ユニットのうちのいずれか1つに設けられ、前記第1波長と異なる第2波長の第2レーザ光を発する断線検出用発光部と、
前記各光学ユニットに設けられ、前記第2レーザ光の戻り光を受光する受光部と、
を有し、
前記第2導光体は、出射面に、前記第2レーザ光を選択的に反射する反射膜を有する光源装置に関する。
【0008】
本発明の態様は、上記の光源装置を備えるプロジェクタに関する。
本発明の態様は、上記の光源装置を備える機械加工装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成用の第1レーザ光が透過する導光体と、断線検出用の戻り光が透過する導光体とを共通の導光体、すなわち、第1導光体および第2導光体とすることができる。これにより、第1レーザ光が透過する導光体を別途設けるのを省略することができる。よって、光源装置の装置構成と簡単な構成とすることができる。また、光源装置によれば、発光部の配置数が増加しても、第1導光体および第2導光体の配置数は、そのままとすることができる。これにより、光源装置の装置構成の簡単化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の光源装置(第1実施形態)の第1レーザ光発光状態を示す概略構成図である。
図2】本発明の光源装置(第1実施形態)の第2レーザ光発光状態を示す概略構成図ある。
図3】本発明の光源装置(第1実施形態)の第2レーザ光発光状態を示す概略構成図(断線例1)である。
図4】本発明の光源装置(第1実施形態)の第2レーザ光発光状態を示す概略構成図(断線例2)である。
図5】本発明の光源装置(第1実施形態)のブロック図である。
図6】本発明の光源装置(第1実施形態)で実行されるプログラムのフローチャートである。
図7】本発明の光源装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
図8】本発明の光源装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1図6を参照して、本発明の光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1図4中(図7および図8についても同様)の左側を「光軸方向上流側(または左側)」、右側を「光軸方向下流側(または右側)」と言う。また、光軸方向上流側については、単に「上流側」、光軸方向下流側については、単に「下流側」と言うことがある。
【0012】
図1図5に示す光源装置1は、画像等をスクリーン(図示せず)に投影するプロジェクタ100に適用することができる。プロジェクタ100は、光源装置1を備える。この場合、光源装置1は、波長が互いに異なる、赤系、緑系および青系の第1レーザ光LB1をそれぞれ照射するよう構成されている。そして、各色の第1レーザ光LB1を合波して、合波光LB(C)を生成することにより、例えばカラー画像を投影することができる。
【0013】
具体的には、図1図4に示すように、光源装置1は、赤系の第1レーザ光LB1を出射する第1光学ユニット2(R)と、緑系の第1レーザ光LB1を出射する第2光学ユニット2(G)と、青系の第1レーザ光LB1を出射する第3光学ユニット2(B)と、第2集光部3と、第2導光体4と、断線検出部7とを備える。また、図5に示すように、光源装置1は、制御部5と、報知部6とを備える。
【0014】
第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)は、出射する第1レーザ光LB1の色が異なること以外は、ほぼ同じ構成であるため、第1光学ユニット2(R)の構成について代表的に説明する。
第1光学ユニット2(R)は、上流側から下流側に向かって順に配置された、発光部21と、コリメータレンズ22と、第1集光部23と、第1導光体(導光体)24とを有する。
【0015】
発光部21は、例えばレーザダイオードを有し、当該レーザダイオードによって、第1波長の第1レーザ光LB1を発することができる。第1レーザ光LB1は、可視光である。なお、発光部21の配置数は、第1光学ユニット2(R)では2つ、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)では3つであるが、これらに限定されない。
【0016】
また、前述したように、第1光学ユニット2(R)からは、赤系の第1レーザ光LB1が出射され、第2光学ユニット2(G)からは、緑系の第1レーザ光LB1が出射され、第3光学ユニット2(B)からは、青系の第1レーザ光LB1が出射される。
【0017】
従って、光源装置1では、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)の各光学ユニット内においては、発光部21から発せられる第1レーザ光LB1の波長が同一である。一方、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)間においては、発光部21から発せられる第1レーザ光LB1の波長が異なる。
【0018】
発光部21の下流側には、コリメータレンズ22が配置されている。コリメータレンズ22は、第1レーザ光LB1を平行光とすることができる。そして、第1レーザ光LB1は、平行光のまま、第1集光部23に入射する。
【0019】
第1集光部23は、各第1レーザ光LB1を集光して、第1導光体24に向かわせるレンズである。
第1集光部23の下流側には、第1導光体24が配置されている。第1導光体24は、第1レーザ光LB1を第2集光部3まで導光することができる。第1導光体24としては、特に限定されず、例えば、光ファイバ、光導波路等を用いることができる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態では、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)、第3光学ユニット2(B)は、互いに隣り合って配置されている。そして、これらの光学ユニットの下流側には、第2集光部3が配置されている。第2集光部3は、第1光学ユニット2(R)からの第1レーザ光LB1と、第2光学ユニット2(G)からの第1レーザ光LB1と、第3光学ユニット2(B)からの第1レーザ光LB1とを集光して、第2導光体4に向かわせるレンズである。
【0021】
第2集光部3の下流側には、第2導光体4が配置されている。第2導光体4は、各光学ユニットからの第1レーザ光LB1を合波して、その合波光LB(C)を、第2導光体4の出射面41まで導光することができる。そして、出射面41からは、合波光LB(C)が出射する(図1参照)。この合波光LB(C)は、カラー画像の形成に供される。なお、第2導光体4としては、特に限定されず、例えば、第1導光体24と同様に、光ファイバ、光導波路等を用いることができる。
【0022】
制御部5は、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)、第3光学ユニット2(B)および報知部6が電気的に接続されており、各部の作動を制御することができる。この制御部5は、CPU51と、記憶部52とを有する。CPU51は、例えば、記憶部52に予め記憶されている画像投影用の制御プログラム等を実行することができる。また、CPU51は、後述する判断部73としての機能も有する。記憶部52は、例えば、制御プログラムやその他の各種情報等を記憶することができる。
【0023】
報知部6は、断線検出部7での検出結果を報知する部分である。この報知方法としては、特に限定されず、例えば、光(発光画像を含む)を用いる方法、音(振動を含む)を用いる方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。
【0024】
前述したように、光源装置1は、断線検出部7を備える。断線検出部7は、第1導光体24または第2導光体4の断線を検出することができる。図1図4に示すように、断線検出部7は、断線検出用発光部71と、受光部72と、コリメータレンズ74とを有する。また、図5に示すように、断線検出部7は、判断部73を有する。なお、本実施形態では、CPU51が判断部73としての機能を担う。
【0025】
断線検出用発光部71は、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)のうちの第1光学ユニット2(R)に設けられている。そして、第1光学ユニット2(R)内では、断線検出用発光部71は、第1集光部23よりも上流側に配置されている。なお、断線検出用発光部71は、本実施形態では第1光学ユニット2(R)に設けられているが、これに限定されず、例えば、第2光学ユニット2(G)に設けられていてもよいし、第3光学ユニット2(B)に設けられていてもよい。
【0026】
断線検出用発光部71は、第1波長と異なる第2波長の第2レーザ光LB2を発することができる。特に本実施形態では、断線検出用発光部71は、第2レーザ光LB2として、赤外光を発する赤外線照射器である。これにより、第2レーザ光LB2が、可視光である合波光LB(C)によって形成される画像に影響を与えるのを防止することができる。
【0027】
断線検出用発光部71と第1集光部23との間には、コリメータレンズ74が配置されている。コリメータレンズ74は、第2レーザ光LB2を平行光とすることができる。そして、第2レーザ光LB2は、平行光のまま、第1集光部23に入射する。
【0028】
受光部72は、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)にそれぞれ設けられている。受光部72は、各光学ユニット内では、第1集光部23よりも上流側に配置されている。受光部72は、例えばフォトダイオードを有し、当該フォトダイオードによって、後述する戻り光LB3を受光することができる。
【0029】
また、第2導光体4の出射面41には、反射膜10が設けられている。反射膜10は、誘電体多層膜で構成される。これにより、合波光LB(C)は、反射膜10を透過することができるが、第2レーザ光LB2は、反射膜10で反射する。このように反射膜10は、第2レーザ光LB2を選択的に反射させることができる。そして、反射膜10で反射した第2レーザ光LB2は、上流側に向かう戻り光LB3となって、受光部72で受光され得る。
【0030】
判断部73は、第1導光体24および第2導光体4がそれぞれ断線しているか否かを判断することができる。
光源装置1では、断線の有無に関して、例えば、以下に述べる3つの状態が考えられる。
【0031】
1つ目の状態は、図2に示す状態である。この図2に示す状態では、各第1導光体24および第2導光体4がいずれも断線していない。なお、図1に示す状態は、図2に示す状態と同様に、各第1導光体24および第2導光体4がいずれも断線していない。これにより、前述したように、第2導光体4の出射面41から合波光LB(C)が出射する。
2つ目の状態は、図3に示す状態である。この図3に示す状態では、第2導光体4が断線している。第2導光体4が断線している箇所を「断線部42」と言う。
【0032】
3つ目の状態は、図4に示す状態である。この図4に示す状態では、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)のうちの第2光学ユニット2(G)の第1導光体24が断線している。第1導光体24が断線している箇所を「断線部242」と言う。なお、図4に示す状態は、一例であり、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)のうちの少なくとも1つの光学ユニットの第1導光体24が断線した場合も同様に、当該第1導光体24に対する断線検出が可能である。
【0033】
そして、光源装置1では、断線検出部7により、各状態での断線検出が可能となっている。断線検出を行う際には、断線検出用発光部71から第2レーザ光LB2を照射する。このとき、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)の各発光部21から第1レーザ光LB1を照射していてもよいし、第1レーザ光LB1の照射を停止していてもよい。
【0034】
図2に示す状態では、断線検出用発光部71から照射された第2レーザ光LB2は、コリメータレンズ74、第1集光部23、第1導光体24、第2集光部3、第2導光体4を順に透過して、反射膜10に到達する。そして、第2レーザ光LB2は、反射膜10で反射して、戻り光LB3となる。戻り光LB3は、第2導光体4、第2集光部3を順に透過し、その際、第2集光部3で拡散される。この拡散された戻り光LB3は、各光学ユニットの第1導光体24、第1集光部23を順に透過して、受光部72で受光される。このような場合、判断部73によって、各第1導光体24および第2導光体4のいずれも断線していないと判断される。なお、第1導光体24から出射した戻り光LB3は、広がりつつ、第1集光部23に入射する。その後、戻り光LB3の一部は、第1集光部23によって受光部72に向かって屈折する。これにより、戻り光LB3は、受光部72に対し垂直に入射することとなる。
【0035】
図3に示す状態では、断線検出用発光部71からの第2レーザ光LB2は、コリメータレンズ74、第1集光部23、第1導光体24、第2集光部3を順に透過するが、第2導光体4の断線部42で、それ以上の進行が阻止される、すなわち、反射膜10への到達が不可となる。その結果、戻り光LB3が生じず、各受光部72での戻り光LB3の受光が行われない。このような場合、判断部73によって、第2導光体4で断線が生じていると判断される。
【0036】
図4に示す状態では、断線検出用発光部71からの第2レーザ光LB2は、コリメータレンズ74、第1集光部23、第1導光体24、第2集光部3、第2導光体4を順に透過して、反射膜10に到達する。そして、第2レーザ光LB2は、反射膜10で反射して、戻り光LB3となる。戻り光LB3は、第2導光体4、第2集光部3を順に透過し、その際、第2集光部3で拡散される。この拡散された戻り光LB3は、各光学ユニットの第1導光体24に入射するが、第2光学ユニット2(G)の第1導光体24では、断線部242で、それ以上の進行が阻止される。その結果、第2光学ユニット2(G)の受光部72では、戻り光LB3の受光が行われない。なお、第1光学ユニット2(R)および第3光学ユニット2(B)では、それぞれ、戻り光LB3は、それぞれ、第1導光体24、第1集光部23を順に透過して、受光部72で受光される。このような場合、判断部73によって、戻り光LB3が受光されていない受光部72が設けられている光学ユニット、すなわち、図4に示す構成では第2光学ユニット2(G)の第1導光体24で断線が生じていると判断される。なお、第1導光体24から出射した戻り光LB3は、広がりつつ、一部が第1集光部23に入射する。その後、戻り光LB3の一部は、第1集光部23によって受光部72に向かって屈折する。これにより、戻り光LB3は、受光部72に対し垂直に入射することとなる。
【0037】
このように、判断部73は、各受光部72で戻り光LB3が受光された場合、各第1導光体24および第2導光体4のいずれも断線していないと判断する。
また、判断部73は、各受光部72で戻り光LB3が受光されない場合、第2導光体4で断線が生じていると判断する。
【0038】
また、判断部73は、戻り光LB3が受光されている受光部72と、戻り光LB3が受光されていない受光部72とがある場合、戻り光LB3が受光されていない受光部72が設けられている光学ユニットの第1導光体24で断線が生じていると判断する。
【0039】
なお、各受光部72での戻り光LB3の受光の有無の判断方法としては、例えば、各受光部72での受光量が閾値を超えた場合、受光有りと判断し、閾値以下の場合、受光無しと判断する方法等が挙げられる。
【0040】
以上のような構成の光源装置1(プロジェクタ100)では、画像形成用の第1レーザ光LB1が透過する導光体と、断線検出用の戻り光LB3が透過する導光体とを共通の導光体、すなわち、第1導光体24および第2導光体4とすることができる。これにより、戻り光LB3が透過する導光体を別途設けるのを省略することができる。よって、光源装置1の装置構成と簡単な構成とすることができる。
【0041】
また、光源装置1では、発光部21の配置数が増加しても、第1導光体24および第2導光体4の配置数は、そのままとすることができる。これにより、光源装置1の装置構成の簡単化に寄与する。
【0042】
また、光源装置1では、第2導光体4に反射膜10を設けるという簡単な構成で、戻り光LB3を容易に生成することができる。そして、この戻り光LB3は、第2導光体4からは照射されないため、戻り光LB3の受光の有無に基づいた断線検出を正確に行うことができる。
このように、光源装置1(プロジェクタ100)では、簡単な構成で、第1導光体24の断線と、第2導光体4の断線とを正確に検出することができる。
【0043】
また、光源装置1では、第1レーザ光LB1を戻らせて戻り光を得るのではなく、第1レーザ光LB1と異なる波長の第2レーザ光LB2を戻らせて、戻り光LB3を得るよう構成されている。これにより、第1レーザ光LB1を十分に用いることができるため(つまり、第1レーザ光LB1の損失が発生しないため)、色再現性の高い画像が得られる。
【0044】
次に、断線の有無を検出するための制御プログラムについて、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この制御プログラムは、記憶部52に予め記憶されており、CPU51で実行される。
【0045】
まず、断線検出用発光部71から第2レーザ光LB2を発光させる(ステップS101)。
次いで、第1光学ユニット2(R)の受光部72で受光が行われた否かの判断(ステップS102)と、第2光学ユニット2(G)の受光部72で受光が行われた否かの判断(ステップS103)と、第3光学ユニット2(B)の受光部72で受光が行われた否かの判断(ステップS104)とを順に行う。
【0046】
ステップS102での判断の結果と、ステップS103での判断の結果と、ステップS104での判断の結果とが、それぞれ、受光部72で受光有りの判断となった場合には、判断部73は、各第1導光体24および第2導光体4のいずれも断線していないと判断する(ステップS105)。
【0047】
ステップS102での判断の結果、受光部72で受光無しと判断された場合には、第2光学ユニット2(G)の受光部72、第3光学ユニット2(B)の受光部72のいずれでも、受光が行われた否かの判断を行う(ステップS106)。
【0048】
ステップS106での判断の結果、各受光部72で受光有りと判断された場合には、判断部73は、第1光学ユニット2(R)の第1導光体24に断線が生じていると判断する(ステップS107)。そして、ステップS107での判断結果、すなわち、「第1光学ユニット2(R)の第1導光体24に断線が生じている」旨の情報を、報知部6によって報知する(ステップS108)。
【0049】
また、ステップS106での判断の結果、各受光部72で受光無しと判断された場合には、判断部73は、第2導光体4に断線が生じていると判断する(ステップS109)。そして、ステップS109での判断結果、すなわち、「第2導光体4に断線が生じている」旨の情報を、報知部6によって報知する(ステップS110)。
【0050】
ステップS103での判断の結果、受光部72で受光無しと判断された場合には、第1光学ユニット2(R)の受光部72、第3光学ユニット2(B)の受光部72のいずれでも、受光が行われた否かの判断を行う(ステップS111)。
【0051】
ステップS111での判断の結果、各受光部72で受光有りと判断された場合には、判断部73は、第2光学ユニット2(G)の第1導光体24に断線が生じていると判断する(ステップS112)。そして、ステップS112での判断結果、すなわち、「第2光学ユニット2(G)の第1導光体24に断線が生じている」旨の情報を、報知部6によって報知する(ステップS113)。
また、ステップS111での判断の結果、各受光部72で受光無しと判断された場合には、ステップS109以降のステップを順次実行する。
【0052】
ステップS104での判断の結果、受光部72で受光無しと判断された場合には、第1光学ユニット2(R)の受光部72、第2光学ユニット2(G)の受光部72のいずれでも、受光が行われた否かの判断を行う(ステップS114)。
【0053】
ステップS114での判断の結果、各受光部72で受光有りと判断された場合には、判断部73は、第3光学ユニット2(B)の第1導光体24に断線が生じていると判断する(ステップS115)。そして、ステップS115での判断結果、すなわち、「第3光学ユニット2(B)の第1導光体24に断線が生じている」旨の情報を、報知部6によって報知する(ステップS116)。
【0054】
また、ステップS114での判断の結果、各受光部72で受光無しと判断された場合には、ステップS109以降のステップを順次実行する。
以上のような制御プログラムにより、断線の有無検出を正確かつ迅速に行うことができる。
【0055】
<第2実施形態>
以下、図7を参照して本発明の光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、光源装置の適用態様が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0056】
図7に示すように、光源装置1は、レーザ加工を行う機械加工装置200に適用することができる。機械加工装置200は、光源装置1を備える。この場合、光源装置1は、例えば、波長が互いに異なる青系の第1レーザ光LB1をそれぞれ照射する2つの第3光学ユニット2(B)を備える。そして、各光学ユニットからの第1レーザ光LB1を合波した合波光LB(C)によって、例えば、レーザ加工を行うことができる。
【0057】
また、2つの第3光学ユニット2(B)のうち、一方の第3光学ユニット2(B)には、断線検出用発光部71と、コリメータレンズ74とが配置される。これにより、前記第1実施形態と同様に、第1導光体24または第2導光体4の断線を検出することができる。
【0058】
<第3実施形態>
以下、図8を参照して本発明の光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、主に、反射膜の配置箇所が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0059】
図8に示すように、反射膜10は、第1光学ユニット2(R)、第2光学ユニット2(G)および第3光学ユニット2(B)の各第1導光体24の出射面241に設けられている。
また、断線検出部7は、前記第1実施形態と同様にして、反射膜10よりも上流側の導光体、すなわち、第1導光体24の断線を検出することができる。
【0060】
以上、本発明の光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0061】
また、本発明の光源装置、プロジェクタおよび機械加工装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、光源装置が備える光学ユニットの配置数は、前記第1実施形態および前記第3実施形態ではそれぞれ3つ、前記第2実施形態では2つであるが、これらに限定されない。
【0062】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0063】
(第1項)一態様に係る光源装置は、
第1波長の第1レーザ光を発する発光部と、該発光部から発せられた前記第1レーザ光を導光する第1導光体とをそれぞれ有する、複数の光学ユニットと、
前記各第1導光体によって導光された前記第1レーザ光を合波して導光する第2導光体と、
前記第1導光体または前記第2導光体の断線を検出する断線検出部と、
を備え、
前記断線検出部は、
前記複数の光学ユニットのうちのいずれか1つに設けられ、前記第1波長と異なる第2波長の第2レーザ光を発する断線検出用発光部と、
前記各光学ユニットに設けられ、前記第2レーザ光の戻り光を受光する受光部と、
を有し、
前記第2導光体は、出射面に、前記第2レーザ光を選択的に反射する反射膜を有する。
【0064】
第1項に記載の光源装置によれば、画像形成用の第1レーザ光が透過する導光体と、断線検出用の戻り光が透過する導光体とを共通の導光体、すなわち、第1導光体および第2導光体とすることができる。これにより、第1レーザ光が透過する導光体を別途設けるのを省略することができる。よって、光源装置の装置構成と簡単な構成とすることができる。また、光源装置によれば、発光部の配置数が増加しても、第1導光体および第2導光体の配置数は、そのままとすることができる。これにより、光源装置の装置構成の簡単化に寄与する。
【0065】
(第2項)第1項に記載の光源装置において、
前記断線検出部は、前記各受光部で前記戻り光が受光された場合、前記各第1導光体および前記第2導光体のいずれも断線していないと判断し、
前記各受光部で前記戻り光が受光されない場合、前記第2導光体で断線が生じていると判断し、
前記戻り光が受光されている前記受光部と、前記戻り光が受光されていない前記受光部とがある場合、前記戻り光が受光されていない前記受光部が設けられている前記光学ユニットの前記第1導光体で断線が生じていると判断する判断部を有する。
【0066】
第2項に記載の光源装置によれば、導光体に対する断線の有無検出を正確かつ迅速に行うことができる。
【0067】
(第3項)第1項または第2項に記載の光源装置において、
前記反射膜は、誘電体多層膜で構成される。
【0068】
第3項に記載の光源装置によれば、第1レーザ光を透過させることができるとともに、第2レーザ光を十分に反射させて、戻り光とすることができる。
【0069】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記各発光部は、前記第1レーザ光として、可視光を発し、
前記断線検出用発光部は、前記第2レーザ光として、赤外光を発する。
【0070】
第4項に記載の光源装置によれば、例えば光源装置をプロジェクタに適用した場合、第2レーザ光が、可視光である第1レーザ光によって形成される画像に影響を与えるのを防止することができる。
【0071】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記各光学ユニット内において、前記発光部から発せられる前記第1レーザ光の波長が同一であり、
前記光学ユニット間において、前記発光部から発せられる前記第1レーザ光の波長が異なる。
【0072】
第5項に記載の光源装置によれば、例えば光源装置をプロジェクタに適用することができる。
【0073】
(第6項)一態様に係る光源装置は、
第1波長の第1レーザ光を発する発光部と、該発光部から発せられた前記第1レーザ光を導光する導光体とをそれぞれ有する、複数の光学ユニットと、
前記導光体の断線を検出する断線検出部と、
を備え、
前記断線検出部は、
前記複数の光学ユニットのうちのいずれか1つに設けられ、前記第1波長と異なる第2波長の第2レーザ光を発する断線検出用発光部と、
前記各光学ユニットに設けられ、前記第2レーザ光の戻り光を受光する受光部と、
を有し、
前記導光体は、出射面に、前記第2レーザ光を選択的に反射する反射膜を有する。
【0074】
第6項に記載の光源装置によれば、画像形成用の第1レーザ光が透過する導光体と、断線検出用の戻り光が透過する導光体とを共通の導光体、すなわち、第1導光体および第2導光体とすることができる。これにより、第1レーザ光が透過する導光体を別途設けるのを省略することができる。よって、光源装置の装置構成と簡単な構成とすることができる。また、光源装置によれば、発光部の配置数が増加しても、第1導光体および第2導光体の配置数は、そのままとすることができる。これにより、光源装置の装置構成の簡単化に寄与する。
【0075】
(第7項)一態様に係るプロジェクタは、
上記の光源装置を備える。
【0076】
第7項に記載のプロジェクタによれば、画像形成用の第1レーザ光が透過する導光体と、断線検出用の戻り光が透過する導光体とを共通の導光体、すなわち、第1導光体および第2導光体とすることができる。これにより、第1レーザ光が透過する導光体を別途設けるのを省略することができる。よって、光源装置の装置構成と簡単な構成とすることができる。また、光源装置によれば、発光部の配置数が増加しても、第1導光体および第2導光体の配置数は、そのままとすることができる。これにより、光源装置の装置構成の簡単化に寄与する。
【0077】
(第8項)一態様に係る機械加工装置は、
上記の光源装置を備える。
【0078】
第8項に記載の機械加工装置によれば、画像形成用の第1レーザ光が透過する導光体と、断線検出用の戻り光が透過する導光体とを共通の導光体、すなわち、第1導光体および第2導光体とすることができる。これにより、第1レーザ光が透過する導光体を別途設けるのを省略することができる。よって、光源装置の装置構成と簡単な構成とすることができる。また、光源装置によれば、発光部の配置数が増加しても、第1導光体および第2導光体の配置数は、そのままとすることができる。これにより、光源装置の装置構成の簡単化に寄与する。
【符号の説明】
【0079】
1 光源装置
2(R) 第1光学ユニット
2(G) 第2光学ユニット
2(B) 第3光学ユニット
21 発光部
22 コリメータレンズ
23 第1集光部
24 第1導光体(導光体)
241 出射面
242 断線部
3 第2集光部
4 第2導光体
41 出射面
42 断線部
5 制御部
51 CPU
52 記憶部
6 報知部
7 断線検出部
71 断線検出用発光部
72 受光部
73 判断部
74 コリメータレンズ
10 反射膜
100 プロジェクタ
200 機械加工装置
LB1 第1レーザ光
LB2 第2レーザ光
LB3 戻り光
LB(C) 合波光
S101~S116 ステップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8