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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像読取部の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240416BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240416BHJP
   G03G 15/043 20060101ALI20240416BHJP
   H04N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
G03G21/00 510
G03G15/043
H04N1/19
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020085138
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021180416
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 康範
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-023379(JP,A)
【文献】特開2019-186748(JP,A)
【文献】特開2007-336240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
G03G 13/04 -13/056
15/04 -15/047
15/056
H04N 1/04 - 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部を制御する制御部と、を備え、
前記画像読取部は、
前記記録媒体に形成された画像面に光を照射する光源と、
光を検出し、前記制御部に検出値を出力するセンサと、
前記センサを収容し、前記記録媒体と対向する面に開口部が形成された筐体と、
前記筐体の開口部に設けられた防塵ガラスと、を有し、
前記画像読取部の補正処理動作時に、前記制御部は、光を鏡面反射する補正用反射部材に前記光源から光を照射した際に、前記センサが取得した前記検出値に基づいて、前記防塵ガラスの汚れを検出し、
前記光源から照射された光が前記補正用反射部材で反射した際に、前記センサの検出面に侵入しない角度で、前記光源から照射された光が前記補正用反射部材に入射する
画像形成装置。
【請求項2】
前記光源から照射された光の光軸は、前記センサの検知軸に対して傾斜している
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサの前記検知軸は、前記補正用反射部材の読み取り対象面と直交し、
前記光源は、前記補正用反射部材の前記読み取り対象面に対して斜めから光を照射する
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記補正用反射部材に前記光源から光を照射した際に、前記センサが取得した前記検出値に基づいて、前記センサの黒シェーディング補正を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正用反射部材は、前記光源から光が照射される読み取り対象面が平坦で、かつ光を鏡面反射する反射ミラーである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取部の検査方法において、
光を鏡面反射する補正用反射部材に光源から光を照射する処理と、
前記光源から光を照射した際に、前記画像読取部のセンサにより光を検出する処理と、
前記センサが検出した検出値に基づいて、前記画像読取部に設けた防塵ガラスの汚れを検出する処理と、
を含み、
前記光源から照射された光が前記補正用反射部材で反射した際に、前記センサの検出面に侵入しない角度で、前記光源から照射された光が前記補正用反射部材に入射する
画像読取部の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像読取部の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像形成装置では、形成された画像の品質を確認するために、記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取部が設けられている。画像読取部は、記録媒体に形成された画像面に光を照射し、画像面から反射された光をセンサにより検出している。また、画像読取部には、センサや光学系への埃や塵等のゴミの侵入を防ぐために防塵ガラスが設けられている。この防塵ガラスには、記録媒体を搬送する際に生じる紙紛や、清掃時の指紋等のゴミが付着する。そして、防塵ガラスに付着したゴミにより画像読取部の読み取り画像の解像度が低下し、読み取り精度が低下するおそれがある。
【0003】
そのため、従来から画像読取部の補正処理時に、防塵ガラスの汚れを検出することが行われている。このような、防塵ガラスの汚れを検出する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0004】
また、防塵ガラスの汚れ検出動作では、読み取り対象面として黒チャートが形成された用紙を使用している。そして、画像読取部は、黒チャートを背景として読み取り、背景(黒)と、指紋や埃等のゴミが付着した箇所とのコントラスト差を検出することで、防塵ガラスの汚れを検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-197165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、読み取り対象面として黒チャートを使用しても、センサで検出される輝度レベルを0レベル近傍まで落とすことができなかった。そのため、ゴミが付着した箇所と背景とのコントラスト差を大きく得ることができず、防塵ガラスに付着した汚れを正確に検出することができない、という問題を有していた。
【0007】
本発明は、上述のような従来の問題点に鑑み、防塵ガラスに付着した汚れを正確に検出することができる画像形成装置及び画像読取部の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取部と、画像読取部を制御する制御部と、を備えている。画像読取部は、光源と、センサと、筐体と、防塵ガラスと、を有している。光源は、記録媒体に形成された画像面に光を照射する。センサは、光を検出し、制御部に検出値を出力する。筐体は、センサを収容し、記録媒体と対向する面に開口部が形成されている。防塵ガラスは、筐体の開口部に設けられる。
そして、画像読取部の補正処理動作時に、制御部は、光を鏡面反射する補正用反射部材に光源から光を照射した際に、センサが取得した検出値に基づいて、防塵ガラスの汚れを検出する。
【0009】
また、本発明の画像読取部の検査方法は、以下(1)から(3)に示す処理を含む。
(1)光を鏡面反射する補正用反射部材に光源から光を照射する処理。
(2)光源から光を照射した際に、画像読取部のセンサにより光を検出する処理。
(3)センサが検出した検出値に基づいて、画像読取部に設けた防塵ガラスの汚れを検出する処理。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の画像形成装置及び画像読取部の検査方法によれば、防塵ガラスに付着した指紋やゴミ等を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における画像読取部を示す概略構成図である。
図3】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における画像読取部を構成する撮像部を示すもので、図3Aは撮像部の概略構成図、図3Bは撮像部を記録媒体側から見た平面図である。
図4】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における制御系の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における防塵ガラスの汚れ検出動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態例について、図1図5を参照して説明する。なお、各図において共通する部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.実施の形態例
1-1.画像形成装置の構成例
まず、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる画像形成装置の構成例について図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【0014】
図1に示す画像形成装置1は、インクジェットヘッドに設けたノズルからインクを吐出することで記録媒体に画像を形成(記録)するインクジェット記録装置である。この画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のインクを重ね合わせるカラー画像形成装置である。
【0015】
画像形成装置1は、給紙部2と、搬送部4と、排出部5と、画像形成部6と、定着部7と、画像読取部8と、制御部10とを有している。そして、画像形成装置1は、外部装置100(図4参照)から入力された画像データを記録媒体の一例を示す用紙Pに形成する。
【0016】
給紙部2は、給紙トレー11と、用紙供給部12とを有している。給紙トレー11は、記録媒体の一例を示す用紙Pを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、載置された用紙Pの枚数に応じて上下方向に移動可能に設けられている。そして、給紙トレー11に載置された複数の用紙Pのうち上下方向の最上部の用紙Pは、用紙供給部12により搬送される位置で保持される。
【0017】
用紙供給部12は、複数(本例では、2つ)のローラと、ベルト部材とを有している。ベルト部材は、長手方向の両端が接続された無端状に形成されている。ベルト部材は、ローラに張架されている。そして、ローラのうち一方のローラが回転駆動することで、ベルト部材は、2つのローラの間を循環移動する。これにより、ベルト部材に載置された用紙Pが搬送される。
【0018】
また、用紙供給部12は、ローラを回転駆動する不図示の駆動部や、給紙トレー11に載置された最上部の用紙Pをベルト部材に受け渡す供給装置を有している。そして、用紙供給部12は、ベルト部材に載置された用紙Pを搬送部4に向けて搬送し、画像形成部6に給紙する。
【0019】
さらに、用紙供給部12は、用紙Pにおける搬送方向Yと直交する幅方向Xの位置を合わせるガイド部材を有している。そして、用紙供給部12は、搬送部4に給紙する用紙Pの幅方向Xの位置を所定の位置に合わせる。
【0020】
搬送部4は、駆動ローラ21と、従動ローラ22と、搬送ベルト23とを有している。駆動ローラ21と、従動ローラ22は、略円柱状に形成されている。そして、駆動ローラ21及び従動ローラ22は、その軸方向が幅方向Xと平行になるように配置されている。駆動ローラ21と従動ローラ22は、搬送方向Yに所定の間隔を空けて配置されている。本例では、駆動ローラ21は、従動ローラ22よりも搬送方向Yの下流側に配置されている。駆動ローラ21には、搬送駆動部51(図4参照)が接続されている。そして、駆動ローラ21は、搬送駆動部51により回転駆動する。
【0021】
搬送ベルト23は、可撓性を有する平板状のスチール板を複数繋ぎ合わせたスチールベルトにより構成されている。搬送ベルト23は、長手方向の両端が接続された無端状に形成されている。搬送ベルト23には、複数の吸引孔が開口している。吸引孔は、略円形に開口している。吸引孔25は、エッチングによりスチール板に形成されている。
【0022】
図1に示すように、上述した構成を有する搬送ベルト23は、駆動ローラ21と従動ローラ22に張架されている。駆動ローラ21が回転駆動することで、搬送ベルト23は、駆動ローラ21と従動ローラ22の間を循環移動する。これにより、搬送ベルト23に載置された用紙Pが搬送される。
【0023】
また、搬送部4には、不図示の吸引部を有している。吸引部は、吸引ファンにより構成されている。吸引部は、搬送ベルト23における用紙Pが載置される載置面とは反対側の面に配置されている。吸引部は、搬送ベルト23に設けた吸引孔25、26を介して用紙Pを吸引する。これにより、搬送部4によって用紙Pを搬送する際に、用紙Pの位置がずれることを防止することができる。
【0024】
また、画像形成部6、定着部7及び画像読取部8は、搬送部4における搬送ベルト23の載置面と対向して配置されている。画像形成部6は、定着部7及び画像読取部8よりも搬送方向Yの上流側に配置される。
【0025】
画像形成部6は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に応じて4つのヘッドユニット6Y、6M、6C、6Kを有している。4つのヘッドユニット6Y、6M、6C、6Kは、搬送方向Yの上流側から、例えば、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順に配置されている。
【0026】
ヘッドユニット6Y、6M、6C、6Kは、幅方向Xにおいて用紙Pの全体を覆う長さ(幅)に設定されている。すなわち、画像形成装置1は、ワンパス方式のラインヘッド型画像形成装置である。4つのヘッドユニット6Y、6M、6C、6Kは、それぞれ吐出するインクの色が異なるのみで、互いに同一の構成を有している。なお、本例は、画像形成装置1としてワンパス方式の画像形成装置を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、ヘッドユニットが搬送方向と直交する方向に移動して画像形成を行うスキャン方式の画像形成装置にも適用できるものである。
【0027】
ヘッドユニット6Y、6M、6C、6Kは、複数のインクジェットヘッド55(図4参照)を有している。そして、2つのインクジェットヘッド55が1組となって、1つのインクジェットモジューを構成している。
【0028】
複数のインクジェットモジュールは、搬送方向Yに沿って2列並べられている。そして、一列のインクジェットモジュールは、幅方向Xに沿って4つ並べて配置されている。また、インクジェットモジュールは、2列のインクジェットモジュールが搬送方向Yに沿って互い違い千鳥状に配置されている。なお、ヘッドユニット6Y、6M、6C、6Kは、複数のノズルを1ユニットに配置した1ヘッドユニットでも良い。
【0029】
また、インクジェットヘッド55は、複数のノズルを有している。そして、インクジェットヘッド55は、ノズルからインクを用紙Pに向けて吐出する。これにより、搬送部4の搬送ベルト23に載置された用紙Pに画像が形成される。
【0030】
なお、画像形成部6と給紙部2の間に、用紙Pを所定の温度に加熱する加熱部を設けてもよい。
【0031】
画像形成部6における搬送方向Yの下流側には、定着部7が配置されている。定着部7としては、例えば、低圧水銀ランプ等の紫外線を照射する蛍光管が適用される。そして、定着部7は、紫外線を搬送ベルト23により搬送された用紙Pに向けて照射し、用紙P状に吐出されたインクを硬化させる。これにより、定着部7は、用紙Pに形成された画像を定着させる。
【0032】
紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa~1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどが挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば発光ダイオード等)がより望ましい。
【0033】
なお、定着部7としては紫外線を照射するものに限定されるものではなく、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線を照射するものであればよく、光源もエネルギー線の波長などに応じて置換される。さらに、定着部7としては、紫外線等の光を照射するものに限定されるものではない。定着部7としては、例えば、用紙に熱を与えることでインクを乾燥させたり、インクに化学的な変化を起こさせる液体を付与させたりするもの等その他各種の方法を適用できるものである。
【0034】
また、定着部7における搬送ベルト23と対向する端部には、遮光板18が設けられている。遮光板18は、定着部7による紫外線の照射範囲を囲むように配置されている。そして、遮光板18は、紫外線が照射範囲から漏れ出ることを防止している。これにより、定着部7から出射された紫外線が、画像形成部6に照射されて、インクジェットヘッド55のノズル内でインクが硬化することを防ぐことができる。
【0035】
また、定着部7における搬送方向Yの下流側には、画像読取部8が配置されている。画像読取部8は、用紙Pに形成された画像を読み取る。そして、画像読取部8は、読み取った画像情報を制御部10に出力する。なお、画像読取部8の詳細な構成については、後述する。
【0036】
また、画像読取部8の搬送方向の下流側には、排出部5が配置されている。すなわち、排出部5は、搬送部4における搬送方向Yの最下流に配置され、画像形成部6、定着部7及び画像読取部8は、給紙部2と排出部5の間に配置される。
【0037】
排出部5は、搬送部4から搬送され、かつ画像形成部6及び定着部7によって画像が形成された用紙Pを格納する。排出部5は、平板状の排紙トレー14を有している。そして、排出部5は、排紙トレー14上に画像が形成された用紙Pを載置する。
【0038】
次に、図2図3A及び図3Bを参照して画像読取部8の構成について説明する。
図2は、画像読取部8を示す概略構成図、図3Aは、画像読取部8を構成する撮像部31A、31B、31Cを示すもので、図3Aは撮像部31Aを示す概略構成図、図3Bは、撮像部31Aを記録媒体側、すなわち搬送ベルト側から見た平面図である。
【0039】
図2に示すように、画像読取部8は、搬送ベルト23と対向し、かつ幅方向Xに沿って配置されている。画像読取部8は、第1撮像部31Aと、第2撮像部31Bと、第3撮像部31Cと、を有している。第1撮像部31A、第2撮像部31B及び第3撮像部31Cは、幅方向Xに沿って並べて配置されている。
【0040】
図3Aに示すように、第1撮像部31Aは、筐体32と、レンズ33と、ラインセンサ34Aと、複数の光源35と、複数の反射部36と、防塵ガラス37とを有している。レンズ33、ラインセンサ34A、複数の光源35及び複数の反射部36は、筐体32内に収容されている。
【0041】
筐体32における搬送ベルト23と対向する面には、開口部38が形成されている。開口部38には、防塵ガラス37が嵌め込まれている。防塵ガラス37は、開口部38から埃や塵が筐体32内に入り込むことを防止している。
【0042】
レンズ33及び複数の反射部36は、第1ラインセンサ34Aに向けて光を集光する。第1ラインセンサ34Aは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ、又はCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサで構成されている。そして、第1ラインセンサ34Aは、複数の検出素子が幅方向Xに沿って並べて配置されている。すなわち、第1ラインセンサ34Aの検出面は、線状に配置されている。
【0043】
複数の光源35は、例えば、LED(Light Emitting Diode)により構成されている。複数の光源35は、筐体32内において防塵ガラス37の近傍に配置されている。図3Bに示すように、複数の光源35は、幅方向Xに沿って列状に配置されている。また、2列の複数の光源35は、搬送方向Yに間隔をあけて配置される。図3Aに示すように、2列の複数の光源35の間を、搬送ベルト23から第1ラインセンサ34Aまでの光軸(以下、検知軸という)L4が通過する。なお、防塵ガラス37を通過する検知軸L4は、幅方向X及び搬送方向Yと直交している。すなわち、検知軸L4は、搬送ベルト23の搬送面に対して直交する。
【0044】
光源35から照射された光は、防塵ガラス37を通過し、搬送ベルト23に向けて照射される。なお、光源35は、搬送ベルト23に対して所定の入射角θ(例えば、45度)で光を照射する。そして、光源35から照射された光の光軸(以下、照射軸という)L3は、搬送ベルト23と直交する方向に対して傾斜している。ここで、検知軸L4は、搬送ベルト23と直交する方向と平行であるため、照射軸L3は、検知軸L4に対して傾斜している。そのため、照射軸L3と検知軸L4は、重なり合わない。また、上述したように、検知軸L4が搬送ベルト23の搬送面に対して直交しているため、搬送ベルト23で反射した照射軸L3は、検知軸L4と重ならない。
【0045】
なお、照射軸L3における検知軸L4に対する傾斜角度は、光源35から照射された光が後述する反射ミラーM1で反射した際に、ラインセンサ34A、34B、34Cの検出面に侵入しない角度であればよい。また、ミラーやプリズム等の光学部品を用いて光源35から照射された光を反射ミラーM1に対して斜めに入射させてもよい。
【0046】
また、画像を読み取る際、光源35から照射された光は、搬送ベルト23に載置された記録媒体Pにより反射(散乱)され、複数の反射部36及びレンズ33を介して第1ラインセンサ34に入射する。これにより、第1ラインセンサ34Aは、画像形成部6及び定着部7により用紙Pに形成された画像を読み取る。読み取った画像のデータは、制御部10に送られる。
【0047】
なお、第1ラインセンサ34Aを構成する検出素子の読取り幅は、インクジェットヘッド55のノズルの間隔よりも広く設定されている。また、第1ラインセンサ34Aの分解能は、ヘッドユニットの解像度よりも粗く設定されている。
【0048】
また、第2撮像部31Bは、レンズ33と、第2ラインセンサ34Bを有しており、第3撮像部31Cは、レンズ33と、第3ラインセンサ34Cを有している。そして、第2撮像部31B及び第3撮像部31Cの構成は、第1撮像部31Aと同一であるため、その説明は省略する。
【0049】
1-2.制御系の構成例
次に、画像形成装置1の制御系の構成について図4を参照して説明する。
図4は、画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0050】
図4に示すように、画像形成装置1は、制御部10と、搬送駆動部51と、操作表示部52と、入出力インターフェース53と、画像形成部6と、定着部7と、画像読取部8と、を備えている。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)41と、CPU41の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)42と、CPU41が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)43と、を有する。
【0051】
さらに、制御部10は、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)等からなる記憶部44を有している。記憶部44には、画像読取部8が読み取った画像のデータ情報等が格納される。
【0052】
制御部10のCPU41は、画像形成部6、定着部7、画像読取部8、RAM42、ROM43、記憶部44、搬送駆動部51、操作表示部52、入出力インターフェース53にそれぞれシステムバス57を介して接続されている。そして、CPU41は、装置全体を制御する。
【0053】
搬送駆動部51は、制御部10により制御されて、駆動ローラ21及び用紙供給部12を駆動させて、所定のタイミングで用紙Pを給紙すると共に搬送する。
【0054】
操作表示部52は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部52は、ユーザに対する指示メニュー、ノズルの吐出検出動作に関する情報や、画像形成部6のラインセンサ34A、34B、34Cの傾きに関する情報や、取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部52は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。
【0055】
入出力インターフェース53は、PC(パーソナルコンピュータ)や、ファクシミリ装置等の外部装置100に接続されている。そして、入出力インターフェース53は、外部装置100から画像データを受信する。入出力インターフェース53は、受信した画像データを制御部10に出力する。そして、制御部10は、入出力インターフェース53から受信した画像データを画像処理する。また、制御部10は、受信した画像データに対し、必要に応じて、シェーディング補正、画像濃度調整、画像圧縮等の画像処理を行う。
【0056】
また、画像形成部6は、制御部10によって画像処理された画像データを受け取り、画像データに基づいて用紙P上に所定の画像を形成する。具体的には、画像形成部6は、ヘッド制御部54によってインクジェットヘッド55を制御し、インクジェットヘッド55からインクを所定の位置に吐出させる。
【0057】
画像形成部6により用紙Pに形成された画像は、画像読取部8によって読み取られ、その画像データが制御部10に送られる。また、画像読取部8は、撮像制御部56により各ラインセンサ34A、34B、34Cを制御し、所定のタイミングで画像を読み取る。
【0058】
また、画像読取部8の補正処理時において、制御部10は、画像読取部8の検出値に基づいて、各ラインセンサ34A、34B、34Cのシェーディング補正や防塵ガラス37の汚れを検出する。
【0059】
2.画像読取部の補正処理方法
次に、上述した構成を有する画像形成装置1における画像読取部の補正処理方法の一例について図3A及び図5を参照して説明する。なお、補正処理動作の一例として、防塵ガラス37の汚れ検出動作について説明する。
図5は、画像読取部8の補正処理を示すフローチャートである。
【0060】
まず、補正処理動作を行う際に、図3Aに示すように、搬送ベルト23に補正用反射部材として反射ミラーM1を載置する。そして、制御部10は、搬送駆動部51を制御し、反射ミラーM1を画像読取部8まで搬送する。なお、本例では、反射ミラーM1を、搬送ベルト23を用いて画像読取部8まで搬送する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、補正処理機構を画像読取部8と対向する位置に配置し、この補正処理機構に反射ミラーM1を設置してもよい。
【0061】
反射ミラーM1が所定の位置である画像読取部8と対向する位置にセットされると、制御部10は、各撮像部31A、31B、31Cの光源35を発光させる。そして、図3Aに示すように、反射ミラーM1に向けて光を照射させる(ステップS11)。反射ミラーM1は、光源35から照射された光を、入射角θと同じ角度である反射角θで反射させる。
【0062】
次に、各ラインセンサ34A、34B、34Cを用いて光を検出する(ステップS12)。上述したように、照射軸L3は、検知軸L4に対して傾斜している。さらに、読取り対象面として鏡面を有する反射ミラーM1を用いることで、光が入射した際に生じる散乱光を微小に抑えることができる。そのため、反射ミラーM1によって反射された光は、検知軸L4に沿って各ラインセンサ34A、34B、34Cに入射しない。これにより、読み取り対象面として反射ミラーM1を用いることで、黒チャートを用いた場合よりも、各ラインセンサ34A、34B、34Cで検出される光の輝度レベルをほぼ0レベルにまで軽減させることができる。
【0063】
ここで、防塵ガラス37に指紋や埃等の汚れが付着している場合、光源か35から照射された光は、防塵ガラス37に付着した汚れにより散乱する。そして、汚れによって散乱した光(散乱光)が、複数の反射部36及びレンズ33を介して各ラインセンサ34A、34B、34Cに入射する。上述したように、反射ミラーM1に入射した光は、各ラインセンサ34A、34B、34Cに入射しないため、防塵ガラス37における汚れが付着した箇所と、背景との光のコントラスト差を大きくすることができる。
【0064】
次に、制御部10は、各ラインセンサ34A、34B、34Cが検出した検出値を取得する。そして、制御部10は、検出値が予め設定したしきい値を超えたか否かを判断する(ステップS13)。ここで、防塵ガラス37に汚れが付着した場合、背景との光のコントラスト差が大きくなり、各ラインセンサ34A、34B、34Cの検出値が大きくなる。
【0065】
ステップS13の処理において、検出値がしきい値を超えたと判断した場合(ステップS13のYES判定)、制御部10は、防塵ガラス37に汚れが付着したと判断する。そして、制御部10は、現在の画像読取部8の状態はNGであると判定する(ステップS14)。また、制御部10は、ユーザに防塵ガラス37が汚れていることを報知したり、クリーニング機構を用いて防塵ガラス37のクリーニング作業を行ったりする。
【0066】
これに対して、ステップS13の処理において、検出値がしきい値を超えていないと判断した場合(ステップS13のNO判定)、制御部10は、防塵ガラス37に汚れが付着していないと判断する。そして、制御部10は、現在の画像読取部8の状態はOK(正常)であると判定する(ステップS15)。これにより、補正処理動作の一つである防塵ガラス37の汚れ検出動作が完了する。また、汚れ検出動作が完了すると、反射ミラーM1を搬送ベルト23から取り除く。
【0067】
上述したように、汚れ検出動作時に光を反射させる反射ミラーM1を用いることで、汚れが付着した箇所と、背景とのコントラスト差を大きくすることができる。これにより、防塵ガラス37に付着した汚れを正確に検出することができる。さらに、コントラスト差を大きくすることができるため、S/N比が低いラインセンサを適用しても、防塵ガラス37に付着した汚れを検出することができる。
【0068】
さらに、防塵ガラス37の汚れ検出だけでなく、ラインセンサ34A、34B、34Cの黒補正(黒シェーディング補正)を行う際に、反射ミラーM1を読み取り対象面として用いてもよい。黒シェーディング補正においても、汚れ検出動作と同様に、反射ミラーM1に光を照射し、ラインセンサ34A、34B、34Cの検出値を取得する。そして、検出値に基づいて、ラインセンサ34A、34B、34Cにおける読み取り輝度の高濃度側及び低濃度側のうち特に低濃度側ダイナミックレンジレベルを調整する。
【0069】
このように、補正用反射部材として読み取り対象面が鏡面反射する反射ミラーM1を用いることで、ラインセンサ34A、34B、34Cで検出される光の輝度レベルをほぼ0レベルまで軽減させることができる。これにより、ラインセンサ34A、34B、34Cの読み取り輝度の高濃度側又は低濃度側ダイナミックレンジレベルを拡げることができる。
【0070】
さらに、光源35を点灯した状態で、黒シェーディング補正を行う。そのため、実際に用紙Pに形成された画像を読み取る状態と、同じ状態で黒シェーディング補正を行うことができ、補正精度の向上を図ることができる。
【0071】
なお、本例の画像読取部8によれば、防塵ガラス37だけでなく、複数の反射部36に付着したゴミも検出することができる。
【0072】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0073】
上述した実施の形態例では、補正用反射部材として反射ミラーM1を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。補正用反射部材としてとしては、読み取り対象面が光を鏡面反射する部材であればよく、例えば、凹凸が少なく平坦な部材を適用してもよい。
【0074】
また、読み取り対象面に照射する光として指向性の高いコリメート光よりも拡散光を用いることで、読み取り対象面で散乱する光をより減少させることができる。そのため、光源35における光の照射方向の前方に光を拡散させる拡散板を設けたり、光源35としてドーム型の光源を用いたりすることで、読み取り対象面に照射する光を拡散光にすることが好ましい。
【0075】
さらに、上述した実施の形態例では、画像形成装置としてインクジェット記録装置に限定されるものではなく、画像形成装置としては、トナーを記録媒体に定着さえる電子写真方式の画像形成装置や、その他各種の画像形成装置にも適用できるものである。
【0076】
また、制御部として、画像形成装置1全体を制御する制御部10を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、画像読取部8のみを制御する制御部を適用してもよい。
【0077】
上述した実施の形態例では、ラインセンサを3つ設けた例を説明したが、ラインセンサの数は、これに限定されるものではなく、ラインセンサを幅方向Xに沿って4つ以上設けてもよく、あるいはラインセンサを一つだけ設けてもよい。
【0078】
また、上述した実施の形態例では、記録媒体として用紙を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、記録媒体としては、例えば、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等その他各種の記録媒体を適用できるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…画像形成装置、 2…給紙部、 4…搬送部、 5…排出部、 6…画像形成部、 6Y、6M、6C、6K…ヘッドユニット、 7…定着部、 8…画像読取部、 10…制御部、 11…給紙トレー、 12…用紙供給部、 14…排紙トレー、 21…駆動ローラ、 22…従動ローラ、 23…搬送ベルト、 31A、31B、31C…撮像部、 32…筐体、 33…レンズ、 34A、34B、34C…ラインセンサ、 35…光源、 36…反射部、 37…防塵ガラス、 38…開口部、 41…CPU、 42…RAM、 43…ROM、 44…記憶部、 51…搬送駆動部、 52…操作表示部、 53…入出力インターフェース、 54…ヘッド制御部、 55…インクジェットヘッド、 56…撮像制御部、 57…システムバス、 100…外部装置、 M1…反射ミラー(補正用反射部材)、 P…用紙(記録媒体)、 L3…照射軸、 L4…検知軸、 X…幅方向、 Y…搬送方向、 θ…入射角、反射角
図1
図2
図3
図4
図5