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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】保存処理装置及び保存処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20240416BHJP
   G01D 9/42 20060101ALI20240416BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20240416BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240416BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240416BHJP
   G01D 9/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G01D9/42
G08C19/00 T
B60W60/00
B60W50/14
G01D9/00 K
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020086752
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181902
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野尻 祥太
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-205078(JP,A)
【文献】特開2016-100672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転の機能を有する車両(2)であって、ドライバの運転操作への介入が不要な第1の運転状態と、前記ドライバの運転操作への介入が必要な第2の運転状態と、の間で運転状態を切り替え可能な前記車両に搭載される保存処理装置(30)であって、
現在の日時を表す日時情報を取得するように構成された日時取得部(S101)と、
前記運転状態に関するドライバ向けの情報が表示される表示領域を撮影する表示撮影装置(31)により撮影された画像を表す表示画像データ、を取得するように構成された表示画像取得部(S102)と、
前記車両の走行状態を検出する車載センサであって自動運転で利用される車載センサにより検出された情報である走行情報を取得するように構成された走行情報取得部(S103)と、
前記第1の運転状態及び前記第2の運転状態に関する前記ドライバ向けの情報を表す運転状態情報を表示する表示処理についてのログを取得するように構成されたログ取得部と、
前記表示画像データとともに、前記表示画像データと同時期に検出された前記走行情報及び前記ログを、その撮影時点での前記日時情報である撮影日時情報と対応付けて、証拠データとしてメモリ(83)に保存するように構成された保存処理部(S108,S113,S115,S117)と、
を備える、保存処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保存処理装置であって、
前記運転状態に関するドライバ向けの情報として、前記自動運転での前記車両の予定される挙動を前記ドライバに通知する予告情報が表示される、保存処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の保存処理装置であって、
前記運転状態に関するドライバ向けの情報として、前記ドライバに対して所定の行動を促す報知情報が表示される、保存処理装置。
【請求項4】
請求項に記載の保存処理装置であって、
前記報知情報には、前記第1の運転状態から前記第2の運転状態への前記運転状態の切り替えが予定される場合に前記ドライバに対して運転操作を促す運転交代要求と、前記運転交代要求の表示後も前記ドライバが運転操作を所定時間行わない場合に前記ドライバに対して運転操作を促す運転交代警告と、が含まれる、保存処理装置。
【請求項5】
請求項又は請求項に記載の保存処理装置であって、
前記表示領域への情報の表示を制御する車載装置から前記報知情報の表示時を示す通知を受信したか否かを判定するように構成された受信判定部(S111)を更に備え、
前記保存処理部(S108,S113,S117)は、前記表示画像データを前記撮影日時情報と対応付けて継続的に記憶しており、前記受信判定部により前記通知を受信したと判定された場合に、前記報知情報の表示時を含む所定の期間内に撮影された前記表示画像データを前記証拠データとして保存する、保存処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の保存処理装置であって、
動画の保存を指示する動画保存操作が前記ドライバにより行われたか否かを判定するように構成された動画操作判定部(S112)を更に備え、
前記保存処理部(S108,S113,S117)は、前記表示画像データを前記撮影日時情報と対応付けて継続的に記憶しており、前記動画操作判定部により前記動画保存操作が行われたと判定された場合に、前記動画保存操作時を含む所定の期間内に撮影された前記表示画像データを前記証拠データとして保存する、保存処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の保存処理装置であって、
静止画の保存を指示する静止画保存操作が前記ドライバにより行われたか否かを判定するように構成された静止画操作判定部(S114)を更に備え、
前記保存処理部(S108,S115,S117)は、前記静止画操作判定部により前記静止画保存操作が行われたと判定された場合に、前記静止画保存操作時において撮影された前記表示画像データを前記証拠データとして保存する、保存処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の保存処理装置であって、
前記車両の周辺の状況を検出する車載センサにより検出された情報であって、前記自動運転での車両制御に用いられる情報である周辺情報を取得するように構成された周辺情報取得部(S104)を更に備え、
前記保存処理部は、前記表示画像データとともに、前記表示画像データと同時期に検出された前記周辺情報を、前記撮影日時情報と対応付けて前記メモリに保存する、保存処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の保存処理装置であって、
前記車両の室内の状況を検出する車載センサにより検出された情報である室内情報を取得するように構成された室内情報取得部(S105)を更に備え、
前記保存処理部は、前記表示画像データとともに、前記表示画像データと同時期に検出された前記室内情報を、前記撮影日時情報と対応付けて前記メモリに保存する、保存処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の保存処理装置であって、
前記車両の車外を撮影する車外撮影装置(33)により撮影された画像を表すデータである車外画像データを取得するように構成された車外画像データ取得部(S106)を更に備え、
前記保存処理部は、前記表示画像データとともに、前記表示画像データと同時期に撮影された前記車外画像データを、前記撮影日時情報と対応付けて前記メモリに保存する、保存処理装置。
【請求項11】
自動運転の機能を有する車両(2)であって、ドライバの運転操作への介入が不要な第1の運転状態と、前記ドライバの運転操作への介入が必要な第2の運転状態と、の間で運転状態を切り替え可能な前記車両に搭載される保存処理装置(30)としてコンピュータを機能させるための保存処理プログラムであって、
現在の日時を表す日時情報を取得するように構成された日時取得部(S101)、
前記運転状態に関するドライバ向けの情報が表示される表示領域を撮影する表示撮影装置(31)により撮影された画像を表す表示画像データ、を取得するように構成された表示画像取得部(S102)、
前記車両の走行状態を検出する車載センサであって自動運転で利用される車載センサにより検出された情報である走行情報を取得するように構成された走行情報取得部(S103)
前記第1の運転状態及び前記第2の運転状態に関する前記ドライバ向けの情報を表す運転状態情報を表示する表示処理についてのログを取得するように構成されたログ取得部、及び、
前記表示画像データとともに、前記表示画像データと同時期に検出された前記走行情報及び前記ログを、その撮影時点での前記日時情報である撮影日時情報と対応付けて、証拠データとしてメモリ(83)に保存するように構成された保存処理部(S108,S113,S115,S117)、
としてコンピュータを機能させる、保存処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保存処理装置及び保存処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両速度や走行距離をはじめとする車両内各種信号データ等の車両用メータへの表示情報をメモリに記録しておき、走行後においても、記録されている表示情報を演算処理して車両用メータへ再度表示することができる車両用メータ表示器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-291798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のシステムがすべての運転操作を自動で行うシステム責任の運転状態と、ドライバが運転操作に介入する必要があるドライバ責任の運転状態と、が切り替え可能な車両においては、事故発生時の責任範囲について議論となることが考えられる。例えば、実際は事故発生時にドライバ責任の運転状態であったにもかかわらず、事故発生時はシステム責任の運転状態であったとドライバが主張する場合、事故発生時の責任がシステム側又はドライバ側のどちらにあったのかについて議論となる。当該議論において、ドライバの責任範囲となる事項についてドライバに対して明確に報知されていたか否かが争点となった場合、例えば、車両用メータへの表示の記録等、ドライバへの報知の記録を証拠として提示することが考えられる。
【0005】
上記証拠として、特許文献1のような表示情報の記録を用いた場合、当時どのような情報が表示されていたかを示すためには当該表示情報のデータ解析を行う必要があることから、ドライバが一見して理解しづらく、ドライバの納得感を得にくいことが考えられる。また、表示情報自体はディスプレイ等の表示器へ正常に出力されていたとしても、表示器が破損しており正常な表示ができていなかった場合等によって、当時ドライバが表示内容を読み取れない状況であった可能性も否定できない。このように、当該表示情報の記録のみでは、事故発生時の責任範囲を示す証拠としての明確性及び信頼性に欠けるという課題が見出された。
【0006】
本開示の一局面は、ドライバへの報知の記録について、事故発生時の責任範囲を示す証拠としての明確性及び信頼性を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、自動運転の機能を有する車両(2)であって、ドライバの運転操作への介入が不要な第1の運転状態と、ドライバの運転操作への介入が必要な第2の運転状態と、の間で運転状態を切り替え可能な車両に搭載される保存処理装置(30)であって、日時取得部(S101)と、表示画像取得部(S102)と、保存処理部(S108,S113,S115,S117)と、を備える。日時取得部は、現在の日時を表す日時情報を取得するように構成される。表示画像取得部は、運転状態に関するドライバ向けの情報が表示される表示領域を撮影する表示撮影装置(31)により撮影された画像を表す表示画像データ、を取得するように構成される。保存処理部は、表示画像データを、その撮影時点での日時情報である撮影日時情報と対応付けて、証拠データとしてメモリ(83)に保存するように構成される。
【0008】
本開示の別の態様は、自動運転の機能を有する車両(2)であって、ドライバの運転操作への介入が不要な第1の運転状態と、ドライバの運転操作への介入が必要な第2の運転状態と、の間で運転状態を切り替え可能な車両に搭載される保存処理装置(30)としてコンピュータを機能させるための保存処理プログラムであって、日時取得部(S101)、表示画像取得部(S102)、及び、保存処理部(S108,S113,S115,S117)、としてコンピュータを機能させる。日時取得部は、現在の日時を表す日時情報を取得するように構成される。表示画像取得部は、運転状態に関するドライバ向けの情報が表示される表示領域を撮影する表示撮影装置(31)により撮影された画像を表す表示画像データ、を取得するように構成される。保存処理部は、表示画像データを、その撮影時点での日時情報である撮影日時情報と対応付けて、証拠データとしてメモリ(83)に保存するように構成される。
【0009】
このような構成によれば、表示領域を撮影した画像を画像データとして保存するため、どのような情報が表示されていたかが一見して理解しやすく、また、表示器の破損等で情報が表示されていなかった場合も画像に反映される。このため、ドライバへの報知の記録について、事故発生時の責任範囲を示す証拠としての明確性及び信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】保存処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】ドライバ側から見た表示装置等を示す模式図である。
図3図2のIII-III断面の模式図に表示撮影カメラの設置位置を示した図である。
図4】表示撮影カメラを車両の天井に設置した場合の設置位置を示す図である。
図5】運転状態表示領域への運転状態情報の表示例を示す図である。
図6】運転状態アイコンの表示例を示す図である。
図7】保存処理ECUで実行される画像保存処理のフローチャートである。
図8】表示装置がヘッドアップディスプレイである場合の表示撮影カメラの設置位置を示す図である。
図9】表示撮影カメラとして広角カメラを用いた場合の表示撮影カメラの設置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.全体構成]
図1に示すように、保存処理システム1は、車両2に搭載される保存処理ECU30を中心として構成されている。なお、ECUとはElectronic Control Unitの略である。保存処理システム1は、車両2に搭載される自動運転ECU20及び保存処理ECU30と、自動運転ECU20及び保存処理ECU30の少なくとも一方に接続された種々の車載装置と、クラウドサーバ8と、備える。
【0012】
車両2は、自動運転の機能を有する車両であって、ドライバの運転操作への介入が不要な第1の運転状態と、ドライバの運転操作への介入が必要な第2の運転状態と、の間で運転状態を切り替え可能な車両である。具体的には、第1の運転状態は、車両の自動運転システムがすべての運転操作を行う自動運転の状態である。また、第2の運転状態は、車両の自動運転システムが一部の運転操作を支援する部分的な自動運転の状態や、ドライバがすべての運転操作を行う完全な手動運転の状態である。なお、後述する自動運転レベルがレベル1~2の状態は部分的な自動運転の状態であり、後述する自動運転レベルがレベル0の状態は完全な手動運転の状態である。
当該運転状態を切り替え可能な車両として、具体的には、自動運転レベルがレベル3の自動運転システムを有する車両が想定されている。レベル3の自動運転システムを有する車両2は、状況に応じて、レベル0~3の間でレベル状態を切り替え可能である。なお、ここでいう自動運転レベルとは、平成30年9月に国土交通省自動車局が公開した「自動運転車の安全技術ガイドライン」で定義するものである。このガイドラインでは、自動運転レベルについて、レベル0を自動運転化なし、レベル1を運転支援、レベル2を部分運転自動化、レベル3を条件付運転自動化と定義している。レベル3の定義概要は、「システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行。作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に適切に応答」とされている。すなわち、自動運転レベルがレベル3の状態は、原則、第1の運転状態となり、レベル3の状態においてドライバへの介入要求があった場合や、レベル0~2の状態は、第2の運転状態となる。
車両2では、上記運転状態の切り替えに伴い、安全運転に係る監視及び対応の主体が自動運転システムとドライバとの間で切り替わるため、事故発生時の責任が自動運転システムとドライバとの間で行き来することになる。具体的には、第1の運転状態においては、当該主体は自動運転システムであり、この場合、事故発生時の責任は自動運転システム側にある。一方、第2の運転状態においては、当該主体はドライバであり、この場合、事故発生時の責任はドライバ側にある。
【0013】
車両2は、自動運転ECU20及び保存処理ECU30のほかに、挙動認識センサ21と、周辺認識センサ22と、時計23と、表示装置24と、表示撮影カメラ31と、室内認識センサ32と、車外撮影カメラ33と、入力装置34と、一時記憶メモリ35と、車両通信装置36と、を備える。なお、ここでいうセンサとは、対象とする情報を取得して処理に適した信号に変換する装置全般をいい、センサには、例えば、車速センサ等の物理量を検出するセンサのほか、画像を取得するカメラや、音声を取得するマイク等も含まれる。
【0014】
挙動認識センサ21は、自車両の走行状態を検出する車載センサである。挙動認識センサ21は、操舵角センサ21aと、ブレーキセンサ21bと、車速センサ21cと、加速度センサ21dと、を備える。ここでは、挙動認識センサ21により検出された情報を走行情報という。すなわち、後述する舵角情報、ブレーキ情報、速度情報及び加速度情報は、走行情報である。
【0015】
操舵角センサ21aは、自車両のステアリングの操舵角を検出するセンサである。操舵角センサ21aは、検出された操舵角を表す情報である舵角情報を、自動運転ECU20へ出力する。
【0016】
ブレーキセンサ21bは、ドライバによるブレーキペダルの操作量を検出するセンサである。ブレーキセンサ21bは、検出された操作量を表す情報であるブレーキ情報を、自動運転ECU20へ出力する。
【0017】
車速センサ21cは、自車両の走行速度を検出するセンサである。車速センサ21cは、検出された走行速度を表す情報である速度情報を、自動運転ECU20へ出力する。
加速度センサ21dは、自車両にかかる加速度を検出するセンサである。加速度センサ21dは、検出された加速度を表す情報である加速度情報を、自動運転ECU20及び保存処理ECU30へ出力する。
【0018】
周辺認識センサ22は、自車両の周辺の状況を検出する車載センサである。周辺認識センサ22は、周辺カメラ22aと、レーダ装置22bと、位置センサ22cと、を備える。ここでは、周辺認識センサ22により検出された情報であって、自動運転での車両制御に用いられる情報を周辺情報という。すなわち、後述する周辺画像データ、周辺物体情報及び位置情報は、周辺情報である。
【0019】
周辺カメラ22aは、自車両の周辺を撮影する。具体的には、周辺カメラ22aは、車両2の前方、側方及び後方に設置されており、車両2の周辺の車、人等の障害物や、区画線、縁石、中央分離帯等の走行車線の特定に用いられる対象などを撮影する。周辺カメラ22aは、撮影した画像を表す周辺画像データを、自動運転ECU20へ出力する。
【0020】
レーダ装置22bは、自車両の周囲にレーダ波を送信し、その反射波を受信することによって自車両の周囲に存在する物体を検出する。レーダ装置22bとして、例えば、ライダ装置、ミリ波レーダ装置、超音波センサ装置等が挙げられる。レーダ装置22bは、検出結果を表す情報である周辺物体情報を、自動運転ECU20へ出力する。
【0021】
位置センサ22cは、自車両の現在位置を検出するセンサである。位置センサ22cとして、例えば、GPS受信機、ジャイロセンサ等が挙げられる。位置センサ22cは、検出された現在位置を表す情報である位置情報を、自動運転ECU20へ出力する。
【0022】
時計23は、現在の日時を取得する。なお、日時とは日付及び時刻であり、日付は、年月日、月日又は日のみのいずれであってもよい。時計23は、取得した現在の日時を表す日時情報を、自動運転ECU20及び保存処理ECU30へ出力する。
【0023】
自動運転ECU20は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。自動運転ECU20は、当該プログラムに従い、自動運転及び運転支援を実行する。具体的には、自動運転ECU20は、挙動認識センサ21から入力された走行情報及び周辺認識センサ22から入力された周辺情報に基づいて、加速、操舵、制動等の運転操作を制御する。なお、走行情報及び周辺情報は、後述する保存処理ECU30による画像保存処理で保存対象となっているが、自動運転ECU20にも記憶される。
【0024】
さらに、自動運転ECU20は、走行情報及び周辺情報の入力タイミングと、時計23から入力された日時情報と、に基づいて、走行情報及び周辺情報のそれぞれについて検出日時を特定する。自動運転ECU20は、当該検出日時を表す検出日時情報を走行情報及び周辺情報に付与し、これらを保存処理ECU30へ出力する。
【0025】
表示装置24は、ドライバに対して車両に関する種々の情報を表示するための装置である。表示装置24は、情報が表示される情報表示部24aが運転席前方に位置するように構成されている。図2に示すように、本実施形態では、表示装置24は、メータパネルであり、運転席前方におけるハンドル40とフロントガラス50との間に配置されている。また、本実施形態では、情報表示部24aは、メータパネル内に設けられる液晶ディスプレイである。図3に示すように、表示装置24は、情報表示部24aを保護するカバー部24b,24cを有する。カバー部24bは、情報表示部24aの周囲から車両後方に向けて張り出した部分である。また、カバー部24cは、情報表示部24aと対向するように位置してカバー部24bの車両後方側を閉じる部分であって、ガラス等の透明部材で構成されている。本実施形態では、カバー部24b,24cは、メータパネルフードである。
【0026】
図2に戻り、情報表示部24aには、例えば、走行速度、走行距離、航続可能距離、バッテリ残量、自車両及びその周辺を表す画像等が表示される。さらに、情報表示部24aには、運転状態に関するドライバ向けの情報である運転状態情報も表示される。運転状態情報とは、換言すると、現在又は将来予定される運転状態(すなわち、第1の運転状態又は第2の運転状態)と関連する情報であって、自動運転システムの作動状況及びドライバの運転操作への介入の必要性等についてドライバに報知するための情報である。情報表示部24aには、運転状態情報が表示される表示領域である運転状態表示領域100があり、運転状態表示領域100には、例えば、「ハンドルをにぎってください」というドライバへのメッセージが表示される。当該メッセージは、ドライバの運転操作への介入の必要性をドライバに報知する運転状態情報の表示の一例である。運転状態情報の種類及び運転状態情報の表示例の詳細については、後述する。また、表示装置24は、運転状態情報を表示する表示処理を行った場合、運転状態情報の種類を含む当該表示処理のログである表示処理情報を、保存処理ECU30に出力する。
【0027】
図1に戻り、自動運転ECU20は、状況に応じて、表示装置24に表示すべき適当な運転状態情報を決定し、当該運転状態情報を表示装置24に表示させる表示指示を、表示装置24へ出力する。すなわち、自動運転ECU20は、運転状態表示領域100への情報の表示についても制御している。また、自動運転ECU20は、表示指示を出力する場合、表示指示の内容を通知する表示指示通知を、保存処理ECU30へ出力する。本実施形態では、表示指示の内容とは、表示を指示した運転状態情報の種類である。また、本実施形態では、自動運転ECU20は、表示指示を表示装置24へ出力すると同時に、表示指示通知を保存処理ECU30へ出力する。このため、当該表示指示により表示装置24に運転状態情報が表示されるタイミングと、保存処理ECU30に表示指示通知が入力されるタイミングとは、同時とみなせる。なお、表示指示通知に運転状態情報の表示時を表す日時情報が含まれている構成であってもよい。
【0028】
表示撮影カメラ31は、運転状態表示領域100を撮影する。具体的には、表示撮影カメラ31は、イグニッションスイッチがオンである間、運転状態表示領域100を常時撮影する。表示撮影カメラ31は、本実施形態では、図2に示す情報表示部24a全体を撮影領域に含むように構成されているが、運転状態表示領域100を撮影領域に含んでいれば、情報表示部24a全体が撮影範囲に含まれる構成でなくてもよい。表示撮影カメラ31は、撮影した画像を表す表示画像データを、保存処理ECU30へ出力する。
【0029】
表示撮影カメラ31の設置位置の例を、図3及び図4に示す。なお、図3及び図4では、カメラの撮影範囲を破線で示している。図3に示すように、表示撮影カメラ31は、表示装置24のカバー部24bの内面上部又は内面下部や、ステアリングコラムカバー60に設置することができる。また、図4に示すように、表示撮影カメラ31は、車両2の天井70に設置することもできる。表示撮影カメラ31をカバー部24bの内面上部又は内面下部に設置した場合は、情報表示部24aを撮影する際に、撮影像がカバー部24cによる反射の影響を受けることを抑制できる。また、表示撮影カメラ31をステアリングコラムカバー60又は車両2の天井70に設置する場合は、取り付けを容易に行うことができる。本実施形態では、表示撮影カメラ31はカバー部24bの内面上部に1つ設けられているが、表示撮影カメラ31は必要に応じて複数個設けられていてもよい。
【0030】
図1に戻り、室内認識センサ32は、車両の室内の状況を検出する車載センサである。室内認識センサ32は、ドライバ撮影カメラ32aと、マイク32bと、を備える。ここでは、室内認識センサ32より検出された情報を室内情報という。すなわち、後述するドライバ画像データ及び音声情報は室内情報である。
【0031】
ドライバ撮影カメラ32aは、ドライバの顔を撮影する。本実施形態では、ドライバ撮影カメラ32aは、DSMであり、図3に示すように、カメラ部分をドライバ側に向けた姿勢で、表示装置24のカバー部24bの内面下部に設置されている。なお、DSMとはDriver Status Monitorの略である。ドライバ撮影カメラ32aは、撮影した画像を表すドライバ画像データを、保存処理ECU30へ出力する。
【0032】
図1に戻り、マイク32bは、自車両の室内の音声を取得する。具体的には、マイク32bは、車両2の室内に設置されており、乗員の声、ドライバに対する報知及び警報の音声等を取得する。マイク32bは、取得した音声を表す音声情報を、保存処理ECU30へ出力する。
【0033】
車外撮影カメラ33は、自車両の車外を撮影する車外撮影装置である。具体的には、車外撮影カメラ33は、ドライブレコーダと同様の機能を有するもので、例えば、車両2のフロントガラス50の上部等に設置され、車両2の前方を撮影する。車外撮影カメラ33は、撮影した画像を表す車外画像データを、保存処理ECU30へ出力する。
【0034】
入力装置34は、ドライバによる入力操作を受け付ける装置である。本実施形態では、入力装置34は、各種スイッチであり、表示装置24の横に配置される。ドライバは、入力装置34に対して、少なくとも、動画の保存を指示する動画保存操作及び静止画の保存を指示する静止画保存操作を行うことができる。入力装置34は、動画保存操作が行われたことを通知する動画操作通知及び静止画保存操作が行われたことを通知する静止画操作通知を、保存処理ECU30へ出力する。なお、動画操作通知又は静止画操作通知が保存処理ECU30に入力されるタイミングが、動画保存操作時又は静止画保存操作時であるとみなせる。
【0035】
保存処理ECU30は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、保存処理ECU30は、当該プログラムに従い、後述する図7に示す画像保存処理を実行する。保存処理ECU30は、画像保存処理において、日時情報、表示画像データ、走行情報、周辺情報、室内情報、車外画像データ及び表示処理情報を対応させた日時対応データを、後述する一時記憶メモリ35に一時的に記憶させる。また、保存処理ECU30は、画像保存処理において、日時対応データを証拠データとしてクラウドサーバ8へ送信する。
【0036】
一時記憶メモリ35は、種々の情報を一時的に記憶するための記憶媒体である。一時的に記憶するとは、所定の条件で記憶情報が自動的に失われることを意味する。
車両通信装置36は、クラウドサーバ8との間で無線通信を行うための装置である。
【0037】
クラウドサーバ8は、車両2の外部のサーバであって、複数の車両から受信した情報を管理するサーバである。クラウドサーバ8は、クラウド通信装置81と、クラウド制御装置82と、保存メモリ83と、を備える。
【0038】
クラウド通信装置81は、車両2との間で無線通信を行うための装置である。
クラウド制御装置82は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記憶媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、クラウド制御装置82は、当該プログラムに従い、クラウド通信装置81を介して保存処理ECU30から証拠データを受信した場合に、当該証拠データを保存メモリ83に保存する。
【0039】
保存メモリ83は、種々の情報を保存するための記憶媒体である。保存するとは、外部から記憶情報の書き換え操作を行わない限り、記憶情報が永続的に維持されることを意味する。
【0040】
[1-2.運転状態情報の種類及び運転状態情報の表示例]
運転状態情報は、例えば、図5に示すように、運転状態表示領域100において、以下に例示するようなドライバへの種々のメッセージを示すメッセージ画像110や、後述する運転状態アイコン120として表示される。なお、図5中では、メッセージを「××××××」で示している。また、メッセージ画像110及び運転状態アイコン120は、走行情報や周辺情報等に基づく自車両及びその周辺を表す画像に重ねて表示されている。
【0041】
運転状態情報には、自動運転での車両の予定される挙動をドライバに通知する予告情報と、ドライバに対して所定の行動を促す報知情報と、が含まれる。
予告情報とは、具体的には、自動運転システムがこれから行う運転操作の制御の内容についてドライバに通知する情報である。予告情報が表示されることにより、自動運転によって車両2がこれからどのような動きをするか等、自動運転システムの作動状況をドライバが認知できる。例えば、車両2が自動で右に車線変更するように自動運転ECU20が運転制御する際に、予告情報として、「右に車線変更します」というメッセージが、運転状態表示領域100に表示される。
【0042】
報知情報とは、具体的には、ドライバに対して運転操作及び周辺監視への介入の必要性を報知するための情報である。報知情報には、第1の運転状態から第2の運転状態への運転状態の切り替えが予定される場合にドライバに対して運転操作を促す運転交代要求と、運転交代要求の表示後もドライバが運転操作を所定時間行わない場合にドライバに対して運転操作を促す運転交代警告と、が含まれる。ここでいう運転操作には、例えば、ハンドルを回す、アクセルを踏む等、実際に運転操作を行うことに加えて、例えば、ハンドルを握る等、運転操作を直ちに行うことができる姿勢をとることも含まれる。
【0043】
運転交代要求及び運転交代警告とは、換言すると、ドライバに対して自動運転システムからの運転操作の引き継ぎを要求する情報である。なお、運転操作の引き継ぎ要求にドライバが応じない場合、すなわち、ドライバが少なくとも運転操作を直ちに行うことができる姿勢をとる等の運転操作を行わない場合、自動運転ECU20は、車両2を自動で安全に停止させる等の措置をとる。運転交代要求及び運転交代警告は、ドライバに対して運転操作を直接的に促す情報であってもよいし、ドライバに対して運転操作を間接的に促す情報であってもよい。例えば、「ハンドルをにぎってください」というメッセージ等の、ドライバに対して運転操作を直接的に促す情報を、運転状態表示領域100に表示してもよい。また例えば、「まもなく手動運転に切り替わります」というメッセージ等の、ドライバに対して運転操作を間接的に促す情報を、運転状態表示領域100に表示してもよい。
【0044】
運転交代警告は、運転交代要求の表示後もドライバが運転操作を所定時間行わない場合に、ドライバに対して運転操作をより強く促すために表示される。具体的には、運転交代警告は、表示内容及び表示態様の少なくとも一方を運転交代要求とは変えて表示される。例えば、運転交代要求として「まもなく手動運転に切り替わります」という間接的なメッセージが表示された場合、運転交代警告として「ハンドルをにぎってください」という直接的なメッセージが表示される。また例えば、運転交代要求として「ハンドルをにぎってください」というメッセージが黒字で表示された場合、運転交代警告として同じメッセージが赤字で表示される。本実施形態では、運転交代要求の表示後、所定時間内にドライバが運転操作を行ったか否かの判定は、ハンドル40に設けられた接触センサにより、ドライバが所定時間内にハンドルを握ったか否かを判定することにより行われる。この所定時間は、予め定められた固定の時間に限らず、車両2の走行状況等に応じて長さを変化させてもよい。例えば、混雑時や車速が速い場合は所定時間を短くする等、走行情報や周辺情報等の他のパラメータも加味して所定時間の長さを変化させてもよい。
【0045】
また、報知情報には、ドライバに対してこれから行うべき具体的な行動を指示する指示情報が含まれる。例えば、指示情報として、「安全を確認してください」、「エンジン故障 ただちに路肩へ止め、ディーラーへ連絡してください」等のメッセージが、運転状態表示領域100に表示される。なお、ドライバに対して具体的な行動を指示する情報のうち、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎを要求する情報(例えば、「ハンドルをにぎってください」というメッセージ)については、ここでは運転交代要求又は運転交代警告としている。
【0046】
運転状態アイコン120は、車両2の現在の運転状態を表すアイコンである。具体的には、運転状態アイコン120は、車両2が、現在、第1の運転状態、運転状態の切り替え時及び第2の運転状態のいずれにあるかを示すアイコンである。図6では、第1の運転状態から第2の運転状態に運転状態が切り替わる場合の、運転状態アイコン120の変化を示している。図6の左側に示す運転状態アイコン120は、第1の運転状態における運転状態アイコン120であり、青色のハンドルのアイコンが表示されている。図6の中央に示す運転状態アイコン120は、第1の運転状態から第2の運転状態への運転状態の切り替え時に表示される運転状態アイコン120であり、黄色のハンドルが両手で握られたアイコンが表示されている。また、図6の右側の運転状態アイコン120は、第2の運転状態おける運転状態アイコン120であり、赤色のハンドルが両手で握られたアイコンが表示されている。
【0047】
[2.処理]
保存処理ECU30が実行する画像保存処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。この画像保存処理は、車両2のイグニッションスイッチがオンされることにより開始される。
【0048】
まず、S101で、保存処理ECU30は、時計23から日時情報を取得する。
続いて、S102で、保存処理ECU30は、表示撮影カメラ31から表示画像データを取得する。
【0049】
続いて、S103で、保存処理ECU30は、自動運転ECU20から走行情報を取得する。
続いて、S104で、保存処理ECU30は、自動運転ECU20から周辺情報を取得する。
【0050】
続いて、S105で、保存処理ECU30は、室内認識センサ32から室内情報を取得する。
続いて、S106で、保存処理ECU30は、車外撮影カメラ33から車外画像データを取得する。
続いて、S107で、保存処理ECU30は、表示装置24から表示処理情報を取得する。なお、S101~S107での処理は、ほぼ同じタイミングで行われる。
【0051】
続いて、S108で、保存処理ECU30は、S101~S107で取得した各種情報を、一時記憶メモリ35に一時的に記憶させる。具体的には、保存処理ECU30は、日時情報を軸にして、表示画像データ、走行情報、周辺情報、室内情報、車外画像データ及び表示処理情報を対応させた日時対応データを、一時記憶メモリ35に一時記憶させる。日時対応データの一時記憶は、換言すると、以下のように行われる。保存処理ECU30は、表示画像データを、その撮影時点での日時情報である撮影日時情報と対応付けて一時記憶メモリ35に記憶させる。なお、本実施形態では、保存処理ECU30は、S101~S102で取得した日時情報及び表示画像データを対応付けて一時記憶メモリ35に記憶させる。また、保存処理ECU30は、表示画像データとともに、当該表示画像データと同時期に検出された走行情報、周辺情報及び室内情報、並びに、当該表示画像データと同時期に撮影された車外画像データを、当該表示画像データの撮影日時情報と対応付けて一時記憶メモリ35に記憶させる。本実施形態では、保存処理ECU30は、S102で取得した表示画像データに、S103~S106で取得した走行情報、周辺情報、室内情報及び車外画像データを対応付けて一時記憶メモリ35に記憶させる。なお、保存処理ECU30に入力される走行情報及び周辺情報には検出日時情報が付与されているため、走行情報及び周辺情報については当該検出日時情報を用いて上記の対応付けが行われてもよい。さらに、本実施形態では、保存処理ECU30は、S107で取得した表示処理情報についても、S102で取得した表示画像データに対応付けて一時記憶メモリ35に記憶させる。このように、保存処理ECU30は、表示画像データの撮影日時を軸にして、表示画像データと他の情報(すなわち、走行情報、周辺情報、室内情報、車外画像データ及び表示処理情報)とを対応させた日時対応データを、一時記憶メモリ35に一時記憶させる。
【0052】
続いて、S109で、保存処理ECU30は、加速度センサ21dから加速度情報を取得する。なお、S109での処理も、S101~S107での処理とほぼ同じタイミングで行われる。
【0053】
続いて、S110で、保存処理ECU30は、加速度が所定値以上であるか否かを判定する。所定値には、例えば、衝突時に車両2にかかる加速度の値が設定される。保存処理ECU30は、S110で加速度が所定値以上であると判定した場合、処理をS113へ移行する。一方、保存処理ECU30は、S110で加速度が所定値未満であると判定した場合、処理をS111へ移行する。
【0054】
S111で、保存処理ECU30は、報知情報が表示されたか否かを判定する。具体的には、保存処理ECU30は、自動運転ECU20から報知情報の表示時を示す通知、すなわち、報知情報の表示を指示したことを示す表示指示通知、を受信した場合に、報知情報が表示されたと判定する。なお、本実施形態では、報知情報の表示を指示したことを示す表示指示通知の保存処理ECU30への入力タイミングが報知情報の表示時とみなせるため、当該表示指示通知は報知情報の表示時を示す通知に相当する。保存処理ECU30は、S111で報知情報が表示されたと判定した場合、処理をS113へ移行する。一方、保存処理ECU30は、S111で報知情報が表示されていないと判定した場合、処理をS112へ移行する。
【0055】
S112で、保存処理ECU30は、動画保存操作がドライバにより行われたか否かを判定する。本実施形態では、保存処理ECU30は、入力装置34から動画操作通知を受信した場合に、動画保存操作がドライバにより行われたと判定する。保存処理ECU30は、S112で動画保存操作が行われていないと判定した場合、処理をS114へ移行する。一方、保存処理ECU30は、S112で動画保存操作が行われたと判定した場合、処理をS113へ移行する。
【0056】
S113で、保存処理ECU30は、動画保存処理を実行する。ここで、動画とは画像の集合体を意味し、画像とは静止画を意味する。すなわち、ここでいう動画は、撮影日時が連続した画像データの集合で構成されている。動画保存処理は、具体的には以下のように実行される。S110で、加速度が所定値以上であると判定した場合、保存処理ECU30は、当該加速度情報の検出時を含む所定の期間内に撮影された表示画像データを含む日時対応データを証拠データとして指定する。当該加速度情報の検出時は、例えば、S109での加速度情報の取得時、すなわち、S101で取得した日時とすることができる。また、S111で報知情報が表示されたと判定した場合、保存処理ECU30は、報知情報の表示時を含む所定の期間内に撮影された表示画像データを含む日時対応データを証拠データとして指定する。また、S112で動画保存操作が行われたと判定した場合、保存処理ECU30は、動画保存操作時を含む所定の期間内に撮影された表示画像データを含む日時対応データを証拠データとして指定する。すなわち、保存処理ECU30は、S109で継続的に一時記憶メモリ35に一時記憶させている日時対応データのうち、上述した所定の期間内に撮影された表示画像データを含む日時対応データを、証拠データとして指定する。例えば、保存処理ECU30は、加速度情報の検出時の前後5秒である合計10秒間に撮影された表示画像データを含む日時対応データを、証拠データとして指定する。また例えば、保存処理ECU30は、報知情報の表示時の前後5秒である合計10秒間に撮影された表示画像データを含む日時対応データを、証拠データとして指定する。また例えば、保存処理ECU30は、動画保存操作時前5秒及び動画保存操作時後10秒である合計15秒間に撮影された表示画像データを含む日時対応データを、証拠データとして指定する。
【0057】
S114で、保存処理ECU30は、静止画保存操作がドライバにより行われたか否かを判定する。本実施形態では、保存処理ECU30は、入力装置34から静止画操作通知を受信した場合に、静止画保存操作がドライバにより行われたと判定する。保存処理ECU30は、S114で静止画保存操作が行われていないと判定した場合、処理をS116へ移行する。一方、保存処理ECU30は、S114で静止画保存操作が行われたと判定した場合、処理をS115へ移行する。
【0058】
S115で、保存処理ECU30は、静止画保存処理を実行する。具体的には、保存処理ECU30は、静止画保存操作時において撮影された表示画像データを証拠データとして指定する。
【0059】
S116で、保存処理ECU30は、送信タイミングが到来したか否かを判定する。送信タイミングは適当な周期で設定できる。保存処理ECU30は、S116で送信タイミングが到来していないと判定した場合、処理をS101に戻す。一方、保存処理ECU30は、S116で送信タイミングが到来したと判定した場合、処理をS117へ移行する。
【0060】
S117で、保存処理ECU30は、証拠データをクラウドサーバ8へ送信する。具体的には、保存処理ECU30は、これまでに指定された証拠データであってクラウドサーバ8へ未送信のものすべてを、クラウドサーバ8へ送信する。保存処理ECU30は、証拠データをクラウドサーバ8へ送信した後、処理をS101に戻す。
【0061】
なお、クラウドサーバ8へ送信された証拠データは、クラウド制御装置82により保存メモリ83に保存される。
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0062】
(3a)保存処理ECU30は、運転状態表示領域100を撮影する表示撮影カメラ31により撮影された画像を表す表示画像データを、撮影日時情報と対応付けて、証拠データとして保存メモリ83に保存するように構成される。このような構成によれば、運転状態表示領域100を撮影した画像が表示画像データとして保存されるため、撮影日時において実際に運転状態表示領域100にどのような情報が表示されていたかをドライバが一見して理解しやすい。また、液晶ディスプレイの破損等により正常な表示ができていなかった場合も撮影した画像に反映されるため、表示情報をドライバに対して明確に伝えられていたか否かを示すことができる。このように、ドライバへの報知の記録について、事故発生時の責任範囲を示す証拠としての明確性及び信頼性を向上できる。
【0063】
(3b)予告情報、並びに、運転交代要求及び運転交代警告を含む報知情報がドライバに対して適切に表示されていたか否かは、事故発生時の責任範囲についての議論において争点となる可能性が高い。本実施形態では、予告情報及び報知情報が表示される運転状態表示領域100を撮影した表示画像データが証拠データとして保存されるため、事故発生時の責任範囲をより明確にする証拠を提供できる。
【0064】
(3c)保存処理ECU30は、報知情報が表示された場合に、継続的に一時記憶メモリ35に一時記憶させている日時対応データのうち、報知情報の表示時を含む所定の期間内に撮影された表示画像データを含む日時対応データを、証拠データとして保存する。このような構成によれば、事故時だけでなく、事故発生時に表示の有無について議論となる可能性の高い情報である報知情報が表示された際にも表示画像データが証拠データとして保存されるため、事故発生時の責任範囲をより明確にする証拠を提供できる。
【0065】
(3d)保存処理ECU30は、動画保存操作がドライバにより行われた場合に、継続的に一時記憶メモリ35に一時記憶させている日時対応データのうち、動画保存操作時を含む所定の期間内に撮影された表示画像データを含む日時対応データを、証拠データとして保存する。また、保存処理ECU30は、静止画保存操作がドライバにより行われた場合に、静止画保存操作時において撮影された表示画像データを証拠データとして保存する。このような構成によれば、事故時だけでなく、例えば、表示内容が不適切であるとドライバが感じた場合等、ドライバが違和感を覚えた際にも表示画像データが証拠データとして保存されるため、事故発生時の責任範囲をより明確にする証拠を提供できる。
【0066】
(3e)保存処理ECU30は、表示画像データとともに、当該表示画像データと同時期に検出された走行情報、周辺情報及び室内情報、並びに、当該表示画像データと同時期に撮影された車外画像データを、当該表示画像データの撮影日時情報と対応付けて保存する。このような構成によれば、表示画像データの撮影時における車両2に関する状況がより分かりやすくなり、事故発生時の責任範囲をより明確にできる。
【0067】
なお、本実施形態では、保存処理ECU30が保存処理装置に相当し、S101が日時取得部としての処理に相当し、表示撮影カメラ31が表示撮影装置に相当し、S102が表示画像取得部としての処理に相当し、保存メモリ83がメモリに相当し、S108,S113,S115,S117が保存処理部としての処理に相当し、S111が受信判定部としての処理に相当し、S112が動画操作判定部としての処理に相当し、S114が静止画操作判定部としての処理に相当し、S103が走行情報取得部としての処理に相当し、S104が周辺情報取得部としての処理に相当し、S105が室内情報取得部としての処理に相当し、S106が車外画像データ取得部としての処理に相当する。
【0068】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0069】
(4a)上記実施形態では、表示装置24としてメータパネルを例示したが、表示装置24の種類はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、表示装置24は、ヘッドアップディスプレイであってもよい。また、表示撮影カメラ31は、センターピラー90に設置してもよい。表示装置24がヘッドアップディスプレイである場合は、フロントガラス50の一部が情報表示部24aとなるため、表示撮影カメラ31をセンターピラー90に設置すると運転状態表示領域100を撮影しやすくなる。
【0070】
(4b)上記実施形態では、表示撮影カメラ31とドライバ撮影カメラ32aとは別々の位置に設置されていたが、表示撮影カメラ31及びドライバ撮影カメラ32aが1つのモジュールとして構成されていてもよい。具体的には、図3に示す表示装置24のカバー部24bの内面下部に設置されている表示撮影カメラ31及びドライバ撮影カメラ32aのように、両カメラは一体化された1つのモジュールとして構成されていてもよい。また、両カメラにより同時期に撮影された画像を横並びにした画像を表す画像データが出力されるようにしてもよい。この場合、運転状態表示領域100への情報の表示時にドライバが運転状態表示領域100を見ていたか否かが一見して分かりやすい。
【0071】
(4c)上記実施形態では、表示撮影カメラ31は表示装置24のみを撮影する構成であったが、表示撮影カメラ31の撮影範囲はこれに限定されない。例えば、表示撮影カメラは、運転状態表示領域を撮影範囲に含んでいれば、表示装置以外も撮影範囲に含むように構成されていてもよい。具体的には、図9に示すように、表示撮影カメラ31bとして広角カメラを用い、表示撮影カメラ31bの撮影範囲に運転状態表示領域100及びドライバの顔の両方が含まれるようにしてもよい。なお、図9では、表示撮影カメラ31bの設置例として、表示装置24のカバー部24bの内面上部又は内面下部、ステアリングコラムカバー60、車両2の天井70に表示撮影カメラ31bが設置された場合を示しており、表示撮影カメラ31bの撮影範囲を破線で示している。この場合、運転状態表示領域への情報の表示時にドライバが運転状態表示領域を見ていたか否かが一見して分かりやすい。また、この場合、表示撮影カメラとは別にドライバ撮影カメラを設けなくてもよい。
【0072】
(4d)上記実施形態では、表示撮影カメラ31は、イグニッションスイッチがオンである間、運転状態表示領域100を常時撮影するが、表示撮影カメラが撮影を行うトリガ及び期間はこれに限定されない。例えば、表示撮影カメラは、車両が走行している間、運転状態表示領域を常時撮影する構成でもよい。
【0073】
(4e)上記実施形態では、保存処理システム1は、日時対応データを一時記憶する一時記憶メモリ35と、日時対応データのうち証拠データとして指定されたものを保存する保存メモリ83と、を備える構成であったが、メモリの構成はこれに限定されない。例えば、保存処理システムは日時対応データを保存するためのメモリを1つだけ備え、証拠データとして指定された日時対応データには上書きを防止するプロテクトがかけられることにより、証拠データが当該メモリ内で維持されるような構成であってもよい。
【0074】
(4f)上記実施形態では、保存処理ECU30は、周期的に到来する送信タイミングにおいて、これまでに指定された証拠データであってクラウドサーバ8へ未送信のものすべてを、クラウドサーバ8へ送信するように構成される。しかし、保存処理ECUが証拠データをクラウドサーバへ送信するタイミングはこれに限定されない。例えば、保存処理ECUは、動画保存操作又は静止画保存操作において証拠データの指定が行われた場合に、その都度、当該証拠データをクラウドサーバへ送信するように構成されてもよい。
【0075】
(4g)クラウドサーバ8の保存メモリ83に保存された証拠データは、スマートフォン等の汎用の携帯端末にダウンロード可能に構成されていてもよい。
(4h)上記実施形態では、運転状態情報として、予告情報、並びに、運転交代要求及び運転交代警告を含む報知情報が、運転状態表示領域100に表示されるが、運転状態情報の種類はこれに限定されない。例えば、運転状態情報として、報知情報のみが表示されてもよい。また、例えば、運転状態情報として、予告情報及び報知情報以外の情報が表示されてもよい。
【0076】
(4i)上記実施形態では、保存処理ECU30は、S110~S112,S114の判定処理の結果に基づいて、一時記憶された日時対応データを証拠データとして保存する保存処理を行うが、日時対応データの保存処理の方法はこれに限定されない。例えば、上記判定処理のうち一部の判定処理を省いてもよく、また、一部の判定処理を他の判定処理に置換してもよく、他の判定処理を更に追加してもよい。また例えば、保存処理ECUは、上記判定処理を行わず、すべての日時対応データを証拠データとして保存する構成であってもよい。
【0077】
(4j)上記実施形態では、表示画像データと他の情報(すなわち、走行情報、周辺情報、室内情報、車外画像データ及び表示処理情報)とを対応させた日時対応データを証拠データとして保存したが、日時対応データを構成する情報の種類はこれに限定されない。例えば、日時対応データは、日時情報及び表示画像データのみで構成されていてもよい。また例えば、日時対応データは、日時情報、表示画像データ及び走行情報のみで構成されていてもよい。
【0078】
(4k)上記実施形態では、証拠データはクラウドサーバ8の保存メモリ83に保存されるように構成されるが、証拠データの保存場所はこれに限定されない。例えば、車両に保存メモリが備えられており、証拠データは車両の保存メモリに保存される構成でもよい。
(4l)静止画保存操作時において表示撮影カメラ31により撮影された画像が、情報表示部24aに一定時間表示されるように構成されてもよい。この場合、静止画保存操作により保存された画像をドライバが確認することができる。
【0079】
(4m)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0080】
(4n)本開示は、上述した保存処理ECU30の他、当該保存処理ECU30を構成要素とするシステム、当該保存処理ECU30としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、保存処理方法など、種々の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0081】
2…車両、30…保存処理ECU、31…表示撮影カメラ、83…保存メモリ、100…運転状態表示領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9